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雑兵の雑草記
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/04/22(日) 17:48:02 ID:D57wSHgc
ジャラララララララwwww リ-チ!! ザンネン...
男(ッチ…)
男(二万の負けか…)
男(今月に入って当たりは四、五回…あと一回やろ…)ッス...
男「泣きの千円だな…」
思えば産まれてこのかた、頑張るだの努力だのは一切したことが無かった
と思う、小学校の最初は勉強も簡単すぎてやるだけ無駄と思ってやってこなかった
し、遊び仲間も沢山いた、楽しかった。
しかし、学年が上がるにつれて勉強は難しくなり、遊び仲間は皆んな勉強をし始めた、
いや、勉強は最初からしていたのだろう、何もして無かったのは俺だけだ。
780
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/11/29(月) 00:32:23 ID:ZphAVgRw
__
_
雑兵「よーし、点呼とるぞ〜...ん?」
シスター「はい、一列に並んでください…そ、その傷、どうしたの?」
「…」
雑兵「誰かに殴られたのか...?」
「…」ッス
雑兵「…は、はぁ...?」
シスター「ぞ、雑兵さん...?嘘ですよね...?」
781
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/11/29(月) 00:37:49 ID:bUyEy5xA
雑兵「いや、いやいや!殴ってねぇ、ぜってぇ殴ってねえって!そうだ!神父、神父呼べ!そしたらこのガキが何者か分かるって!」
シスター「神父様はいま出張で居ません…」
雑兵「ちょっ、ちょっと待て!いやお前嘘つくなってホント!なぁ!」
「……」
シスター「雑兵さん…失望しました...なんでここまで来て...」
雑兵「いやいやいやいや、冷静に考えてみろって!」
シスター「とにかく...事実確認のため憲兵を呼ばせて貰います、この子が貴方に殴られたと言った以上は...」
雑兵「いやいやいや...まさか、そんな...」
782
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/11/29(月) 00:43:37 ID:bUyEy5xA
その夜
「…」
間者「よくやったな、雑兵ってやつはお陰で監獄に打ち込まれたそうだ、憲兵の取り調べにも一貫して殴られたって言ったか?」
「...うん」
間者「よし、これで奴の始末は完了だな、あのバカ自分で国王に手を出したら死刑にして下さいと言ったそうだ、やる事が裏目に出過ぎだ...まぁいい、約束の褒美だ、妹さんと達者で暮らせ、まずは孤児院とスラム街から抜け出して、奉公先を見つける事だ、いいな?」
「うん」
間者「元気でな」
_
__
783
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/11/29(月) 00:51:10 ID:C51cIBKw
__
_
女騎士「…嘘だ、嘘だあり得ない、あり得ない!!」
副団長「しかし...子どもは一貫して殴られたと主張しています、しかもあの殴ったアザは間違いなく大人が殴らねば出来ないほどの威力...」
「おかげで騎士団は末代まで舐められますね、騎士団長?」
副団長「口を慎め若造!騎士団長...もしかしたら、もしかしたら何かの間違いかもしれません...国王陛下にまで誓ったあの覚悟を無碍にするような男では...」
「ですが副団長、あの男は卑劣で野蛮な男ですよ、規律を守ると言う気概もなく上官には楯突いて...しかも国王陛下にまで楯突くとk バキイッ!!
女騎士「ハァ...ハァ…黙れ...貴様如きにアイツの何が...」
副団長「騎士団長、いけません」
「っく...なんであの男ばかり...!あんたおかしいんだよ!!オレら騎士団の方が遥かにあんたに忠誠を誓ってた!アイツは忠誠のカケラもねぇのに!!」
784
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/11/29(月) 00:53:31 ID:C51cIBKw
副団長「貴様!出てゆけ!」
女騎士「……」
「くそ!あんなやつなんか死んでしまえ!!」
バタン!
副団長「…少し席を外します...」
女騎士「あぁ...」
副団長「…ックソ!」
バタン!!
