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善子「夜桜と白の堕天使」梨子「リトルデーモンの答え」
7
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:41:15 ID:GBHNzwh.
善子「……」キョロキョロ
善子「梨子が近くにいないってことは、やっぱりもうゲームから出ちゃったのかしら……」
善子「パッと見渡したかぎり、曲作りのアイデアにはならなそうね」
善子「簡単に姫は見つかるし、あんまり面白くないゲームだったわ」
善子「さぁ姫!私と一緒に外の世界へ出るわよ! 」
姫「待ってください、まだ私はここを出るわけにはいきません」
善子「ははーん、まぁクエストとかクリアしないと簡単にはエンディング見れないわよね」
善子「何したら、一緒に出てくれるの? 」
姫「私を連れていこうとする他の方々にも言いましたが、私がここから出るなら、ひとつ条件があります」
8
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:42:15 ID:GBHNzwh.
姫「あの穴の中から、声が聞こえるんですよ」
姫「私の、とても大切な人です」
姫「その人をここに連れてきてくれませんか? 」
善子「なになに、あの穴の中? 」タッタッタッ
姫「その穴に私が落ちて、余計に行方不明になっては、その声の主に出会える可能性が減ってしまいます。」
姫「なので、私はここで待ち……」
9
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:43:05 ID:GBHNzwh.
善子「うわっ……底が見えないしめちゃくちゃ大きい……こっわ」スタスタ
ガッ
善子「えっ」ズテッ
善子「こけたぁぁぁぁぁ!! 」
姫「えぇっ!? 」
姫「よく聞いてください!その人の特徴は──」
10
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:43:37 ID:GBHNzwh.
真っ逆さまに穴に落ちていく。多分これから、ダンジョンにでも入るのね。
どうしよう、このゲーム、レベル上げとか出来るのかな。
薄れゆく意識の中で、姫の「ここで待ってます」という言葉が聞こえた。
私がなぜこんなことになっているのか、話は一ヶ月前に巻き戻る。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
11
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:44:26 ID:GBHNzwh.
一ヶ月前……
【部室】
千歌「よーしじゃあ今日は、善子ちゃんセンターの曲を考えよー!! 」
善子「私がセンターでホントにいいの? 」
花丸「クジで順番決めたから、次は善子ちゃんの番だよ」
果南「クジで順番を決めて、それぞれがセンターの曲を順番に作る……良い企画だよね」
ルビィ「ルビィはまだだけど……良い案いっぱい持ってくるね」
曜「善子ちゃんは、どんな曲の案持ってきたの? 」
善子「ズバリ……悪夢っ!! 」
鞠莉「ナイトメア……今までにない曲になりそうね」
12
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:45:11 ID:GBHNzwh.
ガラガラガラ
梨子「みんなもう来てたんだ、おはよう」
千歌「あっ梨子ちゃん!おはよー! 」タッタッタッ
曜「おっはヨーソロー! 」
梨子「うん、千歌ちゃん曜ちゃんもおはよ! 」ニコッ
善子「おはよう、リリー」
梨子「うん、"善子ちゃん"もおはよう」
善子「あ、うん……おはよう、梨子」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
13
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:46:07 ID:GBHNzwh.
【廊下】
練習の合間に、スマホを取り出していじる。
"悪夢"っていうテーマは凄くかっこいいと思う、だけど具体的なイメージが湧いてこない。
というわけで、ベタな方法だけど、インターネットで検索をかけてみようかなって。
善子「"悪夢"をテーマにしたのは、今の私の心境からよ……」
せっかくリリー……ううん、梨子と仲良くなったのに……今はまた距離が離れてしまった。
私の堕天使キャラのノリを梨子にも押し付けてしまったのが原因か……それとも、梨子に告白したことが原因なのかな。
きっと今の私なら、ダークでクールな歌詞が考えられる。曲のイメージだって、今までのAqoursには無かったような、斬新でかっこいい曲になる。
14
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:46:59 ID:GBHNzwh.
善子「悪夢ねぇ……」スッスッ
善子「検索してもピンとくるような画像出てこないわね」スッ
善子「ん……何このWebサイト」
15
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:47:38 ID:GBHNzwh.
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【悪夢クエスト】
『ゲームの世界に行ってみませんか? 』
ゲーム名:悪夢クエスト
内容:ゲームの世界に囚われてしまったお姫様を救うゲームです。プレイヤーは、ゲームの世界で、夢のような時間を体験することが出来ます。
※最後まで無料で遊べます、有料コンテンツはございません
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
16
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:48:21 ID:GBHNzwh.
鞠莉「面白そうね、それ」
善子「わっ!! 」ビクッ
善子「い、いつから見てたの!? 」
鞠莉「ほんの十秒前くらいかしら」
鞠莉「それ、面白そうだしやってみない? 」
善子「このゲームを? 」
善子「危なっかしいし、やっぱりやめ……」
鞠莉「ゲームの世界なら周りを気にせず、梨子と二人っきりでいられるわよ」
善子「な、なんで梨子のこと……」
17
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:49:22 ID:GBHNzwh.
鞠莉「……嫉妬ファイアー、でしょ? 」
鞠莉「ヨハネスブルグと梨子、前よりも仲悪くなったのかなーってさ」
善子「ヨハネスブルグじゃなくてヨハネ! 」
鞠莉「てへぺろっ☆」
鞠莉「千歌と曜に、梨子が取られてる感じがして本当は嫌なんでしょ? 」
善子「嫌ではないわよ。でも、昔みたいな距離感には戻りたいわね……」
善子「梨子が、千歌と曜のこと好きなの分かってるし、私は梨子の思いを邪魔したくない」
18
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:50:25 ID:GBHNzwh.
