したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

雑兵の雑草記

729以下、名無しが深夜にお送りします:2021/06/13(日) 22:24:38 ID:3B1.AQdM
女騎士「ップハッ!...どうしてここが...」

雑兵「あぁ、ツテとか色々な...それよりも大丈夫か?!怪我とかしてないか!」

女騎士「何もされてない、大丈夫だ...あと少し遅かったら分からなかったが」

雑兵「あぁ...良かった...今回約束破ったのはお前だからな、文句は言うなよ」

女騎士「まったく、それよりも皆に迷惑を掛けてしまったな...」

雑兵「みんなアパートの外で待機してる、残りのカルトを狩らねぇといけねぇ...立てるか?」

女騎士「うん...ッツ痛っ...」

雑兵「え...うっわ...!」

見落としてた、足枷にはボルトが付いており刺さっては居ないが足の肉と骨がゴリゴリ削られていた。

雑兵「クソ共が...モンキかレンチがねえとハズレねぇな、ちいっと我慢してくれ」
ヒョイ
女騎士「きゃっ...///」

730以下、名無しが深夜にお送りします:2021/06/13(日) 22:59:27 ID:3B1.AQdM
雑兵「カルトは何人くらいいたんだ?」

女騎士「他の部屋は分からないけど...あそこだけで10人弱はいたかな」

雑兵「カルトの残党の人数って大体分かるのか?」

女騎士「最新の情報では100人弱だったかな...あのアパート以外にももしかしたら潜んでるかも...」

雑兵「あ〜2階の部屋全部入れても、5部屋しかない...ざっとみても半分くらいしか居ないかもな」

女騎士「はぁ...疲れたな...」

雑兵「お疲れ様、そろそろみんなの前に出るけどどうする」

女騎士「...このままで良いや」

雑兵「かしこまりました、お姫様」

女騎士「くっ...後でしばく」

731以下、名無しが深夜にお送りします:2021/06/13(日) 23:59:06 ID:3B1.AQdM
副団長「き、騎士団長...!ご無事でしたか...!」

女騎士「副団長、不在にして申し訳なかった」

参謀長(いやまず姫様抱っこされてることに突っ込めよ!)

雑兵「そ、そろそろ降ろしてもよろしいでしょうか」

女騎士「おろさないって言ったのはお前じゃないか、発言には責任を持つように」

雑兵「えっ、いや、それとこれとは」

副団長「騎士団長、偵察の者が周辺の住宅を捜査したところ、似たようなアパートに半数のカルトが潜伏していることがわかりました、ここで根こそぎ捕獲或いは排除すれば...」

雑兵「いや突っ込めって!」

参謀長「よく言ってくれた」

732以下、名無しが深夜にお送りします:2021/06/20(日) 23:15:31 ID:zCTT/s.s
女騎士「イマイチ緊張感に欠ける奴だな...まぁいい副団長、指揮はお前に一任する、今の私は前線に立っても役に立たないだろう、後方に下がり治療をする」

副団長「はっ、お任せください」

女騎士「と、言うことだ雑兵、護衛は頼んだぞ?」

雑兵「あ、あぁ...でも良いのかよ」

副団長「雑兵は元々員数に入っていないだろう、騎士団長を安全に送り届けるのが今の任務だ」

733以下、名無しが深夜にお送りします:2021/06/21(月) 22:30:03 ID:WleHf5gk
フィッハーに潜伏するカルトの残党は無事捕獲、或いは排除された。
教団に対する不信感を持つ信者も現れ始めた頃に、教祖の死そして最高幹部の脱退が相次いで起こり、脱走者が増加し始めた、捕獲された信者の一部は首都に送られ、取り調べを受けるそうだ。

「教団に不信感を抱いていたら無罪ってかよ」

「それなら俺の殺された家族はどうなるんだ」

734以下、名無しが深夜にお送りします:2021/06/21(月) 22:34:38 ID:7CSEL2Ow
「おい雑兵!お前なら分かるはずだぜ、殺された連中の無念がよ!」

雑兵「あぁ、死ぬ程わかる」

「なら何故捕獲なんて選択肢があったんだよ!」

雑兵「俺に言うなよ、上の連中が捕まえたかったから捕まえたんだろ、俺だって殺してやりてえがよ、立場ってもんがあるんだよ俺の直属の上司にゃあよ」

「…クソ!」

雑兵「俺に当たるなよ、第一てめぇ軍人の立場だってぇのに家族一人も守れなかったのかよ、視野を広げりゃオメェの家族の住む所が危ねえって気付けただろ」

「なっ...!てめっぇ!」

「お、おい雑兵!それまでにしとけ...!」

735以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/23(金) 17:00:58 ID:ZTIpzSoI
雑兵「どう更生させるかは俺の知った事ではねぇ、お上がそう決めたのなら俺らはそうするしかないだろ、分かるだろお前らなら」

「...そりゃ分かるけどよ」

雑兵(連中がどう更生しようが、犠牲者の墓前に奴らが死ぬ迄詫び入れさせてやる...何もかもを捨てさせて…)

_
__

736以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/23(金) 17:07:43 ID:ZTIpzSoI
__
_
国王「して、元信者の様子はどうかな?」

参謀長「はっ、全員過去の教団の行ったことと、自身の行ったことを認識させ、皆反省の色を伺わせています、しかし完璧に更生させるにはまだまだ時間が必要です」

国王「どう取り繕っても、彼らは我が国の国民じゃ、我々が道を作ってやらねばならん...反対意見も見受けられるが」

参謀長「はぁ...反発してる者の最たるものは雑兵ですね、雑兵も今は気持ちを押し殺しておりますが、元信者に対する殺意は凄まじい、子どもの信者でさえも殺してしまえと言う男でしたから」

国王「うぅむ...物心ついた時に、親からそうと教わればそれしか出来ないものじゃ、それを理解してくれれば...」

参謀長「彼は被害者を目の当たりにしましたからね」

国王「...雑兵を呼んできてくれないか、話がしたい」

参謀長「はっ」

737以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/23(金) 17:12:47 ID:ZTIpzSoI
女騎士「元信者の更生は順調だ、我が国が総出で行っているからな、まぁ時間は掛かるだろうが仕方がない、あぁ、それじゃ」 ガチャン

雑兵「勇者か?」

女騎士「うん、あちらも落ち着きそうだから帰ってくると思うよ」

雑兵「そうか」

女騎士「...やはり反対か?」

雑兵「...お前らがそう決めたんだろ、じゃあ従うしかないだろ」

女騎士「お前の意見が聞きたい」

雑兵「俺の意見はお前の意見だ、それ以上もそれ以下もない」

女騎士「ん...」

やはり元信者の更生は反対なのだろう、元信者の子供の基本教育の時間に、雑兵を連れて視察に行ったが...溢れ出る殺気は子どもにさえも伝わっていた。

738以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/25(日) 10:56:08 ID:TLOW1PoA
久し振り
見てるよ

739以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/25(日) 13:35:48 ID:.Uqee9Ik
そうこうと考えが逡巡しているとドアのノックが聞こえた。

女騎士「どうぞ」

参謀長「失礼します、雑兵はいますか?」

女騎士「あぁ、どこへでも連れていけ」

雑兵「参謀長、どうされました?」

参謀長「国王がお呼びだ、雑兵だけ来てくれ」

女騎士「国王が?」

参謀長「はい、まぁ...今後の事ということで」

女騎士「そうか、雑兵、粗相のないように」

雑兵「了解」

740以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/25(日) 13:42:07 ID:.Uqee9Ik
雑兵「んで、何かやったか俺?」

