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提督「艦娘殺処分計画!?」
371
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:05:36 ID:h9Fa00aY
武蔵「…それで、提督はここで何を?」
佐世保提督「…海を見ていた」
武蔵「海…」
佐世保提督「ああ。そうだ…ついこの間まで、俺が深海棲艦と戦っていた海だ」
武蔵「…」
佐世保提督「…どうだ、この展望台から見える景色は」
武蔵「ああ…素晴らしいな。まさに港町じゃないか」
佐世保提督「足元には佐世保の市街地が広がってて、その向こうに広がるのが…海だ」
佐世保提督「…俺の乗っていたイージス艦も、あの海で沈められた」
武蔵「…」
372
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:07:55 ID:h9Fa00aY
佐世保提督「…どうだ、佐世保の街は」
武蔵「…穏やかな街だな。少しづつ知って、好きになっていくよ」
佐世保提督「…本当に好きになれそうか?」
武蔵「…どういう意味だ?」
佐世保提督「…あれを見ろ」
武蔵「…」
佐世保提督「あれが俺たちの佐世保鎮守府だ。その横にあるのが…アメリカ海軍佐世保基地だ。もっとも、深海棲艦との戦争が始まってからは大人しくしてるようだけどな」
武蔵「…っ」
佐世保提督「…笑ってくれ。かつて鋼鉄だった武蔵が沈んだあの戦争で、日本は負けた。爾来この国は、実質的にアメリカの保護下にある」
武蔵「…」
373
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:08:31 ID:h9Fa00aY
佐世保提督「俺たち日本海軍は、この国を守ることが出来なかったんだよ。そして今、この国は新たな外患に直面している」
佐世保提督「情けないぜ。もし二度目の敗戦を迎えることになってしまえば、俺たち軍将校は、いったい何のために…」
武蔵「えい」パチン
佐世保提督「いてぇ!人が話してるときになんでデコピンしやがる!」
武蔵「がっかりさせないでくれ。私を使いこなそうとしている男が、そんな女々しい事を言うんじゃない」
佐世保提督「武蔵…」
武蔵「…そうか。大日本帝国は滅びたんだな」
佐世保提督「…そうだ」
武蔵「……………だが、貴様はこうして生きて、再び身体を与えられたこの私と今言葉を交わしている」
佐世保提督「…」
武蔵「…帝国は滅んでも、人びとは生き残った。そして街も生まれ変わった。…それでいいじゃないか。軍が敗北しても、国が喪われていないのであれば、それは敗北じゃない」
佐世保提督「………」
武蔵「…そして、その蘇った日本を守るのが、提督と私たち艦娘の役目だ。そうだろう?」
佐世保提督「…!」
374
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:09:01 ID:h9Fa00aY
武蔵「…私より先に着任した艦娘たちはどうだ?うまく戦えているか?」
佐世保提督「あ、ああ…敵を押し返すところまではいってないが…少なくとも、深海棲艦に対する力としては、通常艦艇よりもはるかに…」
武蔵「そうか。つまり私たちは提督の希望になり得る、ということだな?」ニコッ
佐世保提督「…!」ドキッ
武蔵「安心しろ。私が来た以上、もう深海棲艦どもの好きにはさせない。この街を、この国を守り切ってみせるさ。これでも私は、かつての聯合艦隊旗艦だからな」
佐世保提督「…そうだったな。そうだ、まだ俺たちは負けたわけじゃないもんな…!」
武蔵「ああ。これから共にこの国の未来のために戦おう。よろしくな、提督!」
佐世保提督「…おう!」
375
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:09:58 ID:h9Fa00aY
横須賀鎮守府 講堂
金剛「…また陽が昇ってきたデス」
白雪「暑いよう…」ハァハァ
武蔵「“提督”…」
武蔵「…再び、貴様と生きて会うことができるんだろうか」
武蔵「…」
武蔵「…しょせんは、儚い夢だったのか?」
武蔵「くっ…とんだお笑い草だったのか?…どうなんだろうな。なぁまるゆ…」
まるゆ「…あきらめちゃいけません、武蔵さん」
まるゆ「必ず、チャンスはありますから…!」
武蔵「チャンス、か……」
376
