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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか、今度こそ」

1Mii:2020/12/13(日) 04:46:59 ID:9GX1QhWw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 【前々スレ】

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」【前スレ】

に引き続く続編となります。前々スレ、前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
過去作を読まれていないと把握困難な設定、独自解釈が多々あります。

遅い進行のうえに寄り道万歳のスレですが、引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。

ラナ「たったーん♪たかたかた〜ん♪
  そのほか、いくつか注意点をお知らせするよー。

     ・スレ主の、基礎体力面での戦闘能力解釈は、ざっくり言うと…
      キャラとしての登場時期の早さと、登場回数の多さで大方決まるからね!

      マリオ、クッパ、リンクを『3強』と表現してるけど、たとえばクッパVSガノンドロフだと、
      クッパが欠伸しながらパンチを繰り出すだけでガノンドロフを一撃粉砕できるくらいの力量差があるよ!
      パーティゲームに参加しないから仕方ないってことで、うん。敵があっさりやられても嘆かないで…。
      リンクとの差が付いた理由は、前々スレを読めばわかる、のかなあ…?

     ・前々スレ・前スレ同様、いろんなパロディ、メタ発言が散りばめられてるよ!
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義が白けるなら
      急がず慌てず別のスレに移って、このスレのことは忘れよう!
      
     ・ようやくスマブラ編が完結して…マリオカート編にちょっとずつ戻っていくんだって!よかったよかった!」

シア(…………ちょっとずつ?)

91Mii:2021/05/16(日) 09:58:55 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「ごめんくださ――――」





扉「CLOSED」ガチャリ



ロゼッタ「あ」

ルカリオ「…そりゃそうだろうな、基本的に全員避難しているはずだし」

ロゼッタ「そんな…!うう、せっかくのチャンスだと思ったのに――――
     仕方がありません、先を急ぎましょう」

せっかくのナイスな判断だと思ったのに、ガッカリ。
…店主さんに罪はまったくないので、どうしようもありませんが。



愛想よく近寄ってきて、おすすめ商品をアピールしてくる店主の姿が
脳裏をかすめて消えて行き――――

92Mii:2021/05/16(日) 10:01:35 ID:fQZRWATo
ルカリオ「――――待て、ロゼッタ!
     さっきゼルダから貰ったものを思い出せ!」



一瞬きょとんとして――――――――



ロゼッタ「―――――そういう、事ですかっ!」

反転しかけた己の体を、また反転。
ルカリオがギョッとするのを気にも留めず、勢いそのまま――――



ロゼッタ「――――はああぁっ!!」



叫びながら、促成栽培で仕上がってきた拳をしかと振り抜いて。
すでに私にとって、障害とならない木製の扉を、錠前もろとも盛大に大破させます!
粉々になった扉は意味をなさなくなり、遮るものがなくなって。
がらんとした店内が露わになりました!手首の痛みなど、軽微、軽微!

ルカリオ「……助言しておいてなんだが、躊躇わなかったな…」

ロゼッタ「褒め言葉と受け取っておきます!」

93Mii:2021/05/16(日) 10:06:04 ID:fQZRWATo
――――器物破損。不法侵入。窃盗。
――――心苦しいことこのうえないですが、この際、罪も犯しましょう!



ロゼッタ「いらっしゃらないこと承知で、ごめんなさい!
     ここにある物、勝手ながら貰っていきます!
     売買契約うんぬんは、その…これで勘弁してください!」ドサッ

使い古されたカウンターに、どっさりと…
ゼルダ姫から頂いたお金、全額積み上げておきました。
多分これで…店の修理費用含めても足りる、はず!

…本来なら、緊急事態ということで無一文でもやるべき行動だったのかも。
私の物怖じを予見してくれていたゼルダ姫に感謝です。



しつこいほど起きていた爆撃や地響きの余波で物が散乱している…
それを考慮しても、少々アイテムの陳列数が少なすぎます。
…毒を食らわば皿まで。心苦しいですが、奥の貯蔵庫までテクテクと歩いていき、
泥棒になった気分で入口を叩き壊します。開き直るしかありませんね。

…やっぱり、大量にありました。所狭しと木箱に詰められた、アイテムたち。
向きが統一せず、乱雑に置かれていることからして、慌てて押し込めた感が満載。
ある程度は避難所に持ち出し、残りは悪用されにくいように片付けておいたのですね。

まあ、今から私たちが使おうとしているのですが。悪用ではないので許してください。

94Mii:2021/05/16(日) 10:11:23 ID:fQZRWATo
あとは、どれをどのくらい持って行くか、ですが――――
アイテム知識に乏しく使い方にも疎い以上、闇雲に持って行っても意味がない。
今は空間魔法で収納、なんてこともできません。
変に欲張って色々持って行こうとしたら、かえって邪魔になってしまいます。

ルカリオにいくつか尋ねてみましたが、首を振り肩をすくめることのほうが
遥かに多くて、あまり参考にはなりませんでした。
まあ、頻繁にキノコ王国に訪れる私の方が知っておくべきでしたよね、失礼いたしました。

ロゼッタ「とりあえず、体力を回復するのが先決ですね―――」パクッ

ルカリオ「それは尤もだな――――」パクッ



スーパーキノコを 使った!
ロゼッタの HPが 回復した!
ルカリオの HPが 回復した!▼



体が楽になるのを確認できたら、全快になるまでありったけ食べて行きます。
…そういえばお腹もすいていたんでした。最後に食事してから半日以上。

決めました。全て片付いたら、お腹いっぱいピーチ姫の料理を味わって舌鼓を打ちましょう。

95Mii:2021/05/16(日) 10:14:53 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「……あと、こっちも」ゴクゴク

メイプルシロップを 使った!
ロゼッタの FPが 回復した!▼

ロゼッタ「…甘ったるい…のど越しは形容しがたいものがあります…
     よくデイジー姫は平然と一気飲みできますね…うぷっ」

ルカリオ「ちなみにFP≒魔力≒PP(MOTHER)≠PP(ポケモン)扱いだから
    私がそれを飲んでも効果はないぞ。この王国内での回復手段は基本、就寝のみだ」

ロゼッタ「いきなり変なことを言い出さないでください…」

苦いとか不味いとかよりはよほどいいですが、
シロップ単品をただひたすらに大量に飲み切るのは…かなり、きつい。
背に腹は代えられないので、気分が悪くなろうと飲むんですが。
シロップの入った瓶を、無理やり空にしていきます。これで回復できている、はず!
ちょっと気が急いていて、口の端からポタポタとこぼれるのは見逃してください。



ルカリオ「価格札を見るに、多分こっちの方が回復効率よくないか?ほら、ローヤルゼリー」

ロゼッタ「先に言ってくださいよ!?FP回復量なんてまるで分かっていないんです!」

ひったくるようにそちらも頂いて、さっそく頂きます。
…いえ、待ってください。高級なだけに在庫数が少ないじゃないですか。
だったら持ち出し用に温存しておいたほうが、いい?
ああもう、結局、今の所の回復はメイプルシロップ頼りにすべきってことですね。
…ああ、カロリーが。

96Mii:2021/05/16(日) 10:18:25 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「…きもち、わるい……口直しがほしいです…」

ルカリオ「知らないな、またスーパーキノコでも食べて我慢しておくことだ。
     …さて、では何を持ち出していく?お互い、数は限られそうだが。
     いっそのこと、使い道を熟知しているキノコとシロップだけ持って行くか?」



言われて、周りの木箱をガサゴソ、ガサゴソ。

1UPキノコ…どこにもない。そうか、マリオ達が先んじて集めちゃったのかも。
あ、でも似たような色のキノコがありますね。掲示名は…ウルトラキノコ?
なんとなく、最上位に近い回復キノコと感じます。持って行きましょう。



補助用アイテムは…
ねむれよいこよ…敵を眠らせる、のでしょうか。
あっちいけシッシ…敵を強制離脱させる?
グルグルめまわし…敵を混乱させる、とか。

使いこなせれば、どれもなにかと強そうですが。敵の耐性にもよりますね。
なんでもマリオ曰く「補助効果はボスクラスには効かないお約束だぞ」らしいので、
タブーに使っても効果が見込めないかもしれません。うーむ。

97Mii:2021/05/16(日) 10:22:27 ID:fQZRWATo
ちょっと保留して、攻撃用アイテムは…
ユキやこんこん…氷属性の攻撃、ですか。
かみなりドッカン…これは知っています。雷属性の全体攻撃ですよね。
ぼろぼろハンマー…え、壊れかけっぽいですけれど…一応、攻撃アイテム?

キラキラおとし…あ、これもわかります!
基本威力は一番高そうですね、持って行くとしたらこれにしましょう!



ルカリオ「どうだ、決まったか?」

ロゼッタ「…………そう、ですね。決めました!
    『ウルトラキノコ』と『ローヤルゼリー』と『キラキラおとし』…
    
    あ!あと『緊急キノコ』を、背負えるような適当な袋を頂戴して…在庫の限り、持てるだけ!
    あとは『あっちいけシッシ』を1個だけ忍ばせておきましょう」

ルカリオ「よしきた。お前の判断通りに運ぶとしよう。
     ロゼッタ、大袋1つと最後の1個のアイテムだけ運搬を担当しろ。
     残りの大袋3つは私が運ぶくらいでちょうどいいバランスだろう」

ロゼッタ「かたじけないです!…それと!保険として、お互い1個ずつ『緊急キノコ』を最初から懐に!」

ルカリオ「わかった!」

最後に、目に飛び込んできてくれて助かりました。
緊急キノコがあるとないとではかなり余裕に差ができそうです。これ、経験則。
ルカリオが凄まじい勢いでアイテムを袋に詰めていくのを尻目に、
私は『緊急キノコ』の大袋を準備し、続けて『あっちいけシッシ』をポケットに――

98Mii:2021/05/16(日) 10:25:04 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「あ」







ファイアフラワー「敵全体対象 威力3です」チョコン







ロゼッタ「なんだかいつもと外見が違いますが…!
     これでパイロキネシスなしでもファイアボールが撃てます!」

ファイアフラワー「撃てないよ」

ロゼッタ「さっそく今から使用して…いえ、ダメージを受けて解除されるのは
   ちょっともったいないですね。忍ばせておいてここぞというときで使わないと」

ルカリオ「今使ったうえで改めて1個忍ばせておけばいいんじゃないか?」

ロゼッタ「その手がありました!」

ファイアフラワー「撃てないってば」

99Mii:2021/05/16(日) 10:28:28 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「それっ!!」ガシッ

ファイアフラワー「だから火の玉を一度広範囲に発生させるだけで――――」







なんだか、いつものファイアフラワーと感触が違う。
体中を炎の躍動が駆け巡る、という感覚が湧いてきません。



…………いえ、それは私の怠慢、責任のなすり付け。多少のアイテムの仕様差で躓いて、どうしますか。



炎のチカラ自体は明確にこのアイテムから感じ取れるのですから。
不慮の事故で魔法レベルが下がっていようと、この程度でくじけていては――――

魔法使いとしての名が廃る。





燃えるような赤い花を胸に抱いて、そのチカラを包み込み、
自分の体に浸透、循環させてみれば――――――――

100Mii:2021/05/16(日) 10:30:27 ID:fQZRWATo
――――ポンッ!!

ルカリオ「おお――――――――」



途端に姿が変わってみれば、ルカリオが感嘆、驚愕。
でも、これで、いわゆる――――フルパワーといったところ!
















ファイアロゼッタ「――――さあ、参りましょう!」POWER UP!

ファイアフラワー「」

101Mii:2021/05/17(月) 23:00:01 ID:eUg3dBcA
〜司令スペース〜

リンク『ファイ、偽ロゼッタ運搬&露払い&ナビゲーションで先導!
   俺、しんがり受け持って不意打ち排除!

   さっそくタブーを征伐しに出かける!ファイの後に、続け―!!』ダダダダダダダダ

パルテナ『ひぃぃぃぃ……!脚が、脚がぁ…石化解除したての体には堪えますぅ…!!』ガクガク

ピット『…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!!ぐぅっ!リンクさん、ファイさん!?手加減たのみます!
   この移動速度は、維持して付いてくのチョーきつい!!』

リンク『なっさけないぞピット!ルキナですらなんとか追い縋ってるぞ?』

ルキナ『…………この、てい、どぉっ!!』ダダダダ

ピット『…あり?』

ルフレ『はぁ、はぁ……あったりまえでしょう!
   さっきは呆気にとられましたが、あのギムレーを瞬殺できたんです!
   僕ですら、今更ながらようやく実感してテンションが爆上がりしてきたのに、
   散々辛酸舐めてきた…あのルキナが奮い立たない訳、ないでしょうが!
   
