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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか、今度こそ」

1Mii:2020/12/13(日) 04:46:59 ID:9GX1QhWw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 【前々スレ】

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」【前スレ】

に引き続く続編となります。前々スレ、前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
過去作を読まれていないと把握困難な設定、独自解釈が多々あります。

遅い進行のうえに寄り道万歳のスレですが、引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。

ラナ「たったーん♪たかたかた〜ん♪
  そのほか、いくつか注意点をお知らせするよー。

     ・スレ主の、基礎体力面での戦闘能力解釈は、ざっくり言うと…
      キャラとしての登場時期の早さと、登場回数の多さで大方決まるからね!

      マリオ、クッパ、リンクを『3強』と表現してるけど、たとえばクッパVSガノンドロフだと、
      クッパが欠伸しながらパンチを繰り出すだけでガノンドロフを一撃粉砕できるくらいの力量差があるよ!
      パーティゲームに参加しないから仕方ないってことで、うん。敵があっさりやられても嘆かないで…。
      リンクとの差が付いた理由は、前々スレを読めばわかる、のかなあ…?

     ・前々スレ・前スレ同様、いろんなパロディ、メタ発言が散りばめられてるよ!
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義が白けるなら
      急がず慌てず別のスレに移って、このスレのことは忘れよう!
      
     ・ようやくスマブラ編が完結して…マリオカート編にちょっとずつ戻っていくんだって!よかったよかった!」

シア(…………ちょっとずつ?)

683Mii:2021/08/15(日) 20:55:46 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ(分身体)「それでは、私ならどうでしょう――――」

別の分身体がルビーを貰おうとしたところで。
ダークリンクが、再びその腕を掴みます。

ダークリンク「駄目だ。お前にルビーを渡すことは許可されてない」

ファイアロゼッタ(分身体)「しょうがないですね…」シュン



2人目、許可されず。



ファイアロゼッタ(分身体)「では、今度こそ――――」

最後の分身体がルビーを貰おうとしたところで。
ダークリンクが、みたびその腕を掴みます。

ダークリンク「駄目だ。お前にルビーを渡すことは許可されてない」

ファイアロゼッタ(分身体)「ちょっと、冷たくないですか?もう…」シュン





…………3人目、許可されず。――――結果、全滅。

684Mii:2021/08/15(日) 20:58:58 ID:yi3EbC9s
スイマーロゼッタ「なんだ、そういうことをやりたかったの…?でも、見事に無駄に終わっちゃったの…」

ファイアロゼッタ「いえ、もうちょっとだけ足掻いてみましょう」

スイマーロゼッタ「…え?」



……そう。もうちょっとだけ、テストは続いているのです。



ファイアロゼッタ「ところでダークリンク。私は全然余裕なんですけれど…
         貴方、分身体3人の区別って、付いていますか?」

ダークリンク「…なに?」

彼は、つい先ほど順番に会話をした3人を見やります。
ただでさえ外見が同じ上に、ダンス中に頻繁に位置替えを繰り返しました。
まず間違いなく、断言できるまで分かっているのは私だけです。

ダークリンク「いや、さっぱりわからん。それがどうかしたか?」

ファイアロゼッタ「いえいえ、その回答で十分です。
         貴方は、どの分身体が『42.195km走らなかった分身体』か、断言することができない。
         つまり、貴方の主観で、分身体たちに…何かしらの待遇差を、
         付けることはできないとみてよろしいんですね?」

ダークリンク「…?そういうことになるな?」

685Mii:2021/08/15(日) 21:02:10 ID:yi3EbC9s
さてと、仕掛けは済みました。ここからが…本番。
唐突に。私は、分身体の1人を消し去り、経験値を「還元」します。

ファイアロゼッタ(分身体)「後のことは任せましたよ!」シュウ・・・

ファイアロゼッタ「任されました!」

ダークリンク「!?」

ファイアロゼッタ「さてさて、それではいい加減クジを引きたいのですが、その前に。
         私に追加のルビーを下さいな」

ダークリンク「あのなあ!さっきから言ってるが、そんなこと、できるわけないだろう!」



ダークリンクはそう捲し立てて――――――――





――――――――私に、20ルビー差し出したのでした。



ダークリンク「全く…で、今しがた渡した20ルビーを使うとだな。
       こちらの箱から、玉が沢山入ったクジを4個引くことができ――あれ?」

――――第一関門、突破です!!

686Mii:2021/08/15(日) 21:06:01 ID:yi3EbC9s
ダークリンクが激しく混乱していますが。クジを引くのを更に待ってもらって、第二の作戦。
残った分身体のうち更に1人を、同じように還元します。…その結果。



ファイアロゼッタ「はい、追加で20ルビーくださいな」

ダークリンク「駄目だ。追加でルビーを渡すことは許可されてない」

ファイアロゼッタ「ですよねー。さっきの分身体は42.195km走ってないですもん」

ダークリンク「な…」

ファイアロゼッタ「つまり、今の私は、『42.195kmを2重に走った私』として
         判定を受けているみたいですね」

ダークリンクの意思とは別の、超越的な判断から、分身体の走破フラグまで認識されたうえで、
ルビーが貰えるかどうかが決まるみたいです。掻い潜り甲斐がありそうです。

では、今度こそクジを引いてみましょう。



――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!
――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!



ファイアロゼッタ「あちゃあ…相変わらずというか、なんというか…」

687Mii:2021/08/15(日) 21:08:59 ID:yi3EbC9s
さて、それでは最終テスト。

最後に残っていた、「42.195km走り切った分身体」を還元します。
これで、今の状態としては「42.195kmを3重に走った私」扱いになるはずですが…?

ファイアロゼッタ「ぐっ…脚が…!…さてさて。追加のルビーを貰えるはずですよね?」





ダークリンク「駄目だ。追加でルビーを渡すことは許可されてない…え、そうなのか?」





オーロラロゼッタ「え、どうして!?」

ハロウィンロゼッタ「何故…!?」

スイマーロゼッタ「頭がこんがらがってきたのー!」

ファイアロゼッタ「…………」

ファイアロゼッタ「試しておいて、よかったあ…!!」ホッ!



そして、今さらながら、我慢していた脚の痛みに…倒れ込んだのでした。

688Mii:2021/08/15(日) 21:13:39 ID:yi3EbC9s
結論その1。

分身体にもコースを走らせて、クジを引く前に経験値を還元しておけば…
ダークリンクの拒絶とか非難とかは関係なく、その分だけ、追加のルビーが手に入り、
結果としてクジを沢山引くことができる。

ただ、クジを引く権利とともに肉体負荷までまるごと引き継ぐので、
一度に還元しすぎると最悪…脚への負担が一気に跳ね上がって大ダメージ、再起不能になる。



結論その2。

一旦クジを引き始めると、その時点で新たにルビー報酬を受け取る権利を失う。
後付けでクジを引く回数を増やすことはできない。

要するに、「クジを引き切った、当たらなかった、もうちょっとルビーを足そう」という
チマチマとした日和見の安全策が使えない。
最初から、最終的に引きたいクジ数に相当する分身体を一度に還元し、
ルビーを大量確保しておく必要がある。



皆に解説したのは、ざっとこんな感じです。たぶん、合ってる、はず。





ファイアロゼッタ「…ということで、このクジには…苦しむこと必至ながら、単純明快な必勝法が有ります!」

689Mii:2021/08/15(日) 21:25:23 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…………必勝法!?」

オーロラロゼッタ「…………ほんとうに!?」

スイマーロゼッタ「どんなのどんなの!?」

ファイアロゼッタ「ズバリ!分身体を24人作って、私含めた25人全員で42.195kmを走り切り、
        経験値を全て私に還元して、クジを4×25で…100個分、箱の中全てを一気に引けばよいのです!」

3人「「「おおおお――――っ!」」」

ダークリンク「…ずるくね?…あ、いや、なんでもないぞ。そんな目で見るな、睨むな」

感心する3人。これは私も自画自賛したくなるナイスアイディアです!
…ん?3人が感心すること自体が自画自賛なんでしょうか?ややこしいですね。

オーロラロゼッタ「…で、でも、それって。脚は…脚は、大丈夫なの?負担が集約されて大変なことに…」

ファイアロゼッタ「ふふふ、大丈夫ですよそのくらい」

オーロラロゼッタ「そうなんだ、よかった〜☆」



ファイアロゼッタ「ちょっとバキボキっと原型留めないくらいに複雑骨折して、
         骨が飛び出ちゃったりして、周囲を赤く染め上げるかもしれませんが、
         まあ数時間くらいは絶命しないでしょう。クジは引けます」

オーロラロゼッタ「全然だいじょばない!?」ガーン!

690Mii:2021/08/15(日) 21:34:09 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…あの、そもそも24人も…分身体を作れるのですか?」



――――痛い所を衝かれました。



ファイアロゼッタ「…そこがネックなんですよね。今まで目一杯頑張って、最高で11人ですから…。
         あのときはアドレナリンがドバドバ出ていたので気にも留めませんでしたが、結構、魔法回路が飽和状態でした。
         まあ、その時の感覚からするに、ちょいと分身体の出来を落とせば…きっとなんとかなるでしょう」

というより、なんとかしなくてはありません。魔法レベルの成長はほぼない状態ですが…!
体力的にも、時間制約としても、ラストチャンスに近い状況です…!



ダークリンク「あ、ちなみに『450ルビーあれば100個引けるんじゃね?』
      ……っていうツッコミはなしな。この夢の中に10連ドカンとかないから」

スイマーロゼッタ「融通利かないの」ボソッ



ファイアロゼッタ「それでは、改めて最後の休憩を行い、できるだけ万全の状態から作戦を開始したいと思います」

スイマーロゼッタ「勝っても、負けても、最後、なの…」

オーロラロゼッタ「……………………がんばって」

691Mii:2021/08/15(日) 21:37:13 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…一つ、忠告しておきますね。

          その作戦を実行し、貴方が助かると知れた段階で。
          私たち3人の中から『救いの手から漏れる者』が居たとしても――

          今度こそ、そこで終えて、元の世界に戻ってもらいますから」

ファイアロゼッタ「――――え?」



ハロウィンロゼッタ「……あまりにも未練がましい、その時は――――
          私が代表して、責任を持って――――




          救いの手から漏れた者の首を掻っ切ります。…諦め、つけてもらいます」



ファイアロゼッタ「そんなこと――――」ギリッ

ファイアロゼッタ「そんな、こと――――」ギリリ





――――絶対に、させませんっ!!

692Mii:2021/08/15(日) 21:40:35 ID:yi3EbC9s
休憩、終了。スタミナ、回復。
回復魔法が使えないせいで完全回復ではさらさらないのが、ちょっと気懸り。

『ハロウィン』が。『オーロラ』が。『スイマー』が。ダークリンクが。
それぞれ私のことを見守ります。期待には、応えたい。

神妙に、両手を組み合わせて印を結び。――――全神経を集中させて……いざっ!!



ファイアロゼッタ「参りますっ!!
 
         ―――――――― 実 分 身 っ!!!」



ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!
ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!
ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!
ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!



