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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」
1
:
Mii
:2019/03/31(日) 10:37:38 ID:iLEqj1bw
このスレは
ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」
を前スレとする続編となります。
前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
遅い進行のスレですが引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。
パルテナ「そのほか、いくつか注意点があります。
・スレ主のスマブラfor経験は、CPU(Lv.9)とのタイマンで
勝ち越せない程度の実力しかありません。
戦闘描写に過度な期待をすると酷いことになります。
むしろ、『うわあ、この描写ニワカだな』と粗探しするくらいの気持ちで
読むようにしてください(最重要)。
・前スレ同様、いろいろとパロデイ、メタ発言が散りばめられています。
キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義は
白ける方もいらっしゃると思います。そんな時は…
別のスレに移って、このスレのことは忘れましょう。
パルテナお姉さんとのお約束ですよ♪うふふふふ」
540
:
Mii
:2020/02/02(日) 00:21:38 ID:PXhC6pdY
痛みを覚悟する、一瞬。その直後。
ズゴゴゴゴゴゴッ…!
デイジー「…何っ」
ヒルダ「…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!」
半ば、自分目掛けて撃ち抜く感じ、でっ!
一気に、何、メートルも、大きく自身、を、持ち上げますっ!
痛い、痛い、痛いっ!
背中を強く、あまりにも強く打ちのめす自爆行為。
肋骨が折れていますよと指摘されても納得してしまう痛みです。
涙目になりながら、砂の柱のてっぺんで激しく呼吸しながら。仰向けに転がります。
砂の柱は、じきに崩れる、あるいは崩されます。
でも、この行動は、決して、無駄じゃない。
ほら、今度こそ、砂の柱に意図せず突っ込んでしまって――
ざっと5秒…いえ10秒、時間を稼げました。
何もしなかったときに比べ、最低でも10秒ぶん。
――考える力を。戦う力を。経験値をかせげたということです。
この激しい痛みだって、即死に比べればよほどマシ、万々歳というものです。
541
:
Mii
:2020/02/02(日) 00:24:37 ID:PXhC6pdY
ヒルダ「…そもそも、砂が崩れるまでのほほんと待ってくださるとも…
限りません、よ、ねえっ!」
一刻も早く、体勢を、整えなければ。
節々が痛む体を叱咤激励しつつ、砂の上で起き上がり、周囲の警戒を怠らずっ!
休む間もなく、ファントム・ユガに構えさせる装備を考えます。
私の大切な従者、ラヴィオによって集められた、数々の装備。
もともとはリンクに使ってもらう予定のレンタル品だったとのことでしたが、
リンクが「あんな感じ」なので、まるで使われることはなく。
そのままラヴィオに勧められるまま、私が預かることとなり。
僭越ながら勝手に使い手となってしまって、熟練度を軒並み上げた結果
ファントム・ユガの手にも具現化させるに成功、偉そうに使わせるに至っています。
誰とも知れない本来の使い手さん、本当に申し訳ありません。
フックショットで、足場から足場へ逃げていくか。
…まあ、逃げられるのは図体の大きなあの魔物だけなんですが。却下です。
速度だけなら、やはり弓矢を放たせるか。
自爆覚悟で、バクダンか。
…光の弓矢なんて特別製の代物は、ゼルダ姫か…リンクくらいしか扱えないんです。
私としては持っていない以前に流石に実力不足です。魔法回路が焼き切れます。
542
:
Mii
:2020/02/02(日) 00:28:04 ID:PXhC6pdY
ヒルダ「ハァッ…ハァッ…」
とりあえず威力重視でバクダンを持たせることにして、術式書換え、切換え。
次第に砂の柱がひしゃげていって…。
デイジー「……おお、頑張った頑張った、その調子」
ファントム・ユガ「GARUUUUUUUUU・・・・・」
ヒルダ「よゆう、しゃくしゃく、ですね……バクダン、連続投擲っ!!」サッ
ファントム・ユガ「DADADADADA!」ポポポポポポイッ
デイジー「…別に、猪突猛進だけが能では、ないぞ?…見るがいい」フフッ
5個、10個と、揺らめくバクダンを投げつける。
爆風が辺りに吹き荒れますが、それでもデイジー姫はひらりひらりとかわしていく。
エレガントに、それでいてアクロバティックに。まるで炎の舞を踊っているよう。
激情を醸し出しながらも、「表のデイジー」の片鱗が垣間見えます。
543
:
Mii
:2020/02/02(日) 00:29:58 ID:PXhC6pdY
がくん。
ヒルダ「――ご、ふ」
魔力を急激に召喚獣に持って行かれ、立ち眩みと小さい嘔吐。
デイジー「いいのか?碌に効かないまま、どんどんFPを消耗するぞ?」
対峙する相手は、そう言ってほくそ笑みますが。
ヒルダ「…いい、んです!
FP…いえ魔力で数々の装備を繰り出せるのが、私の…私だけの、持ち味!
それを1秒でも伸ばし育てるのが、私の使命、そうでしょう!?」
デイジー「…その意気や、よし。
もっと踊れ、いや踊らせてやろうじゃないか。
足掻いたうえで、絶望にぶち当たらないことを精々願っておくことだな」
ヒルダ「…………あたり、まえ、ですっ!
今の私が目指して止まないものは――期待と希望、だけですからっ!」
口を拭って――まだまだ、足掻いてみせますっ!
544
:
Mii
:2020/02/02(日) 00:33:12 ID:PXhC6pdY
ゼルダ「…本当に、凄いですね」
ロゼッタ「ええ。本当の、本当に――2人とも、凄い、です」
ゼルダ「…え?凄いのは、ヒルダ姫だけでしょう?
必死に戦う意志をとうとう己の物として、一気に成長の兆しが――」
…何を言っているんですか?そんなこと、あるわけないじゃないですか。
ゼルダ「…も、もちろんデイジーの強さは凄いと思いますが。
それはもう、これまでで十分…分かりきっていたことでしょう?」
ロゼッタ「……いえ?私、改めて気付きましたよ。
デイジー姫は、もしかしたら――天才なんじゃないかって。
単純な戦闘力なら、今のデイジー姫よりも、マリオ達のほうが更に強いのでしょう。
彼女自身が認めたように。それは真実かもしれません。
でも。『成長促進』の素質というか、才覚については……
世界で一番かもしれないって思った次第です。
恐るべきは、『私たちを鍛え上げることに全精力』という暗示の絶大さ―!」
ゼルダ「…………?」
545
:
Mii
:2020/02/02(日) 00:37:13 ID:PXhC6pdY
ロゼッタ「……ねえ、ゼルダ姫。貴方は、気付いていますか?
私は準備運動中やゼルダ姫とのラリー中にチラ見していたのですが…
ヒルダ姫、残機が減る間隔が――どんどん、どんどん、長くなっています。
それはもう、加速度的に」
ゼルダ「…で、ですから。それは、ヒルダ姫の努力の賜物でしょう?」
ロゼッタ「いくらヒルダ姫が成長芳しいと言っても、デイジー姫からしてみれば
赤子の手を捻るような状態のままですよ。
少なくとも、それだけで何倍も間隔が伸びるなんてことはあり得ません」
ゼルダ「では、手を抜いていると?」
ロゼッタ「…うーん、半分合っているけれど、絶対的に間違っている、と言いますか。
…今日、デイジー姫が鍛えているのは、ヒルダ姫1人です。
以前のように3人を順番に鍛えるのではない…
つまり、長引かせても順番待ちが発生するようなことはありません。
デイジー姫は、そこで――ヒルダ姫が最も成長するようなカリキュラムを、
徹底して実行しているみたいなんです」
ゼルダ「勿体ぶらずに話してください!」
…できれば、自分で気付いた方が、より大きな感銘を受けられると思うのですが。
546
:
Mii
:2020/02/02(日) 00:43:11 ID:PXhC6pdY
ロゼッタ「…デイジー姫の駆け引きを、よく観察してほしいのですが。
あと、ヒルダ姫が絶命する瞬間のデイジー姫の動きも、
ひとつひとつ思い出して頂きたいのですが。
デイジー姫は、ヒルダ姫の成長ぶりを超人的感覚で分析、フィードバックさせながら、
今繰り出されているヒルダ姫の行動に潜む本気度を、限界値を読み取り続けています。
そのうえで、デイジー姫の動き。
……ヒルダ姫が諦めずに実力限界を突破する一手を繰り出したとき『 だ け 』
ぎりぎりのところで減速するように、追撃もしないように制御しているんですよ。
逆に、諦めたり下を向いたりした瞬間、力も速度も倍化して介錯の一撃を繰り出しています」
ゼルダ「……………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………
そ、んな、馬鹿な」ブルブル
ロゼッタ「ところがどうしたことでしょう、本当、みたいです。
つまり、ヒルダ姫は無自覚のうちに――
気を抜くと一層の激昂のもと一瞬でねじ伏せられて絶命するのに、
渾身の動きをすると何故か拍子抜けするくらい怪我をしない、という環境が与えられ。
否応なしにフルスロットルで応対する癖が、構えが身に付き。
…経験値を荒稼ぎしているというわけですね」ニコッ
547
:
Mii
:2020/02/02(日) 00:47:05 ID:PXhC6pdY
ゼルダ「有り得ない!有り得ないです、そんなこと!」
ロゼッタ「私も、何度そう思ったことか」
…これに、どれだけの細心の注意が、必要になることか。想像も尽きません。
デイジー姫本人に問い質したとしても、はぐらかされるでしょうけど。
デイジー姫の尽力もあり、ヒルダ姫は、もう、大丈夫。
頼もしすぎる、レベルアップの音が聞こえてくる気がします。
さあ、2人に勇気を貰ったところで。
ロゼッタ「さあゼルダ姫!
私たちも、休んでいる暇はないみたいですよ!
続きと参りましょう、続きと!」グッ
ゼルダ「…上等です!
私も、まだまだ成長させてもらいますから!
今度こそ、500往復、達成して御覧なさい!」
みんな、まだまだ、強くなれる気がします。
待っていてください、偽物さんたち。
後悔しても、もう遅いというものですよっ!
548
:
Mii
:2020/02/04(火) 01:31:27 ID:ax5KUpRI
〜大会会場〜
掲示板「現在の順位表デス!
1st MARIO
2nd KOOPA -30pts.
3rd LINK -196pts.
4th CHARIZARD -550pts.
5th PIKACHU -620pts.
6th YOSHI -783pts.
7th KIRBY -877pts.
8th LUIGI -1019pts.」デデン!
ピット「…………CHARIZARD?LIZARDON?…あれ?」ミアゲ
パルテナ「まー、このスレ内ではロゼッタも…
ROSETTAではなくてROSALINAで通してきましたし」ミアゲ
ピット「なるほど…ってか、やっぱりキノコ王国勢と初代ポケモン勢、強いなあ…」
マリオ「…うげっ、一時は1000ポイント以上あったリンクとの差が、
あれよあれよと、とうとう200ポイント切ったか…!
残り1か月もないとはいえ、混戦になってきたな…!」
ルイージ「僕が…僕が、暫定8位だよっ、兄さんっ!うおーっ!」バンザーイ!
マリオ「…ビリかあ」ヤレヤレ
ルイージ「上位だよ!?」
549
:
Mii
:2020/02/04(火) 01:37:11 ID:ax5KUpRI
マリオ「…あんまり調子にのってると、またいつもの如く滑り落ちるぞー?
だいたい、ピーチの不調がなけりゃ、ルイージの順位は下がってても
全然おかしくないんだからな?」
キノピオ「姫様、多発する問題にすっかり意気消沈されて…
本調子とは程遠いありさまです、おいたわしや…」ジワァ
ルイージ「うぐぅ…言えてる」
リンク「よし。…よしっ!マリオとクッパに、肉薄肉薄ぅ!
まだまだ苦しいけど、逆転優勝の可能性も十分出てきたぜ!」オーッ
パルテナ「怒涛の追い上げですね…やはり歴戦の勇者の底力は恐ろしい。
私など、フィールドで吐かないようにするので精一杯ですよ…」
ピット「パルテナ様っ!生々しい!すっごく生々しい!ちょっとは見栄を張りましょう!」
ルキナ「お疲れ様です、リンクさん!本当にお強いのですね!」
ルフレ「僕たちの面倒も見て頂きながら…凄いとしか、言いようがないですよ」
リンク「まーねー。…よし、じゃあまた、金庫にネオ・マスターソードとハイリアの盾預けてっと。
特訓しようぜ特訓!ルキナ、ルフレ、鍛錬場にレッツゴーだ!」
ルフレ「休みなしですか…返す言葉もないですよ…。
…はい、もう遠慮はしないことにしました。よろしくお願いします。
ルキナ、せめて僕たちも全力疾走で試合の準備をしに行こう」タタッ
ルキナ「は、はいっ!」タタタッ
550
:
Mii
:2020/02/04(火) 01:42:07 ID:ax5KUpRI
ロゼッタ「お疲れ様です。皆さん、本当にお強いですね。
私なんか、見ているだけでお腹いっぱいで…一体、何時になったら戦えるのやら…。
…せめて、せめて。ゼルダ姫とヒルダ姫が、見つかってくれれば…」
パルテナ「ロゼッタ…………よしよし。元気を出して、くださいな」ナデナデ
ロゼッタ「あっ…………く、くすぐったいです…でも、ありがとうございます」ポワポワ
パルテナ「マリオが言っていたでしょう?きっと2人は大丈夫だって。
ロゼッタは今のところは、問題解決を一旦他の方々にお任せして、
大会を楽しみましょうよ。…酷な言い方かも、しれませんけれどね。
気分転換に、いろいろ見て回るのも、いいかもしれませんよ?
