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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」

727Mii:2020/03/19(木) 00:37:17 ID:NXmrz8H2
老婦「元々趣味で作り貯めしておいて、眠ってたのを持ってきただけさね。
  どうか貰っておいておくれ、せっかくあげたいと思ったんだから。

  それとも、いつでも渡せるようにずーっと手提げの中に入れていた…
  老い先短い、しがない老人の気持ちを無駄にするのかい?」

リンク「…それは卑怯っすよ、ううう…。俺にはクリティカルヒットだよ…。
   老い先短いとか冗談でも言わないでくれよ…。  

   …あー、婆ちゃん、編み物大好きだからなー。家の中、完成品で埋もれてたよね。
   そういうことなら、有難く貰っておきまーす。これから寒くなるから嬉しいや。
   返却要請は受け付けられないので、ご了承くださーい。どうも、それじゃ!」

老婦「傷んで来たら、また作ってあげるからねー」ヒラヒラ

リンク「傷む前提かい!…いやまあ、巻きながら剣を振ったりしたら
   速攻で傷みそうではあるけれど。むしろ何かの拍子にバッサリ行きそうだけど。

   できる限り大事に使わせて頂きまーす!」ビシッ



リンク「……………………あったかいな」ポカポカ

728Mii:2020/03/19(木) 00:40:19 ID:NXmrz8H2
パン屋「り、リンクさん!」

リンク「んー?」クルリ

パン屋「あの!その!…………し、新作のパンが焼けたんです!
    おひとつ、持って行ってください!焼き立てです!」

リンク「おー、美味しそうだな!でもそれ、売り物…………」

パン屋「持って行ってください!」ズイッ

リンク「だからそれ、売り物…………」

パン屋「持って行ってください!!」ズイズイッ

リンク「俺だけ贔屓してもらうってのも…………」

パン屋「持って行ってください!!!」ズイズイズイッ

リンク「え、これって『貰う』って言わないとループするタイプの選択肢?」

パン屋「う、ううう……………」

リンク「わ、わかったわかった、貰う貰う」ヒョイ

パン屋「…………!」パアアアア

パン屋「か、感想お待ちしてますね!――――キャーッ!」タタタッ

リンク「お、おう…?」

729Mii:2020/03/19(木) 00:45:06 ID:NXmrz8H2
男「リンク…ここを通るたびに看板娘といちゃつきやがって。リア充め、爆発しろ」

男「そうだそうだ!俺たちのオアシスにズカズカ踏み込んでくるんじゃねぇ。
 姫様方とキャッキャウフフしとけよ!」

リンク「って、またお前らかよ、懲りないなあ。何がしたいんだよ。
   お姫様と相思相愛?…どこの勇者の話をしているんだお前は。

   あの子は店主なんだから看板娘ってのはおかしいって前から言ってるだろ?
   ついでに、爆弾ならしょっちゅう爆発させてるとも言ってるぞ!

   それに、いちゃついてるとか何を言ってるのかわからないけど、
   パンをこうやって貰ったのは初めてだぞ」

男「なん……だと……」

男「…………一歩前進してしまった、だと…!
 俺たちがどれだけ勇気を振り絞ってあの子に話しかけているのか、知りもしないで…!
 ええい、その性根、今日という今日こそ叩き斬ってやる」ビシッ

男「頑張ってください兄貴!」





リンク「…木剣突き付けて俺に喧嘩を売る方が百万倍勇気が要ると思うんだけどなぁ」

730Mii:2020/03/19(木) 00:48:38 ID:NXmrz8H2
男「ぐだぐだ抜かすな!さあ、そこの広場で勝負だ!まさか逃げはしないよな!」

リンク「うわー、こわーい。逃げよーっと。お前の勝ちでいーよー」テクテク

男「えっ」

男「えっ」

リンク「これでお前の初勝利じゃん、よかったなー。
   百連敗くらい?したけど、終わりよければすべてよしだなー」

男「そそそ、そりゃないぜリンク!いやリンクさん!
 そのうち回転切り教えてくれるって約束だったじゃねーか!」

リンク「そういうことはしっかり覚えてるのな。
   でも、ちょっとマジで忙しくてですね。構ってられないんですよ…。また今度な!悪い!」タタタッ

男「……」ショボーン

男「……イテッ!?…な、なんだあ?…小冊子?」コツン



――初心者でもわかる回転切りの操作法――

リンク「簡単なマニュアル作っといた!ちょっとそれ読んで独学でやってみてくれ!
   ただしケガだけはするなよー!剣を握る時は、周囲の人や物にぶつからないことを確認だ!」タタタッ

男「うおおお、流石だぜ!ありがとな!!……でも、なんで『操作法』?」

731Mii:2020/03/19(木) 00:51:24 ID:NXmrz8H2




リンク「はっはっは、あんなに喜んでもらえるなんて、単純だなー。











    さってと。一切合財、俺たちで守ってみせますか!
    そのために、俺たちは今、ここにいるんだから――――」

732Mii:2020/03/19(木) 00:56:17 ID:NXmrz8H2
ウェンディ「へー、このアクセサリ、中々イカスじゃない。…どうかしら?」

ロイ「うーん、僕もこういった装飾品には疎いけど…よく似合ってると思うよ。
  あ、でも効果の方はまかせて。しっかり情報は集めてるから。

  えーっと、『セーフティーリング』…
  『防御・魔防・素早さの微強化と属性ダメージ無効化、状態異常・即死効果を受けない』だね。
  すごいよ!さすがウェンディ、お目が高い!いい選択なんじゃないかな!」

ウェンディ「いい事言ってくれるじゃないの!」

イギー「そうかぁ?アクセサリが可哀想じゃない?――イデッ!?」

ウェンディ「何かほざいた?」

イギー「なんでもありません」プシュー

ルドウィッグ「ふむ、それにしても、どの店も良いアイテムが揃っているな。
       いい加減、城の皆に土産として何を買ってやるか決めないといかんな…。
       できるだけ動きを束縛されずに、手頃な価格で良効果のものを…」

ロイ「だったら、ルドウィッグ。このリストが役立ったら嬉しいな。
  僕なりに、キノコ王国の装備品を、同系統の戦闘効果でグループ分けしてみたんだ」バサッ

ルドウィッグ「…うおぉ!?こいつは分かりやすいな!
       性能比較に、稀少性ランキングに、費用対効果!
      販売店舗の詳細や値崩れ状況まで載っているではないか!
      よ、よく調べ上げたな…!」ペラッ ペラッ

733Mii:2020/03/19(木) 01:04:37 ID:NXmrz8H2
ロイ「特に在庫状況と価格変動は気にするべきかな。
  大会期間も間もなく終了するから、売り抜けたい各店舗の思惑が絡み合って
  大きく価格変動が起きるはずだよ。目的のものを安く買い叩くチャンスだ。

  ただ、目がくらんで法外な価格で外れ品や劣化品を買わされる可能性もあるから、
  情報網を駆使しつつ…必要な物だけを必要な数だけ買う計画を事前に立てた方がいい」

レミー「最近のロイってマジで戦略面で冴えてるなー!見習いたいよ。
   
   ところで、ロイはどの装備に興味を惹かれた?
   オレはバトルのたびに6回までダメージを無効化してくれる
   ガードシェルDXが超欲しいんだけど…2,400,000コインか。
   一瞬2,400コインに見えちゃったけど、気のせいか。たっかいなあ、やっぱり」

ロイ「そんな異常性能なら激安だと思うけれどね…そうだね、僕が気になってるのは…
  1日1万歩歩くだけでとんでもない威力を発揮するようになる『テクテクブーツ』かな。

  …いやほんと、なんだよこれ…。どういう原理?たったの1万歩で?えええ…。
  僕の知り得る神器たちより踏みつけの威力が出るみたいなんだけど…
  世界は広いなあ…………キノコ王国の技術?は凄いなあ…」フゥ



モートン「…………?ジンギ?何ソレ?」

ラリー「尊いものさ、きっと」

734Mii:2020/03/19(木) 01:07:55 ID:NXmrz8H2
クッパJr.「ねえパパ、もう面倒だから、店の商品全部買い取って、後で分配決めようよ。
     時間がいくらあっても足りないよ」

クッパ「それでは駄目だぞ、Jr.よ。やりくりはとても大事なのだ。
   
   それはもちろん、ワガハイのお金があればできないことではない。
   だがそれだと、使われず仕舞いのアイテムが大量に出る。
   そんな浪費ばかりではクッパ軍もじきに立ち行かなくなるのだ」

クッパJr.「この程度のお金で大げさじゃない?それにお店の人は商品が完売すれば大喜びでしょ?」

クッパ「塵も積もればなんとやら、なのだ。それに、我が帝国の懐が痛むだけではないぞ?

   品質の良し悪しを気にせず物が売れていくと、粗悪な商品が淘汰されなくなる。
   職人のモチベーションが下がって良質な物が生まれにくくなるし、
   販売者は性能と価格との関連性を読み解けなくなって仕入れの質が悪くなる。
   つまり、良質な物に出会える機会自体が減る。

   その結果、業界自体の縮小を招くのだ。回り回って、将来的に全員が損をするのだ。
   何百年先かわからんがワガハイの跡を継ぐのなら、こういったことは少しずつでも理解していかなければならん」

クッパJr.「ふーん、そんなもんなんだ。…店主のおじさん、失礼なこと言ってゴメンな」

店主「あはは、大丈夫ですよ。
   しっかし、まあ。クッパ大魔王たちに何食わぬ顔で戦闘用アクセサリを勧めるとか、
   平和な時代になったものですねー。改めて思いますよ」

クッパ「何食わぬ顔て」

735Mii:2020/03/19(木) 01:11:45 ID:NXmrz8H2
店主「それにしても、クッパさんとこの技術班なら、店売りに負けない装備品とか、
   らくらく作れそうなんですけど。気のせいですか?」

クッパ「…作れないことはないが、割とマッドな技術者集団だからな…。
   効果と引き換えに精神を侵食されるとか、副作用ありきの闇の装備が多いのだ」

店主「なにそれ怖いです」

クッパ「それに、実力を底上げしすぎる装備品を買い与えたところで、碌な事にならん。
   自分のチカラを過信して努力を怠って、しまいには弱っちい兵士を生み出すだけだ。
   そんな稀少な装備品は製作費ばかり掛かって、全員に配るのもままならんしな。

   ちょこっと底上げして、『あと少し強ければこんなことができるんだ』と知って
   ますます修業に邁進できる、くらいでなければいけないのである」

店主「ごもっともですね。今後も、末永くお付き合いしていきたいものであります」

クッパ「…うむ!実にキノコ王国の民は呑気で楽観的で――愉快な性格をしている!
   ワガハイにも、こんなに門戸を開放しているのだからな!」

店主「はははははははは」



ピュウウウウウ――――

店主「でも無理やり通ろうとして破壊した入口の扉は弁償してくださいね。
  思いっきり風が入ってきて寒いですし」

クッパ「間もなく修復作業係のトゲノコたちが到着しますハイ」

736Mii:2020/03/19(木) 01:14:50 ID:NXmrz8H2
〜キノコ城 執務室〜

マリオ「……………………え?なんだって、ピーチ?」

ピーチ「難聴主人公か。だから、サラサ・ランドから返信があったんだってば。

   『どうやらデイジー様はキノコ王国に向かわれた模様です。
   大会の間居座って、観戦三昧のことでしょう。
   我々を出し抜いてほくそ笑む様子が、ありありと浮かび上がりました。

   ピーチ様は、あの方に絆されて匿われているのでしょうか?
   あの方の為にもなりませんので、ここは心を鬼にして…
   むしろ、はやくこちらまで突き返してください。政務が山積みです。
   それだけが私どもの切なる願いです』

   っていう恨みがましい返信がね。大臣も相当まいってるわね…。

   これ、どういうことかしら。もしかして、隠れて観戦してる?
   ちっとも気付かなかったわ…!」

マリオ「…………」

マリオ「……………………」

マリオ「…………………………………………」

マリオ「………………………………………………………………………………っ!?」ハッ

737Mii:2020/03/19(木) 01:16:50 ID:NXmrz8H2
マリオ「…………」ワナワナ

ピーチ「…………どうしたの?」



マリオ「…な、なあ、ピーチ。これまで、グースカ寝ていた、とかを除いて…
   デイジーに電話が繋がらなかったことって、ほぼないんだよ、な?」

ピーチ「ないわよ?というより、電源が切られていた事自体が、記憶にないわ。
   それがどうし――」





マリオ「ちょおっと用事を思い出したぁ――――っ!!じゃあなーっ!!」ダダダダダダッ!!

ピーチ「」

ピーチ「去っていった……」

738Mii:2020/03/19(木) 01:18:47 ID:NXmrz8H2
〜閉ざされたフィールド〜





――――どうして、こんなことに、なってしまったんだろう。





皆が、半狂乱になって、暴れている。

目の前の惨劇に、思わず目を覆いたくなります。






あんなに、あんなにも平和な時間が過ぎていたのに。

それもこれも、ぜんぶ、私のせい。
争いを振りまくジンクスでも、持ち合わせているのでしょうか。



「…………わたし、が」

739Mii:2020/03/19(木) 01:20:39 ID:NXmrz8H2











ロゼッタ「あははははははは!」フラフラ

デイジー「はっはっはっは!」フラフラ

ゼルダ「あなたたち、笑いすぎだゴラァ――!」ヨロヨロ



ヒルダ「私が『平等に残りのお酒を飲みましょう』とか言ったばっかりに――っ!?」ガクブル

740Mii:2020/03/19(木) 01:22:46 ID:NXmrz8H2
確かに私は、お酒に強いと自覚していましたが。
ここまで差が付くとは、思いもよりませんでした。案外、度数が高いのでしょうか…?
そこまで悪酔いしたことがないまま今日まで生きてきたので、よくわかりません。



ヒルダ「え?え?え?何ですか、これ?

   お酒をデイジーから頂いた段階で、残り900mlくらい。

   前回に300mlくらい消費して、残り600mlくらい。

   あと2回と言わず、飲みつくしてしまおうって提案して、1人あたり150ml。

   私が美味にほんわかしている間に、何で此処まで本格的に酔うんです!?
   特にデイジーっ!これまで少量ずつ飲んできたから露わにならなかっただけで、
   貴方も割とお酒弱いんですかっ!?」

これは、勿体ない飲ませ方をさせてしまったかもしれません。盛大に恨まれそうです。
…いえ、案外楽しそうだから無問題なのでしょうか。

やっぱり、ここまでの酷い酔い方をしたことがないので、3人の気持ちを想像しきれません。

741Mii:2020/03/19(木) 01:24:28 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「あははははは!なんだかとっても楽しいです!世界が回って見えます!
    世界の中心に私がいるのですね!」グルグル

デイジー「まったくぅ…相変わらず馬鹿だな、ロゼッタはー。
     それにしても、ロゼッタ。勝手に実分身で2人に増えないでよー!
     どっちが本物だよ、こらー!」ケラケラ

ゼルダ「デイジー、完全に酔っているではないですかー!なっさけない!
    貴方には3人目が見えないのですかー?やれやれぇー」クスクス

デイジー「その言葉、のし付けてお返しするよー!なーにが3人目だ!
     4人目が見えてない人に説教されたくありませーん!」

ゼルダ「あらー?3人目が見えていなくて4人目が見えているということは、
    それは3人目でしょう?子供でも分かる理屈ですよぉ?」

デイジー「え、3人目が見えていないから、3人目ぇってこと?
     あれ?あれ?3人目って、なに?哲学?」

ヒルダ「」

742Mii:2020/03/19(木) 01:26:30 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「お二人とも、ダメダメですねー!
     デイジー姫には4人目が見えていて、
     ゼルダ姫には3人目が見えているのでしょう?
    
     つまり、ここには7人いるということですよっ!カンペキな理論ですっ!」

デイジー「うぎゃあ!これは迂闊だったぁ!ロゼッタって天才っ!?」バシバシ

ロゼッタ「ふふふ、それほどでも……痛いですよー。背中を叩かないでください。
     全く、子供なんですからー」

デイジー「ロゼッタは、えらいっ!」バシバシ

ロゼッタ「ふふふ、ごほっごほっ―――うぷっ」

ヒルダ「きゃー!きゃぁーーーーっ!?吐かないで、吐かないでくださいっ!
   心臓貫かれて吐かない人が、お酒くらいで吐かないでくださいっ!!」

デイジーを引っぺがして、ロゼッタの背中を懸命にさすります。
顔を青くしながらも…どうにか汚いことにならずに済みました。私、えらい。

ちょっと、長らく介抱してくれていたロゼッタの気持ちが分かった気がします。
…こんな形で分かりたくはありませんでしたが。

743Mii:2020/03/19(木) 01:29:52 ID:NXmrz8H2
はあ……。一人だけ素面だと、負担が全部回ってきて大変です。

デイジー「おー?さっきから見てれば、ヒルダが酔ってない!もっと飲め飲め!」

ヒルダ「一応言っておきますと、このお酒の強さなら…
   仮に私一人で瓶まるごと、1000mL全量を飲んでいたとしても、
   そこまで酔わない自信がありますよ?」

ゼルダ「自慢かっ!」ビシッ!

ヒルダ「いえ、あの、そんなことを言いたいのではなくてですね」

デイジー「そんなヒルダちゃんの弱点が知りたいなっ」

…弱点なら山のようにあると思いますが。特に戦闘力方面。

デイジー「なにをそんな悟った顔をしてるかなー?
     …そうだ!ロゼッタみたいに黒歴史を持ってたりしない?」

ヒルダ「…黒歴史?」

デイジー「そっ!酒の肴になりそうな、面白いやつ!
     自作ライトノベルでニマニマした経験があるとか!魔法少女ポーズを世間にばら撒かれたとか!」

ロゼッタ「」グサッ

デイジー「男装癖があるとか!自分に酔って悪役にわざと攫わせたとか!」

ゼルダ「」ザクッ

744Mii:2020/03/19(木) 01:32:06 ID:NXmrz8H2
ヒルダ「酒の肴って…これほどの果実酒に対して、失礼極まりなくないですか?

   …そうですね、ユガの口車に乗せられてリンクと敵対したことが
   最大の黒歴史と言えば黒歴史ですけれど…はあ……思い出すだけでため息が」

デイジー「…………」フッ



デイジー「まったくもってつまらないっ!」ガオーッ!

ヒルダ「!?」



デイジー「なにさなにさ、いい子ぶっちゃって!
    誰しも、黒歴史の一つや二つ、笑えるのがあるはずだよ!」

…私にとってはつまらなくはないんですけど……。
笑って済む黒歴史くらい、真の黒歴史が帳消しになるのなら幾らでも抱えますよ。

745Mii:2020/03/19(木) 01:34:11 ID:NXmrz8H2
ヒルダ「だいたい、それを言うならデイジーの黒歴史…
    ああ、それは『裏の顔』でお腹いっぱいですか。

    では、たとえばピーチ姫の黒歴史とか、すぐに思い浮かぶのですか?
    教えて頂きたいものですが」

デイジー「マリオに助けられた初期のころは、誰にも敬語でおしとやかに猫を被ってた」

ヒルダ「ちょっと意外ですが、それも大して面白くはないですよね。
   そう簡単に、面白い黒歴史なんて探しても見当たらないもので――――」









デイジー「ああ、そういえば。酔った席で超偶然に耳にしたけど。
     敵の要塞を全裸徘徊プレイしたことがあるとか聞いたなあ」

ロゼッタ「」

ゼルダ「」

ヒルダ「」

746Mii:2020/03/19(木) 01:36:25 ID:NXmrz8H2
…え?
…いや、いや。…………ええええっ!?

ロゼッタ「そそそそそそそそ、そんなこと有り得るわけがないでしょうっ!?
    あのピーチ姫が、ですよっ!?そんな破廉恥なっ!?
    酔った勢いで、ピーチ姫を貶めようとしても、そうはいきませんよっ!!
    いくらなんでも、怒りますよっ!!」

デイジー「…でも、妙に具体的だったんだよなあ。
     『足音を立てないようにそーっと通路を掻い潜って、
     発見されずに攻略のカギをマリオに伝えることができたわ。
     無事に更衣室に戻ってくることができて本当によかった。
     脱いだドレスも取られてなくて助かったわー』って。

     ――――あ、私がここでばらしたことは、4人だけのヒミツねー。私まだ死にたくない」

ヒルダ「」

ゼルダ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「…これは夢これは夢これは夢これは夢」ブツブツ

ロゼッタ「これはぁ、夢ぇ――」フラァ

ロゼッタ「」バタリ

――――ピーチ姫の印象を、凄まじく負の方向に見直さなければならないですね。
――――残念です。とても。

747Mii:2020/03/19(木) 01:39:40 ID:NXmrz8H2
…あ。ゼルダ姫が、ロゼッタのグラスを勝手に掻っ攫って、
ちょっと残っていたお酒を呷りました。あーあー、ロゼッタ怒りますよ…?

ゼルダ「――忘れましょう!」キリッ

ヒルダ「そう簡単には忘れられない気がするのですがっ!」

デイジー「いやいや、忘れてねー!じゃないと私の首が飛んじゃいそうだしー!」

ゼルダ「…はい!私はたった今忘れましたぁー!!」

デイジー「ということはー?あとは、ヒルダが忘れれば万事解決だぁねー!」ユサユサッ!

ヒルダ「にゃにゃにゃにゃにゃ」グラグラグラグラ

完全な酔っ払いに、乱雑に肩を掴まれて体を揺すられます――!
ゼルダ姫まで加わって、ぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐら〜!

さ、すが、に。気持ち悪く、なって、きまし、た――

いっそのこと、気絶してしまった方が、楽でしょうか――

それがいいです、そうしましょう――

748Mii:2020/03/19(木) 01:46:52 ID:NXmrz8H2
ゼルダ「あぁ、ヒルダ姫ったらこんなに汗をかいて…!」ケラケラ

デイジー「相当暑がってるみたいだからドレスぜーんぶ脱がせ――」ズイッ



ヒルダ「ハンマアアアアァァァァ――――ッ!!!!!」フルスイングッ!!



ゼルダ「」バタリ

デイジー「」バタリ

ヒルダ「はぁっ!はぁっ!なんですか、もうっ!!油断なりませんよ全くっ!…ねえ、ファントム・ユガ!
    
    ………………………あれ?ユガ?」クルリ



ヒルダは もえさかるハンマーを にぎりしめながら ふりかえったが
とくに だれも いなかった▼

ハンマー「そろそろ消えるでー」シュン・・・

ヒルダ「……………………………えっ、何、今の」チラッ

ヒルダ「…ああ、夢か幻覚ですか。わたし、なんだかんだ酔ってたんですね…
    …………おやすみなさい…………」ズルズル・・・

749Mii:2020/03/19(木) 01:50:20 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「――――っつぅ」

酷い頭痛を感じながら、のろのろと起き上がる。



う、うわぁ。周りは酷い惨状です。

デイジー姫とゼルダ姫が折り重なるかのように倒れ込んでいて。
ヒルダ姫はヒルダ姫で、壁に寄りかかって、ずり落ちそうな態勢で寝ています。

それ、でも、チコたちは平常運転。
私が起きたのを見て取って、すぐさまコップに水を汲んできてくれました。
ありがとう、チコ。助かったわ!

こくこくと、ゆっくりと…でも一気に、飲み干します。



チコ「…………」フヨフヨ

チコ「あ、お酒残ってる」ペロッ

チコ「………………………………まずぅい」

チコ「まだ地面の方がおいしいねー」

750Mii:2020/03/19(木) 01:52:11 ID:NXmrz8H2
がんっ! がんっ! がんっ!



…それでも。頭がっ!頭が、ガンガンしますっ!!!
昨日は飲み過ぎてしまいました!全然お酒に強くないのにっ!
突拍子もないことを、散々言った気がしてなりません!あわわわ…!!



がんっ! がんっ! がんっ!



耳鳴りが、途轍もない!全身に響いているような、この五月蠅さ!敵いません!
無意味にも頭を押さえて、ヨロヨロ、フラフラ…!

ロゼッタ「う、ぐう…響きます、ねえ……!!」

チコ「ママも気付いた?絶対、何か鳴ってるよねえ!」

チコ「一体何の音だろ…?」

ロゼッタ「そう、貴方たちも気付いたのね、この頭痛の――――」

…………え?
そんな、馬鹿な事、有り得るわけがないじゃないですか。

751Mii:2020/03/19(木) 01:54:13 ID:NXmrz8H2
がんっ! がんっ! がんっ!



チコ「なんだか、空間がほんのちょっとだけ振動してるっていうか…
   誰かが、何かに殴り掛かってるっていうか…!」









ロゼッタ「………………………………ああああああああっ!!?」





意識、一気に、フルスロットル。
待ちに待った、福音。





――――外部からの、干渉ですっ!!!

752Mii:2020/03/19(木) 01:56:23 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「みんなっ!今のママは魔法の制御が鈍ってるから、
     どうか助けてほしいの!お願いするわ!」ダダダダダッ!!

チコ「うん!」

チコ「そういうことだったんだね!」

チコ「きたきたきたー!!」

チコ「待ってましたぁ!」

チコ「外に出られるー!?」

チコ「やったあああああ!!」

チコ「絶対に脱出してやろうねっ!!」

チコ「いっくよーー!!」

チコ全員と、一目散に…あの、忌々しい結界のもとへっ!!
魔法陣をサササッと描いて、手のひらを扉に向けてっ!



ロゼッタ「――――解析、開始――――っ!!」パアアアアアアア

チコ「「「「「「「「わああああああああああああああっ!!!!!」」」」」」」」パアアアアアアア

光り輝く私とチコたちとで、敵のセキュリティロックに華々しく突撃です!!

753Mii:2020/03/19(木) 02:00:02 ID:NXmrz8H2
がんっ!! がんっ!! がんっ!!



外で、何かが扉に、激しく当てられているのでしょう。

以前やったときは、幾重にもモザイク掛かって、まるで読み解けなかった空間情報が。
衝撃の瞬間だけ、一気に濁流の如く、私の頭に流れ込んできます。
今の私にとっては処理は中々きついですが、泣きごとなど言っていられません!

ふたたび空間情報の流れがストップする前に。自分のFPを繊細に流し込んで。
「こちら」と「あちら」との、空間の正しい繋がりを…細い糸で橋渡し。
もともとその領域に蠢いていた、「誤った」空間情報に、ほんのちょっと風穴が空きました。
衝撃のたび、地道に同じことを繰り返し…少しずつ、風穴を拡げます。
要らなくなった、異常値を示す空間情報は、どんどん破棄してしまいます!

最初は、うっすらぼやけて。やがて、おぼろげに浮かび上がって。
どんどん、どんどん……向こう側が、くっきり、鮮明になっていきますっ!!



ぱりんっ!

ロゼッタ「……!!」グッ!

結界の一部が、ちりりと削れました。結界が、崩壊を始めたのです。
ほどなく、結晶全体が、光の粒子となって薄く散り散りに拡散し始めました!

こうなれば、しめたもの!

754Mii:2020/03/19(木) 02:01:27 ID:NXmrz8H2
ギュィインと、ピントが合った空間情報は、もう答えを丸写しできるような段階。
ますます怒涛の如く修正・校正されていきます!
あとは流れ作業!止まることを知りません!!



ロゼッタ「ラスト、スパートォ――――!!!」パアアアアアアアア

チコ「「「「「「「「おおおおおおおおおお――――――――っ!!」」」」」」」」パアアアアア



パリイイイイイイィィィィ――――ン!!!



とうとう、私たちを3か月近く苦しめてきた結界が。
ニセモノたちを、好き放題させてきた結界が。役割を果たせなくなり――
正常な扉を、私の目の前にもたらすことと、なりました――!!





ロゼッタ「や、やった――――」サッ

755Mii:2020/03/19(木) 02:05:33 ID:NXmrz8H2
…さて、ここで問題です。

扉の向こう側では、おそらくこちらの反応を期待して、衝撃を与え続けてくれていた。
そして、結界が消えたことで、自由を取り戻した扉。
そこに、扉が無事に解放され、大喜びかつ有頂天になって、咄嗟に駆け寄った私。

一体どうなるでしょーうか?





マリオ「YAHOOOO――――!!」

リンク「ヤアアアァァ――――!!」

クッパ「ふんっ!!」





扉「」ビタアアアァァァァ――ン!!

ロゼッタ「」ベチイイイイィィッ!

チコ「「「「「「「「ぎゃーーーーーー!!?」」」」」」」」

3強「「「あ」」」

756Mii:2020/03/19(木) 02:08:28 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「…………」ガクガクブルブル



ロゼッタ「…………」ガクガクブルブル



ロゼッタ「…………」ガクガクブルブル



デイジー姫のパワーを見せつけられ、もう怖いものなし…と思っていた私を殴りたい。
復活した感じでは、扉ごと、フィールドの果てまで吹き飛ばされたはずなのに、
扉にビンタされてからの記憶がありません。

痛みは覚えていないのに、体が震えています。
開始コンマ何秒かで、体が「得体の知れないナニカ」に変わり果てていたみたいです。
あまりにも速すぎて、チコたちにグロテスクな所を見せなかったのが不幸中の幸い…!
な、なる、ほどー。3強のパワーを一度に受けると、私程度はこうなるん、です、ね…!



ロゼッタ「落ち着いて、私――。落ち着いて、私――。
    残機はある、いくらでも、ある――――――――」ガクガクブルブル

マリオ「本当に…本当に、済まなかった!その、無理は絶対にするなっ!
   素直に横になってろ!今すぐ精神安定剤でも処方してやるから――」アセリ

757Mii:2020/03/19(木) 02:10:07 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「………………………………………………………………
    …………………………………………………………………
    ……よ、よし。なんとか、耐え抜きましたよ、マリオ。
    ……………………もう、大丈夫です。収まってきました」ガク・・・ブル・・・

マリオ「…なんだって!?」アングリ

リンク「…有り得ねぇぞ、そのレベルで!?」ビクッ

クッパ「何時からそんなにタフになったのだ!?」アゼン



ロゼッタ「……………………」スッ・・・

ロゼッタ「まあ…………いろいろと、あったのですよ」ニコッ

チコ「あったのですよー」フヨフヨ

チコ「ですよー」フヨフヨ

チコ「よー」フヨフヨ

マリオ「」

リンク「」

クッパ「」

758Mii:2020/03/19(木) 02:14:02 ID:NXmrz8H2
マリオ「ま、まあそれはおいとこう、なっ!そ、それで!ゼルダとヒルダは、いるんだよなっ!?
    全員生きてて、無事を担保できて、初めて俺たちは…反撃できるんだ!」

ロゼッタ「もちろんです!早速案内しますねっ!!」タタタッ!



ロゼッタ「みなさんっ!ううっ…!マリオ達が、とうとう駆けつけてくれましたよ!もう大丈夫ですっ!!」バンッ!



ゼルダ「お、おさけー!追加のおさけはまだですかー!…どのコップも、空っぽ…」フラフラ

デイジー「ええい、よくばりめー!アル中めー!とっくに空になったよ!
    そんなに飲みたいなら、瓶を逆さに掲げて一時間でも二時間でも待ってろー!
    日が変わったのにいつまで酔っぱらっとるか、お前さんはー!アハハ!」ケラケラ

ゼルダ「中々…滴が落ちてきませんねー」フラッ

ヒルダ「…う、え、リンク?……みな…さん?」ピシリ



マリオ「」

クッパ「」

リンク「」

ロゼッタ(あ、早まったかもしれない)

759Mii:2020/03/19(木) 02:19:16 ID:NXmrz8H2
リンク「と、とりあえず、ヒルダは風呂にでも入りたかったんだな!

   ロゼッタにつられてノックもナシに入ったのが悪かった!マジでごめん!
   事態が落ち着いたら、慰謝料払って土下座もさせてもらうから!

   でも一旦、服を脱ごうとするのはやめようか、うん!お互いのために!
   下着がチラ見えするくらいのタイミングでまだ助かったわ!
   もうちょい遅かったらCERO CとかDになるとこだった!



   あと、ゼルダ姫は…もうちょっと恥じらいをお持ちになったらいかがでしょうか…」



リンクの 好感度が 5下がった!▼



ゼルダ「……いやあああああああああああぁぁぁぁ!!?」バッ!

ヒルダ「……きゃあああああああああああああぁぁ――――!!?」バッ

760Mii:2020/03/19(木) 02:21:27 ID:NXmrz8H2
デイジー「…あー、マリオたちだー!まったくぜんぜん気付かなかったなー!」

マリオ「嘘つけ」

ロゼッタ「えっ、デイジー姫、酔ってますよね?」

マリオ「デイジー姫の悪酔いは『悪乗りする酔い』って意味だからなー。
    案外、意識ははっきりとしてたりするぞ。
    あんな派手な音までさせたし、俺たちの声にもちょっと前から気付いてたろ」

デイジー「てへぺろー」

ロゼッタ「なら協力してくださいよ!?」



マリオ「…次にお前は『それだと面白くないじゃんー』と言う」

デイジー「それだと面白くないじゃんー…ハッ!?」

761Mii:2020/03/19(木) 02:23:27 ID:NXmrz8H2
ひと悶着ありながらも、とりあえず身を整えて、改めて彼らと向き合います。

ゼルダ「……」ズーン

ヒルダ「……」シクシク

デイジー「お勤めご苦労様っした!貴方たちも、私たちも!」ビシッ!

ロゼッタ「あ、あはは。でも、本当に…ありがとう、ございます。
     私たちの生存を――信じてくれていて」

リンク「…まー、生存を信じるか、偽者に騙されてるかの二択って感じだけどな。

   それにしても…本当はもっと早く助けられたのに。
   ちっくしょー!結果的には俺の直感で正しかったってことじゃん、マリオ!
   まあ結果的には、だから文句はこれ以上言わないけどっ!」

マリオ「す、すまん。まさか、4人目がデイジーだとは夢にも…。
    ずっと敵の人員でカウントしてたんだが、まさか音信不通ってとこから
    デイジーの居場所が決まるとは思わなかった」

ロゼッタ「デイジー姫の存在まで気付かれていたのですね!すっごく話が早いです!
    …私たちも、なんとなくではありますが、状況は分かります!
    今、私たちに化けた偽者がどこかに居る…そうですよね!?」

762Mii:2020/03/19(木) 02:26:05 ID:NXmrz8H2
クッパ「ああ!その通りなのだ!やっぱりロゼッタの能力なのだな!
    …正確には、自分を被害者側に仕立て上げるため、偽ロゼッタが偽ゼルダたちを葬って見せたのだが…。
    おかげで、ワガハイたちを除けばまだ騙されたままなのだ。

    それに、本当に偽者が1人だけになったのか、単に収納しているだけなのかは分からんな。
    というより、偽者が何人いるかすら…。偽者が増える条件とかは、どうなのだ!?」

ロゼッタ「その件なら、大丈夫です!分身体に、新たな分身を作る能力はありません!
     だから、増えることはないんです!その1人ないし3人と、暗躍する敵を倒せばハッピーエンドですよっ!

     そして、その暗躍する敵、とは――」





全員「――――タブー」





…よかった!この認識はドンピシャだったようです。思わず握り拳を作ります。
これで間違っていたりしたら、目も当てられませんでした。

マリオ「……本当に、驚いたな。そこまでよく情報を集められたよなあ」

ロゼッタ「ほとんどデイジー姫のおかげですけどね!運が味方しています!」

デイジー「えっへん」

763Mii:2020/03/19(木) 02:27:58 ID:NXmrz8H2
リンク「改めて、ちゃんと自己紹介させてください。俺はリンク、ハイラルの勇者です。
   ゼルダ姫とヒルダを助けてくれてありがとうございます」

ロゼッタ「ほうき星の主、ロゼッタと申します。よろしくお願い致します。
    こちらこそ、お二方には感謝してもし切れません。
    あ、砕けた話し方で大丈夫ですよ?」

リンク「あ、やっぱり?さっすがマリオファミリー、話が分かる。
   じゃあさ、話が分かるついでに、ひとつ頼まれてくれないか?
   ちなみに、ヒルダも。もちろんゼルダ姫もお願いします」



ロゼッタ「…?」

ゼルダ「頼み…」

ヒルダ「…とは?」



リンク「大前提なんだけど、ロゼッタに聞きたい。
   ロゼッタの言う所の結界が破られた以上、もうこの空間が…
   本来の世界と隔離されることはないとみていいんだよな?」

神妙な面持ちで、そう彼は問いかけてきました。

764Mii:2020/03/19(木) 02:30:28 ID:NXmrz8H2
ロゼッタ「はい、それはもうないと思います。一連の解呪工程で、空間情報をかなりの部分、インプットできました。
    同程度の結界を張り直されたところで、格段に速く解呪できるでしょう。

    仮に私の分身が今この場に現れて、より強い結界を張り直そうとしたところで…
    時間が掛かる上に、貴方たちの誰か、あるいはデイジー姫に瞬殺されますから」

マリオ「…そこで、ゼルダじゃなくてデイジーの名前が先に挙がるのか?
    ……………………ま、まさか…!」



デイジー「…ま、そういうことだね」フッ



マリオ「…にゃるほど、合点がいった。おめでとう、と言っておこう」

デイジー「…………ありがとう、と返しておくよ」プイッ

ゼルダ「照れてますね」

ヒルダ「ふふっ」

クッパ「…………うむ」

リンク「…………?」

マリオは、なんだか温かい目で我々を一瞥します。
デイジー姫の言葉を借りるなら…まさしく。まあ、そういうことなのです。

765Mii:2020/03/19(木) 02:32:58 ID:NXmrz8H2
あ、そうでしたそうでした。

ロゼッタ「結局、私たちへの頼みって…なんですか?」

リンク「えーーっと……」



ぽりぽりと、頬を掻いたあと。





リンク「…あと5日…いや、あと3日だけ、このフィールドに留まっておいてくれない?
   このとーり、頼む!」





そう言って、手を合わせて見せたのです。



――――ええええええええっ!?

