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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」

1Mii:2019/03/31(日) 10:37:38 ID:iLEqj1bw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

を前スレとする続編となります。
前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。

遅い進行のスレですが引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。





パルテナ「そのほか、いくつか注意点があります。

     ・スレ主のスマブラfor経験は、CPU(Lv.9)とのタイマンで
      勝ち越せない程度の実力しかありません。
      戦闘描写に過度な期待をすると酷いことになります。
      むしろ、『うわあ、この描写ニワカだな』と粗探しするくらいの気持ちで
      読むようにしてください(最重要)。

     ・前スレ同様、いろいろとパロデイ、メタ発言が散りばめられています。
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義は
      白ける方もいらっしゃると思います。そんな時は…
      別のスレに移って、このスレのことは忘れましょう。
      
     パルテナお姉さんとのお約束ですよ♪うふふふふ」

285Mii:2019/10/20(日) 19:24:11 ID:kTeQvGU6
国王「…はぁ。デイジーも、もう二十歳を過ぎてるだろう?
   いつまでも子供っぽい行動じゃ許されないぞ?
   そんなことを言っていると、将来、立派な女王になれないぞ?
   学問に王道なし、だ。

   かのキノコ王国のピーチ姫は、最近即位したばかりだが、
   それはそれは有能な傑物で、どんな難題もたちどころに解決してしまうそうだ。
   デイジーも、そんな人に少しでも近づきたいだろう?」

デイジー「い、いやね?こう、城下を巡っている間に、
     若者同士の喧嘩を取り押さえたり、迷子を案内してあげたり、
     治安向上に結構貢献してるよ?王国民の立場で物事を見るって大事だよ、きっと。
     最近は、知識を深めるために各国を行脚してみたいなーとも思い始めてるし。
     あ、そのキノコ王国ってところにも行ってみたい!ぜひ!」

国王「稽古事から解放されて、旅行して美味しい物を食べたり観光したりしたい、
    の間違いだろう?懲りないな」

デイジー「…………てへ」コツン

国王「二度目は禁止。……はあ、とにかくすぐに、家庭教師さんに十分謝ってきなさい」

デイジー「かしこまりましたっ!」

286Mii:2019/10/20(日) 19:27:00 ID:kTeQvGU6
大臣「王よ、いくら愛娘といえど、齢21にもなって、立場を理解しない愚鈍な振る舞い、
   いい加減に本気で矯正してやらねば…サラサ・ランドの将来が危ういですぞ?」アキレ

大臣「全くですな、もはや手遅れの可能性もありますが…
   これは、夜逃げの準備をしておいた方がよいかもしれません」タメイキ

国王「うむ、皆の言い分も至極もっともだ。…だがまあ、
   デイジーはこの明るさが最強の持ち味だからな!
   その分、私と妻がしゃかりき働いて見せるから大目に見てやってくれ」ドーン!

大臣「では、王が退位された暁には…私、お暇を頂きますね」

大臣「あ、私も」

大臣「俺も」

国王「えっ あの それはちょっと困るなあ、我慢してくれないか?
    デイジーも悪い子じゃないんだよ、うん。お転婆なだけで」アセリ

大臣「まあ、元気のないデイジー姫が爆誕したらそれはそれで気持ち悪いな」ヒソヒソ

大臣「言えてる言えてる」ヒソヒソ

287Mii:2019/10/20(日) 19:31:20 ID:kTeQvGU6
デイジー「大臣さんたちー、聞こえてるよー。というわけで、謝罪しに行ってきまーす。
      のびのびと成長出来て、私はサラサ・ランド、大好きだよぉー!じゃあねー!」タタタッ

国王「うむ、そうしてきなさい」ニッコニコ





大臣「いや、のびのび過ぎだろ。親バカここに極まれりだな」

大臣「全くだ…これでなんとかなっているのが不思議でならん。
    それだけ王が有能ということになるが…本気で次代が心配だ」

大臣「まあ、侵略されたことが一切なければ、こんな王国でもやっていけるってことだろ」

国王「こんな王国で悪かったなー、はっはっは!」

大臣「しょうがないですね」

大臣「まったく、ふふ…」

・・・
・・


288Mii:2019/10/20(日) 19:33:02 ID:kTeQvGU6
デイジー「―――――――っ」ギリッ



デイジー(状況は全然違う、はずなのに。
     昔の私と、今のロゼッタが、重なって見える)グサッ

デイジー(…………吐き気が、する)






ロゼッタ「私にできることなら、なんでも、しますから。
     何をすれば、デイジー姫の、信頼を、勝ち取ることが、できますかー!」グズッ





デイジー「――――え」

289Mii:2019/10/20(日) 19:34:55 ID:kTeQvGU6




――――嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だっ!嫌だっ!!
――――こんな自分、要らないっ!何にも守れないなら、死んだ方が万倍まし!
――――いなくなってしまった方が、いいっ!!

――――だから…マリオッ!私の、一生のお願いっ!
――――私に力を。全てを、一切合財を…己でねじ伏せてしまえる、力をちょうだい!
――――それさえあれば、私はどうなってもいい!なんだってする!
――――体を慰み物にされたって、悪魔に魂売ったって構わないっ!!




デイジー「――――っ!!」ハッ!



――――私は…ロゼッタをみて、何を想う?
――――もしロゼッタの立場だったら…自分の無力さに苛まれてたら…
――――それをヒラヒラ手を振りつつ「また今度」と受け流されたら…どんなに絶望する?



デイジー「わ、たし、は」

――――なんて、酷いことを、していたんだろう。

290Mii:2019/10/20(日) 19:38:43 ID:kTeQvGU6
ロゼッタ「くー」スヤァ

ロゼッタ「……うーん。あら?もしかして…泣いて泣いて…そのまま寝ちゃいました、か…?
     時刻は…ああっ!もう昼過ぎ!?すっかり寝坊ですっ!」ガバッ!



デイジー「…………」ズーン

ゼルダ「…………」

ヒルダ「…………」



ロゼッタ「…あのー。これは一体、どういう状況ですか?」

ゼルダ「…ああロゼッタ、ようやく目が醒めましたか。お寝坊さんですね。
     私とヒルダ姫が起きてきたときから、あの調子です。
     時折、聞き取れないくらいの小声でぶつぶつ呟きながら、
     呼びかけにも碌に応じず突っ伏したままの状態で」

ヒルダ「ロゼッタ、あのあと一体…何があったのですか?」

ロゼッタ「何があった、と言われましても。 私がその…無様に泣いて泣いて泣き続けただけで、
     特に何か妥協を得られたわけでは…むしろ、重ねてデイジー姫に無礼を働いたということで
     謝ることが増えたと言いますか…」

ヒルダ「…ロゼッタ、お疲れ様です!」ビシッ

291Mii:2019/10/20(日) 19:40:27 ID:kTeQvGU6
デイジー姫は、うっすら眼を開けて、無表情のまま、焦点の定まらない視線を…
ただ前方へ投げやっています。

ゼルダ「きっと、ロゼッタの渾身の泣き落としが効いたのですよ。さすがですね」ヒソヒソ

ロゼッタ「何がさすがなのか気になる所ではありますが…本当にそうなのでしょうか」ヒソヒソ

ヒルダ「もうひと押しと言うことですか?ロゼッタ、頑張ってください!」ヒソヒソ

ロゼッタ「わ、私が最後まで押し切るんですか…?
     お二方の助太刀も欲しかったりするのですが」



ゼルダ「私とヒルダ姫では追加攻撃出来ないので駄目です」

ヒルダ「駄目だそうです」

ロゼッタ「何の話ですか!?」

292Mii:2019/10/23(水) 00:34:29 ID:nJDn.zMQ
デイジー「……………………アンタたち、聞こえてるよー」



ロゼッタ「!!」

ゼルダ「あら」

デイジー「……ああ、別に心配しなくていいよ。……参った、降参。
      私のチカラ、使ってあげても、いい、よ」

ロゼッタ「ええっ、どういう風の吹き回しですか?」

デイジー「まあ、細かいことはいいじゃん。

     ただねぇ、そこは踏ん切り付いたうえで、チカラを使うことを既定路線にして、
     100通りほどシミュレーションしてみたんだけど。

     どう転んでも、この事件の全てが片付いた後に…
     私、3人から絶縁求められる結末しか導けなくて。
     ほとほと困ってたところなんだよ、はぁ」トオイメ

ロゼッタ「私たちが…」

ゼルダ「絶縁を…」

ヒルダ「迫る…?どういうことですか…?」

293Mii:2019/10/23(水) 00:37:15 ID:nJDn.zMQ
ありえません。そんなこと。
無理を言ってチカラを使ってもらうことになったというのに。

デイジー姫は、やや乱暴に頭を掻きむしってから、諦めの心持から言葉を紡ぎます。
笑って見せていますが、生気が欠けていて、あまり見ていられません。

デイジー「私って、チカラを使っているときの記憶、結構あやふやなんだよね…。
     無意識に忘れようとしているのかな?サラサ・ランドで頻繁に使う割に。
     毎度、気が付いたら全てが片付いてる…って認識が合ってる、か」

ロゼッタ「…あっ!もしかして、サラサ・ランドに戻るたび、
      溜まりに溜まっていた仕事を…その能力を使って超速で片づけていたんですか!?
      それで政務がなんとか持ちこたえている、と」

デイジー「…………妙な所で勘が冴えてるね、ロゼッタ。その通りだよ。
     チカラを使うと、基礎能力も知性も跳ね上がる、からね…」

そんな都合のいいことが起きるなんて、とでも思ったのか。
ゼルダ姫が息を飲みます。

ゼルダ「…そんなに万能な力なら、どう考えてもさっさと行使すべきでしたでしょうに。
     決まりですね、さあ、使って見せてください。フィールドに向かいましょう」



そう、一件落着とばかりに席を立つゼルダ姫。
デイジー姫も、つられてゆっくりと立ち上がり…あら?