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:12:16 ID:h9Fa00aY
深海
戦姫『…いよいよ、最後の大攻勢をかける時が来た』
ル級『…最後、だなんておっしゃらないでください』
戦姫『だが…恐らく結果としてはそうなるだろう。兵力も燃料弾薬も尽きかけている私たちに、それ以上の…それ以外の結果が待っているとは思えない』
ル級『…』
戦姫『それでも、これは命令だ。私たちに与えられた…ラスト・オーダーだ』
戦姫『それで、私たちの攻撃目標だが…』
リ級『…提案してもいいですか?』
戦姫『…聞こうか』
リ級『敵ヨコスカ鎮守府を完膚なきまでに破壊しましょう』
戦姫『…ヨコスカに戦力を集中させるのか?』
リ級『そうです。私たちの総戦力では敵の有力鎮守府全てをつぶすことは出来ませんが、総力を結集して一つの敵に当たれば、刺し違えてもこれを壊滅させることができます…!』
ル級『それは貴女の私怨でしょう!?作戦の場にそんな…』
戦姫『…待て』スッ
ル級『…』
377
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:13:37 ID:h9Fa00aY
戦姫『…なるほど。確かにそうだな。発想の発端はどうでもいい。確かにその考え方は合理的ではある』
戦姫『…だが、もしあの娘が捕虜として生きていた場合、巻き添えになるかもしれないぞ。それは覚悟の上なのか?』
リ級『…』
リ級『…どのみち、死にゆく定めの私たちなら、できるだけ同じ時間と場所で消えたいと思います』
リ級『…私、狂ってますか?』
戦姫『…』
戦姫『…それでいい。お前の狂気は、私たちがただの兵器ではなかったことを再確認させてくれた』
ル級『戦姫さま…!』
戦姫『…いいじゃないか。最期くらい、自分たちの狂気で踊りあかしてから消えていこう。自分たちの選んだ時間に、自分たちの選んだ戦場で…!!!』
ル級『自分たちの選んだ時間…?待ってください、“上”は今回の攻勢の予定日時をしばらく延期するという命令通信を…』
リ級『…死にゆく私たちに誰が懲罰を与えるっていうの?死に際すら選べない死など誰が甘受してやるっていうの??』
ル級『………』
戦姫『今さら作戦発動日時の変更に従うつもりはない。これは私たちの最初で最後の意地のひとつだ。ル級、“上”への決別電文は以下の通りにしてくれないか?』
ル級『?』
戦姫『 Fuck you 』p
378
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:16:36 ID:h9Fa00aY
横須賀鎮守府 ゲート外
陸戦隊員6「…暑くなってきたなぁ」
婆ちゃん「ちょっと兵隊さん」ヨタヨタ
陸戦隊員6「ん?お婆さん、どうしました?」
婆ちゃん「あたしゃ時々ここを散歩してるんだけどね」
婆ちゃん「どうもここ2・3日、艦娘さんたちを見かけないねぇ」
陸戦隊員6「…」ギクッ
婆ちゃん「そういや顔なじみの憲兵さんもいないねぇ。替わりに怖そうな銃を持った兵隊さんがここに立つようになったじゃないか」
婆ちゃん「…ねぇ。艦娘さんたちゃどこに行ったの?」
陸戦隊員6「…!!!」ドキッ
379
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:17:11 ID:h9Fa00aY
陸戦隊員6「そ、それはねお婆さん…近々大きな作戦があるから、その準備のためだよ」
婆ちゃん「それにしたってまったく姿を見ないというのはおかしいさね」
婆ちゃん「見たところ鎮守府の中にあんたたち以外に誰もいないじゃないか。もちろん海の上にも」
陸戦隊員6「そ、そりゃ軍事機密の保持のためにね…」
婆ちゃん「…あんた、さっきあたしにもうすぐ大きな作戦が云々って言ったくせに、軍事機密も何もあったもんかね」
陸戦隊員6「…」ダラダラ
婆ちゃん「……あんた達、何か隠してるんじゃないかね?」ジロリ
陸戦隊員6「…」ダラダラダラダラ
380
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:18:08 ID:h9Fa00aY
陸戦隊員2「…というやり取りがあったそうです」
副官「…」
陸戦隊員6「も、申し訳ありません…」
副官「…その高齢者はどうした?」
陸戦隊員6「そ、それが…その後突然咳き込みだしたところを、近くの通所介護施設の職員が見つけて引き取っていきました…デイサービスの利用者だそうです…」
副官「…そうか」