女騎士「何かの間違いだ...何かの...」
785
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/11/29(月) 01:02:19 ID:eTk/3V6E
国王「…ふぅむ...」
参謀長「先月からホイレシュッケ王国と我が国の国境を商人の行き来が多くなっています、多くが彼の国の商人です」
「しかし商人の行き来のが多い割に、財政の動きが見られません、ここまで多く来るのであれば多少なりとも物価は変動するのですが...」
国王「相分かった、国境の警備を更に厳重にせよ、それと参謀長は残るように」
参謀長「はっ、それでは本日の報告会は終了します」
786
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/11/29(月) 01:14:31 ID:eTk/3V6E
国王「して...雑兵の様子はどうだ?」
参謀長「はぁ、取り乱しております、未だに無罪を主張しておりますが...いかんせん証拠が...」
国王「やっていない証拠が無い...そういう所か...被害者の子どもは?」
参謀長「いまは孤児院で治療を受けております、幸い跡が残る傷も、殴られた側の歯も無事でした、器用に殴りやがって…」
国王「…わかった、証拠が集まらん以上は命令通りにするしか無い...四日以内だ」
参謀長「…はい、有りとあらゆる手段を尽くします」
_
__
787
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/05(日) 00:47:45 ID:xXOBpoRA
__
_
神父「ふうむ...出張で帰ってきてみれば、なんたることか...
シスター「神父様、やはり最初から無茶だったんです、人の心の底というのは変われるものでは...」
神父「...いま、被害者の子はどこに?」
シスター「城の軍病院で入院しています、軽症ですが一応軍医の判断で…」
神父「ふむ、ちょっと様子を見てみよう、シスターは残っててくれ」
シスター「はい」
788
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/05(日) 00:51:01 ID:xXOBpoRA
「どこに消えたんだ?」
「便所じゃねえか?」
神父「おや、何やら騒がしいですな」
「神父様、被害者の子どもが姿を眩ましてですね...」
「飯食った後にどこかに...多分便所だと思うんですがね」
神父「それは大変だ、病人ですから今すぐに探し出さねば」
789
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/05(日) 00:52:37 ID:xXOBpoRA
神父(失踪...行く当ても無い子どもが何処に...いやもしかすれば…)
神父「…なかなか面倒な事態になったな」
_
__
790
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/05(日) 01:00:56 ID:xXOBpoRA
__
_
勇者「被害者の子が消えたんなら本当に殴られたか分からないじゃん!」
参謀長「しかし今の段階では子供の証言が一番有利でしてね、殴られた傷は間違いなく大人が殴らないと出来ないほどの傷ですし…」
強襲団長「そもそも子ども一人逃げ出せる軍病院もどうなっているんだって話だな」
参謀長「あと二日...明日にゃ雑兵は刑場に送られる...」
強襲団長「…バカな話だが、変な意地張った雑兵も悪いけどな、弁護士も無しで雑兵が殺されるってなぁこの国の司法もとんでもねえぞ」
参謀長「弁護のしようがないんですよ、殴らないと言う約束で子どもたちの子守りして、殴られた子どもがいるんですよ。しかもカルトの子だ、雑兵が100%殴らないとは言えないんですよ」
勇者「そんな…!じゃあ雑兵死刑になっちゃう…!やだ…やだぁ!」
791
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/05(日) 01:05:51 ID:xXOBpoRA
強襲団長「…仕方がねぇ、強襲警備団全員でそのジャリを探し出してやらぁ」
参謀長「えっいやしかし強襲警備は国王からの命令が無ければ...」
強襲団長「んなもんお前がどうにかしろや」
参謀長「しかしなぁ...!」
国王「許可する、さっさとやってこい」
強襲団長「はっ、直ちに捜索します」
参謀長「こ、国王陛下...!」
国王「許せ参謀長、ワシもまだ望みに賭けたいのでな」
勇者「王様...」
国王「勇者よ、泣いてしまっては雑兵が困ってしまう、今は雑兵を信じてやるだけじゃ」
792
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/05(日) 01:07:11 ID:xXOBpoRA
勇者「王様...うん!」
国王「して、騎士団長は大丈夫かな?」
参謀長「…一応は気丈に振る舞ってはいますが...」
国王「…仕方がない、今はな...」
793
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/05(日) 14:14:29 ID:xXOBpoRA
国王「真実を掴み取るのじゃ、さもなくば雑兵はきっと…」
参謀長「…はっ、我が王国軍の誇りにかけて」