向かおうとする先が、フィールドではありません。

294Mii:2019/10/23(水) 00:40:11 ID:nJDn.zMQ





デイジー「…ごめん。今日はちょっと準備があるから、『明日』になる」テク テク





ゼルダ「はい?まだ昼を少し回った程度の時間帯ですよ?
     それとも、まだ決意が定まっていないので――」

そのとき。
これまで…見たこともないような険しい剣幕で、
デイジー姫が怒号をあげたのです。



デイジー「ほんとに準備があるのっ!!馬鹿にしないでっ!
      それと悪いけど、明日になるまで、一番奥の部屋…貸切るから!
      絶対に、入ってこないでね!!」キッ



さしものゼルダ姫も、あまりの剣幕に、一喝に、思いっきり怯みます。
鼻息荒く立ち去っていくデイジー姫を、止めることすらできません。
ヒルダ姫は、すっかり縮こまってしまいました。

295Mii:2019/10/23(水) 00:41:46 ID:nJDn.zMQ
ロゼッタ「ま、まあ。明日には披露して頂けるということですし、いいじゃないですか。
      それではゼルダ姫、本日も…よろしくお願い致します!」タッ タッ タッ

ゼルダ「……これで、大した底上げにならなかったら承知しませんからね、デイジー」イライラ



少し進展した、と思いつつ。今日も今日とて、ゼルダ姫に鍛えてもらうことにしました。
明日が楽しみです。















デイジー姫は、夕食の時間になっても、一切姿を現そうとはしませんでした。

296Mii:2019/10/23(水) 00:44:00 ID:nJDn.zMQ



ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。



デイジー「……………………………………………………
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない……」ガンッ ガンッ



ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ。
壁に、床に、やり切れず頭突きの音が響き渡る。
凹むばかりは、壁の方。

297Mii:2019/10/23(水) 00:45:50 ID:nJDn.zMQ
デイジー「……………………………………………………
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない……」ガンッ ガンッ

デイジー「…………」ピタッ

デイジー「……………………無駄なあがき、かあ」グズッ

デイジー「よし、気持ち、切り替えるよ。私がやるべきことを、するんだ。
     これで、私達が、少しでも、活躍できるようになる…なら」グズッ



デイジー「……………………せーの」スゥー

298Mii:2019/10/23(水) 00:48:09 ID:nJDn.zMQ
デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……」ブツブツブツブツ

299Mii:2019/10/23(水) 00:48:48 ID:nJDn.zMQ
デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
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     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
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     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
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     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……」ブツブツブツブツ

300Mii:2019/10/23(水) 00:50:16 ID:nJDn.zMQ
キイイイイイイィィィィィ――――――――ン…。



デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
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     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
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     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……」ブツブツブツブツ

301Mii:2019/10/23(水) 00:51:00 ID:nJDn.zMQ
キイイイイイイィィィィィ――――――――ン…。



デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
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     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
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     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……」ブツブツブツブツ

302Mii:2019/10/23(水) 00:52:39 ID:nJDn.zMQ
キイイイイイイィィィィィ――――――――ン…!!!!!!!!

デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
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     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
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     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……

      私は…わ、た、し、は…………」ウツロ

303Mii:2019/10/23(水) 00:54:33 ID:nJDn.zMQ
〜翌日〜



ロゼッタ「いよいよですね!」ワクワク

ゼルダ「ロゼッタははしゃぎ過ぎですよ。
    今頃、大きく出過ぎたかと冷や汗たらたらの状態なのかもしれませんよ?」

ヒルダ「あは、それはちょっと見てみたいです…」



会話をしながら軽く身支度をして、さあ仮眠室を出よう…というところで。



がちゃり。



扉がぎいい、と開けられます。



デイジー姫が、妙に静かに――唐突に、部屋にやってきました。

304Mii:2019/10/23(水) 00:56:38 ID:nJDn.zMQ
ロゼッタ「おはようございます、デイジー姫!
      えっと、まずは朝食にしましょうか――――」





デイジー「フィールドに、全員、集合。…………以上」

バタン。





どうしたことでしょう、出鼻を挫かれました。
私の言葉を、いともあっさり遮って…デイジー姫は抑揚のない声で短く指示をして。
もう興味をなくしたかのように、また扉の向こうへ行ってしまいました。

ゼルダ「…なんですか、あの態度は。そろそろ許し難くなってきたのですが」

ロゼッタ「ま、まあまあ。デイジー姫の中で何かしらの葛藤があったということで、
     すこーし気が立っているだけですよ!」

ヒルダ「そうですね、とりあえずデイジーの所に向かってみましょう。
    彼女にも何か考えがあるのですよ」

これ以上、デイジー姫とゼルダ姫の仲をこじらせてはたまりません。
ヒルダ姫と協力してゼルダ姫を宥めに宥めて、揃ってフィールドに向かいます――。

305Mii:2019/10/23(水) 00:59:13 ID:nJDn.zMQ















――――地獄の宴が、開かれようとしていることにも気付かずに。











気付いていた者がいたとしたら…それはきっと、『もともとの』デイジー姫、くらいでしょう。

306Mii:2019/10/23(水) 01:00:43 ID:nJDn.zMQ
フィールドに向かってみると、既に到着しているデイジー姫。

――目を閉じ、腕を組み、柱の一つに背中を預けて、もたれ掛かっています。
――らしくない振る舞いだなあ、と一瞬思って……。



ロゼッタ「…………!?」ビクゥッ



足を止めてしまった私は、悪くないと思います。

――何か、違う。
――デイジー姫の雰囲気が、纏う何かが、凄まじく、違う気がする。

――いつもなら、満開の向日葵のような…優しく照らす太陽のような…
   明るく朗らかな雰囲気に満ち溢れている、はず。なのに。

――今のデイジー姫からは、それが一切感じられません。

しかし、ゼルダ姫とヒルダ姫は。
違和感こそ感じたものの、さほど気にしないようで。
特に歩みを止めないまま、デイジー姫の元に向かいます。

慌てて私も、付いていく。
…針のむしろの感覚を拒絶する体を、強引に、向かわせて。

307Mii:2019/10/23(水) 01:04:07 ID:nJDn.zMQ
ゼルダ「…はっきり申し上げますと、その態度、気に食いません。
    私たちを馬鹿にしているのですか?
    コミュニケーションをとるための態度と言うものがあるでしょうに!」

またもや、ゼルダ姫がおかんむり。
そろそろ、実力行使にも出かねない感じです。
それでもなお、デイジー姫は態度を改めません。

…いえ。それどころではありませんでした。
薄く目を見開いて、小馬鹿にするような感じで私たちをすいーっと見渡した後。
信じられない、とんでもない行動に出たのです。



いきなり、指を3本、突き立てて。



デイジー「さてと。今から、私が直々に特訓してやるわけだけど。
     『お前たち』には今後、約束事を3つ、守ってもらおうか。

     ひとつ。順番に特訓してやるから、私に休む暇を与えないくらいの気持ちで
     3人交代で絶え間なく掛かってこい。

     ふたつ。特訓は本気(マジ)でやれ。手抜きと逃げは万死に値する。

     そして、みっつ。      私の命令には 絶対 逆らうな。
                                             ……以上だ」

ロゼッタ「!?」

308Mii:2019/10/23(水) 01:06:38 ID:nJDn.zMQ
ゼルダ「…なっ!!」カアッ!

ヒルダ「…え?えっ?」



あまりの無理強い、無理難題。
デイジー姫の言い分を飲むなら、主従関係…いえ隷属にも当たるかもしれません。

私は…いえ、私とヒルダ姫は、「いきなりどうして、こんな激変した態度をとるのか?」という疑問が
真っ先に浮上してしまい、腹を立てるどころではありません。

――しかし、ゼルダ姫を怒髪天にするには、十分すぎたようです。

ツカ、ツカと速足でデイジー姫に迫るゼルダ姫。
当然ながら激しい口調で、デイジー姫を非難します。



ゼルダ「フラフラと訳の分からない態度を取っていたかと思えば…
    今度は横柄極まりない、一方的な命令姿勢…!!何様のつもりですかっ!!
    冗談ではありませんっ!ふざけないでください!
    
    これ以上の狼藉は、こちらとしても重く受け止めなければならなくなりますよ!
    ピーチには悪いですが、ハイラルに翻意ありとみなしてもよろしくて?」

309Mii:2019/10/23(水) 01:08:44 ID:nJDn.zMQ
デイジー「…………」

デイジー姫は、なんとも面倒な物をみるような視線を貫きます。
それが、ゼルダ姫の機嫌をますます急降下させることになるの、分かっていますか!?



デイジー「…………」

ゼルダ「なんとか言ったらどうですか!?」


デイジー「じゃあ言わせてもらう。
     …最後通牒。私の命令に逆らうな。どうなっても知らないが?」

ゼルダ「いい加減にするのはそちらでしょう!
    あいにく、ロゼッタやヒルダ姫はそこまで気に留めていないようですが、
    私はそうは参りません!誇りが、立場が私を奮い立たせます!
    私を誰だと思っているのですか!私はハイラル王国の――」

310Mii:2019/10/23(水) 01:11:43 ID:nJDn.zMQ
ギュンッ!



――「デイジー姫以外の」全てが、スローモーションに、見えました。
――デイジー姫の、腕が。こう、グイッと、伸ばされたのです。

――ヒルダ姫は、反応できない。
――私も、やっぱり反応できない。

――――ゼルダ姫ですら、何が起こったか分からない。



――伸ばされた腕は、いともあっさりとゼルダ姫の首に届いて…………。








――ぽきり、と。首を折りました。



…え?

311Mii:2019/10/23(水) 01:14:35 ID:nJDn.zMQ
ヒルダ「…え?」

――私も、ヒルダ姫も。
――ナニガオコッタノカ、ワカラナイ。

ただ、5秒ほどして、ようやく。
ゼルダ姫が、四肢をだらんとぶら下げて…屍に変わったことが、わかりました。
デイジー姫が腕を離せば、たちどころに支持を失った体が崩れ落ちます。
…動き出すことなど、ありません。

ぞわっ!

一瞬で、全身から汗が吹き出します。
心臓がバクバク言って、激しく警鐘を鳴らします。

危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!
危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!
危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!
危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

312Mii:2019/10/23(水) 01:17:54 ID:nJDn.zMQ
どれだけ、意識を飛ばしていたか。
一瞬のような、永劫のような。
デイジー姫は、全くゼルダ姫を心配する様子もなければ、
自分の愚行に反省する様子もありません。

デイジー「まあ、そんなに気にするな。どのみち…ほら、見てみろ。
     残機があるおかげですぐ復活できるんだから」

ゼルダ姫が、全身を光らせつつ、命を再び宿します。

…ええ、確かに、その通り。
その通り、では、ありますが。

単に吹っ飛ばされて撃墜、と。
非業の死を遂げて骸となる、とでは。
精神負荷に、雲泥の差があります。

ゼルダ姫はうつ伏せのままほんのすこし、目を開けた後。
一瞬で覚醒して立ち上がり、喉に手をやり激しく呼吸。
…目は血走り、完全に過呼吸になっています。

313Mii:2019/10/23(水) 01:19:53 ID:nJDn.zMQ
何が起こったのか、分からない、動揺。
ちょっと考えて、どうしても「それ」しか可能性が無くて、混乱。
「それ」を引き起こしたのが、目の前の彼女という結論に至り――
それでも、一瞬だけ、決壊を踏み止まって。

ゼルダ「は、はは、は。デイ、ジー。
    気の迷い、ですよね。今なら、土下座、して、くださるのなら、
    慈悲深い、私が、許して、あげ、ても、いいです、よ?」バクバク



デイジー「約束を破った愚か者を制裁しただけだが?
     自業自得なのに慈悲深いとは聞いて呆れる」フッ

ゼルダ「」ブチィッ



激怒。激昂。憤怒。憎しみ。

ありったけの感情を込めて、デイジー姫に襲い掛かります。



ゼルダ「ハアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ――――!」ダダッ!



嘘っ!こんな、本気の殺意を込めたゼルダ姫を、私は知りません。
振るう拳には魔法で力も籠められているのか、鈍く光る。とんでもない速さと威力です。

314Mii:2019/10/23(水) 01:22:14 ID:nJDn.zMQ



…………それを、デイジー姫は。



デイジー「せめて」ザシュッ

ゼルダ「…………ああああっ!!?」

――――「指一本」の、一振りで、手首から切り落とし。



デイジー「肉弾戦でなくて」ドスッ!

ゼルダ「があ゙っ」ズンッ
    
――――助走動作すらない「足蹴り」で、空高く打ち上げて。



デイジー「純粋な魔法で勝負を仕掛ければ…多少はダメージ、与えられたかもな」ガッ!

ゼルダ「」ベチィッ!