参謀長「何もしてねぇけど、まぁ元信者の事でだ、国王はお前のその内に秘めた復讐心でだいぶ頭悩ませてる、有り体に言えば子どもに手ェかけるんじゃねえかって」

雑兵「あぁ...まぁ否定はしないけど」

参謀長「もう全て終わった事だ、こんな事は言いたくないがもう諦めてくれ、子どもにまで手をかけられたら擁護のしようがない」

ラング村での一件は未だに国の中でも尾を引いており、元信者であろうとその村にいた者は極刑にすべきと議論は続いている。
しかし国王はその場を諌め、邪の道に堕ちてしまった者であろうと更生させよと発言した。

741以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/25(日) 13:46:31 ID:.Uqee9Ik
ラング村の一件は、現在確認される生存者は皆無で、被害者も皆病死或いは自殺してしまう程の残酷な事件であった。

雑兵「…お上が生かすって決めたなら生かせばいいだろ、俺にゃ関係なくないか?」

参謀長「あぁ関係無いけどな、騎士団長と一番近しい人間が露骨に殺意剥き出してんだぜ?」

雑兵「それは...すまない」

参謀長「大丈夫だ、胸の内をあかせ、国王とサシで話せるんだ」

雑兵「あぁ...」

742以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/01(日) 00:24:46 ID:R/1kYHk6
コンコン

「雑兵、入ります!」

国王「うむ」

雑兵「お待たせしてしまい申し訳ありません」

国王「いや、いきなり呼んで悪かった、そこに掛けよ」

雑兵「はっ」

国王「大体は参謀長から聞いたであろう」

雑兵「はい、自分の胸の内も明かしました」

国王「そうか、気持ちは変わらんか?」

雑兵「はい、ですが結局のところは気持ちだけです、自分自身はどうこうするつもりは毛頭ありません、騎士団長の言う通りに動きます」

743以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/01(日) 00:29:58 ID:R/1kYHk6
国王「ラング村での一件...雑兵はよく働いてくれた、そして雑兵が元信者を許せない気持ちも分かる」

雑兵「…」

国王「ここは一つどうだろうか雑兵、貴様が信者の子供たちの教育に携わってみんか?」

雑兵「きょ、教育ですか?しかし自分は学がなく...寧ろ教育を施してほしい程なのですが」

国王「教育といっても何を教えると言うことはない、一緒に暮らし、遊ぶだけじゃ」

雑兵「しかし...あの連中の前に立ってしまえば、自分でも何をするか分かりません」

国王「貴様のその行動が騎士団長に迷惑を掛けるとわかっていてもか?」

雑兵「そっそれは...」

国王「今は気持ちを抑えてくれんか、子どもに罪は無いでな」

744以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/01(日) 00:31:55 ID:R/1kYHk6
雑兵「...分かりました、もし、もしですが、取り返しのつかない事になった場合...俺を殺して下さい」

国王「殺す...とな?」

雑兵「はい、騎士団長...いや、女騎士や勇者...ほかの方々にこれ以上迷惑をかけてしまうのであれば、死んだ方がマシです」

745以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/01(日) 00:38:17 ID:R/1kYHk6
国王「...わかった、きっと処刑してやろう」

雑兵「ありがとうございます」

国王「ふうむ、中々どうして肝が座った男よ、元々の性格なんじゃろうな...では命令を下す、これは国王命令じゃ」

雑兵「はっ!」

国王「命令!王国騎士団 騎士団長補佐雑兵!!元信者の孤児に対する教育係兼取締り係の任務を命ずる!!復唱不要」

雑兵「はっ!それでは申し受けに参ります」

バタン

国王「...」カチャ

国王「聞いてたな、騎士団長」

女騎士『...はい』

746以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/01(日) 00:42:09 ID:R/1kYHk6
国王「雑兵め中々に男前じゃな、捕まえて離すでないぞ」

女騎士『お、お戯れは...』

国王「戯れなどではない、アレは中々どうしていい男じゃぞ、貴様を心から愛している」

女騎士『...だと良いのですが、しかし本当に処刑をするのですか?』

国王「ほっほっ、言うたであろうきっと処刑すると、するに決まっておる、奴は覚悟して掛かった、ワシも本気でせねば雑兵に申し訳がたたん」

747以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/12(木) 00:10:41 ID:/uAStXDQ
我が国における命令には種類があり、部隊長の権限で、個々の隊員に発せられる個別命令、日常業務に対し発せられる日日命令、部隊の編成、配置、派遣等は参謀長、駐屯地や分屯地の長が発せられる一般命令、そしてその全ての命令を司るのが国王である、そして参謀長のみならず如何なる場所に所在する隊員一人、国民一人に対してでも発令できる国王命令がある。
国王命令はどの命令よりも重くまた何があろうと絶対に遂行される命令である。

雑兵(国王命令...ってことは絶対に処刑するってことだもんな)

国王命令には罪人や戦争犯罪を犯した隊員の処刑も含まれており、刑場で行われる処刑は全て国王が発令して行われるのである。

748以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/12(木) 00:16:21 ID:/uAStXDQ
参謀長「国王命令ってお前...しかも直々に何かしたら処刑するって下されたのかよ」

雑兵「あぁ、きっと殺すってさ」

参謀長「国王から言われたんじゃ...騎士団長でさえも止められねぇな...」

雑兵「止めてくれなくたって構わねえさ、俺が殺してくれって言ったんだ」

参謀長「だとしても...お前ってほんとバカだなぁ」

雑兵「そんなことは俺が一番分かってるよ、所でその子供らってのはどこにいるんだ?」

参謀長「あぁ、城の中にある教会が面倒見てる、外じゃ被害者遺族が危害を加える恐れもあるからな」

雑兵「了解、ほいだら行ってくるか」

参謀長「頑張れよお前...何を頑張ればいいかしらねぇけど」

雑兵「みんなに迷惑をかけないように頑張るだけさ、行ってくるな」

749以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/12(木) 00:21:33 ID:/uAStXDQ
城の中にある教会は孤児院の役割も果たしており、戦災孤児や両親を様々な理由で亡くした子供たちはここへ預けられ、基本教育等を受けて成人を迎えたら外で働きに出るそうだ。

雑兵「失礼します」

神父「どうも、雑兵さんですね?国王から通達を受けました、お世話になります」

雑兵「こちらこそよろしくお願いします...それで、子供たちは」

神父「はい、今は勉学の時間ですから...教会の者が教室で授業を行っていますよ、見に行ってあげてください」

雑兵「ありがとうございます」

750以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/12(木) 00:23:34 ID:/uAStXDQ
神父(子どもたちに危害を加えたなら処刑...本人がそう言ったとは言え、国王もそれを承諾するとは...カルトが与えた影響はまだまだ続くのか)

雑兵「…すみません、教室ってどこですか?」

神父「おやおや…」

__
___

751以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/12(木) 00:28:11 ID:/uAStXDQ
__
__
シスター「ここにはリンゴがあります、このリンゴ同士は幾つありますか?」

「2!」

シスター「すばらしい!」


雑兵(見たところ全員普通の子どもだな...子どもに罪は無いと言うが...あのカルトの子どもか)ギリッ...