   見てください、ルキナの顔! 息は荒くとも――――今までで一番、輝いているでしょう!
   僕もうれしくなってきますよっ!はあああぁぁぁっ!!』

トゥーンゼルダ「その意気だ、ルフレ!大きいリンクも、皆をしっかり支えて安全確実に連れてこい!」

リンク『りょーかい!』

102Mii:2021/05/17(月) 23:04:30 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「マリオにルイージ、今の状況は!報告を頼む!」

マリオ『体力がヤバそうな人たちを見かけてはちょこちょこアイテムで回復させつつ
   会場には近づいているぞ!あと、30分くらいで多分辿り着く!』

ルイージ『1UPキノコが尽きそうなのが気懸りだよぉ、
    嫌というほど確保したつもりだったけど足りなかったらどうしよう…』

ピーチ『万が一の時は私に任せて!
   みんなげんきになあれ と おねがいカムバック で回復してみせるから!』

マリオ『…そうかピーチ、助かる!ちなみに今どこにいる!?』

ピーチ『そうね、担当箇所の分担はしておくべきよね。
    今ちょうど第58区に…………』



トゥーンゼルダ「緊急連絡、緊急連絡。
         第58区に偽ピーチ出現、誰でもいいからさっさと潰せ。
         以上、連絡おわり」

クッパ『ワガハイが居る所から目と鼻の先ではないか。
   通りすがりにプチッと潰しておいてやるのだ!』

ピーチ(偽)『どうして!?』

トゥーンゼルダ「わからいでか」

103Mii:2021/05/17(月) 23:09:06 ID:eUg3dBcA
ルカリオ『おい、私と本物のロゼッタも…あと10分程度でたどり着くぞ!
    ロゼッタがしきりに会場の様子を気にしているみたいだが、
    何か安心させてやれる情報はないのか!』

トゥーンゼルダ「安心させてやれる情報、か。
         こちらは相変わらずの膠着状況。ただまあ、それだけでも大進歩だ。

         不定期にタブーの奴がOFF波動を重ね掛けしてくるのに対して、
         MOTHERチーム…今は大きい方のゼル…こほん、シーク、か。
         願いの力を皆に分け与えていることで、なんとか拮抗している感じだよ。

         ただ、どうもシークの疲労がたまってきている。魔法効果が薄れ出した。 
         向こうも分身体ロゼッタを食いつぶしつつ威力を維持しているし、
         これは体力勝負だな。いつまた均衡が破れるかはわからない…」

シーク『失礼なことを言うな。ここが正念場だろう!
   慣れていない魔法行使ではあるが……まだまだ持たせて見せる!

   …ただ、ラジオ塔そのものはなんだかんだと遠隔攻撃を受け続けているな。
   ある程度は選別して排除しているが、流石に機材がやられたらそこで終了だ。
   その時は潔く会場へ向かおう』

トゥーンゼルダ「いろいろと無理を通しているってことだろう、
        ぎりぎりになって途端にやめられても困ってしまうから
        早めに連絡してほしい。頼んだ…いえ、お願いします」

シーク『任せておけ』フッ


――――「ゼルダ」同士だから、通じるものも、きっとある。

104Mii:2021/05/17(月) 23:11:50 ID:eUg3dBcA
ファイアロゼッタ『やっぱり、展開されているスカイガーデンを私がどうにかしないと
         根本的解決が果たされませんね…!
         次に張り直すタイミングで、なんとか張り返さないと…!
         分身体たちの動向をもっと詳しく教えてくださいっ!』

トゥーンゼルダ「うわっ!…ああ、本物のロゼッタか、びっくりした。

        あ、ちょっと待て。ラナからのご神託で本人確認ができるまで、
        今の質問に対しては回答を保留する。
        というより今の連絡を聞かなかったことにする。
        ただの雑音が紛れ込んだ、そういうことにしておこう」

ファイアロゼッタ『薄々予想はしていましたが扱いが酷いっ!?』

マリオ『この、扱われ方に思わずツッコむ反応は本人っぽいけど』

ルイージ『わかるわかる、おっちょこちょいな感じも声だけで伝わってくる』

ファイアロゼッタ『マリオにルイージ、私のこと嫌いですか!?拗ねますよ!』

マリオ『んなわけあるかい。ロゼッタは立派に愛されキャラでいじられキャラだぞ』

ファイアロゼッタ『あ、あのー。納得しがたい返答なのですが…まったくもう。

         今現在、主に回復アイテムを入手して、ルカリオと共に運んでいます。
         入用の方々はおっしゃってくださいね!』

トゥーンゼルダ「おお、助かる!…おっと空耳空耳」

ファイアロゼッタ『一言余計です!』

105Mii:2021/05/17(月) 23:17:04 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「さあ、これで…」ギッ

トゥーンリンク「もうひと踏ん張りだ!」

ヒルダ「ええ!」



会場のど真ん中、
フィールドに不気味に佇む要塞。

幾つもの、数えるのも馬鹿らしい大量の隔壁に囲まれた…
おどろおどろしい魔人。




戦況の変化に、一体何を思っていることやら。
ただ…そう簡単には負けを認めてくれは、しないだろう。
再び口をへの字にして、頬を自分でひっぱたいて…気合いをドンと入れ直した。

106Mii:2021/05/17(月) 23:22:48 ID:eUg3dBcA
〜中央会場〜

着きましたよ、会場に。やっぱり回復したのは大きかったです。
足取りはだいぶ楽になってきました。

フィールドをいち早く確認。うん、穴ぼこだらけ。修復大変そう…。
観客、大興奮はしていても怯えらしきもの、それほどなし。
…いや、ほんとうに凄い胆力ですね。…順バイアスってやつでしょうか?

集まり合流するファイター達を観察し、弱っていたり疲れていたりするならば、
手早くアイテムを渡していきます。返ってくる笑顔、1つ1つに救われる。

いい加減、偽者たちを一網打尽にしたいです。
そして、タブーを倒し切る手がかりを!

トゥーンゼルダ「おお、戻ってきたかロゼッタ――――
        そして何故かドレスが紅い!いつの間にかポニーテール!
        よく分からないが、偽者と明確に区別できていいな!」

ファイアロゼッタ「それは私もすこし思いました」

そう言って余裕ぶっていると、分身体までファイア状態になるフラグが立ちそうです。
気を、気を引き締めて掛かりましょう。



私の偽者たちは、会場にいる分には、ざっと残り20人そこら。
よし、だいぶ減りました。これで――――

107Mii:2021/05/17(月) 23:27:01 ID:eUg3dBcA





――――戻って、来たか。





タブーの姿を目に入れ、さあ何かやってみよう、と意気込んだばかりというのに。
何か、危険な起動スイッチを踏み抜いてしまったのか――――



ドッゴオオオオオォォォォン!!



ファイアロゼッタ「……え?」

後ろを、振り向く。



ファイアロゼッタ「…な!?」

あちらこちらで、新たに上がる爆炎…!?
な、なんですかこれは!?もうもうと、空高く…白煙が昇っていきます――――!

108Mii:2021/05/17(月) 23:31:46 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「…な、なんだこのありさまはっ!?何が起きている!?
        おい、爆発付近にいる者!急ぎ状況確認をっ!」

トゥーンゼルダの切羽詰まった叫び声が、通信機へ吸い込まれて行きます。
まだまだ、安心できるにはほど遠い…!
しばし待てど、ファイターの皆さんからの回答は得られません。

――――少し先には、私を捉えた、ニヤリと口を歪ませたタブーの姿。
――――わたしの、せい?

――――これが、タブーの、奥の手?



ファイアロゼッタ「あ、あのっ!
         なんだか、『私の到着を確認したうえで起動された何か』だと
         直感が働いているのですが…!」

私のそのセリフが突破口になったのか、ようやく回答が返ってきました!

マリオ『空間魔法からみ…そうか、なんとなく察しがついちまったぞ!
   事前に偽ロゼッタ達がばら撒き続けたステルス爆弾を
   このタイミングで次々と爆発させてるんだ!意識からすっぽ抜けていた!』

ファイアロゼッタ『ば、爆弾!?そんなものが!?』



――――まだ。まだだ。
――――形勢は、まだ私の…このタブーの掌の方に、いくらでも傾けられる!

109Mii:2021/05/17(月) 23:36:59 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「…ちっ、空間魔法に秀でたロゼッタが戻ってくるのを見計らって
        魔法陣を起動されたのか…予兆を悟られないために…!

        こらロゼッタ!お前はもう飛び出すな、今から探しに行っても無駄だ!
        あちらのことはその場のファイター達にまかせて、ここのトラブルを全力で解決しろ!」

ファイアロゼッタ「…………っ、はい」



ヒルダ「きゃあ!?」

ポケモントレーナー「…………!!」ギュウウ

唇を噛んでいたところ、ヒルダ姫の叫びに何事かと思って振り向けば、
ポケモントレーナーさんが真顔で…いえ、内心焦っている感じで、
ゼニガメやフシギソウたちと協力して、自分のリュックを押さえつけています。

リュックの様子がおかしい。パンパンに膨れ上がって、まるで爆発寸前のような――――!
隙間からは時折、真っ赤な炎まで飛び出して、みるからに大変危険な状況です。
顔や両手を炙られ、火傷の跡を重ねつつ、必死にこらえていますが、もう持ちません!

ポケモントレーナー「…………!!!!」グググ

ニャース「仕舞って無効化したはずの爆弾たちが暴発しかかっている、どうしてだ!
    …と言ってるニャ!」

――――そのような小細工を。通りで数が足らなかった。
――――だが、起爆者が私であることを忘れるな。
――――少し本気を出せば、圧縮空間との境界を飛び越えて干渉することなど容易な事。

110Mii:2021/05/17(月) 23:43:35 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「ポケトレ!もういい!遠くに投げ飛ばして離れ――――」

ヨッシー「処理しますね!」シュバババ

駆け寄ってきたヨッシーが、大きく口を開け、長い長い舌を伸ばしまして。
承諾もそっちのけでリュックをペロリンと飲み込みました、まる。

ヨッシー「…………ふんっ!」ポコッ

ポケモントレーナー「…………」

ヨッシー「…あち、あちちちち!
    うわ、タマゴの中ですら炎が溢れかえろうとしてますか。
    ……それっ!!」ブンッ!

ヨッシーが、空の彼方までタマゴをビューンと投げ飛ばしました。
遠くで花火の音が聞こえます。

トゥーンゼルダ「でかしたぞヨッシー!」



ポケモントレーナー「…………………………………………りゅっく」ショボン



――――――――ちっ…!

タブーがちょっと悔しそう。こうしてみると、意外と表情豊かだったり。
…なんて、どうでもいいことですね。

111Mii:2021/05/17(月) 23:47:06 ID:eUg3dBcA
――――だが、まだまだ楽しみは、残っている!



ズガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!



ファイアロゼッタ「……ひっ!今度はなんですか!」

耳を劈くような、連鎖的に響く爆裂音。
火の手が、収まるどころかさらに勢力を拡大して、いる?
それほどまで大量に爆弾を仕掛けられたのですか!?

クッパ『おい、生意気な小娘よ!』

トゥーンゼルダ「なんだ!」

クッパ『爆発の様子をいくつかのポイントで確認した!
   どうにかこうにか逃げ遅れた市民どもを誘導したり、建物の残骸処理を行ったり、
   ついでに偽ピーチをボコったりしているが、妙なことがわかったぞ!

   先ほどから、何もない空間から突如として爆風や灼熱のエネルギーが噴き出す、
   百万歩譲って…これはまあいい!

   問題は、爆発が終わったように見えて、繰り返し…
   威力まで増しながら尽きることなく爆発が起こっていることだ!

   忌々しいが、視えない爆弾を回収する芸当はワガハイたちは専門外なのだ!
   ロゼッタかポケトレでもなければ爆発を止めることは難しいぞ!』

112Mii:2021/05/17(月) 23:50:57 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「……………………ま、さか。



        ロゼッタッ!なんとしてでも敵の空間魔法を抑えつけるんだ!
        こいつは、このステルス爆弾とやらは――――

        爆弾と銘打っておいて、おそらく実のところは、
        タブーが無尽蔵に送り込むFPを糧とした砲台のようなもの!

        空間を支配されているかぎり延々と各所で爆撃を食らってしまう!
        処理が一切追いつかず、ゆくゆくは城下が壊滅するぞ!」

ファイアロゼッタ「…何ですって」サァッ



血の気が引く。
何重にもトラップを仕掛けられていて、悔しくなります。
一部を除いて疲労の度合いが強まっているファイターたち、
今さら再度勢いを削がれたら…とてもとても耐えきれません!

タブーを直接倒せればそれが一番手っ取り早いですが、
相変わらず唖然とする量の隔壁の絶対防御!
ちょっとやそっとじゃ近づけない…悠然と居座るだけのことはあります。
この隔壁たちを無効化する意味でも、やはりなんとしてでも……!