――ハイジャンプで上を取り…
   落下に転じたゼルダ姫を、フィールド目掛けて弾丸の如く叩きつけました。

315Mii:2019/10/23(水) 01:28:40 ID:nJDn.zMQ
時が、止まっています。…いえ、時だけではなく。ゼルダ姫も、止まっています。

赤い、赤い、赤い。

ほんの一瞬にして、あたりは血の海です。

ゼルダ姫の腹部に……風穴が空いているのが、見えてしまいました。
ヒルダ姫は、先ほどから、目を見開いて、涙を溢れさせて、
痙攣したかのように「あ、あ、ああ」と錯乱するだけです。

またもやゼルダ姫「だったもの」が光に包まれ、ゼルダ姫、復活。

デイジー「あー、ようやく起きた。気分はどうだ?」

ゼルダ「――――っ!!?」

ゼルダ姫は、今度は一転して、後ずさる。
魑魅魍魎を見たかのような、恐怖と怯えが駆け回っている表情です。

デイジー「いい加減、命令に従ってくれると、こちらとしても話が楽なんだが」

ゼルダ「いやあああああああああああぁぁぁっ!!!」

――――明らかに動転しながら、恐怖に怯えながらの破れかぶれな、魔法の連打。
――――ロクに当たらず、意味もなく。

デイジー「…あっそう、もういいや」

無造作に掴んだ腕で、ぽいっとゼルダ姫の体を投げ飛ばします。
フィールドの柱の一つにめり込んだ結果…頭を垂れて、微動だにしなくなりました。

316Mii:2019/10/23(水) 01:30:52 ID:nJDn.zMQ
ヒルダ姫は、とうとう…余りの惨状に、気絶してしまった様子。
…それで、正解だと思います。

ロゼッタ「…デイジー姫。…デイジー、姫!!どうして!?
     どうして、こんなこと、するのですか!?」

デイジー「どうして…って、お前たちが願ったことだろ?
     私に、鍛えてほしいと散々頼んできたのは…そっちじゃないか」

ロゼッタ「どういった関係があるのですか!?
     行動も、その口調も、性格も、狂いすぎていますっ!!
     いつもの…いつものデイジー姫に、戻って下さい!」



途端に、腕を一振りされました。

…………おかしいですね、私の左腕。
肘から先がありません。何故か、地面に落ちています。
鎌鼬というやつですか。



激痛にたまらず転げまわる私。至って見下す表情で、デイジー姫は私を見ています。
幸い、すぐに命を取られることは…ありませんでした。

317Mii:2019/10/23(水) 01:35:09 ID:nJDn.zMQ
痛みを涙目で堪えつつ、最後にあがいてみます。



ロゼッタ「では…せめて。デイジー姫の身に今、何が起こっているのかだけでも、
     教えては頂けないでしょうか?」ポタポタ

デイジー「ああ、表の顔の私から…しっかり聞いておくんだったな。
      多少は『今の私』への対策、できただろうに。
      別にいいぞ、つまらない話だが」

…あれ?完全にこちらからの要望が無視される、というわけではないようです。
よかった。事情を話してくれる分には、いつものデイジー姫よりも素直そうで。

ロゼッタ「…………つまらないかどうかは、私が決めます。
      …このちぎれた腕、どうしましょうか。回復魔法でさっさと…
      でも、やっぱり、先に話を聞いておきたいです」



ふと思います。妙に私、冷静ですね。こんな…状況なのに。

318Mii:2019/10/23(水) 01:38:12 ID:nJDn.zMQ
デイジー「…………………………………………
     昔、サラサ・ランドに、一人の姫がいた。
     素質と言えば人より多いFP量くらいで、大した才能もなければ努力もしない。

     やることなすこと人に頼り切り、父となる国王や大臣たちに任せきり。
     国王は姫を甘やかし、大臣は早々と諦めて、姫はその環境に居直った。
     それでも、優秀な人材たちのおかげで、問題なく王国は動いていた」

ロゼッタ「……………………」



まるで、私が以前やったような――昔話、自分語り。



デイジー「あるとき、不届き者の宇宙怪人が、王国中の人たちに催眠を掛けて、
      王国を乗っ取ろうとした。姫を、自分の妃にしようとするおまけ付きだ。
      それまで外敵など想定すらしていなかった王国は、大混乱に陥った。
      幸い、宇宙怪人を塵のようにあしらえるヒーローに守られる幸運を得た姫は、
      悪の手が及ぶことなく救出された」

319Mii:2019/10/23(水) 01:41:48 ID:nJDn.zMQ
ロゼッタ「ああ、よかったです」ホッ

デイジー「だが…キノコ王国を襲う魔王が、王国の姫を『魔法の力を邪魔と感じ』、
      第一段階として姫を攫ったのとは状況が違った。
      最初から、一気に王国を潰す気で、塵野郎は動いていた」

ロゼッタ「……え?」

……ああ、姫を妃とすることと王国侵略は別の話で、
姫を攫ったからといって一息ついてくれる敵ではなかったということ…で……。
……………………ま、まさか!

最悪な、予感が、よぎる。
こういう時の予感って、的中してしまうものなんです。



デイジー「…………姫『は』助かった。なんの怪我もなく、ヒーローに連れられて、
     呑気に城へ戻ってきた。

     

     …………催眠による同士討ちと、防衛戦の大失敗により、
     城下の5割と城内の9割の人を失った城にな」

ロゼッタ「な…………!!」

――それは、一体。
――どんなに、おぞましい光景なのでしょう。

320Mii:2019/10/23(水) 01:43:59 ID:nJDn.zMQ
デイジー「姫は、3日3晩、泣き喚いた。
     1週間経っても、歩くことすらままならなかった。

     1か月後、人員不足から半強制的に政務に駆り出されたものの、
     王国の未来の為に勇敢に散っていった人たちのことを、
     己を生き永らえさせるためだけに散っていった人たちのことを、
     生き残った人から聞くだけで、己の愚かさに気が狂いそうだった。
     
     強くなろうと誓った。ひたむきになった。
     だが、すこし身体能力に自信があるくらいでは、
     怠けていたツケを払えるほど、世の中は甘くない。

     姫はヒーローに縋った。
     『今更ながら、全てを己の手でねじ伏せてしまえるチカラをくれないか』と。
     『そのためなら、己の運命含めて、渡せる限りの物を渡すから』と。

     無理を言われ、思案した彼が姫にもたらした物は――――『仮面の姫』」



――仮面の、姫?それはいったい…?

321Mii:2019/10/23(水) 01:46:41 ID:nJDn.zMQ
デイジー「弱い自分を『強くする』のがベストだが、
     今すぐ矯正したいなら、強い自分を用意してやればいい。

     嘘八百。自己暗示。自己催眠。

     塗り固めて、塗り固めて、徹底的に…塗り固める。
     少々時間は掛かるけれども、一度『強く』なったら、易々とは解けはしない。
     それが…姫の特技。精神崩壊と隣り合わせで手に入れた、禍々しい宝物。

     『誰よりも強い、賢い。負けるはずがない、負けてはならない』という意識。
     『己の思い通りに物事は動く。動かさなければならない』という自覚。

     これが、姫の全てを支配する。誰も、姫自身すらも、逆らえない。
     親友だとか家族だとかすら、関係がなくなってしまう」

ロゼッタ「そ、んな…………!!」

そんな、ことって…………!
有り得て、いいのですか……!?

デイジー姫は、自嘲気味に続けます。…続けていきます。

デイジー「親の、そして王国の敵の塵野郎と、再会する機会があった。
     敢えて残機を与えたうえで、このチカラを使って、ざっと千回、命を奪った。
     精神崩壊の末に記憶喪失になったらしいんで、適当に捨て置いた。
     今頃は、どこかで小悪党でもやっているのだろうな」

執念深さに、身の毛がよだちます。
…はっと、気付く。あまり、他人事では、ありません。

322Mii:2019/10/23(水) 01:49:08 ID:nJDn.zMQ
デイジー「…私のつまらない話は、以上だ。何か質問でも?」

ロゼッタ「い、いえっ……!」

デイジー「じゃあ、特訓の続きと行くか」





ザンッ!!!!!!





ロゼッタ(速すぎる…!避ける、いえ避けようと動き始めることすら、できない!?)
     


ぽたり、ぽたり。
繰り出された右腕が、脇腹を掠って、ドレスごと…根こそぎ血肉を持って行きました。

323Mii:2019/10/23(水) 01:51:33 ID:nJDn.zMQ
ふと。
背中の方から、デイジー姫の囁く声が、聞こえます。

デイジー「そうそう、言っておいた方がいい情報があったな」

汗と、血を、ただただ消費する。――振り向けない。威圧が、凄まじい。

デイジー「流石の私も、マリオやクッパ、リンクに勝てるとは…よもや思っていない。
     あいつらは、基礎体力レベルが飛び抜けている。
     私の記憶なら…マリオがLv.160、クッパがLv.158、リンクがLv.147…だったか」

ロゼッタ「は、はは。マリオについては私も知っていましたが…みなさん、凄いですね!」

そう、乾いた笑いをしたところで。
デイジー姫が、面白そうに、妖絶に続けます。

デイジー「ところで、私は魔法がからっきしでな。
     ピーチと比較されては劣化だの下位互換だの笑われていたから、
     せめて基礎体力だけは負けないと、鍛えに鍛えてきた。
     そのおかげで、気付いてみれば……
     『表』の方の私でも、ピーチにそろそろ追いつく…くらいの基礎体力はある」



ロゼッタ「…え?」

324Mii:2019/10/23(水) 01:58:11 ID:nJDn.zMQ
デイジー「少し前に、ピーチに勝手に測定された数値だから、
      今なら更にひとつかふたつくらいはレベルが上がっているはずだが…



     『こっち』の私の基礎体力レベルは  1 1 5  だ。
     規格外ポジションの3強のヤツらを除けば…物理面に限って言えば、
     女性の中で、どころか世界全体で見てトップの数値みたいだから。

     …今の私は、『お前たちを鍛える』ことに全精力を費やし出して、止まらない。
     死にすぎたくなかったら、私の機嫌を損なわないよう、必死で足掻くんだな」クスッ



ロゼッタ「」

ロゼッタ「」



追撃を食らって、意識が薄れて行って。
でも、先ほど受けた衝撃は、絶対に忘れないでおこうと誓いました。



とりあえず、残機が尽きませんように。

325Mii:2019/10/29(火) 00:23:55 ID:L3Ow0O9U
ロゼッタ「……………………」

ロゼッタ「…………ううっ」ムクッ



短い時間、なのでしょうが。気を…失っていました。

もっとも、一度や二度のことでは、ないのですが。
よろよろと、ふらふらと、身を起こします。



ちらりと右を、見れば。
うつ伏せに倒れ伏し、痙攣して、血の吐いた跡まで残る、見るも無残なゼルダ姫。
私同様、全身が血濡れ、衣装はボロボロであったりします。
手が、脚が変な方向に曲がっている…気がします。
小さく、うめき声を上げているのは、気のせいでしょうか。
ハイラルの人たちが見たら、絶望で心中しそうな光景です。

命を失えば、衣装もろとも残機のおかげで復活します。
半殺しというのは、全身を駆け巡る痛みのせいで、
…惨めさをまざまざと感じなくてはならないせいで、余計に辛いのかもしれません。



