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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」

1Mii:2019/03/31(日) 10:37:38 ID:iLEqj1bw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

を前スレとする続編となります。
前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。

遅い進行のスレですが引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。





パルテナ「そのほか、いくつか注意点があります。

     ・スレ主のスマブラfor経験は、CPU(Lv.9)とのタイマンで
      勝ち越せない程度の実力しかありません。
      戦闘描写に過度な期待をすると酷いことになります。
      むしろ、『うわあ、この描写ニワカだな』と粗探しするくらいの気持ちで
      読むようにしてください(最重要)。

     ・前スレ同様、いろいろとパロデイ、メタ発言が散りばめられています。
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義は
      白ける方もいらっしゃると思います。そんな時は…
      別のスレに移って、このスレのことは忘れましょう。
      
     パルテナお姉さんとのお約束ですよ♪うふふふふ」

893Mii:2020/10/25(日) 01:20:22 ID:d9f/CHtQ



魔道士「ヒャハハ!どんどん攻め立てるのだ!」グオォ



キノピオ「ももも、申し上げます!
     キノコ城東の第63区、陥落寸前!魔物軍、ますます激しく進軍開始!
     一般市民らの避難はすでに終えているのが不幸中の幸いです!
     ですが今の警備兵だけではどうにもなりませーん!」

トゥーンゼルダ「――っ!早速出番だぞ、リンク!第63区に進軍せよ!
       キノピオ、警備兵には無理だけはしないように伝えてくれ!」

リンク『まっかせろぉー!!』ダダダッ!

ピット『待ってリンク!速い、速いっ!合流できないんですけどっ!』

パルテナ『私など、もっと無理なんですけどっ!置いていかないでくださーい!』

リンク『2人とも、俺が片を付けるまでに合流できなかったら罰ゲームだぞー!』

ピット『無茶言うなぁー!!』



トゥーンゼルダ(…まあ、『大きい方の』全力で動けているうちは、
         きっと大丈夫ですよね、そう信じましょう)

894Mii:2020/10/25(日) 01:24:01 ID:d9f/CHtQ
マリオ「ファイアファイア、ひたすらファイア!」ボウッ!

ルイージ「お前たちなーんか、1発当たっただけで即アウトだぞー!
     近付けるもんなら近付いてみろー!」ボウッ!

魔物「「「ギャアアアアアアア!!!」」」バタリ

マリオ「ふむ、一通り片付いた、か……!?」ビクッ

敵傭兵「所詮唯の魔法だろうが…!そして、魔法使いは物理面に弱いのが常識。
    これでも――食らえぃ!!」ブンッ!

カキイィィ――ン!



ルイージ「え、だれが魔法使いって?まさかとは思うけど、兄さんのこと言ってる?」

マリオ「悪い、不意を衝いて近づいてきた度胸は大いに褒めるが、
    そんじょそこらの使い手の剣じゃ素手で受けても痛くないんだ」パシッ
    
敵傭兵「え゙」

マリオ「むしろ剣の切っ先を握って剣を奪い取れるレベル」ズルッ

敵傭兵「」

マリオ「ついでに言うとそのまま剣の柄部分で殴り倒せるレベル」ブンッ

敵傭兵「」チーン

895Mii:2020/10/25(日) 01:27:47 ID:d9f/CHtQ
ルイージ「まあ、そのくらいじゃないとリンクの剣戟で死んじゃうしね…。
     にしても数が多すぎるよ、兄さん!どうするの!?」

トゥーンゼルダ『区画内の敵を減らすのはもちろんだが、
        敵をポコポコ召喚している扉がどこかにあるはずだから破壊しろ!
        高エネルギーの技をぶつけてやればいいはずだ!
        敵側の増援を止められるぞ!念のため、直接殴ろうとはするなよ!』

マリオ「声を拾ってくれてたか!助かる!『転生の扉』とかいうやつか?
    ――――――――――――あれか!」



転生の扉「――――」ブウゥゥゥゥーーン



ルイージ「兄さん、この距離からいくよ!せーの!」サッ

ポイッ!ポイッ!ポイッ!

マリオ「怒涛の『スピードボム』、全弾食らっとけ――!!」ブウゥゥン!!



パリイィィィィ―――――ン!

転生の扉は 大ダメージを受けて 跡形もなく 崩れ去った!
そのまま 光となって 消えていく!▼

896Mii:2020/10/25(日) 01:32:59 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「――――――――っ!」ギリッ

<<第63区の『転生の扉』の破壊に成功!>>
<<キノコ王国軍、魔物軍への反撃により、やる気上昇!>>

マリオ「そのついでで、息を潜めた偽者ロゼッタ発見!
    …くそ、すぐさま逃げられたか。そりゃそうだよな」

ルイージ「兄さん、どうする?ここを離れたら、しばらくたってから…
     あの変な扉をまた作られるかもしれないよ?明らかに管理者っぽかったし」

マリオ「…………いや、離れよう!釘付けにされたんじゃ
   何もできなくなっちまう。そこまで頭が回らないことを祈ろう」ダダッ!

ルイージ「…仕方ない、かあ!」ダダッ!




ロゼッタ(偽)「…………」

ロゼッタ(偽)「…………」

ロゼッタ(偽)「よいしょっと」

ロゼッタ(偽)「……………………油断大敵ですね。では、お言葉に甘えて――」クスッ

マリオ「――――お前がなぁ!」ズドンッ!

ロゼッタ(偽)「」チーン シュゥ・・・

897Mii:2020/10/25(日) 01:35:33 ID:d9f/CHtQ
ルイージ「消えてく、消えてくー。
     僕が言うのもなんだけど、ロゼッタって……
     戦闘面での心理的駆け引き、経験不足すぎるね」

マリオ「正確に言うと、『調子に乗った時の駆け引きが愚策極まりなくなる』だな。
    ディメーン戦でのロゼッタは冴えわたってただろ?
    味方の命背負って、最悪を考えて動くときのロゼッタは強いんだよ。
    調子に乗らないことでバランス取れてるんだよ。俺はそれでいいと思うぞ?

    というか、隠れて動くんだったら相手が隠れることも予測しとけよと。
    これだけ遮蔽物があると、俺と偽ロゼッタとの身体能力差じゃ…
    気付いたころには手遅れ甚だしいんだよな」

ルイージ「言ってあげないでよ……」




<<キノコ城の陥落に注意せよ!>>

マリオ「させねぇよそんな事!」

ルイージ「ど、どうしたの兄さん?」

898Mii:2020/10/25(日) 01:39:05 ID:d9f/CHtQ
パタパタ「キノコ城南の第35区にて!クッパ帝国軍、避難警護を行いつつ南東へ後退開始!
     帝国軍に支障ありませんが、人員空白箇所が発生!徐々に押されています!」

トゥーンゼルダ「リンクは…流石にすぐ駆けつけるのは無理か」

サムス『南、だって?ちょうどいい塩梅に向かえるかもしれん!
    あまり地理を把握していないから、現地までの誘導をお願いしたい!』

トゥーンゼルダ「ありがたい!ではサムスに向かってもらおう!今、どの区画にいる?」

サムス『…そう、だな。大通りを適当に蹴散らしつつ、ひた走っているんだが…。
    …ああ、第28区を抜けて、たった今第33区に入ったところだ!』

トゥーンゼルダ「……………………ふむ。
         そのまままっすぐひたすら進めば着く!最短距離で頼んだぞ!」

サムス『まっすぐ?…いやちょっと待て、さっそく目の前に行き止まりが見えてきたぞ。
    左か右にしか行けないんだが。どこかでまた方向転換か?』

899Mii:2020/10/25(日) 01:42:27 ID:d9f/CHtQ
トゥーンゼルダ「…キノピオ!あの辺りは、ただの食糧備蓄保管庫、だよな?
        貰った地図にはそのように記されているんだが、合っているな?」

キノピオ「は、はい。そうですけど――――」



トゥーンゼルダ「――――そういうわけだ。そのまままっすぐ!」

サムス『……………………えええ…』

トゥーンゼルダ「そこをなんとか」

サムス『…ハァ、了解。言っとくが、弁償はしないからな!
  


   ――――シャインスパアアァーーーク!!!」ゴウッ!

倉庫「「「ぎゃああああああ」」」

キノピオ「」



サムス『…………小麦粉まみれ…ええい、気にしない気にしない!
   最短距離で突っ込めぇ――っ!』ダダダッ!

900Mii:2020/10/25(日) 01:45:17 ID:d9f/CHtQ
<<キノコ城東、第63区にリンク到着!ピット、パルテナも接近中!>>

トゥーンゼルダ「よし、予想以上に速かったな!さっさと片付けてくれ、リンク!」

リンク『お、おう。よく俺が到着したって分かったな。
    うお、いるわいるわ、魔物達。懺悔の時間も与えてやらねぇぜ!』

ピット『し、死に物狂いでなんとか駆けつけたよ…ふう。
    う、うわっ!ちょこちょこ人間も紛れ込んでるよ!?見るからに悪人だけど!
    本来助けるべき存在の命を奪うって、勇気がいるなあ…!
    リンク、どうする?FE勢に任せる!?それとも心を鬼にして斬ってくれる!?
    ちょっと時間はかかるけど、生け捕りも検討してみるかなぁ――――』

リンク『…………』

敵傭兵『ぐへへ、死ねい!』ブンッ!

住民『う、うわあああああああ!!!』

リンク『はい、悪人確定。あらよーっと!!』ザシュッ!

敵傭兵『』チーン

ピット『ひぇっ!?――あ、あれ?や、やけに、あっさりなのね』ゾクッ

リンク『え、むしろなんで躊躇すんの?』

パルテナ『そ、それはその…人間殺しは咎める部分も少なからずあるのかな、と。
    ピットなど、異種族なのに人型というだけでビクビクしていますし』

901Mii:2020/10/25(日) 01:50:42 ID:d9f/CHtQ
リンク『いやいや…。種族で差別なんてしないぜ、俺。
   それに、本人の意志とは別に操られてる、とかなら是が非でも助けたいけど…
   俺、別に全人類を助けたい正義の味方とか聖人君子とかじゃないし』ザシュッ!

リンク『投降するならともかく、絶賛悪行中の根っからの悪人に慈悲なんてないぞ?
   ましてや、今にも襲われようとしてる人の命と天秤にかけるとか馬鹿げてる。
   何年、各伝説のパトロールやってきたと思ってるのさ。
   悪人1000人斬りすることで善人1人が助かる可能性が1%上がるなら
   俺は迷わず1000人斬るよ?』グサッ!

リンク『俺がもっと強かったら、善人を速やかに保護したうえで…
   1000人の更生を気長に待つ余裕も…まあ、あるかもしれないけど。
   あいにくまだまだ未熟なもんでな。手加減せず斬る。

   敵さんが余裕を持たせないように狙って仕掛けた、全部の命は救い切れない、
   だから善人のために悪人切り捨てるのは仕方ないし、責められる筋合いはない。
   そのことをいつまでも気にして俺自身の調子が悪くなったら
   トータルで救われる人が減るから、後悔すらしない。
   文句言うならあの世で敵の親玉にどうぞ。それか自業自得と諦めてくれ』ザクッ!

ピット『ドライだ…』

パルテナ『ドライです…』

トゥーンゼルダ(ドライです…)

リンク(俺の出る幕がないくらい、統治者がハイラルを平和にしてくれてればなぁ…)ハァ・・・

ゼルダ(…!?今、リンクのため息が聞こえたような!?)

902Mii:2020/10/25(日) 01:54:29 ID:d9f/CHtQ
〜試合会場〜

<<偽者の分身体、集団術式で空中庭園《スカイガーデン》を再展開!>>

ロゼッタ(偽)「「「「「「「「ハァーー!!」」」」」」」」パアアアアアアア!!



ヨッシー「うっ!?また仕掛けられちゃいましたよ!
     タブーのFP、本当に無尽蔵にあったりするんですか!?」

ルカリオ「…また、こちら側の空間魔法が使えなくなる…だったか?
    存外、味方の作戦に影響があるものだな」



<<タブー軍、空中庭園《スカイガーデン》の持ち直しにより、やる気上昇!>>

ルカリオ「…………………諸刃の剣、の作戦だな。敵も思い切ったことをする」



ロゼッタ(偽)「――――」シュウ・・・

ロゼッタ(偽)「――――」シュウ・・・

ロゼッタ(偽)「――――」シュウ・・・

<<バックファイアにより、集団術式に関与した分身体の一部が消滅!>>

903Mii:2020/10/25(日) 01:56:29 ID:d9f/CHtQ
ピカチュウ「…ピ、カァ…………」パチィッ

ピカチュウの 雷のPPが 尽きた!▼

ルカリオ「ピカチュウ、ご苦労様。敵の自爆戦法ならびにお前のおかげで随分…
     分身体の数を減らせたようだ」

ピカチュウ「ピカッ!」



フィールド中央、観客たちの目の前に堂々と居座る――タブー。
あの気持ち悪い動き、激しい攻防。これを興行とみなせる観光客には恐れ入る。
こんな大人数の避難は今更無理難題ということで、会場外部とは情報遮断、移動規制。
バリア機能頼みで居座って貰っているのだが、何時まで持つか…。中々の博打だな。

タブーがここまで居座ってくれているのならば、とっとと倒せばいい。
…それができたら、どれだけ楽なことか。
妨げるのは、何重もの箱となってタブーを覆い護っている結界だ。
単純に――魔力任せの重ね掛けの数が、半端ない。

渾身の波導弾を1発お見舞いしてみたが、
タブーに近づくにつれたちまち減速し、霧散してしまった。
壊れたところは魔力を即流し込んで、修復しているようだ。

…いや、違う。技を受けたところに自動的に魔力が流れ込んで、
タブーの意志などなくても自動修復するようになっている。
同じ箇所にピンポイントで連撃を与えてみたが、最初に凹ませてからの押し込む感覚がない。こちらのワンアクションよりも復元力の方が勝るとでもいうのか…!
先ほどの雷の攻撃を見て取って、更に念入りに守備を固めてきているようだ…!