113Mii:2021/05/17(月) 23:55:10 ID:eUg3dBcA
ロゼッタ(偽)「…………うっ」フラッ

ロゼッタ(偽)「…………まだまだ、かわりは、いる、もの」シュゥ・・・

ロゼッタ(偽)「終幕も、もうすぐ…」シュゥ・・・



スカイガーデンを管理していた ロゼッタ(偽)たちが
HP限界で 次々と 消滅した!
敵のスカイガーデンは きれいさっぱり 消え去った!▼



ファイアロゼッタ「――――――――今っ!」

空中庭園が解除されました、千載一遇の待ちに待ったチャンスです!
このチャンスを逃してはいられません!!

HPもFPも十分、魔法レベルだけは不十分!
それでもやるしかない!

本来必要な魔法レベルからかけ離れているなんて弱音は吐けない。
激痛は覚悟しつつ、仁王立ちして、魔法陣を浮かばせて――――!!



ロゼッタ「――――――――空中庭園《スカイガーデン》っ!!!」パアアアアアアア

この空間を、いえ。城下全域を、私たちのテリトリーに――――!

114Mii:2021/05/17(月) 23:57:50 ID:eUg3dBcA



――――――――させるか!



タブーの目が光り、激しい殺気の一睨み。



ロゼッタ(偽)「…………そんなこと」

ロゼッタ(偽)「…………私たちが」

ロゼッタ(偽)「…………黙って見過ごすと、お思いで?」

空中を漂う彼女ら。まさか私の行動を予期しなかったわけがなく。
予定調和とばかりに、たちまち歯向かってくる構えです
魔法陣の数、当然ながらぼろ負け。FPの供給力でもぼろ負け。
ああ、ひょっとして、ひょっとすると、ひょっとしなくても…。





ロゼッタ(偽)「「「「「「「「――――空中庭園《スカイガーデン》、リテイク――っ!!」」」」」」」」パアアアアアアアアア

ファイアロゼッタ「ですよねぇぇ――――っ!!」パアアアアア

115Mii:2021/05/18(火) 00:01:21 ID:WrsMubP.
魔法陣から放出される光と光のぶつかり合い、第2試合!?
ルールはいっしょ、相手の光を霧散させ、魔法陣ごと打ち砕いた方の勝利。



びり、びり、びりり。

開始して2秒、対抗されて1秒で、あっという間に術式が押し込められる!
だから、何度も言っていますが!数の暴力、反対っ!これ無理!無理難題ですっ!!



みし、みし、みしり。

ま、まずい。なんだかさっきから、不吉な痛みと音が。



私の錯覚でなければ、右目がオーバーワークを激しく主張している模様。
すでに、デイジー姫たちとの地獄の特訓中に不穏なヒビが入ってからは
怖くて観察確認すらしたくない状態の右目ですが、
今現在、必死に術式制御を手掛けてくれています。

…でも、大人数頼みで抑え込みに図る偽者たちの術式を、超えること、全く叶わず。
余裕の表情を崩すことすらできかねます。

116Mii:2021/05/18(火) 00:06:50 ID:WrsMubP.
ロゼッタ(偽)「見苦しい哀れな姿ですね、諦めなさい」パアアアアア

ファイアロゼッタ「…………だ…だれ、が、ぁ――――」パアアアア

ロゼッタ(偽)「疲れ果てて無駄なFPを消費するだけですよ」パアアアア

ファイアロゼッタ「う……る、さい、で、すね…!!!」パアアアア



両手を必死に相手方に向け、魔法陣にFPを送り、
おしとやかさなど知ったことかと歯茎を露わにして歯を食いしばって堪えますが、
無理なものは、やっぱり、無理ですっ!今ですら弄ばれている感っ!



マリオ「到着したぞ、はい把握!…ロゼッタの援護だ、偽者の人数を削れ!」サッ!

ルイージ「む、無理だよ兄さん!その前にロゼッタが魔法の打ち合いで負けちゃうよ!…あ、リンクたちも来たみたい!」

リンク「それでもやるしかないだろ!3強の名が廃るし、俺はやるぜ!
    よし皆、ファイ以外は一旦休んどけ。回復したらすぐ戦線復帰しろよ!」

ピット「ゲホッ…ゲホッ…ガハッ…ぐおおおぉぅ、天使遣いが荒いな勇者様!」

パルテナ「…………もう、駄目…」バタリ

リンク「パルテナァ!5分経ったら起きてしゃかりき働けよぉ!!」

ピット「加えて女神遣いも荒いぞ勇者様!」

117Mii:2021/05/18(火) 00:12:48 ID:WrsMubP.
ヒルダ「ロゼッタ、しっかりっ!私たちも付いています!
    いますぐ、Double Slot《相互演算》)を私と!」

お言葉に甘えます、ヒルダ姫!
片手を下げ、彼女の手をしかと握り締めて!



ファイアロゼッタ「――――Double Slot《相互演算》!!」パアアア

相互演算の 効果で 魔法回路が 接続されている!
ヒルダは 術式演算の 一部を 肩代わりした!
ファイアロゼッタの 術式ランクの 限界が すこし高まった!▼



…それでもっ!ヒルダ姫には、大変申し訳、ない、のです、がっ!!

ヒルダ「ぐ、ぐ、ぎっ…………わかって、は、いました、が…私、だとっ、
    助太刀となるには、よわ、すぎ、ますっ!!」プルプル

ヒルダ姫に限界いっぱいの負荷を押し付けても…
まだまだ、ぜんぜん、これっぽっちも足りません!

デイジー「ならば私ならどうかなっ!
     一通りの役目を終えて、デイジー様、華麗に見参!」ズサァッ!

ファイアロゼッタ「接続は自分含めて2人までなのでっ!デイジー姫の魔法回路だとますます駄目です!」

デイジー「切羽詰まるあまり軽やかに慈悲のない門前払いを食らったぁ!?」ガーン

118Mii:2021/05/18(火) 00:19:42 ID:WrsMubP.
トゥーンリンク「頑張れ、ロゼッタ!」

ファイアロゼッタ「がんばって…ます、よぉ…!!!」

ヒルダ姫と手を握り、握り返され。颯爽と登場したデイジー姫に、2人まとめて背中から支えられ。
ふらつく体と頭を、堪えて堪えて、堪えて――――耐えて耐えて、耐えて――――



―――――――――プツッ。



たらり。何かが、頬に、垂れて、来ました。
まあ、半泣き状態ですからこのくらいは想定内…………

デイジー「ちょ、ちょっとお、ロゼッタ、大丈夫!?」

ヒルダ「ひぃ…!」

ファイアロゼッタ(……これ涙じゃない!?一層の激痛と共に右目から出血し出しましたぁ!?
          危険信号がバリバリ出ているじゃないですか、ホントのホントにもう無理、無理ぃ――――!?
          このまま続けると、そう遠くない未来に制御停止+完全失明が待ってますっ!
          誰か助けてぇ!お願いします!何でもしますからぁ!!)

ヒルダ「こんな、しょう、ぶ!いつものロゼッタなら、十分に対抗できるはず、なのに!」

デイジー「目の神秘性を失ったあの事件、ほんま、恨むでぇ……!
     私にも原因があるし、ああもう…!ロゼッタ、ここは諦めて別の策を――――」

119Mii:2021/05/18(火) 00:24:16 ID:WrsMubP.










ピット「……………………おい。今、なんつった?」

ヒルダ「です、からっ!いつものロゼッタなら、このくらいの相手の数なら、
    十分に対抗できるだけの能力が――――」

ピット「いや、その後。お転婆お姫様の台詞の方」

デイジー「ふざけてないで行動してよ…!
     ロゼッタは、魔法制御の要である右目の神秘性を不慮の事故で大幅に失ってだね、
     あらゆるところで弊害が出てるんじゃないかあ…!!」

ピット「…………そうなの!?」

デイジー「そうだよ!!」

ピット「……………………」プルプルプルプル

ピット「早くそれを言って欲しかった!!」ダッ!!

デイジー「……!?なにさ急に怒りだして――――」ビクゥッ

120Mii:2021/05/18(火) 00:30:24 ID:WrsMubP.
パルテナ「――――」

パルテナ「――――」

パルテナ「…………んあ?」ピクッ



ピット「――――――――パルテナ様ぁ!起きて、起きてください!」ガシッ!

パルテナ「――――きゃ、きゃあ、ピット!?
     どどどどうしたのですかいきなり顔を覗き込んで!?ビックリしました!
     たたた立ちますよ立ちますよ、離れてくださいっ!!!」スクッ

ピット「初志貫徹、原点回帰。適材適所、一発逆転。
   僕たちの大事な役割を、ここにきてひとつ、思い出しました!」

パルテナ「や、やくわり?一体なにを…?」

ピット「パルテナ様!…いえ、パルテナさん!このスマブラ編、最後のお願いです!」

パルテナ「な、なんですか一体…!」ドキドキ







ファイアロゼッタ「も……も……もうダメです…………」フラッ

121Mii:2021/05/18(火) 00:34:56 ID:WrsMubP.
ピット「パルテナさん!!

   い いま 試合会場で魔人タブーと戦っている、
   ロゼッタって人の右目の神秘性を――――――――――――――――



   もとにもどしてあげることって できる!?」
   









パルテナ「その者の右目の神秘性を 通常に もどすだけなら 可能だ」

ピット「よかった す すぐに お願いします!!」

パルテナ「神秘性だなんて、私にとって十八番案件じゃないですか!
     安直ですが、さんはい!



     ――――――――――神秘の奇跡ぃぃぃぃ――――っ!!」キラッ!

デイジー「」

122Mii:2021/05/18(火) 00:41:02 ID:WrsMubP.
――――奇跡が、私に、舞い降りた。

ファイアロゼッタ「!?」ピロリーン



ピット「ロゼッタさんっ!!
   パルテナ様の奇跡で ロゼッタさんの魔法レベルが もとにもどったでしょ!?」

ファイアロゼッタ「…………」



ファイアロゼッタの 右目の状態が   完 全 回 復   した!

ファイアロゼッタの魔法レベルが Lv.50から――――



      Lv.  1  3  0   に 戻った!▼



無言で、右目にかかる髪を、ひと掬い。

ファイアロゼッタ「……………………」ペタ ペタ



新たな産声を上げ、活躍したいと奮い立つ目が、確かにそこに…ありました。

123Mii:2021/05/18(火) 00:53:44 ID:WrsMubP.
ファイアロゼッタ「……………………………………………は、はは」

笑っている。この私が、今日初めて、震える心と共に――――笑って、いる。



ロゼッタ(偽)「とうとう気が触れましたか。いい加減に――――」パアアアア

ロゼッタ(偽)「ただの時間の浪費は――――」パアアアア

ロゼッタ(偽)「おやめなさ――――」パアアアア





ファイアロゼッタ「最大出力、全力全開ぃぃぃ――――っ!!」ボンッ!



――シュンッ! ――シュンッ! ――シュンッ! ――シュンッ! ――シュンッ!
――シュンッ! ――シュンッ! ――シュンッ! ――シュンッ! ――シュンッ!

ファイアロゼッタの 背後に
魔法陣(特大)が 10個 ログインしました。
1個で ロゼッタ(偽)の魔法陣10個を 蹴散らす 術式動力があります。▼

ヒルダ「」ブフッ

ロゼッタ(偽)「「「「「「「「」」」」」」」」

124Mii:2021/05/18(火) 00:57:38 ID:WrsMubP.
ファイアロゼッタ「これが…本気の――――正真正銘本物の――――
         空中庭園《スカイガーデン》、でーーーす!!」カッ!!

ロゼッタ(偽)「「「「「「「「」」」」」」」」ブチィ



ファイアロゼッタの スカイガーデンが 競り勝った!▼

キノコ王国に 味方のスカイガーデンが 展開されている!
敵の 空間魔法は 全て無効化され 再展開もできない!▼

キノコ城城下に散らばる ステルス爆弾は きれいさっぱり なくなった!
キノコ城城下に設置された 転生の扉は きれいさっぱり なくなった!
ロゼッタ(偽)たちと タブーが まとう隔壁は 存在を許されなくなった!▼

ロゼッタ(偽)たちが 作り出していた異空間が 崩壊した!
中にいたピーチと ロゼッタ(偽)たちが 急に出現して 放りだされた!▼



ピーチ「ぶっ!?…いったぁ…あれ、元の世界に戻って来られた?」サスリ

ロゼッタ(偽)「「「「「「」」」」」」ドサドサドサッ

ファイアロゼッタ「……わぁい!!」バンザーイ



―――――――――――――――・・・。

125Mii:2021/05/18(火) 01:00:42 ID:WrsMubP.
ファイアロゼッタ「タブーも余りの驚愕でカチコチ固まったところで…
          いざっ!反撃開始ですっ!!

          ようやく使える…………   実 分 身っ!!」シュバッ!