陸戦隊員2「しかしそれにしても気の効かん奴だな。艦娘どもは研修ですとか慰安旅行に行ってますとか、上手い返しようがあっただろうが!?」
陸戦隊員6「…」シュン
副官「…困った事態になったな」
陸戦隊員2「まさか周辺の住民が騒ぎ出すとなれば、事は面倒です」
陸戦隊員2「その婆さんの口から騒ぎが広がれば…我々のミッションも遂行が困難になります」
副官「うむ…」
陸戦隊員2「それこそあとは、その婆さんの口を封じるしか…」
陸戦隊員6「!!」
副官「…兵曹長」
381
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:18:56 ID:h9Fa00aY
陸戦隊員2「は」
副官「冗談でも馬鹿なことを言うな。我々は誰のための軍隊だと思っている?」ギロ
陸戦隊員2「…申し訳ありません。口が過ぎました」
陸戦隊員6「…」ホッ
副官「…過ぎたことは仕方ない。艦娘の拘束を緩めよう。日中だけでも敷地内だけは出歩かせてやっておいたがいいな」
陸戦隊員2「よろしいんですか?」
副官「ただフェンスには決して近づけるなよ。もちろん出撃施設にもだ。いいな?この件は大尉…中隊長にも伝えておけ」
陸戦隊員2・6「はっ!」
382
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/10(日) 11:22:04 ID:h9Fa00aY
とりあえずここまで
383
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/11(木) 16:03:47 ID:KoQhacbk
支援
384
:
1
:2016/08/15(月) 21:55:10 ID:x9ztnKdM
こんばんは
385
:
1
:2016/08/15(月) 21:55:46 ID:x9ztnKdM
大本営海軍部
海相「…元帥閣下。おはようございます」
元帥「…君か」
海相「…寝覚めの悪いお顔をされていますな」
元帥「…悪い夢を見ていただけだ。それに、今の君の顔もとても朝の爽やかさからは程遠いぞ」
海相「…起きながら見る悪夢ほど忌むべきものはありません。本来であれば、今日が決号作戦の発動日だったのですから、なおさら…」」
元帥「…」
海相「…もう時間がありません」
元帥「…」
海相「あちこちから、決号作戦を延期などせずさっさと実行しろと突き上げが始まってます」
元帥「…」
海相「各省庁はともかく、経団連や族議員どもまで騒ぎ立てている始末です」
元帥「…」
386
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 21:56:51 ID:x9ztnKdM
海相「…一部のマスコミも騒ぎ始めています。“大本営発表はいつの時代も大本営発表だ”と」
元帥「…」
海相「…要するに、我が軍が優勢だという近況そのものが嘘ではないかと国民が訝しり始めているのです」
元帥「…」
海相「ともあれ、このままの状況が続けば、せっかく回復した経済がまた減速してしまいます。決号の発動スケジュールそのものが、精密な経済復興計画の精工なパーツの一部だったのですから…」
海相「無為に時が過ぎてしまい、悪くすれば、この戦争の意義そのものが…」
元帥「海相」
元帥「…君の言いたいことは分かった。その通りだ。確かに、これ以上我々は時間と言う血液を無駄に流すことは出来ない」
海相「…」
元帥「…だが君も現在の状況は知っているだろう。横須賀鎮守府で尋常ならざる事態が起きていることを」
海相「…ええ」
元帥「……全てが白日の下に漏れ出してしまえば、政権は確実に転覆する。政権だけではない。国家そのものがだ」
海相「…」
海相「閣下、どうにかならないでしょうか。我々に必要なのは、速やかな決号作戦の発動です。私の力でも、これ以上は時を稼げません。決号の発動さえ可能であれば…」
元帥「…」
387
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 21:57:33 ID:x9ztnKdM
元帥「…まだ、やりようはあるよ」
海相「え…?」
元帥「…私にあと少し、時間をくれ。たとえ規模が著しく小さくなろうと、決号作戦は必ず発動してみせる」
海相「ほ、本当ですか…?」
元帥「ただし、発動に前後して、各鎮守府周辺に対し戒厳令の布告をさせて欲しい。これは私よりむしろ君のほうの仕事となる。頼めるかな?」
海相「戒厳令…ですか」
元帥「そうだ。最悪の場合、それで全てを闇の中に葬るための準備だ」
