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雪女「うらめしや」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/03/02(月) 01:54:28 ID:UmIcJ0Uk
男「……寒いから早く戸閉めてくれない?」
雪女「せっかく来てあげたっていうのに何よその態度」
男「お前が来たことで俺の中で燃え盛る熱い思いが冷めたってのに、更に部屋まで冷やされちゃ敵わん。早く閉めろ」
雪女「もうっ、分かったわよ」
男「それと、そこにあるミカン取ってくれると嬉しい」
雪女「はぁ、私をそんな風に扱うの貴方だけよ。これでもこの辺りでは結構名の知れた雪女だって言うのに……よいしょっと」
男「その有名な雪女が炬燵なんかに入って大丈夫なのか? あとお前の足冷たいから伸ばすな」
雪女「うるさいわね、これくらい我慢してちょうだい」
142
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:17:42 ID:nuDGyAxM
タマ「お待たせにゃ」
男「おかえり、雪女は何で隠れてるんだ?」
雪女「だ、だって……」
タマ「ほら、隠れてないで」
雪女「でも、嫌われたりしたら私泣いちゃう……」
タマ「男は雪女のことが好きだから大丈夫にゃ」
男「た、タマ!」
タマ「嫌いかにゃ?」
男「……好きだけど」
雪女「っ……急に恥ずかしいこと言わないでよ!」
143
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:18:16 ID:nuDGyAxM
タマ「にゃあ……えいっ」
雪女「ひゃっ、タマ!」
タマ「いいから出てくるにゃ」
雪女「や、やめ……っ」
男「!?」
雪女「お、おはよう……」
男「雪女……なのか?」
雪女「……うん」
男「随分と、その……小さくなったな、色々と」
雪女「これには理由があって……!」
144
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:19:14 ID:nuDGyAxM
タマ「男のせいにゃ……多分」
男「俺のせい?」
タマ「タマも眠らされちゃったから詳しくは分からないけど」
雪女「うぅ……ごめんね」
タマ「気にしてないにゃ」
タマ「多分、襲われてて衰弱しきった男を助けたからこんな姿になったのにゃ」
雪女「う、うん」
男「そうだったのか……」
雪女「あなたの姿も結構変わってるのよ? はい、手鏡」
男「……めっちゃ痩せてる」
145
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:20:08 ID:nuDGyAxM
タマ「タマが見つけた時はもっと酷かったにゃ、肌の青い骨だったにゃ」
男「骨……」
雪女「本当はもう少し精気を分けてあげたかったんだけど、頭まで幼くなりそうで……」
男「……」
雪女「何考えてるのよ」
タマ「変態」
男「ち、違うって!」
146
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:20:47 ID:nuDGyAxM
雪女「これからどうするの?」
男「家に戻れたら戻りたいけど……危ない?」
タマ「当たり前にゃ」
雪女「それに今のあなたは立つことさえ辛いハズよ?」
男「そうなのか? よっと……っ!」
雪女「ばっ!」
タマ「にゃ!」
男「あぐっ……ご、ごめん……」
雪女「ほんと、気を付けてよね……」
タマ「にゃあ……」
147
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:23:26 ID:nuDGyAxM
タマ「でも本当にどうするにゃ? 家に帰れないのは困るにゃ」
男「そうだよなぁ……」
雪女「実はその雪女に関してなんだけど」
男「?」
雪女「少し心当たりがあって……今どこに居るか分かる?」
タマ「タマたちの家かその近くに居るかも知れないけどにゃあ」
雪女「そう、だったら今から――」
「雪女ちゃーん! いるー?」
「「!?」」
雪女「あぁ、この声はやっぱり……」
男「ど、どどどどうしよう!」
タマ「あの女が来やがったにゃ!? か、隠れるにゃ!」
雪女「そんなに慌てないで」
148
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:24:20 ID:nuDGyAxM
男「襲われ……ん? さっき雪女の名前を呼んでいたな」
タマ「にゃあ」
雪女「心当たりがあるって言ったでしょ?」
「おーい!」
