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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」
1
:
Mii
:2019/03/31(日) 10:37:38 ID:iLEqj1bw
このスレは
ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」
を前スレとする続編となります。
前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
遅い進行のスレですが引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。
パルテナ「そのほか、いくつか注意点があります。
・スレ主のスマブラfor経験は、CPU(Lv.9)とのタイマンで
勝ち越せない程度の実力しかありません。
戦闘描写に過度な期待をすると酷いことになります。
むしろ、『うわあ、この描写ニワカだな』と粗探しするくらいの気持ちで
読むようにしてください(最重要)。
・前スレ同様、いろいろとパロデイ、メタ発言が散りばめられています。
キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義は
白ける方もいらっしゃると思います。そんな時は…
別のスレに移って、このスレのことは忘れましょう。
パルテナお姉さんとのお約束ですよ♪うふふふふ」
609
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:04:47 ID:UXSYQ7yA
ヒルダ「ロゼッタっ!上…というか後ろですっ!」
痛みを堪えつつ、ヒルダ姫が警告を発する。
目を切った瞬間に、身を舞わせて浮遊足場に移動――!?
振り向いてみれば…なんか、背後から殴り込んできました――っ!?
ヒルダ姫を庇おうと、決死のダッシュ。
私の作った鎧だけではあまりにも心もとない。
ビシィッ! ビシィッ! ビシィッ・・・!
ヒルダ姫と私の目の前に、改めて隔壁を急ごしらえっ!
デイジー「こんなもの、回り込めば――」
ロゼッタ「せい、やぁ―――――っ!」
ブウウウゥゥンッ!
隔壁との接続を切らないでいて、よかった。両腕を前に突き出し、
力を集めつつ、腕のスイングと共に隔壁をスライドッ!
厚い厚い壁を、再度作るより、こちらの方が多分早くて低コスト!
勢い余ったデイジー姫の拳を、どうにかこうにか食い止め――ますっ!
叩いてみるまで、そこにあるとは中々気付かれにくい、透明度の高い壁。
とりあえず食いついてくれました!
610
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:06:56 ID:UXSYQ7yA
デイジー「……!付いて、来られるか――だが」
ロゼッタ「――――けほっ」
代償も、小さくない。じわじわと体を蝕まれ、数えるのも億劫になった吐血。
それでも、なんとか…自らを奮い立たせ踏ん張って、デイジー姫を見据えますっ!
デイジー「意気込みすぎているのはいいが、ロゼッタ。
お前、フルパワーすぎて、いつも以上にスタミナ切れが早いぞ?
ペース配分の重要性を…忘れたのか?」
ロゼッタ「……ゴホッ、ゴホッ…は、はは。不真面目な動きには、見えない、でしょう?
そうだ。ちょっとくらい、手加減しても、バチは当たりませんよ?」
とはいえ、デイジー姫は一層拳に力を込めて、ぐぐぐっと全力前進。
1枚、また1枚、またまた1枚……!
衝撃に晒された隔壁は、ちょっとデイジー姫を減速させるくらいで、
外側から順に次々とかち割られ、その役目を失っていきます。
611
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:09:36 ID:UXSYQ7yA
補強、補強、補強――――っ!
ヒルダ姫が攻撃態勢を整えるまで、私がカバーして差し上げなければっ!
…ですが、損傷速度の方が、どうにも、大きい…!
デイジー「ふ、は、はははは――――っ!!」ゴオオオオオォォ!!
ロゼッタ「ぐ、ぎ、ぎぎぎ……………勘弁、してくださいよ…っ」
それでも、高エネルギーの衝突に耐え、少しでもデイジー姫の到着を遅らせます。
あ、隔壁動かせるとはいえ、あんまりフェイントで側面から攻撃とか、ヤメテクダサイね!
神経ますます磨り減るんで!もうちょっと、意地張っててくださいね!
あ、視界が…ちょっと、赤い、気がします。
いえ、投げ出したりは、しませんっ!
ロゼッタ(…予想以上に、負担が大きいん、ですけど、ねぇ!)
ですが――デイジー姫に悟らせては、いけません。
あとで…怒られる気はしますが、はい。
…泣かれたら、嫌ですね。
612
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:13:40 ID:UXSYQ7yA
ヒルダ「……ハァッ…もう、大丈夫、ですっ!――――――――ハンマーっ!」
そうこうしているうちに、ようやくヒルダ姫が、戦闘態勢を整えました。
右脚をできるだけ庇いつつ、フラフラとではありますが立ち上がって、
ファントム・ユガに命令を下せる段階です。
復活した、凛としたその声で、魔物が炎の杖を振り回す。
ヒルダ姫の足元に流れる血が痛々しいですが、いまは少しでも粘って…
ゼルダ姫の自由行動時間を伸ばすべき。
ファントム・ユガ「GUOOOOOOOOO!」
ヒルダ姫の後押しも加わって、なんとかデイジー姫を押し戻そうとします。
デイジー「…一つ覚え、懲りない奴だ」
ヒルダ「――――ハンマー!――――ハンマー!――――まだ、まだぁっ!!」
――1発、2発、3発。
しかし、もはや、ヒルダ姫の攻撃は脅威と見なされなくなっています。
ヒルダ姫が、じりじりと、後ずさる。
怯えたように、私の後ろに隠れて、私と付かず離れずの距離になりました。
613
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:17:44 ID:UXSYQ7yA
私は、隔壁の制御を左手で任せて。
空いた右手で、ヒルダ姫の左手を握ってあげます。
…負けていられませんよ、頑張って。
強く強く、神経を集中し、握り締めます。
もちろん、この一連の挙動は、デイジー姫からすると――
デイジー「なるほど、ファイアロッドにみせかけてハンマーを繰り出す…
その程度の引っかけが、お前の戦略だというのだな。
久しぶりに…臆病風が、吹いたかぁ――!」ギュンッ!
――――――――かかった!!
ヒルダ「――――――――」スッ・・・
ヒルダ姫の怯えた「ふり」が、終わりの時を告げます!
治療中のFP制御の経験から閃いた、私の魔法の発動と共に!
召喚獣が、炎の杖を、ハンマーにしっかり、切り替える。
…妙に、そのハンマー、大きいんですよ。ええ!
614
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:24:35 ID:UXSYQ7yA
ロゼッタ(――――Double Slot《相互演算》)カチッ!
相互演算の 効果で 魔法回路が 接続されている!
ロゼッタは 術式演算の 一部を 肩代わりした!
ヒルダの 術式ランクの 限界が 高まった!▼
ヒルダ「―――――――ナイス、ハンマァァァァ――――ッ!!」ビシィッ!
ファントム・ユガ「YEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAH!!」ブンッ!!
カッ!! ――ドッズウウウウウウウゥゥゥン!!
デイジー「…………ぐっ…………!?」ブワッ!
いつものハンマーに比べ、倍以上に丸々と肥え太った巨大なハンマーが、
速度すら増してデイジー姫に、しかと振り翳されます!
いつものごとく無視可能、蹴散らし容易とばかり思い込んで突っ込んできたデイジー姫を、
したたかに打ち付けて、向こうに吹き飛ばして見せました!
ヒルダ「――――これが、私の…奥の手、ですっ!!」
615
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:28:02 ID:UXSYQ7yA
デイジー「……っ、ロゼッタ、お前…なにかやったな?」
ロゼッタ「…………人を疑うのは良くないと思いますよ」
片膝姿勢でズサァッと5mほど滑り、止まってからも立ち上がろうとしないデイジー姫。
ダメージがきつい、というよりは、呆れているっていうニュアンスが伝わってきます。
ロゼッタ「…まあ、私のせいではありますが。ふふん、ネタ晴らしは試合終了までしませ――」
デイジー「大方、手を握ったことで2人の魔法回路を接続させて――
疑似的に魔法回路の容量を増やすことで
ヒルダに実力以上の魔法を繰り出させたのだろう?
ヒルダも、中々の演技振りだったということか、迂闊。
だが、言い換えれば、その間のロゼッタはサポートに掛かり切りで腑抜け状態。
碌に行動手段を持たなくなる、という認識で間違いないか?
そのくらいの対価は当然あるよな?魔法使い殿?」
ロゼッタ「――――どどどどうでしょうかねえ」
うわぁい、完全にばれています。
…まあ、時間とともにばれるのは覚悟していました。
それが、ちょーっとだけ早まったということにしておきましょう。
616
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:32:06 ID:UXSYQ7yA
私の失態をなかったことにしてやろうと、ヒルダ姫が、熱気を帯びて動きます。
力いっぱい、手を振りかぶって。
ヒルダ「ナイスハンマー、連撃!叩きつけて…差し上げなさいっ!!」ゴオオオ
ヒルダの 攻撃は まだ続いている!▼
デイジー姫、迫り来るハンマーを二度、三度受けて、感触を確かめていましたが…。
さしものデイジー姫といえど、潰されないためには、しっかり足を止めて構えて、
受け止め、静止させ、力任せに目一杯押しのけ、跳ね返す…という動作が必要が出てきました。
…あ、あの表情。思いっきり苦虫を噛み潰したような状態です。
ふっふっふ。
それだけ、私の魔法回路がヒルダ姫の底上げを行えるスペックを持つということです。
劣化状態の今の私ですら、ヒルダ姫の負担を半分…いえ3分の1にはできていることでしょう。
…というわけで、私の頑張りに免じて、ちょっとばかり気遣ってくれませんか、ヒルダ姫。
既に血の気が引いて来ているのですが。助けてください。
617
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:35:13 ID:UXSYQ7yA
ほどなく、この魔法も「しっかり避けるべき」対象と見なしたご様子。
左右に振って、浮遊する足場を駆使して、掻い潜りつつ接近するスタイルに移りました。
ヒルダ姫に、デイジー姫の動きを追い切る洞察力、動体視力はとてもありません。
…ですが。
ヒルダ「…ようは、隙間なく打ち続ければいいだけのことでしょう――――!
ははははは――!」
ヒルダ姫が、トランス状態?…邪悪な?高笑いまで始めて、ノリに乗っています。
そして、有言実行。ドカドカドカドカと、地面が叩かれ、轟音と爆音の嵐。
…そういえば。昨日の練習のときも、そうでしたよね。
一気に限界突破した魔法を行使できるのが本当に嬉しいのか、
ゼルダ姫がたしなめるまで延々と、魔法の繰り出しに付き合わされました。
提案した側の私が、半泣き状態になるほどまで。
既に立っている状態なのに、立ち眩み。あ、本格的に、まずそうです。
な、何が、彼女をそうさせるのでしょう、か…?
618
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:41:25 ID:UXSYQ7yA
〜選手控室〜
リンク「そういや、ロウラルに冒険に向かった時さぁ。
ヒルダの奴が、『Heyリンク、実は私が黒幕でした』って衝撃告白して、
そのまま動けないゼルダから知恵のトライフォース奪って、
ユガをドババーンって呼び出したんだよ」
マリオ「いきなり前提知識なしに語り出すなよ。ユガってなんだよ、召喚物か?
つまり、もともとヒルダは悪役だったんだな。…だが、なんで唐突にそんな話を?」
リンク「いや、その時のヒルダの豹変ぶりが中々面白くてさ。
3人のことを心配してたら、ちょうど思い出しちゃったんだ。
たぶん、初めてトライフォースの力を得たことで実力が一気に底上げされたのが
本当に嬉しかったのか、抑圧からの解放か、高笑いまでし出してさ。
それまでは、落ち着いた天の声色で俺を手助けしてくれる、
穏やかで奥ゆかしいお姫様とばかり思っていたのに。ゼルダ姫とは違って」
マリオ「お、おう。……意味がない質問をさせてもらうが…苦戦したのか?」
リンク「いや、全く。自慢じゃないが、流石に俺と比べるのは可哀想だろ…。
ヒルダが唯一得意とする魔法分野ですら、なんとか俺の勝ち。
基本体力なんて、当時のヒルダだったら10メートル離れて俺が回転切りするだけで
風圧で壁に叩きつけられて死ぬんじゃないか?」
マリオ「優しさの欠片もない評価だな」
リンク「客観的な評価と言ってくれ」
619
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:48:12 ID:UXSYQ7yA
リンク「そして、頼みの綱として縋ったトライフォースの数ですら俺の方が多いっていう。
なんだったらあれだよ?トライフォース6つ使って、正六角形に綺麗に並べて
『壁々のヘキサフォース!』とかやっちゃうよ?