――ボカン! ――ボカン! ――ボカン!



ファイアロゼッタ「……全員、にっくき偽者たちに…突撃っ!
         オリジナルの私にトドメを刺させてくださいね!経験値はしっかり分捕りましょう!
         1人あたり敵2,3人…簡単カンタンッ!」

ファイアロゼッタ(分身)×11「「「「「「「「「「「おーーー!!」」」」」」」」」」」
(基礎体力レベル:Lv.44)

ロゼッタ(偽)×30「「「「「「「「」」」」」」」」
(基礎体力レベル:Lv.20  空間魔法使用不可)

ピーチ「え、あ、どうなってるの、これ?」キョロキョロ



マリオ「あ、これ終わったわ」シロメ

ルイージ「終わったね」シロメ

デイジー「そだねー」シロメ

126Mii:2021/05/18(火) 01:07:19 ID:WrsMubP.
ファイアロゼッタ(分身)「唸る拳、食らいなさいっ!…二撃目は――要りません!!」ゴウッ

ロゼッタ(偽)「に゙ゃっ」ガフッ



ファイアロゼッタ(分身)「お願いチコ、チカラを貸して!――『キラキラ落とし』っ!」パアアア

チコ「ママのこと裏切った、恨み―!フィールドの下の下まで叩きつけちゃうよー!!」ゴォォォォッ!

ロゼッタ(偽)「」ゴチィン



ファイアロゼッタ(分身)「威力増し増しの――――ジャイロ、ファイアァ――――っ!!」

ゴオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォ!!

ロゼッタ(偽)「あ゙」ボタッ

ファイアロゼッタ(分身)「…時速364kmってところですか、いい感じですね!
              …風穴空いたのは…よくあることです、気にしない気にしない」グッ

ピーチ「ロゼッタったら、一体だれの影響であんなサバサバとした性格に…」

デイジー「まったく、誰の影響なんだろうね、あっはっは」

ピーチ「…………」グリグリグリグリ

デイジー「イダイイダイイダイ!!」

127Mii:2021/05/18(火) 01:11:41 ID:WrsMubP.
ファイアロゼッタ「オリジナルの私は、せっせと経験値を回収しまーす。

         …?? なんだか変ですね、やっぱり経験値があんまり…まあ、いいか」タタタ



マリオ「がんばれー」ヒラヒラ

ルイージ「わーすごーい」パチパチ

デイジー「ながくくるしいたたかいだった」フッ

ピーチ「というより、ちょっとは手伝ってあげなさいよ!私は行くわよ!」

リンク「…いや、これでいいんじゃね?
   ロゼッタ自身でけりをつけたほうが溜飲も下がるし、
   俺たちは俺たちで…こうしてタブーの破れかぶれ行動を警戒できるわけだし。
   なにより全員が全員必死こいてるより、観客を安心させやすいじゃん。

   そもそも、あと1分くらいでカタが着きそうだし」チャキッ

ピーチ「ええぇ…」ピタッ

ルキナ「うわぁ…ロゼッタさんが、たくさん…」

ルフレ「『赤』対『青』、あまりにも一方的なチーム戦ですねぇ。『青』も割と赤く染まってますが…」

128Mii:2021/05/29(土) 16:20:12 ID:rMXtY5n2
紆余曲折あって、ようやく――――



私たちの勝利という形での、最高ではないけれども最低限の終幕が――――
近付いてきました。

そっと、ほっと、息を吐く。



ラナ『転生の扉が消滅したことにより、各地区のタブー軍…急速に鎮圧され、収束を開始!!
  いいよいいよ、みんなサイコー!!勝利は近いよ、あと一息!!』

トゥーンゼルダ「わかっているとも!
     
       皆、本当に…本当にっ!よくやってくれた!
       ここまで来たら、最後までしっかり勝ち切るぞ!!」



ファイター達『『『『『『『『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉ――――――――!!』』』』』』』』

129Mii:2021/05/29(土) 16:23:17 ID:rMXtY5n2
――――これで、すべて、終わりました。

偽者の分身体たちを消し去った後、諸悪の根源を睨みつける私。

一方で「私」の分身体たちはというと………
少し思う所があって、集合を呼び掛けて、消滅してもらいます。
私に軽く触れられて、ぽすん、ぽすんと1人ずつ消えていく。

デイジー「あれ?もう用済みにしちゃうの?もったいないよ?」

ファイアロゼッタ(分身)「…………あとはよろしく頼みました!」シュゥ・・・

ファイアロゼッタ(分身)「それにしても、これだけ分身の数も増えましたか。
              成長の証ですね、凄いことです!では!」シュゥ・・・

ファイアロゼッタ(分身)「ここから逆転負けとか止めてくださいよっ!」シュゥ・・・

ファイアロゼッタ「…………」



――――本当に、変ですね。







――――――――経験値が、入っていない。

130Mii:2021/05/29(土) 16:24:53 ID:rMXtY5n2
もしかしたら、分身体を経由して…「偽者たちの」得てきた経験値を吸い取れるかも、
と駄目元でやってみたのですが。やっぱり駄目でしたか。

今日は、自らの手で倒したり、分身体にたった今倒させたりと
何十人かの偽者の私を倒しました。本来ならば、それなりに経験値が蓄積されるはず。

ところが、どういうことでしょう。
体の中に、戦いの記録が、戦いの記憶が…そういった経験値が…
偽者の私を倒しても倒しても…どうにも、注ぎ込まれた感覚や形跡がありません。
たぶん、序盤は錯覚していただけで…今日の戦いについては最初から、そう。
異形を倒し続けた分の経験値しか入っていません。

この「実分身《リアルアバター》」の術式仕様の都合上、有り得ないはずなのですが…。



一体全体、彼女たちの経験値、どこに消えて行ったのでしょう?行方不明状態です。
これまでの何十人分の経験値……全部をごそっと集めれば、
基礎体力レベルが1つか2つくらい上がるかもしれないのに。

案外、扱い切れていない、欠陥や綻びのある魔法なのかもしれません。
事態が落ち着いたら、ちゃんと修正を掛けないと。恥ずかしいことこの上ありませんし。

131Mii:2021/05/29(土) 16:27:31 ID:rMXtY5n2
さてと、タブー。私の身の上話は一旦、棚にでも置いといて。
さんざん、ありとあらゆることをやってくれましたね。
私、控えめに言って…カンカンです。即刻マリオたちに成敗してもらいましょう。

散りばめられた策も、奥の手も、これで完全に潰えたはず。
頼みの綱の防御も掻き消えて、もはやタブーは風前の灯です。
今の今まで調子に乗っていた彼も…さすがに、どうしようもないでしょう。

その事実を肯定するがごとく、タブーの呼吸は荒く、激しい物に。

その巨体は、触手のような何か――もう触手ってことにしましょう―――闇の色の触手を彷徨わせ、
身をブルブルと震わせられることでますます大きく映ります。

たいそう不機嫌にぐるぐるとぶん回された触手が、私たちのすぐそばまで届こうとしては
制御ミスをして霧散し、不気味な音と焦げ臭い臭いだけを空間に残します。

冷静沈着なファイター達に逆上のさまを冷えた目で眺められて、
ますます我慢ならなくなったのか、愚痴に激怒に八つ当たり。



―――――――有り得ない!このようなこと、起こり得ていいはずがない!
―――――――長年、練りに練った非の打ちどころのない計画を立てた!



浮いたまま地団駄を踏み…当然むなしく空を蹴る。
ここに来てみっともなく現実逃避を始めました。
これが演技だったら凄いかも。

132Mii:2021/05/29(土) 16:32:36 ID:rMXtY5n2
―――――――お前たちに仕返し、復讐し、絶望に浸らせる算段があった!
―――――――ただの一日たりとも、無念と怒りを忘れることはなく一筋だった!
―――――――このチンケな王国など、一瞬にして潰し、叩き壊すことを夢見ていた!
―――――――ありとあらゆる事態に対処し、裏の裏をかくシナリオは完璧だった!
―――――――このようなことが許されるはずが、ない!全て間違っている!

マリオ「一言言おう。  知 ら ん が な。
    そもそも、開始早々、ロゼッタの力に思いっきり浮気して頼り出したじゃないか。
    なーにが練りに練った計画だって?聞いて呆れるな。お前のそれはただの行き当たりばったりだ」



――――――――っ!!



射落とすような鋭い怨念をマリオにぶつけてみたはいいものの、
さすがマリオ、格が違うとはこのことです。タブーに全く怯む様子はありません。

むらびと「…………ロゼッタお姉ちゃん、タブーの浮気相手?」

ファイアロゼッタ「身の毛もよだつようなおぞましいこと言わないでください!」



――――お前、たち!
――――だいいち、大勢で寄ってたかって、卑怯ではないか!
――――やれ、正義だ? やれ、勧善懲悪だ?
――――1対1で正々堂々戦わずして、なにが英雄だ!
――――結局は、烏合の衆!集まらなければ何もできない腰抜けだ!

133Mii:2021/05/29(土) 16:34:39 ID:rMXtY5n2
唾…のような何か不気味な液体を卑しくまき散らしつつ、
開き直りというか責任転嫁というか、都合のよい話というか。
自分がしでかしてきたことは棚に上げ、こちらを責める風な態度に変貌。
喚き立て、がなり立て、捲し立てる。

…あ。病気や呪いにでもかかったら大変なので。
その汚らわしい唾吐きは隔壁でシャットアウトしておきますね…っと。
ああ、空間魔法が使えるって、やっぱり気持ちがいいですね!



デイジー「うわー、うっざ」イラッ

ピーチ「同感だけど…もうちょっとおしとやかな言葉選びなさいよ」ヒソヒソ

ルイージ「どう考えても、数の暴力を仕掛けて高笑いしてたの、そっちじゃん…」

デイジー姫のような直情表現は私には合いませんが。
デイジー姫の苛つきもごもっとも。今更何を言っているのやら。
赤子の…いえ、赤子未満の幼稚な議論の仕方です。



そんなことを、のほほんと、考えてしまっていたら。



マリオが、そして、リンクが。
真顔で、ヌッと踏み出しました。

134Mii:2021/05/29(土) 16:37:41 ID:rMXtY5n2
リンク「おい」

マリオ「なあ」





2人「「誰が     卑 怯     だって?」」





ピーチ「一体、どうしたのよ2人とも。
   突っ込むとこ、そんなとこじゃないでしょ…………

   ……あの?あれ?2人とも?本当に、どうしたの?」

味方陣営にまで、金縛りにあったかのような緊張が走ります。
な、なんですか、この重苦しさは…。



マリオ「聞いたか、リンク。よりにもよって俺たちを卑怯呼ばわりだと」

リンク「聞きましたよマリオさん。よりにもよって俺たちが卑怯呼ばわりかあ」

――――――――――――――――…………。

135Mii:2021/05/29(土) 16:45:20 ID:rMXtY5n2
マリオ「もともと義務でもないのに冒険に身を乗り出して、
   味方の誰かを盾にして進むでもなく潤沢な軍資金があるわけでもなく、
   死に物狂いどころか死に続けて強敵たちから人々を助け出し、
   大した給料も地位も貰わずに、自由気ままに生きられれば良しとし、
   実力や権力を振り翳して世を牛耳るような馬鹿もしない。

   悪さをするまでは『疑わしきは罰せず』で見逃してやり、
   悪人悪役が人質をとって脅しに来れば素直に従い、
   それでいて多少の反省でも見せてくれるなら悪役にトドメは刺さず、
   なんなら親睦を深めようとエンターテインメントに誘い込み、なるたけできるだけ和平の道を探る。
   色んな仕事に駆り出されつつ、日々精進しつつ、あれこれ考えてるんだけど。
   そんな生き方が、卑怯だと。ほーん?」

リンク「理解者もロクにいない一人ぼっちの状態で伝説の勇者として投げ出されて、
   お姫様に促されるまま半強制的に冒険に繰り出す羽目になって、
   自分だけ執拗に追い回す殺戮ニワトリに怯える毎日を送り、
   もっと最初からゴロン族と仲良くしとけよといつの時代でもため息ばかりつき、
   重要な装備は、まともに渡す気ないだろうという辺境まで取りに行かされる。

   明かりの位置が左右対称になるようにたいまつで火を灯せとか、規則性を見破って見えない床を進めとか、
    『理屈じゃない、感じるんだ』的なアクションを言いなりのままやらされて、
   あえておぼろげに目標を定めようとしたら 『ここに注目しようZ!』って謎の悪魔の囁きが飛んできて、
   それを無視して自由度の高い動きをマスターするまでに時間を食わされて。

   別に国ひとつ救うのは吝かじゃないけど、救ったそばから次の冒険に駆り出され、
   平和な世界を享受できず、それでも割り切って縁の下の力持ちとして暗躍し、
   アフターケアとしてパトロール活動に勤しみ、各伝説の守護神のごとく振る舞う。
   そんな生き方が、卑怯だと。へえぇ?」

ピーチ「変なスイッチ入っちゃってる!?」

136Mii:2021/05/29(土) 16:53:27 ID:rMXtY5n2
マリオ「俺たちはなあ!理不尽なこと、納得いかないことも飲みこんで
   一方で自分たちは姑息な手で迫ろうとはせずに敵を倒し続けてるんだぞ!
   俺たちの境遇も知らずに卑怯とはよく言えたもんだな!」   

リンク「そうだそうだ!寝言は寝ていえコンチクショーめ!
   ふざけんなよタブー!その物言い、キレたわ!マジギレだわ!
   今でこそ楽しみながらっていう余裕ができてきたとはいえ、
   昔も今も貧乏くじを引き続けているのは変わらないの、分かってるか!ええ?何とか言ってみろや!」

――――――――――――――――…!?