雪女「あなた達を襲った雪女はね……」
美女「雪女ちゃん、居留守するなんて酷いじゃない……あれ、何か小さくない? それに探していた獲物がここに居るのはなんで?」
男「ひっ……」
タマ「にゃ、にゃあ……」
雪女「はぁ……取り敢えず部屋が冷えるから外に出てってもらえるかしら?」
雪女「姉さん」
149
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:25:02 ID:nuDGyAxM
美女「あ、あの……何で私だけ外に?」
雪女「まずは自己紹介から、でしょ?」
雪女姉「あ、はい。改めまして、雪女の姉です。雪女姉と呼んでください……で、私が外に立たされている理由は……?」
雪女「男、大丈夫? 寒かったら言ってね」
男「あぁ、湯たんぽのお陰で温かいよ」
雪女「そう、タマも平気?」
タマ「温くて気持ちいいにゃぁ……」
雪女「ふふっ、よかった」
150
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:27:38 ID:nuDGyAxM
雪女姉「えっと……」
雪女「姉さん」
雪女姉「は、はい!」
雪女「随分と吸ってくれたみたいね」
雪女姉「な、何をでしょうか……」
雪女「男の精気」
雪女姉「そ、そのですね」
雪女「んー?」
雪女姉「美味しかったです……」
雪女「……」
雪女姉「お、怒んないでよ! だって、生きるためだし? 仕方がないと言いますか……まぁ、別に精気を吸わなくても生きていけるけど……」
151
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/21(木) 21:29:00 ID:nuDGyAxM
雪女「今後一切、私に関わらないでちょうだい」
雪女姉「え、ちょっと!?」
雪女「話し掛けてこないで。あなたとはたった今から他人として生きていきます」
男「待て待て!」
タマ「そ、そうだにゃ! 一回落ち着くにゃ!」
雪女「……」
雪女姉「姿が小さくなったと思ったら中身まで幼くなっているなんて……」
雪女「誰のせいでこんな姿になったと!」
男「落ち着いてくれぇー!」
タマ「ニャー」
男「待ってくれタマ、俺を一人にしないで! タマ!」
タマ「ニャー」
152
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:45:10 ID:h7tFzLzg
雪女「それで姉さんはどうしてここへ?」
雪女姉「それはもう愛しの雪女ちゃんに会うためよ」
雪女「嘘」
雪女姉「正解」
タマ「にゃあ……」
雪女「どうせ何か面倒事が起きて逃げ出したに違いないわ」
雪女姉「酷いわ雪女ちゃん」
雪女「違うの?」
雪女姉「大体合ってる」
男「えぇ……」
153
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:46:02 ID:h7tFzLzg
雪女姉「でもこれに関しては私悪くないのよ」
雪女「ふーん」
雪女姉「説明もしたいからそろそろ家の中に入ってもいい?」
雪女「……冷気を出さないなら」
雪女姉「それだけでいいの?」
雪女「……いいよ、ちゃんと玄関から入ってきてね」
雪女姉「ありがと」
154
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:46:49 ID:h7tFzLzg
雪女「あと雪はちゃんと払って……」
雪女姉「ねぇねぇ、雪女ちゃん」
雪女「何かしら?」
雪女姉「そこまで寒さを気にするなんて、相当入れ込んでるのね!」
雪女「なっ!?」
男「?」
雪女姉「ふふっ、可愛い!」
雪女「姉さん!」
155
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:47:23 ID:h7tFzLzg
雪女姉「――という事で、住んでいた山が無くなっちゃうらしいのよ」
雪女「それはまぁ……仕方無いわね」
雪女姉「でしょう? だから雪女ちゃんの家に住もうと思ってここまで歩いてきたの。でもお腹が空いて……その、ね?」
男「えっと……」
タマ「にゃあ……」
雪女姉「反省しているわ! この通り!」
男「ま、まぁ……今は生きてるので」
雪女「死にかけてたけどね」
タマ「にゃあ」
雪女姉「本当にごめんなさい」
156
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:48:30 ID:h7tFzLzg
雪女「……はぁ、ごめんなさい男。どうか姉さんを許してあげて欲しいの」
雪女姉「雪女ちゃん……!」
雪女「こんな姉でも大切な家族なの」
