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雑兵の雑草記
528
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/06(土) 23:49:38 ID:wrED8uhE
「...団長、質問なんですが」
強襲団長「なんだ」
「新入りも連れて行くのですか?」
雑兵「...」
強襲団長「勿論、心配か?」
「いえ、足手まといになるのは確実かと」
強襲団長「あぁなるだろうな、まぁ関係ないだろ、足手まといになるときゃ死ぬ時だ」
雑兵(そりゃ嬉しいことで...)
「分かりました」
「明日の襲撃には騎士団も同行する、支援がてら研修も行うとのことだ、皆依存は無いな?」
「はい」 「無し」「数が多けりゃ死ぬ確率も減ります」
529
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/07(日) 22:59:08 ID:.GhjKivU
雑兵(良くも悪くも個性的だな...)
強襲団長「んじゃあ今日は解散、各人早く休めよ」
_
__
530
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/07(日) 23:05:44 ID:.GhjKivU
__
_
雑兵「んで、俺の営内は無いから鍛錬場の仮眠室に居住しろってことか」
雑兵「はぁ...常に身一つなのが救いか...どっしりと構えれる場所が一つもねぇな」
分屯地も長くて1ヶ月半程しかおらず、国境には異動というよりもなんか居たって感じだし、ほんとどの入隊同期よりもあちこち移動しまくってる。
この仮眠所はベッドしかなく、騎士団当直室の名残だそうで。
雑兵「ベッド固てぇなおい...」
531
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/07(日) 23:09:31 ID:.GhjKivU
まだ時間で言えば15時程で、疲労しか残らない半日ではあった。
雑兵「...そう言えば明朝っても何時に出るんだろうか」
固いベッドでも疲れている体が横たわれば、自然とうつらうつらと眠気が来て、明日のことは多大な不安は残っているがそのまま落ちてしまった。
532
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/07(日) 23:15:59 ID:.GhjKivU
団長室
女騎士「...強襲団長、何故雑兵を即実戦に...」
強襲団長「お、不安か?」
女騎士「当たり前です、雑兵は剣術のけのじも知らないに等しい...兵士として情けない話ですが、絶対に即戦力になれません」
強襲団長「まぁ〜間引きと言われたら否定はしねぇさ、向上心もないし捻くれてるし、その癖苦労だけはしてるからそれを鼻にかけてめんどくせぇ奴だよ」
女騎士「...」
強襲団長「だから死ぬ程苦労してもらう、鼻にかけてごちゃごちゃ言う元気もなくなる位にな、その過程で奴が死ねばそれで終わりだし、生き残ればもっともっと苦労してもらう...一人前の雑兵になる為にゃあ、あいつのレベルじゃそれしか方法がねぇ」
533
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/14(日) 00:30:12 ID:Pyd7sCsM
強襲団長「しかし妹以外の人間に興味持つのは珍しいなぁ、あの軍曹以来かな?っても今回は入れ込みが...」
女騎士「い、いえ、雑兵相手にに限ってそういうのは...第一、勇者がかなり気に入ってますから」
強襲団長「そうかい、お前の父ちゃんに言われて厳しく育てた俺が言えた事じゃねえが...そろそろ色恋ってのも悪くねぇと思うぜ?女にしちゃぁ青春は捨てすぎだ、軍曹に関してはもうさっぱり切っちまったんだろ?」
女騎士「あまりからかわないで下さい、そう言うのは自分なりにですね...」
強襲団長「っへ、いらん親心ってやつだな...」
534
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/22(月) 00:03:15 ID:q0lv3sL6
女騎士「兎に角、また何をしでかすか分かりません、任務中は私の近くに置いておきます」
強襲団長「いや、ダメだ」
女騎士「ダメなのは分かります、あいつの為にもなりませんし...」
強襲団長「違げぇよ、アレなんかどうだって良いんだよ、ようは示しがつかねぇんだ、お前のな。既にあいつは騎士団の中でも厄介者だ、白薔薇のお嬢ちゃんと喧嘩しちまったからな、そしてお前が雑兵に沙汰を下すと期待してる連中も大勢いる、その流れでお前が雑兵を近場に置いてたら...あいつらどう思うよ」
女騎士「...」
強襲団長「それによく考えてみろよ、お前の玉の輿みてぇになっちまったらよ、あいつの今までの本当の苦労は全て水の泡になっちまう...それは余りにも酷いと思わねえか?」
女騎士「...分かりました...アイツを頼みます」 ツカツカ
バタンッ
強襲団長(妹がアイツを気に入ってるとしても偉いいれこむなぁ...まぁ良いけど)
強襲団長「強襲警備団に来たからにゃぁ俺のやり方でするしかねぇんだ...可哀想だが」
_
__
535
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/22(月) 00:10:17 ID:q0lv3sL6
__
_
「敬礼!直れ!」
強襲団長「強襲警備団 討伐隊20名編成完結!」
白薔薇騎士団長「白薔薇騎士団 討伐隊50名編成完結!」
騎士団直接支援隊「騎士団直接支援隊 討伐隊45名編成完結!」
女騎士「王国騎士団総本部16名編成完結、以上 討伐隊 総員131名編成完結!」
国王「うむ...みな休ませよ」
536
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/22(月) 00:18:39 ID:q0lv3sL6
女騎士「せいれーつ、休め!」
国王「この国最大の惨事であったカルト教団の討伐から、はや2ヶ月...落ち着いてきた時期であるのにこの国の賊は休ませる暇も与えてはくれないな?」
女騎士「全くです」
国王「本当にわが国の防人は皆頼りになるな、騎士団長...無理は禁物じゃぞ?」
女騎士「はっ、ありがたきお言葉...みな無事に帰って参ります」
国王「うむ、
537
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/22(月) 00:20:31 ID:q0lv3sL6
女騎士「せいれーつ、休め!」
国王「この国最大の惨事であったカルト教団の討伐から、はや2ヶ月...落ち着いてきた時期であるのにこの国の賊は休ませる暇も与えてはくれないな?」
女騎士「全くです」
国王「本当にわが国の防人は皆頼りになるな、騎士団長...無理は禁物じゃぞ?」
女騎士「はっ、ありがたきお言葉...みな無事に帰って参ります」
国王「うむ、気を付けて行って来い」
538
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/22(月) 00:29:31 ID:q0lv3sL6
雑兵「騎士団直接支援隊ってなんなんすか?」
「あ?んでそんな事...まぁ言うなれば、衛生補給整備が集まった混成部隊だな、怪我したら衛生兵が、飯とか消耗品が無くなりそうだったら補給が、剣の刃こぼれや鎧の打ち直しなら整備がって感じ」
雑兵「独立大隊はいないんすね」
「独立大隊が騎士団の雑用に回るのはあんまり無いぜ、確か前の新兵の訓練でも結局呼んでなかったな、やれる事は俺らだけでやるのが騎士団だ」
雑兵「へぇ〜見上げた根性っすねぇ」
「て、てめぇ舐めてんのか...」ヒクヒクッ
雑兵「あ、いやそう言うわけでは」
強襲団長「よーしみんな馬車に乗り込めよー、雑兵、お前は荷物車な」
雑兵「えー、まぁあの山と積んである馬車以外ならどこでも良いですよ」
「お前が乗るのはあの山と積んである馬車だっつってんの」
539
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/06/22(月) 23:30:25 ID:Sx78DvCY
雑兵「ひでぇ事しやがる...ヨイショっと...誰もいねえって事は運転しろってか、無免許だぞ...」
強襲団長「よし、出発!!」
雑兵「うわぁ前の荷台にいる連中、もう寝てやがる...腹立つわぁ」
巡り巡って首都に帰ってきた、しかし思いの外原隊は離れており、しかも復帰は二度と無いとまで来た。
雑兵(結局独立大隊の仕事らしい仕事ってのは分屯地でやった事だけだった「おい」なぁ、まぁあの仕事内容だったらどこ行っても「おーい」同じか)
雑兵「次の異動先はどこになるんだろうなぁ〜」
女騎士「お前...もう異動する気か?」
雑兵「...って、うわぁぁ本気でびっくりした、なんのリアクションも出せなかった」
気付いたら毛ツヤの良い馬に跨っている騎士団長殿が隣にいた、まさか後ろつまってる?
雑兵「いや、詰まってる訳じゃねぇな、本部ってみんな自分で移動すんのか?」
540
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/08(日) 22:51:18 ID:qVX9zu3w
女騎士「不測事態にすぐ対応出来るように心掛けているんだ、それに馬車の中は窮屈で敵わない」
雑兵「なるほどねぇ」
女騎士「...実質初めての実戦だな、緊張しているか?」
雑兵「ん?あー、ある程度は緊張してる、てかちょっと気付いたことがあってさ」
女騎士「どうした?」
雑兵「今回ズブのトーシロの俺を出した理由って、間引きだろ?」
女騎士「...何故そう思う」
雑兵「各地に飛ばされて分かったんだ、俺って何処からも必要とされてねぇって」
女騎士「そんなこと...」
雑兵「大切に思ってくれてる人がいるのは知ってるよ、でも組織から見りゃ、誰が思ってくれても意味はねぇんだなぁって」
女騎士「...」
雑兵「この仕事で最期にするよ、死場所を与えれたもんだしな、でも適当にはしないから安心してくれよ」
541
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/09(月) 00:42:20 ID:nXHbtbHE
お?