_
__
794
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/06(月) 00:15:17 ID:Ux8kuR4c
___
_
雑兵「はぁ〜.…
「えらい落ち着きようだな...明後日にゃお前...」
雑兵「そうだけどさ、やってねぇ証拠がねぇって言われたらもうお手上げなんだよなぁ〜…」
「心配すんなって、オメェの味方は多いぜ、まぁカルトのガキだから殴りたくなるのも...」
雑兵「だけん殴ってねぇってのに…」
「あ、すまん...」
795
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/06(月) 00:19:51 ID:Ux8kuR4c
雑兵「もう疲れたなぁ…なんべん同じ事を繰り返しゃ済むのかなぁ」
「諦めんなって、いま王国軍総出でその逃げ出したガキ探してんだからよ、強襲警備団も捜索にあたってんだぞ、あの国王から直々に命令されたんだ」
雑兵「強襲団長がよくそんな事を...」
「まぁお前との関係はわかんねぇけど...弟子の二人は相当参ってるらしいからなぁ」
雑兵「…あぁ、もう勘弁してくれ...何度も何度も…」
「まだ粘れって、大丈夫だ」
雑兵「でも明日には刑場でしょ?」
「まぁそれが俺らの仕事だからな」
_
__
796
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/26(日) 23:16:36 ID:91FGGNTs
__
_
強襲団長「まずは孤児に話を聞くんだ、殴られた子の特徴性格孤児院に入った時期も、ありったけを聞き出せ」
「了解ッス」
「お前らはスラム街の捜索だ、顔にアザが残ってるはずだ、怪我をしているガキがいたら徹底的にマークしろ、情報が入り次第随時伝える」
「「「了解」」」
強襲団長「いいかお前ら、この任務は国王から直々に許可を得た任務だ、必ず任務達成させるぞ」
「「「「おう!!」」」」
797
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/26(日) 23:20:32 ID:91FGGNTs
勇者「強襲団長…」
強襲団長「…まぁそんなに落ち込むなよ、雑兵は俺らが必ず見つける、いまは休んどれや」
勇者「でも...雑兵がもし...処刑になんてなったら...」
強襲団長「…雑兵を信じて、俺らの事も信じてくれ、さぁ、今は休め、あと女騎士の奴にも休んどけって言っといてくれ」
勇者「…うん」
798
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/27(月) 00:28:33 ID:ebqXyHlQ
強襲団長(ったく、まだ二人ともガキだってぇのに女の顔し出しやがって...雑兵の奴、死んでも逃がさねぇぞ)
_
__
799
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/27(月) 00:32:21 ID:ebqXyHlQ
__
_
女騎士「はぁ...」
女騎士(孤児が殴られたと聞き、真っ先に雑兵の顔が思い浮かんだ...やはり雑兵を信じられなかったのかな...大丈夫と送り出した時は信じていた筈なのに...)
ガチャ
勇者「お姉ちゃん...」
女騎士「ん?どうしたの?」
勇者「強襲団長がお姉ちゃんも休めって...」
女騎士「あぁ...まったく、周りの人にまで迷惑をかけてしまったな...勇者、今日は一緒に休もうか?」
800
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/27(月) 00:33:08 ID:ebqXyHlQ
勇者「…うん」
女騎士「じゃぁ着替えてベッド入ってて、私もすぐ行くから」
801
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/27(月) 00:37:40 ID:crneizSw
勇者「…お姉ちゃん、雑兵大丈夫かな」
女騎士「大丈夫だよアイツなら、幾つもの試練を乗り越えてきたんだから」
勇者「…」
女騎士「…強襲団長も頑張ってくれてるんだから、信じよ?ね?」
勇者「…」
女騎士「明日もお仕事だから、早く休もうね」
勇者「うん…」
_
__
802
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/27(月) 00:45:14 ID:crneizSw
__
_
ピピーッッ
「逃げたぞ!」
「もう逃さねえぞスパイ!!」
間諜「ックソ...!あとちょっとで出国できたのに何故いきなり…!」
間諜(非公認の任務だから検問は通れない、ここまでか...)
「やっと観念しやがったな」
間諜「何故俺がスパイだと...」
「最近ホイシュレッケ王国とビギニングに商人の往来が激しくなってな、しかし我が方の財政は上がるわけでもないからおかしいと睨んだわけよ」
「まぁ全員が全員スパイじゃねぇけどよ、明らかに商人を名乗るのにお前は城の出入りが激しかったんだわ」
間諜「出入りが...?商人と化けてれば大丈夫と思ったのに...」
803
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/27(月) 00:49:47 ID:ny/TnjW.