結局は召喚したユガにまで裏切られて、ほんと可哀想な役回りだったなあ…」
マリオ「『かべかべ』って言いにくいな…。だが、トライフォースは幾つあってもトライフォースだろ?
よく『聖三角』って呼んでるじゃないか。三角形だからトライフォースなんだろ?」
リンク「…………え、力と知恵と勇気、3つの力でトライフォースじゃないの?
(本来は)3個に分かれてるからトライフォースじゃないの?」
マリオ「その理論だったら、お前が正六角形に並べたところで
『勇気のモノフォース!』じゃね?」
リンク「予想以上にダサいな!?
…でもそうだな、ゲットするたびに1個1個『○○のトライフォース』って言ってきたし。
じゃあマリオの方が正しいのか。
…待てよ、ちいさな欠片を『フォース』とだけ呼んでたこともあった気が。
…いや、もしかすると、勇気のトライフォースにも力と知恵の成分が5%くらいつつ添加されていたりするのか…?
…じゃあ俺が持っているのは『ほぼ勇気のトライフォース』…?あれ、頭が混乱してきたぞ…?」グルグルグルグル
マリオ「やめとけ」
620
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:52:55 ID:UXSYQ7yA
〜閉ざされたフィールド〜
ヒルダ(…………なんだか無性に心が切なくなってました)ガクーン
ロゼッタ「――あ、の。そ、そこまで連続行動、されると。
ちょっと私の負担が、お、おおきい、かなって…ヒル、ダ、姫」ガタガタガタガタ
デイジー「……」ジーッ
ヒルダ「さあさあ、まだまだっ!相手の動きが鈍ってきています、
どんどんデイジーを追い込みますよぉっ!」バッ
ロゼッタ(聴いちゃいない!)
仁王立ちして、口をできるだけ閉じて、痛みに涙堪えてプルプル震えているのですが。
デイジー姫が、やや引き気味に…それはもう、物理的および精神的に引き気味に行動しつつ、
半ば「私の自滅待ち」をし始めているような錯覚がしてきたのですが!錯覚ですよね!?
まずいです、ヒルダ姫の抑制の練習まではしていませんでしたっ!
――ここは、やはり。
――ちらっと見れば、時間を作った甲斐あって、準備万端ゼルダ姫!
――貴方に頼るしか、なさそうです!
621
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/02/23(日) 05:25:19 ID:1UjKuxiM
ゼルダ(――随分と、時間を与えてくれたではないですか)
まるで、こちらの警戒をしていない。千載一遇のチャンス到来です。
柱の陰を上手く利用して、光り輝く弓矢をできる限り隠し通したのが功を奏しているよう。
しなる弦、飛び立つのを今か今かと待ち望む矢。
このまま矢を解き放つか、接近して確実性を上げるか――
…………。
私の動きを視界に入れてしまう危険性のほうが、
どうやらよっぽど高いようですね。
私も、ここの生活で、デイジーと比べた際の身体能力の低さは…
冷静に判断できるようになってきたつもりです。
でも、光の弓矢の速度に対する誇りと自信も、付いてきたのですよ?
622
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:29:20 ID:1UjKuxiM
…決めました。
あとは、できるだけヒルダ姫の行動を読み――
デイジーの反応を遅らせるベストなタイミングで、魔法を発動させるのみ。
非常に頼もしいことに、万が一外してしまっても、
ロゼッタの回収能力があれば、全部が全部、無駄にはなりませんし。
それこそ、先ほどのように、2本の光の弓矢で狙い撃ち、なんてことも出来ます。
…繰り返します。非常に頼もしいですよ、本当に。
伊達に、3人の連携を、これまで取ってきていません。
ある程度の動きなら、癖なら、お互い把握できる。分かり合える。
ステップ。ひと呼吸。ガード。身構え。
まるで、照らし合わせた台本のように。
一見して調子に乗り過ぎて、我を忘れて仕掛け続けているようにも見えるヒルダ姫が。
振り返るまでもなく、ちらっと斜め下を向き、カツンと踵を鳴らします。
――もう、言葉は、要らない。
私は一転してパッと柱の横に飛び出て、
ヒルダ姫を射貫くかの如く、魔法を発動させ、あとは――
ヒルダ「それを待って――」
623
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:37:31 ID:1UjKuxiM
デイジー「そいつを待ってたんだよ、なあっ!!」グワン!
――――なっ!?
そのとき、信じられないことが、起こりました。
デイジーが激しく地を蹴る。…今度は本当に、「地面を蹴った」のです。
もともと散らばっていた瓦礫、さらにその下の土まで薙ぎ払う蹴り。
もうもうと砂の幕が張られ、皆の姿がかき消されます。
…それでも、矢を放とうと動作に入ってしまった私の手は、止まることができません。
――何か、非常に、よろしくないことが…!
それでも、手は、止まらない。
624
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:42:55 ID:1UjKuxiM
バチィ―――ッ!!
ロゼッタ「――――ひゃっ!?」
ヒルダ「――きゃあっ!!」
煙幕の中で、何かが、弾けた、音が、する。そう、思ったのが、0.5秒後。
弾けた?何がですか?
ヒルダ姫とロゼッタの、繋いでいた手が、強引に引き裂かれた?
なんの、ために?なんの、意図を以て?
ゼルダ「――――――――っ!?」
私は、最悪な状況を想像してしまいました。
どうか、外れていて――
その想いは、無情にも裏切られます。
煙幕から、ぬるっと、銀色の冠が――見えました。
625
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:49:35 ID:1UjKuxiM
もぎ取られる感じで、強引に手の繋ぎを引き裂かれていたヒルダ姫。
おかげで指を血が滴っている有様ですが、本人は気にも留めません。
ヒルダ「ロゼッタアアァァァ――――!?」
彼女の叫びが、ただただフィールドに木霊します。
デイジー「時間稼ぎさせれば、お前らは必ず、ほくそ笑みつつ、光の弓矢でチャンスを伺ってくる。
飛んできたソレを躱したとしても、ロゼッタに回収されちゃ…なあ?
いまいちお前らの戦力消耗になってない。私のリスクを高めるばかりだ。
――なら、話は簡単だ。
ロゼッタが回収する余裕もないように誘導できる、弓の撃たせ方をさせればいいのさ。
たとえば、今みたいに――
光の弓矢目掛けて、真正面からロゼッタを一思いに投げつける、とかな」
626
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:56:19 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「――――――――――――」
デイジー「私に駆け引きで勝つのは、そう簡単なことじゃないぞ?」
チッチッチ、と指を振って嘲る素振りのデイジー姫。
まだまだ舐め腐られている。私は――ただ、ワナワナと震える、ばかりなり。
デイジーはこちらを向いており、もはや目で追ってはいませんが――
光の弓矢が、フィールドの遠くへ一直線に飛んで行く。
デイジーは、多少は無理をして掻い潜ってみせたのか、ドレスと顔に、幾重にも切り傷。
さきほどより、血の滲む箇所は更に増えました。
そして、一方。手には、紋章など浮き上がらず――――
ロゼッタ「――――――――――――――――」フラッ・・・
勢いよく放り投げられ、状況を察せないまま背中から、無慈悲にも――
心の臓を光の弓矢に貫かれ、絶命して。糸の切れた人形のように
横倒しになるロゼッタが、いたのです。
ロゼッタの残機が、ひとつ、確かに、減りました。
627
:
Mii
:2020/02/23(日) 06:14:50 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「――――――――ゴホッ!ゴホッ!――――――――っ!!
…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!…ハァっ!…ハァッ!
い、い、い、いまのは、さ、さ、さす、がに、効きました、よっ!?
デイジー、姫。貴方、お、おにです、か」ピカーーッ!
ふ、ふっかつ、してます、よねっ!?…ああ、よかった。
復活したのはよかったですが、今更ながらの遅すぎる、怒涛の冷や汗。
なんて、恐怖体験。体がここまで震えるなんて、久しぶり、ですっ!
心臓もバクバク言っていて、本当に煩いくらいです。
いや、もちろん単なる破壊力だけなら、デイジー姫の渾身の連弾を食らう方がきついのかもしれませんがっ!
なんか、一瞬で自分が無に帰るんじゃないかっていうくらいの一撃でしたよっ、今の!
やっぱり光の弓矢という魔法は神が与えし代物ですね…!!
あ、あしが、わらっていて、うまく、立てません。
し、しかしっ!予定外の残機損失を、して、しまったのですから!
立て直さなければ、勝ちの目がだいぶ薄くなってしまい、ます!
ゼルダ「――――ご、ごめんなさい、ロゼッタ――――!」ジワッ
ヒルダ「――――――――っ!
ロゼッタ、ロゼッタッ!大丈夫、です、かっ!?わ、私が調子に、のる、から…!」ダダッ!
ゼルダ姫は珍しく狼狽し、ヒルダ姫が泣きじゃくりながら駆け寄ってきます。
そのお気持ちは本当に嬉しい、のですが…!
628
:
Mii
:2020/02/23(日) 06:30:13 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「お二人ともっ!まだ…試合は継続、中、ですよっ!
油断しては、いけませんっ!私なら、大丈夫、ですっ!」
心配を掛けないよう、なんとか気合で虚勢を張って見せます。
早く、迎え撃つ態勢に戻って!デイジー姫の次の狙いは貴方たちなのですよ!
ヒルダ「で、でもっ!でも、ロゼッタ!今、思いっきりグサッ…て!
血がっ!ドバァって!あんなのっ!見た、らっ!」ポロポロ
動転状態からいつまでも戻ってこない、ヒルダ姫。
よほどショッキングな光景だった、模様です。我ながら。
止め処なく、涙が溢れて来ていて、終わりを知りません。
ロゼッタ「気にしていませんから、はやくシャキッとしてください!」
ヒルダ「そ、そんな、ロゼッタぁ――」
――覚悟を決めなければ、ならないようです。
629
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:11:08 ID:1UjKuxiM
――――パチィン!
ヒルダ「ぶっ――――――――」
ゼルダ姫と、デイジー姫が、目を見開く。
私は――ありったけのスウィングで、抱き着かんとするヒルダ姫の頬を張りました。
赤く腫れた頬を抑え、横に流しやられた顔をぎこちなく、ぎこちなく戻しながら、
ヒルダ姫が信じられなものを見るように私を見つめます。
ロゼッタ「でも、も。何、も。ありませんっ!この私が、気にしていないと言いました!
私も、ゼルダ姫も、むざむざ負けたくなどないですよ!
貴方は、そうではないのですか!?誓いは――嘘だったのですか!?
そんなことでは、体たらくでは――最後の最後まで逃げて怯えて――
デイジー姫に1対1で相まみえる絶望の未来しか見えてきませんが、よろしいのですかっ!」
ヒルダ「―――――――――――――――――――――っ!!」
630
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:14:32 ID:1UjKuxiM
ゼルダ「―――――――――――――――――――――――」
ヒルダ姫が、徐々に目を見開き。ゼルダ姫が、驚愕の眼差しでこちらを見て。
ヒルダ「い、嫌――い、いや、です――――――そ、そんなの――」ガタガタ
数歩後ずさりながら、うわ言のように、繰り返す。
ロゼッタ「ヒルダ姫っ!」
ゼルダ「ヒルダ姫、気をしっかり持ってください!」
デイジー「いつまで、やってるんだ?」ゴウッ
ヒルダ「――――っ!?」
――とっくに、10秒、経っている。
そんなに暴走した後ろめたさがあるのなら。ついでに引導、渡してやろうか。
…そんなデイジー姫の声が、聞こえてくるようです。
631
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:16:31 ID:1UjKuxiM
首根っこ掴んで、デイジー姫にしてみれば、軽い頭突き。
たちまちヒルダ姫の額は割れ、血を噴き出しながら激痛に苛まれる。
間髪入れず、ヒルダ姫の体をぶわぁっと放り投げ、自分も鳥の如く舞い上がる。
ヒルダ「あ――」
虚ろな表情のヒルダ姫の眼前に、迫り来る足。
いたずらに首に引っ掛けられた、下向きのベクトル甚だしい、踵落とし。
怒涛の一撃が、襲い掛かる。
ゼルダ「――くっ。…………光の…」パアァァ
ゼルダ姫は「諦めて」、せめて時間を無駄にしまいとフィールドの反対側に駆けつつ、
光の弓矢の充填に入ります――!