まあ、あんまり人気のない所に行かれると心配ですけど。ロゼッタの場合…」
ロゼッタ「……………………はい」ニコッ
リンク「ロゼッタ、元気出せよー。ロゼッタがしょぼくれてると、きっと戻ってきた2人も悲しむぞー。
2人のことなら、俺やマリオやクッパに任せとけ!ちょっとずつ、あてを探っているところだからさ!」
ロゼッタ「それは、本当によかったです。お願い…致します」ペコリ
マリオ「…………おう、任された!」
クッパ「…………うむ。大船に乗ったつもりでいるのだ!」
551
:
Mii
:2020/02/04(火) 01:50:59 ID:ax5KUpRI
〜キノコ城 城下〜
ワイワイ、ガヤガヤ…。
ロゼッタ「…………」スタスタ
ロゼッタ「…………んー」キョロキョロ
ロゼッタ「気分転換に、いろいろ見て回る、ですか」ボソッ
ロゼッタ「…………」
ロゼッタ「…………既に、色々と、『回って』いるんでけどね」
ロゼッタ「…………」ピタッ
ロゼッタ「なんて、この王国は、平和で、笑顔が溢れて、活気があって――――――――
こんなに、一寸先が闇とも知らず、呑気でいられるんでしょうね?」クスッ
552
:
Mii
:2020/02/04(火) 01:56:18 ID:ax5KUpRI
ロゼッタ「ここ。人通り、多いですねぇ。
――――とぉっても、おあつらえ向き。いいところ、見つけちゃいました」スッ・・・
ロゼッタ「――――――――」パアアアア
トンッ。…スウッ。
ロゼッタ「よし。…………ふふふ」
『―――――――――――塩梅は』
ロゼッタ『――――――――――――――――――――――――
上々ですよ、我が主。
頂いたリモート爆弾、ムラなく満遍なく…
最大限、効果的な殺戮と交通網の遮断を計算して…これで94個目。
一斉に火を噴いたときの、絶叫と絶望が、目に浮かんでくるようです。
そろそろ…派手に、行ってしまいますか?鶴の一声あれば、仰せのままに』ユラァ
553
:
Mii
:2020/02/04(火) 01:59:04 ID:ax5KUpRI
『――――――――いや、まだだ。まだ、足りない。
大会時間全て使って、念には念を入れよ。
だが、あとはお前に任せれば、大丈夫のようだ。良きに計らえ』
ロゼッタ『ああ、勿体ないお言葉です――――――――』
『――――――――その呼ばれ方は、少々詰まらない。
万民が恐れおののくよう、脳裏に刻み込めるよう、
彼奴らの付けた名前を、あえて名乗るのが興があってよいだろう』
ロゼッタ『お戯れを…ですが、承知いたしました。
引き続き、私めになんなりとご命令を――――
偉大なる異次元の支配者、タブー様――――』
ロゼッタ(ゼルダ、ヒルダの誘拐と私の負傷。
芝居を打った甲斐があったというものです。ふ、ふ、ふふふ…!
そろそろ私が疑われそうでしたからね、ざまあない。
この王国、本丸から…血みどろに粉砕しつくして、あげますよ♪)
554
:
Mii
:2020/02/04(火) 02:02:56 ID:ax5KUpRI
ロゼッタ(……ん?あら、いけない)
ポケトレ「……」テクテク
ロゼッタ「…あ、あなたはえっと…ポケモントレーナー、さんでしたか?
こんにちは。今日はお出かけですか?
かくいう私も、元気のないところをパルテナさんに勧められて…
こうして目的もなしに出歩いている身なんです」
ポケトレ「…………」
ロゼッタ「…うーん。あの、コミュニケーション、難しいですね。
えっと、ニャースさん、でしたっけ。通訳の方はいらっしゃらないのですか?」
ポケトレ「……」フルフル
ロゼッタ「そうですか…すいません、私の力では、上手く会話ができません。
…お、お邪魔しちゃ悪いので、また今度ということで!失礼いたしますね」
ポケトレ「……」テヲフル
ロゼッタ「気にしないで…ってことですか?ふふ、ありがとうございます。
それでは、お互い、よい発見がありますように」ニコッ
ポケトレ「……」コクコク
ロゼッタ「…では」スタスタ
ポケトレ「……」バイバーイ
555
:
Mii
:2020/02/04(火) 02:05:49 ID:ax5KUpRI
ポケトレ「……」スタスタ
ポケトレ「……」ピタッ
ポケトレ「……」クルリ
ポケトレ「……」チャキッ
ポケトレ「……………………………………………………………………
……………………………………………………………………
……………………………………………………………………
……………………………………………………………………
……………………………………………………………………
……………………………………………………………………
……………………………………………………………………
……………………………………………………………………」
556
:
Mii
:2020/02/04(火) 02:14:51 ID:ax5KUpRI
おっ!
マシンが はんのう してるぞ!
ちかくに アイテムが うまってる!
ポケトレ「…………」ピコーン!
知り合いに 貰っていた デボンスコープを 装着した!
ポケモントレーナーは ステルス式の リモート爆弾を みつけた!
バッグの ポケットに 仕舞った! これで 80個目だ!▼
ポケトレ「………………………」ヒョイッ スッ・・・
ポケトレ「………………………」ヨイショ
ポケトレ「………………………」ストーカー ゾッコウ
ポケトレ「………………………」キラーン
557
:
Mii
:2020/02/08(土) 03:40:32 ID:uMdP2yZs
ピロリン!
マリオ「お、メールだ!…頑張ってくれてるな!
かたじけないが、感謝と引き続きの捜索について返信っと!」
マリオ「…ポケトレ、相変わらず頑張ってくれてるぞ。
怪しげなトラップ、というか爆弾の回収量、80個到達時のリュックの画像だ。
スネークにも負けない隠形ぶりを見込んだ甲斐があった!」
リンク「考えたよなー。さっすがマリオ。
アイツなら絶対に口を割らない、作戦漏れは起こさない。
…ホントは大々的に、ロゼッタをみんなで監視したいんだけど」
クッパ「……というか、やはり…偽物とはっきりしたとはいえ、
ロゼッタの姿でそのような悪行をされていることを突き付けられると、
なかなか堪えるものがあるのだ…」
リンク「…全くだ、暗躍するタブーには反吐が出るぜ。
用意周到な同情作戦まで使ってみんなを出し抜きやがって。
でも、まだ、早いんだよな…?あのロゼッタをとっちめるのは…」
マリオ「ああ。ロゼッタを詰問するにしても倒すにしても、まだ早すぎる。
『本物のロゼッタ、ゼルダ、ヒルダ』の安全が保証されるまでは、
いつ何時、交渉材料に使われるか判ったもんじゃない。ディメーン戦で懲りてる。
それこそ俺たちに掛かれば、始末するのは朝飯前だが――
いましばらく、騙された振りを続けるしかないさ」
リンク「…面倒だなあ」
558
:
Mii
:2020/02/08(土) 03:44:17 ID:uMdP2yZs
クッパ「…だが、それにもリミットタイムがあるだろう?
ポケトレも、全部の仕掛けを解除できているわけではあるまい」
マリオ「…ああ。問題はそこなんだ。
油断させつつ、完全に尾行しきることは流石に無理だからな。
探索漏れが出てしまうのは仕方がない。
それが何個あるのか、はたまた何十個も残っているのか…。
そしてそれらが、いつ発動されるのか…正直ビビりまくってるぞ。
とりま、ポケトレには人命が関わる所を優先的に暴いてもらっているが…
いざ決戦となったら、ある程度はドカンとやられて、建造物もろもろの物的損失は免れないだろうな。
そこに不慮の事故がプラスされないことを祈るばかりだ…」
リンク「そんな、消極的な願い方しかないのかよ…!
そりゃ、俺はハイラルの民だけどさ…!キノコ王国は第二の故郷みたいなもんなんだ。
犠牲なんて1人たりとも出したくないぜ…俺は!
…なあ。やっぱり、『ここ』、どうにかして突破しないか!?」クッ
マリオ「…俺だって、できるなら、そうしたい。そうしたいんだが…!」
フィールドに繋がる 開かずの扉が 目の前に 佇んでいる!▼
559
:
Mii
:2020/02/08(土) 03:49:11 ID:uMdP2yZs
マリオ「制御室から監視しておいて…全員集合させたときに、
相も変わらず『乱闘中』表示だった、この先のフィールド…!
よくよく確認してみれば、変な呪いだか結界だかが張られているみたいで、
普通には開かない。完全にドンピシャ!白か黒かで言ったら、もう、まっ黒!
強引にこじ開けて助けに行きたい、のはやまやまなんだが…!
どうみてもこれ、ロゼッタの空間魔法に通ずる高度な仕掛けがある!
下手に素人が扉を蹴破ったりすると、繋がりがどう破綻するか…わからん!
それこそ、永遠に結び付きが失われる可能性だってある。
中にいるだろうロゼッタ本人に何とかしてもらわないと、どうにもならない…!」
リンク「…いつになく、弱気だな……人のこと、俺も言えないけど…
こう、扉を叩くことで、なにかしらのアクションを引き起こせたり、だな…!
すうぅ――――…うぉりゃあ――!」ババッ
ドンッ! ドンッ! ドンッ!!!
マリオ「お、おい!無闇な刺激は、万が一伝わった時に中の『見張り』を刺激して逆効果だからやめとけ!
……気付かれなかっただろうな…!迂闊なことをするんじゃない、リンク!」ヒソヒソ
リンク「…………あ。わ、悪い…!つい、カッとなって…!」
560
:
Mii
:2020/02/08(土) 03:54:35 ID:uMdP2yZs
クッパ「…全く。一体、どんな敵が控えているというのだ。
まさか人質監視に労力を割いてまで、タブー本人が律儀に見張っているとは考えにくいが…」
マリオ「…ああ、かといって唯のコケオドシというわけでもないだろう。
少なくともゼルダ、ロゼッタ、ヒルダを纏めて相手にできる戦闘力はあるはずだからな。
タブーの側近とかを務めている、俺たちにとって初見ながら凄腕の奴が、きっと――」チラッ
リンク「…未知の力なり特異体質なりを有してて、
俺たちでもそれなりに倒すのに手間取るかもってことか――」チラッ
クッパ「いざ乗り込んでおいて手間取ったら、相手側に利がありすぎる。
どうにも手詰まり感があるのだ――」チラッ
パネル表示「非公式乱闘中!観戦不可!
乱闘人数 4 / 4 満員です!」パッ
〜閉ざされたフィールド〜
デイジー「へくちっ」クシュン
561
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:01:30 ID:uMdP2yZs
デイジー「……ロ、ロ、ロゼッタ?私、何か変な物に憑りつかれてたりしない!?」
ロゼッタ「…いえ、特に異常はなさそうですが。さあ、そんなことより、参りますよ!勝負です!」
デイジー「そんなことよりって…。まあ、ロゼッタが太鼓判押してくれるなら。
まあ勝負するのは別に、いいけど、不安だなあ…。よし、こい!
いけっ!パルシェン!君に決めた!」
ロゼッタ「行ってください、レシラム!」モエルーワ!
デイジー「…………えっ」
デイジー(……………………………………………ま、いいか。ロゼッタだし)
ロゼッタ「みず・こおりタイプでしたっけ…十分耐えられますね、『きあいだま』です!」
レシラムの きあいだま!
相手の パルシェンには 当たらなかった!▼
パルシェンの からをやぶる!
パルシェンの 防御が 下がった!
パルシェンの 特防が 下がった!
パルシェンの 攻撃が ぐーんと上がった!
パルシェンの 特攻が ぐーんと上がった!
パルシェンの 素早さが ぐーんと上がった!▼
ロゼッタ「…………!?」
562
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:04:09 ID:uMdP2yZs
デイジー「ロックブラストどーんwww」
レシラム「ぎゃああああ」
デイジー「つららばりウェーイwww」
ジャローダ「ひいいぃぃ」
デイジー「つららばりアンコ――――ル!」
サザンドラ「ぐわあああああ」
ロゼッタ「」ポロッ
デイジー「圧勝過ぎて一回りして勝った気がしないっ!」
デイジー「…ごめん。すっごく大人げなかったけど、あんまりロゼッタが
『殿堂入りしたことですし、デイジー姫と対戦したいです!負けませんよ!』
って捲し立てるものだから…
あとロゼッタ、言い忘れてたけど。
対人戦で伝説ポケモンは特殊ルール除いてマナー違反っす」
ロゼッタ「……気合玉が、当たって、いれば……!」ブルブル
デイジー(ごめん、ウチ…タスキ持たせてるねん)
563
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:07:01 ID:uMdP2yZs
扉「――」・・・ドン ・・・ドン ・・・ドン
ロゼッタ「今度こそ、勝ちますっ!」
デイジー「まあ、いくらでも相手するけどさあ…
バトンに天候、トリルにトリック。
土産に宿みが、みがまも猫の手。
流星ぶっぱに論者、麻痺撒き毒撒き火傷撒き。
…ああ、多すぎてまだまだ言い切れないや。
やっぱり経験の差はロゼッタの思う万倍効いてくると、思うよ…?」
ロゼッタ「呪文か何かですか?」
ロゼッタは ゲームに夢中で 外部からの干渉に 気付かなかった!▼
564
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:10:21 ID:uMdP2yZs
・
・
・
1日、また1日と。きっと有意義な時間を過ごしながら。
私たちの「日常な非日常」は、過ぎていきます。
デイジー「…おっはよー!