766Mii:2020/03/19(木) 02:39:57 ID:NXmrz8H2
ゼルダ「ど、どうしてですかっ!?」

ヒルダ「どうして…!」

せっかく、ようやく脱出できると思っていたのに。不満が噴出します。
ゼルダ姫は、悲しみに暮れてリンクに突っかかろうとします。

――あ。

ロゼッタ「…………もしかして、炙り出しの準備、ですか?」

それなら…納得。



リンク「…………おお、ロゼッタ、ご明察!すげぇ!俺なんかちっともわからなかったのに。

   無事と分かったらこっちのターン…って言っただろ?
   今のまま3人に戻って来られても、事態が釈然としないんだよ。
   3人のこと…特にロゼッタのことをよく知らない人たちにとっては。
   最悪、全員が『本物はどこだ、悪いのはどっちだ』で疑心暗鬼になっちまう。
   敵は敵で、慎重に行動されちゃうしな。

   周囲から、偽者をしっかり悪と認識させたうえで、颯爽と登場してもらうからさ。
   今エサをばら撒けば、どんなに幼稚でも…確実に偽者は食いつくみたいだぜ?
   いや、正確には…もう食いついているんだ」



彼の顔は…わるーい顔で。なんだかとっても、活き活きとしていました。

767Mii:2020/04/04(土) 22:52:57 ID:1BIb5Sbs
〜選手控室〜



ガヤガヤ……。



クッパ「ほれほれ、とっとと貴重品はワガハイの『大魔王の金庫』に放り込んでしまうのだ!」



最初は疑り深かった選手共だったが、リンクがかの有名な剣と盾をアッサリと預け、無事に守り切った実績がある。
今となっては、疑う余地もなく――戦場から戻ってきた者が、大切な武器や防具を預け入れていく。
信用してもらえたようでなによりなのだ。



ロゼッタ「……」ジーッ

クッパ「さあ、並べ並べー。…お、ロゼッタ。なんだったら、お前のその魔法の杖も、
   厳重管理のもとワガハイが保管してやるのだ、光栄に思うがよい」

ロゼッタ「あ、ご親切にありがとうございます。でも、お気遣いなく。
     私の場合、杖がないと咄嗟の行動もままなりませんし…。
     それに、変な力で奪われたりしないよう、魔法付与も万全ですから」

クッパ「む?そうか?ならば別によいのだが」

768Mii:2020/04/04(土) 22:56:35 ID:1BIb5Sbs
リンク「おーいクッパ、俺のマスターソードとハイリアの盾…
   今度は3日ばかし、預けたままにしておいてくれよー。ラストスパート前に最後の息抜きがしたいんだ。
   バトルから離れて、町のみんなと遊んでくるからさ」ヒョイ

クッパ「…はあ?リンク、まだポイントで負けていながら余裕を見せるとは…いい度胸だ。
   大会終了まで、のこり6日しかないのだぞ?その半分を無駄に過ごすのか?」

リンク「いいだろー?マリオやクッパに比べて、俺のバトルはハイペースなんだ。
   ルキナやルフレの特訓もあるし、ちょっと疲れ気味でさ。

   それに、町のみんなを…いい加減、相手してやらないとうるさいんだ。
   大切な知り合いばかりだからさー」

マリオ「やれやれ…じゃあ、せっかくだし俺とクッパも休んでやろうか?
    俺たち3人、他の選手の追随はもはや許していない状況だし…。
    最後まで延々と参加してたんじゃ観客もマンネリだろ。
    ここは平等にいこうじゃないか平等に。その方が優勝の価値も上がるってもんだ」
   
クッパ「勝手に決めるとはふてぶてしい…ったく、ワガママな奴らなのだ。
   この貸しは高くつくぞ、覚えておくのだ」ハァ

リンク「マジでか!そいつはいいや!
   サンキュー、マリオ!ありがとう、クッちゃん!」

クッパ「誰がクッちゃんだ!…あらよっと、確かに仕舞ってやったぞ!」



しばらく動かさないということで、金庫の奥底に…
マスターソードと、ハイリアの盾を収納。これで、よし。

769Mii:2020/04/04(土) 23:00:47 ID:1BIb5Sbs
クッパ「はい、次の奴!…はい、次っ!
   チンタラせず、とっととスムーズに持ってくるのだー!
   ワガハイも頭を切り替えて、とっとと羽を伸ばしたいのだ!」



持ち寄ってくるアイテムを、片っ端から仕舞い込んでいく。
流石に量が多く、10分そこらは掛かってしまうな。



ロゼッタ「ああ…あの剣と盾、取り出すには面倒なことになりましたよ?
    そのようなことをして、大丈夫なのですか?折角優勝を狙える位置に付けているのに…」

リンク「だからこその、マリオとクッパの提案だろ?
   …あ、そうだ。これ幸いと、ルフレとルキナの特訓時間、ちょちょいと伸ばすか。
   そのくらいのスタミナは付いてきたみたいだし」

ロゼッタ「…それって、息抜きするって趣旨からすると本末転倒ではありませんか?」

リンク「ダイジョーブダイジョーブ、そこまで緊迫感のある戦闘じゃないし。
    マスターソードもハイリアの盾も一切不要だし〜?」ヒラヒラ

ロゼッタ「はあ…そ、そんなものですか。
     やはり3強という存在はどこまでも規格外なのですね」

リンク「お褒めに預かり光栄です、ははは」

770Mii:2020/04/04(土) 23:03:54 ID:1BIb5Sbs
クッパ「…よし、ロック完了なのだ。
   そういえば、リンクの特訓風景、間近で見たことはなかったな。
   面白そうなのだ、少し後で覗いてやるとしよう」



ロゼッタをちらりと伺うと、ニコニコと笑っているようで…
何か、考え込んでいるような様子。



…どうだろうか。





マリオ「俺も俺も。…でも、パトロールも忘れるなよー」

クッパ「任せるのだー」ドシン ドシン

リンク「おー!」スタスタ





ロゼッタ「…………」

771Mii:2020/04/04(土) 23:07:27 ID:1BIb5Sbs
パルテナ「…おや、ロゼッタ?どうしたのですか?もしかして、暇していましたか?暇を弄んでいましたか?
     んもう、そんなに暇なら、大会に参加すればいいでしょうに」クスクス

ロゼッタ「あ、いえ、ちょっと考え事を」

パルテナ「あ!暇だというのなら、ちょうどよかったです!私に付き合ってもらえませんか?
     そろそろ帰還に向けて、お土産屋さんを見て回りたかったのですが…
     一人で回るのは心もとなかったのです。さあさあ!」グイグイ

ロゼッタ「わ、わかりました。それでは…御供させていただきますね」

パルテナ「よし!スカウト成功です!なし崩し的にうちの軍に入りませんか!好待遇を保証させて頂きますよ!
     衣食住と私を崇め奉る権利、それにお代わり2回…いえ5回まででどうでしょう!」

ロゼッタ「うちの軍!?何の話ですか一体!?」

パルテナ「聞くも涙語るも涙…話せば長くなりますが…
     うちの軍は戦力の大部分をピットが担っていたのにですね、
     勝手にブラピが誕生して、おまけに自然軍に取り入ってしまったばっかりに、
     戦力バランスが崩れに崩れてですね……正直私は不公平だと言いたくて言いたくて……

     私とピット以外のまともな…汎用キャラでない味方を、早く誕生させてくださいよ任天堂さん!」

ロゼッタ「いきなり何を言っているのですか!?」

パルテナ「正直、自然王の気まぐれで私たちは生き永らえているようなものでして、
     女神としてやるせないんですよ!分かりますかこの気持ち!!」

ロゼッタ「あいにく全く分かりません!」

772Mii:2020/04/04(土) 23:12:08 ID:1BIb5Sbs
〜夜〜



シイィィィイン――――



穏やかに流れる風の音、そして…どこかで梟の鳴く声のみが、ほんの僅かに聞こえてくる。

人気はなく、照明は一切付けられず――ただただ、「ソレ」が佇むのみ。

そこへ、招かれざる客が、ひとり。



「…………」シュンッ!!

「……………………」



(……………………さて)スィー

(…………しばらく、あのアイテムは眠ったままになるはずですし)



ロゼッタ(お仕事、始めちゃいますか♪)ニヤリ

773Mii:2020/04/04(土) 23:18:05 ID:1BIb5Sbs
ロゼッタ(監視カメラなんて、意味はないですよ。いくら懸命に、金庫を映し続けていたところで。
     死角から一気に金庫の中へ転移すればいいだけですし、
     金庫の中に監視する類のものがないことは確認済ですし。
     この程度の次元破り、私に掛かれば――――)



シュンッ!!

ロゼッタ(…楽勝ですね、魔法で周囲を照らして、と。
     …うん、なにかトラップが感知作動する様子もない、と。
     隠密のためローブを羽織っているので、カメラ程度はそもそも怖くないですが。

     前に転移失敗したように偽装してみせましたが…
     この程度の空間制御も、パルテナは突破できないのですか?案外、大したことないんですね。

     おっと、無駄口は叩いていられません。とっとと、やることをやって…ずらかりましょう。
     烏合の衆の他のアイテムたちは、逆に残しておいた方がばれなくてよさそうですね)



マスターソード「――」パアアアアア

ハイリアの盾「――」キラキラ

ロゼッタ「それでは、早速――――これが、伝説の装備、ですか。
    ふふ、全てが手遅れになった3日後の大混乱が、楽しみで仕方ないですね…!!
    せいぜい、仲間割れを思う存分してください――」ゾクゾク

774Mii:2020/04/04(土) 23:24:45 ID:1BIb5Sbs
〜元、閉ざされたフィールド〜

私の巧妙な?…偽装によって、禍々しい結界に再び包まれた扉。
もっとも、偽者たちの目を欺くためのダミーなので、閉じ込める能力は一切ありません。
鍵が付いたままの錠前があるだけのような状態です。気にしないでおきましょう。
そんなことより、最後の仕上げが大事、大事。


ヒルダ「それでは、参ります――」スッ・・・

デイジー「うん!バッチ来ーい!」サッ

ヒルダ「はあああああっ――――――――――――――――――――

     ――――――――――――――――ビルダーハンマァ―――ッ!!」サッ

バキバキバキィっと、連続した連結音とともに!
片手を掲げたヒルダ姫が…その手に、燃え盛るハンマーを具現化させました!!
ファントム・ユガのハンマーに比べれば小さいものですが、なかなかの迫力です!
炎が揺らめき、その存在感を確かに示しています!

ヒルダ「えーーい!!」ブンッ!!

ドゴォッ!!

デイジー「ぐわっ!!…ナイスインパクトッ!
     表の私だと、構えてないと大ダメージを食らいそうだねっ!」

激しい打撃とともに、ズズズッ!とデイジー姫が後ずさり。体を大きく持って行かれました。
プスプスと、皮膚が焦げている気配まであります。

775Mii:2020/04/04(土) 23:27:56 ID:1BIb5Sbs
ゼルダ「ふむ、私のマジカルカッター同様、威力について…
    基礎体力レベルだけでなく、魔法レベルについても参照しているようですね。
    これは面白くなってきました」

デイジー「アイテムありルールでの『ハンマー』みたいなものと思ったけど…
    行動が制限されないし炎の属性ダメージもあるっぽいし、
    更には敵の手に渡らないハンマーでしょ!?
    FPを消費する以外の点においてはむしろ上位互換っぽい!凄いよ!」

ヒルダ「ま、まあ、攻撃範囲が狭いうえに予備動作が長めなのがネックですが。
    そこそこ敏捷性のある人には決まらないですよね…」

デイジー「そこはあれだ、向かってくる敵に不意打ちで具現化させてぶちかますとか」

ヒルダ「あ、それはよさそうですね!
    …それにしても。夢じゃなかったんですね、この新魔法」

ロゼッタ「ビルダーハンマーとは…洒落ていますね。
    『ヒルダ』と『ビルダー』を掛けているのですよね!」

ヒルダ「…………なんだか恥ずかしくなってきました。名前、変えましょうか」

デイジー「それは駄目だよ!メーカー的に!」

ヒルダ「は、はいっ!?」ビクッ

…妙に、デイジー姫が力説しています。何か裏事情でもあるのでしょうか。
ヒルダ姫が、目を点にしています。

776Mii:2020/04/04(土) 23:33:42 ID:1BIb5Sbs
ロゼッタ「…私も、何か肉弾戦用の魔法を覚えた方がいいのでしょうか」

ゼルダ「…別に、無理に覚えなくてもよいのでは?
    ロゼッタの場合特に、魔法を繰り出した方がよほど高火力でしょうに」

デイジー「まあ、物理面でも最低限の火力があると戦略の幅はグンと広がるだろうけど。
     …よーし、それじゃあヒルダ!あと3日の間に、その新技…カンペキにしてみせようね!」



デイジー姫は、「やっぱりこの4人で最終決戦に殴り込みしたいじゃない?」ということで。
自由の身になってもなお、私たちと一緒にフィールドに残ってくれています。…ただただ感謝を。



デイジー「いーい?万全の状態で颯爽と繰り出して、偽者たちを叩きのめすんだよ!
    そこで私は腕を組んでフッと笑ってこう言うんだ、『3人は私が育てた』と!」

ゼルダ「なんですかその茶番は」

デイジー「言ってみればこれは、トリプルバトルっ!
    登場の段階から横並びになって、ポーズを決めてババーンと目立って、
    その後は息を合わせて一斉攻撃するんだ!」

ヒルダ「う、ええ?恥ずかしいですよ、そんな戦隊ものアニメじゃありませんし!
   下手をすれば洗脳でもされたのかと白い目で見られますよ!」



…う、うん。感謝、を?

777Mii:2020/04/04(土) 23:39:16 ID:1BIb5Sbs
ゼルダ「ロウラルにもそんなアニメが放送されているんですね…驚きです」

ヒルダ「単純な勧善懲悪ものは、むしろ苦難の道を歩むロウラルでこそ年齢問わず人気があるんですよ…」

ゼルダ「そ、そうですか…」

デイジー「今の3人は、何よりも『偽者じゃない』ことをアピールする必要があるんだよ?
    ちょっとネジが飛んでるな、くらいのインパクトを出すことで
    『流石にこれが偽者ってのは有り得ないだろ』って思わせるのが重要さ!」

ヒルダ「そんなことで無駄に引かれたくありません!?
    ロゼッタも、そんな茶番は無意味…いえ逆効果だと思いますよね!」



ロゼッタ「両腕を拡げて、両肩にチコを乗せてふわりと登場してみましょうか」ワクワク

チコ「ロゼッタ&チィコォー!!」ビシッ

チコ「華麗にけんさーん!…ってことだねー!!」シャキーン!



ヒルダ「」

ゼルダ「駄目ですこの人、早くなんとかしないと…」

着地と同時に、杖をビシッと掲げてみればいい感じでしょうか。
使い魔を使役した魔法少女っぽくて楽しそうです……………………。
あ、いえいえ!変な妄想に憑りつかれていました!

778Mii:2020/04/04(土) 23:42:43 ID:1BIb5Sbs
〜キノコ城 城下町〜

カランカラン…。



ブラックピット「…………」

マスター「…あ」

ブラックピット「…………何も、言うな」

マスター「あ、はい。…え、ええと。
     カウンター席はお止めになった方がよろしいのでは――」

ブラック「…いいからとっとと、カクテルを作ってくれ…。
    レシピは、もう分かってるよな…?」

マスター「…………承知致しました」サッ



客「……あの人も懲りないなあ」ヒソヒソ

客「時間帯ずらせばいいのに…」ヒソヒソ

ブラックピット「聞こえてるぞお前ら…!」ゴゴゴ

客「」ビクッ

779Mii:2020/04/04(土) 23:49:03 ID:1BIb5Sbs
トゥルルルル……!



ブラックピット「…………ん?電話か?チッ、人が緊張してるってのに。
        誰から…って、ナチュレか。…もしもし?どうした?何か用か?」ピッ

ナチュレ『おー、ようやく繋がったか!わらわを待たせるでない!
     ちょっとお前に、参考までに聞きたいことがあってのう!
     わらわ直々に連絡を取ってやったことに感謝するがよいのじゃ!』

ブラックピット「…手短に話せのじゃロリ、今は気が立ってるんだ」

ナチュレ『誰がのじゃロリかっ!?
     相変わらずぶっきらぼうな態度しかせん奴め。まあよいわ。






     
     今、パックンフラワーに関する論文を纏めておるのだが…
     ブラックパックンはパックンフラワーの一種だという解説は…
     世間の、人間どもの一般認識に合致しておるかのう?』

ブラックピット「………………………………は?」

780Mii:2020/04/04(土) 23:51:55 ID:1BIb5Sbs
ナチュレ『ブラックパックンはパックンフラワーの一種であるとする情報が
    Wikipedia等、信頼性の低い所にポツポツと載っているには載っているのだが、
    何度考えても、どうにもしっくりこなくてのう。

    これが『パックン』の一種である、というのなら、まあわかるのじゃ。
    『口をパカッと開けてマリオを飲み込まんとする敵の総称』といったニュアンスになるからのう。

    じゃが、『パックンフラワー』とまで言ってしまうと、
    ファイア攻撃に弱いこと、物をぶつけることで倒せること、
    なにより植物であることなどの要素が必要になってくるじゃろう?

    ブラックパックンは、POWブロックやハイヒールドロップでしか倒せん。
    ダメージ通過はできず、壁や地面との間にマリオが挟まれれば圧死する。
    マリオ3ではPスイッチでコイン化までする、要するにブロック的、障害物的扱いじゃ。
    おまけにとある情報筋によれば、砲台顔負けの重量を誇るそうじゃ…!
    要するに、植物かどうかも疑わしい鉄の塊…!

    これをパックンフラワーの一種に含めるのは、ちと違和感があってのう。
    派生として紹介するのにとどめておいた方がいいのか、迷っておるのじゃ。
    ほれ、ブラック繋がりで、率直な意見を述べてみい――』

ブラックピット「どうでもいいわそんなもんっ!!!」プツッ

マスター「…ブラックピットさん、お静かにお願いします」

ブラックピット「――っ、すまない」

どうして俺の周りの奴は、ことごとく――俺の邪魔ばかりしやがるんだ…!
余計な恥をかきまくっているじゃないか…許さんぞ…!

781Mii:2020/04/04(土) 23:59:40 ID:1BIb5Sbs
パルテナ「スマブラ大会も、ほんとのほんとにラストスパート!優勝の可能性を残すファイターは、なんと…!
    マリオさん、クッパさん、そしてリンクさん!以上の3名となっております!」

ピット「ある意味、なんの面白みもへったくれもない途中結果ですね」

ブラックピット(始まってしまったか――――)ブルッ

パルテナ「ピ、ピットさん、そういうことを言ってはいけませんよ。
     なんでも、示し合わせて御三方とも休息を取られるそうで、最後の3日間が本当に待ち遠しくなって参りました!」

ピット「ま、まあ強いて言うならば…最後に残った微妙なポイント差を…
   リンクさんがどうやってひっくり返すかが見ものですね」

パルテナ「そうでしょうそうでしょう!さーて、それでは…!いつものごとく、『パルテナの何でも相談室』のコーナーでーす!
     本日は、なんとっ!次回大会のファイター候補にノミネートされている有望株の戦士にお越しいただきました!

     幼稚園児のころから戦闘訓練に明け暮れていた強者!
     魔導師の卵、アルル・ナジャさんです!どうぞっ!!!」ババッ!


アルル「……………………」

パルテナ「まさか、スレ内でぷよぷよが登場したと思ったら
    キャラクター自身が飛び入り参加するなんて、意外でしたね!ある意味贔屓なんでしょうか?」



アルル「………………………………帰っていい?」ハァ

パルテナ「!?」

782Mii:2020/04/05(日) 00:03:39 ID:VXE9Xe5k
アルル「ぶっちゃけ、次回参戦ノミネートとか、有り得ないから。
    ボク自身、次回スマブラに参戦できるとは全く思ってないし。
    大会名物とかいう激辛カレーっていうのを食べて、お土産でも買って、早く帰りたいよ」

パルテナ「こ、これは意外な展開にっ!?」

ピット「ちょちょちょ、ちょっと待ってください!なんですその放送事故!
   参戦希望だから、わざわざ来訪希望されたんでしょう!?
   それがどうして、そんなに消極的というか否定的な態度を取るんですか!?」

アルル「……いや……その……魔王やら変態やら友達たちに勝手にアポイント取られただけだし…
   全く来る気はなかったんだけど、体裁として、礼儀として、一応来ただけというか…
   それはかんっぜんにこちら側の不手際だから、謝るよ、本当にゴメン」ペコリ

パルテナ「」

ピット「」

783Mii:2020/04/05(日) 00:08:14 ID:VXE9Xe5k



「アルルが参戦してくれれば、きっと私も色替えキャラとして参戦できるよ!頑張って!」

アルル(ごめんアミティ、魔導戦闘の経験はボクしか持ってないから、
    万が一ボクが参戦できたとしてもアミティは無理だと思う…)



「参戦した暁には、科学的見地から的確な行動をとり、敵を翻弄して見せます!」

アルル(りんご…公式から思いっきり『ぷよを消すオワニモのチカラのみ与えられた』って言われてるよね。
    アミティ以上に深刻だよ。チキュウ人のりんごは戦えないよ。背景のぷよ連鎖スタンドでも使うの?)
 


「大乱闘?駄目です!そんな喧嘩をしちゃ!もっと愛し合いましょう!」

アルル(アリィ…二重人格をキャラの旨みにしたいのはわかるけど、
   どっちかというとドッペルゲンガーアルルやダークアルルで間に合ってるんだよ…。
   それに、酷なことを言うけど、アリィだけ不評なクロニクルのせいで知名度が…)



アルル「こんな感じ」

ピット「あちゃあ」

784Mii:2020/04/05(日) 00:10:51 ID:VXE9Xe5k
アルル「…………」ハァ

アルル「大体ねえ、スマブラに出るからには魔導物語がベースになると思うけど、
   いまやぷよぷよのイメージが99%のボクに、魔導物語を想起できる人がどれだけいるっていうの?
   海外展開なんかもっと絶望的だよ?
   版権問題も相変わらずだし、解決しなきゃならない課題が山積みだよ…」

ピット「そんなの、開発スタッフの勢いでどうにでもなりますって!
   私やパルテナさんを見てください!どれだけ新要素・改変要素があったと!」

アルル「なんか論点がずれてる気がするんだけど…」

パルテナ「で、でもですね!私、アルルさんの大ファンなんです!
     だから、そんなに簡単にあきらめてほしくないなって…!」

アルル「…え?ボクの…ファン?う、嬉しいけど…ど、どうして?」ドキッ







パルテナ「漫才の大先輩、始祖みたいな人ですから!!」キラキラキラキラ

アルル「すっごく傷ついたよ!」ガーン!

785Mii:2020/04/05(日) 00:14:41 ID:VXE9Xe5k
ピット「…と、いうわけで!やっぱり参戦したくなっちゃったー、
   みたいな宣言をしていただけないでしょうか!放送としてもそれが一番穏便なので、ぜひ!」

アルル「嫌だよ!!」

パルテナ「そこをなんとか――――そうです!いいことを思いつきました!
     参戦を果たした暁には、なにか一つ望みをかなえて差し上げますから!
     私の奇跡の力で!どどーんと!」



アルル「――」ビクッ



パルテナ「おおっ!意外にも食いついてくれたみたいですね、ふふふ…!
     さあ、倫理的に問題でない事なら、なんでも一つ願いを――」

アルル「『聖魔導物語』をなかったことにしてほしい」

パルテナ「」

ピット「えっ」

アルル「『聖魔導物語』をなかったことにしてほしい」

パルテナ「2回言った!?
     えーっと、流石にそれは私の力の限界を超えていまして…」

アルル「なぁんだ…」

786Mii:2020/04/05(日) 00:17:56 ID:VXE9Xe5k
パルテナ「あ、では意中の方の好感度を上げて差し上げるとかどうでしょう!
    シェゾさん?それとも案外サタンさん?」フフフ

アルル「はい?」

ピット「まあまあ、そんな恥ずかしがらずにー」ニヤニヤ

アルル「…………どうしてそれでボクが喜ぶと思ったかなあ…?
    ちょっと痛い目に遭いたいみたいだね――――」ユラァ

ピット「…あれ?あっれれー?カムイさんと同じことになりそうな気配です!
   アルルさん、落ち着いてください…駄目だ、そういえば元来好戦的な人でした!」

パルテナ「くっ、仕方がありませんね…!ピットさん、確実に抑え込みますよ!
     アルルさん、申し訳ありません!正当防衛させてもらいます!」ザッ・・・



ピット「お覚悟をっ!」ダダッ

パルテナ「参りますっ!」パアアアア

787Mii:2020/04/05(日) 00:24:07 ID:VXE9Xe5k
アルル「…ばよえーん!」キラッ!!

ズギャアアアアアアアア――――ン!!



パルテナ「」チーン

ピット「」チーン

アルル「…あのねー。登場作品数の分だけ強くなるんでしょー?
    初登場時期こそ負けてはいるけれど、ナンバリングタイトルと共に頻繁に出演して、
    おまけに多機種展開フルパワーなボクに、2人が勝てるわけないじゃないかー。
    …とりあえず、ボクは帰るね、スタッフさん。保存の効くカレーとか見つかるといいなぁ」テクテク

スタッフ「あ、はい。ありがとうございましたー。おーい、一旦放送止めろー」


ブツッ……。

スタッフ「放送が乱れております。しばらくお待ちください」


ブラックピット「…………もう耳栓でも付けるかな」ズーン

マスター「つ、次からは音量を落としますよ!気をしっかりお持ちください!
     はい、御注文のカクテルです!」ユサユサ   

客「だから時間帯ずらせばいいのに」

788Mii:2020/04/12(日) 18:23:33 ID:1MumzHu6
〜3日後〜

ロゼッタ「…………いよいよ、ですね」

ゼルダ「……ええ」

ヒルダ「長かったような、短かったような……」

デイジー「程よい長さに感じられたっていうんなら、それはきっと――
     充実した日々だったってことなんじゃないかな!」

勝負の時を、固唾を飲んで今か今かと待っています。
そんな私たちの緊張をほぐすべく、デイジー姫が元気溌剌と声を投げ掛けてくれます。

ロゼッタ「…最初の頃は、そうも言っていられないどん底状態でしたけれどね」

デイジー「うぐぅ…」

ヒルダ「…ふふ、今となってはそれも――い、い、おもい、でです、よ」ブルブル

デイジー「えーっと、無理しなくてもいいよー?まだ私にぶつけたい本音とか恨みつらみとかあるなら、
     今のうちに吐き出しちゃいなよ。…おっと、本当に嘔吐するのはノーサンキュー」

ヒルダ「――」プルプル

ヒルダ「――――――――もち、こたえ、ました」

デイジー「ちなみに今までの死亡カウント数を教えてあげると――――」

ヒルダ「聴きたくない聴きたくないっ!!」ブンブン

789Mii:2020/04/12(日) 18:26:27 ID:1MumzHu6
ヒルダ姫が、それはそれはもう、必死に首振り。
まだちょっと顔が青いですね。大丈夫でしょうか。

マリオたちからの合図が有れば、たちまち空間転移で「打合せの場所」へ。
もう制約がないのは本当にすがすがしい気分です。
…欲を言うならば、こっそり戻っておいてサポートに向かいたくはあったのですが、
偽者や黒幕に気配で勘付かれたり出くわしたりしたら本末転倒だから、とのこと。

チコたちがそわそわしています。
私はみんなをあやしつつ、チコ2人を両肩に乗せて、スタンバイ。

ヒルダ「…ロゼッタ、本気でそんな状態で登場するおつもりで?」

ロゼッタ「ふふ、鍛えられたおかげで全く重くありませんよ?」

ヒルダ「そういうことでは、なくてですね…」

ゼルダ「ヒルダ姫、つっつかないでおきましょう。
    あんまり言及すると『貴方たちにもチコをお貸しします』とか言いかねません」

ヒルダ「た、確かに……」

790Mii:2020/04/12(日) 18:27:35 ID:1MumzHu6
デイジー「さてと。…みんなー、気合いは十分だねー?
     …やれるだけのことは、やった。覚悟も、ビシッと固めた。
     私は緊急時以外は後衛サポートに徹するから――――

     みんなの成長っぷり、仲間に、そしてにっくき敵共に――
     思う存分、見せてやれー!」



ゼルダ「――――言われなくても」

ゼルダ姫が、目を細め。



ヒルダ「――――できる限り、やってみます」

ヒルダ姫が、拳をグッと握り。



ロゼッタ「――――承知いたしました」スッ・・・

私は、最後の精神統一を済ませます――――

791Mii:2020/04/12(日) 18:30:41 ID:1MumzHu6
〜選手控室〜

選手たちの目が、血走っている、この感じ。
別に、怒りに我を忘れている…というありがちな意味ではなく、
それだけ皆が大会に集中しているってこと。強者も弱者も関係ない。
誰だって、前の自分を、昨日の自分を超えるために凌ぎを削っているのだから。
大会は間もなく終わる。最後の踏ん張り、正念場。

…ただし、今から――――「ありがちな意味」での、目の血走りを――――
俺たちは、目にすることに、なるだろう。
そう、「ロゼッタ」の思惑通りに。

クッパ(989888241983…っと)

クッパ「よーし、皆、集まったな!それではアイテムを返却していくぞ!
   必要な者はさっさと並べ!」

もはや恒例作業、ずらりと選手たちが一列に並ぶ。

ピーチ「…………私は今日は参戦しないって言ってるのに…
    どうしてこんなところに呼び出されたのよ…………はぁ…」

マリオ「まーまー。疲労困憊中のピーチにも、この闘志を燃やす選手たちを見て
   元気を出してほしかったんだ。楽しんでる奴はちゃんと楽しんでるんだよ。…元気出た?」

ピーチ「…それ、どっちかというとクッパの金庫の存在のおかげでしょ?
    気兼ねなく、後顧の憂いなく参戦できるようになったから…。
    私の無力さに、むしろ打ちひしがれるわね……」

マリオ「駄目だこりゃ。処置無し」

792Mii:2020/04/12(日) 18:32:45 ID:1MumzHu6
オリマー「生命維持装置が無事でなによりだ」

ピカチュウ「チャア……ピカッ!?ピッカー!!!」

ニャース「電気玉のひとつ前に、これ見よがしに雷の石を預けたのは誰だぁ!…って言ってるニャ」

ロボット(ヒジョウヨウ、エネルギー・・・)

ディディーコング「任天堂の帽子、確かにゲーット!これ失うと大問題だからなー!
          正直ピーナッツポップガンより優先順位高いよ…」

シュルク「今日も無事に、モナドが帰ってきたね。
     …いえ、あの、穴あき包丁じゃないです。
     斬った敵がはがれやすいとか、ないです。本当にないですから」

ワリオ「俺んとこで作ったクソゲーの山、盗まれてた?盗まれてた?
   あー、盗まれてたわ。こりゃ、1個あたり10億コイン弁償して貰わなきゃな。
   …………嘘つくな?チッ、ばれたか」



リンク「……………………」

793Mii:2020/04/12(日) 18:36:21 ID:1MumzHu6
クッパ「よーし、これで今朝の分は全部吐き出したな――――」



リンク「…………おいクッパ、俺のマスターソードは?」



クッパ「えっ、知らんぞ?」

ピット「…あれ?なんだか…様子が、おかしいぞ?」



リンク「…………ハイリアの盾も。まだ受け取ってないぞ」

クッパ「何だと!?そんな馬鹿な、もう金庫の中には残っていないぞ!?
   …でも、確かに…帳簿上は、有るはず、だよな…!」ペラッ

リンク「はあああああああああああ!?」



ザワザワザワ・・・・・・!!!

クッパ「…おい、カメック!聞こえておるか!急ぎ、全員を連れてこい!
   魔法の痕跡がないか、徹底的に調査するのだっ!!」トゥルルル

カメック『しょ、承知致しましたっ!』

794Mii:2020/04/12(日) 18:39:41 ID:1MumzHu6
ピーチ「ま、まさ、か――――」





カメック「…間違いありません。金庫に張られた術式の一部が、一部抉られていることが確認されました。
     何者かによる――――侵入ならびに強奪行為の結果、でしょう」

リンク「――――――――」ブルブルブルブル

デデデ「Oh・・・・」

クッパJr.「パパがあんなに自信満々だった金庫が、こんなにあっさり――――!!
     嘘だ嘘だっ!こんなの間違ってるっ!認めないぞっ!!」

リンク「――――どういう、ことだよ」

マリオ「リン、ク…………!!」

リンク「――――どういうことだ、マリオ――――ッ!!!」ガシッ

マリオ「グハッ――」

クッパ「お、おい――――」

リンク「俺はっ!!俺は、なあっ!!マリオとクッパがあんなに自信ありげなものだから、
   信用してっ!信頼してっ!俺の宝物たちを、何の不審もなく預けてたんだぞっ!!
   他のファイターにも信用してもらえたらいいなっていう想いも込めて――っ!
   なのにこれは、どういう了見だっ!!ふざけんなぁっ!!」ギリリリ

795Mii:2020/04/12(日) 18:41:44 ID:1MumzHu6
マリオ「――――」

ピーチ「や、やめてリンク!!マリオは悪くないのっ!!
   わ、私が――ちゃんとしていない、ばっかりに――――!!
   キ、キノコ王国として、しっかり対価は支払わせてもらうから――――っ!」

リンク「対価、だとっ!けっ!冗談じゃ、ないっ!!
   あの剣と盾の代わりだなんて、キノコ王国が用意できるわけねーだろ!
   話になるかよっ!ハッ!!

   …もしや。おい、一連のこと……全部、キノコ王国の、仕込み、か――?」

ピーチ「…はぁ!?」
   
リンク「そうだ…そうだよ――
   考えてみれば、キノコ城をちょっと要補修にするくらいで、
   ゼルダ姫とヒルダを亡き者にできるくらいなら――――
   ハイラル潰して一強王国になるため、やっすい料金、だよな――」

ピーチ「フザケたこと言わないでっ!キレるわよ私でもっ!!」



一触即発、大混乱。団結力がガラガラと崩れていく、音がする。



リンク「そう考えちまうくらい、お前らのやったことは論外、問題外なんだよっ!!
   どうなんだ、ええっ!!マリオ、何とか言ってみやがれや!!」ドスッ!!

796Mii:2020/04/12(日) 18:44:30 ID:1MumzHu6
マリオ「――――――――――――――――――――――――――――――
    ―――――――――――――――――――――――すまん」

リンク「聴こえねーよ!」ガンッ!

マリオ「――――――――すまない――本当に、済まなかった――――」

ピーチ「…………リンク、やめて――――お願い――――っ!」ウルッ

ロゼッタ「そ、そうですリンクさん!そんなことをしても何も解決しないですよ!」

ルキナ「リ、リンクさん!きっと、誤解です!見ていられませんっ!
    そ、そんなことをなさらないで――」グズッ








リンク「ルキナがそう言うならやめとくわ」パッ

マリオ「それがいいそれがいい」

ピーチ「」ズルッ

ロゼッタ「」

ルキナ「えっ」

797Mii:2020/04/12(日) 18:50:19 ID:1MumzHu6
ピーチ「…え?今の、なに?」

リンク「…悪い悪い、ちょっと芝居打たせてもらった。
   一応、間違って受け取った人が名乗り出てくることも願ってたからな。
   まあ、誰も出てこないし、盗まれたことが確定したわけだが。

   俺が3日間もマスターソードとハイリアの盾を預けっぱなしにするって
   さんざん自分から言いふらしたら、そりゃあ確かに犯人も盗みたくなるだろ。
   足もだいぶ付きにくくなるし絶好のチャンスだよな」

ピーチ「…し、芝居って。結局盗られたら意味がないじゃない!」





リンク「いやだって、取られたの模造品だし」

クッパ「急ごしらえで我が技術部に造らせたのだ」

マリオ(ま、十分に見慣れている人は引っ掛かりようがない、くらいの再現度だけどな!)