反射的に助けようとする私の手の、はるか向こうをすり抜けて。
フィールド外に向かって飛ばされて行きました。
ヒルダ残機・・・残り『2』
ヒルダを包む要塞法衣が 完全に 解けた!▼
632
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:21:41 ID:1UjKuxiM
…ヒルダの残機が、減った。
ファントム・ユガ「…………」ユラァ
通常ならば、ヒルダが残機を失った瞬間に、召喚物の類は消え失せる。
それが、召喚者との接続の切られた物の定め。
、
…しかし、今回に限っては、それは当てはまらないらしい。
杖を持ちこちらを睨む召喚獣は、姿を残したまま。
ロゼッタ「消えちゃうのは、勿体ないですからねっ!」ポワン ポワン
ヒルダとの接続が消えているちょっとの間、ロゼッタが急ぎ駆けつけFPを供給することで
消滅を防いだようだ。10秒縛りがなければ、ロゼッタを伸しておいたのだが。
…というかロゼッタ、器用だな。お前にはFPの輸送法…教えた覚え、ないのだが。
一方のゼルダは、間もなく充填完了の構え。…やれやれ。
やや赤くなった腕を少し見る。距離をもって撃たれる分には、まだ…耐えられるだろう。
今の所、全員の残機を1ずつ削って、片腕をそこそこ消費。
もっと楽勝のつもりだったが、勝ち負けでいうなら、割と余裕の流れ。
633
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:26:00 ID:1UjKuxiM
さあ、ここからどう動いてくれるか、楽しませてもらおう。
さっきのロゼッタぶん投げのこともあるし、向こうも流石に警戒はしている――
ここぞ、という相当な近距離からしか撃とうとはしてこないに違いない。
光と共にシュタっと現れたヒルダが、顔を真っ青にしている。
おびえ苦しむ様子ながらも、それでもなんとか、詰まりながら魔術を行使し、魔物にバクダンを構え直させる。
ヒルダと魔物との再接続を見て取ったロゼッタは、ヒルダの後衛として撤退。
ルール的に、ヒルダは一旦狙われなくなったからこその判断だろう。
しかし、ヒルダの心の傷はそう簡単に癒えるものではない。ぐさりと、楔は刺さっている。
ゼルダについては復調したが、ヒルダは…しばらく使い物にならなそうだ。
ロゼッタの叱咤激励が、ものの見事に逆効果。
いつぞやのトラウマを引き起こして、動揺、挙動不審に意気消沈。
ゼルダとロゼッタの顔色をやたら確認し、精彩を大きく欠いている。
ヒルダ「――――ハァ――――ハァ――」ガタガタガタガタ
ロゼッタ「――要塞、法衣っ」パアアァァ
どうせヒルダが狙われないならいっそのこと、と。
ロゼッタが、自身を優先させて強化する。それはそれで、ヒルダが孤立するぞ?
そして、私は…発動の瞬間に、体がふらついたのを見逃さない。
確実に、ロゼッタの魔法行使が悲鳴を上げるようになっている。
634
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:31:27 ID:1UjKuxiM
ゼルダ「それでも――
私たちには、これしか、ないんです、よっ!!」キュイィーン!!
距離を特に詰めない?…だから、それ、それほど効かないんだが。
他にやることはないのか?縋りたくなる気持ちは分からなくもないが。
デイジー「しつこい――」バッ
目の前のヒルダは無視し…いや、せっかくだからと腹に重い拳をめり込ませて、
勢いそのままにその奥のロゼッタ目指してひた走る。
間もなくの弓矢の飛来からも距離を取れて一石二鳥…いや一石三鳥。
吹っ飛ぶヒルダ。
ルール違反にならないよう、手加減はした、つもりだ。
特段、柱とか、足場の出っ張った角とかにヒットしてお陀仏にならない程度に…
腹を拳が貫通しない程度に、そう。たかだか地面を転がり滑る、程度に。
今のヒルダなら、出血大サービスの血みどろでも多分、生き永らえているだろう。
635
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:42:29 ID:1UjKuxiM
ヒルダ「――――――――っ!!――――っ!」モガキ
ちらっとヒルダの方を見て、一瞬暗い顔をしたかに見えたロゼッタ。
だが、私の拳が届く一拍前に、口を一文字にし、意を決して小ジャンプ。
体の下の空いた空間に手のひらを向けて、光る「何か」を作り出す。
そして、私の拳が達する一瞬前に――
砂の柱によって掻き消える。
デイジー「…サンド、ロッド?」クルッ
転がった先で、ヒルダが言葉にならない呻きで仰向けに倒れて…
それでも尚、瓦礫に埋もれながらも、尚。ほんの僅かだけ首を傾けてこちらを見据え、手を伸ばしている。
…ぎりぎり、ファントム・ユガへの命令が間に合ったのか。
ロゼッタ「この足場、下から貫通できるんですよ!!上出来ですっ!
――そ、ぉれ!!」ブワッ!
ヒルダのなんとか正気を保ってのアシストで、ロゼッタがぐんぐんと急上昇。
緊急回避をやってのけた。即興で作ったらしきバディブロックと共に、上へ上へと舞い上がる…!
636
:
Mii
:2020/02/23(日) 08:02:16 ID:1UjKuxiM
私からすると、バディブロックは光の反射・屈折具合でしか確認できない代物。
ただ、低姿勢にジッと構えたロゼッタと砂の柱との間にぽっかりと空白があるのだから、
疑いの余地はない。さしずめ、透明な高速エレベーター。
エレベーターはエレベーターでも、安全装置も加速制御もない、怒涛の片道上昇だ。
砂の柱が上限一杯になって止まってからも、ロゼッタは透明な箱に乗り、上昇を続ける。
あっという間に最上部まで……!
しかし、ロゼッタは無事でいられるのか。
あんな押上げを食らっては、足腰が破壊されてもおかしくない。
――つまり、さっきの要塞法衣…そういうことか。
ロゼッタの 「全身の」 攻撃力が 15%アップしている!
ロゼッタの 「全身の」 防御力が 300%アップしている!
ロゼッタの 「全身の」 素早さが 50%ダウンしている!▼
637
:
Mii
:2020/02/23(日) 08:05:09 ID:1UjKuxiM
ハナから固定砲台の役割を持たせると割り切った作戦。
水平方向に比べれば、垂直方向の私の追撃は多少は時間が掛かる。
それを見越して、最上部から見下ろして安全に回収する算段に切り替えたか。
光加減をよく確かめておけば、気付けたかな。
ゼルダ「――行って、くださいっ!!」シュパッ
ゴウウウウウゥゥッ!!
光の弓矢が、勢いよく、撃ち出される。
下手にロゼッタに回収されると、また不意打ち至近距離で万が一、ということもあり得る。
軽いダメージで確実に消し飛ばせるのなら、多少は目を瞑って……。
デイジー「……!?」
お、おい。これは――――!
638
:
Mii
:2020/02/23(日) 09:17:35 ID:1UjKuxiM
ゼルダ「受け止められるなら――受け止めて、みなさいっ!!」クルッ!
光の弓矢が、ただ走る。
――何もない、空間へと、一直線に。
デイジー「――――無茶、言うなっ!」
私と90°もずらした方向に撃った光の弓矢など、触れられるかっ!!
こいつ、かんっぜんに回収前提で光の弓矢を放つとは。
光の弓矢使いが荒いなっ!ハイラル王国の先祖たちが泣くぞ!
ゼルダ「さあロゼッタ!今度こそ、しっかり――光の弓矢を回収してしまうのです!!」
腰を落として、ガッツポーズまでしてくれる。
639
:
Mii
:2020/02/23(日) 09:22:32 ID:1UjKuxiM
そちらがそこまで割り切るのならば、こちらもさっさと割り切ろう。
光の弓矢をとにかく打ち止めにしてしまうために、ゼルダの残機をさっさと0にする。
ゼルダ→ ロゼッタorヒルダ → ゼルダ、これでルールには抵触しない。
ヒルダが風前の灯なので、ヒルダ狙いが賢い…と言いたいとこだが、
ここはロゼッタを狙っておきたい。というのも、残機が減れば自動的に、ストック分の魔法が消滅するからだ。
いつまでも寝首を掻かれ得る状況は御免被りたい。
そう、思ったところで――
何かが、上から、降ってきた。
ゼルダ「ロ、ロゼッタッ!?」
――ロゼッタ?…本当だ。
――どういう訳か、上の方からドシャァと落ちてくる。
640
:
Mii
:2020/02/23(日) 09:25:45 ID:1UjKuxiM
ダアァァン!!
ロゼッタ「――――ぐぅっ…………ふ、不覚っ……!」ヨロッ
ド派手に叩きつけられ、空気を吐き――よろよろと立ち上がるロゼッタ。
腕が、やたら血塗れている。さっきまでとは比べるべくもない。
せっかくの美しい蒼いドレスが台無しだ。
要塞法衣のおかげで、なんとか致命傷を免れたものの。
一気に、黄色ゲージあたりまで体力を持って行かれたらしい。
――光の弓矢は、どこかへ消えて行ったというのに。
――赤く染まるその手の甲には、何も光ってはいなかった。
ハッと青ざめ、手を袖に隠そうとするが、あまりに遅いぞ、ロゼッタ。
だいいち、その行動自体が、語るに落ちている。
それが意味するのは、唯一つ。大勢が決した、残酷な事実。
――ロゼッタの魔法行使が負荷目一杯、閉店ガラガラさようなら、ということだ。
641
:
Mii
:2020/02/23(日) 14:59:29 ID:1UjKuxiM
苦労と工夫を積み重ねて、大きな犠牲を払って、魔法の回収が不発に終わった。
これは3人にとっては、痛手も痛手、ゲームセットのようなものだろう。その無念さは容易に想像できる。
ロゼッタ「……あはは、大変な、ことに、なっちゃいました、ねえ」ドクドク
作戦は完全に瓦解。光の弓矢の使用者が完全にゼルダのみとなった。
ポンポンと魔法を使い続け、FPも消費し続けるから、そういうことになる。
ならば、作戦は変えなくてよいだろう。より効果が期待できる。
――ゼルダから潰すのが最適というわけ。
両腕を広げてヤレヤレと呟いて、一瞬目を閉じて。
目を開けたなら、ゼルダに向かって猛突進。
ロゼッタ「――ヒルダ、姫っ!
ゼルダ、姫を、守って、あげてくださいっ!!」
ヒルダ「――そ、そんなっ……!」ブルブル
これから起ころうとすることに目を背けてしまったのか、
ヒルダは却って硬直するばかり。本当に――どうしようもない。
…いや、あそこまで激しいダメージで、それをやれと言うロゼッタの方が酷いか。
まだヒルダ、起き上がることもできていないんだぞ?