いやー、昨日はお疲れさまでしたー!
まあ、私の14連勝目で終了したけどねー!」ガチャッ
ロゼッタ「…と、このあたりで、私の魔法でドンッとおふたりをサポートしてですね…」ツツー
ヒルダ「…それだとロゼッタの負担が大きすぎます。
私がこう動いて、デイジーに雨霰と爆撃を行って、魔法発動時間を稼ぎます」トン トン トン
ゼルダ「…適材適所、と。私はこの経路で一気に躍り出て、なるべく出の早い魔法で
仕上げに入ればよろしいのでしょうか。バックアップ、期待していますよ」スイーッ
デイジー姫の元気な挨拶は右から左へ聞き流されて。
手書きのフィールド図を中央に、私たちは喧々諤々、頭を寄せ合って。
なめらかに指を、朗らかに声を。縦横無尽に走らせ続けます。
565
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:12:13 ID:uMdP2yZs
デイジー「…なんだか、最近、つまらないなー。
ちょっと前まで、ヒルダもゼルダも、私が入室するたびにビクッと震えて
ガタガタ震えてワタワタあたふたしてたのに…今や、平然と作戦会議…………」
ヒルダ「…………眼の光を失った方がいい、デスカ?」シンダメ
デイジー「冗談でもヤメテクダサイすいませんでした」ドゲザ
ヒルダ「…冗談デス。……ふっ、でも安心しました。
デイジーからしても、成長できてるってことですよね、私たち」
ゼルダ「とても長い、長い道のりだった…気が、します」シミジミ
ロゼッタ「そして、その道のりも…ようやく、終わろうと、している」
デイジー「え、なになに?エンディングへ駆け足進め!な雰囲気ですか?
混ぜて混ぜて!」
ゼルダ「…はあ。まあ、間違ってはいませんよ。
ですが、デイジーを混ぜるわけには、いきませんね。
――――そろそろ、1勝もぎ取ろうと。
本格的に、作戦を練りに練ろうとしているところです。
残念ですが――デイジーの快進撃も、これで終わりですよ、本当に残念なことに」
566
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:14:50 ID:uMdP2yZs
デイジー「…へえ、大きく出たねー。まだまだ、私に勝てるようには、思えないけど。
似たようなこと、10戦目にも宣言してたの、忘れたの?」ニヤリ
まあ、そうかも、しれません。
ただの、自信過剰かも。大それたことを身の程知らずで言っているだけなのかも。
やっぱり、デイジー姫の前で膝を付いて屈する結果が、待っているのかも。
――でも、根拠とか後ろ盾とかがなくても。
――「これは行けるぞ」っていう直感が働いても、いいですよね。
――それが、何の巡り合わせか、3人同時に起こったのなら、なおのこと。
ゼルダ「切羽詰まる、俗物的な理由もありますよ。
そろそろ、ここから脱出できる…いえ、脱出しなければならないタイミング。
つまり――」
ロゼッタ「はやくしないと、あの果実酒を飲める機会を失う?」
ゼルダ「そう、そのとお――――なんていうのは、冗談さておき、ですね!
デイジーに『このくらいのことはできるようになった』と示すことが、
私たちの――精一杯の、お、恩返しだと、思うのです」
567
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:16:48 ID:uMdP2yZs
デイジー「…………」ポカーン
ゼルダ「…………ちょ、ちょっとデイジー。
は、恥ずかしくなってきたのですが!何か反応してください!」
デイジー「…………熱でもある?意趣返しの間違い、とかじゃない?」
ゼルダ「私の決死の想いに対して謝罪しなさいっ!」ムカッ!
ヒルダ「…本当は熱があるのでしょう?ゼルダ姫?」フフッ
ゼルダ「貴方までなんてことを言うのですか!まったくもう!まったくもう!!」
バンッと、机をたたく音。
もちろん、本気の怒りではなく、机が破壊されたり、紙とペンが吹き飛んだりはしません。
568
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:18:40 ID:uMdP2yZs
ヒルダ「…でも、デイジー。
ゼルダ姫も、ロゼッタも。――私も。
恩返ししたいと思うくらい、感謝しているのは、本当ですよ?」
デイジー「――――」
デイジー姫が、虚を突かれて押し黙る。
ヒルダ「明日は、デイジーに教わった事、全部、ぶつけようと思います。
そして、勝ってみせます。勝ちたいです。
もし勝ったら、お酒の他に、そうですね…
口を尖らせながらでも、ヤレヤレとため息つきながらでもいいですから。
『裏の』貴方の状態で、『よく頑張った』って。私の頭、撫でてください。
――いい、でしょうか」
デイジー「――――――――っ!」
上目遣いのヒルダ姫のその言葉に、デイジー姫、途端に顔がくしゃくしゃに。
思う所、数多に及ぶのでしょう。それでも決して泣いたりせず、ブルブルと震えて堪えています。
569
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:21:29 ID:uMdP2yZs
デイジー「…お、おう!まっかせなさい!幾らでも、撫でてあげるよっ!
髪が摩擦で燃え出すかっていうくらい、わしゃわしゃと!」
ヒルダ「本当に燃えそうなのでやめてくださいっ!?」
ロゼッタ「あ、じゃあ私もお願いできますか!」
デイジー「背が高くて手が届きにくいから駄目――――
嘘っす。ドンと来いっす。
そんな絶望に駆られた顔をしないでください。
ついでに、プライドの高そうなゼルダも撫でといてあげるー」
ゼルダ「ついでで撫でて頂かなくても結構です!」
デイジー「…じゃ、ちゃんと心を込めて撫でてあげるよ。
――――お疲れさま、よく頑張ったねって」
ゼルダ「……考えておいて、あげますよ」カアァ
570
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:23:19 ID:uMdP2yZs
デイジー「やばっ、泣きそう――
よし、じゃあ、私は朝食摂ったら、明日まで会わないでおこうかな。
その方が、作戦会議も存分にできるでしょ?私、空気読める子!」
ロゼッタ「そこまで気を遣わなくても…でも、ありがたくその提案、受け入れます。
明日を、楽しみにしておいて、くださいな!」
拳と拳を、軽く、ぶつける。
…なんだか、熱血と青春の香りがします。この際、年齢は気にしません。
ヒルダ「あ、待ってください!私も!」タタタ
ゼルダ「やれやれですね」
左からヒルダ姫が、右からはゼルダ姫が。
2人分の拳は4人分の拳となって、正々堂々、全身全霊の誓いを立てました。
571
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:25:07 ID:uMdP2yZs
デイジー姫が、どばっと食料担いで、去った後。
ゼルダ姫と、ヒルダ姫と、私は、時間が経つのもすっかり忘れて。
作戦会議のまっさかり。次々と、線が紙に書き込まれて行きます。
…………冷静沈着に、でもしっかり意見は言い合って。
修正、修正、また修正。
見直すべき動き、手順、プロットはてんこ盛り。
珍しく体もほとんど動かさず、完全な頭脳モード。
体を動かしたときを敢えて挙げるなら…コンビネーション技の特訓、くらいでしょうか。
デイジー姫には悪いですが、退出していただいたこの機会。最大限に利用します。
ゼルダ「はい、では――このあたりにしておきましょうか」パチン
ヒルダ「そう、ですね……あれ、すごくお腹がすいています」
手を打ち合わせるゼルダ姫の合図で、お開き。うーんと背筋を伸ばします。
そういえば昼食すら、食べていませんでした。それくらい熱中していたのです。
夕食を摂って、お風呂に入って、寝間着に着替えて。
寝具に滑り込んで、しばらくぼーっとします。
天井が、妙に近い気がする。…何か、大きなことができそうな、気がします。
572
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:27:59 ID:uMdP2yZs
チコ「片づけ、まかせてー!」セッセ
チコ「明日に向けて、すぐに寝ること―!」フヨフヨ
……いろいろ、お片づけを任せちゃいました。
ヒルダ「…ロゼッタ、起きていますか?」
ロゼッタ「起きていますよ。明日は頑張りましょうね」
ヒルダ「…デイジーにお礼を述べたことですし、ロゼッタにも。
私、ロゼッタと友達になれて、本当によかったです。
ありがとうございます」
ロゼッタ「…何をいまさら。私こそ、ありがとうございます。
これまでも、これからも。きっと、ずっと、友達です」
ヒルダ「そうですよね、ふふ…」
もう、暗い表情のヒルダ姫なんて、どこにもいないのです。
それは、とてもとても、喜ばしいことだと、思いました。
573
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:31:21 ID:uMdP2yZs
ゼルダ「……何を2人とも駄弁っているのです?
明日に備えて、さっさと寝てください。
それに、あえて苦言を言わせて頂きますが。
結局負ける可能性だって…十分にあるのですよ?
浮かれすぎず、その先、さらに先を考えておく癖をつけてはどうですか?」
ヒルダ「…………」クスッ
ロゼッタ「…………」クスッ
その言葉は、むしろ笑わせる効果しかありません。
ロゼッタ「ゼルダ姫?快進撃ストップ宣言をしでかした張本人が、
そんなことでは駄目ではないですか。心にも思っていないでしょう?
…勝つんですよ、絶対に」
ゼルダ「…はあ。私もヤキが回りましたか。ロゼッタにバレては形無しですね。
私のこと、中々分かってきたのではないですか?」クスクス
寝過ごしなんて、まっぴら御免ですが。
もう少しだけ、この余韻に浸っていたいと思ってしまうのは、贅沢でしょうか。
…さて、真の強さを手に入れた3人で、打倒デイジー姫と参りましょう!
574
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:33:38 ID:uMdP2yZs
〜翌日〜
ロゼッタ「いよいよですね!」ワクワク
ゼルダ「ロゼッタははしゃぎ過ぎですよ。
今頃、大きく出過ぎたかと冷や汗たらたらの状態なのかもしれませんよ?」
ヒルダ「あは、それはちょっと見てみたいです…」
会話をしながら軽く身支度をして、さあ仮眠室を出よう…というところで。
がちゃり。
扉がぎいい、と開けられます。
デイジー姫が、妙に静かに――唐突に、部屋にやってきました。
575
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:36:37 ID:uMdP2yZs
ロゼッタ「おはようございます、デイジー姫!
えっと、まずは朝食にしましょうか――――」
デイジー「フィールドに、全員、集合。…………以上」ニヤッ
ゼルダ「――――望むところです」フッ
ヒルダ「が、頑張ります!」グッ
ロゼッタ「為さねば成らぬ、何事も…ですよね!」
576
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:40:15 ID:uMdP2yZs
フィールドに向かってみると、既に到着しているデイジー姫。
――目を閉じ、腕を組み、柱の一つに背中を預けて、もたれ掛かっています。
――これぞ、デイジー姫の振る舞いだなあ、と一瞬思って……。
デイジー「では、耳にタコができるかもしれないが、改めて。
…これより。
私ことデイジーと、ゼルダ、ヒルダ、ロゼッタの3名1グループによる、
模擬戦、第15戦を始める。位置に着くように」
流れるように、三者三様…いえ四者四様に、既定の位置まで歩を進めます。
ぴりぴりと張り詰めるこの雰囲気が、たまりません。
577
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:45:07 ID:uMdP2yZs
デイジー「初期残機数は、デイジーが『1』、他の3名は『3』とする。
どちらかの陣営の全ての残機数が『0』となったなら、
その時点で残機を残した側を勝利とし、試合終了とする。
また、特殊ルールとして、デイジーについては
『初期配置の床・地面に対して、背を継続して3秒接地』
が満たされた時点で敗北条件が満たされたものとする。
デイジー側の陣営について。
相手陣営の残機を奪う場合は、一方的な瞬殺を抑止するため…
直前の残機削りから10秒以上の間隔を空けること。
また、直前の残機削り対象者とは異なる選手を狙える状況であるかぎり、
同一の相手から連続で残機を奪わないこと。
これらに違反した場合、該当する分の残機削りについてはカウント無効とする。
ゼルダ、ヒルダ、ロゼッタ側の陣営について。
形式的に残機0となった者は、復活したとしても速やかに戦線から離脱し、フィールド外へ移動。
試合への不干渉を遵守できる状態に移行しなければならない。
ただし、既にその者によってフィールド上に仕掛けられた、
行使が間に合って発動中ないし発動待機中の魔法等については、
外野からの操作でもしない限り、改めて除去する必要はないものとする。
外野からの助言等は禁止。単なる応援はこの限りでない。
――――不明点のある者は、前へ」
デイジー姫も分かっている通り、何度も何度も聞いた文言です。
私たち3人の反応は、神妙に「問題無し」と微動だにしないことのみ。
578
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:50:15 ID:uMdP2yZs
デイジー「…では、ロゼッタ。いつもの開始合図、頼んだぞ」
ロゼッタ「はい!」
皆さん構えたところで、私だけ、違うポーズ。
右手の手のひらの少し上に赤々と作り出したるは、
私だけの炎魔法、パイロキネシス。
…間違えました。私だけの「空間魔法」、パイロキネシス。
見かけも効果もモロに炎属性ですが、物理法則で作った火種にFPを撒いているだけなので、
極端な例を挙げるなら「炎属性禁止スキル」を持った敵が現れたとしてもどこ吹く風で使えます。
逆に、空間魔法を禁止されたとしたら置物になるので、偽物の私には注意しなければ。
さてさて、これをどうするかと言いますと。
ロゼッタ「…そぉれっ!」ブンッ!