542
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/15(日) 21:56:30 ID:s7HKZi.k
女騎士「...やはり何も分かっちゃいないんだな」
女騎士は全てを達観したような表情でこちらを見つめる、瞳の奥は吸い込まれるような黒で、彼女の言っている意図を理解するにも出来ない位思考が止まってしまった。
雑兵「な、何がだよ」
女騎士「もういい、好きにしろ...」
雑兵「...」
直感的に、俺は捨てられた、そう判断せざるを得なかった。
一体何を間違ったのだろうか、何を言えば良かったのだろうかと思考が逡巡する。
雑兵「んだよクソッタレが...」
この日から元の世界でもならなかった、本当に孤独な存在になることをまだ雑兵は知る由もなかった。
543
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/15(日) 23:01:07 ID:s7HKZi.k
討伐隊は林道へ差し掛かり、雑兵が当初訪れた森へ入っていった。
強襲警備団長の戦闘隊形に移行の号令の下、討伐隊は個々の配置へつく。
雑兵「俺はどこに行けば良いんですか?」
「あ?知らね、団長にでも聞けよ」
雑兵「は、はぁ...」
皆は素っ気ない態度で俺に当たる、どこの部隊へ行っても多少は関係を築けたと思ったが、今回ばかりは人間関係と言うものは構築できなさそうだ。
それもそうだ、仕事で来ているのに何すれば良いのかと問われれば、何言ってるんだこいつとも思うだろう。
雑兵(何も聞いてねぇんだから仕方ねぇだろ...)
自分から考えて聞きに行けと言うことなのだろうが、労働をした事のない雑兵にとって、そこに至るまでの思考が無く、今の今まで好き勝手にやってきたツケが、ジワジワと雑兵の首を締めにかかってきた。
「アイツマジで何しに来たんだ」
「別にどうでも良いっすよ、間引きで来たってのを恥ずかしいと思ってない奴なんか」
544
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/15(日) 23:10:42 ID:s7HKZi.k
聞こえるように話される自分への侮蔑や嘲笑の声、前は気にならなかったが、今は一つ一つの言葉が胸に深く突き刺さる。
頼むからやめてくれ、そう思いながらも、何処かで女騎士や勇者が何やかんや助けてくれると期待を抱いていた。
しかし勇者はここにはおらず、女騎士は見放したように、まるで最初から赤の他人だったと言うようにこちらに見向きもしなかった。
雑兵「す、すみません、自分の配置場所は...」
口内が緊張で乾き、最初の達観した顔も嘘のように消したんだ、本当は実は達観などしておらず、どこか雰囲気を作っていただけだったのだろう。
「あー、お前確か前衛の方だった気がするけど、何で知らないの?」
雑兵「聞いていなかったので...」
「編成表貼り出してっからミーティングの後は見とけよ、どこの部隊でもそうだろ」
雑兵「す、すみません」
「ったく...」
前衛、聞き慣れない言葉だが何をするのだろうか、疑問が疑問を呼び、更に雑兵を不安に陥れる。
「前衛の連中は揃ったか?」
前衛の単語が聞こえた、あそこで間違い無いだろう。
545
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/15(日) 23:22:19 ID:s7HKZi.k
雑兵「前衛ってここですか?」
「あ?お前は前衛分隊の方だろ」
「ここは前衛の主力だよ、分隊はさっき行ったよ?」
前衛の主力?分隊?何だそれは、何一つ分からない。
雑兵「あ、ありがとうございます!」
遮二無二指を刺された方向へ走るしかなかった、後で知ったがら前衛とは、部隊主力の行進が円滑に行われるよう、前方を行進し敵を殲滅する行動との事だった。
強襲警備団は前衛を任されることが多いらしく、専ら有事の際は前衛の行動を行うそうだ。
雑兵(か、勘弁してくれよマジで...)
546
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/15(日) 23:30:24 ID:s7HKZi.k
走り際に女騎士がこちらの顔を見ているのをフと確認した、出来の悪い隊員を不快な気持ちで見る顔だった、もう助けてくれることは無いのだろう。
雑兵「...」
ひたすら林道を走るが前衛分隊とやらは一つも見えなかった、まさか道を間違えたのか、しかし分かれ道は無かった、森の中に入っているのか、未熟な思考はどの考えにも落着しなかった。
雑兵「クソっ...どうすれば良いんだよ...!ん...?」
目を凝らすと前方に馬車が見えた、森の中に進んでいっている、前衛か、もしくは盗賊か。
何にせよ雑兵にとってはどちらも救いだった。
雑兵(前衛なら合流...盗賊なら皆殺しだ..,!)
547
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/20(金) 23:35:43 ID:Lt3RZ1eI
前衛主力の出発後、騎士団並びに直接支援隊は出発準備を完了した、団員の多くは新米の騎士であり、皆緊張感を持った面持ちで出発を待っていた。
「前衛主力は前進を開始しました、ただ一名が前衛分隊とはぐれているとの事です」
警備団長「はぐれてるってなぁ...あぁ、アイツか、終始オロオロしてたがそう言う理由だったんだな」
女騎士「警備団長、討伐隊主力出発時刻です」
警備団長「おう、しかしお前も酷な事をするなぁ、いきなり切り捨てるこたぁ」
女騎士「...人に何度も何度も心配を掛けてもなお、自分がどれほど思われているかを理解もせず、勝手に自分は死ねば良いと思っている奴に何を言っても無駄かと思いました、私の妹の心配も無碍にする前に切り捨てなければ、アイツはもうどうしようもありません」
女騎士(人の心配も他所に、勝手に突っ走っては帰ってくる、それで人の心配も他所に次は死ねば済むなどと...勝手にも程がある...妹に迷惑を掛ける前にアイツを正さ無ければ、私自身が持たない)
警備団長「そうかい、お前自身がスパッと切り捨てれればその言葉にも重みが出るだろうよ」
548
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/23(月) 00:53:32 ID:s/ff.Ld.
警備団長「ま、お前の選んだ道なら間違いは無いだろうな、だがな一度切り捨てたらとことん切り捨てろよ、とことんまでな」
女騎士「はい、大丈夫です」
王国の騎士団長の人脈を持ってすれば、一兵士の立場などは塵一つ無くなるだろう。
雑兵の長く辛い孤独な生活が始まる。
そうとは知らずに雑兵は遮二無二任務に邁進する。
雑兵(この馬車...知らねぇ馬車だ、ってこたぁ盗賊らの)
荷台は樽や木箱で一杯だった、馬車に追いついた雑兵は音を立てずに馬車に乗り込んだ。
雑兵(監視とか付けてねぇのな...)
荷台は刀剣や盾が雑多に積んでおり、値札がついている事から盗品の可能性が高くなってきた。
するとふと隅に目をやると、子どもが二名座っていた。足枷をされ、皮が剥けたのか足首がずり向けて血が滲んでいた。遠くを見つめておりこちらに気づいた様子は無かった。
雑兵(き、君たち、何かあったの?)
「...」
雑兵「...?もしかして捕まって...っ!!?」
よく見るとハエが集っており、チラチラと蛆虫が見えた、僅かに香る腐臭、少し前に事切れたのだろう、すると馬主が独り言を言い出した。
549
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/23(月) 00:57:33 ID:s/ff.Ld.
「クッソ〜せっかく捕まえた奴隷を死なせちまったなぁ...カシラぁブチギレるだろうなぁ...」
雑兵「...」
静かに抜いた剣を、何も言わず振り下ろした。
ザシュッ! ブシャァァァァア
動脈を切られ鮮血が散り、馬主は静かに死んでいった、しでかしたことに対して事足りぬ死に様だ。
雑兵「この先が砦って事だな」
馬主を蹴落とし、二人の子どもの遺体に毛布を掛けた。
貧民街で見かけた子どもをふと思い出した、元気にしているのだろうか。
同じくらいの歳だ、息災に成長していればどんな大人になれたのだろうか。
様々な思考が逡巡していくウチに、涙が滂沱として止まなかった。
雑兵「ロクな国じゃねぇなあ...ったくよ」
550
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/26(木) 00:46:24 ID:TO4z85x2
おつ
少し久し振りに来たけど読んでるよ
551
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/26(木) 23:11:21 ID:cyUiHDtk
一本道は森の奥まで続いており、恐らくこの奥が賊の砦になるのだろう。
結果、また一人で乗り込む事になるが、雑兵にとってはもうどうでも良い事だった、頼りの人から突如として見捨てられ、部隊でも上手くいかない、ここまで来れば死んだ方がマシであると思えてきた。
すると、ふと先に丸太で植杭された砦が見えてきた、砦の上からは何名かがこちらに顔を覗かせているのが見えた。
雑兵「...」
震えが止まらない、武者震いだろうか、ただ怖いだけなのだろうか、自分が達観したのさえ信じられない。
「おーい!随分と遅かったじゃねえか!?」
552
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/26(木) 23:26:01 ID:cyUiHDtk
雑兵「あ、あぁ!途中で車輪がイかれちまってな!」
「今開けるから待ってろよ!」
大きな丸太が括り付けられた扉が開いた、中は小さな街と見紛う程栄えており、酒場は勿論武器屋から何から全てが揃っていた、山賊の砦とは思えない。
「お頭が奥で待ってっからな」
山賊の一人が指差す方向には洞窟があり、入り口は馬車が対向出来るほど余裕のある広さだ、ざっと見でも100名はいる、討伐隊の人数で対処出来るのだろうか。
雑兵(しかしやはり山賊の砦と言うべきか...)