シスター「…みんな、周りのみんなでこの問題を解いてみましょう、シスターがはいと言ったら答えてください」

「「「「は〜い!」」」


シスター「すみません、ちょっとよろしいでしょうか」

雑兵「…あ、は、はい」

752以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/12(木) 00:33:40 ID:/uAStXDQ
シスター「貴方が今日来られる雑兵さんですね?子ども殺意を向けるとはどう言うことです」

雑兵「…殺意なんてそんなこと」

シスター「いえ、私にも伝わりました、子どもたちにそんな感情を抱くなんて...何を考えているのですか!?」

雑兵「す、すみません...カルトの連中の子どもだと思うとつい...」

シスター「カルト信者の子どもであろうと、みな神の名の下に生を受けた者達です、許せない気持ちは分かりますが、子どもには何も関係のない事と貴方も分かっているでしょう?」

雑兵「…」

シスター「…あなたの事は昨日神父様から聞きました、

753以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/12(木) 00:37:01 ID:/uAStXDQ
シスター「そしてあなたの覚悟も、みな驚いていました」

雑兵「…」

シスター「貴方が道を外さないよう、私も含めて皆で援助します、ですからどうか今は寛大な心で子どもたちと接して下さい、お願いします」

雑兵「はい...すみません」

シスター「分かればよろしい、次の時間は自由時間です、子どもたちと交流を深めて下さい」

雑兵「…は、はい」

754以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/12(木) 00:38:02 ID:/uAStXDQ
雑兵(交流...交流か...)

雑兵「そう言えばここって...」

_
__

755以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/13(金) 01:53:35 ID:SsPxegCc
__
_
雑兵「やっぱり、ここに眠ってたんだな」

埋葬されて新しい墓石が複数建てられていた、ラング村のあの部屋で残忍な行為を行われた彼女たちの墓石だ。
雑兵が誤認で捕まった後、彼女達は保護されたが、皆重度の性病又は精神病の苦痛を数日間耐え抜いたのち病死又は自殺した、誰一人として救える状況ではなかった、しかし誰一人として救えなかったのだ。

雑兵「…子どもに罪はねぇけどよ、罪もねぇ子供も殺されたんだよ...」


シスター「雑兵さん?ここにいらしたのですね、授業が終わったので子どもたちと交流を...」

雑兵「...ウッ...ウウッ...」

シスター「...雑兵さん、やはりあなたやめた方が」

雑兵「...いえ、誓ったんですよ、この国の教育で元信者が更生しようとしまいと、一生を掛けてでもこの墓前に跪かせるって、子どもたちにはそんな事はさせませんがね、自分の親が何をしたか位は教えてやります」

756以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/13(金) 14:23:39 ID:SsPxegCc
シスター「それは...」

雑兵「俺の生まれ故郷の言い方だと...道徳の授業かな」

シスター「道徳...物は言いようですね、子どもにそんな残酷な事を教えられるのですか?」

雑兵「残酷な事もお前らが教えねえから禄でもない大人が世に出てくるんだよ、神だけじゃどうしようも
無いこともあるんだよ」

シスター「っそ、それは聞かなかったことにします、わかりました、あなたの覚悟は神父様からも聞きました、
あなたの思うようにして下さい、しかし変な真似はしないように」

雑兵「大丈夫だ、連れてきてくれ」

757以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/28(土) 16:27:25 ID:gjv04x0o
さてどこから話せばいいか、子どもなら間接的な表現よりも直接...

雑兵「おう、来たか」

シスター「ちょっと、何もわざわざ墓地でなんて...」

雑兵「すまん、だがケジメはつけたくてな、すぐ終わらす」

「シスター?この人は?」

「兵隊さん?」

雑兵「おう、すまん紹介がまだだったな、まぁ陰に座って話そうや」

シスター「私は隅で見てますから、みんないい子にしてね?」

「はーい」

雑兵「紹介する、俺は雑兵、今は騎士団長付の秘書をしている」

758以下、名無しが深夜にお送りします:2021/09/20(月) 22:53:58 ID:MYjU7P8M
雑兵「んで、俺はお前らの親を殺させてもらった、悪いとは一つも思っていない」

「…ッど、どういう...」

雑兵「いいかお前ら、お前らにはカルトの連中が行ったことに対して詫びる事はない、何故なら何一つとしてお前らに罪はないからな、自信を持って良い」

「へ、兵隊さん...何言ってるの...?」

雑兵「俺はお前らに人として真っ当な、お前らの親のような人間に育てない為にお前らの所に来た、別に厳しく接する訳じゃない、その仕事はこの教会の連中が勝手にやるからな」

シスター「ぞ、雑兵さん...!黙って聞いていればあなた一体どう言う...!」

雑兵「今まで黙って聞いてたんならこれからも黙って聞いてろマヌケ。いいかお前ら、お前らにゃこれから親がしでかした事を教え込んでやる、親に対する誇りも、愛情も一切無くしてやる、これがお前らに出来る教育で、犠牲になった人らに対する弔いだ」

759以下、名無しが深夜にお送りします:2021/09/20(月) 23:01:59 ID:AjWHNiGE

シスター「神父様!雑兵とやらを即刻辞めさせねば!」

神父「子どもたちに手を...出したのですか?」

シスター「いえ...しかし子どもに対する教育的模範となる人間ではありません!いつ子どもたちに危害を加えるか...」

神父「...確かに、カルト信者の子ども達を保護している事に対して反発をしている国民がいるのも事実です、雑兵はどうやらその人達の代弁者として来たのでしょうね...しかし彼ならやってくれます、子ども達を導いてくれるでしょう」

シスター「なんの根拠が...」

神父「彼の行いは見てきたし、聞いてきました...とても慈悲深い人であると同時に、自身の発言で苦労する人間ですね、すべて本音で話してしまうから...」

760以下、名無しが深夜にお送りします:2021/10/22(金) 22:33:19 ID:G2c8hVWk
神父「彼は死ぬ覚悟で当たっています、我々の発言で人を一人殺めてしまう、思う所もあるでしょうが、彼は道を間違えないでしょう」

シスター「…わかりました」

_
__

761以下、名無しが深夜にお送りします:2021/10/25(月) 22:26:21 ID:m6cIyoq.
読んでるよ

762以下、名無しが深夜にお送りします:2021/10/27(水) 15:38:27 ID:.LdszHqs
__
_
参謀長「その後どうです?奴の子守は」

女騎士「神父から聞いたが、やはりぶっ込んだようだな...手こそは出していないが」

参謀長「国王から直々に命令が下り...しかもなんかやらかしたら殺してくれですからね、豪胆なのかバカなのか」

女騎士「バカで豪胆なのに臆病者だ、ほんと意味が分からない性格だよ」

参謀長「そうですか、まぁ奴なら大丈夫でしょう、やばそうだったらもうすっ飛んできてますよ」

女騎士「随分と皆で懲らしめたからな、誰かが唆したお陰でやっとあいつも気付いてくれた」

参謀長「ま、まぁそれはそうとして...」

763以下、名無しが深夜にお送りします:2021/10/31(日) 00:21:00 ID:pb4JE2js
参謀長「諜報部からの情報だと、プラニスの残党と南のホイシュレッケ王国との情報の行き来が盛んになったと」