ほんのちょっとだけ前方の、はるか頭上目掛けて、ぶん投げます。
隔壁のバネの力で飛ばすのは、頃合いを見計らって止めにしています。
自分の腕を酷使して飛ばした方が、威力も精度も高いみたいです。
579
:
Mii
:2020/02/08(土) 04:53:11 ID:uMdP2yZs
ここで特訓する間にも…私の基礎体力、とてつもなく、伸びました。デイジー姫のおかげです。
ぐんぐんと伸びていき――やがてようやく上昇を止め――重力に従い、落ちてきます。
それが、ちょうど…私たちと、デイジー姫との中間あたりの位置の地面目掛けて――
ボンッ!!
――――ひょうきんな衝突音とともに、試合、開始ですっ!
――――こちらの、第一手は。
ロゼッタ「――――」
ヒルダ「ファントム・ヨガ、召喚――――っ!」
デイジー「相変わらず凝りもせず――何っ!?」
今までとは違う。
フィールド全体を覆い尽くさんとする、巨大な召喚獣の出現で、幕を上げました。
580
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:05:25 ID:uMdP2yZs
<前レス訂正 ファントム・ヨガ → ファントム・ユガ>
――――でかい。
ぱっと見た感想が、それ。
これまでの召喚獣はせいぜい体長5メートルといったところだったが、今回は20メートルはありそうだ。
フィールドの足場の一番高い所まで、揺らめく頭が届いている。
もちろん3人の姿など、完全に隠れてしまった。
――そういえば、目くらましになる、とはいつぞや言わせてもらったか。
だが、その分、密度が小さくなって強度としては落ちたのか。
向こう側が透けて見えるとまでは行かなかったが、
いつもならすぐに魔法の杖やらを振り下ろしてくるところなのに、
今さらになってようやくアイスロッドを振り上げ始めた。その動きはあまりに鈍い。
それをわざわざ待ってやる私でもない。
召喚獣の体を突き破る心持で、突進。拳がうなりを上げる。
581
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:09:57 ID:uMdP2yZs
ロゼッタ「…要塞法衣っ!」
防御力が高まっていくことを示す、ロゼッタの声がする。
ピキピキピキ、と特徴的すぎる金属音。
…ざっと、防御力4倍。ステータス補助としては破格の効果のように思う。
使えるなら使っておくのは当然な性能だ。それだけ頭に入れておき、なおも私は突進する。
キラッ!
ゼルダ「はああああああああああああ――――っ!!」ドンッ!!
――まさか、そちらから魔物の腹を突き破って突撃してくるとは思わなかった。
無茶をさせ、ゆらりとよろめく召喚獣。ただ、消え失せるほどではない様子。
魔物を貫いた副産物の、身を纏う靄と煙。
神々しい冠を光らせ、ゼルダが中々の…いや、中々すぎる速さでミサイルのように迫り来る。
魔物の体にぽっかりと空いた、大きな穴。
その向こうに、一瞬だけキラリと光る空間を、私は見逃さない。
鼻血を出して、ふらつきながら構えているロゼッタが、映っている。
582
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:13:39 ID:uMdP2yZs
…なるほど。ゼルダの体そのものを、即席で…隔壁の空気砲で吹っ飛ばしたのか。
今の魔法レベルで、思い切ったことをする。相当酷使したみたいだがな。
種明かしが済んだところで、作戦に特段の変更、なし。
飛んでくるゼルダに、重い拳を炸裂させて――
しかし妙なことに。低空飛行するゼルダが、顔の前で腕を交差させ。
なりふり構わず突っ込む体勢だと?
ガッキイイイイイィィン!!
デイジー「――――そういう、ことかっ!」ビリッ
ゼルダ「――――ぐっ、これでも結構痛みますが…無問題、ですっ!」
ゼルダの 上半身の 攻撃力が 15%アップしている!
ゼルダの 上半身の 防御力が 300%アップしている!
ゼルダの 上半身の 素早さが 50%ダウンしている!▼
デイジー(…まさか、他人に行使できるように改良していたとはな、ロゼッタめ!)ジィィン
583
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:20:04 ID:uMdP2yZs
なるほど、無謀に見えた突進は、ロゼッタの魔法を信頼してこそか。
つい迎撃で殴ってしまった右手を恨めし気に見る。
ゼルダの素の防御力と合わせると、馬鹿にできない耐久性。多少の痺れがある。
ロゼッタ「――まだまだっ!要塞法衣、ばら撒きますよっ!
積み技の 重要性を 教えて差し上げますっ!」パアアアアアアアアッ
今度は様子がはっきりと伺えた。ヒルダの背に手を当てて、立て続けに術式発動。
ヒルダの体の見た目が、不可思議な屈折率を生み出している。
なるほど、流石に他人の体を遠隔で隔壁で覆うことはできないか。
さっきはそれで、ゼルダを私の視界から隠しておいたのだな。
ヒルダの 上半身の 攻撃力が 15%アップ!
ヒルダの 上半身の 防御力が 300%アップ!
ヒルダの 上半身の 素早さが 50%ダウン!▼
ヒルダ「ありがとうございます、ロゼッタ!」シュイィィン―― !
ロゼッタ「うっ…ははは、どういたしまして。さて、次は私自身が――」スッ
デイジー(これは、うざいな)ヒクッ
サポートキャラとしては壊れもいいところだ。
ヒルダの攻撃スタイルとしては直接の素早さダウンは有ってないような物。
584
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:24:52 ID:uMdP2yZs
呆れて一瞬目を離した隙に、ゼルダは勢いそのままに、至近距離で魔法の構え。
ゼルダ「光の――――」パアアアアアッ!
――馬鹿か。チャージに時間が掛かり過ぎる。
――ロゼッタの魔法の副作用で腕の敏捷性が落ちているせいで、ますます遅い。
――5秒、10秒レベルで無防備。こんな距離から矢を番え始めて、間に合わせる訳、無いだろう!
怒涛の反撃体勢。
要は、堅固となっている胴部ではなく、下半身か頭部を撃ち据えてやればいい。
ヒルダ「ファントム・ユガ――ハンマーっ!!」サッ
ゼルダへの支援が飛んでくるのは読めている。
そうしておいて光の弓矢を撃つ機会を作るという方針なのだろう。
だが、この攻撃も、飽きるほど目にしてきた。
闇色に染まる、大きな具現化ハンマー。召喚獣が撃ち付けてくる、怒涛のモグラたたき。
ヒルダ「それっ、それっ、それ――っ!」
FP供給を必死に頑張り、何かを堪えている感じのヒルダ。
1発目は、手刀で斬って捨てる。2発目は、横にはたいて吹き飛ばす。3発目は蹴り上げる。
そう。ヒルダには悪いが、あいかわらず避けるほどでもない攻撃なのだ。
美しくかわすのも趣があるが、今は調子に乗ったゼルダを懲らしめることを優先。
時間稼ぎに付き合うつもりはない。最短距離でゼルダに向かう。
585
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:30:46 ID:uMdP2yZs
――まだまだ、甘いっ!
光の弓矢の魔力充填を今さらやめるわけにもいかず。
ちょっとバックステップして身を翻し私から逃れようとするゼルダの悪あがき。
そんなゼルダの胸倉を、超加速で飛び込んで掴み上げる。
にぃっと笑う私に、目を見開くゼルダ。その隙まさに、命取り。
逃走を防ぐまでが、ワンアクション。鎧のない顔面に、体重の篭った、無慈悲かつ怒涛の肘突き――っ!
ゼルダ「が、はっ……あああああああっ!!」ゴボッ
血反吐を吐きながら吹き飛ばされながらも、ゼルダが吠えつつ、意地で、充填の終わった光の弓矢を解き放つ。
投げやりの叫びではなく、諦めない鋼の心。よく耐えた、と称賛してやりたいところだ。
ただ、狙いなど付けられず放たれたそれは、ゼルダの想いをバッサリ裏切って、
てんで方向違いのところに向かって飛んで行く。
残機のおかげで復活しても、体力と異なり、魔力/FPは回復しない。
つまり、完全に撃ち損。大量の魔力の無駄使い――
ロゼッタ「――――Tactics-Hold《留保戦術》っ!!」ギュッ!
――とはならないのが、最近のゼルダ・ロゼッタコンビの厄介な所なのだよな、全く。
586
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:34:38 ID:uMdP2yZs
私の横を通り過ぎ、天を目指す光の弓矢が、霧散する前に…。
ロゼッタの腕が素早く的確にすぅっと向けられ、ぎゅっと握り拳を作られてみれば。
豪速の光の弓矢は、ギュイィンと激しく光ったかと思えば、シュパッと消えていく。
なんというか、あれだ。某忍者漫画の「カム○」みたいな奴だ。
…言っておくがDLCのFE勢の方ではない。
ロゼッタ「――ハァッ…T-ホールド、成功っ!ぐぐぐ…」ガシッ!
デイジー「チッ…」
血を指の隙間から垂れ流しつつ、握り締めた状態で固まっている、ロゼッタの右手。
それが、何を意味するか。最近の私は、知っている。
握り拳をほどくと、ほどなくロゼッタの手の甲が光り出す。
まるで英雄の紋章のように、弓矢らしき、光る絵が刻まれた。
トライフォース模様を光らせることがあるゼルダやヒルダとお揃いだな。
これで、ロゼッタが、何ができるようになったかと言うと。
発動を念じて、腕を振りかぶる、それだけで。
1発だけ、光の弓矢をポンと出現させ、もとの勢いのままぶちかませる。
つまり「『光の弓矢』ストック状態」、以上。
…さすがの私も、初めて見た時は開いた口が塞がらなかった。
587
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:38:35 ID:uMdP2yZs
そりゃ、「魔法の奪い取り」が非常に便利だろうとは助言したが。
マスターする早さも、完成度も、異常な次元だろう…!
一度にストックできるのは魔法1つのみ。
コントラクト(魔術契約)を取り交わした味方の魔法しか回収できない。
魔法のことはまるでわからないが、以前、契約の為に魔法陣をサラサラ描いていた。
まるで魔法使いだ。…………忘れていた、大魔法使いだったな。
今の所、契約しているのは当然、ゼルダとヒルダのみ。
ストックから取り出した魔法を、再度回収することはできない。
更に、ストック状態では、取り込んだ魔法のランクと自分の実力との差に応じて
スリップダメージを強いられ続ける。
…とまあ、雁字搦めの制約があるらしいが。
これでロゼッタは、攻撃の幅が「ほぼ0」だった昔から恐ろしく拡がったことになる。
なんせ、外れて無駄になるはずの味方の魔法を見つけたら、
ギュッと握り締めて回収するだけで再利用。「はずれがでたのでもう1回」だ。
エコにも程がある。笑えて来る、と言ってもいい。
588
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:45:01 ID:uMdP2yZs
将来のことを考えると、更に胸が躍る。
マリオやピーチなら諸手を挙げて、ロゼッタに協力してくれるだろう。
味方が必殺技を持っていれば、それだけ自分も強くなる。
光の弓矢をあっさり刈り取った…いや切り取ったことから分かる通り、
繊細な集中と視認追跡さえできていれば、魔法の規模、速度は今のところ制約なしだ。
…しかし。
え?超高難易度じゃないかって?
でもですね、『自軍識別』と『魔法エネルギー保存』を『空間転移』に組み合わせるだけですよ?
一番難しい『魔法エネルギー保存』は自分のHP消費を対価としてBランクに落とし込んでいますし。
『自軍識別』なんて、あらかじめの魔法陣で別工程タスクにしているおかげで行使中はCランクにもなりません。
うーん、現に今の私が何とか使えていることからして、全体でB+ランクってところでしょう。
実分身とかゲイルアタックとか亜空切断とかに比べれば遊戯みたいなものですよ?
