したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

善子「猫の恩返し」

19 ◆XksB4AwhxU:2019/04/24(水) 12:57:34 ID:VmS9V0jI
重い身体を無理やり引きずりキッチンの冷蔵庫まで足を伸ばす。肉料理は駄目と伝えてたので野菜中心のメニューがお皿に乗ってあり、デザートにチョコレートも用意してあった。

「..............いただきます」

テーブルに並べ椅子に座り、形だけでも礼儀を忘れないように両手を合わせるとゆっくり、ゆっくりと箸を伸ばす──拒否する唇をこじ開けほんの少しずつ口へと運び、細かくなるまで味わいながら噛み砕き咀嚼。

「美味しい.......」

舌が感じる美味しさ、それは食欲が無くともしっかりと広がり、自然と涙が頬から零れ落ち途端に1人が痛いほど虚しくなり寂寥感が襲いかかる。
浦の星女学院に入学し登校拒否から復学するまでは孤独が当たり前だったのに──。

「善子ちゃんの卵焼き美味しいそ.......」とタコさんウィンナーとの交換を求めてくるルビィ、
「ルビィちゃん。まるの卵焼きあげるよ?」とルビィにとても甘い花丸、
そんな眺めていた光景が当たり前のようになって気づいたら、他にも5人の仲間がいて──。

「会いたい..............」

堕天使な自分を受け入れて居場所をくれた皆との日常に戻りたかった。
巻き込んでも大丈夫だろうか?
こんな自分でもまた受け入れてくれるだろうか?

伸ばす箸は遅いながらもご飯を掴み、口へ運んでくれる。まだ生きてる──そう実感しながらも頬が濡れても噛み砕いた時、

「.......?」

言葉で表現するなら血なまぐさい鉄の味が口の中に充満し、感触はテーブルに乗ってるそれらとは違うくて、頭が追いつかない善子は数秒ほどそれを噛み締めると生暖かい何かが口端から垂れ、涙と錯覚した善子は気にしなかったが、それはテーブルに堕ち1滴の赤いシミへ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板