ピーチ「」

ロゼッタ「」

クッパ「ん?どうした?特にロゼッタ、えらく驚愕しているみたいだが」

ロゼッタ「い、いえ、別になんでも……」

798Mii:2020/04/12(日) 18:54:58 ID:1MumzHu6
ざわざわと、さっきとは別の意味で騒がしくなってきた。


リンク「はい、全員集まってるなー!こんだけ騒いだってこともあるしー。
    それでー。ここにいるみんなを証人として、何がしたいかと申し上げますとー。

    模造品には、クッパ帝国技術部の粋を集めた闇のトラップ――
    超強力な呪いの仕掛けを施していたんだよねえ」

クッパ「うむ。非常時の為に秘密裏に開発していた負の代物が、
    まさか役に立つ時が来るとはワガハイも考えていなかったぞ」

ピーチ「……………………えっ」

ロゼッタ「…………………………………………はい?」

リンク「ここに、偽マスターソードと偽ハイリアの盾、それぞれに対応した呪詛を込めた水晶玉がありまぁす。見えてるよなー!
   もうここに犯人が潜伏しているわけもないから、種明かししちゃうぞ!

   偽マスターソードに対応している方の水晶玉を、このように割りますとっ!」ブンッ



リンクが、握り拳大の2つの水晶玉をどこからともなく取り出し――
そのうちのひとつを、床に向けて叩きつける。
赤く光っていた方の水晶玉が、パリィンという高い音と共に、粉々に砕け散って消えて行った。



ロゼッタ「……っ!」ゾクッ

799Mii:2020/04/12(日) 19:02:25 ID:1MumzHu6
ピット「これで、どうなったの?」

クッパ「水晶を割った瞬間において、『偽マスターソードに最後に触れていた』輩に残機数貫通の『死の呪い』を付与する。
    今頃犯人は、意味も解らぬ倦怠感と吐き気と殺気に襲われていることだろう。

    更に、この呪いは個々人のFPなり魔力なりに反応する類の物なのだが、
    その者に対して魔力供与を施していた関連者がいるならば、
    対象者を芋ヅル式に増やして死刑宣告ができる優れものなのだ。どうだ、呪いって凄いだろう!」

リンク「ふんぞり返るだけのことはあるよ、マジで。あとは、こっち…盾に対応する水晶玉を割って、呪いを発動させるだけだな。
   体中の細胞がたちまち煮え滾ってから爆発四散、苦しむ暇もなく絶命するんだとさ」

サムス「自業自得だがやることがえげつないな!?」

リンク「サムス、知ってるか?基本的に国家転覆罪ってすべからく死刑なんだぜ?」

ピーチ「す、すごいわ…!!流石に技術力で負けたかも……!!
    ち、ちなみに呪いを回避されたりはしないの?ポカミスとかやめてよね」

リンク「ああ、一応そこが問題だったから、あえて3日間も時間を空けたんだけどな。
   
   2つの水晶玉は連動した絡繰りで、60秒おきに立て続けに割らないと効果を発揮しないんだが、
   その間に、この呪いを付与された人が、水晶玉を割った人…
   つまり俺に対して触れると、儀式に失敗して呪いをなすり付けられるらしいんだよ。
   俺の足元に、魔法陣が展開してるだろ?まだ儀式途中なんだ。
   
   万が一にもタッチされて逆に殺されました、じゃあ笑い話にもならないからさ。
   犯人が完全に遠くに離れる頃合いを待ってたわけだ」

ピット「へえ…ってブラピさん、その『その回りくどい儀式に厨二心くすぐられました』って顔、やめてください」

800Mii:2020/04/12(日) 19:06:20 ID:1MumzHu6
リンク「悪いけど、ここまでやってきた犯人には慈悲はないぞー!
   そんじゃ、カウントダウンしていって、もうひとつの水晶玉も割っちゃいまーす!
   せいぜい愉しい思いをしたまま、訳も分からず野垂れ死ぬがよい!
   …って言っても体すら残らないし、野垂れ死ぬこともできないか。まあいいや。

   じゅーう!きゅーう!はーち!なーな!ろーく!」

ピーチ「犯人の死に様を偶然目撃しちゃう無関係者のことだけが気懸りなんだけど……」ドキドキ

ワリオ「…ハッ!あっけない幕切れだな…ま、不届き者にはお似合いか」

パルテナ「ワリオが言うとちょっと違和感があるような…まあ、報いは受けるべきでしょうか」

リンク「ごー!よーん!さーん!にー!いーち!!」バッ



リンク「――――ゼロッ!!」



ガッシャアアアァァン!!



何の疑いもナシに、思いの丈を腕に籠め。
リンクが両腕をブンっと振りかぶり、力任せに叩きつけ――――
青く光っていた方の、2つ目の水晶玉が、割れた。

801Mii:2020/04/12(日) 19:10:52 ID:1MumzHu6

そして、皆が――――――――目を、見張る。



ガシイイィッ!!

クッパ「――――なお。
   そんなご都合主義満載の呪いは、流石に作れなかったのだ。
   せいぜいが、対象者に腹痛をもたらすくらいの作用しかない。
   まあ、1つ目の水晶玉の効果さえあればハッタリには十分だと思ったので、
   それすら搭載していないが」

リンク「そゆことそゆこと。…………さぁてと。







   
    背中から転移で突進してきたのが無駄になって、悪いな。
    ま、そんなわけで…色々と聴きたいことがあるんだけどな――――ロゼッタ氏?」



ロゼッタ「――――――――ハァッ、ハァッ――――!!」ブルブル

容疑者、ここに確保なり――

802Mii:2020/04/12(日) 19:14:47 ID:1MumzHu6
いつもの穏やかな顔とはまるで異なる、目つきの悪いロゼッタが、息を荒げている。
我に返って、表情を引っ込めても、流石に遅い。周囲の目にはしっかり焼き付いた。

ロゼッタ「…い、いえ。ちょっと、首筋に蚊が止まっていたもので」

リンク「マジか!!こんなときに、犯人と疑われかねないことまで承知のうえで
   蚊を叩き潰しに突撃してきてくれたのか!ロゼッタさんすげえ!
   よっぽどの聖女なんだな!疑って悪かった!」

ロゼッタ「い、いえ。気にしないでください、ふふ…」



リンク「あるいは、この場でそんな言い訳が通じると思っている心底の馬鹿なんだな!」

ロゼッタ「――え」

クッパ「さて、ここで特に意味はないが1個目の水晶玉の呪いを強めるのだ。カメック、やれ」

カメック「あ、はい」ピカアアァ

ロゼッタ「――――――――がああぁっ!?」ガハッ



紫電の靄が、彼女の周りに立ち込める。口を覆いかけて、咄嗟にやめたはいいものの。
彼女は、体がよろめくのを防ぎきれない。

ロゼッタ「――――――――――――――――ハァッ、ハァッ…何を…」ヨロッ

803Mii:2020/04/12(日) 19:18:28 ID:1MumzHu6
クッパ「……」ヤレヤレ

リンク「語るに落ちたな」

むらびと「…………ロゼッタ、さん?嘘、でしょ?」

ファルコ「…まさ、か。全部が全部、こいつの、仕業?…そりゃ、立場的には――可能、だな…」

ピーチ「嘘よっ!!ロゼッタが…ロゼッタがっ!そんなこと、するわけ、ないっ!!
   きっと、私、疲れすぎで悪夢を見てるんだわ…!!」フラッ

ロゼッタ「そ、その通りですピーチ姫!信じてください、私です!ピーチ姫の友人のロゼッタです!
     マリオ達は洗脳か何かをされていて、私を罠に掛けようとしているのです!」

ピーチ「な、なんですって――」

パルテナ「……それはおかしいですね。
     マリオにリンクにクッパ、この御三方を操れているというのなら、
     そんなまどろっこしいことをせずとも、単純に暴れ回らせるだけで――
     黒幕は私たち全員を亡き者にして、キノコ王国を潰せると思うのですが。
     この状況、鯛で海老を釣っていませんか?」

ピット「悔しいけど言えてます」

パルテナ「ついでに言うと、そんな状況なら3強の皆さんに責任転嫁できるので…
     無駄死にしないためにも、従順な駒として一時的にでも寝返っておきますね♪
     要するに洗脳されてようがいまいが、今やることはマリオ達との同調ですよ?」

ピット「ドヤ顔でぶっちゃけましたねパルテナ様!」

804Mii:2020/04/12(日) 19:23:07 ID:1MumzHu6
マリオ「なーんか釈然としないが…嘘は付いてないが、正解でもないんだぞ。
    こいつは、ロゼッタだけどロゼッタじゃないんだぞ」

ピーチ「…え?……ニセモノ?ロゼッタの!?
   ――――総員、最大限警戒してっ!!」

マリオ「うん、話が早くて助かる」













ロゼッタ「――――何時から、気付いていたのですか?後学のためにご教授ください」

ピーチ「――っ!――ほん、とうに…」



流石に、本物のふりは、止めることにしたらしい。
汗ばみ、身悶えながらも、薄気味悪い笑みを浮かべつつ、ロゼッタが問うてくる。
じりじりと、人がいない壁の方に、後ずさりしながら。意地汚く活路を見出そうとしているようだ。

805Mii:2020/04/12(日) 19:26:13 ID:1MumzHu6
マリオ「なーんか釈然としないが…嘘は付いてないが、正解でもないんだぞ。
こいつは、ロゼッタだけどロゼッタじゃないんだぞ」

ピーチ「…え?……ニセモノ?ロゼッタの!?
   ――――総員、最大限警戒してっ!!」


リンク「まあ、俺たちの話し合いの結果からすると、
   初期の初期としてはチートっぽい気付き方だったけど……」ポリポリ

クッパ「まあ、そうだな」コホン

マリオ「なにより、金庫に跳ね返されてあっさり引き下がった時点で確定だったな。

   空間魔法に命を懸けてるロゼッタだぞ?
   『あり得ませんっ!なんとしてでも突破して見せますからね!』
   とかなんとか言って、ここぞとばかりに気の済むまでチャレンジするだろうに。

   そもそも、ロゼッタが本気を出したら、カメックたちが集団で頑張ったところで
   魔法レベル差の暴力で一瞬で破れるはずだし」
   
カメック「えっ、酷くない?」



クッパ「というより、ロゼッタが本当に跳ね返されるくらいの術式だったとしたら
   パルテナごときは光の粒と化すか体が切断されてあの世行きだったろうしな」

パルテナ「えっ、酷くない?」

806Mii:2020/04/12(日) 19:29:37 ID:1MumzHu6
>>805訂正

リンク「まあ、俺たちの話し合いの結果からすると、
   初期の初期としてはチートっぽい気付き方だったけど……」ポリポリ

クッパ「まあ、そうだな」コホン

マリオ「なにより、金庫に跳ね返されてあっさり引き下がった時点で確定だったな。

   空間魔法に命を懸けてるロゼッタだぞ?もしも本物なら――
   『あり得ませんっ!なんとしてでも突破して見せますからね!』
   とかなんとか言って、ここぞとばかりに気の済むまでチャレンジするだろうに。

   そもそも、ロゼッタが本気を出したら、カメックたちが集団で頑張ったところで
   魔法レベル差の暴力で一瞬で破れるはずだし」
   
カメック「えっ、酷くない?」



クッパ「というより、ロゼッタが本当に跳ね返されるくらいの術式だったとしたら
   パルテナごときは光の粒と化すか体が切断されてあの世行きだったろうしな」

パルテナ「えっ、酷くない?」

807Mii:2020/04/12(日) 19:32:13 ID:1MumzHu6
ロゼッタ「――――」





ロゼッタ「――――くっ」シュン!

ピット「ああっ!空間転移で逃げたっ!」

マリオ「大丈夫だ!そんなに距離を稼げるわけじゃない!
   おまけにあのニセモノは大したチカラを持っていないからな!

   ただ、観客に絡まれると面倒だ!外には逃がすなっ!
   非公式試合仕様のフィールドに追い立てろ!」ダダダッ!

リンク「りょーかい!」ダダダッ!

ソニック「俺たちから逃げ切れると思うなよっ!」ダダダダダダダダ

ファルコ「――アイツ、もう許さねえぞ!待ちやがれ!」ダダダッ!

フォックス「ファルコがいつになく切れている…!」ダダダッ!

808Mii:2020/04/12(日) 19:38:36 ID:1MumzHu6
ロゼッタ(――――最低です、こんなばれ方をするとは。
     もう、とっとと爆弾を起爆させてしまいましょうか)タタタタッ

ロゼッタ(――!あのフィールドの扉、半開きですね。
     追いかけっこをしたところでじきに追いつかれる…仕方ありません、滑り込みましょう)

バタンッ!

ロゼッタ(はぁ、はぁ……これで時間を稼げます、ね)

ロゼッタ『申し訳ございません、タブー様。このような体たらくとなってしまい……』

     『――まあ、よいだろう。お前が本物ではないと露見したところで、
     私がお前に期待するところは、特に変わりはしない。
     能力余すことなく私に協力し、場を攪乱し、キノコ王国の崩壊に努めよ。
     それさえ達成されたならば、この程度の粗相など些細なことだ』

ロゼッタ『寛大なお言葉、感謝いたし、ます――――っ!?』



リンク「偽ロゼッター!ここかぁー!想定通り過ぎて恐ろしいぜ!」ダンッ!!

マリオ「控室に全員集まってたのに、半開きに『しておいた』扉が閉まってたら
   居場所を教えてるようなもんだよなぁー!
   このあたりのウッカリ具合はしっかり本人から引き継いでるな…!」

ファイターたちが、次々に雪崩れ込んでくる。
たちまち私は、フィールドの中央で――袋の鼠になりました。

809Mii:2020/04/12(日) 19:43:24 ID:1MumzHu6
リンク「もう逃げられないぞ!さあ、観念しろ!
   そんでもって!ここに!最後の証拠を突き付けるっ!」

マリオ「さあさあ、舞台は整った!本物のロゼッタたちの、ご登場だっ!」ポチッ!

ピーチ「本物っ!?いつの間に確保してたのっ!?
    どうして私たちに言ってくれなかったのよ!」

マリオ「…敵を欺くにはまず味方か――――」バシッ

マリオ「…痛いじゃないか」

ピーチ「当たり前よっ!むしろこの程度で済んで感謝しなさい!」



ゴゴゴゴゴゴ……!!!



ロゼッタ「――――!?」

見上げれば、空中に、まばゆい光――
光り輝く空間の裂け目から、登場するはずのなかった3人…いえ、4人…!?
彼女らが、颯爽と登場し――――

ロゼッタ(馬鹿なっ!まさか…あの女が…!
     イレギュラーが、よくもやってくれましたねえ…………!)ギリッ

810Mii:2020/04/12(日) 19:47:12 ID:1MumzHu6
ドキドキ、ハラハラ。
4人の乙女が、皆の待つフィールドへ、飛び降りる形で颯爽と登場――――!
まもなく、地面に降り立ちます――――!



デイジー「にゃはは!『馬鹿なっ!まさか…あの女が…!(ギリッ)』とか思ってそうな、ひっどい顔だねえ!

     …いけっ!ゼルダ!ヒルダ!ロゼッタ!」ヒュゥゥ 

ゼルダ「私たちを指差さないでくださいっ!…まったく。
    それにしても、今の隙のうちにリンクなら不意打ちで一撃のもと倒せますよね。
    …ははあ、そういうことですか」ヒュウウ

ヒルダ「…もう、何を呑気なことをいっているのですか。舌を噛みますよっ!
    罠が仕掛けられている可能性もゼロではありません、気を引き締めて!」ヒュゥゥ

ロゼッタ「さあ…想定通り、ファイターの皆さんが集まったところで――――
     本物と認識してもらいつつ、華麗に登場して見せましたよ、このフィールドに――――
    そう、『イッシュポケモンリーグ』へとっ!」ヒュゥゥ

チコ×2「「わー!」」



――――この程度の高低差、今では何てことはありませんっ!
――――いざっ!着地しますっ!

811Mii:2020/04/12(日) 19:50:16 ID:1MumzHu6
ゼルダ「ハッ!」

ダァーン!!
50kg OVER!▼



ヒルダ「ふっ!」

ダァーン!!
50kg OVER!▼



ロゼッタ「お待たせ、しましたぁっ!!」

ズッシャアアァァ――――ンッ!!!
150kg OVER! 砂煙が 舞っている!▼



ロゼッタ「…………ふえっ?」カアァ

ゼルダ「」

ヒルダ「」

マリオ「」

リンク「」

812Mii:2020/04/12(日) 19:58:08 ID:1MumzHu6
ピット「…150超マイナス40×2だから……
   BW仕様なら上限も設けられてないし……」

パルテナ「やめて差し上げなさい!」ポカッ

ピット「」チーン

ピーチ「そうよ!ロゼッタの身長205cmからすると84kgでようやくBMI20よ、
    まだ痩せてるんだから!たぶん!」ヒソヒソ

Wii Fit トレーナー「はい、至って健康体と思われます」ヒソヒソ

デイジー(ロゼッタ、ほぼ吐き気を催すこともなく、毎日しっかり食べてたからなあ…
     脂肪だけ付いていったわけでもなく体格もしっかり強化されてるし、
     全く悪いことじゃないんだけど……本人はそうは思ってないだろうなあ…)



むらびと「……えっとお、重い方が…本物?」

ロゼッタ「」グサッ

ファルコ「そ、そこは強い方が本物、とかにしておけよ!
     女は体重のことを口出しすると怖えんだよ、知っとけ!」ヒソヒソ

ロゼッタ「――――――――」

ロゼッタ「」ギロッ

フィールド「消し飛ばされそうな殺気をひしひしと感じるぜ!ハハッ!」

813Mii:2020/08/19(水) 20:39:12 ID:sn8BwqIA
ななな、なんですか、このフィールド仕様っ!?顔から火が出るとはこのことです!
こんなフィールドを選択するだなんて…!マリオ、恨みますからねぇっ!!
恥ずかしさと怒りのままに、無性に地団駄を踏みたくなってきました!
…2回目の砂煙とかが起きたら恥の上塗りなので、やめておきましょう。

と、とりあえず、ですねっ!
なんだか激しく体重バレしたような気がしますが、きっと錯覚です!
今はそんなことは捨て置いて、しっかり敵を見据えましょう、ええ!

マリオ「――――よしっ!ロゼッタ!ズルい気はするが、今すぐ制空権を!
    空中庭園《スカイガーデン》を展開してくれっ!そうすりゃタブーも形無しだ!」

リンク「…空中庭園?なんだ、それ?」

御存じのない方は、はて?という顔をされますが。
なるほど、相手の出鼻を挫くのは正当ですね!
分身たちの、そしてタブー本人の得意とする空間魔法を封じ込めてしまいましょう!
所詮分身たちの魔法レベルでは、このS+ランク魔法を行使するなどということは、到底できなかったでしょうから!

ロゼッタ「はいっ、おまかせ――――――――」



ぴしり、と。
杖を振り翳した状態で、思わず、固まってしまいました。



ロゼッタ(そういう私も、S+ランク魔法なんて現状では使えっこないじゃないですかっ!?
     魔法の制御力が落ちたこと、マリオ達に伝えそびれていましたぁ――――!!?)

814Mii:2020/08/19(水) 20:44:58 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ(偽)「あら?どうしたのですか?
        ――――まさか、できないのですか?『本物の私』ときたら」クスッ

――悟られた!?

ここに来て、小さく笑って見せる『偽者の私』。
自分に笑われると、なんだか無性に腹が立ちますね。

マリオ「え、おい待て、それは本当に想定外になっちゃうんだけど。
    敵さんは空間魔法を早々と使えなくなるっていう大前提があったんだけど。
    いろいろと計画が狂うんだけど!なんでできないんだ、ロゼッタ!?」

ロゼッタ「え、えっと、ちょっとした事故の副作用で――――っ!」

マリオ「うおぉーい!?報・連・相!!先に言っといてくれよ!」

ロゼッタ「すすすすいません!!」ガバッ

思わずマリオに叫ばれます!
これは平謝りするしか選択肢がありません!

ロゼッタ(偽)「へえ、そうだったんですね。
       何から何までそちらに都合よく、というわけではないようで安心しました」

ニタリ、と嫌な笑い方をして、偽者の私がすぅっと浮かび上がります。
…いえ?浮かび上がるというより、上へと引き寄せられている?
まるで、主と仰ぐ者の元に馳せ参じるかのように。――――まさかっ!

ロゼッタ(偽)「貴方たちは追いつめたつもりなのでしょうが――
       まさか、逆に誘い込まれたとは、思ってもいないのですね」フワァ

815Mii:2020/08/19(水) 20:51:55 ID:sn8BwqIA
マリオ「先行きが不透明になってきたな…手間がやたら掛かりそうだ…
    で?勿体ぶらずにとっとと出てこいや、ラスボスさんよ」



    『――――そこまで言うのなら、致し方ない』



j跪くがよい、とでも言いそうな高圧的な雰囲気とともに…空間がねじ曲がり、亀裂が発生。
ぬるっと、スライムのような軟体性の物体が、突如として――どこからともなく、流れ出してきました――!
無秩序に発光して、各部位がビビッドに存在を主張してきます。

デイジー「何あれ…気持ち悪い…うげぇ」

ピーチ「うん、久しぶりね、デイジー!
    そして、歯に衣着せぬ率直な意見を、代表して出してくれてありがとう」

うにょうにょとグロテスクに蠢いたあと、ほどなくして半透明な人の形をとっていき――
やがて、体格が固定された模様です。
ただ、大きさ自体は波打つように…常時、変化。5メートル〜10メートルを行ったり来たり。
なんというか、ただただ不気味です。ステレオタイプなエイリアン、といった感じです。

     『この会場…いや、この王国もろとも破壊し尽くしてくれる――
      私の復讐劇、とくと味わうがよい――――!』

ピーチ「……はぁ。これ以上、私たちの王国に難癖付けるのはやめて下さる?
    というか、災難がキノコ王国に集中し過ぎよ…」

体調不良も相まって、不機嫌極まりない元首様の嘆きが、力なく発せられて消えていきました。

816Mii:2020/08/19(水) 20:56:15 ID:sn8BwqIA
裏切り者の私の分身体が、フッと追加で現れて…計、3人。
なるほど、ゼルダ姫とヒルダ姫の姿を偽るのはやめたということですか。
今さら、意味ないですもんね。でもあれで…全部のはず。

さきほどまで皆の視線の的だった偽者が浮かび上がっていき…そのままタブーのもとへ。
こうしてみると、2メートル超えの私でも小さく見えますね。
ほら、あんな感じにタブーの肩にストンと座って、しな垂れかかって――
それを受け入れるかのように、タブーが片腕で抱きかかえるようにして――

って、私の姿で何やってくれてるんですか!?別の意味で大問題なんですけどっ!?
私、そんなにふしだらな人間ではありません!目に毒!おぞましい!鳥肌ものです!!
顔面蒼白、大慌ての私を尻目に、顔を赤らめながら流し目でこちらを眺めて、み、せ、て――――
ええ、大層煽情的ですこと。

パルテナ「いかがわしい」

サムス「いかがわしい」

ワリオ「いくら俺でも引くわー」

ロゼッタ「ああああああぁぁ!?」ゾワッ!

817Mii:2020/08/19(水) 21:00:31 ID:sn8BwqIA
なにこれ酷い!酷すぎます!
衆目に晒す事、耐えられません!

ロゼッタ「…………キレました!ええ、流石の私も堪忍袋の緒が切れました!!
     マリオッ!あの破廉恥極まりない、頭からっぽそうな馬鹿面を晒す女狐、
     私がとっとと成敗してしまって構いませんかねっ!?」

マリオ「お、おう。正論とはいえ本人から言われるとすっごくシュール。
    お、俺たちも手助けするから、や…やってみるか?無理はするなよ?」ビクッ



ロゼッタ(偽2)「なにをそんな、強がりを」

ロゼッタ(偽3)「貴方程度に、そんな大それたことができますか?
         大人しく、タブー様に周りが蹂躙される所を…怯えながら眺めていなさい」

残る2人の偽者の私が、憎たらしい顔をしながら、からかうように声をかける。
人を見下して、止まない目です。眩暈がします。
いったい、どれだけこの人たちは――マリオ達に迷惑を掛けてきたというのでしょうか。
もう、想像するだけで泣きたくなります。



自業自得ながら、私自身への今後の風当たりまで――暗雲立ち込めていて。

818Mii:2020/08/19(水) 21:05:12 ID:sn8BwqIA

ロゼッタ(偽2)「…いえ、そもそも――私たちをいつまでも軽んじていることが、
         とてつもない命取りになったり――」シュンッ!



リンク「――ぎっ!?」

クッパ「――なっ!?」

マリオ「――げげっ!?」

――――なんと。
一瞬の隙を狙われて。偽者のうちの1人が、テレポート。
さすが私の分身、とか言っている場合では、ありませんね!



ヒルダ「ひゃっ――――」グッ

ヒルダ姫の背後に突如として現れ、腕を回し――
たちどころに首を絞める体制に入りました――――!

ヒルダ「――――が――ぅ――――」ギチギチ

ピーチ「――っ!」

819Mii:2020/08/19(水) 21:10:35 ID:sn8BwqIA
愉快痛快といった感じで、彼女は興奮気味に話します。

ロゼッタ(偽2)「ゾクゾクしますねぇ…!ああ、動かないでくださいねー、皆さん。
        一人でも何かアクションを起こせば、首をぽきりと折りますよ?
        いくら私でも、この人相手ならばそのくらいのこと、訳ないですよ?
        それなりに筋力差はあるんですからね、ふふ、ふふふ」

無駄に妖絶な顔持ちを醸し出した分身体。…いや、ほんと、やめてください。それはともかく。
致命的な遅れを取ったピーチ姫は、驚愕の顔を隠さないまま固まってしまいました。

サムス「…………お前、最低な奴だな。弱者を狙うなんて。
    陰でコソコソ動いて、同士討ち狙って、挙句の果てに人質か。正々堂々戦うという矜持はないのか?」

ロゼッタ(偽3)「貴方ごときに説教される筋合いはありません。
        すべてはタブー様の思し召し、タブー様の意向ありき――」

マルス「これは、ちょっと、腹立たしすぎる光景だね――吐き気を催すくらい」



どのファイターたちも、動けない。責任を背負えない。ピーチ姫の指示を仰ごうという雰囲気です。
やろうと思えば、1秒先に、ヒルダ姫の命は尽きる、そういうことですか。

820Mii:2020/08/19(水) 21:14:53 ID:sn8BwqIA
ピーチ「ごめん、なさい。痛い、苦しい思いをさせることになるけど、
    ここは心を鬼にして――――」ウルッ

マリオ「……!?駄目だ、ピーチ!大ポカやっちまった!
    今は『乱闘中』制御下じゃない!フィールド内でも残機制度が働かん!!
    死んだらそれまでだ!!」

ピーチ「――――なんで、よぉっ!!」

ここにきて、痛恨の準備不足、紐の掛け間違い――!
ほんとのほんとに、ピーチ姫がなすすべ無しで立ちすくんでしまいました。

ロゼッタ(偽2)「あは♪意気込んでおいて、なんともお粗末なものですね!
        形勢逆転!この駆け引き、私たちの勝利――」











ヒルダ「――――言いたい……こと、は、それ、だけ…ですか?」

821Mii:2020/08/19(水) 21:20:24 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ(偽2)「…は?馬鹿なのですか?立場をわきまえていますか?
        少しは黙っておいた方が身のためで――」グググ
(基礎体力レベル:Lv.20)



ヒルダ「――――ふんっ!!」ガンッ!

ヒルダの 頭突き!
ロゼッタ(偽2)の 顔面に クリンヒット!▼

ロゼッタ(偽2)「ふべっ」フラリ


ヒルダ「胴ががら空きですっ!!」ザンッ

ヒルダの 肘突き!▼

ロゼッタ(偽2)「がっ!?」ヨロッ


ヒルダ「吹っ飛べええええぇぇぇ――――っ!!」グワンッ!
(基礎体力レベル:Lv.28)

スマッシュ攻撃発動! ヒルダの ビルダーハンマー!▼

ロゼッタ(偽2)「」バチコーン!

リンク「」

822Mii:2020/08/19(水) 21:24:11 ID:sn8BwqIA
ヒュルルル――――


ゼルダ「あ、ゴミが飛んできましたね。目障りなので蹴っておきましょう」ゲシッ!
(基礎体力レベル:Lv.54)

デイジー直伝! ゼルダの 回し蹴り!▼

ロゼッタ(偽2)「――ぁ――」グシャッ

コンボが つながった!
かいしんの いちげき!▼


ロゼッタ「ぜ、ゼルダ姫!やりすぎです!これ、背骨折れてないですか!?
     やめてあげてください!間違っても死亡させてはなりません!」ダダダッ

ロゼッタ(偽2)「――――そ、そぅで、す。た、す、け、て」ドクドク



ロゼッタ「経験値、しっかり返してもらわないといけませんからね!
     …あれ、もしかして還元されるのを抵抗してますね!?生意気な!
     さっさと返してください!さあ!さあ!」ギュッ

びたぁーん!

ロゼッタ(偽2)「」ベチィッ

マリオ「」

823Mii:2020/08/19(水) 21:31:39 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ「あなたがっ!」ブンッ

びたぁーん!

ロゼッタ(偽2)「」ベチィッ


ロゼッタ「経験値を、返すまでっ!」ブンッ

びたぁーーん!

ロゼッタ(偽2)「」ベチィッ


ロゼッタ「足首を掴んで地面に全身を叩きつけることを――やめないっ!!」ブンッ
(基礎体力レベル:Lv.42)

びたぁーーーん!

むらびと「」ガクガクブルブル

ファルコ「真っ赤な花が咲いてるな」ブルブル

クッパ「拷問かな?」ブルブル

824Mii:2020/08/19(水) 21:37:42 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ(偽2)「ふ、つ、うに――し、に、たい――」

ロゼッタ(偽2)「」シュウ・・・

ロゼッタ「ほっ、用済みになって消えていきました。1人分、経験値回収成功!
     …血がやたら跳ねちゃいましたけど。汚いです…」

      『……………………』

デイジー「お粗末と自覚してくれててよかったね。
      話が早くて助かるぅー」

まあ、今の私たちの実力なら、こんなところでしょう。
甘く見ていたのは敵も同じのようですね。私たちの努力が功を奏しています。

あれ?残り2人の偽者の私が、怯えて震えている気がするのですが、気のせいでしょうか。
まあ、些細なことなので放っておきましょう。

あと、デイジー姫がドヤ顔をしています。「私が育てた」と書いてありそうな顔です。
…なんだか私としても幸せなので。こちらも放っておきましょう。

825Mii:2020/08/19(水) 21:52:59 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ「さて、これで人質は…一切いなくなりまし――――」


ロゼッタ(偽1)「――こ、これを見ても、まだそんなことが言えますかっ!?
        空中庭園《スカイガーデン》――!!」パアアアアアアァァ


タブーとくっ付いていた偽者が、流れを引き戻すべくアクションを――
…え、ええっ?えええっ!?ちょっと、なんでですかっ!?
魔法レベル50程度じゃ、使えない、はず…!

――改めてよく見れば、なんてことはない。
――まさにすぐそばにいるタブーが、同調して光っています。
――あの偽者、タブーの補佐を利用して実力を底上げしてますねっ!意外と考えてた!
――空間能力適性があるタブーなら、可能でも不思議ではありません!

まずいです!相手の空間魔法を封じるどころか、
こちらが制御下に置かれてしまいます!猪口才な!

ゼルダ「ロゼッタ!余計なこと考える暇があるなら、こちらも対抗です!」バッ

ロゼッタ「そ、そうでした!あっちが底上げなら、こちらだって!
     …いやいや、それでもランク的に無理過ぎるような…や、やっては、みます、けど!
     ゼルダ姫、力をお借りしますよ!

     ――――相互演算《ダブルスロット》からの…空中庭園《スカイガーデン》――!」パアアアアァァ

826Mii:2020/08/19(水) 21:59:25 ID:sn8BwqIA
ふたつの結界を張ろうとする力が、何も見えないようでいて確かに激しくぶつかり合い。
私には、互いに相手を押しのけるべく、打ち勝つべく…バチバチと激しい音を立てていることが認識できます。

…あ、やっぱりきつい!?無理が祟って、既に魔法回路が悲鳴を上げています!
底上げがまるで不十分で、ものの3秒で眩暈がしてきました!
ザザーッ…と、視界にノイズまで走ります。我ながら情けないっ…!

リンク「おうおう!俺たちのことも無視すんなよ!
    みんな!ロゼッタがわやくちゃやってる間にタブーを始末すればオシマイ――」


   『――――舐めるなっ!』


ポンッ!ポンッ!ポンッ!


ロゼッタ(偽4)「――――」バッ

ロゼッタ(偽5)「――――」バッ

ロゼッタ(偽6)「――――」バッ


ズラーーッ!!


ロゼッタ「…!?」

827Mii:2020/08/19(水) 22:02:01 ID:sn8BwqIA
リンク「…………げげっ、なんか増えた!?」

ロゼッタ「え―――」

大事な魔法の行使中だというのに、思わず、唖然。

長さ10メートル以上、直径1メートルほど、といったところでしょうか。
タブーが触手のようなものを何本も空間に出現させ、ブンブンと振り回す。
その軌跡が、空間にノイズを走らせたかと思うと――
何人もの、いえ何十人もの分身体を出現させたのです。相変わらず、全員私。わぁい。

あらら?分身体は無秩序に増えない増やさない、という術式の縛りを設けていたのですが、
偽者とタブーとの間でどんな洗練もとい魔改造が働いたのでしょうか。
あんなことをしたらとてつもなくFPを消費するのに…………って。
そういえば、FPに関しては湯水のように使いこなしてのける相手でした!
偽者たちがなんだか羨ましく感じるのは悲しいサガですね!

デイジー「わあ、ロゼッタがいっぱーい。
    人によっては大喜びしそうな光景ですな」

ピーチ「呑気なこと言ってないの!
   ロゼッタ!本気で、空間制御をなんとかして!そうすればみんなまとめて――――」

…が、駄目っ!!
追加召喚された偽者たちの一部が、代表の偽者の傍に集って…
案の定、杖を光らせて助太刀を始めます!術式作用を直列繋ぎ。数の力、わっかりやすい!

828Mii:2020/08/19(水) 22:09:03 ID:sn8BwqIA
ロゼッタ「ぎぎ、ぎ…………一方的に、押され、て――」パアアアアアアア

ゼルダ「スペック差が、モロに……ぐっ」パアアアア

歯を食いしばったところで、押されることには変わりありません。まずいまずいまずい!
おまけに、増えてきたFPがあるとはいえ、たいそう燃費の悪い、この魔法。
ジリ貧すぎて手詰まりです。私が本調子で在ればこんなことには――!


ロゼッタ「ぐうっ!?」バチッ!

ゼルダ「痛っ!?」バチィッ!

ロゼッタ(偽1)「ハッ!!」パアアアアアアア


ロゼッタ(偽1)の スカイガーデンが 競り勝った!
キノコ王国に 相手の スカイガーデンが 展開されている!▼  シィーン・・・!
こちらの 空間魔法は 全て無効化され 再展開もできない!▼



お、おし負けて、しまいました!私の空中庭園、発動失敗!?
バックファイアまで襲い掛かってきて、ゼルダ姫ともども、激しい痛みに腕の焦げ。
さっそく満身創痍なうえに、これでもう、空間魔法ありきの私は戦闘において役立たず同然です。
大変なことになってしまいました…!

829Mii:2020/08/19(水) 22:13:29 ID:sn8BwqIA
ピット「要するにどうなったのピーチ!三行…いや一行で説明よろしく!」

ピーチ「――相手の空間魔法が通り放題、こっちは売り切れ状態になったわ!」

ピット「わかったようなわからないような説明ありがとう!」

パルテナ「――ふむ」シュンッ

Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!▼

パルテナ「きゃっ!?テ、テレポートが弾かれました!?」

パルテナさんが確かめていたところで、敵側が矢継ぎ早に次の行動に…って。



    『フィールド、強制転送!』

ロゼッタ(偽)「「「「「「「「ハアアアァァァァァ!!!」」」」」」」」パアアアアアァァ



ロゼッタ「なにか大がかりなことを始めて――――!?
     い、いけません!このフィールドが『召喚』されようとしています!!」

ピーチ「え、ど、どこによ?」

ルイージ「うえっ!?け、景色がぐちゃぐちゃになってきてるよ、兄さ――」

830Mii:2020/08/19(水) 22:18:52 ID:sn8BwqIA
〜メイン会場〜

観客「おーい、いつまで待たせるんだ―!」

観客「早く次の戦いが観たいぞー!」

マスターハンド「もう少々お待ちください!ただ今、お取込み中です!
         いやはや、なかなか時間を潰すことが不得手で恐縮――」

シュンッ!!!

マスターハンド「…………え?」



  『――――始めろ』



ロゼッタ(偽)「「「「「「「「――――――――転生の扉、召喚っ!!」」」」」」」

ぐにゃり。 ぐにゃり。 ぐにゃり。


リンク「――――め、メイン会場、だと!?やっべぇ、本気でやばいぞこれ!!
    それにあの渦、以前にキノコ城を早朝から荒らした――!なんだよ、俺たち超後手後手じゃん!だっせー!」

私たちごと、観客ひしめくメイン会場に強制転移、させられたようです。
騒然とする観客のみなさん。でも、早く危険に気付いて!
おまけに、息つく暇も与えてくれず異次元との繋がりを、何十個も――っ!数は増えていくばかりです…!