「バカ野郎、うちの城ん中じゃ外国の商品は買わねぇんだよ、それは色んな国の商人が知ってることだ、それを商人ですと入ってきたら怪しむに決まってんだろ」
間諜「最初から泳がせてたのだな…」
「まぁんな事はどうでも良い、知った情報を返して貰おうか」
間諜「生憎だが俺は別の任務でビギニングに立ち寄ったのでな...情報はさほど手に入れていないんだ」
「なに...?それってぇのは…」
間諜「ちょっとした火遊びだよ、ちょっとしたな」
「…クソ、連行しろ、ちいと手荒く聞かなきゃいけなくなっちまった」
804
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/12/29(水) 19:53:07 ID:6hGg15RI
「しちめんどくせぇ、いったい何しでかしやがった」
間諜「…そろそろだな」
「あ?そろそろ?」
「まぁいい、取り敢えず首都まで連行しろ、ったっくここから首都まで遠いんだぞ」
間諜「…雑兵って奴知ってるか?」
「雑兵?いや知らんな」
「小隊長…雑兵ってぇのは忠義に熱い男で、所謂俺ら兵卒の星って奴ですよ、でも確か風の噂ですけど、なんか死刑確定してるらしくて…」
805
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/02(日) 19:55:03 ID:wHoZMaps
「死刑?何しでかしたんだ」
「なんでも、国王に頼まれた仕事に不備でもあったら殺してくれって言ったみたいで」
「バ、バカなのかアイツ…そんな簡単に命投げ捨てて…」
間諜(やはり早めに処分しておいて良かった、雑兵とやらなにかと影響力はあるようだな)
「はぁ、そこ知れないバカですが…でもとても良いやつですよ、義理堅くて、アイツが処刑でもされたらどうすんだろうなぁ」
「知った事ではない、さっさと連れてゆくぞ」
「了解ですっと」
_
__
806
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/02(日) 20:12:54 ID:wHoZMaps
__
_
参謀長「なんの手がかりもねぇだと?!てめぇ何してたんだよ!」
強襲団長「まぁまてや若造、件のジャリの情報は聞いた、奴は妹と行動し、今は何やら遠出の支度をしているらしい」
参謀長「だったら!」
強襲団長「スラムの連中の結束力は固いんだよ、オレらみたいな不成者の警備隊に嗅ぎ回られるって感じられたらそりゃ口も固くなるわな」
参謀長「クソ、もう雑兵も連れてかれちまうのに…」
強襲団長「…いま総出で捜索にあたってる、ジャリ如きに振り回されてたまるか」
参謀長「…ックソ!」
807
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/02(日) 23:44:16 ID:kwiYoz4s
「雑兵出ろ、移動だ」
雑兵「…おう、世話なったのう」
「…達者でな、オメェと飲んだ時は楽しかったぜ」
雑兵「…あぁ、また会おうや」
ガチャン
808
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 01:34:43 ID:1peUaHg6
バタン
雑兵「…やめとけ」
女騎士「…いや」
「き、騎士団長…」
雑兵「味方に刃向けて、いやなんてことはねぇだろ、やめとけ」
女騎士「うるさい、さっさとその拘束を解け」
「…で、出来ません、国王の命令です」
雑兵「…」
女騎士「…」
雑兵「女騎士…すまん、お前の約束守れなんだ、愛してるぞ、お前も、勇者も」
女騎士「…っいや!」
「…」
809
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 01:39:09 ID:B1X54npI
女騎士「何が愛しているだ…!そんな態度も言葉も…一切合切…」
雑兵「お前らから言ってくれたもんな…でもオレは言えなかった、愛してる、でも多分オレはお前らを幸せにできない、だって現に一人に絞れてないんだぞ」
女騎士「それでもいい…私も、勇者も愛してくれるなら…それで…」
「…時間です、申し訳ありませんがこれ以上邪魔だてするのであれば…」チャキ...
