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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか、今度こそ」

1Mii:2020/12/13(日) 04:46:59 ID:9GX1QhWw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 【前々スレ】

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」【前スレ】

に引き続く続編となります。前々スレ、前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
過去作を読まれていないと把握困難な設定、独自解釈が多々あります。

遅い進行のうえに寄り道万歳のスレですが、引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。

ラナ「たったーん♪たかたかた〜ん♪
  そのほか、いくつか注意点をお知らせするよー。

     ・スレ主の、基礎体力面での戦闘能力解釈は、ざっくり言うと…
      キャラとしての登場時期の早さと、登場回数の多さで大方決まるからね!

      マリオ、クッパ、リンクを『3強』と表現してるけど、たとえばクッパVSガノンドロフだと、
      クッパが欠伸しながらパンチを繰り出すだけでガノンドロフを一撃粉砕できるくらいの力量差があるよ!
      パーティゲームに参加しないから仕方ないってことで、うん。敵があっさりやられても嘆かないで…。
      リンクとの差が付いた理由は、前々スレを読めばわかる、のかなあ…?

     ・前々スレ・前スレ同様、いろんなパロディ、メタ発言が散りばめられてるよ!
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義が白けるなら
      急がず慌てず別のスレに移って、このスレのことは忘れよう!
      
     ・ようやくスマブラ編が完結して…マリオカート編にちょっとずつ戻っていくんだって!よかったよかった!」

シア(…………ちょっとずつ?)

557Mii:2021/08/09(月) 14:02:57 ID:28rO9.d.
一旦、目を閉じて、物思いにふける。

――――そんな弱気で、どうしますか。
――――死ぬ確率の方が何百倍も高くても、足掻くと決めた。とっくに、決めた。



村人「いやぁっ! 助けて…! だれかぁっ! たすけてぇーっ!」

ルキナ「――――――――っ!!」カッ!



何を、ぼうっと突っ立っているのか。
畦道の少し向こうに上がる火の手。――――休む暇など、ありはしない。

ギムレー本体を倒すことも、大事。
村や町の人々を見つけ次第ことごとく助けていくことも、大事。
異形が蔓延らないよう対策をとることも、大事。

あらゆる自警活動が、一切手抜けないほど、一刻の猶予もないほど――――大事なのに。

ならず者「ぐはははっ! 奪えっ! 殺せっ!奪い終わった家には火を放て!町ごと消し炭にするんだ!
    これを見りゃ、抵抗しようなんて気が起きなくなるだろうからな!」

生き残りの人間同士ですら、強弱が生まれる。心を悪に染めた者が…
異形たちと徒党を組んでまで、略奪、殺戮の限りを繰り返す状況になるなんて。

彼らも、もしかしたら切実な苦しみ…已むに已まれぬ境遇に陥ったのかもしれませんが、
だからと言って無実の一般人を襲っていいはずがない。…当然、成敗対象です。

558Mii:2021/08/09(月) 14:06:07 ID:28rO9.d.
1人1人は私に比べて弱くとも、時として多勢に無勢は起こり得るもの。
気を引き締めて、再臨した最初の一歩を踏み出すことに、いたしましょう。





リンク「考えるより動けだ、ルキナっ!絶対誰も殺させやしないぞっ!!」ダダダダダッ!

ルキナ「はいっ!この剣に誓って、護り抜きますっ!!」ダダダダッ!



私たちの、夢と希望は、ここから始まっていくのです――――――――!!!







ルキナ「…………………………………………?」クルッ



リンク「余所見してんじゃねぇぞルキナ!」ダダダダダッ!

ファイ「マスターに完全に同意します」スイーッ

ルキナ「――――――――!?!?!?!?!?!?!?!?」

559Mii:2021/08/09(月) 14:09:24 ID:28rO9.d.
ルキナ「り、り、り、リンクさんっ!?それにファイさんっ!?
   え?あれ?ど、ど、どどどどうしてここに!?」



リンク「水臭いぞルキナぁ。『タッグ組んでやる』って言ったじゃないかー。
   まだまだ弟子が心配だから、ちょいと派遣されてきましたー!

   おっとぉ、時空扉はとっくに消えてるし、こりゃしばらく帰れないなー!
   しゃーない、1年か2年か、ルキナの御供でも頑張るかー!」





ルキナ「」





ファイ「マスター、ルキナ様が完全に固まっていますが」

リンク「ははっ!ドッキリ大成功ってか!そこまで驚かれるとこちらとしても本望だ!
   村人の救援に向かいながら、種明かしをするとだな――――――――」

560Mii:2021/08/09(月) 14:12:17 ID:28rO9.d.
・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

〜 12月12日 AM 0:30に遡る 〜



ピーチ「…ハァ?リンクをイーリス聖王国に送り込んでギムレーを倒す、ですって?」

ルフレ「はい!その通りです!」



ピーチ「……………………正直がっかりよ、ルフレ。それをして何になるの?
   マリオの代わりにリンクを派遣したところで、今度は――――
   イーリス聖王国が、ハイラル王国の属国になるだけよ?馬鹿なの?

   時間かけて導いた答えが、それなの?」イライラ



ルフレ「…………」フッ

ルフレ「さあ、馬鹿と解釈されるのは、果たして僕の方でしょうか。
   ピーチ姫こそ、実は…とんでもない固定概念に囚われていませんか?」

リンク「いつぞやの袋小路に嵌ってた俺みたいになー」

ピーチ「…………固定概念?」

561Mii:2021/08/09(月) 14:14:46 ID:28rO9.d.
ルフレ「ちょっと質問させていただきますね、ピーチ姫。

   マリオさんって、その強大な戦力がどこの軍の管轄かと言われたら…
   ――――当然、キノコ王国軍ですよね?」

ピーチ「当たり前じゃないの。王国の危機にはマリオに目一杯働いてもらうんだから」

ルフレ「僕もそれに同意しますが、さて。一方のリンクさんの戦闘力って、ハイラル王国軍の管轄ですか?」

ピーチ「もちろんよ、そんなの決まって―――――――――」









リンク「いーや?俺、べつにハイラル王国軍に含まれる戦力じゃねーぞ?」ニヤリ







ピーチ「……………………」

ピーチ「――――――――はああああぁぁぁぁ!?」

562Mii:2021/08/09(月) 14:19:43 ID:28rO9.d.
リンク「驚くことじゃないだろ、考えても見ろよ。

   ハイラルに問題が生じたら、ゼルダ姫やインパの命令もなしに俺が速攻で片づける。
   強いて言うなら伝説の幾つかでゼルダ姫に
   『リンク、お願いですから(部下も軍資金も付けずに)あれやってください』
   って頼まれることがあるくらいで、見返りも何にもないボランティア。
 
   伝説間のパトロールだって、自主的行動だからハイラル軍全く絡んでない。
   
   住んでるのは専らキノコ王国だから、実効従属と言い切るのも無理がある。

   …こんなふうに何の庇護も受けてないのに、管轄されてるって言えると思うか?」



ピーチ「…………」パクパク



リンク「むかしマリオとピーチが言ったんだぞ、『勇者の肩書に縛られるな』って。
   俺の立場は、正式には…せいぜい妙に戦闘力が高い自称勇者ってとこだ。

   …要するに、俺がどっかの国のいざこざにしゃしゃり出ても、
   無所属の旅ガラスが自己責任で暴れたってだけで、国際問題にはあたらないはずだ。
   ゼルダ姫に塩対応され続けていたのが逆によかったってことだな。

   ハイラル王国側からハイラルの名に泥を塗ったとは『マナー違反で』糾弾されるかもしれないが、
   そのくらいはまあ、甘んじて受けるよ」

ピーチ「な―――――――」

563Mii:2021/08/09(月) 14:25:48 ID:28rO9.d.
ルフレ「はい、これでピーチ姫が無意識のうちに却下していた大前提が崩れました。
   あと必要なものは…僕が思うに、3つです。

        『単独行動とはいえ、大義名分があるか』
        『誰がリンクさんに依頼するのか』
        『依頼に対し、万人が納得する正当な対価を払えるか』

  これらについても、幸いながら目途が立ったんですよ。

  大義名分は、なんのことはない。
  ギムレーがキノコ王国に喧嘩を売った。キノコ王国とハイラル王国は軍事同盟関係。
  一個人として、義憤に駆られたリンクさんが動いた。以上です。
  同盟の『効力』としての協力は不可ですが、動機付けにはなるということですね」

リンク「残る2つなんだけどさー。ピーチも知っての通り(プラスアルファあるけど)、
   実は最近、ロゼッタにものすっごい借りができたんだよね、俺。
   で、なんでもしますからって頭を下げたら、ロゼッタがさ。
   『世界平和のため、ルキナさんの世界を守ってあげてください』とか言い出して。
   そんなら渡りに船ってことで。

   俺の時間的拘束とロゼッタへの借りとの価値を比較すると、
   少なく見積もっても丸1年はルキナを手伝って文句は言われないと踏んでる。

   『ロゼッタ』と『リンク』の個人間の仕事依頼で、
   『ロゼッタ』がもたらした恩恵の対価として、『リンク』が世界平和に貢献する。

   何なら貢献できるかなと探してたら、好き放題やってるワルモノ発見。
   調べてみたら俺とファイだけが飛び込む分には国家に迷惑かけなさそう。
   ハイラル王国民のはしくれとしてキノコ王国を助けるのも吝かじゃない、よし決めた。
   …………悪くない筋書きだろ?俺も感心したよ」

564Mii:2021/08/09(月) 14:32:04 ID:28rO9.d.
ピーチ「……………………」

リンク「ふふん、ルフレを存分に褒めてくれてもいいんだぜ。
   あとは、任天堂さんに間違っても抑止力働かせないようピーチが話し合って――」



ピーチ「……………………駄目ね」

リンク「なんでさ!?」

ピーチ「…話はわかった。綻びが有るけど、私の口八丁で埋め合わせできる程度には
   イイ線のツギハギ方をしてると思う。なんとかスタッフを丸め込みたいところ…だけど。
   でも、肝心のところが抜けてる」

リンク「…肝心の?」

ピーチ「にっくきギムレーはね、頭に来ることに――――
   立場上は、キノコ王国に敵対する、なんて宣言はしてないのよ。
   あくまでタブーの暗躍の傍らでちょっとちょっかい掛けてきた扱い。
   さんざん興味本位だったともほざいていたわね…。
   言質を取られないように、あいつもずる賢く動いていたの」

リンク「べ、別に動機づけなんだからいいだろ?
   実際の所は、軍事同盟があろうとなかろうと俺は怒るよ」

ピーチ「その感情はとてもうれしいけれど、交渉では使えない。まるで駄目ね。
   強引にリンク派遣のためのストーリーを組み立てるとしたなら、
   『軍事同盟の効力発動』自体は実際に起こってくれないと主張が弱い。
   リンクが義憤に駆られてそこまで動こうとするには、必須事項」

565Mii:2021/08/09(月) 14:36:16 ID:28rO9.d.
ルフレ「……言質という無形の物だけが後は必要ということならば、なんとかなるかもしれませんね」

ピーチ「…………え?」

ロゼッタ「実はですね。あの戦いで、たっくさんの分身体を、この身に還元して。
    ――――最後の最後で、記憶と経験値、一切合財戻ってきたんですよ。
    忌まわしい内容に恐れ戦き続けましたが、今となっては大戦果です。
    ギムレーと一緒にいた『私の分身体』が、ギムレーをそそのかしてくれてですね。



    ――――堂々とやってくれてるんですよ、キノコ王国への宣戦布告を、ねっ!!」

ピーチ「――――――――!?」

ルフレ「そんでもって、ロゼッタ姫の記憶を頼りに、一直線にイベント現場に向かって、
   手当たり次第に監視カメラの録画結果から探し当てた映像がこちらです。
   はい、プロジェクターどうぞ」



ギムレー『我、ギムレーが、『ギムレー本人』の立場として無慈悲の鉄槌を下そう。

     愚昧なるキノコ王国に対して、我がペレジア王国は――――
     傘下のイーリス、フェリア、ヴァルムとともに――ここに宣戦布告する!
     全てを破壊し尽くし、滅ぼしつくし、奪い尽くして見せよう!』



ピーチ「                」

566Mii:2021/08/09(月) 14:40:04 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「……そ、そんなわけで…大変心苦しいのですが。もうひと頑張り、ですね。
    ピーチ姫には、なんとかリンク派遣のための段取りをしていただきたいなあ、と」



カシュッ・・・。

ピーチ「――――――――」ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク



ロゼッタ「栄養剤一気飲みしました!?」

ピーチ「…やってやろうじゃないの、そこまでお膳立てされたんならね。
   楽しみに待ってなさい、皆。そして、楽しみに首を洗って待ってなさい、ギムレー。フフフフフ…!」



〜 12月12日 おひる 〜

ロゼッタ「ピーチ姫が、2日でやってくれるそうです。大量の原稿と資料片手に、意気込んで会議室に向かわれました。
    『ルキナはベッドに拘束しているから安心ね』とか不穏な言葉を口にしていましたが…」

ルフレ「ピーチ姫には頭が下がりますね…。あ、お分かりかとは思いますが、今回の作戦。
   ルキナは勿論として、リンクさん以外のハイラル関係者に漏らしてはいけませんよ。
   念のため、ヒルダ姫にも。他の方にもよくよく注意しておきましょう」

ロゼッタ「…どうしてですか?」

ルフレ「リンクさんが年単位で居なくなると知ったら一部で暴動が起きます」

567Mii:2021/08/09(月) 14:45:29 ID:28rO9.d.
〜 12月14日 あさ 〜

ピーチ「…と、いうわけで、ファイターの皆!ちゅうもーくっ!
   リンクがギムレーを懲らしめに行く件について、任天堂からの許可が下りたわっ!抑止力は一切発動なしっ!
   