ハロウィンロゼッタ「お、おお!この数の分身体を、よくも見事に…!!」

オーロラロゼッタ「凄い!凄い!凄すぎるよ〜☆」

スイマーロゼッタ「さすがオリジナルなの〜!」

ダークリンク「――――こりゃあ、壮観だな、おい」

693Mii:2021/08/15(日) 21:43:13 ID:yi3EbC9s
ちょっと1人1人の出来は悪いですが…分身体、見事に作成完了!いい感じですっ!
我ながら、惚れ惚れしますねっ!走り切るくらいまでは余裕で持つでしょう!
さあ、ここから反撃!そのまま終止符を打ってしまいましょう!



ファイアロゼッタ「さあみんな!しっかり42.195km走り切りますよ!
         ゴールは目の前です!私たちの勝利が近付いていますよ!
         ――――心の準備は…よろしいですかー!」



ファイアロゼッタ(分身体)×23
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」







ハロウィンロゼッタ「…………む?」

オーロラロゼッタ「…………あれ?」

スイマーロゼッタ「…………ひい、ふう、みい…」



3人「「「――――!?」」」

694Mii:2021/08/15(日) 21:50:53 ID:yi3EbC9s
スイマーロゼッタ「ちょ、ちょ、ちょっと!!ちょっと待つのっ!
         ファイア、分身体が23人しかいないのっ!1人足りないの!!」

オーロラロゼッタ「ね、ねえ!あと1人くらい、ちゃんと増やしてからにしよう!」

ファイアロゼッタ「え?あ、本当です…!それでは、えいっ!」





ぽすんっ。

【ERROR! キャパシティオーバーです!】





ファイアロゼッタ「…………あ、私の魔法制御限界でこれ以上増やせないっぽいです。
         まあ、ただでさえ超高難易度の魔法なので仕方ありませんね。
         幾ら私の魔法レベルが高くても厳しいということでしょう。

         でも、私より格段に魔法レベルが低いタブーにはできたのに。
         がん細胞みたいに悪人化すると増殖制約が無くなる…?」ブツブツ

ハロウィンロゼッタ「…まさか…全体人数が4の倍数にしかなれないというマリオゲーの呪縛……!?」

オーロラロゼッタ「」

695Mii:2021/08/15(日) 21:56:21 ID:yi3EbC9s
スイマーロゼッタ「だ、だったら考え直すの!保留にするのっ!私たちが悪かったから!
         何か別の案を探してみるの!1人でも引けなかったら後悔するんでしょ!?」

ファイアロゼッタ「まあ、いくら私の運が悪くても大丈夫ですよー!なんといっても、これで…
         100個のクジから96個も引けるんですよ?勝ったも同然ではないですか!」

スイマーロゼッタ「あああああ!?嫌な予感がするの!オチが見えたのー!!
         ハロウィン!オーロラ!ファイアを、本体を止めるのっ!」

ハロウィンロゼッタ「もちろんっ!」

オーロラロゼッタ「あたりまえだよねっ☆」



ファイアロゼッタ「…………くどいっ!!」バッ!!

妙に心配性が過ぎる3人に必死に抱き着かれつつも、
体のバネだけであっさり振りほどいてしまいます。身体能力差万歳。

ファイアロゼッタ「行ってきまーす!!」ダダダダダッ!

ファイアロゼッタ(分身体)×23
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――――ゴー!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」ドドドドドドド・・・



3人「「「」」」チーン

ダークリンク「」

696Mii:2021/08/15(日) 21:59:01 ID:yi3EbC9s
〜 1人+23人、まとめて走破っ!! 〜

ファイアロゼッタ「――――走り、きり、ましたっ!」

ファイアロゼッタ(分身体)×23
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――――とうちゃーく!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

3人「「「――――」」」

ファイアロゼッタ「…………すぅ、はぁ。深呼吸して、痛みの覚悟決めて――――
         ―――――――――――――――――全員、経験値、還元っ!!!」

ファイアロゼッタ(分身体)×23
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――――それっ!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

流れるように、分身体の皆が私にタッチしては消えて行き―――――――――



ファイアロゼッタ「――――――――はうっ」



ぐちゃっという不吉すぎる音。
一瞬にして脚の感覚が消失し、前のめりになって顔面から倒れ込みました。



テーレッテレー!
(ファイア)ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv.48に 上がった!▼

697Mii:2021/08/15(日) 22:03:18 ID:yi3EbC9s
3人「「「――――」」」ビクゥッ!



ファイアロゼッタ「―――――――――――――――――っ!あああああああっ!!!
         ――――――――あ、あの、い、ま。私の、あ、し。どう、なっ、て」ボロボロ

スイマーロゼッタ「…だ、だいじょうぶ!真っ赤なドレスのおかげで、そんなに血が目立ってない…気が、するの!
         具体的にはちょっとバキボキっと原型留めないくらいに複雑骨折して、
         骨が飛び出ちゃったりして、周囲を赤く染め上げて――――――――」

ファイアロゼッタ「やっぱり説明はもういいです!痛いっ!とにかく痛いぃっ!!」



とりあえず、この夢の中では、少なくとも。もはや私の脚は使い物にならなくなりました。
まさにラストランだったというわけです。

あ、そうか。今は残機制度が働かないから、特に精神が不安定になっているんですね。
タブー戦で学習しました。平時の切羽詰まった戦闘にも身を投じなければいけませんね。
涙堪えて…みることは無理っ!ですが、歯を食いしばって、痛みに耐えて、耐え続けます!



ファイアロゼッタ「…………る、ルビーを、わたしに、くだ、さい、な!」ドクドク
   
ダークリンク「…ほ、ほれ。480ルビー、やるよ。
      …しつこいようだが、45ルビーで10個分引くとかはできないからな。話の進行的に」

ファイアロゼッタ「なんですか、それぇ…………!」ドクドク

698Mii:2021/08/15(日) 22:08:16 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「…ほ、ほかの、事に意識を、傾け、ない、とっ!!
         痛みをいちいち、意識、して、たら、追いつかないっ!キリがないっ!
         そ、それでは、さっそくクジを引いていきましょう!
         幸先よく、1個目から当たったりして――――せーの!」ガシッ

わざわざ身を屈めて箱を傍に持ってきてくれたダークリンクに心の中でお礼を言いつつ、
震える手をのろのろと箱の中に投じ、ボールを1個、掴みますっ!それっ!



――――――――1個目、白玉。



ダークリンク「…箱を近づけた俺が言うのもなんだが…引き始めちまったか、もう俺も知らん。
       ここに箱置いとくぞ、勝手に引いてけ。俺はあっち行ってる」

ファイアロゼッタ「…………むむ、この、玉…ぱっと見で、白玉の、ようですが、
         よーく、見ると、うっすらと、水色っぽくありませんかっ?
         ひょっとして、『スイマー』の、当たりクジ――――」プルプル

スイマーロゼッタ「目の錯覚なの。御覧の通り、私の首輪もそのままなの」

ファイアロゼッタ「……………………フンッ!」ブンッ

ダークリンク「うおぉい!あっぶねぇ!どこ投げてるんだ!?」

ちょっとバツが悪くなって、および流血の痛みから目を背けたくて、
背後に広がるロゼッタプラネットのコースの方に思いっきりぶん投げました。
ほぼ寝そべりながらの手投げの割には、良く飛びましたー!

699Mii:2021/08/15(日) 22:13:28 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…………大人げない」



オーロラロゼッタ「さて…もう、あなたと一蓮托生☆」



スイマーロゼッタ「あとは野となれ山となれ、なの…」



ファイアロゼッタ「――――それだけ文句を言う元気が有れば、十分ですね。
         私が貴方がたを見事救い出す瞬間を、心待ちにしておいてくださいまし!」



ハロウィンロゼッタ「…貴方と心中ですか…それも、まあ、悪くは有りませんが――――」

ファイアロゼッタ「心中とは失礼な!気を取り直して、気持ちゆっくり――――



        さあ、どんどん引いていきますよっ!!」バッ!



私には、明るい未来が見えています!4人で喜び笑い合う、そんな未来が…!!

700Mii:2021/08/15(日) 22:18:06 ID:yi3EbC9s
〜 2時間後 〜



ファイアロゼッタ「……………………」



1分間に1個くらいの、贅沢に時間を使ったクジの引き方。
体力が徐々にすり減り、動きが鈍くなっていくのですから、仕方ありません、ね。

…もとい。なかなか当たらなくて、少し冷や汗かいてきて、慎重に引くようになっていったので、仕方ありません、ね。

とはいえ、100個のうち96個引けるという、圧倒的有利な物量攻めの威力は絶大。
そして、とうとう…4個の当たりクジが。…赤と、紫と、青と、水色の、真ん丸な玉が。見事に集ったのです―――――!!





レアリティごとの残数:
        ウルトラレアピックアップ・・・4/4
        ウルトラレア       ・・・0/0
        その他          ・・・0/96

……………………もともと100個の玉が入っていたらしき、BOXの中に。



ファイアロゼッタ「                 」

701Mii:2021/08/15(日) 22:22:00 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「                 」

スイマーロゼッタ「ふわああああぁぁぁぁ…!!す、凄いのっ!!!
         こ、こ、これは感動ものなのっ!奇跡なのっ!!
         96個も引いて、全てのハズレクジを引き切るだなんてっ!!
         神懸かってるとしか言いようがないのっ!!悪運ここに極まれりなの――――っ!!!」

ハロウィンロゼッタ「そんなこと言って感動している場合ではないでしょうが――っ!!」

オーロラロゼッタ「あ、あ、ああああああ…」マッサオ

ダークリンク「マジか。これ、最初の4個引きで当たり4個全部かっさらう確率と一緒だぜ」

ファイアロゼッタ「」

ファイアロゼッタ「」



ファイアロゼッタ「    」サァッ

とんでもないことを、わたしは、やってしまいました。



ハロウィンロゼッタ「運がないのにも程が有りますよっ!どうしてくれるのですっ!?
          ああもう、色仕掛けでもなんでもしてあと4個引かせて貰いなさいよっ!」

ファイアロゼッタ「ふえっ!?」

702Mii:2021/08/15(日) 22:26:30 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「ななな、何をいきなり言い出すのですか!冗談はよして――――」



ハロウィンロゼッタ「…………そのくらい、そのくらい、我慢してでも――――っ!
          助かるのなら、どんなに、よかったこと、か――――」ポロポロ

ファイアロゼッタ「――――」



私の首元掴んで必死の形相でとんでもないことを言い出していた『ハロウィン』も、
10秒もしないうちに無駄だと悟り、力が抜けてしまいました。

私は自分の考えの甘さを呪います。『ハロウィン』の言葉は冗談なんかではありませんでした。
…いえ、色仕掛けでなんとかなるとか言われたらそれはそれで大問題なんですけどね!

