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【誕生日スレ】今日は何の日?【総合】

303Republica de Venexia:2014/10/02(木) 00:57:22 ID:???
10月2日はサラディンによってイェルサレムが陥落した日です

>>199で見た、1187年7月4日のヒッティンの戦いに勝利したアイユーブ朝スルタンのサラーフッディーン(サラディン)は、ほぼ無傷で進軍することができました
一方の十字軍はイェルサレム王ギー=ド=リュジニャンやアンティオキア公ルノー=ド=シャティヨン、テンプル騎士団総長、聖ヨハネ騎士団総長らが捕虜となり、軍事力をほぼ失うこととなりました

そのためサラディンの征服活動は大きな抵抗に遭うことなく進められ、1189年までにトリポリ以南の港市はティルスを除いて全て奪還され、内陸においてもティベリアス以南がサラディンによって占領されました

サラディンは1189年9月20日に聖地イェルサレムの包囲に取り掛かり、守将であるイェルサレム王代理バリアン=ディプランに無条件降伏を突き付けました
この時の内容は、第1回十字軍の際に十字軍がイェルサレム入城後に行った残虐行為の報復ともいえる過激な内容でしたが、これに対し守将バリアンは徹底抗戦の構えを見せたためサラディンは条件を和らげ、身代金と引き換えに住民の安全を保証することとなりました
そして1189年10月2日、交渉が妥結されイェルサレムの十字軍は降伏、サラディンの入城が果たされたのです

このイェルサレム奪還は十字軍における転機となりました
まずサラディンによって十字軍国家・諸都市の大半が征服されたことで、十字軍の経済力・軍事力・政治権力が低下し、当地の十字軍勢力のみでは十字軍活動が困難となりました
また十字軍国家の防衛に大きな役割を果たしていたテンプル騎士団・聖ヨハネ騎士団の勢力が大きく削減され、十字軍における活動が限定的となりました
さらに第1回十字軍以前とは異なり、聖地におけるイスラーム勢力は統一が達成され、単なる軍事力だけでは対抗が困難となり、政略・外交・謀略などが必要となったのです
そして聖地ではキリスト教徒と異教徒・原住民との交流が深まり、いわゆる「聖戦」の意識が薄れ、共存共栄の思想や寛容主義が生まれ始めたのもこの時期でした

これ以後の十字軍は、主に西欧の皇帝や国王が率いるものへと変化し、>>266で見たようにイスラームとの交渉も行われるようになったのでした


本日はサラディンによる聖地奪還の誕生日です、おめでとうございます


参考文献
・橋口倫介『十字軍騎士団』講談社、1994年
・アミン・マアルーフ、牟田口義郎・新川雅子訳『アラブが見た十字軍』筑摩書房、2001年
・エリザベス・ハラム編、川成洋他訳『十字軍大全』東洋書林、2006年


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