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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか、今度こそ」

1Mii:2020/12/13(日) 04:46:59 ID:9GX1QhWw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 【前々スレ】

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」【前スレ】

に引き続く続編となります。前々スレ、前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
過去作を読まれていないと把握困難な設定、独自解釈が多々あります。

遅い進行のうえに寄り道万歳のスレですが、引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。

ラナ「たったーん♪たかたかた〜ん♪
  そのほか、いくつか注意点をお知らせするよー。

     ・スレ主の、基礎体力面での戦闘能力解釈は、ざっくり言うと…
      キャラとしての登場時期の早さと、登場回数の多さで大方決まるからね!

      マリオ、クッパ、リンクを『3強』と表現してるけど、たとえばクッパVSガノンドロフだと、
      クッパが欠伸しながらパンチを繰り出すだけでガノンドロフを一撃粉砕できるくらいの力量差があるよ!
      パーティゲームに参加しないから仕方ないってことで、うん。敵があっさりやられても嘆かないで…。
      リンクとの差が付いた理由は、前々スレを読めばわかる、のかなあ…?

     ・前々スレ・前スレ同様、いろんなパロディ、メタ発言が散りばめられてるよ!
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義が白けるなら
      急がず慌てず別のスレに移って、このスレのことは忘れよう!
      
     ・ようやくスマブラ編が完結して…マリオカート編にちょっとずつ戻っていくんだって!よかったよかった!」

シア(…………ちょっとずつ?)

467Mii:2021/07/30(金) 21:23:47 ID:1j/hfldE
〜 祝賀会 会場 〜

ハイリア「ほんと、キノコ王国のお酒は美味しいわね…幾らでも飲めちゃいそう。
    さあ、次の盃、持ってきなさい!」

ヒルダ「あ、あの、恐縮ながら、いつまで飲み比べを―――」ビクビク

ハイリア「それはもう、どちらかが潰れるまでよ!
    他の人たちはみんな、逃げるか潰れるかしちゃったし!」



サムス「はやく次回作が出てほしいんだあ…………ZZZ」

ファルコ「フォックスっ!酒とノンアルの区別もできねえのか…………ZZZ」

ゼルダ「リンクのばぁかぁ…………ZZZ」

ヒルダ「……………………」

ラヴィオ「は、はい、お二方、どうぞ…………」

ハイリア「――――」ゴクゴク

ヒルダ「――――」コクコク

ハイリア「ほんと、キノコ王国のお酒は美味しいわね…幾らでも飲めちゃいそう。
    さあ、次の盃、持ってきなさい!」ダンッ!

ヒルダ「あ、あの―――?」

468Mii:2021/07/30(金) 21:27:40 ID:1j/hfldE
ハイリア「それはもう、どちらかが潰れるまでよ!
    他の人たちはみんな、逃げるか潰れるかしちゃったし!」

ヒルダ「…………」

ラヴィオ「は、はい、どうぞ、お二方…………」

ハイリア「――――」ゴクゴク

ヒルダ「――――」コクコク

ハイリア「ほんと、キノコ王国のお酒は美味しいわね…幾らでも飲めちゃいそう。
    さあ、次の盃、持ってきなさい!」ダンッ!

ヒルダ「あ、あの、だいぶ酔われていらっしゃいますね?」

ハイリア「酔ってないわ!」

ヒルダ「なんだか言い回しが固定されてきましたよ?」

ハイリア「そんな適当な言い掛かりをつけて、逃げる気ね!」

ヒルダ「い、いえ、滅相も無い…………ですが、そろそろ終わりにしても…」

ハイリア「それはもう、どちらかが潰れるまでよ!
    他の人たちはみんな、逃げるか潰れるかしちゃったし!」

ヒルダ「……………………助けてくださいぃ」

469Mii:2021/07/30(金) 21:30:25 ID:1j/hfldE
ラヴィオ「は、はい、どうぞ、お二方…………」

ハイリア「――――」ゴクゴク

ヒルダ「――――」コクコク

ハイリア「これ、水じゃないのっ!ふざけてるの!」バシャッ!!

ラヴィオ「ひ、ひいっ!申し訳ございませんっ!!」

ピーチ「……ハイリアさんハイリアさん、ここはちょっと酒の趣を変えてみませんこと?」

ハイリア「どういうことかしら、どれもこれも、一級品のお酒ばかりだと思うけど。
    安酒なんてこの場には一つもないでしょう?」

ピーチ「いえいえ、この程度で満足されているようでは、女神失格では?
   こちらのお酒こそが、ぜひ召し上がっていただきたい絶品酒なのですが…」

ハイリア「…へえ?そこまで挑発するのなら乗ってあげる。――――頂くわ」

ヒルダ「あ」



ハイリア「――――――――ZZZ・・・」

ヒルダ「…………さすが『桃葵の誓い』、一瞬で意識を失いましたね。
   恍惚の表情で倒れ込みました、おかげで助かりました」

ピーチ「まったくもう、とんだ女神様だこと」

470Mii:2021/07/30(金) 21:33:53 ID:1j/hfldE
パルテナ「でぇすから!私はっ!好きで人間を攻撃したわけじゃないんですよっ!
    操られてただけなんですよっ!酷いとぉ、思いませんかっ!
    守ろうとしていた者を知らず知らずのうちに苦しめていた、この仕打ちっ!
    やってられませんよっ!神は私がお嫌いですかぁっ!」ヒック

ピット「そうですね。私も分かってますよ、パルテナ様は何も悪くありません」

パルテナ「――――」ゴクゴク

パルテナ「だというのにっ!私のこと、勝手に呑気だとか能天気だとか決めつけて!
    傷ついていないだなんて決めつけてっ!労わるどころか後ろ指指す始末っ!
    みんなして、酷いとぉ、思いませんかっ!もう泣きたいですよっ!」

ピット「もう泣いてますパルテナ様」

パルテナ「そこはツッコむところじゃないでしょう!」バシャッ!

ピット「…………」ポタッ・・・ポタッ・・・

パルテナ「でぇすから!私はっ!好きで人間を攻撃したわけじゃないんですよっ!
    操られてただけなんですよっ!酷いとぉ、思いませんかっ!
    守ろうとしていた者を知らず知らずのうちに苦しめていた、この仕打ちっ!
    やってられませんよっ!神は私がお嫌いですかぁっ!」ヒック



ピット「…………」ポタッ・・・ポタッ・・・

ピット「そうですね。私も分かってますよ、パルテナ様は何も悪くありません」ポタッ・・・ポタッ・・・

471Mii:2021/07/30(金) 21:36:45 ID:1j/hfldE
ピーチ「パルテナ、悪酔いし過ぎよ…………女神ってみんなこうなのかしら。
   いい加減飲むの辞めなさい。はた迷惑だから。
   ピットったら、ずぶ濡れになって…はい、このハンカチで拭いて」

ピット「ありがとう、ピーチ」フキフキ

パルテナ「だというのにっ!私のこと、勝手に呑気だとか能天気だとか決めつけて!
    傷ついていないだなんて決めつけてっ!労わるどころか後ろ指指す始末っ!
    みんなして、酷いとぉ、思いませんかっ!もう泣きたいですよっ!」

パルテナ「――――」ゴクゴクゴクゴク

ピーチ「…………」イラッ

ピーチ「…………ちょっとふん縛って、パルテナを部屋に放り込んでおくわね…
   今の今まで任せっきりでごめんなさい、別の所で楽しんできてちょうだい」





ピット「あ、パルテナ様に信頼され切っている現状に満ち足りているので
   このまま僕たちは気にせず放置しておいてください」キリッ



ピーチ「」

ピーチ「ア、ウン、ヘエ、ワカリマシタ」

472Mii:2021/07/30(金) 21:41:19 ID:1j/hfldE
パルテナ「…………」

パルテナ「――――」スゥッ



パルテナ「酔い覚めの奇跡っ!!」パアアァァァ



ピット「あーっ」

パルテナ「何をがっかりしているのですか、ピット。これ以上迷惑かけられません。
    でもスッキリしました、ありがとうございます」

ピット「勿体ないお言葉です!」ビシッ

パルテナ「それで、ピーチさんピーチさん!今、色々と祝賀会の様子を見て回っているところなんですか、もしかして!
     私も付いて行ってもよろしいですか!」

ピーチ「べ、別に構わないけど…………さ、酒臭いっ!
   酔いは醒めてもアルコールが抜けた訳じゃないの!?」

パルテナ「ありがとうございます!それでは、レッツゴーですね!
    御歓談相手を探しに参りましょう!」

ピーチ「まるで聴いてくれていないし…」

473Mii:2021/07/30(金) 21:45:15 ID:1j/hfldE
ソニック「おー、ピーチじゃないか。楽しんでるか!俺は楽しんでるぞ!」

ピーチ「どっちかというと、管理する立場として…おちおち寝てもいられなくて
   疲労が積み重なっていってるけどね」

ソニック「しかし、こうも体が酒で火照ってくると、あれだな。
    思いっきり走って競争でもしたくなるぜ!」

ピーチ「走り切った後の皆さんが悲惨なことになるからやめてよね?フリじゃないわよ?」

パルテナ「ときにソニックさん、タブー戦ではお疲れさまでした。
    自分も戦いたいのをグッと堪えて、情報収集に努める!
    なかなかできることじゃありませんよ!」

ソニック「まあ、褒められたからには任務を全うしなきゃな!」

パルテナ「ピーチもなにかお褒めの言葉とか、褒賞とか、ないんですか?
    流石になにもなしはどうかと思うのですが」

ピーチ「…言われなくても分かってるわよ。
   ソニック、私が偽ロゼッタ達に隔離されている間、よく頑張ってくれたわね。
   貴方の功績は、数値には現れなくとも、素晴らしい物よ。
   なんなりと欲しい物を言ってちょうだい、可能な限り用意させてもらうから」

474Mii:2021/07/30(金) 21:51:35 ID:1j/hfldE
ソニック「…………ふむ、なら折角だから貰っておくか。
    こう、より己の素早さが鍛えられるアイテムが欲しいぞ!」

ピーチ「『スバヤクカワール』と『センセイサレナイ』、どっちのバッジがいい?」

ソニック「…いや、それはちょっと素早さを鍛えるとは違うだろう」

ピーチ「じゃあパワフルダッシュキノコで」

ソニック「一時的なブーストが欲しいわけじゃない」

ピーチ「…インドメタシン1個っと」メモメモ

ソニック「おい」

ピーチ「…冗談よ、冗談」

ソニック「全く…………」









ピーチ「10個もあればいいわよね?」

ソニック「数の問題じゃないぞ!」

475Mii:2021/07/30(金) 21:54:26 ID:1j/hfldE
ポケトレ「…………」



ピーチ「噂をすれば、ドンピシャな相手が見つかったわ」

ポケトレ「…………」バッテン

ニャース「お酒は二十歳になってから、俺は永遠の10歳だ!…と言ってるニャ」

ピーチ「…みょ、妙にカレーコーナーに群がってるわね。何杯目?」

ポケトレ「…………」モグモグ

ニャース「最新作の販促でもしておくぞ!…と言ってるニャ」

ピーチ「やめて時間軸が狂うから。…聴くところによると、
   偽ロゼッタたちがせっせと設置した爆発物…もとい砲台を、
   ステルス戦法で粗方除去してくれたんですって?

   市民や観光客に死者が出なかったのは、間違いなくあなたのお陰ね。
   いくらお礼を言っても言い足りないわ」

ポケトレ「…………」グッ!

ピーチ「…えーっと、褒賞として、何か欲しい物って、ある?」

パルテナ「なんでも言っちゃってくださいまし。ピーチがささっと叶えてくれますって」

ピーチ「パルテナ、貴方ねえ…まあ、大概のものなら用意できるけど…」

476Mii:2021/07/30(金) 21:56:55 ID:1j/hfldE
ポケトレ「…………」

ポケトレ「…………」

ポケトレ「…………!」ピコーン











ニャース「――――切断のない世界、と言ってるニャ」







ピーチ「――――――――ごめんなさい、私ごときでは無力なの…
   で、でも一応、任天堂に掛け合ってみる、わね…?
   というか、掛け合ってみるだけで許してちょうだいね…?」ガタガタガタガタ

ポケトレ「…………」ショボン

477Mii:2021/07/30(金) 21:59:20 ID:1j/hfldE
ネス「あー!ピーチじゃん!こんにちはー!
   僕、もっといろんなソフトドリンクが飲みたい!ここお酒ばっかりだよ!」

リュカ「あ、あのさあネス、流石に図々しいって。
   ソフトドリンクだって30種類くらいは用意されてるじゃない」

ネス「30種類程度じゃ飽きたっ!お酒は何百種類とあるのにずるくない?」

リュカ「…腹いせというか免罪符にしたというか、料理の方を馬鹿食いしてるけどね…」

パルテナ「そういう時は、ソフドリ同士を混ぜて新たな味を開拓しましょう!」

ネス「子供かっ!いやまあ僕たち子供だけれどもっ!」

ピーチ「…んー、MOTHER組はMOTHER組で、最後の踏ん張りで石化対策。
   見事に大当たりして、持ちこたえてくれたのよね。
   貴方たちが居なかったら、本当にまずいことになっていたわ。
   …ほかのみんなはどちらに?」

ネス「ファイターじゃないのに祝賀会に居座るのは居心地悪いので――
  とかなんとか言って、城下町の方に繰り出しちゃったよ。付き合い悪いなあ。
  ようやく羽を伸ばせるーって、アナとかポーラとかはしゃぎまわっていたけどね。