もはや策なし…悲しみのあまり、彼女はへなへなと地に伏します。



ハロウィンロゼッタ「……………」グズッ

ファイアロゼッタ「…………あ、あの」

ハロウィンロゼッタ「…………」キッ

――パンッと。涙ぐんだまま、乾いた音の平手打ち。避けることができませんでした。
――あまり痛くはないのですが、心はとても痛いです。
――彼女も、せめて私だけはどうにか夢の世界から脱出させたいと必死なのでしょう。

703Mii:2021/08/15(日) 22:29:33 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「――――行きますよ」スクッ

ファイアロゼッタ「――――行くって、どこ、へ」ドクドク

ハロウィンロゼッタ「躊躇している暇などありません――――こうなったらっ、貴方を担ぎ上げてでも、
          コースを回らせて限界が来るまでクジを引き直させます。…諦めて、なるものですか」



――――それは、無茶すぎる。
――――仮に私を庇い、背負いつつコースを2周することが有効だとしても、
――――いったいそれにどれだけの時間がかかることか。



ハロウィンロゼッタ「さあっ!!一刻の猶予もありませんっ!2人ともっ!少しは手を貸しなさいっ!!」

オーロラロゼッタ「あ―――う、ん」

スイマーロゼッタ「…わかった、の」

――――『ハロウィン』のほかに『スイマー』と『オーロラ』が助太刀してくれたとして、
――――満身創痍の私が2周するのに、優に3時間は経ってしまうでしょう。
――――おそらく、それより前に――――出血多量でHPを刻一刻と失う私の命が、儚く消える。

――――そもそも、それでぎりぎり間に合ったところで、ルビーは20個しか集まらない。
――――つまりクジを引ける個数は再び4個に逆戻り。一方のBOX中身はリセットされている。

――――はっきり言って、絶望です。
――――結局、自分の運のなさを過小評価していた私が、全て悪かったのです。

704Mii:2021/08/15(日) 22:33:36 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「でも――――ほかに、てが、ない」ドクドク

ハロウィンロゼッタ「そういう、ことですよ」

ファイアロゼッタ「すいません、ダークリンクさん!後生です、からっ!
         あと4個だけ!4個だけ、クジを、引かせてくださいっ!!」

ダークリンク「断る。今のお前はそのためのルビーを持ってない」

ファイアロゼッタ「です、よ、ね――――」ガクッ



悲しみの渦に包まれる私たち。ダークリンクすら、呆れた面持ちでこちらを見やります。

……って、呆れた表情?え?ダークリンクってこんなに薄情だったのですか!?
彼も本心では私を助けたいと思っている、みたいな考えは間違っていたのですか…!?しょ、衝撃、です…。



ダークリンク「…………」

自立できない私の体が、ゆっくりと3人の手によって持ち上がり。
脚の感覚がないせいで、千切れ落ちていたり、して。
血濡れが拡がることなんてみんな気にせず、ただ悲痛で死んだ目をして持ち上げられ。



このまま歩かれて行ったら、垂れる血が道を作っちゃう、なあ――――
そんな、とてもくだらなくて無駄が過ぎる現実逃避を――――

705Mii:2021/08/15(日) 22:41:42 ID:yi3EbC9s
ダークリンク「…そういうわけだから。とっととその――――
       20ルビーで、クジを4個引けよ。アンタ。やってることがまどろっこしいんだよ」ハァ

ファイアロゼッタ「――――はい?」



全然深刻そうにみえないダークリンクが、ある方向を向いて、訳知り顔。
意識朦朧としながら、私も、釣られて同じ方向に視線を投げました。



   「――――――――わっかりましたー!でも、やっぱりクジを引くのは『引くべき人』がっ!」



『ハロウィン』、『スイマー』、『オーロラ』も、今更ながら、気付いた。

誰かが、いつの間にか、傍にいた。
…そうか、クジを引くことに躍起になって、他のことにまるで気が付かなくて…!



ファイアロゼッタ「――――え?」

ハロウィンロゼッタ「な…………」

オーロラロゼッタ「…いったい」

スイマーロゼッタ「なんなの…………!?」

706Mii:2021/08/15(日) 22:47:43 ID:yi3EbC9s
口をポカンと開け、動揺するしかない私たちのもとに「到着していた彼女」は。
まだ軽く疲れたような雰囲気で、しかし表情は晴れやかで。

    「『ハロウィン』、『オーロラ』、『スイマー』・・・
    彼女たちが走ったところで、夢の世界の住人ということでマラソンを走ったことにはならない。
    でも…『自分自身』が走る分には、しっかりカウントされるんです!

    そして、『クジを引き切る前』になら、ルビーもしっかり貰えましたっ!
    これは盲点、思わぬ先入観というやつですね!」

ファイアロゼッタ「――――――――!!」

    「まあそれにしても…運よく、1個目に拾い上げてくれて、よかったぁっ!
    なん、とか!作戦を、投げ出される前に、走り切れてっ!!頑張りましたよっ!
    乱暴にポンッと投げられてタンコブができたことは大目に見てさしあげますっ!

    ――――――――――――――――そういう、わけでっ!!」ニコッ!









ロゼッタ(R)「私の分の、20ルビー……………………ミンナニハ ナイショダヨ!」ポンッ

ファイアロゼッタ「あ――――――――」キャッチ

707Mii:2021/08/15(日) 22:54:39 ID:yi3EbC9s
シュパッ――――――――!

彼女が光の粒となり、私の体に融け込んで――――――――



レベルアップ!!
(ファイア)ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv50に 上がった!
第一レベルキャップに到達! レベルが極端に上がりにくくなります!▼

ファイア状態時 ハイスピンジャイロファイアが 使えるようになりました!!▼



――――ひとまずの、強さの到達点に来た、感覚……これは!?



まじまじと、そのルビー(ルピー)を見て、ぎゅっと握り締めて。



ダークリンク「お前らがクジ箱の前でアタフタしてる間に、
       コッソリ近づいて驚く顔が見たかったんだと。困った奴だなあ。

       そんで、どうよ。クジ、引くか?」



ファイアロゼッタ「――――――――はい」

708Mii:2021/08/15(日) 22:59:20 ID:yi3EbC9s
1個目…………紫。天空から、玉と同じく紫の、『ハロウィン』への光の祝福。

ハロウィンロゼッタ「……ああ、これが――――」



2個目…………青。天空から、玉と同じく青の、『オーロラ』への光の祝福。

オーロラロゼッタ「…なんて、綺麗――――」



3個目…………水色。天空から、玉と同じく水色の、『スイマー』への光の祝福。

スイマーロゼッタ「…とてもやさしくて暖かい光なの――――」



4個目…………赤。天空から、玉と同じく赤の、私への――――フィナーレとなる、光の祝福。

ファイアロゼッタ「――――――――」



4人の、全員分の――忌まわしい首輪が。
がっしゃんと、地に落ちて…消えて行きました。
       
ファイアロゼッタ「――――――――や」

4人「「「「やったああああぁぁぁぁ――――――――っ!!!!」」」」

709Mii:2021/08/15(日) 23:02:20 ID:yi3EbC9s
私含めて、みんなして。わんわん泣きながら笑って、拳高く突き上げて。
気持ちが高揚したまま、抱き合って、4人仲良くハイタッチ!!
わわっ!気付いたら、脚のケガもいつの間にか完治していますっ!
ミッション完了のご褒美ってことですか、嬉しいです!

オーロラロゼッタ「…う、うわあぁぁーん!よ、よかった、よかったよぉ――――」ポロポロ

スイマーロゼッタ「一時はどうなることかと思ったの…ヒック」グズッ

ファイアロゼッタ「…ふふっ、だから何とかしてあげると言ったでしょう?」ジワァ

ハロウィンロゼッタ「…全くっ、ほんと、調子がいいのだから――――」ホロリ



ダークリンク「ははっ、ようやく俺もお役御免か」

ファイアロゼッタ「…あ、ダークリンク…………」

ダークリンク「――――よせやい。そういう目で見るな。
       単に暇つぶしに付き合ってやっただけだ、感謝の言葉なんていらねぇ」

ファイアロゼッタ「…………それでも。ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました」ペコリ

ダークリンク「…まあ、なんだ。1人じゃ無理な事でも、4人もいれば何とかなるもんだ。
      これからは精々助け合って生きていってくれ」

ファイアロゼッタ「――――はいっ!!」

彼はすっごく照れくさそうに、視線を横に反らしつつ。

710Mii:2021/08/15(日) 23:09:51 ID:yi3EbC9s
ダークリンク「そんじゃ、もう会うことも無いとは思うが…じゃあな」

少しずつ、体が透けて行って――――フッと、消えて行きました。
お役目御免というのは、どうやら本当のことだったみたいです。



ハロウィンロゼッタ「…はっ!まだ気を抜いてはいけません。
         いつ、現実世界の貴方がむりやり起こされるかわかりません。
         安全のため、一刻も早く現実世界に戻るべきです。

         ――――さあ、帰りの道を作りました。
         ――――今度こそ、振り向かずに通り抜けてください」パアアアァァ



『ハロウィン』が作り出したるは、
ベッドから起き上がり、仲間たちと再び会うための…光り輝く脱出口。
ええ、もう心残りは…ありません。

ハロウィンロゼッタ「では、もう…この長大な『ロゼッタプラネット』も、
          要らなくなりましたね。消しておきましょう――――
          …って、なんですその目は」

ファイアロゼッタ「…………い、いえ。特に支障がないなら、このまま私の夢の中に残しておけないかなーと」

夢の中に残したまま目を醒ますことで、また夢に出やすくなるのかな。
走り出した最初のころはなんでこんな目に遭うのかとゲンナリさせるばかりのコースでした。
…今は、ちょっと名残惜しい、記念に残しておきたいと思ったり。

711Mii:2021/08/15(日) 23:12:50 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…ふふ、それならば残しておきましょうか」

オーロラロゼッタ「4人の思い出のコースだもんね☆」

スイマーロゼッタ「それはグッドアイディアなの!」



こころが絆で温まる。とてもいい感じです。



ファイアロゼッタ「――――――――それでは帰りましょうか、現実世界へ。
         …というより、貴方たちは私が夢から醒めたらどうなるのです?
         もしかして、起きた私の周りにポカンと次々に現れて、
         これから賑やかな4人での共同生活が始まるとか…ですね?

         私もあんまり裕福ではないですが、というより絶賛借金返済中ですが、
         めげずにくじけずに一緒に楽しく暮らして――――」






ハロウィンロゼッタ「…ええ、そうですね」

オーロラロゼッタ「…そう、これからはずーっと一緒☆」

スイマーロゼッタ「しょうがないから、貴方のこと、陰ながら応援してあげるの―」

712Mii:2021/08/15(日) 23:14:49 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「…あ、あれ?みんな?なんだか急にしんみりとして――――
      
         って、体、薄れてきていませんか!?
         お、おっかしーなー?私はまだまだそんな事態になってないのにー?」



ハロウィンロゼッタ「…大丈夫、いつか、会える」



オーロラロゼッタ「もう、二度と会えないなんてことはないから」



スイマーロゼッタ「じゃあ、またねー!」



ファイアロゼッタ「――――!?」







3人の体が、ダークリンクの時みたいに、光の粒と化して――――
ぐるぐると私の体を何度か回ったあと、私の胸の中に――――
吸い込まれて、消えて行きました。

713Mii:2021/08/15(日) 23:17:49 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「…………………………………………」

ファイアロゼッタ「…………………………………………」



ファイアロゼッタ「ここまでやっておいて結局消えちゃうんですかっ!?
         なにそれ酷い!酷くないですかっ!?感動を返してくださいっ!?
         い、いえ、別に貴方がたが嘘をついていたとは思いませんけれどっ!?
        
         これ、皆を助けたことになってるんですか!?ねえ!?誰か答えて下さいっ!?この――――」



ファイアロゼッタ「馬鹿ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!!」





・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・



ロゼッタ「馬鹿ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!!」ガバッ!