男「元々怒ってないから大丈夫だよ。それに俺が死にかけたのは俺が悪いし」
タマ「結界があるのにも関わらず一人で歩いて来た怪しい女を家に入れた男も悪いからにゃあ」
男「うっ……ごめん」
雪女「結界……?」
雪女姉「そう言えばあの結界を作ったのは誰? 私壊しちゃったんだけど」
男「俺の友人が雪女姉さん対策に作ったものだから気にしないでくれ」
157
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:49:07 ID:h7tFzLzg
雪女「ちょ、ちょっと待って、結界って何? というか男にはそんな事が出来る友人がいたの?」
男「あぁ、妖怪の知識もある古い友人だ」
雪女「知らなかったわ……」
男「アイツに雪女の事を言ったら何をするか分からないし、俺は雪女と一緒に居たかったから……その、なんだ……」
雪女「そ、そう……すごく、嬉しい……」
男「……」
雪女「……」
雪女姉「あぁん、可愛らしくも少し焦れったい関係ね。ねぇ、タマちゃん」
タマ「タマに近寄るなにゃ。男と雪女はいつもこんなものにゃ」
158
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:49:50 ID:h7tFzLzg
雪女姉「ところでタマちゃんは化け猫なの?」
タマ「違うの……と思うにゃ」
男「家に帰ったら人の姿に変わってたんだ」
雪女姉「ふーん」
雪女「姉さん、何か分かったりする?」
雪女姉「まぁ、神様のいたずらでしょう。きっと」
雪女「期待した私が馬鹿だったわ」
雪女姉「あら、これでも真面目に答えたつもりよ?」
タマ「?」
159
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:50:38 ID:h7tFzLzg
雪女姉「タマちゃんは男のことは好き?」
タマ「にゃ、にゃにを急に」
雪女姉「好き?」
タマ「す、好き……にゃ」
雪女姉「そういう事よ」
男「……どういう事だ?」
雪女姉「そのまんま、タマちゃんは男の事が大好きで想っている内に神様が想いに答えて人の姿になれるようしてくれたのよ」
タマ「にゃ、にゃ……」
男「そんな事があるのか?」
雪女「まぁ……あり得ない話ではないわね。実際、私達の存在もそんなものだし」
雪女姉「そう、この国には数えきれない程の神様が居るわ。案外おかしくない話なのよ」
男「なるほど」
160
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:51:23 ID:h7tFzLzg
タマ「にゃ……」
雪女「タマ?」
タマ「は、恥ずかしいから……やめて、欲しいにゃ……」
男「……っ」
雪女「……っ」
雪女姉「……っ」
((可愛い))
タマ「にゃ……?」
161
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:53:28 ID:h7tFzLzg
男「そ、そろそろ家に帰るか?」
雪女「ま、まだ居てくれても……って、あなたの体の方が心配だし、ここに居続ける方が危険かしら?」
雪女姉「でも様子を見るに歩けないんじゃない? それに雪女ちゃんは体も小さいし冷気も出てないから大丈夫だと思うけど」
雪女「それでもよ。男の家の方が暖かいでしょうし、それにここより安全だわ」
男「俺、こんな状態だけど帰れるのかな……」
雪女「大丈夫、姉さんが担いでいくから」
雪女姉「へっ?」
162
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/29(金) 22:54:56 ID:h7tFzLzg
雪女「もちろん、目一杯着込んだ男を担いでもらうつもりよ」
雪女姉「そ、そんな!?」
雪女「沢山精気を吸ったんでしょう?」
雪女姉「うっ……や、やってやるわよ!」
雪女「うん、よろしい」
男「た、助かります」
タマ「タマも乗せて欲しいにゃ」
雪女「だってよ?」
雪女姉「ぐっ……やってやるわよ! 家まで運んであげるわよ!」
163
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/31(日) 06:56:34 ID:r5vzsfcE
にゃんこかわよ(* ´ ▽ ` *)
164
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:19:49 ID:1rDs8f.2
雪女姉「もうっ……む、り……」
男「だ、大丈夫ですか?」
雪女「そこの大きな腰掛けまで運んで」
雪女姉「はぃ……ぐっ」
男「あ、ありがとうございます」
雪女「自業自得よ」