女騎士「…すまん、取り乱した」
雑兵「俺が死んでも、忘れないでくれ…あっちでもこっちでも忘れられたら寂しいからさ」
女騎士「絶対忘れない…死んでも…」
810
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 01:42:52 ID:B1X54npI
「…いくぞ、馬車に乗れ」
雑兵「あぁ…」
バチン! ブルルッ
雑兵(すまねぇ、みんな、すまねぇ)
勇者「ッハァ…ハァハァ…雑兵ーー!!」
雑兵「勇者…!女騎士にも言ったけど!愛してるぞ!だけど他にもいい男見つけろ!」
勇者「無理だよ…!雑兵以外になんて…」
雑兵「だったらオレが…!生まれ変わってでもお前のところに、女騎士のところにいってやる!無理なら待ってろ!」
勇者「…一生待ってる!!」
811
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 01:47:49 ID:pwXLll2E
「…城出るぞ、格子の扉閉めろ」
雑兵「あぁ…」 カシャッ
この世界にきて一年と半年くらい、前の世界では出来なかったことも出来るようになった、チートとか異能魔法も一切無かったけど、それでも楽しかった、次の世界はあるのだろうか…無ければどうなるのだろうか。
雑兵「ありもしない未来が浮かんでくらぁ…」
息災に子守を終え、女騎士と勇者との生活、家は城の中になるが、タダだからそれでもいい。
そんなありえない未来が浮かんでくる。
雑兵「もう手遅れだけどな…」
812
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 01:55:10 ID:jFjHKSv2
ビギニング刑場はカルト信者の処刑も終えひと段落していた、龍で咬み殺されるだけではキャパオーバーだったので再び処刑人が登場した事もあったらしい、しかし今はあらかた処刑も終わり閑散としていた。
雑兵「前はもう少しいたのに…」
「カルトの処刑は流れ作業でやってたらしいが、間違えて国王の命令が出てない死刑囚も殺しちまったみたいで…」
雑兵「バカだなぁ」
「仕方ねぇよ、番号も振られてねぇしなぁ、じゃあお前の処刑は明日だ…今日はまぁ休んどけ」
雑兵「おうよ…」
雑兵(休めるかってんだ)
813
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 23:28:44 ID:M1f6fDqM
そして、なんの音沙汰もないまま次の朝を迎えた。
「雑兵…出ろ」
雑兵「…はい」
万に一つの可能性があったとしても、それは全て後の祭りであろう、刑は既に執行される、知らせが来る気配もない、身代わりもいない。
「言い残したことは?」
雑兵「女騎士…いや、騎士団長と勇者に愛してると伝えてくれ、他の人にはこの紙に…」
「しかと受けとりました…主よ、みもとに召された人々に、永遠の安らぎを与え、あなたの光の中で憩わせてください。神よ、深い淵から、あなたに叫び嘆き祈るわたしの声を聞いてください。あなたが悪に目を留められるなら、主よ、だれがあなたの前に立ち得よう」
814
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 23:34:23 ID:hnZD8k5s
グオオオオオ....!
「いつくしみ深い神よ、今この世からあなたのもとにお召しになる雑兵を心に留めてください。洗礼によって神の死に結ばれた者が、その復活にも結ばれることができますように」
グオオオオオオオオ!!!!