あら?ヒルダ姫は…どこでしょう。

326Mii:2019/10/29(火) 00:31:06 ID:L3Ow0O9U
…あ。

デイジー姫と対峙している…もとい、
蛇に睨まれた蛙以上に委縮していて、何も出来ない状態です。



ヒルダ「あ、ああ、あ゙あ゙あ゙あ゙!?」ガクガクブルブル

デイジー「…あのさ。一撃入れてみろとは言わないから、
     真面目に特訓に参加してくれないか?
     さっきから、泣いてばかり、棒立ちしてばかりじゃないか」



ヒルダ姫は、デイジー姫の挑発にも…泣き腫らしながら首をぶんぶんと振るばかりで、
行動に移せません。目に見えて、デイジー姫の機嫌は下降の一途を辿ります。



デイジー「私が、5数えるまでに向かってこなかったら…」

ヒルダ「…………………え?」



デイジー「5」

ヒルダ「…っ!?」

327Mii:2019/10/29(火) 00:33:47 ID:L3Ow0O9U
デイジー「4」

ヒルダ「……っ!……っ!!」ポロポロ

なんとか、己を奮い立たせようと。



デイジー「3」

ヒルダ「………………………………」ポロポロ

…しては、いるよう、なのですが。
効果のほどは、お察しください。



デイジー「2」

ヒルダ「…………………………む、り、です」ガクリ

全てを諦めてしまって、その場にペタンと尻餅をついて…
顔を、覆って、うずくまってしまいました。



デイジー「1」

あとはもう、震えているだけ、泣き続けるだけ。

328Mii:2019/10/29(火) 00:35:43 ID:L3Ow0O9U
デイジー「…………0」ググッ




ヒルダ「……………………」

ビクッと。ヒルダ姫の体が、ひときわ大きく震えます。



しかし、デイジー姫は『その場から』動こうとはしません。



5秒、10秒、15秒。
来たるべき衝撃が来ないことに気付き、
少しずつ、少しずつ手のひらをどかせていき。






ドズンッ!!!!!

329Mii:2019/10/29(火) 00:39:05 ID:L3Ow0O9U

・・
・・・
ピーチ「これでもマリオは、魔法苦手な方なんだけどねー。
    そうね、物理の方なら多分…もし貴方に対してマリオが本気になれば、
    5メートル離れた所からの『何の変哲もない』パンチの衝撃波だけで絶命だわ」
・・・
・・




ピーチ姫の台詞が、思い起こされてしまいました。



ヒルダ姫の目の前には、拳を振るったあとのデイジー姫が、
動作を終わった姿勢で止まっています。

どうなっているのだろう、向かってこないのか。
それとも、あくまでハッタリだったのか。
…もしかしたら、そんな淡い期待を持ったかもしれません。
一瞬ほっとしたような表情を見せたヒルダ姫は…………





ごぼっと、大量の血を吐きました。

330Mii:2019/10/29(火) 00:44:34 ID:L3Ow0O9U
そりゃあ、そうです。

ヒルダ姫は極度の恐怖で感覚がマヒしているのか、気付いていませんでしたが…

心臓や肺もろとも、胸のあたり10センチくらいを、
拳からの衝撃波が貫通していきましたから。

今さらながら、現実を受け止められないまま、ゆっくりと、ゆっくりと。

下を向いて行って、胸にぽっかりと穴が空いたことに気付いて、

再度絶望して、そのままフラリと…前に倒れ込んでいきました。



まもなく、復活することでしょう。そしてまた…。



失礼しました。半殺し以上に、死ぬのって、辛いですよね。苦しいですよね…!
明らかに、一番絶望の底にいるのは、ヒルダ姫でしょう。

331Mii:2019/10/29(火) 00:52:59 ID:L3Ow0O9U
現在、デイジー姫は、私たち3人を…存分に手を抜きつつ、1人ずつ相手しています。

気絶するか、命を失うかで、交代。



自分の順が回ってきても気絶状態なら、とばされて…ではなく。
髪を千切れんかというばかりに強く引っ張られたり、バケツの水を掛けられたりして、
強引に叩き起こされます。

だれがどう見ても、紛うことなく、拷問です。ええ。
本当にありがとうございました。
地獄の終わりが見えません。

デイジー「なんなんだろうな、全く…。
     ゼルダは、まるで歯が立たないとわかったら、いつもの生意気さはどこへやら。
     ろくに戦おうともせず半狂乱になって…這いつくばってでも逃げようとする。
     ヒルダはヒルダで、最初から無気力状態になって。
     ますます一撃で倒されやすくなって、特訓のし甲斐もありゃしない。
     先に私を煽っておいて、舐めているのか…?」ゴゴゴゴ

ロゼッタ「……!!」

デイジー姫が、手首をブラブラさせながら、
詰まらなそうにつぶやいていますが…じょ、冗談ではありません!
これ以上、ゼルダ姫とヒルダ姫に無理はさせられません!
本当に廃人になってしまいます!

332Mii:2019/10/29(火) 00:55:46 ID:L3Ow0O9U
ロゼッタ「次は、私が行かせていただきますっ!」ザッ!

デイジー「…次はゼルダの番のはずだが?」

ロゼッタ「ゼルダ姫は、もう少し休憩したいそうなので!

     …あ、えええええっと、これも…
     デイジー姫のいうところの『命令に背く』ことになってしまいますか!?」

デイジー「……まあ、それは構わないが。だが、意気揚々と変わろうとする割には、
      ロゼッタも体力の限界の――」

ロゼッタ「なら一回、飛び降りてきますっ!!」ダダッ

デイジー「ようだ、が――――――」





ロゼッタ 残機-1

ロゼッタ「あいたたた…復活ですっ!…お待たせしましたぁ!」シュタッ

333Mii:2019/10/29(火) 01:00:25 ID:L3Ow0O9U
デイジー「…くっくっく」

ロゼッタ「…あれ?どうされましたか、デイジー姫?
     何か、おかしかったですか?」

いきなりデイジー姫が、おかしそうに笑っています。
機嫌が悪いうえでの空笑い、とかではなさそうです。よかった。
でも、失礼ではないでしょうか。…口には決して出しませんが。それはもちろん。



デイジー「…くく、おかしいさ。おかしいとも。
     
     マリオカートWiiの時のロゼッタの号泣っぷりを思い出してみろ。
     正直、3人の中で…真っ先に音を上げるのはロゼッタとばかり思っていた。
     それが…まさか、回復のためとはいえ、残機減らしを一切躊躇わないなんて。
     なかなかどうして。図太くなったものじゃないか」
     
ロゼッタ「……あー、まー。言われてみれば。
     自分でも、なんでだろうって思うんですけれどね」

なんだか、命を失うための大義名分があるなら、
まるで躊躇しなくなっているような…たしかに、改めて考えると、異常ですね。

まあ、そのおかげで冷静さを保てているというのなら、有難くあやかっておきましょう。

334Mii:2019/10/29(火) 01:03:12 ID:L3Ow0O9U
デイジー「ゼルダを見てみろ。下手をすれば、次に復活した時には
     手遅れな所まで精神がお陀仏になっているかもしれないぞ?」

ゼルダ「がはっ…だ、れ、が、だず、げ、で…ぐ、ださ…」シンダメ

ロゼッタ「可哀想です…ここまでやる必要があったのですか?」ムッ



デイジー「ヒルダもこのとおり、悲惨なありさまだ。
     今や、復活するから命を奪われるのか、
     命を奪われるために復活しているのかわかりゃしない。

     …おい、復活したのなら、少しは精神統一でもして
     自分の番の準備をしておけよ」ユサユサ

ヒルダ「――――」

ロゼッタ「復活したてで、まだ気絶しているのではないですか?」

デイジー「どうだろうな…?」

335Mii:2019/10/29(火) 01:05:40 ID:L3Ow0O9U



ピキッ…!



ヒルダ「――――っ!?」

デイジー「さっさと起きた方が身のためだぞ」

ロゼッタ「」



ピキッ!



ヒルダ「いやああ゙あ゙あ゙あ゙アアアアアアアアアアアアアアアアア!!」ガタガタ

デイジー「そら見ろ、狸寝入りじゃないか」

ロゼッタ「確認のためだけに指の爪をはいでいくのはやめてあげてください!?
     今のデイジー姫、機嫌を損ねるととんでもない暴虐に走りますね!?」

336Mii:2019/10/29(火) 01:10:04 ID:L3Ow0O9U
デイジー姫は、えぐえぐと泣くばかりのヒルダ姫など、もう放置して…
ふたたび、こちらに歩み寄ります。…歩み寄ってきます。

5センチも離れていない所に、デイジー姫の顔が迫ってきました。



デイジー「やはり、異常だな。
     ここまで、ゼルダやヒルダの状態を気遣い、心配することはあっても…
     虐げることは間違っている、許せない…という主張がほとんどない。
     絶望のあまり泣き叫んで、止めるよう懇願してもおかしくないというのに。

     …むしろ、お前が『ニセモノのロゼッタ』であると言われた方がまだ納得がいく。
     …本物のロゼッタか?こっそりすり替わっていやしないか?」

ロゼッタ「本物ですよ!?本人ですよ!?証拠とかは特にないですけど酷くないですか!?
      …えっと、泣き叫んだら、止まってくれるのですか?」

デイジー「余計に殺意が増すな」

ロゼッタ「ですよねー。分かっていました。
     だったら、私はデイジー姫に応えるべく、やれるだけのことをやるだけです。
     デイジー姫だって、嗜虐心だけで私たちを屠り続けているわけではないでしょう?」



今のデイジー姫は、恐ろしい。それは…確かです。
でも…少なくとも、デイジー姫を責めるのはお門違いだと思うのです。
唆した私達3人の自業自得、あるいは発端の私だけが責められるべきなのです。

337Mii:2019/10/29(火) 01:12:24 ID:L3Ow0O9U
デイジー「…………面白い。実に面白いぞ、ロゼッタ。
     ならば、こちらとしても丁重に『O・MO・TE・NA・SHI』しようじゃないか。
     その余裕が、どこで悲嘆の顔に変わるのか、あるいは乗り越えてみせるのか…
     非情に楽しみになってきた…!」

ロゼッタ「……あれ?あれれ?藪蛇ですか?
     …あと、なんだかニュアンスが変だったような。

     『とっても楽しみ』なんですよね?
     『あらん限りの絶望を与えることが楽しみ』とかじゃないですよね?」タラリ



デイジー「さあ、いざ、参る!」スッ・・・



ロゼッタ「…っ!こうなったら、当たって砕けろの精神で参りますよっ!」ビクッ

338Mii:2019/10/29(火) 01:16:38 ID:L3Ow0O9U
すぅっと、しっかりと、デイジー姫の方を向きつつ、身構えます。
…嘘です。格闘におけるポジションなど知りません。
ついでに言うと、心臓を隠せるようにだとか、足腰のバネに力を蓄えてとか…
にわか仕込みの、小手先の動きでどうにかなる相手ではないのです。

身長差からすると、私が有利…なんてことはなく、むしろ掻い潜られそう。
そう思った矢先っ!



デイジー「フッ!!」ゴウッ!