   具体的には、『リンクおよびファイの1年以上3年以下の共闘・支援』!
   そして『ルキナによるハイラル由来品の有効携帯』を勝ち取ったわっ!
   私、凄くないっ!?褒めて褒めてっ!」



デイジー「テンションがおかしくなって私みたいになっとる」

ルイージ「自分で言っちゃう?」

デイジー「ルイージ酷いっ!私のテンションがおかしいですって!?」

ルイージ「」



マルス「それでは、予定調和かもしれないが…宣言しておこう。
   
   英雄王マルスとして宣言する。
   このたびの『ルナティック+世界線イーリス聖王国へのリンク達の介入』について、
   リンク達が意図的にイーリス聖王国に害をなすことがない限り、
   一連の介入を是とし、拒絶・非難・損害請求等の対抗措置を検討・実施しない。

   また、第三者が我々に代わって同等の対抗措置を実施しようとした場合、
   この実施を解消することに尽力するものとしよう」

568Mii:2021/08/09(月) 14:48:45 ID:28rO9.d.
ルフレ「分岐世界線のFE組代表ルフレとして宣言します。
   このたびの介入は現状世界線の意向に沿うと同時に歓迎される類の助力であるため、
   僕たちはリンクさん達が最大限のパフォーマンスを出せるよう、
   必要な物資や情報を彼らに提供することを約束します。

   また、この同意内容について、現状世界線の仲間たち、家族たちに
   十分に浸透・承認させるための努力を惜しみません」

リンク「えーと、ルキナをしっかり護衛しつつ、ルキナを鍛えて自立させ、
   ついでにギムレーをボコってきます。以上」

ピーチ「まじめにやりなさいよ!」

リンク「分かりやすい方がいいじゃん…」

ピーチ「…まあ、いいわ。これで(ハイラル勢除く)全員に内容が行き渡ったわね」

マルス「……とりあえず言えることは。――――ギムレー、ご愁傷さま」

アイク「そうだよな、よりにもよってリンクを送り込まれるとは…」

ファイ「私の計算では。ネオ・マスターソード装備のマスターが駆け回った場合。
   ギムレー8192人までなら……マスターと私のみでも勝つ確率、99%」

パルテナ「ルナティック+のギムレーがいくら強いからって、
    経過成長込みでも基礎体力レベルはたかだかLv.40設定ですからね…
    そこにただでさえ相性絶対有利のLv.148とLv.70の核弾頭を放り込んだらぶっ壊れですよ」

ルフレ「なにそれこわい」

569Mii:2021/08/09(月) 14:53:44 ID:28rO9.d.
リンク「…ところで、『ルキナによるハイラル由来品の有効携帯』ってなに?」

ピーチ「私は、リンクが去った後のことも考えて交渉したってことよ。
   
   リンクは知らないかしら。本来、マジックアイテムの収納には制約が有ってね。
   『所持者の出身』が『アイテムの由来』に合致しないといけないの」

リンク「…………?????」

ピーチ「たとえば、キノコ王国由来の1UPキノコがあるでしょ?
   これを、マリオが鞄に入れようとすると99個だか999個だか入るのよ。
   でも、リンクが自分の鞄に詰め込もうとすると1個か2個しか入らないわ。
   この仕様は、無闇に他国に強力なアイテムを輸送させない役割を持ってる」

リンク「…ああ!要するに圧縮効果が働かなくなるってことか!
   本来なら、適用するアイテムしか碌に持ち運びできないってことだな!」ポンッ!

ピーチ「でも、今回は違う。ハイラル由来のアイテムなら、ルキナは――
   自分の鞄の中にほぼ無尽蔵に詰められるわ。うふふふふ…」

リンク「…でもさ、水を差すようだけど、俺、というかハイラルって、その。
   あんまり有用な、局面を一気に打開できるようなアイテムの候補がなくて…。
   そりゃ、キノコ王国なんかだと、条件次第でとんでもない効果を発揮するアイテムとか、
   俺が知ってるだけでもワンサカあるけどさ」



ピーチ「大丈夫よ、全く問題はないわ。ガワさえハイラル由来のアイテムなら大丈夫だから」

リンク「…どういうことだ?」

570Mii:2021/08/09(月) 14:56:02 ID:28rO9.d.
ピーチ「そういうわけで、リンク。















    ありったけの『あきビン』を出しなさい」



リンク「今んとこ100本くらいしかないけどいいかな?」ドサッ



マルス「」

アイク「」

ルフレ「」

571Mii:2021/08/09(月) 14:58:44 ID:28rO9.d.
ピーチ「さあっ!みんな!…強者どもよ!!」



ザワザワザワザワ・・・・・・・・・・・・・・・・・!



ピーチ「再取得可能な消費アイテムで構わないから…

   便利アイテム!万能アイテム!チート級アイテム!

   ルキナのことを応援したいなら、どんどん出してちょうだいっ!
   あんまり大きいのは入らないけどっ!

   安心して!私の意地で、相場の倍のコインを払わせて頂くわっ!!」



一同「…………………………………………」



マルス「…ま、まさか――――――――」

アイク「え?ちょ、おま――――――――」」



タブーにむかっ腹を立てていたファイター達の心が、いま、ひとつに――――――――

572Mii:2021/08/09(月) 15:07:11 ID:28rO9.d.
マリオ「攻撃アップ、防御超アップっ!言わずと知れた無敵アイテム、『スーパースター』!」

ルイージ「遠くの敵を消費無しで遠距離攻撃、『ブーメランフラワー』!」

カービィ「ハーイ!(『コピーのもと』つめあわせ)」

サムス「破壊力バツグン、なんでも吹き飛ばす『パワーボム』!」

ピット「触れたもの一瞬で凍らせる!『冷却ブレスレット』!」

ポケトレ「…………………………………………」

ニャース「自軍全体を最高クラスの生命蘇生力で全回復っ!『聖なる灰』!…と言ってるニャ!」

ロゼッタ「火球で自在に遠距離攻撃、『ファイアフラワー』!……え?しつこい?そそそそんなことないですよ!」

ルカリオ「ガチ対戦では日陰に隠れるが、攻撃のたびに与えたダメージに応じて体力を回復、『貝殻の鈴』!」

ヨッシー「視界内の敵全員に大ダメージ、『どこでもPOW』!」

ワリオ「謝礼は弾めよ?…ジャンプ力アップ、空まで飛べる!『ジェットの壺』!」

ルフレ「…はっ!僕からの分は別にあきビンってやつに詰めなくてもいいんですよね。
   よし、マスタープルフやらチェンジプルフやら術書やら、あるだけルキナにあげちゃおうか」



マルス「」

アイク「」

573Mii:2021/08/09(月) 15:10:43 ID:28rO9.d.
ピーチ「残りのあきビンには、片っ端から1UPキノコと緊急キノコを詰め込むわ!
   リンク、最初は自分で持っておいて、そのうちルキナに説明がてら渡してね!

   …そういうわけで、ロゼッタ」

ロゼッタ「…な、なんでしょうか?」

ピーチ「依頼主の貴方が、リンクに『ギムレーを殺ってこい』と――――
   最後に気迫篭った指示して締めなさい。私が言うと問題になるから。
   ふふふふふ、結果が楽しみでたまらないわ――――――――」

ロゼッタ「いやですよ、そんな乱暴な言い方はっ!?」

デイジー「あ、ピーチったら何気に怒髪天突いてる」













アイク「ここにギムレーの墓を建てよう、スコップ持ってくるわ」

マルス「駄目だよアイク、ちゃんと街の外に移動してからじゃないと」

574Mii:2021/08/09(月) 15:12:54 ID:28rO9.d.
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・

リンク「――――みたいなカンジ?」

ならず者たち「「「「「「「「」」」」」」」」チーン

ファイ「そうこうしている間に、村の暴動の鎮圧が完了致しました」

ルキナ「」



リンク「ま、やってきたもんは仕方がない。世界平和のため頑張るぞ!エイエイ、オー!」

ルキナ「」

リンク「いつまで呆然としてるんだよ。とっととこの王国、平和にしてやろうぜ!
   それがルキナの願いでもあるんだろ!次だ次、さあ行くぞルキナ!
   この瞬間にも、誰が死んでるかわかんねーんだろ!
   とりあえずは、いの一番に、ギムレーさんを〆に行こうぜ!案内よろしくぅ!」スタスタ
   
ファイ「さあ、一歩を踏み出しましょう。でなければ置いていきますよ?」

ルキナ「え、ちょ、ちょっと待ってくださ――――――――い!
   嬉しい、ですけれど!嬉しいんですけどっ!ま、まだお話が終わっていませんっ!!」バタバタ


私たちの、夢と希望は、こ、ここから、始まっていく、みたいです――――――――!?

575Mii:2021/08/09(月) 17:37:37 ID:28rO9.d.
〜キノコ城 城下〜

デイジー「…………はあ」ピッ

デイジー「……………………まずった。
    『桃葵の誓い』をロゼッタのためにパルテナへ差し出すのは後悔してないけど。
    勝手に決められたことに、うちの家臣たちがむっちゃ怒ってる。

    そりゃそうだよね、提供ノルマ30本…年3本計算のうち、
    私個人に割り当てられてるのは1本だけだからなー」

メールで簡易報告だけして済ませようとしたら、怒涛の着信。
10回目あたりで観念して恐る恐る出てみれば、大臣さんのキッツイお叱り。
順繰りに代わられて、ひとりひとり怒られて泣かれて叫ばれて。

いやあ愛されてるなあ、あの神酒。あれだけで財務が動くのは伊達じゃない。
大多数の人にとって、一生で一度飲めたらそれだけで豪運だものね。

デイジー「どうしよっかなー、ちょっと帰るのが怖くなってきた…………
    対策を考えないと…………代わりの物、何か用意できるかな…………
    このままだと冗談抜きで、首輪付けられて執務室に1年くらい閉じ込められるよ…」



――――メールダヨ!メールダヨ!



デイジー「…ん?ピーチからだ、なんだろ」ピッ

576Mii:2021/08/09(月) 17:41:04 ID:28rO9.d.





ピーチ『大事なお話があるから、誰にも悟られずに執務室に来てちょうだい。
   特にロゼッタにバレるわけには行かないから、遠出している今しかないわ。
   下手したら半日、いえ1日掛かる長丁場になるだろうから、食事は先に済ませておいて』





デイジー「…………な、な、なんだろ、ホントに」ビクビク



デイジー「…………」コソコソ

デイジー「…………」コソコソ

デイジー「…………」ササササ

デイジー「誰にも見つかりませんように、見つかっても悟られませんように…」





ルイージ「……ん?」

577Mii:2021/08/09(月) 17:42:24 ID:28rO9.d.
ルイージ「…デイジー、こそこそ壁に張り付いて何やってるの?」

デイジー「のわあぁっ!?」



ルイージ「……?」

デイジー「何でもない何でもない!放っておいて!
    ちょっとピーチと、かくれんぼしてるだけだから!」

ルイージ「…へ、へえ、そうなんだ」

デイジー「じゃ、じゃあ私はこれでっ!」スタコラ



デイジー(よし、ごまかせた!)







ルイージ(…………何あれ怪しい)

578Mii:2021/08/09(月) 17:48:05 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「ルフレも無事に見送って!帰ってきましたキノコ王国!
    余裕で日付を跨いで、かなり眠いししんどいですが…
    とりあえず、ピーチ姫に報告をしに行かなければなりませんね」



何気に海の上の小旅行って感じで、初めての体験で楽しかったというのはあります。
ですから、眠いといえどもちょっと興奮気味でもある。複雑な心意気。

ピーチ姫も、ルフレやルキナのことをとっても気に掛けていましたから。
無事に故郷へ送り届けられたことをお伝えして安心してもらいましょう。



〜キノコ城〜

キノじい「大変申し訳ない、ロゼッタ殿。
    姫様は只今、戦後処理のラストスパートで面会謝絶中ですじゃ。
    ご報告は後日でも全然かまいませんので、本日はお引き取り願いますかの」

ロゼッタ「…そ、そうでしたか。こちらこそ失礼いたしました、お忙しい時に」



若干ぶっきらぼうな門前払いを食らいました。
しかたありませんね、ピーチ姫の体がすでにストレスで悲鳴を上げていそうです。



それでは、ここは諦めるとしましょう、か。

579Mii:2021/08/09(月) 17:55:31 ID:28rO9.d.
〜キノコ城 城下〜

ロゼッタ「それでは適当な喫茶店で遅めの朝食でも――――――――
    あら?ルイージ?どうしたのですか?」

ルイージ「うーん?うーん?むむむ…」

ロゼッタ「…ルイージ?」

ルイージ「あ、やあロゼッタ、ごめんごめん!戻ってたんだね。
    その様子だと皆を無事に送り届けられたようで何よりだよ。

    …うんうん唸ってる、変な所を見られちゃったなあ。いや、ただデイジーが挙動不審だったから…」

ロゼッタ「…挙動不審、とは?」

ルイージ「周りを警戒しながら、人目のつかない裏道脇道進んでるみたいで。
     なんでも、ピーチとかくれんぼしてるんだってさ」

ロゼッタ「かくれんぼ」

ルイージ「そう、かくれんぼ」

ロゼッタ「それは確かに変ですね。しかし、ルイージにはあっさり見つけられたと」

ルイージ「ふふふ、影が薄すぎて警戒されなかったのさ!」

ロゼッタ「…………そ、そ、そうだったんですかー!なるほどー!」

ルイージ「ごめん!今更ながら自虐で苦しみだしてます!」

580Mii:2021/08/09(月) 17:59:16 ID:28rO9.d.
ルイージ「と、とにかくだね!人目を忍んでコソコソ動いて、かくれんぼ中の子供みたいだったけど。
    妙に不自然で怪しかったというか…。気になってさ。
    …でも、ピーチとかくれんぼしているという割にはキノコ城に近かったんだけど」