904Mii:2020/10/25(日) 01:59:12 ID:d9f/CHtQ
デデデ「闇の衣を剥がさないと、ラスボスはどうにもならない…ってな!」

ロックマン「敵の攻撃自体は、屁でもないんだけどな…!」

訳知り顔のデイジーは言った。あんな結界、本物に比べればお粗末な紛い物、だと。
何より、あんな殻に閉じこもっていると自分も攻撃できない、と。

その主張は当たっている。要は、結界を跨ぐ魔法干渉は自分もロスがでかいのだ。
それこそ、飛んでくる空間魔法や触手攻撃は、口笛吹きながらあしらえるほど弱弱しい。
数だけは割と飛んでくるので、万が一にも観客席のバリアを壊されてはたまらないと、
ファイターたちが地道に受け流しはじき返しているこう着状況だ。
雨脚は弱まり、再び日差しが戻ってきた。

忌々しい、異形共を延々と繰り出し続ける扉たちは…
破壊した傍から、分身体たちが作り直して元の木阿弥。
ただ、分身体たちが1人、また1人と減り出しているおかげで、
少しずつ勢いは鈍ってきている。それは朗報には違いない。

ルカリオ「…………朗報、には違いないんだが」

どうも、胸騒ぎがする。
全部が全部、垂れ流しの異形任せで、碌にタブー自身は働こうとしない――
そんな状況を、タブー側が良しとしているのか、と。
もちろん、こちらとしては既に小火(ぼや)どころの騒ぎではなくなっているが。

まるで、時が満ちるのを待っているかのような――

905Mii:2020/10/25(日) 02:02:18 ID:d9f/CHtQ



――バアアァァァン!



…おっと。首をブンブン振って雑念を払っていたら、
横で中型の魔物がガクンと体勢を崩して吹っ飛んだ音。
代わってその空間に斬り込んできたのは、渦中のお姫様だ。

ドック「うん、良い音だロゼッタ!爽やかな表情に飛び散る汗がベストマッチ!
   徐々に感覚を掴んできたか!?」

ロゼッタ「えぇいっ!…ふふん、空間魔法を封じられたと言っても、
    生粋の空間把握能力だけは健在なのです!
    悔しいですが貴方の教え方も中々堂に入っていますし!ほんと悔しいですがっ!」

マック「ほ、本当に伸びがいいな…!自信無くしちゃうなあ、俺…」

ロゼッタ「とんでもない。これだけ短期間で型が整ってきたのは、
    間違いなくお手本の貴方の動きが洗練し尽くされているからですよ!
    所詮私は、動きの真似を重ねているにすぎません。
    むしろ習えば習うほど驚いています…!」

ふと、ロゼッタの拳を見る。
純白のグローブ越し、普通の人には分からないだろうが…。

ルカリオ「おい、ロゼッタ。ドックたちの純粋な評価を聞けば、中々サマになってきているのは分かるが。
    ちょっと戦果を急ぎ過ぎだ。だいぶ傷んできているぞ」

906Mii:2020/10/25(日) 02:08:18 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「……っ!?わかるのですか!?返り血はなるべく浄化したつもりだったのですが…
     外出血でもしていましたか!?」

一瞬、拳を背中の後ろに隠そうとする素振りを見せ…観念したのか、すぐに止めてしまう彼女。

ルカリオ「私には波導…各人の命の振動のようなものを読み取る能力があってな。
    一見して隠れている姿、あるいは感情の揺らぎを推し量ることができる。
    そして、今のところロゼッタからは『痛みへの我慢』の感情が伝わってくる。
    まあ、状況からして拳くらいしか疑えないだろう。…おまけに両腕か」

ロゼッタ「あ、あはは。別に我慢できかねるほどでは、ないんですよ?本当に。
     ですが、どうしても繰り返し間隔が短すぎてですねぇ…」

ルカリオ「せめて、マックのようにちゃんとしたパンチンググローブを使え。いつか大怪我をするぞ」

私も、割と拳を多用するタイプだからな。先輩としてアドバイスできることは多いだろう。

ロゼッタ「いやでも、そんなもの持ってなくて…マック、いまさらですが予備のグローブがあったりしませんか?」

マック「あいにく持ち合わせがないが…そもそもグローブのサイズや形はしっかり吟味しないと意味がないぞ?
   たぶん俺のグローブを貸したところでしっくりこないことになる」

ロゼッタ「そうですか……………………」

ロゼッタが、一瞬しょんぼりしたあと、うんうん唸り出した。

ロゼッタ「……………………空間魔法が、使えるようになれば…
    要塞法衣《バリケードローブ》を改良して、あるいは――」ボソボソ

――あいにく、小声のため聞き取れなかったが。

907Mii:2020/10/25(日) 02:11:32 ID:d9f/CHtQ
ドック「よぅし、つかの間の休憩、終わりっ!もうひと頑張りするぞ、マック!ロゼッタ!」

ロゼッタ「は、はい!…あ、あの!ルカリオさん!
     私は…私の分身体の動向チェックも兼ねて、なるべく会場の傍にいようと思うんです!
     何か不審なことを分身体が仕出かし始めたら、声をかけてくれませんか?」

ルカリオ「ああ、わかった。まあ、結構分身体も減ってきたことだし、
     もしかしたらあっさり全滅するかもしれないけれどもな!
     お前がそこまで責任感に押し潰されることはないさ」

彼女を安心させる意味でも、すこしおどけて話してしまった。
我ながら、らしくない。まあ、彼女も気が気じゃないだろうからな。



ロゼッタ「…………あ、本当です。かなり数を減らしていますね。いいことです。





     ――――って、流石にちょっと減り過ぎじゃないですか、これ?
     何時の間にこんなに倒して…私の気のせいでしょうか」




周りを改めて見渡して、彼女はそう、宣った。

908Mii:2020/10/25(日) 02:15:31 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「――――」



ピカチュウの雷で、確実に1人ずつ葬っていって。

集団術式の代償で、勝手に葬られていって。

ファイターの奮闘のおかげで、ときたま転移との鬼ごっこに打ち勝って。

何人か、ピーチの隔離の為に別行動をとったそうで。

確実に、着実に人数を減らしているはずで――――



ルカリオ「……確かに、それでも少なすぎる」

10人、いや下手をすると20人ばかり、人数が食い違う気がする。
何故だ、と考え出すのは簡単だが――愚かだ。
今はそれより、せっかく私がここにいるのだから――――

ルカリオ「今から、偽者たちの波導を、捉えよう。協力してほしいのだが――」ホイッ

ロゼッタ「……ええと、手を繋げばいいのですか?」ギュッ

ルカリオ「ああ。ロゼッタと気配が似ていて、なおかつ負の感情が溢れていればそれが偽者だからな。
     ロゼッタの空間魔法ほど索敵範囲は広くないが…同時に全数ヒットしてくれるのが強みだ。
     波導を記憶に刻んで…よしっ!」バッ!

909Mii:2020/10/25(日) 02:17:53 ID:d9f/CHtQ
目をそっと閉じるけれども、イメージとしてはカッと見開く感覚。
神経研ぎ澄ませて、周り全体を「波導のチカラで観る」。
ただひたすらに、観る――――



なるほど、しっかり観えてきた。



そのうち、会場内にいる偽者は、現時点ではどうでもいい。

ぽつぽつと、城下の区画に留まっている奴らもいるが、
これは転生の扉とやらを管理するためにもともと待機しているのだろう。
つい最近飛び出していった、なんてことではなさそうだから、緊急性はなさそうだ。
ファイターの誰かと交戦になり次第、倒されてくれると期待している。



…問題は、一目散に移動していく「波導」だ。
特に周囲に被害を加えているような進路採りではない。
ただ、その位置と移動方向に首をかしげる。

ルカリオ「全部で、16…いや17人、か。不可解な動きをしているな。
     会場など知ったことかと、一目散に外へ外へと離れていく様子だぞ…?」

ロゼッタ「…え?」

910Mii:2020/10/25(日) 02:24:01 ID:d9f/CHtQ
ドック「おーい、早くしろよー!サボりとは感心しないな!」

ロゼッタ「ちょ、ちょっと待ってください。すいません…。
     え?17人が、一目散に?」

ルカリオ「ああ。それも、全員バラバラの方向に」

――ある程度の戦力を潜伏させて保険を掛けておこうという算段か?
――それならば願ったりかなったりだ。目論見が筒抜けなら対処もしやすい。
――適当なタイミングで、根こそぎ成敗してくれよう。

だが。
ロゼッタは、そうは捉えなかったようだ。
あくまで怪しい行動と捉え、熟考し出す。

ロゼッタ「…………………………………………
    もしも、敵の、立場だったら―――――――」

動きを止めてしばし。
びくぅっと震えて、ロゼッタが顔を青くした。

ロゼッタ「――――っ!?かく、さん――!?そんな、まさか、でも――
    タブーのFPがあれば、可能……!?」

ルカリオ「――――何か心当たりがあるのか?」

ロゼッタは、息を詰まらせてから、とにかく慌てふためいた様子で。

ロゼッタ「……『拡散術式』の準備に入った可能性が有りますっ!
     ああっ…!遊び心で紙の上で術式を組み立てたのが仇になっちゃいましたっ!」

911Mii:2020/10/25(日) 02:28:53 ID:d9f/CHtQ



ルカリオ「…拡散術式?なんだ、それは」

いきなり専門用語が飛び出してきた。門外漢なので噛み砕いた説明が欲しい。



ロゼッタ「むかーしむかしに、私が開発してしまった空間魔法の一つです!
     必要な人員も、FPも、多すぎる夢物語に終わって、机上の空論どまり。
     とても使えなどしませんでしたけどね!

     正多角形の幾何学的配置に術者を配置して同時発動させる、
     ただの集団術式では収まらない、いわば『共同制作の巨大魔法陣』!
     とりわけ、正十七角形配置は最高クラスのスペックを誇る制圧力計算です!
     は、発動してしまったら、とんでもないことに――――!」

ルカリオ「ど、どうなるんだ?正確に教えてくれ!」



通信機を通して、司令部にも伝えられるようにすることを忘れない。
重要事項は、速やかに全員で共有だ。
トゥーンゼルダが、通信機越しに息を潜めるのが分かった。

912Mii:2020/10/25(日) 02:33:21 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタは、一拍、二拍、空けてから――

ロゼッタ「――っ!私の記憶が、正しければ……この魔法は、それ単独では意味をなしません。
     ただ、この魔法が発動中の領域で、行使者からみて味方の誰かが…
     音、とか。光、とか。『空間を伝播していく』特性を持つ魔法を放った場合、
     『距離に対して減衰しなくなる』んですよ!

     囲んだ領域の全域にわたって、100%の出力で魔法干渉を受けてしまいます!!」





背筋が、凍った。

空間を伝播する、特性、だと?





ロゼッタ「あああ…!仕掛けてきたからには、明らかにその類の魔法を持ち合わせている…
     そう捉えるべきってことですよね!?何か、御存じ――――はわっ!?」

ルカリオ「――――『神速』っ!!」ヒュゴウッ!



堪らず、駆けた。ロゼッタの腕を掴み、紙のように舞わせながら。

913Mii:2020/10/25(日) 02:36:49 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「わ、わわわ、わ!?ちょ、ちょっと!
    どちらまで私を連れて行こうというのですかぁ!」

一瞬にして遠ざかるボクシング師弟が、なにか喚いているが。
冗談ではない。ふざけすぎている。それをされたら、一貫の終わりだ。



ルカリオ「まさか!城下、全域にわたって――――撃つつもりか!

     ――――『OFF波動』をっ!!」

ロゼッタ「お、OFF波動!?それは一体…!?」

     
あれは、まずすぎる。
あの切り札だけは、まずすぎる。


ルカリオ「OFF波動――ピーチによって命名されたそれは――
     たちまち周囲の者の時を止める、端的に言えば石化させてしまう、
     絶望一直線の範囲魔法だ!」

ロゼッタ「――――!?」



そう、「波動」。明らかに、ロゼッタの言う伝播特性の魔法と見て間違いない!
どうやらタブーは、悪事を働くにうってつけすぎる人材を手に入れてしまったようだ!

914Mii:2020/10/25(日) 02:39:34 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「絶望一直線、と言ったが。これはあながち飛躍した表現というわけでもない。
     耐魔法というか、魔防というか、特防というか。
     耐性が低いものほど速やかに石化していくのもそうなのだが!

     波動自体に『恐怖、絶望、諦め』の感情を強く揺さぶる作用があるとのことで、
     それに絡めとられると、耐性がますます下がる。その結果、石化は一層加速する。
     つまり悪循環。『もう駄目だ』と悟ってしまうと後戻りができない厄介さ…!」

ロゼッタ「そんな…!心が閉ざされ切って、しまうと、どうなるのですか!?」

ルカリオ「石の体の奥底に魂が引っ込んでしまい――ああ、残酷過ぎて語る気もない!」

前回大会では。奴は、会場に出現して、いざ大暴れ…とは意気込んだものの。
所詮は、OFF波動については会場の広さ程度に効果を拡げるのが関の山、タブーの限界。
観客は、一部動揺する者もいたがバリア機能でなんとか致命傷は避けられ…
ファイターたちは、一般人に比べれば石化スピードは相当遅く、諦めも悪かったのだ。
結果として、誰も狂わず、死なずに済んだ。

おまけに言うと、マリオに至っては「なんか動きが鈍くなったな、風邪か?」で済ませ。
ついでに言うと、デデデ大王が偶然、石化対策バッジなんてドンピシャな保険を発動。
「むしろお前の仕込じゃないのか!」という総ツッコミのオチまで付いたという。

そんなこんなで、スマブラ上位陣の反撃を食らって、ものの10分で退場したのだ。
少なくとも見かけの上では袋叩きからの余裕勝ちであり、演目ということで貫いて、
大会はつつがなく閉幕させることに成功。…こうしてみると、情けない悪役だな。

…だが。今回は、訳が違う。
たぶん、ファイタークラスが食らう分には、そこまで脅威ではないだろうが。
一般人が無差別に食らったりなどすれば、取り返しのつかないことになる!