雪女姉「でも雪女ちゃんがやれって……」
雪女「そろそろ殴るわよ?」
雪女姉「私が悪いんです……ごめんなさい」
165
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:20:23 ID:1rDs8f.2
雪女「男、タマ、炬燵つけてもいい?」
男「あぁ」
タマ「なら皆で炬燵に入るにゃ」
雪女「お茶を淹れてくるわ。姉さんは……」
雪女姉「……」
男「くたっとしてるみたい」
雪女「……まぁ、休んでていいわよ」
雪女姉「はい! 休みます!」
タマ「にゃ、ビックリしたにゃあ」
男「あはは……」
雪女「はぁ、まったく……ん? あれっ……よっ、ほっ……んー!」
男「雪女?」
タマ「タマが見てくるから男は座ってていいにゃ」
男「あぁ、ありがと」
166
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:21:01 ID:1rDs8f.2
タマ「雪女、変な声を出してどうしたのにゃ」
雪女「とどかない……」
タマ「にゃ?」
雪女「棚が高くて、茶葉のある棚までとどかないの……」
タマ「か、可愛いのにゃあ……」
雪女「タマ?」
タマ「にゃ、タマが代わりに取ってあげるから待っててにゃ」
雪女「ごめんね」
タマ「いいにゃ、今の雪女はタマより小さいから取れないのも仕方が無いのにゃ」
雪女「ありがとう」
タマ「タマも手伝うにゃ」
167
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:21:47 ID:1rDs8f.2
雪女姉「ねぇ」
男「何ですか?」
雪女姉「雪女ちゃんとはどこまで進んでるの?」
男「……」
雪女姉「怖い顔しないで。それにこっちはあの娘の姉よ?」
男「雪女の姉であったとしても教えません」
雪女姉「ふーん、そんな事言うんだ」
男「どうせ後で雪女をからかうつもりでしょ」
雪女姉「……バレた?」
男「なんとなく」
168
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:22:36 ID:1rDs8f.2
雪女姉「つまんない! お姉さんにちょっとくらい教えてくれたっていいじゃないのよー!」
男「嫌ですよ!」
雪女姉「……吸うわよ」
男「……っ」
雪女姉「ちょ、冗談だから! そんなに怯えないで!」
男「は、はい……っ」
雪女「男?」
雪女姉「ひっ、ち、違うの! 私は何もしてなくて!」
169
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:23:11 ID:1rDs8f.2
雪女「姉さん」
雪女姉「はいっ」
雪女「次は無いから」
タマ「こわいにゃあ……男、大丈夫?」
男「あぁ……平気」
タマ「お茶でも飲むにゃ」
男「ありがとう」
タマ「今日は朝からいっぱい感謝されていい気分にゃ」
170
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:24:10 ID:1rDs8f.2
雪女「ん? これは……」
タマ「にゃ、それは友から貰った御札にゃ」
雪女「友?」
男「結界を作った奴」
雪女「あぁ、ね?」
雪女姉「力はあまり感じないけど……恐らく破ったら何かしらの術が起きるみたい」
タマ「確か、これを破いたら友が急いでこっちに来るとかだった気がするにゃ」
雪女「へぇ……まぁタマに返すわ」
雪女姉「えいっ」
雪女「姉さん!?」
雪女姉「これを破いたら術士がここに来るのよね?」
タマ「多分来るにゃ」
雪女姉「どんな人間なのか、じっくり見せてもらおうかしらねぇ」
171
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:24:44 ID:1rDs8f.2
タマ「……!」
雪女「どうしたの?」
タマ「友が来たにゃ」
男「本当に来たな」
「男、無事か!?」
男「タマ、玄関へ迎えに行ってくれるか?」
タマ「にゃあ」
172
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:26:09 ID:1rDs8f.2
「いらっしゃいにゃ」
「タマ!何があった!? 男は!?」
「お、落ち着いて欲しいにゃ」
「おい、男!」
「にゃ、待ってにゃ!」
友「男!」
男「戸は優しく開けて欲しいなって……」
雪女姉「あんなに勢いよく開けられると却って耳障りよね」
雪女「まぁ、そうね」
友「なんで妖怪がここに!?」
雪女「私達が妖怪だとすぐ判る辺り、結構ちゃんとした術士なのね」
雪女姉「肝心の術は未熟みたいだけどねぇ」