「さぁそれでは!ここでコイツを競りたいと思うんですよ。まず、30万から!コイツの出来る技は...
端を見れば奴隷市場であろうか、足に重りを付けさせられている筋骨隆々の若い男がステージの上で競られていた、
553
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/28(土) 00:00:44 ID:Hh1xwkZ.
ステージの奥では競り落とされるのを待っている奴隷達が沢山いた、人やら異種族やら、この世界へ来てエルフ以外に初めて見る種族ばかりだ。
雑兵(年端もいかねぇガキを殺す奴らだ...相当逝かれた連中だろうなぁ)
逃げ出したい欲求に駆られるが、馬車は奥へと進む、天然の洞窟を利用した倉庫だろうか。
雑兵(一体どんな奴が頭張ってん...?!)
ラング「随分遅かったじゃないか、何を手間取っていたんだ?」
554
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/29(日) 00:35:52 ID:QEjTV43o
雑兵「ラング...てめぇ...」
ラング「ん?...あぁ、君はいつぞやの...生きてたのか」
あの顔、あの喋りかた、片時も忘れた事のない男が目の前に立っていた。
雑兵「あのカルト共はどうした」
ラング「うーん、金を落とさなくなってきたから教祖を殺して抜けたよ、お陰でフィッハーの方でもあまりカルト集団の話を聞かないだろう?」
雑兵「知るか...今度はここで賊のお頭ってか、ご苦労さんだな」
ラング「前のお頭はあまり頭が良くなかったからね、ちょっと細工をして忍び込んでみれば...すぐ幹部になれたよ」
雑兵「前の頭はどうした」
ラング「死んでもらったよ、不幸な事故でね」
555
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/29(日) 22:54:08 ID:QEjTV43o
雑兵「そうかい、あいも変わらず腐った奴だな」
ラング「金が手に入れば腐っていようが、なんであろうが関係ないよ、ところでそろそろ周りに気を配った方がいいじゃないかな?」
雑兵「...」
周りを見渡すと完璧に囲まれていた、如何にも山賊ですと言う風貌で俺に剣先を向けている。
恐らくこの世界ではもう最期の時だと覚悟した
556
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/29(日) 23:01:26 ID:QEjTV43o
「頭目!ぶっ殺しましょうや!」
ラング「と言う事だ、皆は短気なんでね、申し訳ないが...遺言だけは聞いてあげるよ」
雑兵「そうかい、ひと足先に地獄で待ってるぜ屑共」
ラング「ひと足先にとはどう言う...」
「頭目!!王国の騎士団連中だ!!!奴ら攻めてきやがった!!」
ラング「...成る程、君はそれでここにいたのか、おい、こいつを牢にぶち込んでおけ」
雑兵「んなっ、殺してくれよ」
ラング「前みたくエサにできれば使ってやる、安心しろ」
557
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/03(木) 13:53:11 ID:bDv73e96
おつ
558
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/04(金) 00:00:02 ID:MaSHLLrs
雑兵「そうかい、まぁ討伐隊連中に精々と足掻いて薄汚いネズミ共と死ねや、おい寝ぐらに案内しろ」
ラング「ず、随分と余裕だな...」
雑兵「もう俺の周りにゃ誰も居なくなったからな、本当に好き勝手できるさ」
「お頭!逃げ道も塞がれました!!」
「戦いましょうや!」
ラング「ま、マジか...」
雑兵「二度目の人生を送っても、人の性根が変わらなけりゃ何も出来ねぇんだなぁ、チートがあっても能力があってもな、まぁ俺は何にも無かったけども」
ラング「二度目の人生...?貴様何を
雑兵「死に行くおめぇには毛頭関係のねぇ事だよマヌケ、逃げるならさっさと金くすねて逃げとけ、お前の人生にゃお似合いだ」
559
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/04(金) 00:09:49 ID:MaSHLLrs
砦の周りは討伐隊に囲まれており、既に逃げ道なぞ存在せず、前衛分隊は立ち塞がる盗賊を切り捨てながら前進し、遂に門前にまで至った。
警備団長「騎士団長、前衛の仕事は終わった、後はおめぇの采配だぜ」
女騎士「はい...スゥ...盗賊の頭目に告ぐ!!今すぐ武器を捨て投降せよ!!諸官らは先の戦争の終結後行く宛もなく賊の道に身を落とた事は既に聞いている!!私の顔馴染みもいる事も知っている!!今すぐ武器を捨て投降すれば更生出来る!!」
警備団長(うーん甘ちゃんなのは変わらないが...仕方のねぇ事だな)
戦争終結後、各方面に散らばった将兵は戦火に家を焼かれ、家族全員が戦塵に散った者も多く、未来への希望が無くなり賊に身を落とす者が後を立たなかった。
560
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/05(土) 23:04:20 ID:gwigevsk
砦の外から女騎士の声が聞こえる、ラングを投降させる?何を言っているんだ、この場で殺すに決まっているだろう。
この男は生かしてはいけない人間であり、情けの一つも描けてはならない男だ。
ラング「クソ...面倒臭い、お前ら砦の外で迎撃しろ」
「は、はい!」
「そ、外出るのか...?」
雑兵「まーた逃げるのかよ頭目様、カルト教団から出てって盗賊から出てってもう何もねぇだろ、次はポン引きでもすんのか?」
「頭目...カ、カルト教団ってあの...?」
「嘘だろ...頭目って俺の村を焼いたカルトの一員だったのかよ...」
ラング「バ、バカな事を言うな戯言だ」
「お、おい、本当なのかよ!」
雑兵「あ?うるせぇ黙ってろ、ラングお前だけは絶対に逃さねぇぞ、必ず殺してやる」
561
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/05(土) 23:18:47 ID:gwigevsk
全身全霊をもってラングを殺す、いま雑兵の血はかつて無いほど煮え滾っていた、刺し違えたっていい、こいつを殺せるならば死んでも構わないと思っていた。
雑兵「カルトの件じゃ死ぬ程世話になったな、楽に殺したくはねえが、俺は楽に生きたいから楽に死んでくれや」
「やっぱ頭目ってカルト...」
「聞いたことあるぜ、教祖殺して、幹部が一人金をくすねて消えたって...」
雑兵「前の頭目も殺して、次はお仲間も殺してスタコラたぁ良い身分だな、まぁこいつらのことなんか知ったこっちゃねぇけど」
ラング「や、やめろ...!おい、こいつを殺せ!」
「頭目を殺した...?」
「何かおかしいと思ったんだよ...」
ラング「くっ...」
562
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/05(土) 23:26:47 ID:gwigevsk
雑兵「そういうことでお前が死ねば一件の落着ということだ、おい、剣返せ」
「...っくそ!」
随分と単純な連中だ、あっさりと剣を返しやがった、頭目のことを少しは信用してやってもいいものだと思うが。
雑兵「お前のカリスマ性の無さが自分を殺したんだ、じゃあな」
ラング「ま、待て!金ならやる!!なんなら自由にだって...」
雑兵「もう死ぬ程自由に生きてきちまってこの様...だっ!!」
振り下ろされた剣はラングの袈裟を斬りつけた、瞬間避けたラングに浅く刃が通った。
ラング「っ!てめぇら!何してる!」
雑兵「賊共、投降するなら今だぜ、討伐隊相手じゃお前らにゃ勝てっこないだろ、知らねえけど」
「...俺何やってたんだろ...」
「まさかオレの家族を殺した奴の下についていたなんて...」
雑兵「あっさり過ぎだろお前ら...慕われてなかったのかお前」
ラング「うるせぇ!クソっ!」
雑兵「まぁどうでもいいかっ!」
563
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/05(土) 23:35:58 ID:gwigevsk
再び剣が振り下ろされ、ラングの動脈を切り付けた。
ラング「っがあっ...」
血飛沫が飛び上がる、そろそろ死ぬだろうが、この男の死に様にしては手ぬるい死に様だ、被害にあった彼女らへの手向けになるなかは知らないが、もうこの男がのさばる事は二度と無いだろう。
雑兵「...奴隷解放しなけりゃな」
賊たちは既に投降していった、砦の檻の中には奴隷として売られる者たちが大勢いた、解錠し自由にしたが、この者たちは今後どうなるのだろうか。
雑兵「ゆっくり歩けよ、外に討伐隊がいるから保護してもらえ」
「ありがとうございます...!」
「恩人だ...」
国の不手際の尻拭いで助けただけだ、何一つ感謝されるいわれなどない、雑兵は心の奥底からそう思え手放しには喜べなかった。
雑兵「...クソみたいな国だなぁやっぱ」
564
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/06(日) 00:19:46 ID:2tUccCcw
賊が投降のため門を開く、瞬間に討伐隊は雪崩れ込んできた、賊は武装解除の為に一列に並んでいた。
警備団長「あ、ありゃ、みんな意気消沈してんじゃねえか」
「一体何が...」
女騎士「...お前、何をした」
雑兵「別に、お前らの国がしでかした不手際の尻拭いをしただけだマヌケが、ノコノコと入ってきてむしろお前は何したんだよ」
「その死体は...」
雑兵「見りゃわかんだろ、頭目だよ、そしてフィッハーの村を襲った元カルトの幹部だ」
その瞬間何故か今までに湧かなかった怒りが沸沸と湧いてきた、いきなし騎士団に連れてこられたと思いきや、即切り捨てられた。
雑兵「おい、教えてくれ、なんで俺は騎士団なんぞに連れてこられた?」
女騎士「...さぁな、大方問題児をお膝元に置いて監視でもしたかったんじゃないか?」
雑兵「そうか、お前の意思で連れてこられた訳じゃないんだな?」
565
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/06(日) 00:26:10 ID:2tUccCcw
女騎士「当たり前だ、何故お前なんかを近くに置きたがる」
雑兵「それを聞いて安心したよ、じゃなきゃ怒りでオレの全身全霊をもってお前を殺すところだったぜクソアマ、この男みてぇにな」
女騎士「...っ不愉快だ、消え失せろ」
雑兵「そうかい、今までありがとよ、二度とそのツラを見せるなよ」