915Mii:2020/10/25(日) 02:43:37 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「その、拡散術式とやら!解除するには、どうすればいいっ!」

ロゼッタ「お伝えしますから、とりあえず、下ろしてくださいよ!…ふう。
     
     …え、えっと、ですねっ!
     仕掛けようとする偽者の私を、拡散術式発動前に1人でも倒すか…
     倒せないまでも、無関係な所に追い出してしまえば、発動は阻止できます!
     綿密な位置関係と、同時刻の術式発動が根幹の魔法なので!

    逆に、一度発動してしまったら――術者自らが破棄するか――
    術者のFPが尽きるまで解除されないと思ってください!
    今回の場合、FPの供給元はタブーで間違いないので、
    偽者の私を全滅させたところで魔法自体は取り消されません!」

ルカリオ「要するにタブーを倒すまで解除されなくなるのと同義だな!?
     何が何でも発動を阻止しなければならないということか!

     ――――おい司令部!聞こえていたか!?
     当てがある者全員を、街の外へ散っていくロゼッタ達の撃破に向かわせろ!
     既に私も最寄りの対象まで向かっているところだ!
     参考人として本物のロゼッタを連れて行く!」

トゥーンゼルダ『わ、わかった!そちらは任せたぞ!他の方面はなんとかして見せる!』

916Mii:2020/10/25(日) 02:45:42 ID:d9f/CHtQ
本物のロゼッタを言葉通り「振り回している」が、仕方がないことだ。

ルカリオ(身長1.2m)「背負えないので、このまま――『神速』続行っ!!」ダダダダダダッ!!

ロゼッタ(身長2.05m)「ま、またっ!?
             う、浮いてますっ!体が浮いてますけどぉ――――!?
             あと腕がちぎれ、そう、ですよっ!!」ブオォォォ

ルカリオ「私もPPとスタミナをゴリゴリ削っているんだ!我慢してくれ!」ダダダダダッ!

ロゼッタ「酷いっ!?」










    『……………………』

    『……………………』

    『……………………』

    『……………………そろそろ、動くと、しよう』

917Mii:2020/10/25(日) 02:48:42 ID:d9f/CHtQ
〜異空間〜

ロゼッタ(偽)「…………っ!」ピクッ

ロゼッタ(偽)「…………っ!」ピクッ

ロゼッタ(偽)「…………っ!」ピクッ

ピーチ「え?…ど、どうしたの、いったい」

何度かヒステリックボムを仕掛けてはみたものの、案の定回避に専念されて。
やれやれFPが勿体ないと、手持無沙汰の睨めっこ。
一体どれだけの時間付き合っていた事やら。

いきなり、ブルッと震えたように見えた偽者たち。
私としては、なにかタブーにとって不都合なことが起こった…と思いたいところ。
――――思いたいところ、だったんだけど。

彼女たちは、徐々に徐々にと、口元を綻ばせて行って…。



ロゼッタ(偽)「…………時は、満ちた。タブー様がいよいよ、動かれる時」

ピーチ「…は?」

不吉な台詞。ハッタリであってほしいのに、
クスクスと小さく笑って、こちらを振り返っては、なお笑う。
不気味。不愉快。白状しなさい。

918Mii:2020/10/25(日) 02:51:55 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「『ロゼッタ』としての知識にはこれっぽっちもありませんが――
        ピーチ姫、貴方はご存知なのでしょう?

       ――全てを凍てつかせる、闇の波動のことを」

ピーチ「――――っ!OFF、波動!」

ピンと、きた。当然よね。忘れなどできようはずもない。
――とうとう、お出ましという訳ね。

ロゼッタ(偽)「ふむ…OFF波動、ですか。そのように呼ばれているのですか。
       シンプルながら、中々よい響きではないですか。褒めてあげます」

ピーチ「…………ふん、やれるものならやってみなさいよ。
   ファイターたちを舐めるんじゃないわよ?あんな攻撃、簡単に打ち破って――」

素の力が高いほど、アレには抵抗しやすいもの。
おまけに今回は。念には念を入れて。
デデデ大王の作ったバッジ効果を、各ファイターの選手カードにスナッチさせたんだから。
もともとの抵抗力と合わせて、無視できるところまで影響を少なくできているはず!



ロゼッタ(偽)「ああ、いえいえ。そんなことは、こちらにもリスクが有るので…
       ひとまずは、しませんよ」

ズン、と空気が重くなった。

ロゼッタ(偽)「貴方が大切にして止まない――王国民に牙を向けたら、
       貴方はどのように慟哭してくれるのでしょうね?」

919Mii:2020/10/25(日) 02:54:51 ID:d9f/CHtQ
ピーチ「――――ちょ、っと」

体が、震える。

ピーチ「なに、を、するつもり。そんな広範囲に展開できる、訳――――」

そんな、一気に――タブーの力が膨れ上がるわけが、ない。

ロゼッタ(偽)「ああ、言い忘れていましたね。     
        かれこれ二百年ほど前に、私――拡散術式というおあつらえ向きの魔法を、
        机上ではありますが編み出していてですね。

        これを…そう。『OFF波動』と併用することで、効果範囲をグンと広げられるのですよ」

ピーチ「――――っ!?」

何という、有ってはならないマリアージュ…!?



ロゼッタ(偽)「どのくらい、広がるのか、知りたいですか?
       …うーん、どうしましょうかね?どうしてもというのなら…ふふ」

ピーチ「――――」

必死に、心臓を、落ち着かせようとする。うるさい。うるさい。

そして――――
あいかわらず、絶妙な距離を保ち、私に打倒されないよう警戒したうえで――
ただ一言、小声ながらも澄んだ声ではっきりと、伝えてくる。

920Mii:2020/10/25(日) 02:57:10 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「――――キノコ城城下、全域くらい、わけないんですよ」



――――――――――――。



どばっと、冷や汗。眩暈までもがお出迎え。
その直後に湧いてくるのは、烈火の怒り。

ロゼッタ(偽)「おやおや?流石のピーチ姫も、
       激昂せずにはいられなかったようですね?」

ピーチ「……あんた、たちぃ………!許さ、ない、わよ…………!」ブチブチッ



最高に、切れている。今の、私。
腹の中、煮えくり返ってるわ。

でも、彼女たちの態度を観る限り、本当に本当のこと、らしい。
もしも、一般市民がまともに受けたら、おそらくきっと致命的。――猛烈な、吐き気。

唇噛みしめ血を垂らしながらも、それでも。
最後の踏ん張りで押し止まって、自身の短絡的な突進を食い止める。

ピーチ「…それ、で。何が望み、よ。
    みんなの命乞いをすればいいのかしら。
    それとも私1人の命と引き換えに見逃してくれる?」

921Mii:2020/10/25(日) 02:59:12 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「ふ、嫌ですねぇ。そんなこと、しませんしません」

ピーチ「――え?」

ロゼッタ(偽)「その気になれば、自分が死ぬ方が王国の損失と『客観的に』割り切って
        自分が生き延びる方を迷わず選択するお人でしょう?
        ディメーン戦で身に染みてわかっていますよ。

        ですから、そう。変な選択肢など、最初から与えません。




        単純に、絶望してほしかっただけ――――」

ピーチ「な――――」

ロゼッタの姿で、なんてことを言ってのけるのかしら。
野蛮な言い方が許されるなら、八つ裂きにしてやりたい。





ロゼッタ(偽)「トラップを発動させ全てを終わらせるのは――――
       残念ながら、規定事項です!」バッ!

922Mii:2020/10/25(日) 03:01:57 ID:d9f/CHtQ
〜キノコ城城下〜



ルカリオ(――――見つけたっ!)



まだそれなりの距離とはいえ…後姿をバッチリと捉え。
若干スピードを落として慎重に追跡。丁度いい、ロゼッタを下ろしてしまおう。
家屋の陰に隠れて小刻みに姿を見失う?波導を読む私にとっては些細な事項。

魔物達は、律儀に彼女だけ無視して暴れている。当然の帰結ではあるが歯痒い。

ルカリオ「トゥーンゼルダ!対象を発見した、あと1分もあれば仕掛けられる!」

トゥーンゼルダ『助かった!他の奴らはまだ遭遇できていなかったんだ!
         位置が微妙に悪かったうえに、口頭で伝えるしかないからな…!』ホッ

ロゼッタ「あ、あの、ルカリオさん」

ルカリオ「ルカリオでいい、さん付けはこそばゆい」

ロゼッタ「で、では。ルカリオ、1分と言わず、貴方のスピードで10秒で急接近しましょうよ!
     対処を余儀なくされて、簡単に目的の位置から追いやれるはずで――――」

ルカリオ「神速がちょっとPP切れになった、という苦々しい事情もあるが。
     駄目だ、追いやるだけでは。いつ舞い戻られるか分からないからな。
     時間に余裕は少しあるみたいだから、慎重に近づいて確実に仕留めたい。
     察知されて空間転移など使わせてはいけない、気付かれていないのは僥倖だ」

923Mii:2020/10/25(日) 03:05:14 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「で、ですが……なんだか、嫌な予感が――
     流石に、一切後ろを振り返らないのは無警戒すぎる、ような――
     ゆ、油断しがちな私の分身らしいといえば、らしいのですが…」

ルカリオ「案ずることはない!むしろ、だからこそこのチャンスをものにすべきだ!」

小声で返しつつ、しなやかな足取りで接近、接近。もちろん裏道から、ばれないように。
隠形は得意な方だからな。ロゼッタはその限りではないから、もう少し近づいたら待機してもらおう――――



その時。
ロゼッタがグイッと、ありったけの力を込めて私の背を押しやった。



ロゼッタ「――――――――!!!
    ルカリオ、全速力で相手を吹き飛ばして!速くっ!!」

ルカリオ「な、なにをいきなり急に、まだ街の外れは先―――」



こんな中途半端なところで、まさか術を始めるとはとても――――

924Mii:2020/10/25(日) 03:09:05 ID:d9f/CHtQ
予想だにしないことが、発生した。
まだまだ城下を抜け出していないのに、偽ロゼッタが動きを、止めた、だと?



数秒の祈るようなそぶりののち、瞬く間に天に片手を掲げ――――
舞い降りる、光の束。静まる、空気。…………足元には、既に、魔法陣の片鱗がっ!?

ルカリオ(途中で、領域拡大を切り上げた、だと!?
     追いつく間際の…都合のよすぎる、ギリギリ目一杯のタイミングで!?)

ロゼッタ「――――私たちを含めた追跡作戦が、敵方に漏れていますっ!
     私のことは無視して、急いでください!」

ルカリオ「――――なんたる愚!なんたる油断か!」

相手を見くびり、驕っておいてのこの体たらくか!神速がもう使えないのが悔やまれる!
それでも再び、可能な限りの高速で駆ける!このヘマの埋め合わせは、命懸けで――――



そこに迫り来る、大剣の不意打ち――

ガノンドロフ「ハッ!!」ブウゥゥン!!

ルカリオ「ゴフッ!?」

あまりに狭かった視野。巨漢に横槍を許し、一気に肉薄されてしまう。
パワータイプのそれは、たちまち腹にめり込んで私を毬のようにはじき返した…!

925Mii:2020/10/25(日) 03:11:27 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「ぐっ…貴様…!」

そびえ立つ、悪意の塊。
ずっしりと構えるは、ハイラルの三傑の一人にして、『力』の具現化のような男――

ガノンドロフ「無様だな――
      フン、手間を掛けさせおって。とっとと発動しろ、小娘め」

なんだかんだ、私たちの敵であるのは確かなのだ。
完全な協力関係ではないとはいえ、タブー側を利するように動く、ガノンドロフ。

ロゼッタ(偽)「――――ははっ!最高のタイミングでのアシスト、感謝です。
       ハアアアアアアアアアアアアアァァァ――――――――!!!」パアアアア

まだ残る、それなりの距離は、偽ロゼッタを安心させるには十分だったらしい。

足元で紫色に輝く、魔法陣。その輝きは瞬く間に勢いを増す。

一条の光が呻りと共に地を這い、私たちの足元を潜って――
今駆けてきた道を走り、城下の中心部へと駆けていく。
更に偽ロゼッタが伸ばす両腕に従うかのように、左右に走る光。
…届く先は、正多角形の隣の頂点に位置する別の分身体なのだと、素人考えでも容易に想像できた。

ロゼッタ「あ、ああっ!術式が完全に進行していますっ!」

激しい地鳴り、震える大地。私が受ける感覚も大層なものだが。
ロゼッタは特にけたたましい危険サインとして、魔法の発動をその身に感じているらしく、
苦しそうにふらついて頭を抱えている…!

926Mii:2020/10/25(日) 03:13:16 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「くそっ!!」

気を改め、分身体に繰り出すは、八頸。

油断していた相手は受け止めることも出来ず、無残に屍を――――
さらすことなく、勝手に、自分から消えて行った。
こちらを伺う最後の表情は、勝ち誇ったなんとも醜悪なもの。



ルカリオ「……ロゼッタ」

ロゼッタ「…………はい」



ロゼッタの方を、半ば放心しつつ、振り返る。
いや、もしかしたら、術式が完成し切らず不発に終わり、要らぬ心配だった、とか…。
藁をもすがる気持ちで、返事を待つ。





ロゼッタ「…………………………………………
    拡散術式。最高クラスのが、ガッツリ発動されちゃいました。
    どう、しましょう」

振り向き返すロゼッタは、なんとも乾いた笑いを浮かべていた。

927Mii:2020/10/25(日) 03:15:26 ID:d9f/CHtQ
切り替えだ。そうだ、頭を切り替えて仕切り直せ。
下手をすると、犠牲者を出すか出さないか、ではなく…
犠牲者を何人減らせるか、という状況に後退してしまったかもしれない。
それでも嘆くのは――――ああ、後回し。

ふと見れば、無防備なロゼッタへと、邪悪に笑って大剣を振り翳すガノンドロフ。
――――!?…どういうわけか、ロゼッタが回避行動をとらない!?