ロゼッタ「……っ!!」

――認識できない、ほどではない、拳。
――余裕を持って躱せる、なんてことはさらさらない、拳。

直感で腕を伸ばして、鳩尾を狙うデイジー姫の腕の軌道を妨害――



ロゼッタ「――しても無駄なのでっ!」



手のひらから…隔壁を、幾重にも展開、展開、展開っ!!
ただし、間違っても真正面から生成してはいけません。
デイジー姫と私との力量差の前では、向こうの拳が貫通弾となってしまいます。
繊細に…力を逃がすべく、斜めに滑らせ、受け流す!

339Mii:2019/10/29(火) 01:26:43 ID:L3Ow0O9U
ロゼッタ(よし、うまくいきました!!受け流し成功で――)

デイジー「人間の腕が2本あるのはなんでか、知ってるか?
      …交互に拳を絶え間なく繰り出すため、だぞ?」



ドガガガガガガッ!!

ロゼッタ「わっ、わわっ!?」パシン パシン

駄々をこねる子供のように、遮二無二腕を振り回すデイジー姫。
当然ながら、体のひねりなどロクに使えないため、力は籠められないはず…なのですがっ!
1発1発が、凄まじく、速くて重いですっ!山カンで防ぎに行くのが精いっぱい!



右、左、右、左、左――――っ!



フェイントも時たま交えつつ、連続攻撃で弄ばれます。
私はひたすら、体の脇へ脇へと受け流す、受け流す!

ピイイイイイィィィィン――!!

それでも。反発の勢いで、腕が大きく逸らされていきます。
その勢いは凄まじく、体ごと持って行かれます。

その隙を…見逃してくれるわけがありません。

340Mii:2019/10/29(火) 01:31:18 ID:L3Ow0O9U
くるり、とデイジー姫が身を翻します。



デイジー「セイヤッ!!!」ドゴォッ

ロゼッタ「がはっ」ガフッ ダンッ!



…何回かバウンドしながら、フィールドの反対側まで吹っ飛ばされました。
たいじゅうのこもった、ま、まわしげり、だなんて、は、はんそくです。
そんな威力の体術、秘匿しないでおいてほしかったですね。

…ああ、また口元に血が付いています。
いい加減、血を吐くのは飽きてきました。
このままではドレスが赤く染まって、ファイアロゼッタになってしまうではないですか…なーんて。
…実際は復活のたびに汚れはきれいさっぱりなくなりますが。

袖でグイッと拭って、さっさと立ち上がることにします。
そんな私を、フィールドの反対側から見ている、デイジー姫。
早く戻ってこい、と手招き状態。

…なんだか、にやにや笑っている気がします。
余裕ぶった態度に、少しだけ、カチンと来ました。

341Mii:2019/10/29(火) 01:33:58 ID:L3Ow0O9U
ロゼッタ「――――よし」ポワアアアン

何食わぬ顔で近づきつつ、こっそりFPを充填していきます。

一歩。また一歩。
歩くたびに、どんどんFPを蓄えます。

デイジー「のんびり歩くな、時間は有限だぞ」

ロゼッタ「すいません、今行きまーす!」

こう、呑気に手なんか振ってみたりして。

相手の視線、および死角の確認、OK。
移動先の座標、OK。
移動後の迅速な正拳を、イメージ。



…なんだか、わくわくしてきました。
ダメージを与えられるかどうかはともかく、
これが当たって、デイジー姫が少しでも驚いてくれたら、と考えただけで。

…準備完了。
最後は、少し小走りになりつつ、残り10メートルになったところで――

342Mii:2019/10/29(火) 01:38:08 ID:L3Ow0O9U
シュンッ!!

ロゼッタ「それっ!!」ブンッ!

テレポートからの、完全なる不意打ちですっ!
素晴らしい集中力の賜物で、数F程度のラグをもって拳を振るえています!
後頭部…は気が引けたので、背中に…会心の一撃!これは決まりました!





デイジー「……」クルリッ グワシッ!





ロゼッタ「…ふえっ!?」

…あれ?あれれー?
どうして、振り向きざまに拳を掴まれているのでしょう?

デイジー「気配。癖。それに勘。見破る鍵はいくらでもあるぞ。
     妙にワザとらしく手など振って、姑息なことを考えていることがバレバレだ」

ロゼッタ「」アゼン

343Mii:2019/10/29(火) 01:40:55 ID:L3Ow0O9U
デイジー「…根本的な問題として、移動と攻撃動作、合わせて10Fもあれば…
     余裕を持って対処くらいできるさ。私を誰だと思っているんだ?ん?」

ロゼッタ「あなたはデイジー姫です♪」

デイジー「…………」

ロゼッタ「…………」

デイジー「…………」ゴゴゴゴゴゴ・・・

ロゼッタ「…あ、いえ、そのう……せめて楽に死にたいなあって…」

デイジー「ハラワタをぶちまけるくらいまで殴る」

ロゼッタ「やめてください三途の川でも死んでしまいます」ガクガクブルブル

デイジー「フンッ!!!」バキィッ!



ロゼッタ「」チーン

――見失ってからの10Fでも余裕で対処可能だなんて…
――どうしようもないじゃないですか…。

344以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/29(火) 22:56:53 ID:BjpT48L.
時計が 午後7時を 指している▼

デイジー「…よし。今日は此処までとしよう。お前たち、精々休んでおくことだな。
     食事を摂ろうが惰眠をむさぼろうが構わないが、特訓から逃げようとしようものなら――」ギロッ

ロゼッタ「一撃も入れられませんでした…はあ。速さが足りない…。
      逃げません逃げません、そんな恐れ多いことしませんってば。
     ね、ゼルダ姫にヒルダ姫!」ボロッ



ゼルダ「」

ゼルダ「」

ゼルダ「」シンダメ

ヒルダ「」

ヒルダ「」

ヒルダ「」シンダメ

ゼルダは たたかう きりょくが のこっていない

ヒルダは たたかう きりょくが のこっていない▼

ロゼッタ「」

デイジー「…そこに転がってる2人はロゼッタ、お前がなんとかしろよ」スタスタ バタン・・・

345Mii:2019/10/29(火) 23:08:55 ID:BjpT48L.
ロゼッタ「あのー、もしもし?私の声が聞こえますか?」ブンブン!

ゼルダ「」

ヒルダ「」

ロゼッタ「これは駄目かもしれません」

ゼルダ「」

ヒルダ「」

ロゼッタ「とりあえず…………血濡れの2人の体を『浄化』してっと…」パアアアアア

ロゼッタ「…ああ、もうっ!無反応なら、勝手に運びますからね!
     文句は受け付けませんよ、失礼します!!」

面倒になったので、両脇に1人ずつ抱えて、仮眠室まで連れていくことにしました。
借りてきた猫…というより借りてきた人体模型なみに、ピクリとも動きませんでした。

ロゼッタ「あれ、もしかして…これって…
     血濡れのフィールドの清掃は私一人でやれということですか…
     なんという貧乏くじでしょう…はぁ…あとでやっておかなければ…」ガックリ

346Mii:2019/10/29(火) 23:12:30 ID:BjpT48L.
フィールドの料理を、チコたちとせっせと仮眠室へ運びます。
チコたちには、血生臭い場面を見せたくないこともあって、
基本的に仮眠室のお手入れをお願いしています。おかげでほこり一つありません。
私も家族の一員として誇らしいです。…シャレじゃないですよ。

ロゼッタ「さーて、それでは明日に備えて、しっかり食べておきますか――













    ……あの。ゼルダ、ひめ?
    ……一体、何をやっているのですか?」


いざ食べようとしたところ、椅子に強引に座らせたゼルダ姫が見当たりません。
はて?と見返すと、呪怨のように言葉にならない声を出しながら、
仮眠室のベッドを持ち上げて、扉の前に運んでいるではありませんか。

347Mii:2019/10/29(火) 23:14:10 ID:BjpT48L.
ロゼッタ「ふふ、まさか…デイジー姫に恐怖する余りのパニック衝動で
     彼女から少しでも遠ざかろうとする短絡的行為の現れじゃ……」





ゼルダ「…………」ポロポロ

ロゼッタ「図星ですか!?重症ですね!?」

そんな無意味な、むしろ逆効果な行為をしないでくださいよ!
デイジー姫に知れたら、一瞬笑った後、ベッドと扉もろとも吹き飛ばされますよ!?
あの強気なゼルダ姫が、ここまで動転しているだなんて…!

もちろん、そんな未来は御免被りたいので。
私とヒルダ姫で、とっとと元通りに…。

ヒルダ「…………」フラフラ

ロゼッタ「頼みます。お願いですから、そのタンスをもとの場所に戻してください。
     ゼルダ姫の後追いをしないでほしいのですが」

ヒルダ(ブンブン)ポロポロ

348Mii:2019/10/29(火) 23:15:55 ID:BjpT48L.
ロゼッタ「…チコ。みんな以外に味方がいないようなので、
     元の場所に戻すのを手伝ってもらえるかしら?」

チコ「わ、わかった!」

チコ「はーい!」

チコ「おしごとおしごとー!」



ヒルダ「やあああぁぁ……」ポロポロ

ロゼッタ「しがみ付かないでください!幼児退行までしないでください!心が痛むではないですか!
     それでも、ここは心を鬼にして…強行突破です!」ガシッ

349Mii:2019/10/29(火) 23:17:26 ID:BjpT48L.
どうにかこうにか、再び席に着かせたのはいいものの。
ぼそ、ぼそ、と。
うわ言を吐き続けて、一向に食事を摂らないお二人。
黙々と私だけ食事を摂ります。



…………沈黙が痛い。



ヒルダ「――――は」

ロゼッタ「……もぐ。はい?どうかされましたか、ヒルダ姫?」モグモグ



ヒルダ「――ロゼッタ、は。どうし、て。へいき、なの、ですか…?」



ロゼッタ「…別に、平気というわけではありません。
     撃墜されれば痛いですし、骨肉を毟り取られれば悶絶する痛さです。
     でも、自分の成長のためと割り切れば――」

350Mii:2019/10/29(火) 23:23:14 ID:BjpT48L.
ゼルダ「そんな、ことっ!
    …できるはずが、ないでしょうっ!!」バンッ!!



ゼルダ姫の渾身の一殴りが、テーブルをいとも簡単に粉砕していきました。
木くずが、ばらばらばらと、はじけ飛びます。
…料理を巻き添えにして。ああああっ!!なんてことを!

料理の心配をしている私の襟元を掴んで、涙ながらにゼルダ姫が訴えてきます。



ゼルダ「ロゼッタっ!貴方は、精神がおかしい!
    どうして、平然として、いられるのですか!?狂っているっ!
    此処まで虚仮にされてっ!此処まで殴り倒され虐げられてっ!

    …命を、幾度となく、笑いながら、奪われてっ!