  …あれ、もしかして皆に用があった?」

ピーチ「あ、急ぎってわけじゃないけれど。何か欲しい物とかあったら――――」

ネス「褒賞っ!褒賞だね!わーい!」

478Mii:2021/07/30(金) 22:02:41 ID:1j/hfldE
ピーチ「…え、ええ。まあ。それでは今から、追加のソフトドリンクを」

ネス「いやいや、そんな褒賞はいやだからね!?何にしようかなー…

  そうだ!サンドイッチ1年分とか、どうかなっ!1年間サンドイッチ食べ放題!」

ピーチ「へえ、やっぱり子供らしくて可愛いわね。サンドイッチ…ロゼッタの出番かしら」

ネス「チョコチップと相性抜群!とっても美味しくて、思わず走り出してスキップしたくなって、
  厄介な敵も、広大な大地も、そしてたくさんの思い出も、一切合財スルーして行ける優れものグフフフフ」

ピーチ「…なんだか禍々しい感情が混ざり込んでない?気、気のせいよね?」











ネス「…あ、そういえば。ちょっといい、ピーチ?」コソッ

ピーチ「なになに、内緒話?」シャガミ

リュカ「…………??」

479Mii:2021/07/30(金) 22:05:44 ID:1j/hfldE
ネス「さっきさ。罰ゲームで黒歴史話す羽目になって、
  『内面世界で素っ裸で延々と歩き回ったことがある』って暴露しちゃったんだけど。
  言ったそばから、無茶苦茶恥ずかしくなった僕のことは一旦置いといて。



  一緒にゲームで遊んでたデイジーが、酔っ払いながら
  『現実世界で裸になったピーチよりはマシじゃーん!』とか言って
  根も葉もない噂、というかホラ話を面白おかしく語り出しながら大笑いしてたんだけど」ヒソヒソ

ピーチ「」グシャッ

ネス「女性陣はえらく引いてたし、ムッツリな男性陣の数名が鼻血出す事態になってたし。
  …変に騒ぎが大きくならないうちに止めといたほうがいいよ?いやほんと」



ピーチ「…………エエソウネ、本当ニアリガトウ、ネス」ゴゴゴゴゴゴゴゴ



ネス「うんうん、そりゃあぶち切れたくもなるよね…わかるわかる。
  あれじゃあピーチが手の施しようのない露出狂みたいな扱いだったもん。
  僕は子供だったことが幸いして逆に冷ややかだったけど」



ピーチ「……………………エエソウネ、本当ニアリガトウ、ネス」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

パルテナ「」

480Mii:2021/07/30(金) 22:09:40 ID:1j/hfldE
デイジー「……おぉぉぇえぇ…謎のピンクの悪魔にフライパンのようなもので背後からしこたま殴られて、
    なんか記憶がぶっ飛んだ気がするんだけど…私、何してたっけ…?
    
    …あるぇ?なんか、周りにも頭から血を流して倒れてる人がいっぱいいるんだけど…?
    みんな、だいじょうぶぅ…?事件?事件なのか…!?」

ピーチ「ねえデイジー、そういえばあなたの褒賞がまだだったわね!」

デイジー「うわっ、ピーチ!?…褒賞?」

ピーチ「遠慮はしないでいいのよ?
   貴方が偶然とはいえゼルダ、ロゼッタ、ヒルダと合流してくれたからこそ、
   そして彼女たちを短期間で強引に鍛え上げてくれたからこそ、
   戦いを打開することができたのだから。

   素晴らしい活躍よ!何が望みかしら!」

デイジー「…………褒賞、かあ」

デイジー「…………」

デイジー「先生。スマブラがしたいです」

ピーチ「よし、認めます」

デイジー「わーい、やったー…………」



デイジー「………………………って、マジっ!?ホントにっ!?ホントッ!?」

481Mii:2021/07/30(金) 22:14:39 ID:1j/hfldE
ピーチ「嘘なんてつかないわよ」

デイジー「ホントなんだね!?嘘じゃないの!?クーリングオフはできないからね!?

    ――――いやったぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!
    最高の褒賞だよぉ――――――――!!
    これであと20年は戦えるぞー!!」

ピーチ「よかったわね!おめでとうデイジー!」

















ピーチ(元から任天堂より通達されたペナルティ期間が終了して、
   次の大会で参戦させるつもりだった、ということは黙っておきましょ!)

482Mii:2021/07/30(金) 22:17:30 ID:1j/hfldE
リトル・マック「褒賞、だと?」

ピーチ「そ。ロゼッタにパンチの極意というものを叩き込んでくれたでしょ?
   結構あれ、意義が大きかったのよ」

リトル・マック「要らない要らない、そんなもの。
       別に対価が欲しくてロゼッタを鍛えたわけじゃない。
       教えるべきだと思ったから教えたまでだ」

ピーチ「そこをなんとか。私の思いを無碍にするのも失礼よ?」

リトル・マック「…………あ、じゃあ…………」

ピーチ「なになに?」



リトル・マック「うちの馬鹿コーチがロゼッタを鍛える合間合間にしでかしたセクハラを
       俺に免じて不問…いやせめて鞭打ち5回くらいにしていただけないでしょうか。
       何度か腰まわりを触ってロゼッタが青筋を立ててたので」ドゲザ

ピーチ「え、あ、うん。一応ロゼッタにも聞いてみる」

パルテナ「正直者ですねー」

デイジー「でも流石にロゼッタでも温情はくれないと思うなあ…」

483Mii:2021/07/30(金) 22:20:05 ID:1j/hfldE
トゥーンゼルダ「…ああ、統率したときの功績に対する褒賞ですね?
       そんなの、要りませんよ。困ったときはお互い様です。
       …なんだか、当時の振る舞いはあんまり思い出したくないですし…」

デイジー「そんなこと言わずに!バシバシ要求しちゃいなよ!」

ピーチ「どうして貴方が付いて来てるのよ」

デイジー「なんとなく面白そうだったから!」

パルテナ「というか、ゼルダにトゥーンゼルダにハイリア様に、
    なんというか出せるだけ出したというゴチャゴチャ具合ですね」

ピーチ「…………空耳が聴こえたわ」

トゥーンゼルダ「…………で、では1つだけ」

デイジー「なに、なにっ!1つと言わず3つでも100個でも――――」



トゥーンゼルダ「トゥーンの私たち…いえ私がもっと強くなる機会をください!
       ヒルダ姫にも追い越されたっぽくて、ちょっと悔しいというか。
       (トゥーン)リンクに相応しいパートナーになりたいんです!」

デイジー「くっ!?純真過ぎてみていられないっ!?ははーっ!」

ピーチ「…HD化だけじゃだめ?…駄目よね、そうよね…新作じゃないと意味がないわよね…」

パルテナ「あらあら」

484Mii:2021/07/30(金) 22:22:50 ID:1j/hfldE
デイジー「いやー、みなさん中々謙虚だよね、もっと欲しがればいいのに」

ピーチ「そんな、ファイターが誰も彼も浅ましいみたいな言い方止めなさいよ」

デイジー「でも、それだけ凄い事やってきたじゃん。
    やってきたからには、ちゃんと認めてもらうことは大事じゃない?
    それがピーチの信条、信賞必罰ってものでしょ?」

パルテナ「そうですよねー」

ピーチ「まあ、それは否定しないわ。
   凄いことをやった分だけ、いくらでも感謝し報いる、それが私のモットーよ」

パルテナ「わああ…!さっすがキノコ王国のトップ!そこに痺れる憧れる―っ!」

ピーチ「ふふっ、おだてても何も出ないわよ」







パルテナ「ということは、体を張ったラジオ番組で王国中を和ませて、ロゼッタの至宝の眼を奇跡の力で実質2度も治して
    スレの説明不足の解説役を一手に引き受けた私もむちゃくちゃ褒賞を期待していいんですよね!」

ピーチ「」

デイジー「」

485Mii:2021/07/30(金) 22:25:53 ID:1j/hfldE
ピーチ「貴方、それが狙いだったのね…妙に不自然についてくると思ったら…」

パルテナ「いぃえぇ、催促したみたいでかたじけない。
    実はですね私っ!欲しい物は既に決めてるんです!
    あの、究極のお酒っ!あれさえあれば他に何も要りません!
    というわけで、『桃葵の誓い』を下賜してくださいませ!
    飲んだ傍から、喉が切望してやまないのです!」

デイジー「まさに傾国の美酒」

ピーチ「下賜って…そんな言い方でいいの、プライドは?全く…
   それで?どれだけ欲しいのよ。言っちゃなんだけど、あげられるとしたら――」

パルテナ「いえいえ!まさか、そんな!
    キノコ王国のピーチ姫ともあろう御方に、こんな素晴らしいお酒を!
    1本で国ひとつが動きかねないような途轍もない価値があるお酒を!
    図々しく『何本ください』だなんて言えませんよ!」

ピーチ「…………え?」

デイジー「…………???」



パルテナ「で・す・か・ら!どれだけ下さるかは――――――――
    ピーチ御自ら、決めてしまってくださいな!」

ピーチ「」ピシッ

デイジー「…………??????」

486Mii:2021/07/30(金) 22:28:59 ID:1j/hfldE
パルテナ「もちろん!

    『こんな些細な功労でこのお酒を欲しがるだなんて図々しいっ!
    ロゼッタを2度も救ったあ?それがどないしたんや?』

    ということなら、それこそ耳かき一杯の量でも構いませんよ!
    ピーチの裁量に全てお任せ致します!」

デイジー「…………あっ」

ピーチ(……………………女狐に嵌められたぁっ!!?私、女だけどっ!)



――――身動き、取れないっ!?
提示する量が少なければ少ないだけ、王国とロゼッタを軽んじたって不名誉が残るっ…!?
結局見栄を張らざるを得なくなって、何本もパルテナに持っていかれることに…!?



パルテナ「回答は祝賀会が終わるまでにしてくださいねー!」タタタタタ

ピーチ「…………くうぅ…やられた…」

デイジー「す、すなおにさっさと1本確約しとけばよかったね…
    別に、今からでも遅くないよ。パルテナの挑発なんて無視して、
    何食わぬ顔で1本だけ渡せばそれでよくない?」

ピーチ「――――それは、私のプライドが」

487Mii:2021/07/30(金) 22:31:23 ID:1j/hfldE
ピーチ「…………頭が痛いわ、ほとんどアルコールなんて摂取してないのに」



――――ぱた、ぱた、ぱた、ぱた。



ロゼッタ「ピーチ姫っ!デイジー姫っ!一体どうしたというのですか!」

デイジー「あ、見かけなかったロゼッタがようやく戻ってきたか。
    おっそいよ、祝賀会も終盤に差し掛かろうとしてるのにー」

ロゼッタ「…い、いまはそんなことはどうでもいいのです!
    どうしてそんなにお二人とも表情が曇って――――

    会場に舞い戻った途端、真っ先に目に付くほどの。
    どんよりとした雰囲気を醸し出しているではないですか!」

ピーチ「だ、大丈夫よ、ロゼッタ。心配かけてごめんなさい。
   私たちで解決できる…解決してみせる。その程度の困りごとだから。
   そんなに深刻な話じゃないの。パルテナにちょっとからかわれただけで」

ロゼッタ「なっ…!そんな!文句を言いに行ってきます!
    親しき仲にも礼儀あり!許せません!」

ピーチ「い、いいからいいから!むしろそれは都合が悪いというか、
   私が惨めになるというか、いろいろとややこしい事情があるの!」

ロゼッタ「ですがっ――――」

488Mii:2021/07/30(金) 22:35:19 ID:1j/hfldE


凛とした、左目。魔眼のチカラが新たに宿った、左目。



ピーチ「…………ねえ、ロゼッタ。それはともかく、ちょっとお願いがあるんだけど。
   私を助けると思って、そのまま30秒ほど…私のこと見つめてほしいの」

ロゼッタ「えっ」



デイジー「…………」

ピーチ「…………」

ロゼッタ「…………」

デイジー「…………」

ピーチ「…………」

ロゼッタ(あ、あれ?何かのドッキリ?罰ゲーム?呪いの儀式?
    それとも隠し撮りされてまた変な挿絵に使われる?あれ?
    祝賀会をすっぽかしすぎて、激怒される5秒前?)ダラダラ



そのまっすぐで純粋な瞳に圧倒されて、わだかまっていたもの、全部飛んで行った

489Mii:2021/07/30(金) 22:40:18 ID:1j/hfldE
ピーチ「…………はい、ちょっとだけお辞儀して頭を下げなさい。ただでさえロゼッタは背が高いんだから」

ロゼッタ「……は、はあ」スッ








ピーチ「いい子いい子」ナデナデ

デイジー「あ、私もやる私もやるー」ナデナデ

ロゼッタ「」

ロゼッタ(何が何だかさっぱりわかりません!?)