ロゼッタ「…それ、単純にコッソリとキノコ城に向かいたかっただけじゃないですか?」

ルイージ「あー、そうかもしれない。やっぱり他の人にこそ見つかりたくなかったのか」

ロゼッタ「…わざわざ、戦後処理中のピーチ姫の名前を出すというのも変な話ですね…」



もしかして、ピーチ姫と重大な話を抱え込んでいるのかも。
ちょっと、探りを入れてみるのもアリかもしれません。
私でも少しは手伝えるかもしれませんし。踵を返しましょう。














――――――――この安直な考えが、のちに私を大いに苦しめることになりました。

581Mii:2021/08/09(月) 18:01:38 ID:28rO9.d.
キノじい「ど、どうかされましたかな、ロゼッタ殿」

キノじい、そしてキノピオたちは…どうやら私をピーチ姫に会わせたくないみたいです。
改めてお城に向かってみたら、あからさまによそよそしかったので間違いありません。

…そう、『よそよそしい』。ピーチ姫の時間が取られる、というよりは、
私が向かうことで不都合が生じる、とでも言いたそうな言動っぷりです。
これは、ますます怪しくなってきました。



ロゼッタ「どうしても、執務室に向かってはならないと?」

キノじい「大変申し訳ないのですが、はい――――」

ロゼッタ「…それでは、別にピーチ姫の所ではなくて構わないので、
    どこかで休ませて頂けないでしょうか…?少し、船旅でくたびれてしまいまして」

キノピオ「あ、そういうことならどうぞどうぞ!こっちです!」

ロゼッタ「ありがとうございます」テクテク

皆さんには悪いですが、ここは素直に引き下がった振りをして――――




ロゼッタ(分身体の私。囮役は任せました)

ロゼッタ(分身)「……………」グッ

582Mii:2021/08/09(月) 18:05:28 ID:28rO9.d.
「本体の私」は、何食わぬ顔でコソコソと、逆側を探索していきましょう。
…なんだか、私も悪知恵が働くようになってきましたね。

なんだかんだ言って、私も体が鍛えられてきました。身のこなしは上々。
おまけに、念には念を押して、久しぶりの魔法浮遊歩行…歩行?

音を立てずに、物陰に隠れて逐一キノピオたちをやり過ごし、
割とあっさりと執務室の前までたどり着きました。
監視カメラの類は、流石にわかりません。後でばれてしまうのは諦めましょう。







扉『面会謝絶』ドドーン







…確かに、何か重要なことを中でやっていそう。
ピーチ姫と…おそらくデイジー姫が、大事な打合せでもしているのでしょうか。
いきなりノックするというのも、ましてや扉を蹴破って入るというのも、できるわけがなく。

仕方ありません、はしたないですが身を扉にピッタリ付けて、耳をそばだてて――――
下品とは分かりながらも盗み聞き。割と聴覚は鋭い方ですから――――

583Mii:2021/08/09(月) 18:07:23 ID:28rO9.d.













ピーチ「――ロゼッタは、まだ子供よ。大人の辛さをまるで知らない。
   それでいいの、この議題を対処するのは絶対に不可能よ」














――――ピタリと、体が固まって。頭の中が真っ白になりました。

584Mii:2021/08/09(月) 18:11:15 ID:28rO9.d.
デイジー「そんな言い方は…まあ、わからなくはないけど……」



ピーチ「とにかく、保護者代わりの私たちが全部面倒みることにする、それでいいわね?
   繰り返すけど…ロゼッタに、こんな責任はポテンシャル不足、荷が重すぎるわ。
   全力で助けてあげないと、音を上げて泣きわめくのが目に見えてるじゃない」



デイジー「…なかなかキッツイなあ、その尻拭いの代償、立て替えるの…………。
    サラサ・ランドの大臣たち、ますます無茶苦茶怒るだろうなあ。
    私、しばらく遊びに行けそうにないよ、とほほ。…………でも。
 
    そうだね、そうだよね。…全く、手のかかる子なんだからー。
    ロゼッタは負の面を知らずに、朗らかに笑ってるのが一番だよ。
    あんまりこれ以上、苦労掛けさせてあげないようにしなくちゃね」



ピーチ「いい?今回の議題については、絶対にロゼッタに漏らさないでよ?
   最後の最後まで騙し通さないと、ロゼッタが悲しむからね?
   ちゃんと責任とります、みたいな…勢いに任せた安請け合いをしかねないからね?」




――――なにか、崩れていく、音がする。
――――培ってきたもの、グラグラと、崩れていく、簡単に。
――――嘘だ。こんなこと、お二方が陰で言うはずがない。

585Mii:2021/08/09(月) 18:13:33 ID:28rO9.d.
デイジー「まっかせときなさい!ロゼッタの性格、人となりはしっかり理解してるよ!
    じゃあ、この書類は万が一ロゼッタに見られでもしないよう、処分しといてね!
    大丈夫!私の頭の中に、しっかりとインプットされたから!
    …というか、よくここまでぎっちりと正式文書を試し書きする時間があったなぁ」

ピーチ「もちろんそうするつもりよ。
   ぎっちり書き込んだ理由は…まあ、デイジーにしっかり理解してほしかったからね。
   あとで『忘れた』とか言われるのもなんだったし。…ロゼッタの事、しっかり護りきるわよ」

デイジー「うん!――――さぁて、やっぱりお腹がすいちゃった。
    打合せも終わったところで、何か食べに行こうよ、さあ――――――――」ガチャッ



デイジー「」ピタッ



ピーチ「…どうしたのデイジー、いきなり固まったりし――――――――」



ピーチ「」ピシッ



ロゼッタ「――――――――どう、して」ボロボロ

固まるお二人をよそに、その場に泣き崩れました。

586Mii:2021/08/09(月) 18:16:24 ID:28rO9.d.
ピーチ「…な、なんで?どうして!?人払い、してたはずなのに…!
   ――――――――っ!ロゼッタ!?まさか、聴いてたのっ!?」



うつむいたまま、力なく、頷きます。



――私は、浅はかでした。一人前と認められているだなんて早合点して、調子に乗って。
――まさか、2人の目からは全然対等に見えていなかっただなんて。
――よくよく考えてみれば当たり前のこと、気付けていなかった私がなお恨めしい。

悔しい。悔しい。涙が一向に止まりません。
ピーチ姫とデイジー姫は、顔を青くしてオロオロするばかり。



キッと泣き腫らしたまま顔を上げ、固まるピーチ姫の手から、
分厚い分厚い書類の束をひったくります。

ピーチ「ちょ、ちょっと!ロゼッタ、それは見ちゃ駄目っ!!!」



書類「議題  ロゼッタによる、マリオカート8に向けた新規コースの製作について」



衝撃の事実に目を見開きつつ、ページを手繰る手を止めません。

587Mii:2021/08/09(月) 18:19:44 ID:28rO9.d.
――――このたびのタブー戦での活躍に対する褒賞の一環として。
――――ロゼッタに、新規コースの製作を手掛ける名誉を与える。
――――該当のコースは、絶賛調整中の『マリオカート8』の1コースとして
――――特段の承認工程を踏まず、無条件で正式採用させられるものとする。
――――以降、この文面において、コース名を仮に『スカイガーデン』と呼称することとする。

あまりに慌てたピーチ姫が奪い返そうとする行為を、チコたちに協力してもらって…
私も、上がってきた基礎体力を活かして、なんとか回避。そのまま、どんどん読み進める。

何が援助され支給され、何を自分で考案しなければならないかが、つらつらと。



――――私なんかでは、とても処理できない案件と捉えられたのですね。
――――ちょっと前、『ロゼッタプラネット』を作った実績は有りますが…
――――何も気にせず自由気ままに作っていったのとはわけが違う、ということでしょう。



紙の束から目を離し、フラッと立ち眩み。どうにかなりそうです。

デイジー「…………あわわわわ」

ピーチ「…よ、読んじゃった、の?」オロオロ

ロゼッタ「…………はい」



沈黙が、3人を支配する。

588Mii:2021/08/09(月) 18:23:03 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「そこまで――――私、信頼されて、いなかったんですね」

自嘲するしかありません。なんと滑稽な事か。



デイジー「違うっ!違うよっ!ただ私たちはロゼッタのことを思って――――」

ピーチ「そ、そうよ!ロゼッタにできるわけがないじゃないっ!!」

ぐさりと、言葉の刃が襲い掛かる。
本当に、なんにも、信頼されていなかったんだ。



ロゼッタ「――――どうしてっ!どうして、私に任せていただけないのですかっ!
    私は…私はっ!お二人の子供でも、操り人形などでもありませんっ!!」

ピーチ「――――っ!」

デイジー「――――っ!」

ロゼッタ「…こんな、弱弱しい、私でも。
    出会ってから、ほんのちょっとずつ、強くなって、期待されて。
    それなりに、責任ある仕事を、担って行けるようになって。
    それが嬉しかった、信頼されていると思った…

    私の想いは、ただの幻想、私の想い違いだったのですかっ!?」ボロボロ

ピーチ「そ、そんな、つもりは、ぜんぜん――――」

589Mii:2021/08/09(月) 18:26:19 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「ならば、私に、私自身の責務、果たさせてくださいっ!!
    どれだけ苦難が待ち構えていようと、四苦八苦する私に心無い言葉が投げ掛けられようとっ!
    当然の運命として、打破すべき逆境としてっ!誠心誠意受け止めますっ!

    後ろめたい気持ちを持ちながら今後皆さんと付き合っていくなんてこと、
    私には、できません!お願いしますっ!!」

ロゼッタ「おねがい…………します、どう、か――――」ボロボロボロボロ



滴が、上から、落ちてくる。
ピーチ姫が、私と同じように、ボロボロと泣いていました。



ピーチ「…ごめんなさい、ごめんなさい――――」ボロボロボロボロ

ロゼッタ「――――――――」

ピーチ「私、ロゼッタの事分かってるようで、なんにも分かってなかったのね。
   偉そうに上から目線で、なんでも世話してあげなくちゃって考えて…。
   ロゼッタの気持ち、願い、ぜんぶ踏みにじってきたんだわ。

   貸し借りなしじゃないと、本当の対等な付き合いだなんて、できないわよね…」ボロボロ

デイジー「ピーチ…………」グズッ

ピーチ「私のバカ、バカ、バカ…………!」ボロボロ

590Mii:2021/08/09(月) 18:28:46 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「どうか、その仕事…私に、一任してください。
    精一杯、励みます。そして、必ずクリアして見せますから。
    その出来しだいで、再び私が子供同然だと判断されるのなら…
    もうそれは、甘んじて受けます」

ピーチ姫が、ブンブンと首を振る。とんでもない、と言ってくれているかのよう。



ピーチ「そんなこと、絶対に二度としない。もう、私と貴方は対等なのだから。

   …デイジー、わざわざ私の与太話に付き合ってくれて、ありがとう。
   でもあれは、忘れてちょうだい、全部。一切合財、ロゼッタに…任せるから」

ロゼッタ「…それは、本当ですか」

デイジー「…………わ、私は、別に、そのくらい気にしないけど…い、いいの!?
    ロゼッタの心配はしなくて…!?進捗次第だと、本当に槍玉にあげられるよ!?
    大げさに言うと、牢屋に閉じ込められちゃうかも…っ!」

ロゼッタ「…デイジー、姫」

デイジー「そ、そんな悲しそうな目で見ないでっ!わ、わかった!わかったよ!
    私だってロゼッタのことは信用したい…いや、信じてるから!
    なんとか奇跡的なすっごいことが起きて、ロゼッタが上手くやってくれるって!」



ロゼッタ「――――」ズキッ

591Mii:2021/08/09(月) 18:32:16 ID:28rO9.d.
言葉の刃は、時折、続く。



ピーチ姫にも、デイジー姫にも、まだまだ私はひよっ子に見えている。



…やってやる。ぜったいに、やってのけてみせる。
むしろ、見返したい気持ちで、いまは一杯。
私の精神は、以前からは十分に…強かになったはず。



ピーチ「そのかわり…最後まで絶対に、諦めないで。
   私も心を鬼にして、一旦ロゼッタを突き放すから――――」

ロゼッタ「――――のぞむ、ところです。
     贔屓もなにもない唯のロゼッタとして、そのままに批評してください」

ピーチ「…ああ、ロゼッタがこんなに強い女性になっていたなんて。
   私って、本当に…バカだったわ」グズッ





三者三様に泣いて、泣き腫らして――――
私の想いは、なんとかお二人に届いた、そういうことにしておきました。

592Mii:2021/08/09(月) 18:35:08 ID:28rO9.d.
ピーチ「じゃあ、その書類はそのままロゼッタが持っておいて。
   その書類、もう処分はしないわ。むしろ残しておくべきだし。

   私は、このことを心変わりしないうちに大臣たちにすぐに周知させるから。
   みんな、やきもきしていたのよね…」

ロゼッタ「私を責務から逃がす代償に釈明に追われていた、ということですね…
    大口を叩きはしましたが、本当に…申し訳ありません」

デイジー「改めて、その書類、しっかり細部まで目を通しておいてね。
    なんだったら、そこの椅子と机を使うといいよ」

ピーチ「私の固定席なんだけど…まあ、いいわ。好きに使って。それじゃ」バタン

デイジー「私はご飯でも食べてくるねー」バタン



ロゼッタ「……………………」



ロゼッタ「……………………ほっ」



涙の跡をしっかり拭いて、書類をしっかり握りしめて、示された席へ。

流し読みしてしまいましたから、ちゃんとゆっくりと読み直しましょう。
失敗したり、仕様を勘違いしたり、ずさんな仕事をしてしまったりしてはいけません。

593Mii:2021/08/09(月) 18:38:44 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「製作概要…………」ペラッ

ロゼッタ「期日…………」ペラッ

ロゼッタ「費用…………」ペラッ

ロゼッタ「デザインポイント…………」ペラッ

ロゼッタ「安全性…………」ペラッ

ロゼッタ「レース展開、逆転性…………」ペラッ

ロゼッタ「観客動員、収益性…………」ペラッ



詳細を読めば、ますますピーチ姫の知識と頭のキレに驚愕するばかり。
ここまで丁寧な内容なら、実行する私としてもかなり助かります。
それこそ読むのが面白くて、読みふけってしまうほど。瞬く間に、1時間ほど経って行きました。

…ふう。特段、奇天烈すぎる内容は有りませんでしたね。
真面目にコツコツ工程を組めば、なんとかなりそうです。

チコ「がんばれ、ママー!」

チコ「負けるな、おー!」

チコ「元気出して、ピーチ姫を見返してあげよー!」

ロゼッタ「ええ、もちろんよ。しょげてばかりじゃ、駄目だもの」

594Mii:2021/08/09(月) 18:40:30 ID:28rO9.d.