831Mii:2020/08/19(水) 22:23:12 ID:sn8BwqIA
マリオ「ピーチ!嘘でもいいから観客落ち着かせろ、最優先っ!!」ヒソヒソ

ピーチ「――――――――っ!!…………すぅ。
    み、皆さんっ!こ、これよりっ!サプライズ演目として!
    『タブーの逆襲 総力戦の段』を執り行います!
    前回大会の演目を覚えていらっしゃる方も!そうでない方も!
    ぜひぜひ、お楽しみ、くださいっ!!」ババーン!

ピーチ姫が、マイクすらないというのに…会場に響き渡る大声で、必死に宣言します。
思考、ためらいはほんの一瞬だけ。なんという肝っ玉でしょうか。
かろうじて騙されるかもしれない、取り繕った笑顔を浮かべて。で、でも…!

フォックス「いやいや、この状況でその発言は流石に苦しいだろ!」コソッ

ファルコ「それで信用するなら、どんだけ王国民はお人よしだってんだ!」コソッ



観客「す、すげええええええ!以前にも増して、リアルな造形だ!
   ファイターたちも全員集合か、気合入ってるな!」

観客「タブーさん、カッコいいぞー!おまけにあの不気味な仕掛け!すごいCG技術だな!」

――――ウオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ!!!!!

マスターハンド「――――なんとー!これは予想外の出来事だあ!(空気読み)」

実況「コロシアムの時空が歪んでしまいました!」

ロゼッタ「すっごくお人よしでした!?」

832Mii:2020/08/19(水) 22:25:46 ID:sn8BwqIA
ピーチ「ならば良し!支持率9割5分は伊達じゃない!
    私の大事な、守るべき王国民たちだもの!」

デイジー「…と、とりあえず、さっさと動き出して分身体たちをなんとか一掃しようよ!
     早く倒せば、それだけ状況の悪化を防げそーだし、
     ロゼッタ本人も空間魔法を使えるように…!」

マリオ「わかってら!…おいみんな、分身体ロゼッタをなぎ倒せ!
    一応、あの渦…いや扉に吸い込まれることには注意しろよ!」

ルイージ「お、おおー!」

ファイターたちが、一斉に飛び出していきます。…あ、私も、ですか。
で、ですが…空間魔法の使えない私では、いかんせん何ともしがたく…!

デイジー「なーにを思案してるの、ロゼッタ!忘れたの!
     今の貴方なら、肉弾戦だってじゅーぶんできるよ!
     ささ、パンチでもキックでも何でも、偽者たちにぶつけちゃえ!」グイッ

ロゼッタ「は、はいっ!そ、そうですよね、後ろ向きは駄目ですよね!
     やるだけやってみます!」

そう言って、たちまち身を躍らせていくデイジー姫。流石です。
気を取り直して、私も…顔をぴしゃりと叩いたあと、駆けだしていきました。

833Mii:2020/08/19(水) 22:31:06 ID:sn8BwqIA
とりあえず、一番近くにいた私の分身に照準。
ジャンプ一番、空間魔法などなしに近づいて…!手加減無し、フルパワーで!

ロゼッタ(偽)「…!?」

ロゼッタ「えいっ!!」

油断しているところに、ドズンッ!といい音を立てて、鳩尾にキツーイ一撃!

ロゼッタ(偽)「がはっ――」フラッ

ロゼッタ「続けて、もう一発!!」ブンッ!


渾身のパンチが、続けてクリンヒット!
デイジー姫の見よう見真似ですが、中々、さまになりました!
その後も、もう一発、更にもう一発と攻め立てます。
パシパシパシと、都合10発ほど当てたところで…。

ロゼッタ(偽)「」シュウ・・・

ロゼッタ「…よし、倒せました!経験値も回収できてなによりです!…ん?経験値?あれ?
     …なんだかんだ言って、特訓を開始した初期の初期の、ゼルダ姫の少し下…
     程度には、今の私って基礎体力付いてるんでしたっけ。この位の芸当はできますか。
 
     我ながら凄い成長速度…いえ、デイジー姫さまさまの成長速度ですね!この勢いで――――」

834Mii:2020/08/19(水) 22:33:40 ID:sn8BwqIA
「お嬢さん、そいつはちょっと勘違いしているぜ」



ロゼッタ「…え?」クルッ

突然の声掛けに振り返ってみると、そこにいらっしゃったのは恰幅のよい男性。
いきなり、どうしたことでしょう。

ドック「おっと失礼、自己紹介がまだだったな…えーっと、ロゼッタ、だったか。
    俺の名はドック・ルイス。マックのトレーナーだ。
    マックってのは、そこにいるボクサーな!アンタに比べると小さいだろ!
    でも、こんな低身長でもれっきとしたファイターなんだぜ!」ニコニコ

マック「よろしくな!」

ロゼッタ「は、はい。こちらこそよろしくお願いします」

ついつい、緊急事態さなかというのに呑気に挨拶などしてしまいました。

ドック「あれだな!アンタの素質は、中々見どころがある!
    だというのに、レベル差があれだけある相手に対して、
    あーんなド素人のヘナチョコパンチの連打で満足しているってのが、
    俺としては我慢がならない!
    しっかりと軸を合わせ捻りを利かせ、体重を乗せたインパクトパンチなら、
    最低でも二撃で…場合によっちゃ一撃で倒せたはずだ!」

ロゼッタ「…え?」

835Mii:2020/08/27(木) 05:51:03 ID:itVbnddE
ドック「いいか?パンチを繰り出すときはだな――」

ガシッ!

ロゼッタ「」

ドック「腰をこう動かして、体重をこう乗せて――」

ロゼッタ「――――きゃああああああ!!」ガンッ!!

ドック「ぐふぅ!?」ヨロッ

い、いいいいい、今、ためらいもなく腰回りを抱きかかえてきましたよ、この男!
痴漢です!変質者です!いつぞやのワリオ以上です!!
ワリオはせいぜいお尻を撫でる程度だったのに!それも大概ですが!
つい殴ってしまいましたが、私は悪くありません!殴り足りないくらいです!!

マック「…ドック、流石に今のは…ないだろ。ロゼッタが正しいと思うんだが」

ドック「…あっはっは、ついついマックの面倒見るときと同じように、指導者として動いちまった」

ロゼッタ「フーッ!フーッ!言い訳無用!警戒心マックスですよ、今の私!
     覚えておいてくださいねっ、あとでピーチ姫のところに突き出します!」

マック「すまない、ロゼッタ。ドックも悪気はなかったんだ…………たぶん」ポリポリ

――たぶん、が付いた! 全く信用なりません!!

836Mii:2020/08/27(木) 05:56:21 ID:itVbnddE
ドック「豚箱送りは御免被りたいな…よーし!じゃあ罪滅ぼしとして、即席でお前さんを…
    一流のボクサーに仕立て上げてやろうじゃないか!腕が鳴るぜ!
    実験台の敵は、周りに掃いて捨てるほどいるみたいだしな!

    どうだ?俺のナイスな指導を受けてみないか?」キラッ☆

ロゼッタ「ガルルルルル……」

マック「…まあ、確かに。俺から見ると、眩しいくらいに恵まれた体格だからな。
    ドックが鍛えてみたいと思うのも、わからないではないけれど」ウンウン

ロゼッタ「…体格、ですか。そんなものでしょうか」

マック「そりゃあそうだろ、その…2mを超す、身長!」

ドック「そりゃあそうだろう、その…すでにある上にまだまだ成長が見込まれる、胸!

    …じゃなかった、そう、身長だ身長!」

ロゼッタ「……」ピキピキ

…ここで成敗してしまったほうがいい類の人間でしょうか。

マック「…やっぱり悪気があったかもしれない。深く謝罪します。
    責任をもって俺がK.O.して反省させておく」

ドック「あっ、その、いや、ちょっと待ってマックさん!?落ち着こうジャマイカ!」

ロゼッタ「ええ…ええ…ほんとうに、心の底から、お願いしたいですよ――
      身内の管理くらい、しっかりと――」

837Mii:2020/08/27(木) 06:00:22 ID:itVbnddE



ザッ・・・・・・・



一瞬、集中力をやや切らせていたら――何事かと、思いました。



マック「――――――――K. O. アッパアアアアアァァァァ――――!!」

ドック「NOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」

ズガアアアアアアアァァーーン!!

ロゼッタ「――――――――っ!?」ビクゥッ!

駆け抜ける、凄まじい風圧。
面食らって、怯んで、瞬きを何度も。

私からするとやや身長が低い(とは言ってもマリオより高いのですが)彼が、
おもむろに精神を研ぎ澄ませたと思ったら、たちまち拳を繰り出し――
ドックを、勢いよく、壁にめり込ませてみせたのです。
…いえ。壁にぶつかったドックは、勢いそのまま壁を突き破って、彼方まで――!

な、なんですかあの威力!?た、ただのパンチで!?
活性化状態のデイジー姫ですら、ここまでの威力はなかったはずですが…!?

838Mii:2020/08/27(木) 06:05:16 ID:itVbnddE
マック「…とまあ、こんなところで手打ちにしてくれない、かなあ。
    納得はしてくれないと、思うんだけど、うん。どうかこの通り俺に免じて…」ペコリ

先ほどの鮮やかな拳から一転。縮こまって、本当に申し訳なさそうにしていらっしゃるマックさん。
ですが、私はそれどころではありません。

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「――今の、規格外の、威力はっ!?」

意識をようやくまともにするやいなや、思わず彼に詰め寄ってしまうほど。

マック「あ、今の?俺、戦闘力のバランスが両極端でさ。
   空中戦だと本当にお荷物になるんだけれど、地に足付く限り――
   怒涛の攻撃を繰り出せるパンチの申し子なんだぜ!自分で言うのもなんだが!
   鍛え抜き、洗練した結果がこれさ!…まあ、ドックのおかげ、かな、はは。
   ロゼッタには早速嫌われたみたいだけど。

   瞬間的な爆発力だけなら、マリオやクッパクラスに匹敵するはず!
   とは言っても、中々当たってくれないんだけどな、残念ながら。
   わざわざ俺の得意な土俵で戦ってくれやしないからなあ…とほほ」

ロゼッタ「…………!」

ごくり。最悪な出会いからでしたが、好奇心がもたげてきます。
喉から手が出るほど、その威力の片鱗に預かりたい。
もちろん、1日2日でどうにかなるなんて思っていませんが、
コツだけでも掴みたい!体格を活かせるというのなら、尚更に!

839Mii:2020/08/27(木) 06:08:43 ID:itVbnddE
ロゼッタ「…………思う所は、まだあったりはするのですが…
     気が変わりました!指導、受けます!」

ドック「そうこなくっちゃあ!」ダダダダダッ!!

マック「復活はやっ!?」

ドック「いや、残機減ったからな!?残機システムが再稼働しててよかった…!
   死ぬかと思ったぞ、うぷっ…!…というか死んでたわ、あはは!
   たくっ、誰のせいだ!お前らのせいだ!」

ロゼッタ「貴方のせいです」

マック「鏡を見てくれ」

ドック「うっ…まあ、細かいことはいいじゃないか、HAHAHAHAHA!
    じゃあ、レッスンやっていくぜ!容赦はしないからしっかり付いてきな!」

ロゼッタ「体触ろうとしたら、躊躇いなく命もろとも『削り』ますからねっ!」ギロッ

ドック「ワカリマシタ。デモ、シドウナイヨウハ、チャントキイテネ?」ブルッ



なんだが怪しげな香りがしますが、ちょっと試させて頂きましょう!

840Mii:2020/08/27(木) 06:12:36 ID:itVbnddE
ロゼッタが、接点のなさそうなリトルマックらと何か画策し、駆けていく。
思わず声掛けしようとして、躊躇して止めてしまう。
…きっと、意味があるのでしょう。好きにさせてあげよう。

そうこうしているうちに、ソニックが自慢の超速アタックを…
「大元の偽者3人のうち3人目」に仕掛けて、一気に吹き飛ばす。

ロゼッタ(偽3)「ふ、ぐっ…!?」ガンッ

ソニック「それで警戒してたつもりかよ!」ビュンッ!

警戒が足らなかったか、なすすべもなく吹き飛ぶ偽ロゼッタ。
しめたとばかりに、アイクが迷わず剣を一貫!…よし、消し飛ばせたわ!
ちょっとビクッとなったけど、FE勢は敵と判断すれば躊躇なく人を斬れるわね。
殴り飛ばしたりするのとは覚悟が、訳が違う…というのは私の勝手なエゴかしら。

とりあえず…2人の戦闘力と、ロゼッタの戦闘力との差からすれば当然の結果ね。
残る大元の偽者は、タブーの傍にいつまでも控える1人だけ!

ヒルダは、3か月前とは打って変わって、中々の応戦中。
どこからともなく取り出した、燃え盛るハンマー片手に…
あ、何やら魔人っぽいのを繰り出したわね。呆れるくらい、凄い進歩!
少なくとも、今すぐ手助けしなければやられる…なんて心配はないみたい。

ゼルダは、かなり私に戦闘力が近付いた、かしら。
魔法一辺倒の境地からは脱却して、一皮むけた感じがあるわ。
まだまだ負けてはあげないけれどね。

…うん。デイジーが、かなりうまいこと、事を運んでくれていたみたい。
幸運と、彼女らのひたすらな努力に、感謝、感謝!

841Mii:2020/08/27(木) 06:16:16 ID:itVbnddE
…ただし、事態は必ずしも好転してはいない。

ピーチ(…今、すべきこと。私は、目の前の状況に集中、集中――)

体調が芳しくないのは百も承知。
マリオ達が策を練っていたみたいだけれど、アクシデント発生ですこぶる不安。
でも、私は私なんだから、責任しっかり果たさないと!

ロゼッタ(偽)「…ふふ」シュンッ!

シュン! シュン! シュンッ!!

デデデ「うおー!こいつら腹立つ!生意気なヤツらめ!
    勝てないと踏んだらテレポート連続での回避作戦に切り替えたぞい!
    攻撃を当てろと言う方がどうかしてる!はやく倒して、扉を塞ぎたいのに!」

ソニック「は、速いな!俊足かつ瞬速の俺でも、
    数Fでそんなにあっちこっちに動かれちゃあ、敵わないぜ!
    とりあえず、他の雑魚たちから片付けて――」

パルテナ「しくしく、テレポート使えれば追い縋れる可能性もあったのに…!
     …あれっ!反射板も使えない!?ひゃあっ!ブレスを防げません!」

ルフレ「あぐっ!…そもそも僕やルキナのレベルだと、1対1でも五分、くらいです。
    このままだと物量差であからさまに劣勢に――役に立てず、申し訳ありません…」

ピット「このスレの設定からしてそれはしょうがないから!無理だけはしないでよ!
    …おっと、ルフレ狙いのそのビームは僕が処理しておこう」パシッ

842Mii:2020/08/27(木) 06:21:05 ID:itVbnddE
ピーチ(回避特化戦法!浪費するFPはタブーがカバー!?
     おまけに後ろでは絶賛ロゼッタの分身体が増殖中!?
     時間が経つほどむしろ増えてない!?FPありすぎ!)

おまけに、さっきから。
ビームやら火炎やら、はたまた剣戟、弓矢やら。ロゼッタに似つかわしくない「障害」が…。
飛び交い、ぶつかり合うのが、おわかりかしら。

「転生の扉」とやらの狙いの結果が、侵食を始めているわ…!



   『出でよ、異形の者たちよ。この王国を、ただひたすらに荒らし尽くせ』



それぞれの扉から、続々と出現するは…!

「「「「オレタチ、オマエラ、ミナゴロシー!」」」」ワラワラ

リンク「……なっ!?ボコブリン、ブルブリン、スタルベビー、ガーナイル…
    あいつらってハイラルの魔物どもじゃないか、何で!?」



「「「「ひとあばれ、してやるか――――」」」」

ルフレ「なん…だと!?ジェネラル、スナイパー、グレートナイトにドラゴンマスター…
    馬鹿な、僕たちの国の傭兵や屍兵なのかい!?」

843Mii:2020/08/27(木) 06:23:50 ID:itVbnddE
キノピオ「ひ、姫様ぁ!良いお知らせと悪いお知らせがあります!」ダダッ!

ピーチ「…………良い方からお願い!」

キノピオ「は、はい!ひとまず、観客席へのバリア機構の展開、完了!
     並びに、適用モードの『乱闘中』切換え、済ませました!
     今の皆さんは、フィールド内にいる限り、残機制度に守られてます!」

ピーチ「ありがと!助かるわ!でも、バリアも絶対的な物じゃないし、
    いつ何時、敵の空間魔法で穴が空くか分からないわ!信用はし過ぎないで!
    それで、悪い方のお知らせって!?」

キノピオ「各中継地からの報告ではっ!街中にも、小規模ながら、
     『あれ』と似たような扉が複数出現したことが確認されっ!
     一般人からすると十分すぎる量の魔物が現れて、
     初動の段階で自警団がてんやわんやの状況とのこと!
     
     急ぎ、ファイターの皆さんの戦力をある程度割いて、助太刀が欲しいとのことであります!」

ファルコ「マジかよ!さすがにもう言い訳もできねぇだろ!
    本当のこと、ここにいる観客どもに伝えた方がいいんじゃねーのか!」

ピーチ「…それは最終手段っ!バリアのおかげで、ある程度は安全だから、
    パニック回避を優先させて…このまま話を押し通すわ!責任は私が全部負うからっ!
    …会場の外の件は、わかったわ!急ぎ、分担構成を――――」シュンッ!

キノピオ「!?」

ファルコ「…は!?」

844Mii:2020/08/27(木) 06:27:32 ID:itVbnddE
ロゼッタ(フィールド内だけでも、しっちゃかめっちゃかになってますね…!)

…おまけに、なんだか会場外も騒がしくなっているみたいなんですけど…!
戦いの場所が、どんどん拡散してしまっているのですか…!?
更に性質の悪いことに、敵の数を減らすどころか「増え方を抑える」に留まるありさま。
ふと見れば、マリオやクッパが怒涛の範囲攻撃で、敵を根こそぎ刈り取ってはいるみたいですが…!

リンク「…とりま、数が多すぎる!魔物にしても分身体にしても!
   おまけに俺、何気に全体攻撃技に乏しいしっ!!
   これじゃあ埒があかない!一気に倒すにはどうすれば――――
   あああ、なんか、ファイターが各自の判断で会場内外の分担を決めて
   飛び出して行っちゃってるし…!!おいおい、統率どうするんだよ――!

   ところでロゼッタさんは一体、何をやっとるんですか?」



ドック「スピードだ、ロゼッタ!もっと速く!」

ロゼッタ「は、はいっ!」

ドック「気合を入れろ!気合だ!」

ロゼッタ「はっ!せいっ!」ブンッ!

ドック「ひだり、みぎ!ひだり、みぎ!! そうだ、その感じだ!その調子だ、ロゼッタ!」

ロゼッタ「ひだり、みぎ、ひだり、みぎ…!!」ガンッ! ガンッ!

845Mii:2020/08/27(木) 06:31:11 ID:itVbnddE
ドック「打て!もっと強く!」

ロゼッタ「そ、そんな無茶苦茶な――」

ドック「もっと速く打て!お前ならできる!」

ロゼッタ「もう限界なんですけどっ!!」

…ドック氏の指導のもと、マックの動きを参考にしつつ、
魔物達を殴って殴って殴り続けています。柄にもなく。
…うぅ、ときたま変な色の返り血が飛んできますよぉ…!
でも、傭兵にしろ人間を殴り殺す勇気は、まだ未熟者の私にはありません…勝手で本当にすいません。
分身体の私はノーカンです。相手に残機ありと分かっているときもノーカンです。

リンク「何遊んでるんだよ、ロゼッタ!適材適所、魔法にチカラを割いてくれよ!」

ロゼッタ「遊んでませんよ!ですから今の私、魔法に頼り切れないんですってば!」

マック「そ、そうだぞ!ついでに、ちょっと猛特訓してるだけだ!」



リンクがジト目で私をみています。

846Mii:2020/08/29(土) 17:40:35 ID:kKysAgF6
ちなみに、魔法を一切試していない…なんてこと、さらさらないんですよ!
使おうとは、したんですよ!

私の超広範囲回復魔法、「Starlit Wish《星に願いを》」。
私自身はあんまり自覚がありませんが、キノコ城城下くらいなら楽々覆える範囲全体に
最大HP50%回復という効果を与える、ぶっ壊れ性能(とピーチ姫は宣います)のS++クラス回復魔法です。

空間魔法ではないので、当然ながら空中庭園《スカイガーデン》の影響は受けません。
これを、数分間隔でちまちま発動させれば、私のあずかり知らぬところで
死傷者を大幅に減らせてめでたしめでたし!…みたいなのが理想だったのですが。

なにぶん、S++ランク魔法なので。はい。今は使えません。 実体験です。意識を持って行かれかけました。
すぐさま魔法行使を破棄できたのが幸い。仕方ない犠牲として、結構なFPとHPが無駄に奪われて行きました。

不幸中の幸いとして、高すぎるランクのおかげで――
タブーの助太刀を以てしても、敵方も使えないらしいことですね。
もしこれが、『偽者全員が持ち回りで』使ってきて、倒し切らない魔物が次々と全快…
なんてことになっていたら、色々と詰んでいました。

息を荒くして、ちょっと休憩。
周囲も激しい攻防戦が繰り広げられています。観客席に届かんとする爆風、火花。

…これをアトラクションの一環と納得できる観客も、大物ですね。
…いえ、心のどこかでは「本当にそうか?」と思っているとしても、
ピーチ姫への絶対的な信頼があるのでしょう。
通常時が万全だからこそ、非常時もぐらつかずに済むということですね。

847Mii:2020/08/29(土) 17:45:25 ID:kKysAgF6
ロゼッタ「それにしても――あの分身体たちは、どうして腕輪を付けているのですか?」

ふと。心の奥底にあった素朴な疑問を、私は呟きました。
それを耳に挟んで、リンクがバッと振り向きます。そして、近づいて耳打ち。

リンク「腕輪…?ああ!それなら、俺たちが目印代わりにわざと持たせた。
   ほれ、タブーんとこの偽者が付けてるだろ?一緒に増殖してんだな、うっぜー。
   だが、どのみち増殖されるんじゃ、持たせた大元を今さら倒してもな…」

ロゼッタ「…!?そ、それは違います!うっかりしていました!
    いくらタブーと言えど、模倣に模倣を重ねると構成要素の劣化が抑えきれません。
    その大元の分身体を雛型として大事にしながら、コピーを作り出しているはず。

    貴方たちが腕輪を持たせた…大元を叩くことは十分に意味が有ります!
    おそらく、可能な限りの防御面の強化は掛けられているでしょうが…!」

もうちょっと早く勘付くべきでした!
彼女を倒したからといって、ほかの分身体がフッと消えるわけではありませんが、
とりあえず倒せるなら早めに倒しておくのが吉です!

リンク「…!!じゃあ、あいつ1人を倒せば、とりあえずこれ以上の分身体製造は
    防げそうなんだな!でかしたロゼッタ!」

まさしく、是、です。術者を倒して空中庭園を解除する面でも理にかなっています。
…まあ、そちらの方は数任せで再度構築されてしまうのでしょうけれど。

848Mii:2020/08/29(土) 17:50:36 ID:kKysAgF6
明るい情報を得たリンクが、颯爽と突撃。羽の生えたような飛翔。
は、速いです!なんですかあの加速力!?あれでもソニックより遅いだなんて…!

狙うはもちろん、腕輪を渡した偽者。しかし、案の定、転移で回避。
剣の切っ先が空ぶります。そして震える周囲の空間。当たれば当然一撃でしたね。
あまりの斬撃に、向こう側の浮遊足場にズバッと斬り跡が付きました。うわぁ。

相手もあれでなかなか、警戒するようになってきました。
それでは隣のタブーはというと、即席でディメーン顔負けの隔壁を張って…
不意打ち対策、でしょうか。リンクの転進攻撃を諦めさせる効果はあったみたい。

正直、隔壁一つ一つは、本調子の私基準からするとかなり粗かったりするのですが、
とにもかくにも枚数を稼いでいるので…攻撃を届かせるのは至難の業のよう。



…私が修業も何もせず、のんびり過ごしていれば。
私の基礎体力レベルは上がっていなくても空中庭園をとっとと使うことができて、もっと楽に勝てたんじゃあ…
という疑惑が頭の片隅にポンと出現したのですが、あえて意識を逸らしましょう。精神面のうえで。



リンク「ちぇっ、3強の攻撃なんだから当たってくれよ。ほらほらー。
    もれなく、えーっと、本体に吸収される権利をプレゼントするぜ?」

ロゼッタ(偽1)「聞くに堪えませんね。
        今の私は、多大なチカラをタブー様に与えられ、空間魔法を使い放題、発揮し放題。 
        攻撃など一切、食らいませんよ。貴方も、崇め奉るがよいでしょう」

心の底からそう思っている、したり顔。

849Mii:2020/08/29(土) 17:57:42 ID:kKysAgF6
そんな相手でも、リンクはある程度、余裕を取り戻した感じです。

リンク「でもさ。それって、絶対無敵…とかじゃなくて、単に
   『当たらなければどうということはない』を実践してるだけだよな?

   つまり、そこそこ強力な攻撃を、ただ当てれば勝ちだ。子供でも分かる簡単な話だよ」

ロゼッタ(偽1)「無駄口を叩く暇があるなら、他の分身体を減らすことを考えるのはどうですか?
         当たるとお思いで?今の私に……!」

いつでも空間魔法を繰り出せる、そうあざ笑うかのように。
彼女の周りは、ゆらゆらと空間がブレています。誰もが、警戒を忘れないはず。

リンク「えらく大口を叩くんだな、後悔しても知らないぞ。
    ――当たるかどうか、じゃない。当てるんだ」

絶対の自信を持って、10メートルほど浮かんだ位置で。偽者は天を掲げ、声高々と宣います。
うっすらと闇の衣…ですか?黒くて紫っぽくて、とにかく変な靄を纏って――
まさに闇堕ちしたって感じです。相変わらず腹が立ちますね、だれか天罰を与えてほしい。

アイク「くっ…!」

クッパJr.「ムカつくなあ…」

ポケトレ「……」

850Mii:2020/08/29(土) 18:03:21 ID:kKysAgF6
ロゼッタ(偽1)「今は残念ながら真昼間、かのような晴天ですが。
         それすなわち、太陽の光が無ければ、れっきとした――『星天』。
         星の力、それすなわち私の力。私の土俵、そのものなのですよ」

マリオ「フンッ!…これも躱すか!」

示し合わせたかのように背後からマリオが迫りますが、これすらも相手は回避。
リンクが弓を番えていますが、どうにも当たる情景が想像できかねるのか、射るのを躊躇っています。
星の力すなわち私の力、ですか。合っているだけに、貴方に横取りされたい台詞ではありませんでした。

FP使い放題というのは、ここまでレベル差を埋めてしまうものですね。
それだけ私の空間魔法は凄い、ということ、なんですかね。「常時発動できさえすれば」。
今は喜んでいる場合ではないですが!かつてのディメーンよりも厄介ですね、どうすれば――

ロゼッタ(偽1)「3強とやらも、この程度ですよね」シュンッ!

マリオ「…………」

リンク「…………」

ポケトレ「…………」スッ

彼女は、いつまでも、天に手をかざすことを止めずに。
紅潮した、悦に入った状態で――――!

ロゼッタ(偽1)「タブー様の恩寵に加え!

        星々の加護を一心に受ける、この私に!

        立ち向かうなど、何と哀れで浅はかな――――」バッ

851Mii:2020/08/29(土) 18:07:10 ID:kKysAgF6








ポケトレ「ゼニガメ、『あまごい』」








ドッザアアアアアアァァァァァァ――――!!!!

実況「コロシアムは――――――――
   いきなり土砂降りになりましたぁ――――――――っ!!」

ロゼッタ(偽1)「」



マリオ「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」ビクゥッ!

デイジー「しゃべった程度で、そこまで驚かなくていいじゃない!」

852Mii:2020/08/29(土) 18:12:15 ID:kKysAgF6
…カラッと晴れていた天気が一転。厚くてまっ黒な雲が爆誕し、酷い雨模様になりました!?
しとしと、なんて表現では全然足りません。たちまち全員ずぶぬれに。
まあ、下着が透けるような不手際は起こしませんが。…あ、返り血がちょっと誤魔化せました。わーい。
よくよく見ると…あら?会場の外は今まで通り晴れています…。何故。

ロゼッタ(偽1)「い、一体どうやって――
        
        …………ふ、ふふ。なんですか、当てつけですか?言葉の綾とは下らない。
        別に雨が降っていようと、まったく影響なんてないんですけど?」

ロゼッタ(そ、それもそうですよね、一体どうして――)

マリオ「…しゃーない。そこまで回避自慢したいなら手札を切るか。
    ちょっと大人げないけど悪く思うな。用意周到と言って欲しい」

リンク「いざとなったら回避作戦を使われるかも…って予想、ドンピシャだったな。
   おーいみんな!電気系の攻撃を使える奴、適当な方向に使え!」

ルイージ「よくわからないけど…任せて兄さん、リンク!――サンダーハンドッ!」バッ

ロックマン「――スパークショック!」

ルフレ「考える前に動きますが、威力には期待しないでくださいね――ギガサンダー!」

ブラックピット「フン、手間かけさせやがって――――豪腕デンショッカー!」

ネス「――PKサンダー!…ほら、リュカも!」

リュカ「ぼ、僕もここにいていいのかなあ…ええい!――PKサンダー!」

853Mii:2020/08/29(土) 18:17:03 ID:kKysAgF6
リンクの号令に従い、使える人達が、技や魔法を発動!
しかし、本当に無茶苦茶に撃って行くばかりで、偽者には届きもしません――はて?

ロゼッタ(偽1)「てんで出鱈目な方向に使って、それがどうしたというのですか――――」

ロゼッタ「…あれ?そういえば、電気の代表的存在のピカチュウは何をして…?」クルッ



ピカチュウは 避雷針で サンダーハンドを 引き寄せた!
特攻が上がった!▼

ピカチュウは 避雷針で スパークショックを 引き寄せた!
特攻が上がった!▼

ピカチュウは 避雷針で ギガサンダーを 引き寄せた!
特攻が上がった!▼

ピカチュウは 避雷針で 豪腕デンショッカーを 引き寄せた!
特攻が上がった!▼

ピカチュウは 避雷針で PKサンダーを 引き寄せた!
特攻が上がった!▼

ピカチュウは 避雷針で PKサンダーを 引き寄せた!
特攻が上がった!▼

ロゼッタ(偽1)「…………???」

ロゼッタ「」

854Mii:2020/08/29(土) 18:21:04 ID:kKysAgF6
ピカチュウ「ピッカアァー!!」ググーン!!

ピット「」

ピット「」

ピット「まさか……マリオさん!ねえ、マリオさん!ちょっとちょっと!
   これはちょっと、ベタすぎやしませんか!?読者が怒りますよ!」

パルテナ「そうですよ!いくらなんでも、このオチは酷くないですかっ!」

マリオ「…訳の分からないことを叫ぶなよ、まったく。さてと――」

ビリビリと、凄く帯電したピカチュウが、ポケモントレーナーさんの肩を伝って頭によじ登り。
少し身を屈めて、力を込めまして――――あれ、なにやら猛烈に嫌な予感が!

ポケトレ「……」グッ

マリオ「また黙るんかい…いけっ!ピカチュウ!君に決めた!」

リンク「あそこにいる偽者ロゼッタに向かって、最大パワーで―― か み な り !」ビシィッ!

ロゼッタ「うわあああああああっ!?区別つかないとかでとばっちり受けそうですっ!」ザクッ ザクッ

ロゼッタは 無理やり穴を掘って 地中に潜った!▼

フォックス「本物の方のロゼッタが奇行に走っている件について」

デイジー「不幸体質に慣れちゃったんだね…大丈夫だから出ておいで―。
     あと、行動自体は私のせい、絶対」ホロリ

855Mii:2020/08/29(土) 18:26:20 ID:kKysAgF6
ピカチュウ「ピ〜〜カ〜〜…………チュウウウウウウウ!!!」カッ

ピカチュウの かみなり!▼


天の怒りが、稲光が、颯爽と落ちてくる――


ロゼッタ(偽1)「こんなもの――」シュンッ!

相変わらず、それすらもテレポートで事前回避し――



マリオ「業界の常識に疎いロゼッタで助かったぜ。冥土の土産に教えてやるよ――――」

リンク「最近の研究、もとい俺の実体験から分かってきたことなんだけどさ――――」



迅雷が たちまち方向転換して 追いすがる!
よ け ら れ な い!▼



マリオ「ポケモンが使用した、雨天時の雷は――――無茶苦茶当たりやすいっ!!」

リンク「導電性の高い装備を装着していると――――雷を自身に引き寄せるっ!!」

ロゼッタ(偽1)「…!?」

856Mii:2020/08/29(土) 18:30:58 ID:kKysAgF6
ロゼッタ(偽1)は 咄嗟に隔壁を使って 身を隠した!



――――雷は 隔壁を ひらりと避けた!!
――――効果がない!▼



ロゼッタ(偽1)「…い、ぎっ!?」

辛うじて身を逸らして間一髪避けたものの、超至近距離を通過した雷が――
偽者の体に、ザクッとまっ黒な焼け跡を残します。
何か、纏っていたものがパリンと弾け砕ける音。
掠めただけで、タブーの恩寵、一瞬にして失う破壊力ですか!

それだけではありません。ピカチュウは何も指示していない、操っていないのに、
雷はある程度進んだ先でカクンと折れ曲がって――怒涛の勢いで目標を再度ロックオン!
テレポートまで行使したのに…転移先に、回避したはずの雷が「先読みで」迫ってきていたら、
それはそれは恐ろしいですよね、うん!私に飛んでこなくてよかった!

「ゲーム」のように速やかに完全必中…とまではいかないようですが。
明らかに、雷の軌跡が、敵を自動追尾!?
何度転移しても、そのたびに――まるで意思を持つかのように、雷が――
轟音伴いつつ、たちまち迫りゆく!!恐ろしい因果律の操作です!

857Mii:2020/08/29(土) 18:48:48 ID:kKysAgF6
リンク「悪いな!そのシルバーリングもまた、クッパ軍に作って貰った呪いの品でさ!
    秘宝でも宝具でもなんでもないし、一度付けたら、ちょっとやそっとじゃ外れないぜ。
    耐久10倍効果とかも嘘っぱち。前は俺が手を抜いてただけ。驚いたー?」

ロゼッタ(偽1)「…………!!」ギリッ

偽者から、余裕というものが無くなります。
むしろ、変に腕輪をひっぺがそうとしたせいで、確実に時間をロスして、とうとう――――

リンク「あーたーれぇ――――!!」グッ



ビシャアアアアアアアアアーーーン!!

ロゼッタ(偽1)「―ぁ――――」シュウ・・・



雨降りしきるフィールドに、特大の放電フィナーレ。
激しすぎる光に包まれて、偽者はたちまち滅されていきました。

フォックス「敵機撃墜ぃ!流石にこれは躱しきれないよなぁ!」



信じられないものを見たかのように、周囲の分身体たちも動きを止めてしまっています。

858Mii:2020/08/29(土) 18:51:20 ID:kKysAgF6
リンク「意義があるんなら、悲観し過ぎずに最初っから仕込みを使うべきだったな…!」

マリオ「いやでも、力及ばなかったみたいで嫌じゃないか…できれば頼りたくなかった」

リンク「一人でも不幸な人を減らすためなら?」

マリオ「躊躇わず使う、当然だな」

リンク「おう、それでいいんだよ」

ロゼッタ(相変わらず、規格外すぎる方々ですね)



クッパ「…ちっ、だからといって、不気味な扉や他の分身体が、
   いきなりフッと消えてくれるわけではないらしいのだ。
   まだまだやることは多そうなのだ!」

そう、ですよね。まだまだ気は抜いていられませんよね。



    『……………………』



…なんだか、タブーの方も、あんまりショックを受けているようにみえません。
次の作戦に移ったからもうどうでもいい、用済みだ…ということでしょうか。
分身体、哀れなり。同情はいたしません。

859Mii:2020/08/29(土) 18:56:09 ID:kKysAgF6
マリオ「だいたいだな、なんだよあの異形の者たち。
    落ち着いて考えてみりゃ、おかしいだろ。
    キノコ王国の敵を呼ぶならまだしも、一体全体、何がどうなって――」

    『失笑したくなるほど察しが悪い。…まあ、よかろう。
    見事、彼女を倒したことに敬意を表し、開示してやろうか。
    すなわち、こういう、事に過ぎない』

リンク「そいつは助かる。思い違いの強者の余裕って奴かな?
    ぜひとも、倒されるまで勘違いし続けてくれると嬉しいな」


タブーがぱちんと指を鳴らすと、煙を纏って突如として現れし、2人の男。

…はて、知らない顔ですね。
一方は荘厳な顔つき、そしてもう一方は飄々とした顔つき。
共通して言えることは……悪役顔がとっても似合っています。



ただ、その程度の感想を抱いたのは、恥ずかしながら私だけだったようです。
ファイター各々、大きく顔色を変えることになっています。
知り合い…いえ、知っている敵なのですか?