強襲団長「おいおい、勝手にどっか行こうとするなよ、お前はまだ辛うじて俺の部隊の団員なんだからな?」
雑兵「そうかよ、じゃあさっさと辞めさせてくれ」
この一件により、女騎士と雑兵の関係は立ち消えた、上官への反抗を行なったが、雑兵が盗賊を鎮めたのもまた事実であるため、この件は内々に納められた。
566
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/06(日) 00:29:48 ID:2tUccCcw
首都へ帰還したが、騎士団連中からの視線は以前よりも痛く突き刺さった。
それもそうだ、騎士団長への無礼な態度を取れば狂信的な連中は自ずとそのような態度になるだろう。
強襲団長「え〜胸が非常に痛むが、雑兵には無期限で非常勤についてもらう」
雑兵「嘘つけよクソジジイが、どこ行くんだ」
強襲団長「隊員浴場で勤務...まぁ下手すりゃ定年まで三助業務だな」
雑兵「そうかい、そりゃありがたい事だ」
567
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/06(日) 00:35:15 ID:2tUccCcw
三助、正式には浴当で風呂清掃や、ボイラーの監視、非常勤であれば半月で交代の業務だが、俺に関しては死ぬまでだそうだ。
「申し送りはこんくらいだな...まさかお前のツラを生で拝めるとは思わなかったよ」
雑兵「どういう意味だよ」
「お前有名だぜ、雑兵の身分で勇者様といちゃついてるかと思いきや、騎士団長に楯突いて...まぁ兎に角お前はクッソ有名人だって事だ、面白いって意味でも悪い意味でもな」
雑兵「噂料取るぞ間抜け共って伝えとけ、テメェらの風呂の握ったのは俺だからな、言葉一つで冬に水風呂つからせるぞ」
568
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/16(水) 19:19:43 ID:1mjWRa7c
まってるよ
569
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/17(木) 02:49:02 ID:r7ua6sZY
俺も
570
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/18(金) 23:54:01 ID:SZV8qqoA
「おー怖い怖い、じゃ、頑張ってやれや〜」
雑兵「...」
何もかもをかなぐり捨てて辿り着いたのが浴場とは、笑いも出ない。
今はただニヒルな表情で、大丈夫だと言い聞かせているが、いつ決壊するのだろうか。
_
__
571
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/18(金) 23:56:26 ID:SZV8qqoA
「おー怖い怖い、じゃ、頑張ってやれや〜」
雑兵「...」
何もかもをかなぐり捨てて辿り着いたのが浴場とは、笑いも出ない。
今はただニヒルな表情で、大丈夫だと言い聞かせているが、いつ自分の全ては決壊するのだろうか。
_
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572
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 00:17:12 ID:.cA4cuQ6
__
_
勇者「...雑兵に会うなってどういう事?」
女騎士「そのままの意味、今回の件ではっきりと分かった、これ以上雑兵に会ったら勇者には悪影響しか無い」
勇者「今回の件って...雑兵は何も悪く無いじゃん!みんなが寄ってたかって一人相手に...!」
女騎士「寄ってたかって一人を相手に?その原因を作ったのはアイツだ、無力なクセに傲慢で、しかも無礼な奴で...面倒は一人で背負い込んで何とかしようと一人だけで足掻いて...そのクセ人の心配は無視して...私は勇者の心配を無碍にするような奴を、絶対に許さない、人からの心配を振り払うような奴は...」
勇者(お姉ちゃん...自分で気付いて無いのかな、言ってて辛そうなのに...)
女騎士「兎に角ダメだ、アイツには直々に付配置の内示を出す、騎士団にいられては末代まで舐められる」
勇者「...分かった...お姉ちゃんが完全に切り離せるなら、雑兵は捨てる」
姉は完璧に切り捨てる事など不可能だろう、瞳にうっすらと浮かぶ涙がその証拠だ。
でも辛そうな姉を見ると、無力な自分には従うしか出来なかった。
573
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 00:19:00 ID:.cA4cuQ6
勇者「...三人で遊べる日が来るといいね」
女騎士「...」
今の僕には、それしか言えない。
良い意味でも悪い意味でも、彼は僕の周りを掻き回した。
_
__
574
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 00:25:56 ID:.cA4cuQ6
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_
三助業務が始まって二週間がたった。
釜炊きは点火すれば直ぐに行えて、桶から椅子から一切の水垢を落とし、浴槽内は隅々までブラシで擦り上げた。
雑兵「浴場清掃に終わりはねえってか...」
浴場の詰め所の壁にはそう書かれ、3畳半の部屋には煎餅布団と机しか置かれておらず、非常勤には持ってこいだが常勤には辛い空間だ。
雑兵「みんな、俺がここにいる事知ってんのかな」
ふと知り合いの顔が浮かんだ、浴場勤務は時間はあれど常駐が基本なので、他人に会う時間は多くない。
雑兵「PXにでも行ってみるか...」
575
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 00:32:31 ID:.cA4cuQ6
PXは城内の売店であり、菓子類や日用品、私物の鎧や兜、武器も揃っている。
新隊員の期間は行く事は無かったが、三助業務を行うとこういう場所はでも少しの時間は行けるので、多少は心の癒しになる、本当に微々たるものだが。
「おい、アイツまだ辞めてなかったのかよ」
「アイツ今なんの仕事してんだ?」
雑兵(聞こえないフリ聞こえないフリ)
心の癒しに少しでもするにはこうするしかない、でなければ自分自身が持たなくなる。
「あいよ、760Gね」
雑兵「ありがとおばちゃん」
天使「...雑兵?」
576
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 00:38:16 ID:.cA4cuQ6
雑兵「...よう」
天使「首都に来てたなら教えてよ、いつまで?仕事で来たの?」
もしかして俺がここにいる事は誰も知らないのか?風の噂ってのは大事なところにまでは届かないのか?
雑兵「...あぁ、ちょっとな、直ぐ出てくけど」
天使「あまりゆっくりできないんだ...話したい事たくさんあったのに...」
雑兵「チラッとでも良いから教えてくれよ、少しだけど時間はある」
天使「あ、あのね!僕ね!騎士団付の衛生兵になったんだ!」
雑兵「...ッ」
天使「技量が騎士団長と国王からも認められてやっと国家公認の衛生兵になって...それでね...?」
雑兵「そ、そうなのか...」
577
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 00:41:59 ID:.cA4cuQ6
元々天使には衛生救護に関しては天賦の才能があった、独立大隊に行かされたのが間違いだったのだ。
一番近しい同期は実力で出世している、俺は?同じ騎士団にいたが、出世はおろか危なっかしいからお膝元に置かれ、最後には身近な人からも諦められた。
雑兵「そ、そうか...良かったな」
天使「雑兵...大丈夫?」
雑兵「え?大丈夫だって」
天使「でも...泣いてるよ?」
578
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 00:46:51 ID:.cA4cuQ6
雑兵「...天使、多分だけど、もう会う事ないかも知れないんだよ、聞いてると思うけど俺色々やらかしたからさ」
天使「やらかした...?何を?」
雑兵「風の噂でどうせ聞くよ、騎士団に入ったなら尚更だ」
天使「雑兵...何か辛いことがあるなら...」
雑兵「お前みたいに良いやつがな、俺に近づいてくれる事が一番辛いんだよ、俺の事は忘れてくれ、でなくても多分忘れさせられる」
天使「ちょ...何言ってるの...?」
意味の分からないって顔をしているが、騎士団に入れば直ぐにでもわかるだろう、知られた状況で会われればそれこそ首を括ってしまいそうだ。
雑兵「じゃあな、頑張れよ」
579
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 00:50:17 ID:.cA4cuQ6
課業開始の鐘がなる、雑兵はもう大切な人とは会う事はないだろうと直感した。
そして自分と会う事は大切な人たちにとっては不利益になるのも、周りの視線からよく分かる。
雑兵(噂が好きなクセに何で大切な所には回らないんだろうな)
3畳半の詰め所で、勤務が始まるまで一人になる、兎に角釜炊きを始めなければ。
_
__
580
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 21:52:21 ID:.cA4cuQ6
__
_
女騎士「アイツはどこへやったのですか?」
警備団長「あ?何で聞きたがるよ」
女騎士「アイツはフラッと現れる奴ですから、また厄介ごとを持ち込むか...」
警備団長「...一人で抱え込んで、自滅するか...だな、経歴見りゃ分かるよ、相当の苦労人だってのはな、しかし俺にもお前にも、騎士団にも関係のねぇ事だ」
女騎士「困るんです、勇者の前に現れられては...勇者はまだ幼く...」
警備団長「そりゃあちぃっと、妹さんを舐めすぎじゃねえかな?」
女騎士「え?」
警備団長「勇者は自分で考えれる子だ、お前の心配も分かるが、お前の意思は汲み取ってるよ、あの子」
581
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/19(土) 21:58:44 ID:.cA4cuQ6
警備団長「お前の、アイツを見捨てると言うやり方、俺は悪手とは思っちゃあ居ないが、もしアイツが変われるタイミングで見捨てられたら...アイツはいつ変われるんだろうな、お前の望むアイツに」
女騎士「...もう遅いです、これ以上迷惑をかける存在であれば、アイツ自身が...