我に返って、素早くロゼッタとの間に滑り込んでガードするっ!
このあたりの覚悟の差は、やはり仕方がないものがあるか!

ロゼッタ「きゃぁっ!!あ、あぶな、かった…!!た、助かりました!
     そ、そうですよね!今は死んだら終わりですよね!?残機制じゃ、ない!」

ルカリオ「人のことを言えた義理ではないかもしれないが、余所見をするな!
     何を呑気なことを言ってるんだ、全く!脳天に刺されたいのか!」グググッ!



ロゼッタ「――――――――――――??」ズキン



ロゼッタ「……あ、は、はいっ!忠告痛み入ります!」

928Mii:2020/10/25(日) 03:17:35 ID:d9f/CHtQ
ガノンドロフ「フン、消え失せろ、死にぞこないの雑魚が――」

ガノンドロフが続けざまに剣を振るう。それも2本。
片手で易々と振り下ろされる大剣はかなりの重量物。
ロゼッタを庇いながらだと流石に辛い!

丁寧に受けて堪えるしかなく、腕から血が滴り落ちる――!

ロゼッタ「―――――――強い…!」ブルッ・・・

ガノンドロフ「魔王の覇に今頃気付くとは、愚かしいにも程が――」



ルカリオ「…いや、流石にロゼッタは敵わないかもしれないが、
     ファイター基準でいうとそれ程…というレベルだぞ。
     私でもロゼッタを庇う必要さえなくなれば勝てる」

ロゼッタ「…あ、やっぱりですか?
     最近、散々扱かれてきた『強者』と比べると、そこまで脅威ではないような気がしていました!
     というわけで離れて見学しますっ!押し付けて申し訳ございません!」

ルカリオ「むしろ先に引き返しておいてくれ!すぐに追いかける!」

ロゼッタ「わ、わかりました!」

ガノンドロフ「」

929Mii:2020/10/25(日) 03:19:20 ID:d9f/CHtQ
ガノンドロフ「…………ほほう?魔王に盾突くばかりか、愚弄するとは、無謀な獣よ。
       ならばここで屍を晒すが――――」プルプル

ルカリオ「波導は、我に、有り――――!」スッ・・・

ガノンドロフ「無駄な真似をっ!」ブゥン!

シュンッ!

ガノンドロフ「ぬう!?小賢しい、フェイントなどとは――」



――――瞬間移動とまではいかないが。
――――相手の心を読み、裏をかいて一気に懐に忍び込み。
――――大剣が頭を掠めて切傷ひとつ。そのくらいなら安い代償だ。



ルカリオ(乾坤、一擲ッ!)

ルカリオ「でやあああああああああっ!!」ズドドドドドドドッ!



ルカリオの インファイト!
効果は 抜群だ!▼

ガノンドロフ「」\98.6%/

930Mii:2020/10/25(日) 03:21:36 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「わぁ…!」

ガノンドロフ「お、のれ――――!」ドクドク



一目散に走っていけばいいものを。
ロゼッタは足を止めてこちらを振り向いてしまっている。
そんなロゼッタには、私が、一瞬のうちに消えたようにみえたかもしれない。
神速を使ったときは手を繋いでいたから、逆に体感できなかっただろうがな。



ルカリオ「――――終わりだあああぁぁっ!!」ゴウッ!

鋼の拳が弾丸となって、ガノンドロフの顔面を貫いた。

ガノンドロフ「」チーン



ルカリオ「…いやまあ、実際に顔に穴が空いたわけじゃないけれども」

ロゼッタ「ソウデスネ、ソウ簡単ニ人体ニ大穴ナンテ空キマセンヨネー」

ルカリオ「…何故棒読み?」

ロゼッタ「アハハ」

931Mii:2020/10/25(日) 03:24:03 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「……失礼しました。――――あ、ガノンドロフが消えて行きます」

ルカリオ「…ああ、そうだな。
     やはり本人ではなく、紛い物、か。まあいい。
     今回の騒動にはもはや関われなくなっただろう。
     おそらく、ハイラルの魔物に関しては士気も下がる。

     …それにしても、抜群インファイトで確1取れないか。
     まだまだ弱いな、私は――――」

ロゼッタ「……………………」フラッ

ロゼッタ(……あれ?な、なんだかさっきから息が…詰まる?胸が苦しい、ような――
    …………………気のせいですか、よかった。今更怖気づくとか勘弁ですよね)

ルカリオ「おいロゼッタ、相変わらず集中力が途切れがちなのか?」

ロゼッタ「まあ、連戦のせいでHPが黄色ゲージに突入してそれなりに経ったとは
    自覚していますけど…。でも、致命傷とかは特段受けていませんよ。
    鍛えられた成果です、はい!」

ルカリオ「…そうか。大変だろうが、まだまだ気張って貰わなければ困ることになった。
     最悪の状況を想定して動くぞ。

     間もなく、間違いなく、OFF波動が繰り出される。
     そう、それは――――」



――――ほんの5秒後の、ことだった。

932Mii:2020/10/25(日) 03:26:14 ID:d9f/CHtQ
〜司令部〜

《タブー軍、偽者のロゼッタ達により拡散術式が発動したことで、やる気上昇!》

トゥーンゼルダ「――――っ!」ギリッ

《ルカリオ、ガノンドロフを撃破!ハイラルの魔物、大幅にやる気低下!》

トゥーンゼルダ「それはいい、いいことなんだが…!
        手放しでは喜べない、な。

        一体全体、どうして敵に情報が漏れた…!?」

キノピオ「…………?」ヒソヒソ

キノピオ「……………………?」ヒソヒソ

ソニック『おい、司令部!こちらソニック!一大事だ、報告するぜ!
     もう少し早く伝える機会が有ればと思うと、ノロマな自分が腹立たしい!』

トゥーンゼルダ「ど、どうしたソニック!こちらもパニックになり掛けていて…」

933Mii:2020/10/25(日) 03:28:33 ID:d9f/CHtQ
ソニック『情報が漏れた、しょうもない絡繰りが分かったぜ!
     ルフレ…じゃなかったか、ギムレーって奴がいただろ?
     そいつに一部の工作員キノピオが襲われてやがった!
     瀕死の所をなんとか逃走優先で救出したが!』

トゥーンゼルダ「何だと!?」

ソニック『要するに、余ってた通信機を敵側が奪い取ったってことらしい!
     そん時から、俺たちの情報のやり取りが筒抜けになってる!
     …もちろん、この会話含めてな!伝えるかどうかちょっと迷ったぜ!』

トゥーンゼルダ「……!!」アゼン

ソニック『――――いいか、頼んだぞ!お前の知恵にかかってる!』プツッ

トゥーンゼルダ(ソニック…!迂闊に口を滑らせることを避けてくれたのか。
         だが、私の方こそ、迂闊に指示を出すと、裏を掻く側が圧倒的に有利――

         このドタバタ状況で、通信機の識別なんか、できていない!
         ピーチなら割り出し可能かもしれないが、少なくとも私には無理難題!
         通信機が、もう、使えないっ!?)

トゥーンゼルダ「み、皆!しばらくの間、各自判断で行動してくれ!
        私からの指示は一旦保留とする!皆からの状況報告のみ、
        随時…司令部に向けて行ってもらいたい!不甲斐なくて済まない!」

トゥーンゼルダ(これでは、あまりにも――)

934Mii:2020/10/25(日) 03:30:33 ID:d9f/CHtQ
トゥーンリンク「ゼ、ゼルダ!しっかり!きっと対策があるはずだよ!」

ヒルダ「本当に、酷い…………」

ゼルダ「…もう我慢できません。私も会場外の助太刀に参ります!
    トゥーンゼルダの警護は任せましたよ!」ダダッ!

トゥーンゼルダ「…あ、あ。たのみ、ます」ウツロ

トゥーンリンク「ねえ、元気出してってば!精神が揺らぎ始めてるよ!」ユサユサ



――――その時、だった。




    『――永遠に。世界と、現世と、隔離されるがいい――!』




トゥーンゼルダ「…!?なんだか、みょ、うな、悪寒が」

ヒルダ「…っ!?な、なに、これ」ビクッ

トゥーンリンク「…やばっ!タブー、まさか――――!」

935Mii:2020/10/25(日) 03:32:27 ID:d9f/CHtQ
隔壁に厳重に守られ引き籠っていたタブーが、動いた。



一瞬縮こまったかと思うと。膨れ上がり、そして――――

隔壁の中が闇に染まる。



中の様子が、一切推し量れないほどの、まっ黒。

皆が、驚愕の表情をする中――――








隔壁が、解除、された。

狂暴なナニカが、たちまち、会場を、城下を、覆い尽くす――――!



「OFF波動」、ここに発動。

936Mii:2020/10/25(日) 03:34:02 ID:d9f/CHtQ
クッパ『――――――――皆、聞くのだっ!』

敵側に動きがばれるのも承知。
クッパの大音量の声が、突然通信機から発信される。

クッパ『ワガハイとピーチの策で、選手カードにはOFF波動に抵抗する仕掛けが
   施されているのだ!そう簡単には石にならん!絶対に手放すな!

   それと、多少は周囲の人間にもプロテクト作用がある!
   石化を開始したり恐慌状態に陥ったりした一般人がいれば、
   すぐさま駆け寄り保護するのだ!

   この情報を聞いて、カード奪取に動く不届きな輩がいたなら
   問答無用、容赦なく叩きのめすのだ!以上だ!わかったか!』



トゥーンリンク「た、たすかる、よ。少しは希望が、持てる、かな。
        …なーんて、言ってられない、ね!」ガクッ

トゥーンリンクの 全ステータスが 下がった!▼

ヒルダ「う……な、なんです、か、これぇ…!」ガクッ

ヒルダの 全ステータスが 下がった!▼

トゥーンゼルダ「き、きっつい―――これ、が、OFF波動という魔法…
         気力が、ごっそり、吸い取られていく――――!」ガクッ

トゥーンゼルダの 全ステータスが 下がった!▼

937Mii:2020/10/25(日) 03:36:34 ID:d9f/CHtQ
トゥーンリンク「ほ、本当に怖いのは、なんといっても石化しちゃうこと、だよ!
       偽者のロゼッタの仕掛けで範囲が広がって――
       
       う、ううん。威力自体も、ぜ、前回より多少は上がって、る…!」

トゥーンゼルダ「そ、そんな――――――うっ!?」グラッ



トゥーンゼルダの 全ステータスの 低下が 止まらない!▼



トゥーンリンク「…!?し、しまった!ゼルダっ!絶望しちゃ駄目!
        精神干渉も一癖あるよ!一度はまると、際限なく能力低下を招くよっ!

        そういや…選手、カードッ!持ってないのかっ!
        ほ、ほら!僕の選手カード、貸すから!

        …予想以上に危険だ!僕たちも油断なんかできないけど…
        特に今回初出場のファイター程度のレベルだと、ひとたまりもないぞ…!」

938Mii:2020/10/25(日) 03:41:06 ID:d9f/CHtQ
パルテナ「ぐぅっ!?」ガクーンッ!

パルテナの 全ステータスが 大きく下がった!▼

ピット「パルテナ様!?急に倒れて一体――わわっ!?」ガクッ!

ピットの 全ステータスが 下がった!▼

パルテナ「…………い、いやあ。たまには地面で寝転んでみたいなー、
      なんて思っちゃったもので」

ピット「……こいつは、きついや…!
   パルテナ様は、もっと大変なことに――!?」



リンク「ついに、来ちまったか…!」ブルッ

リンクの 全ステータスが 雀の涙ほど下がった!▼

ピット「リンクずっこい」

リンク「知らねぇよ…」

939Mii:2020/10/25(日) 03:42:57 ID:d9f/CHtQ
ルキナ「うっ…!?」ガクーンッ!

ルキナの 全ステータスが 大きく下がった!▼

ルフレ「…こ、これが――――力が、抜けていく―――」ガクーンッ!

ルフレの 全ステータスが 大きく下がった!▼

マルス「2人とも、しっかりするんだ!大丈夫、僕たちがサポートする!
    ルキナッ!僕の選手カードを代わりに持っておいて!」

マルスの 全ステータスが ちょっと下がった!▼

アイク「勝手なこと、しでかしやがって――――!」

アイクの 全ステータスが やや下がった!▼

マルス「…アイク!予定を早めて、急ぎリンク達と合流するよ!
   悔しいけれど、僕たちだけだと2人を護り切れないのも事実なんだ!
   このままだと、雑兵相手に苦戦するような状態の2人を背負って、
   ジリ貧の戦いをすることにもなりかねない!」

940Mii:2020/10/25(日) 03:44:40 ID:d9f/CHtQ
アイク「まだこの辺りは制圧し足りないんだが…ああ、わかった!
    …って、リンクの位置が通信機なしじゃ分からないぞ!
    いっそのこと、敵にばれるの承知で使うか!?」

マルス「……通信機強奪を考えたのが、あのギムレーという男だからね…。
   あの男の性格的に、因縁のあるルキナの場所を割り出せたら、
   間違いなく不意打ちしてくるよ。あまり、好ましくはない。

   トゥーンゼルダとリンクとのやり取りからある程度は推測がつく。
   その付近で大暴れしているファイターがいれば、それがリンクだろう。
   制圧被りしないよう、他のファイターも接近を避けていたはずだから!」

アイク「なるほど。リンクに負担を押し付けるのは情けないが…
    それじゃあ、行くぞ!……って、ちょっと待った!
    悲鳴が聞こえる!あっちに逃げ遅れた人がいるようだ!」ダダダッ!