海相「分かりました。私も肚をくくりましょう」
元帥「…済まない」
海相「…そう言わないでください」
元帥「…約束は守る。海相、我々はこの聖戦を完遂せねばならんのだ」
海相「ええ、かつて我々の先輩たちが大東亜戦争で完遂できなかった目的のために…!」
元帥「………大東亜戦争、か」
海相「…」
元帥「………私は、決して愚かな先達どもの轍は踏まん!」
388
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:07:51 ID:x9ztnKdM
そのころ 横須賀鎮守府 敷地内
榛名「ふぅ…」ノビー
金剛「…どういう風の吹き回しなんデスかね。外の空気を吸う程度であれば屋外に出ても構わない、って」
吹雪(…軍令部内で何かあったのかな。これが私たちにとっていい方向に向かってる…と考えたいけど…)
睦月「まぁ、とりあえずは風通しのいい日陰に行こうよ」
夕立「お風呂に入りたいっぽい…」
まるゆ「…」
まるゆ(表通り沿いのフェンス際に歩哨の陸戦隊員が等間隔に数人…)
まるゆ(武装は89式小銃とシグサワー拳銃ですね…)
まるゆ(…もともと、これだけの広さの対象を制圧するにしては、兵員数が少ないように思えたけど…)
まるゆ(…どこかに、絶対に警備の隙があるよね)
まるゆ(せっかく屋外に出ることができるようになったんだから、何としてもこのチャンスを生かさなきゃ…!)キョロキョロ
島風「…」キョロキョロ
まるゆ(あれは…確か、高速駆逐艦の…)
まるゆ(…何してるんだろう?)
389
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:13:47 ID:x9ztnKdM
軍令部 留置室
提督「くそ…暑い…!」パタパタ
参謀「また今日もこの蒸し風呂か…」ハァハァ
ガチャ
衛兵A「出ろ」ジャキ
提督「な…?」
参謀「…いつまで我々をこうして拘束するつもりだ?」
提督「まさか、今から口封じを…!?」
衛兵A「黙って部屋から出ろ。歩け」
390
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:14:36 ID:x9ztnKdM
衛兵A「…この部屋だ。入れ」ガチャ
提督「鏡の前に…椅子が二つだと?」
参謀「…」
衛兵A「両手を後ろ手に組んで椅子に座れ」
提督「…」スッ
参謀「…」スッ
ガシャン!ガチャ!
提督「あ!ちくしょう、足が!」
参謀「…ご丁寧なことだな。両足まで拘束するとは…」
衛兵A「そのまま座って待ってろ」
提督「待ってろだと、何を…」
バタン
提督「おい!待て!」
参謀「…言われたとおり待つしかなさそうだな」ギリッ
391
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:19:45 ID:x9ztnKdM
提督「いったい何なんですか、あの鏡は…?身動きできない俺たち自身を眺めてろってことですかね?」
参謀「…あれは鏡じゃないかもしれないぞ」
提督「え…?」
参謀「見ろ。両側にスピーカーが埋め込まれてる」
提督「ってことは…あれは何かの画面…??」
フッ
提督「あ!明かりが消えた!!」
392
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:20:55 ID:x9ztnKdM
『大和、木曾。そこへ座れ』
提督「あ!スクリーンに大和と木曾が!!」
参謀「…元帥もか」
提督「大和っ!」
参謀「木曾…!」
提督「大和、俺だっ!おーい!聞こえないのか!?」
参謀「…無駄だ、もうよせ」
提督「…」ハァハァ
参謀「あれは…恐らく…マジックミラー、だ。隣の部屋の様子がここから見えるようになっているってわけだ。向こうからこちらは見えないようだが…」
提督「マジックミラー!?」
元帥『戦艦大和、そして重雷装巡洋艦の木曾、か』
大和『…はい』
木曾『…』
提督「こ、声が…向こうの声が聞こえる…」
参謀「…音声も一方通行、という訳か。一体何を聞かせるつもりだ…!?」
393
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:26:47 ID:x9ztnKdM
大和「…元帥。私たちはこれからどうなるんですか?提督や参謀閣下はどうなっているんですか!?」
木曾「…天龍のやつもどこにいるんだよ」
元帥「天龍は付き添いの憲兵と一緒だ。心配はいらん。…それより、お前たちに聞きたいことがある」