    尊厳もなにもないっ!なにもないのですよっ!!」ポロポロ

ロゼッタ「…それは、デイジー姫が『特訓に本気になっている』だけで」

ゼルダ「違うっ!認識を改めなさいっ!
     あの女は、もはや単なる狂人なのだと!
     なんとしてでも、あの殺人鬼を、止めなければならないっ!」ググッ

351Mii:2019/10/29(火) 23:25:53 ID:BjpT48L.
…っぐ。流石に、首が締まります。

ロゼッタ「…ゼルダ姫の気が少しでも晴れるのなら、私の命の一つくらい…
      喜んで差し上げますよ。いつでもどうぞ。すぐ復活しますし。
      
      ですが、そちらこそ、訂正してください。
      …デイジー姫を侮辱する行為は、彼女の友人である私が…
      ぜったい、に。ゆる、しません」

ゼルダ「――っ!!」



そのひとことに、目を見開いて。
毒気も抜かれたのか、パッと手を離してしまうゼルダ姫。

そのまま、放心したのか膝まで付いて、顔を手で覆って――
再び泣き始めてしまいます。
もう、女王の威厳など、どこにも残っていないのです。

352Mii:2019/10/29(火) 23:40:11 ID:BjpT48L.
ゼルダ「グズッ…ロゼッタ…あなた、確実に…完全に、壊れているわ…」
(致死寛容レベル:Lv.5)

ヒルダ「あと――何回、いのちを、おとせば、かいほうされるのでしょう、か…。
    もう、いや…だれか、おしえてください…
    10かい、ですか?……100かい、ですか!?ねえ、誰か――っ!」シンダメ
(致死寛容レベル:Lv.3)



ポンッ。

ヒルダ「――ロゼッタ?」

ロゼッタ「大丈夫ですよ――――――――




      1日あたり18時間の特訓として、3分ごとに命を落とし続けたとしても、
      1時間で20回、18時間で360回。90日で32400回。…1人あたり、たかだか10800回が限界です!
      何とかなります、頑張りましょう!」

(致死寛容レベル:Lv.32    残機がある限り 致死・致命傷の精神負担に対し + 31%鈍感化!)

ヒルダ「ロゼッタっ!!もうちょっと命を大事にしましょうよっ!?
     これはゲームじゃないんですよ!?」ソウハク

ロゼッタ「まあまあ、そんな甘いことを言っていては…
     …うっ、なんだかブーメランが刺さったような錯覚が」イタタ

353以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/09(土) 03:28:34 ID:4hNQ2EJY
寛容などというレベルじゃない

354Mii:2019/11/10(日) 17:32:57 ID:EJfM3NDc



朝を、迎えました。



ロゼッタ「おはようございます…って、その疲れ切った顔…まさか徹夜したのですか?」ジトー

ゼルダ「……なんで、すか。文句、ありますか?」ブルブル

ヒルダ「夢から醒めるまで、寝ていたい…っ!」ブルブル



私はともかく、ゼルダ姫とヒルダ姫は、ガタガタ震えるばかりで、
休息を取るどころか逆に疲労困憊、満身創痍の状況です。酷いクマができています。
自分で自分の首を絞めていないでしょうか…心配です。

355Mii:2019/11/10(日) 17:39:03 ID:EJfM3NDc
そのとき。
ドドドドドドド――――ッと、突如として、激しい地響き、駆ける音。

ゼルダ「――ひっ!?」ブルッ

ヒルダ「――――っ!!」ガタガタブルブル

思わず互いに抱き合う、ゼルダ姫とヒルダ姫。どう考えても、デイジー姫でしょう。

ゼルダ「いいい、一体何事ですか!?」サァッ

ロゼッタ「あ、そういえば。少し寝過ごしたせいか…
     昨日の開始時刻より30分ばかり遅れていますね」

ヒルダ「ひいいいぃぃ!?ま、ままままさか、それで激怒して乗り込ん、で――」

ヒルダ姫の顔色が、青色を通り越して土気色になっています。
…あ、目の色まで死にました。頼みます、戻ってきてください。ゆさゆさ。

ゼルダ「ヒルダ姫っ!こうなったら、土下座でもなんでもして許しを請うのですっ!
    いいですかヒルダ姫っ!デイジー姫…いえデイジー様が靴を舐めろと言ったら、
    満面の笑みをもって、言われた通り舐めるのですよ!」

ヒルダ「ワカリマシタ」

ロゼッタ「え、あの。ゼルダ姫――?
      昨日あれだけ自信満々に言っていた、ゼルダ姫を奮い立たせるはずの誇りとか立場とか、
      どちらのゴミ捨て場にお捨てになられたのですか?」

356Mii:2019/11/10(日) 17:40:47 ID:EJfM3NDc
なんだか馬鹿な感想を口にしてしまう私をよそに、
扉が強く、強く叩き開けられ、デイジー姫が乱入してきます。

すぐさま、ゼルダ姫とヒルダ姫が、なけなしの元気を振り絞って。

ゼルダ「大変申し訳――――」

ヒルダ「生まれてきてごめんなさい、どうか――――」











デイジー「ほんっっっっっとぉぉぉぉ――――――――――――に、
      すんませんっしたあああぁぁぁぁああ――――っ!!」ドゲザ

ロゼッタ「」

ゼルダ「」

ヒルダ「」

357Mii:2019/11/10(日) 17:42:11 ID:EJfM3NDc
ゼルダ姫が、口を、ぱくぱく、させています。
わかります、わかりますよ、その気持ち。



ロゼッタ「…………『気絶するか、寝るか、はたまた命を落とすかで…
      意識を一度失うと、自己暗示が解ける』…?」

デイジー「そぉー!そぉなの、100点満点の理解、ありがとねロゼッタぁっ!!
     暗示が一度掛かると、自分の意志だとどうしようもできなくてっ!
     ただ、自ら暗示を解こうとはしないけれど、
     眠くなって自然と寝る分には割と素直みたいだから、私――っ!」

ゼルダ「は、はは、は」
     
ゼルダ姫が、ぷつんと緊張の糸が切れたのか、
へなへなと座り込んでしまいました。

乾いた笑いをしばらく続けたあと、大きな大きな、ため息、ひとつ。
警戒は無駄に終わってしまいましたが…心底、安心していることでしょう。
ほら、目元が潤んでいます。

ヒルダ「う…うわあああああぁぁぁあんっ!よかった、よかったです――――っ!」

ロゼッタ「ちょ、ちょっとヒルダ姫。感極まって抱き着かないでくださいな」

ヒルダ姫、泣きじゃくります。…仕方ないですねえ。
思う存分、泣いて、泣いて、すっきりしてください。
優しく背中をさすって抱きしめてあげると、一層激しく泣き始めました。

358Mii:2019/11/10(日) 17:44:59 ID:EJfM3NDc
デイジー「…………」

ロゼッタ「…………」ジッ

未だ、デイジー姫は――委縮したまま、土下座を続けて、
視線を下へ下へ持って行こうとしています。
彼女は…心底、私達を傷付け、殺めたことを…悔いて、嘆いているようです。

デイジー「……ねえ、みんな。私、少しは、みんなの役に、立てた、かな?」

ロゼッタ「やっぱり、デイジー姫は、素晴らしいファイターだったのですね。
      …ええ、デイジー姫の特訓、とても厳しくて…ために、なりました」

デイジー「――――そっか。それなら、まあ、悔いはない、かな。
      ――――ロゼッタ。ゼルダ。ヒルダ。

      ――――これまで、色々と、ありがとう、ね。
      ――――楽しかった。本当に、本当に…楽しかった」グズッ

ロゼッタ「…え?一体、なにを――」





デイジー「ごめん。私もう、ここには――居られないよ。
     ――これは、チカラを使うと決めたときからの――既定事項」

359Mii:2019/11/10(日) 17:46:59 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「…本当に――何を、言っているの、ですか?」



おもむろに立ち上がったデイジー姫が、一歩、二歩、三歩。
まるで「ちょっと用事を思い出したからじゃあね」と言わんばかりの軽やかな足取りで、
ごく自然に去っていくもので…思わず、5秒ほど、固まってしまいました。



大切な物を、手の指の隙間からこぼれ落としそうな気がして、
慌てて、必死に、全力で。
デイジー姫を追いかけ、その腕を掴みます。



ロゼッタ「答えてください、デイジー姫っ!!」



掴まれ動きを止められて、それでもこちらを振り返ることなく、
デイジー姫は、淡々と口を開きます。

デイジー「気持ち悪かったよね?軽蔑し、憎悪したよね?『あの』私。
      みんなのこと――たくさん、たくさん、殺したんだ。
      こうなること、わかってた。私、馬鹿で、融通利かないから」

360Mii:2019/11/10(日) 17:49:23 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「それはデイジー姫の過失ではありません!むしろ貴方は被害者でしょう?気に病む必要なんて――」

デイジー姫は、相変わらず、遠い彼方を見ながら。

デイジー「あるよ。幾ら唆されようが…最終的に、『肉体暴走』することを選んだのは、私。
     知性暴走なら、まあ死人が出ることはなかったんだけどなー。あーあ、残念―。
     まあ、絶交されること覚悟で、納得して使ったけど、さ。

     …ゼルダの激怒も、ヒルダの絶望も、至極尤もだよ。
     気付いていないかもしれないけど、とんでもない恐怖を、
     私は――みんなの頭の奥に突き刺したんだから。

     この恐怖、完全に消えることはないよ。あのピーチですら、今でも――
     私の言動の中にチラッと暴走の気配を感じれば、息が止まるって言ってたし」

ゼルダ姫、ヒルダ姫が――まだ怯えを見せながら、デイジー姫の方をみやります。
――孤高の、姫を、みやります。

ロゼッタ「…それで。ここから離れて、どうするおつもりですか?
     そもそも、今は結界にみんな閉じ込められている状況なのですが」

デイジー「脱出のための共闘は惜しまないよ。
      でも、一緒に同じ場所にいるのは、やめにしよう。
      みんなが特訓するときは、私は部屋にこもってる。
      出くわさないようにうまいこと食事は運び込むから、
      そっちはそっちで、こっちはこっち一人で…頑張ろう。
      脱出するまで…脱出してから、も」

361Mii:2019/11/10(日) 17:51:26 ID:EJfM3NDc
…なんでしょう。うまく言い表せないのですが…こう、もやもやとした怒りが、
沸々と胸の奥底から湧き上がってきます。

ロゼッタ「それは…なんとも、馬鹿げた話ですね。
     私は、デイジー姫と…これからもずっと、仲良く――」



デイジー「――――無理だよっ!!」



ロゼッタ「…っ!」

デイジー「もう、そんな呑気なことを言える資格なんて、私には残ってない!
     一方的に、みんなの心を踏みにじった罪は、消えてくれないっ!
     みんなと顔を合わせるたび…血みどろになったみんなが脳裏に蘇って、
     胸が張り裂けそうで張り裂けそうで、堪らないよ!」

ロゼッタ「……」

デイジー「何度命を奪ったと思ってるの?
     ゼルダ75回、ヒルダ76回、……ロゼッタ229回だよ!?
     それも、安らかな死とは程遠いありさまで!」

あ、横の2人がまた気分が悪くなって口元を抑え込んでしまいました。
ヒルダ姫に至っては、私の背中に隠れてブルブル震えています。
い、一応確認しておきますが、その位置からリバースしないでくださいね?
復活すれば衣装も元通り?それは流石にレディを馬鹿にしています。

362Mii:2019/11/10(日) 17:52:53 ID:EJfM3NDc
改めて数を突き付けられると、得体のしれない薄気味悪さ。
…でも、どうしたことでしょう。
皆さんに「異常だ」と言われている私、ことロゼッタ。
いまいち、絶望感が襲ってきません。

というか、どうして3人の中で、ゼルダ姫が一番死亡回数が少ないんですか!
そしてどうして私だけ飛び抜けて多いのですか!?むしろ驚きの方が大きいです!