173
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:26:49 ID:1rDs8f.2
友「っ、男、これはどういう事だ!」
男「色々と、その……な?」
友「……おまえ、よく見たら凄くやつれてるじゃないか」
雪女姉「美味しかったです」
友「お前、男に何をした!?」
雪女「……」
雪女姉「いっ、ごめんなさい……」
友「な、何してるんだ」
男「取り敢えず座ってくれ」
友「……わかった」
174
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:28:07 ID:1rDs8f.2
男「――と言う事があった」
友「……」
タマ「にゃあ……顔が怖いにゃ」
友「つまり、この幼い雪女がお前の命を救ったあの雪女で、ずっと前から交流があったと」
男「あぁ」
友「そして、こっちの雪女に襲われて死にかけたと」
男「そう」
友「馬鹿か!? 何で俺に言わなかった!」
男「それは……」
雪女「?」
友「雪女に会えたのに、此所に居る理由はなんだ?」
男「……」
175
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:29:10 ID:1rDs8f.2
友「此所に移り住んだ理由を聞いても雪女に会いたいからとしか言わなかった。それなのに、こんな……」
友「男が前の職場でどれ程辛い目に遭ったかも理解している。だけど此処よりも、もっと住みやすい街で、俺と仕事をしていれば襲われる事なんて無かった!」
タマ「にゃ、にゃあ……」
雪女「男……私、その……迷惑なら……」
176
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:30:11 ID:1rDs8f.2
男「友」
友「なんだ」
男「俺は、雪女が好きなんだ」
雪女「……っ」
友「正気か……?」
男「あぁ、それに本気だ」
友「妖怪だぞ? お前を襲った妖怪なんだぞ!」
男「雪女は俺を助けてくれた。命を懸けて、助けてくれた」
友「……」
男「雪女は、優しいんだ。自分で言うと少しアレだけど……多分、誰よりも俺の事を想ってくれている」
雪女「……」
177
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:32:42 ID:1rDs8f.2
男「……最初の雪女は、一緒に居るだけで心も体も凍えそうなくらい冷たかったんだよ」
男「けど、雪女と時を重ねるにつれて、温かくなっていったんだ。心も、体も」
タマ「にゃ、雪女は男と一緒に居るために頑張っていたのにゃ」
友「……」
男「友、俺がここに居たい理由はな」
男「雪女と一緒に生きていたいからなんだ」
雪女「っ!!!」
178
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:33:33 ID:1rDs8f.2
友「でも、妖怪だ……っ!」
男「いいんだよ」
友「何が……っ、好きにしろ!」
男「あぁ、好きにするよ」
友「……帰る」
男「友」
友「なんだ」
男「暫く原稿は無理かもしれない、ごめんな」
友「……いいよ、男をちゃんと見ていなかった俺の責任だ」
男「そうだな、お前が悪い」
友「なっ……!」
179
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:34:17 ID:1rDs8f.2
男「ははっ、気を付けて帰れよ」
友「……次」
男「?」
友「次来るときは、クソ不味い酒持ってきてやるから覚悟しとけ」
男「ドンと来い」
友「はぁ……じゃあ帰るわ。タマもまたな」
タマ「にゃあ」
友「えっと、雪女さんでしたっけ?」
雪女「はい」
友「男を頼みます」
雪女「!」
友「じゃあな」
男「またな」
友「おう」
180
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:35:36 ID:1rDs8f.2
雪女「……」
男「……」
雪女「男」
男「ん?」
雪女「……ううん、何でもないわ」
タマ「ニャー」
雪女「タマ……」
男「先に言いたい事があるんだけど、いいか?」
雪女「いいわよ」
男「好きです」
雪女「……ふふっ、知ってた」
男「バレバレだった?」
雪女「えぇ、もっと上手に隠した方がいいくらい」
男「あはは、次からはそうする」
181
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:36:51 ID:1rDs8f.2
雪女「なら私からも1つ」
男「あぁ」
