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【誕生日スレ】今日は何の日?【総合】

285Republica de Venexia:2014/09/17(水) 00:22:05 ID:???
9月17日はブライテンフェルトの戦いが行われた日です

1618年5月に始まった三十年戦争ですが、プロテスタント側のベーメン王フリードリヒ5世は1620年の白山の戦いで皇帝軍に敗れ、ベーメンのハプスブルク家支配が確立します
続いてデンマーク王クリスティアン4世がプロテスタント側として参戦しますが、傭兵隊長ヴァレンシュタインの大軍勢により撃退されます

このように苦戦が続くプロテスタント側でしたが、これを救ったのがスウェーデン王グスタフ=アドルフでした
さて、スウェーデン軍の躍進を見る前に当時の軍事事情についても触れておきましょう
三十年戦争当時に主流となっていた戦術は「テルシオ」でした
これは1534年にスペインの将軍コルドバが考案した、横に百列・縦に十五列程の槍兵が並ぶ密集方陣で、その四方を銃兵が囲み、さらに四隅に銃兵の密集部隊を配置する、まさに動く要塞というべきものでした

このスペインと対決したのがオランダであることは>>124でも見ましたが、そのオランダの指導者マウリッツが進めたのが軍制改革でした
マウリッツは銃兵が槍兵を守るというそれまでの発想を覆し、槍兵が銃兵を守り火力を最大限に高める戦術を考案します
槍兵の方陣の代わりに、約十列の銃兵による縦列陣を編成、槍兵はこれを守るための存在となりました
そして銃兵は発射後すぐに隊列の後ろに回り、再装填するようにし、最前列は常に火力を発揮できるようにしたのです

このマウリッツの軍制改革を完成させたのがグスタフ=アドルフでした
グスタフ=アドルフはマウリッツの考案した陣形を訓練によってさらに洗練させ、銃兵の発射・装填速度の高速化を実現、銃兵の隊列を十列から六列以下にまで減らすことができました
さらに騎兵のカラコール戦術を改め、抜刀突撃による集中攻撃を徹底、これにより騎兵隊に機動力と打撃力がもたらされました
そして砲兵にも改良の手が加えられます
砲の射程は必ずしも砲身の長さとともに増大するものではなく、砲の有効性を損なわずに砲身の長さ・重さを半分にできるという発見を活かし、より機動的な野戦砲を導入したのです
そしてグスタフ=アドルフは歩兵・砲兵の火力、騎兵の打撃力を最大化しつつそれらを機動的に運用する三兵戦術を有効性に活用し、これをもって軍制改革が完成されました

そして1631年9月17日、テルシオを採用する皇帝軍と、三兵戦術のスウェーデン軍がライプツィヒ近郊のブライテンフェルトにて激突、戦いはスウェーデン軍の圧勝に終わったのでした
これはプロテスタント側に初めての勝利をもたらしただけではなく、戦術史上においても画期的な勝利といえ、ヨーロッパの勢力図を大きく塗り替えることとなったのでした


本日はプロテスタント側勝利の誕生日と同時に、近世戦術転換の誕生日です、おめでとうございます


参考文献
・菊池良生『傭兵の二千年史』講談社、2002年
・B.H.リデルハート、森沢亀鶴『世界史の名将たち』原書房、2009年
・マイケル・ハワード、奥村房夫・奥村大作訳『ヨーロッパ史における戦争』中央公論新社、2010年


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