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少女「私を忘れないで」

322以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/01(火) 10:17:24 ID:KVU65PgA
それからどれほどの時間が過ぎたのだろうか。
少女さんの温もりがふっと消えて、彼女は俺の腕をすり抜けた。


少女「……男くん…………」

男「気持ち、落ち着いた?」

少女「……うん。昨日も話したけど、私、分かっていたんです」

男「……」

少女「首吊り自殺をして助かるわけがないって。意識が戻っても、以前の生活を取り戻すことは出来ないって――」

少女「そう、分かっていたんです」

男「ごめん、俺が期待させたから……」

少女「ううん、男くんは悪くないよ。みんなが私の命を諦めていなくて、だから私も生きていたいと思ったの。奇跡を信じてみようかなって思ったの」

少女「自殺をした私がそう思えたことは、とても素敵なことだと思う。だから、ありがとう。私に生きていたいと思わせてくれて――」


少女さんは涙を拭くと、頬を緩めて微笑んだ。
それはまるで、憑き物が落ちたかのような表情だった。
そして、そのことが逆に俺の心を不安にさせた。


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