雪女「大好きよ。溶けてしまっても構わないくらい」
男「あ、あぁ……でも、溶けられたら困るな」
雪女「照れてるの?」
男「余裕がないんだ。察してくれ」
雪女「いつか余裕を持てるようになるといいわね」
182
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:37:58 ID:1rDs8f.2
男「雪女は料理が上手になるといいな」
雪女「あら、それでやり返したつもり? なら今日の夕飯は私が作ってあげようかしら」
男「いや、タマにお願いしよう」
雪女「これでもちゃんと上達しているのよ」
男「本当か? 度胸試しで夕飯作ってもらおうかな」
雪女「ぎゃふんと言わせてあげる」
男「ぎゃふんと倒れないことを祈っとく」
雪女「ふふっ……ねぇ」
男「ん?」
雪女「幸せにしてね」
男「あぁ、任せろ」
183
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:38:48 ID:1rDs8f.2
雪女「ところで姉さんは何処に行ったのかしら?」
男「いつの間にか居なくなってたな」
雪女「まぁ何処にいても生きていけるでしょうし、気にしなくていいわ」
男「違いない」
184
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:39:40 ID:1rDs8f.2
友「はぁ……」
友「……」
友「はぁ……」
雪女姉「ため息ばかりしていると幸せが逃げるわよ?」
友「うるさい……ん?」
雪女姉「あともう少し安全な運転をしてくれると嬉しいかな」
友「っ!?」
雪女姉「あ、危ないから前を見て! 前!」
185
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:40:19 ID:1rDs8f.2
友「どうしてここに居る!?」
雪女姉「ちょっと聞いてよー、雪女ちゃんったら知らない間に男を作っちゃってねー?」
友「そんな事はどうでもいい!」
雪女姉「短期は損気よ? まぁ、簡単に言えば現代の術士が気になって付いて来ちゃった」
友「来ちゃった……じゃあねぇよ!」
雪女姉「ほらほら、ケンケンしてないで運転しなさい」
友「っ……クソッ」
186
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:40:58 ID:1rDs8f.2
―――――
―――
―
男「おぉー!」
タマ「綺麗にゃ!」
雪女「満開ね」
男「雪女、こっちこっち!」
雪女「本当に大丈夫かしら……」
タマ「大丈夫にゃ、自信を持つにゃ」
雪女「でも、私の姿や妖気は元に戻ったし……」
男「卑屈な時はとことん卑屈よな」
雪女「だって……」
タマ「えいっ、にゃ」
雪女「た、タマ」
187
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:42:59 ID:1rDs8f.2
男「触ってみた桜はどうだ?」
雪女「……生きているわ。それに、とても綺麗」
タマ「にゃあ、雪女が近くに居ても枯れないにゃ」
男「平気だろ?」
雪女「うん、なんだか……嬉しい」
男「……よし、花見するか!」
タマ「にゃー!」
雪女「……ふふっ」
188
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:43:34 ID:1rDs8f.2
男「雪女」
雪女「?」
タマ「早くいい場所を見付けてお弁当食べるにゃ!」
雪女「うんっ……ねぇ、二人とも」
男「ん?」
タマ「にゃ?」
雪女「これからもよろしくね」
男「末永く、な」
タマ「にゃあ」
189
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 01:44:25 ID:1rDs8f.2
雪女姉「ねぇ、この本の続きはー?」
友「……」
雪女姉「お腹も空いたなー」
友「……」
雪女姉「無視? 酷くなーい?」
友「……なぁ」
雪女姉「んー?」
友「頼むから帰ってくれ……」
190
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 02:33:12 ID:1rDs8f.2
これで区切ります
続けるかはわかりますん
191
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/09(火) 15:53:41 ID:8GjrwqEs
ほっこりしたよ
ありがとう
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