善子「もちろん、千歌と曜が、私への嫌がらせのために梨子と絡んでるんじゃないってのも分かってる」
善子「それに、どうせならあの三人が笑ってる方が私にとっては嬉しいわ」
鞠莉「失恋かぁ……そりゃ辛いわね」
善子「無理に付き合うのも申し訳ないし、もう告白はしないわよ」
善子「ただ、せめて昔みたいに"よっちゃん"って呼ばれたい」
19
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:51:02 ID:GBHNzwh.
鞠莉「だったらなおさら、ゲーム世界で二人きりになった方がいいんじゃないかな」
善子「? 」
鞠莉「ゲーム世界で、悔いが残らないようにやっちゃえばいいと思う」
鞠莉「最後のデート」
善子「最後の……デート? 」
鞠莉「そう、最後にもう一回だけデートをして、本音を全部ぶっちゃけちゃえばいいのよ」
鞠莉「お互い悔いが残らないようにね☆」
20
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:51:57 ID:GBHNzwh.
善子「でも……なんでゲームの世界で? 」
鞠莉「曲作りのアイデアを得る為よ」
鞠莉「今回、作詞・振り付け担当のヨハネと、作曲担当の梨子……後は言わなくても分かるよね? 」
善子「なるほどね、最後のデートしつつ、良い曲作ってこいってことね」
鞠莉「ビンゴ! 」
鞠莉「二人きりに出来るように、私が手配しておくから」
善子「ふふふ……あなたもギルティな女ね」ギラン
鞠莉「私たちユニットはGuilty Kissだもの……」ニヤリ
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21
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:52:53 ID:GBHNzwh.
それからしばらくして……
【部室】
私と梨子だけはゲームの世界に入る。そして、他のみんなは外で基礎練習をする予定。
善子「まだかしら……」
ガチャッ
梨子「……おはよう」
善子「お、おはよう」
鞠莉「おはよーーー! 」
善子「な、なんであなたも来てるのよ!? 」
22
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:53:28 ID:GBHNzwh.
鞠莉「ちょっと事情があってね」ササッ
鞠莉 (梨子が二人きりは気まずいっていうからさ)
善子 (なるほどね……)
鞠莉 (だから、ギルキスの三人でこのゲームをやるって事で梨子の了解を得たの)
鞠莉 (でも、マリーはゲームの世界には入らない)
鞠莉 (ゲームを始めるふりして、一人だけゲームには参加しないわ)
鞠莉 (梨子は三人でゲームやってると思ってるけど、本当はヨハネと梨子の二人きり)
鞠莉 (っていう作戦だから、よろしく! )
善子 (分かったわ)
23
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:55:10 ID:GBHNzwh.
鞠莉「じゃあ、さっそく購入したこれを……っと」ドサッ
頭全体をおおってしまうくらい大きなヘルメットが、机に投げ込まれる。
説明書によると、このヘルメットを被って、こめかみのボタンを押すとゲーム開始らしい。
梨子「大丈夫かな……」カポッ
善子「……」カポッ
鞠莉「かぶったら各自ボタンを押してゲーム開始しよっか」
24
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:55:53 ID:GBHNzwh.
梨子「うん、このボタン押せばいいんだよね」カチッ
梨子「わっ」ビリビリッ
梨子「……」スヤァ
善子「死んでないか……眠ってるだけよね」
鞠莉「じゃ、あとは頑張って! 」
善子「うん、分かった! 」
25
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:56:55 ID:GBHNzwh.
善子「……いってきます」
鞠莉「うん、いってらっしゃい! 」
善子「……」カチッ
ビリビリッ!!
頭全体が割れたのかと思うくらい、激痛が走る。
痛みはすぐに薄れて、だんだんと頭が暖かくなり……そして……眠くなる………
こうして、ゲームの世界に入る事が出来た。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
26
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 16:57:51 ID:GBHNzwh.
今回はここまでです。
27
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/11(日) 17:03:38 ID:GBHNzwh.