……とりあえず、ムカついて残機を奪った当時の私は、絶対に悪くない。
589
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:47:51 ID:uMdP2yZs
〜昨日〜
作戦会議も半ば、とあるタイミングで。
ロゼッタ「ぶっちゃけていいですか?」
ゼルダ姫と、ヒルダ姫が、振り向きます。
ロゼッタ「心の底ではデイジー姫に教えを乞うて満足していた今までと、
打倒デイジー姫、大々前提で動く明日とでは、私たちの作戦は…
大きく変えなければ、なりません。
ぶっちゃけた話。
勝つためのポイントは、突き詰めれば、至極単純。
――どれだけ、光の弓矢をデイジー姫に放ち、当てられるかです」
ゼルダ「……えっ」
ゼルダ姫が、目を白黒させています。
もっと己の魔法に自信を持ってくださいよ。
590
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:51:28 ID:uMdP2yZs
ヒルダ「……やっぱり、そうですよね…
他の魔法や物理攻撃に比べて――光の弓矢だけ、威力が段違い。
…5倍か10倍くらい上回っていますから。やはり芸術的にまで完成された大魔法ですよね!
他の魔法を100回かすらせるくらいなら、
光の弓矢を1回クリンヒットさせた方がよほど効果があるのではないでしょうか」
ロゼッタ「同じ認識を持っていただいていて、嬉しいです」
ゼルダ「えっ…えっ、そのようなことは――」カアァ
ロゼッタ「続けますねー。
そして、デイジー姫としての認識もそうなっているはずです。
光の弓矢だけは、割と本気で対策・対処しようとするでしょう。
そのほかの魔法は逆に、強引に突っ込まれる可能性がありすぎます。
足止めできたと思い込んでいたら直進で斬り込まれることをうっかりしていた、
っていうのが一番やってはいけない過ちですね。
……今まで嫌というほど犯してきた過ちですけど、ええ」
591
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:54:55 ID:uMdP2yZs
ヒルダ「では、その……ゼルダ姫を徹底的にガードして温存して、
その間にできるだけ光の弓矢を撃ってもらう、と」
ゼルダ「……………………それは、したくありません」
ロゼッタ「私も、それはしたくありません。全然、三位一体じゃありません。
…というより、それだと勝てません、絶対。
私たちがデイジー姫に散々鍛えられてきたのと同じく、
光の弓矢を放つゼルダ姫を十二分に攻略できるだけの経験を、
私たちはデイジー姫に与えてしまいましたから」
ヒルダ「では、どうしますか?その顔…無策ではないでしょう?
声が弾んで聞こえますよ。話してみてください」
そう。悲しむのではなく、途方に暮れるのでもなく。
解決策を是が非でも探し出す原動力にしなければなりません。
592
:
Mii
:2020/02/08(土) 17:59:49 ID:uMdP2yZs
ロゼッタ「大事なことは、3つ。
まず、やっぱり、ゼルダ姫に光の弓矢を撃ち続けてもらうこと。これが、ひとつ目。
ただし、そのゼルダ姫には敢えて前線に出てもらい、
一層侮られがちとなった他の魔法で意表を突いたダメージを与えること。これが、ふたつ目」
ヒルダ「確かに、一番の脅威となるはずの撃ち方のゼルダ姫が前に出れば、
デイジーはそれを咎めるべく、他の魔法を多少強引に蹴散らしてでも
最短の道筋で接近戦を仕掛けるべく動くでしょうね」
ロゼッタ「そして3つ目は――――」
ゼルダ「――――すこし、待ってください」
ロゼッタ「…え?」
私の秘策を提示しようとしたところに、まさかの横槍。
不快では全くありません。ただただ驚いて、思わず、固まってしまいます。
593
:
Mii
:2020/02/08(土) 18:04:46 ID:uMdP2yZs
ゼルダ「――――ロゼッタの考えていること、分かっているつもりです。
でも、それだと、まだデイジーの想定から抜け出せていない気がしてなりません。
というわけで、私からの提案は、更なる役割の変更です」
ロゼッタ「…………なんと」
これは、思いがけない申し出です。
ヒルダ「…えっと。ロゼッタの考えとは、一体、なんだったのですか?」
ゼルダ「要するに、ロゼッタと私、2人の話を統合するとですね。
『最後の切り札』は、ヒルダ姫。貴方になるということですよ」
ヒルダ「…………!!ま、まだ、理解が十分でないのですが…
それで、よいのですか!?納得して頂けるのですか!?」
ゼルダ「ええ、もちろんですよ?」
ロゼッタ「…ゼルダ姫がそうおっしゃるのなら、私も反対することなどありません!
して、ゼルダ姫の修正案とは、どのような――!?」
594
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:11:58 ID:UXSYQ7yA
〜再び、戦いの最中〜
手に光る仮初の紋章。ぐさり、ぐさりと体を蝕んできます。
…痛い、痛いですねっ!やっぱり今の私にとっては光の弓矢のランクが高すぎますっ!
ロゼッタ「…あっ!ゼルダ姫、すぐに回復してさしあげ――」
ロゼッタは 留保戦術の副作用で ダメージを受けている!▼
頭から血を流しながら、デイジー姫を睨み、ゼルダ姫が小声で私を諫めてきます。
ゼルダ「…いい、大丈夫、です。FP温存に、努めておきなさい。
貴方の魔法はただでさえ燃費がよろしくないのですから。
作戦の大元が破綻するくらいなら、私の残機の方がよほど安上がりです」ドクドク
顔の右半分が血濡れで、心配でしょうがないのですが――
そうですか、気遣って頂きありがとうございます。私も心を鬼にします。
ヒルダ「ユガ、急ぎ修復しますからねっ!」パアア
ファントム・ユガ「GRUUUUUU・・・・」ピカーッ!
ファントム・ユガが、シュルシュルと縮んでいきます。
そうしてやらないと、修復の魔力も馬鹿になりません。
595
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:17:48 ID:UXSYQ7yA
デイジー「強化タイムは終了か。折角の隠れ蓑を捨てていいのか?」
ヒルダ「……十分役目は果たしましたのでっ!」
捨て身のギミックとしても使った召喚獣。わざわざ修復するのは骨です。
かといって完全に消滅させてしまっては…まずいことになります。
存在が希薄になり、消滅までの時間も迫るので、一旦ヒルダ姫がメンテナンスに。
ロゼッタ「その間の支援はお任せくださいっ!」ボウッ!
フッと火の玉を浮き上がらせる私。…割と、超能力者っぽいサマになってきました。
ゼルダ「…ゴホッ…まだまだ、射て、さしあげます、よ――」パアアアア
デイジー「その、『2人いれば無防備な3人目を私相手に守り切れる』という浅はかな考え――
気に、食わないなっ!」
ロゼッタ「――ふぇっ!?」
デイジー姫が大地を震わせて、駆ける。
い、いけない!反応し損ねましたっ!かろうじてゼルダ姫が対応に移ります!
一拍遅れて動作に入るも…余りに速くて、私のパイロキネシスごときは、
誰もいない空間を間抜けに通過していくのみ……!
596
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:20:09 ID:UXSYQ7yA
口では「射貫く」と言っていても、流石に無謀と察したか、ゼルダ姫が身構えて格闘応戦。
ただし、攻撃してもダメ―ジなど碌に通らず、意味がありません。
後ろ向きではありますが、底上げされた防御力を少しでも活かし、時間稼ぎに徹せねば。
――そう考えていた、私たち。
――その考え、恐ろしく甘い見積もりでした。
デイジー姫は、ゼルダ姫の直前まで来ると、急停止し、ふっと笑って――
デイジー「右から来るぞ、気を付けろ」
ゼルダ「な、何を―――――――」
――――――――
597
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:23:03 ID:UXSYQ7yA
ゼルダ「――――っ!」
ゼルダ姫が、反応できたのは、奇跡だったかもしれません。
ゼルダ姫は、咄嗟に、反射的に、自分の顔までの軌跡を両腕で遮ろうとし――
あろうことか、「咄嗟に顔の守りを捨てて」、下方向に急旋回。
鳩尾を、死に物狂いで、死守しました。
バリイイイィィン、と、耳をつんざくような爆音がこだます。
なにかが霧散していく、光の欠片と共に。
ゼルダ「……フーッ…フーッ…!!」ガクガク
デイジー姫の拳は、言葉面だけならゼルダ姫の「期待通り」、
限界を超えて突っ張って見せたゼルダ姫の手によって、バシィッ!!と取り押さえられました。
デイジー姫の拳から初めて流れた、何筋かの赤い血。
受け止めたゼルダ姫の手首からは、夥しい量の出血が。
598
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:27:47 ID:UXSYQ7yA
ゼルダ「――――フーッ――――フーッ…!!」バクバク
…傍から見ていても分かるくらいの動揺、脂汗。血走った眼。定まらない呼吸。
ただ、ゼルダ姫は決して、激痛のせいで、あんなことになっているわけではありません。
一瞬見せた、デイジー姫の、本気の本気。
私の仕込んだ要塞法衣は…たった一発のパンチで、腕の周り…
そしてその後ろに控える腹部のものまで、絶望的に大きな風穴があき、もはや使い物になりません。
もしも、「どうせ顔に飛んでくるんだろう」と決めつけてガードしていたのなら、
減速させること叶わず腹部の鎧を貫き通して、絶命させていたこと、請け合いです。
デイジー姫はデイジー姫で、目を見開いています。
デイジー「…驚いたな、心の底から驚いた。
まさか反応してくるとは、更には腕の制約があるというのに、
それを跳ね除けて間一髪、間に合わせてみせるとは…っ!
基礎体力レベルにして、Lv. 50の大台には乗ったんじゃないか?
私は『胸が張り裂けるほど』嬉しい。敬意を以て――――――――」スッ
599
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:33:39 ID:UXSYQ7yA
ゼルダ「ヒルダ姫っ!!自分に集中してっ!早く――っ!」
「ナニカ」を悟り、ゼルダ姫が絶叫します。
デイジー「――――――――――――全力で叩き潰そう」
ドゴオオオオオオオオオオオォォォッ!!
ゼルダ「――――――――なん、ども、いいま、すが。
ほん、とうに、しゅ……み、わるい、で、す………………………ね」
ゼルダ姫が、ぐるんと1回転、したので、しょうか。
速過ぎて、よくわかりませんでした。……見ているだけしか、できませんでした。
…多分、なのですが、こう…一瞬のうちに、デイジー姫の手が再び自由の身となって。
しなやかに長い腕を差し込まれて。背負い投げをされたのだと、思います。
…クレーターを作りながら、背中から叩きつけられている最終状態を鑑みるに、そうとしか思えない、ので。はい。
…要塞法衣に敢えてちょっかいを出すのは、こちらの戦意を下げることを狙っているのでしょうか――
ゼルダ「――」ガクッ
ゼルダ残機・・・残り『2』
ゼルダを包む要塞法衣が 完全に 解けた!▼
600
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:37:00 ID:UXSYQ7yA
光り輝くとともに、ゼルダ姫、復活。
ケガ完治、パチッと目を開け、手で口を押さえて…吐き気をグッと、堪えています。
ちなみに、ゼルダ姫もヒルダ姫も、それなりにショックには強くなってはきましたが…
復活後に吐き気が一切ないのは――私だけです。嬉しいような、悲しいような。
さて、ここからが。お互い、ますます重要になってきます。
連続した残機削りが禁止というルール上、ヒルダ姫か私が残機を減らすまで、
ゼルダ姫の残機が奪われることはありません。
もちろん無力化に専念して動かれる可能性は残っていますが、
ゼルダ姫の光の弓矢はなんだかんだ言って充填しやすくなるでしょう。
ただしこれは、デイジー姫がヒルダ姫と私の速やかな殺戮に躍起になる、
積極的になるということでも…当然あるのですから。
ヒルダ「アイス、ロッドッ!」バッ
少なくないFPを注ぎ込み、なんとか復活した召喚獣。いわゆる「いつもの大きさ」で。
デイジー姫を休ませまいと、なるべく時間を空けず、ヒルダ姫が動きます。
10秒は倒されないから…なんて悠長にしていると、たちまち取り返しが付かなくなってもおかしくありません。
601
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:39:17 ID:UXSYQ7yA
彼女の魔法も、決して貧弱ではありません。威力も速度も、見事なもの。
術式の素早い切換えにより、持たせる武器も様変わり。
地力、そしてこれまでの努力の結晶により…そこいらの敵相手ならば、粉砕もたやすい。
乱れ飛ぶ激しい冷気の塊たちが、デイジー姫に襲い掛かります。
デイジー「…おっと。それにしても、ヒルダ、お前だけは中々火力が上がっていかないな。
ロゼッタは割と、私に警鐘を鳴らせるようになったっていうのに」
…しかし、デイジー姫の基準からすると、なかなか及第点を貰えない。
飛ばす氷は、上体を逸らすだけで躱され、身を翻すだけで空振りし、
悉く無効化されて行きます。
ヒルダ「人が、気にしている、事を――っ!」
ヒルダ姫が悔しさをにじませていますが、
すでにデイジー姫は、視線をゼルダ姫に向けています。
ゼルダ姫が、光の弓矢を…デイジー姫からすれば「性懲りもなく」溜め始めます。
要塞法衣は消え去っているのが本当に気懸り。
もちろん、全員がこの衣に覆われ続けること、残機を削られるたびに張り直せること…
これらが達成されれば非常に心強くはありますが、時間的にもFP的にも余裕などありません。
…仮に余裕があったところで、デイジー姫にとって突破できないこともないというのが更に私を億劫にさせる、
という新たな懸念事項とエンカウントしましたが。
602
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:42:40 ID:UXSYQ7yA
ヒルダ「アイスロッドッ!」
デイジー姫が、ヒルダ姫を半ば無視し――
ゼルダ「光の――――」パアアアア
ゼルダ姫が溜めるソレには、流石に目を光らせて――
デイジー「ゼルd――――――――――」ダダダダダ
――ぴくっ。
デイジー「――――――っとぉ!!!!」ズサァ―ッ!