ロゼッタの頭をそっと愛おしく撫でて、撫でて。
そうだ、大切なもの、しっかり守れたんだ。
こんなに嬉しくて、心穏やかになれる話はないってこと。

490Mii:2021/07/30(金) 22:42:27 ID:1j/hfldE
ピーチ「…ん。ありがとう、もういいわ」

デイジー「堪能したねー」

ロゼッタ「あ、はい。ええと。ではパルテナのもとへ――――」

ピーチ「それはもういいから。大人しく他の人たちと歓談してなさい。
   ……………………私たちとの約束よ、守ってね?」

ロゼッタ「…………………そこまでおっしゃるのなら」

しぶしぶという感じで、ようやくロゼッタが折れてくれたみたい。
そのまま、人の集まりに吸い込まれて行った。











ピーチ「さてと、デイジー。

   ちょっと、サラサ・ランドのお姫様に向けてご提案があるのだけれど」

デイジー「…………ほうほう、乗った」

491Mii:2021/07/30(金) 22:45:35 ID:1j/hfldE
ピット「え、ええ…?そんな挑発めいたことをやったんですか?」

パルテナ「ふふふ、本当にあのお酒は美味しかったんですから。ピットもさぞや美味しく飲めたでしょう?」

ピット「ま、まあ天にも昇るような味でしたけれど…天使なだけに」

パルテナ「…おや。ピーチが早速息を切らせてやってきましたね。
    ふふ、これでしばらくお酒には事欠きません」

ピーチ「…………パルテナ。話がまとまったわ」

パルテナ「ありがとうございます!話が早くて助かりました!
    それで、結局どうなりましたか本数は!」ニヤニヤ





ピーチ「在庫分10本と、向こう9年の先約90本で、100本あげるわ。あとでしっかり目録も渡すわね」

パルテナ「ふっふっふ、さっすがピーチったら太っ腹―。
    まさか100本も頂けるなんて思ってもみな――――――――」






パルテナ「……………は?」

492Mii:2021/07/30(金) 22:49:38 ID:1j/hfldE
ピーチ「デイジーともよーく話し合って、考えに考えて。
   王国の名誉とロゼッタの為なら、このくらい屁でもないって結論になったわ。
   良かったわねパルテナ、これだけあれば小国のひとつやふたつ、余裕で買収できるわよ?羨ましいわあ」

デイジー「これでパルテナも天界で好き勝手できるねえ、すごーい!」

パルテナ「」

ピット「」



ピーチ「そのかわり、肝に銘じておいてね?
   この決定…向こう10年、キノコ王国とサラサ・ランドに神酒が一切出回らなくなることと同義だから。
   そのことを十分に噛みしめて、余すことなく味わって飲んでね?

   ただの1滴でも地に零したり飲み残したりしたら、最後。
   たちまちもがき苦しんで血反吐吐いて死ぬような呪いを『気持ちだけ』掛けておくから」

デイジー「この神酒を冒涜するような飲み方をしたら、衝動的に夜陰に乗じて
    パルテナの寝首を掻っ切るかもしれないけど、そこんとこ了承して
    平時から遺書を手放さないようにしておくんだよ?

    あと、ここまでロゼッタのことが大事だと明言したこと、よもや忘れないでね?
    ロゼッタのことで次また揺すりタカリを仕掛けてくるようなら
    適当な牢屋に閉じ込めて100年くらい過ごしてもらうかもしれないよ。

    綺麗な綺麗な女神さま…………国同士のパワーバランスって知ってる?」

パルテナ「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

493Mii:2021/07/30(金) 22:54:23 ID:1j/hfldE
パルテナ「…あ、あ、あ、あの、ややややっぱり、
    1本だけでででもも貰えたらじゅうぶんんだなっててえ」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

ピーチ「嫌でも受け取って貰うから。拒否するようなら天界に送り付けるから」

パルテナ「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

ピット「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ



パルテナ「キノコオウコクバンザイキノコオウコクバンザイキノコオウコクバンザイ…」フラ・・・

ピーチ「…まあ、このくらい脅しておけば問題ないでしょ」

デイジー「…でも、脅しと言えどもしっかりお酒は渡すんだよね?い、痛手すぎるぅ…勿体ないなあ…」

ピーチ「…キノコ王国で70本持ってあげる。サラサ・ランドは30本でいいから」

デイジー「ピーチ愛してるっ!」ダキッ

ピーチ「…………くっつくのは暑苦しいからやめなさい」

デイジー「えへへ…………」



ピーチ「というより、自分の後始末ってことでロゼッタ本人に対価を払わせようかしら」

デイジー「台無しだよ!!」

494Mii:2021/08/01(日) 07:08:57 ID:1bf7iop2
ルフレ「…………………………………………」ブツブツブツブツ

ルフレ「…タイムリミットが刻々と近づいて来てるっていうのに、
   碌な案が浮かばない……………………どうしよう…………………」

ルフレ「……………………」

ルフレ「――――――――」ゴクッ ゴクッ

ルフレ「…………ぷはぁ」

ルフレ「…………ちょっと気分転換に夜風にでも当たってこよう」



カーテンの向こう、月の見えるバルコニーに躍り出て、ぼけーっとする。
アルコールが入ってふんわりした頭が、程よく冷やされて気持ちがいい。

欄干にもたれ掛かり夜の景色を楽しむことが済んだら、
ちょうどいい感じにぽつんと用意されていた丸テーブルと椅子を利用させてもらって…
突っ伏して、そのままキープ。…あ、この体勢なんだか楽だ。ほどよく机が冷たくて気持ちいい。



コン、コン、コン、コン。



別に眠たいわけじゃない。指を1本繰り出して、テーブルの上を小刻みに叩いて暇つぶし。

495Mii:2021/08/01(日) 07:11:17 ID:1bf7iop2
ルフレ「……………………どうすればいいんでしょうね、はあ」



ロゼッタ「あの、大丈夫ですか?気分が悪いとか?」

ルフレ「……………………ここから変えられるのか?うーん」

ロゼッタ「もしもーし」

ルフレ「…………うわあっ!?」



ビックリした!いつの間にか、ロゼッタ姫がテーブル挟んで反対側に。
全然気づかなかった…これ、戦場だったら死んでたな…。

ルフレ「も、申し訳ありません。少し考え事をしていたもので!」

ロゼッタ「考え事、ですか。すごく深刻そうだったんですが、一体どうされたのですか?よかったら話してみてください。

    …なんだか、人の相談を聴いて解決する自信がついてきたところなので!
    一時的な気まぐれ、過信、安請け合いかもしれませんがっ!」

ルフレ「い、いえいえ、そんな。国家間のトラブルを、無関係なロゼッタ姫にいきなり振るというのは流石に」

ロゼッタ「国家間のトラブル!?」ズイッ

ルフレ(あ、口が滑った…!)

496Mii:2021/08/01(日) 07:14:15 ID:1bf7iop2
ますます興味を持たれてしまった。ま、まずい。
口外厳禁な、こんな重要な極秘情報。ペラペラと話すわけには行かないぞ…!
どうにかして話を逸らして、去って貰わないと…!





ルフレ「…………あれ?その割に…口止めされていない?」





よくよく思い起こしてみれば、誰かに相談するなとも口外するなとも…
もちろん情報を漏らした場合の処遇なんかも、一言たりとも釘を刺されていない。



――――してやられました。



最終的な判断を、責任もって下せばよいだけで。
それまでの過程は、もっと融通利かせて自由に振る舞えってことですねピーチ姫。
他の人たちからのアドバイスは進んで聴いてみるべきだった。
…うん、間違った解釈かもしれないけれど、そういうことにしておこう。

目の前には、目をキラキラさせて僕が話し始めるのを待っている麗らかな女性1人。
いつまでも待たせるのも、立たせたままにするのも失礼というものでしょうか。

497Mii:2021/08/01(日) 07:20:26 ID:1bf7iop2
ルフレ「…長い話になるかもしれませんよ?夜風に当たり過ぎて風邪を引きかねないくらいに。
  ちなみに、僕の方はひとまず気にしませんが、ロゼッタ姫が今後『逢引していた』と揶揄されることになって困ることになるかも…」



ロゼッタ姫が、目をぱちくりして、一瞬赤面して、すぐに落ち着いて。

ロゼッタ「ルフレさんとしばらく2人っきりになるだけでそんな噂を立てる方なんていませんよ。ルフレさんも真面目な方ですし」

ルフレ「はは、そこまで品行を評価してもらえているのなら幸いです。あと、どうかルフレとお呼びください」

ロゼッタ「わかりました、ルフレ!よろしくおねがいします」

ルフレ「……………………」



ルフレ(自警団のメンバー同士の恋愛模様に一喜一憂する、微妙に不真面目な人間ですけどね、僕っ!
   仕方ないじゃないか!会話を眺めるだけで、互いの絆の程度が何故か分かるんだもん!
   …あ、思い出したらちょっと不謹慎な興味が湧いてきた!後でコッソリ遊んでみよう!)



ルフレ「では、せめて簡単につまめるものと飲み物を。さすがに何もなしというのも堅苦しいですから――――」



さあ、何からどんなふうに話そうか。
ロゼッタ姫も、キノコ王国民ってことで、一応合っているんだよね…たぶん。
ピーチ姫との接点も多そうだし、何か解決策の糸口を引っ張り出せないか――――

498Mii:2021/08/01(日) 07:24:03 ID:1bf7iop2
〜 12月12日 AM 0:30 執務室 〜

ピーチ「そろそろ日付変わりそう…あ、変わってた。あと2日…………」



――――ごくっ ごくっ ごくっ。



ピーチ「…………そろそろ強壮剤すら効かなくなってきたわね…頑張ろう…」

鏡を興味本位で覗いてみる。
…うわあ、死相が出てる。これは祝賀会にもう出ない方がいいかも。
子供が見たら泣くかもしれない。それくらいヤバイ。化粧で誤魔化せるか分からない。

ピーチ「とりあえず、魔法で扉をロックして。1時間だけ仮眠の為にベッドにだーいぶ――――」



ドンッ! ドンッ! ドンッ!!

ルフレ「ピーチ姫ぇっ!!いらっしゃいますかぁ――――!!」



彼らしからぬ、扉を叩き壊したいの?と思ってしまうような猛烈な殴打音。
…ノックのつもりなんだろうけど。

ピーチ「…………」ドサッ

499Mii:2021/08/01(日) 07:26:59 ID:1bf7iop2
ピーチ「…………ロック解除っと」スタスタ

ピーチ「入ってちょうだい」

うんざり顔で声を掛けてみれば、とんでもない勢いで扉が開けられて。
ズカズカとルフレが入ってきた。えらく興奮しているわね。

ルフレ「申し上げます!不肖このルフレ!
   まだまだツギハギだらけの策かもしれませんが!ピーチ姫に提示するための策をお持ちしました!

   …………って、顔こわっ!」

ピーチ「――――――――ほう?」

ルフレ「失言でしたぁっ!!!」ドゲザ

ピーチ「…ツギハギだらけならまだ持ってこないで。
   今の私、なっかなか気分も機嫌も悪いの。控えめに言って最悪よ」

ルフレ「じょ、冗談です!自信あります!お願いします!」

ピーチ「下らない案だったら窓から放り出すわよ…………あら?
   お仲間を連れてきたのね?ロゼッタと…………リンク?」

ロゼッタ「お仲間その1です!そして若干眠いです!そしてピーチ姫の顔が怖いです!」

リンク「お仲間その2だな!そして割と眠いんだけどな!」

え、なに?たった1日、日付跨いだだけで眠いとか言ってるの?
私の目の前で喧嘩売ってるのかしら。…おっといけない、思考回路がずれて来てる。

500Mii:2021/08/01(日) 07:33:05 ID:1bf7iop2
ルフレ「…それでは、ピーチ姫。
   なんとしてでも、この戦局、変えて御覧に入れましょう!僕たちの未来のために!

   そのために必要なピースは、おかげさまで揃いましたから!」

ロゼッタ「…………」

リンク「…………」



ピーチ「…………」



ロゼッタとリンクが、ちらりと私の顔を伺う。真剣な表情に変わって、嫌いじゃない。

私はというと、ため息ひとつついて、するりと移動し、
ささっと交渉台の机と椅子を用意して。

どっしりと座って、ジト目で3人にも掛けるように促して。



ピーチ「…………さあ、存分に話して貰おうじゃないの」



疲れ切っているけれど…何とも言えぬこの感覚は、捨てがたい。

501Mii:2021/08/01(日) 07:36:20 ID:1bf7iop2
〜 ルキナの部屋 〜

ルキナ「…………いたた、頭が…痛い、です」ズキッ

私なんて、大したことは何もしていないのに。正式なファイターですらないのに。
皆さんに励まされ続けて、促されるままお酒を嗜んで、
生まれてこの方食べたことのない絶品料理に感動して過ごす毎日。

寝る間際はいつも、自分の腑抜けっぷりを自分の内面に罵倒されている。そんな錯覚。
…でも、それと同時に、きっと英気も養われている、はず。
以前のような後ろめたさ、自責の念、絶望感は消え失せてくれました。

目を覚ましてまどろんでいるとほどなくして、ピーチ姫お抱えのメイドが挨拶をしに来てくれました。
これも既に日課。色々と気に掛けて頂いているみたいで、感謝のしようがありません。



メイド「ルキナ様、おはようございます。お体の具合はいかがでしょうか」

ルキナ「おはようございます。おかげさまで万全です、ありがとうございます」

ちょっとした頭の痛みなんて、気にしない方向で。

メイド「ふふ、一昨日は相当に御歓談が弾まれたようで。本当にぐっすりお休みになられていましたね」

ルキナ「そ、そう言われると恥ずかしいですね……………………」

変な寝相を見られたのかもしれないですね。これは確かに府抜けています。

……………………え?一昨日?