チコ「…あれ?まだ書類が残ってるよ?」



ロゼッタ「…あ、本当だわ。議題が終わったとばかり勘違いしていたのだけど。
    添付資料でも付いていたのかしら」











書類「議題 ロゼッタに対しての諸費用請求について」








ロゼッタ「………………………………しょひようせいきゅう?」ペラッ

595Mii:2021/08/09(月) 18:43:49 ID:28rO9.d.



  『ロゼッタは、このたびのタブー戦において、キノコ王国に対し
   看過できない程度の被害・損害・特別経理の計上を負わせた。

   そのうち、分身体らによる一切の被害は本人の意思がないため除外するとして、
   以下に挙げる項目について、賠償責任を負うものとする。

   ・スマブラ試合会場ならびにフィールド構成システムを自らの意思で半壊させ、
    実質的に全体を再建築せざるを得なくなったことに対する責

   ついては、ロゼッタはキノコ王国に対し、

   42億9496万7296コイン(430億円相当)の金員、あるいはその額と等価以上の物品を支払うこと。

   支払い完了までの利息は年1%とする』





ロゼッタ「…………………………………………………………………………
    よんじゅうにおくきゅうせんよんひゃくきゅうじゅうろくまんななせんにひゃくきゅうじゅうろくこいん?」





ロゼッタ「――――!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」サァッ

596Mii:2021/08/09(月) 18:47:34 ID:28rO9.d.
デイジー「お腹いっぱいになって戻ってきましたー!」ガチャッ

ロゼッタ「デ、デ、デデデデデデ――――」

デイジー「…デデデ大王?」

ロゼッタ「デイジー姫っ!こ、こ、これっ!
    この損害賠償って、いったいなんですかっ!?!?!?」バンッ! バンッ!

デイジー「……??何を今さら。さっき確認してたじゃん。
    ロゼッタ、最後のでっかい隕石でフィールドぶっ壊したじゃない」

ロゼッタ「え、あの、その」マッサオ

デイジー「已むに已まれぬ不可避行動ならもちろん免責になるんだけどね。
    余裕もって倒せたはずのマリオ達の助力を断って、あの攻撃でトドメを刺したってことは…
    不必要な破壊ってことで、あの場面の被害はどう解釈しても、法律上は…

    100%、ロゼッタの有責器物破損行為になっちゃうんだよ」

ロゼッタ「」

デイジー「おまけに、あのフィールドだけじゃなくてさ。
    根本的なフィールド呼び出しシステムがお釈迦になったみたいで。
    まもなく、試合会場全体を一から建設し直しになるみたいだよ。

    国家プロジェクトで何年か掛けて作ってた施設だし、高くついたみたいだね…
    ピーチが嘆いてたよ。半壊というよりむしろ全壊って言いたいくらいだって」

ロゼッタ「」

597Mii:2021/08/09(月) 18:52:34 ID:28rO9.d.
デイジー「…本当に、どうしたの?」

ロゼッタ「……………………かくかく、しかじか」

デイジー「かくかく、うまうま」

ロゼッタ「……………………」

デイジー「……………………」

デイジー「――――!? 二つ目の議題知らずに大口叩いちゃったのぉ――――っ!?」

ロゼッタ「…………ハイ」

デイジー「えっ、ちょっと落ち着こう。こんがらがってきた。…じゃあ何?ひょっとして、あれ?

     私たちが『ロゼッタにコース製作なんてできるはずありませんわオホホホホ』みたいな
     シンデレラの継母的なイジワルをしてるって思ってたわけ!?悲しくなってくるんだけど!?」

ロゼッタ「すいませんすいませんすいません………!で、ですが、
    それでは一体どうして、私を護るとかいう発言が…?」

デイジー「多大な出費を強いられて難しい顔をする上層部に、信賞必罰のプラマイ相殺を強引に持ち掛けて
    コース製作の名誉を諦めてもらう代わりに借金帳消し・肩代わりに動いてたんだけど…
    賛同した私も、おまけで責任被ることにして…ロゼッタよりはお金の工面の余地があるし…」



ロゼッタ「」

598Mii:2021/08/09(月) 18:56:23 ID:28rO9.d.
ガチャッ!



ピーチ「おまたせっ!しっかりと皆には伝えてきたわ!
   文句垂れていた人たちも、私たちの目を醒まさせた顛末を聴いて、
   『さすがはロゼッタ様だ!素晴らしい責任感と潔さ!』って絶賛してたわよっ!
   しっかり借金返してくれるのなら、なにも文句言わないって!」バンッ!



ロゼッタ「あ、ああ、ああああ」マッサオ

デイジー「」

ロゼッタ「あ、あの、わ、わたし、そんな大金、どこにも――――」ガタガタガタガタ

ピーチ「わかってるわよ、ロゼッタの懐事情くらいは。






   
   大丈夫、これから頑張って体で払ってくれれば問題ないから!算段は付いてるの!」



ロゼッタ「」

599Mii:2021/08/09(月) 19:00:30 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「        」



ロゼッタ「                」



ロゼッタ「………………………………………………………………………………………
    …………………………………………………………………………………………
    …………み……………………う……………………り…………?」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ



ピーチ「」

デイジー「幻滅しました。ピーチのファンやめます」

ロゼッタ「許してください他のことならなんでもしますお願いします」ドゲザ

ピーチ「ちっがーう!何から何まで違うから!…もうっ!ちょっと来なさいっ!」





ロゼッタ「――――――――――――」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

デイジー「ドナドナー」

600Mii:2021/08/09(月) 19:05:21 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「私、どこに連れて行かれるんですか…なにを、されるんですか…?」ガタガタガタガタ



放心状態で書斎に連れて来られたと思ったら、一冊の漫画を押し付けられました。

ピーチ「付箋の付けられたところから読んでみて?」

ロゼッタ「………………………は、はあ――――」ペラッ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ロゼシ「うわああああああぁぁぁぁぁ――――!!」ヒュウウウウ

デイ太「わああっ!ロゼシさんが底も見えない崖から落ちたっ!
   …ああっ、なんとか掴まってるみたいだけど時間の問題!
   早く助けに行かないと一巻の終わりだよ!ピチえもん、なんとかしてよ!」

ピチえもん「だから、便利な道具はみんな置いてきちゃって……あ、待って。あれが使えるかも…………!
     
                      『重力ペンキ』――――っ!!

     これを塗ると、塗ったところが下になる!
     ペンキの道を踏み外したら真っ逆さまだけど、崖に塗りたくって助けに行きましょう!

     それっ、ペタペタペターッと!」ヌリヌリ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

601Mii:2021/08/09(月) 19:12:50 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「…………………付箋の間の箇所は、よ、読み終わりましたけど…???」



ぱたりと本を閉じると、満足気に突っ立ったままのピーチ姫。
私はただただ怖くて、体が震えています。

ご、ごくごく短い量でしたし。ものの2分も掛かっていません。
い、いったいこれに、何の意味があるのでしょうか…………!

それともこれは、思わせぶりのダミーの仕掛けで、既に何かしらの魔法拘束によって
ピーチ姫の都合のよい状況に追い込まれて……まな板の鯉状態、だったり…っ!





ピーチ「そう、読んだわね?」ニヤッ

ロゼッタ「は、はひっ」

ピーチ「さてと、ものは相談なんだけど――――」





ロゼッタ「え、どうして顔を近づけてくるんですか、
    あの…………こ、こわいです――――、誰か、助けて――――っ!」ガタガタガタガタ

602Mii:2021/08/09(月) 19:17:31 ID:28rO9.d.
〜イロドリタウン〜

僕は、ペンキ―!ペンキのことならなんでもお任せの名アシスタントさ!
そしてここは、色彩の楽園と名高いイロドリアイランドの中心部、、イロドリタウン!
大人の雰囲気がするリゾート地のイロドリタウンの一番の観光スポットは、
6つのビッグペンキスターから色とりどりのペンキが枯れることなく湧き出る「イロドリの泉」!

…そんな、ペンキの聖地が、ある日突然――――



クッパ「さあ、どんどんペンキを運ぶのだ―!
   クッパシップに積載してキノコ王国まで運ぶのだー!」

ヘイホー 「ヘイホー!」

ヘイホー「ヘイヘイホー!」

ペンキ―「なにごと!?」

クッパ「うむ!すでにイロドリタウンの市長には話をつけてあるのだ!
   そのご自慢の無尽蔵のペンキ、我々が適正価格で大量に買い付ける!」

ペンキ―「え、ええ?」

クッパ「とりあえず10万リットルくらい第一陣として買い取るが、
   調子が良ければまだまだまだまだ買い取るぞ!
   せいぜいイロドリの泉のメンテナンスは欠かさずやっておくのだ!」

ペンキー「」

603Mii:2021/08/09(月) 19:21:57 ID:28rO9.d.
〜キノコ城〜

キノピオ「オーライオーライ、どんどん運んじゃってくださいっ!特設タンクに流し込んでくださーい!」

トゲノコ「よしきたっ!追加注文は早目にお願いするぞ、輸送手続きにもある程度時間かかるからなっ!」

キノピオ「お気遣いありがとうございまーす!」





〜 キノコ城地下室 研究ラボ 〜

大量のフラスコにビーカー、そして薬品が所狭しと収められている。
他の研究機関の追随を許さない設備を誇る一室――――――――





ロゼッタ「――――――――――――――――――――――――



          『反重力ペンキってあったらいいな、できたらいいな』――――



    ―――って、なんですかああああああああああああああぁぁぁぁ――――――――っ!!!」パアアアアアアァァァァ

604Mii:2021/08/09(月) 19:24:56 ID:28rO9.d.
ピーチ『本当にごめんなさいっ!マリオカート8の準備が遅れに遅れてて!

   反重力で浮き上がる、未来志向の斬新なコースを作りたくて…
   ずーっと研究に研究を重ねてたんだけど!
   研究班の開発が一向に進まないのよ、やばいくらいに!

   マリオカート7による延命もそろそろ限界なの、実はっ!
   そういうわけでロゼッタの力を借りたいわ!それはもう!
   
   こう、なんというか。塗りたくるだけで反重力場が形成されるような、
   お手軽で使い勝手のいいペンキみたいなもの、作ってくれない!?それも大量にっ!
   とりあえず、素の状態のペンキは用意できるから自由に使って!
   ペンキ発注量は開発進捗次第でロゼッタに委ねるわ!研究ラボも開放するから!

   成果を挙げるまで、ほうき星には帰らないでね!それがけじめってものよ!



   とりあえず、最終目標は――――100万リットルくらい!!
   安全マージンをとると、その3倍量くらいは欲しいんだけどね!!』



ロゼッタ「ひいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」パアアアアァァァァ



ピーチ姫の台詞が繰り返し繰り返し思い起こされます。
いくら呑気な私にも分かりますっ!
これ、下手すると、何十年もほうき星に帰れないっ!準地下牢生活ですっ!?

605Mii:2021/08/09(月) 19:28:44 ID:28rO9.d.
キノピオ「あ、お忙しい所すいません、ロゼッタさん!
    ペンキの第一陣、10万リットルが無事届いたとのことです!
    言われればすぐさま持ってきますからね!お願いします!」

ロゼッタ「ま、まだ理論構築段階、それに試験管レベルから徐々にスタートですからっ!!
    今は1リットルもあれば十分ですっ!プレッシャー掛けないでくださいっ!
    あと、ピーチ姫にどうしても言いたいことがっ!」

キノピオ「…姫様なら、手続きを済ませてバカンスに行ってしまわれましたが」

ロゼッタ「」

キノピオ「あと、姫様からの言伝があります。
    
      『バカンスから帰ってくるひと月の間に、最低限の仕事はしてちょうだいね、じゃないと考えがあるわ』

    とのことです」

ロゼッタ「…………………………」ガクガクガクガクガクガクガクガク

ロゼッタ(ピーチ姫、本気かも、しれま、せん。あまりに酷いと、本当に、身売りの憂き目に遭う、かも)ガタガタガタガタ

ロゼッタ「おとなこわいおとなこわいおとなこわいおとなこわいおとなこわい
    いっしょうこどもでいいですあはははは…………」ガタガタガタガタ

キノピオ「お気を確かにっ!!」

ぐつぐつ。ぐつぐつ。
繰り出す魔法陣の数々と、怪しげな沸騰する液体に囲まれて、
私ロゼッタの…強敵(ピーチ姫)との決死の戦いが、始まってしまったのでした。

606Mii:2021/08/10(火) 08:50:54 ID:VfyrD.AE










〜 第4章 〜








          ロゼッタ、お金を稼ぐ

607Mii:2021/08/10(火) 08:52:31 ID:VfyrD.AE
〜12月24日〜



ルイージ「ジングルベール、ジングルベール、すっずーがー、なるー!
    やっほーロゼッタ、様子を見に来たよー!!」







ロゼッタ「        」ボロッ

ルイージ「出だしから机に突っ伏して灰になってる!?」





ロゼッタ「………………………………………………………
    クリスマス・イヴだというのに………今日も変わらず、実験、実験…。
    体の浄化と食事とお手洗いと僅かな睡眠以外はずっと実験…………。
  
    お風呂に入りたい…………せめてシャワーを浴びたい…………」ボロッ

ルイージ「…………うわあ、魂が抜けかけてる」

608Mii:2021/08/10(火) 08:55:15 ID:VfyrD.AE
デイジー「あ、ルイージじゃん。どうしたの?疲れ切って無防備なロゼッタの姿を眺めて鼻の下伸ばしてる、
    とかなら私じきじきに正義の鉄拳制裁を――――」

ルイージ「違う、違うっ!心配になったから様子を見に来ただけだって。
    ピーチはバカンスに行ってるし、兄さんはピーチの付き添いだし、
    ロゼッタの面倒を見てあげられる人が少なくなってそうだったからね」

デイジー「いまごろ、お二人さんいい雰囲気になってるのかな、いひひ…」

ルイージ「それはないでしょ。ヨースター島にはヨッシーたちがワンサカ居るし」

デイジー「なんでそんなところ選んだ!?」

ルイージ「なんでも、兄さんが口寄せの術の話をしたらピーチが興味津々だったんだって」

デイジー「へ、へええ?」

デイジー(口寄せってなんだろう…忍者?)