860Mii:2020/08/29(土) 19:00:46 ID:kKysAgF6
一人目の方には、ゼルダ姫、そしてリンクが激情を露わにしました。


ゼルダ「…なん、ですって」

リンク「――――はあっ!?
    どうしてお前がそこにいるんだよ――――答えろよ、ガノンドロフっ!!」

ガノンドロフ「――――フン、断る」


そして、もう一方は――――



ルキナ「な、なん、で――」ガタガタ



絶望の、形相。



「やあ。また敢えて嬉しい、とだけ言っておこうか。
寸でのところで逃げるなどとは、往生際が悪かったね、ルキナ。
僕…いや。『我』に面倒を掛けさせるとは、いけない子だ。

でも――鬼ごっこはもう、終わりにしよう」

ルフレ「――――邪竜、ギムレー……!!まさか――――こんなことって――――!!」

861Mii:2020/08/29(土) 19:05:08 ID:kKysAgF6
ひとりの女性の方が、蛇に睨まれた蛙のように、恐怖に支配されて…ガクガクと震え、たちまち尻餅をついてしまいます。
すかさずルフレと呼ばれる方が駆け寄っているみたいですが、功を奏していません。

ルキナ「――――――――あ、ああ!お、もい、だしました。
    やぶれかぶれ、の、けっき、がだいしっぱい、して。みなごろしに、なって。
    さいごの、ひとりに、なって。おいつめ、られ、て。
    きんきゅう、てんいを、いしきがなくなりながら、かろうじて――」ガタガタガタガタ

リンク「トラウマ再発かよ…!落ち着け、ルキナ!今は俺たちが付いてる!」

ギムレー「なるほど、なるほど。意識の混濁が心の保全に奇跡的に役立った感じかい?
     通りで、案外ピンピンしているわけだ」ニヤッ

リンク「心の保全に役立った、だあ?――――勝手なこと言いやがって。
    …それにしても、あれって、ルフレと瓜二つというか、ルフレそのまんま――」

ルフレ「…………そうです。邪竜ギムレーとはすなわち、忌まわしきもう一人の僕。
    僕と同化して完全な姿になろうと画策し、それが叶ってしまったのが、
    おそらく『そこにいるルキナ』の世界…。軽蔑してくれて、構いません…………」

リンク「馬鹿野郎!!」ガツンッ!

ルフレ「ぐわっ!?」ゴロゴロ

リンク「軽蔑してやるよ!積もる裏話とかあるんだろうし、その事実自体は別にぜんぜん責めねぇよ!
   でも、さっきのロゼッタ同様、そういう情報はちゃんと事前に伝えろぉ!!
   準備できることが全然違ってくるだろうが!」

ルフレ・ロゼッタ「「は、はいぃっ!!」」

862Mii:2020/08/29(土) 19:07:58 ID:kKysAgF6
ギムレー「…とはいえ、ここにいる『我』は『我』ではないのだけれどね。
     一通り国を征服して暇していたところに、興味深い話を持ち掛けられて、
     写し身を提供したまでのこと」

ルフレ「…写し身?ど、どういうことだ?」

ギムレー「我の模造や異形たちを使って暴れたい、復讐の支えとしたいと持ち掛けられたのさ。
別に、我はそこの異常生命体とつるむつもりも、ましてや協力してやるつもりもない。

ただ、興味本位、だね。異形共の提供も含めて。
模造を作る力があるというのなら別に止めやしない。勝手にすればいい。
『我』の国には依然として『我』本人が万全の態勢で居座っているよ。

どう転んでも懐が痛まずに…うまく事が運べば、国をまた一つ潰せる。
悦に浸れる楽しみがあるならば…ひとつ噛んでやってもいいか、と考えたまでさ。
…ああ。やはり、興味本位に尽きるね」

マリオ「呆れるほど身勝手な参戦理由だな…」

ルフレ「…訂正してもらいたいね、あの場所は僕たちみんなの場所で、みんなの国だ。
    断じて、お前なんかの所有物じゃあ、ない!」

ルフレが魔導書片手に強がっている様子ですが、怯えているのが見て取れます。
非常に強い拒絶感、嫌悪感。そして…絶望感。

863Mii:2020/08/29(土) 19:11:21 ID:kKysAgF6
リンク「…ちっ。コイツを倒してもルキナのいた世界が平和になるわけじゃないのか。
   …じゃあ、何か?…お前も、影武者か何か?」チラッ

リンクが、そう言ってガノンドロフと呼ばれし者の方を見やります。

ガノンドロフ「さあ、どうだか――――」

リンク「あ、そりゃそうだわ。本体は半壊ガノン城で三途の川を、必死にばたついて犬掻きでもしているはずだもんな。
    ここに来られるわきゃないか。変な置き土産残しやがって…」

ガノンドロフ「…………」ワナワナ

ガノンドロフ「…言っておくが。ここに連れてくることを許可した魔物どもは…
       直近の争乱で余った輩ばかりだぞ。
       使いどころに困ったから廃棄処分のつもりで譲ってやったのだ」

リンク「…直近の、争乱?ハイラルの?…ええと、それってつまり」

ゼルダ「――――あああぁぁ!?どう考えても暴走した私のせいですね御免なさいぃ――!!」

何故かゼルダ姫が絶叫して頭を抱えていらっしゃいます。



話を纏めると…特に協力関係にはないけれども、興味本位やら腹いせやらで、
厄介な者、3人が手を組んでしまった…そういうことでしょうか!?

864Mii:2020/08/29(土) 19:16:10 ID:kKysAgF6

    『…………行けっ!』

ガノンドロフ「…指図するな、忌々しい」

ギムレー「…まあ、のらりくらり遊ばせてもらうとするさ」



異形「「「「「「「「RYEEEEEEEEEEEEEEE!」」」」」」」」ガバッ



マリオ「……!本格的に会場の中も外もてんやわんや、か!
    これ以上、転生の扉とやらは増えないかもしれないが…
    既に50、いや100くらいは開けられちまってるみたいだ!
    
    ええい、皆!タブー用に戦力残しつつ、分担してあいつ等を抑えるぞ!
    個々の戦闘力は大したこたぁない!人的被害、ましてや死者なんて出してたまるか!
    ピーチ、そういうわけで司令塔となって指示を…

    

    ――――ピーチ?おい?いずこ?」



キノピオ「あわ、わわわわわ」マッサオ

ファルコ「な、なあ!非常に、言い出しにくい、ことなんだが…!」ダダダッ

865Mii:2020/08/29(土) 19:20:55 ID:kKysAgF6
〜異空間〜

ロゼッタ(偽)「さてと。これで頭脳は潰せたと思うのですが、如何でしょう?」

ロゼッタ(偽)「なんだかんだ言って、貴方が居なければ、マリオだろうとクッパだろうと…
        せっかくの凄まじい戦力も、哀れ宝の持ち腐れ」

ロゼッタ(偽)「私たちで、徹底して時間稼ぎさせていただきますね♪
        別に倒せるとは思っていません。安心してゆっくりしようではありませんか」



ざっ。ざっ。ざっ。



ピーチ(……………………やられた)





Sランク級、超緊急ミッション。
会場の観客、ならびにキノコ城城下の王国民・観光客を人質に取られかけての――――
拠点防衛戦、スタートと相成りました。

866以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/04(金) 21:18:59 ID:oh5Ujv5g
://youtube.com/watch?v=8Ch4X1AeEn0

867Mii:2020/10/25(日) 00:09:51 ID:d9f/CHtQ
ドッカーーン!
ガラ、ガラ、ガラ…………!

あちこちで、火の手が上がる。
瓦礫が崩れる音がする。



キノピオ『緊急速報、緊急速報―!非常事態宣言でーす!

    城下各地点に、数々の魔物が出現、襲撃を開始しております!
    絶対に、無理して戦ったりして、致命傷を受けたりしないでください!
    …あ、でも腕に自信がある方はどうか戦っちゃってくださーい!

    城下に住まう皆さま、観光客の皆さま!係の者が避難経路へ誘導しますので、
    落ち着いて冷静に、安心して従ってくださーい!よろしくお願い致します!
    あと、安全なエリアはとことん安全にしておりますので!
    逆に抜け出したりしないでください!以上、王国放送でしたー!』



キノピオたちが、広域放送で、あるいは拡声器片手に、必死の避難誘導を開始――!
人々が、不安げな表情を掲げながらも、黙々と付き従う。
そこには、絶対的なキノコ王国への信頼があった。

868Mii:2020/10/25(日) 00:14:20 ID:d9f/CHtQ
〜キノコ城北 第7区〜

子供「…うえっ…みんな、どこぉ…!?」



一人の男の子が――うっかり話を上の空で聴いてしまい、はぐれている。



「たかが」、ちょっとあちこちが燃えているくらいの。

「たかが」、ちょっと見知らぬ姿の化け物がうろついているくらいの。

それ以外は、いつもの街中、いつもの遊び場のはずなのに。
それだけで…危険度、段違い。



まるで未知の巨大迷路に迷い込んだかのように、錯乱して、立ち尽くして、
にっちもさっちもいかない状況に陥っている。

――――スマブラ絶賛開催中という、いつもの、お祭り日和。それだけだったはずなのに。
――――なんでこんなことになっているのか、ちっともわからない。わかるはずもない。

869Mii:2020/10/25(日) 00:16:41 ID:d9f/CHtQ
――――そうしていたら、目が合ってしまった。

子供「…………ひっ」

翼が生え、ぎょろりとした目で自分を睨む生き物と、鉢合わせしてしまったのだ。

子供「――――――――」ガクガクガクガク

すぐさま、踵を返して逃げなければならない。
なのに、頭も、腕も、脚も、何もかもが震えに震えて動かない。
ただただ、絶望の涙が流れるのみ。

そうこうしているうちに、化け物が、あざ笑うかのようにほくそ笑んで――
命を弄ぶべく、たちまち目前に駆けてきた。

翼をあからさまに威嚇するかのようにバッと拡げ、
男の子を飲みこまんとせんと口を大きく開け――――

魔物「GUOOOOOO―――」バッ

子供「う、うあああああああああああ――――」ポロポロ





トゲノコ「チャージアターーック!」ガツンッ!!

魔物「」チーン

870Mii:2020/10/25(日) 00:18:18 ID:d9f/CHtQ
子供「…………え?」

トゲノコ「正義は かあああぁぁーーーーっつ!!」

トゲノコ「エリート部隊なめんなやー!!」

トゲノコ「うおおおーー!!」

子供「…………………」

子供「あ、ありがとう…」グズッ

トゲノコ「…!?う、うおっ!勘違いすんなよ!
    俺たちは…そう!クッパ様に断りもなく、横槍で――
    キノコ王国を勝手に踏みにじろうとする奴が許せないだけだ!
    別にお前を助けようと後を付けていたわけじゃないぞ!
    俺たちは エリート だからな!お前のことなどどうでもいいのだ!」

トゲノコ「まあでも乗り掛かった舟だから、
     とりあえずお前をみんなの所まで届けてやろう!

     本当はふん縛って奴隷の如く引き摺るところだが、
     ちょっとは気が咎めるから肩車で勘弁しておいてやる!
     泣いて感謝するがいい!はっはっは!」

子供「…ありがとう、ございます…………」ポロポロ

トゲノコ「うあーっ!いい加減泣き止め!調子狂う!」アタフタ

871Mii:2020/10/25(日) 00:20:29 ID:d9f/CHtQ
〜キノコ城西 第22区〜

敵傭兵「…………腹が減ったな」グゥゥ

敵傭兵「………………………………」キョロキョロ

敵傭兵「………………おお!!」



アイテム店店主の張り紙
『非常事態のため、回復アイテムを露店解放いたします!
必要量だけ、どうぞご自由にお持ちください!お代は結構です!
保存の効くキノコと野菜が揃ってます!加熱処理せずそのまま食べられます!』

敵傭兵「くく、馬鹿め。こんなことをして、敵を助けるとも知らず。
    じゃ、適当に食ってやるか――――もぐ。

    うわっぺっ、なんだこのしなびたキノコは。旨くもなんともねぇな、けっ!
    こっちの野菜の方がよっぽど――――」ガブッ






白ピクミン「ギャァー」ハーイ

敵傭兵「」チーン

872Mii:2020/10/25(日) 00:22:37 ID:d9f/CHtQ
敵傭兵「…おい、しっかりしろ!?――クソくらえ、罠だったのか!…………ん?」

赤ピクミン「ハーイ」ペシッ

赤ピクミンの ジャンプ攻撃!
敵傭兵に 0.1 ダメージを 与えた!▼

青ピクミン「ハーイ」ペシッ

青ピクミンの ジャンプ攻撃!
敵傭兵に 0.1 ダメージを 与えた!▼

黄ピクミン「ハーイ」ペシッ

黄ピクミンの ジャンプ攻撃!
敵傭兵に 0.1 ダメージを 与えた!▼

紫ピクミン「ハーイ!」ペシィッ

紫ピクミンの ジャンプ攻撃!
敵傭兵に 0.2 ダメージを 与えた!▼

敵傭兵「はぁ?それで攻撃のつもりか…?フンッ!」ザシュッ

ピクミンs「ギャー!」バタリ

敵傭兵「舐めんな、痛くも痒くもねぇ」ペッ

873Mii:2020/10/25(日) 00:24:51 ID:d9f/CHtQ
―ハーイ!
――ハーイ!
――――ハーイ!

ドドドドドドドド…………!



敵傭兵「だからいい加減に――――」



赤ピクミン×1000「「「「「「「「ハーイ」」」」」」」」ドドドドドド

青ピクミン×1000「「「「「「「「ハーイ」」」」」」」」ドドドドドド

黄ピクミン×1000「「「「「「「「ハーイ」」」」」」」」ドドドドドド

紫ピクミン×1000「「「「「「「「ハーイ!」」」」」」」」ドドドドドドドドドドドド

敵傭兵「」



オリマー「あんた、『コピーフラワー』って知ってるか?」

ピクミンs「「「「「「「「「「「「「「「「ワー!!」」」」」」」」」」」」ペシペシペシペシペシペシペシペシ

敵傭兵「」チーン

874Mii:2020/10/25(日) 00:27:57 ID:d9f/CHtQ
オリマー「露店に瀕死白ピクミン補充っと…………こいつ等、馬鹿だなー」

店主「キノコ王国民なら有毒性を知らない人はいませんからねー。
   ところで、コピーフラワーってこう長くは続かないはずじゃ」ヒョコッ

オリマー「ピクミンたち、知能が低いのが幸い、
     
     『タイミング合わせて踏め』

     みたいな単純作業には滅法強いからなぁ…
     ここは任せても大丈夫そうかな?他の所も仕掛けたいし」

店主「あ!だったら、残りのコピーフラワーも持って行っちゃってくれませんか!
   オリマーさんなら使いこなせるはずです!」

オリマー「おー!こりゃ、ピクミン隊列が捗りそうだ!ありがとうございます!
     お礼にいくらか赤ピクミン置いていく!火事場の作業に便利だから!」ダッ

店主「おおきに!」



オリマー「…………さってと、弱いファイターは弱いなりに…
     精一杯、頑張ってみるとしますかね!」

875Mii:2020/10/25(日) 00:30:07 ID:d9f/CHtQ
〜キノコ城南 第43区〜

住民「逃げろー!魔物が追いかけてきたぞー!」ダダダッ

誘導員「そこの路地に逃げ込んでくださーい!!」ダダッ

魔物「…………………ぐるるっ!!」ダダダダダッ!



バタンッ!



魔物「…………っ!」ゴツンッ!

魔物「………………………??」



バッタン「あぁン?この道通りたいってぇ?
     別に良いぜ?そンかわり、10コイン寄越せや」ノッシ

魔物「……………………!?」

876Mii:2020/10/25(日) 00:32:55 ID:d9f/CHtQ
バッタン「払えないだぁ?じゃあ通すわけにはいかねぇな!こちとら仕事なンでな!」

魔物「――」イラッ



ゴオオォォォォ!!

魔物の ブレス攻撃!▼



バッタン「…こいつはおでれぇた、ただ土埃を上げるだけの技かよ。
    石の頑丈さを馬鹿にしてンのかぁ?ん?んん?」NO DAMAGE!

魔物「――!?」

バッタン「おらぁ、そのまま動くンじゃねーぞー!」バッターン!!



魔物「」チーン

バッタン「はっはっは!口ほどにもないヤツらめ!
     これでもドッスンに比べりゃマシなンだぜ?警告はしてやれるからな!
     アイツは視界の外から初見殺しで潰しに来やがるってのに!

     まあとにかく、ちょいとクッパ軍の実力を見せつけてやらぁ!」

877Mii:2020/10/25(日) 00:34:54 ID:d9f/CHtQ
〜キノコ城東 第56区〜

観光客「…あ、あれはっ!?」

観光客「まさかっ!」

――――辛うじて、ファイターたちの援助に頼らず異形の者どもと戦い抜いて来て。
――――流石に疲れ果て、それでも人々の命を守るため、必死に足を前に出す警備兵。
――――そばには震える観光客、まだまだ弱音などは吐けはしない。

――――そんあところに、ゆったりときらびやかに…平然と現れた、一人の美しい女性。
――――知る人ぞ知る、屈強なファイターの一人――!
――――たちまち一気に膨れ上がる、希望――!

キノコ王国軍兵士「あ、貴方はっ!」



彼女は静かに微笑み、苦労をねぎらう顔をしながら――――

ゼルダ?「全てのキノコ王国の兵達よ!争うことをやめ 私に従いなさい!
      悪いようにはしません!」バッ!

観光客「――――っ!」

兵士「――――っ!」

皆が一斉に息を呑み、互いに顔を見つめ合って――――

878Mii:2020/10/25(日) 00:36:47 ID:d9f/CHtQ
兵士「――――くそったれ、偽者じゃないですか!期待して損した!」

観光客「よく見りゃ、なんか本物より色が黒いぞ!2Pカラーか!
    本物のゼルダ姫に謝れ!焼き土下座して謝れ!」

兵士「散々攻撃してきた奴らの仲間だろ、どうせ!
   そんな子供だまし話術に引っ掛かるかよ、ばーかばーか!」

観光客「そもそも、キノコ王国軍もクッパ帝国軍も――
    ハイラルのお姫様に従う義理なんてねーですよ?
    偽者さんはそんなことすらわからないの?」

兵士「「「叩き潰せぇ!!」」」ウオオォォォ

ゼルダ?「」



<<キノコ王国軍、ゼルダ?の言葉により 怒りで『やる気上昇』!>>

879Mii:2020/10/25(日) 00:39:27 ID:d9f/CHtQ
〜異空間〜

ピーチ(大丈夫、私が居なくても、きっとなんとかなる。
    開催前からクッパとも協力して、できるだけの手は打っていたし。
    そう簡単には、キノコ城は、キノコ王国は――挫けない)

ピーチ(他の皆をまとめ上げ、作戦を練ることだって、きっと誰かが――)

ロゼッタ(偽)「誰かが代わりを務めてくれる、なんて思っているのでしょうが、無駄ですよ?」

ロゼッタ(偽)「そうですとも。これでも、私たち――
       ピーチ姫の実力を、高く高く評価しているのですから」

ピーチ「…………そりゃあ、どうも。
    貴方たちに褒められても、全然嬉しくないけれどね」

ピーチ(私を異空間に残して去ってしまえるのなら、とっくにやっているはず。
    つまり、彼女たちは私の拘束のために留まらなければならない制約がある。
    本人と違って実力が不足していることが多少は反映されているのかしらね。

    言い直せば、全員倒せば拘束から抜け出せることになるわ)



周りを一瞥。全部で6人。戦闘力的には、これでも私側に遥かに分がある。
問題は、転移一本やりで振る舞われたら1人倒すことも大変、という懸念があること。

となれば、ここはあれね。「ロゼッタならではの弱み」を探し出して、捻り出して。
油断させておいて一瞬で一網打尽にするしかない。

880Mii:2020/10/25(日) 00:41:49 ID:d9f/CHtQ
ピーチ「…………いいわ、仕方ないわね。ゆっくりするの…付き合ってあげましょう。
   お互い、相手を害するには策がない…そういうことでしょう?
   それがどちらにとって好都合となるかは、わからないけれど」

ため息ひとつ、その場に腰を下ろす。
フシギな弾力の地面に、無警戒過ぎたかとひやっとしたけれど、
とりあえず牙をむいてくることはなくてよかったわ。

ピーチ「そんなに離れなくてもいいじゃない。
    もうちょっとこっちに来て、おしゃべりでもしない?」

ロゼッタ(偽)「そこまで馬鹿ではありません。
       私の警戒力で貴方の動きを見切れる程度には離れますよ」フッ

ピーチ「ちっ。面白くないわねー」

体育座りで、しかめっ面。緊張をほぐすため、あるいは緊張をほぐさせるため…
両手でほっぺたをグニグニ変形させて遊んでみる。
…うわ、思いの外、凝り固まってたわね、私の顔。嫌になっちゃうわ。



ピーチ「それでー?確かに統率力について聞かれたら、
    『統率100です』って自信を持って返せる人間よ、私。

    でも、どうして、私の代わりがいないって言い切れるのよ。
    あの場には、国を治める人や、英雄と呼ばれてしかるべき人が
    十分すぎるほどいたと思うのだけれど?」

881Mii:2020/10/25(日) 00:44:28 ID:d9f/CHtQ



ロゼッタ(偽)「貴方の振る舞い全てが、そう思わせる」




ピーチ「…………え?」

ロゼッタ(偽)「別に、礼儀作法という意味合いではないですよ。
       指導力、カリスマ、判断力、知識。美貌、柔軟性、慈愛、向上心。
       貴方の実力を――間近で見てきたでしょう、『私』?

       このようなことができる者など、貴方の他に誰もいない。
       そう断言できる程度には、貴方のこと、見てきたのです」

ピーチ「…………まさかそこまで絶賛されるとは思わなかったわ。
    なーんか複雑ね、ロゼッタ『本人』になら是非言ってもらいたかった。
    そしたら私、大喜びで小躍りして、まる一日祝賀会を開いてたわよ」

ロゼッタ(偽)「だからこそ、周囲はピーチ姫ありきで動いてきた、動けてきた。
       だからこそ、私たちが――隠し、見失わせる意義は途轍もなく大きい。
       5割の勝率を10割にする程度、には。

       タブー様とも照らし合わせたうえで、虎視眈々と狙っていた甲斐がありました…!」

882Mii:2020/10/25(日) 00:46:57 ID:d9f/CHtQ
ピーチ「あらまあ、照れるを通り越して呆れるわ。それは流石に買いかぶり過ぎよ、他の人を舐めすぎ。
    私だって、見習いたいな、敵わないなと悔しがることは幾らでもあるわよ?
    そう、たとえばゼルダなら、私の代わりくらいササッと…



    
    …あれ、なんでだろう。指示を出す格好は様になってるのに、
    真面目に考えているようで予想外のことにテンパって
    ズッコケる景色しか浮かばない!?」

ロゼッタ(偽)「ほら、みなさい」

ピーチ「…い、いやいや。流石に私の目が曇ってる、だけだから。
    そ、そうよね?そうと言ってよね、ゼルダ!?
    妙に高飛車な態度で反目買うとか、そんなことないわよね!?」

ロゼッタ(偽)「そもそも、周りの人々の適材適所を咄嗟に理解して割り振るなんて芸当、
       彼女にできると本気で思ってますか?」

ピーチ「凄い痛い所を衝かれた!
    …いやね!ゼルダだって立派な施政者なのよ!天才なのよ!
    伝説のたびに知識がリセットされるような境遇だから私と差が付いただけで!」

ロゼッタ(偽)「本音が出ましたね、自分よりは劣ると」

ピーチ「むむぅ…そうは捉えてほしくないんだけれど…」

883Mii:2020/10/25(日) 00:51:09 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「それで、他の方はどうですか?

       マリオやクッパは、自ら知識面ではピーチ姫に白旗を上げていますよね。
       リンクも、考えるのは苦手のようですし。
       3強といえど、あくまで本質は戦闘力のみです。

       ルフレという軍師もいましたっけ。頭脳明晰そうではありましたが。
       戦闘力が低すぎるうえに誰彼の能力も十分に理解し切れていない。
       5年10年の経験の積み重ねでもあれば事情は変わっていたでしょうが」

ピーチ「見た感じ、基礎体力なら分身体の貴方よりは流石に戦闘力高いんだけど…」

ロゼッタ(偽)「…耳障りですね。…パルテナは女神だそうで。眉唾物ですが。
       妙に皆の裏事情に詳しそうですが、やはり戦闘力が頼りなく」

ピーチ「見た感じ、基礎体力なら分身体の貴方よりは流石に戦闘力高いんだけど…」



ロゼッタ(偽)「…………」

ピーチ「続けて続けて」ヒラヒラ

青筋浮かぶロゼッタというのもちょっと面白い、かも。

884Mii:2020/10/25(日) 00:54:03 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「…要するに、です。最終結論として。

       最低限の戦闘力を持ちつつ司令塔となって動ける人材など、
       あの場にいるわけがないのですよ。
       混乱の極みの中で、地獄の業火に焼き尽くされるのが関の山です」



ピーチ「…………」

ピーチ「そう、かもしれないわね」

ロゼッタ(偽)「やっとわかっていただけましたか、状況の深刻さに」フッ



ピーチ(実の所、『覚醒した』デイジーなら余裕でクリアできてるんだけど…。
    まあでも、数時間単位の集中し切った暗示が必要みたいだし、難しいわよね…。
    うう、お願いだから、誰か1人でもいいから適任者がいてほしいわ…!)

885Mii:2020/10/25(日) 00:58:03 ID:d9f/CHtQ
〜急設 指令スペース〜

慌ただしく、戦闘員ならびに非戦闘員が行き交う――



キノピオ「キノコ王国軍、クッパ帝国軍と連携して各所で交戦中!」ダダッ!

キノピオ「申し上げます!各ファイターに、交信用の通信機を手渡し完了!
     リアルタイムで、情報交換したり、指示があるポイントへ向かわせたりすることが可能です!
     …皆さん超スピードで動き回るんですもん、辛かったぁー!」



「被害状況は、どうなってる。暫定のものでいい、ファイルを見せてくれ」

キノピオ「はいっ!できるだけ簡潔に、こちらにまとめてあります!」サッ

「貸せっ!すぐに目を通す!」



バサッ! バサッ!バサッ!
キノピオたちがギョッとするほど、激しくページをめくっていく音…!

886Mii:2020/10/25(日) 00:59:44 ID:d9f/CHtQ
「――――――――よし、大まかに把握した!
 …聞こえてるか、皆!とりあえず、向こう30分の行動指令を出すぞ!
 追加で指令が無い限り、脇目振らず従ってくれ!上から目線で済まないね!

 マリオ!ルイージ!
 今お前らがいる区画から、南東方面500m四方に大量の魔物が出現したよ!
 幸い、ほぼ全員地上戦闘系だそうだ!適当に薙ぎ払え!」

マリオ『適当て』

ルイージ『もうちょっと具体的に指示してくれないの?』

「お前らの方が城下の地形や通路は把握してるだろ、なら任せた方が早い!
 あえて言うなら、レンガ作りの家屋が多いか?延焼の危険性は低そうだ…
ならば、ほどほどにファイア主体で攻めろ! 住民の巻き込みを危惧せず済む!
 異形はびこる戦場だ、未知の病原菌とかを焼き殺す効果も少しはあるだろう!」

マリオ『おっけー!任せろ!』

ルイージ『ブラザーアタックも狙って行こうね、兄さん!』

887Mii:2020/10/25(日) 01:01:40 ID:d9f/CHtQ
クッパ『おい、ファイアならワガハイの出番だろう!マリオらの比ではないぞ!』

「アンタは駄目だ、火力が強すぎる!住民を蒸し焼きにする気か!
それに、狭い路地に入り込むにはその図体は少々不便だろ!他のポイントを言い付ける!」

クッパ『なにを生意気な、小娘が!』

「あいにく、今はこっちの方が指示系統として立場が上なもんでね!物怖じはしないよ!
従う気が無いなら失せてくれ!そうでないならひとまず飲みこんでくれ!
あとで土下座のひとつでもしてやる!それで満足してくれるかい!」

クッパ『…むう』

「それに、アンタの軍勢は喉から手が出るほど使いこなしたい。
 開けた中央エリア一帯を…波状攻撃を仕掛けて、一気に制圧してほしいんだ!
 思う存分暴れられるぞ!現金な話だが衆目の前で名誉も得られる!
どうだ、大魔王様。現場監督として腕が鳴るだろう!」

クッパ『…………ふん!ワガハイの性格をよくわかってるじゃないか。
    なんともシャクだが、とりあえずは話を聞いてやるのだ!』ククッ

888Mii:2020/10/25(日) 01:03:49 ID:d9f/CHtQ
「『大きい方の』リンクは、ピットと共に突っ切ってほしい!」

リンク『突っ切る…?』

「リンクは、3強の中ではマリオやクッパに比べて範囲攻撃の手数に劣るが、
機動力と火力とを高いレベルで兼ね備えたファイターだろう。
それを存分に活かしてほしい!酷かもしれないが、駆けて駆けて駆けまわれ!

苦戦中の区画が見つかるたびに連絡するから、全速力で駆け付けて瞬殺しろ!
ただし、司令部が察知していない危険地域を通りかかったら…
リンクの裁量で寄り道を許す!余裕がある限り『ひと当て』ちょっかい掛けておけ!
もちろん、それが済み次第、目的ポイントに改めて向かえよ!

ピットはリンクの補佐および上空からの偵察を頼む!
状況に応じて、リンクを抱えて飛翔移動までしてくれるなら万々歳だ!
自動的に、飛翔の軌跡を使うパルテナも同行だな!」

ピット『なるほど、そいつは合理的だ!すぐリンクと合流するよ!』

リンク『パルテナの戦闘力の低さは、俺がうまくカバーすればいいんだな!』

パルテナ『うう、実力不足が心苦しいですが…承りました!
     ふっふーん!飛翔の奇跡…というか奇跡全般は空間魔法とは別腹みたいです!
     これは儲けましたね!』

889Mii:2020/10/25(日) 01:06:03 ID:d9f/CHtQ
「マルス、アイク!できれば、人を斬ることに躊躇しないことを見越して、
 FE勢を人間型の敵にドカンとぶつけたいんだが、構わないな?」

マルス『何を今さら。時代は違えど、自分たちの国の尻拭いをするという意味でも、いいんじゃないかな』

アイク『それが利点になるというのが俺の中ではしっくりこないが、適任だというのなら喜んで受けよう』

「助かる。戦力不足かもしれないが、ルフレとルキナも連れて行ってやってくれるかい?
 一番コンビネーションが上手くいくのは当然お前たちだろう」
 
マルス『それはもちろん構わないけれど…うーん、どうだろうね。
    僕たちのグループだけで本当に固めちゃうと、
    攻撃スタイル的に、特に僕とルキナが役割が被ることが出てきそうで』

ルキナ『すいません。そうなると、本当に私が用済みになってしまいますね…』

マルス『別にルキナを責めてはいないよ。少しばかり僕に年の功があっただけさ。
    でも、酷い言い方をしてしまってごめん。

    最近じゃ、リンクとの連携も中々よさそうな気がするよ。
    そちらも考えておくのはどうだろうか』

「…ああ、それもそうか。じゃあ、もしリンク達と合流する機会が有ったら、
 場合によってはルフレとルキナをリンクに引き渡してもいいぞ。
 かわりにピットとパルテナを引き受けてほしい。
グループの特性を上手くスイッチして、それで戦況が好転するケースもあるだろうし」

マルス『わかった。じゃあ最初は、2人とも僕たちと行動だね』

ルキナ『よ、よろしくお願い致します、マルス様!すぐ合流します!』

890Mii:2020/10/25(日) 01:09:07 ID:d9f/CHtQ
「ソニックはリンク以上に縦横無尽に駆け回って敵を翻弄!
ただし処理に時間が掛かりそうな場面に出くわしたら救援を要請すること!

…いやむしろ、9割がた状況把握のための偵察として動いてくれても構わない!
気になる戦況はどしどし報告してくれないか!」

ソニック『おいおい、俺に戦うなっていうのか?ふざけるなよ?』

「お前の速度は貴重過ぎるからな、仮にソニックが一切戦えなくても――
私の指示がより的確になって、他のファイター全員の戦闘効率が5%でも上がれば、
結果的に有り余るお釣りがくる!どうかわかってほしい!」

ソニック『…っはは!冗談だ冗談だ。そこまで俺の速さを評価してくれてるのは嬉しいぜ!
     いいぜ、言われた通りに動いてやっても!』ダダダダダダッツ!!!
    
「恩に着る!
……そして、名を挙げなかった他の者たちは、城下に飛び出してしまっているなら
ひとまず今いる場所から無理に大きく移動・転回しなくていい!
必要があれば、すぐに私から要請を出すから、それを待ちつつ周囲をねじ伏せろ!

ただし、それほど試合会場から離れてないやつは一旦会場に戻れ!
できるだけ偽者のロゼッタ達を減らすのに協力しろ!タブーの警戒も現状薄いしな!
もちろん、この指示自体も状況に応じて臨機応変に人数調整させてもらうから頼むぞ!」

ファイター『『『『『『『『――――了解!』』』』』』』』

891Mii:2020/10/25(日) 01:12:06 ID:d9f/CHtQ
「いい、返事だ。飛び入りだというのに、指示の出し甲斐があって嬉しいよ。
心の底から感謝する。それでは――――」









トゥーンゼルダ「皆、健闘を祈る!!」クワッ!
【テトラモード:統率96】









ゼルダ「…………」

ゼルダ「どうしてこうなった…………」ズーン
【統率85】

トゥーンリンク「いやだって、3伝説分の『荒波に飲まれ鍛えられた』
        リーダーシップ経験値があるし、ね?」

892Mii:2020/10/25(日) 01:14:26 ID:d9f/CHtQ
ゼルダ「私だって…私だって、かつての伝説たちの記憶、
    無理やりですがシアとかいう魔女に戻されているのに…」

トゥーンリンク「うーん…。戻ったといってもまだ時間不足で馴染んでないっていうのと…
        あんまり統率っぽいこと、各伝説でやってこなかったんじゃない?
        捕まってるだけとか、潜伏してるだけとか、寝てるだけとか…。

        少なくとも『うちのゼルダ』は、2回分はバリバリ指示を出してたよ?
        …2回は言いすぎか。1.2回分、くらいかな」

ゼルダ「」ガーン
        
トゥーンゼルダ(代わりたいならどうぞ代わって下さいよ!いつまで私、
         おばあ様に成り切って皆に振る舞わなければならないのですか!?
         いや、それは確かに、魂としては私=おばあ様なんですが!
         なり切ることも容易ではありますけど!妙にカリスマ発揮しますけど!
         なんだかもう色々とややこしいんですけどっ!)

パルテナ(SS内のその設定、覚えている人いるんですかね…)

トゥーンゼルダ(……今誰かの呟きが刺さった気がします!)

トゥーンリンク「ゼルダ、頑張れ!周辺警護は任せてよ!」

トゥーンゼルダ「が、頑張ります!…じゃなくて、頑張ってやるよ!」グッ!

ゼルダ「…………」グズッ

ヒルダ「よしよし」ナデナデ

893Mii:2020/10/25(日) 01:20:22 ID:d9f/CHtQ



魔道士「ヒャハハ!どんどん攻め立てるのだ!」グオォ



キノピオ「ももも、申し上げます!
     キノコ城東の第63区、陥落寸前!魔物軍、ますます激しく進軍開始!
     一般市民らの避難はすでに終えているのが不幸中の幸いです!
     ですが今の警備兵だけではどうにもなりませーん!」

トゥーンゼルダ「――っ!早速出番だぞ、リンク!第63区に進軍せよ!
       キノピオ、警備兵には無理だけはしないように伝えてくれ!」

リンク『まっかせろぉー!!』ダダダッ!

ピット『待ってリンク!速い、速いっ!合流できないんですけどっ!』

パルテナ『私など、もっと無理なんですけどっ!置いていかないでくださーい!』

リンク『2人とも、俺が片を付けるまでに合流できなかったら罰ゲームだぞー!』

ピット『無茶言うなぁー!!』



トゥーンゼルダ(…まあ、『大きい方の』全力で動けているうちは、
         きっと大丈夫ですよね、そう信じましょう)

894Mii:2020/10/25(日) 01:24:01 ID:d9f/CHtQ
マリオ「ファイアファイア、ひたすらファイア!」ボウッ!

ルイージ「お前たちなーんか、1発当たっただけで即アウトだぞー!
     近付けるもんなら近付いてみろー!」ボウッ!