502Mii:2021/08/01(日) 07:39:57 ID:1bf7iop2
ルキナ「…ちょっと待ってください、何を言っているのですか。昨日は12月11日、今日は12月12日で――――」チラッ









日付表示「12月13日です」

ルキナ「」









ルキナ「まさか丸一日、緊張感のきの字もなく、ぐぅぐぅ眠りこけたままだなんて…
   本当に腑抜け切っています、だらけ切っています、私…………まずくないですか…?」ズーン

物ごころついた頃からの思い出を探ると、こんなに寝っぱなしだったのは初めての可能性が高いです。
体力面では元気いっぱいなのに、心が低空飛行。

…まあ、それでも。祝賀会最終日、楽しむつもり…なんですけれど。
その後の苦難に挑むにしても――――思い残すことはないようにしておきたい。

503Mii:2021/08/01(日) 07:43:08 ID:1bf7iop2
〜 祝賀会 会場 〜



ルキナ「…………?」



ぐるりと見渡せば。妙に、周囲から変な目で見られている気がします。
悪感情というわけではないのですが、なんだか、こう、避けられているような。

会話しようとすれば一応できるのですが、すぐに切り上げられてしまう。
妙にどもられて、目をそらされて、ビクビクされてしまう。
…私がいない昨日の間に、何かあったのでしょうか。

所在なく佇んでいると、流石に不憫に思われたのか、声を掛けて頂きました。



ルイージ「や、やあルキナ!今日もいい天気だね!」

ルキナ「は、はい、そう…でしたか?小雨が降っていた気がしたのですが」

マリオ「ルイージ、赤点」

クッパ「ぬるい。0点」

デイジー「むしろマイナス100点で国外追放」

ルイージ「酷いよ!」

504Mii:2021/08/01(日) 07:46:18 ID:1bf7iop2
ルキナ「……………」

リンク「…そ、そうだルキナ!ルフレ!とうとう最終日になっちゃったけど…
   祝賀会が終わった今日の晩にでも、最後に1戦、鍛錬場で模擬戦やっとくか?」

ルキナ「ほ、本当ですか!願ってもないご提案です!ぜひお願いします!」

ルフレ「それは僕も嬉しいですね、喜んで!
   流石に食べて飲んでだけだと、体がなまりそうだったんですよ」



ゼルダ「そうやって、またリンクったら口説く!手癖が悪いですよ、少しは自重しなさい!」

ヒルダ「お、落ち着いてくださいゼルダ姫…!」

ラナ「こんな人たちはほっといて。ほらリンク、ワイン注いであげるー!」

リンク「え、いや、割と結構飲んでるから…俺的には…」

シア「そんな情けないこと言わないの、優勝者様」

デイジー「よっ、モテモテだねリンクさーん!」ケラケラ





ルフレ「……………………」

505Mii:2021/08/01(日) 07:51:18 ID:1bf7iop2
ルフレ(全神経を集中させて、じ―――――――――――――――っ!)



実は、僕こと軍師ルフレには、何故か所持している凄い?能力がある。

それは――――――――絆解析能力っ(勝手に命名)!!

ある2人の会話を眺めている、たったそれだけで。
2人の間の共闘、共演により、どれだけ絆が培われてきたかがざっくりとわかる。
互いの好感度のうち「低い方」が唐突に思い浮かんでくるって考えればいいかな。
頭の中に「A」とか「B」とかが湧いて出てくるから、最初はなんだこりゃ!?と思ったものだ。

昔は、高い順にS/A/B/C/表示なし、と本当にざっくりすぎたんだけど、
不謹慎ながら自警団の仲間たちの観察をしていくうちに多少は精度が向上し、
S/A+/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/表示なし…くらいにはなってきた。

…うむ、我ながら意味不明だ。意味不明、なんだが。
妄想とか気が触れているとかではなく、本当に正しく認識できるらしい。
今の所、間違った試しがないから信じるしかない。案外便利だし。誰にも言ってないけど。

ちなみに、自分と誰かの絆の強さは、この変な能力では調べないことにしている。
頑張れば調べられるのかもしれないけれど…なんだか、作戦段階で目が曇りそうで。
そのくらい普通に読み取れないで、何が軍師か。

        Dならば、知り合ったばかりの友人程度。
        Cならば、頻繁につるむことうけあい。
        Bならば、巷で大親友と呼べるくらいには仲がいい。
        Aならば、こいつに背中預けてもいいというくらいの戦友。
        Sならば、多分すでに結婚しています。

506Mii:2021/08/01(日) 07:56:33 ID:1bf7iop2
ルフレ(じ――――――――――――――――――っ!!)



皆の会話を盗み聞き…いや覗き見だ! 黙ってれば、誰にも怒られませんからね!





    マリオ⇔ルイージ   A
    マリオ⇔デイジー   A
    マリオ⇔クッパ     A
    マリオ⇔リンク     A
    ルイージ⇔デイジー A-
    ルイージ⇔クッパ   A-
    ルイージ⇔リンク   A-
    デイジー⇔クッパ   A-
    デイジー⇔リンク   A-
    クッパ⇔リンク     A-





ルフレ(いきなり恐ろしく高いのが出たっ!特にマリオさん、ド安定です!)

まだ上にSやA+があるからといって、AやA-は十分すぎるほど高い。
普通は、どれだけ仲が良くたってB止まりだからね!
Sなんかはもはや結婚前提のランクだから。

507Mii:2021/08/01(日) 08:00:18 ID:1bf7iop2
ルキナ「あの、ピーチ姫とロゼッタ姫はどちらでしょうか」

デイジー「…ロゼッタはちょっと用事があるって自室にこもってた。
    ピーチは、えっと、戦後処理が終わらなーいってぼやいてた」

ルキナ「そうですか、残念です…」

マリオ「気にしない気にしない」



…僕も残念だ。絆の解析ができないという不謹慎な理由のせいで。
マリオとピーチの絆は、Aだろうか、A+くらいはあるだろうか。







まあ、ピーチ姫がいない理由は…僕、というか「一部の人以外」は知ってるんですが。
…ロゼッタ姫はよくわからないけれど。







ふう、結構神経をすり減らしたけれども…もうちょっと続けてみよう!

508Mii:2021/08/01(日) 08:05:06 ID:1bf7iop2
リンク「そういやお礼しそびれてたな。ラナにシア。
   お前たちのお陰で戦いを有利に勧められたのは本当に助かったよ、ありがとう」

ラナ「…リンク――!!えへへ、そう言ってもらえると疲れもパアっと飛んで行くよ!」

シア「…ふん、感謝が遅いのよ」



    リンク⇔ラナ    C-
    リンク⇔シア    C-



うわっ、たった1日の戦闘だけでC-まで登ってきたなんて。何気に凄いぞ、これ。
…まあ、やたらハードな戦闘でしたから絆も深まりやすかったですけど。
これはゼルダ姫にとって強力なライバルになりそうだ…。

いや、別にゼルダ姫贔屓という訳じゃないけど。
あそこまであからさまにアピールしていたら、応援したくなるよね。うん。
まあ、長い付き合いでしょうし、気を抜かなければそうそう負けることは――――



    リンク⇔ゼルダ    D
    リンク⇔ヒルダ    B-



ルフレ「    」

509Mii:2021/08/01(日) 08:08:08 ID:1bf7iop2
ゼルダ「…おや?いきなり私を見て固まって、どうしましたかルフレ」

ルフレ「ななななななななななんでもありませんですハイっ!!」



ゼルダ姫っ!祝賀会に出ている暇じゃないかもしれませんよっ!
もっとリンクに好印象与えて行かないとまずいですよっ!
というよりヒルダ姫に負けているってどういうことですか!?おっかしいぞー?



ファイ「…………何か叫び声が聞こえました。マスター、異常発生ですか?」フワフワ

リンク「ははは、ルフレがいきなりゼルダ姫に問い詰められて叫んだだけだよ」

ゼルダ「どこが『問い詰めた』ですか!失礼ですね!
   その言い回しですと私が悪いみたいではありませんか」





リンク⇔ファイ A+





ルフレ(あ、これもう無理なやつだ)

510Mii:2021/08/01(日) 08:12:58 ID:1bf7iop2
うん、そりゃあ、そうだったね。本命相手に逆転とか無理だね、これ。
相手が3周目の最終コーナー曲がった状態からようやくスタートした程度には絶望だね。

い、いや、でも。ファイさんはあくまで半身、剣の精霊だし。
そうだよ、伴侶は別に他にいてもいいじゃないか。そうとも!まだ可能性はありますよ、ゼルダ姫!
よし、一旦切りが付いたところで、傍のグラスで喉を潤して――――

リンク「さっきからルフレの顔色が目まぐるしく変わってるが、大丈夫かな、あれ。
   まさか祝賀会の最中にも戦術のイメトレを…?マジで末恐ろしい奴だな…!」

ルキナ「ルフレさんなら、そのくらいの芸当はやってのけるかもしれませんよ?
   お父様、そして自警団一同が認める『神軍師』なのですから」

リンク「ああ、今回の大会でまざまざと見せつけられてる所だよ。
   ルフレ、まだまだ弱いけれど…凄いよな。幾らでも伸びるぞ。
   もちろん、ルキナの剣の才覚だって負けてない」

ルキナ「そ、そんな…恐縮です!ですが、お褒めいただきありがとうございます!」





    リンク⇔ルキナ    B+





ルフレ「ぶふううううぅぅぅ!!!???」ブフォッ

511Mii:2021/08/01(日) 08:18:07 ID:1bf7iop2
マリオ「どこからともなく取り出したマントっ!」バサァ!!

ルフレ「…………あ、わ、わわわわわ」

リンク「ちょっとマリオ、やりすぎだろ。自業自得とはいえ、ルフレがびしょ濡れだぞ」



――――てくてく、ダンッ!!

ルフレ「…………ゼルダ姫っ!!どうか…強くっ!強く生きてくださいねっ!!」ボロボロ

ゼルダ「な、なんですかいきなり!?肩から手を離しなさいっ、セクハラですよっ!
   それもお酒で濡れた手でっ!」





ルフレ「…………はあ、驚いた…」

トントンッ。

ルフレ「…………?」



ハイリア「…………あんまりオイタはだめよ?覗き見好きな軍師さん」

ルフレ(能力の事がばれてるっ!?)

512Mii:2021/08/01(日) 08:21:27 ID:1bf7iop2
リンク「それにしても、最後の最後まで料理がふんだんに…これ、残ってたら捨てられるのか?勿体ないなあ」

マリオ「そんな勿体ないこと、当然しないぞ。祝賀会のあと、給仕の人たちが打ち上げで消費してくれるし…
   それにこれから、一気に食ってくれる奴がいるからな」

リンク「…あ、いつもの大食いコンビね」

クッパ「それは違うぞ。ヨッシーとカービィには別口で、料理が既に用意されているのだ」

リンク「…じゃあ誰が食うんだ?」

マリオ「おいおい、前回大会のこと忘れたのかー?」

リンク「前回大会…?たしかあの時は――――

   優勝者のマリオが、優勝祝いとか称して周囲から無理やり
   大皿料理をぐいぐい口の中に詰め込まれて地獄絵図に――――

   ――――――――えっ」

マリオ「…………」ニヤリ

クッパ「…………」ニヤリ

リンク「ちょ、ちょ、ちょっと待った!まさか俺が食うのか!?
   無理無理!結構この1週間食い続けてるんだ!これ以上無理――――」

マリオ「うおーーーーす、みんなー!時間的にも頃合いだ!
    俺とクッパがリンクをがっちり抑えとくから、
   片っ端から料理を食わせてけー!盛大に優勝者を祝ってやるぞー!!」

513Mii:2021/08/01(日) 08:23:47 ID:1bf7iop2
リンク「おいやめろ!こんな古臭いパワハラ演芸会イベントなんか止めちまえ!
   だからみんなやめろって喜々として料理持ってくんな!!」

マリオ「前回はリンクも煽ってた側だがな」

ワリオ「はーい、リンクちゃん、口を大きく開けましょうねー」グイイイィィィッ!!

リンク「もごごごごごごごごごごご」



ゼルダ「とりあえずこのローストビーフから行ってみましょうか。
   軽く1kgはありますけれどリンクなら大丈夫でしょう。
   は、はい、あーんしてくださいねー」ズズッ

フォックス「脂っこい物の後はサッパリしたもので口直ししたいよな!
     ソーメンとかどうだソーメン!ツユごと流し込んでやるから!」

オリマー「栄養が偏ってるから、ここはひとつ野菜を食べないか?
    赤ピーマンに黄ピーマンに青ピーマン!紫ピーマンに白ピーマンもあるぞ!
    もしかしたら2文字ほど字が違うかもしれないが」

デイジー「ヨッシーですら残した激辛トウガラシ、消費してくれる?
    ちょっと舌が悶えるかもしれないけれどなんとかなるっしょ!」

ネス「辛いものは甘いもので中和しよう!ほら、特製ケーキ!
  どれもこれもほっぺたが落ちそうになるくらい甘くておいしいよ!
  とりあえず5ホールほど行ってみようか!」

リンク「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば」ビクッビクッ

514Mii:2021/08/01(日) 08:27:49 ID:1bf7iop2
リンク「………………………………ぬおお…は、腹がまだ痛いっ…………!
   あやうく漏らすとこだったぞ、やっべー」ギュルギュル

俺、勇者リンク。死闘のすえ、一目散にトイレに駆け込んで…ギリギリセーフ。
あやうく尊厳を失うとこだった。パワハラはんたい。
なんだかゼルダ姫が一番楽しそうだったのは気のせいか。

…………1時間くらいはトイレの住人にならざるを得なかった。
なんとか耐えきって、めでたしめでたし。
手を洗ったけれど、また腹痛が起こることを警戒して。
ちょっとトイレ内で待機して様子見だ。こんちくしょう。



リンク「それにしても、ピーチのほうは順調かな…。ルフレもなかなか思い切ったことを考えたもんだ」



ルフレの奇策が成立すれば、物事は一気に解決に向かう、かもしれない。
そして今は、ピーチが倒れそうな体を鞭打って「交渉」してくれている真っ只中だ。
多分ピーチなら…吉報をもたらしてくれるはず。信じよう。

リンク「まあ、ひとつ気懸りがあるとするなら、作戦決行中の俺が、
   新たな伝説に召喚されてしまわないかってことだけど…」

それをされると、全部パーになっちゃうんだよなあ。
ほんと唐突に体が光って、新たな魂植え付けられて、俺の意思関係ナシに飛ばされるから。
ほら、ちょうどこんな感じにピカーッと…………。

リンク「……………………」ピカーッ!