元帥「お前たちは、おのおの自分の提督を助けたいとは思わんか?」
大和「…もちろんです。提督のためなら大和は…」
木曾「…俺もです」
元帥「…」フゥ
元帥「…お前たちには隠し立てしても始まらんだろうな。よし、これから真実を話す」
大和「し、真実…?」
元帥「ああ、その話を聞き、なおかつお前自身の敬愛する提督をどうしても救いたいというのなら…私はそれに応えてやってもいい」
木曾「…?」
元帥「なぜこの戦争がはじまったのか。そして、なぜお前たち艦娘が生み出されたか…」
元帥「…そして、今後お前たちがどうなるか、だ」
394
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:27:49 ID:x9ztnKdM
元帥「今からおよそ150年前、極東アジアの小国が近代国家としての産声を上げた」
大和・木曾「…???」
元帥「その小国は、内政・外政に大きな危機をいくつも抱えながら、2600年も続いてきた王朝を象徴として、次第に国家としての体裁を整え、数度の戦争を乗り越えて成長してきた」
大和・木曾「…」
元帥「…が、その国家自らの成長が自らの首を絞めることになろうとは誰が想像しただろうか」
元帥「小国は近代国として、国家経済を国際貿易の場にも広げることとなり、それは国家の経済規模を国土の倍近くにまで広げた」
元帥「そして、国際貿易による経済規模の拡大によって賄われる分の人口が、当然に増加した」
元帥「ところが…その国際経済がある木曜日に…はるか海の向こうで、突如として破たんした。国土経済だけで賄うには、国民全員を食べさせる力は小国にはなかった」
元帥「世界経済が等しく崩壊していく中、小国は慌てて中国大陸に傀儡国家を作り上げ、急場しのぎの市場を創出し、何とか国家規模の餓死を防いだ」
元帥「…その傀儡国家の権益をめぐり、新たな戦が起こされ…戦は戦を生み、その戦の果てに、大日本帝国は滅亡した」
大和「…」
395
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:30:12 ID:x9ztnKdM
元帥「…大日本帝国だけではない。似たような境遇の国家は当時他にもあった。…ドイツだ」
元帥「総統ヒトラー率いるドイツ国家社会主義労働者党…ナチスは、政権を執るや、先進的な経済政策をいくつも立ち上げ、実行に移した」
元帥「第一次大戦の多額の賠償金と世界恐慌のダブルパンチからドイツ経済を甦らせたのは、間違いなくナチスの功績だ」
元帥「失業率の低下・労働待遇の改善・公衆衛生の向上・新経済秩序の構想…」
元帥「少なくとも、ナチスが政権を獲得した1933年から、ベルリン・オリンピックが行われた1936年のある時期まで、ナチス・ドイツは間違いなく世界最高の福祉国家だったと言えよう」
元帥「だがヒトラーは、…ついに、かの内村鑑三の紹介したところの『デンマルク国の奇跡』を起こすことは出来なかったのだ」
元帥「…結局はナチスも、帳尻合わせのために戦争に突入せざるを得なくなったわけだ。そして狂気に走り、自ら滅亡していった…」
元帥「そして、我が国では、その戦争が終わって生まれた数多の出生者が、今や高齢者となり、近い将来の日本の経済活動を圧迫しようとしている…」
元帥「お前に分かるか?国家が扶養すべき人々が急増していき、それに比例するように経済の弱体化が進んでいる我が日本は、新たな“戦争”を必要としていたのだ」
提督「!!」
参謀「ま…まさか…」
元帥「何を言わんとしているか分かるか?」
大和「…過去の大東亜戦争は、経済…福祉事業としての役割を強く求められていた…ということですか?」
396
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:30:50 ID:x9ztnKdM
元帥「大東亜戦争…か」
元帥「その呼び方は忌むべきだが正しいかもしれんな。さよう、大日本帝国は確かに独自の経済圏の創設を目指していた。それが“大東亜共栄圏”だ」
元帥「これは単に領土獲得の野心によるものではない。世界恐慌後、列強が自国経済をブロック化していく中、日本が生存のためにどうしても必要とした円ブロック経済圏だ」
元帥「その意味で言えば太平洋戦争の戦争目的は決して不確かなものではない。むろん、帝国主義野心が大日本帝国になかったとは到底言い難いし、それでアジア各国に多大な影響を与えたことも否定しえない。善しにしろ悪しにしろ、だ」