642
:
Mii
:2020/02/23(日) 15:17:45 ID:1UjKuxiM
勢いを大いに削がれたゼルダは、抵抗が完全に遅れた。
形だけのガードを見てから、まあ折角だから付き合ってやろうということで
正面突破は勘弁してやり、横薙ぎに蹴りつける。
一撃目。必死の形相で、身をよじったゼルダが蹴りを躱す。
右脚を振り切ってバランスを崩し隙を晒す…ようにみせかけて、
地面を手に取り上下反転。ゼルダが息を呑むのが分かる。
既に持っていた慣性力と手の捻りを最大限に活用し、カポエイラの要領で…
遠心力を味方につけた追撃の左脚がゼルダに向かって飛んでいく。
二撃目。更に容赦なくパーソナルスペースに突進してきた脚を防ぐこと叶わず、
顎を打ち砕かれ斜め後ろに吹き飛ぶゼルダ。
三撃目。伸び切った脚の勢いを糧に、ダンッと足の裏を確かに地面に叩きつけ、
再び起き上がった私は――頭蓋骨を砕かんばかりに、フルスロットルの踵落としを――
……するのは、最近の私としては「幸いにして」かなり抵抗があるので、
腹部に留めておいた。これで多少はマシな死に方をするだろう。
643
:
Mii
:2020/02/23(日) 15:20:22 ID:1UjKuxiM
ヒルダ「ファ、ファイアロッドッ!」
ファントム・ユガ「GAAAAAAAAAAA!」ブンッ
全て片付いてしまってから、まるで間に合っていないヒルダの援護射撃が、
いまさら私に降ってくる。集中できておらず、碌に威力がこもっていない。
平然と炎の雨の中を歩いて抜けて、うぅんと背伸び1回。
ゼルダ「――――――――――う、あ゙」
ほどなくして、ゼルダが、瞳孔を硬直させたまま、ぴくりともしなくなる。
そろそろ、終劇が近いようだ。
ゼルダ残機・・・残り『1』
644
:
Mii
:2020/02/23(日) 15:22:29 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「…………………………………………」
たらり、と嫌な汗。
現状、まったくもって安心できません。
…というより、絶賛不利な状態です。うわぁい。
ゼルダ姫もヒルダ姫も余裕なんてなく、私だってこの通り魔法行使の限界が近い。
私の予定外の残機消費が本当に響いていますっ…!!
えっと。作戦を元の軌道に修正するには――
最後に倒されたのが、ゼルダ姫で…。
ゼルダ姫が残機1、ヒルダ姫が実質残機1同然といえど残機2なので…。
デイジー姫にばれないように細心の注意を払うことを想定し――
ゼルダ姫に、なんとしてでもあと1発、光の弓矢を撃ってもらうには――!
645
:
Mii
:2020/02/23(日) 15:24:53 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ(……あ。勝算や成功率はともかく、むしろ、計算はしやすく、なった?)
…ならば、その解答を目指して、突き進むだけの事。ふらつく足を叱咤激励。
私たち4人を駒とした、詰将棋の始まりです!
…あれ、ショウギってなんでしょう。チェスなら知っているのですが。
キノコ城でピーチ姫やデイジー姫とすこし嗜んだ経験があります。
さすが頭脳明晰、ピーチ姫には歯が立ちませんでした。
デイジー姫は、基本私より上手なのですが…
肝心なところでポカミスをして私が勝ちを拾うというか、なんというか。
あ、でも今のデイジー姫は、きっとお強いんでしょうね。
――話がそれました。忘れましょう。
646
:
Mii
:2020/02/23(日) 15:27:31 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「ゼルダ姫っ!私かヒルダ姫が残機を犠牲にしてでも時間を稼ぎますっ!
ワンパターンと言われようと、もう一度――もう一度、光の弓矢をっ!
勝つためにはなんだってやりますよ!」
ゼルダ「――――――――」ユラリ
ゼルダ姫が、光と共に起き上がります。
顔は青ざめていますし、すぐに口に手をやりましたが、まだ…
闘志は消えていません。その意気です!
デイジー「…ん?今、なんだってやる、と言ったか?
その、なんだってやるための代償と、光の弓矢回収の期待値、
そして…運よく賭けに勝って回収できたとして、その有効性。
ますます魔法の幅は狭まり、体力は限界を早める。
天秤が釣り合っているのか、今一度考えてみたらどうだ?」
ロゼッタ「考えた結果が、それなんですよーだ!」
想像の中だけでもアッカンべーをしてみて、気を紛らわせます。
もちろん実際にはやりません。デイジー姫を逆なでしたくない…というよりは、
純粋に体力の問題です。これ以上、余計な体力はびた一文払いたくありません!
私が虚勢を張る間に。ゼルダ姫が、ふらついて、ふらついて、それでも。
…光の弓矢を、撃つ態勢に入ります。
ゼルダ姫自身の精神力も、FPも、限界に近付いてきているのは確かでしょう。
無駄撃ちになんて…させません!
647
:
Mii
:2020/02/23(日) 17:59:47 ID:1UjKuxiM
突然に、迷うことなく、デイジー姫が私目がけて走ります。
…私も、目がかすんできました。
あと数分も、持たないでしょう。
ぎりぎりまで引きつけて、ワープ。
行き先は、倒れている同然で、柱にもたれ掛かるところまではなんとか持ち直したヒルダ姫の横。
デイジー姫が、それ見た事かと、すぐさま反転し迫り来る。
彼女からしてみれば、私だろうとヒルダ姫だろうと、どちらかの残機を削れば
プラスになります。そんな2人が、同じ方向に居てくれる。
彼女にとって、こんなに好都合なことはありません。
デイジー「どうしたゼルダ?撃ちたかったら、いつでも撃ってこいっ!」ダダダッ
ゼルダ「……………………舐めて、くれます、ねっ!!
後悔、することに、なるんです、からっ!!」キュイィ―ン!!
一瞬だけ後ろを振り返って挑発をぶつけるデイジー姫に怒りながらも、なんとか平静を保ち――
光り輝き始める、ゼルダ姫の懐。これで、何度目でしょうか。
648
:
Mii
:2020/02/24(月) 23:05:47 ID:dj8ZNMfA
ヒルダ姫を、ちらりと見ます。
怯えた表情は、残ったまま。震えて、こちらを見返します。
ロゼッタ「ヒルダ姫、手を――――」
ヒルダ「…ううん、駄目です!今の、私じゃ、魔法は、まともに――」ブンブン
大きく、情けなさそうに首を振るヒルダ姫。
ロゼッタ「――――ごめんなさい」
ヒルダ姫の手を、それでも掴んだ私は、「相互演算」を使ってヒルダ姫のサポートを――
…するのではなく。これでもかというくらい、引き寄せて。
突進してくるデイジー姫の拳目掛けて、非情にも突き出して、
狙われていた私の、身代わりにしたのでした。
649
:
Mii
:2020/02/24(月) 23:20:52 ID:dj8ZNMfA
時が、止まる。
ヒルダ「――――――――ど、うして――――」ポタポタ
ポタポタと散る鮮血。小刻みに震える、ヒルダ姫の唇。
あえて心を狂鬼にして、ヒルダ姫に諭します。
ロゼッタ「このくらいは、さっきの失態の罪滅ぼしでしょう?今の状況、ヒルダ姫の残機が減る方が――
私の残機が減るよりも被害が小さいのは…火を見るよりも明らかですよ?
さあ、尽きかけていた命で、10秒稼ぐことができました。ユガさんは私が責任をもってお助けしておきます」
固まる2人を尻目に、なけなしのFPを送ってファントム・ユガさんの消滅を防ぎましょう。
打算主義でスタコラサッサです。
デイジー「――――そこまで、するか。
勝ちたいとはいえ――あって無いような勝算のために、ここまで豹変するとは。私のことを笑えんぞ」
くたりと頭を垂れ、命を細らせていくヒルダ姫を前に…デイジー姫が唖然としています。
拳を振りほどいてみれば、体の内側からズタズタに破壊され限界の叫びが来たのか、
血の海にそのまま沈むヒルダ姫の姿がありました。
ヒルダ残機・・・残り『1』
650
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/02/24(月) 23:34:46 ID:PeTrKoUA
miiさん
新しいファイター考えていますか?
651
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/02/24(月) 23:34:55 ID:PeTrKoUA
miiさん
新しいファイター考えていますか?
652
:
Mii
:2020/02/25(火) 00:33:32 ID:cwPyF3J.
ゼルダ姫が、着々と、光の弓矢を、溜めて、溜めて――!
ゼルダ「ヒルダ姫の、仇、絶対に取らせて頂きますからね――」グズッ
……それ、デイジー姫に対して言ったんですよね?ね?
私に言ったりしていませんよね!?自業自得な面は確かにありますけどっ!
ヒルダ姫が、2度目の復活。
しかし、うつ伏せのまま、なにかうわ言を耳に届かせるばかりで、
起き上がる様子がありません。
所在なさげに、召喚された魔物が佇みます。
ロゼッタ「――――本当に、ごめんなさい」
物言わぬ状態になったヒルダ姫が、一瞬、ぶるっと震えた、気がしました。
653
:
Mii
:2020/02/25(火) 00:49:49 ID:cwPyF3J.
…これまで築きあげてきた友情、親愛…ぶち壊しにしかねない策略。
ロゼッタの異常な思考に唖然としつつ、一方で戦局判断は確か。
――何か、こちらが策に嵌っている…なんてことが、あるのか?
…いや、何度考えても、ないだろう。
すこしでも全体としての生存時間を伸ばす、というやり方は、
私が身を以て伝え鍛えてきたことだから、間違っちゃいない。
単に、それに律儀に従い続けているだけ、なのか?
あと残っているのは、残機最後のゼルダヒルダに、魔法が底を尽きかけたロゼッタ。
おそらく、次の光の弓矢をロゼッタが回収しそこねたら、完全に「詰み」だ。
ゼルダ「光の―――――――」パアアアアアァァァァ
ゼルダの一縋りの想いがこもり、ひときわ強く輝いた気がする、光の弓矢。
さあ、撃ちたければ撃ってこい。
変にタイミングをずらしても、ヒルダがもたらした猶予時間を浪費するだけだろう?
一瞬目を瞑ってから…ゼルダが、最後の、弓矢を放つ――
654
:
Mii
:2020/02/25(火) 01:13:05 ID:cwPyF3J.
デイジー「――――は」
――得体の知れない緊迫感に気付けたのは、偶然か。天空が、キラリと、光った。
――なにかが、衝撃波を纏い、凄まじい勢いで、落下してくる…!?
ロゼッタ「――――――――――――――――――――――――
―――Chiko Meteor《 キ ラ キ ラ 落 と し 》、最・大・出・力ぅ――――っ!!!」パアアアァァァッ!
チコ「「「「「「「「わああああああああぁぁぁぁ――――!!!!!!」」」」」」」」
ロゼッタ「私の残りのFP、ぜーんぶ、持っていきなさい、みんなっ!!」パアアアアァァ
デイジー「…!?」
655
:
Mii
:2020/02/25(火) 01:41:16 ID:cwPyF3J.
可愛い顔したチコたちが、いつの間に、フィールドの上空に待機していたのか。
全部で、たしか、8人。…数え方は「人」でいいんだよな?
だが、爆炎を上げながらのその速度、尋常でない。とても、あんな速度でチコたちが動けるとは思えない。
というより、ロゼッタは「最大出力」と言ったな?…原動力は、ロゼッタ?
――――まさか、選択的な、一種の…重力制御っ!
ロゼッタ「光の弓矢ほどじゃないですけど、当たると痛いですよーっ!
チコの頑丈さは、折り紙付きですからねーっ!!」グググググッ!
デイジー「…がっ!?」ズギャンッ!
おそらく、動転していなければなんとか避けられていたであろう先陣の1発目が、脳天に、直撃。
チュドオオオオオォォォォォ―――ン!!
その、威力。かなりの痛みをもたらした後、逸れて行って、フィールドの地面に深々と突き刺さる。
その瞬間、ズゴォッと割れる地面、半径10メートルのクレーター。
当たり判定こそごく小さいが、ヒルダのナイスハンマーに勝るの威力じゃないかっ!
これを最初からどうして使わなかった…!?
656
:
Mii
:2020/02/25(火) 07:02:54 ID:cwPyF3J.
ロゼッタの 特攻が がくっと 下がった!▼
デイジー「…ん?」
ロゼッタ「どんどん、行って――っ!」ハァッ!
チュドオオオォォォ――ン!
デイジー「…………あれ?」ヒラリッ
ロゼッタの 特攻が がくっと 下がった!▼
ロゼッタ「ど、どん、どん、おねが、い……」ゼェゼェ
チュドオォ―ン!
デイジー「…………」ヒラリッ
ロゼッタの 特攻が がくっと 下がった!▼
デイジー「…………威力、下がってないか。
いや、ぶっちゃけると技名が間違ってないか」
ロゼッタ「ままま、まっさかぁー?」アタフタ
657
:
Mii
:2020/02/25(火) 07:25:35 ID:cwPyF3J.
ゴオオオオオオオオオオオオォォォォォォッ――――!