515Mii:2021/08/01(日) 08:32:15 ID:1bf7iop2
リンク「ぎゃああああぁぁ――――!?よりにもよってこのタイミングで召喚だとぉ!?
   そんなもん、許可できるかっ!ふざけんじゃねぇ!!
   
   …ピーチ、ごめん!前に嫌というほど忠告はされたけどっ!
   トゥーンのときみたいに、魂を強引に引っぺがすぞっ!!
   勇者分裂の責任問題とか、もう知らん!

   いっせーのー…でっ!!」



ベリイイイィィィィッ!!

ポンッ・・・・・・!!









リンクル「やっほー!!わたし、リンクル!よっろしくー!!」

リンク「」

リンク「」

リンク「…………性転換してる!?」

516Mii:2021/08/01(日) 08:34:52 ID:1bf7iop2
現れたのは、おれと同じく緑の衣を纏った、ボーガン持ってる女の子。
首に掛けたコンパスがキラリとひかる。



リンクル「私だって、もう一人の勇者だもんねー!
    どういうわけか、貴方の生まれ変わりであることと、魂の知識に関しては
    頭にしっかり記録されてるよ!!」

リンク「」

リンクル「…くんくん。
    ところでなんだか変な臭いがするけれど、ここどこ?」

リンク「見ての通り男子トイレっす」

リンクル「嫌あああぁぁぁ!?この人、痴漢ですっ!!
    いたいけな女の子をこんなところに連れ込むだなんて!」ズサァッ!!

リンク「叫ぶなおいっ!誰かに聞かれたらどうする!

   しっかし、まあ、驚いたな…。まあ、帰って来たらしっかり面倒は見てやるから。
   うむ、生活面はお兄ちゃんに全て任せておきなさい、妹よ。
   新たな伝説にむけて、どうぞ召喚されちゃってください。いってらっしゃーい。

   それで、今回はどんな伝説を紡ぐことになるんだろうな」



リンクル「誰が兄で妹よ、冗談じゃない――――うぐっ!?」

517Mii:2021/08/01(日) 08:39:52 ID:1bf7iop2
――――リンク達の活躍によって魔王ガノンドロフは倒され
――――ハイラル城は闇の力から解放されました。

――――これで平和が戻る――
――――誰もがそう思っていたそのとき、ハイラル城に
――――再び魔物の群れが押し寄せてきました。

――――ガノンドロフが倒され統率を失った魔物達が
――――凶暴な本性の赴くままに人々を襲い始めたのです。
――――今はゼルダもリンクもいません。
――――工事現場で働いていた任天堂スタッフ達も、もういません。

――――それでもインパは、ハイラルの人々を守るため
――――まだ先の戦いの傷が癒えていない兵士達から
――――戦える者を集めて魔物を迎え撃ちました。
――――デクババたちも、餌が飛び込んできたと張り切っています。



リンクル「頭の中に、情報が、かき、こまれて、いく…!行かなきゃ…!わたしがみんなを救うんだ!

    ………………………ぐ、ぐ。でも、そ、その召喚、ちょっと、待って。
    私だけじゃ、てんで力不足、かも…!
    こ、これ、新たな伝説、というより…この前の戦いの後半戦、だよぉ!
    ガノンドロフの残党たちが暴れ出してるんだって…………!」ガタガタ

リンク「この前の…って、ゼルダ姫が引き起こした、あの戦いのことか!
   まだ終結してなかったのか…魂1つ分のお前じゃ、ひょっとして荷が重い?」

リンクル(こくこく)プルプル

518Mii:2021/08/01(日) 08:43:15 ID:1bf7iop2
なんか、召喚に抗ってプルプル震えながら涙目になってる。
変な気分にはならないが庇護欲はちょっとあるかな。
…うん、俺に比べると確かにかなり弱っちい感じがする。比較対象があれだけど。

このまま乱戦の舞台に立たせたら結構命が危ないか?
でもすまん、俺が助太刀する訳にいかない事情があるんだ。



――――仕方ない、ちょっと周りを巻き込もう。



リンク「おいリンクル、だっけか。体感で、あとどのくらい召喚に抵抗できる!?」

リンクル「た、たぶん、が、がんばっても2,3分が限界…………!」プルプル

リンク「よっしゃ!こうなったら妹のためだ、手伝ってやるよ!とりあえず…!」

リンクル「と、とりあえず…?」プルプル







リンク「そこの個室に入って30秒でさっさと服を脱げ」

リンクル「」

519Mii:2021/08/01(日) 08:46:13 ID:1bf7iop2
バアアアァァ――――――ン!!



会場の扉が、勢いよく開かれて――――――――



リンク「――――――――はぁっ!はぁっ!はぁっ!」ピカーッ!

ゼルダ「ど、どうしたのですかリンク!そんなに乱暴に扉を押し開けて!
   マナーというものがなっていません!…え、その体の輝き、は」

リンク「ぜ、ゼルダ!大変だ!ハイラル城が危ない!
   ガノンドロフの残党が暴れ出してるらしい、よ!今こそ、勇者の使命を果たすとき――」ピカーッ!

ゼルダ「!?」

リンク「ほ、ほら、お、おれの体、見てくれ!召喚されそう!
   一気にハイラルまで飛ばされるみたい、だっ!この体が、恨めしいっ!

   お願いしますっ!ゼルダ、も、なるべく早く、舞い戻って、くださいっ!
   ハイラル、ゆかりの、他の方々も、ぜひっ!

   先に行って、待ってますからっ!!!」ピカーッ!



ゼルダ「な―――――――!?そ、そんな突拍子もないこと――――」

520Mii:2021/08/01(日) 08:49:01 ID:1bf7iop2





リンク「ゼルダっ!黙って、俺に、付いて来いっ!」ピカァーーー!!

ゼルダ「」

リンク「――――」シュンッ!!



「リンク?」を エリアから ロストしました。▼



ゼルダ「」

ゼルダ「」

ゼルダ「即刻ハイラルに戻りますっ!!」

マリオ「ちょ、ちょっと待てよ――――」

ゼルダ「待ちませんっ!リンクが私を必要としてくれているのですっ!!!」クワッ!



ザワザワザワザワ・・・・・・・・・!!!

521Mii:2021/08/01(日) 08:53:56 ID:1bf7iop2


ヒルダ「…………そーっと」コソコソ



ゼルダ「ヒルダ姫、貴方も当然行きますよね!手伝いなさいっ!ユガ役っ!」ガシッ!

ヒルダ「きゃああああ!!見逃してくださいっ!ユガ役って何ですか!?

   帰りたいですっ!祝賀会が終わったらすぐにロウラルに帰りたいだけなんですっ!!
   これ以上ロウラルを放置したくないんです巻き込まないでくださいぃ――!」ズルズルズルズル・・・

ラヴィオ「ヒルダ様ぁ――――!え、ぼ、僕もですか!?
    ま、まあヒルダ様が向かわれるのなら当然同行させていただきますけれど!」バタバタ

ゼルダ「それでは、みなさん!
   突然のお別れになってしまいましたが、お暇させていただきます!御機嫌よう!」

ヒルダ「たーすーけーてぇ――――」ズルズルズルズル

マリオ「…………リンクがいなくなっちまっただと?やっべ、作戦が…!」ボソッ

ゼルダ「何か言いましたか?」クルッ

マリオ「い、いやなんでもない。わ、忘れてくれ。いってらっしゃい…」

ラヴィオ「この程度の戦い、勇者くん…リンク1人でお釣りがくるじゃないですかぁ…!」バタバタ

デイジー「す、すこしでも早く解決したいってことじゃないのかな、ハハハ」

522Mii:2021/08/01(日) 08:56:19 ID:1bf7iop2
ラナ「私だってもちろん手助けに行くからね!勝手に連れてって許さない!」タタタ

シア「そうね、魔物達を地獄の業火で焼いてあげましょう」タタタ

リンクル「ゼルダ様、ヒルダ様、負けないでくださいねっ!
    お姉さんたちも、頑張って下さーい!」ブンブン

ラナ「ありがとー、名前も知らない女の子―!」タタタ

シア「任せておきなさい、この程度の残党狩りなどあっさりと――――」タタタ







ラナ「――――」ピタッ

シア「――――」ピタッ





ラナ「…………」クルッ

シア「…………」クルッ

リンクル「あ、あの?どうかされましたか?」ギクッ

523Mii:2021/08/01(日) 09:00:05 ID:1bf7iop2
ラナ「……………………」ジーッ

シア「……………………」ジーッ

リンクル「い、いやですわそんなに見つめられて恥ずかしい……………………」

ラナ「…私たちって、さあ。これでもいっぱしの魔女だから。
  観察している人の魂の区別、しっかりできたりするんだよね」

リンクル「えっ」



チャキッ。――――――――カシャッ!



シア「――――お宝写真ゲット。これでご飯3杯は行けるわね」キラキラ

ラナ「あとで私にも見せて見せてー!…状況がよくわかんないけど『貸しイチ』にしとく♪」

リンクル「」

ラナ「よーし!ゼルダ姫!急いでハイラルに戻ろうよ!
  そこに間違いなく『リンク』がいるから!そう、勇者『リンク』が!」タタタ

シア「『リンク』があれだけ懇願していたら、『リンク』を助けるためにハイラルに戻る以外の選択肢などないわね。
   ゼルダ、『リンク』のためにも全力疾走で駆けなさい!」タタタ

ゼルダ「言われなくても当然です!」ダダダダダッ!

524Mii:2021/08/01(日) 09:02:23 ID:1bf7iop2
リンクル「…賑やかに去っていった」

リンクル「…………」

リンクル「だが、よぉし。開き直るぞー。これでスムーズに作戦が進行――」


















マリオ「…………それで、一体あれは誰だったんだ、『リンク』さん?」

リンクル「なぜバレた!?」

クッパ「なぜバレないと思った」

デイジー「いやまあ、素体がいいから女装姿もさまになってるけど」

525Mii:2021/08/07(土) 14:16:13 ID:JgP6WN9o
ロゼッタ「………………………」パアアアァァァ

ロゼッタ「………………………」パアアアァァァ

チコ「ママ、これ何作ってるのー?」

ロゼッタ「ルキナさんに渡すお守りを作っているのよ。まあ、気休め程度の効果かもしれないけれど」



机の上の小さめな魔法陣には。
小さな星型のペンダントが、ふわりと浮かんで光り輝いています。
結構、造形制御が難しいんですよね。



チョール「おー、やっとるやっとる。いつ頃に準備ができるかのう」

ロゼッタ「あ、星の精の皆さん!えっと、あと1時間くらいお待ちください」パアアアァァァ

チコ「…………?」フヨフヨ

チョール「ほっほ、星の子よ。ロゼッタ姫は、かつてピーチ姫がマリオに渡したお助けアイテム――
    そう、『ラッキースター』なるものを作ろうとしておるのじゃ。
    最後に、我々星の精たちが一晩かけて、星々の願いのチカラを降り注いで完成じゃな!」

チコ「…らっきーすたー?」

ロゼッタ「そう、ラッキースター。持っていると、うまくいけばアクションの効果を高めることができるわ。
    ママには原理はまったく分からないけれど」

526Mii:2021/08/07(土) 14:19:43 ID:JgP6WN9o
残念ながら、私の担当箇所は「星の精たちがチカラをこめられる、綺麗な形のペンダントを作る」ところだけ。
空間把握能力を最大限発揮して、ちょっとずつちょっとずつ削り取っていって、
幾何学的にできるだけ完璧な星型を作ります。こうすることで神秘性が増すんだとか。

……マジックアイテムとしての効力に関しては、一切関与していません。
私の領分は空間魔法と回復魔法だけですからね、あしからず。



チコ「アクションの効果を高めるって、どういうこと?」

チョール「例えば、ジャンプ攻撃の回数が1回から2回になるとか」

マール「ハンマー攻撃の威力が格段に上がるとか」

ハール「敵からのダメージを1減らすとか」

ニール「敵からの状態異常付与をシャットアウトするとか」

ネール「いつまでも連続ジャンプし続けるとか」

テール「仲間をノーダメージにするとか」

ダール「ダメージが半分になる代わりに5回攻撃になるとか」



チコ「へえぇー」

ロゼッタ「へえぇー」

527Mii:2021/08/07(土) 14:23:17 ID:JgP6WN9o
マール「…でも、祝賀会最終日とかだったんでしょ?1人こうして自室にこもってるのは、ちょっと残念ね…」

ロゼッタ「まあ、ピーチ姫に是非にと依頼されましたので。こうして私ならではの役割を果たせますし、それに――」

マール「…それに?」

ロゼッタ(『ロゼッタはうっかり屋さんだから何かの拍子に口を滑らせて作戦漏らすかもしれないからね』とか言われちゃいましたし)

ロゼッタ「…なんでもありません」ズーン



ロゼッタ「――――できました!どうぞ!」

魔法陣を解除し、ゆっくり落ちてくるペンダント。
自らの手で優しく受け止め、何度も様子を確認。…うん、いい出来です!

チョール「…うむ、素晴らしい出来じゃ!我々のチカラも馴染みやすいじゃろう!
    明日の朝までには万全の状態でお返しするぞ!楽しみに待っておれ!