警備団長「アイツアイツじゃねぇよ、お前はどうしたいんだよ、お前自身はどうしたいんだ」
女騎士「...わかりません」
警備団長「元来人を見捨てるのが苦手なお前がな、雑兵を見捨てるなんて土台無理な話なんだよ、盗賊でさえも見捨てられなかったお前がな...あの盗賊ら、俺だったら殺してるな」
女騎士「な、何故ですか」
警備団長「荷台見てねぇのか?アイツらガキ二人を無責任に死なせてるぜ、雑兵の奴はそれを見て、盗賊らは許さなかったんだろうな」
582
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/26(土) 01:27:31 ID:MWO3O6Js
女騎士「その件は知っています、ですがそれは賊に身を落としてしまった我が軍の兵士達を見捨てる理由にはなりません」
警備団長「いや、賊に身を落としたならまだしも、外道に走った連中はとことんまで見捨て、斬り捨てるべきだな、国民への示しなんぞは犬に食わせりゃ良い話だがな、アイツらがガキ二人にした仕打ちは...カルトの連中と同じことをしたんだぜ?お前はカルトの連中をどうした?」
女騎士「...斬り捨てました」
警備団長「だからまだ甘ちゃんなんだよ、外道共を切り捨てない代わりに雑兵を切り捨てる...何度も言うが悪手とは思わないが、お前のその考えはひとっつも分からん、アイツは外道に染まったのか?」
女騎士「...」
警備団長「バカなだけだった、アイツの働きっぷりは外道とは思わねえがな、まぁ苦労を鼻にかけるのは腹立つけど」
女騎士「...そんな事言われても、どうすればいいんですか...」
警備団長「そりゃお前次第だ、切り捨てるなら切り捨てろ、俺にゃ何の関係もない」
583
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/28(月) 03:20:57 ID:QIj3dm7I
警備団長「まぁ幸いなのはどちらに転んでもみんなお前の味方だってことだな、よくよく考えろよ」
女騎士「...」
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__
584
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/29(火) 22:12:44 ID:WVv9zpfk
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『 OPEN 1730〜1900 』
雑兵「よし、後は寝るだけだ」
課業終了30分後に風呂を開ける、この仕事も三週目に突入した、定年までこれか?てか定年っていつだ。
お陰で時間まで、思考を停止させる術を編み出してしまった。
雑兵「さぁて...事務所に行きますかな」
見習い騎士「すまない、浴当の方は...あ」
雑兵「あ...どうもっす」
585
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/29(火) 22:19:08 ID:WVv9zpfk
雑兵「で...競技会が長引くから風呂の時間延長してくれって事か、いいよ、最後上がるやつは俺に言うようなしてくれ」
見習い騎士「すまんな、ところで...」
やめろ、何も聞いてくれるな。
雑兵「聞き及んでんじゃねぇのかよ」
見習い騎士「あ、あぁ...だが他の団員の噂話程度でしか聞かなかったから眉唾物の話しだと思ってな」
雑兵「そうか、まぁどこまで内容が合ってるか分かんないけど概ねその内容で間違い無いと思うぜ」
見習い騎士「しかし、君はこの前の盗賊の討伐で多大な戦果を治めたじゃないか」
雑兵「一体どこまで噂話は広がってんだよ」
586
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/12/30(水) 21:32:51 ID:bra77rGs
見習い騎士「う〜ん、騎士団長に楯突いて...浴当に一生上番?」
雑兵「何一つ間違ってねぇよこの野郎」
見習い騎士「間違っていると言ってくれ、しかし何で楯突いたんだ?」
雑兵「うーん、方向性の違い?」
見習い騎士「売れない音楽家みたいな事を言うな...まぁいい、よろしく頼む」
雑兵「あぁ」
一週間ぶりに人と会話した、こんなにも嬉しく楽しい物だとは思わなかった。
587
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/03(日) 21:50:24 ID:nld2PlrU
見習い騎士「勇者様、本日の競技会は見事な剣捌きでした」
勇者「そう?いやーみんな強かったねぇ、さすが姉ちゃんの騎士団だよ」
見習い騎士「本当です、しかし私なんかの錬成のため最後まで残って下さって...誠に感謝します」
勇者「歳も近いんだからそこまで改まらないでさ、気楽に行こうよ」
見習い騎士「しかし...」
勇者「まっ、裸の付き合いでもしましょうや〜」コチョコチョ
見習い騎士「うひぃっ...!や、やめてくださいよ〜」
_
__
588
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/04(月) 01:26:56 ID:qprksynM
__
_
カポ-ン...
勇者「いや〜...普段は水浴びで済ませてるけど、風呂もいいもんだねぇ〜」
見習い騎士「ゆ、勇者様...つかぬことお伺いするのですが、雑兵って」
勇者「...最近見ないから、いつも通りだよ、あいつ勝手にどっか行くもん」
見習い騎士「勇者様は噂とか聞かないのですか?」
勇者「あまり隊員とか、騎士団の人と話さないから...分かるの?」
見習い騎士「はい、最初は風の噂だったのですが、浴当に上番してます」
勇者「マジで?確かなの?」
見習い騎士「はい、浴場の延長に行った時に雑兵が」
勇者「...上がったら行くんだよね」
見習い騎士「は、はい」
見習い騎士(勇者様、怒ってるのかな...)
589
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/04(月) 01:27:33 ID:qprksynM
__
_
カポ-ン...
勇者「いや〜...普段は水浴びで済ませてるけど、風呂もいいもんだねぇ〜」
見習い騎士「ゆ、勇者様...つかぬことお伺いするのですが、雑兵って」
勇者「...最近見ないから、いつも通りだよ、あいつ勝手にどっか行くもん」
見習い騎士「勇者様は噂とか聞かないのですか?」
勇者「あまり隊員とか、騎士団の人と話さないから...分かるの?」
見習い騎士「はい、最初は風の噂だったのですが、浴当に上番してます」
勇者「マジで?確かなの?」
見習い騎士「はい、浴場の延長に行った時に雑兵が」
勇者「...上がったら行くんだよね」
見習い騎士「は、はい」
見習い騎士(勇者様、怒ってるのかな...)
590
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/04(月) 01:33:33 ID:qprksynM
雑兵「...」
『浴場勤務5箇条
浴場清掃に終わり無し
常に湯船を清潔に
常にアカを落とすべし
水虫は国家の天敵
常に旺盛な向上心を持て』
雑兵「…」
ガララッ!
雑兵「うおっ、見習い騎士入る時は入室要領をだな...」
勇者「…」
見習い騎士(ごめん雑兵、言っちゃった)
雑兵(初めてアイコンタクトが分かったよ畜生め)
591
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/04(月) 02:01:25 ID:qprksynM
彼女は怒りと悲しみの表情でこちらに近付いてきた、怒りの理由は見当がつく、しかしどうしようもないだろう、その瞬間彼女の腕が振り上げられた。
雑兵「...なんd
勇者「...ッ」
振り上げた手は綺麗に頬に当たった、しかし痛みはあまり感じなかった、やり場のない怒りだったのだろうか。
雑兵「…ごめん、多分俺お前の姉ちゃんに酷い事言っちまった」
勇者「ホントだよ...お陰で姉ちゃん...すっごく辛そうだもん...」
雑兵「...なんで辛そうなんだよ、騎士団長だろ...付配置にするって警備団長から言われたよ、直々に」
勇者「姉ちゃんだからだよ...っ!優しくて、すぐ抱え込んで...」
見習い騎士(か、帰ろっか?)