ルイージ「ロゼッタも、1日くらいしっかり休んだらいいのに」



ロゼッタ「――――先日、夢を見たんです」

ルイージ「…夢?」

ロゼッタ「はい。…その夢の中では、私は相変わらず借金返済に追われていて。
    頑張っても頑張っても、積み重なる利息分すら支払えなくて。
    ほうき星を借金の一部のカタに取られてしまったんです――――」ウツロ

609Mii:2021/08/10(火) 08:58:31 ID:VfyrD.AE
〜回想(夢)〜

ピーチ「へえ、これだけ?これっぽっちしか返せないって?」

ロゼッタ「…………」ブルブルブルブル

ピーチ「駄目ね、全然足りない。もうちょっと真面目にお金を稼いだらどう?」

ロゼッタ「…………すいません、すいません――――」ブルブルブルブル

ピーチ「もう面倒だわ、ほうき星から呑気にやってきた魔法使いさん。
   いつかは自分たちの彗星に帰りたいと、星を眺めていたわね…
   
   アルティメット・ギャラクシー・ヒステリックボムゥ―ッ!!」

ロゼッタ「…………………え、ほ、ほうき、星」



デイジー「デデ――――――――ン!!」

ほうき星は きれいさっぱり なくなりました。▼



ロゼッタ「あ…あ……ああああああああああああぁぁぁ!!!」ボロボロ

〜回想(夢)おわり〜

デイジー「」

610Mii:2021/08/10(火) 09:01:03 ID:VfyrD.AE
ロゼッタ「ぴ、ピーチ姫に、なんの、前触れもなくっ!
    ほうき星がっ!一瞬の気まぐれで、消し去られてっ!!

    うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」ボロボロボロボロ

ルイージ「ロゼッタ!それ夢!ただの夢っ!
    ちゃんとほうき星はあるから!残ってるから!」

デイジー「なんか私が悪魔の片棒を担がされてるんですけど!?」





ロゼッタ「…手なんか抜けないんだ…死に物狂いでやるしかないんだぁ…」ボロボロ





ルイージ「これは末期症状かもしれない。対策必須だね…!

    …よし、デイジー!ピーチとマリオがいない間、僕たちでなんとかしないと!
    デイジーはとりあえず、この場を収めて、今日は無理やりにでも休ませて!
  
    僕は、なにかロゼッタがストレス発散できそうなイベントを練ってみる!」

デイジー「よしきた!」

611Mii:2021/08/10(火) 09:03:52 ID:VfyrD.AE
〜12月24日 夜〜



ロゼッタ「ねむれません……………………ほうき星を取られるのは、嫌…
    身売りするのも、絶対嫌……………」ガタガタガタガタ

デイジー「そんな要求、ピーチがするわけなかろうに」



ロゼッタ「そんなことどうして言えますかっ!
    心を鬼にしたピーチなら、不出来な私の様子次第では十分あり得ます!」

デイジー「ピーチさーん!なんか脅しが効き過ぎて、
    ロゼッタからの信頼度がものすっごく下落してるぞー!?」



ロゼッタ「……………………」ブルブルブルブル

デイジー「とりあえず、今は、寝れっ!とっとと眠れ!
    疲れたままだとなんにもいいことないよ、健康が資本!」

ロゼッタ「ねむれません、よぉ……………………」

デイジー「じゃあ強引に眠らせる!」

ロゼッタ「…………え?」

612Mii:2021/08/10(火) 09:06:19 ID:VfyrD.AE
デイジー「…ふふっ!まあ、念のためにね、奥の手を用意しておきましたっと!

    星の精のマールさん、おでましー!!」

マール「呼ばれてきたわー!」

ロゼッタ「――――あっ。ど、どうも」

マール「私の子守唄で、多少強引にでも眠って貰うわよ。
   これで今夜はぐっすり眠れるはず!自然に起きるまでそのまま寝かせておくわ!」

ロゼッタ「…わ、わあ!それは助かります!」



なんだかんだ言って、しっかり睡眠をとりたいのは本心ですから…!



マール「――――――――そぅれ!!!」パアアアアァァァァ





ロゼッタ「――――――――くぅ」スヤァ

デイジー「はぁ、これでようやく一安心、だねえ。ありがとう、マール!」

マール「このくらいお安い御用よ!」

613Mii:2021/08/10(火) 09:08:31 ID:VfyrD.AE
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・



ファイアロゼッタ「―――――――――」パチッ

ファイアロゼッタ「ここは…………」



ふと目を開けて、しばしのまどろみのあと、起き上がります。
まわりをキョロキョロ見渡せば、不思議な空間。

なにぶんつい最近、似たような目に遭ったため、慌てて立ち上がって警戒しますが…。

なんとも周りがグニャグニャで、おぼろげで。
星がところどころ、キラキラとファンシーに輝いています。
何者かの空間魔法に囚われた、というよりは――――



ファイアロゼッタ「…………って、いつの間にかファイア状態になってる。
        ――――ああ、これ、夢の中ですか」ポンッ

なんとなく分かることがあるんですよね、自分が夢の中にいるってことが。
いざ起きてからは、内容を覚えていないことがほとんどなんですが。

614Mii:2021/08/10(火) 09:10:11 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「これはマールの子守唄がバッチリ効いてくれたみたいですね。
         少しは疲れも取れるとよいのですが…………。
 
         さて。夢の中と分かったならば、一体何をしましょうか」



ファイアロゼッタ「…………………………………………」



ファイアロゼッタ「あんまりはしゃぎまわると、夢の中とはいえ睡眠効果が薄れますよね?」



ファイアロゼッタ「…………………………………………」



ファイアロゼッタ「よし、寝ましょう!寝れないまでも、せめて安静にしておきましょう!
         つまらないと言われようと、より体を休ませるためです!」

ベッドなどありませんが。再び地べた?にコテンと横になり。
ああ、なんだかいい寝心地です。さすが夢の中、万能です。



現実の私と同じく、夢の中の私もすやすやと深い眠りに――――

615Mii:2021/08/10(火) 09:12:37 ID:VfyrD.AE

    「起きてください」



ファイアロゼッタ「――――――――――――」スゥ・・・



    「起きなさい」



ファイアロゼッタ(――――――――――――ん?)



    「もう無理やり起こさないっかなー☆」

    「それもそうですね」

    「じゃあー、さっそく……」



ぽかっ!



ファイアロゼッタ「…!?」

616Mii:2021/08/10(火) 09:14:23 ID:VfyrD.AE
ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!



   「起きろと言っているでしょう」

   「おっきろー☆」

   「起きないと、どんどん力を強めていくのー」



ファイアロゼッタ「痛い痛い痛いっ!
         誰ですかっ!レディの頭を好き勝手にポカポカ叩くのは!」ガバッ!








ハロウィンロゼッタ「Trick or Delete!消されたくなかったら悪戯されなさい!」キリッ

オーロラロゼッタ「やっほー! オーロラロゼッタ、ここに見参☆」キラッ

スイマーロゼッタ「眠いのはわかるのー。私もちょっと眠いのー。
         スイマー…じゃなくて睡魔がガルルーって襲ってくるのー」ウトウト

ファイアロゼッタ「本当にどちら様ですか!?」

617Mii:2021/08/10(火) 09:16:53 ID:VfyrD.AE
私ですか!?それもなんだか不思議な…コスプレ、をした!?



イタズラが好きで、冷静そうな……
魔法帽子被って杖を片手に澄まして見せる、魔女っぽさなら一番の1人目。

ちょっぴり見栄っ張りで、陽気そうな……
アイドルのようにポーズを堂々と見せ付ける、オーロラの色合いを醸し出す2人目。

昼寝を良くする、おっとりそうな……
南国に似合う涼し気なワンピースを着こなす、なんだかのほほんとした3人目。



ファイアロゼッタ「特に2人目っ!イタイ!なんだかすごくむず痒いので、
        控えて頂けませんか!せめてもっと優雅にですねっ!」

オーロラロゼッタ「恥ずかしさは何も生み出さない!ありのままに自分を表現するのが大事よ!
        皆の注目を浴びることが、私を何より輝かせるの!
        さあ貴方もご一緒に!世界が開けるわ!」シャラララーン

ファイアロゼッタ「ハイテンションでウインクとか止めて頂けませんか!?
        本当にお願いしますからっ!悪い意味でトリハダ物ですっ!?」ゾワッ

スイマーロゼッタ「慌てず騒がず落ち着くのー。焦ってもいいことないのー。
        目を閉じて、深呼吸して、そのままふかーいふかーい眠りに…」

ハロウィンロゼッタ「せっかく起こしたのにまた眠らせちゃだめでしょう。
          急ぎ、やって貰わなきゃならなないことがあるんですから」

618Mii:2021/08/10(火) 09:19:29 ID:VfyrD.AE
やってもらいたい…こと?一体なんなのでしょう。

ファイアロゼッタ「それにしても、それ…その、アクセサリ…」

スイマーロゼッタ「それ?どれー?」

ファイアロゼッタ「…貴方がたが付けている、その…黒光りする棘付きの首輪ですよ。
         クッパが付けているような。やたらめったらゴツゴツして、首を回すのも辛そうな。

         なんといいますか、すっごく悪趣味ではないでしょうか…?正気を疑うのですが…」



3人とも漏れなく装備済み。…正直、全然似合わないと思います。まるで奴隷の雰囲気、背徳感までプンプンします。
夢の中の流行ファッションとかだったら二重にビックリです。
クッパならば強面、そして大魔王としてのパワフルさと相まってサマになると思いますが。



ハロウィンロゼッタ「人のこと、言える立場なのですか?ふう…」

ファイアロゼッタ「な、何を言って――――――――」ピトッ



ファイアロゼッタ「………………………………………」サワサワ



ファイアロゼッタ「――――何か首に付いてますっ!?」ガーン!

619Mii:2021/08/10(火) 09:21:32 ID:VfyrD.AE
いつ!?誰が!?どのタイミングで首輪なんて取り付けたのですか!?
あれ?あれれ!?いくら力を加えても一向に外れません!
というより、ロック機能もなにもない唯の輪っか構造で、取り方そのものがわかりません!
…イタッ!?我武者羅に引っ張っていたら、普通に棘で手を引っ掻いて痛いです!



ファイアロゼッタ「ちょっと!これっ!どうにかしてくださいよっ!
         いつまでもこんなもの付けておきたくありません!」

オーロラロゼッタ「お揃いお揃い!みんな仲良しだね☆」

ハロウィンロゼッタ「…………さあ、始めますよ」サッ



アタフタする私をよそに。ハロウィンスタイルの私が、ため息ついてから、杖を一振り。
まばゆい光が、前方の広い、ひろーい空間を包み込みました!



ゴゴゴッ……ズガガガガガガガッ!!



激しい地鳴りが起こり、ギョッとします。

何もなかった…ように、少なくとも私は思っていた、目の前の空間に。
まるでキノコ王国の試合会場に、フィールドがゴゴゴッ…と呼び出されるのと同じように。
氷と星空に覆われた、どこか見慣れたコースが出現しました…!

620Mii:2021/08/10(火) 09:24:10 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「貴方もよく知る、『ロゼッタプラネット』。ちょっと改変した箇所はありますけれどね。
          相似拡大させ、1周あたり21.0975kmの長大コースに作り替えています」

ファイアロゼッタ「――もう、いいです。相手にしてくれないのなら、首輪の外し方は1人でじっくり考えます。

         21.0975km、ですか。1周、凄まじく長いですね…!?おまけにやたら中途半端。
         一体どうしてですか?というより、どうして今、コースを急造したのですか?」

話についていけません。それにしても凄い魔法ですね、私も出来る…かもしれませんが。
私にやって貰いたいことと関わりがあるのは確実そうです。
問題は、どこにもカートが見当たらない所ですが…。



ハロウィンロゼッタ「それが今回の本題ですよ。今から――――」

ファイアロゼッタ「…今から?」










ハロウィンロゼッタ「このコースを2周、全力疾走してきてください」

ファイアロゼッタ「どうして!?」

621Mii:2021/08/10(火) 09:26:30 ID:VfyrD.AE
いきなりそんなこと言われてもですね!?ほかの2人も、特に異論はなさそう。私は大ありです!