    ロゼッタ姫よ、せっかくじゃ!製作者として、改めて銘打つとよい!
    このアイテムならではの、カッコいい名前を付けてやるのじゃ!」

ロゼッタ「め、銘打ちですか!?考えてもいませんでした…。『ラッキースター』そのままではだめなのですか?」

チョール「そういったところで手抜きをすると、意匠登録とか権利関連とかが面倒なのじゃ、たぶん」

ロゼッタ「たぶん」

チョール「そう、たぶん」

528Mii:2021/08/07(土) 14:26:29 ID:JgP6WN9o
ロゼッタ「……わ、わかりました!それでは――――――――ええと。




    
    ――――――――『流星』でお願いします」

ダール「ロゼッタ姫にピッタリ!シンプルながらカッコいいですな!」

ロゼッタ「使って頂くのは私じゃなくてルキナさんですけれどね」



ロゼッタ「ふ――――う、疲れましたー」

周囲に誰もいないことを確認して、ググっと伸びをする私。今はトコトコ、キノコ城まわりを散策中です。
祝賀会会場に向かってしまうとうっかりボロが出てしまうかもしれないので、ええ。
…なんだかあんまり納得できませんが。



大会スタッフ「あっ!ロゼッタさん!ちょうどいいところに!」

ロゼッタ「……はい?」

大会スタッフ「大変申し訳ございませんが…ちょっと来ていただけますか!
       選手登録の際、必須項目の入力不手際があったもので!」

ロゼッタ「…………?わかりました」

529Mii:2021/08/07(土) 14:30:40 ID:JgP6WN9o
〜測定室〜



大会スタッフ「いやあ、ヒルダさんは同スタイル扱いのゼルダさんのデータを完コピすることで強引に乗り切ったんですが!

       飛び入り参加状態だったロゼッタさんの身長と体重、今の今まで登録するのを忘れてたんですよっ!
       ふむ、身長は205.0cm、当初の設定のまま変わらずですね。それでは――――――――」





体重計「こちらへどうぞ」

ロゼッタ「」





大会スタッフ「大丈夫です、私も女ですから!気にせずドーンと!
       体重計に乗るだけで、自動的に値が公式記録に反映されます!」

ロゼッタ「いいいい嫌ですよっ!?記録に残るってことでしょう!?」

大会スタッフ「…………それは他の皆さんも同じですよ?特別扱いはできません」

ロゼッタ(私、大会中に相当ふとっ……たくましくなった自信があるんですけどっ!?)

530Mii:2021/08/07(土) 14:35:11 ID:JgP6WN9o
ロゼッタ「何のために体重なんか載せるんですか!?」

大会スタッフ「ふっとばされやすさの目安ですけれど…
       そもそも運動競技でアスリートの身長体重を載せるのは普通でしょう?」
      
ロゼッタ「くっ、反論できません…!」

大会スタッフ「というわけで、さあさあ――――」

ロゼッタ「…い、嫌っ、ちょっと待ってください――――!!」



ロゼッタ「…………」



ロゼッタ「自動的に記録される?」

大会スタッフ「……?はい、そうです」

ロゼッタ(つまり、たとえ変な値が出たとしても、この場で突っ込まれて
    測り直しになることはない、ということですか…)



ロゼッタ「…分かりました、ええ分かりましたとも。覚悟を決めました。
    …………チコ、お願いだから来てちょうだい」

チコ「はーい」

531Mii:2021/08/07(土) 14:38:15 ID:JgP6WN9o
大会スタッフ「あはは、自分から重くしちゃってどうするんですか。
       なるほど、合計体重にして有耶無耶にしちゃう算段ですね、まあOKですよ。
       それでは測定しますからねー」





ロゼッタ(――――――――   反   重   力   っ  !)ガシッ!!

チコ「ふおおおおおおおおぉぉぉ!!」↑





体重計「5.9kg、登録しました」ピコーン

大会スタッフ「プリン(5.5kg)よりはおもいけどピカチュウ(6.0kg)よりかるぅい!!?」

ロゼッタ「いやあこれはおどろきですねえ」

チコ「でも、流石に軽すぎたんじゃないの?」ヒソヒソ

ロゼッタ「いいのよ。ふふっ、なんとか難局を乗り切ったわ!
    とくに反重力の強さを調整したつもりはないのだけれど!」ヒソヒソ



ロゼッタ「…………………………………………」

532Mii:2021/08/07(土) 14:42:21 ID:JgP6WN9o
……………あれ?ってことは、私のホントの体重、これよりチコの体重分…40kg重いだけ?
妙に軽くなっているような…………これなら普通に測っても良かったのでしょうか。



…いやいや、そんな馬鹿な。ナニカがおかしい。



あんまり思い出したくはありませんが、いつぞやのタブー戦で、割と体重があることが発覚したはずで…
パルテナさん曰く、あの土煙のせいで、な、70kg超えが確定したとかなんとか。
あの戦闘だけでさすがに何十kgも痩せるとはとても思えないのですが。

大会スタッフ「お、おーい!ロゼッタさんの体重、もう測って貰っちゃったかー?
       くっそー、遅かったかっ!修正ができなくなってるぞ、あっちゃぁ!」

大会スタッフ「…う、うん。何か問題があったの?」

大会スタッフ「もともと、『ロゼッタ&チコ』で1選手扱いだろ?
       でも、公式記録を見る人の大半は、ロゼッタさんの体重と捉えるはずだ。

       一緒に体重計に乗って、重く見られたらロゼッタさんが可哀想だから、
       特別にマイナス40kg計算するように設定されてたんだよ!
       逆にロゼッタさんだけで乗ることを想定もせずに!」





ロゼッタ「        」

533Mii:2021/08/07(土) 14:45:18 ID:JgP6WN9o
大会スタッフ「なぁんだ、それなら大丈夫よ。ちゃんと2人で体重計に乗ってくれたから」

大会スタッフ「…あ、それなら別によかったんだが。要らぬ心配だったってことか」

大会スタッフ「…あれ?じゃあロゼッタさんとチコさんで2人合わせて、
       実際はゴニョゴニョ(45.9kg)だったってことか。
       …チコさんがやたらめったら軽かったのかな…?」



ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「はち、じゅう、ごー、てん、きゅう…………!?」ガタガタガタガタガタガタガタガタ



身長205cm-体重85.9kg   BMI:20.4
普通体重に到達! ロゼッタは 至って健康だ!▼



ロゼッタ「しばらく霞だけ食べて生きて行きたい…」フラ・・・フラ・・・

チコ「ママ!しっかりしてー!ママー!」ペシッ ペシッ

534Mii:2021/08/07(土) 14:48:55 ID:JgP6WN9o
〜 12月13日 22:00 小会議室 〜

マリオ「いやー、最高の祝賀会だったなー。綺麗に幕を閉じられた。
   リンク、優勝の余韻には十分浸れたか?」

リンク「腹を壊した…もとい壊された場面以外はね、うん。
   思い出したくもないぞ…まったく。

   そんで、ピーチ。首尾のほうは?」



ピーチ「……………………」

ピーチ「……………………」ニンマリ

ピーチ「――――――――勝訴っ!!」

マリオ「勝訴て」

ピーチ「――――――――勝訴っ!!!!」

クッパ「お、おう。相当に無理をして頑張ったのだな。
   そんなにコワーイ目を見開かなくても苦労は分かるのだ」

ルフレ「やったっ!本当に!本当にありがとうございます!」ウルッ

マルス「ルフレ、さすがに涙ぐむのはまだ早いよ。最後の仕事が残ってる。
   …いや、無粋か、すまない。これはもう…ただただ感謝するしかないね」

535Mii:2021/08/07(土) 14:51:37 ID:JgP6WN9o
ピーチ「明日の準備と行動段取り、ちゃんと予定通りに…お願いするわよ?」

マルス「ああ、誓って」



ルフレ「…それで、ロゼッタ姫は、どうしてそんなにやつれていらっしゃるのでしょうか」

ロゼッタ「なんでもありません…」ボロッ

ピーチ「…きっと、相当に魔法を行使して疲れちゃってるだけよ。
   ルキナ用のマジックアイテムの作成を依頼してたの」

ルフレ「そ、そんな状態になるまで必死に作業に当たって頂けるとは…っ!
   感服いたしました、本当に…本当に有難く…!」

ロゼッタ「いえ、そんなことは、これっぽっちも…………ははは」

デイジー(ロゼッタの目がなんだか死んどる)



ピーチ「さあみんな!ラストスパートよ!」

オオオオオオオオオ――――ッ!



ロゼッタ「――――――――――――――――おー」

536Mii:2021/08/07(土) 14:56:38 ID:JgP6WN9o
〜 ルキナの部屋 〜

メイド「まあ、そうですか!明日、帰郷されるのですね。ルキナ様のご武運をお祈り申し上げます」

ルキナ「…………あまり芳しくない…いえ、そんな言い方では生ぬるい。
   正直、かなり無謀な戦いが待ち受けてはいます。いつ何時、絶命しても全くおかしくないほどの。

   それでも、勇気と希望、ここにいる間にたくさん、受け取り育みました。
   …やれるだけのことは、やってみようと思います」



既に帰郷の段取りはマルス様やアイク様、ルフレさんと相談済。
…とはいっても、故郷の領域に近づいた途端に各々の時代・世界線へ自動転送されるから
特に用意することも準備するものもない…とかいう、
学のない私には理解が及び難い内容だったのですが。

…………最後まで、ルフレさんは、
「なんだったら僕たちの世界に一緒に来てもいいんだよ」と提案してくれました。
適当に手でも繋いでおけば、私本人の世界線はそっちのけで、連れて行ってもらえるそう。



ギムレーが倒され、完全とは言いませんが平和になった世界。



とても魅力的。とても喜ばしい。思わず頷いてしまいそうになる。
…それでも最後まで、私が頷き切ることはありませんでした。
ここまでの積み重ね、全部無駄にしてしまいますから。

537Mii:2021/08/07(土) 14:59:39 ID:JgP6WN9o
ルキナ「貴方にも、長い間お世話になりました」ペコリ

メイド「メイドの仕事がようやく降ってきて『ひゃっほーい!』って感じです
   (メイドとしての当然の務めですから)」

ルキナ「…え?」

メイド「…………メイドとしての当然の務めですから
   (メイドの仕事がようやく降ってきて『ひゃっほーい!』って感じです)」

  ※キノコ城のメイドは大抵の仕事(雑務含む)をピーチ直々に奪われているため
    どれだけキノコ城が広かろうがたとえ5人しかいなかろうが非常に手持無沙汰です。

ルキナ「そ、そうですか」

メイド「はい!」

流れるような手つきで、紅茶を淹れていく彼女。
一切無駄のない洗練された動きで、武骨な私からするとすこし羨ましい。

差し出されるまま、口を付けます。
…………本当に美味しい。これが飲めるのも、今日…いえ明日で最後ですか。

メイド「とりあえず、明日の正午ごろに起こしに参りますね」

ルキナ「…あ、いえ、できれば明日は…朝から出発したいと考えています。
   延ばしても後ろ髪を引かれてしまうだけですから。

   ああ、そういえば微妙に出発準備が不十分でした!
   就寝前に最後の清掃片付けと持ち物整理を行っておかないと――――」スクッ

538Mii:2021/08/07(土) 15:02:31 ID:JgP6WN9o
メイド「――――いえいえ、たった今から、正午までどうぞごゆっくり」

ルキナ「それって、どういう――――――――」



ぐらっ。



ルキナ「――――えっ」

猛烈な、眠気。足元覚束なく、体を支えられなくなり、メイドの方へ倒れ込んでしまう。
幸い、彼女は驚きもせず…ガシッと私を支えてくれました。

――――そうなることが分かっていたみたいに。
――――そうしているうちにも、瞼がますます重くなる。

ルキナ「い、いったい、なにが、起こって――――」

メイド「――――おやすみなさいませ、ルキナ様」



ルキナ「くぅ」スヤァ

メイド「…本日の睡眠導入剤も、仕込み問題無し。前回より量は抑えて…と。
   推定される覚醒時間帯、明日12月14日の11時から13時までの間。

   これにて任務完了いたしました。ルキナ様、お大事に」

539Mii:2021/08/07(土) 15:04:22 ID:JgP6WN9o
ルキナ「――――――――――――――――」

ルキナ「――――――――――――――――」

ルキナ「――――――――――――――――あ、れ?」パチッ



のそっと身を起こして、しばし静止してまどろんで、違和感。

なんだか、就寝前の記憶が曖昧です。
ベッドには収まっているので、普通に寝静まった…?おや?

…ああっ!そうです、とにかく今は出発の準備をしないと!
昨晩は準備し損ねた感があります!