魔物「「「ギャアアアアアアア!!!」」」バタリ

マリオ「ふむ、一通り片付いた、か……!?」ビクッ

敵傭兵「所詮唯の魔法だろうが…!そして、魔法使いは物理面に弱いのが常識。
    これでも――食らえぃ!!」ブンッ!

カキイィィ――ン!



ルイージ「え、だれが魔法使いって?まさかとは思うけど、兄さんのこと言ってる?」

マリオ「悪い、不意を衝いて近づいてきた度胸は大いに褒めるが、
    そんじょそこらの使い手の剣じゃ素手で受けても痛くないんだ」パシッ
    
敵傭兵「え゙」

マリオ「むしろ剣の切っ先を握って剣を奪い取れるレベル」ズルッ

敵傭兵「」

マリオ「ついでに言うとそのまま剣の柄部分で殴り倒せるレベル」ブンッ

敵傭兵「」チーン

895Mii:2020/10/25(日) 01:27:47 ID:d9f/CHtQ
ルイージ「まあ、そのくらいじゃないとリンクの剣戟で死んじゃうしね…。
     にしても数が多すぎるよ、兄さん!どうするの!?」

トゥーンゼルダ『区画内の敵を減らすのはもちろんだが、
        敵をポコポコ召喚している扉がどこかにあるはずだから破壊しろ!
        高エネルギーの技をぶつけてやればいいはずだ!
        敵側の増援を止められるぞ!念のため、直接殴ろうとはするなよ!』

マリオ「声を拾ってくれてたか!助かる!『転生の扉』とかいうやつか?
    ――――――――――――あれか!」



転生の扉「――――」ブウゥゥゥゥーーン



ルイージ「兄さん、この距離からいくよ!せーの!」サッ

ポイッ!ポイッ!ポイッ!

マリオ「怒涛の『スピードボム』、全弾食らっとけ――!!」ブウゥゥン!!



パリイィィィィ―――――ン!

転生の扉は 大ダメージを受けて 跡形もなく 崩れ去った!
そのまま 光となって 消えていく!▼

896Mii:2020/10/25(日) 01:32:59 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「――――――――っ!」ギリッ

<<第63区の『転生の扉』の破壊に成功!>>
<<キノコ王国軍、魔物軍への反撃により、やる気上昇!>>

マリオ「そのついでで、息を潜めた偽者ロゼッタ発見!
    …くそ、すぐさま逃げられたか。そりゃそうだよな」

ルイージ「兄さん、どうする?ここを離れたら、しばらくたってから…
     あの変な扉をまた作られるかもしれないよ?明らかに管理者っぽかったし」

マリオ「…………いや、離れよう!釘付けにされたんじゃ
   何もできなくなっちまう。そこまで頭が回らないことを祈ろう」ダダッ!

ルイージ「…仕方ない、かあ!」ダダッ!




ロゼッタ(偽)「…………」

ロゼッタ(偽)「…………」

ロゼッタ(偽)「よいしょっと」

ロゼッタ(偽)「……………………油断大敵ですね。では、お言葉に甘えて――」クスッ

マリオ「――――お前がなぁ!」ズドンッ!

ロゼッタ(偽)「」チーン シュゥ・・・

897Mii:2020/10/25(日) 01:35:33 ID:d9f/CHtQ
ルイージ「消えてく、消えてくー。
     僕が言うのもなんだけど、ロゼッタって……
     戦闘面での心理的駆け引き、経験不足すぎるね」

マリオ「正確に言うと、『調子に乗った時の駆け引きが愚策極まりなくなる』だな。
    ディメーン戦でのロゼッタは冴えわたってただろ?
    味方の命背負って、最悪を考えて動くときのロゼッタは強いんだよ。
    調子に乗らないことでバランス取れてるんだよ。俺はそれでいいと思うぞ?

    というか、隠れて動くんだったら相手が隠れることも予測しとけよと。
    これだけ遮蔽物があると、俺と偽ロゼッタとの身体能力差じゃ…
    気付いたころには手遅れ甚だしいんだよな」

ルイージ「言ってあげないでよ……」




<<キノコ城の陥落に注意せよ!>>

マリオ「させねぇよそんな事!」

ルイージ「ど、どうしたの兄さん?」

898Mii:2020/10/25(日) 01:39:05 ID:d9f/CHtQ
パタパタ「キノコ城南の第35区にて!クッパ帝国軍、避難警護を行いつつ南東へ後退開始!
     帝国軍に支障ありませんが、人員空白箇所が発生!徐々に押されています!」

トゥーンゼルダ「リンクは…流石にすぐ駆けつけるのは無理か」

サムス『南、だって?ちょうどいい塩梅に向かえるかもしれん!
    あまり地理を把握していないから、現地までの誘導をお願いしたい!』

トゥーンゼルダ「ありがたい!ではサムスに向かってもらおう!今、どの区画にいる?」

サムス『…そう、だな。大通りを適当に蹴散らしつつ、ひた走っているんだが…。
    …ああ、第28区を抜けて、たった今第33区に入ったところだ!』

トゥーンゼルダ「……………………ふむ。
         そのまままっすぐひたすら進めば着く!最短距離で頼んだぞ!」

サムス『まっすぐ?…いやちょっと待て、さっそく目の前に行き止まりが見えてきたぞ。
    左か右にしか行けないんだが。どこかでまた方向転換か?』

899Mii:2020/10/25(日) 01:42:27 ID:d9f/CHtQ
トゥーンゼルダ「…キノピオ!あの辺りは、ただの食糧備蓄保管庫、だよな?
        貰った地図にはそのように記されているんだが、合っているな?」

キノピオ「は、はい。そうですけど――――」



トゥーンゼルダ「――――そういうわけだ。そのまままっすぐ!」

サムス『……………………えええ…』

トゥーンゼルダ「そこをなんとか」

サムス『…ハァ、了解。言っとくが、弁償はしないからな!
  


   ――――シャインスパアアァーーーク!!!」ゴウッ!

倉庫「「「ぎゃああああああ」」」

キノピオ「」



サムス『…………小麦粉まみれ…ええい、気にしない気にしない!
   最短距離で突っ込めぇ――っ!』ダダダッ!

900Mii:2020/10/25(日) 01:45:17 ID:d9f/CHtQ
<<キノコ城東、第63区にリンク到着!ピット、パルテナも接近中!>>

トゥーンゼルダ「よし、予想以上に速かったな!さっさと片付けてくれ、リンク!」

リンク『お、おう。よく俺が到着したって分かったな。
    うお、いるわいるわ、魔物達。懺悔の時間も与えてやらねぇぜ!』

ピット『し、死に物狂いでなんとか駆けつけたよ…ふう。
    う、うわっ!ちょこちょこ人間も紛れ込んでるよ!?見るからに悪人だけど!
    本来助けるべき存在の命を奪うって、勇気がいるなあ…!
    リンク、どうする?FE勢に任せる!?それとも心を鬼にして斬ってくれる!?
    ちょっと時間はかかるけど、生け捕りも検討してみるかなぁ――――』

リンク『…………』

敵傭兵『ぐへへ、死ねい!』ブンッ!

住民『う、うわあああああああ!!!』

リンク『はい、悪人確定。あらよーっと!!』ザシュッ!

敵傭兵『』チーン

ピット『ひぇっ!?――あ、あれ?や、やけに、あっさりなのね』ゾクッ

リンク『え、むしろなんで躊躇すんの?』

パルテナ『そ、それはその…人間殺しは咎める部分も少なからずあるのかな、と。
    ピットなど、異種族なのに人型というだけでビクビクしていますし』

901Mii:2020/10/25(日) 01:50:42 ID:d9f/CHtQ
リンク『いやいや…。種族で差別なんてしないぜ、俺。
   それに、本人の意志とは別に操られてる、とかなら是が非でも助けたいけど…
   俺、別に全人類を助けたい正義の味方とか聖人君子とかじゃないし』ザシュッ!

リンク『投降するならともかく、絶賛悪行中の根っからの悪人に慈悲なんてないぞ?
   ましてや、今にも襲われようとしてる人の命と天秤にかけるとか馬鹿げてる。
   何年、各伝説のパトロールやってきたと思ってるのさ。
   悪人1000人斬りすることで善人1人が助かる可能性が1%上がるなら
   俺は迷わず1000人斬るよ?』グサッ!

リンク『俺がもっと強かったら、善人を速やかに保護したうえで…
   1000人の更生を気長に待つ余裕も…まあ、あるかもしれないけど。
   あいにくまだまだ未熟なもんでな。手加減せず斬る。

   敵さんが余裕を持たせないように狙って仕掛けた、全部の命は救い切れない、
   だから善人のために悪人切り捨てるのは仕方ないし、責められる筋合いはない。
   そのことをいつまでも気にして俺自身の調子が悪くなったら
   トータルで救われる人が減るから、後悔すらしない。
   文句言うならあの世で敵の親玉にどうぞ。それか自業自得と諦めてくれ』ザクッ!

ピット『ドライだ…』

パルテナ『ドライです…』

トゥーンゼルダ(ドライです…)

リンク(俺の出る幕がないくらい、統治者がハイラルを平和にしてくれてればなぁ…)ハァ・・・

ゼルダ(…!?今、リンクのため息が聞こえたような!?)

902Mii:2020/10/25(日) 01:54:29 ID:d9f/CHtQ
〜試合会場〜

<<偽者の分身体、集団術式で空中庭園《スカイガーデン》を再展開!>>

ロゼッタ(偽)「「「「「「「「ハァーー!!」」」」」」」」パアアアアアアア!!



ヨッシー「うっ!?また仕掛けられちゃいましたよ!
     タブーのFP、本当に無尽蔵にあったりするんですか!?」

ルカリオ「…また、こちら側の空間魔法が使えなくなる…だったか?
    存外、味方の作戦に影響があるものだな」



<<タブー軍、空中庭園《スカイガーデン》の持ち直しにより、やる気上昇!>>

ルカリオ「…………………諸刃の剣、の作戦だな。敵も思い切ったことをする」



ロゼッタ(偽)「――――」シュウ・・・

ロゼッタ(偽)「――――」シュウ・・・

ロゼッタ(偽)「――――」シュウ・・・

<<バックファイアにより、集団術式に関与した分身体の一部が消滅!>>

903Mii:2020/10/25(日) 01:56:29 ID:d9f/CHtQ
ピカチュウ「…ピ、カァ…………」パチィッ

ピカチュウの 雷のPPが 尽きた!▼

ルカリオ「ピカチュウ、ご苦労様。敵の自爆戦法ならびにお前のおかげで随分…
     分身体の数を減らせたようだ」

ピカチュウ「ピカッ!」



フィールド中央、観客たちの目の前に堂々と居座る――タブー。
あの気持ち悪い動き、激しい攻防。これを興行とみなせる観光客には恐れ入る。
こんな大人数の避難は今更無理難題ということで、会場外部とは情報遮断、移動規制。
バリア機能頼みで居座って貰っているのだが、何時まで持つか…。中々の博打だな。

タブーがここまで居座ってくれているのならば、とっとと倒せばいい。
…それができたら、どれだけ楽なことか。
妨げるのは、何重もの箱となってタブーを覆い護っている結界だ。
単純に――魔力任せの重ね掛けの数が、半端ない。

渾身の波導弾を1発お見舞いしてみたが、
タブーに近づくにつれたちまち減速し、霧散してしまった。
壊れたところは魔力を即流し込んで、修復しているようだ。

…いや、違う。技を受けたところに自動的に魔力が流れ込んで、
タブーの意志などなくても自動修復するようになっている。
同じ箇所にピンポイントで連撃を与えてみたが、最初に凹ませてからの押し込む感覚がない。こちらのワンアクションよりも復元力の方が勝るとでもいうのか…!
先ほどの雷の攻撃を見て取って、更に念入りに守備を固めてきているようだ…!

904Mii:2020/10/25(日) 01:59:12 ID:d9f/CHtQ
デデデ「闇の衣を剥がさないと、ラスボスはどうにもならない…ってな!」

ロックマン「敵の攻撃自体は、屁でもないんだけどな…!」

訳知り顔のデイジーは言った。あんな結界、本物に比べればお粗末な紛い物、だと。
何より、あんな殻に閉じこもっていると自分も攻撃できない、と。

その主張は当たっている。要は、結界を跨ぐ魔法干渉は自分もロスがでかいのだ。
それこそ、飛んでくる空間魔法や触手攻撃は、口笛吹きながらあしらえるほど弱弱しい。
数だけは割と飛んでくるので、万が一にも観客席のバリアを壊されてはたまらないと、
ファイターたちが地道に受け流しはじき返しているこう着状況だ。
雨脚は弱まり、再び日差しが戻ってきた。

忌々しい、異形共を延々と繰り出し続ける扉たちは…
破壊した傍から、分身体たちが作り直して元の木阿弥。
ただ、分身体たちが1人、また1人と減り出しているおかげで、
少しずつ勢いは鈍ってきている。それは朗報には違いない。

ルカリオ「…………朗報、には違いないんだが」

どうも、胸騒ぎがする。
全部が全部、垂れ流しの異形任せで、碌にタブー自身は働こうとしない――
そんな状況を、タブー側が良しとしているのか、と。
もちろん、こちらとしては既に小火(ぼや)どころの騒ぎではなくなっているが。

まるで、時が満ちるのを待っているかのような――

905Mii:2020/10/25(日) 02:02:18 ID:d9f/CHtQ



――バアアァァァン!



…おっと。首をブンブン振って雑念を払っていたら、
横で中型の魔物がガクンと体勢を崩して吹っ飛んだ音。
代わってその空間に斬り込んできたのは、渦中のお姫様だ。

ドック「うん、良い音だロゼッタ!爽やかな表情に飛び散る汗がベストマッチ!
   徐々に感覚を掴んできたか!?」

ロゼッタ「えぇいっ!…ふふん、空間魔法を封じられたと言っても、
    生粋の空間把握能力だけは健在なのです!
    悔しいですが貴方の教え方も中々堂に入っていますし!ほんと悔しいですがっ!」

マック「ほ、本当に伸びがいいな…!自信無くしちゃうなあ、俺…」

ロゼッタ「とんでもない。これだけ短期間で型が整ってきたのは、
    間違いなくお手本の貴方の動きが洗練し尽くされているからですよ!
    所詮私は、動きの真似を重ねているにすぎません。
    むしろ習えば習うほど驚いています…!」

ふと、ロゼッタの拳を見る。
純白のグローブ越し、普通の人には分からないだろうが…。

ルカリオ「おい、ロゼッタ。ドックたちの純粋な評価を聞けば、中々サマになってきているのは分かるが。
    ちょっと戦果を急ぎ過ぎだ。だいぶ傷んできているぞ」

906Mii:2020/10/25(日) 02:08:18 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「……っ!?わかるのですか!?返り血はなるべく浄化したつもりだったのですが…
     外出血でもしていましたか!?」

一瞬、拳を背中の後ろに隠そうとする素振りを見せ…観念したのか、すぐに止めてしまう彼女。

ルカリオ「私には波導…各人の命の振動のようなものを読み取る能力があってな。
    一見して隠れている姿、あるいは感情の揺らぎを推し量ることができる。
    そして、今のところロゼッタからは『痛みへの我慢』の感情が伝わってくる。
    まあ、状況からして拳くらいしか疑えないだろう。…おまけに両腕か」

ロゼッタ「あ、あはは。別に我慢できかねるほどでは、ないんですよ?本当に。
     ですが、どうしても繰り返し間隔が短すぎてですねぇ…」

ルカリオ「せめて、マックのようにちゃんとしたパンチンググローブを使え。いつか大怪我をするぞ」

私も、割と拳を多用するタイプだからな。先輩としてアドバイスできることは多いだろう。

ロゼッタ「いやでも、そんなもの持ってなくて…マック、いまさらですが予備のグローブがあったりしませんか?」

マック「あいにく持ち合わせがないが…そもそもグローブのサイズや形はしっかり吟味しないと意味がないぞ?
   たぶん俺のグローブを貸したところでしっくりこないことになる」

ロゼッタ「そうですか……………………」

ロゼッタが、一瞬しょんぼりしたあと、うんうん唸り出した。

ロゼッタ「……………………空間魔法が、使えるようになれば…
    要塞法衣《バリケードローブ》を改良して、あるいは――」ボソボソ

――あいにく、小声のため聞き取れなかったが。

907Mii:2020/10/25(日) 02:11:32 ID:d9f/CHtQ
ドック「よぅし、つかの間の休憩、終わりっ!もうひと頑張りするぞ、マック!ロゼッタ!」

ロゼッタ「は、はい!…あ、あの!ルカリオさん!
     私は…私の分身体の動向チェックも兼ねて、なるべく会場の傍にいようと思うんです!
     何か不審なことを分身体が仕出かし始めたら、声をかけてくれませんか?」

ルカリオ「ああ、わかった。まあ、結構分身体も減ってきたことだし、
     もしかしたらあっさり全滅するかもしれないけれどもな!
     お前がそこまで責任感に押し潰されることはないさ」

彼女を安心させる意味でも、すこしおどけて話してしまった。
我ながら、らしくない。まあ、彼女も気が気じゃないだろうからな。



ロゼッタ「…………あ、本当です。かなり数を減らしていますね。いいことです。





     ――――って、流石にちょっと減り過ぎじゃないですか、これ?
     何時の間にこんなに倒して…私の気のせいでしょうか」




周りを改めて見渡して、彼女はそう、宣った。

908Mii:2020/10/25(日) 02:15:31 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「――――」



ピカチュウの雷で、確実に1人ずつ葬っていって。

集団術式の代償で、勝手に葬られていって。

ファイターの奮闘のおかげで、ときたま転移との鬼ごっこに打ち勝って。

何人か、ピーチの隔離の為に別行動をとったそうで。

確実に、着実に人数を減らしているはずで――――



ルカリオ「……確かに、それでも少なすぎる」

10人、いや下手をすると20人ばかり、人数が食い違う気がする。
何故だ、と考え出すのは簡単だが――愚かだ。
今はそれより、せっかく私がここにいるのだから――――

ルカリオ「今から、偽者たちの波導を、捉えよう。協力してほしいのだが――」ホイッ

ロゼッタ「……ええと、手を繋げばいいのですか?」ギュッ

ルカリオ「ああ。ロゼッタと気配が似ていて、なおかつ負の感情が溢れていればそれが偽者だからな。
     ロゼッタの空間魔法ほど索敵範囲は広くないが…同時に全数ヒットしてくれるのが強みだ。
     波導を記憶に刻んで…よしっ!」バッ!

909Mii:2020/10/25(日) 02:17:53 ID:d9f/CHtQ
目をそっと閉じるけれども、イメージとしてはカッと見開く感覚。
神経研ぎ澄ませて、周り全体を「波導のチカラで観る」。
ただひたすらに、観る――――



なるほど、しっかり観えてきた。



そのうち、会場内にいる偽者は、現時点ではどうでもいい。

ぽつぽつと、城下の区画に留まっている奴らもいるが、
これは転生の扉とやらを管理するためにもともと待機しているのだろう。
つい最近飛び出していった、なんてことではなさそうだから、緊急性はなさそうだ。
ファイターの誰かと交戦になり次第、倒されてくれると期待している。



…問題は、一目散に移動していく「波導」だ。
特に周囲に被害を加えているような進路採りではない。
ただ、その位置と移動方向に首をかしげる。

ルカリオ「全部で、16…いや17人、か。不可解な動きをしているな。
     会場など知ったことかと、一目散に外へ外へと離れていく様子だぞ…?」

ロゼッタ「…え?」

910Mii:2020/10/25(日) 02:24:01 ID:d9f/CHtQ
ドック「おーい、早くしろよー!サボりとは感心しないな!」

ロゼッタ「ちょ、ちょっと待ってください。すいません…。
     え?17人が、一目散に?」

ルカリオ「ああ。それも、全員バラバラの方向に」

――ある程度の戦力を潜伏させて保険を掛けておこうという算段か?
――それならば願ったりかなったりだ。目論見が筒抜けなら対処もしやすい。
――適当なタイミングで、根こそぎ成敗してくれよう。

だが。
ロゼッタは、そうは捉えなかったようだ。
あくまで怪しい行動と捉え、熟考し出す。

ロゼッタ「…………………………………………
    もしも、敵の、立場だったら―――――――」

動きを止めてしばし。
びくぅっと震えて、ロゼッタが顔を青くした。

ロゼッタ「――――っ!?かく、さん――!?そんな、まさか、でも――
    タブーのFPがあれば、可能……!?」

ルカリオ「――――何か心当たりがあるのか?」

ロゼッタは、息を詰まらせてから、とにかく慌てふためいた様子で。

ロゼッタ「……『拡散術式』の準備に入った可能性が有りますっ!
     ああっ…!遊び心で紙の上で術式を組み立てたのが仇になっちゃいましたっ!」

911Mii:2020/10/25(日) 02:28:53 ID:d9f/CHtQ



ルカリオ「…拡散術式?なんだ、それは」

いきなり専門用語が飛び出してきた。門外漢なので噛み砕いた説明が欲しい。



ロゼッタ「むかーしむかしに、私が開発してしまった空間魔法の一つです!
     必要な人員も、FPも、多すぎる夢物語に終わって、机上の空論どまり。
     とても使えなどしませんでしたけどね!

     正多角形の幾何学的配置に術者を配置して同時発動させる、
     ただの集団術式では収まらない、いわば『共同制作の巨大魔法陣』!
     とりわけ、正十七角形配置は最高クラスのスペックを誇る制圧力計算です!
     は、発動してしまったら、とんでもないことに――――!」

ルカリオ「ど、どうなるんだ?正確に教えてくれ!」



通信機を通して、司令部にも伝えられるようにすることを忘れない。
重要事項は、速やかに全員で共有だ。
トゥーンゼルダが、通信機越しに息を潜めるのが分かった。

912Mii:2020/10/25(日) 02:33:21 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタは、一拍、二拍、空けてから――

ロゼッタ「――っ!私の記憶が、正しければ……この魔法は、それ単独では意味をなしません。
     ただ、この魔法が発動中の領域で、行使者からみて味方の誰かが…
     音、とか。光、とか。『空間を伝播していく』特性を持つ魔法を放った場合、
     『距離に対して減衰しなくなる』んですよ!

     囲んだ領域の全域にわたって、100%の出力で魔法干渉を受けてしまいます!!」





背筋が、凍った。

空間を伝播する、特性、だと?





ロゼッタ「あああ…!仕掛けてきたからには、明らかにその類の魔法を持ち合わせている…
     そう捉えるべきってことですよね!?何か、御存じ――――はわっ!?」

ルカリオ「――――『神速』っ!!」ヒュゴウッ!



堪らず、駆けた。ロゼッタの腕を掴み、紙のように舞わせながら。

913Mii:2020/10/25(日) 02:36:49 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「わ、わわわ、わ!?ちょ、ちょっと!
    どちらまで私を連れて行こうというのですかぁ!」

一瞬にして遠ざかるボクシング師弟が、なにか喚いているが。
冗談ではない。ふざけすぎている。それをされたら、一貫の終わりだ。



ルカリオ「まさか!城下、全域にわたって――――撃つつもりか!

     ――――『OFF波動』をっ!!」

ロゼッタ「お、OFF波動!?それは一体…!?」

     
あれは、まずすぎる。
あの切り札だけは、まずすぎる。


ルカリオ「OFF波動――ピーチによって命名されたそれは――
     たちまち周囲の者の時を止める、端的に言えば石化させてしまう、
     絶望一直線の範囲魔法だ!」

ロゼッタ「――――!?」



そう、「波動」。明らかに、ロゼッタの言う伝播特性の魔法と見て間違いない!
どうやらタブーは、悪事を働くにうってつけすぎる人材を手に入れてしまったようだ!

914Mii:2020/10/25(日) 02:39:34 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「絶望一直線、と言ったが。これはあながち飛躍した表現というわけでもない。
     耐魔法というか、魔防というか、特防というか。
     耐性が低いものほど速やかに石化していくのもそうなのだが!

     波動自体に『恐怖、絶望、諦め』の感情を強く揺さぶる作用があるとのことで、
     それに絡めとられると、耐性がますます下がる。その結果、石化は一層加速する。
     つまり悪循環。『もう駄目だ』と悟ってしまうと後戻りができない厄介さ…!」

ロゼッタ「そんな…!心が閉ざされ切って、しまうと、どうなるのですか!?」

ルカリオ「石の体の奥底に魂が引っ込んでしまい――ああ、残酷過ぎて語る気もない!」

前回大会では。奴は、会場に出現して、いざ大暴れ…とは意気込んだものの。
所詮は、OFF波動については会場の広さ程度に効果を拡げるのが関の山、タブーの限界。
観客は、一部動揺する者もいたがバリア機能でなんとか致命傷は避けられ…
ファイターたちは、一般人に比べれば石化スピードは相当遅く、諦めも悪かったのだ。
結果として、誰も狂わず、死なずに済んだ。

おまけに言うと、マリオに至っては「なんか動きが鈍くなったな、風邪か?」で済ませ。
ついでに言うと、デデデ大王が偶然、石化対策バッジなんてドンピシャな保険を発動。
「むしろお前の仕込じゃないのか!」という総ツッコミのオチまで付いたという。

そんなこんなで、スマブラ上位陣の反撃を食らって、ものの10分で退場したのだ。
少なくとも見かけの上では袋叩きからの余裕勝ちであり、演目ということで貫いて、
大会はつつがなく閉幕させることに成功。…こうしてみると、情けない悪役だな。

…だが。今回は、訳が違う。
たぶん、ファイタークラスが食らう分には、そこまで脅威ではないだろうが。
一般人が無差別に食らったりなどすれば、取り返しのつかないことになる!

915Mii:2020/10/25(日) 02:43:37 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「その、拡散術式とやら!解除するには、どうすればいいっ!」

ロゼッタ「お伝えしますから、とりあえず、下ろしてくださいよ!…ふう。
     
     …え、えっと、ですねっ!
     仕掛けようとする偽者の私を、拡散術式発動前に1人でも倒すか…
     倒せないまでも、無関係な所に追い出してしまえば、発動は阻止できます!
     綿密な位置関係と、同時刻の術式発動が根幹の魔法なので!

    逆に、一度発動してしまったら――術者自らが破棄するか――
    術者のFPが尽きるまで解除されないと思ってください!
    今回の場合、FPの供給元はタブーで間違いないので、
    偽者の私を全滅させたところで魔法自体は取り消されません!」

ルカリオ「要するにタブーを倒すまで解除されなくなるのと同義だな!?
     何が何でも発動を阻止しなければならないということか!

     ――――おい司令部!聞こえていたか!?
     当てがある者全員を、街の外へ散っていくロゼッタ達の撃破に向かわせろ!
     既に私も最寄りの対象まで向かっているところだ!
     参考人として本物のロゼッタを連れて行く!」

トゥーンゼルダ『わ、わかった!そちらは任せたぞ!他の方面はなんとかして見せる!』

916Mii:2020/10/25(日) 02:45:42 ID:d9f/CHtQ
本物のロゼッタを言葉通り「振り回している」が、仕方がないことだ。

ルカリオ(身長1.2m)「背負えないので、このまま――『神速』続行っ!!」ダダダダダダッ!!

ロゼッタ(身長2.05m)「ま、またっ!?
             う、浮いてますっ!体が浮いてますけどぉ――――!?
             あと腕がちぎれ、そう、ですよっ!!」ブオォォォ

ルカリオ「私もPPとスタミナをゴリゴリ削っているんだ!我慢してくれ!」ダダダダダッ!

ロゼッタ「酷いっ!?」










    『……………………』

    『……………………』

    『……………………』

    『……………………そろそろ、動くと、しよう』

917Mii:2020/10/25(日) 02:48:42 ID:d9f/CHtQ
〜異空間〜

ロゼッタ(偽)「…………っ!」ピクッ

ロゼッタ(偽)「…………っ!」ピクッ

ロゼッタ(偽)「…………っ!」ピクッ

ピーチ「え?…ど、どうしたの、いったい」

何度かヒステリックボムを仕掛けてはみたものの、案の定回避に専念されて。
やれやれFPが勿体ないと、手持無沙汰の睨めっこ。
一体どれだけの時間付き合っていた事やら。

いきなり、ブルッと震えたように見えた偽者たち。
私としては、なにかタブーにとって不都合なことが起こった…と思いたいところ。
――――思いたいところ、だったんだけど。

彼女たちは、徐々に徐々にと、口元を綻ばせて行って…。



ロゼッタ(偽)「…………時は、満ちた。タブー様がいよいよ、動かれる時」

ピーチ「…は?」

不吉な台詞。ハッタリであってほしいのに、
クスクスと小さく笑って、こちらを振り返っては、なお笑う。
不気味。不愉快。白状しなさい。

918Mii:2020/10/25(日) 02:51:55 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「『ロゼッタ』としての知識にはこれっぽっちもありませんが――
        ピーチ姫、貴方はご存知なのでしょう?

       ――全てを凍てつかせる、闇の波動のことを」

ピーチ「――――っ!OFF、波動!」

ピンと、きた。当然よね。忘れなどできようはずもない。
――とうとう、お出ましという訳ね。

ロゼッタ(偽)「ふむ…OFF波動、ですか。そのように呼ばれているのですか。
       シンプルながら、中々よい響きではないですか。褒めてあげます」

ピーチ「…………ふん、やれるものならやってみなさいよ。
   ファイターたちを舐めるんじゃないわよ?あんな攻撃、簡単に打ち破って――」

素の力が高いほど、アレには抵抗しやすいもの。
おまけに今回は。念には念を入れて。
デデデ大王の作ったバッジ効果を、各ファイターの選手カードにスナッチさせたんだから。
もともとの抵抗力と合わせて、無視できるところまで影響を少なくできているはず!



ロゼッタ(偽)「ああ、いえいえ。そんなことは、こちらにもリスクが有るので…
       ひとまずは、しませんよ」

ズン、と空気が重くなった。

ロゼッタ(偽)「貴方が大切にして止まない――王国民に牙を向けたら、
       貴方はどのように慟哭してくれるのでしょうね?」

919Mii:2020/10/25(日) 02:54:51 ID:d9f/CHtQ
ピーチ「――――ちょ、っと」

体が、震える。

ピーチ「なに、を、するつもり。そんな広範囲に展開できる、訳――――」

そんな、一気に――タブーの力が膨れ上がるわけが、ない。

ロゼッタ(偽)「ああ、言い忘れていましたね。     
        かれこれ二百年ほど前に、私――拡散術式というおあつらえ向きの魔法を、
        机上ではありますが編み出していてですね。

        これを…そう。『OFF波動』と併用することで、効果範囲をグンと広げられるのですよ」

ピーチ「――――っ!?」

何という、有ってはならないマリアージュ…!?



ロゼッタ(偽)「どのくらい、広がるのか、知りたいですか?
       …うーん、どうしましょうかね?どうしてもというのなら…ふふ」

ピーチ「――――」

必死に、心臓を、落ち着かせようとする。うるさい。うるさい。

そして――――
あいかわらず、絶妙な距離を保ち、私に打倒されないよう警戒したうえで――
ただ一言、小声ながらも澄んだ声ではっきりと、伝えてくる。

920Mii:2020/10/25(日) 02:57:10 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「――――キノコ城城下、全域くらい、わけないんですよ」



――――――――――――。



どばっと、冷や汗。眩暈までもがお出迎え。
その直後に湧いてくるのは、烈火の怒り。

ロゼッタ(偽)「おやおや?流石のピーチ姫も、
       激昂せずにはいられなかったようですね?」

ピーチ「……あんた、たちぃ………!許さ、ない、わよ…………!」ブチブチッ



最高に、切れている。今の、私。
腹の中、煮えくり返ってるわ。

でも、彼女たちの態度を観る限り、本当に本当のこと、らしい。
もしも、一般市民がまともに受けたら、おそらくきっと致命的。――猛烈な、吐き気。

唇噛みしめ血を垂らしながらも、それでも。
最後の踏ん張りで押し止まって、自身の短絡的な突進を食い止める。

ピーチ「…それ、で。何が望み、よ。
    みんなの命乞いをすればいいのかしら。
    それとも私1人の命と引き換えに見逃してくれる?」

921Mii:2020/10/25(日) 02:59:12 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ(偽)「ふ、嫌ですねぇ。そんなこと、しませんしません」

ピーチ「――え?」

ロゼッタ(偽)「その気になれば、自分が死ぬ方が王国の損失と『客観的に』割り切って
        自分が生き延びる方を迷わず選択するお人でしょう?
        ディメーン戦で身に染みてわかっていますよ。

        ですから、そう。変な選択肢など、最初から与えません。




        単純に、絶望してほしかっただけ――――」

ピーチ「な――――」

ロゼッタの姿で、なんてことを言ってのけるのかしら。
野蛮な言い方が許されるなら、八つ裂きにしてやりたい。





ロゼッタ(偽)「トラップを発動させ全てを終わらせるのは――――
       残念ながら、規定事項です!」バッ!

922Mii:2020/10/25(日) 03:01:57 ID:d9f/CHtQ
〜キノコ城城下〜



ルカリオ(――――見つけたっ!)



まだそれなりの距離とはいえ…後姿をバッチリと捉え。
若干スピードを落として慎重に追跡。丁度いい、ロゼッタを下ろしてしまおう。
家屋の陰に隠れて小刻みに姿を見失う?波導を読む私にとっては些細な事項。

魔物達は、律儀に彼女だけ無視して暴れている。当然の帰結ではあるが歯痒い。

ルカリオ「トゥーンゼルダ!対象を発見した、あと1分もあれば仕掛けられる!」

トゥーンゼルダ『助かった!他の奴らはまだ遭遇できていなかったんだ!
         位置が微妙に悪かったうえに、口頭で伝えるしかないからな…!』ホッ

ロゼッタ「あ、あの、ルカリオさん」

ルカリオ「ルカリオでいい、さん付けはこそばゆい」

ロゼッタ「で、では。ルカリオ、1分と言わず、貴方のスピードで10秒で急接近しましょうよ!
     対処を余儀なくされて、簡単に目的の位置から追いやれるはずで――――」

ルカリオ「神速がちょっとPP切れになった、という苦々しい事情もあるが。
     駄目だ、追いやるだけでは。いつ舞い戻られるか分からないからな。
     時間に余裕は少しあるみたいだから、慎重に近づいて確実に仕留めたい。
     察知されて空間転移など使わせてはいけない、気付かれていないのは僥倖だ」

923Mii:2020/10/25(日) 03:05:14 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「で、ですが……なんだか、嫌な予感が――
     流石に、一切後ろを振り返らないのは無警戒すぎる、ような――
     ゆ、油断しがちな私の分身らしいといえば、らしいのですが…」

ルカリオ「案ずることはない!むしろ、だからこそこのチャンスをものにすべきだ!」

小声で返しつつ、しなやかな足取りで接近、接近。もちろん裏道から、ばれないように。
隠形は得意な方だからな。ロゼッタはその限りではないから、もう少し近づいたら待機してもらおう――――



その時。
ロゼッタがグイッと、ありったけの力を込めて私の背を押しやった。



ロゼッタ「――――――――!!!
    ルカリオ、全速力で相手を吹き飛ばして!速くっ!!」

ルカリオ「な、なにをいきなり急に、まだ街の外れは先―――」



こんな中途半端なところで、まさか術を始めるとはとても――――

924Mii:2020/10/25(日) 03:09:05 ID:d9f/CHtQ
予想だにしないことが、発生した。
まだまだ城下を抜け出していないのに、偽ロゼッタが動きを、止めた、だと?



数秒の祈るようなそぶりののち、瞬く間に天に片手を掲げ――――
舞い降りる、光の束。静まる、空気。…………足元には、既に、魔法陣の片鱗がっ!?

ルカリオ(途中で、領域拡大を切り上げた、だと!?
     追いつく間際の…都合のよすぎる、ギリギリ目一杯のタイミングで!?)

ロゼッタ「――――私たちを含めた追跡作戦が、敵方に漏れていますっ!
     私のことは無視して、急いでください!」

ルカリオ「――――なんたる愚!なんたる油断か!」

相手を見くびり、驕っておいてのこの体たらくか!神速がもう使えないのが悔やまれる!
それでも再び、可能な限りの高速で駆ける!このヘマの埋め合わせは、命懸けで――――



そこに迫り来る、大剣の不意打ち――

ガノンドロフ「ハッ!!」ブウゥゥン!!

ルカリオ「ゴフッ!?」

あまりに狭かった視野。巨漢に横槍を許し、一気に肉薄されてしまう。
パワータイプのそれは、たちまち腹にめり込んで私を毬のようにはじき返した…!