デイジー「きゃああぁぁぁ!?」ビクッ

714Mii:2021/08/15(日) 23:20:44 ID:yi3EbC9s
ロゼッタ「…………あ、れ。デイジー、ひめ?」

デイジー「いきなり大声上げないでよ!?心臓止まるかと思ったよ!」

ロゼッタ「――――もどって、きた?夢の世界から…………」

デイジー「…マールの子守唄で眠っておきながら悪夢を見るとか、
    ほんとロゼッタってついてないというかなんというか…
    その悪運には同情するよ、可哀想になってくる…。

    それでそれで?どんな夢見てたの?悪い夢は人に話すことで正夢じゃなくなるってよく言われるよね!
    最初から最後まで話してごらんよ!面白…興味深いから!!」



ロゼッタ「…………あれ?私、どんな夢、見てましたっけ」



デイジー「あらら、忘れちゃったかあ…ざんねーん。
    ロゼッタの深層心理を見抜けそうで興味深…面白そうだったのに」

ロゼッタ「ええ…………」アキレ

ロゼッタ「…………」



ロゼッタ「でも、なんだか。楽しい夢だったような気がします。
    心の奥底に残るような、心がほんのりあったかくなるような」

715Mii:2021/10/24(日) 00:01:00 ID:nJa12BZA
デイジー「あんなに叫んだのに…?忘れっちゃったのに…?
    ま、まあ。ロゼッタを幾ら責めたてても意味ないか。
    
    それよりさあ、今日は12月25日だよ!クリスマスだよ!
    遅めの朝食でも、食べにいこ!今日も念のため体を十分休ませるべきだよ!
    おいしい紅茶とケーキを出してくれる店、最近見つけたんだ!」

ロゼッタ「…わかりました。借金返済に焦りすぎるのもよくない、ですね。
    それでは、エスコートしていただけますか?」

デイジー「お任せあれ!一緒に食べ放題コースで食い倒れるぞ、おー!!」

ロゼッタ「そ、それはちょっと!あ、あの!太ってしまいます!
    普通!普通のメニューをばご検討ください!お願いします!
    ちょ、ちょっと!話を聞いてくださいよー!!」パタパタ



――――今日は、いいことありますように。







ロゼッタの 魔法経験値が 少し貯まった!
ロゼッタは 氷耐性Lv.10を 会得した!
ロゼッタは 潜水耐性Lv.10を 会得した!▼

716Mii:2021/10/24(日) 00:06:08 ID:nJa12BZA
とりあえず、デイジー姫イチオシのお店で小腹を満たして。
紅茶をこくこくとゆっくり味わっています。
さすがイチオシ、甘すぎないケーキは美味の一言でした。

ぐーるぐると、2杯目に選んだコーヒーをかき混ぜ中のデイジー姫に、唐突に尋ねられました。



デイジー「ところで前々から気になってたんだけど、ロゼッタの収入源ってなんなの?
    別に遺産があるとかでもないよね?」

ロゼッタ「……」ギクッ

デイジー「ほうき星で、パンづくりのための小麦くらいは育てられるかもしれないけどさ。
    他の食材とか、その他にもいろんなもの、必要になってくるでしょ?

    ロゼッタは確かに倹約家っぽいし、ことさらに大きな出費行事とも無縁だけど、
    それでもひもじくならない程度にはお金は使うよね?」

ロゼッタ「…………えっと」

デイジー「うん」

ロゼッタ「…………ト、トレジャーハンター的なことを少々」モジモジ

デイジー「一攫千金!?なにそれカッコいい!意外だなあ!!今度私も連れてってよ!」



ロゼッタ「あの、いえ、そんな高尚な話でも何でもなくですね…………」

717Mii:2021/10/24(日) 00:13:08 ID:nJa12BZA
〜回想、ほうき星〜

ざくっ! ドドドドドドドドド・・・・・・・・

ざくっ! ドドドドドドドドド・・・・・・・・

ざくっ! ドドドドドドドドド・・・・・・・・



ロゼッタ「コース作成(ロゼッタプラネット)のために魔法で岩肌を削って削って…………
   ふふふ、もうちょっともうちょっと…!私の予感が正しければ…!」パアアアアア

チコ「ママ、ごきげんー!」



ガキンッ!

魔法で衝撃を与え、掘り進めていた岩肌が、突如として明らかに異質な音を立てる――――



ロゼッタ「うわあ…!!あいかわらずこの星は、素材の宝庫ね!
    ちょうど、いい感じの鉱脈にぶつかれたみたいだわ!
    天の恵みよ、これでなんとかあと1か月は凌げる…っ!

    採掘、採掘!頑張るわよ!」パアアアアア

チコ「キノコ王国で高く売れるといいねー!」

718Mii:2021/10/24(日) 00:16:18 ID:nJa12BZA
〜回想(take2)、ほうき星〜

チコ「ママー!また新しい子がママに会いたいんだってー!
  とっても元気で明るくて、それでもって礼儀正しい子なんだよー!」

チコ「は、はじめましてっ!新入りのチコですっ!
  ずーっとロゼッタさんに…ママに、こうして会いたかったの!嬉しいなっ!わーい!」

ロゼッタ「ふふ、丁寧にありがとう。歓迎するわ、ゆっくり過ごしてね。
    いつお出かけしてもいいし、いつ戻ってきてもいいのよ。
    困ったことがあったら何でも言ってね」ニコニコ

チコ「あ、そうだ、例のもの」

チコ「あ、わ、忘れてたっ!はいっ!お近づきになったしるし!



  ――――――――ダイヤモンドの原石ですっ!故郷にあったの!」キラッ!

ロゼッタ「」

チコ「これをあげると、ママがとっても喜んでくれるんだよ!」

チコ「ぜひ受け取って!お願いします!」

ロゼッタ(上納金!?)

719Mii:2021/10/24(日) 00:19:17 ID:nJa12BZA
チコ「…………」ジーッ

ロゼッタ「…………」ダラダラ



ロゼッタ「う、うわぁー!ありがとう!いただいていいのかしらー?
    ちょ、ちょうど欲しかったところなのよー!」ナデナデ

チコ「わあっ…!本当に喜んでもらえたぁっ!!ありがとう先輩!」

チコ「えっへん、どういたしましてー!」









ロゼッタ(後ろめたくならない後ろめたくならない後ろめたくならない)

チコ「???」フヨフヨ

チコ「…や、やっぱり要らない?」



ロゼッタ「…………欲しいですごめんなさい」

720Mii:2021/10/24(日) 00:23:14 ID:nJa12BZA
〜回想(take3)、キノコ城〜



ロゼッタ「いきなり呼び出されましたけれど、どうされましたか?」



ピーチ「ロゼッタ、ちょっと肩もんで。書類とにらめっこばっかりで疲れちゃった」

ロゼッタ「…は、はい」モミモミ



ピーチ「ロゼッタ、今日1日お料理は任せるわ。たまには息抜きしたかったの。
    拒否権なんてないからね」

ロゼッタ「簡単なものしか作れませんが…」シャカシャカ



ピーチ「ロゼッタ、適当に城の隅々まで掃除しておきなさい。
   私は優雅に会議に出かけるけど、手抜きはしちゃ駄目よ?魔法を使ったズルも禁止ね。

   はい、モップと雑巾、ホウキとチリトリ」

ロゼッタ「…わ、わかりました」サッ サッ

721Mii:2021/10/24(日) 00:26:17 ID:nJa12BZA
ピーチ「さてと、ロゼッタ。お友達料金なんだけど」

ロゼッタ(来てしまいましたっ…………)ズーン







ピーチ「とりあえず残高が心もとなくなってきたみたいだから、
   口座に10万コインほど振り込んでおくわ。今日はありがとうね」

ロゼッタ「ですからっ!!そんな大金いりませんっ!!
    これ見よがしに雑用させて対価として押し付けて!!」

ピーチ「私が自由に使えるお金に限っても、10万コイン程度、はした金なんだけど…
   そのお金を有効に使って、もっとお姫様らしく過ごす努力も、多少はしなさい。
   いつ、部下を抱えて政を行うようになるか、わからないんだから」

ロゼッタ「ほうき星の主としてチコたちと楽しく暮らす現状で十分ですよ…」

ピーチ「とにかく!いいから、受け取っておきなさい。
   鉱脈狙いとか…経済基盤不安定にも程があるんだからね。
   なんやかんやで入用なんだから。襤褸を纏って過ごしたいの?」



ロゼッタ「…………わかりました」ズーン

722Mii:2021/10/24(日) 00:34:00 ID:nJa12BZA
〜回想おわり〜

ロゼッタ「偉そうなことを叫んでおいて、確かに全く自立できてない…」

デイジー「……………………お、おう。気付くのが遅いと言って欲しい?」

ロゼッタ「…………仕事しなきゃ…バイトでも探しましょうか…
    求人広告はどちらで手に入るでしょう…」

デイジー「面接官や客がビックリ仰天するだけだからやめい」



デイジー姫と別れて、さあ働こう。気落ちしようが、地下牢、もとい仕事場に戻ります。
…あれ?今日はもう働かないことにしたような…あれ?

まあ、国家プロジェクトに携わっている、と考えれば立派な、立派過ぎる仕事ですよ!
給料だってしっかり出ている勘定です。出たそばから借金返済に消えていくお金ですが。



今回のことで、思い至ったのは…………
定職に就くのは無理でも、機会あるごとにキノコ王国でこまめにお金を稼いだ方が
とっさの支出にも余裕で対応できていいに決まっています。
生活だってきっとよりよくなります。派遣の魔法研究職とか、いいかも。

「ロゼッタを易々と民間で働かせられないわよ!」というピーチ姫の叫びが
心の中に響いて…まさか、ありえませんね。幻聴です。働けるなら御の字です。
働かざる者、食うべからず。うん、頑張ろう。

723Mii:2021/10/24(日) 00:40:51 ID:nJa12BZA
また研究室に篭って、こそこそと実験を開始しようとしたところ。
様子を見に来たキノピオに、とある提案をされました。
きっと、昨日までの私を観察して、見るに見かねたというところでしょうか。



キノピオ「実験三昧に気が滅入るようでしたら、気分転換として。
    『スカイガーデン(仮称)』の建設に取り掛かってもいいんですよ?」



ロゼッタ「…………え?」



キノピオ「姫様は抜かりありませんから。ふふん。

    既に建設予定地は確保済、やろうと思えば近日中に
    作業に取り掛かれるような状況です。…色々と準備は必要でしょうけど。

    まあ、いますぐ作り始めるのは難しいにしても、たとえば下見――――
    ひろーい建設予定地に、ささっと案内いたしましょうか?
    汽車に乗ってざっと30分ってところですが」



私はその提案に、ものすごーくあっさり飛びつきました。

724Mii:2021/10/24(日) 00:48:07 ID:nJa12BZA
〜スカイガーデン建設予定地〜



ロゼッタ「…………ふわぁ」



見上げるは、広い広い、青空。ところどころに、白い雲。
まさにイメージにぴったり。



キノピオ「要するになんにもない、簡易柵で囲っただけのだだっ広い空き地ですけど」

ロゼッタ「気にしていたことを!!」



…いやでも、とにかく広い。やたらめったら広い。柵の内側、全部!?
高台から見渡せば、500メートル四方くらいは余裕である、茶褐色の土地が広がっています。
全部使っていいんですか、太っ腹!