雑兵(う、うん、ちょっと席を外してほしいです)
アイコンタクトが初めて成立した、見習い騎士は用事があると出ていった。
592
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/04(月) 17:40:44 ID:qprksynM
雑兵「...お前はどうすんだ、仲介に来ましたって感じでもなさそうだが」
勇者「うん、仲介はしないよ...雑兵の敵にもならないし味方にもならない」
雑兵「そんなこと言う為に来たってのか、態々こんなとこへ?」
勇者「うん、だっていつまでも助けてもらえるって思われても困るし、雑兵自身で解決する問題に
巻き込まれたくないから」
雑兵「...ッ」
何言ってやがる、助けを乞うだと?な、なんで俺がお前なんかに、お前らなんかに...
雑兵「った、助けなんかとっくの前に...諦めて...」
勇者「...じゃ、そう言う事、あまり姉ちゃんの周りをちょろちょろしないでね」
593
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/04(月) 17:51:46 ID:qprksynM
雑兵「っこ、こっちから願い下げじゃボケが...くそっ...」
散々な言われようだ、体がフルフルと震えている...胸の隅にあった望みが立ち消えた、しかし
認めたくない、助けを望んでいたなどと。
_
__
594
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/04(月) 20:04:18 ID:qprksynM
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_
勇者から直々にお前は助けぬとのお言葉を賜り早一週間が過ぎた、仕事の内容は相変わらずで浴場の主と化してきた。
PXに行くのも怖くなってきた、食堂には閉まる少し前の時間に行き人の少ない時間を選んでいる、人に会うのが怖いのだ。
雑兵「...」
これでは前の人生となんら変わりのない、違うとすれば金を貰って飯をタダで食ってるだけの事、プー太郎の時代は窓際族の人間は嘲笑していた対象だった、今思えばどんな立場で嘲笑していたのだろうか。
雑兵(一言も話さない日が何日も続くと喋れるか心配になってくるな)
出る声といえばため息くらいだ、もう、本当に気が狂いそうになる。
595
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/05(火) 03:45:06 ID:i22fyR1Y
この場合何をすれば良いのだろうか、謝ればいいのか?しかし誤って済む問題ならこんな所へは飛ばされないだろう。
雑兵「どうすりゃいいんだよクソ...」
_
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596
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/05(火) 03:48:47 ID:i22fyR1Y
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勇者(どうしようどうしようどうしよう...)ブツブツ
勇者(完璧に見捨てたと思われたよね絶対、そりゃそうだよどこにも救いよう無いもんあの言葉じゃ)
勇者(姉ちゃんの気持ち全面に押し出し過ぎた、雑兵も辛いのに...コレじゃ雑兵死んじゃうかも知れない...)
勇者(やば、なんか吐き気してきた)
女騎士「...さっきから何ぶつぶついってるの?」
勇者「え...?あ、あはぁ何でもないよ姉ちゃん」
597
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/06(水) 00:39:17 ID:GqaK0FpE
女騎士「...雑兵の所にいったの?」
勇者「...うん」
女騎士「...アイツなんか言ってた?」
勇者「姉ちゃんには悪いと思ってるって、それだけ」
女騎士「そっか...でもわざわざ勇者が行くこと無かったのに...」
勇者「だって姉ちゃんだけ辛い思いさせるのやだもん、姉ちゃんは雑兵の為に怒ったんでしょ?好き好んで見捨てた訳じゃないんだよね?」
女騎士「...うん」
勇者「じゃあいつか仲直りしてさ、三人で遊びに行こうよ、フィッハーから帰る時姉ちゃん前言ってたじゃん」
女騎士「うん...何とかしてみるよ」
勇者「姉ちゃんと仲直りするまで雑兵の事は放っておくから、姉ちゃん頑張ってね」
女騎士「...ありがとう」
_
__
598
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/06(水) 00:46:16 ID:GqaK0FpE
__
_
雑兵(タバコ吸ってみました、不思議と吸えるものですね)
勇者からの放置宣言を受けて二週間が過ぎた、暇すぎてタバコを買った、本当は欲しくなかったがPXに行かねば流石に小腹も減る、相当勇気を出したが。
雑兵「スゥ...はぁ...美味いもんじゃねえな」
肺に煙を入れるのにも慣れ普通に吸えるようになった、しかしこの光景を知り合いにでもみられたら...
ッバァン!!
殿下「雑兵...っ!久しぶり!!」
雑兵「うおっ!ビビったぁ!殿下?何してんだよ」
殿下「雑兵がここにいるって聞いたから、エルフと来たんだよ」
エルフ「っよ、久しぶり」
雑兵「...ッ」
いかん、涙が出てきた、何よりも忘れられていないのがとても嬉しかった。
殿下「雑兵...?」
雑兵「いやっ、タバコの煙が目に入って、すぐ消す、子どもに悪影響だからなっ!」
599
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/06(水) 01:39:48 ID:GqaK0FpE
雑兵「んで、オムエンにゃいつ行くんだ?」
殿下「周りの人からは近いうちにってさ、いつかは教えてくれないんだよね、あ、でもね?オムエンにいる魔物達の代表みたいなのが明日来るってさ!」
雑兵「オムエンの?」
エルフ「オムエンには様々な種族がいてな、エルフ族は勿論ドワーフにゴブリン...サキュバスとオークも居たかな?それらの代表が明日来るんだ」
雑兵「オークってこたぁ...オークジェネラルか?」
エルフ「知ってるのか?」
雑兵「あぁ、国境警備隊に居た時にな、ちいと世話になった」
エルフ「あぁあの時魔物がどうこうって言ってたが、そういう事なんだな」
殿下「雑兵もこんな所に居ないでさ、僕と一緒に行こうよ」
雑兵「...ありがとな、こんな子どもに気ィ使わせちまったな」
殿下「むぅ...もう子どもじゃないよ!」
雑兵「ごめんごめん、行けたら行くわ」
エルフ「それ行かないやつの常套句じゃないか...」
雑兵「行きたくても行けねぇんだよ...うわさはちいっと聞いてるだろ」
600
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/06(水) 01:47:41 ID:GqaK0FpE
エルフ「...まぁちょっとは、びっくりしたよ本当に」
雑兵「俺が一番びっくりしてる、調子に乗り過ぎたな俺も」
エルフ「ここ最近じゃお前程の働きを見せる兵卒なんか居ないのに」
雑兵「可愛がってもんが無いんだよ俺にゃあ、多分」
エルフ「バカなことを...殿下、そろそろ戻りましょうか」
殿下「えー...」
エルフ「勉強の途中ですよ?ごねるんだったらおやつ抜きにしますからね」
殿下「うそうそ!やる、やります!じゃあね雑兵、また来るよ」
雑兵「あぁ、楽しかったよ、勉強頑張れな」
エルフ「雑兵、ありがとね...でもね、雑兵がどんな立場でも味方は沢山いるってことは忘れないでね」
雑兵「...ッあぁ、申し訳ねぇ」
今までどれだけの人に助けられたのか、今になってわかった、天使、上等兵さんに兵長、勇者や、特に女騎士にも...たしかに心配を無碍にして死にに行くって言うなんて酷い態度だ、お膝元に置かれたと言う事は、俺の負担を少しでもを減らすと言う事だったのだろう、多分
601
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/06(水) 01:49:57 ID:GqaK0FpE
雑兵「俺バカだなぁ、やっぱ」
ひたすらみんなに謝りたい、女騎士や勇者に、俺からアクションをおこなさねば行けない、只管土下座するか無いだろう。
取り敢えず明日はオークジェネラルに会えたら会おう
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602
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/06(水) 23:18:24 ID:ZCtcsigc
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翌日の首都は慌ただしかった、隣国のオムエンを廃墟にまで追いやった魔物の代表が城に来るのだ、見物する兵隊、警備する兵隊、人間のごった煮のようだ。
サキュバスクイーン「あらあら...こんなに沢山の人間に見られちゃったら緊張しちゃうわね?」
ゴブリンキング「っち...しちめんどくせぇよ野次馬ってのは...ちったぁ仕事しろってんだ」
オークジェネラル「無理を言ってやるな、人間達にとっては物珍しい異種族だ」
ドワーフ王「さっさと済ませて鍛治仕事を終わらせたいもんじゃ、のうエルフの族長よ」
エルフ族長「まあ、ちいっとは羽を休め、ドワーフ族と言うのは働きすぎだ、時にオークジェネラルよ、なぜご子息を?」
オークジェネラル「前に助けられた人間のことを忘れられぬようでな、王都は行けば会えると駄々をこねて...」
オーク「♪」
サキュバスクイーン「相変わらず可愛い、お姉さんと一緒に観光しましょうね?」
603
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/07(木) 00:39:06 ID:CnC0B.zE
「ようこそおいで下さいました、殿下はこちらでお待ちになっています」
オークジェネラル「うむ、申し訳ないが暫し子供を預かって貰いたいのだが...」