女騎士「ホイシュレッケ...」

参謀長「あぁ...あとあそこの殿下も王位に就くそうですよ、実はもう来てるでしょう?」

女騎士「婚約の申し込みか、あぁ、もう何ヶ月も前から来てたよ、一つも目を通してなかったが国王から流石にシカトは可哀想だから返信しろと言われた」

参謀長「気苦労が絶えませんな、どうするんです?あの殿下、断りでもしたら戦争に発展させる勢いの告白でしたよ」

女騎士「あのパーティーの時の告白見てたのか」

参謀長「副官の時にですがね、どんくらい立ちますっけ?」

女騎士「雑兵が来る前だから...一年とちょっとだな」

764以下、名無しが深夜にお送りします:2021/10/31(日) 00:25:05 ID:pb4JE2js
参謀長「雑兵換算ですか?」

女騎士「あ...いや別に特別な訳は無いぞ、うん」

参謀長「はいはい...では週間ミーティングは終わります、男を代表して言いますがね、早く想い伝えないと手遅れになりますよ」

女騎士「う、うるさい、まだ温めてる最中だ」

参謀長「雑兵も可哀想に...ではまた来週もお願いします」ガチャ

女騎士「あぁ、また」
バタン

女騎士「伝えるったって、一つも進展してないしなぁ」

765以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/08(月) 00:25:13 ID:DxJMtq/6
女騎士(全てが落ち着かないとなぁ…)

女騎士「…まぁ、今はまだね」
_
__

766以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/08(月) 00:41:02 ID:DxJMtq/6
__
_
雑兵「どうだ、シスターの授業はついていけてるか?」

「算数が難しい〜」

雑兵「算数かぁオレも実質学校行ったことないようなもんだからなぁ…気合いでなんとか乗り切れ気合いで」

シスター「あのですね...」

雑兵「なんでしょう」

シスター「気合も大事でしょうがちゃんと筋道を立てた勉強をしてんですよ」

雑兵「すみません」

「また喧嘩してら」
「飽きないねぇ〜」

767以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/14(日) 02:50:40 ID:YZa5Mki6
この孤児院へ来て数週間、時間はあっという間に経ちカルトの子ども達ともだいぶ打ち解けて来た、最初はやはりと言うべきか怖がられていたが、何をするでもなくただ一緒に授業や飯を食っていれば好奇心旺盛な子は近付いてくる訳で。

雑兵(ただ一々人数や体調を管理するのはしちめんどくせぇ訳でして)

シスター「雑兵さん、日夕点呼の記入お願いしますね」

雑兵「あいあい...」

この点呼も人数の点検や体調の良し悪しを管理する為に必要で、朝と晩に行われる。

雑兵「おーい、さっさとベッド入れよ〜」

「雑兵!絵本読んで!」
「ずるーい!私が先に読んでもらうの!」

雑兵「もー寝なさいよ、明日も見れんでしょうが」

768以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/14(日) 02:52:19 ID:YZa5Mki6
雑兵「点呼異状なしっと...俺も寝るべな」

この点呼は確実に行わなければならない
_
__

769以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/14(日) 03:01:26 ID:26mneQFM
__
_
ホイシュレッケ王国はビギニング王国と同じく君主制であり、ビーネ国王の元に統治されている、ビギニングとは長年交流が盛んであり毎年年末になると国王同士交流の為の晩餐が開かれる。
ビーネ国王にはラヴィーネという一人息子がおり、現在はホイシュレッケ王国の王国騎士団長を拝命され、その座に君臨している。

ラヴィーネ「お父様、今回の晩餐会は勇者様も来られるとか」

ビーネ「あぁ、貴様のが愛してやまない騎士団長も来るぞ」

ラヴィーネ「あぁ...騎士団長...早く会いたい...会ってあなたと添い遂げたい...」

ビーネ(ひとっつも進展していないのにこの自信は誰譲りなのだろうか...)

770以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/14(日) 03:06:53 ID:26mneQFM
ビーネ(以前の交流会でいきなり告白したかと思えばこっぴどく振られたのに...我が息子ながら気持ち悪いな)

ビーネ「そいえば...最近ビギニング王国の騎士団長に噂が流れていてな、なんでも側近の男を付けたとか...」

ラヴィーネ「側近ですか...?副団長がいるのに...」

ビーネ「分からんが、兵卒上がりなのにずっと騎士団長の側に付かせているようでな...」

ラヴィーネ「あぁ...そんなバカな...嘘だ...ありえない」

ビーネ(せっかく男いる事匂わせてんのに諦めぬ男だな...揉め事を起こさなければ良いが...)

771以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/14(日) 03:09:32 ID:26mneQFM
その夜
ラヴィーネ「…いいかい?絶対にバレないようにするんだ、その側近とやらの情報を手に入れ...可能な限り始末しろ」

間者「御意」
_
__

772以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/14(日) 03:14:39 ID:9/PidJuw
__
_
勇者「ただいま〜…」

女騎士「おかえり、疲れてるね」

勇者「何もしなさすぎて疲れたよ〜、オムエンにいる魔物たちホント何もしないし、むしろ人間とも仲良いし」

女騎士「それはいい事だね、雑兵にはもうあった?」

勇者「あ、まだだ!会わないと!どこにいるんだっけ?」

女騎士「教会だよ、子どもたちと一緒だからあまりひっつき過ぎないように」

勇者「それってお姉ちゃんのお願いでしょ、なんの進展も無かったんだ、僕にもチャンスあるね」

女騎士「い、いや...進展は...」

773以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/14(日) 03:17:22 ID:9/PidJuw
勇者「どうせしてないんでしょ、流石の僕でもわかります」

女騎士「進展も何も...まだ始まってすらいないしなあ」

勇者「ほーん、まぁ弱気なら僕に敵はいないね、じゃそゆことで〜」バタン

女騎士「...好きだけど、何もなさすぎるんだよ」

_
__

774以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/23(火) 23:25:36 ID:4qvQ9v22
__
_
雑兵「今晩の見回りも異状なしっと...」

ガチャ...

雑兵「ん?...扉が開いた音がした気が...まぁ気のせいか」


間者(...見回りは毎晩欠かさずに行なっているな、真面目な奴だ、しかし隙だらけの巡回だな)

間者(孤児の人数は...意外と多いな...フム...)

775以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/23(火) 23:27:46 ID:4qvQ9v22
間者(しかし騎士団長付の秘書がこんな所で何をしているのだろうか...まぁどうでも良い、まずは情報だな…)
_
__

776以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/23(火) 23:34:45 ID:eUx8qTow
__
_
間者(なんだこの城は、業者を偽れば簡単に忍び込める...まぁ良い、事前に貰った雑兵とやらの経歴は...独立大隊、国境守備隊...そして騎士団長付の秘書か、騎士団に近付いてみるか)


天使「へぇ〜雑兵ってば孤児の面倒を?」

エルフ「うん、しかも国王陛下直々の命令だって...大丈夫かな雑兵」

天使「雑兵なら大丈夫だと思うな、優しいし」

エルフ「でも孤児って、カルト信者の孤児でしょ?雑兵の心がいつまで持つか...」

天使「大丈夫、雑兵なら上手く付き合えるよ」


間者(国王命令でか...しかし雑兵とやら、かなり信頼を置かれているな...)

777以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 00:20:47 ID:vs84Y4zs
間者(国王命令...と言うことは何かしらの粗相があれば重罪は免れんと言うことか...)