※ゲーム空間に入るためのヘッドギアは有料ハードなので鞠莉が購入しましたが、悪夢クエストというゲームは無料でダウンロードが可能です。
28
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:01:58 ID:OEmQt5eA
善子「私、穴から落ちて……」
周りを見渡すと、真っ白だったさっきの空間とは違って、夜の暗さ。
木に囲まれて空も見えないし、ここが森の中なんだってことはすぐに分かった。
「あなた、堕天使……? 」
全身に西洋の鎧をまとった人が話しかけてきた。女性の声なので、襲われることは無いだろうなってちょっと安心。
29
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:05:20 ID:OEmQt5eA
善子「誰……? 」
善子「まぁいいわ、よくぞ私が堕天使だと分かったわね」
「その背中の翼、どうみても堕天使じゃない」
「本物なの、それともコスプレ? 」
善子「翼? 」
善子「でぇぇぇ!?なにこれ!!」
私の背中には、真っ黒くて、折れた翼が生えていた。
30
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:07:52 ID:OEmQt5eA
善子「さっきまで付いてなかったのに……」
善子「偽物よね」グイグイ
善子「いったぁい!! 」
善子「本当に生えてる……!? 」
「空から堕天使が降りてきた……ってことは」
「何か災いでも起こす気? 」チャッ
私を敵とみなしたのか、彼女は持っていた剣を構える。
31
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:10:07 ID:OEmQt5eA
善子「ちょ、ちょっとタイム!! 」
善子「まってまって!私は敵じゃないわ! 」
善子「堕天使だけど!……キャラっていうか、なんていうか」
「はぁっ!! 」
騎士は私の左胸をめがけて、思いっきり剣を突き刺してきた。
洋服を貫通して、後ろの木に剣が刺さる。幸い、身体には刺さってないから怪我は無かった。
32
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:11:17 ID:OEmQt5eA
善子「なに……なんのつもり? 」
「確実に仕留めるために、あなたを動けないようにしたの」
善子「えっ……ほんとだ、やばっ!! 」グイグイ
善子「ゆ、ゆるして……ほんとに、ごめんなさい」
「覚悟!! 」
33
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:11:59 ID:OEmQt5eA
善子「きゃっ……」
善子「……」
善子「……あれ? 」
「ふふっ、冗談よ」
「ちょっとからかってみただけ」ニッコリ
善子「なぁんだ……安心した」ホッ
34
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:13:25 ID:OEmQt5eA
「まさか、目の前に空から人が降ってくるなんてね」
「あなた、ここに来るのは初めて? 」
善子「えぇ、初めてよ」
「初めてか……じゃあ色々と教えないとね」
「この世界は、現実の世界とは違うの」
「ここで話すのもなんだし、街まで行きましょうか」
善子「ありがとう、騎士! 」
騎士「騎士? 」
善子「そ、あなたのことよ」
35
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:14:28 ID:OEmQt5eA
善子「顔も見えないくらいのガチガチの鎧を着てるんだし、まんま騎士よ! 」
騎士「あー、この仮面と鎧には……まぁ、理由があるのよ」
ビュオッ!!
騎士と話していると、白いモヤのようなものが物陰から飛び出してきた。
善子「わぁっ!なに、いきなり!? 」
36
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:15:54 ID:OEmQt5eA
騎士「まずい……!ちょっと、そこの堕天使!! 」
善子「なに!? 」
騎士「今あれと出会うのはマズいから、逃げるわよ!! 」
騎士「私の後に付いてきて!! 」タッタッタッ
善子「えっ、ちょっと急過ぎない!? 」タッタッタッ
深夜の森みたいな暗さだから、あまり騎士と距離を開けすぎると見失ってしまう。
騎士「あの茂みを左に行くわよ!! 」タッタッタッ
善子「はぁ……はぁ……りょーかいっ!! 」タッタッタッ
37
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:17:54 ID:OEmQt5eA
騎士「このまま街まで突っ走りましょうか! 」タッタッタッ
善子「方角はあってるの!? 」タッタッタッ
騎士「多分、大丈夫! 」タッタッタッ
善子「多分!? 」タッタッタッ
騎士「はぁ……はぁ……森を出れば、見渡しがいいから!! 」タッタッタッ
善子「わかった! 」タッタッタッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
38
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:23:44 ID:OEmQt5eA
【星降りの丘】
善子「ぜぇ……ぜぇ……もうあの……白いの……来てないわよ……」
善子「もーだめ……喋れない……ぜぇ……はぁ……」
騎士「ふぅ……」
騎士「……見える?あの場所」
善子「えぇ」
騎士「今私たちがいる場所は、通称"星降りの丘"」
騎士「あそこに見えるのは中心街……通称"セントラル"」
騎士「ここからだと、大体距離は3kmくらいかしら」
39
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:29:06 ID:OEmQt5eA
騎士「さっきの白いのと出くわす前に、早く移動しましょう」
善子「あぁ、さっきの……なにあれ」
騎士「あれは……私たちにもよく分からないわ」
騎士「ただ一つ言えることは、あの白いのは危険であること」
騎士「一応、ゴーストって皆呼んでるから、これから名称はゴーストで通して頂戴」
善子「わかった」
騎士「詳しくは、街についてからね」
善子「そうね、どこかで一息つきたいし」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
40
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:32:28 ID:OEmQt5eA
【セントラル】
ここは中心街、セントラルシティ。夜でも明るく、人も沢山いて活気に溢れている。
ここがゲームの中だとは分からなくなってしまうほど、リアルな街並み。
レンガ作りの家に、街灯はランプ。街にはピエロや鍛冶屋、侍みたいな格好の人もいればごく普通のサラリーマンみたいな人もいる。
全員仮面を付けてるから、ちょっと不気味。
これぞカオス、何なのここの空間は。
41
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:37:11 ID:OEmQt5eA
善子「街は明るいのね」
騎士「まぁ、そうね」
騎士「電気とかは通ってないから、街は炎のランプで照らしてるんだけど」
騎士「なかなか雰囲気あって、良い感じじゃない? 」
善子「確かに、ファンタジーっぽくて良い感じ」
42
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:43:18 ID:OEmQt5eA
騎士「あのカフェで休みましょうか」
善子「あー、私、お金持ってないんだけど……」
騎士「あ、この世界、お金いらないわよ」
善子「? 」
騎士「コーヒーを買うんじゃなくて、コーヒーを思い浮かべるのよ」
善子「どういうこと? 」
騎士「まぁまぁ、とりあえず店内に入りましょう」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
43
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:46:01 ID:OEmQt5eA
【カフェ店内】
窓ガラスが無いから閉鎖的で息が詰まってしまいそう。だけど、ほどよく暖かい照明が、そんな気持ちを忘れさせてくれる。
騎士「ふぅっ……この仮面暑いのよね」カポッ
善子「うわ、めっちゃ美人……」
善子「……あ、そういえば、思い浮かべるってどういうこと? 」
騎士「ここは何でも出来る夢の世界よ」
騎士「ぐぬぬぬ、はぁっ!! 」バッ
善子「わっ、コーヒーが出てきた!! 」
44
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:50:25 ID:OEmQt5eA
騎士「頭に強くコーヒーのイメージを思い浮かべて、出ろ!出ろ!って念じたのよ」
善子「なるほど」
善子 (ココア、出ろ!出ろ〜っ!!)