デイジー「――――っ!!!!」
――ぬかった。
――思わずツッコミを入れてしまったところに、忘れ物。
――ここまで計算していたというのなら、ロゼッタも相当な策士だ。
――――絡繰りもハッタリも、なにもない。
――――忘れたころに、今度は普通に私を狙う、素朴で素直な、一射。
――――光の弓矢、颯爽と迫り来る。
ゼルダ「――――終わり、ですっ!!」
ゼルダの最後の雄叫びが耳障り。だが……。
――――ここまで来てこの集中力、惚れ惚れする。
――――挟撃に見事に嵌って…これは、よけられ、ない。
――――だが、急所を庇えないほどではない。
――――諦めて、腕の貫通くらいは覚悟しようと割り切って、ずいっと腕を動かす。
658
:
Mii
:2020/02/25(火) 19:51:48 ID:cwPyF3J.
が…幸いなことに。
私には、届かなかった。
3人の最後の希望を乗せて迫り来るその矢は、私の3メートルばかり手前で、
力の限界を迎えて――フッと、消えてしまったのだから。
659
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:00:35 ID:cwPyF3J.
ゼルダ「――――そ、そん、な」ガクッ
この世の終わり、と叫びたい感じのゼルダが、唖然として、力なく、崩れ落ちる。
俯き膝を付いて、動けない。…なるほど、これで、ゼルダもFP切れ…いや、魔力切れ、ということか。
デイジー「――――終わったな」
ゼルダ「……」ピクッ
ゼルダ「……ま、だです」グッ
…おや。
ゼルダ「――――やあああああああああああああ―――っ!!!」ダッ!
私のつぶやきに激昂したのか――途端に、完全な、やけっぱち。
満身創痍のまま一心不乱に、無謀すぎる接近戦を挑んでくる。
渾身のゼルダのパンチも、カッターも、私はぞんざいな手の振りでパシパシと。
目の前に拳を突き出して――――
660
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:02:07 ID:cwPyF3J.
ゼルダ「――――あ」
一瞬達観したかにみえたのは、気のせいか。
よくやった、と心の中では褒めながら。
ラストの一撃で、フィールドの彼方まで、殴り飛ばしてみせた。
デイジー「…悪いが、スマブラには…顔面セーフとか、ないんでな」
ゼルダ残機・・・残り『0』
ゼルダは 戦線離脱と なった!▼
661
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:07:20 ID:cwPyF3J.
ヒルダ「ひっ……さ、サンドロッドっ!サンド、ロッドっ!!
サンドロッドっ!サンドロッドっ!!サンドロッドっ!!
―――――――――――サンド、ロッドォ――――!!!」ガクガクブルブル
次は、自分か。絶望の直感が、ヒルダに襲い来る。
恐怖心で出鱈目に、ヒルダがサンドロッドを指示。
あちこちに砂柱が立つが、障害にもならない出鱈目な位置に、出ては崩れることを繰り返す。
もはやロゼッタもヒルダも脅威ではないが、まだ魔法のストックがあるヒルダから先に片付けるか。
その後、ロゼッタを二連続で倒す。これで行こう。
さあ、猶予のカウントダウンを、始めよう。
ゼルダが、起き上がって…ため息付いて。いそいそと、フィールドの外に出て行く。
思う存分、最期を観戦してやるといい。
チコ「…ねえねえ、ママたち、勝てるかなあ?」
ゼルダ「もうすぐ、わかるわ。…大丈夫よ、きっと。あの2人…いえ、私たち3人なら」
662
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:11:39 ID:cwPyF3J.
――9、8、7。
ヒルダ「サンド、ロッド!」グズッ
回避にしても食らうにしても、まだまだ余裕。
―――6、5、4。
ヒルダ「サンド、ロッドッ!」グズッ!
―――3、2、1。
ヒルダ「サンド、ロッドォ――――ッ!」グズッ!!
デイジー「…ゼロ、だぁ―――っ!!」
私の、怒涛の、進撃。最早、止める物など、何もない。
663
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:15:44 ID:cwPyF3J.
ロゼッタ「――――お返し、です」ザクッ!!
デイジー「――――――――」
ヒルダ「ロゼ、ッタ?」
ヒルダの、涙声がする。
ロゼッタ「――は、はは。
私ごときに間に入られるだなんて、デイジー姫も、抜けています、ね」ドクドク
デイジー「…今度は、自分から、身代わりに、か――徹底的な打算、貫き通しているのだな」
ぬっと、割って入られた。…そう、ロゼッタに。
…いや、私も好きでロゼッタの心臓を貫いているわけじゃ、ないんだが。
正確には、今更勢いが止められないタイミングで、自分からワープで身代わりに入られた。
これは流石に、どうしようもない。ドンピシャな防御策…なのか、な?
664
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:19:13 ID:cwPyF3J.
ロゼッタが、心臓を貫かれたまま、苦しそうにしながらも、微笑んでいる。
…へんなスイッチが入っていたりしないよな?全く。
デイジー「…なけなしと言っておきながら、最後の最後のために…FP、残しておいたのか」
ロゼッタ「は、はい。――デイジー姫を、引っ掛ける、ことができて――
私も、満足、ですっ――ご、ほっ」ガハッ!
口の中を真っ赤にしながらも、満足気。
目を閉じて、そのまま四肢をだらんとさせる。
これで、ロゼッタもヒルダも、残機1だ。
自動的に、ヒルダ、ロゼッタの順で倒すことになる。
ロゼッタが――光に包まれ、息を、吹き返す。
ロゼッタ「…では」スクッ
…さあ、最後のあがきを、見せてもらおうじゃないか。
665
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:23:52 ID:cwPyF3J.
まずは、体に付いた汚れをパン、と払い。サササッと…私から、離れていく。
ロゼッタ「あがっ……い、いたぃ、です、ね…!!
しばらくは体、まともに、動きません、よぉ…!しくしく…」
そして。
ゼルダ「お疲れさまです、ロゼッタ」
ロゼッタ「はい、やっぱり中々…上手く、行きませんね。デイジー姫、強すぎます。
眩暈も吐き気も、酷い、です、し。助けて、ください、よ」
ゼルダ「そんな余裕、私にあるわけないでしょう。どれだけ光の弓矢を乱発したと」
デイジー「――――おい、ロゼッタ」
ロゼッタ「――は、い?ど、どうしましたか、デイジー、姫」ゼェゼェ
思わず、プッと笑ってしまう。完全にグロッキー状態だ。
ここまで、精根尽き果てるまで戦っていた、というのは嬉しい限りだが。
666
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:27:14 ID:cwPyF3J.
デイジー「どうしたもこうしたもないだろうが。
お前、残機をよくカウントしてみろ。まだ1機残ってるぞ。
とっととフィールドに戻ってこい」
ロゼッタ「――――え――――――――」
ロゼッタが目を白黒させる。
デイジー「そんな事にも気付かないとは、お間抜けだな。
私としては、遮二無二の本気度が伺えて最高に嬉しいが。
どんな時も冷静沈着で在れ。なあ、ロゼッタ」ニヤッ
ロゼッタ「――――あっ―――――――――――――――――
うっかりしていました、も、申し訳、ございま、せん……」
ロゼッタが、再び向こうを向いてしまう。
まあ、ショックなのは分からなくもない。恥ずかしいよな。
デイジー「いい、構わん。待ってやるから、とっとと降りてこい――」
するとロゼッタが、首だけこちらに向けてきた。
折角復活したのに、地べたならぬ「血べた」に倒れていたせいで、
ところどころ赤くなっている背中、そして顔。
667
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:29:40 ID:cwPyF3J.
だが、その顔は――――
ロゼッタ「うっかり、伝えそびれていました。
――――私の残機…確かにさっき、『0』になりましたよ?」フフッ
――――身の毛もよだつほどの、「してやったり」の顔だった。
668
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:32:19 ID:cwPyF3J.
頭が一気に冷たくなる。
残機が、尽きた?いつ?そんな馬鹿な。
…いや。今は、それは後回しにしなければおかしい。
得てして、作戦のネタ晴らしをするタイミングというのは。
ひとつ。調子に乗った、傲慢になった者が口を滑らせる場合。
そうでなければ、もうひとつ…相手に知られても最早ひっくり返ることのない状態を
己の手の内に呼び込んだ後の、勝利の余韻の場合なのだから。
だが、そうは言っても…後ろに控えているのは、生気を失った、戦力には程遠いヒルダのみで―――
669
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:45:04 ID:cwPyF3J.
後ろを、振り返り、始めた。
ロゼッタ(デイジー姫。あなたの敗因は、大きく分けて…えーっと、4つ、ですか。割とありますね。
どれか一つでも気付けていれば、私たちの負けでした。
ひとつは、『相互演算』がその言葉通り、『私が2人のチカラを借り受けることもできる』という
事実を知らなかったこと。…まあ、言っていませんしね。
ゼルダ姫に手伝ってもらって、私の処理限界をAランクにまで上げました)
ヒルダ「――――――――――」
出鱈目に立ち上っていた砂の柱が、視界に入ってくる。
その中に、不自然に崩れている柱が、ある。
多分、横からの衝撃で、崩されたのだろう。そう、思えた。
670
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:50:21 ID:cwPyF3J.
もうすこし、振り返っていた。
ロゼッタ(2つ目としては、私の無茶振り、思い切り。
ゲイルアタックの時にもありましたが…直後に残機減らすこと覚悟なら、
HPをゴッソリバッサリ削って、さらに処理限界を一段階上げられます。
…もちろん、こんどは生命力を削らないように細心の注意を払いましたけどねっ!
ゼルダ姫やヒルダ姫にも確認していただきました!それはもちろんっ!
というわけで…一回こっきりですが、Sランクの魔法が使える状態にまでなっていたんですよね)
ヒルダ「――――Tri――」
同じような柱が、更に、2本。全部で、3本。
意味は分からないが、あんなことができる魔法、あっただろうか。それも、音もなく。
だが、どうしても胸騒ぎが収まらない。
671
:
Mii
:2020/02/25(火) 20:58:40 ID:cwPyF3J.
更に、振り返っていた。
ロゼッタ(3つ目としては…その…あれです。
Sランクの魔法を繰り出した後、それを最高に活かせる秘密兵器的な魔法を、
実はヒルダ姫が使えるようになったということですね。
ゼルダ姫が『ユガができるならファントム・ユガだってできるはず』とおっしゃっていましたが…
今更になって考えると、説得力があるようなないような…まあ、できたのだからよしとしましょう。
不意打ちとか初見殺しとか思っちゃいけませんよ!)
ヒルダ「―――――――――dent――」
あの魔物が、何かをぶん投げた格好をしている。
ヒルダが、それに合わせて、魔法の力を込めた手を左から右へ振り、何かを発動させようとしている。
私の目前に、何かが飛来する。
――ブーメラン?
回転を続けながら迫るそれは、速さこそあれど重量的には、別に大した脅威などではない、はず。
ただ――なぜかそいつは、私を狙う鮮やかな軌道を描きつつ。
砂の柱に隠していたであろうヘンテコな四角い物を3つ、巻き込んでいた。
672
:
Mii
:2020/02/25(火) 21:22:30 ID:cwPyF3J.
共通しているのは――それぞれの四角の中に。
一風変わった青いドレスで金髪碧眼の女性の絵が、描かれている、らしい、こと――っ!?
ロゼッタ(そして、なによりも、4つ目。その秘密兵器が、来たるべき時に備えて…
『陰でこそこそ光の弓矢を回収していく』のを、しっかり雲隠れさせてしまう程度には――)
それと、しっかり判断できた、のは。
ボンっと白煙を上げて、絵から「彼女」たちが、一斉に飛び出し、目の前に肉薄してから、で。
デイジー(…!?ヒルダ、どうして笑って――)
ロゼッタ(分身1)「――――っ!」ブワッ!
ロゼッタ(分身2)「――――っ!」ゴウッ!
ロゼッタ(分身3)「――――チェック、メイトッ!」バンッ!
ロゼッタ(―――――――ヒルダ姫の『演技』が抜群に冴えていた、ということですよ!)
ヒルダ「――――――――Arrow《三叉光戟(さんさこうげき)》――っ!!!」キラッ!!