デイジー姫が、何を思ったのか、突然自らバランスを崩す。
身を捩らせて、進路から大きく外れゴロゴロ転がって、最後は背中を地に滑らせる。
603
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:45:23 ID:UXSYQ7yA
ロゼッタ「――――え、えええーっ!?」シュンッ!! ザンッ!!
ヒルダ「そんな……!」
野生の勘、というものか。
進路通りに進んでいれば――斜め45度後方からデイジー姫目掛けて迷うことなく走る、
「私の」光の弓矢が、背中を背中を射止めていた、はずでした。
突如現れた私の腕の先から、これまた突如として現れた、一筋の閃光。
…狙撃対象を見失って、フィールドの遠くまで……むなしく飛んで、消えて行きました。
う、そ。今のが、読まれ、たのですか!?
とっておきの、初お披露目の、「ワープ即撃ち」光の弓矢だったのですが…!
腕を振り下ろした状態のまま、硬直を食らいつつ、心まで固まってしまいます。
デイジー「おっと、これで3秒取られるとかはギャグにもなら――」
ゼルダ「…ハッ!!!」バシュッ!
デイジー「――――っ!」
で、ですが。まだ、デイジー姫は安心できない。
時をほぼ同じくして、ゼルダ姫の光の弓矢も準備完了。デイジー姫をロックオン。
体勢が崩れているありさまで、この2射目を――切り抜けられますかっ!?
604
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:48:45 ID:UXSYQ7yA
デイジー「ずああああああああぁぁぁっ!!」ズシャアッ!
ぽたり、ぽたり。
デイジー「……………………少々、無茶をしたかな」ポタポタ
私もヒルダ姫も――そして何より、ゼルダ姫が、唖然とする。
夢でも見ている気分です。
ゼルダ「――――ま、まさか。
腕の一振りで、光の弓矢を――引き裂いた、ですって?」
デイジー「いや、そんなに簡単なことじゃなかったぞ?
見ろ、今のだけで――右腕が、結構、外出血を起こしているようだ。
ぽつぽつと赤く染まっているだろう?マリオやリンクなら、こんな症状すら起きていないと思うが。
所詮、私の力などこれっぽっちということか。
…そうだな、ここまでの時点で、これまでの14回の試合を差し置いて
ベストスコアは叩き出せているだろう」スクッ
…そんなしょっぱい結果を求めて光の弓矢を撃ち続けたわけではないのですが。
ゆらりと立ち上がったデイジー姫が、まさに「越えられない壁」に見えてきます。
605
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:51:32 ID:UXSYQ7yA
デイジー「…今のは、かなり良かった、掛け値なしに。
ワープ後の動作に硬直ロスもほとんどなく、抜群のタイミング…
すっかり技術を、物にしたんだな――!
いや、ロゼッタだけではないぞ。ゼルダ、お前も。
致命傷一つ狙いではなく、迂闊に起き上がれない位置関係を狙って
敢えて照準をずらした、一瞬の判断で――だろう?
あれがなく、欲張って仕留めようとしていれば、躱しきれていたというのに」
最近のデイジー姫は、吹っ切れた影響が徐々に好い方向に出ているのか、「裏の顔」でも…
褒めたいと思えば言葉でしっかり称え、冗談などにも即激怒はせず一旦流してくれる、といった変化が出ています。
このように褒めて頂けると、くすぐったい。
ですが、状況としては非常にまずいことになりました。
腕で無理やり払う選択をしたということは、もし胴体に到達していればよりダメージを与えられていた、
というのは間違いなさそうではありますが。
ここまで武勇を示されては、果たして有効ダメージを与えるのが、何時になることやら…!
もっともっと、致命的なスキを、好機を用意してやらなければならないようです。
606
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:54:56 ID:UXSYQ7yA
私の手の甲の弓矢のマークは、ストックを失ったことで、今は跡形もありません。
ストックし直さなければ何も始まらないのですが、今のでゼルダ姫の心が折れていなければよいのですが――
ゼルダ「…………」ブルブル
ゼルダ「……………………」ハーッ
ゼルダ「…………その笑いを崩すのが、ますます楽しみに、なってきました、ね…!
やってやろうでは、ありませんか!お覚悟をっ!」
――杞憂だったみたいです。武者震いでしたか。
――今のゼルダ姫、いえ私たち3人の心を折るのは、そう簡単ではないですよね。
むしろ問題は私です。
肩で息をしています。汗もびっしょり、腕には鈍痛。
光の弓矢の維持で、デイジー姫以上に痛手を負ってしまいました。
ロゼッタ「――――つ、強い」
デイジー「弱い姿など、見せた事ないだろう?」
ロゼッタ「わかっています、言葉の綾というか、再認識というか…そんなところ、です」
607
:
Mii
:2020/02/15(土) 15:58:31 ID:UXSYQ7yA
くつくつと笑ったあと――
デイジー「何だ?ボーっとしているのなら…こちらから行くぞ!」ダンッ!
ロゼッタ「―――っ!?」シュンッ!
地を蹴り、颯爽と、私に迫る。…まずい、予想はしていましたが、狙われました。
ヒルダ姫のもとへ、慌ててワープ。
なんということでしょう、無理が祟って、体がフラ付きます…!
読まれていたのか、デイジー姫は既に方向転換、またもや距離を縮めます。
私=ターゲット、の等式が成立してしまっているようです。
デイジー「ふんっ!」ブンッ!
ロゼッタ「ひやっ!?」ズルッ!
速度を緩められないまま、何かを投擲されました。
…砕けた足場の破片!?拾ったタイミングすらわかりません。
1投目のストレートを、ぎょっとしながらも大きく横に反ってヒヤヒヤと躱し、
2投目のフォーク…もとい上に浮く足場の裏側に跳ね返らせた荒れ球を、
思わず目を瞑りながらの交差する両腕で防ぐ。
…ものすっごい威力です。
ただの5cm程度の破片なのに、私に着弾すると同時に爆発し、もうもうと土煙。
あんなのを見せられると、私のジャイロファイアなんて、まだまだ序の口ですね。
それでもとりあえず、なんとか――
608
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:01:22 ID:UXSYQ7yA
ヒルダ「うぁっ――――」ズルッ・・・
――なんて、考えていたのが、馬鹿でした。
――激痛の呻きが、傍のヒルダ姫から聴こえてくる。
――狙ったのか、はたまた偶然か。…きっと、狙ったのでしょう。
デイジー姫の3投目は、ヒルダ姫のドレスごと、ヒルダ姫の右太ももあたりを、
グサッとザクッと、あっさり貫いていきました。
それでも、流石はヒルダ姫。流れる血など、なんのその。
一度、もんどりうって地に伏せたものの、涙目で、歯を食いしばって耐え…
息を整えつつ、立ち上がろうと、しています。
私は、ヒルダ姫を信じます。――だから、駆け寄ることなんていたしません。
だから私は、デイジー姫をしっかり見据えたままで――
――――あ、れ?デイジー姫が消え、ました!?
609
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:04:47 ID:UXSYQ7yA
ヒルダ「ロゼッタっ!上…というか後ろですっ!」
痛みを堪えつつ、ヒルダ姫が警告を発する。
目を切った瞬間に、身を舞わせて浮遊足場に移動――!?
振り向いてみれば…なんか、背後から殴り込んできました――っ!?
ヒルダ姫を庇おうと、決死のダッシュ。
私の作った鎧だけではあまりにも心もとない。
ビシィッ! ビシィッ! ビシィッ・・・!
ヒルダ姫と私の目の前に、改めて隔壁を急ごしらえっ!
デイジー「こんなもの、回り込めば――」
ロゼッタ「せい、やぁ―――――っ!」
ブウウウゥゥンッ!
隔壁との接続を切らないでいて、よかった。両腕を前に突き出し、
力を集めつつ、腕のスイングと共に隔壁をスライドッ!
厚い厚い壁を、再度作るより、こちらの方が多分早くて低コスト!
勢い余ったデイジー姫の拳を、どうにかこうにか食い止め――ますっ!
叩いてみるまで、そこにあるとは中々気付かれにくい、透明度の高い壁。
とりあえず食いついてくれました!
610
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:06:56 ID:UXSYQ7yA
デイジー「……!付いて、来られるか――だが」
ロゼッタ「――――けほっ」
代償も、小さくない。じわじわと体を蝕まれ、数えるのも億劫になった吐血。
それでも、なんとか…自らを奮い立たせ踏ん張って、デイジー姫を見据えますっ!
デイジー「意気込みすぎているのはいいが、ロゼッタ。
お前、フルパワーすぎて、いつも以上にスタミナ切れが早いぞ?
ペース配分の重要性を…忘れたのか?」
ロゼッタ「……ゴホッ、ゴホッ…は、はは。不真面目な動きには、見えない、でしょう?
そうだ。ちょっとくらい、手加減しても、バチは当たりませんよ?」
とはいえ、デイジー姫は一層拳に力を込めて、ぐぐぐっと全力前進。
1枚、また1枚、またまた1枚……!
衝撃に晒された隔壁は、ちょっとデイジー姫を減速させるくらいで、
外側から順に次々とかち割られ、その役目を失っていきます。
611
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:09:36 ID:UXSYQ7yA
補強、補強、補強――――っ!
ヒルダ姫が攻撃態勢を整えるまで、私がカバーして差し上げなければっ!
…ですが、損傷速度の方が、どうにも、大きい…!
デイジー「ふ、は、はははは――――っ!!」ゴオオオオオォォ!!
ロゼッタ「ぐ、ぎ、ぎぎぎ……………勘弁、してくださいよ…っ」
それでも、高エネルギーの衝突に耐え、少しでもデイジー姫の到着を遅らせます。
あ、隔壁動かせるとはいえ、あんまりフェイントで側面から攻撃とか、ヤメテクダサイね!
神経ますます磨り減るんで!もうちょっと、意地張っててくださいね!
あ、視界が…ちょっと、赤い、気がします。
いえ、投げ出したりは、しませんっ!
ロゼッタ(…予想以上に、負担が大きいん、ですけど、ねぇ!)
ですが――デイジー姫に悟らせては、いけません。
あとで…怒られる気はしますが、はい。
…泣かれたら、嫌ですね。
612
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:13:40 ID:UXSYQ7yA
ヒルダ「……ハァッ…もう、大丈夫、ですっ!――――――――ハンマーっ!」
そうこうしているうちに、ようやくヒルダ姫が、戦闘態勢を整えました。
右脚をできるだけ庇いつつ、フラフラとではありますが立ち上がって、
ファントム・ユガに命令を下せる段階です。
復活した、凛としたその声で、魔物が炎の杖を振り回す。
ヒルダ姫の足元に流れる血が痛々しいですが、いまは少しでも粘って…
ゼルダ姫の自由行動時間を伸ばすべき。
ファントム・ユガ「GUOOOOOOOOO!」
ヒルダ姫の後押しも加わって、なんとかデイジー姫を押し戻そうとします。
デイジー「…一つ覚え、懲りない奴だ」
ヒルダ「――――ハンマー!――――ハンマー!――――まだ、まだぁっ!!」
――1発、2発、3発。
しかし、もはや、ヒルダ姫の攻撃は脅威と見なされなくなっています。
ヒルダ姫が、じりじりと、後ずさる。
怯えたように、私の後ろに隠れて、私と付かず離れずの距離になりました。
613
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:17:44 ID:UXSYQ7yA
私は、隔壁の制御を左手で任せて。
空いた右手で、ヒルダ姫の左手を握ってあげます。
…負けていられませんよ、頑張って。
強く強く、神経を集中し、握り締めます。
もちろん、この一連の挙動は、デイジー姫からすると――
デイジー「なるほど、ファイアロッドにみせかけてハンマーを繰り出す…
その程度の引っかけが、お前の戦略だというのだな。
久しぶりに…臆病風が、吹いたかぁ――!」ギュンッ!
――――――――かかった!!
ヒルダ「――――――――」スッ・・・
ヒルダ姫の怯えた「ふり」が、終わりの時を告げます!
治療中のFP制御の経験から閃いた、私の魔法の発動と共に!
召喚獣が、炎の杖を、ハンマーにしっかり、切り替える。
…妙に、そのハンマー、大きいんですよ。ええ!
614
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:24:35 ID:UXSYQ7yA
ロゼッタ(――――Double Slot《相互演算》)カチッ!
相互演算の 効果で 魔法回路が 接続されている!
ロゼッタは 術式演算の 一部を 肩代わりした!
ヒルダの 術式ランクの 限界が 高まった!▼
ヒルダ「―――――――ナイス、ハンマァァァァ――――ッ!!」ビシィッ!
ファントム・ユガ「YEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAH!!」ブンッ!!
カッ!! ――ドッズウウウウウウウゥゥゥン!!
デイジー「…………ぐっ…………!?」ブワッ!
いつものハンマーに比べ、倍以上に丸々と肥え太った巨大なハンマーが、
速度すら増してデイジー姫に、しかと振り翳されます!