キノピオ「まず、地上でコース全体をしっかり作成します。
    必要な機材、備品、人員…すでに構想を練り始めてくださいよ。

    でも、スカイガーデンは空中コースにするっていう注文が姫様から来ていますからね。
    コースに固定化魔法を掛けたあと、キノコ王国お抱えの魔法使いたち総出で、ふわりと浮かび上がらせます。
    少なくとも、ざっと100メートルくらいは。
    …あ、これはロゼッタさんにお任せした方がいいくらいですか」

725Mii:2021/10/24(日) 00:52:53 ID:nJa12BZA
ロゼッタ「せっかくですから雲も一緒に固定化して、足場にしてみたりですね…。
    浮遊足場と雲を飛んで、渡っていくコース!ああ、胸が高まります。
    でも、浮遊足場をそんなにたくさん、作成できるでしょうか。

    …いえ、怖気づいてはいけません!大丈夫!
    隔壁で、バディブロックで片っ端から支えてやればいいのです!善は急げ!」バッ

キノピオ「……!?お、お一人で、それもたった今から造られるおつもりですか!?
    そんなことができるのは、マリオさんくらいのものですよ!?無謀すぎます!」

ロゼッタ「これ以上時間を掛けていたら『反重力ペンキ』の方が間に合いません!
    基礎体力Lv1でロゼッタプラネットをなんとか造ることができたくらいですから!
    このくらい、たぶんお茶の子さいさいです!!

    さあ張り切っていきましょう!危ないかもですから後ろに下がっていてください!」





キノピオ「…………そんなに研究の方、ノイローゼ気味だったんですね」



――――ばれてます。

726Mii:2021/10/30(土) 06:44:41 ID:/W4lGY0Y
タララッ タッタッタッタッ。

タララッ タッタッタッタッ。

ロゼッタの3時間メイキング!



だだっぴろい空間が、目前に広がっています。
ここにどんどん物を設置して、私だけのコースを建設していくわけですね。

え?さっきキノピオに「まずは地上で建設しろ」って言われた?
ふふ、最初から空中にとどめておけるならば、それに越したことはありません。
全体像を常に把握するうえでも、ベストであるに決まっているではないですか。



さてさて、運び込まなければならない物は数多ありますが。
なによりも必要なのは…そうですね、基礎となる足場です。つまるところ、土砂とか岩盤です。
舗装、飾りつけの体積、重量だなんて、その下の土台に比べれば微々たるものです。

ちなみに、土砂や岩盤といった資材は、国有地から持ち出してよいそうです。なんとタダ!
「業者に頼んで大型トラック、浮遊船等で運んでもらえ」というのが通常の作戦になるんでしょうが。経費も出るみたいですし。



空間魔法使いの私の場合、ちょっと違った様相を呈します。
ロゼッタプラネット建設の際に得られた過去の実績もふまえて、なんとも小狡い手を使います。

727Mii:2021/10/30(土) 06:51:40 ID:/W4lGY0Y
ロゼッタ「当然、この建設予定地も国有なんですよね?巻き込みそうな配管なんかもなさそうです」

キノピオ「…それがどうかしまし――――――――」



すたすたと何メートルか歩いて行って――――突然、地面に土下座。
…もとい、ぺたんと両手を地面にくっつけます。



ロゼッタ「人払い、よし。安全、確認。…今の私の魔法制御力とFP量から鑑みて…
    2mくらいなら、きっとだいじょうぶ――――――――えいっ!!」パアアアアアア



さくっ!
シュインッ!



幅、約2メートル。  奥行、約2メートル。  そして深さ、約2メートル。



一瞬、地面に光り輝く切れ目がさくっと入ったと思ったら、次の瞬間。
立てた両ひざのすぐ前に、突如として、2m角の四角い穴が空きました。
中のキューブが、ごっそり消えた状態です。

キノピオ「」

728Mii:2021/10/30(土) 06:55:29 ID:/W4lGY0Y
…おっとと、あやうく前のめりに落ちる所でした。
落ちても2メートル程度、今の私には頭から落ちようと痛くもかゆくもないですが。

キノピオ「えっ?えっ?ええっ???」

慌てふためくキノピオを他所に、杖を片手にふわりと浮かび上がって、上昇、上昇、ぐんぐん上昇――――

キノピオが豆粒くらいに見えるところまで、慎重に慎重に上昇して。
うわっ、結構風がきついですね。ふらつかないように気をつけないと。



ロゼッタ「というわけで、足場用に用意した土が…はい。こちらになります」パアアアアアア



PON!!!!

キノピオ「…………!?」



私のすぐそば、上空100メートルあたりに、突如として。
1辺が私の身長とおんなじくらいの、綺麗にカットされたサイコロ足場が現れました。
準備がいいですねー。…異空間に収納してたのを出しただけですが。
あとは、角度や位置を微調整してですね。



ロゼッタ「はい、ストップ!それでは、空間に固定化させますね…設置おわり!!」パアアアアアア

729Mii:2021/10/30(土) 07:01:08 ID:/W4lGY0Y
ここまで重くて巨大な物を扱うと、流石に杖は不可欠ですが。
魔法をレジストするなんてもこともないただの地面でしたし、問題なし問題なし。
注ぎ込むFP量さえ潤沢ならば。見事、上空100メートルに小島がひとつできました。
まだ1つ。たったの1つですが、これが最初の一歩になります。

この足場はしっかりと絶対座標で固定化したので、もう落ちてきません。…落ちてきませんよね?
久しぶりでちょっと不安だったので、1分ばかり傍で様子を見守ります。

…ふう、大丈夫大丈夫。ひゅるひゅると降下していって着地。
キノピオはどうやらさっきから口をあんぐり開けたままです。



ロゼッタ「さあ、このやり方で問題なさそうなので、…この調子で――――」パアアアアアアアアアア

キノピオ「ま、ま、まちがっても上空で制御しそこねて落としたりしないでくださいねっ!!」

ロゼッタ「勿論ですよ、命に関わりますしね!安全第一!」



キノピオ「…………」





キノピオ(…………こんなことができるんだったら、攻撃手段に乏しいとか言いながら
    重量物を敵の上から落とせば普通に攻撃できるんじゃあ……………)

730Mii:2021/10/30(土) 07:04:57 ID:/W4lGY0Y
地面に降り立ち、地面をキューブ1つぶん異空間に格納し。
上空に舞い上がり、切り出したばかりの地面を取り出してセットする。
ケーキを切り分けて配膳していくみたいに、地面がさくさくと切り出されていきます。…負荷は、大きい、ですけど。

アバウトながら、事前に考えていた構想に沿って…上空にて、整列、整列っ!!
…こういったクリエイティングって、妙に面白かったりするんですよね!

キノピオ「…マインクラフト?」



さくっ!
シュインッ!
PON!!!!

さくっ!
シュインッ!
PON!!!!

さくっ!
シュインッ!
PON!!!!

さくっ!
シュインッ!
PON!!!!



キノピオ「うっわー…………」ドンビキ

731Mii:2021/10/30(土) 07:45:16 ID:/W4lGY0Y
コースの幅は、どうしましょうか。一般的なコースを思い起こすなら――
ざっと言うと、舗装面を20メートル、後は悪路部分を両側10メートル、そして壁……。

いえいえ、折角の空中コースということでしたら、開放感を出すためにも
狭い幅の方がいいですよね。こう、柵として蔓(つる)を這わせてオシマイ、とか。
うん、空中庭園に根付くツタや蔓。想像してみましょう、幻想的でいい感じです。



そうと決まれば、キューブは10個ほど並べてくっつけてコース幅として…
曲面を描くのは次工程にお任せして、とにかく思いつくままに並べて、並べて、
ただひたすらに並べ倒してしまいましょう!!

工期を6か月…いえ3か月くらいにして、ここに試走も含めてしまいましょう。
やるべきこと、用意するものは山積みです。計画をしっかり立てないと。
そうです、ピーチ姫のお怒りをすっかり忘れてしまっていました。油断してはいけません!

工夫すべきところは…ああ、そうだ。
FP枯渇の心配はしすぎることはないですから、チコたちにも応援に来てもらいましょう。
あと、ある程度の固定化は、キノコ王国お抱えの魔法使いさんたちに委ねるべきですね。
ひとりで抱え込もうとすると自滅しそうです。

…あ。人海戦術は相変わらず有効なのですよね、そういうことなら――――



ロゼッタ「キノピオ!いくらか、お借りしたい物や援軍があるのですが――――!」

キノピオ「は、はい!どうぞなんなりと申しつけ下さい!」

732Mii:2021/10/30(土) 07:50:31 ID:/W4lGY0Y
〜3時かn…………6時間後〜

キノピコ「…………様子を見に来たんだけど、なにこれ」



ロゼッタ(分身体)「オーライ、オーライ!あと50cm近づけて!」パアアアアア

ロゼッタ(分身体)「せーのっ!…よし、ドッキングOK!
         ズレなし、凹みなし、たわみなし!次持ってきてください!」パアアアアア

ロゼッタ(分身体)「そこの分身体!魔法のキレが悪くなってます!
         地上に戻って休憩とってください!10分離脱!」

ロゼッタ(分身体)「はらひれ……夕闇がぐるんぐるん回って見えます…疲れましたあ…」フラッ

ロゼッタ(分身体)「はい、FP欠乏してる人にメイプルシロップ配って回りますよ!とっとと口を開けてください!」

ロゼッタ「2番と6番っ!キューブの繋ぎ方が間違ってます!修正してください!そう、それ!
    今目の前にある経路方向、約10ブロック分!そろそろカーブを描き出しますから!」

ロゼッタ(分身体)「…うわ、確かにこのままだと…あっちのキューブ群と連結できない…!
        急ぎ固定化を解除してやり直します!見つけていただき感謝します!!」パアアアアア
        
ロゼッタ(分身体)「あ、すいません!そろそろマップがおぼろげになってきて…
         その予定図、もう一度みせてください!」

ロゼッタ(分身体)「そろそろ今日はやめにしませんかー!
         ちょうど、照明用の強力ライトも電池切れっぽいのでー!」ガシッ

733Mii:2021/10/30(土) 07:58:26 ID:/W4lGY0Y
ロゼッタ(分身体)「もうちょっとだけ!切りのいいところまで進めましょうよ!」

ロゼッタ(分身体)「駄目です!そういうメリハリのない作業が事故のもとになるんです!」

ロゼッタ(分身体)「そろそろ、別の所から土を持ってこないと限界に近いですね…まだまだ足りない。
           土壌汚染もない、いい質の土のありかを探っておきましょう」



キノピオ「…………土砂支給、最前線活動、ダブルチェック、救護、回復、監督、照明…
    役割分担を持ち回りでこなしてます、あのロゼッタさんたち」

キノピコ「ロゼッタさん1人いるだけで、建設業の人たち上がったりだねー。
    …っていうか、コースの下の地面が抉れに抉れてるんだけど。採掘場か何か?」



ひとまず、スタートダッシュでノリにノッてみて、いい感じに作業が捗りました。
でもさすがに3時間では気が済みませんでしたね!