ボンッ!!
煙と共に、少し大きめのココアが出現した。
善子「ひゃあ、凄い便利」
騎士「カフェとはいっても店員さんはいないわ、雰囲気を味わうために建ててあるだけなの」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
45
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:52:50 ID:OEmQt5eA
騎士「じゃあさっそく本題に入りましょうか」
善子「うん、お願い」
騎士「まずはこの世界について」
騎士「この世界は、ずっと夜なの」
騎士「もちろん朝は来ない」
騎士「月明かりとランプだけ……私、こういう雰囲気好きなのよね」
善子「私もそういうの好き」
46
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:56:55 ID:OEmQt5eA
騎士「そして、コーヒーをボンッと出せた事について説明するわね」
騎士「この世界では、なりたい、作りたい、産み出したい、何でも想像すれば実現することが出来るわ」
騎士「ただし、想像力が足りないとダメみたい」
騎士「私、何度も"空を飛んでみたい"って思ってるんだけど、どうにも想像力が足りないみたいでね」
善子「私のこの姿は、"堕天使になりたい"って思ってたからか」
善子「意識してなくても、無意識で考えてたのかもしれないわね」
騎士「そうね、無意識に思っていたのかもしれない」
47
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/18(日) 23:57:51 ID:OEmQt5eA
騎士「街を歩いてた人達、見たでしょ? 」
騎士「ピエロ、侍、会社員……色んな格好の人がいたじゃない? 」
善子「あぁ、あのカオスな人達ね」
騎士「あれは多分、その人がなりたい姿、なんだと思うの」
騎士「まぁ、多分だけど」
騎士「想像してたことが実現する世界だから、実現したことは想像してたってことになる」
善子「なるほどね」
48
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:05:17 ID:cNx7UIkE
善子「ピエロの格好してる人は、ピエロになりたがってたってこと? 」
騎士「そういうこと」
騎士「自分がピエロになった姿でも考えてたんじゃない? 」
騎士「私は……多分何も考えてなかったから、こっちに来た時は普通の姿だったわ」
騎士「だけど、明らかに身の軽さが違かった」
騎士「現実の世界よりも、私は強い」
騎士「だから、強い人になりたかった……のだと思う」
49
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:05:49 ID:cNx7UIkE
「キャーーッ!! 」
騎士「なに!? 」
善子「悲鳴!? 」
騎士からこの世界についての説明を受けていると、外から悲鳴が聞こえてきた。
騎士「行ってみましょう!! 」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
50
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:06:39 ID:cNx7UIkE
【外】
騎士「どうかしたの!? 」
モブ「ゴーストが、あの子を食べちゃったのよ!! 」
急いで左を見ると、白いモヤモヤとしたものに包まれている人がいた。
騎士「ゴースト……!! 」
善子「助けないと!! 」
騎士「待って、近づかない方がいいわ! 」
騎士「早くカフェに戻るわよ!! 」
騎士「近づくと、私たちまで危険よ! 」
善子「でも……」
騎士「お願い、せっかく仲良くなった人を、失いたくないから……」
51
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:07:12 ID:cNx7UIkE
ゴーストに包まれた人は、完全に包まれて姿が見えなくなっている。
しばらくすると、ゴーストはその人を包んだまま、尾を引きながら空へと昇っていった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
52
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:07:44 ID:cNx7UIkE
【カフェ店内】
騎士「ゴーストは実態のない、白いモヤモヤした煙みたいなもの」
騎士「どういうわけか、人間を見つけると、取り込んでしまう」
善子「取り込む!? 」
騎士「えぇ、飲み込まれる……と言ってもおかしくはないわね」
騎士「身体中の穴という穴から、体内に入むて、人間をゴーストが包みこんでしまう」
53
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:08:35 ID:cNx7UIkE
善子「飲みこまれたらどうなるのよ」
騎士「空に連れ去られるわ」
善子「空に? 」
騎士「昔、目の前で人がゴーストに連れ去られるのを見た事があるんだけど」
騎士「どこにいくんだろう、って目で追っかけてたら」
騎士「空に向かって飛んでいくのが見えて、しばらくしたら見えなくなっちゃってね」
騎士「多分、空にはゴーストたちが住んでるんじゃないかなって思う」
54
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:09:06 ID:cNx7UIkE
騎士「空を飛んで、ゴーストに連れ去られてる人を途中で助けられたらなぁとは思うんだけど」
騎士「さっき言ったように、想像力が足りないみたいなのよ」
騎士「あなた、飛べたりしない? 」
騎士「私の夢を代わりに叶えて欲しいんだけど」
善子「嫌よ、危険と分かってるゴーストに近づくなんて」
善子「それに、飛べるか分からないし」
騎士「じゃあ、今ここで試してみてよ」
善子「えっ……まぁ、うん、分かった」
55
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:10:33 ID:cNx7UIkE
善子 (飛べる!飛べる!!飛べるーっ!!! )
善子「……」シーン
善子「無理ね、堕天使だから翼が折れてるんだし」
騎士「じゃあ天使に戻ってよ」
善子「悪いけど、ごめんなさいね」
善子「私は、天使には、なれないの」
騎士「……よく分からないけど、なれないなら仕方ないわね」
56
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:11:07 ID:cNx7UIkE
騎士「……話は戻るけど」
騎士「皆が仮面をつけている理由のこと」
善子「あぁ、それ、ずっと気になってた」
騎士「ゴーストは身体中の穴という穴から体内に入ってくるって言ったの覚えてる? 」
善子「えぇ」
騎士「素顔でいると、耳と鼻、口からゴーストが侵入してくるってわけ」
騎士「少しでも穴を隠すため、仮面をかぶってるのよ」
善子「えぇっ!……じゃあ私、ずっと危ない状態だったってこと? 」
騎士「ごめん! 」
善子「もぉ〜早く言ってよ〜!! 」
57
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:11:54 ID:cNx7UIkE
善子「仮面をかぶれば良いのよね」
善子 (仮面……出ろ!出ろ!!出ろーっ!! )
ボンッ!!