いつものごとく無視可能、蹴散らし容易とばかり思い込んで突っ込んできたデイジー姫を、
したたかに打ち付けて、向こうに吹き飛ばして見せました!
ヒルダ「――――これが、私の…奥の手、ですっ!!」
615
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:28:02 ID:UXSYQ7yA
デイジー「……っ、ロゼッタ、お前…なにかやったな?」
ロゼッタ「…………人を疑うのは良くないと思いますよ」
片膝姿勢でズサァッと5mほど滑り、止まってからも立ち上がろうとしないデイジー姫。
ダメージがきつい、というよりは、呆れているっていうニュアンスが伝わってきます。
ロゼッタ「…まあ、私のせいではありますが。ふふん、ネタ晴らしは試合終了までしませ――」
デイジー「大方、手を握ったことで2人の魔法回路を接続させて――
疑似的に魔法回路の容量を増やすことで
ヒルダに実力以上の魔法を繰り出させたのだろう?
ヒルダも、中々の演技振りだったということか、迂闊。
だが、言い換えれば、その間のロゼッタはサポートに掛かり切りで腑抜け状態。
碌に行動手段を持たなくなる、という認識で間違いないか?
そのくらいの対価は当然あるよな?魔法使い殿?」
ロゼッタ「――――どどどどうでしょうかねえ」
うわぁい、完全にばれています。
…まあ、時間とともにばれるのは覚悟していました。
それが、ちょーっとだけ早まったということにしておきましょう。
616
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:32:06 ID:UXSYQ7yA
私の失態をなかったことにしてやろうと、ヒルダ姫が、熱気を帯びて動きます。
力いっぱい、手を振りかぶって。
ヒルダ「ナイスハンマー、連撃!叩きつけて…差し上げなさいっ!!」ゴオオオ
ヒルダの 攻撃は まだ続いている!▼
デイジー姫、迫り来るハンマーを二度、三度受けて、感触を確かめていましたが…。
さしものデイジー姫といえど、潰されないためには、しっかり足を止めて構えて、
受け止め、静止させ、力任せに目一杯押しのけ、跳ね返す…という動作が必要が出てきました。
…あ、あの表情。思いっきり苦虫を噛み潰したような状態です。
ふっふっふ。
それだけ、私の魔法回路がヒルダ姫の底上げを行えるスペックを持つということです。
劣化状態の今の私ですら、ヒルダ姫の負担を半分…いえ3分の1にはできていることでしょう。
…というわけで、私の頑張りに免じて、ちょっとばかり気遣ってくれませんか、ヒルダ姫。
既に血の気が引いて来ているのですが。助けてください。
617
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:35:13 ID:UXSYQ7yA
ほどなく、この魔法も「しっかり避けるべき」対象と見なしたご様子。
左右に振って、浮遊する足場を駆使して、掻い潜りつつ接近するスタイルに移りました。
ヒルダ姫に、デイジー姫の動きを追い切る洞察力、動体視力はとてもありません。
…ですが。
ヒルダ「…ようは、隙間なく打ち続ければいいだけのことでしょう――――!
ははははは――!」
ヒルダ姫が、トランス状態?…邪悪な?高笑いまで始めて、ノリに乗っています。
そして、有言実行。ドカドカドカドカと、地面が叩かれ、轟音と爆音の嵐。
…そういえば。昨日の練習のときも、そうでしたよね。
一気に限界突破した魔法を行使できるのが本当に嬉しいのか、
ゼルダ姫がたしなめるまで延々と、魔法の繰り出しに付き合わされました。
提案した側の私が、半泣き状態になるほどまで。
既に立っている状態なのに、立ち眩み。あ、本格的に、まずそうです。
な、何が、彼女をそうさせるのでしょう、か…?
618
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:41:25 ID:UXSYQ7yA
〜選手控室〜
リンク「そういや、ロウラルに冒険に向かった時さぁ。
ヒルダの奴が、『Heyリンク、実は私が黒幕でした』って衝撃告白して、
そのまま動けないゼルダから知恵のトライフォース奪って、
ユガをドババーンって呼び出したんだよ」
マリオ「いきなり前提知識なしに語り出すなよ。ユガってなんだよ、召喚物か?
つまり、もともとヒルダは悪役だったんだな。…だが、なんで唐突にそんな話を?」
リンク「いや、その時のヒルダの豹変ぶりが中々面白くてさ。
3人のことを心配してたら、ちょうど思い出しちゃったんだ。
たぶん、初めてトライフォースの力を得たことで実力が一気に底上げされたのが
本当に嬉しかったのか、抑圧からの解放か、高笑いまでし出してさ。
それまでは、落ち着いた天の声色で俺を手助けしてくれる、
穏やかで奥ゆかしいお姫様とばかり思っていたのに。ゼルダ姫とは違って」
マリオ「お、おう。……意味がない質問をさせてもらうが…苦戦したのか?」
リンク「いや、全く。自慢じゃないが、流石に俺と比べるのは可哀想だろ…。
ヒルダが唯一得意とする魔法分野ですら、なんとか俺の勝ち。
基本体力なんて、当時のヒルダだったら10メートル離れて俺が回転切りするだけで
風圧で壁に叩きつけられて死ぬんじゃないか?」
マリオ「優しさの欠片もない評価だな」
リンク「客観的な評価と言ってくれ」
619
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:48:12 ID:UXSYQ7yA
リンク「そして、頼みの綱として縋ったトライフォースの数ですら俺の方が多いっていう。
なんだったらあれだよ?トライフォース6つ使って、正六角形に綺麗に並べて
『壁々のヘキサフォース!』とかやっちゃうよ?
結局は召喚したユガにまで裏切られて、ほんと可哀想な役回りだったなあ…」
マリオ「『かべかべ』って言いにくいな…。だが、トライフォースは幾つあってもトライフォースだろ?
よく『聖三角』って呼んでるじゃないか。三角形だからトライフォースなんだろ?」
リンク「…………え、力と知恵と勇気、3つの力でトライフォースじゃないの?
(本来は)3個に分かれてるからトライフォースじゃないの?」
マリオ「その理論だったら、お前が正六角形に並べたところで
『勇気のモノフォース!』じゃね?」
リンク「予想以上にダサいな!?
…でもそうだな、ゲットするたびに1個1個『○○のトライフォース』って言ってきたし。
じゃあマリオの方が正しいのか。
…待てよ、ちいさな欠片を『フォース』とだけ呼んでたこともあった気が。
…いや、もしかすると、勇気のトライフォースにも力と知恵の成分が5%くらいつつ添加されていたりするのか…?
…じゃあ俺が持っているのは『ほぼ勇気のトライフォース』…?あれ、頭が混乱してきたぞ…?」グルグルグルグル
マリオ「やめとけ」
620
:
Mii
:2020/02/15(土) 16:52:55 ID:UXSYQ7yA
〜閉ざされたフィールド〜
ヒルダ(…………なんだか無性に心が切なくなってました)ガクーン
ロゼッタ「――あ、の。そ、そこまで連続行動、されると。
ちょっと私の負担が、お、おおきい、かなって…ヒル、ダ、姫」ガタガタガタガタ
デイジー「……」ジーッ
ヒルダ「さあさあ、まだまだっ!相手の動きが鈍ってきています、
どんどんデイジーを追い込みますよぉっ!」バッ
ロゼッタ(聴いちゃいない!)
仁王立ちして、口をできるだけ閉じて、痛みに涙堪えてプルプル震えているのですが。
デイジー姫が、やや引き気味に…それはもう、物理的および精神的に引き気味に行動しつつ、
半ば「私の自滅待ち」をし始めているような錯覚がしてきたのですが!錯覚ですよね!?
まずいです、ヒルダ姫の抑制の練習まではしていませんでしたっ!
――ここは、やはり。
――ちらっと見れば、時間を作った甲斐あって、準備万端ゼルダ姫!
――貴方に頼るしか、なさそうです!
621
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/02/23(日) 05:25:19 ID:1UjKuxiM
ゼルダ(――随分と、時間を与えてくれたではないですか)
まるで、こちらの警戒をしていない。千載一遇のチャンス到来です。
柱の陰を上手く利用して、光り輝く弓矢をできる限り隠し通したのが功を奏しているよう。
しなる弦、飛び立つのを今か今かと待ち望む矢。
このまま矢を解き放つか、接近して確実性を上げるか――
…………。
私の動きを視界に入れてしまう危険性のほうが、
どうやらよっぽど高いようですね。
私も、ここの生活で、デイジーと比べた際の身体能力の低さは…
冷静に判断できるようになってきたつもりです。
でも、光の弓矢の速度に対する誇りと自信も、付いてきたのですよ?
622
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:29:20 ID:1UjKuxiM
…決めました。
あとは、できるだけヒルダ姫の行動を読み――
デイジーの反応を遅らせるベストなタイミングで、魔法を発動させるのみ。
非常に頼もしいことに、万が一外してしまっても、
ロゼッタの回収能力があれば、全部が全部、無駄にはなりませんし。
それこそ、先ほどのように、2本の光の弓矢で狙い撃ち、なんてことも出来ます。
…繰り返します。非常に頼もしいですよ、本当に。
伊達に、3人の連携を、これまで取ってきていません。
ある程度の動きなら、癖なら、お互い把握できる。分かり合える。
ステップ。ひと呼吸。ガード。身構え。
まるで、照らし合わせた台本のように。
一見して調子に乗り過ぎて、我を忘れて仕掛け続けているようにも見えるヒルダ姫が。
振り返るまでもなく、ちらっと斜め下を向き、カツンと踵を鳴らします。
――もう、言葉は、要らない。
私は一転してパッと柱の横に飛び出て、
ヒルダ姫を射貫くかの如く、魔法を発動させ、あとは――
ヒルダ「それを待って――」
623
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:37:31 ID:1UjKuxiM
デイジー「そいつを待ってたんだよ、なあっ!!」グワン!
――――なっ!?
そのとき、信じられないことが、起こりました。
デイジーが激しく地を蹴る。…今度は本当に、「地面を蹴った」のです。
もともと散らばっていた瓦礫、さらにその下の土まで薙ぎ払う蹴り。
もうもうと砂の幕が張られ、皆の姿がかき消されます。
…それでも、矢を放とうと動作に入ってしまった私の手は、止まることができません。
――何か、非常に、よろしくないことが…!
それでも、手は、止まらない。
624
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:42:55 ID:1UjKuxiM
バチィ―――ッ!!
ロゼッタ「――――ひゃっ!?」
ヒルダ「――きゃあっ!!」
煙幕の中で、何かが、弾けた、音が、する。そう、思ったのが、0.5秒後。
弾けた?何がですか?
ヒルダ姫とロゼッタの、繋いでいた手が、強引に引き裂かれた?
なんの、ために?なんの、意図を以て?
ゼルダ「――――――――っ!?」
私は、最悪な状況を想像してしまいました。
どうか、外れていて――
その想いは、無情にも裏切られます。
煙幕から、ぬるっと、銀色の冠が――見えました。
625
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:49:35 ID:1UjKuxiM
もぎ取られる感じで、強引に手の繋ぎを引き裂かれていたヒルダ姫。
おかげで指を血が滴っている有様ですが、本人は気にも留めません。
ヒルダ「ロゼッタアアァァァ――――!?」
彼女の叫びが、ただただフィールドに木霊します。
デイジー「時間稼ぎさせれば、お前らは必ず、ほくそ笑みつつ、光の弓矢でチャンスを伺ってくる。
飛んできたソレを躱したとしても、ロゼッタに回収されちゃ…なあ?
いまいちお前らの戦力消耗になってない。私のリスクを高めるばかりだ。
――なら、話は簡単だ。
ロゼッタが回収する余裕もないように誘導できる、弓の撃たせ方をさせればいいのさ。
たとえば、今みたいに――
光の弓矢目掛けて、真正面からロゼッタを一思いに投げつける、とかな」
626
:
Mii
:2020/02/23(日) 05:56:19 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「――――――――――――」
デイジー「私に駆け引きで勝つのは、そう簡単なことじゃないぞ?」
チッチッチ、と指を振って嘲る素振りのデイジー姫。
まだまだ舐め腐られている。私は――ただ、ワナワナと震える、ばかりなり。
デイジーはこちらを向いており、もはや目で追ってはいませんが――
光の弓矢が、フィールドの遠くへ一直線に飛んで行く。
デイジーは、多少は無理をして掻い潜ってみせたのか、ドレスと顔に、幾重にも切り傷。
さきほどより、血の滲む箇所は更に増えました。
そして、一方。手には、紋章など浮き上がらず――――
ロゼッタ「――――――――――――――――」フラッ・・・
勢いよく放り投げられ、状況を察せないまま背中から、無慈悲にも――
心の臓を光の弓矢に貫かれ、絶命して。糸の切れた人形のように
横倒しになるロゼッタが、いたのです。
ロゼッタの残機が、ひとつ、確かに、減りました。
627
:
Mii
:2020/02/23(日) 06:14:50 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「――――――――ゴホッ!ゴホッ!――――――――っ!!
…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!…ハァっ!…ハァッ!
い、い、い、いまのは、さ、さ、さす、がに、効きました、よっ!?