ファイアロゼッタ「」

ピーチ「なんだか私にも流れ弾で言葉の刃が突き刺さるっ!?」

リンク「おいクッパ!お前も3強の立場として何かガツンと言ってやれ!」

クッパ「…え、あの。いやー。ワガハイがその場に立つのは…なんだ。
   昔のことを思い出すと、ちょーっと肩身が狭いというか、もれなくブーメランが刺さるというか…」

マリオ「今が変われてるなら別にいいじゃん」

クッパ「む、むう。そうか?ならば……おいタブー!
   先ほどの妄言、聞き捨てならん!観念するがよい、この虚け者め!」

マリオ「よし、とっとと潰すぞ2人とも!」ダダダダッ!

リンク「おうよ!」ダダダダッ!

クッパ「同感だ!これ以上死に逃れさせてもろくなことにならんからな!」ドドドドッ!!

137Mii:2021/05/29(土) 16:56:42 ID:rMXtY5n2
……3強の皆さんが、一斉に、駆けたっ!



デイジー「いっけー!最終決戦の始まりだああぁ――――!!」





――――――――何を、小癪なァ――――!!



リンク「ここでぇ!本日2度目の……『お前、バカだろう?』」ダダダダッ!



マリオ「認めてやる。確かに、お前さんの不意打ちスタート、搦め手や嵌め手…
    色々な作戦が決まりまくって、中々に手強かった。
    それこそ、危うく負けかけるくらいにはっ!」ダダダダッ!



クッパ「だが、肝心な基礎の基礎の事実について、おつむが弱かったようだな!」ドドドドッ!!



彼らは、超速で移動しながらも、言葉をつらつらと並べ立てて行き…!

138Mii:2021/05/29(土) 16:59:47 ID:rMXtY5n2
マリオ「俺たちはっ!断じてっ!!」

グワッシャアアアアアアアアア!!

―――――――――――――――――――「」  \204.8%/


リンク「お前の戦闘力自体を、脅威に思ったことなんてないぞぉ――――!!」

シャキイイイイイイイイイイン!!

―――――――――――――――――――「」  \398.1%/


クッパ「そのまま燃え尽きて地獄へ落ちろぉ―――――――!!」

ゴオオオオオオオオオオオオオォォォ!!!

―――――――――――――――――――「」  \TOTAL 999.9%/



防御壁も何もなくなったのが運のツキ。
タブー、下へ下へ参りまーす。

3人「「「いえーい」」」ハイタッチ

ファイアロゼッタ「…ええええええええええええ――――!?」ズルッ

デイジー「奈落の底へぶっ飛ばして5秒で最終決戦終わったあ――――!?」

139Mii:2021/05/29(土) 17:05:05 ID:rMXtY5n2
むらびと「わーいわーい、勝った勝ったあ!!
    あとは街中を制圧すれば万事解決だね!」ピョン

ファルコ「そ、そうだな。遅めの昼飯でも食ってていいかもしれないぜ!」

フォックス「そうと決まれば、皆でソーメンでも食べるか!
     ファルコの分だけ大盛りにするように頼んでおくぞ!」

ファルコ「無理にネタを拾おうとするんじゃねぇよフォックス!?」

ルイージ「…終わったんだね、よかったあ。さっすが兄さんたちだね!」

マリオ「ここで油断するから駄目なんだぞ、ルイージ。
   まだ犠牲者0ってのは未確定なんだからな!全部片付いてから一休み、だ!」

ルイージ「もちろんだよ、頑張ろうね!」

ピーチ「やっと、騒動が終わるのね…ふう、しんどかった…」

ルフレ「…………はは、今更ながら、体が震えてきたよ。
    何かを成し遂げたって気持ち、久方ぶりだな。ルキナはどう?」

ルキナ「…ルフレ、さん。
    こんな達成感、初めてかも、しれません。ただただ、嬉しいっ……!
    私も、いつか、こんなことを主体的に成し遂げられる立派な剣士になりたい…!」

140Mii:2021/05/29(土) 17:06:53 ID:rMXtY5n2
やった。やりました!
誰もが胸をなで下ろし、黒幕の完全消滅を喜び叫ぶ。



ピット「やりましたよパルテナ様!」

パルテナ「おめでとう!そしてありがとう。つらい思いをさせてしまいましたね」

ピット「これで平和がもどりましたね。ああ、太陽の光があったかいなぁ」

パルテナ「まぁ、ピットったら」

ピット「これにて!スマブラ編、無事にしゅーりょー!めでたしめでたし!」バッ

パルテナ「覚えている方は絶滅危惧種でしょうが…
     2年以上前、2つ前のスレから切り処を失ったまま長々と続いていた…
     第3章、完!ですね!」

2人「「あははははは」」

ブラックピット「速攻でフラグ立てるなぁ――――っ!!」





物語を紡ぎ終え、スタッフロールの余韻に浸っているような面持ちで、
ピットさんとパルテナさんが曇りない表情で朗らかに笑い出して…。

141Mii:2021/05/29(土) 17:09:41 ID:rMXtY5n2

ファイアロゼッタ「…?気のせいでしょうか」

妙な胸騒ぎが…………。



ふと、夕日が沈まんとするフィールドで、
おそるおそる頭上を見上げて――――





マリオ「…なんだと!?」

リンク「…なにぃ!?」

クッパ「そんな、馬鹿な…っ!」





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・!

――――――――奥の手の、その先の奥の手、ここに成れり――――

142Mii:2021/05/29(土) 17:11:18 ID:rMXtY5n2
確かに、倒したはずのタブー。

瞬殺され、なすすべなく奈落の底に落とされて行ったはずの、タブー。





その、タブーが。





――――――――グオオオオオオオオ・・・・・・!!

――――――――もう、手加減、無用。
――――――――全てのファイター達よ。全ての愚物どもよ。
――――――――私を怒らせたことを、思う存分、後悔するがよい――――!







上空が、一瞬キラッと光ったかと思うと。

殺意むき出しにして、フィールドに舞い降りてきたのです――――!

143以下、名無しが深夜にお送りします:2021/05/31(月) 23:27:09 ID:kp475iEo
ピーチ「……………………」

ピーチ「……………………ありえない」アゼン

ピーチ「そんな、そんなこと、あるわけ…!」プルプル

ピーチ「…はっ!まさか、ディメーンの時みたいに――――
   複製体のストックがどうのこうのって話なのかしら!?

   ロゼッタッ!急ぎ、このあたりの空間をよーく調査してもらえる!?
   どんな小さな痕跡も、絶対に見逃さないで!」

ファイアロゼッタ「は、はいっ!さっそく!」パアアアアアアア!!



全て片付いたと安心しておいての、この仕打ち。
汗がまたぶり返して、それでも自信を落ち着かせつつ魔法を行使。
魔法陣を大量に出現させ、ありったけのFPを注ぎ込んで調査、調査!
出し惜しみなどできようはずがありません!







…なにも、見当たらない。

――――――――そんな、馬鹿な。

144Mii:2021/05/31(月) 23:31:26 ID:kp475iEo
マリオ「考え込むのは後回しだ、後手を引くと何をされるかわからん!
   とりあえず、もう一回倒すぜ!行くぞ!」

リンク「おう!任せとけ!」



素早く頭を切り替えて、マリオとリンクが再び――――タブーに向かって飛び掛かります。
その速さ、とんでもない。



――――――――――――――――ぐがっ…!



幸い、再出現したからといって強さが変わっているわけではない模様。
2人の敵では、さらさらありません。

触手とプラズマ攻撃をいともあっさり掻い潜り…
マリオが盛大に蹴とばして、吹っ飛んだ先に待ち構えていたリンクによって…!



リンク「でやあああああああああ!!」ブンッ!



スパァッと。豆腐でも切っているかのようにあっさりと斬って捨てられる。

145Mii:2021/05/31(月) 23:35:47 ID:kp475iEo
リンク「まだまだっ!ここから、連撃だぜっ!!――――ファイ!俺に力を貸してくれ!」

ファイ「仰せのままに――――!!」

ふわりと浮き上がり――吸い込まれるように、剣に宿る女性。
リンクの構える聖剣が、一層際立った輝きを煌々と放ちます!

まるで空中舞踊。地に降り立つまでに、
何振りも、何十振りも繰り出された聖剣の軌跡が、タブーを襲う。
切り裂かれて、切り裂かれて、たちまち細切れになる怒涛の攻め。
私などでは、その光のような速さを目で追うことすらできません。



――――――――――――――――「」



リンク「これで、終いだああぁっ!」

斬れるだけ思う存分斬りまくって。どこからともなく取り出された――――
リンクの繰り出す巨大なハンマーによって、それらの細切れは…
全部まとめて、フィールドにぐしゃりと叩きつけられます。
もう、これで生きていると思う方が無理でしょう。

ハンマーの隙間から零れ出す不気味な色の液体が、ジュウ…と不気味な音を立てて煙と化し、
ある程度の所まで立ち上って…ほどなく、消えて行きました。

リンク「ったく、絡繰りはさっぱりだが…やれやれ、しつこかったな…」

146Mii:2021/05/31(月) 23:39:21 ID:kp475iEo
クッパ「……!? おいリンク!まただぞ!」

リンク「ぎえっ!?」



――――――――お、のれ……………!
――――――――むだ、だ、と、言ったはずだ…!!



マリオ「また!?またなのか!?どうなってる!?」

ピーチ「ちょっとロゼッタ!今の瞬間、勿論調べてたわよね!?
    発動の瞬間くらい、さすがにネタに気付いたでしょ!
    空間にどんな作用を働きかけてるの!はやく教えてちょうだい!
    このままだと何をしでかされるか――――」

またまた、頭上に現れたタブーを呆然と見上げながら――――私は――――



ファイアロゼッタ「………………………………………………


          
          …………………………わか、りません」

マリオ「嘘だろ!?」

147Mii:2021/05/31(月) 23:43:18 ID:kp475iEo
ファイアロゼッタ「ほんとのほんとに、正体が掴めません。
         タブーが使ったと思わしき空間魔法の形跡なんてどこにもないですし、
         なによりスカイガーデンは今も問題なく城下に展開・発動中です。
         破られた様子なんて一切ないんです。

         ――すなわち。空間魔法なんて、そもそも、使われていない」

ピーチ「空間魔法が、使われて、いない…………?
    なんなのよ、もう。なんなのよ…いい加減にしてよ…」

解決したと思っていたところに、足止め食らって。
ピーチ姫が、これまでの疲労が祟ったのか、蹲ってしまいます。
顔色、最悪。頭の中、ぐちゃぐちゃになってしまっているのかもしれません。



デイジー「…………?」

デイジー「…………うーん」

デイジー「――――――――でもアイツ、なんだか苦しそうでもあるよ?
    この表情、どこかで見覚えがあるような――――――――それも、つい最近…」

ピーチ「…苦しそう?」



ファイアロゼッタ「…苦しそう?」

148Mii:2021/05/31(月) 23:47:54 ID:kp475iEo
見覚えのある、苦しそうな表情。
そうデイジー姫が言うのを聞いて。

ファイアロゼッタ「…あ」

ヒルダ「…………あああっ!!」

ひときわ大きな声を出し、合点がいったらしいヒルダ姫と、思わず顔を見合わせます。
ここまでのヒントが有ったら、さすがにすぐに気付きました。
きっと、ゼルダ姫も、たやすく気付けるのだと、思います。



これは、まるで――――――――



ヒルダ姫と頷き合って、それからそれから…!
急ぎ、タブーに悟られないようにピーチ姫に近づき、耳打ち!

ピーチ「…ど、どうしたのロゼッタぁ…」

ファイアロゼッタ「精神が摩耗しているところ、申し訳ありません…!あ、あの、ピーチ姫…!
          あのタブーの再出現の様子…不死身になったとか、新しい個体がお出まししたとかではなく…



          単純に『残機復活した』感じに近くないでしょうか!?」ヒソヒソ

ピーチ「……!?」ハッ!?