真っ黒に、金色の装飾の付いた仮面が出てきた。めっっっっちゃかっこいい、ナイスデザイン!
自分の想像力を自画自賛したい。
善子「おぉー!想像してた感じのかっこいいやつ!! 」
騎士「外出する時は、仮面をつけてね」
善子「はーい」
58
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:12:27 ID:cNx7UIkE
騎士「はい、これで一通り説明はおしまい! 」
善子「チュートリアルなが……あー、頭痛いわ」
騎士「あなた、これからどうするの? 」
善子「探し人頼まれてるから、その人探すつもり」
善子「長い髪で、清楚な感じで、物腰柔らかな感じのお姫様から……」
騎士「!! 」
59
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:13:03 ID:cNx7UIkE
騎士「もしかして……その人、私が探している人物かもしれない……!! 」
騎士「その人の名前は!? 」
善子「あ……聞いてなかった」
善子「とりあえず、姫って呼んでたけど」
騎士「どこ!どこにいたの!? 」
善子「わ、分からないわ……」
善子「ただ、なんか凄く明るい空間にいたわよ」
騎士「明るい空間……!? 」
騎士「ここら辺全部真っ暗なんだけど……そんな場所あったかしら……? 」
60
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:13:34 ID:cNx7UIkE
善子「姫、そこで待ってるって言ってたわ」
騎士「私、その場所探さなくちゃ!! 」
善子「まさか姫の探し人があんただったなんて……今日は私、運が良いわね」
善子「じゃあ、あなたを姫のところまで導いたら、ゲームクリアって感じね……」
61
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:14:06 ID:cNx7UIkE
善子「梨子も、どこかにいると良いな……」
私よりも先にこの世界から出ていったかもしれない、あんまり考えたくはないけど、可能性は高い。
せっかく鞠莉が用意してくれた機会だから、最後のデート失敗、なんて無駄にはしたくない。
私と騎士は、姫のいるところを目指して、歩みを進めた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
62
:
◆32r/eU7DO2
:2018/03/19(月) 00:14:49 ID:cNx7UIkE
今回はここまでです。
63
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/03/19(月) 00:16:14 ID:8RLmwNdQ
乙
64
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 16:52:25 ID:TOGHUXFs
姫が居たのは真っ白い空間だった。
だけどこの世界では電気なんて無いし、明かりは炎のランプだけ。
この夜の世界のどこかに、あの真っ白い場所があるはず……
65
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 16:53:23 ID:TOGHUXFs
騎士「ねぇ、ひとつ質問があるんだけど」
善子「ん、なに? 」
騎士「あなた、どこかから落ちてきたわよね」
善子「そうね……あっ」
善子「私が最初に落ちてきた森の近くに、姫がいるかもしれないってこと? 」
騎士「えぇ、そういうことよ」
騎士「私の勘が正しければ、あの森の上に何かの建物が建ってるんだと思う」
騎士「ツリーハウスみたいにね」
騎士「その中では強い想像力のある人がいて、光を生み出してるんじゃないかしら」
善子「なるほどね、それは可能性がありそうだわ」
66
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 16:54:00 ID:TOGHUXFs
騎士「じゃあとりあえずこのセントラルから星降りの丘へ行きましょうか」
善子「そうね、仮面も被ったから安全に行けそう」
騎士「あ、仮面被っても安心しないでね? 」
騎士「仮面を被っても、パッと見、穴が無いから襲われにくくなるだけ」
騎士「仮面を被っててもゴーストたちが襲ってくる時があるわ」
善子「えぇ……」
騎士「だから、私は武器を持ってるの」
騎士「ゴーストたちは倒すことが出来ないけど、振り払えはするから」
善子「じゃあ私も何か武器が欲しいところね」
騎士「想像したら出せるわよ」
善子「あ、そっか」
67
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 16:54:36 ID:TOGHUXFs
善子「んー、ゴーストか……じゃあ、あれね」
善子「出ろ出ろ出ろーっ!! 」
ボンッ!