「ご子息のお預かりですね、掛け合ってみますので会議場にてお待ち下さい」
サキュバスクイーン「お父さんと離れて寂しいわよね?いい子にしてるのよ?」
オーク「プギッ!」
オークジェネラル「サキュバスクイーンよ、我の息子だぞ」
ドワーフ王「っだははは!子どもとは可愛いもんじゃ!」
ゴブリンキング「ドワーフのおっさんうるせぇって」
エルフ族長「まあまあ」
604
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/07(木) 00:41:07 ID:CnC0B.zE
「暇な隊員はいるかな」
「暇な隊員?さぁて...ここは警備の者しかいないからなぁ...」
「隣の浴当に預けりゃいいんじゃ無いすか、今の時間暇でしょ」
「そうすっか、アイツだけどこんくらいなら出来るだろ」
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605
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/07(木) 00:47:53 ID:YXHYp.CE
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雑兵「全部聞こえてんだよてめぇ、誰が暇だこのどサンピン警備員、ぶっ殺すぞ」
「う、噂に違わぬ態度の悪さだな...!お前でもできる仕事だ、オークの子どもを預かれ!」
オーク「プギッ♪」テチテチテチ
雑兵「おっ!オークジェネラルの!元気にしてたかぁ?よーしよしよしっ!」
オーク「プギィッ♪プギャッ」
雑兵「久しぶりだなぁ、ん?お前まだいたの?仕事しろや」
「っく...兵卒の分際で...」
雑兵「あのおっちゃんで怖かっただろ?もう安心しろよ、ほらお菓子もあるぞ」
オーク「♪♪♪」
雑兵「ひゃ〜可愛い子だ、父ちゃん元気にしてるか?」
オーク「プヒッ!」コクコク
雑兵「言葉わかるのか!っかぁ〜偉いなぁお前は」ナデナデナデナデ
606
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/10(日) 00:47:56 ID:vRZCytpo
雑兵「お前の父ちゃんに会いてえな、でも俺なんかが言ったらダメなんだよなぁ」
オーク「?」
雑兵「いや、何でもねぇ、外出てみるか?」
オーク「プギッ!!」タタタッ
雑兵「ちょ、走ったらこけるぞ〜」
_
__
607
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/10(日) 00:59:05 ID:vRZCytpo
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_
殿下「オムエンに赴き、人と他の種族が共存できる国を作りたいのです」
ゴブリンキング「人間と共存だ?冗談抜かして欲しくねぇなぁ、誰が1番先に被害被ったか...おい、お前らなら分かるだろ」
サキュバスクイーン「それは勿論分かっているわ?でも過去の歴史を見ても私たちから始めた戦争もあるのよ?」
ゴブリンキング「ッチ...」
ドワーフ王「ワシらは異なる種族と書かれる通り、異種の生き物じゃ、異種の物と言われておるワシらを人間が受け入れるか、そしてワシらは人間を受け入れるかじゃ」
エルフ族長「私は賛成だ、この王国では私たちの同胞も働いておる、その王国の後ろ盾なら私は信頼できる」
ゴブリンキング「元来俺らはよぉ、忌み嫌われる種族なんだよ、英雄物語じゃ人を襲い村を焼く...オークだってそう書かれてんだろ?」
オークジェネラル「無論把握している、しかし信頼できない人間が居るのなら、信頼できぬ同胞もいる、逆もまた然り...我は全面的に賛成しようと思う」
608
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/10(日) 01:08:01 ID:vRZCytpo
ゴブリンキング「俺だけかよ反対派はよぉ、確かにゴブリンの子分たちも人間の生活に憧れちゃあいる、しかしそりゃ一部だ、遺恨ってのは深えんだよ」
オークジェネラル「それを諭すのが同胞たちの代表である我々じゃないのか?」
ゴブリンキング「...」
サキュバスクイーン「私的には、エルフ族長が賛成なのは少し驚きなのだけれど?」
エルフ族長「何故だ?」
サキュバスクイーン「ほら、あのカルトの一件よ、こちらの王国に住んでた、ほかのエルフ族のお姫様...それに同胞たちも...相当な怒りようだったわよ?怒るのはすごくわかるけど...」
エルフ族長「...確かにそれは怒り狂った、しかし聞いた話があってな」
ドワーフ王「檻に一緒に閉じ込められた兵士...あの者が身を挺しながら彼女らを助けようとしたという話じゃな?」
エルフ族長「その通り、他族の為に怒り狂い、涙を流した...そして助けようとした、私は人間という生き物はなんて慈悲深く、興味を持てる部族かと感動すら覚えたよ...ほかのエルフ族も同意見だ」
609
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/10(日) 01:15:13 ID:vRZCytpo
ゴブリンキング「そんな骨のある人間が多けりゃ良いがな...」
殿下「その兵士の話...もしかして雑兵の話かな...」
エルフ族長「知っておられるのなら是非御礼を申したいのだが」
殿下「そうですね、確認してみましょう」
「雑兵なら只今外出てオークジェネラルのご子息と...」
殿下「呼んできてくれるかな?」
「御意」
610
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/12(火) 01:01:14 ID:xcluM3GE
雑兵「ど、どうもっす...」
殿下(雑兵、緊張しすぎだよ)
雑兵(緊張しねぇ訳がねぇだろ...)
エルフ族長「君が件の兵士か、同胞のために涙を流し、身を挺してくれて本当にありがとう、エルフ族を代表して御礼申し上げる」
雑兵「そ、そんな、ですが結局は救えませんでした...」
エルフ族長「だが、救ってくれた同胞もいるだろう?」
雑兵「...あぁ、エルフの事ですか」
エルフ族長「そうだ、君のような人情溢れる人間がいてくれたからこそ彼女は救われたんだ、そして彼女達もまた今際に絶望感だけを味合わずに済んだのだ...」
雑兵「...」
611
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/12(火) 01:09:56 ID:xcluM3GE
雑兵「そう言ってくれると...励みになります」
エルフ族長「オークジェネラルも何かあるのだろう?」
オークジェネラル「うむ、兵士よ、改めて申し上げる、我が子を助けてくれて本当にありがとう、あの時我が息子を見つけてくれなければ間違いなくカルトの餌食となっただろう」
雑兵「い、いや、それは本当に偶然ですから」
オークジェネラル「偶然でも助けてくれたことは事実だ、御礼を申し上げない理由にはならん、それに敬語はやめてくれんか?あの時は確か敬語じゃ無かったはずだ」
雑兵「...そりゃ世間知らずも甚だしかったからな...ありがとよ、なんか元気出た」
オークジェネラル「うむ、同胞にも良く伝える」
サキュバスクイーン「あらあら...お話を聞くだけでもカッコいいわ?二人でお話ししない?」
雑兵「ど、どちら様でしょうか...」
ドワーフ王「だぁっはっは!!早速サキュバスに気に入られちまったな若造!精力剤は沢山飲んどけよぉ!」
雑兵「さ、サキュバスさんですか...お気持ちだけ受け取ります...」
ゴブリンキング「っと、そろそろじゃねえか、国王と騎士団長が来んの」
雑兵「き、騎士団長?うっえやべ、か、帰ります!」
612
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/12(火) 18:32:28 ID:uPURho.6
読んでるよ
613
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 02:18:44 ID:2yNUyAyc
殿下「雑兵、逃げたらダメだよ」
雑兵「に、逃げるなんてそんな...」
なんで知ってる顔で言いやがる、真剣な眼差しで見つめられては逃げようが無い。
殿下「雑兵なら大丈夫だよ、僕に居場所をくれたんだもん」
雑兵「…」
ガチャ
国王「殿下よ、話は進んでおるかな?」
殿下「国王陛下、やはり共存するには相互の理解が必要だと実感しました」
国王「そうだとも、人間に考えがあるのと同じ、オーク、ゴブリン、エルフにドワーフ...それにサキュバスの全員に考えがある...参加されている皆様、我が国へようこそおいで下さった」
614
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 02:29:09 ID:2yNUyAyc
女騎士「…」
何故いるなんて顔でこっちを見るな、俺が聞きたいくらいだ。
エルフ族長「ビギニングの王よ、まず国王と貴国の兵に御礼を申し上げます、彼は我がエルフ族の悲劇に涙を流し、身を挺しながら希望の光を与えようと尽力した立派な兵士だ」
国王「ほう...君が件の兵士だな、盗賊の討伐は見事な戦果を納めたと聞く、まぁ喧嘩は良くあることじゃ、ワシも家臣と喧嘩を良くする...のう?騎士団長よ」
女騎士「は...お恥ずかしい限りです」
雑兵「あ、いや、いえ...俺...いえ自分の浅はかな...意地がその...」
ゴブリンキング「へぇ〜上の人間に楯突いたってぇのか、それで骨がある訳だ...わぁったよ、ゴブリンの怒りは俺が納めてやらぁ」
オークジェネラル「どういう心変わりだゴブリンキング」
615
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 02:33:33 ID:2yNUyAyc
ゴブリンキング「いや、別にどうってこたぁねぇ、面白そうだから共存してやるってだけだ」
サキュバスクイーン「あらあら、貴方も意地っ張りなのね?」
ゴブリンキング「う、うるせぇ」