間者「気は乗らないが...これも仕事だからな」

_
__

778以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 00:24:20 ID:JPWMvU12
__
_
雑兵「あれ…なんか一人多い...?」

シスター「雑兵さん?どうかしましたか?」

雑兵「日夕点呼で子供達の数を数えたんだけど、なんか一人多くて...誰かまた増えた?」

シスター「いえ、新しい子が来る報告は来ていませんから...前々から数え間違えてたのでは?」

雑兵「あぁ〜そうかもなぁ...いや、でもなぁ...」

シスター「明日の朝に確認しましょう、今日はもう遅いですし、新顔の子がいたら分かりますから」

雑兵「そうするか...」

779以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 00:28:17 ID:JPWMvU12
__
_
間者「…」
ガチャ
間者「上手く忍びこんだな」

「はい…来ました...その、ちゃんと殴られたらお金くれるってほんと?」

間者「あぁ、暫くは妹さんと暮らせる程の大金だ、だがちゃんと働かないとダメだぞ、大金といえど使い方によってはお金はすぐなくなるからな」

「わかった...」

間者「じゃあ...耐えてくれ...よっ!!」
バキイッ!
_
__

780以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 00:32:23 ID:ZphAVgRw
__
_
雑兵「よーし、点呼とるぞ〜...ん?」

シスター「はい、一列に並んでください…そ、その傷、どうしたの?」

「…」

雑兵「誰かに殴られたのか...?」

「…」ッス

雑兵「…は、はぁ...?」

シスター「ぞ、雑兵さん...?嘘ですよね...?」

781以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 00:37:49 ID:bUyEy5xA
雑兵「いや、いやいや!殴ってねぇ、ぜってぇ殴ってねえって!そうだ!神父、神父呼べ!そしたらこのガキが何者か分かるって!」

シスター「神父様はいま出張で居ません…」

雑兵「ちょっ、ちょっと待て!いやお前嘘つくなってホント!なぁ!」

「……」

シスター「雑兵さん…失望しました...なんでここまで来て...」

雑兵「いやいやいやいや、冷静に考えてみろって!」

シスター「とにかく...事実確認のため憲兵を呼ばせて貰います、この子が貴方に殴られたと言った以上は...」

雑兵「いやいやいや...まさか、そんな...」

782以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 00:43:37 ID:bUyEy5xA
その夜

「…」

間者「よくやったな、雑兵ってやつはお陰で監獄に打ち込まれたそうだ、憲兵の取り調べにも一貫して殴られたって言ったか?」

「...うん」

間者「よし、これで奴の始末は完了だな、あのバカ自分で国王に手を出したら死刑にして下さいと言ったそうだ、やる事が裏目に出過ぎだ...まぁいい、約束の褒美だ、妹さんと達者で暮らせ、まずは孤児院とスラム街から抜け出して、奉公先を見つける事だ、いいな?」

「うん」

間者「元気でな」

_
__

783以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 00:51:10 ID:C51cIBKw
__
_
女騎士「…嘘だ、嘘だあり得ない、あり得ない!!」

副団長「しかし...子どもは一貫して殴られたと主張しています、しかもあの殴ったアザは間違いなく大人が殴らねば出来ないほどの威力...」

「おかげで騎士団は末代まで舐められますね、騎士団長?」

副団長「口を慎め若造!騎士団長...もしかしたら、もしかしたら何かの間違いかもしれません...国王陛下にまで誓ったあの覚悟を無碍にするような男では...」

「ですが副団長、あの男は卑劣で野蛮な男ですよ、規律を守ると言う気概もなく上官には楯突いて...しかも国王陛下にまで楯突くとk バキイッ!!

女騎士「ハァ...ハァ…黙れ...貴様如きにアイツの何が...」

副団長「騎士団長、いけません」

「っく...なんであの男ばかり...!あんたおかしいんだよ!!オレら騎士団の方が遥かにあんたに忠誠を誓ってた!アイツは忠誠のカケラもねぇのに!!」

784以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 00:53:31 ID:C51cIBKw
副団長「貴様!出てゆけ!」

女騎士「……」

「くそ!あんなやつなんか死んでしまえ!!」

バタン!

副団長「…少し席を外します...」

女騎士「あぁ...」

副団長「…ックソ!」

バタン!!

女騎士「何かの間違いだ...何かの...」

785以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 01:02:19 ID:eTk/3V6E
国王「…ふぅむ...」

参謀長「先月からホイレシュッケ王国と我が国の国境を商人の行き来が多くなっています、多くが彼の国の商人です」

「しかし商人の行き来のが多い割に、財政の動きが見られません、ここまで多く来るのであれば多少なりとも物価は変動するのですが...」

国王「相分かった、国境の警備を更に厳重にせよ、それと参謀長は残るように」

参謀長「はっ、それでは本日の報告会は終了します」

786以下、名無しが深夜にお送りします:2021/11/29(月) 01:14:31 ID:eTk/3V6E
国王「して...雑兵の様子はどうだ?」

参謀長「はぁ、取り乱しております、未だに無罪を主張しておりますが...いかんせん証拠が...」

国王「やっていない証拠が無い...そういう所か...被害者の子どもは?」

参謀長「いまは孤児院で治療を受けております、幸い跡が残る傷も、殴られた側の歯も無事でした、器用に殴りやがって…」

国王「…わかった、証拠が集まらん以上は命令通りにするしか無い...四日以内だ」

参謀長「…はい、有りとあらゆる手段を尽くします」

_
__

787以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/05(日) 00:47:45 ID:xXOBpoRA
__
_
神父「ふうむ...出張で帰ってきてみれば、なんたることか...

シスター「神父様、やはり最初から無茶だったんです、人の心の底というのは変われるものでは...」

神父「...いま、被害者の子はどこに?」

シスター「城の軍病院で入院しています、軽症ですが一応軍医の判断で…」

神父「ふむ、ちょっと様子を見てみよう、シスターは残っててくれ」

シスター「はい」

788以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/05(日) 00:51:01 ID:xXOBpoRA
「どこに消えたんだ?」

「便所じゃねえか?」

神父「おや、何やら騒がしいですな」

「神父様、被害者の子どもが姿を眩ましてですね...」

「飯食った後にどこかに...多分便所だと思うんですがね」

神父「それは大変だ、病人ですから今すぐに探し出さねば」

789以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/05(日) 00:52:37 ID:xXOBpoRA
神父(失踪...行く当ても無い子どもが何処に...いやもしかすれば…)

神父「…なかなか面倒な事態になったな」

_
__

790以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/05(日) 01:00:56 ID:xXOBpoRA
__
_
勇者「被害者の子が消えたんなら本当に殴られたか分からないじゃん!」

参謀長「しかし今の段階では子供の証言が一番有利でしてね、殴られた傷は間違いなく大人が殴らないと出来ないほどの傷ですし…」

強襲団長「そもそも子ども一人逃げ出せる軍病院もどうなっているんだって話だな」

参謀長「あと二日...明日にゃ雑兵は刑場に送られる...」

強襲団長「…バカな話だが、変な意地張った雑兵も悪いけどな、弁護士も無しで雑兵が殺されるってなぁこの国の司法もとんでもねえぞ」

参謀長「弁護のしようがないんですよ、殴らないと言う約束で子どもたちの子守りして、殴られた子どもがいるんですよ。しかもカルトの子だ、雑兵が100%殴らないとは言えないんですよ」

勇者「そんな…!じゃあ雑兵死刑になっちゃう…!やだ…やだぁ!」

791以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/05(日) 01:05:51 ID:xXOBpoRA
強襲団長「…仕方がねぇ、強襲警備団全員でそのジャリを探し出してやらぁ」