手持ちサイズの小型掃除機が現れた。
善子「やっぱり、ゴースト退治といえば掃除機よね! 」
善子「吸い込んじゃえばこっちのもんよ」ポンポン
騎士「それじゃあ、向かいましょうか」スタスタ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
68
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 16:56:04 ID:TOGHUXFs
【セントラル:正面ゲート付近】
正面ゲートの柱の前に、うずくまっている人影があった。
善子「ん、あれって……梨子!? 」
善子「えっ、梨子じゃない?あれ」タッタッタッ
善子「おーい!梨子ーっ!! 」タッタッタッ
梨子「……? 」
梨子「えっ、もしかして善子ちゃん!? 」
善子「あー……うん」スタスタ
善子「ゲームから先に出ちゃったのかと思ってたから、会えて嬉しいわ」
69
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 16:57:45 ID:TOGHUXFs
騎士「堕天使ちゃんの知り合い? 」
善子「ん、まぁそんな感じ」
善子「って、堕天使ちゃんって呼ばないでよ」
善子「ヨハネでいいからさ、もう仲良くなれたんだし、呼び捨てで良いわよ」
騎士「ヨハネ……えぇ、わかったわ」
70
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:00:55 ID:TOGHUXFs
騎士「で、話は戻るけど、そこのあなた」
梨子「は、はい? 」ビクッ
騎士「名前は何ていうの? 」
梨子「梨子です、桜内梨子……」
善子「こんなゴツイ格好してるけど、優しい人だから心配して」
梨子「良かった……」ホッ
騎士「梨子、よろしくね」スッ
梨子「はい! 」ギュッ
71
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:01:57 ID:TOGHUXFs
善子「そういえば梨子、仮面つけてないわね」
梨子「そういえば皆、仮面つけてて不思議だなって思ってました」
梨子「どうして仮面をつけているの? 」
善子「あー、これはカクカクシカジカ……」
梨子「うん、わかった」
善子「梨子、そうぞうりょく、強いわよね? 」
梨子「創造力? 」
善子「あー、合ってる様なもんだけど、漢字が違うかな」
梨子「あ、想像力だね」
72
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:03:09 ID:TOGHUXFs
梨子「曲作りで行き詰まっちゃうこととかあるし、あんまり強くは無いと思うよ」
善子「この世界では、想像力でカクカクシカジカ……」
梨子「へぇ、すごい……じゃあ、やってみようかな」
梨子(仮面、出て……お願いします! )
ボワンッ!
可愛らしい桜色の仮面が現れた。
梨子「んー、ちょっとイメージしてたのと違うかも」
梨子「もうちょっと、ここにお花の刺繍が入ってる感じなんだけど」
善子「もっかいやってみたら? 」
梨子「うん」
73
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:03:47 ID:TOGHUXFs
梨子(お願い……出て!! )
ボワンッ!
さっきと同じものが出てきた。
騎士「想像力が微妙に足りなかったみたいね」
梨子「そんなぁ……」
善子「まぁ仮面被らないより、被った方がマシだから」
梨子「うん、妥協する……」スッ
74
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:04:32 ID:TOGHUXFs
善子「今からゲームをクリアするために、騎士と一緒にお姫様探しに行くんだけど」
善子「梨子も一緒に行かない? 」
梨子「うん、一緒に行こうかな」
75
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:16:56 ID:TOGHUXFs
騎士「あなたって、学生? 」
梨子「はい、そうですけど……何か? 」
騎士「あっ、いや……制服可愛いなぁ、どこの学校だろうって思って」
梨子「浦の星女学院っていう学校です」
騎士(……学生になりたいから学生服来てるわけじゃなさそうね)
騎士(この子のなりたい姿は何? )
騎士(私みたいな、外見では分からない変化があるのかも)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
76
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:17:53 ID:TOGHUXFs
【星降りの丘】
梨子「凄く物騒な感じだね」
善子「あれ、梨子はここに来たこと無いの? 」
梨子「え、うん」
善子「あれ……? 」
騎士「ん、二人ともどうかしたの? 」
善子「いや、ちょっと気になることがあって」
77
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:18:51 ID:TOGHUXFs
善子「騎士と梨子は、この世界のどこで目覚めたの? 」
騎士「私はセントラルから少し離れた川沿いよ」
梨子「私は、セントラル?って街の入口のところだよ」
善子「分かった、教えてくれてありがとね」
善子「みんなあの真っ白な空間で目覚めるってわけじゃないのか……」
善子「ゲーム開始地点はランダムみたいね」
善子「じゃあ私は真っ先に姫に会えてラッキーだったって感じかしら」
騎士「もう行っても大丈夫かしら」
善子「あ、ごめんなさい、大丈夫よ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
78
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:19:34 ID:TOGHUXFs
【星降りの丘:森】
相変わらず不穏な空気感がする。木が魔物ってことも考えておかなくちゃいけないわね。
善子「梨子、武器は持った? 」
梨子「うん、持ったよ」ギュッ
梨子の武器は、うちわ。ゴーストが煙のようなものだから、風で飛ばせるんじゃないかと考えたらしい。
79
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:20:10 ID:TOGHUXFs
騎士「ヨハネが落ちてきたのって、この森のどこ? 」
善子「えぇ、そんなの覚えてないわよ」
騎士「うーん、まぁ、そうよね」
騎士「手当り次第、探してみましょうか」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
80
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:20:49 ID:TOGHUXFs
騎士(三人が散り散りになったら困るわね……)スタスタ
騎士「ここでバラバラになったら、また会えるか分からないわね」
梨子「えぇっ、それは怖いよ……」
騎士「と、いうわけで」
騎士「はい、これ」
騎士は、スマホを私と梨子に渡してきた。
善子「スマホ? 」
騎士「連絡用よ、離れてもまた電話すれば待ち合わせられる」
騎士「私の想像力にかかれば、携帯電話くらい朝飯前よ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
81
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:21:44 ID:TOGHUXFs
体感三十分くらいかな?歩き続けていると、恐らく私が落ちてきたであろう場所を発見出来た。