…はい、2人の肩代わりで特訓をし続けたからです、終わり。
なんだか理不尽です。
     


嗚咽を漏らしながら、ただ泣くだけのデイジー姫。
デイジー姫は、根が優しいですから。本当に。
自責の念に駆られて、駆られて。どうしようもない状態なのでしょう。

363Mii:2019/11/10(日) 17:55:12 ID:EJfM3NDc
ゼルダ「…そう、ですね。私たちも調子に…乗って、いました。
    金輪際、あの姿の貴方は見たくない。今の状態の方が好ましい――」

ヒルダ姫も、おずおずと、ゆっくりと、か細い声で問いかけます。

ヒルダ「……で、でも。その。もう、あんな暴走状態になることはないんですよね?
    あの狂暴だった時のデイジーとはとても仲良くはやっていけないかもしれませんけど…!
    今の、穏やかなデイジー姫となら、問題なく友達として、友人として――」



――違う。

――違う。



ロゼッタ「……違い、ますっ!!」バッ!

ヒルダ「!?」

ヒルダ姫には悪いですが、なんとか振り絞ろうとしていた声に横槍。
それでは駄目です、2人とも。全然、デイジー姫のことを想えていません。

ロゼッタ「ゼルダ姫っ!ヒルダ姫っ!失礼ながら、穏やかな状態のデイジー姫を慕い、
     野性味を浴びた状態のデイジー姫を憎む…などといった使い分けは
     私は…私は、承服しかねます!」

2人の方を向いて、赤裸々に想いを語る。語らなければなりません!

364Mii:2019/11/10(日) 17:56:31 ID:EJfM3NDc
ゼルダ「…どう、してですか?」

ロゼッタ「どちらも、デイジー姫が人生で得てきた人格、姿ではないですか!
     どちらが正義でどちらが悪だとか、優劣があるだとか、
     価値のない、秘めておくべき人格があるとか…そんなこと、おかしいです!」

デイジー「……っ!」

デイジー姫が、一瞬息を、飲む。しかし、すぐに真顔に戻ります。

デイジー「……ありがとう、ロゼッタ。私をそこまで庇ってくれて。
     でも、私自身、『裏の私』の逸脱ぶり、危険性は重々承知してるから。
     他人に庇ってもらえるようなもんじゃない。
     …だから、余計な事、しないでほしいな。
     もっとも、表の方の私との友達付き合いがしたいっていう――
     ゼルダ姫やヒルダ姫の願いも叶えることは無理なんだけど」

ロゼッタ「デイジー姫、貴方まで、なんてことを言うのですか!
     貴方自身が否定してしまったら、何もかも――」

365Mii:2019/11/10(日) 17:58:44 ID:EJfM3NDc
デイジー姫が、ゆらりと、立ち上がりました。



デイジー「――――れ」

ロゼッタ「……え?今、なんと――」





デイジー「――――黙れっ!」ゴウウウッ!!





ロゼッタ「…………なっ!?」ゾワッ!

ヒルダ「…ひっ!!!!」カキーン!

ゼルダ「…嘘……!ま、まさか、貴方――!!」

デイジー「何?ビックリしたか?所詮、同じ『私』だからな。
     『裏の私』の思考をトレースし、殺気を真似ることくらい…できるさ。
     まあ、自己暗示不足のせいで、戦闘力は底上げされてないけど、さ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

366Mii:2019/11/10(日) 18:00:53 ID:EJfM3NDc
まさか、表の状態のデイジー姫でも、この位の造作ならできる、だなんて。

そのまま、猛烈な眼光、殺気をもって私を睨み据えます。

たちまち、私は、凍えきってしまいます。

ロゼッタ「…………くっ――」ジリッ

デイジー「だから、無駄なことはやめろ。
     ゼルダ姫たちと同調するのも、当然許さない。
     私とは…そうだ、言ってみれば今後はビジネスパートナーとして、
     最低限の助け合い、利害一致による協力関係さえあれば――」



ロゼッタ「――――う…あ…………」ガクガク



自分の意志が、呑み込まれていく。
強者に従うまま、喉元で意見が押し戻される。
わたし、には。どうする、ことも――。

367Mii:2019/11/10(日) 18:02:48 ID:EJfM3NDc





――――それで、いいの?





ロゼッタ(…………っ!!)

よいわけが、ありません。





――――ママは、そんなに、弱い人じゃ――ないよね?
――――困っている人のためなら、人一番頑張れる、人だもん。



ロゼッタ(…………)

ロゼッタ(……………………)

ロゼッタ(…………………………………………ありがとう、サヤカ。
     もう少し…いえ、まだまだ――私は、頑張れる!)

368Mii:2019/11/10(日) 18:04:29 ID:EJfM3NDc
ほんのちょっと、夢の世界にでも飛び立っていたのでしょうか。
一瞬だけ下を向いて、小さくひとつ、息を吸って、吐く。

目の前に立ちはだかる、デイジー姫を。
顔で怒って、心で泣いている、彼女を、しかと、二つの眼で睨みつけて。



デイジー姫が、私を、そう睨みつけるように――!!





ロゼッタ「――いい加減に、しなさいっ!!!!!」ギンッ!!





デイジー「――――っ!?」



デイジー姫の、信じられないという感じで面食らう顔。
それに優越感を得るわけでなく、考えを改めようともせず。
私は、気持ちと気合をありったけ篭めて、声をデイジー姫にぶつけます――!

369Mii:2019/11/10(日) 18:07:20 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「デイジー姫!結局貴方は、やはり私たちのことを信じてくれていない!
     自分ひとりで何もかも判断して、全部背負って!
     私たちの言葉に耳を塞ぐだけ!

     自分の気持ちを、分かってもらおうとする努力を怠って!
     心配でならない私たちの気持ちを、理解する努力を怠って!
     
     ならば、こちらにも考えがある!
     幾ら嫌だと、関わりたくないと駄々をこねても!
     救いの手を、声を、拒絶しつづけ切り裂き続けても!

     手を差し伸べ続けることを、決してやめない!
     齧り付いてでも、羽交い絞めにしてでも、深淵の闇から引き摺りだしてみせる!」

デイジー姫が、固まっています。戸惑っています。
まさか、私に反撃されるとは思ってもみなかったのでしょう。
感情の奔流に、私が呑み込まれると――心底思っていたに違いありません。

370Mii:2019/11/10(日) 18:09:23 ID:EJfM3NDc
デイジー「な、なにを急に、らしくもない――」

ロゼッタ「――らしくも」

激情に任せて、体が勝手に動く。

ロゼッタ「――ないのは」

信じられない、力が、湧いてくる。
懐かしい愛娘には、感謝、感謝です。



ロゼッタ「――貴方だ、デイジー姫っ!!」ガンッ!



デイジー「――ぐっ……何!?」ダンッ!

ゼルダ「――なん、ですって」

不意を衝いたとはいえ、激しく地を蹴って俊敏に動いた私の体は――
固く握った拳をこめかみにクリンヒットッ!
…させることはできず咄嗟に両手で受け止められたものの、
かなりの勢いを殺し切れずに、大きくズサァっと後退させる。

そのままダダッと追い縋り、全身全霊で突撃しながらの――肘突きっ!
すぐ後ろの壁に叩きつけられ、さしものデイジー姫もカハッと空気を吐きます。
そのまま、凄まじい剣幕で、伸ばした腕をドンッと彼女の肩に突き付け――。

371Mii:2019/11/10(日) 18:11:18 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「……………………」ウツムキ

デイジー「……ロ、ロゼッタ?」






ロゼッタ「……こひゅぅ……こひゅぅ――」ペタン

ロゼッタ「すいま、せん。電池、切れです」ゼェゼェ

ゼルダ「」

ヒルダ「」

デイジー「」



肩に押し付ける、どころか軽くタッチすることも出来ず、
火事場の馬鹿力の反動で、全身から力が抜けて…
激しくぜぇぜぇ息を吐きながら、デイジー姫の足元に膝を付いてしまいました。
ギャグ的に言うなら目がグルグル〜、の状態です。全然、格好が、付きません。

372Mii:2019/11/10(日) 18:13:33 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「……ごほごほっ――で、でもま、あ。
     今のデイ、ジー姫、が。『表の状態』であったと、して、も。
     力量差が、思い切り、あるの、ですから、ね。
     とう、ぜん、でした、か――ごほっ…」

デイジー「…………」

デイジー姫が、心配そうな顔をして、私を見つめています。
手を差し伸べようとしゃがみ込もうとして、躊躇して、そんな感じ。
…仰天したせいで裏の顔のなりきりが途切れたのか、よく知る朗らかなデイジー姫です。

ロゼッタ「――――言って、おきま、すが、さっきの、私の、主張、は、本心、ですよ」

デイジー(ビクッ)



そこに映るのは、後悔、恐怖、怯え、色々な感情が混ざる表情。

まだ体が本調子ではないですが、五臓六腑を奮い立たせて、なんとかかんとか立ち上がる。
そのまま、デイジー姫に一歩一歩、ふらりふらりと近づきます。
体中痛みますが、目線は決して逸らさない。

373Mii:2019/11/10(日) 18:16:20 ID:EJfM3NDc
デイジー「…い、嫌。やめ、てよ、ロゼッタ。…こっち、来ないで!」

両腕で自身を抱きしめて、悲嘆はまだまだ尽きない様子。

ロゼッタ「やめません。デイジー姫とは、これまでもこれからも、
     親友で、居たいですから」

デイジー姫が、怯えるまま後ずさる。
その分だけ、――いえその分以上に、私は歩を進め、距離を減らす。

デイジー「何度も、何度も、何度もっ!
     ロゼッタ、貴方の命を奪ったのよ!?」

ロゼッタ「残機があった、とそれこそ何度言えば分かるのですか。
     それに、貴方は――その回数まで、しっかり覚えてくれている。
     1回1回、その瞬間を軽んぜず、脳裏に刻んだということでしょう?
     むしろ、私の方が『辛い思いをさせて本当に御免なさい』ですね」

デイジー「ちが…ちがうよ、そんなに私…思いやりのある、優しい人間じゃない…………
     自分の力不足を他力本願で埋め合わせようとしたロクデナシで…」

374Mii:2019/11/10(日) 18:19:03 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「私にとっては十二分に、優しさに満ち溢れた人ですよ?
     …『表のデイジー姫』も、『裏のデイジー姫』も、ね」

デイジー「……っ!!」ハッ

ロゼッタ「私の知るデイジー姫は、そうですね…。

     表では、はっちゃけていて、ちょっと仕事に不真面目で…
     真面目に政務を執るピーチ姫からは頻繁に呆れられていて。
     突拍子もないことを言って、周囲を振り回したりして。
     でも、どんなときでも前向きで、めげなくて、ムードメーカーで。
     困難に立ち向かおう、強敵にも果敢に挑もうっていう強い意志の塊で。
     ピーチ姫や私を、その元気と勇気で数多く助けて、救ってくれた。

     裏では、視界に入る者すべて、思い通りにならないと済まない苛烈な人で。
     最適解を妨害する者、導出に意義を唱える者には遠慮なく制裁するスタンスで。
     …でも、私たちの無理強いと自分の未来とを天秤にかけて、一度決めた事なら。
     たとえそれが、『表のデイジー姫』の耐え難い苦痛、苦難になったとしても、
     少しでも早く私たちが経験値を積めるように、冷酷に徹することができて。
     自分本位のようでいて、あくまで他人本位の本質は変わっていない。

     おまけに、ゼルダ姫も白旗を上げる、凄まじい戦闘力――
     これを遺憾なく発揮できる、素晴らしいファイターであることに気付かされました。
     ……私は、1人の友人として、とても嬉しく、誇らしく思います」