925Mii:2020/10/25(日) 03:11:27 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「ぐっ…貴様…!」

そびえ立つ、悪意の塊。
ずっしりと構えるは、ハイラルの三傑の一人にして、『力』の具現化のような男――

ガノンドロフ「無様だな――
      フン、手間を掛けさせおって。とっとと発動しろ、小娘め」

なんだかんだ、私たちの敵であるのは確かなのだ。
完全な協力関係ではないとはいえ、タブー側を利するように動く、ガノンドロフ。

ロゼッタ(偽)「――――ははっ!最高のタイミングでのアシスト、感謝です。
       ハアアアアアアアアアアアアアァァァ――――――――!!!」パアアアア

まだ残る、それなりの距離は、偽ロゼッタを安心させるには十分だったらしい。

足元で紫色に輝く、魔法陣。その輝きは瞬く間に勢いを増す。

一条の光が呻りと共に地を這い、私たちの足元を潜って――
今駆けてきた道を走り、城下の中心部へと駆けていく。
更に偽ロゼッタが伸ばす両腕に従うかのように、左右に走る光。
…届く先は、正多角形の隣の頂点に位置する別の分身体なのだと、素人考えでも容易に想像できた。

ロゼッタ「あ、ああっ!術式が完全に進行していますっ!」

激しい地鳴り、震える大地。私が受ける感覚も大層なものだが。
ロゼッタは特にけたたましい危険サインとして、魔法の発動をその身に感じているらしく、
苦しそうにふらついて頭を抱えている…!

926Mii:2020/10/25(日) 03:13:16 ID:d9f/CHtQ
ルカリオ「くそっ!!」

気を改め、分身体に繰り出すは、八頸。

油断していた相手は受け止めることも出来ず、無残に屍を――――
さらすことなく、勝手に、自分から消えて行った。
こちらを伺う最後の表情は、勝ち誇ったなんとも醜悪なもの。



ルカリオ「……ロゼッタ」

ロゼッタ「…………はい」



ロゼッタの方を、半ば放心しつつ、振り返る。
いや、もしかしたら、術式が完成し切らず不発に終わり、要らぬ心配だった、とか…。
藁をもすがる気持ちで、返事を待つ。





ロゼッタ「…………………………………………
    拡散術式。最高クラスのが、ガッツリ発動されちゃいました。
    どう、しましょう」

振り向き返すロゼッタは、なんとも乾いた笑いを浮かべていた。

927Mii:2020/10/25(日) 03:15:26 ID:d9f/CHtQ
切り替えだ。そうだ、頭を切り替えて仕切り直せ。
下手をすると、犠牲者を出すか出さないか、ではなく…
犠牲者を何人減らせるか、という状況に後退してしまったかもしれない。
それでも嘆くのは――――ああ、後回し。

ふと見れば、無防備なロゼッタへと、邪悪に笑って大剣を振り翳すガノンドロフ。
――――!?…どういうわけか、ロゼッタが回避行動をとらない!?

我に返って、素早くロゼッタとの間に滑り込んでガードするっ!
このあたりの覚悟の差は、やはり仕方がないものがあるか!

ロゼッタ「きゃぁっ!!あ、あぶな、かった…!!た、助かりました!
     そ、そうですよね!今は死んだら終わりですよね!?残機制じゃ、ない!」

ルカリオ「人のことを言えた義理ではないかもしれないが、余所見をするな!
     何を呑気なことを言ってるんだ、全く!脳天に刺されたいのか!」グググッ!



ロゼッタ「――――――――――――??」ズキン



ロゼッタ「……あ、は、はいっ!忠告痛み入ります!」

928Mii:2020/10/25(日) 03:17:35 ID:d9f/CHtQ
ガノンドロフ「フン、消え失せろ、死にぞこないの雑魚が――」

ガノンドロフが続けざまに剣を振るう。それも2本。
片手で易々と振り下ろされる大剣はかなりの重量物。
ロゼッタを庇いながらだと流石に辛い!

丁寧に受けて堪えるしかなく、腕から血が滴り落ちる――!

ロゼッタ「―――――――強い…!」ブルッ・・・

ガノンドロフ「魔王の覇に今頃気付くとは、愚かしいにも程が――」



ルカリオ「…いや、流石にロゼッタは敵わないかもしれないが、
     ファイター基準でいうとそれ程…というレベルだぞ。
     私でもロゼッタを庇う必要さえなくなれば勝てる」

ロゼッタ「…あ、やっぱりですか?
     最近、散々扱かれてきた『強者』と比べると、そこまで脅威ではないような気がしていました!
     というわけで離れて見学しますっ!押し付けて申し訳ございません!」

ルカリオ「むしろ先に引き返しておいてくれ!すぐに追いかける!」

ロゼッタ「わ、わかりました!」

ガノンドロフ「」

929Mii:2020/10/25(日) 03:19:20 ID:d9f/CHtQ
ガノンドロフ「…………ほほう?魔王に盾突くばかりか、愚弄するとは、無謀な獣よ。
       ならばここで屍を晒すが――――」プルプル

ルカリオ「波導は、我に、有り――――!」スッ・・・

ガノンドロフ「無駄な真似をっ!」ブゥン!

シュンッ!

ガノンドロフ「ぬう!?小賢しい、フェイントなどとは――」



――――瞬間移動とまではいかないが。
――――相手の心を読み、裏をかいて一気に懐に忍び込み。
――――大剣が頭を掠めて切傷ひとつ。そのくらいなら安い代償だ。



ルカリオ(乾坤、一擲ッ!)

ルカリオ「でやあああああああああっ!!」ズドドドドドドドッ!



ルカリオの インファイト!
効果は 抜群だ!▼

ガノンドロフ「」\98.6%/

930Mii:2020/10/25(日) 03:21:36 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「わぁ…!」

ガノンドロフ「お、のれ――――!」ドクドク



一目散に走っていけばいいものを。
ロゼッタは足を止めてこちらを振り向いてしまっている。
そんなロゼッタには、私が、一瞬のうちに消えたようにみえたかもしれない。
神速を使ったときは手を繋いでいたから、逆に体感できなかっただろうがな。



ルカリオ「――――終わりだあああぁぁっ!!」ゴウッ!

鋼の拳が弾丸となって、ガノンドロフの顔面を貫いた。

ガノンドロフ「」チーン



ルカリオ「…いやまあ、実際に顔に穴が空いたわけじゃないけれども」

ロゼッタ「ソウデスネ、ソウ簡単ニ人体ニ大穴ナンテ空キマセンヨネー」

ルカリオ「…何故棒読み?」

ロゼッタ「アハハ」

931Mii:2020/10/25(日) 03:24:03 ID:d9f/CHtQ
ロゼッタ「……失礼しました。――――あ、ガノンドロフが消えて行きます」

ルカリオ「…ああ、そうだな。
     やはり本人ではなく、紛い物、か。まあいい。
     今回の騒動にはもはや関われなくなっただろう。
     おそらく、ハイラルの魔物に関しては士気も下がる。

     …それにしても、抜群インファイトで確1取れないか。
     まだまだ弱いな、私は――――」

ロゼッタ「……………………」フラッ

ロゼッタ(……あれ?な、なんだかさっきから息が…詰まる?胸が苦しい、ような――
    …………………気のせいですか、よかった。今更怖気づくとか勘弁ですよね)

ルカリオ「おいロゼッタ、相変わらず集中力が途切れがちなのか?」

ロゼッタ「まあ、連戦のせいでHPが黄色ゲージに突入してそれなりに経ったとは
    自覚していますけど…。でも、致命傷とかは特段受けていませんよ。
    鍛えられた成果です、はい!」

ルカリオ「…そうか。大変だろうが、まだまだ気張って貰わなければ困ることになった。
     最悪の状況を想定して動くぞ。

     間もなく、間違いなく、OFF波動が繰り出される。
     そう、それは――――」



――――ほんの5秒後の、ことだった。

932Mii:2020/10/25(日) 03:26:14 ID:d9f/CHtQ
〜司令部〜

《タブー軍、偽者のロゼッタ達により拡散術式が発動したことで、やる気上昇!》

トゥーンゼルダ「――――っ!」ギリッ

《ルカリオ、ガノンドロフを撃破!ハイラルの魔物、大幅にやる気低下!》

トゥーンゼルダ「それはいい、いいことなんだが…!
        手放しでは喜べない、な。

        一体全体、どうして敵に情報が漏れた…!?」

キノピオ「…………?」ヒソヒソ

キノピオ「……………………?」ヒソヒソ

ソニック『おい、司令部!こちらソニック!一大事だ、報告するぜ!
     もう少し早く伝える機会が有ればと思うと、ノロマな自分が腹立たしい!』

トゥーンゼルダ「ど、どうしたソニック!こちらもパニックになり掛けていて…」

933Mii:2020/10/25(日) 03:28:33 ID:d9f/CHtQ
ソニック『情報が漏れた、しょうもない絡繰りが分かったぜ!
     ルフレ…じゃなかったか、ギムレーって奴がいただろ?
     そいつに一部の工作員キノピオが襲われてやがった!
     瀕死の所をなんとか逃走優先で救出したが!』

トゥーンゼルダ「何だと!?」

ソニック『要するに、余ってた通信機を敵側が奪い取ったってことらしい!
     そん時から、俺たちの情報のやり取りが筒抜けになってる!
     …もちろん、この会話含めてな!伝えるかどうかちょっと迷ったぜ!』

トゥーンゼルダ「……!!」アゼン

ソニック『――――いいか、頼んだぞ!お前の知恵にかかってる!』プツッ

トゥーンゼルダ(ソニック…!迂闊に口を滑らせることを避けてくれたのか。
         だが、私の方こそ、迂闊に指示を出すと、裏を掻く側が圧倒的に有利――

         このドタバタ状況で、通信機の識別なんか、できていない!
         ピーチなら割り出し可能かもしれないが、少なくとも私には無理難題!
         通信機が、もう、使えないっ!?)

トゥーンゼルダ「み、皆!しばらくの間、各自判断で行動してくれ!
        私からの指示は一旦保留とする!皆からの状況報告のみ、
        随時…司令部に向けて行ってもらいたい!不甲斐なくて済まない!」

トゥーンゼルダ(これでは、あまりにも――)

934Mii:2020/10/25(日) 03:30:33 ID:d9f/CHtQ
トゥーンリンク「ゼ、ゼルダ!しっかり!きっと対策があるはずだよ!」

ヒルダ「本当に、酷い…………」

ゼルダ「…もう我慢できません。私も会場外の助太刀に参ります!
    トゥーンゼルダの警護は任せましたよ!」ダダッ!

トゥーンゼルダ「…あ、あ。たのみ、ます」ウツロ

トゥーンリンク「ねえ、元気出してってば!精神が揺らぎ始めてるよ!」ユサユサ



――――その時、だった。




    『――永遠に。世界と、現世と、隔離されるがいい――!』




トゥーンゼルダ「…!?なんだか、みょ、うな、悪寒が」

ヒルダ「…っ!?な、なに、これ」ビクッ

トゥーンリンク「…やばっ!タブー、まさか――――!」

935Mii:2020/10/25(日) 03:32:27 ID:d9f/CHtQ
隔壁に厳重に守られ引き籠っていたタブーが、動いた。



一瞬縮こまったかと思うと。膨れ上がり、そして――――

隔壁の中が闇に染まる。



中の様子が、一切推し量れないほどの、まっ黒。

皆が、驚愕の表情をする中――――








隔壁が、解除、された。

狂暴なナニカが、たちまち、会場を、城下を、覆い尽くす――――!



「OFF波動」、ここに発動。

936Mii:2020/10/25(日) 03:34:02 ID:d9f/CHtQ
クッパ『――――――――皆、聞くのだっ!』

敵側に動きがばれるのも承知。
クッパの大音量の声が、突然通信機から発信される。

クッパ『ワガハイとピーチの策で、選手カードにはOFF波動に抵抗する仕掛けが
   施されているのだ!そう簡単には石にならん!絶対に手放すな!

   それと、多少は周囲の人間にもプロテクト作用がある!
   石化を開始したり恐慌状態に陥ったりした一般人がいれば、
   すぐさま駆け寄り保護するのだ!

   この情報を聞いて、カード奪取に動く不届きな輩がいたなら
   問答無用、容赦なく叩きのめすのだ!以上だ!わかったか!』



トゥーンリンク「た、たすかる、よ。少しは希望が、持てる、かな。
        …なーんて、言ってられない、ね!」ガクッ

トゥーンリンクの 全ステータスが 下がった!▼

ヒルダ「う……な、なんです、か、これぇ…!」ガクッ

ヒルダの 全ステータスが 下がった!▼

トゥーンゼルダ「き、きっつい―――これ、が、OFF波動という魔法…
         気力が、ごっそり、吸い取られていく――――!」ガクッ

トゥーンゼルダの 全ステータスが 下がった!▼

937Mii:2020/10/25(日) 03:36:34 ID:d9f/CHtQ
トゥーンリンク「ほ、本当に怖いのは、なんといっても石化しちゃうこと、だよ!
       偽者のロゼッタの仕掛けで範囲が広がって――
       
       う、ううん。威力自体も、ぜ、前回より多少は上がって、る…!」

トゥーンゼルダ「そ、そんな――――――うっ!?」グラッ



トゥーンゼルダの 全ステータスの 低下が 止まらない!▼



トゥーンリンク「…!?し、しまった!ゼルダっ!絶望しちゃ駄目!
        精神干渉も一癖あるよ!一度はまると、際限なく能力低下を招くよっ!

        そういや…選手、カードッ!持ってないのかっ!
        ほ、ほら!僕の選手カード、貸すから!

        …予想以上に危険だ!僕たちも油断なんかできないけど…
        特に今回初出場のファイター程度のレベルだと、ひとたまりもないぞ…!」

938Mii:2020/10/25(日) 03:41:06 ID:d9f/CHtQ
パルテナ「ぐぅっ!?」ガクーンッ!

パルテナの 全ステータスが 大きく下がった!▼

ピット「パルテナ様!?急に倒れて一体――わわっ!?」ガクッ!

ピットの 全ステータスが 下がった!▼

パルテナ「…………い、いやあ。たまには地面で寝転んでみたいなー、
      なんて思っちゃったもので」

ピット「……こいつは、きついや…!
   パルテナ様は、もっと大変なことに――!?」



リンク「ついに、来ちまったか…!」ブルッ

リンクの 全ステータスが 雀の涙ほど下がった!▼

ピット「リンクずっこい」

リンク「知らねぇよ…」

939Mii:2020/10/25(日) 03:42:57 ID:d9f/CHtQ
ルキナ「うっ…!?」ガクーンッ!

ルキナの 全ステータスが 大きく下がった!▼

ルフレ「…こ、これが――――力が、抜けていく―――」ガクーンッ!

ルフレの 全ステータスが 大きく下がった!▼

マルス「2人とも、しっかりするんだ!大丈夫、僕たちがサポートする!
    ルキナッ!僕の選手カードを代わりに持っておいて!」

マルスの 全ステータスが ちょっと下がった!▼

アイク「勝手なこと、しでかしやがって――――!」

アイクの 全ステータスが やや下がった!▼

マルス「…アイク!予定を早めて、急ぎリンク達と合流するよ!
   悔しいけれど、僕たちだけだと2人を護り切れないのも事実なんだ!
   このままだと、雑兵相手に苦戦するような状態の2人を背負って、
   ジリ貧の戦いをすることにもなりかねない!」

940Mii:2020/10/25(日) 03:44:40 ID:d9f/CHtQ
アイク「まだこの辺りは制圧し足りないんだが…ああ、わかった!
    …って、リンクの位置が通信機なしじゃ分からないぞ!
    いっそのこと、敵にばれるの承知で使うか!?」

マルス「……通信機強奪を考えたのが、あのギムレーという男だからね…。
   あの男の性格的に、因縁のあるルキナの場所を割り出せたら、
   間違いなく不意打ちしてくるよ。あまり、好ましくはない。

   トゥーンゼルダとリンクとのやり取りからある程度は推測がつく。
   その付近で大暴れしているファイターがいれば、それがリンクだろう。
   制圧被りしないよう、他のファイターも接近を避けていたはずだから!」

アイク「なるほど。リンクに負担を押し付けるのは情けないが…
    それじゃあ、行くぞ!……って、ちょっと待った!
    悲鳴が聞こえる!あっちに逃げ遅れた人がいるようだ!」ダダダッ!

マルス「――ナイスな判断だ!なんとしてでも助けよう!気付けて良かった!」

941Mii:2020/10/25(日) 03:46:42 ID:d9f/CHtQ
翼竜たちが、一点に集って、誰かを襲っている。
その人は、血まみれになりながら、ただただ蹲っている。

アイク「そこを――――どけぇっ!!」ブウゥン!

いくら戦闘力が下がったとはいえ、所詮アイクの敵ではないね。
たちまちのうちに全部まとめて切り伏せてしまった。

目の前には震えたままの住人、あるいは観光客かな?
安心させようと、こちらを認識してもらうつもりで肩を抱いて揺すぶった。
タオルなんて気の利いたものは持ち合わせていなかったので――
僕なんかのハンカチで悪いけれども、さっさっ、と血を拭ってあげた。

――――拭ってあげようと、した。



アイク「――――」ピタッ

アイク「――――お、おい。まさか」

マルス「――――――――っ!アイク、君のカードを!」



――――絶望のあまりか、石化が、始まっているっ!?
――――本当に、効果を拡げていた、タブーの魔法!
――――おまけに…ファイターと一般人の差を、あまりにも舐めすぎていた!?

942Mii:2020/10/25(日) 03:48:43 ID:d9f/CHtQ
今さらながら、アイクが選手カードを彼に押し付け、加護を与えようとするも――

住人「もう、だめ、だ――――し、しぬ、んだ――――」

マルス「――――待て!早まってはいけない!
    待つんだ!僕たちが君を助けた!もう助かったんだ!だから!」

聴く耳を、持ってくれない。
ガタガタガタガタ、ただひたすら咽び泣いて。
その声が絶望を強めるたびに、カードの回復力などあざ笑うかのように――
足元から、瞬く間に、石化が、進む。

アイク「クソッ!クソッ!ちょっとは役に立てよ、
    ピーチとクッパの自信作のアイテムだろ!そうなんだろぉ!」

固まる。
泣く。
固まる。固まる。
回復して、少し石化が解ける。
固まる。固まる。固まる。
泣く。泣く。泣く。
固まる固まる固まる固まる固まる固まる固まる固まる固まる――――――――



住人「                」



かんぜんに、石になった。

943Mii:2020/10/25(日) 03:51:26 ID:d9f/CHtQ
マルス「――――――――」

天を、仰いだ。

アイクが、堪らず地面に拳を打ち付ける。
多少の鮮血とともに、舗装された道が瓦礫となって吹き飛んだ。

マルス「――――先を、急ごう」

アイク「はぁ!?…ちょっと、ちょっと待てマルス!耳を疑ったぞ!
   この感じだと、この付近のぎせ…い、いや、被害はまだまだ広がるぞ、まさに今から!……拡がる一方だ!
   俺たちが離れたら、本当におしまい――――」

マルス「だからって、人々を必ず石化から守れるとも分からないカード片手に、
    付近を巡回して、闇雲に時間を費やすかい?――それこそ被害を拡げるよ!
    
    今の皆の状況は、時限爆弾を括りつけられて放置されたのと同じだ。
    そのタイマーを少し遅らせるだけじゃ、何も解決しない!
    幸い、石化は死と必ずしも同義というわけでは…辛うじて、ない。
    原因そのものを叩いて、全てを解除すれば、元通りなんだ。

    ――――そのためにも、僕たちという戦力を腐らせるわけにはいかない。
    最速で敵を倒すために策を講じることが、今やるべきことだ」

アイク「ルフレやルキナのことは俺たちの手間を増やしてでも、
   こうやって助けようとしているだろう!それと一緒じゃないか!」

――――はっと、した。そうかも、しれない。僕は自分勝手に過ぎるようだ。
――――助けたい人に優先順位を付けてしまっていたなんて。
――――冷静なように見えて、一番周りが良く見えていないのは僕なのかもしれない。

944Mii:2020/10/25(日) 03:56:24 ID:d9f/CHtQ
ルキナ「――――――――」

アイク「――――あ、いや、ルキナ。ルフレ。
   別に俺はお前たちを助けることを苦に思っているというわけではなくてだな!」クルッ



ルキナが、顔面蒼白にして、吐き気を堪えようと、うずくまっていた。
様子がすこぶる、おかしい。体が言うことを――聞いているようには、みえない。



ルキナの 全ステータスの 低下が 止まらない!▼



マルス「…………はっ!?
   今の光景は、ルキナには毒すぎる!ルフレも時間の問題といったところか!」

ルフレ「…は、はは。マルス様には…敵いません、ね。
    で、ですが。まだまだ虚勢は張らせて頂きますよ」ブルブル

マルス「…急いで離脱するよ、アイク!本格的に危うい!
   妥協しよう。その住人を唯一の犠牲者と信じて、その人だけ背負っていくのは許す。
   それ以上、君に負担を強いるわけにはいけない。分かってくれ」

周りには沢山の家屋、商店、飲み屋に飯処。少し歩けば公園だって旅館だって、
それこそ人がいておかしくないスポットは無数にある。
どうして、逃げ遅れた人が1人も他にいないと言い切れようか。

945Mii:2020/10/25(日) 03:58:35 ID:d9f/CHtQ
いきなり背負われ恥ずかしがる…そんなそぶりを見せる余裕すらないのか、ルキナは。
覚束ない足取りながらも、ルフレも後に続いてくれた。





アイクは――――



アイク「――――――――ちくしょう!後で一発、殴らせろよっ!!」



あれやこれや、煮えくり返って。くぐもった涙声になりながらも。
住人担いで、なんとか後に続いてくれた。



せめて――リンクと合流するまで、通りかかった人たちだけでも救えたら。
心からそう願った。

946Mii:2020/10/25(日) 04:03:02 ID:d9f/CHtQ
少年が、はぁはぁ息を切らせつつ走っている。
走りながら腕を引っ張るは、同じくらいの年の少女。



少年「ゴホッ、ゴホッ…勘弁、して、くれよぉ…!うるさいし臭いし煙たいし…
  どっちに向かえばいいんだよ…!どっちかわかる!?」

少女「……………………あっち!」ビシッ

土埃まみれでせき込む少年に対し、少女は迷わず、繋がれていない手で指し示す。



少年「…指差してくれるのは嬉しいけど、その心は?」

少女「女の勘よ!」

少年は拍子抜けして転びかけながらも、やれやれと苦笑して示された方向へ。
こういったとき、一番よくないのは悩んで足を止めることだと、経験上よくわかっているから。

947Mii:2020/10/25(日) 04:08:20 ID:d9f/CHtQ
少女「――っ!?何か来るわ!?」

少年「なら、よけーる!避けれなかったら…そのときまた考える!」

冴えわたる、第六感。
少年に引っ張られるまま少女もそのまま大きく動いて――
間一髪、上空からの狙撃を横っ飛びで躱す。

まさか振り向きもせず躱されるとは思っていなかったのか。
上空の影は無理に追い縋ろうと、碌に前も見ず旋回し――――
建物の突き出しに裂かれてあえなく墜落していった。

少年「うっしゃーラッキー!儲け儲け!あの竜アホだな!」タタタッ

少女「お茶らけたこと言ってないの!急いで急いで!」タタタッ

少年「いやいや、このくらいお茶らけてないとやってられないんだって!
  俺たち、ヨワヨワだし!簡単に死ぬし!空元気バンザイってやつ!?
  それに得てして、このくらいフザけてる位が一番死ににくいんだよ!」

少年はそう自虐するが。
角を曲がってバッタリ出くわした、剣を持って襲い来る不届き者。振りかぶった剣は相応に速いけれども――

少年「!?――そりゃあ!!」パアアァ!

雑兵「」チーン

少年「―危ねっ!?怖っ!?…チカラ無駄遣いしたくないんだけどなあ」タタタッ

――――ちょっとした下っ端くらいなら、なんてことはないらしい。

948Mii:2020/10/25(日) 04:11:00 ID:d9f/CHtQ
少女「はいはい、ふざけるのはそこまで。
   はやく探し出さないと、取り返しのつかないことになるわよ!」タタタッ

少年「ふざけてなんか…あー、はいはい。わかってるってー。

   だいたい、事態が動いてからジタバタするんじゃなくて、
   ファイターたちが一斉に瞬間移動してきた時、すぐコンタクトを取るか…
   せめてストーキングしとけば楽だったんじゃあ。得意でしょ?」タタタッ

少女「ううううるさいわね!会場にいれば安心だと思ったのよ!
   動かなくていいかもしれなかったし、局面を見極めてたの!
   そしたら、ビューンって感じで一目散に駆け出されちゃったし!
   あと、ストーキング得意とか言うな!

   と・も・か・く!今頑張らなくて、何時頑張るっていうのよ!さあさあ!
   姫様の期待を裏切るって言うの!?」タタタッ

少年「へーい。…それにしても、他のファイター達すら見当たんないや。
   聞いて回ることもできやしない。やっぱり俺たち機動力ひっくー!
   ソニックさんとかでも通りかからないかな、運んでもらえるんだけどっ!」タタタッ

少女「そこ、無い物ねだりしない!」タタタッ

949Mii:2020/10/25(日) 04:15:42 ID:d9f/CHtQ
少年「………………………………………………………
   いや、ここはあえて――現状打破とジンクスブレイクを兼ねて、無い物ねだりしてみよう」ピタッ

少女「…………は?」ピタッ

少年「――――――――――――――――――――――――――――――――
   うわああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁ――!!
   体が石になるるうううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅ!!
   だあぁれえぇぇかあぁぁ、たぁすけええええてえええええええぇぇぇ――!!!!」

少女「」

しかし、なんとも単純な子供じみた作戦ながら、ファイターの注意を引くには十分。
甲高い悲鳴に呼応するように、飛んできたファイターが一人――!



少女「うわあ、恥を知らない馬鹿は、馬鹿なりに役に立つ場面が――」

少年「ほらみろ、効果てきめん!最初からこうしておけば――」



デイジー「天が誰呼ぶ我を呼ぶ!世界を救えと皆が呼ぶ!
     泣く子も駄菓子で黙らせる、ステキなお転婆お姉さん!
     サラサ・ランドの王女、デイジー参上!!」ズサァーー!

少年「」

少女「」

950Mii:2020/10/25(日) 04:19:01 ID:d9f/CHtQ
デイジー「リアクションが欲しいなっ!…いやいや、それよりも!
     どうしたの、大丈夫!?ケガはない!?
     石になり始めたってホント!?…あれ、そうでもない!?

     というより、私誰だかわかる!?デイジーだよ!
     そこそこメディアに露出してるから知られてると思うけど!
     おっと、露出って言ってもイカガワシイ意味じゃないよ、念のため。
     姿をあっちこっちで見かけるって意味だよ。知ってた?偉いぞ♪」

怒涛の如く、しゃべくるお姫様。最後はウインクで締めて見せる。
少年と少女は、唖然とするばかりで、しばらく動くことができなかった。



少年「いや、ほんと――――さっさとやっとくべき頭脳プレイだったんじゃね?
   悔やまれるにも程があるんだけど」

少女「…そうね。喜ばしきことなのに悲しくなってくるわ」

デイジー「???」

あちこちで爆発音が聞こえると言うのに、
ため息と、腑抜けた言葉を吐いてしまうのは仕方がない。

951Mii:2020/10/25(日) 04:23:23 ID:d9f/CHtQ
デイジー「――――あれ?貴方たち、どこかで会ったこと、あるような、ないような……」

少年「おおっ!さすが、放と…いや情報通なデイジーさんなだけのことはあるね!
   できればそこは『ある』と断言してほしかったけど」

デイジー「…放蕩って言おうとしたね!?子供だから大目に見るけど。
     …いや待った、子供に言われたからこそ憤慨するべきなのかな私は?」



少女「――――――――お願いが、あります」

少女が、真摯な表情でぺこりと一礼。



デイジー「…んん?どうしたの畏まって。言ってみて?」

基本、困った人は放っておけない性分のお姫様なもので。
気さくに話しかけ、気さくに提案に乗っていく。

少女「…私たち、この時の為に――ずっと、構えていたんです。
  『仲間』は決して多くはないけれど。おまけに一人一人は、弱いかも、だけど。
  頼られたからには、数年かけて――準備してきたんです。

  もちろん、招待されて、大会自体を、お祭り騒ぎを、そっと楽しんでいたっていう事実もある、けど。
  裏方として目立たないよう、そう、ひっそりと――」

デイジー「…え?え?な、なんの話?」

952Mii:2020/10/25(日) 04:26:39 ID:d9f/CHtQ
少年「デイジーさん。アンタを探してたんだよ、まさしく!
   運がいいのやら悪いのやら!…いや、きっといいに決まってる!
   さあ反撃の狼煙だ!…というわけで、協力してほしいんだ!

   こればっかりは、俺たちだけじゃどうにもならなかった!
   アンタがいないと、俺たち輝けないっぽい!」

デイジー「は、はあ?」

少女「…『こうなった時』は貴方を頼るよう、貴方の親友から――――





   そう、ピーチ姫から、託されました。ずっとずっと、前から。



   私たちに、チカラを貸して、くれますか?」

デイジー「――――っ!?」

953Mii:2020/12/08(火) 23:55:57 ID:vbzBgpp2
――神速が尽きようとも、状況が芳しくないことは承知の上で、走る。
――本物のロゼッタ引き連れ、ひとまずは会場に舞い戻ろうとする形で、ひた走る。

ルカリオ「…………」チラッ

――ただ。その、相方が、すこぶる奮わない。
――最初は、絶句。しばらくして、沈黙。…やがては、懺悔。

ルカリオの 全ステータスが やや下がった!▼

ロゼッタの 全ステータスが 大きく下がった!▼

――もちろん、OFF波動によって、私より強い干渉を受けてしまっている…というのは。
彼女の動きを縛り付ける理由の一つだ。断じて無視できるものではない。



――だが。それよりも遥かに深刻な問題が、まさに「転がっている」。



ロゼッタ「…………」グズッ

ルカリオ「……………………」

ロゼッタ「…………ごめんなさい」

ルカリオ「……………………」

ロゼッタ「…………ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい――」ポロポロ

954Mii:2020/12/08(火) 23:58:48 ID:vbzBgpp2
脚こそ動きを止めはしないが、ボロボロと泣き続けて、終いがない。
顔をくしゃくしゃにして泣き腫らして、ただただ懺悔の言葉を呟き続ける。

――――道のあちこちに佇む、「石化した」人々の姿を、目の当たりにして。


いくら私が、いやファイターたちが「責任を感じなくてもいい」と諭したところで、
きっと彼女には通らないだろう。胸が張り裂けそうなほど苦しんでいるに違いない。
ピーチ曰く、「半分といわず9割くらいが優しさでできている人物」らしいから。


ロゼッタ「私なんかが、大会に、来るんじゃ…なかったんです――っ!」タタタタッ

ルカリオ「――――いい加減に、やめておけ。自棄はそのくらいにしておくんだ」タタタタッ

ロゼッタ「自棄なんかじゃ。自棄なんかで、片付け、ちゃ――!」ポロポロ

ルカリオ「強盗に遭った人の金が悪事に利用されたとして、被害者を責める奴があるか!
     必要以上の自虐は却って自分を貶めるぞ!」

ロゼッタ「――――っ、で、も」ポロポロ

ルカリオ「『自分が必死に足掻けば、まだ助けられる未来がある』――それを自覚しろ!
     そして実践しろ!反省も後悔もその後でいい!」

ロゼッタ「――――は、い」ポロポロ

未だ、彼女は――泣き止まない。
固まった1人目を発見してしまったその時から、泣き止むことを知らない。

955Mii:2020/12/09(水) 00:02:33 ID:craZkK.E
ドッスン「ウッス!横移動で様子を見に来てやったぞ!調子はどうだ!」ゴオォォ

バッタン「おおドッスンか!無理やり通路を通ろうとする敵は片っ端からペチャンコよ!それが俺たちの役目ってもンだろうよ!」

ドッスン「そうか――――だが、気ィ抜くなよ!噂だと、敵の親玉が繰り出した魔法とやらのせいで――
     一帯が大変なことになってるらしいぜ。

     なんでも――――――――――――しまいには、体が、石に、なっちまうらしい!」

バッタン「い、石に!?そいつはおでれぇた!怖いな!」

ドッスン「ああ、そんな魔法を食らったら、ひとたまりもないだろうな!」

バッタン「……俺たちには全く関係のない話だな!」

ドッスン「いや、『石でできている』と『石化した状態』が狭義で等しいかはわからんぞ?
    だいたいあれだ、ファイターの一人で――鋼タイプのルカリオって奴も、
    過去にその魔法に干渉された覚えがあるらしい!」

バッタン「なン――だと?」

ドッスン「俺たち、メタルマリオにはダメージを与えられないだろ?つまり『石<鋼』だ!
     その鋼が魔法の効果を無効化できないとなると、安心はできん!油断は禁物、しっかり対策しておこうぜ!」

バッタン「お、おうっ!…で、どう対策するんだ?」

ドッスン「それは石頭の俺には分からん。お前が考えるんだ!というかその答えを聞きに来た!さあ教えろ!」

バッタン「あっちゃああ!ずっこけるぜぇ!」バッターン!

956Mii:2020/12/09(水) 00:04:17 ID:craZkK.E
キノピオ「…………」

住民「    」カチコーン

自警団「    」カチコーン

観光客「     」カチコーン

キノピオ「…………ふええ、どう、しよう…」グズッ

キノピオ「…………………………………………」

キノピオ「…………僕たちも、なにか、やるんだ」

キノピオ「…そ、そうだそうだ!ただ逃げ惑うだけなんて、もう嫌だ!」

キノピオ「で、でも…一部鍛え上げているキノピオ除いて、所詮僕たちの力なんて――」

キノピオ「…………………………………………っ!!
     なにも、皆さんは、死んじゃったわけじゃない!助けを待ってるだけなんだ!
     その願いをかなえるためにも、僕たちで運ぶくらいはできるはずっ!
     巻き添えを食らわないところまで、安全地帯まで――退避させるんだ!」

キノピオ「そ、そうだよっ!持ち運び走力ならそれなりに自信があるもん!
     戦って勝つことだけがすべてじゃない!
     マリオさんたちが憂いなく思う存分戦えるようにするというのも
     立派な仕事の…助け合いの一つだよ!塵も積もれば山となるっ!」

957Mii:2020/12/09(水) 00:05:35 ID:craZkK.E
キノピオ「よ、よーし。じゃあ、怪我が浅いキノピオは…勇気を出して!
    逃げ遅れて石になっちゃった人たちを、安全地帯まで、避難場所まで運ぶよー!

    避難経路、把握した?防災マップ、しっかり持った!?
    回復アイテムがあればなお良し!

    無理だけはしないように!自分の命、大切にしてね!」

キノピオ「で、でも、避難場所でも石になっている人が続出していたら――――
     僕、もう立ち直れない、かも――――」

キノピオ「――――――――――――――――今はそんなことは考えないっ!
    やるぞー!」

キノピオ「「「「お、おーーー!」」」」タッタッタッ









キノピオたちの 全ステータスが 凄く下がっている!▼

キノピオ((((か、体が重いぃーーーー!!))))

958Mii:2020/12/09(水) 00:08:47 ID:craZkK.E
リンク「はああぁっ!!まだまだぁっ!…どうしたぁピット、流石に疲れてきたか!
   なんだったら敵の掃討は俺に全部任せちゃってもいいぜ!」ブンッ!

ピット「はぁ、はぁっ…魅力的な、提案、だなあっ!でも、あいにくまだまだ頑張れるよ!
   えいっ!やあっ!とぉっ!」ガンッ!

パルテナ「ぐぐ…………すいません、正直私、2人のあとを単について行ってるだけですね…」タタタッ

ピット「そんなことありませんって!パルテナ様をお守りできて光栄です!
   パルテナ様がいるだけで僕にとっては百人力ですよ!」タタッ

パルテナ「まあ、漢らしい♪さすがピットですね、それではもうちょっとお願い――」







ぴしり。






パルテナ「…………あら?」ゾワッ

パルテナ「………………………………」

959Mii:2020/12/09(水) 00:14:56 ID:craZkK.E
パルテナ「……………………ねえ、ピット」ピタッ

ピット「…あ、ちょ、ちょっとまずい!ゴブリンが湧き出してきたっ!
   すいません!後にしていただけないでしょうかパルテナ様!今、頑張って敵をなぎ倒している最中なのでっ!
   ご安心ください!パルテナ様には指一本触れさせませんよ!」ガンッ!


パルテナ「実はですね、私。お姫様抱っこっていうものに憧れているんですよ。
     乙女として仕方がありませんよねー。年齢考えろとか禁句ですよ禁句」


ピット「……………はい?」

パルテナ「まあ、ただ。それだと、両手が塞がって、酷く相手を束縛すると思うんですよ。
     緊急事態まっただ中で、そこまでお荷物になるのはどうなのかなぁと。
     というわけで、妥協して…おんぶで運ばれるのも大目に見るべきと考えます」

ピット「お、仰っている意味がよく――」

パルテナ「と、いうわけで。限界一杯の『飛翔の奇跡』、今、掛けておきますね」パアアアアアアアアアァァ

ピット「ふわっ――!?力がみなぎって――ですから、どういうことですか一体全体!?
   せっかくの奇跡の力、ひとつだけにつぎ込むのは流石に勿体ない、ん、じゃ――――」






パルテナの 石化が 始まっている!▼

960Mii:2020/12/09(水) 00:19:32 ID:craZkK.E
リンク「…なっ―――早、過ぎるだろ!?」

パルテナ「残念ながら――どうやらタイムリミットみたいです。
      ――もう、動くこともできません。してやられましたー」

ピット「え、な」ガクガク

パルテナ「身長差のせいでピットに背負われても引き摺られそうですが、不可抗力ですから気には留めません。
     でも、なるべくなら飛翔して回避してくださいね?大事に扱われると、きっと私がちょっと喜びます」

ピット「そ、そんなこと、言ってる、ひま、なんて」

パルテナ「そんな顔しないでください、ピット。幸か不幸か、石化には慣れてますから…なーんちゃって!