マルス「――ナイスな判断だ!なんとしてでも助けよう!気付けて良かった!」

941Mii:2020/10/25(日) 03:46:42 ID:d9f/CHtQ
翼竜たちが、一点に集って、誰かを襲っている。
その人は、血まみれになりながら、ただただ蹲っている。

アイク「そこを――――どけぇっ!!」ブウゥン!

いくら戦闘力が下がったとはいえ、所詮アイクの敵ではないね。
たちまちのうちに全部まとめて切り伏せてしまった。

目の前には震えたままの住人、あるいは観光客かな?
安心させようと、こちらを認識してもらうつもりで肩を抱いて揺すぶった。
タオルなんて気の利いたものは持ち合わせていなかったので――
僕なんかのハンカチで悪いけれども、さっさっ、と血を拭ってあげた。

――――拭ってあげようと、した。



アイク「――――」ピタッ

アイク「――――お、おい。まさか」

マルス「――――――――っ!アイク、君のカードを!」



――――絶望のあまりか、石化が、始まっているっ!?
――――本当に、効果を拡げていた、タブーの魔法!
――――おまけに…ファイターと一般人の差を、あまりにも舐めすぎていた!?

942Mii:2020/10/25(日) 03:48:43 ID:d9f/CHtQ
今さらながら、アイクが選手カードを彼に押し付け、加護を与えようとするも――

住人「もう、だめ、だ――――し、しぬ、んだ――――」

マルス「――――待て!早まってはいけない!
    待つんだ!僕たちが君を助けた!もう助かったんだ!だから!」

聴く耳を、持ってくれない。
ガタガタガタガタ、ただひたすら咽び泣いて。
その声が絶望を強めるたびに、カードの回復力などあざ笑うかのように――
足元から、瞬く間に、石化が、進む。

アイク「クソッ!クソッ!ちょっとは役に立てよ、
    ピーチとクッパの自信作のアイテムだろ!そうなんだろぉ!」

固まる。
泣く。
固まる。固まる。
回復して、少し石化が解ける。
固まる。固まる。固まる。
泣く。泣く。泣く。
固まる固まる固まる固まる固まる固まる固まる固まる固まる――――――――



住人「                」



かんぜんに、石になった。

943Mii:2020/10/25(日) 03:51:26 ID:d9f/CHtQ
マルス「――――――――」

天を、仰いだ。

アイクが、堪らず地面に拳を打ち付ける。
多少の鮮血とともに、舗装された道が瓦礫となって吹き飛んだ。

マルス「――――先を、急ごう」

アイク「はぁ!?…ちょっと、ちょっと待てマルス!耳を疑ったぞ!
   この感じだと、この付近のぎせ…い、いや、被害はまだまだ広がるぞ、まさに今から!……拡がる一方だ!
   俺たちが離れたら、本当におしまい――――」

マルス「だからって、人々を必ず石化から守れるとも分からないカード片手に、
    付近を巡回して、闇雲に時間を費やすかい?――それこそ被害を拡げるよ!
    
    今の皆の状況は、時限爆弾を括りつけられて放置されたのと同じだ。
    そのタイマーを少し遅らせるだけじゃ、何も解決しない!
    幸い、石化は死と必ずしも同義というわけでは…辛うじて、ない。
    原因そのものを叩いて、全てを解除すれば、元通りなんだ。

    ――――そのためにも、僕たちという戦力を腐らせるわけにはいかない。
    最速で敵を倒すために策を講じることが、今やるべきことだ」

アイク「ルフレやルキナのことは俺たちの手間を増やしてでも、
   こうやって助けようとしているだろう!それと一緒じゃないか!」

――――はっと、した。そうかも、しれない。僕は自分勝手に過ぎるようだ。
――――助けたい人に優先順位を付けてしまっていたなんて。
――――冷静なように見えて、一番周りが良く見えていないのは僕なのかもしれない。

944Mii:2020/10/25(日) 03:56:24 ID:d9f/CHtQ
ルキナ「――――――――」

アイク「――――あ、いや、ルキナ。ルフレ。
   別に俺はお前たちを助けることを苦に思っているというわけではなくてだな!」クルッ



ルキナが、顔面蒼白にして、吐き気を堪えようと、うずくまっていた。
様子がすこぶる、おかしい。体が言うことを――聞いているようには、みえない。



ルキナの 全ステータスの 低下が 止まらない!▼



マルス「…………はっ!?
   今の光景は、ルキナには毒すぎる!ルフレも時間の問題といったところか!」

ルフレ「…は、はは。マルス様には…敵いません、ね。
    で、ですが。まだまだ虚勢は張らせて頂きますよ」ブルブル

マルス「…急いで離脱するよ、アイク!本格的に危うい!
   妥協しよう。その住人を唯一の犠牲者と信じて、その人だけ背負っていくのは許す。
   それ以上、君に負担を強いるわけにはいけない。分かってくれ」

周りには沢山の家屋、商店、飲み屋に飯処。少し歩けば公園だって旅館だって、
それこそ人がいておかしくないスポットは無数にある。
どうして、逃げ遅れた人が1人も他にいないと言い切れようか。

945Mii:2020/10/25(日) 03:58:35 ID:d9f/CHtQ
いきなり背負われ恥ずかしがる…そんなそぶりを見せる余裕すらないのか、ルキナは。
覚束ない足取りながらも、ルフレも後に続いてくれた。





アイクは――――



アイク「――――――――ちくしょう!後で一発、殴らせろよっ!!」



あれやこれや、煮えくり返って。くぐもった涙声になりながらも。
住人担いで、なんとか後に続いてくれた。



せめて――リンクと合流するまで、通りかかった人たちだけでも救えたら。
心からそう願った。

946Mii:2020/10/25(日) 04:03:02 ID:d9f/CHtQ
少年が、はぁはぁ息を切らせつつ走っている。
走りながら腕を引っ張るは、同じくらいの年の少女。



少年「ゴホッ、ゴホッ…勘弁、して、くれよぉ…!うるさいし臭いし煙たいし…
  どっちに向かえばいいんだよ…!どっちかわかる!?」

少女「……………………あっち!」ビシッ

土埃まみれでせき込む少年に対し、少女は迷わず、繋がれていない手で指し示す。



少年「…指差してくれるのは嬉しいけど、その心は?」

少女「女の勘よ!」

少年は拍子抜けして転びかけながらも、やれやれと苦笑して示された方向へ。
こういったとき、一番よくないのは悩んで足を止めることだと、経験上よくわかっているから。

947Mii:2020/10/25(日) 04:08:20 ID:d9f/CHtQ
少女「――っ!?何か来るわ!?」

少年「なら、よけーる!避けれなかったら…そのときまた考える!」

冴えわたる、第六感。
少年に引っ張られるまま少女もそのまま大きく動いて――
間一髪、上空からの狙撃を横っ飛びで躱す。

まさか振り向きもせず躱されるとは思っていなかったのか。
上空の影は無理に追い縋ろうと、碌に前も見ず旋回し――――
建物の突き出しに裂かれてあえなく墜落していった。

少年「うっしゃーラッキー!儲け儲け!あの竜アホだな!」タタタッ

少女「お茶らけたこと言ってないの!急いで急いで!」タタタッ

少年「いやいや、このくらいお茶らけてないとやってられないんだって!
  俺たち、ヨワヨワだし!簡単に死ぬし!空元気バンザイってやつ!?
  それに得てして、このくらいフザけてる位が一番死ににくいんだよ!」

少年はそう自虐するが。
角を曲がってバッタリ出くわした、剣を持って襲い来る不届き者。振りかぶった剣は相応に速いけれども――

少年「!?――そりゃあ!!」パアアァ!

雑兵「」チーン

少年「―危ねっ!?怖っ!?…チカラ無駄遣いしたくないんだけどなあ」タタタッ

――――ちょっとした下っ端くらいなら、なんてことはないらしい。

948Mii:2020/10/25(日) 04:11:00 ID:d9f/CHtQ
少女「はいはい、ふざけるのはそこまで。
   はやく探し出さないと、取り返しのつかないことになるわよ!」タタタッ

少年「ふざけてなんか…あー、はいはい。わかってるってー。

   だいたい、事態が動いてからジタバタするんじゃなくて、
   ファイターたちが一斉に瞬間移動してきた時、すぐコンタクトを取るか…
   せめてストーキングしとけば楽だったんじゃあ。得意でしょ?」タタタッ

少女「ううううるさいわね!会場にいれば安心だと思ったのよ!
   動かなくていいかもしれなかったし、局面を見極めてたの!
   そしたら、ビューンって感じで一目散に駆け出されちゃったし!
   あと、ストーキング得意とか言うな!

   と・も・か・く!今頑張らなくて、何時頑張るっていうのよ!さあさあ!
   姫様の期待を裏切るって言うの!?」タタタッ

少年「へーい。…それにしても、他のファイター達すら見当たんないや。
   聞いて回ることもできやしない。やっぱり俺たち機動力ひっくー!
   ソニックさんとかでも通りかからないかな、運んでもらえるんだけどっ!」タタタッ

少女「そこ、無い物ねだりしない!」タタタッ

949Mii:2020/10/25(日) 04:15:42 ID:d9f/CHtQ
少年「………………………………………………………
   いや、ここはあえて――現状打破とジンクスブレイクを兼ねて、無い物ねだりしてみよう」ピタッ

少女「…………は?」ピタッ

少年「――――――――――――――――――――――――――――――――
   うわああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁ――!!
   体が石になるるうううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅ!!
   だあぁれえぇぇかあぁぁ、たぁすけええええてえええええええぇぇぇ――!!!!」

少女「」

しかし、なんとも単純な子供じみた作戦ながら、ファイターの注意を引くには十分。
甲高い悲鳴に呼応するように、飛んできたファイターが一人――!



少女「うわあ、恥を知らない馬鹿は、馬鹿なりに役に立つ場面が――」

少年「ほらみろ、効果てきめん!最初からこうしておけば――」



デイジー「天が誰呼ぶ我を呼ぶ!世界を救えと皆が呼ぶ!
     泣く子も駄菓子で黙らせる、ステキなお転婆お姉さん!
     サラサ・ランドの王女、デイジー参上!!」ズサァーー!

少年「」

少女「」

950Mii:2020/10/25(日) 04:19:01 ID:d9f/CHtQ
デイジー「リアクションが欲しいなっ!…いやいや、それよりも!
     どうしたの、大丈夫!?ケガはない!?
     石になり始めたってホント!?…あれ、そうでもない!?

     というより、私誰だかわかる!?デイジーだよ!
     そこそこメディアに露出してるから知られてると思うけど!
     おっと、露出って言ってもイカガワシイ意味じゃないよ、念のため。
     姿をあっちこっちで見かけるって意味だよ。知ってた?偉いぞ♪」

怒涛の如く、しゃべくるお姫様。最後はウインクで締めて見せる。
少年と少女は、唖然とするばかりで、しばらく動くことができなかった。



少年「いや、ほんと――――さっさとやっとくべき頭脳プレイだったんじゃね?
   悔やまれるにも程があるんだけど」

少女「…そうね。喜ばしきことなのに悲しくなってくるわ」

デイジー「???」

あちこちで爆発音が聞こえると言うのに、
ため息と、腑抜けた言葉を吐いてしまうのは仕方がない。

951Mii:2020/10/25(日) 04:23:23 ID:d9f/CHtQ
デイジー「――――あれ?貴方たち、どこかで会ったこと、あるような、ないような……」

少年「おおっ!さすが、放と…いや情報通なデイジーさんなだけのことはあるね!
   できればそこは『ある』と断言してほしかったけど」

デイジー「…放蕩って言おうとしたね!?子供だから大目に見るけど。
     …いや待った、子供に言われたからこそ憤慨するべきなのかな私は?」



少女「――――――――お願いが、あります」

少女が、真摯な表情でぺこりと一礼。



デイジー「…んん?どうしたの畏まって。言ってみて?」

基本、困った人は放っておけない性分のお姫様なもので。
気さくに話しかけ、気さくに提案に乗っていく。

少女「…私たち、この時の為に――ずっと、構えていたんです。
  『仲間』は決して多くはないけれど。おまけに一人一人は、弱いかも、だけど。
  頼られたからには、数年かけて――準備してきたんです。

  もちろん、招待されて、大会自体を、お祭り騒ぎを、そっと楽しんでいたっていう事実もある、けど。
  裏方として目立たないよう、そう、ひっそりと――」

デイジー「…え?え?な、なんの話?」

952Mii:2020/10/25(日) 04:26:39 ID:d9f/CHtQ
少年「デイジーさん。アンタを探してたんだよ、まさしく!
   運がいいのやら悪いのやら!…いや、きっといいに決まってる!
   さあ反撃の狼煙だ!…というわけで、協力してほしいんだ!