デイジー、姫。貴方、お、おにです、か」ピカーーッ!
ふ、ふっかつ、してます、よねっ!?…ああ、よかった。
復活したのはよかったですが、今更ながらの遅すぎる、怒涛の冷や汗。
なんて、恐怖体験。体がここまで震えるなんて、久しぶり、ですっ!
心臓もバクバク言っていて、本当に煩いくらいです。
いや、もちろん単なる破壊力だけなら、デイジー姫の渾身の連弾を食らう方がきついのかもしれませんがっ!
なんか、一瞬で自分が無に帰るんじゃないかっていうくらいの一撃でしたよっ、今の!
やっぱり光の弓矢という魔法は神が与えし代物ですね…!!
あ、あしが、わらっていて、うまく、立てません。
し、しかしっ!予定外の残機損失を、して、しまったのですから!
立て直さなければ、勝ちの目がだいぶ薄くなってしまい、ます!
ゼルダ「――――ご、ごめんなさい、ロゼッタ――――!」ジワッ
ヒルダ「――――――――っ!
ロゼッタ、ロゼッタッ!大丈夫、です、かっ!?わ、私が調子に、のる、から…!」ダダッ!
ゼルダ姫は珍しく狼狽し、ヒルダ姫が泣きじゃくりながら駆け寄ってきます。
そのお気持ちは本当に嬉しい、のですが…!
628
:
Mii
:2020/02/23(日) 06:30:13 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「お二人ともっ!まだ…試合は継続、中、ですよっ!
油断しては、いけませんっ!私なら、大丈夫、ですっ!」
心配を掛けないよう、なんとか気合で虚勢を張って見せます。
早く、迎え撃つ態勢に戻って!デイジー姫の次の狙いは貴方たちなのですよ!
ヒルダ「で、でもっ!でも、ロゼッタ!今、思いっきりグサッ…て!
血がっ!ドバァって!あんなのっ!見た、らっ!」ポロポロ
動転状態からいつまでも戻ってこない、ヒルダ姫。
よほどショッキングな光景だった、模様です。我ながら。
止め処なく、涙が溢れて来ていて、終わりを知りません。
ロゼッタ「気にしていませんから、はやくシャキッとしてください!」
ヒルダ「そ、そんな、ロゼッタぁ――」
――覚悟を決めなければ、ならないようです。
629
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:11:08 ID:1UjKuxiM
――――パチィン!
ヒルダ「ぶっ――――――――」
ゼルダ姫と、デイジー姫が、目を見開く。
私は――ありったけのスウィングで、抱き着かんとするヒルダ姫の頬を張りました。
赤く腫れた頬を抑え、横に流しやられた顔をぎこちなく、ぎこちなく戻しながら、
ヒルダ姫が信じられなものを見るように私を見つめます。
ロゼッタ「でも、も。何、も。ありませんっ!この私が、気にしていないと言いました!
私も、ゼルダ姫も、むざむざ負けたくなどないですよ!
貴方は、そうではないのですか!?誓いは――嘘だったのですか!?
そんなことでは、体たらくでは――最後の最後まで逃げて怯えて――
デイジー姫に1対1で相まみえる絶望の未来しか見えてきませんが、よろしいのですかっ!」
ヒルダ「―――――――――――――――――――――っ!!」
630
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:14:32 ID:1UjKuxiM
ゼルダ「―――――――――――――――――――――――」
ヒルダ姫が、徐々に目を見開き。ゼルダ姫が、驚愕の眼差しでこちらを見て。
ヒルダ「い、嫌――い、いや、です――――――そ、そんなの――」ガタガタ
数歩後ずさりながら、うわ言のように、繰り返す。
ロゼッタ「ヒルダ姫っ!」
ゼルダ「ヒルダ姫、気をしっかり持ってください!」
デイジー「いつまで、やってるんだ?」ゴウッ
ヒルダ「――――っ!?」
――とっくに、10秒、経っている。
そんなに暴走した後ろめたさがあるのなら。ついでに引導、渡してやろうか。
…そんなデイジー姫の声が、聞こえてくるようです。
631
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:16:31 ID:1UjKuxiM
首根っこ掴んで、デイジー姫にしてみれば、軽い頭突き。
たちまちヒルダ姫の額は割れ、血を噴き出しながら激痛に苛まれる。
間髪入れず、ヒルダ姫の体をぶわぁっと放り投げ、自分も鳥の如く舞い上がる。
ヒルダ「あ――」
虚ろな表情のヒルダ姫の眼前に、迫り来る足。
いたずらに首に引っ掛けられた、下向きのベクトル甚だしい、踵落とし。
怒涛の一撃が、襲い掛かる。
ゼルダ「――くっ。…………光の…」パアァァ
ゼルダ姫は「諦めて」、せめて時間を無駄にしまいとフィールドの反対側に駆けつつ、
光の弓矢の充填に入ります――!
反射的に助けようとする私の手の、はるか向こうをすり抜けて。
フィールド外に向かって飛ばされて行きました。
ヒルダ残機・・・残り『2』
ヒルダを包む要塞法衣が 完全に 解けた!▼
632
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:21:41 ID:1UjKuxiM
…ヒルダの残機が、減った。
ファントム・ユガ「…………」ユラァ
通常ならば、ヒルダが残機を失った瞬間に、召喚物の類は消え失せる。
それが、召喚者との接続の切られた物の定め。
、
…しかし、今回に限っては、それは当てはまらないらしい。
杖を持ちこちらを睨む召喚獣は、姿を残したまま。
ロゼッタ「消えちゃうのは、勿体ないですからねっ!」ポワン ポワン
ヒルダとの接続が消えているちょっとの間、ロゼッタが急ぎ駆けつけFPを供給することで
消滅を防いだようだ。10秒縛りがなければ、ロゼッタを伸しておいたのだが。
…というかロゼッタ、器用だな。お前にはFPの輸送法…教えた覚え、ないのだが。
一方のゼルダは、間もなく充填完了の構え。…やれやれ。
やや赤くなった腕を少し見る。距離をもって撃たれる分には、まだ…耐えられるだろう。
今の所、全員の残機を1ずつ削って、片腕をそこそこ消費。
もっと楽勝のつもりだったが、勝ち負けでいうなら、割と余裕の流れ。
633
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:26:00 ID:1UjKuxiM
さあ、ここからどう動いてくれるか、楽しませてもらおう。
さっきのロゼッタぶん投げのこともあるし、向こうも流石に警戒はしている――
ここぞ、という相当な近距離からしか撃とうとはしてこないに違いない。
光と共にシュタっと現れたヒルダが、顔を真っ青にしている。
おびえ苦しむ様子ながらも、それでもなんとか、詰まりながら魔術を行使し、魔物にバクダンを構え直させる。
ヒルダと魔物との再接続を見て取ったロゼッタは、ヒルダの後衛として撤退。
ルール的に、ヒルダは一旦狙われなくなったからこその判断だろう。
しかし、ヒルダの心の傷はそう簡単に癒えるものではない。ぐさりと、楔は刺さっている。
ゼルダについては復調したが、ヒルダは…しばらく使い物にならなそうだ。
ロゼッタの叱咤激励が、ものの見事に逆効果。
いつぞやのトラウマを引き起こして、動揺、挙動不審に意気消沈。
ゼルダとロゼッタの顔色をやたら確認し、精彩を大きく欠いている。
ヒルダ「――――ハァ――――ハァ――」ガタガタガタガタ
ロゼッタ「――要塞、法衣っ」パアアァァ
どうせヒルダが狙われないならいっそのこと、と。
ロゼッタが、自身を優先させて強化する。それはそれで、ヒルダが孤立するぞ?
そして、私は…発動の瞬間に、体がふらついたのを見逃さない。
確実に、ロゼッタの魔法行使が悲鳴を上げるようになっている。
634
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:31:27 ID:1UjKuxiM
ゼルダ「それでも――
私たちには、これしか、ないんです、よっ!!」キュイィーン!!
距離を特に詰めない?…だから、それ、それほど効かないんだが。
他にやることはないのか?縋りたくなる気持ちは分からなくもないが。
デイジー「しつこい――」バッ
目の前のヒルダは無視し…いや、せっかくだからと腹に重い拳をめり込ませて、
勢いそのままにその奥のロゼッタ目指してひた走る。
間もなくの弓矢の飛来からも距離を取れて一石二鳥…いや一石三鳥。
吹っ飛ぶヒルダ。
ルール違反にならないよう、手加減はした、つもりだ。
特段、柱とか、足場の出っ張った角とかにヒットしてお陀仏にならない程度に…
腹を拳が貫通しない程度に、そう。たかだか地面を転がり滑る、程度に。
今のヒルダなら、出血大サービスの血みどろでも多分、生き永らえているだろう。
635
:
Mii
:2020/02/23(日) 07:42:29 ID:1UjKuxiM
ヒルダ「――――――――っ!!――――っ!」モガキ
ちらっとヒルダの方を見て、一瞬暗い顔をしたかに見えたロゼッタ。
だが、私の拳が届く一拍前に、口を一文字にし、意を決して小ジャンプ。
体の下の空いた空間に手のひらを向けて、光る「何か」を作り出す。
そして、私の拳が達する一瞬前に――
砂の柱によって掻き消える。
デイジー「…サンド、ロッド?」クルッ
転がった先で、ヒルダが言葉にならない呻きで仰向けに倒れて…
それでも尚、瓦礫に埋もれながらも、尚。ほんの僅かだけ首を傾けてこちらを見据え、手を伸ばしている。
…ぎりぎり、ファントム・ユガへの命令が間に合ったのか。
ロゼッタ「この足場、下から貫通できるんですよ!!上出来ですっ!
――そ、ぉれ!!」ブワッ!
ヒルダのなんとか正気を保ってのアシストで、ロゼッタがぐんぐんと急上昇。
緊急回避をやってのけた。即興で作ったらしきバディブロックと共に、上へ上へと舞い上がる…!
636
:
Mii
:2020/02/23(日) 08:02:16 ID:1UjKuxiM
私からすると、バディブロックは光の反射・屈折具合でしか確認できない代物。
ただ、低姿勢にジッと構えたロゼッタと砂の柱との間にぽっかりと空白があるのだから、
疑いの余地はない。さしずめ、透明な高速エレベーター。
エレベーターはエレベーターでも、安全装置も加速制御もない、怒涛の片道上昇だ。
砂の柱が上限一杯になって止まってからも、ロゼッタは透明な箱に乗り、上昇を続ける。
あっという間に最上部まで……!
しかし、ロゼッタは無事でいられるのか。
あんな押上げを食らっては、足腰が破壊されてもおかしくない。
――つまり、さっきの要塞法衣…そういうことか。
ロゼッタの 「全身の」 攻撃力が 15%アップしている!
ロゼッタの 「全身の」 防御力が 300%アップしている!
ロゼッタの 「全身の」 素早さが 50%ダウンしている!▼
637
:
Mii
:2020/02/23(日) 08:05:09 ID:1UjKuxiM
ハナから固定砲台の役割を持たせると割り切った作戦。
水平方向に比べれば、垂直方向の私の追撃は多少は時間が掛かる。
それを見越して、最上部から見下ろして安全に回収する算段に切り替えたか。
光加減をよく確かめておけば、気付けたかな。
ゼルダ「――行って、くださいっ!!」シュパッ
ゴウウウウウゥゥッ!!
光の弓矢が、勢いよく、撃ち出される。
下手にロゼッタに回収されると、また不意打ち至近距離で万が一、ということもあり得る。
軽いダメージで確実に消し飛ばせるのなら、多少は目を瞑って……。
デイジー「……!?」
お、おい。これは――――!
638
:
Mii
:2020/02/23(日) 09:17:35 ID:1UjKuxiM
ゼルダ「受け止められるなら――受け止めて、みなさいっ!!」クルッ!
光の弓矢が、ただ走る。
――何もない、空間へと、一直線に。
デイジー「――――無茶、言うなっ!」
私と90°もずらした方向に撃った光の弓矢など、触れられるかっ!!
こいつ、かんっぜんに回収前提で光の弓矢を放つとは。
光の弓矢使いが荒いなっ!ハイラル王国の先祖たちが泣くぞ!
ゼルダ「さあロゼッタ!今度こそ、しっかり――光の弓矢を回収してしまうのです!!」
腰を落として、ガッツポーズまでしてくれる。
639
:
Mii
:2020/02/23(日) 09:22:32 ID:1UjKuxiM
そちらがそこまで割り切るのならば、こちらもさっさと割り切ろう。
光の弓矢をとにかく打ち止めにしてしまうために、ゼルダの残機をさっさと0にする。
ゼルダ→ ロゼッタorヒルダ → ゼルダ、これでルールには抵触しない。
ヒルダが風前の灯なので、ヒルダ狙いが賢い…と言いたいとこだが、
ここはロゼッタを狙っておきたい。というのも、残機が減れば自動的に、ストック分の魔法が消滅するからだ。
いつまでも寝首を掻かれ得る状況は御免被りたい。
そう、思ったところで――
何かが、上から、降ってきた。
ゼルダ「ロ、ロゼッタッ!?」
――ロゼッタ?…本当だ。
――どういう訳か、上の方からドシャァと落ちてくる。
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