元帥「だが…あの戦争で人類は決して開けてはならないパンドラの函を開けてしまった」
元帥「核兵器…の登場だ」
元帥「おおよそ兵器と言うものに人道的なものなどありはしない。だが…」
元帥「核、だけはどう言い繕ってもそこに人道的な存在意義を見出すことは出来ない」
元帥「ヒロシマ・ナガサキを焼いたその非人道的兵器が、皮肉にも東西冷戦という平和を創出したがな」
元帥「その後も兵器は進化を遂げた。クラスター爆弾・バンカーバスター爆弾・BC兵器…挙句の果てには感情を持たないドローンとかいう飛行体に銃を載せ、人殺しをさせる時代だ」
元帥「…戦争の形態が多様化していく今後、また人類間で戦争が起きてしまえば、もはや悲劇は軍民問わず襲い掛かるだろう。テロの戦争化という名の悲劇が否応なく始まるのだ」
大和「っ…」
元帥「…だが、戦争の根幹は変わりはしない。太平洋戦争に限らず、古今東西、戦争というものはただの二者間の憎しみ合いで起こされるような単純なものではなく…」
元帥「戦争という状況そのものが生み出す、経済的な効果を得るために起こされるものだったのだ」
397
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:34:17 ID:x9ztnKdM
元帥「翻って、この戦争前の日本はどうだったか?」
元帥「平成不況からはいつまで経っても抜け出せない。経済市場は縮小する一方だ。大震災の呪縛もまだ解けたわけではない。少子高齢化も進み、もはや経済成長の余地は限りなく小さくなってしまったのだ」
元帥「拡大が見込める市場と言えば我が国ではもはや高齢者福祉しかない。雇用がみこめるのも同じ分野だ」
元帥「…が、明治・大正世代がいなくなり、権利意識だけが肥大化した世代が主流になりつつある高齢者世代の介護など、はたしてどの程度の若者が手を上げてくれるか!?」
元帥「…上げるわけがあるまい。食事介助・入浴介助・排泄介助のいわゆる3K業界…要するに福祉市場は雇用の吸引力をほとんど持っていないのだ」
元帥「この戦争の前…政権の中では、本気で我が陸海軍を新たな戦場…イスラム世界か北朝鮮か…に送り出し、戦争景気を創出しようとする動きすらあった」
元帥「…これを安易に軍国主義化の再来と言うのは間違っている。…政治家も官僚も、他に日本経済を立ち直らせる方法を知らなかったのだ」
元帥「先の大戦の時と同じようにな」
元帥「しかし、私は情において反対した」
元帥「戦争が経済を活性化させ、雇用を創出しようとも、戦争そのものが敵味方に与える傷は大きい、と」
元帥「しかも21世紀の現代のハイテク兵器による戦争であれば、なおさら…」
元帥「…また日本の若い青年たちが、銃を持たされて戦線に立ち、おびただしい血を流して死んでいくのか…!」
元帥「…お前は想像できるか?お前たちの提督が、過去のお前たちのような艦に乗り、身を焼かれて死んでいく様を…」
大和「…っ!!!」ブンブン
398
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 22:37:55 ID:x9ztnKdM
元帥「そして、いずれにしろ、先の大戦の過剰なまでの反戦アレルギーで軍事力そのものに嫌悪感を覚える国民感情がある以上、徴兵による軍事力の復活はそもそも望むべくもなかった」
元帥「大空襲と原子爆弾の記憶に苛まれた日本人の誰が息子や夫や父親を再び戦場に送り出そうとする?」
元帥「…がしかし、経済的に鬱屈していた日本人が大きな変革を望んでいたのもまた事実だ。ナチスによる第三帝国の勃興を熱狂的に待ち望んでいた第一次大戦後のドイツ国民のように…」
参謀「…」
元帥「…今回、日本国民は心の底で希求していたのだよ。自分たちの代わりに戦って血を流して戦い、戦争景気を創出してくれる“誰か”の存在をな」
大和・木曾「……………………!?!」
元帥「言い換えれば、人間ではない“誰か”に、日本のために戦ってもらい、死んでもらうことだ」
参謀「…!」
大和「そ…それは……まさかっ…!!!」
提督「嘘だろ…!おいっ…!」
元帥「それが…艦娘だ」
399
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:04:34 ID:x9ztnKdM
その頃 横鎮 資材倉庫
まるゆ(…何とか誰の目にもつかずにここにたどり着きました)
まるゆ(万一のために隠してた拳銃も回収できました…!)カシャ ジャキン
まるゆ(あとは…隙を見て鎮守府から脱出を…!)