…時間は掛かろうとも1人1人によく聞いて回って本日の進捗確認をすればよかったのに、
分身体に消えてもらって全員の経験値を還元したところで…極度の疲労でぶっ倒れる羽目になったのは内緒です。
みんなの気付いた点も含めて手っ取り早く把握しようとして横着しましたが、駄目でしたね。

もう二度としません。おそらく。

734Mii:2021/10/30(土) 08:06:42 ID:/W4lGY0Y
ほうほうの体でキノコ城に帰って、一晩空けて、目覚めのいい朝。

肉体的には大層疲れていたはずなのに、それでも精神的に参っていた時よりはいい感じの体調です。
今日なら、なんだか実験も上手くいきそうな気がします。さえずる小鳥の鳴き声に応援されているかのよう。

…よし。これからも、実験に躓くたびに、思う存分コース作りに邁進する、ということに。
城の片隅にいつの間にかドンと陣取った超巨大タンクと、大量の大量のペンキさんたち、
もうちょっと待っておいてくださいね。





都合よく重力を操れる魔法を完成させ。

それを、ただのペンキに基本特性として馴染ませ、浸透させ。

時間の経過や繰り返し使用、荒れたレースでも劣化しないことを十分に検証し。

仮にそこまでできたとして、無尽蔵とも言える膨大な量をただひたすら製造していく、
スケールアップの方法を思いつかなければならなくて。





…気が滅入りそうな話ですが、着実にこなしていきたいと思います。

ロゼッタ「魔法使いとして…そう、腕が鳴りますよね!」

735Mii:2021/10/30(土) 08:10:12 ID:/W4lGY0Y
〜12月31日〜



ガヤガヤガヤガヤ・・・・・・・・



技術者「よし、皆、準備はいいか!覚悟はできたか!
   怖気づいて年の最後までだらだらと延ばしてしまったが…しかと責務を果たすぞ!
   微力ながら、ロゼッタ様をお助けするのだ!」



技術者「私たちにできるだろうか…」

技術者「不安だ…足手まといになるだけなのでは…」

技術者「…ええい、いつまで不安がっている!情けない!
   確かに、ロゼッタ様の魔法の実力は物凄い!まぎれもない事実だ!

   だが、姫様より言いつけられた、塗料のマジックアイテム化には
   手がかりがつかめず、なかなか難儀されている模様!
   数年前から研究を重ねて来て、実績もある我々が指導してやらなくてどうする!」

技術者「『実績もある』っていうけど…これだけの人数がよってたかって研究重ねて、
   達成したのは、たかだか反重力作用効率0.5%じゃあないですか…
   まだまだ使い物にならない、有って無いような実績っすよ…」

技術者「情けない弱音を吐くな!」ドンッ!

736Mii:2021/10/30(土) 08:15:43 ID:/W4lGY0Y
反重力作用効率とは、すぐ上に位置する物体に対して及ぼすことのできる反重力が
もともとの重力の何パーセントまで到達しているかを表す数値である。



0%ならば、それは唯の地面である。物体の全重量が塗布面にかかり、
単純に接触による反作用によって支えられる。

50%ならば、重力の半分を反重力作用が打ち消してくれる。
いつもの半分の力を加えるだけで、物体は持ち上がる。
多少なら塗布面から離れた位置にも、反重力作用は働くからだ。

100%ならば、重力まるごと、反重力作用が打ち消してくれる。
指にちょっと力を加えるだけで、持ち上がる、押し出せる、引っ張れる。
面白いのが、重力が塗装面と逆向きにはたらいていれば、
反重力は塗装面に吸い付く向きにはたらく。
つまり、「上下さかさまのコースを走っているときでも落ちなくなる」。

ただし、反重力作用効率100%という一定値を常時発揮しているのでは困ってしまう。
このままでは、段差でのジャンプ、クラッシュなどで塗装面からの距離が変化した場合、
距離が変わったままになってコースに復帰できない。
いつもなら当たり前の「重力に従ってコース上に戻り距離が(0に)保たれる」流れがないからだ。



カートが塗装面に近づき始める、離れ始める瞬間瞬間に、即座に反重力作用効率を100%を中心に上下させて、
「浮かせつつも、気持ち吸い付かせ続ける」効果をもたらしてくれる必要がある。
そうすることで、レース中のカートは抵抗なくふわりと浮き上がって走ることができる。

この臨機応変、ご都合主義な制御力をただのペンキに付与する…並大抵のことではない。

737Mii:2021/10/30(土) 08:19:32 ID:/W4lGY0Y
…まあ、そもそも現状では1%にも到達しておらず、先は長い。
それも、トップデータで1%である。そして、たった1滴作るのにも莫大な時間と経費が掛かっている。
研究とは、中々骨の折れる、そういう地道なものである。



技術者「我々の研究成果自体は既にロゼッタ様に資料でお渡ししてますし、
   別にわざわざ出向かわなくてもいいじゃないですか…。
   目の前でアッサリ我々の成果が追い抜かれていくところ、見たくないよ…」

技術者「…それは、仕方のないことだ。それでも!
   いくらロゼッタ様と言えど、0から1を生み出すことはできんのだ!
   ロゼッタ様が研究の最初の一歩を踏み出すところのアシストこそ、我々の役目!
   王国お抱えの技術者としての矜持、自尊心というものはないのか、みんな!

   一仕事したあとで、ロゼッタ様が1から100を生み出すところを
   ニマニマしながら眺めようじゃないか!今のロゼッタ様の功績があるのは我々のお陰だ、と!」

技術者「…………!!」

技術者「…………!!」

技術者「…………!!」

技術者(…ようやく目が醒めたか……やれやれ。世話が焼ける部下たちだ。
    でも分かってくれたようで何より。その想い、その輝き、忘れるなよ)

技術者「いざ、ロゼッタ様が彷徨う実験室へ、レッツゴー!」

技術者「「「「……………おおおおおー!!!」」」」

738Mii:2021/10/30(土) 08:25:47 ID:/W4lGY0Y
〜実験室〜

やや荒っぽく打ち鳴らされるノック音。



技術者「「「「「「「「ごめんくださーい!!!!」」」」」」」」ドドドド・・・!!



ロゼッタ「わわっ!お、大勢でいらっしゃいませ!どうかなさいましたか?」

技術者「実は私たち、反重力作用のアイテム研究における先駆者として居ても立ってもいられなくなりまして!
   大したことはできない技術者揃いではありますが、お困りの様子のロゼッタ様の手助けになればと、駆けつけた次第であります!
   少しでも気持ちを楽にして新年を迎えて頂きたいので!」

ロゼッタ「まあ、まあ!それは大助かりですっ!大したことはできないだなんてとんでもない!!
    まさしくグッドタイミング、意見を伺いたかったところなんですよ!
    はい、どうぞこちらの椅子にお座りください!」パアァ



――――技術者たちは思った。我々が来たのは無駄ではなかったと。



技術者「そうでしょうそうでしょう、さすがのロゼッタ様も研究開発方針を決めかねていたことでしょう!
   敵は超難題、100年に1度ともいえる世紀の大仕事ですから!

   資料は一応お渡ししておりましたが、やはり直接打ち合わせをするのが一番――」

739Mii:2021/10/30(土) 08:28:37 ID:/W4lGY0Y
ロゼッタ「そう、それです!頂いた資料の内容の課題点を1個1個潰していってですね!
    必要に応じてどんどん改変、改良もしていってですね!

    



    この1週間であれこれ挑戦して試行錯誤した結果、とりあえず。
    反重力作用効率 10% の『1次ペンキ』が10Lばかり完成したんですが
    使用感を確かめて頂けないでしょ――――――――」



技術者「「「「「「「「お邪魔しましたー!!!!!!!!!」」」」」」」」バタンッ!!!

技術者たちは 逃げ出した!▼





ヤッパリ アドバイスナンテ イラナイジャネーカ、リーダー!キテソンシタ!
テンサイハ ボンジンノドリョクナンテ アッサリ ダシヌイテイクンダ・・・・
エエイ、サケダ!サケモッテコイ!ノマナキャ ヤッテラレネェ!





ロゼッタ「…………え?ええ?」ズルッ

740Mii:2021/10/30(土) 11:55:22 ID:/W4lGY0Y
チコ「体重計に塗ってから乗るとー!あら不思議!
  ボクたちの体重も、ママの体重も、10%軽くなるー!!」

チコ「だから何だと言われると…なんだろー」

ロゼッタ「痩せた気になれてちょっといい気分ー!」



ロゼッタ「…………………………………………」



ロゼッタ「そ、それ元の場所に隠しておきなさい!気の迷いの暴挙だからっ!
    見られてないわよね!?ちゃんと隠せてたわよね!?
    …体重計をこんなところに持ち出したママもママだけど!」

チコ「まっかせなさーい!」フヨフヨ

チコ「気にしなくてもいいのに、体重なんか」フヨフヨ

ロゼッタ「んもう。…………第一段階まではクリアしたことにしておきましょうか。
    そうですね、新年もなんとか心置きなく迎えられそうですね」



年末…………午後の時間を軽く使って、実験室の掃除でもやっておきますか。
あとは街角で買い物でもしながら、つかの間の休息を楽しみましょう。
最近どうにもおろそかになりがちな身だしなみを整え終えたら、デイジー姫に声を掛けてみましょうか。

741Mii:2021/10/30(土) 12:00:25 ID:/W4lGY0Y
結局、掃除を済ませた後は運よくデイジー姫と都合が付き、
いつもどおりと言いますか、あれこれ見て、食べて、年越しイベントに参加して。
デイジー姫はアルコールまで少し飲んでいましたが、私は遠慮しておきましょう、か。

もうすぐ日付を跨ぐというのに、花火が賑やかに、人々の心を潤します。
カウントダウンを心待ちにしている人たちで、イベント会場は大賑わい。
…というか、クリスマスの段階で薄々と感じてはいましたが。
タブー戦からの復興、恐ろしく早いです…。



ルイージ「兄さんもピーチもいないし、クッパに任せるのもなんだしってことで、
    どういうわけが僕が巡回パトロールやってるよ、はあ…」

デイジー「お勤めご苦労様―!まあ、そんなに問題起こすような人もいないでしょ!
    ほれほれ、配られてたお酒の余りを進ぜよう」

ルイージ「とりあえず、目の前に問題を起こしそうな人が1人いるんだけどね…」

デイジー「どこどこ?」



テンションが低いルイージとも合流しました。
マリオとピーチ姫がバカンスで不在なこともあって、抜擢されたということで。
責任重大ですね、頑張ってください。ささやかながら回復魔法を掛けておきました。
効いてきたのか、ちょっと笑顔になってくれました。

…ところが、どうしたことでしょう。不可解です。
私を見るなり、一転して本当に元気になって、ニヤケ笑いを浮かべ出したのですから。

742Mii:2021/10/30(土) 12:03:12 ID:/W4lGY0Y
ルイージ「ところで、ロゼッタ!ちょうどいいところに!
    というか、あやうく伝えそびれるところだったよ!ほんと危なかった!

    最近ためてばっかりのストレスを発散するための、
    ナイスなイベントを企画したんだけど!」

デイジー「おおっ!例の件か!」

ロゼッタ「例の件?」

デイジー「私も内容までは知らないけど!憔悴したロゼッタを気分転換させる策!」



あらま。そこまで気を遣ってもらっていたとは、かたじけない。



ルイージ「元旦から、さっそくキノコ城前に集合してくれるかな!詳しいことはその手紙に書いてあるから!」

そのままニマニマと笑いながら、手紙を差し出してきました。…手紙?