黒い羽根が散らかっていたから、完全に私が落ちた痕跡だろう、ってこと。
騎士「この羽根、ヨハネのじゃない? 」ヒョイッ
善子「ちょっと貸して」
騎士「はい」
善子「よい……しょっ!! 」ブチッ
善子「ん、やっぱり今抜いた羽根と同じものに見えるわ」
善子「間違いなくここが、私が落ちてきた場所ね」
騎士「じゃあ、ここの上にきっと建物があるはずね」
82
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:22:27 ID:TOGHUXFs
騎士「二人とも、木に登れる? 」
梨子「あー、私はちょっと……」
善子「私は平気よ」
騎士「じゃあ、ヨハネは私と一緒に登る?」
善子(そっか、プレイヤーの私が一緒に行かないと)
善子(ゲームクリアにならないんじゃ……)
善子(でも、梨子だけをここに置いていくのは危険だし……)
善子「うーん……」
83
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:23:36 ID:TOGHUXFs
善子「あ、じゃあさ」
善子「騎士だけ一回上に行ってきて、建物があるか見てきて欲しいんだけど」
善子「もし建物があったら、私たちのこと呼んで」
善子「どうにかして、あなたの所に行くから」
騎士「?」
騎士「じゃあ最初から私に付いてきたら? 」
善子「まぁまぁ、いいからいいから」
善子「とりあえず、お願い」
騎士だけを先に行かせることで、梨子と二人きりになれると私は考えた。
二人きりの間に、色々想いを伝えなきゃ。
騎士「……分かった、じゃあ行ってくるわね」
84
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:24:19 ID:TOGHUXFs
騎士「よっ」ピョーン
騎士「きゃっ」ズルッ
ドッシーン!!
騎士「いったーい! 」
騎士、あの調子で大丈夫かしら。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
85
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:25:04 ID:TOGHUXFs
騎士が木に登って、姿が見えなくなったのを確認出来た。
よし。
善子「……」
梨子「……」
静寂が怖い。
善子「ね、梨子……あのさ」
梨子「ん? 」
善子「私のことで、怒ってたりする? 」
86
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:25:38 ID:TOGHUXFs
梨子「……」
梨子「ううん、怒ったりなんかしてないよ」
善子「そ、それなら良いんだけど……」
梨子「どうかしたの? 」
善子「えっ!? 」ビクッ
善子「あ、ほら、えっと、あのさ、前にさ、ほら」
善子「こ、告白……したでしょ? 」
善子「……梨子に」
梨子「……うん、そうだね」
87
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:26:14 ID:TOGHUXFs
善子「あれから半年も経っちゃったけど……まだ答え聞いてないからさ」
梨子「答えかぁ……」
梨子「そのことね、ずっと考えてたんだ」
梨子「答えは」
ビュオオオッ!!
善子「ゴースト!? 」
あーもう!なんてタイミングの悪いやつ!梨子の答え気になるじゃない!!
88
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:27:28 ID:TOGHUXFs
善子「掃除機で吸い込んでやるわ! 」
善子「って、何よこの数……」
到底、掃除機では吸うのが間に合わないほどの数。うちわで扇ぐのなんて、もってのほか。
目の前が霧に覆われてるんじゃないかってくらい、大量のゴーストが私たちに向かってきていた。
89
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:28:45 ID:TOGHUXFs
善子「これはまずい……!! 」
善子「梨子!早く逃げましょう!! 」
梨子「えっ!? 」
善子「はやく!! 」ガシッ
梨子「う、うん!! 」ギュッ
私たち二人は、どこか遠くを目指して必死で走った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
90
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:29:36 ID:TOGHUXFs
善子「はぁ……はぁ……!!」タッタッタッ
梨子「……」タッタッタッ
目の前には下り坂があり、ここを走ればもっと速く逃げられると思った。
善子「梨子、あそこ段差あるから気をつけて!! 」タッタッタッ
梨子「はぁ……はぁ……まって」タッタッタッ
91
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:30:30 ID:TOGHUXFs
善子「はっ」ピョンッ
梨子「きゃっ」ズテッ
善子「あっ!! 」パッ
梨子「きゃああああっ!! 」ゴロゴロゴロゴロ
善子「梨子!! 」
梨子がつまずいた衝撃で、手を離してしまった。梨子はゴロゴロと下り坂を転げ落ちてしまう。
走っても追いつけない速度で、梨子は転がり落ちていく。見失わないようにと必死で追いかけるが、ついには見失ってしまった。
善子「このまま走り続ければ、梨子はどこかで止まっているはず!! 」タッタッタッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
92
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:31:06 ID:TOGHUXFs
下り坂の先には、崖があった。
善子「まさか……ここに梨子が落ちた……!? 」
善子「はぁ……はぁ……どうしよ……!! 」
善子「……」チラッ
崖を覗いてみるが、真っ暗で底は見えない。
善子「ひっ……」ゾクッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
93
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:31:46 ID:TOGHUXFs
その頃、騎士は……
騎士「登ったはいいけど……何も無いわね」
騎士「見渡す限り木の海か……」
騎士「じゃあヨハネが落ちてきたのは、どこから? 」
騎士「空間に穴が空いて、そこから落ちてきたとでもいうの……? 」
騎士「……まさかね」
騎士「そんな簡単に、空間にポンポン穴が出現してたら、セントラルに穴が出現してもおかしくないし」
騎士「セントラルで穴が出現すれば、それこそ話題になるから、私の耳に入ってくるはず」
騎士「どうしましょ……全く分からない」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
94
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:32:31 ID:TOGHUXFs
【星降りの丘:谷底】
梨子「いてて……」
梨子「ゲームの中だから、死ななかったのかな」
梨子「善子ちゃんとはぐれちゃった……どうしよう」
梨子「ここは、谷底……だよね」
梨子「ここから出られるのかなぁ……」
梨子「こんなに高い壁を登るなんて、無理だよ……」
梨子「あっ、そういえば仮面も割れてるし……」
梨子「あーもう、どうしよう」
95
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:33:08 ID:TOGHUXFs
梨子「まずは、仮面から作り直そうかな」
梨子「えいっ」
ボワンッ!!