ファイアロゼッタ「何が悲しくて、夢の中でそんな疲れることをしなければならないのですか!
         意図があるのでしょうが、お断りします!やりたかったら自分で勝手に走って下さ――――」



ハロウィンロゼッタ「――――『無性に42.195km走りたくなる魔法』!!」ポワワワワーン

ファイアロゼッタ「きゃあああああああっ!?
   
         一体何をしでかすのですか!いきなりっ!
         だいたいですっ!いきなり人の夢の中に乱入してきておいて、
         こんな暴虐、こんな仕打ち!失礼極まりないとは思わないのですか!
         せっかく人が休もうとしていたのにっ!

         あああ、こんな相手に、非効率で無駄な話をしている暇ではありません!
         早く42.195km走り切らなければっ!それが私の使命ですっ!邪魔ですっ!どいてくださいっ!!」

ハロウィンロゼッタ「はいどうぞ。『スイマー』、1周目だけ案内してあげて」

スイマーロゼッタ「2周頑張れとか言われたらどうしようかと思ったのー。
         1周だけならまあ…しぶしぶ合点承知なのー」

オーロラロゼッタ「私もいっくよー!」

ハロウィンロゼッタ「貴方はいいから。気温がもっと下がるわ」

オーロラロゼッタ「ええええー☆」

622Mii:2021/08/10(火) 09:28:38 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「それじゃあ、しっかり付いて来るのー!
         どこもかしこも滑りやすいから気を付けてー!

         あ、私のことは『スイマー』って呼んでほしいのー」タッタッタッ

ファイアロゼッタ「はい、わかりました」ダダダッ

案内、とは言われても。設計者であるからには、このコースは知り尽くしています。
相似拡大以外にも、宣言通り、ちょっと改変されたっぽい箇所はちらほらありますが、
気にするほどの差ではありません。

スイマーロゼッタ「カートじゃないけど、ジャンプアクションすればあら不思議―!
          しっかりと加速できるのー!見てて、こんな風に――――」



ツルッ。



ファイアロゼッタ「あ」

スイマーロゼッタ「ふんぎゃ!?」ベチィ



ファイアロゼッタ「だ、大丈夫ですか?」

スイマーロゼッタ「……滑るとこうなるってことを実演してあげたのー。わかったー?」グズッ

623Mii:2021/08/10(火) 09:30:32 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「は、はい。それでは――――やってみます!」ピョン



――NICE! ――GREAT! ――EXCELLENT! ――FANTASTIC!



ファイアロゼッタ「ふっ!それっ!えいっ!確実に――踏み切って!
       
         …なんだ、簡単じゃないですか!初見でもこのくらい余裕しゃくしゃく!
         特殊なポーズを取らなくていい分、運転時より大幅に楽なのでは?
         速度が落ちなくて不思議な感覚ですが、気持ちいいですね!」ダンッ! ダンッ!

スイマーロゼッタ「な、なにおー!私だって当然そのくらい――――――――」



――――NICE!    ―――NICE!    ――――NICE!



ファイアロゼッタ「……………………」

スイマーロゼッタ「…い、いやー。今日は調子が悪いのー。コンボが繋がらないのー。
         わ、わわっ!?なんかちょっと足を捻ったの!痛い!助けて!」グキッ



ファイアロゼッタ「……あれれ?」

624Mii:2021/08/10(火) 09:33:45 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「はあっ、はあっ…ちゃ、ちゃんとついて来て、るー?
         どうしてもっていうんなら、一休みしてあげても、いいのー」ゼェ ハァ

ファイアロゼッタ「申し上げにくいのですが、むしろ、こっちの台詞なんですけど…。
         『スイマー』、割とフラフラになってきていませんか?
         私は息ひとつ上がっていないのに。…その、案外運動は苦手だったり?
         口笛吹きながらでも余裕で付いて行けるような速度まで落ちていますよ」タタタ

スイマーロゼッタ「何気なく発せられた、上から目線の突き刺さる暴言なのー!
          しょうがないの!私は悪くないのー!脚本が悪いの!
          私、登場したてなの!アプリ内の話でいうならLv1.0なの!」

ファイアロゼッタ「アプリ内…?Lv.1.0…?」

スイマーロゼッタ「しっかたないの!ここは夢の中ってことで、なんでもあり!
         私のステータス見せてあげるの―!貴方も復唱ねー!
         すううぅぅ……ステータス、オープン!」バーン!

ファイアロゼッタ「す、すてーたす、おーぷん!?」バーン!
    


【スイマーロゼッタ  基礎体力レベル Lv.1.0(現実世界換算Lv.10)
          最大HP      00020
            魔法レベル   Lv. 7.0(現実世界換算Lv.70)
           最大FP      00256              】パパッ!


スイマーロゼッタ「ほらね、目の前に、異世界アニメっぽいスクリーンが現れたでしょー!
         これが私の実力なの。ハロウィンとオーロラも大体同じ――――」チラッ

625Mii:2021/08/10(火) 09:38:47 ID:VfyrD.AE
【ファイアロゼッタ  基礎体力レベル Lv.4.6(現実世界換算Lv.46)
       最大HP         00800(通常ロゼッタ時00675)
        魔法レベル      Lv. 13.0(現実世界換算 Lv.130)
        最大FP          02048               】パパッ!

ファイアロゼッタ「ふむふむ…私、強く、なりましたね…」シミジミ

スイマーロゼッタ「」

スイマーロゼッタ「…………うがー!!」

ファイアロゼッタ「!?」

スイマーロゼッタ「ああ、もー!要するに私…ううん、私たち3人はみーんな、
          現実世界でいうところの基礎体力レベル10なの!
          アプリ換算でLv.5に到達せんとする人にはこの辛さが分からないの!
          まとめると、もうちょっと労われーってことなのー!」

ファイアロゼッタ「よく意味が分かりません…私より弱いということだけは分かりましたけど…」

スイマーロゼッタ「むきー!そんなことを言う人は…
          挙動制御できないまま、つららに当たって痛い目に遭えばいいの!」

ファイアロゼッタ「並走する私なんか見ずに、前見てください前っ!!」

スイマーロゼッタ「ほへ?」

つらら「やあ」

626Mii:2021/08/10(火) 09:40:40 ID:VfyrD.AE








スイマーロゼッタ「ふべらっ!」ゴチーン!










スイマーロゼッタ「…………ふえぇ…ポイントは増えたから、いい、のー…」



ファイアロゼッタ「…な、なんだかすっごく懐かしい気分…!!」

スイマーロゼッタ「化石化した前々スレのネタを持ってくるのはアウトなの…」

627Mii:2021/08/10(火) 09:42:21 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「とりあえず1周おわり!2周目です!」ダダダダッ

スイマーロゼッタ「つーかーれーたー。リタイア、なのー」

オーロラロゼッタ「がんばれー☆応援してるよー!」





ハロウィンロゼッタ「…『スイマー』。そのまま2周目も走り続けてください」ヒラヒラ

スイマーロゼッタ「ちょっとちょっとー。約束が違うの―!?」

ハロウィンロゼッタ「1周、48分も掛かってる。遅すぎます。
          このタイム…『下の道』を通っていないでしょう?
          貴方の減速が足枷になったのがまるわかりです。
          ちゃんと全部案内してください!」

スイマーロゼッタ「…え、でも――――
         わ、わかったのー。そうするべきなら、やってみるのー」



ファイアロゼッタ「…………下の道?」



なにか…意味深な助言を『スイマー』にした彼女を通り過ぎて、
私たち2人は2周目に入っていきました。

628Mii:2021/08/10(火) 09:45:09 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「じゃあ、少し違うルートを通っていくのー!覚悟はいーい?」

ファイアロゼッタ「ふふふ、任せてください!この位の速度ならへっちゃらです!」

スイマーロゼッタ「よしきたー!
        
         それじゃあ、氷の割れ目から――――冷たーい水の中に飛び込むの―!!それー!」バッ

ファイアロゼッタ「それー!



         ――――え、水?……………………水ぅ!?」



水の中、コースアウトにならないのですか!?
私、そんなつもりで水を張った覚え、ないのですがっ!?



〜ヨースター島〜

ピーチ「いや、普通に水中コースアウトの概念なくしてレースに採用してるからね?
   ロゼッタ、デイジーと試走したときは走ってなかったけど。マリオカート7舐めないでほしいわ」

マリオ「どうかした?」

ピーチ「…気の迷いで呟きたくなったのよ」

629Mii:2021/08/10(火) 09:47:34 ID:VfyrD.AE
ザッブゥーーーン!

スイマーロゼッタ「ひゃっほー!加速、加速なのー!

         水中は私の庭みたいなものなのー!
         ぶっちゃけ、泳いだ方が走るより速いくらいなのー!」ゴウッ!

スイマーロゼッタは 潜水耐性レベル70で 水中負荷が69%軽減!
減速しにくいうえに 溺れない!▼



スイマーロゼッタ「さあ、遅れないで付いて来てるー? 」クルッ



ファイアロゼッタ「            」ゴボゴボゴボ

ファイアロゼッタは 潜水耐性レベル3で 水中負荷を ほぼモロに受けた!▼



スイマーロゼッタ「…あれれ?」

ファイアロゼッタ「                」ゴボゴボゴボゴボ

スイマーロゼッタ「あ、やばいのー!?残機制度とか、ここには無いのー!
         死なれたら夢から醒めた時に魂が欠落して大変なことになるのー!
         とっととさっさと救助するのー!」ヒュゴウッ!

630Mii:2021/08/10(火) 09:50:09 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「とりあえず連れ帰ったのー!なんだか重かったの!
          ドレスが水をたっぷり吸ったからかなー?」

ファイアロゼッタ「寒い寒い寒い寒い寒い寒い――」ガタガタガタガタガタガタガタガタ



もともと、このコースは確かに気温が低い、ですが。
流石に水の中に飛び込むなんて愚挙をしでかすと、寒さが半端ありませんっ!

ファイアロゼッタは 氷耐性を 持っていない!▼



オーロラロゼッタ「情けないぞっ☆私たちの中で一番厚着なのに!」

ファイアロゼッタ「…え、え?」

オーロラロゼッタ「むしろもっと冷やしちゃえ!ア イ ス ☆ ボ ー ル 3連だーん☆」ブンッ!

ファイアロゼッタ「ひぃあ!?危ない、掠めましたよ、ドレスもろとも凍り付かせる気ですかっ!?
         状況悪化させてどうするんですか寒い冷たい寒い冷たい痛い――!?」

ハロウィンロゼッタ「いい加減にしなさい、『オーロラ』。…仕方ないですね。
           ドライの魔法を掛けてあげますよ」パアアアア

魔法を掛けられたそばから、熱風が凍り付いた体を包み込んで、
体温が正常に戻っていきます。纏わりつく氷は水に戻り、その温度も上がってきて。
ああ、なんとか持ち直してきました!服も徐々に乾いて…乾き切りました!

631Mii:2021/08/10(火) 09:52:09 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「…ありがとうございます!えっと――――」

ハロウィンロゼッタ「『ハロウィン』と呼んでください。ファイアボールには到底劣りますが、
           このぐらいの威力なら他系統魔法もお手の物です」

オーロラロゼッタ「私は『オーロラ』でいいよ☆」

ファイアロゼッタ「わ、わかりました。つまりは――
         ハロウィンが『魔法多彩の私』で。
         オーロラが『氷特化の私』で。
         スイマーが『水特化の私』…ということなのでしょうか」

ハロウィンロゼッタ「おおよそはその解釈で構いません」

スイマーロゼッタ「とりあえず、今回の所はー。
         水中経路はやめておいた方が無難そうなのー。
         うまくやればアクションポイント稼げたんだけどー。

         まあ、そんなわけで、こんどは1人で――
         普通に陸路を、自分なりに走り切ってほしいのー。
         まだ2周目は続いてるのー」

ファイアロゼッタ「そうでしたそうでした!はやく走り切らなければ!
         時間を大幅にロスしてしまいました、急がないと!
         ――――『スイマー』、案内ありがとうございました!」

スイマーロゼッタ「どういたしましてー」ニコニコ

健康状態が良好となったので、ふたたびコースに戻って走り始めます!

632Mii:2021/08/10(火) 09:54:14 ID:VfyrD.AE
〜32分後〜

ファイアロゼッタ「…ゴール!まあまあ疲れました……」キキーッ

オーロラロゼッタ「おめでとー☆42.195kmを80分かあ、まずまずだね!
         がんばればもっともっと短縮できるはずだよ!
         基礎体力レベルの低い私たちが言うのは失礼かもしれないけど☆」

ファイアロゼッタ「体を凍えさせながら全力疾走して、その仕打ち…
         …いえ!そもそも私は一体どうして42.195kmも走って…!?
         まさか操られて…?本当に何をしたのですか!」

ハロウィンロゼッタ「まあ、それはそれとして」

ファイアロゼッタ「置いておかないでください!」

私を無視して話を進めることに少し慣れてきましたが、「ハロウィン」の態度は相変わらず。

そんな彼女に手招きされて、どこからか新たな人物が現れました。男性のようです。
なにか大きな箱を抱えて、ブツブツ言いながら近づいてきます。
な、なんだか影を抱えていますね。振り回されているのでしょうか、私みたいに。



ファイアロゼッタ「は、はじめまして」

「……………………ああ」

ややぶっきらぼうな態度。一体何者なのでしょう。
さすがに敵とかではないと信じたいですが。状況的に。

633Mii:2021/08/10(火) 09:57:44 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「あの、この方は一体、どういった方なのですか?」

するとハロウィンは、ぱちくりまばたきして、ちょっと思案して。
彼のそばに駆け寄り、殊更に明るい表情になって、言いました。

ハロウィンロゼッタ「ダーリンです」

ファイアロゼッタ「ダーリンさんですか、それはそれはってえええええええええええええええええ!?」

え?ええ?えええええ!?寝耳に水にも程があるんですけれどっ!!