     ――みなさんを。ピットを。信じていますから」

ピット「あ、ああ、あああ…………!」ガクガク

パルテナ「――ちゃちゃっと私を助けてください、宜しくお願いします。
     希望を捨てないで、前を向いて――」

ピット「――――っ!――――っ!!」


パルテナ(ニコッ)


パルテナが 完全に 石になった!▼

パルテナ「」

961Mii:2020/12/09(水) 00:22:30 ID:craZkK.E
リンク「……………………」

ピット「……………………絶対、お助け、します、から」グズッ

リンク「…泣くな、ピット。敵の思うつぼだぞ!」

ピット「――――泣いてなんかないやい!」

リンク「そっか…なら、いい。俺が背負おうか?正直きついだろ?」

ピット「…いい。僕が、運ぶ」ヒョイッ

パルテナ「」



ピット「――――――――タブー、絶対に――――許さない――――!」

リンク「全く…だな!」



「…………まさか、な」

「こ、これは…僕としても――流石に想定は――」



リンク「…その声は――――って、おいぃ!?
    なんだよその背負ってる2人…いや3人は!?」

962Mii:2020/12/09(水) 00:25:17 ID:craZkK.E
住人「」

住人が 石になっている!▼


ルキナ「」

ルキナが 石になっている!▼


ルフレ「」

ルフレが 石になっている!▼


マルス「…笑ってくれ。気付いた時には手遅れ、一般人を助けられなかった。
    芋ヅル式に、2人もたちまち弱って――――」

アイク「ふとした瞬間に体が強張って、もう…なんとも、ならなかった――
   俺たちは…無力だ――――っ!」

ルキナ「」

ルフレ「」



リンク「――――――――貸せよ」

マルス「…え?い、いや、もう君の負担も大きくなっていて――」

963Mii:2020/12/09(水) 00:27:49 ID:craZkK.E
リンク「黙って貸せって言ってるんだよ!」ガンッ!

マルス「わっ…と、と!?」

リンク「石像2人分、背負うくらいでちょうどいいハンデだぜ。
    …よし、テキトーに紐で縛って背中に固定してっと。
    こんなもんか。扱い雑で悪いな!見逃してくれ!」ギュッ!

アイク「ご、強引な奴だな――!壊してくれるなよ?」

リンク「あったりまえだ。お前ら2人は反省しろ!猛省しろ!
    ルキナとルフレに、何を思ってこんなひっでぇ、絶望の顔をさせた!
    もうちょっとやる気みせろ!」

アイク「…っぐう――――」

マルス「……返す言葉も、ないね。2人の痙攣した泣き顔は、一生僕の脳裏に刻まれていくよ」

リンク「もういい。…俺も言いすぎた、悪い。
    ――とにかく余裕がねえや、お前らは固まりはしないという前提は
    流石に死守してもらうぞ。他の場所の救援に向かってくれ。

    …俺は今から、暴れるわ。巻き添え食らうんじゃ、ねぇぞ」

アイク「――――!」ビリッ

マルス「――――ああ、頼もしいこと、この上ない。
    よろしく、頼んだよ、誇り高き勇者」

リンク「ハッ!言ってろ!」

964Mii:2020/12/09(水) 00:30:04 ID:craZkK.E
ピット「――――僕はまだリンクに付いてくよ。
    パルテナ様もそれを考慮しての、飛翔の軌跡だと、思う」

パルテナ「」

ピット「…うん、きっとそうだ。だから、置いてくなんて言わないでよ」

リンク「りょーかい!ヤバイと思ったら上空に逃げろよ、
    1秒後には大地が更地になってるかもしれないからなぁ!!!」

ピット「が、合点承知の助!」



マルス「…そういえば、気が動転していたよ。
    ルキナとルフレの石化のこと、心苦しいが司令部に伝えなければ――

    ――こちら、マルス。辛いお知らせだ。
    ルフレとルキナが、耐久限界で――――石化、した。戦闘不能だ。
    リンク達と合流したはいいものの、パルテナまで―――」

トゥーンゼルダ『なんだ、と!?……………』

965Mii:2020/12/09(水) 00:31:36 ID:craZkK.E
マルス「信じたくないのは嫌というほどわかるけれど――」



トゥーンゼルダ『い、や。…その前に、聞きたい、ことが、あるんだ』







マルス「…え?聞きたい、ことだって?一体なんだい――」













トゥーンゼルダ『――――お前たちは、『本物のマルスたち』か?』

マルス「……………………どういう、こと、だい?」

966Mii:2020/12/09(水) 00:33:12 ID:craZkK.E
〜少し時を、遡る〜



トゥーンゼルダ「――――どうする、なにが、できる――――
        運を天に任せるしか策がないのか――――!?」

トゥーンリンク「…情報を制限するよう仕向けたのは諸刃の剣なんだよね…
        敵に下手な情報提供はしなくて済むけど、
        敵にばらしても問題ないはずの、広めるべき情報伝達まで
        みんなが無意識のうちに避けよう避けようとしてる…?

        切られてる通信機が増えて来てるよ。いいの、これ…!?
        撃墜の程度とか制圧具合とか、分かんなくなってきた!」

トゥーンゼルダ「そんなこと、私に、言われて、も」

トゥーンリンク「あ、駄目!大丈夫、冗談冗談!だから意気消沈しないで!」



『――――――――』



ヒルダ「…あ!久しぶりに通信…届いてませんか?」

トゥーンリンク「…よし!噂をすれば!いいニュースでありますように!
         音量を上げて――――」

967Mii:2020/12/09(水) 00:37:45 ID:craZkK.E
ルフレ『こちら、ルフレです!ちょっとまずいことに!
   同時多発的に敵が出現して、第40区あたりで…
   マルス様とアイク様が分断されてしまいました!』

トゥーンリンク「バッドニュースかあ…」ガクッ

トゥーンゼルダ「それは大変だ!ルフレと…ルキナは、どのような状況だ!
         簡潔に説明してくれないだろうか!」

ルフレ『僕はアイク様と一緒に東側へ、ルキナはマルス様と一緒に西側へ!
    正直、僕はアイク様の戦闘の邪魔をしないよう、通路脇や広場の隅で縮こまっているので精一杯で…!

    それでも庇われる荷物なのは如何ともしがたく、
    ルキナもおそらく似たような状態に陥っているかと!』

トゥーンゼルダ「…そう、か」

トゥーンリンク「…………」

ルフレ『救援を呼んでもらうことは出来ないでしょうか!
   大変なのは百も承知なのですが――――!』

トゥーンゼルダ「わ、わかった。背に腹は代えられない。
         なんとか近くのファイターを――――」

968Mii:2020/12/09(水) 00:40:45 ID:craZkK.E
ヒルダ「…………トゥーンリンク?どうしたのですか、難しい顔をして。
    もちろん、状況は芳しくないのは当然なのですが」



トゥーンリンク「…………ねえ、ルフレ。








        きみ、やけに元気だね?」



ルフレ『な、なんだい藪から棒に』

トゥーンリンク「いや、僕やゼルダは割ときっついからさあ。
        声からも疲労感がありありと分かるっていうか。



        ……きみ、本当にルフレ?」



トゥーンゼルダ(……!?まさか、ギムレーとやらの成りすまし!?)ハッ!

969Mii:2020/12/09(水) 00:43:53 ID:craZkK.E
ルフレ『…ああ、ギムレーとのいざこざから疑われている、ということですか。
    なるほど、もっともですね。その疑われ方はとても傷付くけど…。
    ええと、ルフレ本人だという証拠を見せればいいですか?』

トゥーンゼルダ「証拠…?」



アイク『俺だ、アイクだぞ。確かにルフレと一緒にいるな。
    ドジ踏んで、マルスと別れることになってしまった。情けないぜ。

    ――おい、俺からの通信、無事に届いてるか?』

トゥーンゼルダ「…!?」

トゥーンリンク「……ありゃ!?」



アイク『お、よかったよかった。そんなわけだ。
   俺もいるからには信じてもらえるだろ、流石に。なにぶん敵が多くて多くて、なっ!』ズバッ!

トゥーンリンク「ご、ごめん!僕ったらとんでもない失礼なことを!」

アイク『いいってこった。それより急ぎ頼むぜ、
   ルフレの奴が手傷をズカズカ貰い始めてな』

ルフレ『あはは…………』

970Mii:2020/12/09(水) 00:45:49 ID:craZkK.E
トゥーンゼルダ「…………疑心暗鬼になって、悲しくなるな」フゥ



トゥーンゼルダ「…さて、それでは――――」











マルス『――こちら、マルス。辛いお知らせだ。
    ルフレとルキナが、耐久限界で――――石化、した。戦闘不能だ。
    リンク達と合流したはいいものの、パルテナまで―――』





――――時が、止まった。

971Mii:2020/12/09(水) 00:47:27 ID:craZkK.E
トゥーンゼルダの、唇が、強張る。





トゥーンゼルダ「なんだ、と!?……………」

マルス『信じたくないのは嫌というほどわかるけれど――』









トゥーンゼルダ「い、や。…その前に、聞きたい、ことが、あるんだ」

マルス『…え?聞きたい、ことだって?一体なんだい――』








トゥーンゼルダ「――――お前たちは、『本物のマルスたち』か?」

972以下、名無しが深夜にお送りします:2020/12/10(木) 23:34:36 ID:bd04jhks
思う存分、時間を引き伸ばされた感覚。汗が、滴り落ちる。

声をかけることも出来ず、トゥーンリンクが青ざめた様子で…私を見ている。
ヒルダ姫も、似たような表情。見ていられない。

…それでもきっと、私ほどの青ざめ方じゃ、ないでしょう。



――――少なくとも、どちらかが、ニセモノ。

――――下手をすると、こちらの攪乱のため両方ニセモノ、なんていう…
――――悪趣味極まりない結末が待ち構えている、かも、しれない。

何の因果か、私が指示を出さなければならない。

トゥーンゼルダ「……すまない、マルス。
         たった今、その『ルフレ』からの救援要請が入っていたものでな」

マルス『…なっ!?』

トゥーンゼルダ「おまけに、本人である証拠として、アイクの通信まで寄越してきた。
         …はは、笑えて来る」

マルス『…………!!』

状況を察したのか、マルスが絶句するのが通信機越しにもわかった。
なんだろう、この理不尽な境地。

973Mii:2020/12/10(木) 23:39:08 ID:bd04jhks
…どうなろうと、どのみち敵が仕掛けてきたことだけは確かなのだから、
あっさりネタ晴らししても敵に新情報を与えるわけじゃない。
そういう影響がないことだけが…なけなしの救い。

だが、私は既に、正常な思考を放棄しようとしている。



マルス『…わかった。僕たちこそ本人であると声高に叫びたい所ではあるけれど、
   冷静に証拠を示した方が賢明そうだ。
   
   こういった場合、本人しか知り得ない質問をしてもらうのが鉄板だろうか。
   さあ、手短に問いを投げ掛けてほしい――』



トゥーンゼルダ「…は、は」

マルス『……トゥーンゼルダ?』

トゥーンゼルダ「お前が本当に『マルス』で、戸惑っているのか。
        それとも『偽マルス』で、内心ほくそ笑んでいるのか。
        …もう、わからない。分からないんだ。
        重圧で、頭の中、ぐっちゃぐちゃで……わかんないよ」

マルス『…………』



トゥーンゼルダの 全ステータスが 下がっていく!▼

974Mii:2020/12/10(木) 23:44:43 ID:bd04jhks
トゥーンゼルダ「ルフレとルキナの戦闘力を考えれば、
        お前の言う通り、石化しているのも十分あり得る。
        でも、アイクの通信を聴かせてみせた『あちら』を、疑う理由が、見つからない。

        …疑ってみろ、もう…なんでもありだぞ?
        声色や口調をまんまと盗み出せるなら――
        本人しか知り得ない知識を盗み出せないと――どうして、言い切れる?

        お前が本人証明しようとしてみせたところで、私は全く判断に活かせない。
        むしろ…さらに思考のドツボに嵌るんだ」

アイク『まどろっこしいな!そんな変なこと考えるなよ、トゥーンゼルダ!
    どう考えても、ホラを吹いてる不届き千万なギムレーの野郎は…そのマルスだ!』


切れていないままの通信で聴き耳立てていたか、反対側からの主張が届いてきた。
その声は正義からくる憤慨か、それとも悪意からくる焚き付けか…。


マルス『……そうか!もしやこれは…ロゼッタとの、合わせ技――っ!

   ロゼッタの分身体の何人かをあらかじめファイターたちに化かしておいて、
   あとは大会期間中に観察を重ねて、癖や口調を学習させておけば――
   それこそ、大会の映像なんて幾らでも放送媒体がはびこっているし――!

   うん、なんだか信憑性があるような気がしてきたよ!
   ひとつ言えることは…ギムレーは本当に悪趣味なんだね――――
   時代は違えど、同郷の者として恥ずかしいよ…』

アイク『お、負け犬の遠吠えか?偽者め。マルスを騙るんじゃない』

975Mii:2020/12/10(木) 23:47:35 ID:bd04jhks
トゥーンゼルダ(ピクッ)

――――的を得ている、痛快な解釈の、気がする。
――――だが、待て。

アイク『…それにしても、まんまと自供したな。
   あいにく、そんな事は考えもしなかったぞ、俺は。
   なんせ、俺はただのアイクだからな。
   日頃からそんなセコイことを考えている奴じゃなきゃ、発せられない台詞だ』

マルス『言うに及んで――――なんなら、こちらだって本物のアイクを――』

アイク『それこそ、お前たちがニセモノだからいくらでも用意できるんだろ?』

トゥーンゼルダ(……………………)ウプッ



――――たす、けて。

――――その場に、座り込んで、何も考えられなくなってしまう。
――――慌てふためいて、トゥーンリンクとヒルダ姫が駆けよってくる。
   
アイク『まあ、俺は司令部を信じるからな。
   両方に戦力を割くなんて到底無理な話だろ?
   どっちを助けてくれるのか、司令部に任せるさ』

ルフレ『よろしく、お願いします』

マルス『……………………トゥーン、ゼルダ。僕は――――』

976Mii:2020/12/10(木) 23:49:52 ID:bd04jhks
死んだ目になり、トゥーンリンクとヒルダ姫を振り払って虚ろに立ち上がり。
目を閉じて、考えること、10秒。






――――これ以上は、時間を、浪費できない。





マルスの声の方が、敵だ。

…そう決めつけて、楽になりたいだけなのかも、しれない。




トゥーンゼルダ「――――――――――――――――
        今すぐ、アイクとルフレの救援を実行する!
        マルスの方は、味方陣営を撤退させるぞ、無駄な争いは避けろ!」



不可逆になるかもしれない、最悪を招くかもしれない、その一歩を踏み出し――――

977Mii:2020/12/10(木) 23:53:48 ID:bd04jhks
ルフレ『あ、ありがとうござい――――』

アイク『そう来なくっちゃあ――――』

マルス『……悔しいよ。それが、君の、判断――――なんだね――――』

トゥーンゼルダ(私は、これで――――――――)














《第47区、偽アイクと偽ルフレの奸計により、キノコ王国軍命令系統の攪乱を開始!》    
 
トゥーンゼルダ「え」

《第32区、石化したルフレ、ルキナ、パルテナを救護しつつ、リンク、ピット激戦中!》
《激戦により複数の城壁が崩壊! リンク、魔力開放により驀進(ばくしん)中!2000体撃破!》
《リンク、緩やかに体力減少! ピット、大苦戦!》

トゥーンゼルダ「!?」ガバッ!

978Mii:2020/12/11(金) 00:00:29 ID:5vzh9i8A
トゥーンリンク「ど、どうしたの!?」ギョッ

トゥーンゼルダ「い、いまの情報は真ですか、キノピオ!?」

キノピオ「え?な、なんのことですか?」

キノピオ「お、おっかないですよ、トゥーンゼルダさん!さっきから…!
    
    時たま…誰も進言していないのに、まるで天の声でも聴いたかのように
    情報を得たり一人勝手に納得したり、ってことがありますよね?一体何が?」

トゥーンゼルダ「一体何が…って、そんなことがあったのですか!?…あ、いや、あった…のか!?」

アイク『おい、何を急に意味不明な会話をしているんだ。
   早く援軍を!頼むから!本当にやばいんだ。仲間だろう、一致団結して――――』

トゥーンゼルダ「…………」


《――――いい加減に――――――――》

トゥーンゼルダ「……………………っ!?」ビリッ





《いい加減にしなさいよ、このド外道勢力があああぁぁぁ――――――――っ!!》

トゥーンゼルダ「脳に響くぅー!?」キイイイイイイイィィィィ――――ン

979Mii:2020/12/11(金) 00:06:49 ID:5vzh9i8A
〜『キノコ王国の』森の奥深く〜



ラナ「いい加減にしなさいよ、このド外道勢力があああぁぁぁ――――――――っ!!」パアアァァァ!!



ラナ「ゼェ、ゼェ、ゼェ――――無駄に、魔力、使っちゃったぁ…………!
  し、死ぬぅ……魔女裁判に掛けられたわけでもないのに……!
  こんな可愛い女の子が死ぬよ…リンクに告白も出来ずに…」フラッ

ラナ「でも、いい加減、アッタマ、来たぁ…………!ブチ切れたぁ…っ!!
  そこまでチート攪乱使うって言うんなら、私だって――――
  『世界の監視者』として、命削ってリンクの…
  …じゃなかった、キノコ王国のチートアシスト、してあげるんだから、ね……!

  シアッ!魔力回復薬、お代わりっ!」

シア「…………は、はひ、どう、ぞ……」ヨロッ・・・

ラナ「ごくごく…プハァ!…よっし、あと15分働けます!キラッ☆
   ほら、あなたも魔力回復薬とっとと飲み干して!ここが正念場でしょうが!

  もっとキビキビ動いてよ、ねえ!?
  人が動くと書いて働くと読むんだよ!シアさん!」パアアアアアア!!

シア「…イ、イヤ、アノ、ソノ…シアチャン、貴方ニサンザン魔力送リツヅケテ、
  ヒカラビソウ、ナンデスケレドモ…………」パアアアアア!!

980Mii:2020/12/11(金) 00:09:54 ID:5vzh9i8A
ラナ「ああ!?事件の大元を辿れば、どっかの誰かが
  いろいろ仕出かしたことが今回の騒動の始まりでしょうが!
  責任とろうって気はないの!?有るよね!?有れ!」クワッ!

シア「…ソノトオリデゴザイマス。ナンデモアリマセン」ブルブル

ラナ「…………まったくもう!だいいち、魔法を行使しているこっちよりは…
  ずっとずっと、マシ、でしょう、が!」パアアアアアア!!

シア「だって、私は魔導書の適性あんまりないし…」

ラナ「そうだよね、だから私が孤軍奮闘するしかないんだよね。
   あーあ、鼻血は出るし、嘔吐はするし、いいことないなあ…さいってー」ゴホッ・・・

シア「…………」


ラナ「――――――――――――――――


   『Gospel Of Grimoire《魔導福音》――――――――』


   ――――――――――――――――――――――――――――」ビリッ!!


舞い散る、大量の紙、紙、紙。
光となって消えてはいくが、『ナニカ』が刻まれ、それが彼女の脳に焼き付く。
よろけふらつき、血を吐きそうになる頻度も、無視できないほどになってきた。

981Mii:2020/12/11(金) 00:13:40 ID:5vzh9i8A
――――魔導福音。

魔力が存分に編み込まれた白紙の魔導書のページを、惜しげもなくまき散らし――――
その瞬間瞬間に、監視先にて発生した事項・事件を。達成したことを。
天啓、すなわち神の意思で書き記させる『監視者』としての権能。

それを、ひたすらに、ただひたすらに使い倒しては、
藁をもすがる思いで――信じてくれたらと、匿名のテレパシーで投げていく。



シア「…馬鹿な子。
  そんなにリンクを助けたいのなら、直接助ければよかったのに」パアアアアア!!






ラナ「誰のせいだあああああぁぁぁぁぁ――――っ!」ウガアアアァァ!!

シア「…え、私のせいか!?」

ラナ「あー、はいはい、シアはいいよねえ!よかったよねえ!
  敵としてとはいえリンクと対峙することは果たせて!
  むしろ、シアこそ…リンクの目の前でいい所見せるだけで仲良くなれたりしてねえ!
  悪人がちょっといいことをすると凄く褒められるっていうテンプレで!」

シア「」

982Mii:2020/12/11(金) 00:18:35 ID:5vzh9i8A
ラナ「私はねぇ!シアがハイラル城を急襲したとき――――
  シアの急進策に呆れ、咎めたくなりながらも、気を取り直して
  『仕方がない、じゃあリンクの味方としてお近づきになろーっと!』って考えて、
  フィローネの森で最低限の食い止め戦をこなしつつ――

  シア対策をリンクにどう伝授しようかとか、
  リンクとのコンビネーションとか、
  あとは印象をよくするようなチャーミングな仕草とか、
  服のコーデとか…いろいろと考えてたんだよ!」

シア「何それあざとい!」

ラナ「そうしたら、どうなったと思う?

  ちょっと、ワンポイントのお化粧直しをしている…たった10分の間に、
  リンクが一瞬で付近一帯の敵を殲滅して、通り過ぎて行ったんだよ!?
  扉を往復したら、疲労困憊気味だったはずの味方が万歳三唱する光景が、
  目に飛び込んできた私の気持ち、わかる!?わからいでか!

  おかげで、リンクを追いかけることすらできず…気付いたら全部終わってたんだよ、戦争っ!
  私、リンクと赤の他人のままなんですけどっ!

  今リンクに会っても、『好きの反対は無関心』を体現するだけだよ!?
  いや、下手をすると…シアっていう恥さらしの半身として認識が固定されかねない!
  そんなの反対!断固反対なんだからっ!

  ハイラル王国と一戦交えるんなら、せめてもうちょっと粘ってよ!
  ハイラル城を数日は防衛戦に徹させるくらいは頑張ってよ!役立たず!」

シア「恥さらしって言うなあ!善の心、何処に行った!?」

983Mii:2020/12/11(金) 00:23:15 ID:5vzh9i8A
ラナ「そんなわけでっ!影の活躍をして、下地を作ってからじゃないと、
  私、リンクに会いたくないの!そのくらいの乙女心わかってよ!
  まあ、この事件が起きなかったら、本当に1観客人で終わってただろうけど!
  リンクの戦いを見て歓声を上げるだけのっ!ああでも本当にカッコよかったなあ…!

  それとも、際どい衣装を恥ずかしげもなく着て…盗撮までして…
  CEROを無駄に上げてる人には、そんな可憐さを読み取るのは難しい?」

シア「べべべ別にCERO上げてないし!
  CERO:Bくらい割とゼルダの伝説シリーズ中にあるし!」





ラナ「各国年齢制限あり+『セクシャル』分類はゼルダ無双が初めてなんだけどぉ?」ユラァ

シア「ごめんなさい」

984Mii:2020/12/11(金) 00:26:20 ID:5vzh9i8A
ラナ「と、に、か、くっ!

  『陰で俺たちを助けてくれた恩人は君だったのかあ!』ってリンクに褒めてもらって!
  ととととりあえず文通くらいから始められたらなあと思うラナちゃんでした!」

シア「乙女かっ!……………………あ」

ラナ「拍子抜けする暇なんてないよ?まだまだこれから!
   さあさあ、次の『魔導福音』のタイミングまでもう少し――――」







シア「らな ごめん。
  疲労と、注意力散漫で、魔法陣への魔力展開ミスって、今までの会話…

  てれぱしーさきに つつぬけに なってたわ」





ラナ「………………………………………………」

シア「てへ、ぺろ…?」

ラナ「嫌ああああぁぁぁ!? ちょっとおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ――――!?」

985Mii:2020/12/11(金) 00:33:10 ID:5vzh9i8A
〜司令部〜

《嫌ああああぁぁぁ!? ちょっとおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ――――!?》プツッ



トゥーンゼルダ「…………」

トゥーンゼルダ「…………あ、うん。通信機の交信、フルオープンにして…
         アイク、救援を呼ぶとして…今…具体的に第何区にいる?」

アイク『ああ、どれどれ…お、第47区だな、よろしく頼んだ――――』





トゥーンゼルダ「皆に次ぐ!耳の穴かっぽじって聴いてくれ!
         第47区にアイクとルフレの姿を騙った敵あり!可能ならばとっ捕まえろ!!
         『大きい方の』リンクが女誑しだったおかげで道が開けた!」

トゥーンゼルダ「なんで!?」ガーン!

アイク『』

ルフレ『』

マルス『え、ええ?う、嬉しいけれど…どういう風の吹き回しかな!?』

リンク『聞き捨てならない俺の悪評が聴こえてきたんですけどぉ!?』

986Mii:2020/12/11(金) 00:35:11 ID:5vzh9i8A
>>985 訂正

《嫌ああああぁぁぁ!? ちょっとおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ――――!?》プツッ



トゥーンゼルダ「…………」

トゥーンゼルダ「…………あ、うん。通信機の交信、フルオープンにして…
         アイク、救援を呼ぶとして…今…具体的に第何区にいる?」

アイク『ああ、どれどれ…お、第47区だな、よろしく頼んだ――――』





トゥーンゼルダ「皆に次ぐ!耳の穴かっぽじって聴いてくれ!
         第47区にアイクとルフレの姿を騙った敵あり!可能ならばとっ捕まえろ!!
         『大きい方の』リンクが女誑しだったおかげで道が開けた!」

トゥーンリンク「なんで!?」ガーン!

アイク『』

ルフレ『』

マルス『え、ええ?う、嬉しいけれど…どういう風の吹き回しかな!?』

リンク『聞き捨てならない俺の悪評が聴こえてきたんですけどぉ!?』

987Mii:2020/12/12(土) 18:15:42 ID:9jbC8ECY
〜第28区 王国指定避難所〜

ロゼッタ「――――――――――――――――」



見るんじゃ、なかった。
通りがかった避難場所に、胸騒ぎがして寄り道してみれば―――
自らも苦痛に顔を歪ませつつも、えっさほいさと運ぶキノピオたちと…

次から次へと担ぎ込まれてくる、石像の、山、山、山。

取り返しのつかないことを、してしまった愚かさよ。
目の前が真っ暗になって、泣き崩れて、しまう。


ロゼッタ「――――――――っ!」ポロポロ


周りから、「なんてことをしてくれた」という非難の目が飛んで…こない。

キノピオ「ロゼッタさん!救援に来てくれたのですね!助かります!私たちだけじゃ、どうにもこうにも人手不足で…!」

キノピオ「よーし、これでこの避難場所は安泰だあ!」オー!

無理やりにでも、明るく振る舞うキノピオたち。
大なり小なり怪我を負いながらもなんとか石化には至らず、手当を受けている人たち。

――――まだ、私のことを罵倒し詰ってくれたほうが、救われたかもしれないのに。
――――身の置き処がどこにもなくて、ただただ情けなくて――――!

988Mii:2020/12/12(土) 18:20:50 ID:9jbC8ECY
煤けた汚れや血の滲みがある人たちが、私を目に留めたのか駆け寄ってきてくれますが…!

子供「どうしたのお姉さん、どこか痛いの?…痛いの痛いの、飛んでけー!」

観光客「何を泣いてるんだ、元気出せよー!いろいろと戦闘について任せっきりで申し訳ないけどさ!」

ロゼッタ「ち、違うんです、そうじゃなく、て!
    そんなに、気遣ってもらう資格なんて、サラサラ、なく、て……!
    私は――――私の、せい、で――っ!わた、しが、ぜんっぶ…!」ポロポロ



「大丈夫です、みんな助かりますよ。助けて、みせます」



突然、落ち着いて投げ掛けられる、あどけない声。

ロゼッタ「――――――――!?」クルッ

泣き腫らしながら振り返ってみれば、そこにいたのは…銀髪の、1人の少年。



少年「『他力本願で、無茶ぶりで、申し訳ありませんが。
  とにかく、苦しんでいる人たちを、事前に分かっている避難ポイントに!
  一刻も早く、固めてほしいんです!集めてあげてほしいんです!』……

  これが、僕たちがあちこちで説いて回ってる、お願いです。
  あとは、僕たちで、なんとかします!」

989Mii:2020/12/12(土) 18:25:05 ID:9jbC8ECY
ロゼッタ「――――あなたは?」

少年は、目を見開いた私の問いに答えることなく、話を進めます。



少年「僕たちの、蓄積してきた…実験分析データによれば。
  完全に石化してから、後戻りできないほど魂が不可逆的に潰されて、
  精神的な『死』を迎えるまでの猶予時間が、約4時間。

  完全に石化してから、治癒治療次第で十分に元の健康状態までの復活が…
  叶うまでの猶予時間が、約2時間。

  ――余裕ぶってはいられないけれど、間に合わないわけじゃ、ない。

  僕たちのミッションは、99.99%の人々の石化を2時間以内に解き続けることと――
  どうしても漏れてしまった人についても、最低4時間以内に石化を解くこと!
  
  僕たちの任務であり、責任であり――――ピーチ姫の、御渇望ですから。
  潤沢な予算、訓練所を使わせて頂いただけのことはありますからね!」

ロゼッタ「な――――」



――――そのとき。けたたましい着地音とともに、見慣れた麗らかなお姫様が――

デイジー「あらよーっと!!」ドッズゥゥゥン!!

ロゼッタ「……っ!デイジー姫!」

990Mii:2020/12/12(土) 18:27:56 ID:9jbC8ECY
デイジー「さっき振りだねロゼッタ!ってなんで泣いてんの!?酷い顔になってる!

    …あ、やっぱいいや。私が馬鹿だった。答えなくて、いいよ」



――見れば、両脇に……少年少女、1人ずつ、抱えています。
――救出した子供たちでしょう、か?

デイジー姫は、2人をパッと離したあと…優しい表情で、私を抱きしめて…
背中をよしよしと撫でてくれました。

…不謹慎にも、ほっとしてしまいます。



少年「…うん、一番石化時間が長い人で、推測1時間30分。ぎりぎりセーフだね。
  もうちょっと早く来てほしかったけれど、間に合ってくれてありがとう」

少年「…おい、こちとらデイジーさんを見つけるのに苦労したんだぞ!
  一時はもう駄目かと思ったぜ。とにかく、結果良ければすべてよし、だ!」

少女「言い合ってる暇じゃないわ、早く精神準備をして!」



ロゼッタ「――――私、取り返しのつかない、ことをしてしまいました」

ルカリオ「まだ言うか、ロゼッタ……はあ。
    それで、デイジー。深刻さがあまり感じられないその表情、もしや――」

991Mii:2020/12/12(土) 18:33:33 ID:9jbC8ECY
デイジー「…うん!ちょっとね!ピーチの用意周到さに恐れおののいてるところ!
     よっしゃ!ロゼッタを戦線復帰させるためにも、とっととやっちゃうぞ!
     準備はいーい、2人ともっ!もしホラ吹いてたんなら、どつくよ!」ダッ!

少年「あたぼうよ!」グッ!

少女「いつでも行けるわ!」グッ!

そう聴くや否や。デイジー姫が、思い切った行動に出ます。
片手ずつ、2人の背中に押しやって――――

――この構え、既視感が…!!





デイジー「――――久しぶりのぉ!

     『花々の祝福《フラワーギフト》』、発動っ!」ゴオオォォォ!

ロゼッタ(――――やはり!)



眩く光る、デイジー姫の手――――!

少年「……せ、背中焼けるっ!…あり?そうでも、ない?」ゴゴゴ・・・

少女「…あったかくて、気持ちいいわ――凄い力…!本当だったんだ…!」ゴゴゴ・・・

992Mii:2020/12/12(土) 18:38:48 ID:9jbC8ECY
2人は、背中から感じる、強烈な光、熱を。そして、大量のFPを――――!
最高の恍惚感と共に、受け止めていることでしょう。
かつての私は、最高の心地よさに、自然と目を瞑り、身を委ねていったものでした――

デイジー「アンタ達の限界一杯まで…FP、受け取れやぁ――!」ゴオオォォォ!



少年「―――さぁって!満腹満腹!時間は有限、勇気は無限!
  他力本願のFP…いやPPを糧に、やってみようじゃ、あーりませんか!」

少女「何年もの特訓の成果、見せ付けてあげるんだからっ!
  他の避難場所も、まだまだ後が控えてるんだからねっ!」


――――彼らは、一体、何者。


私の心中を察したかの如く、3人目の彼が、ようやく答えを返します。
少しずれていた眼鏡を、スッと直しながら。






ロイド「申し遅れました。僕の名は、ロイドと言います。頭脳ならそう簡単には負けませんよ。
   残念ながら非力だし、超能力なんて使えないんですけどね。『2人と違って』。

   そして、彼らは、僕の大切な友達の――――」

993Mii:2020/12/12(土) 18:41:49 ID:9jbC8ECY
〜異空間〜

ざわ、ざわ、ざわ。



ロゼッタ(偽)「…どういうことですか、その報告は!

       『石化被害者が増えたり減ったりする』?

       増えるのはともかく、減るわけがないでしょう!」

ロゼッタ(偽)「で、でも仲間からの伝達では実際に…!
       石化したはずの、ただの一般人まで、再び動き出し逃げ惑う例が散見される、とのことで――」

ロゼッタ(偽)「そもそも空間魔法はこちらが一方的に掌握・制圧しているのですよ!
       そんな馬鹿な話が、あるわけ――――!」









ピーチ(最後の、最後の、砦。皮一枚――――繋がった!!
    ここを突破されたら、本当に、終わり。あとは、もう、天に祈るだけっ!!

    …ううん、仲間たちを信じるだけ!!)

994Mii:2020/12/12(土) 18:45:51 ID:9jbC8ECY
〜司令部〜

トゥーンゼルダ「…………ふふ、慌ててる、慌ててる、偽アイクに偽ルフレめ。
        それにしても。

        …………おーい、ラナ、だったかー?聴こえているか!
        その、なんだ。色々と恥ずかしかったかもしれないが…助かった。本当に。
        できれば、この騒動中、まだまだ力に縋りたいのだが…
        あさましい私を許してはくれまいか」

《――――――――――――――――――――――――》



トゥーンリンク「ゼルダが空を見つめて独り言言ってる…」



《――――――――――――――――うぅ》

《――トゥーンゼルダさん、怒ってない?》

トゥーンゼルダ「…ホッ。怒るものか、大助かりだったよ。最悪の事態を回避できた。
        私に助太刀してくれるほど、回り回って…リンクがもっと喜ぶぞ」

《な、なんだか餌をちらつかせてない!?それに諸手を挙げて乗りそうな自分も自分だけどっ!
 ――――ちょっと待って、その前にさっきの魔導福音の結果を――――》

トゥーンゼルダ「――――!!ああ!ぜひ聴かせてくれ!今更疑ったりなど…しない!」

995Mii:2020/12/12(土) 18:49:58 ID:9jbC8ECY
《――――――――――――――――――――――――えっ?》





トゥーンゼルダ「…………ど、どうした…?」ゴクリ








《――第三勢力、第29区ならびに第11区に出現!
 キノコ王国軍との共闘、ならびに石化被害者の治癒を開始!――だって!凄い凄い!》



固まること、数秒。

嬉しい体の悲鳴と、激しい鳥肌が襲い掛かってきた。



トゥーンゼルダ「…………救助でも延命でもなく、治癒だとっ!!
        本当か!?そんなこと、できるのか!!

        おまけに――――第三勢力!?一体何者だ!?」

996Mii:2020/12/12(土) 18:55:50 ID:9jbC8ECY
〜第29区〜




ニンテン「―――――――――ヒーリングゥ――――――――」パアアアアアァァァ!!

アナ「――――――――γ’(ガンマ・ダッシュ)――――――――っ!!」パアアアアアァァァ!!

ロゼッタ「――――――――っ!!?」




パリイィィィ―――――――ン!

ロイド「集めた、集まった避難者まとめて――――『全員を』石化から解放します!
   いたちごっこかもしれませんが、時間稼ぎにはなりますよ!」

ニンテン「ガクッ…一瞬にして、PPからっけつになりやがった、けど…!
     MOTHER軍、ここに進撃、開始だぁ――――っ!!」

アナ「ハァ、ハァ……そこは進撃じゃなくて巡回、でしょ…ハァ、ハァ…」

ニンテン「そこ、水を差さない!!」



不思議なチカラ…超能力を持つ少年たちが、
私には――神の遣いの如く映ったのでした。

997Mii:2020/12/13(日) 04:50:31 ID:9GX1QhWw
このスレはレス数が1000に近づいたため、次スレを用意したうえで更新停止となりました。
次スレは


    ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか、今度こそ」


となります。よろしくお願いします。


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