ロゼッタ「はあ…読ませて頂きます――――」

特に拒否することもなく、すなおに受け取ってみますが。
あ、デイジー姫も同じように受け取っていますね。興味津々なご様子。
それにしても、元旦からとは……。

743Mii:2021/10/30(土) 12:05:51 ID:/W4lGY0Y



ロゼッタ「…………元旦、から?」ピタッ

ルイージ「うん!」





ちょっと、日付を確認してみます。
…あ、つい先ほど1月1日になりました。ハッピーニューイヤー。ぱちぱちぱち。



ロゼッタ「あと数時間で何かイベントが始まる、と?」

ルイージ「そうだよ!正確には午前8時頃にまずは集まってもらうけど!
    準備が間に合ってよかった!観客も無事に動員できそうだ!」フフン

ロゼッタ「…………かん、きゃく?」

デイジー「…………」



デイジー「話が急すぎるわアホンダラァ――――!!?」ドゴォ

ルイージ「」チーン

744Mii:2021/10/30(土) 12:15:11 ID:/W4lGY0Y
ロゼッタ「よ、よ、用意とか何にもしていないのですがっ!!」

こういった観客を呼び寄せる催し事って、常識的には
もっともっと前から関係者には内容を伝えられるんじゃないでしょうか。

ルイージ「…と、とくに用意はいらないです。
    早く寝て、起きて、集まってくれさえすればいいです。
    あとはこっちでお膳立てしますです、はい」ボロッ

デイジー「ったく、無責任な仕切り方をしてくれるんだから…
    どうなっても知らないよ、ルイージが全責任負ってね。
    …とにかく、明日の朝に城の前に集まればいいんだね?

    …ってか、観客まで集めるってことは私たちへの情報統制までやってたんかい。
    全くイベントとやらに気付かなかったよ。努力の方向音痴とはこのことだね」

ルイージ「え?別にそこまで隠そうとはしてなかったけど…?正直、ある程度ばれているものとばかり…」

デイジー「企画担当の影が薄いとイベントにも伝染するのか」

ルイージ「」グサッ



いったい、何のイベントでしょうか?しっかり手紙の内容を読んでおかないと。
明日が…いえ、日付的に今日が非常に心配です。



とりあえず、一にも二にも、早く寝て備えましょう。

745Mii:2021/10/30(土) 12:19:16 ID:/W4lGY0Y
〜1月1日 AM 7:30 キノコ城前〜

ワルイージ「おうおう、お揃いで。お前らもルイージに呼ばれたクチか?」

ロゼッタ「ワルイージではないですか!お久しぶりです!」

デイジー「妙な組み合わせだなあ…いや、違うか。
    今回のイベントとしては、むしろ… ベストメンバー か。憎いことをするなあ」



とりあえず軽く睡眠をとって、言われた通りに集まってみれば。
すでにスタンバイ状態の人が。そう、ワルイージでした。
彼も、ルイージから手紙を送られて、面倒だけどやってきたそうです。



ワルイージ「イベント事に参加できるってだけでもありがたいことだからな」

デイジー「切実感がひしひしと伝わってくるね。私も身に染みてわかってるよ…」

ロゼッタ「なるほど、私にもよくわかります…」





2人「「嘘つけ」」

ロゼッタ「なんでですか!?」ガーン!

746Mii:2021/10/30(土) 12:21:54 ID:/W4lGY0Y
あ、駄弁っているうちにルイージも現れました。



ルイージ「よーし!皆、集まってるね!
    不肖ながら、今日だけは僕が リーダー を務めさせてもらうよ!
    困ったことがあったらなんなりと聞いてね!」

ワルイージ「ええええええ」

デイジー「ええええええ」

ロゼッタ「きょ、今日だけと言わずいつでもどうぞ!」

ルイージ「ロゼッタの優しさが眩しい」



――――さて、さっそく会場に向かいましょう…!





ルイージ「会場に向かいたくてうずうずするのも分かるけど、まずは初詣に行こう!」



――――違ったようです。

747Mii:2021/10/30(土) 12:25:41 ID:/W4lGY0Y
〜神社〜



デイジー「勝利祈願?また、大層な」

ワルイージ「とにかく勝利の為に、藁でも縋りたい気持ちなのは察するけどよ」

ルイージ「進行役なのに酷い言われよう!」

ロゼッタ「お賽銭箱にコインを投げ入れて、今年1年が良い年であるよう願うと共に
    願いごとや目標を誓えばいいんですよね」



人払いでも、されているのでしょうか。他の参拝客が、不自然なほど見当たりません。



デイジー「くっ!こんな場所に来るんなら浴衣を着て来たらよかった!」

ルイージ「いや、着物ならともかく浴衣は駄目でしょ。なんで浴衣?」

デイジー「なんかピンときた」



鳥居をくぐって進んで行って、お賽銭を入れて、鈴を鳴らして。
…スーパーベルが取り付けられている気がしますが気のせいです。絶対に気のせいです。

748Mii:2021/10/30(土) 12:28:05 ID:/W4lGY0Y
ぱちりと両手を合わせて、心の中でお願いごと。
横目でちらりと伺えば…皆さん、真剣な顔つきです。私も、ええっと。





ルイージ(ルイージの年が末永く続きますように)



ワルイージ(せめてマリオカートで大活躍できますように)



デイジー(ピーチは一応大丈夫とは言ってくれたけれど…
    次回スマブラにしっかり参加できますように)



ロゼッタ(3Dワールドに新要素とか追加されちゃったりして、いつかまた脚光を浴びますように…
     ハッ!?変な電波が飛んできました!?)





いよいよ本当に、会場に向かうことになりそうです。

749Mii:2021/10/30(土) 12:31:01 ID:/W4lGY0Y
〜ミニゲーム会場〜

キノピオ「司会進行をさせていただきますキノピオです!」

キノピコ「同じく、司会進行役のキノピコでーす!」



ワー!ワー!



――――何度かイベントを経験する中で、流石に怖気づくことはなくなりましたが。
――――大勢の観客に恥ずかしいところを見られやしないかとヒヤヒヤです。



キノピオ「それではっ!これより!

    『マリオパーティ100 ミニゲームコレクション大会』を開催いたします!

    これまで開催してきたマリオパーティ大会に収められてきたミニゲームを、
    ドドンと100種類もピックアップ!有効活用ですね!

    懐かしい、あのミニゲーム!楽しかった、そのミニゲーム!
    さまざまなミニゲームが、再び皆さんの目の前に現れますよ!
    本日は存分にお楽しみください!」

ウオオオオオオオオ!!!

750Mii:2021/10/30(土) 12:39:34 ID:/W4lGY0Y
観客「俺、初代マリオパーティの第1回大会から観戦してるもんね!」

観客「すっげー!暇じ…熱心なんだなー!この迫力と駆け引き、たまんないよな!」

観客「今回はボードを動き回ることはせず、ひたすらミニゲームで争うんだってよ!
  なになに…ほほう、午前の部がチュートリアル、午後の部が本戦って感じか…」

観客「なにそれ、どういうことなの?」



観客「ええっと、今回はメンバーが固定されているんだって。



   初代から皆勤賞、ベテランのルイージさん。
   
   それに立ち向かうのが、第2回以降の大会に向けてモニターも兼ねた
   デイジーさん、ワルイージさん、そしてロゼッタさん。



   慣れている人と慣れていない人を集めて、
   観客にはギャップを楽しんでもらおうっていうコンセプトらしいぞ、パンフレットによると」

観客「それって、ルイージさんが超有利ってこと?」

観客「いや、そこはしっかりと配慮されているらしくて――――」

751Mii:2021/10/30(土) 12:42:27 ID:/W4lGY0Y
〜生中継、ミニゲームアイランド〜



キノピオ「ミニゲームがいっぱいの島、『ミニゲームアイランド』へようこそ!
     ミニゲームのウデだめしをしながらどんどん進んでいきましょう!

     それでは、さっそくスタートです!
     まずは、ルイージさんの待つ本戦会場をめざして進みましょう!」



ロゼッタ「…本戦会場?」

ワルイージ「一体どういうこった?そこまで詳しいことは手紙にも書いてなかったぞ?」

デイジー「ありゃ?そういや、ルイージがいない?」キョロキョロ

キノピオ「はい。ルイージさんは、皆さんに比べてミニゲームの経験値が高いですよね。
    なにせ、初代マリパから参戦してますから。

    このままぶっつけ本番だと慣れ不慣れの差が思いっきり効いて、ルイージさんの圧勝になってしまいます。
    そこで、午前の部では…このミニゲームアイランドで幾ばくか鍛えてもらうという流れです。
    ルイージさんは実況解説のゲストとして本戦会場でひたすら頑張ります。

    このミニゲームアイランド攻略中は、特に順位付けや得点勝負の要素はありません。
    御三方でミニゲームに慣れ親しんで行ってください!

    そして、いよいよ午後の部で、満を持してルイージさんを加えた4人で本戦を行います!」

752Mii:2021/10/30(土) 12:47:06 ID:/W4lGY0Y
デイジー「…とは言っても、しょせん1回ずつこなすだけでしょ?
    やっぱりルイージとの経験の差は如何ともしがたいんじゃないのかな」

キノピオ「もちろん分かっていますから、特別ルールを適用し…今日午後の本戦は。

    『3人の1位獲得数合計』と『ルイージさんの1位獲得数』で勝敗を決めます。

    ルイージさんもそれで大丈夫大丈夫、と高を括っていましたよ」

デイジー「ちょっ!?」

ワルイージ「なあっ!?そいつは流石にハンデ貰い過ぎだろ!ルイージの奴、舐めてんのか!気に食わねえ!」

キノピオ「ちなみに、会場で販売されている公営賭博のベットとしては
    ルイージさん側にちょっと分がある…勝つと見込まれているみたいですね」

デイジー「むっきー!!よしワルイージ!カメラに向かってルイージに宣戦布告だ!
    ふんぞり返って調子に乗って、あとで泣き面見せるのはどこのどいつになるだろうな、って!」

ロゼッタ(…『ハンデ貰えるのなら貰っておきましょう』と呑気に言えない雰囲気です)



色めき立つデイジー姫とワルイージをまあまあと宥めながら、
午前の部では…ミニゲームアイランド、というチュートリアルをこなしていくことになりました。
…わわっ!こちらにも結構観衆が集まってますっ!?て、テレビ中継まであるんでしたっけ!?

最終的な勝敗も大事ではありますが、なによりも…みっともない結果をお見せしませんように!

753Mii:2021/10/30(土) 12:50:58 ID:/W4lGY0Y
〜まきわりNo.1【マリオパーティ9】〜



ヨッシー「ミニゲームの対戦メンバーでーす!」

ワリオ「給料くれるんならなんだってやるぜー!」

ヨッシー「じゃあまずは私から――――」



ワルイージ「なるほど、このミニゲームアイランドじゃ…
       ヨッシーとワリオ、2人のうちどっちかが、毎度4人目として入ってくれるんだな」

デイジー「マリオとピーチがバカンス中、ルイージはシードだから仕方ないね。
    よーし、さっそくやっていくよ!やったことないのはロゼッタだけか。頑張って!
    いちはやく薪(まき)を3本割ったら勝ちだからね!

    ボム兵に斧を振り下ろすと1回休み!
    斧をかざして防御していなかった他の人も、爆風受けて休みになるから気をつけて!」

ロゼッタ「わ、わかりました!」



デイジー姫に急かされて。4人の中央にある切り株にむけて、斧をしっかり構えます!
観客の皆さんがたも、しぃんと静まり返り、固唾を飲んで見守ります!