ハロウィンロゼッタ「おかしいですか?」

ファイアロゼッタ「…………そ、そうですよね。いくら私と瓜二つっぽくても、夢の中といえば夢の中。
    彼氏がいることくらい、有り得る話ですよね。驚きすぎました」

一体、彼とどんな邂逅があったのか知りませんが。
いえ、そもそも夢の中のそんな設定など、それこそ何の根拠も理由付けも要りませんね。

ファイアロゼッタ「で、では。その、貴方にとって、ダ、ダーリンである彼について。
        うう、聴く方が恥ずかしくなってきます…。改めて詳細なところを紹介して――――」



オーロラロゼッタ「ふふっ!ちなみに、私にとっても彼はダーリンだよー」

スイマーロゼッタ「右におなじくー」

ファイアロゼッタ「ちょっと待ってええええええぇぇぇ――――!?
         なんでそんなインモラルな関係が構築されているんですかぁ――――っ!?」

634Mii:2021/08/10(火) 10:03:35 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「ちなみに、貴方にとってもダーリンだったりしますよ」

ファイアロゼッタ「」

ファイアロゼッタ「」

ファイアロゼッタ「それはいいい一体どういうことですかわけがわかりません正しい王国の言葉で
         話してもらいたいものですねそれとも私の耳が腐ってきたのでしょうか脳が理解を
         放棄していますああもしかして3人とも彼の毒牙に掛かってあるいは催眠にでも掛
         かって服従を誓わされているとかそれで今度は私を巻き込もうとしているのですね
         なんということでしょう一刻も早く助け出さなければなりませんああでも3人が抗え
         なかったからには私も回避の術も自信もありませんもしかして絶望が待っているの
         でしょうか急ぎ夢から目を覚まさなければ一体何をどうすればいえちょっと待ってく
         ださいもしかしてもしかするともしかしなくてもこれは未来視というやつで将来の私
         のパートナーだったりするのでしょうかいえでもですね今の私にはそんな気も覚悟
         も心の準備もまるでできていなくてですね刺激が強すぎてどうにかなってしまいそう
         ですとりあえず失礼かもしれませんが一旦ここはお帰りになって頂いてですね気持
         ちを整理してしっかり心持が定まったら改めてこちらから声を掛けさせていただきま
         すのでどうかお待ちいただけないでしょうか申し訳ございません私もその時になれ
         ば少しはマシな挨拶と落ち着いた言動ができることをここに宣言しておきますから
         何卒、何卒誠に恐縮ですがよろしくお願い申し上げま――――」

スイマーロゼッタ「というより、誰にとってもダーリンなんだけどねー」

ファイアロゼッタ「――――はい?」

ハロウィンロゼッタ「以上、ダーリンもとい『ダークリンク』を使った会心のドッキリでした」

ファイアロゼッタ「ちょっとキレてもいいですか!?喧嘩なら買いますよ!?」

635Mii:2021/08/10(火) 10:06:28 ID:VfyrD.AE
オーロラロゼッタ「私は止めようとしたんだよ!でもハロウィンがどうしてもって☆」

スイマーロゼッタ「だーかーらー、焦りは禁物なのにー」

ファイアロゼッタ「貴方たちも同罪です!」

ダークリンク「さっきから黙ってりゃ、人をダシにして遊ぶなコノヤロウ!」イラッ

ロゼッタ「ご、ごめんなさい!
    …ちょっと待ってください。どうして私だけ謝るのですか。
    貴方たちも謝って下さいよ。理不尽なことこの上ありません」



ダークリンク「チッ、めんどくせぇ。…まあいい、俺は俺の仕事をする。
       お前、42.195km走り切ったんだな?そら、20ルビーやるよ」

ファイアロゼッタ「あ、ありがとう、ございます…?」



ファイアロゼッタは 20『ルピー』 手に入れた!▼



ファイアロゼッタ「…あれ?ルビー?ルピー?ルビーって赤色のはずですよね…?
         これ、思い切り緑色なんですけど…?というより、
         これってルビーじゃなくて、ハイラルの代表通貨であるルピー…………」

ダークリンク「…………」ズーン

636Mii:2021/08/10(火) 10:09:59 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「そこは突っ込んではいけません。どのみち使用してしまえば同じことです。
          何せ、彼は――――



          ルビーとルピーっていう詰まらない繋がりだけで
          わざわざスレ主から『夢の中のイベント管理者』という…
          他に話の広げようもない、地味な出番を貰ってしまった不運な方なので」

ファイアロゼッタ「」



ダークリンク「こんなのってないぜ…スレ主張っ倒してやる…!串刺しにしてやる…!
       リンクの野郎が他所の王国に出張中、ゼルダその他は掃討戦に大忙し…
       だからって残り物の俺を、関連性のへったくれも見出せない、
       こんな意味不明なところに釘付けにするとか。ガノンも引く人権侵害っ…!

       リンクがハーレム状態だからって俺も適当にロゼッタに囲まれとけ、
       みたいな馬鹿な発想してたりしないだろうな…!
       こんな役、チンクルにでも任せとけよ…クソが…!」イライラ



ファイアロゼッタ「」

ハロウィンロゼッタ「ダークリンク、本題に移りましょう」

637Mii:2021/08/10(火) 10:12:07 ID:VfyrD.AE
ダークリンク「…はいはい。俺もこんな仕事さっさと終わらせてぇよ。
       で、今しがた渡した20ルピーを使うとだな。
       こちらの箱から、玉が沢山入ったクジを4個引くことができるんだな。
       白玉がハズレ、赤玉が当たり。

       クジの総数は…そう、97個。
       当たりは、たったの1個だ。分かったら、さっさと4個引いてくれ。

       ちなみに夢ならではのご都合主義、完璧なブラックボックスで、
       のぞき込んでも何も分からないし空間魔法でも内部を解析できない。
       ズルをしようとしても無駄だぞ」

ファイアロゼッタ「それはまた、当選確率が低いですね…まあ、やってみましょう」



クジを引く理由、および当たった時の効果もサッパリですが、
「やって貰いたいこと」の一部なのでしょう。断るのも馬鹿らしいです。



1個目。…………白、ハズレ。
2個目。…………白、ハズレ。
3個目。…………白、ハズレ。
4個目。…………白、ハズレ。



4個目を引く直前に、格好を付けてちょっと時間を溜めてみましたが、
案の定、全く効果なし。まあ、予想通りの結果でしょう。

638Mii:2021/08/10(火) 10:14:02 ID:VfyrD.AE
ダークリンク「…………チッ」

ハロウィンロゼッタ「…………はぁ」

オーロラロゼッタ「ざーんねん!」

スイマーロゼッタ「がっくりなのー…」

ファイアロゼッタ「この結果が一番確率高いのに、そこまで非難される筋合い無いんですけど!」

もうちょっと私のやる気を引き出す努力をしてくださいよ!まったくもう!

ハロウィンロゼッタ「…こうなっては仕方がありません。それでは、今から――――」

ファイアロゼッタ「…今から?」









ハロウィンロゼッタ「このコースを2周、全力疾走してきてください」

ファイアロゼッタ「」

どういう訳か、夢の中。
長い、ながーい旅路のスタートです。

639Mii:2021/08/10(火) 10:15:58 ID:VfyrD.AE
訳が分かりません。
全く訳が分かりません。

ファイアロゼッタ「嫌です!さっき走ってきたばかりなのに!賽の河原の石積みですか!
         鬼ですか、悪魔ですかっ!ですから、勝手に自分で走って来れば――――」

ハロウィンロゼッタ「――――『無性に42.195km走りたくなる魔法』!!」ポワワワワーン

ファイアロゼッタ「デジャヴ――――!?…ぐ、ぐ、ぐぐぐぐぐう…!!

         ああ、あああ、あああああ!はやく走りたい!走らなければー!!」ダダダダダ



ハロウィンロゼッタ「頑張ってください」ヒラヒラ

オーロラロゼッタ「貴方ならきっとできる!」

スイマーロゼッタ「千里の道も一歩から、なのー」



ダークリンク「…………」

BOXの中身が 強制リセットされた!▼



ダークリンク「さて、何時までかかることやら」

640Mii:2021/08/10(火) 10:18:31 ID:VfyrD.AE
〜60分後〜

ファイアロゼッタ「はあっ!はあっ!2周、走り切りましたよっ!…つ、疲れすぎです…!」

スイマーロゼッタ「そう言いつつ、まだまだ余裕はあるよね、凄いのー。
          しかもしっかりタイムを縮めて来てるのー!」
   
ダークリンク「おつかれさん。お前、42.195km走り切ったんだな?
       そら、20ルビーやるよ」

ファイアロゼッタ「…ぐっ、またデジャヴ…ということは…?」

ロゼッタは 20『ルピー』 手に入れた!▼

ダークリンク「…はいはい。俺も同じような事思ってるよ。
      で、今しがた渡した20ルピーを使うとだな。
      こちらの箱から、玉が沢山入ったクジを4個引くことができるんだな。
      白玉がハズレ、赤玉が当たり。

      クジの総数は…そう、97個。
      当たりは、たったの1個だ。分かったら、さっさと4個引いてくれ。
      
      ちなみに夢ならではのご都合主義、完璧なブラックボックスで、
      のぞき込んでも何も分からないし空間魔法でも内部を解析できない。
      ズルをしようとしても無駄だぞ」

ファイアロゼッタ「ハズレクジがもとに戻ってます!?」

周りの3人から、無言の圧力。引けば、引けばいいのでしょう!?

641Mii:2021/08/10(火) 10:20:33 ID:VfyrD.AE
1個目。…………白、ハズレ。
2個目。…………白、ハズレ。
3個目。…………白、ハズレ。
4個目。…………白、ハズレ。

今度は毎回、ちょっと時間を溜めてみましたが、
案の定、全く効果なし。まあ、予想通りの結果でしょう。

ダークリンク「…………チッ」

ハロウィンロゼッタ「…………はぁ」

オーロラロゼッタ「ざーんねん!」

スイマーロゼッタ「がっくりなのー…」

ファイアロゼッタ「ですからっ!その反応は絶対におかしい!
         この結果が一番確率高いのに、そこまで非難される筋合い無いんですけど!」

ハロウィンロゼッタ「…こうなっては仕方がありません。それでは、今から――――」

ファイアロゼッタ「……………え、ちょ、ちょっと待ってください、あの?」





ハロウィンロゼッタ「このコースを2周、全力疾走してきてください」

ファイアロゼッタ「誰か助けてっ!!」

642Mii:2021/08/10(火) 10:22:46 ID:VfyrD.AE
ぶっ通しで走り続けることは、無理難題とわかりました。体力が持ちません。
頑張れば、2周60分は、まあ安定。そのたびに60分休むことにしました。
休む時は、座り込んで、ただひたすらに休みます。



…ええ。こんな計画を立てなければならないほどに――――
サイクルが、延々と繰り返されます。――――延々と。そう、延々と。



〜6サイクル目 走破!〜

ファイアロゼッタ「もう250km以上走って…ます…」グッタリ



これは、もう、あれですね。
当たりをなんとか引かないと、半永久的に走らされるループ仕様のようです。
まったく、末恐ろしい悪夢です。

夢から醒めるのを待った方がいいのかも…と思ったこともありましたが。
『スイマー』から、

    『こちらでミッションを達成するまでは、現実世界の貴方は…
    易々とは起きない仕様になってるのー。むしろ強引に起こされると魂が抜けるのー。
    時間の進み方は違うけど、早くしないと、周りが大騒ぎ、貴方も不幸になるよー?』

という、笑っていられないトンデモナイことをのほほんと宣告されたので、
ただひたすらに走って走って走って…!走るしか、選択肢が、ありませんっ!

643Mii:2021/08/10(火) 10:25:45 ID:VfyrD.AE



    『ちなみに、この夢の世界の14日間が、現実でいう1日に相当するのー。
    つまり、こっちで14時間経つと、現実では1時間経ってるのー』



疲れ果てたまま寝始めた、そのことは周りも知っているので。
現実世界でいうと、8時間なら寝続けても余裕でしょう。
10時間でも、多分放置される。大丈夫。

…12時間も眠りこけると、流石に不審に思われて、無理やり魔法で覚醒させられるかも。
スイマーの言ったことが本当ならば、周りを悲しませ、私も不幸になります。



ファイアロゼッタ「…つまり、最長でも7日間くらいしか猶予がありません…」



2時間ごとにクジを引く。
睡眠や食事は本質的に不要な空間とのことですが、それらを全て切り捨てたとしても――
最大で、1日12回が限度。単純計算で、理論上は84回引けます。
…すでに6連敗しています。

期待値としては、これだけ引けば…相当高い確率で当たる、はずですが。
なにぶん、私は運に見放されがちなので。当たるまでは安心できません。
おまけに、疲労蓄積によるサイクル遅延も無視してしまっています。

644Mii:2021/08/10(火) 10:28:17 ID:VfyrD.AE
    『あと、大事なことー。
    この夢の世界では残機制度が働かないのー。



    それだけじゃなくて、回復魔法が  使 え な い のー!