雑兵「…っ!」
「雑兵の心に永遠の安らぎのあらんことを…」
処刑龍「オオオオオオおおおっっっっ!!」
教誨師の言葉につられるように、大きく口が開けられる、数多の死刑囚を喰らい尽くした龍、こんなのがまだ生きているとは、そして使われているとは…
815
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 23:40:31 ID:GzKOFo0c
雑兵「…うぅっ″!」
その瞬間、世界が反転し、そして真っ暗になった、下へ落下していく感覚、そして強烈な腐敗臭、喰われたのだ。
奈落への落下は腐敗臭と、そして不気味な暖かさに包まれていた…
雑兵(早く、飲み込んで殺してくれ…)
他の死刑囚もこのような感覚だったのだろうか、巣で貪り食われるのか、それとも落下しながら徐々に食うのか…
口の中で地面についた感覚があった、意外にも底は早く着いた。
雑兵(…何も起きない、何やってんだコイツ)
処刑龍「ッペ」
雑兵「うおおおおおおっ!!」ゴロンゴロン
816
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 23:43:13 ID:GzKOFo0c
雑兵「って、てめぇ!人を不味いみたいに吐き捨てやがってこの!!」
処刑龍『グルル…』
雑兵「…な、なんだよ」
処刑龍『…実際不味いんだよ人の肉って』
雑兵「しゃ、喋った?!」
処刑龍『そりゃ喋るわいな、何千何万と生きておるのだぞ』
雑兵「な、何で…オレのことは食わなかった」
817
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 23:50:14 ID:GzKOFo0c
処刑龍『問いかけの多いやっちゃなぁ、オレ人の心読めるんだけども、お前冤罪で捕まったな?』
雑兵「あ?あ、あぁ…」
処刑龍『そんなもんすぐに分かる、何故人間がわからないのかが理解できないが…心の奥底でな、お前の記憶を少しのぞかせてもらった』
雑兵「…」
処刑龍『可哀想に…どこぞの誰かに冤罪をふっかけられ、子どもを暴行したと思われたのだな…』
雑兵「あぁ…誰かは分からないが…そんなところだ」
処刑龍『全く、最後まで戦いんしゃいホントに…冤罪ってのはね優秀な弁護士によって証明されるのであってだな、痴漢の冤罪被害も諦めない心を持って…」
雑兵「…お前、日本人か?」
処刑龍『ありゃ、ありゃりゃ?分かった?そうそう、今はこんなナリだけど、昔は普通のサラリーマンだったんだど、事故で死んじまったけど』
818
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/04(火) 23:54:54 ID:GzKOFo0c
雑兵「はぁ、あるあるだな、オレはパチ屋出てすぐ脱水症状と熱中症で死んじまった」
処刑龍『あらかわいそう、オレもさぁ事故って死んで異世界転生っても、龍のなりじゃ遊べなくてねぇ』
雑兵「そうだよな…でも過去はすげぇ龍だったんじゃ」
処刑龍『そりゃ昔はね、ん万年も前だと、人の争いよりも龍の争いが絶えなかった、どちらかが死ぬまで行われる争いは、大地を割り山を砕きってなもんで生まれたのがここビギニング刑場、オレが割ったんだど』
雑兵「そ、そうかい…」
819
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/05(水) 00:00:08 ID:C54xsvvk
処刑龍『でも結局俺が勝ち残って崇められてもさ、誰も信仰してくれなくちゃこんな汚い身なりにもなる訳ですよ、腐敗龍なんて呼ばれちゃって、腐ってねぇよ風呂入ってねぇだけだ」
雑兵「どうなでもなるだろ龍ならよ」
処刑龍『いやこれが案外どうにもならないわけ、毎日ひっきりなしに死刑囚食わせやがってよ、休む暇もねえっての土日祝日は休ませろってな』
雑兵(これまたクセのすごい奴に会ったもんだ、今まだで一番癖がすごいかも知れん)
処刑龍『考えてること分かるんだってば、まぁどうでもいいや、で?どうやって帰る?』
雑兵「え?」
処刑龍『帰んないと、ここにいられても困るよ』
雑兵「いや…帰りたいのは山々なんだけど…冤罪って証明してくれる弁護士がいなければ、ほとぼりも冷めてない状況でして…」
820
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/05(水) 00:02:26 ID:C54xsvvk
処刑龍『うわぁ帰りにくい〜でもここにいてもどうすんのさ、誰が無実でしたよ〜って届けてくれるの?』
雑兵「あぁ…そっか…」
処刑龍『まぁ満足するまでいなよ、困るけどすごかってわけじゃないし』
雑兵「ありがとう…」
_
__
821
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/09(日) 23:24:24 ID:4fp84BjE
__
_
「雑兵の処刑、異状なく完了しました」
勇者「…あ…」
女騎士「…」
参謀長「分かった、わかった…」
「こちら、雑兵からの伝言です」
『私に関わってくださった全ての方々に深い御礼を、騎士団長、勇者殿、愛しております また会う日まで』
勇者「…これだけなの?」
「はぁ、それしか受け取っていません」
勇者「何か、何か他に言わなかったの?!」
「騎士団長並びに勇者様を愛していると、以上です」
女騎士「そうか…雑兵はもう…」
参謀長「こんな…こんなクソみたいな最期で…結局死んでんじゃねぇかよ…」