私の行動のまえに、3人の右手が、私の腹すぐ手前に、グイッと持ってこられていて。
3人の手の甲には、どういうわけか、どれもこれも光る弓矢の紋章が浮き上がっていて。
1本の血を浴びた赤い弓。2本の白く輝く弓。たちどころに、私の胴へ、突き刺さったの、だった。
673
:
Mii
:2020/03/01(日) 03:54:40 ID:1YedFqgQ
ダアァン!!
デイジー「ふ、ぐっ…!」グラッ
束になった、神々しい3本の光の矢。
放った3人のロゼッタの分身どもは、継続ダメージが祟ったか、ほどなくして消えていく。
ついでに、あのファントム・ユガまでも、役割を全うしたのか消え失せる。
…あの図体の真意は、分身体たちを影にし、取り込んでおくこと、かっ!
本体のロゼッタが回収失敗するのを見せつけつつ、1本1本しっかり回収して…!
能天気な私にも、ようやく事態が呑み込めた。
だが、そんなことは一旦忘れて。
とりあえず、無防備な懐を狙われ吹っ飛ばされ、特大ダメージを受け。
腹部から大量に出血している、この状況を、どうにかしなければ…!
…ほんっ、とうっに!キツイな、これ、はっ!
一瞬背中を付けた、ところ、からは、少しばかり、起き上がれた、がっ!
だが、まだ負けては、いない!
ユガを残す魔力すらなくなったということは、もはや魔法は飛んでこない、はず!
とっとと立ち上がって、HPを失わないうちにヒルダにトドメを――
674
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:00:32 ID:1YedFqgQ
ヒルダ「――」ダダダッ!
低体勢から、ヒルダが――突っ込んでくる?
ヒルダ「ゼルダ姫直伝――――――――」
立ち上がり切っていない私の懐に、脇目も振らず突っ込んでくる。
…こんな攻撃、私に効くはずがない。
ヒルダの基礎体力のモヤシっぷりを馬鹿にしてはいけない。
――それが、「2か月前のヒルダ」であった、なら。
――目の前に決死の覚悟で向かってきているのは、「私に苛め抜かれたヒルダ」なのだ。
――精神ズタボロになりながらも、涙の跡残しながらも、1戦士として向かってくる。
ヒルダ「――――――――――――『疾風』――――っ!!」ズバァン!
基礎体力レベル:Lv25
デイジー「―――――――っ!」グラッ
675
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:04:34 ID:1YedFqgQ
深い手負いの私からすると十分に力強くなってしまっている、切り裂き攻撃。
切り裂きついでというか、ヒルダの自愛しない全力疾走、もといタックルに…
起き上がろうとしていた私の背中が、また再び地面に叩きつけられる。
ヒルダ「ハァッ――!」
仰向けの私の体の上にダイブで乗っかって、汗だくで顔を俯かせて、私以上に満身創痍。
…今の残機としては肉体ダメージはほぼないはずだが…魔力枯渇と精神摩耗が
相当に堪えているらしい。私の攻撃を受け止めることなどできまい。風前の灯火だ。
私としても、まだ負けを認めるわけにはいかない。パンチ1発、当てればいい。
ヒルダ姫がバッと顔を上げたところで、さあ、とっとと起き上がって――
ヒルダ「一番やり込んだゲームはなんですかっ!」クワッ!
デイジー「…!?」
676
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:07:02 ID:1YedFqgQ
――それはもちろん、王道の対戦育成ゲームだろう。
――ゲーム内のプレイ時間表示ですら悉くカンストしている、
――その後のプレイングやリセットで消えて行った時間を含めれば更に…。
――いや、やりこみ度を時間だけで議論するのは早計というもの。
――アイテムコンプや低レベル縛りを引っ提げて挑むRPG系。
――全弾必中、全撃墜を目標に飛翔し続けたシューティング系。
――的確なライン取りでミリ秒を競い続けるレース系。
――1フレームの狭間に涙し、研鑽に邁進した格闘系。
――慣れぬ知恵熱を覚悟して、理論構築したパズル・シミュレーション系。
――スローライフ系も味があって長続きするし、
――クイズ系は出題問題を粗方頭に叩き込んだうえでボタンがお釈迦になるまで先読み早押しに励んだし、
――クリエイト系は不定期に閃いた時に怒涛の時間と気力を注ぎ込める。
――どんなゲームもやり込んできた、一概にいちジャンルを決めることは困難。
――ましてや、ひとつのソフトに絞り込むことなど……
677
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:09:33 ID:1YedFqgQ
ヒルダ「…あのー。それって、そんなに悩むことなんですか?よくわかりません。
こんな奇策が効くなんて、聴いた時には半信半疑だったんですが」
デイジー「何を言ってる、お前が問いかけてk――――」
ぴしり。何かが固まった音がした。
ロゼッタ「――――――――デイジー姫」
目を見開いて、後ろを見やる。え、ちょっと、待ってほしい。
ロゼッタ「―――――――とっくに、3秒経ってます」Vサイン
デイジー「」
ゼルダ「――――――――はあぁぁぁぁ……」
678
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:12:38 ID:1YedFqgQ
〜キノコ城 城下町〜
ブラックピット「…………通算、4人中の2位以上が2割ってとこか…チッ。
この俺がこの成績とは、腹立たしいことこのうえないな…
このままで終わりたくはないぜ…」イライラ
賑やかな夜の街を、俺はブツブツ、苛立ちながら歩いている。
あのバカは、
「ハハハ、こんなもんでしょ、お互い。
そもそも、『真実の魔鏡から生まれた=初期ステを僕と対等のところまで優遇』っていう温情の奇跡がなかったら、
このスレ内でのブラピさんは2位以上なんて1割…いや『1分』切っても全くおかしくないんだよー?
ま、僕は飛翔能力で負けてる分、通常戦闘力をブラピよりちょっと高く設定されてるらしいから、
僅かながら僕のほうが勝率いいですけれどねフッフーン!」
などと、訳の分からない供述をしていたが。
…ああ、ムシャクシャする。酒でも一杯ひっかけたい気分だ。
ブラックピット「…そういえば、選手カードを提示することで安く酒が飲める店、
割とあるみたいだな…」
所持金は決して多くないが…パンフレット片手に、少し当たってみるか。
居酒屋というよりは、洒落た店がいい。
679
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:15:22 ID:1YedFqgQ
あれこれ歩いて選んで、ようやく納得のいくバーを探り当てた。
ああ、クールな俺にふさわしいアンティーク調に整えられた内観だ。
インテリアもグラスも、中々のものじゃないか。
会釈を受けながら、カウンターに座った。さあ、お手並み拝見だ。
マスター「いらっしゃい。お客さん、当店は初めてかい?」
ブラックピット「ああ。アルコール強め…いや、明日を考えて弱めで。
軽くほろ酔いできるくらいの、甘ったるくないカクテルを頼む。
…店の雰囲気の割に、割とフランクな接客なんだな」
マスター「そりゃあね。この時期、たっくさん観光客が来るでしょう?
どうやってその人たちを呼び込むかって言ったら…」
ブラックピット「…なるほど、気兼ねなく入って貰える、
プライドを感じさせない店の方が繁盛するってわけか」
マスター「これはお厳しい。ですが、どんちゃん騒ぎで周囲に迷惑…とかでなければ、
この店は誰でもウエルカムですよ。それに、腕に自信はありますよ」ハハハ
周りを見渡せば、テーブル席には家族連れまで割といる。
子供が、新鮮なジュースを飲んで満面の笑顔になっている。
…間違えて酒とか飲ますなよ?まあ、無用な心配か。
子供も行儀よく、大声で騒いだりしない。しつけが行き届いているな。
680
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:19:01 ID:1YedFqgQ
マスター「あ、今の時間帯、ラジオ放送を流しているんです。
スマブラ開催期間限定の放送をやっておりまして。
『意味は分からないが面白い』と皆さんから好評なんですよ。
…カウンター席は音量が大きいですが、気になりませんかね?」
ブラックピット「本当にバーらしくないな。まあ、構わないぞ?この位の音量なら」
そう言えば、さっきから…心躍るようなBGMが流れていて、皆聴き入っている。
リスナーリクエストの音楽でも掛かっているのだろう。
それにしても…意味が分からないが面白い?どういうことだ?
この王国に集う者たちの思考はよくわからん。
マスターが出来上がったカクテルを持ってきた。
ほう、俺に合わせて、黒を基調とした色にしてくれたのか。
中々サービスがいいじゃないか。
ざっくりとカクテルの説明を受けて、知識はそれほどないが相槌を打って。
一口飲んで…これは、いける。ニヤニヤしているマスターには悔しいが…いい腕だ。
店選びに成功していたことに満足して、さらにもう一口――――
681
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:22:24 ID:1YedFqgQ
パルテナ「はいっ!新・光神話 パルテナの鏡より、『星賊船』をお送りしましたー!
やっぱりいい曲ですねー!」
ピット「ですねー!」
ブラックピット「ブッフゥ――――ッ!?」
マスター「お客さん!?」
子供「うわ、マナーの欠片も無い人だなあ」ヒソヒソ
親「ホントにね。あんな人になっちゃいけませんよ?」ヒソヒソ
子供「はーい!」ヒソヒソ
682
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:26:08 ID:1YedFqgQ
周囲の注目浴びる中、マスターに謝罪して布巾を借りつつ、噴き出したカクテルを拭く。
…あのバカはともかく、何やってるんだ…!?あのバカはともかくっ!?
パルテナ「ラジオネーム『しぜんの ちからって すげー!』さん、
リクエストありがとうございました!記念品を贈呈しておきますね!」
ブラックピット(もうひとり馬鹿がいた…!)
パルテナ「さてさて、スマブラ大会も、とっくに折り返し地点を過ぎ…
いよいよ大詰めですね、ピットさん!
優勝目指して止まない者、現状の順位を確固たるものにしようとする者、
誰かを落とし込めようと画策する者…複雑なドラマが化学反応を起こしそう!」
ピット「その通りですね、パルテナさん!どういうわけか僕たち、
街角でスカウトされたのを皮切りに固定枠までもらっちゃいましたけど!
期間限定とはいえ、大抜擢ですよ!最後までやりきってみせましょう!」
パルテナ「さーて、それでは…!
お待ちかね、『パルテナの何でも相談室』のコーナーでーす!
ピットさん、初めて聴く方もいるかもしれないから、
今一度分かりやすく説明してあげてくれませんか?」
ピット「合点承知!このコーナーは、主にこちらのパルテナさんが、ときたま私ピットが!
いろんな人たちの疑問点や悩みに、鋭く際どく回答していくコーナーです!
リスナーはもちろんのこと、ファイターやファイター候補が電撃来訪することもありますよ!」
683
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:30:04 ID:1YedFqgQ
パルテナ「さっそく始めて参りましょう!えっと…
『パルテナさん、ピットさん、こんばんは!毎晩楽しく聴かせてもらってます!
もう、お二人の天界漫才…いえ夫婦漫才がないと生きていられません!』」
ピット「わあ、ありがとうございます!…め、夫婦漫才だなんて、照れるなあ…」テレテレ
パルテナ「……でも、ここだけの話、ピットさんって…見られていないのをいいことに、
放送中に私の胸とかをガン見してくるんですよ?酷いと思いませんか?」
ピット「濡れ衣!?」
パルテナ「それだけではありません…実は私たちの間には、権力・神格、身分的に大きな隔たりがあるのですが…
それをいいことに、私に対して口では言えないほどの破廉恥な命令を――
ああ、私はただ従い耐えるしかありません…ぐずっ…自由が、欲しい…!」
ピット「すっごい逆!百歩譲って起こりうるとしても真逆っ!」
パルテナ「ピットさんが素直に『青春を持て余してすいません』と謝るのなら。
寛大な私の心で、水に流してあげても…構いませんよ?」
ピット「やだなあ、開幕早々マリオのポンプに流されたのはパルテナさんじゃないですかー」ハハハ
パルテナ「うまいっ!座布団1枚差し上げます!…要りますか?」
ピット「わーい!やったー!有難く頂きます!」
パルテナ「喜んでもらってよかったです。
…ふう、今年のクリスマスプレゼントは安上がりで済みました」
ピット「要るかこんなもん!」ポイッ
684
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:33:04 ID:1YedFqgQ
パルテナ「ピットさん、話が逸れてますよ?軌道修正しましょうか」
ピット「誰が逸らしたんですか…あ、す、すいません。平常心、平常心っと。
…はい、リスナーさんの手紙、続けてくださいパルテナさん」
パルテナ「…『ところで以前から思っていたんですけど。人間ミサイルが使えるピットさんって天使じゃ』
――おっと、検閲に引っ掛かっていた手紙を読み上げてしまいました。
これは没ですね、失礼いたしました。次に行きましょう」
ピット「うおおぉーい!!?」
ブラックピット「」
685
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:37:01 ID:1YedFqgQ
ピット「違うんだよ…ポケモンのタマゴグループに『ひとがた』があるのと同じで
あくまで『人間型ミサイル』ってだけなんだよ…きっと…」ブツブツ
パルテナ「落ち込んでいるピットさんは安静にしておいて、次でーす。
『パルテナさん、遅くなりましたが、今回は出場おめでとうございます!』
はい、ありがとうございます!