    アプリゲームならではのダメ要素なのー!スタミナ制、無駄に再現するなんてー!
    よりにもよって、このアプリに関してはスタミナ制じゃないのに、ひっどいのー!
    自然回復に任せるしかないから、HPの管理と怪我の回避には本当に気を配って―!』



ファイアロゼッタ「……もう。意味不明な単語もいくつか出てきましたが――
         現実世界でも、回復も無しにここまで走りつくす人は…そうは、居ませんよ…………」



6敗目のクジを目の当たりにしたダークリンクが、
疲れ果てた私を眺めて呆れた顔をしています。





ダークリンク「…………………」

645Mii:2021/08/10(火) 10:34:00 ID:VfyrD.AE
〜その頃、遠い土地〜

リンク「料理番任せちゃって悪いな、ルキナ。それじゃ、いただきます」

ファイ「いただきます」

ルキナ「いえ、このくらいさせてください、リンク様。
   間違っても料理上手なんて豪語はできませんが…」

リンク「…その『リンク様』って、やめない?」

ルキナ「いいえっ!このような状況になったからには、下につく者として、
    マルス様やアイク様に劣らぬ敬意は当然払ってしかるべきと考えます!」

リンク「…やれやれ、堅苦しいなあ…それ、直してけよ…?とりあえず食べるか。
   はは、俺なんか基本『採ったまま』か『丸焼き』の料理素人だから、俺よりは絶対に上手いって」

ルキナ「全く自信がありません…。
    そういえば、ファイ様と、何を話されていたのですか?伺ってもよろしいですか?」

リンク「いや、そのな?進軍計画を議論してたんだ。俺としては、こんなシナリオを描いてる。

   まず、元凶のギムレーを『速やかに』ぶっ叩く。敵軍の士気もガタ落ちになるしな。
   居城を完全制圧したら、そこから徐々に手を広げて安全地帯を増やす。
   自衛できるくらいの味方を集めて配置して、拠点を盤石にする。
   あとは、遠方に出征して残党も迅速に撃破する」



ルキナ「…素晴らしいシナリオだと思います!」パアァ

646Mii:2021/08/10(火) 10:36:18 ID:VfyrD.AE
リンク「そこまで素晴らしくはないんだよなあ…。

   このあたりの村々に寄り道すれば助けられる命を、
   最速でギムレーの所に向かうがために拾い逃すことがある、かもしれないぜ?

   全体としては被害を一番抑えられるからっていう…
   俺としても苦渋の決断だ。ルキナはそれでも納得するか?」

ルキナ「…はい。大丈夫です。よろしくお願い致します」

リンク「ルキナの知識と記憶によれば、ここからギムレーの本拠地まで、
   直線距離でざっと700km…道なりに進めば1000kmほどあるんだよな?」

ルキナ「はい。通ったことのある道ですし、方角も大体のことはわかっているつもりです」

リンク「…モグ。うん、食べられる食べられる。旨いぞ。
   それでさ、ファイとの打合せで、ギムレーの所に直行するとこまでは、
   問題なく意見が合致したんだけど。ファイが、ルキナの体力を考慮せず、



   『明日の朝一に出発して夕方にはギムレーを討ちましょう』



   とかいうもんで」モグモグ

ファイ「申し訳ございません、思慮不足でした」

ルキナ「」

647Mii:2021/08/10(火) 10:39:01 ID:VfyrD.AE
ルキナ「え、ええ!?そ、そんなの無理です!」

リンク「だろだろ?だから、なんとか俺がファイを説得して大幅に遅らせたよ」

ルキナ「ホッ…どんな強行軍になるのかと…ペガサスでもなければとても無理――
   いえ、それ込みでもとても――――」



リンク「そういうわけで。

    明日の朝一に出発して明後日の朝日と共にギムレーを討とう」

ルキナ「」



リンク「だから、早めにゆっくり休んで明日に備えてくれな。
   最悪、ルキナが嫌がろうと俺が無理やり背負って連れてくぞー。
   体を密着させるのが嫌ってんなら、頑張って厚着しておいてくれー」

ルキナ「」

ルキナ「」

ルキナ「お、お待ちください!リンク様!
   恐れながら、1日、2日でたどり着ける距離ではありません!

   接敵への対処で手間取ることも考慮するならば、
   せめて2週間くらいは所要時間を見た方がっ!」

648Mii:2021/08/10(火) 10:42:11 ID:VfyrD.AE
リンク「え、なんで?

   俺、その気になれば悪路だろうと……
   特に副作用や反動もなしに、時速150kmくらいでまる1日走り続けられるぞ?
   ルキナを背負って、安全面のケアを欠かさないとしても時速100kmは堅い。
   街中でやると、家屋やら道やらズタズタにして周囲からキレられるけど」

ファイ「私はそこまでの高速移動はできませんが、
   ネオ・マスターソードに宿っていれば全くの無問題なので…」

ルキナ「」





ルキナ「……せ、せめて…3日掛けて、くださいませんか…?」プルプル

リンク「その1日の差で、ギムレー軍の被害を被る奴が増えるかもしれないぞ?

   ホントのホントに強行軍で行くなら、それこそ筋肉痛覚悟で…
   ルキナのことをファイに任せて、この瞬間に俺一人で時速300kmで駆ければ
   今日中にカタを付けることもできなくはないんだよ。…道に迷わなきゃ、うん。
   流石にぽっと出の俺1人でそんなことしたら大顰蹙だからやらないけど。

   そっから比較すると、さすがにこれ以上ノロノロ進軍するのはなぁ」

ファイ「マスターのMAXスピードは、ソニックには劣りますがマリオ以上、
   堂々の世界二位設定です」

649Mii:2021/08/10(火) 10:44:27 ID:VfyrD.AE
ルキナ「…時速、300、きろ?…ノロ、ノロ?」



ルキナ「…………」

ルキナ「………………………………ガンバリマス」



リンク「よし、決まり。明後日はどうやってギムレー倒そっかなー。
   この王国内だと耐久力が反映されちゃうから、剣を使うのは論外だな。
   ギムレーなんぞにそんなコストを支払うのは勿体ない。

   面倒だから普通に殴り飛ばして…いや、その辺の石ころで…」

ファイ「また私の唄で消し去るのは如何でしょう」

リンク「それもいいな。……あ、でもそれだと
   『ルキナにトドメの一撃を任せて溜飲を下げる』ことができないな、
   ホントに一瞬で消し炭になっちまう。ちょっと考えさせてくれ」

ファイ「わかりました、期待しておきます」フフッ



ルキナ「え、え、えええええ?冗談、です、よね?そうだと言ってください!」アゼン

650Mii:2021/08/10(火) 10:47:42 ID:VfyrD.AE
〜ロゼッタの夢の中〜

ダークリンク「…そんな馬鹿なら、案外いるかもしれないな」ボソッ


ファイアロゼッタ「…ダークリンク?何かおっしゃいましたか?」

ダークリンク「…いや、何も」



…おっと、彼のことを気にしている余裕なんてありません。
休むことに専念しないと。

ダークリンクにはのぞき込まれないよう、ドレスをほんの少しめくって。
酷使している自分の脚を、見やります。…ちょっと熱を持っている、程度。
ガタガタ震えて動きが鈍ってきたこともなければ、腫れていることもなく。
ねん挫や骨折をしているわけでもありません。

回復魔法なしで250km以上走ったにしては、意外なほどに…持っています。
Lv50間近にまでのし上がってきたらしい、基礎体力の賜物です。
かつての私からすると信じられない光景で、ちょっと嬉しい。



ファイアロゼッタ「ですが…84セット、フルで走ったとしたら…ええっと…
         ……さ、3500km以上ですか、うわあ…………絶対無理な気がしてきました」

651Mii:2021/08/10(火) 10:49:43 ID:VfyrD.AE
…気の滅入る発想はやめておいたほうが良さげです。
ちらりと、『ハロウィン』、『オーロラ』、『スイマー』の方を見やります。



オーロラロゼッタ「クリスマスが〜今年も〜やってくるぅ〜☆
        コインボックスに喜ぶ〜みなの懐、痛めながらぁ〜☆」ネッショウ

ハロウィンロゼッタ「運営さん、Trick or Treat!
           …間違いました。Trick or Ticket!
           …またまた間違いました。――Trick or UR Ticket!」エイショウ

スイマーロゼッタ「15時更新、お仕事ちゅうー。帰ってさっそく、記録かくにーん。
          勝っていても気を抜くなー。追い抜かれてたら追い抜き返せ―!
          でもでもぉ、無理と悟ったら大人しく寝るの―!…ぐぅ――」スリープ



ファイアロゼッタ「いい加減に理解できる会話を聞きたいです…」



ため息付く私に頷き返してくれたかのように。
不本意に首に付けられてしまっている首輪が、コトリ、と小さな音を立てました。
…別に外れてくれたわけではないですけれどね。
ちょっと首輪に触れてみて―――ふたたびため息ついて。



さあ、続きをやっていきましょうか。

652Mii:2021/08/10(火) 10:51:55 ID:VfyrD.AE
〜10サイクル目 走破!(約420km)〜

ファイアロゼッタ「……まだまだ、当たりは遠い感じですね、とほほ…………」ガクッ



――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ!















ハロウィンロゼッタ「…それにしても、暇ですね」

オーロラロゼッタ「何か遊んでおこっか〜☆」

スイマーロゼッタ「Zzz・・・」コックリ コックリ

653Mii:2021/08/10(火) 10:57:37 ID:VfyrD.AE
〜16サイクル目 走破!(約675km)〜

ファイアロゼッタ「…………さす、がに。足腰が、きつく、なって、きました。
         やはり、理想通りには、いきま、せん…………」フラッ

――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ!

ハロウィンロゼッタ「1番、ハロウィンロゼッタ、物真似やります。
           『この面汚しめ』と侮蔑の形相で目前の相手を見下す、バケーションピーチ姫!」ハッ!

スイマーロゼッタ「わ、迫真の演技!怖い、怖すぎる顔なのー!」ビクッ

オーロラロゼッタ「よりにもよって、清楚系のバケーションピーチ姫が
         誰相手だろうとそんな顔する訳ないよ〜☆名誉棄損〜☆」



ハロウィンロゼッタ「ただし目の前にいるのは探検家ピーチ姫とする」

オーロラロゼッタ「それなら納得ですね」マガオ

スイマーロゼッタ「探検家ピーチ姫が何をやったっていうの!風評被害なの!」ガーン!

ハロウィンロゼッタ「ちなみにスレ主は、マリカツに限っては。派生数が多い=CPU妨害が目に付く、
          おまけに悪役or黒色でイメージに合うわけでもないのにボム兵キャノン持ちの影響で…
          誰かをリストラしなければならないと運営に言われたら
          クッパ7人衆でもなくそのほかのクッパ軍の人気低めの誰かでもなく
          即答で『マリオかピーチをリストラして』と答えます」

スイマーロゼッタ「」

654Mii:2021/08/10(火) 11:00:59 ID:VfyrD.AE
〜24サイクル目 走破!(1000km突破)〜

ファイアロゼッタ「…………まずい、まずいです、タイムがみるみる落ちてきました。
         試行回数が狂ってきてしまいます、どうにかしない、と…!
         で、も、脚がぁ…!!期待値的には当たってもよくなってきた、のに…!

         …駄目です、よね。ここまでで当たっていたら運が悪いとは言いません。
         ふふ、分かっていましたよ、ふふふ……はあああああぁ……」

―――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ!





スイマーロゼッタ「――――リイィィィーーッチ!!」ドンッ!

ハロウィンロゼッタ「…………ぐっ!?…………これは、通るっ!!」バチッ





スイマーロゼッタ「…………ふーっふっふっふ。
         ――――その『トゲゾーの甲羅』、貰いーなの!出た、一発ロンッ!!」ジャラッ

ハロウィンロゼッタ「…え゙」

オーロラロゼッタ「あ、やっちゃった☆」

655Mii:2021/08/10(火) 11:04:08 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「リーチ一発で二翻!
          緑甲羅、赤甲羅、ハテナボックス+の『三暗刻』で二翻!
          さらに『甲羅三色』で二翻!
          さらにさらに、現状1位のハロウィンに最下位からトゲゾー牌でトドメを刺した『下剋上』で一翻!」

ハロウィンロゼッタ「ああああああ……あっという間に最下位に転落…
           くっ、なんとか盛り返さないと…!!」



スイマーロゼッタ「…………何を言っているの?」

ハロウィンロゼッタ「…………はい?」

スイマーロゼッタ「さらにさらにさらに、ハテナボックス+は『1牌あたり二翻』だから
         六翻追加で役満なの。ハロウィンが断トツの最下位で終局なの」

ハロウィンロゼッタ「」

オーロラロゼッタ「」

スイマーロゼッタ「ダッシュリングやアイスフラワーごときと一緒にしないでほしいのー」



ハロウィンロゼッタ「…………」ボカボカボカボカ

オーロラロゼッタ「…………」ゲシゲシゲシゲシ

スイマーロゼッタ「痛い、痛いのー!?冗談、冗談なの!」

656Mii:2021/08/10(火) 11:08:14 ID:VfyrD.AE
〜28サイクル目 走破!(約1180km)〜

ファイアロゼッタ「脚が…重い、です…へとへと…!なんとかしたいぃ…!
         なのに、全然、進展してくれない…!」

――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!

ハロウィンロゼッタ「思えば、私たちって…物凄く優遇されていますよね」

オーロラロゼッタ「どういうこと〜?」

ハロウィンロゼッタ「考えてもみてください。

          スレでもまさに取り上げられているロゼッタツアーで
          満を持してファイアロゼッタとメタルマリオをリセマラゲット、
          手に入るルビーを片っ端から後半ドカンにつぎ込んで私たち3人をゲット。

          ニューイヤーツアー後半ドカンでURマリオを効率的にゲットでき、
          アーバンスタイルドカンでほどなく探偵ベビィロゼッタが手に入り、
          通常ロゼッタ・ベビィロゼッタはゴールドパス等で自然入手。
 
          ちゃんと計画を立ててさえいれば、
          ゴールドパス以外は無課金でも、かなりの高確率で…
          ほんの数か月で全ロゼッタが揃い、副産物でかなりのマリオも揃い、
          おまけにログインボーナスが豪華な期間をしっかりと味わえる。

          ご存知の通りスイマーに集中投資しておけば
          それだけでスコアが初心者と思えないほど鰻登りになり、
          更には戦力が高まってきたころにトータルポイントチャレンジ等の
          利便性の高いミッションが開始されたという」


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