メイド「ルキナ様、おはようございます」

ルキナ「…あ、おはようございます!すいません、寝過ごしてしまっていたようで…」チラッ



日付表示「12月14日  12時30分です」

ルキナ「本気で寝過ごし過ぎています!?」

メイド「ふふっ」

540Mii:2021/08/07(土) 15:07:58 ID:JgP6WN9o
メイド1「髪をセットさせていただきますね」

ルキナ「あ、あの」



メイド2「お疲れのご様子。消化のよい朝食…いえ昼食を部屋にお持ちしました。どうぞ召し上がって下さい」

ルキナ「え、えっと、そのあたりは端折ってしまってですね…」

メイド2「召し上がっていただけないのですか?」

ルキナ「…………た、食べます」



メイド3「僭越ながら、帰郷用の服装を見繕わせていただきました。
   ピーチ様が仰るには、着の身着のままのご来訪であったということで…。それぞれご試着されてください」

ルキナ「そ、そこまでしていただかなくても…それより出発を…」

メイド4「…ねえ、まだなの?まだ姫様の極秘会合が長引いているの?」ヒソヒソ

メイド5「もうちょっと!もうちょっとだけだから時間稼いで!もう1回様子見てくるからっ!」ヒソヒソ

メイド4「あんまり引き留めるネタもないのだけれど…………」ヒソヒソ

メイド5「『ルキナ様の御出向を祝し、ここで1曲歌わせていただきます!』とかどうかな」ヒソヒソ

メイド4「却下です、そのような幼稚な作戦は」ヒソヒソ

541Mii:2021/08/07(土) 15:09:55 ID:JgP6WN9o
メイド5「…………」



メイド4「…………」



メイド4「ルキナ様!ここはひとつ、チェスでもしましょうか!
    どことなくFEに似ていますし!復活しない所とかも!」

ルキナ「」






メイド5(あんまり作戦レベルが変わってないよ)

542Mii:2021/08/07(土) 15:13:21 ID:JgP6WN9o
〜 17:00 乗船場 〜

ルキナ「…………すっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。
   あれよあれよと時間を潰してしまい、このざまです。

   なんだかメイドの皆さんにそそのかされていたような気もしなくはないのですが」

ロゼッタ「…あはは」

大幅に時間が後ろにずれこみ、ルキナさんが落ち込んでいます。



アイク「いいってことだ。俺達も今来たとこ――――」

マルス「アイク、それは流石に無理がある」

アイク「いや、でも本当に――――」

マルス「――――ア イ ク?」

アイク「なんでもない!なんでもないぞルキナ!」ビクビク

ルキナ「…はぁ」

マルス「……ルキナ。一応、連絡だけしておくよ。ルキナがいた、そして今から戻ろうとしている『絶望の世界』に、
   僕やアイク、あるいはマリオなんかが飛び入り参戦して万事解決…ってことができるのが一番よかったんだけれど、
   事情あって無理なんだ。本当に申し訳ない。お役に立てず、悔しい限りだ」

ルキナ「…!い、いえいえ、そのような!マルス様が謝られることではありません!」

543Mii:2021/08/07(土) 15:16:47 ID:JgP6WN9o
ルフレ「ルキナ、そのかわりといってはなんだけどね。
   リンクさんとロゼッタ姫が、時間の都合が付いたってことで。
   わざわざ見送りに来てくれたんだよ。怪我の功名という奴だね。
   別れるところぎりぎりまで、乗船までしてくれるって!」



まさかこのような待遇を受けるとは露ほども思っていなかったのか、
ルキナさんが大層驚いています。



ルキナ「本当、ですか!…………ひ、日付を跨ぎかねないのに、ご迷惑ではないのですか?」

リンク「いやいや、こんくらいお安い御用さ。弟子たちの見送りはしっかりやってあげないとな、なんちゃって」

ロゼッタ「私の場合は実利も兼ねていますけれどね。ルキナさんにお渡ししたいアイテムがありまして。
    乗船中が最後の機会、使い方を教えておかないと。

    ピーチ姫を始めとして、本当はまだまだ見送りに行きたいという方は
    大勢いらっしゃったのですが。あまり多くても目立つということで…
    戦後処理で手が離せないままのピーチ姫の推薦もあって、リンクと私ががこうして見送りに参りました」

ルキナ「…………!きょう、しゅくです!」グズッ



感極まったのか、とうとう泣き出してしまうルキナさん。
そんな彼女を、私はそっと抱きしめます。

544Mii:2021/08/07(土) 15:19:37 ID:JgP6WN9o
そのまましばし。ルフレも貰い泣きしている様子。
ゆっくりと解放してみるや、眩い笑顔で見上げられて。

ルキナ「…どうかルキナとお呼びください。それで十分…いえ、それが好ましいです」

ロゼッタ「では、ルフレともども『ロゼッタ』と呼んでくれるのですよね?」

ルキナ「…わかりました。ありがとう、ロゼッタ。

   私は、ロゼッタを尊敬しています。あのタブーへ立ち向かう姿も、凄いの一言でした。
   …貴方のような、強くたくましい戦士になりたい。
   戦闘分野は大きく異なりますが、貴方を倣って成長して参りたいと思います」



照れくさそうな表情で、驚きの言葉が飛び出して――――







ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「……………………私みたいに、成長、したい?」

545Mii:2021/08/07(土) 15:21:46 ID:JgP6WN9o
〜 妄想中 〜



ルキナ「良かった…!また強くなれました」

ルキナの HPが 1上がった!
ルキナの  力が 1上がった!
ルキナの  技が 1上がった!▼

■■■「おおっ!よかったな、ルキナ!」

ルフレ「うんうん」

・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

ルキナ「この調子で、もっともっと強く…」

ルキナの  力が 1上がった!
ルキナの 魔力が 1上がった!
ルキナの  技が 1上がった!
ルキナの 速さが 1上がった!
ルキナの 守備が 1上がった!▼

■■■「さすがだぞ、ルキナ!いい成長だっ!」

ルフレ「………… 」

546Mii:2021/08/07(土) 15:23:23 ID:JgP6WN9o
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

ルキナ「もう誰も…死なせはしません…!」

ルキナの HPが 1上がった!
ルキナの  力が 1上がった!
ルキナの 魔力が 1上がった!
ルキナの  技が 1上がった!
ルキナの 速さが 1上がった!
ルキナの 守備が 1上がった!
ルキナの 魔防が 1上がった!▼

■■■「凄い!凄すぎるぞ!ルキナ、お前は最高だ!」







ルフレ「…………それにしても。

   何か月も戦っているのに、一向に幸運だけ上がらないね…」

ルキナ「」ギクッ

■■■「そ、そんなのは偶然だ!そのうち上がるだろ!ルキナの幸運成長率を舐めるな!」

547Mii:2021/08/07(土) 15:25:32 ID:JgP6WN9o
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

ルキナ「ここまで強くなれば未来も変えられるかも…!」

ルキナの HPは 限界値です!
ルキナの  力は 限界値です!
ルキナの 魔力が 1上がった!
ルキナの  技は 限界値です!
ルキナの 速さは 限界値です!
ルキナの 幸運が 1下がった!
ルキナの 守備が 1上がった!
ルキナの 魔防が 1上がった!▼









ルキナ「」

■■■「」

ルフレ「動いたと思ったら下がったああああああああぁぁぁ――――!?」

548Mii:2021/08/07(土) 15:29:39 ID:JgP6WN9o
〜 妄想おわり 〜





ロゼッタ「やめましょう」





ルキナ「えっ」

ロゼッタ「それはやめましょうルキナ!本気で!ろくなことになりませんっ!

    ぜっっっったいに、私なんかの模倣成長はなさらないでくださいっ!
    いいですねっ!約束ですよっ!命に関わりますっ!」ガシィッ!

ルキナ「どうしてですか!?」



リンク「見事なまでの後ろ向きだなあ」

アイク「はははははははははははは」

マルス「…くっ…さ、さすがに、これは…くくっ」

ロゼッタ「言っておきますけれど冗談ではありませんからねぇっ!」

549Mii:2021/08/09(月) 13:37:24 ID:28rO9.d.
〜 乗船移動中 〜

リンク「スカイウォードォ!!――――よっしゃ!命中っ!」

ファイ「お見事です」

マルス「…何をやっているんだい、リンク」

リンク「海上遠くに石をぶん投げて着水前にぶった斬る練習!
    爆散させず、適度な力を込めてスパッと斬るって難しいんだぜ!」

マルス「…………危ないからやめてくれないか」



ロゼッタ「えーっと、星の精たちのアドバイスによると…
    タイミングよくアクションをすると、そのペンダント…………
    ルキナが首に掛けたペンダントの効果が発揮されます」

ルキナ「…タイミングよく?」

ロゼッタ「はい、タイミングよく」

ルキナ「…とはいえ、攻撃を敵に当てる、あるいは敵の攻撃を正しく防ぐこと自体が
   既にタイミングを図った結果の産物ではないでしょうか…?

   敵の急所を狙うということでしょうか、それとも不意を衝くということでしょうか。
   はたまた、躊躇せず速やかに仕掛けるということでしょうか。
   もしかすると、攻撃間隔を調節してリズミカルに攻撃しろということでしょうか」

550Mii:2021/08/09(月) 13:41:21 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「もっとちゃんと説明を聞いておけば良かったですね、申し訳ありません…。

    それっ!…ちょっと、このスターピースを試し斬りしてみましょう。
    軽く投げますから、思い切ってズバッと剣を振るってみてください」

ルキナ「わかりました。――――――――ハッ!」ガンッ!!



ヒュウウウウウウウウウウウウウウ――――――――!!!



ロゼッタ「わあっ!素晴らしい精度ですっ!海に飛んで行きました。

    …ですが、斬って真っ二つ、というわけではなかったですね。
    スターピースって頑丈ですから…」

ルキナ「このマジックアイテムがしっかり発動していれば斬れていたかも、
   ということでしょうか。今の所、何か不思議な力が付与された感じはありませんが」

ロゼッタ「も、もう少し続けてみましょう!」

ルキナ「は、はい!」



ルキナ(も、もしかして、私の『技』がまだ低いから発動しにくいのでは…………?
    ロゼッタの厚意を無駄にしないように頑張らないと…!!)

551Mii:2021/08/09(月) 13:46:57 ID:28rO9.d.
〜 海上  PM 22:00 〜


船長『みなさーん!お待たせしましたー!本船は間もなく、イーリス大陸の領海内に入りまーす!

  領海内に入り、更に大陸にある程度近づいたところで、マルス様、アイク様、ルキナ様…
  それぞれの世界線に繋がる時空扉を開きまーす!それを潜ることで、元いた世界線に戻ることができます!

  ロゼッタ様!扉の同時解放のため、空間魔法で出力補助して頂けると大助かりです!
  現状世界線に帰郷されるルフレ様は、このまま港まで乗船しておいてOKでーす!』

ロゼッタ「引き受けましたっ!」タタタッ

船長『ハイラル王国ほどではないですが時間の揺らぎが発生しているので、
  迷子にならないように突入、帰郷されてくださーい!
  万が一間違われても、戦乱の最中に飛び込んでしまっても、私は責任取れませーん!
  なお、次の巡回時期は未定でーす!』

ルキナ「時空、扉…ですか?」

アイク「ああ。最寄りの港、あるいは海岸までひとっ飛びだ。
   距離を離して飛ぶことで、現地人をオーパーツ技術でビックリ仰天させないで済む。
   向こうからすると『なんか人が急に現れたぞ!?…魔法かっ!』って認識になる」

ルフレ「…なんだか想像しがたいですね」

マルス「はは、僕たちにとっては出港にも帰港にも、何度も活用している常識だけれど…
   ルキナの為に放送してくれるとは粋な船長だね、助かるよ。さあ、アカネイア大陸までもうすぐだ」

ルフレ(い、今はイーリス大陸って呼ぶんですけど、言いずらい)

552Mii:2021/08/09(月) 13:50:24 ID:28rO9.d.
船の明かりと月の光だけが照らす、ほぼほぼ真っ暗闇。
船長は、船の現在位置をしっかり把握できているようですが。



ルキナ「――――あ」



キノコ王国で見た、「転生の扉」とは、だいぶ違う。
人が2、3人ほど入ればいっぱいになりそうな…小規模な光の扉が3つ。
本当に、船の甲板上にパッと、現れました。

神秘的で、吸い込まれそうな光の扉。うっすらと光って、私たちを誘い込む。



マルス「…直感で分かるだろう?…自分が、どの扉を潜るべきかは」

ルキナ「――――――――」



たしかに、わかる。
懐かしい匂いというか、運命の導きというか。
3つあるうちの、真ん中の扉が、そう。

甲板に佇むということは、扉自体は船と一緒に動いているということ?
どういった原理で?どんな技術で?正しく機能する保証はどこに?
…そんなことを問いかける気も起こさない、有って当然と主張するその姿。

553Mii:2021/08/09(月) 13:52:17 ID:28rO9.d.
これを通り抜ければ、私は―――――――――――――――――



元の世界に、戻されてしまう。
…いいえ。元の世界に、「戻ることができる」。



マルス様が、アイク様が。それぞれ、左と右の扉に向かって歩いて行って。
扉の目の前まで進んだところで、立ち止まってこちらを振り返って。



マルス「心が整ったら、歩き出すといいよ、ルキナ」

アイク「覚悟は十分だろうな、ルキナ」



ルキナ「――――――――」コクッ



私も、同様に――真ん中の扉に向かって前進、前進。



最後の最後に、身に着けている武器防具、道具、携帯食料をチェック。
かなりの部分について、ピーチ姫の援助を受けることができました。

554Mii:2021/08/09(月) 13:54:20 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「――――いよいよですね、ルキナ」



後ろから掛かるロゼッタの声に振り向く。ロゼッタと一緒に並ぶのは……
緑の衣を身に纏う勇者、神妙に佇む剣の精霊、「知っているけれど知らない」神軍師。



ファイ「貴方ならきっと、大丈夫です」

ルフレ「そちらの世界の『僕』…いや『僕(ギムレー)』にもよろしく。
   いつか必ず、完膚なきまでに何度でも叩きのめしちゃって」

リンク「――――さあ、準備はもちろんできているな!ここからが始まりだ!」

ルキナ「――――はいっ!みなさん!これまで長らく――――お世話に、なりましたっ!」



零れる涙をぬぐいもせず。
扉を再び見据えて。

マルス様が扉の先へ、アイク様も扉の先へ。





そして、私も――――――――

555Mii:2021/08/09(月) 13:57:43 ID:28rO9.d.
ザザァ・・・ ザザァ・・・

波風が、夜の海原に静かに響く。



ロゼッタ「…行ってしまわれましたか」

ルフレ「…行ってしまいましたね」



2人とも、感無量といった感じで、黙りこくる。



ロゼッタ「引き続きルフレの見送り続行というわけですが…………
    私、とりあえず今、無性にやりたいことがあるんです」

ルフレ「ほほう、何でしょうか」

ロゼッタ「驚かれるルキナを想像しながらハイタッチとかどうでしょう」

ルフレ「いいですね、身長差があるのが男としては悲しいですが。
   ちょっとくらいは屈んでもらえると助かるなあって…せぇのっ!」



2人「「大・成・功――――っ!!」」パチーン!!