149Mii:2021/05/31(月) 23:54:29 ID:kp475iEo
ヒルダ「あの苦悶の表情、倒されたときの経験を引き継いでいるとしか思えません!
   決まって同じ場所から再出現するというのも、まさしく…!」ヒソヒソ

ファイアロゼッタ「もしかしたら、長年フィールドに潜伏されているうちに…
         データベースにハッキングして、まんまと寄生して……
         勝手に残機制度を利用されてしまっているのかも…!」

もちろん、これだって仮説にすぎません。
根拠も何もありません。

でも、タブーならやりかねない、そのくらいのことは考えるだろう、とも思えます。
過去に、マリオ達の実力を少しは味わったはずなのですから。
ファイターたちの戦いを、盗み見てきたはずなのですから。



そう言うや否や、ピーチ姫はたちまち思考モード。



ピーチ「ハッキング…………!?そうか、それなら…
   アイツが、出現時から今の今まで部下や異形に指示を出すのみで、
   フィールドから一切離れようとしなかったことにも説明がつく…!

   こちらが残機システムを作動させた段階で、塩を送ってしまっていたのね…!
   アイツは自分の強さを自覚して最後の保険を掛けていたってこと…!

   気付かないままだったら、延々と時間稼ぎおよび無駄な疲弊をさせられていたわ!
   ありがとう、ロゼッタ!ヒルダ!」

150Mii:2021/06/01(火) 00:01:27 ID:ykdUu4jg
ここの、タブーとの直接対決に関して言うならば劣勢から優勢に転じたとは思えますが。
会場の外の、城下に関しては、実はまだまだ油断ならない局面が続きます。

空間魔法を禁ずる、スカイガーデン。
ただし、既に相手方に仕掛けられた「拡散術式」は例外で、
タブーが倒れない限り効力を失ってくれません。

そして、タブーの繰り出すOFF波動は空間魔法ではなく…
今でも、城下の皆さんを苦しめ続けている。
これらのことを総合的に考えると、スリップダメージは一向に止まない以上…
時間を掛けてしまう訳にはいかないのです。

ファイアロゼッタ「それで、対策はあるのですか?」

ピーチ「ハッキングされたのなら、その内容を捉えて処断するのがベストだけど。
   今はそこまでする余裕は全然ない。データベースのコード書換だなんて、
   私でも何時間かかることやら。だから、確実な方法をとる。
   
   ――――制御室から…残機システムを。
   せっかくONにしておいてなんだけど、大元から再び…OFFにしてしまうわ!」

ああ、それができるのならば、それが一番分かりやすい!
残機がなくなれば復活しない。単純明快な方法です!

フラフラとしながらも、ピーチ姫がフィールド外へ。
リンクによって、もう面倒だとばかりにただの肘鉄で頭蓋を砕かれ、
3回目に倒されたタブーが、目を逸らした隙を衝きました。

控えていたキノピオに、ささっと耳打ち。ハッとした表情のキノピオ。
そのままキノピオを引き連れ、一目散に制御室に向かっていきます。

151Mii:2021/06/01(火) 00:05:02 ID:ykdUu4jg
ファイアロゼッタ「よし、あとは…!」



相変わらずまたもや復活してきますが、最後のカウントダウンが始まろうとしています。

ピーチ姫がシステムを操作するのを待って…
残機が切れたことも気付かないタブーを倒す局面を作りだせば終わりですね!
奥の手の、そのまた奥の手とやらも、これにて封じてしまいましょう!



4回目。今度はクッパが重戦車のごとくタックルを仕掛けて、
細胞もろとも砕く感じで水平方向へブロー。



5回目。マリオがジャンプパンチで高く高く打ち上げて、そのまま行き先、空の果て。



すがすがしいほどテンポよく、休ませることも一切せず、
3強の面子がいとも簡単に、復活した傍からタブーを蹂躙していきます。

タブーが口から何かを吐いていますが…うん。
酸を吐き出す特殊攻撃、というよりは単純に嘔吐しているだけでしょう。
飛び散った地面を黒く変色させ、触るとどうにかなりそうなので、
警戒するに越したことはありませんが。ブクブクと変な発泡音と臭いまで発しています。
…気色悪くて嫌ですね。近くを通ることすら拒否したいくらい。

152Mii:2021/06/01(火) 00:10:11 ID:ykdUu4jg
タブーも、威勢よく反撃宣言をしておきながらただ死に続けてなるものかと、
数多くの触手をコントロールして、ファイター達に向けて走らせて来ます。
数だけは確かに多い…それでも。



マルス「フンッ!…そんな貧弱なもの、1本たりとも通さないよ。
    この程度の処理なら、僕たちに任せてくれ、リンクたち!」ザンッ!

デデデ「ほっ!よっ!なんの!
   全部モグラたたきみたいに潰してやるぞい!」ドゴォッ! ドゴォッ!

ワリオ「みんな纏めて轢いちまうぜぇ!ガハハハハ!」ブロロロロロ



皆さん、華麗に掻い潜って、反撃、猛撃、総攻撃。
今となっては、タブーを中央においてほぼ360度、
ぐるりと強者たちが取り囲むくらいの層の厚さになっています。

…行ける!攻撃面も防御面も盤石です!

153Mii:2021/06/01(火) 00:14:41 ID:ykdUu4jg
〜制御室〜

ピーチ「…………くっ、はぁ、はぁ。
   着いたっと、早速私の手で残機システムをOFFに――――――――」カタカタッ

キノピオ「…はやく、早くやってしまいましょう、姫様!勝利は目の前です!」

ピーチ「……分かってるわよ。これがこうなって、こう操作して…ええと?
    …………うぅ、こんな単純な立ち下げ処理にも結構まごつくなんて、
    やっぱり私、相当に精神参ってるわね…あ、こっちか。よし――」カタカタカタカタッ

若干眩暈もするけれど、こんなとこで、誤作動なんてさせてられないわ。
皆の期待、一身に背負っているのだから。



キノピオ「だ、大丈夫でしょうか?」

ピーチ「…うん、OK。抜かりはない、なんとかなったわ、私が幻覚を見ているのでもなければ」

スクリーン画面中央にでかでかと。
危機感を感じさせる真っ赤なアラートと共に、パッと現れる選択肢。





「残機システムを強制的に無効化してもよろしいですか?  OK / CANCEL 」

154Mii:2021/06/01(火) 00:17:38 ID:ykdUu4jg
あとは、クリックひとつで…5秒程度のタイムラグをもって、
全フィールドの残機制度が働かなくなる。

システムON/OFF切り替えは誤作動でも起きたら一大事だから、
通常時は一度ONになったら、OFFにしようと働きかけても…
警告を出しながら徐々にOFFになるように。

一度OFFになったら、ONにしようとあれこれいじくっても…
警告を出しながら徐々にONになるように。

非常電源交えた何重もの並列サーキットで保全しているスグレモノ。
緊急動作で即時切替ができるのはこの王国中で私だけの特権よ。



ピーチ「…でもその前に、一個だけ準備がいるわ」ピタッ・・・



一瞬、先走って指を最後の1cm走らせようとしたけれど。
このままだと、「万が一」ということもありえる。
危険な芽は、今のうちに摘み取っておかなくちゃ。

キノピオ「準備…?それは一体?」

ピーチ「焦っちゃダメよ私。深呼吸、深呼吸…ふう。
    大会参加者の名簿をしっかり全部指差し確認して…っと」

前々から備え付けてあった、全員の顔写真と名前表記、紹介文を今一度確認して。
怖いので、3巡ぐらい見返して。…よし、万全!

155Mii:2021/06/01(火) 00:20:51 ID:ykdUu4jg
ピーチ「……………………全体放送、ONにして…!!





   『ゲッコウガ!ルフレ!ルキナ!パルテナ!シュルク!
   今呼ばれた者たちは、直ちにフィールドから離脱しなさい!

   繰り返す!
   ゲッコウガ!ルフレ!ルキナ!パルテナ!シュルク!
   今呼ばれた者たちは、直ちにフィールドから離脱しなさい!』」

キノピオ「…!?」



もはや脅威はタブーだけ…その想いから、
ファイターの多くがフィールドに集まってきている。
それを、裏目にするわけには…いかない!



ええ。私はまだまだ…冴えている!

156Mii:2021/06/01(火) 00:25:17 ID:ykdUu4jg
〜フィールド〜

シュルク「…うわ、名指しされました?どういうことだろう…?
    と、とにかく言われた通り動こうっと!」バッ

ゲッコウガ「…………」散ッ!

ルフレ「え、突拍子もない指示が…一体これは?」

ルキナ「何か、私たちでは考えも及ばない策があるのでしょう、
    これまで十分に、ピーチ姫の才覚は目の当たりにしてきました。
    従っておきましょうルフレさん!」ダダッ

ルフレ「そ、そうだね!」ダダッ

パルテナ「…………ははーん、そういうことですか」

ピット「パルテナ様?お心あたりが?」

パルテナ「お恥ずかしい話ですが。
    このSS的に、基礎体力レベルがとりわけ低いグループが警告を受けた、
    といったところですね。…とどのつまりですね、今から何か、
    私たちがフィールドに残っているとリスクがある作戦を採るのでしょう」ヒソヒソ

ピット「Forの新たなる挑戦者枠で、登場作品も経過年月も決して多くない…
   なるほど、そういうことか。でも、パルテナ様は経過年月なら決して…」ヒソヒソ

パルテナ「作品数がねえ」

ピット「まあ作品数が、ですねえ」ガクッ

157Mii:2021/06/01(火) 00:29:02 ID:ykdUu4jg
〜制御室〜

ピーチ「…よし!不意打ちで万が一にも死にかねないファイターは…
   会場から遠ざけられたわね!あとは…!これで、おしまい!!」

キノピオ「そういうことだったんですね!さすがは姫様!
    残機システムを切る影響は味方にも及んでしまいますからね!
    御見それいたしました!」

限界ぎりぎり、もうタブーにネタバレしていいところで、ファイター皆に、種明かし!
今さら慌てても、もう遅いわよ、タブー!







〜タブー、そしてファイター達が集うフィールド〜

ピーチ『皆、よく聞いてっ!この放送を終えて、5秒後…
   残機復活が停止するわ!みんなも…そして、にっくきタブーもっ!
   安全には十二分にマージンをとりつつ、畳みかけてちょうだい!

   残機復活システム停止、5秒前っ!!』



どよめくファイター達。
…語り掛けながらも、ピーチ姫の策が成ったようです!!

158Mii:2021/06/01(火) 00:32:58 ID:ykdUu4jg



…………そして。









――――――――――――オオオオオオオオアアアアアアア!?









唖然とし、理解不能な雄叫びを上げるタブー。
一瞬冗談かと思ったのかもしれないですが、謎の力か何かを使って、
残機システムとのアクセス異変でも感じ取ったのでしょうか。

とにもかくにも、最後の拠り所を…失った!
残すところは、あと、たったの5秒です!

159Mii:2021/06/01(火) 00:36:10 ID:ykdUu4jg

――――――4秒前!

理解が追いつかず、動き出せないタブーが、1秒無駄にしてくれました。
儲けものといったところでしょう。



――――――3秒前!

今日の、短くて本当に長かった…戦いの中で。
これまでで、最も厳つく憤怒冷めぬ顔立ちとなったところで、次の1秒が過ぎました。



――――――2秒前!

不敵に笑ったデイジー姫。挑発っぽくVサインを見せ付けて、
タブーに対して勝利宣言。





――――――1秒前!

万事休すで、どうしても策が浮かばなかったのか。
今さら、しおらしくすれば許してもらえるとか、甘い考えを抱いたのか。
理由はよくわかりませんし分かりたくもありませんが…
数多の触手を縮め込ませて、タブーがじりっと後ずさり――――

160Mii:2021/06/01(火) 00:38:42 ID:ykdUu4jg









―――― 零 !









キイイイィィィィィィ――――――――――――ン…!



ピーチ『いっけえええええええぇぇ!!』



フィールドに 働いていた 残機システムが 停止した!
ファイターたちは 残機システムの 保護から 放り出された!
タブーは 残機制度の 保護から 放り出された!▼

161Mii:2021/06/01(火) 00:41:31 ID:ykdUu4jg
――――ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!

――――私の、永遠の、命を……………………

――――カエセエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェ!!





カウントダウンが、終わった、とたん。

おぞましい闇の雰囲気が、大波津波となって伝播してくる感覚。
タブーが、全てを投げ打ち、己の肢体の崩壊も厭わず…!断裂の音を響かせながら…!
ありったけの触手を、もはやコントロールすら無視して、一斉に解き放ちました!

ちりぢりばらばらの触手は、留められていた根元の拘束を失い。

あるものは豪速で矢のように鋭く!
あるものは空気抵抗に耐え切れず、塊状、球体状に分裂しながら、それでも前へ!
執念深さにもほどがあります。…………でもっ!