参謀長「えっいやしかし強襲警備は国王からの命令が無ければ...」

強襲団長「んなもんお前がどうにかしろや」

参謀長「しかしなぁ...!」


国王「許可する、さっさとやってこい」

強襲団長「はっ、直ちに捜索します」

参謀長「こ、国王陛下...!」

国王「許せ参謀長、ワシもまだ望みに賭けたいのでな」

勇者「王様...」

国王「勇者よ、泣いてしまっては雑兵が困ってしまう、今は雑兵を信じてやるだけじゃ」

792以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/05(日) 01:07:11 ID:xXOBpoRA
勇者「王様...うん!」

国王「して、騎士団長は大丈夫かな?」

参謀長「…一応は気丈に振る舞ってはいますが...」

国王「…仕方がない、今はな...」

793以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/05(日) 14:14:29 ID:xXOBpoRA
国王「真実を掴み取るのじゃ、さもなくば雑兵はきっと…」

参謀長「…はっ、我が王国軍の誇りにかけて」
_
__

794以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/06(月) 00:15:17 ID:Ux8kuR4c
___
_
雑兵「はぁ〜.…

「えらい落ち着きようだな...明後日にゃお前...」

雑兵「そうだけどさ、やってねぇ証拠がねぇって言われたらもうお手上げなんだよなぁ〜…」

「心配すんなって、オメェの味方は多いぜ、まぁカルトのガキだから殴りたくなるのも...」

雑兵「だけん殴ってねぇってのに…」

「あ、すまん...」

795以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/06(月) 00:19:51 ID:Ux8kuR4c
雑兵「もう疲れたなぁ…なんべん同じ事を繰り返しゃ済むのかなぁ」

「諦めんなって、いま王国軍総出でその逃げ出したガキ探してんだからよ、強襲警備団も捜索にあたってんだぞ、あの国王から直々に命令されたんだ」

雑兵「強襲団長がよくそんな事を...」

「まぁお前との関係はわかんねぇけど...弟子の二人は相当参ってるらしいからなぁ」

雑兵「…あぁ、もう勘弁してくれ...何度も何度も…」

「まだ粘れって、大丈夫だ」

雑兵「でも明日には刑場でしょ?」

「まぁそれが俺らの仕事だからな」

_
__

796以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/26(日) 23:16:36 ID:91FGGNTs
__
_
強襲団長「まずは孤児に話を聞くんだ、殴られた子の特徴性格孤児院に入った時期も、ありったけを聞き出せ」

「了解ッス」

「お前らはスラム街の捜索だ、顔にアザが残ってるはずだ、怪我をしているガキがいたら徹底的にマークしろ、情報が入り次第随時伝える」

「「「了解」」」

強襲団長「いいかお前ら、この任務は国王から直々に許可を得た任務だ、必ず任務達成させるぞ」

「「「「おう!!」」」」

797以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/26(日) 23:20:32 ID:91FGGNTs
勇者「強襲団長…」

強襲団長「…まぁそんなに落ち込むなよ、雑兵は俺らが必ず見つける、いまは休んどれや」

勇者「でも...雑兵がもし...処刑になんてなったら...」

強襲団長「…雑兵を信じて、俺らの事も信じてくれ、さぁ、今は休め、あと女騎士の奴にも休んどけって言っといてくれ」

勇者「…うん」

798以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/27(月) 00:28:33 ID:ebqXyHlQ
強襲団長(ったく、まだ二人ともガキだってぇのに女の顔し出しやがって...雑兵の奴、死んでも逃がさねぇぞ)

_
__

799以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/27(月) 00:32:21 ID:ebqXyHlQ
__
_
女騎士「はぁ...」

女騎士(孤児が殴られたと聞き、真っ先に雑兵の顔が思い浮かんだ...やはり雑兵を信じられなかったのかな...大丈夫と送り出した時は信じていた筈なのに...)
ガチャ

勇者「お姉ちゃん...」

女騎士「ん?どうしたの?」

勇者「強襲団長がお姉ちゃんも休めって...」

女騎士「あぁ...まったく、周りの人にまで迷惑をかけてしまったな...勇者、今日は一緒に休もうか?」

800以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/27(月) 00:33:08 ID:ebqXyHlQ
勇者「…うん」

女騎士「じゃぁ着替えてベッド入ってて、私もすぐ行くから」

801以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/27(月) 00:37:40 ID:crneizSw
勇者「…お姉ちゃん、雑兵大丈夫かな」

女騎士「大丈夫だよアイツなら、幾つもの試練を乗り越えてきたんだから」

勇者「…」

女騎士「…強襲団長も頑張ってくれてるんだから、信じよ?ね?」

勇者「…」

女騎士「明日もお仕事だから、早く休もうね」

勇者「うん…」

_
__

802以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/27(月) 00:45:14 ID:crneizSw
__
_
ピピーッッ
「逃げたぞ!」

「もう逃さねえぞスパイ!!」

間諜「ックソ...!あとちょっとで出国できたのに何故いきなり…!」

間諜(非公認の任務だから検問は通れない、ここまでか...)

「やっと観念しやがったな」

間諜「何故俺がスパイだと...」

「最近ホイシュレッケ王国とビギニングに商人の往来が激しくなってな、しかし我が方の財政は上がるわけでもないからおかしいと睨んだわけよ」

「まぁ全員が全員スパイじゃねぇけどよ、明らかに商人を名乗るのにお前は城の出入りが激しかったんだわ」

間諜「出入りが...?商人と化けてれば大丈夫と思ったのに...」

803以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/27(月) 00:49:47 ID:ny/TnjW.
「バカ野郎、うちの城ん中じゃ外国の商品は買わねぇんだよ、それは色んな国の商人が知ってることだ、それを商人ですと入ってきたら怪しむに決まってんだろ」

間諜「最初から泳がせてたのだな…」

「まぁんな事はどうでも良い、知った情報を返して貰おうか」

間諜「生憎だが俺は別の任務でビギニングに立ち寄ったのでな...情報はさほど手に入れていないんだ」

「なに...?それってぇのは…」

間諜「ちょっとした火遊びだよ、ちょっとしたな」

「…クソ、連行しろ、ちいと手荒く聞かなきゃいけなくなっちまった」

804以下、名無しが深夜にお送りします:2021/12/29(水) 19:53:07 ID:6hGg15RI
「しちめんどくせぇ、いったい何しでかしやがった」

間諜「…そろそろだな」

「あ?そろそろ?」

「まぁいい、取り敢えず首都まで連行しろ、ったっくここから首都まで遠いんだぞ」

間諜「…雑兵って奴知ってるか?」

「雑兵?いや知らんな」

「小隊長…雑兵ってぇのは忠義に熱い男で、所謂俺ら兵卒の星って奴ですよ、でも確か風の噂ですけど、なんか死刑確定してるらしくて…」

805以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/02(日) 19:55:03 ID:wHoZMaps
「死刑?何しでかしたんだ」

「なんでも、国王に頼まれた仕事に不備でもあったら殺してくれって言ったみたいで」

「バ、バカなのかアイツ…そんな簡単に命投げ捨てて…」

間諜(やはり早めに処分しておいて良かった、雑兵とやらなにかと影響力はあるようだな)

「はぁ、そこ知れないバカですが…でもとても良いやつですよ、義理堅くて、アイツが処刑でもされたらどうすんだろうなぁ」

「知った事ではない、さっさと連れてゆくぞ」

「了解ですっと」

_
__

806以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/02(日) 20:12:54 ID:wHoZMaps
__
_
参謀長「なんの手がかりもねぇだと?!てめぇ何してたんだよ!」