梨子「やった、今度はイメージ通りに出来た!! 」
梨子「この世界に来て想像力が養われた……ってことかな、あはは」
96
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:34:12 ID:TOGHUXFs
「やぁっ!!」
梨子「わっ!! 」ビクッ
梨子「誰……!? 」
梨子「あ、あそこに人がいる……!! 」
梨子「遠すぎてよく分からないけど……持ってるのは剣……かな? 」
梨子「ん……よく見たら、ゴーストと戦ってる!? 」
97
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:35:00 ID:TOGHUXFs
???「……」ブンッ
謎の人物は、多くのゴーストたちを相手に一人で戦っていた。
???「はぁっ!! 」ブンッ
梨子「あの人、強い……!! 」
梨子「あっ、どこかに行くのかな……歩き出した」
梨子「バレないように、付いていこうかな」ササッ
梨子「あの人の通った道なら、ゴーストも居ないはずだもんね」コソコソ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
98
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:35:44 ID:TOGHUXFs
【浦の星女学院:部室】
練習がひと通り終わり、各メンバーは帰宅しようとしていた。
千歌「ねぇ鞠莉ちゃん、梨子ちゃん達ホントに今ゲームの中に入ってるのー? 」
鞠莉「そうよ、二人で今は曲作りのアイデア探しをしてるはずよ」
曜「おーい、梨子ちゃーん、起きてるー? 」ツンツン
梨子「……」スヤスヤ
曜「熟睡中、だね」
ルビィ「善子ちゃん、ゲーム得意だから、すぐにクリア出来そうだね」
ダイヤ「こんな機械で、ゲームの中に入れる時代になったんですのね」
99
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:36:21 ID:TOGHUXFs
果南「さ、もう日も暮れてきたし、帰ろっか」
花丸「善子ちゃん達はどうするの? 」
鞠莉「オゥ、その事なら心配いりませーん! 」
鞠莉「オハラグループ自慢の、セキリュティシステムがあるもの」
鞠莉「この部屋は、厳重に警備されているわ!! 」
ダイヤ「じゃあつまり、この二人を浦の星に置いていくって事ですか? 」
鞠莉「ええ、そういうこと」
果南「大丈夫なの? 」
鞠莉「二人とも家族に許可取ってるみたいだから、心配はご無用♪」
100
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:37:05 ID:TOGHUXFs
鞠莉「曲作りに集中しやすいように、私たちは早く帰りましょ? 」
花丸「善子ちゃんたち、心配ずら……」
果南「まぁでも、私達もそろそろ帰らないと、家族に心配かけちゃうよ」
果南「私たちは許可取ってないんだし」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
101
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:37:53 ID:TOGHUXFs
【正門】
ダイヤ「あ、ルビィ」
ダイヤ「忘れ物したから、取りに行ってくるわね」
ルビィ「うん」
ダイヤ「一緒に行く? 」
ルビィ「うん、行く! 」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
102
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:41:54 ID:TOGHUXFs
【部室】
ダイヤ「さて、忘れ物も取ったし帰りま……」
ダイヤ「ルビィ、どうかしたの? 」
ルビィ「……あの機械、凄いね」
ダイヤ「そうですわね、幼いの頃には、こんなもの出来てるだなんて想像も出来なかったのに」
ルビィ「ゲームの中かぁ、楽しそうだなぁ〜」
ダイヤ「ふふ、昔二人でたーっくさんやったもんね」ニコッ
103
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:42:36 ID:TOGHUXFs
ダイヤ「一つだけヘルメットの予備が見えますわね」
ダイヤ「確か、鞠莉さんがプレイする予定うんぬん言ってたっけ……」
ルビィ「ちょっとだけ、やってみたいな……」
ダイヤ「善子さんと梨子さんの邪魔にならない程度なら、プレイしても構わないですわよね……? 」
ダイヤ「五分くらいなら、お母様達にも迷惑はかからないはず」
ルビィ「まだ五時四十五分だから、六時までなら……いいよね」
ダイヤ「……」ゴクリ
ルビィ「……」ゴクリ
104
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:43:36 ID:TOGHUXFs
ダイヤ「じゃあ、ルビィがプレイする前に、お姉ちゃんが体験してもいい? 」
ルビィ「うん! 」
ダイヤ「あまりにも破廉恥だったり、グロテスクだったりしないか、確かめてくるわね」
ダイヤ「これを……こう、被るのかしら」カポッ
105
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:44:12 ID:TOGHUXFs
ルビィ「被ったら、横のボタン押したらゲームスタートって説明書に書いてあるよ」
ダイヤ「ここ、ですか? 」カチッ
ビリビリッ!!
ダイヤ「……」スヤァ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
106
:
◆32r/eU7DO2
:2018/04/06(金) 17:44:44 ID:TOGHUXFs
今回はここまでです!
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