――――マリオが弾き。

――――リンクが斬り落とし。

――――クッパが焼き尽くし。

そうやすやすとは、この包囲網は突破できませんよ!
その触手全て、無力化してしまえばタブーに最早打つ手なし、こちらの勝ちは確定です!

162Mii:2021/06/01(火) 00:46:45 ID:ykdUu4jg
…あ。そう言ったそばから、たった一筋、一条だけ。

あまりにも細く、速すぎて、マリオ達でも咄嗟に捉えきれなかった触手が。



でもでも、そもそも威力がないんですから。

並のファイターなら、せいぜい運が悪くて骨折程度。私ですら、即死するほどではない。

ちょっと出血するくらいで、特段なんてことは――――――――







そう思い、飛来先をなんとなく目で追ったところで――――








からん、と杖を滑り落とす音が聴こえました。

163Mii:2021/06/01(火) 00:54:29 ID:ykdUu4jg
――――きっと、魔人さんに、盾となってもらうべく、
――――杖を振るおうとしていたのだと、思います。



ピーチ『ああああっ!?私の馬鹿!名簿が古いじゃないっ!!!?』



――――とっさのことに、気が動転して、手汗なんかも災いして、
――――杖を握り損ねたのだと、思います。



――――そして、そのまま、拾おうとして、最悪な状況に気付いて、
――――固まって、しまったのだと、思います。






ヒルダ「…………あ、え?」



唯一、食らってはいけない人が……逃げそびれて、いたのです。
狙ってもいないあてずっぽうの攻撃が、よりにもよって――――!

164Mii:2021/06/01(火) 01:05:03 ID:ykdUu4jg



ファイアロゼッタ「間に、合えぇ―――――――――っ!!!」



――――無理な体勢、気にしてられない。捨て身で、横っ飛びっ!!
――――間一髪、我が身を挺して…我が腕を差し出して、触手の方向を逸らしますっ!!



バチイイイイイィィィィッ!!



激しい衝撃、吹き飛ぶ体。…削り落とされる、感覚。
それでも、間に合った。間に合った!

あとは、自分の問題。ゴロゴロと転がりながら、なんとかスピードを殺します!



ファイアロゼッタ「――――――――うっ」

ロゼッタ「――――――――」ティウン ティウン ティウン


大きなダメージを受け、とうとうファイア状態、解除。戻ってきた青いドレス。
それでも、ぐっとこらえて膝を立てて、ゆっくりと起き上がり――――

165Mii:2021/06/01(火) 01:10:01 ID:ykdUu4jg
眺めたところの代償は――――



「青くなった瞬間からまた赤くなった」血濡れの右手に、右手の小指、1本。



ヒルダ「――――ロゼッタ!?あ、ありがとうございます!
    わ、私、唖然として動転して、何もできなくて――――」

デイジー「グゥレイトォー!イケてる!神懸かった判断だよロゼッタ!
     そんなケガ、すぐ治せる、すぐ治せるっ!よぉし、あとはタブーを倒すだけ!」

ロゼッタ「――――――――」







みぎてを まじまじと みました。
こゆびが かけていて おまけに まっかに そまっています。





マリオ「やるじゃないかロゼッタ!あとはゆっくりやす……め?」

166Mii:2021/06/01(火) 01:12:15 ID:ykdUu4jg










わたしを、きづかって。
ちかよってきたマリオに…………………………わたしは。
















おもいっきり、だきつきました。

167Mii:2021/06/01(火) 01:14:02 ID:ykdUu4jg
マリオ「」モガッ

クッパ「」

リンク「」

ルイージ「」

デイジー「」

ヒルダ「」

マルス「……えーっと?」

ルフレ「」

ルキナ「」

ピット「」

パルテナ「いやぁん、ロゼッタったら大胆ですねー!」

マリオ「―――――――」ジタバタジタバタ

ロゼッタ「――――――――」ギュッ



――――会場が、静まり返る。

168Mii:2021/06/01(火) 01:18:13 ID:ykdUu4jg
ピーチ『ぐぉらああああああああああ!

    ロゼッタぁ!?気でも触れたかしらぁ!?
    ふざけてると、痛い目にあわすわよ!?いや、アワス!ギッタンギッタンよ!
    とっとと離れなさい!離レロ!オイ、聞けコラァ! 』

パルテナ「こんな公然の場で、修羅場!修羅場ですねこれ!!キャー!わくわく!」

ピット「パルテナ様すっごく不謹慎!」



マリオ「…ま…まて…!」ブルブル

ピーチ『マリオも、とっとと離れなさいよ!
    こんな切羽詰まった状況で胸の感触を堪能してますってこと!?
    
    ふざけんじゃないわよ!普通に引きはがせるでしょーが!
    ロゼッタと同罪よ同罪っ!!いい加減に――――』

マリオ「そうじゃないっ!いいからちょっと待て!






      ――――――――ロゼッタの、様子がおかしい!」

ピーチ『………………………………え?』

169Mii:2021/06/01(火) 01:21:37 ID:ykdUu4jg
からだが、いうことを、きかない。
ぶるぶる、がたがた、ふるえにふるえて、とまらない。
さっきまで、へいきなように、みえたのに。

ど、うして?
からだが、いたい。
てきが、こわい。
しぬのが、こわい。

マリオに、すがり、つきながら。
そのまま、ずるりと、へたりこむ。



ロゼッタ「しにたくないしにたくないしにたくないしにたくないぃ………!!
    たす、けて、マリオ…!おねがい、でず、がらぁ!!」ガタガタガタガタガタガタ



ただただ、マリオに、すがりついて、なくばかり。

まわりの、ひとたちが。
わたしの なさけない すがたに あぜんと しています。

デイジー「ロ、ロゼッタ!?い、今さら、どうしちゃったの!?
     まるで別人だよ!?何が起こったの!?」

ヒルダ「そ、そんな!あんなにロゼッタったら、心が強かったじゃないですかっ!!
    これじゃ、最初の頃の私…いいえ、それ以上に怯えてしまって――!?」

170Mii:2021/06/01(火) 01:28:41 ID:ykdUu4jg
マリオ「そ、そうだぞロゼッタ!まさか、残機が無くなったことで怖くなったのか?
   大丈夫だ、これ以上の深手は絶対に負わせやしない…………

   ――――――――残機が、無くなった?」

デイジー「何か気付いたのマリオ!?」

マリオ「…………おいデイジー!ロゼッタは、デイジーに鍛えられてる間、どんな精神状態だった!?
   あと、何回くらいロゼッタの残機を奪った!?」

デイジー「…えっと、すっごく精神は安定してたよ!?こんな姿が想像もできないくらい!
    残機を奪った回数は…3000は超えてたと思う、けど」

マリオ「――――3000だって!?多すぎるだろ!?
   基礎体力レベルが50行かない奴が、数か月で消費していい回数じゃないぞ!?
   そんでもって、ロゼッタの主観だとそれほど非常識な状況じゃなかったんだな!?
   ってことは……………………まさか、ロゼッタ、お前…………!

   残機が無い現実空間での命懸けの特訓や修行、碌にやってこなかったんじゃ…?
   残機制度は確かにすごく便利だが、それに依存し過ぎていたとしたら、
   さっきので一気に反動が…!?ってことは―――――――――まずいっ!?」





ロゼッタ「――――――――たす、け、てぇ……!!」ポロポロポロポロ

致死寛容レベル:Lv.51 残機がある限り 致死・致命傷の精神負担に対し + 50%鈍感化!
恐慌耐性レベル:Lv. 3 残機がない状態での 精神負担は 2%しか 軽減できません!

171Mii:2021/06/01(火) 01:31:36 ID:ykdUu4jg
マリオ「おいロゼッタ!思い起こせ!
   そもそも、マリオカートWiiのときだって割と死に掛けつづけただろ!
   今感じている恐怖は唯の錯覚だ!思い込みだ!

   残機による死に慣れからの落差が大きすぎて、
   そんなでもないのに、とんでもない窮地と誤解してるだけだ!
   目を醒ますんだロゼッタ!おいっ!」ユサユサ



わたしの まわりで おおさわぎ。
なんだか よく わからないけれど みんながみんな スキだらけ。
わたしじしんも あたまが どうにかなりそうで なにもかんがえられない。



あ。
タブーが しゃにむに タックルを しかけてきました。
これまでで いちばんつよそうな 「はどう」を なんじゅうにも ともなって。
せなかを むけていたせいで きづくのが おくれすぎました。

タブーは いっしゅん ヒルダひめに ねらいをさだめたように みせかけて
サッとねらいなおして わたしのもとへ。

なんと マリオまでもが フェイントに ひっかかって。
ヒルダひめを まもろうと とっさに うごきだしてしまい。

さいごのさいごで フリーになった わたしに タブーがせまる。
フラリとちゅうとはんぱに ふりかえったわたしの おなかめがけて
ニヤリとわらう タブーの てのひらが あてられて。

172Mii:2021/06/01(火) 01:34:08 ID:ykdUu4jg









――――ゼロきょり、さいだいパワーの、OFFはどう。









ロゼッタ「――――――――」

ロゼッタ「――――――――」



い  いや   た     す        け―――――――――――――



ロゼッタは 一瞬で 石になっ―――――――――――――――――▼

173Mii:2021/06/01(火) 01:35:41 ID:ykdUu4jg
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ロゼッタ「――――――――――――――――」

ロゼッタ「――――――――――――――――」

ロゼッタ「――――――――はっ!?」



ロゼッタ「はぁっ!はぁっ!…し、死ぬかと、おもい、ましたぁ!
    と、とんでもない目に遭いました!こ、怖かった…!」

174Mii:2021/06/01(火) 01:37:40 ID:ykdUu4jg
思わず、前にどてっと倒れ込む。

なんとか手を付いて、顔面を打つのは免れます。

冷や汗、ダラダラ。一生分かいたかもしれません。
ありとあらゆるこの世の恐怖を凝縮して、一身に注ぎ込まれたような感じ…!
幸い、こうして動けているということは、克服したようですが…!



ロゼッタ「さて、と」










なんだか見覚えのない色をした地面に付いた、両手を見ます。
うん、「なんともありません」。

175Mii:2021/06/01(火) 01:42:10 ID:ykdUu4jg
ロゼッタ「…………ええ、と」

周りをぐるりと見渡します。一応、冷静になるために、深呼吸して、それから。

もう一回、両手を、見ます。
…おっかしいですねえ、右手の怪我が治っているような。

…更に妙なことに…なんだか地面が透けて見えるのですが。



ロゼッタ「…………んー?」



あまり思考がまとまらずに、ふわふわと周囲を見渡して――――――――
とりあえず、まず最初に、少し叫ぼうと思います。










ロゼッタ「ここ、どこですかぁ――――!?」

周りに、誰も、いませんでした。

176<削除>:<削除>
<削除>

177Mii:2021/06/20(日) 16:44:45 ID:D5kkqxG.
ロゼッタ「いや本当に、どこですか、ここ…」



空間把握、失敗。「存在しないエリアです」とか言われそうな探索結果。

もう、元の空間だとか閉ざされた空間だとか、そういう話では収まりそうにありません。
まだ、夢の世界とか妄想の世界とかの方がしっくり来ます。
空間魔法ですらたどり着けないような場所に来てしまったみたいです。…誰の仕業?



ロゼッタ「まさか、死後の世界だとか…ふふふ」



小さく笑ったら、たちまち身震い。

ロゼッタ「…………笑えないです!」



「でも、割といい線ついていると思いますよー」

ロゼッタ「え、嘘!?そんなの嫌ですよ冗談はやめてください!」



おもわず蒼白になります。思わずブルッと震えて、我が身をギュッと抱き締めて。
やり残したことが多すぎて、後悔しても、し切れない!

178Mii:2021/06/20(日) 16:47:10 ID:D5kkqxG.
「人生、諦めが肝心ではないでしょうか」

ロゼッタ「ふざけないでください!最後まであきらめません!
     …………って、さっきから誰ですか一体!」クルッ



思わぬところに先客が。
そしてその先客は、まったく、これっぽっちも、予想だにしていない人でした。











サヤカ「それでも一応、言わせてください。


   
    ――――ロゼッタさん、ようこそ『幽玄の間』へ!!」ニコッ

ロゼッタ「―――――――――――――サ、サヤカァ!?」

あまりにも懐かしい、でもどこか口調の異なる、娘のような女の子。
普通の流れで、普通とは真逆の出来事が、起きようとしていました。

179Mii:2021/06/20(日) 16:50:10 ID:D5kkqxG.
ロゼッタ「どう、して、サヤカが、こんなところに?」



彼女は、サヤカ。
かつて、星々の降りしきるお祭りの間だけ、絆を育んだ、大事な娘のような…
いえ、娘と断言してもいいくらいの大切な存在の女の子。



素朴で、当然すぎる疑問を投げかけます。
会えたことは嬉しいのですが。時間も距離もまるで噛み合いません。
すると彼女は、のほほんと思案顔。

サヤカ「うーん、ちょっと勘違いされてますね。
   私は『サヤカ』って人の姿はしていても、『サヤカ』本人ではありません。
   …まあ、雰囲気出すために性格を同期するくらいはできますけど。
   ちょっと待っててくださいね。あなたの記憶をもとに再構成しますから。
 
   ――――メモリーを 検索しています…
   ――――データベースに 1件の該当人物あり…
   ――――ダウンロードちゅう、ダウンロードちゅう、ダウンロードちゅう…」

ロゼッタ「!?」



サヤカが眉間に人差し指を当てて神妙に目をつぶったと思ったら…
ぐるんぐるんと、妙な、奇天烈な、電子音が聴こえてきます!
何が起こっているのですか!?