強襲団長「まぁまてや若造、件のジャリの情報は聞いた、奴は妹と行動し、今は何やら遠出の支度をしているらしい」

参謀長「だったら!」

強襲団長「スラムの連中の結束力は固いんだよ、オレらみたいな不成者の警備隊に嗅ぎ回られるって感じられたらそりゃ口も固くなるわな」

参謀長「クソ、もう雑兵も連れてかれちまうのに…」

強襲団長「…いま総出で捜索にあたってる、ジャリ如きに振り回されてたまるか」

参謀長「…ックソ!」

807以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/02(日) 23:44:16 ID:kwiYoz4s
「雑兵出ろ、移動だ」

雑兵「…おう、世話なったのう」

「…達者でな、オメェと飲んだ時は楽しかったぜ」

雑兵「…あぁ、また会おうや」

ガチャン

808以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 01:34:43 ID:1peUaHg6
バタン

雑兵「…やめとけ」

女騎士「…いや」

「き、騎士団長…」

雑兵「味方に刃向けて、いやなんてことはねぇだろ、やめとけ」

女騎士「うるさい、さっさとその拘束を解け」

「…で、出来ません、国王の命令です」

雑兵「…」

女騎士「…」

雑兵「女騎士…すまん、お前の約束守れなんだ、愛してるぞ、お前も、勇者も」

女騎士「…っいや!」

「…」

809以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 01:39:09 ID:B1X54npI
女騎士「何が愛しているだ…!そんな態度も言葉も…一切合切…」

雑兵「お前らから言ってくれたもんな…でもオレは言えなかった、愛してる、でも多分オレはお前らを幸せにできない、だって現に一人に絞れてないんだぞ」

女騎士「それでもいい…私も、勇者も愛してくれるなら…それで…」

「…時間です、申し訳ありませんがこれ以上邪魔だてするのであれば…」チャキ...

女騎士「…すまん、取り乱した」

雑兵「俺が死んでも、忘れないでくれ…あっちでもこっちでも忘れられたら寂しいからさ」

女騎士「絶対忘れない…死んでも…」

810以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 01:42:52 ID:B1X54npI
「…いくぞ、馬車に乗れ」

雑兵「あぁ…」

バチン! ブルルッ

雑兵(すまねぇ、みんな、すまねぇ)


勇者「ッハァ…ハァハァ…雑兵ーー!!」


雑兵「勇者…!女騎士にも言ったけど!愛してるぞ!だけど他にもいい男見つけろ!」


勇者「無理だよ…!雑兵以外になんて…」


雑兵「だったらオレが…!生まれ変わってでもお前のところに、女騎士のところにいってやる!無理なら待ってろ!」

勇者「…一生待ってる!!」

811以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 01:47:49 ID:pwXLll2E
「…城出るぞ、格子の扉閉めろ」

雑兵「あぁ…」 カシャッ

この世界にきて一年と半年くらい、前の世界では出来なかったことも出来るようになった、チートとか異能魔法も一切無かったけど、それでも楽しかった、次の世界はあるのだろうか…無ければどうなるのだろうか。

雑兵「ありもしない未来が浮かんでくらぁ…」

息災に子守を終え、女騎士と勇者との生活、家は城の中になるが、タダだからそれでもいい。
そんなありえない未来が浮かんでくる。

雑兵「もう手遅れだけどな…」

812以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 01:55:10 ID:jFjHKSv2
ビギニング刑場はカルト信者の処刑も終えひと段落していた、龍で咬み殺されるだけではキャパオーバーだったので再び処刑人が登場した事もあったらしい、しかし今はあらかた処刑も終わり閑散としていた。

雑兵「前はもう少しいたのに…」

「カルトの処刑は流れ作業でやってたらしいが、間違えて国王の命令が出てない死刑囚も殺しちまったみたいで…」

雑兵「バカだなぁ」

「仕方ねぇよ、番号も振られてねぇしなぁ、じゃあお前の処刑は明日だ…今日はまぁ休んどけ」

雑兵「おうよ…」

雑兵(休めるかってんだ)

813以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 23:28:44 ID:M1f6fDqM
そして、なんの音沙汰もないまま次の朝を迎えた。

「雑兵…出ろ」

雑兵「…はい」

万に一つの可能性があったとしても、それは全て後の祭りであろう、刑は既に執行される、知らせが来る気配もない、身代わりもいない。

「言い残したことは?」

雑兵「女騎士…いや、騎士団長と勇者に愛してると伝えてくれ、他の人にはこの紙に…」

「しかと受けとりました…主よ、みもとに召された人々に、永遠の安らぎを与え、あなたの光の中で憩わせてください。神よ、深い淵から、あなたに叫び嘆き祈るわたしの声を聞いてください。あなたが悪に目を留められるなら、主よ、だれがあなたの前に立ち得よう」

814以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 23:34:23 ID:hnZD8k5s
グオオオオオ....!

「いつくしみ深い神よ、今この世からあなたのもとにお召しになる雑兵を心に留めてください。洗礼によって神の死に結ばれた者が、その復活にも結ばれることができますように」

グオオオオオオオオ!!!!


雑兵「…っ!」

「雑兵の心に永遠の安らぎのあらんことを…」

処刑龍「オオオオオオおおおっっっっ!!」

教誨師の言葉につられるように、大きく口が開けられる、数多の死刑囚を喰らい尽くした龍、こんなのがまだ生きているとは、そして使われているとは…

815以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 23:40:31 ID:GzKOFo0c
雑兵「…うぅっ″!」

その瞬間、世界が反転し、そして真っ暗になった、下へ落下していく感覚、そして強烈な腐敗臭、喰われたのだ。
奈落への落下は腐敗臭と、そして不気味な暖かさに包まれていた…

雑兵(早く、飲み込んで殺してくれ…)

他の死刑囚もこのような感覚だったのだろうか、巣で貪り食われるのか、それとも落下しながら徐々に食うのか…
口の中で地面についた感覚があった、意外にも底は早く着いた。

雑兵(…何も起きない、何やってんだコイツ)

処刑龍「ッペ」

雑兵「うおおおおおおっ!!」ゴロンゴロン

816以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 23:43:13 ID:GzKOFo0c
雑兵「って、てめぇ!人を不味いみたいに吐き捨てやがってこの!!」

処刑龍『グルル…』

雑兵「…な、なんだよ」

処刑龍『…実際不味いんだよ人の肉って』

雑兵「しゃ、喋った?!」

処刑龍『そりゃ喋るわいな、何千何万と生きておるのだぞ』

雑兵「な、何で…オレのことは食わなかった」

817以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 23:50:14 ID:GzKOFo0c
処刑龍『問いかけの多いやっちゃなぁ、オレ人の心読めるんだけども、お前冤罪で捕まったな?』

雑兵「あ?あ、あぁ…」

処刑龍『そんなもんすぐに分かる、何故人間がわからないのかが理解できないが…心の奥底でな、お前の記憶を少しのぞかせてもらった』

雑兵「…」

処刑龍『可哀想に…どこぞの誰かに冤罪をふっかけられ、子どもを暴行したと思われたのだな…』

雑兵「あぁ…誰かは分からないが…そんなところだ」

処刑龍『全く、最後まで戦いんしゃいホントに…冤罪ってのはね優秀な弁護士によって証明されるのであってだな、痴漢の冤罪被害も諦めない心を持って…」

雑兵「…お前、日本人か?」

処刑龍『ありゃ、ありゃりゃ?分かった?そうそう、今はこんなナリだけど、昔は普通のサラリーマンだったんだど、事故で死んじまったけど』

818以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/04(火) 23:54:54 ID:GzKOFo0c
雑兵「はぁ、あるあるだな、オレはパチ屋出てすぐ脱水症状と熱中症で死んじまった」