375Mii:2019/11/10(日) 18:21:33 ID:EJfM3NDc
デイジー姫が、目尻にぎっしりと、涙を蓄えています。
どんな葛藤が、これまであったのか。私などには知る由もありませんが。

優しく、優しく。デイジー姫を、ふんわりと抱き締めました。
今は、これだけで、十分でしょう。

ロゼッタ「ですから。親友でいられないだなんて、
     悲しいこと、言わないでください。寂しいこと、言わないでください。
     私たちはそんなこと耐えられませんし、貴方だってきっと耐えられない。

     これからももっと、デイジー姫のことを知っていきたい。
     デイジー姫に、私たちのこと、もっともっと知ってもらいたい。
     呆れられたり、時には喧嘩することもあったりするでしょうが、
     ずっと親友でいたい。

     ――この願い、どうか叶えて頂けないでしょうか?」ギュッ

デイジー「――――――――う―――あ――――――――」

ロゼッタ「最後に決めるのは、『表のデイジー姫』でも、『裏のデイジー姫』でもない。
     全部ひっくるめて、貴方が決めちゃってください、『デイジー姫』!」

デイジー「――――――――――――――――――――――――
     うわああああああああああぁぁぁぁ――――ん!!!!!!」



堰を切ったかのように、たちまち涙雨、号泣し出すデイジー姫。
ああ、本当に、本当に……お疲れさま、でした。

376Mii:2019/11/10(日) 18:24:24 ID:EJfM3NDc
ひっく、ひっくと、デイジー姫は私の腕の中で、まだまだ泣き続けます。

デイジー「グズッ…マリオに、縋って、わだじ、強く、なったの。
     厳しい、条件付きとはいえ、確かに、強く、なったの。

     でも、お父様亡き後のサラサ・ランドで政務に本格的に取り掛かってみたら…
     性格の苛烈さが仇となって…表の私がびっくりするくらい、裏の私に怪我を貰う人たちが続出して!
     もともと、それほど仲の悪くなかった大臣や役人たちにまで、愛想尽かされて!

     お城に生き残った1割の、更に半分が下野しちゃって!
     一体私、何をやってるんだろうって悔やむばかりでぇっ!!」

ロゼッタ「…今は、どうなのですか?」

デイジー「……私のこの二面性を受け入れてくれている人――
     そんな人たちだけで、ほぼ全ての役職役員が構成されてる。
     そのおかげで、ようやく軌道には乗り出したけど、でも…!」

ロゼッタ「なら、よいではないですか。デイジー姫のことですから、
     苛烈になりながらも真面目に改革を図ったのでしょう?
     理屈で負けているのにそれに異論を唱えて、女王に反撃されて。
     それで下野するというのなら、それまでの人材だったということですよ」

ゼルダ「ロ、ロゼッタ。施政者でないとはいえ、ズバッと斬りますね…。
    ヒルダ姫、彼女の言い方を真に受け過ぎてはなりませんよ。
    上に立つ者としては、清濁併せ持ち、吟味に吟味を重ねて…」

ヒルダ「は、はい、わかったようなわからない、ような…」

むう。そんなこと、今言わなくてもいいじゃないですか。

377Mii:2019/11/10(日) 18:27:01 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「デイジー姫。ともかく、貴方が『仮面の姫』となるすべを身に付けたことは、
     何ら恥じるべきことではない、と私は思います。むしろ誇るべきです。

     ただ、仮面という表現の仕方はちょっと違いますね。
     どんな姿であろうとデイジー姫なのですから。切り離すことなどできないのですから。
     そこを正々堂々と主張して主張して、認めさせればよかったのですよ。
     ええ、認めさせてやりましょう!私も微力ながら、協力させていただきます。
     困ったときは、いつでも仰ってください」



デイジー姫は、泣きながら、こくこく、とうなずくばかり。



ロゼッタ「離れ離れだなんて提案は撤回してくださいね。
      これからも、よろしくお願い致しますね!」



デイジー「うんっ!――うんっ!!ロゼッタが親友で――本当に、よかった」ポロポロ

378Mii:2019/11/10(日) 18:29:58 ID:EJfM3NDc
ゼルダ姫とヒルダ姫も、思わず貰い泣きしています。
これで、一件落着といったところですかね。

ロゼッタ「それでは、とりあえず朝食としましょう。
     皆さん、お腹がすいたことでしょう?
     デイジー姫も、いっぱい食べて、元気になって下さいね!」

デイジー「うんっ!――うん!!」ポロポロ

ロゼッタ「さあ、私たちの友情も雨降って地固まる。弾みも付きましたし、
     明日からの特訓も、是非お願い致しますね、デイジー姫!
     少しでもデイジー姫のご期待に沿えるよう、全力を尽くします!」グッ

デイジー「うんっ!――うん!!










     ――――――――――――――――うん?」ピタリ

ゼルダ「うん?」

ヒルダ「うん?」

379Mii:2019/11/10(日) 18:33:40 ID:EJfM3NDc



デイジー「……ごめん、それって、どういうこと?」



はて、デイジー姫が泣き止んで、素の状態に戻っています。
それは嬉しいのですが、一体どうしたというのでしょう。



ロゼッタ「え?ですから……





     前の日から自己暗示が必要、発動したら就寝まで効果が持続するということは…
     あの特訓、1日おきになら問題なくできるということでしょう?
     効率はもともとの予定の半分ですが、それでも十分やる価値はあると思います!」フンスッ

デイジー「ファッ!?」

ゼルダ「」

ヒルダ「」

380Mii:2019/11/10(日) 18:37:19 ID:EJfM3NDc
ゼルダ「じょ、冗談ではありませんっ!もう、あのような拷問はこりごりです!
    どんなことがあろうとも、デイジー姫を暴走させてはならない!」マッサオ

ロゼッタ「私の話をちゃんと聞いていましたか?
     そういう、二面性の一方を否定すること自体が誤りなのですよ?」

ゼルダ「い、いえ、流石にそれとこれとは話が別でしょう!?
    特訓に本気にさせることはよろしくない、と言っているのですよ!!」

デイジー「そ、そーだよロゼッタ!今回ばかりは、ゼルダの主張が100%正しいよ!」

ヒルダ(こくこくこくこく)

ロゼッタ「むむぅ…では、私だけでもいいので鍛えて頂けませんか?
     そのように自己暗示をすれば解決するのですよね?」

デイジー「ま、まあ、ロゼッタのみに絞った特訓をするって自己暗示くらいなら、
     できなくはない、とは思うけど…やったことはないけど…」

ゼルダ「……付き合いきれません。そんなに死にたいのなら勝手にやってください。
     あとで泣いて後悔しても遅いですし助太刀も一切しませんよ」プイッ

デイジー「ゼルダぁ、ロゼッタを諦めさせるの、協力してよ…」

ロゼッタ「……………………」

381Mii:2019/11/10(日) 18:41:47 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「よし、なんだかワクワクしてきました!デイジー姫!
     とりあえず、残りの期間を全て私に充てて頂けるのならば、
     ゼルダ姫 く ら い なら実力で追い抜けますよね!頑張ります!」

ロゼッタは ちょうはつした!▼

ゼルダ「は?」イラッ

ロゼッタ「デイジー姫の指導は、ゼルダ姫 な ん か とは比べ物にならないほど
      的確でお上手ですからね!最長で90日もあれば、
      外の世界で何年分、いえ何十年分も特訓するのと同じ価値がありますよ!
      こんな特訓を独り占めできるだなんて、なんて私は幸運なのでしょう!」ウットリ

ゼルダ「あぁん?」ギロッ

ロゼッタ「どうしたのですか、ゼルダ姫。
     特訓から尻尾を巻いて逃げ出す貴方には、関係のない話でしょう?
     私は勝手に強くなりますので、どうぞどうぞ、安全第一で過ごしてください」

ゼルダ「誰が逃げると言いましたか、誰がっ!
    よいでしょう、そこの馬鹿な女を黙らせるために、
    私も特訓を続行しようではないですか!後悔することですね!
    デイジー姫、さあ、さあ、さあっ!」ズイッ

ゼルダは ちょうはつに のってしまった!▼

デイジー「ゼルダァ――ッ!?」

ヒルダ「」

382Mii:2019/11/10(日) 18:49:39 ID:EJfM3NDc
デイジー「」チラッ

ヒルダ「わわわわわ私は絶対に嫌ですからねっ!逃げますからねっ!?
    後ろ指差されようと、馬鹿にされようと、断固拒否しますからねっ!!!」ズサッ

デイジー「う、うん。わかってる、わかってるから。
     そんな怯えた目で私を見ないでくれるかな」

ロゼッタ「では朝食を持って参ります!私にお任せください!
     みなさんはお疲れでしょうから、ここで待っていてくださいね!」

バタン。

デイジー「…ふう。参ったな、こりゃ。ロゼッタにはかなわないや。
      ――――――――――――――――――――――――ありがとう」ボソッ

ヒルダ「…凄いですね、ロゼッタは。…あれ、ゼルダ姫?また顔が青く…」

デイジー「今頃になって挑発の効果が解けて後悔しだしてるんじゃないかなー。
      なんだったら、私からロゼッタに『ゼルダはやめておく』って伝えておこうか?」クスッ

ゼルダ「いいいいりましぇんよそんな気遣い!」ガクガクブルブル

ヒルダ「…ふふっ」

デイジー(あれ?そういえば、何かの事故で血塗れたりしたら…私って
      ゼルダとヒルダの見分け、しっかり付くのかな…ま、いっか)

ヒルダ「…っ!?何ですか、この悪寒は!?」

383Mii:2019/11/10(日) 18:52:51 ID:EJfM3NDc
ロゼッタ「お待たせしました!
     今朝は、割とフルーツが多めに出現してくれましたよ!
     脂っこく無くて、本当によかったです!

     あと、栄養のことを考えて、こちらも大量に用意しておきました!
     いくらでも飲んでくださいね!お代わりもすぐ作れますから!」トンッ




トマトジュース「1人あたり2Lもあるぞ」マッカッカ



ゼルダ「…………」

ヒルダ「…………」ウプッ

ロゼッタ「…あれ?どうしたのですか、2人とも。急に顔色を変えて、口元を押さえて…
     え?ちょっとトイレに行ってくる?い、いきなりどうしたのですか!?」



ダダダダダダダッ――――



ロゼッタ「何か、悪いことをしてしまったのでしょうか…?」

デイジー「そ、そうだね、私から見ても極悪非道なことをやったと思うよ」

384Mii:2019/11/28(木) 22:13:04 ID:glH1He8A
雨降って地固まる!
なし崩しで、1日おきの猛特訓をすることに。
空いた日は空いた日で、普通の特訓をしてまいります!



…と、早合点していたのですが。



デイジー「嫌われずに済んで万々歳、となったら気が抜けて……
      やる気でなーい。遊びたーい。

      というか、これから1日おきにあのモードになるなら、
      インターバルはしっかり休む―。みんなも休め―」グダー

ロゼッタ「えっ」

ゼルダ「えっ」

ヒルダ「…?」



デイジー姫は、ベッドでゴロゴロ。だらけ切っています。
昨日の反動か、まったくもって戦闘準備をしていません。
昨日とのあまりの違いに、皆さん、目を白黒させています。


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