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【誕生日スレ】今日は何の日?【総合】

266Republica de Venexia:2014/08/31(日) 00:52:27 ID:???
8月31日はアル=カーミルがアイユーブ朝のスルタンに即位した日です

アイユーブ朝は>>199で取り上げた始祖サラディンが1169年に建国して以来、十字軍との抗争を繰り広げました
1193年にサラディンが病没すると、アイユーブ朝の領土はその弟や息子たちによって分割相続され、実質的な分裂状態となります

そのなかで勢力を伸ばしたのがアル=アーディルでした
アーディルはシリア・エジプトを基盤に勢力を拡大し、十字軍勢力に対しては通商関係を持ち和平協定を結ぶことで共存を図ります
このアーディルの死後、1218年8月31日にスルタンとなったのがアル=カーミルでした

彼はアーディルの政策を継承・発展させ、十字軍勢力や西欧との通商関係を維持し、さらに領内のキリスト教徒を保護するなど、異教徒に対して寛容な姿勢で臨みました
その最も顕著な例が、フリードリヒ2世の「破門十字軍」への対応です
カーミルと同じく異文化に理解を示し、「玉座に座った最初の近代人」と称される神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世は、聖地イェルサレムを交渉によって奪還しようと試みます
カーミルはこの異文化に理解があるフリードリヒとの書簡を交わし、学問も含めた議論を行ううちに、互いの想いが同じであると認識しました
ここにおいて和平交渉がまとめられ、10年間の休戦協定と、イェルサレムの返還、双方の宗教的寛容を内容とする協定が成立しました

これに対する周囲の反応は冷たく、フリードリヒは異教徒との戦いを避けたことを非難され、カーミルもイェルサレムの放棄を糾弾されます
しかし異教徒に対する理解が十分に進んでいない時代において、2人の指導者が異文化理解に基づく和平協定を行ったことは特筆すべきことでしょう


本日はアイユーブ朝第5代スルタンの誕生日です、おめでとうございます


参考文献
・アミン・マアルーフ、牟田口義郎・新川雅子訳『アラブが見た十字軍』筑摩書房、2001年
・エリザベス・ハラム編、川成洋他訳『十字軍大全』東洋書林、2006年
・エルンスト・カントロヴィッチ、小林公訳『皇帝フリードリヒ2世』中央公論新社、2011年


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