『ところで、パルテナさんと同じく初参戦のロゼッタさんっていらっしゃいますよね?
それに、前回から引き続き参戦のゼルダさんも!
あと、ゼルダさんのそっくりさんも参戦されているみたいで…。
彼女たちはいつごろ試合に出られるのでしょうか!まだ1戦もされていなくて、気になっているのです』
…うーん。そうですね。こればっかりはなんとも言えませんねー。
まずは閉ざされた空間から出てきてもらわないと…ゲフンゲフン。
『それに加えて、もうひとつ。単刀直入に伺います!
ロゼッタさんは何時頃マリオカートに戻られるのですか?
マリオカートWiiの時の素人ぶり、失望させっぷりから、
否定的な意見を言う人も大勢いるみたいですが、私は出てほしいです!』
――おおう、本当に単刀直入ですね。スマブラに直接関係ないのに」
ピット「…やっと持ち直しましたよ、パルテナさん。…答えにくい、厄介な質問ですね。
いくらこのラジオ番組が、『ファイターたちに情報を伝えようとすると抑止力が働くフシギ仕様』とはいえ」
686
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:43:09 ID:1YedFqgQ
パルテナ「ですよねえ。まず3人…いえ4人が部屋から無事脱出できて、私たちと合流。
タブーと大がかりな攻防戦、大乱闘。大会の残り消化に、しっかりオチまで用意して――」
ピット「うーん、どう考えても、それだけでこのスレの残りを全部使っちゃいますよねー。
いやむしろ、このスレだけで終わらせられたら御の字なのかな…?
>>650
さんみたいに、もっと多くのファイターのことを描いて、
マンネリ化を防いでくれ!と忠告してくれる人だっているっていうのに…。
で、できるだけ頑張ります!収拾がつく程度に、風呂敷を拡げ過ぎない程度に!」アワワ
パルテナ「だいたい、スマブラ編が終わったら終わったらで、
3Dワールド編もようやく中盤に入ったところですし…。
まあ、あっちの方はステージを飛ばしていけば割と速いですけどね」
ピット「それでも、それなりに時間は食いそうですねぇ」
パルテナ「次のスレには『ルキナ救済編』が数百レス分、待っていますしねぇ…
まあ、今言えるのはこの位ですね、次に参りましょうー」
ピット「うーん…いろいろと難しいなあ…次はどんな――――
…………あれ?今、サラッと爆弾発言が聴こえたぞ?」
パルテナ「…むしろそちらの話ばかり構想・構成が捗ったそうです」
ピット「本編書けよコノヤロウ!いや、それも一応将来的には本編になるんだろうけどっ!?」
ブラックピット「」
687
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:48:22 ID:1YedFqgQ
パルテナ「気を取り直しましてー。
『こんにちは!いきなりですが、無知な私に教えてください、女神様!
魔力回路と魔術回路と魔法回路って、何が違うんですか!?
細かい定義が知りたくて、気になり過ぎて、1日8時間しか眠れません!』
まあまあ、それはお可哀想に」
ピット「不眠症ですね。鬱に繋がることもあるので、2週間続くようならお近くの病院へ!」
パルテナ「ああ、それで。この3つの言葉の意味の違いですが…。
FPや魔力の通り道となっているのが『魔力回路』。
術式を発動させるためのラインが『魔術回路』。
これら2つを並走あるいは合流させ、魔法の形として取り出す機構全体が『魔法回路』。
水道に喩えると、魔力回路に水を流し、魔術回路に電気やガスを流し、
魔法回路として最終的に熱湯を取り出す……。
おなじ『魔法が使えなくなった』という症状でも、
どこにトラブルが発生したかで、緊急性や治療法がまるで変わってくる――」
ピット「うおぉ…な、なんだか真面目っぽいぞ…!」
パルテナ「――――っていうのはどうでしょう!」ドーン!
ピット「分かってましたよ!唯のブレ表記、統一してなかっただけですよねっ!」
パルテナ「なし崩しでやってきていましたが…今後は統一させます…」ショボン
688
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:52:04 ID:1YedFqgQ
ピット「…あ!だったら、お姫様方の『姫』の有無も表記ブレですね!リンクの台詞が気になってました!
ゼルダのことは『ゼルダ姫』なのに、ヒルダのことは『ヒルダ』なのはおかしいと思ってたんですよ!」
パルテナ「いえ、それは仕様です」
ピット「…え?」
パルテナ「実際には打ち間違いでブレ表記は有ったりするのですが、基本的なスタンスとしては――
ロゼッタ→お姫様方
生粋の腰の低さから、感情が高ぶって『敢えて』呼ばないかぎり『姫』付き。
キノピオ→ピーチ
意志としては常に『姫』付き。選手紹介などで逆にピーチから説教されることも。
ルフレなど→お姫様方
新参者の礼儀として、『姫』付き。
同様に、知り合って間もない関係の段階では『姫』付き。
ゼルダ←→ヒルダ
ゲームに準じて、互いに『姫』付き。(付けない場面もちょっとある)
リンク→ゼルダ
『幼馴染関係で既に名前呼び』の伝説の中を除き、『姫』付き。
それ以外のケース
『姫』は付けないことが多い。
…こんな感じみたいですねー」
689
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:54:55 ID:1YedFqgQ
ピット「…あの、パルテナさん。
リンクが、『ゼルダ姫』および『ヒルダ』って区別して呼ぶ理由が、
……………………ま、まだ分からないんですけど。分かりたく、ないんですけど」
パルテナ「断っておきますと、スレ主はゼルダというキャラはもちろん好きですよ?
ただ、このスレにおいてはイベントにあまりにも恵まれないせいで、
ゼルダに対するリンクの好感度がヒルダ以上に低――」
ピット「わああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!」
ブツッ……。
スタッフ「放送が乱れております。しばらくお待ちください」
ブラックピット「」
690
:
Mii
:2020/03/01(日) 04:59:09 ID:1YedFqgQ
ブラックピット「…マス、ター。カクテル、オイシカッタ。
…………勘定ヲ、タノム」ワナワナ
マスター「…ど、どうしましたか?急に顔色が…。
申し訳ありません、あまりおもてなしできず。
それにしても、いやあ、この破天荒な放送、癖になりませんか?
意味はあんまり分からないんですが、不思議と笑顔になるんですよ。
…おや?そういえば、今更で申し訳ありませんが、
お客さんってもしかして、ブラックピットさんじゃ――」
ブラックピット「俺はあんな奴らの同類なんかじゃなあああああぁぁぁ―――い!!」ダダダダダッ!!
マスター「」
客「」
691
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/03/01(日) 12:53:07 ID:dSa8PcWY
草
692
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:31:42 ID:vEDS9nbc
〜閉ざされたフィールド〜
とく、とく、とく。
4本のグラスに、桃色のアルコールが、静かに静かに注がれていく。
1本目。20mlくらい。
2本目。40mlくらい。
3本目。60mlくらい。
そして、4本目――――
「…………な、な、なななな――――」ブルブル
震える声が、聞こえてきます。
693
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:34:57 ID:vEDS9nbc
デイジー「まあ、しゃーない。一番の功労賞は間違いなくヒルダだし。
お酒強いからしっかり堪能してもらえそうだし。…くっ、無意識に私の腕が拒絶するけど。
…それにしても、私が飲んじゃって、いいの?
一応、契約上は…所有権は3人に譲ったはずなんだけど」トクトク
ゼルダ「羨ましい(まあ、そうですよね。当然の帰結です)。
…あ、デイジーもぜひご賞味ください、一人だけ除け者になど出来ません」ギリッ
ロゼッタ「ゼルダ姫、本音と逆です逆」
デイジー「――ありがとうね。そのかわり、一番少ないのでいいや。
んー、3回に分けて飲み切るとしたら、こんなもんかな」
――――ざっと、150mlくらい。
ヒルダ「――――――――なーーーーーーーーーーーーーっ!?」
694
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:36:23 ID:vEDS9nbc
デイジー「いやいや、驚きすぎですよヒルダさん。
みんなが良いって言ってるんだから、気が変わらないうちに頂いとこうよ。
飲みたいと思った時が、お酒を飲むタイミングだよー?」
ヒルダ「おおおおおおお驚くに決まってるじゃないですか!?
これだけで、ロウラル王国の年間予算、超えかねませんよね!?
ななな、何か裏でも、あるのですかっ!?
一生分の運を使い果たしそうなのですがっ!?
――――わ、私が頂いて、よろしいのですかっ!?」
ゼルダ「――――まあ、支障なしですね」フッ
デイジー「残機一つ分の運かー。大したことないじゃん」
ヒルダ「そういう意味じゃありませんっ!」
ロゼッタ「…と、ところで、私(40ml)とゼルダ姫(60ml)の差はなんですか?」
デイジー「私の気分」
ロゼッタ「酷いっ!?」
695
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:40:01 ID:vEDS9nbc
〜回想〜
デイジー「ふっ……………………頑張ったな、ヒルダ」スッ・・・
ヒルダ「――――あ」
デイジー「…………本当に、よく、頑張った。
師として――いや。親友、として。嬉しい、んだと思う。
――あー。あまり『今の状態』だと勝手が分からない、が。
…こんな、感じで――いいだろう、か」ナデナデ
ヒルダ「――――――――――――――――っ!――――――――っ!!」ガバッ
デイジー「おいおい、抱き着くな。今度は、嘘泣きではないと、信じたいものだが」
ヒルダ「――――ぐずっ…あたり、まえじゃ、ないです、かぁ……………っ!!
やく、そく。おぼえてて、くれたんですね。
うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――」ポロポロ
ゼルダ「――――いい、話ですね……涙腺が、ゆるみ、ます――――」グズッ・・・
ロゼッタ「絶賛踏みつけられ中でなければ、私もそう思えたんですが――っ!?」グチャッ
696
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:42:06 ID:vEDS9nbc
デイジー「何か言ったか?」ミシィィッ!
ロゼッタ「があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!?…ゲホッ!?
折れまじだ!今確実に肋骨が何本か逝ぎまじだっ!?
普通に血も吐いでるんでずげどぉ!
…しかも中途半端に止めないで!いっそ殺してくださいよ!」ドクドク
デイジー「知らん。好きなだけ海老反りしとけ」ダンッ!!
ロゼッタ「」ジタバタ
ロゼッタ「」ジタ・・・バタ・・・
ロゼッタ「」・・・・・・・・
ロゼッタ「り、ふ…じ…ん――」チーン
697
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:45:07 ID:vEDS9nbc
ロゼッタ「…生かさず殺さずの状態で何十分も、さっきは酷い状態でした――
精神が病んだらどうしてくれるのですか――」
デイジー「…え?あの程度で――」
ゼルダ「ロゼッタが――病む?」
ヒルダ「そんなことが有り得るのですか?」
ロゼッタ「…………………………………それにしても、さっきは酷い状態でした――
精神が病んだらどうしてくれるのですか――」
デイジー「拗ねて繰り返しちゃったよ」
ゼルダ「……」
ヒルダ「……」
扱いが凄く雑になっています!心外ですっ!
デイジー「あ、あは、あはは。ごめん、ごめん。なんか、ロゼッタの図太さを信じ切ってる感じ?