   こればっかりは、俺たちだけじゃどうにもならなかった!
   アンタがいないと、俺たち輝けないっぽい!」

デイジー「は、はあ?」

少女「…『こうなった時』は貴方を頼るよう、貴方の親友から――――





   そう、ピーチ姫から、託されました。ずっとずっと、前から。



   私たちに、チカラを貸して、くれますか?」

デイジー「――――っ!?」

953Mii:2020/12/08(火) 23:55:57 ID:vbzBgpp2
――神速が尽きようとも、状況が芳しくないことは承知の上で、走る。
――本物のロゼッタ引き連れ、ひとまずは会場に舞い戻ろうとする形で、ひた走る。

ルカリオ「…………」チラッ

――ただ。その、相方が、すこぶる奮わない。
――最初は、絶句。しばらくして、沈黙。…やがては、懺悔。

ルカリオの 全ステータスが やや下がった!▼

ロゼッタの 全ステータスが 大きく下がった!▼

――もちろん、OFF波動によって、私より強い干渉を受けてしまっている…というのは。
彼女の動きを縛り付ける理由の一つだ。断じて無視できるものではない。



――だが。それよりも遥かに深刻な問題が、まさに「転がっている」。



ロゼッタ「…………」グズッ

ルカリオ「……………………」

ロゼッタ「…………ごめんなさい」

ルカリオ「……………………」

ロゼッタ「…………ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい――」ポロポロ

954Mii:2020/12/08(火) 23:58:48 ID:vbzBgpp2
脚こそ動きを止めはしないが、ボロボロと泣き続けて、終いがない。
顔をくしゃくしゃにして泣き腫らして、ただただ懺悔の言葉を呟き続ける。

――――道のあちこちに佇む、「石化した」人々の姿を、目の当たりにして。


いくら私が、いやファイターたちが「責任を感じなくてもいい」と諭したところで、
きっと彼女には通らないだろう。胸が張り裂けそうなほど苦しんでいるに違いない。
ピーチ曰く、「半分といわず9割くらいが優しさでできている人物」らしいから。


ロゼッタ「私なんかが、大会に、来るんじゃ…なかったんです――っ!」タタタタッ

ルカリオ「――――いい加減に、やめておけ。自棄はそのくらいにしておくんだ」タタタタッ

ロゼッタ「自棄なんかじゃ。自棄なんかで、片付け、ちゃ――!」ポロポロ

ルカリオ「強盗に遭った人の金が悪事に利用されたとして、被害者を責める奴があるか!
     必要以上の自虐は却って自分を貶めるぞ!」

ロゼッタ「――――っ、で、も」ポロポロ

ルカリオ「『自分が必死に足掻けば、まだ助けられる未来がある』――それを自覚しろ!
     そして実践しろ!反省も後悔もその後でいい!」

ロゼッタ「――――は、い」ポロポロ

未だ、彼女は――泣き止まない。
固まった1人目を発見してしまったその時から、泣き止むことを知らない。

955Mii:2020/12/09(水) 00:02:33 ID:craZkK.E
ドッスン「ウッス!横移動で様子を見に来てやったぞ!調子はどうだ!」ゴオォォ

バッタン「おおドッスンか!無理やり通路を通ろうとする敵は片っ端からペチャンコよ!それが俺たちの役目ってもンだろうよ!」

ドッスン「そうか――――だが、気ィ抜くなよ!噂だと、敵の親玉が繰り出した魔法とやらのせいで――
     一帯が大変なことになってるらしいぜ。

     なんでも――――――――――――しまいには、体が、石に、なっちまうらしい!」

バッタン「い、石に!?そいつはおでれぇた!怖いな!」

ドッスン「ああ、そんな魔法を食らったら、ひとたまりもないだろうな!」

バッタン「……俺たちには全く関係のない話だな!」

ドッスン「いや、『石でできている』と『石化した状態』が狭義で等しいかはわからんぞ?
    だいたいあれだ、ファイターの一人で――鋼タイプのルカリオって奴も、
    過去にその魔法に干渉された覚えがあるらしい!」

バッタン「なン――だと?」

ドッスン「俺たち、メタルマリオにはダメージを与えられないだろ?つまり『石<鋼』だ!
     その鋼が魔法の効果を無効化できないとなると、安心はできん!油断は禁物、しっかり対策しておこうぜ!」

バッタン「お、おうっ!…で、どう対策するんだ?」

ドッスン「それは石頭の俺には分からん。お前が考えるんだ!というかその答えを聞きに来た!さあ教えろ!」

バッタン「あっちゃああ!ずっこけるぜぇ!」バッターン!

956Mii:2020/12/09(水) 00:04:17 ID:craZkK.E
キノピオ「…………」

住民「    」カチコーン

自警団「    」カチコーン

観光客「     」カチコーン

キノピオ「…………ふええ、どう、しよう…」グズッ

キノピオ「…………………………………………」

キノピオ「…………僕たちも、なにか、やるんだ」

キノピオ「…そ、そうだそうだ!ただ逃げ惑うだけなんて、もう嫌だ!」

キノピオ「で、でも…一部鍛え上げているキノピオ除いて、所詮僕たちの力なんて――」

キノピオ「…………………………………………っ!!
     なにも、皆さんは、死んじゃったわけじゃない!助けを待ってるだけなんだ!
     その願いをかなえるためにも、僕たちで運ぶくらいはできるはずっ!
     巻き添えを食らわないところまで、安全地帯まで――退避させるんだ!」

キノピオ「そ、そうだよっ!持ち運び走力ならそれなりに自信があるもん!
     戦って勝つことだけがすべてじゃない!
     マリオさんたちが憂いなく思う存分戦えるようにするというのも
     立派な仕事の…助け合いの一つだよ!塵も積もれば山となるっ!」

957Mii:2020/12/09(水) 00:05:35 ID:craZkK.E
キノピオ「よ、よーし。じゃあ、怪我が浅いキノピオは…勇気を出して!
    逃げ遅れて石になっちゃった人たちを、安全地帯まで、避難場所まで運ぶよー!

    避難経路、把握した?防災マップ、しっかり持った!?
    回復アイテムがあればなお良し!

    無理だけはしないように!自分の命、大切にしてね!」

キノピオ「で、でも、避難場所でも石になっている人が続出していたら――――
     僕、もう立ち直れない、かも――――」

キノピオ「――――――――――――――――今はそんなことは考えないっ!
    やるぞー!」

キノピオ「「「「お、おーーー!」」」」タッタッタッ









キノピオたちの 全ステータスが 凄く下がっている!▼

キノピオ((((か、体が重いぃーーーー!!))))

958Mii:2020/12/09(水) 00:08:47 ID:craZkK.E
リンク「はああぁっ!!まだまだぁっ!…どうしたぁピット、流石に疲れてきたか!
   なんだったら敵の掃討は俺に全部任せちゃってもいいぜ!」ブンッ!

ピット「はぁ、はぁっ…魅力的な、提案、だなあっ!でも、あいにくまだまだ頑張れるよ!
   えいっ!やあっ!とぉっ!」ガンッ!

パルテナ「ぐぐ…………すいません、正直私、2人のあとを単について行ってるだけですね…」タタタッ

ピット「そんなことありませんって!パルテナ様をお守りできて光栄です!
   パルテナ様がいるだけで僕にとっては百人力ですよ!」タタッ

パルテナ「まあ、漢らしい♪さすがピットですね、それではもうちょっとお願い――」







ぴしり。






パルテナ「…………あら?」ゾワッ

パルテナ「………………………………」

959Mii:2020/12/09(水) 00:14:56 ID:craZkK.E
パルテナ「……………………ねえ、ピット」ピタッ

ピット「…あ、ちょ、ちょっとまずい!ゴブリンが湧き出してきたっ!
   すいません!後にしていただけないでしょうかパルテナ様!今、頑張って敵をなぎ倒している最中なのでっ!
   ご安心ください!パルテナ様には指一本触れさせませんよ!」ガンッ!


パルテナ「実はですね、私。お姫様抱っこっていうものに憧れているんですよ。
     乙女として仕方がありませんよねー。年齢考えろとか禁句ですよ禁句」


ピット「……………はい?」

パルテナ「まあ、ただ。それだと、両手が塞がって、酷く相手を束縛すると思うんですよ。
     緊急事態まっただ中で、そこまでお荷物になるのはどうなのかなぁと。
     というわけで、妥協して…おんぶで運ばれるのも大目に見るべきと考えます」

ピット「お、仰っている意味がよく――」

パルテナ「と、いうわけで。限界一杯の『飛翔の奇跡』、今、掛けておきますね」パアアアアアアアアアァァ

ピット「ふわっ――!?力がみなぎって――ですから、どういうことですか一体全体!?
   せっかくの奇跡の力、ひとつだけにつぎ込むのは流石に勿体ない、ん、じゃ――――」






パルテナの 石化が 始まっている!▼

960Mii:2020/12/09(水) 00:19:32 ID:craZkK.E
リンク「…なっ―――早、過ぎるだろ!?」

パルテナ「残念ながら――どうやらタイムリミットみたいです。
      ――もう、動くこともできません。してやられましたー」

ピット「え、な」ガクガク

パルテナ「身長差のせいでピットに背負われても引き摺られそうですが、不可抗力ですから気には留めません。
     でも、なるべくなら飛翔して回避してくださいね?大事に扱われると、きっと私がちょっと喜びます」

ピット「そ、そんなこと、言ってる、ひま、なんて」

パルテナ「そんな顔しないでください、ピット。幸か不幸か、石化には慣れてますから…なーんちゃって!

     ――みなさんを。ピットを。信じていますから」

ピット「あ、ああ、あああ…………!」ガクガク

パルテナ「――ちゃちゃっと私を助けてください、宜しくお願いします。
     希望を捨てないで、前を向いて――」

ピット「――――っ!――――っ!!」


パルテナ(ニコッ)


パルテナが 完全に 石になった!▼

パルテナ「」

961Mii:2020/12/09(水) 00:22:30 ID:craZkK.E
リンク「……………………」

ピット「……………………絶対、お助け、します、から」グズッ

リンク「…泣くな、ピット。敵の思うつぼだぞ!」

ピット「――――泣いてなんかないやい!」

リンク「そっか…なら、いい。俺が背負おうか?正直きついだろ?」

ピット「…いい。僕が、運ぶ」ヒョイッ

パルテナ「」



ピット「――――――――タブー、絶対に――――許さない――――!」

リンク「全く…だな!」



「…………まさか、な」

「こ、これは…僕としても――流石に想定は――」



リンク「…その声は――――って、おいぃ!?
    なんだよその背負ってる2人…いや3人は!?」

962Mii:2020/12/09(水) 00:25:17 ID:craZkK.E
住人「」

住人が 石になっている!▼


ルキナ「」

ルキナが 石になっている!▼


ルフレ「」

ルフレが 石になっている!▼


マルス「…笑ってくれ。気付いた時には手遅れ、一般人を助けられなかった。
    芋ヅル式に、2人もたちまち弱って――――」

アイク「ふとした瞬間に体が強張って、もう…なんとも、ならなかった――
   俺たちは…無力だ――――っ!」

ルキナ「」

ルフレ「」



リンク「――――――――貸せよ」

マルス「…え?い、いや、もう君の負担も大きくなっていて――」

963Mii:2020/12/09(水) 00:27:49 ID:craZkK.E
リンク「黙って貸せって言ってるんだよ!」ガンッ!

マルス「わっ…と、と!?」

リンク「石像2人分、背負うくらいでちょうどいいハンデだぜ。
    …よし、テキトーに紐で縛って背中に固定してっと。
    こんなもんか。扱い雑で悪いな!見逃してくれ!」ギュッ!

アイク「ご、強引な奴だな――!壊してくれるなよ?」

リンク「あったりまえだ。お前ら2人は反省しろ!猛省しろ!
    ルキナとルフレに、何を思ってこんなひっでぇ、絶望の顔をさせた!
    もうちょっとやる気みせろ!」

アイク「…っぐう――――」

マルス「……返す言葉も、ないね。2人の痙攣した泣き顔は、一生僕の脳裏に刻まれていくよ」

リンク「もういい。…俺も言いすぎた、悪い。
    ――とにかく余裕がねえや、お前らは固まりはしないという前提は
    流石に死守してもらうぞ。他の場所の救援に向かってくれ。

    …俺は今から、暴れるわ。巻き添え食らうんじゃ、ねぇぞ」

アイク「――――!」ビリッ

マルス「――――ああ、頼もしいこと、この上ない。
    よろしく、頼んだよ、誇り高き勇者」

リンク「ハッ!言ってろ!」

964Mii:2020/12/09(水) 00:30:04 ID:craZkK.E
ピット「――――僕はまだリンクに付いてくよ。
    パルテナ様もそれを考慮しての、飛翔の軌跡だと、思う」

パルテナ「」

ピット「…うん、きっとそうだ。だから、置いてくなんて言わないでよ」

リンク「りょーかい!ヤバイと思ったら上空に逃げろよ、
    1秒後には大地が更地になってるかもしれないからなぁ!!!」

ピット「が、合点承知の助!」



マルス「…そういえば、気が動転していたよ。
    ルキナとルフレの石化のこと、心苦しいが司令部に伝えなければ――

    ――こちら、マルス。辛いお知らせだ。
    ルフレとルキナが、耐久限界で――――石化、した。戦闘不能だ。
    リンク達と合流したはいいものの、パルテナまで―――」

トゥーンゼルダ『なんだ、と!?……………』

965Mii:2020/12/09(水) 00:31:36 ID:craZkK.E
マルス「信じたくないのは嫌というほどわかるけれど――」



トゥーンゼルダ『い、や。…その前に、聞きたい、ことが、あるんだ』







マルス「…え?聞きたい、ことだって?一体なんだい――」













トゥーンゼルダ『――――お前たちは、『本物のマルスたち』か?』

マルス「……………………どういう、こと、だい?」

966Mii:2020/12/09(水) 00:33:12 ID:craZkK.E
〜少し時を、遡る〜



トゥーンゼルダ「――――どうする、なにが、できる――――
        運を天に任せるしか策がないのか――――!?」

トゥーンリンク「…情報を制限するよう仕向けたのは諸刃の剣なんだよね…
        敵に下手な情報提供はしなくて済むけど、
        敵にばらしても問題ないはずの、広めるべき情報伝達まで
        みんなが無意識のうちに避けよう避けようとしてる…?