女騎士「もう分かった、参謀長、仕事に戻ろう、業務は残っている」
参謀長「騎士団長…!何故泣かないのですか!あんたにゃ人としての…それに雑兵に愛されてたのではないのですか?!」
822
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/09(日) 23:29:19 ID:4fp84BjE
女騎士「今更泣いて何になる、奴の決めた結果だ、参謀長も落ち着いたら業務に戻れ」ガチャ
バタン
騎士団の長たるものとしてのプライド、弱みを他者に見せる事など許されない、自分の仕事が嫌になる、愛した男一人の死にでさえも泣けないとは。
しかし不思議な男であった、あった当初は浮浪者同然の姿だったのに、今では国の兵卒達に希望と言われる存在である、自分を偽らない性格、難儀な性格で苦労するだろうし、実際に苦労していたが、嫌いじゃなかった、むしろ雑兵だったからこそ好きになれた。
女騎士「…ッアゥ…」
部屋を入るまで泣いてはいけない、いけないのだ。
823
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/09(日) 23:30:48 ID:4fp84BjE
勇者「お姉ちゃん…」
女騎士「…どうしたの?」
勇者「部屋入ったらさ…一緒に泣いて良い…?」
女騎士「…うん、いっぱい泣こうね」
家族の前では、せめて素直になろう
824
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/09(日) 23:34:12 ID:4fp84BjE
参謀長「強襲団長…話ってなんだ」
強襲団長「ホイレシュッケのスパイを捕まえた奴が吐いた」
参謀長「吐いたってお前、わざわざそんなことをオレに」
強襲団長「ガキに金掴ませて、殴った後に孤児院に忍び込ませたとの事だ、アイツが処刑されたから吐いたんだ」
参謀長「…ッんのボウフラァ!どこで取り調べやってんだ!!」
強襲団長「警備隊の取調室だ」
参謀長「ぶっ殺す…!!」
825
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/09(日) 23:40:10 ID:4fp84BjE
バァン!
「さ、参謀長!今取り調べの…」
参謀長「…てめぇがホイレシュッケの間諜か?」
間諜「あぁ、そうだが、」
参謀長「ふざけるな貴様、何やったか分かってるよな、おい警備の、剣寄越せ貴様剣」
「い、いけません!ホイレシュッケとは同盟国で…」
参謀長「黙れ、コイツの首をホイレシュッケの国王に送りつけてやる」
間諜「好きにしろ、仕事は恙無く終わった」
参謀長「てめぇ誰の策略でそんなことを…」
間諜「お前らの知ったことでは無いだろ」
参謀長「…ホイレシュッケ…はあ、なるほどなぁ…あのクソ王子からだな?」
間諜「…」
参謀長「騎士団長の周りをうろちょろしている男が気に食わねぇと…どうせそんな腹づもりだろ」
間諜「知るか」
826
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/19(水) 23:49:56 ID:tuEf78UU
間諜「何はともあれ全ては後の祭りだ、オレの任務は完了した、さぁ好きにしろ」
参謀長「っ…!!まぁいい…言質は取れた、邪魔したな」
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827
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/19(水) 23:55:09 ID:iVbmH4FY
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_
国王「…なんということだ」
参謀長「我々は間諜の掌の上で踊っていたと、つまりはそういう事です」
国王「ホイレシュッケ…あそこの殿下は腐っていると聞くがそこ迄とは…国王は聡明な方であるのに…」
参謀長「…もうこの話しは無かったことにするしか無いかと、隣国と戦争をする理由がまさか一兵卒のいざこざで、しかも我々に落ち度しかありません」
国王「戦争などはせぬ、だがツケは払って貰おう」
参謀長「いかがなされますか?」
国王「ただちにホイレシュッケに行き、国王と対談する、この様な狼藉を働いた息子に対し何かしてやらねば気が済まん」
参謀長「御意、すぐに対談の手配をします」
828
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/01/19(水) 23:58:33 ID:iVbmH4FY
参謀長「ということだ騎士団長、動向をしてもらおう」
女騎士「そんな…そんなしょうもない事で雑兵は…わかった、騎士団を護衛に付けさせよう」
参謀長「勇者様も連れてきて貰えますか?」
女騎士「勇者も?」
参謀長「はい、あの国の殿下にはこの件に関し全ての者に対し弁明してもらう」
女騎士「分かった…連れてゆこう」
829
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/03/01(火) 04:24:42 ID:J.banIVQ
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
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