エルフ族長「決まりですな殿下、我々と共にオムエンに光を灯しましょう」
殿下「はい、皆さま、オムエンを再び再興しましょう」
雑兵「じゃ、じゃあ自分は仕事があるので...」
女騎士(おい、後でお前に話がある)
雑兵(...なら浴場裏に来てくれ)
616
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 02:35:51 ID:2yNUyAyc
国王「うむ...では失礼した、みなつもる話もありそうでな、陰ながらではあるが期待するぞ、兵士よ」
雑兵「っは、はい」
_
__
617
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 02:48:33 ID:2yNUyAyc
__
_
頗る緊張するのは何故だろうか、何故コイツはここにいるのか、俺にサヨナラを告げたじゃ無いか、ダメだ色んな感情が溢れてくる。
女騎士「...」
雑兵「こ、ここが俺の今の職場だ」
女騎士「タバコ...」
雑兵「え?」
女騎士「タバコを吸うようになったのだな、何を考えているんだ?」
雑兵「い、いいだろ、いや、怒ってる訳じゃ...その...」
女騎士「...何故お前はあのとき最期の仕事と言ったのだ?」
最期の仕事、今まで仕事でも無いのに死戦を嫌でも潜り抜けさせられた、しかし死のうとは思わなかった、なのに何故あの時だけ。
雑兵「...達観してただけだ、嫌になってさ、あちこち異動して、でお前のお膝元みてぇなとこ行かされて、あーなんかもう疲れたなぁって感じで...」
女騎士「...お前は私や、勇者のお膝元は嫌だったのか?」
618
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 02:50:48 ID:2yNUyAyc
雑兵「い、嫌じゃねぇ、今は偶然でも助けの手を差し伸べられたと思ってる...」
女騎士「あぁ...それは本当に偶然だ、人事参謀が嫌がらせで私の膝元に送ったのだ」
雑兵「嫌がらせって言うなよ、俺がまるでゴミみてぇじゃん」
女騎士「うるさい」
雑兵「うるさいって...」
女騎士「なぁ...もっと自信を持ってくれ、お前は...雑兵は誰からも誇れる仕事をした、私は何度も掛け合ったし、それこそ参謀連中に直訴もした、無意味な更迭はやめろと」
雑兵「…」
619
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 02:57:27 ID:2yNUyAyc
女騎士「ねぇ...雑兵はどうすれば自信を持ってくれるの?」
今までの上官みたいな喋り方はなく、一人の人間として語りかけてくれる、あぁ...優しい人だ。
雑兵「自信を持ちたい...けどさ、俺こっち来る前なんか学校も行かずぷらぷらして...遊び呆けて最後にゃバカな死に方したんだ...いつかその性根が爆発しちまったら...」
女騎士「…」
雑兵「調子に乗れねぇ...怖いんだよ、みんなが大切にしてくれてたのは最近気付いた、でも性根が見られたら俺...」
女騎士「...前の世界にいたときの雑兵の事は分からない、確かに雑兵が言う通り褒められた人間じゃなかったのかもしれないけど...雑兵は確かに多くの人を助けて、助けになる働きもした、この世界ではそんな雑兵しか知らない」
620
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 03:01:19 ID:2yNUyAyc
雑兵「...ごめん女騎士、お前の心配も、勇者の心配も無碍にしちまった...気付いたよ、お前らがいねぇと、助けて貰わねぇと俺ダメだ」
女騎士「...どうするの?」
雑兵「どうしよ...助けてくれ...」
女騎士「分かった、もう少し辛抱して...ね?」
雑兵「うん...」
_
__
621
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 03:14:36 ID:tT3EbaoA
__
_
「騎士団長!流石に承諾出来ません!!何故あのような男を?!」
「今で側近など求めなかったではありませんか!!」
「側近にするのであれば副団長がいるではありませんか!」
副団長「皆の者静まれ、騎士団長の決めた事だ」
「しかし...っ!」
副団長「あの男の今までの働きを見ろ、見習う点も多々あるでは無いか」
女騎士「副団長ありがとう、私から話そう」
副団長「はっ」
622
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/16(土) 18:09:48 ID:pP/.nFPA
「万が一あの男を側近にし、我が王国の騎士団が国民と他部隊から侮辱されるような事態に発展してしまった場合はどうされるおつもりか!!」
「腹を切らせて詫びさせろ!!」
「そうだ!!」
副団長「静まれ無礼者共!!!騎士団長からのお言葉も聞けんのか!!」
「しかし...っ!」
女騎士「貴様らの不安や不満も分かっているつもりだ、私自身以前はアイツに不満を抱いていた、向こう見ずで自信過剰...上官には楯突く、聞くだけでも最悪な男だ」
「ならなぜ...」
女騎士「アイツの人情...と言えばいいかな、向こう見ずなのは人を助ける為、私に楯突いたのは被害を被った人々の為...そしてそれらのつもりに積もった不満を私にぶち撒けたのだ」
「それだけでもアイツを受け入れない理由ができます!騎士団長に楯突くなど...」
女騎士「いや...私も完璧な人間では無い、失敗もするし見逃す所も多々あった、そこを突かれたのかな...とても心に響いた事もあったよ」
「…」
女騎士「確かに気にいる方が可笑しいのかもな、だがアイツを助ける為の理由は幾つも思い浮かぶ、アイツは人を助け、エルフを助け、他種族の為に涙を流した、結果オムエン再興に大きな一歩を歩めたのだ、我々には成し遂げられなかっただろうな」
623
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/18(月) 00:49:23 ID:3BbAB.Bc
「…分かりました、騎士団長の意向に従います、最後に一つだけ聞きたいのですが」
女騎士「なんだ?」
「あの男に好意を寄せているのですか?」
女騎士「好意...?分からん、今まで好意を寄せた相手など居なかったからな、どんな気持ちが好意なのか見当もつかん」
「…そうですか」
副団長「騎士団長、あの男を騎士団の一員として鍛えなければならない点についてはご了承下さい」
女騎士「うん、ドンドンやってやれ」
_
__
624
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/19(火) 00:07:44 ID:Kk3iLemw
__
_
雑兵「お、俺が?!そっ、側近?!おおお前何やってんの??!」
女騎士「なんだ?不安か?」
雑兵「不満しかねぇわ!第一お前の取り巻き連中怖いんだよ!マジで!」
女騎士「その点については大丈夫だ、ちゃんとたしなめた」
雑兵「たしなめた?!じゃあみんなキレてたの?!ねぇ!そりゃキレるよ〜何処の馬の骨かも分からん奴がお前の側近だよ?!」
女騎士「男の癖にごちゃごちゃうるさいな、もう決まった事だ、それ以上文句を言ったら怒るぞ」
雑兵「いやっ、すみません、ですがね」
女騎士「いいから早くこの私物だらけの部屋を撤収しないか」
625
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/19(火) 00:14:08 ID:Kk3iLemw
やってくれた、遂に想像もしなかった事をコイツは淡々とやってくれた。
側近って何をするんだ、伝令?茶出し?無理無理伝令なんか頭悪過ぎて覚えられないし、お茶なんか自販機で買ったのしか飲んだ事ないし。
雑兵「ここが俺の部屋になるのか...」
部屋は分屯地にいた頃の営内と似ており、変わったところといえば台所と便所がついている事位だ。
思えば完璧に自分の部屋っていうのはなく、独立大隊は二人部屋、分屯地にいた時は一人だったが他部隊の人の私物がたくさん置いてあり、国境警備隊に関しては部屋もクソも無かった。
雑兵「私物少なくてよかった...」
また出ていくことがあるかも知れない、その可能性は大いにあるのだ。
626
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/19(火) 00:33:35 ID:Kk3iLemw
雑兵「...一服でもしますか」
不安は無限に湧き出てくる、しかしここへきてしまった以上はもう逃げたくない、あの騎士団長に恥ずかしいところ見られたし、何だよ助けてって。
雑兵「...スゥ...フゥ〜...」
しまった、灰皿をボイラー室に置いてきてしまった。
ガチャッ
女騎士「雑兵、荷解きは...って、居室は禁煙だぞ」
雑兵「あっすみません騎士団長」
女騎士「まったく、今どきタバコを吸う男はモテないぞ?」
雑兵「モテなくたっていいよ、お前や俺の大切な人らが息災にいてくれりゃそれで」
女騎士「...」
雑兵「な、なんか変なこと言いましたか?」
女騎士「はぁ...妹も苦労するなと思ってな」
雑兵「な、何に苦労するんだよ」
女騎士(言えるかバカ...)
女騎士「まずは業務内容を説明するぞ、ついてこい」
627
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/19(火) 21:32:47 ID:ZrZ1IaHw
女騎士「お前の業務は各書類の提出、私の部屋の書類整理、各種業務の調整に客へのお茶出し等だ以上」
雑兵「つまり雑用ってことなんだ...いや、雑用ですね」
女騎士「口の聞き方も気を付けろ、二人きりなら良いがな、団員や他部隊の連中に聞かれたら殺されるぞ」
雑兵「分かりました...って二人きりなら良いのかよ」
女騎士「今更敬語を使う間柄じゃないと思ってたが?」
雑兵「...ありがとよ」
女騎士「なんの、では早速だが作戦課にこの書類を、人事課にはこの書類を提出してくれ」
雑兵「了解です」
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