        切られてる通信機が増えて来てるよ。いいの、これ…!?
        撃墜の程度とか制圧具合とか、分かんなくなってきた!」

トゥーンゼルダ「そんなこと、私に、言われて、も」

トゥーンリンク「あ、駄目!大丈夫、冗談冗談!だから意気消沈しないで!」



『――――――――』



ヒルダ「…あ!久しぶりに通信…届いてませんか?」

トゥーンリンク「…よし!噂をすれば!いいニュースでありますように!
         音量を上げて――――」

967Mii:2020/12/09(水) 00:37:45 ID:craZkK.E
ルフレ『こちら、ルフレです!ちょっとまずいことに!
   同時多発的に敵が出現して、第40区あたりで…
   マルス様とアイク様が分断されてしまいました!』

トゥーンリンク「バッドニュースかあ…」ガクッ

トゥーンゼルダ「それは大変だ!ルフレと…ルキナは、どのような状況だ!
         簡潔に説明してくれないだろうか!」

ルフレ『僕はアイク様と一緒に東側へ、ルキナはマルス様と一緒に西側へ!
    正直、僕はアイク様の戦闘の邪魔をしないよう、通路脇や広場の隅で縮こまっているので精一杯で…!

    それでも庇われる荷物なのは如何ともしがたく、
    ルキナもおそらく似たような状態に陥っているかと!』

トゥーンゼルダ「…そう、か」

トゥーンリンク「…………」

ルフレ『救援を呼んでもらうことは出来ないでしょうか!
   大変なのは百も承知なのですが――――!』

トゥーンゼルダ「わ、わかった。背に腹は代えられない。
         なんとか近くのファイターを――――」

968Mii:2020/12/09(水) 00:40:45 ID:craZkK.E
ヒルダ「…………トゥーンリンク?どうしたのですか、難しい顔をして。
    もちろん、状況は芳しくないのは当然なのですが」



トゥーンリンク「…………ねえ、ルフレ。








        きみ、やけに元気だね?」



ルフレ『な、なんだい藪から棒に』

トゥーンリンク「いや、僕やゼルダは割ときっついからさあ。
        声からも疲労感がありありと分かるっていうか。



        ……きみ、本当にルフレ?」



トゥーンゼルダ(……!?まさか、ギムレーとやらの成りすまし!?)ハッ!

969Mii:2020/12/09(水) 00:43:53 ID:craZkK.E
ルフレ『…ああ、ギムレーとのいざこざから疑われている、ということですか。
    なるほど、もっともですね。その疑われ方はとても傷付くけど…。
    ええと、ルフレ本人だという証拠を見せればいいですか?』

トゥーンゼルダ「証拠…?」



アイク『俺だ、アイクだぞ。確かにルフレと一緒にいるな。
    ドジ踏んで、マルスと別れることになってしまった。情けないぜ。

    ――おい、俺からの通信、無事に届いてるか?』

トゥーンゼルダ「…!?」

トゥーンリンク「……ありゃ!?」



アイク『お、よかったよかった。そんなわけだ。
   俺もいるからには信じてもらえるだろ、流石に。なにぶん敵が多くて多くて、なっ!』ズバッ!

トゥーンリンク「ご、ごめん!僕ったらとんでもない失礼なことを!」

アイク『いいってこった。それより急ぎ頼むぜ、
   ルフレの奴が手傷をズカズカ貰い始めてな』

ルフレ『あはは…………』

970Mii:2020/12/09(水) 00:45:49 ID:craZkK.E
トゥーンゼルダ「…………疑心暗鬼になって、悲しくなるな」フゥ



トゥーンゼルダ「…さて、それでは――――」











マルス『――こちら、マルス。辛いお知らせだ。
    ルフレとルキナが、耐久限界で――――石化、した。戦闘不能だ。
    リンク達と合流したはいいものの、パルテナまで―――』





――――時が、止まった。

971Mii:2020/12/09(水) 00:47:27 ID:craZkK.E
トゥーンゼルダの、唇が、強張る。





トゥーンゼルダ「なんだ、と!?……………」

マルス『信じたくないのは嫌というほどわかるけれど――』









トゥーンゼルダ「い、や。…その前に、聞きたい、ことが、あるんだ」

マルス『…え?聞きたい、ことだって?一体なんだい――』








トゥーンゼルダ「――――お前たちは、『本物のマルスたち』か?」

972以下、名無しが深夜にお送りします:2020/12/10(木) 23:34:36 ID:bd04jhks
思う存分、時間を引き伸ばされた感覚。汗が、滴り落ちる。

声をかけることも出来ず、トゥーンリンクが青ざめた様子で…私を見ている。
ヒルダ姫も、似たような表情。見ていられない。

…それでもきっと、私ほどの青ざめ方じゃ、ないでしょう。



――――少なくとも、どちらかが、ニセモノ。

――――下手をすると、こちらの攪乱のため両方ニセモノ、なんていう…
――――悪趣味極まりない結末が待ち構えている、かも、しれない。

何の因果か、私が指示を出さなければならない。

トゥーンゼルダ「……すまない、マルス。
         たった今、その『ルフレ』からの救援要請が入っていたものでな」

マルス『…なっ!?』

トゥーンゼルダ「おまけに、本人である証拠として、アイクの通信まで寄越してきた。
         …はは、笑えて来る」

マルス『…………!!』

状況を察したのか、マルスが絶句するのが通信機越しにもわかった。
なんだろう、この理不尽な境地。

973Mii:2020/12/10(木) 23:39:08 ID:bd04jhks
…どうなろうと、どのみち敵が仕掛けてきたことだけは確かなのだから、
あっさりネタ晴らししても敵に新情報を与えるわけじゃない。
そういう影響がないことだけが…なけなしの救い。

だが、私は既に、正常な思考を放棄しようとしている。



マルス『…わかった。僕たちこそ本人であると声高に叫びたい所ではあるけれど、
   冷静に証拠を示した方が賢明そうだ。
   
   こういった場合、本人しか知り得ない質問をしてもらうのが鉄板だろうか。
   さあ、手短に問いを投げ掛けてほしい――』



トゥーンゼルダ「…は、は」

マルス『……トゥーンゼルダ?』

トゥーンゼルダ「お前が本当に『マルス』で、戸惑っているのか。
        それとも『偽マルス』で、内心ほくそ笑んでいるのか。
        …もう、わからない。分からないんだ。
        重圧で、頭の中、ぐっちゃぐちゃで……わかんないよ」

マルス『…………』



トゥーンゼルダの 全ステータスが 下がっていく!▼

974Mii:2020/12/10(木) 23:44:43 ID:bd04jhks
トゥーンゼルダ「ルフレとルキナの戦闘力を考えれば、
        お前の言う通り、石化しているのも十分あり得る。
        でも、アイクの通信を聴かせてみせた『あちら』を、疑う理由が、見つからない。

        …疑ってみろ、もう…なんでもありだぞ?
        声色や口調をまんまと盗み出せるなら――
        本人しか知り得ない知識を盗み出せないと――どうして、言い切れる?

        お前が本人証明しようとしてみせたところで、私は全く判断に活かせない。
        むしろ…さらに思考のドツボに嵌るんだ」

アイク『まどろっこしいな!そんな変なこと考えるなよ、トゥーンゼルダ!
    どう考えても、ホラを吹いてる不届き千万なギムレーの野郎は…そのマルスだ!』


切れていないままの通信で聴き耳立てていたか、反対側からの主張が届いてきた。
その声は正義からくる憤慨か、それとも悪意からくる焚き付けか…。


マルス『……そうか!もしやこれは…ロゼッタとの、合わせ技――っ!

   ロゼッタの分身体の何人かをあらかじめファイターたちに化かしておいて、
   あとは大会期間中に観察を重ねて、癖や口調を学習させておけば――
   それこそ、大会の映像なんて幾らでも放送媒体がはびこっているし――!

   うん、なんだか信憑性があるような気がしてきたよ!
   ひとつ言えることは…ギムレーは本当に悪趣味なんだね――――
   時代は違えど、同郷の者として恥ずかしいよ…』

アイク『お、負け犬の遠吠えか?偽者め。マルスを騙るんじゃない』

975Mii:2020/12/10(木) 23:47:35 ID:bd04jhks
トゥーンゼルダ(ピクッ)

――――的を得ている、痛快な解釈の、気がする。
――――だが、待て。

アイク『…それにしても、まんまと自供したな。
   あいにく、そんな事は考えもしなかったぞ、俺は。
   なんせ、俺はただのアイクだからな。
   日頃からそんなセコイことを考えている奴じゃなきゃ、発せられない台詞だ』

マルス『言うに及んで――――なんなら、こちらだって本物のアイクを――』

アイク『それこそ、お前たちがニセモノだからいくらでも用意できるんだろ?』

トゥーンゼルダ(……………………)ウプッ



――――たす、けて。

――――その場に、座り込んで、何も考えられなくなってしまう。
――――慌てふためいて、トゥーンリンクとヒルダ姫が駆けよってくる。
   
アイク『まあ、俺は司令部を信じるからな。
   両方に戦力を割くなんて到底無理な話だろ?
   どっちを助けてくれるのか、司令部に任せるさ』

ルフレ『よろしく、お願いします』

マルス『……………………トゥーン、ゼルダ。僕は――――』

976Mii:2020/12/10(木) 23:49:52 ID:bd04jhks
死んだ目になり、トゥーンリンクとヒルダ姫を振り払って虚ろに立ち上がり。
目を閉じて、考えること、10秒。






――――これ以上は、時間を、浪費できない。





マルスの声の方が、敵だ。

…そう決めつけて、楽になりたいだけなのかも、しれない。




トゥーンゼルダ「――――――――――――――――
        今すぐ、アイクとルフレの救援を実行する!
        マルスの方は、味方陣営を撤退させるぞ、無駄な争いは避けろ!」



不可逆になるかもしれない、最悪を招くかもしれない、その一歩を踏み出し――――

977Mii:2020/12/10(木) 23:53:48 ID:bd04jhks
ルフレ『あ、ありがとうござい――――』

アイク『そう来なくっちゃあ――――』

マルス『……悔しいよ。それが、君の、判断――――なんだね――――』

トゥーンゼルダ(私は、これで――――――――)














《第47区、偽アイクと偽ルフレの奸計により、キノコ王国軍命令系統の攪乱を開始!》    
 
トゥーンゼルダ「え」

《第32区、石化したルフレ、ルキナ、パルテナを救護しつつ、リンク、ピット激戦中!》
《激戦により複数の城壁が崩壊! リンク、魔力開放により驀進(ばくしん)中!2000体撃破!》
《リンク、緩やかに体力減少! ピット、大苦戦!》

トゥーンゼルダ「!?」ガバッ!

978Mii:2020/12/11(金) 00:00:29 ID:5vzh9i8A
トゥーンリンク「ど、どうしたの!?」ギョッ

トゥーンゼルダ「い、いまの情報は真ですか、キノピオ!?」

キノピオ「え?な、なんのことですか?」

キノピオ「お、おっかないですよ、トゥーンゼルダさん!さっきから…!
    
    時たま…誰も進言していないのに、まるで天の声でも聴いたかのように
    情報を得たり一人勝手に納得したり、ってことがありますよね?一体何が?」

トゥーンゼルダ「一体何が…って、そんなことがあったのですか!?…あ、いや、あった…のか!?」

アイク『おい、何を急に意味不明な会話をしているんだ。
   早く援軍を!頼むから!本当にやばいんだ。仲間だろう、一致団結して――――』

トゥーンゼルダ「…………」


《――――いい加減に――――――――》

トゥーンゼルダ「……………………っ!?」ビリッ





《いい加減にしなさいよ、このド外道勢力があああぁぁぁ――――――――っ!!》

トゥーンゼルダ「脳に響くぅー!?」キイイイイイイイィィィィ――――ン

979Mii:2020/12/11(金) 00:06:49 ID:5vzh9i8A
〜『キノコ王国の』森の奥深く〜



ラナ「いい加減にしなさいよ、このド外道勢力があああぁぁぁ――――――――っ!!」パアアァァァ!!



ラナ「ゼェ、ゼェ、ゼェ――――無駄に、魔力、使っちゃったぁ…………!
  し、死ぬぅ……魔女裁判に掛けられたわけでもないのに……!
  こんな可愛い女の子が死ぬよ…リンクに告白も出来ずに…」フラッ

ラナ「でも、いい加減、アッタマ、来たぁ…………!ブチ切れたぁ…っ!!
  そこまでチート攪乱使うって言うんなら、私だって――――
  『世界の監視者』として、命削ってリンクの…
  …じゃなかった、キノコ王国のチートアシスト、してあげるんだから、ね……!

  シアッ!魔力回復薬、お代わりっ!」

シア「…………は、はひ、どう、ぞ……」ヨロッ・・・

ラナ「ごくごく…プハァ!…よっし、あと15分働けます!キラッ☆
   ほら、あなたも魔力回復薬とっとと飲み干して!ここが正念場でしょうが!

  もっとキビキビ動いてよ、ねえ!?
  人が動くと書いて働くと読むんだよ!シアさん!」パアアアアアア!!

シア「…イ、イヤ、アノ、ソノ…シアチャン、貴方ニサンザン魔力送リツヅケテ、
  ヒカラビソウ、ナンデスケレドモ…………」パアアアアア!!

980Mii:2020/12/11(金) 00:09:54 ID:5vzh9i8A
ラナ「ああ!?事件の大元を辿れば、どっかの誰かが
  いろいろ仕出かしたことが今回の騒動の始まりでしょうが!
  責任とろうって気はないの!?有るよね!?有れ!」クワッ!

シア「…ソノトオリデゴザイマス。ナンデモアリマセン」ブルブル

ラナ「…………まったくもう!だいいち、魔法を行使しているこっちよりは…
  ずっとずっと、マシ、でしょう、が!」パアアアアアア!!

シア「だって、私は魔導書の適性あんまりないし…」

ラナ「そうだよね、だから私が孤軍奮闘するしかないんだよね。
   あーあ、鼻血は出るし、嘔吐はするし、いいことないなあ…さいってー」ゴホッ・・・

シア「…………」


ラナ「――――――――――――――――


   『Gospel Of Grimoire《魔導福音》――――――――』


   ――――――――――――――――――――――――――――」ビリッ!!