754Mii:2021/10/30(土) 12:53:06 ID:/W4lGY0Y
――――ハイヨッ!

薪が 置かれた!▼



ロゼッタ「薪だから振り下ろしてだいじょ――――」スッ



ワルイージ「どりゃああああああ!!!」スパコーン!! +1pt

デイジー「負けるかああああああ!…って言ったそばから負けたああああぁぁ!」スカッ!!

ヨッシー「私は『ふつう』に頑張ります。慣れてもらわないと意味がないですから。
    …でも、あんまり気遣う意味がないですか?」

ロゼッタ「」



振り上げた状態で固まって、何もできませんでした。
…ああ!そういう早い者勝ちミニゲームなんですね!!理解が遅くてすいません!





はい、気を取り直して、次!

755Mii:2021/10/30(土) 12:56:07 ID:/W4lGY0Y
――――ソイヤッ!

薪が 置かれた!▼



ロゼッタ「(腕に小さなダッシュリングを嵌めて)高速で振り下ろすッ!!」スパコーン!!

デイジー「おおおっ!!」



審判「魔法を使用してミニゲームを有利に進めるのはルール違反です。
  ロゼッタ選手、得点無効のうえで1回休み」

ロゼッタ「」

ワルイージ「ま、当然だな!ズルはいけないぜぇ?」



――――ホイッ!

薪が 置かれた!▼



デイジー「今度はもろたでぇ!!」スパコーン!!

ワルイージ「ちぃっ!」

756Mii:2021/10/30(土) 13:00:14 ID:/W4lGY0Y
ヨッシー「だーかーらー。ロゼッタさんに慣れさせましょうってばー」

デイジー「手を抜くのは好きじゃない!」

ワルイージ「同じく!」



――――アラヨットッ!

ボム兵が 置かれた!▼



ヨッシー(しょうがないなぁ、ボム兵の爆風の防ぎ方を学んでもらうためにも
    あえて振り下ろしてあげますか。親切心親切心っと)スゥッ

デイジー(血迷ったか、ヨッシー!)

ワルイージ(男だな、ヨッシー!…男だっけ、ヨッシー?)





ロゼッタ(……………………!!)

757Mii:2021/10/30(土) 13:02:24 ID:/W4lGY0Y



デイジー「…………!」

斧を前に据えて ガード!▼



ワルイージ「…………!」

斧を前に据えて ガード!▼



ロゼッタ「…………こ、こうですか!」



斧を前に据えて ガード!
しかし 体に対して 斧が小さすぎて すり抜けた爆風が 普通に当たった!▼



ヨッシー「ぶわぁあー!」チュドーン!

ロゼッタ「ぶふぅっ!?」バタッ!

デイジー「審判さん!審判さん!ロゼッタの斧が不良品っ!取り替えてあげて!」

758Mii:2021/10/30(土) 13:04:19 ID:/W4lGY0Y
〜カウント1・2・3【マリオパーティ2】〜



ウロウロ、キョロキョロ。ゴソゴソ、ガサガサ。



ボム兵「動き回るぜー!頃合い見て爆発してくぜー!」



デイジー「うっわ、嫌っちゅう程に大量のボム兵だ…!
    これは、私やワルイージもやったことないや。
    似たようなミニゲームを探せば割とありそうではあるけど」

ワルイージ「ほうほう…最後に残ったボム兵の数を数えるのね。りょーかい」

ワリオ「給料出てるからな、まあ程々にいい成績出してやるぜ」









ロゼッタ(…………えっと、今が34体で…)

759Mii:2021/10/30(土) 13:09:08 ID:/W4lGY0Y
デイジー(ひい、ふう、みい……おいこら、重なって動くんじゃない!)

ワルイージ(こういうのは落ち着いて、グループを考えて各個カウントするといいんだよな。
     あんまり発生しないグループ間の行き来は視界の端で捉えて処理する。
     これぞ頭脳プレイってやつ?)

ワリオ(こんなもん、端っこから数えて、あとは雰囲気でプラスかマイナスに振れば大体何とかなるだろ)



ロゼッタ(…………………………………………………あれ?



    舞台の外から不定期に乱入してきたりするわけじゃない?
    特に面白いことも起きず、34体ですよね、うん。何かの引っ掛け?
    …あ、1体爆発して33体になりました。

    というより。数がどう変化しようと、終了1秒前に舞台を眺めれば一瞬で答えが出ますね。





    …もしかして今は寝てていいんでしょうか。いや、起きておきますけど)

760Mii:2021/10/30(土) 13:11:18 ID:/W4lGY0Y
〜ボタンでクライミング【マリオパーティ9】〜



ロゼッタ「」ポツーン



デイジー「どうしたのロゼッタ!早く登らないと!」ドドド

ワルイージ「カベのボタンをすばやく押して、てっぺんを目指せ!」ドドド

ヨッシー「棒立ちになって一体どうしたというのですか?さあ早く!
    A、B、A、B、X、Y、X、Y、上、下、右、左、リズムよく!」ドドド

ロゼッタ「何故か腕が動かないんですけど!?皆さんには何が見えているのですか!?
    AとかBって一体なんのことですか!?」

ヨッシー「やっていればそのうちわかります!
    登りたい気持ちが強ければ、おのずとナニカが思い浮かんでくるはず!
    その通りに心の中で叫びましょう!」

ロゼッタ「え、えええ!?」

ロゼッタ「…の、登る!登りますっ!なんでもいいのでこの崖を登りますっ!!
    意地でも登りますからねえっ!!」ガシッ!



案外 なんとかなった!▼

761Mii:2021/10/30(土) 13:13:58 ID:/W4lGY0Y
〜チョロプーのリベンジ【マリオパーティ7】〜

ロゼッタ「地上のチョロプーに叩かれないように、それでいてできるだけ
    地上に顔を出すと勝ち…体が砂だらけになりそうで億劫なのですが」

デイジー「そう言いつつも芸人さながら潜っていこうとするロゼッタを私は評価したい」

ロゼッタ「その言い方はやめてください。
    …これ、同じ穴から顔を出そうとする人が2人以上いたらどうなりますか?」

ワルイージ「そりゃ、少しでも後から来た奴は出られなくて真下で待ちぼうけだぞ?」

ロゼッタ「……………………真下からドレスの中を覗かれる!?嫌らしい!」サササッ!

ワルイージ「覗かねぇし覗けねぇよ!任天堂の不思議パワー働いてるよ!
     そんな心配が必要だったらマリパのミニゲームの半分は出来なくならぁ!」

ワリオ「そうだぞロゼッタ!言い掛かりもいい加減にしろよ!」

ロゼッタ「…す、すいません」



ワリオ「ったく――――さてと。金の臭いがするから一応カメラ用意しとくか」

ロゼッタ「ちょっとした冗談だと訂正しますよね?ね?今ならば許します」

デイジー「ミニゲームの話をしよーよ!」

762Mii:2021/10/30(土) 13:20:20 ID:/W4lGY0Y
〜まめのきジャンプ【マリオパーティ5】〜

デイジー「でりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃー!!登れ登れ登れー!!
     馬鹿と煙とデイジーちゃんは高い所が好きなんだー!」ゴオオオオ

ワルイージ「お前は馬鹿の範疇でいいだろ」ゴオオオオ

デイジー「このミニゲーム終わったら張っ倒す」ゴオオオオオ

ヨッシー「ひたすらジャンプして高く、高くっ!ちょっとでも高い所まで!」

ワルイージ「それにしても、ジャンプするほど一緒に伸びていくこの豆の木は一体何なんだろう」

ロゼッタ「…………これ、ミニゲームの特性的にどんなに頑張っても
    ジャンプ力自慢のルイージに勝てなくないですか…?まあ、いいですけど…
    ひょい、ひょい、ひょいっと…」






ロゼッタ「そして何より問題なのが、観客から様子が見えません!!」

ジュゲム「高い所の撮影もお任せをば!!」シャキーン

ロゼッタ「あ、はい」

デイジー「高さ1000メートル踏破ぁー!!」

763Mii:2021/10/30(土) 13:22:55 ID:/W4lGY0Y
〜ぜんまいヘイホーレース【マリオパーティ2】〜

デイジー「なるほど、ただひたすらにぜんまいを巻けばいいのか。
    巻き過ぎて壊れちゃったりしない?」



ワルイージ「壊れるらしいぜ、風の噂によれば」



デイジー「…え、壊れるの?」

ワルイージ「いや、ぜんまい仕掛けのヘイホー側じゃなくて。
     力をこめ過ぎた手のひらが、ボッロボロに壊れるらしい」

ロゼッタ「なんですかそれ、怖いですね…やめておきましょうか?」

ワルイージ「怖気づくのもカッコ悪いから、やるけどよ。所詮は唯の噂だ。
     おおうロゼッタちゃん、まさかビビったか?」

ロゼッタ「…び、ビビってなんかいません!」グルグルグルグル




ワリオ「……………………噂だったら良かったんだけどな。
   良い時代になったもんだなあ」トオイメ

デイジー「顔に似合わず達観されている方がこちらに1人」

764Mii:2021/10/30(土) 13:25:14 ID:/W4lGY0Y
〜クリボーボウリング【マリオパーティ9】〜



クリボー「整列して道幅方向に往復してやるから、倒したいんなら
    投げる向きを合わせてできるだけたくさん倒しやがれー!」

クリボー「「「「「「「「うおおおおおおお―――――――――っ!!」」」」」」」」ゾロゾロ



ロゼッタ「なるほど、投げる角度と位置を微調整して微調整して…
    クリボーたちの移動速度と、投げる甲羅の左右方向のベクトルの大きさを
    できるだけ揃えれば、クリボーの軌道に追随できるという寸法ですね。

    摩擦だとか壁との反発係数だとかは未知数ですが…えいっ!!」



クリボー「「「「「「うわあああああ――――――――っ!?」」」」」」ポコーン



ロゼッタ「…よしっ!先陣切ったので不安でしたが、うまくいきました!
    16体にヒット!8割倒すことができましたよ!どうですっ!!」

765Mii:2021/10/30(土) 13:26:39 ID:/W4lGY0Y
デイジー「要するに、深く考えずに角度なんて差し置いて、移動時間を与えないくらい
    ものすっごい剛速球で投げればいいんだよねっ!!知ってる知ってる!!」ゴオオオオオオッ!!! 18タイ!!

ワルイージ「変に理論計算とかやってると環境に左右されるからな!」ゴオオオオオオッ!!! 19タイ!!

ヨッシー「さながら、2次元の1直線に最初から身動き取れず1列に並んでいるがごとく!
    …ハッ!?わたしとしたことがつい本気で」ゴオオオオオオッ!!! ストライーク!!





クリボー「「「「「「「「ぎゃ――――――――っ!?」」」」」」」」ポコポコポコーン





ロゼッタ「競技の趣旨と駆け引きを無視しすぎていませんか!?
    指摘されてみると確かにそうですけれどもっ!?」

766以下、名無しが深夜にお送りします:2022/03/01(火) 04:25:16 ID:J.banIVQ
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/

767以下、名無しが深夜にお送りします:2023/03/26(日) 12:22:27 ID:o5kdvGlI
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□タイムテーブル
▼マリオカート8DX▽PUBG▽VALORANT
(10:30〜放送開始)

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