処刑龍『あらかわいそう、オレもさぁ事故って死んで異世界転生っても、龍のなりじゃ遊べなくてねぇ』

雑兵「そうだよな…でも過去はすげぇ龍だったんじゃ」

処刑龍『そりゃ昔はね、ん万年も前だと、人の争いよりも龍の争いが絶えなかった、どちらかが死ぬまで行われる争いは、大地を割り山を砕きってなもんで生まれたのがここビギニング刑場、オレが割ったんだど』

雑兵「そ、そうかい…」

819以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/05(水) 00:00:08 ID:C54xsvvk
処刑龍『でも結局俺が勝ち残って崇められてもさ、誰も信仰してくれなくちゃこんな汚い身なりにもなる訳ですよ、腐敗龍なんて呼ばれちゃって、腐ってねぇよ風呂入ってねぇだけだ」

雑兵「どうなでもなるだろ龍ならよ」

処刑龍『いやこれが案外どうにもならないわけ、毎日ひっきりなしに死刑囚食わせやがってよ、休む暇もねえっての土日祝日は休ませろってな』

雑兵(これまたクセのすごい奴に会ったもんだ、今まだで一番癖がすごいかも知れん)

処刑龍『考えてること分かるんだってば、まぁどうでもいいや、で?どうやって帰る?』

雑兵「え?」

処刑龍『帰んないと、ここにいられても困るよ』

雑兵「いや…帰りたいのは山々なんだけど…冤罪って証明してくれる弁護士がいなければ、ほとぼりも冷めてない状況でして…」

820以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/05(水) 00:02:26 ID:C54xsvvk
処刑龍『うわぁ帰りにくい〜でもここにいてもどうすんのさ、誰が無実でしたよ〜って届けてくれるの?』

雑兵「あぁ…そっか…」

処刑龍『まぁ満足するまでいなよ、困るけどすごかってわけじゃないし』

雑兵「ありがとう…」

_
__

821以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/09(日) 23:24:24 ID:4fp84BjE
__
_
「雑兵の処刑、異状なく完了しました」

勇者「…あ…」

女騎士「…」

参謀長「分かった、わかった…」

「こちら、雑兵からの伝言です」

『私に関わってくださった全ての方々に深い御礼を、騎士団長、勇者殿、愛しております また会う日まで』

勇者「…これだけなの?」

「はぁ、それしか受け取っていません」

勇者「何か、何か他に言わなかったの?!」

「騎士団長並びに勇者様を愛していると、以上です」

女騎士「そうか…雑兵はもう…」

参謀長「こんな…こんなクソみたいな最期で…結局死んでんじゃねぇかよ…」

女騎士「もう分かった、参謀長、仕事に戻ろう、業務は残っている」

参謀長「騎士団長…!何故泣かないのですか!あんたにゃ人としての…それに雑兵に愛されてたのではないのですか?!」

822以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/09(日) 23:29:19 ID:4fp84BjE
女騎士「今更泣いて何になる、奴の決めた結果だ、参謀長も落ち着いたら業務に戻れ」ガチャ

バタン

騎士団の長たるものとしてのプライド、弱みを他者に見せる事など許されない、自分の仕事が嫌になる、愛した男一人の死にでさえも泣けないとは。
しかし不思議な男であった、あった当初は浮浪者同然の姿だったのに、今では国の兵卒達に希望と言われる存在である、自分を偽らない性格、難儀な性格で苦労するだろうし、実際に苦労していたが、嫌いじゃなかった、むしろ雑兵だったからこそ好きになれた。

女騎士「…ッアゥ…」

部屋を入るまで泣いてはいけない、いけないのだ。

823以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/09(日) 23:30:48 ID:4fp84BjE
勇者「お姉ちゃん…」

女騎士「…どうしたの?」

勇者「部屋入ったらさ…一緒に泣いて良い…?」

女騎士「…うん、いっぱい泣こうね」

家族の前では、せめて素直になろう

824以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/09(日) 23:34:12 ID:4fp84BjE
参謀長「強襲団長…話ってなんだ」

強襲団長「ホイレシュッケのスパイを捕まえた奴が吐いた」

参謀長「吐いたってお前、わざわざそんなことをオレに」

強襲団長「ガキに金掴ませて、殴った後に孤児院に忍び込ませたとの事だ、アイツが処刑されたから吐いたんだ」

参謀長「…ッんのボウフラァ!どこで取り調べやってんだ!!」

強襲団長「警備隊の取調室だ」

参謀長「ぶっ殺す…!!」

825以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/09(日) 23:40:10 ID:4fp84BjE
バァン!

「さ、参謀長!今取り調べの…」

参謀長「…てめぇがホイレシュッケの間諜か?」

間諜「あぁ、そうだが、」

参謀長「ふざけるな貴様、何やったか分かってるよな、おい警備の、剣寄越せ貴様剣」

「い、いけません!ホイレシュッケとは同盟国で…」

参謀長「黙れ、コイツの首をホイレシュッケの国王に送りつけてやる」

間諜「好きにしろ、仕事は恙無く終わった」

参謀長「てめぇ誰の策略でそんなことを…」

間諜「お前らの知ったことでは無いだろ」

参謀長「…ホイレシュッケ…はあ、なるほどなぁ…あのクソ王子からだな?」

間諜「…」

参謀長「騎士団長の周りをうろちょろしている男が気に食わねぇと…どうせそんな腹づもりだろ」

間諜「知るか」

826以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/19(水) 23:49:56 ID:tuEf78UU
間諜「何はともあれ全ては後の祭りだ、オレの任務は完了した、さぁ好きにしろ」

参謀長「っ…!!まぁいい…言質は取れた、邪魔したな」

_
__

827以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/19(水) 23:55:09 ID:iVbmH4FY
__
_
国王「…なんということだ」

参謀長「我々は間諜の掌の上で踊っていたと、つまりはそういう事です」

国王「ホイレシュッケ…あそこの殿下は腐っていると聞くがそこ迄とは…国王は聡明な方であるのに…」

参謀長「…もうこの話しは無かったことにするしか無いかと、隣国と戦争をする理由がまさか一兵卒のいざこざで、しかも我々に落ち度しかありません」

国王「戦争などはせぬ、だがツケは払って貰おう」

参謀長「いかがなされますか?」

国王「ただちにホイレシュッケに行き、国王と対談する、この様な狼藉を働いた息子に対し何かしてやらねば気が済まん」

参謀長「御意、すぐに対談の手配をします」

828以下、名無しが深夜にお送りします:2022/01/19(水) 23:58:33 ID:iVbmH4FY
参謀長「ということだ騎士団長、動向をしてもらおう」

女騎士「そんな…そんなしょうもない事で雑兵は…わかった、騎士団を護衛に付けさせよう」

参謀長「勇者様も連れてきて貰えますか?」

女騎士「勇者も?」

参謀長「はい、あの国の殿下にはこの件に関し全ての者に対し弁明してもらう」

女騎士「分かった…連れてゆこう」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板