舞い散る、大量の紙、紙、紙。
光となって消えてはいくが、『ナニカ』が刻まれ、それが彼女の脳に焼き付く。
よろけふらつき、血を吐きそうになる頻度も、無視できないほどになってきた。

981Mii:2020/12/11(金) 00:13:40 ID:5vzh9i8A
――――魔導福音。

魔力が存分に編み込まれた白紙の魔導書のページを、惜しげもなくまき散らし――――
その瞬間瞬間に、監視先にて発生した事項・事件を。達成したことを。
天啓、すなわち神の意思で書き記させる『監視者』としての権能。

それを、ひたすらに、ただひたすらに使い倒しては、
藁をもすがる思いで――信じてくれたらと、匿名のテレパシーで投げていく。



シア「…馬鹿な子。
  そんなにリンクを助けたいのなら、直接助ければよかったのに」パアアアアア!!






ラナ「誰のせいだあああああぁぁぁぁぁ――――っ!」ウガアアアァァ!!

シア「…え、私のせいか!?」

ラナ「あー、はいはい、シアはいいよねえ!よかったよねえ!
  敵としてとはいえリンクと対峙することは果たせて!
  むしろ、シアこそ…リンクの目の前でいい所見せるだけで仲良くなれたりしてねえ!
  悪人がちょっといいことをすると凄く褒められるっていうテンプレで!」

シア「」

982Mii:2020/12/11(金) 00:18:35 ID:5vzh9i8A
ラナ「私はねぇ!シアがハイラル城を急襲したとき――――
  シアの急進策に呆れ、咎めたくなりながらも、気を取り直して
  『仕方がない、じゃあリンクの味方としてお近づきになろーっと!』って考えて、
  フィローネの森で最低限の食い止め戦をこなしつつ――

  シア対策をリンクにどう伝授しようかとか、
  リンクとのコンビネーションとか、
  あとは印象をよくするようなチャーミングな仕草とか、
  服のコーデとか…いろいろと考えてたんだよ!」

シア「何それあざとい!」

ラナ「そうしたら、どうなったと思う?

  ちょっと、ワンポイントのお化粧直しをしている…たった10分の間に、
  リンクが一瞬で付近一帯の敵を殲滅して、通り過ぎて行ったんだよ!?
  扉を往復したら、疲労困憊気味だったはずの味方が万歳三唱する光景が、
  目に飛び込んできた私の気持ち、わかる!?わからいでか!

  おかげで、リンクを追いかけることすらできず…気付いたら全部終わってたんだよ、戦争っ!
  私、リンクと赤の他人のままなんですけどっ!

  今リンクに会っても、『好きの反対は無関心』を体現するだけだよ!?
  いや、下手をすると…シアっていう恥さらしの半身として認識が固定されかねない!
  そんなの反対!断固反対なんだからっ!

  ハイラル王国と一戦交えるんなら、せめてもうちょっと粘ってよ!
  ハイラル城を数日は防衛戦に徹させるくらいは頑張ってよ!役立たず!」

シア「恥さらしって言うなあ!善の心、何処に行った!?」

983Mii:2020/12/11(金) 00:23:15 ID:5vzh9i8A
ラナ「そんなわけでっ!影の活躍をして、下地を作ってからじゃないと、
  私、リンクに会いたくないの!そのくらいの乙女心わかってよ!
  まあ、この事件が起きなかったら、本当に1観客人で終わってただろうけど!
  リンクの戦いを見て歓声を上げるだけのっ!ああでも本当にカッコよかったなあ…!

  それとも、際どい衣装を恥ずかしげもなく着て…盗撮までして…
  CEROを無駄に上げてる人には、そんな可憐さを読み取るのは難しい?」

シア「べべべ別にCERO上げてないし!
  CERO:Bくらい割とゼルダの伝説シリーズ中にあるし!」





ラナ「各国年齢制限あり+『セクシャル』分類はゼルダ無双が初めてなんだけどぉ?」ユラァ

シア「ごめんなさい」

984Mii:2020/12/11(金) 00:26:20 ID:5vzh9i8A
ラナ「と、に、か、くっ!

  『陰で俺たちを助けてくれた恩人は君だったのかあ!』ってリンクに褒めてもらって!
  ととととりあえず文通くらいから始められたらなあと思うラナちゃんでした!」

シア「乙女かっ!……………………あ」

ラナ「拍子抜けする暇なんてないよ?まだまだこれから!
   さあさあ、次の『魔導福音』のタイミングまでもう少し――――」







シア「らな ごめん。
  疲労と、注意力散漫で、魔法陣への魔力展開ミスって、今までの会話…

  てれぱしーさきに つつぬけに なってたわ」





ラナ「………………………………………………」

シア「てへ、ぺろ…?」

ラナ「嫌ああああぁぁぁ!? ちょっとおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ――――!?」

985Mii:2020/12/11(金) 00:33:10 ID:5vzh9i8A
〜司令部〜

《嫌ああああぁぁぁ!? ちょっとおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ――――!?》プツッ



トゥーンゼルダ「…………」

トゥーンゼルダ「…………あ、うん。通信機の交信、フルオープンにして…
         アイク、救援を呼ぶとして…今…具体的に第何区にいる?」

アイク『ああ、どれどれ…お、第47区だな、よろしく頼んだ――――』





トゥーンゼルダ「皆に次ぐ!耳の穴かっぽじって聴いてくれ!
         第47区にアイクとルフレの姿を騙った敵あり!可能ならばとっ捕まえろ!!
         『大きい方の』リンクが女誑しだったおかげで道が開けた!」

トゥーンゼルダ「なんで!?」ガーン!

アイク『』

ルフレ『』

マルス『え、ええ?う、嬉しいけれど…どういう風の吹き回しかな!?』

リンク『聞き捨てならない俺の悪評が聴こえてきたんですけどぉ!?』

986Mii:2020/12/11(金) 00:35:11 ID:5vzh9i8A
>>985 訂正

《嫌ああああぁぁぁ!? ちょっとおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ――――!?》プツッ



トゥーンゼルダ「…………」

トゥーンゼルダ「…………あ、うん。通信機の交信、フルオープンにして…
         アイク、救援を呼ぶとして…今…具体的に第何区にいる?」

アイク『ああ、どれどれ…お、第47区だな、よろしく頼んだ――――』





トゥーンゼルダ「皆に次ぐ!耳の穴かっぽじって聴いてくれ!
         第47区にアイクとルフレの姿を騙った敵あり!可能ならばとっ捕まえろ!!
         『大きい方の』リンクが女誑しだったおかげで道が開けた!」

トゥーンリンク「なんで!?」ガーン!

アイク『』

ルフレ『』

マルス『え、ええ?う、嬉しいけれど…どういう風の吹き回しかな!?』

リンク『聞き捨てならない俺の悪評が聴こえてきたんですけどぉ!?』

987Mii:2020/12/12(土) 18:15:42 ID:9jbC8ECY
〜第28区 王国指定避難所〜

ロゼッタ「――――――――――――――――」



見るんじゃ、なかった。
通りがかった避難場所に、胸騒ぎがして寄り道してみれば―――
自らも苦痛に顔を歪ませつつも、えっさほいさと運ぶキノピオたちと…

次から次へと担ぎ込まれてくる、石像の、山、山、山。

取り返しのつかないことを、してしまった愚かさよ。
目の前が真っ暗になって、泣き崩れて、しまう。


ロゼッタ「――――――――っ!」ポロポロ


周りから、「なんてことをしてくれた」という非難の目が飛んで…こない。

キノピオ「ロゼッタさん!救援に来てくれたのですね!助かります!私たちだけじゃ、どうにもこうにも人手不足で…!」

キノピオ「よーし、これでこの避難場所は安泰だあ!」オー!

無理やりにでも、明るく振る舞うキノピオたち。
大なり小なり怪我を負いながらもなんとか石化には至らず、手当を受けている人たち。

――――まだ、私のことを罵倒し詰ってくれたほうが、救われたかもしれないのに。
――――身の置き処がどこにもなくて、ただただ情けなくて――――!

988Mii:2020/12/12(土) 18:20:50 ID:9jbC8ECY
煤けた汚れや血の滲みがある人たちが、私を目に留めたのか駆け寄ってきてくれますが…!

子供「どうしたのお姉さん、どこか痛いの?…痛いの痛いの、飛んでけー!」

観光客「何を泣いてるんだ、元気出せよー!いろいろと戦闘について任せっきりで申し訳ないけどさ!」

ロゼッタ「ち、違うんです、そうじゃなく、て!
    そんなに、気遣ってもらう資格なんて、サラサラ、なく、て……!
    私は――――私の、せい、で――っ!わた、しが、ぜんっぶ…!」ポロポロ



「大丈夫です、みんな助かりますよ。助けて、みせます」



突然、落ち着いて投げ掛けられる、あどけない声。

ロゼッタ「――――――――!?」クルッ

泣き腫らしながら振り返ってみれば、そこにいたのは…銀髪の、1人の少年。



少年「『他力本願で、無茶ぶりで、申し訳ありませんが。
  とにかく、苦しんでいる人たちを、事前に分かっている避難ポイントに!
  一刻も早く、固めてほしいんです!集めてあげてほしいんです!』……

  これが、僕たちがあちこちで説いて回ってる、お願いです。
  あとは、僕たちで、なんとかします!」

989Mii:2020/12/12(土) 18:25:05 ID:9jbC8ECY
ロゼッタ「――――あなたは?」

少年は、目を見開いた私の問いに答えることなく、話を進めます。



少年「僕たちの、蓄積してきた…実験分析データによれば。
  完全に石化してから、後戻りできないほど魂が不可逆的に潰されて、
  精神的な『死』を迎えるまでの猶予時間が、約4時間。

  完全に石化してから、治癒治療次第で十分に元の健康状態までの復活が…
  叶うまでの猶予時間が、約2時間。

  ――余裕ぶってはいられないけれど、間に合わないわけじゃ、ない。

  僕たちのミッションは、99.99%の人々の石化を2時間以内に解き続けることと――
  どうしても漏れてしまった人についても、最低4時間以内に石化を解くこと!
  
  僕たちの任務であり、責任であり――――ピーチ姫の、御渇望ですから。
  潤沢な予算、訓練所を使わせて頂いただけのことはありますからね!」

ロゼッタ「な――――」



――――そのとき。けたたましい着地音とともに、見慣れた麗らかなお姫様が――

デイジー「あらよーっと!!」ドッズゥゥゥン!!

ロゼッタ「……っ!デイジー姫!」

990Mii:2020/12/12(土) 18:27:56 ID:9jbC8ECY
デイジー「さっき振りだねロゼッタ!ってなんで泣いてんの!?酷い顔になってる!

    …あ、やっぱいいや。私が馬鹿だった。答えなくて、いいよ」



――見れば、両脇に……少年少女、1人ずつ、抱えています。
――救出した子供たちでしょう、か?

デイジー姫は、2人をパッと離したあと…優しい表情で、私を抱きしめて…
背中をよしよしと撫でてくれました。

…不謹慎にも、ほっとしてしまいます。



少年「…うん、一番石化時間が長い人で、推測1時間30分。ぎりぎりセーフだね。
  もうちょっと早く来てほしかったけれど、間に合ってくれてありがとう」

少年「…おい、こちとらデイジーさんを見つけるのに苦労したんだぞ!
  一時はもう駄目かと思ったぜ。とにかく、結果良ければすべてよし、だ!」

少女「言い合ってる暇じゃないわ、早く精神準備をして!」



ロゼッタ「――――私、取り返しのつかない、ことをしてしまいました」

ルカリオ「まだ言うか、ロゼッタ……はあ。
    それで、デイジー。深刻さがあまり感じられないその表情、もしや――」

991Mii:2020/12/12(土) 18:33:33 ID:9jbC8ECY
デイジー「…うん!ちょっとね!ピーチの用意周到さに恐れおののいてるところ!
     よっしゃ!ロゼッタを戦線復帰させるためにも、とっととやっちゃうぞ!
     準備はいーい、2人ともっ!もしホラ吹いてたんなら、どつくよ!」ダッ!

少年「あたぼうよ!」グッ!

少女「いつでも行けるわ!」グッ!

そう聴くや否や。デイジー姫が、思い切った行動に出ます。
片手ずつ、2人の背中に押しやって――――

――この構え、既視感が…!!





デイジー「――――久しぶりのぉ!

     『花々の祝福《フラワーギフト》』、発動っ!」ゴオオォォォ!

ロゼッタ(――――やはり!)



眩く光る、デイジー姫の手――――!

少年「……せ、背中焼けるっ!…あり?そうでも、ない?」ゴゴゴ・・・

少女「…あったかくて、気持ちいいわ――凄い力…!本当だったんだ…!」ゴゴゴ・・・

992Mii:2020/12/12(土) 18:38:48 ID:9jbC8ECY
2人は、背中から感じる、強烈な光、熱を。そして、大量のFPを――――!
最高の恍惚感と共に、受け止めていることでしょう。
かつての私は、最高の心地よさに、自然と目を瞑り、身を委ねていったものでした――

デイジー「アンタ達の限界一杯まで…FP、受け取れやぁ――!」ゴオオォォォ!



少年「―――さぁって!満腹満腹!時間は有限、勇気は無限!
  他力本願のFP…いやPPを糧に、やってみようじゃ、あーりませんか!」

少女「何年もの特訓の成果、見せ付けてあげるんだからっ!
  他の避難場所も、まだまだ後が控えてるんだからねっ!」


――――彼らは、一体、何者。


私の心中を察したかの如く、3人目の彼が、ようやく答えを返します。
少しずれていた眼鏡を、スッと直しながら。






ロイド「申し遅れました。僕の名は、ロイドと言います。頭脳ならそう簡単には負けませんよ。
   残念ながら非力だし、超能力なんて使えないんですけどね。『2人と違って』。

   そして、彼らは、僕の大切な友達の――――」


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