556Mii:2021/08/09(月) 13:59:28 ID:28rO9.d.
ルキナ「――――――――」

ルキナ「――――――――」

ルキナ「――――――――ここ、は」パチッ

閉じていた目をゆっくりと開ける。



そこにあったのは、潮香る海辺を臨む、傷んだ畦道と、焼け焦げた草原。
キノコ王国からは極度にランクの落ちた、周囲環境。

荒れに荒れ、死と隣り合わせの、絶望の世界。
僅かに生きる人々が、身を震わせ糊口を凌ぐ、悽惨な世界。



――――戻って、来たんだ。



装備などは、一切失っていない。まさに、準備してきたままの万全状態。
でも、人員は、味方は――――すべからく欠落した状態。
お父様もいない。ルフレさんもいない。…誰も、いない。
強大な敵と、魑魅魍魎だけが、数多居る。

ここは、そう。そんな、「過去」の世界。
「未来」からやってくるという裏技を使っておきながら救うことができなかった世界。
時間帯のずれが生じたのか。目に眩しい朝日だけが、僅かに私を支えてくれる。

557Mii:2021/08/09(月) 14:02:57 ID:28rO9.d.
一旦、目を閉じて、物思いにふける。

――――そんな弱気で、どうしますか。
――――死ぬ確率の方が何百倍も高くても、足掻くと決めた。とっくに、決めた。



村人「いやぁっ! 助けて…! だれかぁっ! たすけてぇーっ!」

ルキナ「――――――――っ!!」カッ!



何を、ぼうっと突っ立っているのか。
畦道の少し向こうに上がる火の手。――――休む暇など、ありはしない。

ギムレー本体を倒すことも、大事。
村や町の人々を見つけ次第ことごとく助けていくことも、大事。
異形が蔓延らないよう対策をとることも、大事。

あらゆる自警活動が、一切手抜けないほど、一刻の猶予もないほど――――大事なのに。

ならず者「ぐはははっ! 奪えっ! 殺せっ!奪い終わった家には火を放て!町ごと消し炭にするんだ!
    これを見りゃ、抵抗しようなんて気が起きなくなるだろうからな!」

生き残りの人間同士ですら、強弱が生まれる。心を悪に染めた者が…
異形たちと徒党を組んでまで、略奪、殺戮の限りを繰り返す状況になるなんて。

彼らも、もしかしたら切実な苦しみ…已むに已まれぬ境遇に陥ったのかもしれませんが、
だからと言って無実の一般人を襲っていいはずがない。…当然、成敗対象です。

558Mii:2021/08/09(月) 14:06:07 ID:28rO9.d.
1人1人は私に比べて弱くとも、時として多勢に無勢は起こり得るもの。
気を引き締めて、再臨した最初の一歩を踏み出すことに、いたしましょう。





リンク「考えるより動けだ、ルキナっ!絶対誰も殺させやしないぞっ!!」ダダダダダッ!

ルキナ「はいっ!この剣に誓って、護り抜きますっ!!」ダダダダッ!



私たちの、夢と希望は、ここから始まっていくのです――――――――!!!







ルキナ「…………………………………………?」クルッ



リンク「余所見してんじゃねぇぞルキナ!」ダダダダダッ!

ファイ「マスターに完全に同意します」スイーッ

ルキナ「――――――――!?!?!?!?!?!?!?!?」

559Mii:2021/08/09(月) 14:09:24 ID:28rO9.d.
ルキナ「り、り、り、リンクさんっ!?それにファイさんっ!?
   え?あれ?ど、ど、どどどどうしてここに!?」



リンク「水臭いぞルキナぁ。『タッグ組んでやる』って言ったじゃないかー。
   まだまだ弟子が心配だから、ちょいと派遣されてきましたー!

   おっとぉ、時空扉はとっくに消えてるし、こりゃしばらく帰れないなー!
   しゃーない、1年か2年か、ルキナの御供でも頑張るかー!」





ルキナ「」





ファイ「マスター、ルキナ様が完全に固まっていますが」

リンク「ははっ!ドッキリ大成功ってか!そこまで驚かれるとこちらとしても本望だ!
   村人の救援に向かいながら、種明かしをするとだな――――――――」

560Mii:2021/08/09(月) 14:12:17 ID:28rO9.d.
・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

〜 12月12日 AM 0:30に遡る 〜



ピーチ「…ハァ?リンクをイーリス聖王国に送り込んでギムレーを倒す、ですって?」

ルフレ「はい!その通りです!」



ピーチ「……………………正直がっかりよ、ルフレ。それをして何になるの?
   マリオの代わりにリンクを派遣したところで、今度は――――
   イーリス聖王国が、ハイラル王国の属国になるだけよ?馬鹿なの?

   時間かけて導いた答えが、それなの?」イライラ



ルフレ「…………」フッ

ルフレ「さあ、馬鹿と解釈されるのは、果たして僕の方でしょうか。
   ピーチ姫こそ、実は…とんでもない固定概念に囚われていませんか?」

リンク「いつぞやの袋小路に嵌ってた俺みたいになー」

ピーチ「…………固定概念?」

561Mii:2021/08/09(月) 14:14:46 ID:28rO9.d.
ルフレ「ちょっと質問させていただきますね、ピーチ姫。

   マリオさんって、その強大な戦力がどこの軍の管轄かと言われたら…
   ――――当然、キノコ王国軍ですよね?」

ピーチ「当たり前じゃないの。王国の危機にはマリオに目一杯働いてもらうんだから」

ルフレ「僕もそれに同意しますが、さて。一方のリンクさんの戦闘力って、ハイラル王国軍の管轄ですか?」

ピーチ「もちろんよ、そんなの決まって―――――――――」









リンク「いーや?俺、べつにハイラル王国軍に含まれる戦力じゃねーぞ?」ニヤリ







ピーチ「……………………」

ピーチ「――――――――はああああぁぁぁぁ!?」

562Mii:2021/08/09(月) 14:19:43 ID:28rO9.d.
リンク「驚くことじゃないだろ、考えても見ろよ。

   ハイラルに問題が生じたら、ゼルダ姫やインパの命令もなしに俺が速攻で片づける。
   強いて言うなら伝説の幾つかでゼルダ姫に
   『リンク、お願いですから(部下も軍資金も付けずに)あれやってください』
   って頼まれることがあるくらいで、見返りも何にもないボランティア。
 
   伝説間のパトロールだって、自主的行動だからハイラル軍全く絡んでない。
   
   住んでるのは専らキノコ王国だから、実効従属と言い切るのも無理がある。

   …こんなふうに何の庇護も受けてないのに、管轄されてるって言えると思うか?」



ピーチ「…………」パクパク



リンク「むかしマリオとピーチが言ったんだぞ、『勇者の肩書に縛られるな』って。
   俺の立場は、正式には…せいぜい妙に戦闘力が高い自称勇者ってとこだ。

   …要するに、俺がどっかの国のいざこざにしゃしゃり出ても、
   無所属の旅ガラスが自己責任で暴れたってだけで、国際問題にはあたらないはずだ。
   ゼルダ姫に塩対応され続けていたのが逆によかったってことだな。

   ハイラル王国側からハイラルの名に泥を塗ったとは『マナー違反で』糾弾されるかもしれないが、
   そのくらいはまあ、甘んじて受けるよ」

ピーチ「な―――――――」

563Mii:2021/08/09(月) 14:25:48 ID:28rO9.d.
ルフレ「はい、これでピーチ姫が無意識のうちに却下していた大前提が崩れました。
   あと必要なものは…僕が思うに、3つです。

        『単独行動とはいえ、大義名分があるか』
        『誰がリンクさんに依頼するのか』
        『依頼に対し、万人が納得する正当な対価を払えるか』

  これらについても、幸いながら目途が立ったんですよ。

  大義名分は、なんのことはない。
  ギムレーがキノコ王国に喧嘩を売った。キノコ王国とハイラル王国は軍事同盟関係。
  一個人として、義憤に駆られたリンクさんが動いた。以上です。
  同盟の『効力』としての協力は不可ですが、動機付けにはなるということですね」

リンク「残る2つなんだけどさー。ピーチも知っての通り(プラスアルファあるけど)、
   実は最近、ロゼッタにものすっごい借りができたんだよね、俺。
   で、なんでもしますからって頭を下げたら、ロゼッタがさ。
   『世界平和のため、ルキナさんの世界を守ってあげてください』とか言い出して。
   そんなら渡りに船ってことで。

   俺の時間的拘束とロゼッタへの借りとの価値を比較すると、
   少なく見積もっても丸1年はルキナを手伝って文句は言われないと踏んでる。

   『ロゼッタ』と『リンク』の個人間の仕事依頼で、
   『ロゼッタ』がもたらした恩恵の対価として、『リンク』が世界平和に貢献する。

   何なら貢献できるかなと探してたら、好き放題やってるワルモノ発見。
   調べてみたら俺とファイだけが飛び込む分には国家に迷惑かけなさそう。
   ハイラル王国民のはしくれとしてキノコ王国を助けるのも吝かじゃない、よし決めた。
   …………悪くない筋書きだろ?俺も感心したよ」

564Mii:2021/08/09(月) 14:32:04 ID:28rO9.d.
ピーチ「……………………」

リンク「ふふん、ルフレを存分に褒めてくれてもいいんだぜ。
   あとは、任天堂さんに間違っても抑止力働かせないようピーチが話し合って――」



ピーチ「……………………駄目ね」

リンク「なんでさ!?」

ピーチ「…話はわかった。綻びが有るけど、私の口八丁で埋め合わせできる程度には
   イイ線のツギハギ方をしてると思う。なんとかスタッフを丸め込みたいところ…だけど。
   でも、肝心のところが抜けてる」

リンク「…肝心の?」

ピーチ「にっくきギムレーはね、頭に来ることに――――
   立場上は、キノコ王国に敵対する、なんて宣言はしてないのよ。
   あくまでタブーの暗躍の傍らでちょっとちょっかい掛けてきた扱い。
   さんざん興味本位だったともほざいていたわね…。
   言質を取られないように、あいつもずる賢く動いていたの」

リンク「べ、別に動機づけなんだからいいだろ?
   実際の所は、軍事同盟があろうとなかろうと俺は怒るよ」

ピーチ「その感情はとてもうれしいけれど、交渉では使えない。まるで駄目ね。
   強引にリンク派遣のためのストーリーを組み立てるとしたなら、
   『軍事同盟の効力発動』自体は実際に起こってくれないと主張が弱い。
   リンクが義憤に駆られてそこまで動こうとするには、必須事項」

565Mii:2021/08/09(月) 14:36:16 ID:28rO9.d.
ルフレ「……言質という無形の物だけが後は必要ということならば、なんとかなるかもしれませんね」

ピーチ「…………え?」

ロゼッタ「実はですね。あの戦いで、たっくさんの分身体を、この身に還元して。
    ――――最後の最後で、記憶と経験値、一切合財戻ってきたんですよ。
    忌まわしい内容に恐れ戦き続けましたが、今となっては大戦果です。
    ギムレーと一緒にいた『私の分身体』が、ギムレーをそそのかしてくれてですね。



    ――――堂々とやってくれてるんですよ、キノコ王国への宣戦布告を、ねっ!!」

ピーチ「――――――――!?」

ルフレ「そんでもって、ロゼッタ姫の記憶を頼りに、一直線にイベント現場に向かって、
   手当たり次第に監視カメラの録画結果から探し当てた映像がこちらです。
   はい、プロジェクターどうぞ」



ギムレー『我、ギムレーが、『ギムレー本人』の立場として無慈悲の鉄槌を下そう。

     愚昧なるキノコ王国に対して、我がペレジア王国は――――
     傘下のイーリス、フェリア、ヴァルムとともに――ここに宣戦布告する!
     全てを破壊し尽くし、滅ぼしつくし、奪い尽くして見せよう!』



ピーチ「                」

566Mii:2021/08/09(月) 14:40:04 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「……そ、そんなわけで…大変心苦しいのですが。もうひと頑張り、ですね。
    ピーチ姫には、なんとかリンク派遣のための段取りをしていただきたいなあ、と」



カシュッ・・・。

ピーチ「――――――――」ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク



ロゼッタ「栄養剤一気飲みしました!?」

ピーチ「…やってやろうじゃないの、そこまでお膳立てされたんならね。
   楽しみに待ってなさい、皆。そして、楽しみに首を洗って待ってなさい、ギムレー。フフフフフ…!」



〜 12月12日 おひる 〜

ロゼッタ「ピーチ姫が、2日でやってくれるそうです。大量の原稿と資料片手に、意気込んで会議室に向かわれました。
    『ルキナはベッドに拘束しているから安心ね』とか不穏な言葉を口にしていましたが…」

ルフレ「ピーチ姫には頭が下がりますね…。あ、お分かりかとは思いますが、今回の作戦。
   ルキナは勿論として、リンクさん以外のハイラル関係者に漏らしてはいけませんよ。
   念のため、ヒルダ姫にも。他の方にもよくよく注意しておきましょう」

ロゼッタ「…どうしてですか?」

ルフレ「リンクさんが年単位で居なくなると知ったら一部で暴動が起きます」


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