心臓に毛が生えてそうっていうか」
……その心臓、拳やら弓矢やら足やら、色んなものに貫かれてるんですが…。
そういえば、以前に自分でナイフを突き刺したこともありましたっけ…。
頑張ってください、心臓さん。私、まだまだ生き永らえたいので。
全力で応援させていただきます。扱いはすこぶる悪いですが。
698
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:49:39 ID:vEDS9nbc
デイジー「じゃあ…皆の勝利を祝して――かんぱーい!」
お疲れ様です、私含めて。
皆、思い思いに、これまでを振り返りながら――飲んで、語って、飲んで、食べる。
デイジー「序盤からロゼッタの調子がどうにもぎこちなかったのは、
初期の初期に大分無茶をしていたことの副作用だったんだね。
そのあたりを気付いておけば、負けなかったかもしれないのに…。
くそぅ、私もまだまだ状況判断がぬるいなあ。
それを含めて、作戦の根幹はロゼッタが割と噛んでたっぽいね」
ロゼッタ「まあ、その通りですね。最後の騙しは万が一の場合に備えてのとっておきでした。
一緒に過ごしている間に、デイジー姫のゲーマー魂が黙っていないと思いましてですね――」
デイジー「むぐぅ、言い返せない。だからって、あんな作戦立てるなんて…むぐぐ……」
ヒルダ「……ああ、お酒は美味しいし、無事に強くなれましたし、
ここまでやってきた甲斐が…ありました。
…この強さ、絶対に無駄なんかにはなりません」ホワホワ
デイジー「――――殊勝なことだね。ヒルダが笑ってくれてると、
私としても――間違ってなかったんだって、思えるよ」シミジミ
699
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:52:12 ID:vEDS9nbc
ゼルダ「…私も、見識が暗く狭かった、と痛感しています。
…今の私なら、リンクに呆れられることも…きっとないでしょうか。
ハイラルでも、なにか、皆で切磋琢磨できることを考案していきたい」
デイジー「ゼルダはゼルダで、いいところは一杯あると思うよ?
あんまり私に感化されて、舵を切り過ぎることはないさ。
気になったところから、ちょびっとずつ変えて行ったらいいんじゃない?
キノコ王国とハイラル王国じゃ、勝手も色々違うだろうし」
ゼルダ「ふふっ…参考にしておきます」
デイジー「それにしても、みんながここまで成長しているなんて――
…まあ、冷静にれいせーいに振り返ってみると、
『初見殺しのオンパレードで事故っただけなんじゃ…』とも愚痴を零したくはなるけど」
ロゼッタ「え、得てして強敵に打ち勝つ時というのはそういうものですよ」
デイジー「…その強敵が、ストーリー的に1回倒せば舞台から退く悪役なら、
それでもいい…というか、それを狙ってしかるべきだけど。
今後も私の特訓を受けて、勝負して、いつか勝ってやろう…って思うなら、
お互い知ってる手の内の範囲でポイントを主張していかないと、ね?」
それは強者だからこその主張、考え方ではないでしょうか…。
なかなか、そこまでは強気な姿勢では望めません。スペックオーバーもいいところです。
700
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:56:56 ID:vEDS9nbc
ゼルダ姫が、目をぱちくり。
ゼルダ「……大会が終わっても、特訓、していただけるのですか?」
デイジー「…どうしたの、急に。ま、私もみんなも、暇な時ならね。
スマブラ会場までご足労は願うけど。残機が無いと流石に不慮の事故が怖い」
ゼルダ「……そうですね。では、時々、お願いしましょうか。
とりあえず――吐き気を催さなくなるくらいになるまでは」
その願いに、デイジー姫は、面倒そうな顔をしながらも、とてもうれしそう。
ひとつ、また認められた証拠でもあるのですよね、デイジー姫にとって。
デイジー「ははは、いい意気込み。でも、果たしてゼルダにできるかなー?」
ロゼッタ「大丈夫ですよ、ゼルダ姫なら!私でも出来たのですから!」
ヒルダ「…結局、ロゼッタのその精神力はどのように培われたのでしょうか…?」
ゼルダ「ああ、それは私も気になっていました。純粋な戦闘力では私の方が高いのに」
ロゼッタ「どのように、と申しましても…」
ロゼッタ「…………」ポワン ポワン
701
:
Mii
:2020/03/07(土) 23:59:47 ID:vEDS9nbc
〜回想〜
ピーチ「崖に突き落とす!マグマにダイブしなさい!ドッスンに潰されなさーい!」ドスッ
ワリオ「頭が吹っ飛ばなかっただけマシと思えよー」
マスター オブ ギャラクシー「空中散歩しようぜ!お前、残機1な!」
ディメーン「嫌だなあ、僕は刺してませんよ?彼女が勝手にトチ狂って自身を刺したんです」
ファイナル! チャンピオンシップロード「宇宙散策しようぜ!とりあえず1107回くたばれ!」
スーパーベルの丘「タイムアップの笛吹くの飽きたんですけど」
パックン「マミった?マミった?」
水「3D出身者は軟弱だのう」
プンプン「手裏剣投げたところに額がちょうどあるのよ」
デイジー「死ぬ気で覚えろ。さもなくば死ね」
・
・
・
ロゼッタ「……………………ハッ」トオイメ
デイジー「!!?」ゾクッ
702
:
Mii
:2020/03/08(日) 00:03:02 ID:VE7VmNe6
ロゼッタ「むしゃくしゃしてきました。
もっと食べましょう。食べて元気を付けましょう」パクパク
チコ「ボクもー」
チコ「ボクもー」
チコ「食べる―!」
デイジー「しょ、食欲旺盛だねぇ。いいことだよ、うん」
ヒルダ「うわぁ…ロゼッタったらよく食べますね。私たちはまだまだ吐き気のせいで
及び腰になっているというのに。ねえ、ゼルダ姫」チラッ
ゼルダ「………………………………」
ゼルダ(お酒がなくなってしまいました…もっと欲しいです…)
ヒルダ「…………駄目な人です」ジトー
703
:
Mii
:2020/03/08(日) 00:07:54 ID:VE7VmNe6
〜キノコ城 城下町〜
ブラックピット「…………スゥー、ハァー。…………スゥー、ハァー。
……………………よし、深呼吸終わり。今度こそ、まともに酒を飲むぞ――――」
俺はまた、大会参加帰りに、あのバーにやってきた。
他の飲み処に移ることもチラッと考えたが、やはり、あの味は捨てがたい。
価格テーブル的にも、選択肢は有ってないようなものだ。
ブラックピット「前回は飲み残して逃げ去る恥を晒したからな…!
リベンジ、してやる、からな――――!」
そう…これは、リベンジだ。
リベンジであるから、忌々しいあのラジオ放送の時間帯からずらして来店、
なんてことは一切検討しない。まるで負けを恐れているようじゃないか。
俺があのバカに屈するだと!そんなこと、あってはならない。
正々堂々――正面から打ち破ってみせる。
――ここまで仰々しく考える時点で、若干負けている気がしなくもない。
――ええい、余計なことを考えるなっ!
悠々と席について、カクテルを2、3注文して味わって、マスターと歓談して…
あくまで優雅に、クールに、その場を後にするのだ。
多少は料理も出せるらしいからな。それ味わってみるのもいいだろう。
あのマスターのことだ、格別な味わいを繰り出してくるに違いない。
ピット「ブラピさーん、一級フラグ建築士の資格に応募してみなよ」
…なんだか幻聴が聴こえた。
704
:
Mii
:2020/03/08(日) 00:14:05 ID:VE7VmNe6
さあ、扉の前で最後の深呼吸をして――
カランカラン、というベルとともに、いざ、参る!
マスター「あ、ぶ、ブラックピットさん!?
え、えっと。前回は、どうもすいませんでした」
ブラックピット「畏まるな、悪いのは勝手に自爆して逃げた俺だ。
さっそくだが、1杯目に前回と同じ奴を頼む。これで仕切り直したい」
マスター「あ、はい!すぐお作りしますね!レシピはバッチリですよ」タタタッ
…う、うん。あまりつっつかれても気が滅入るだけの話だ。
深く聞かず、なかったことにしてくれると一番ありがたい。
さあ、同じようにカウンターに座ろう。 逃 げ ち ゃ 駄 目 だ。
ちらほら、前回に見かけた顔の奴らがいて…
こちらを指差しつつヒソヒソ話しているが。今は無視だ、無視。
今日こそは俺の完璧な飲み方を目の当たりにして、平伏すがいい。
おっと、今日は…BGMではなく、歌が流れているようだ。
やはり、前回同様に皆が聴き入っている。
…これは。いわゆる、アニソンというやつか。
705
:
Mii
:2020/03/08(日) 00:18:24 ID:VE7VmNe6
抱き締めた命のかたち――
その夢に目覚めたとき――
――――ああ、この…曲は。
――――アニソンに疎い俺でも知っている、有名な歌だ。
――――アニメ業界に革命をもたらした作品の、オープニングじゃないか。
――――これは、聴き入ってしまうのも納得だ。
俺も、思わず耳を傾ける。
誰よりも光を放つ――
少年よ、神話になれ――
……いい曲だ。だが、ちょっと待て。
この声。なんだか、違和感があるというか、なんというか…
というより、どこかで聞いた…いや、つい最近耳にした声色のような…?
706
:
Mii
:2020/03/08(日) 00:22:30 ID:VE7VmNe6
パルテナ「ピットはハートを貢ぎながら ホンキ度決める――
女神なのに憑かれたまま 私は生きるぅぅぅぅ――――――――!!」
ブラックピット「…………!?」
パルテナ「残酷な天使のブラピ 魔鏡からやがて飛び立つ――
ネタ走る熱いハデスで エンディングをう・ら・ぎ・る・なぁらぁ――!
この宇宙を抱いて輝く 少年よ、(光)神話になぁれぇぇ――――――――っ!」
客「うおおおおおおおぉぉぉぉ――――!!!」
客「パルテナさん、かっけぇ――――――――――――――――!!
ラジオパーソナリティだけじゃなくて声優や歌手まで兼ねてるなんて!」
客「むしろそっちの方が本業だったりしてな!」
客「あはは、本業は女神だろー!」
ブラックピット「」
707
:
Mii
:2020/03/08(日) 00:26:08 ID:VE7VmNe6
パルテナ「ふぅ、歌い切りましたー!」
ピット「以上、ラジオネーム『カイロスマッギョ』さんのリクエストで、パルテナさんの熱唱による
『残酷な天使のブラピ【新世紀 光神話・パルテナの鏡(概)】』でした――!
最後の少年って私のことですよね、かっこいい歌詞だなあ!」
マスター「みなさーん、お静かに頼みますよー」
客「「「はーい、すいませんでしたー!!!」」」ペコリ
ブラックピット「」
ブラックピット(勝手に人の名前使うなとか。
客のヤツらは前回俺を散々睨んでおいてこの騒ぎようか、とか…。
ツッコミどころもいろいろあるが……
まだ口に酒を含んでなくて、ほんっとうに良かったぜ…!!)ブルブル
708
:
Mii
:2020/03/08(日) 00:30:30 ID:VE7VmNe6
パルテナ「ふう、ちょっと化粧直ししてきますね」タタタ
ピット「わかりました!しばし、この私に任せてくださいパルテナさん!
――さて、それではお待ちかね、『パルテナの何でも相談室』のコーナーです!
パルテナさんいなくなっちゃいましたけど!
本日は、なんと!ファイターの1人にお越しいただきました!
今のうちに紹介しておきましょう!
はるかぜとともにプププランドへやってきた旅の若者、
何でも吸い込む食いしん坊、コピー&ペースト…じゃなかった、コピー&変身!
ピンクの悪魔こと、カービィさんです!どうぞ!」
カービィ「ハーイ!」
ピット「…とまあ、紹介はしたものの。
今のままじゃ、さすがにお話を聞くもなにも、あったもんじゃないよねー。
パルテナさんが戻ってきたら『翻訳の奇跡』を掛けてくれるから、
ちょっとお菓子でも食べておいてね」
カービィ「――――ハーイ!」ギュルルルル ゴックン
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