180Mii:2021/06/20(日) 16:53:16 ID:D5kkqxG.
サヤカ「――――ダウンロード、無事に終了しました。再起動します…
    
   これでどうかな、ママ!ママの記憶通りの『サヤカ』になりきれてる?
   えへへー!どう?どう?お久しぶり!私も会えて嬉しい!」

ロゼッタ「」

たちまち、私の知る「サヤカ」になって、ピョンピョンと可愛く跳ねる彼女。
その笑い方、振る舞い方、サヤカそのものですが。訳がまったくわかりません。

ロゼッタ「貴方は『サヤカ』であって『サヤカ』でない!?何が何やらさっぱりです!
    復活そうそう、頭がまた混乱してきました!」

対話も、サヤカに対する、娘に対する砕け調にはなかなかできず。
どうしても、初対面の人に対してのものに引き摺られてしまいます。

サヤカ「しょうがないなあ、私がママに一から説明してあげるよー。
   ホントの私は名も無き存在、■■■■■…あ、言語認識できないか。
   とりあえず、サヤカって呼んでくれていいよ。私も引き続きママって呼ぶから。

   この空間、『幽玄の間』の管理者にして、ママの内面のウツシミ!
   
   『幽玄の間』にやってきた人の記憶を素早く読み取って、
   『一定期間以上会ってなくて、それでいて十分な絆で繋がってる人』を
   探し出して、成りきるの!今、『サヤカ』になってるみたいに!
   きっと『サヤカ』本人も光栄なことだと喜んでくれると思うな!

   そんな親しい人になって、やってきた人と対話して――――
   最期の悔いを、思う存分吐き出させるのが役割なんだよ!
   この塩梅の人選が、いちばん心穏やかになると評判なんだって!」

181Mii:2021/06/20(日) 16:56:36 ID:D5kkqxG.
ロゼッタ「最期の悔い…!?さっきから言っている、『幽玄の間』とは…?」

サヤカ「肉体的に死ぬことが確定した人が、冥土に向かうときに訪れるのが『三途の川』。
   一方でね、精神的に死ぬことが確定した人が、精神崩壊間際に訪れるのが――――



   この精神世界… 『幽玄の間』 なんだー」





ドクン。
動悸が、突如として襲い掛かる。





ロゼッタ「精神的に…死ぬ?――――わた…しが?」

サヤカ「うん」



サヤカは、こちらの気も知らずに、心拍数が上がり続けるのも気に留めずに。
あっけらかんと言ってのける。

――まるで、今日の晩御飯はカレーだよ、程度の気軽さで。

182Mii:2021/06/20(日) 16:59:40 ID:D5kkqxG.
サヤカ「人の心ってさ、風船みたいなものなんだ」

突如として、目の前に可愛らしい風船が現れました。
サヤカが紐の一端を持っているそれは、ふわふわのんびり浮かんでいます。

サヤカ「ストレスが掛かると、中にガスを送られて膨らんでいくわけ。
   限界超えて膨らみ過ぎるとパーンと割れて、二度と元には戻らない。
   だから割れ過ぎないように、定期的にガス抜きをする必要があるよ。
   あるいは、何か丈夫な素材で外周を補強してあげるのもいいかもね。

   ママは今の今まで…いっぱいいっぱいストレスを受けながらも、
   急成長しながらのらりくらりと、風船が割れるのを防いでいたんだけど」



風船が、膨らんで限界に近づいていく。



サヤカ「このたび、精神的にもとから致命傷を受けていたところに――
   最大級のOFF波動を、モロにゼロ距離で一点集中で食らっちゃって」



サヤカ「それはそれはもう、盛大に風船が割れてしまいましたとさ。
   ざんねん!!ロゼッタの ぼうけんは これで おわってしまった!!」



冗談を言われる傍らで――――破裂音が、ひとつ響いて、消えて行きました。

183Mii:2021/06/20(日) 17:03:36 ID:D5kkqxG.
ロゼッタ「……………………」

自分が精神的に死んだだなんて、とても信じられない。信じたくない。

ロゼッタ「私は…っ!本当の私はどうなっているのですか!
    そして、今の私の状況は!もっと詳しく!一体だれの目論見ですか!?」

サヤカ「一度にいっぱい尋ねるなあ…いいよ、答えていくね。
   この空間では、管理者の私はママ至上主義で行動するからねー。
   本当のママ…というか、現実空間の状況は、こんな感じ」

ぽいっという投げやりな動作で、パッと出現、イベント会場にあるような特大スクリーン。
こんな魔法、見たこともない。未知にもほどがあります。

映し出されるは、私の…おぼろげな記憶の、続き。



中心にいるのは私。
どこからどう見ても、怯え切った表情で、完全に石になって佇んでいます。

目を見開いて絶叫したデイジー姫が、手を投げ出して駆けよる態勢。
マリオが、ヒルダ姫を庇った状態で…激しく後悔しているような表情で振り返っている。
リンクが、何かを叫んでいるものの、判別つかず。
クッパが怒りに燃え、距離を取ろうとするタブーを鬼の形相で睨みつけ――――



そんな、静止画。

184Mii:2021/06/20(日) 17:07:07 ID:D5kkqxG.
ロゼッタ「…………静止画?」

サヤカ「現実世界と『幽玄の間』とじゃ、時間の流れ方がざっと10000倍違うんだよ。
   だから正しくは『超スローで動いている映像』だね。

   ここで目覚めるまでにちょっと時間が掛かったけど、
   それでも現実世界…あっちだと、石化してから0.1秒すら経ってないよ」

ロゼッタ「0.1秒!?」

話についていくのがきついです!



サヤカ「で、精神的に死ぬことが確定したママは、その死の10秒前に精神体として
    『幽玄の間』に飛ばされた。今も猶予をちゃくちゃくと消費中。

   ちなみにこれ、任天堂の計らいね。極悪人じゃなけりゃ大体は飛ばされるよ。
   そんでもって、時間が来たら、ママの精神体は元の体に戻っていくの」

ロゼッタ「…前から思っていましたが、任天堂って何者ですか?」

サヤカ「…さあ?

   あ、ちなみに管理者の私は、ママ自身の知識のほかに任天堂の知識を
   あれこれ色々と持ってるよ。えっへん!頼りにしてね!」

ロゼッタ「よくわかりませんし今はどうでもいいです」

サヤカ「ひどい!」ウガー

185Mii:2021/06/20(日) 17:10:32 ID:D5kkqxG.
ロゼッタ「…つまり、ともかく、精神の死の間際に…懺悔でも尽くしておけ。
    そういうことでしょうか」



そう、ですか。
私、死んじゃう、んですか。



サヤカ「繰り返すけど、精神的な死だから、肉体は死なないけどね。
   石化自体は、MOTHERチームによって程なく解除される。
   でも、精神が二度と再起しないんだ。これはパルテナさんの奇跡でも無理ー。

   ずっと、ずぅっと、自我のない、からっぽの精神のまま。
   周りの人、みんな悲しませつつ、いつまでも、いつまでも…

   やっぱり、怖い?」



ロゼッタ「怖いに…………決まって、いる、でしょう…!!!」ポロポロ



座り込んで、やるせなくて。

ただただ、悲しい。いくらでも涙が溢れ出る。

精神体だから涙に際限がないのか、ほんとうにただひたすら泣いているのか…。

186Mii:2021/06/20(日) 17:18:43 ID:D5kkqxG.
サヤカ「不幸中の幸いといえば、とりあえず。
   タブーとの、この勝負自体は、大局的には『こちら』の勝ちだよ。

   タブーはやぶれかぶれながらに悦に浸っているけれど…
   ママの犠牲を除けば、あとは可逆的――――
   手を尽くせば回復、修復できるような被害のみ残して、無事に終結する。

   ママの頑張りもあって、キノコ王国の危機は、とりあえず去ったんだ。
   ちょっと禍根は残すことになったけれど」

ロゼッタ「…………」




サヤカ「…………さて。キノコ王国の無事は伝えたところで。そちらはちょっと置いといて。

   そんなママを、助けてあげられる手段があるって言ったら、どうする?」

ロゼッタ「…え?」



泣き腫らした顔で、サヤカを見上げる。

ロゼッタ「そ、んな手段が、あるのですか!?」ガバッ

サヤカ「いわゆる管理者権限の裏技ってやつでね――――」

こほん、とわざとらしく咳込んで見せたあと。サヤカは、度肝を抜く提案を繰り出しました。

187Mii:2021/06/20(日) 17:21:36 ID:D5kkqxG.
サヤカ「ねえ、ママ。









   わたしと一緒に、ここに…ずっと、いよう?」








ロゼッタ「…え?」

サヤカ「簡単な話でさ。
   元の世界に戻るのは、予定通りの時間でもいいし、少し早めてもいいし…

   いっそのこと、すっぽかして、ここに居座ってもいいんだよ。
   私が自信を持って、うまいこと調整してあげる」



ロゼッタ「…………!?」

188Mii:2021/06/20(日) 17:24:54 ID:D5kkqxG.
サヤカ「一度すっぽかすと、二度と元の世界には戻れない。
   でもそれって、精神が死んででも戻るのに比べて、悪いことかな?

   むしろ、こっちを喜んで受け入れるべきじゃない?」

ロゼッタ「受け入れ、る」

サヤカ「ねえ、知ってる?この空間だと、私って――――なんでもできるんだ。
   さっき、スクリーンや風船をパっと出したでしょ?あんなの序の口。

   そして、ママなら…私以上に、なんでもできるんだよ。神さまになれるんだ」



サヤカが指をパチンと鳴らす。
突然、机一式と原稿用紙が現れました。

サヤカ「中々読ませるのは恥ずかしい物書きを、
   黙々と気の済むまで続けることができる」



サヤカが、腕を振りかぶる。
土煙と共に、何もなかったような地面が立派な舗装道路となり、
視界の先の先まで、無数の建物がにょきにょきと出現しました…!

サヤカ「この空間はママが想像する以上に許容量があるからね。
   街ひとつ、いや国ひとつ、なんなら世界ひとつ作ることだってできる」

……まさに、神の領域。

189Mii:2021/06/20(日) 17:27:41 ID:D5kkqxG.
サヤカは両手を大きく掲げつつ、ここに残ることの素晴らしさを語ります。



サヤカ「絶対安全な環境で、好きな物を食べ、好きな物を飲み、
   好きな趣味に興じることができる」

ロゼッタ「…………」

サヤカ「ほどよい緊迫した環境を生み出して冒険者として名を馳せたり、
   勧善懲悪が浸透し切った素晴らしい世の中を作ったりすることができる」

ロゼッタ「…………」

サヤカ「女王として贅を尽くしつつも崇拝されたり、
   数多の男性を侍らせて持て囃されたりすることができる」

ロゼッタ「…………」

サヤカ「ありとあらゆる空想、妄想が、ママの思惑ひとつで
   あっさりと具現化し実現する、それがここなんだよ。

   なんだったらいっそのこと、マリオ達をそっくりそのまま『構成』して…
   登場させて、交流を深めれば…現実世界に戻る以上の成果でしょ?

   みんなみんな相変わらず頼もしくて――――
   みんなみんな、ママの思う通りに動いてくれるんだ」

ロゼッタ「…………」

190Mii:2021/06/20(日) 17:30:21 ID:D5kkqxG.
サヤカ「そんな世界は、きっと、そう――――
   ストレスとは無縁で、とっても楽しくて、素晴らしいと思わない?」クルッ

















ロゼッタ「――――遺言執行者には、ピーチ姫を指定させて頂きます。

    皆様と一緒に過ごせた日々は、とてもとても幸せでした。
    本当にありがとうございました。星々の加護が有らんことを。

    差し出がましいとは存じ上げていますが、チコたちとほうき星のことを
    どうか守ってあげてください。よろしくお願いいたします――――」カキカキ

サヤカ「スルーして遺言書を書き上げてるぅ!?」

ロゼッタ「ちょうどいい所に紙とペンがあったので…」


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