島風(…あれは、確か陸軍の…)
島風(…そっか。あの娘、ここから逃げる気なんだ)
島風(………私は、逃げないんだから!!)スッ
400
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:06:18 ID:x9ztnKdM
元帥「それが…艦娘だ」
大和「っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
木曾「………っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
参謀「…っ!!!!!」
木曾「…じゃあ、俺たちは…しょせん、ただの軍鶏だった……」
大和「戦闘…マシーン…ってこと………ですか…」
元帥「戦闘マシーンではない。自ら知能を持ち、戦ってもらわねばならない以上、お前たちは人造の人間もどきであることが求められた。どうしても魂の代用品は必要だった。よって、艦政本部と理研は考えた」
元帥「先の大戦時の我が海軍艦艇の魂をサルベージしてヒトの身体を与え、艤装を与えて戦わせるのだ。それが、艦娘というわけだ」
元帥「その“敵”の創出にも一工夫した」
元帥「艦娘らの敵は既存の国家ではない。突然海洋に降って湧いた“深海棲艦”だ!!」
元帥「深海のバケモノ相手なら、反戦運動など起こるはずもない。これを殲滅するために戦う我が日本海軍は、明らかに正義だ!」
提督「…!」
参謀「…敵役まで…お膳立てされていたのか…!」
大和「そんなっ!!」
401
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:07:54 ID:x9ztnKdM
元帥「我が海軍は“善戦”した。そして今や、敵を“殲滅”させる一歩前に来たというわけだ」
元帥「その間、我が国の各種産業は沸きに沸いた。お前たちが使う武装や艤装を提供する、軽・重工業がまず息を吹き返した。雇用は雇用を呼び、それが各産業に飛び火し、ついに国民の生活水準は改善し、雇用率も戦前レベルまで回復したのだ!!!」
元帥「この戦争は実に素晴らしい公共事業だった。ヒトラーのアウトバーンに並ぶと言っても過言ではない」
大和「そんな!では、この戦争は…生まれ変わった大和や艦娘たちが必死に戦った深海棲艦の戦争は…」
元帥「そう。すべては仕組まれていたことだ!!!」
大和「嘘っ…!!!!」
木曾「嘘だ…」
402
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:12:41 ID:x9ztnKdM
元帥「お前たちの役目はまだ終わっとらん。お前たちには…深海棲艦とのこの最後の決号作戦で、敵もろとも華々しく消えてもらいたい」
木曾「なっ…!!!!」
大和「……仕組まれた戦争の仕組まれた兵器たちは、もう必要ないということですか」
元帥「そうだ。平和が戻る以上、お前たちにもう用はない。国民の目もある。よって最後の戦闘で消えてくれるのが望ましい」
元帥「お前たちのその消え方こそが…この戦争の幕を閉じるには最高の舞台ではないか?」
木曾「俺たちは…また前世と同じ途を辿れということですか?」
元帥「…世界恒久平和のためだ。分かってくれそうすれば、お前達の提督は無事に済む」
大和「酷すぎます…!!大和は、…大和は、前世のように、嘘偽りなどではなく、消えるのであれば本当に誰かのためにこそ消えていきたかった…!!」
元帥「…ほう???大和…お前は、過去の自分が沖縄の人々を守るために途半ばで沈んだとでも思っているのか?」
大和「っ…!!」
元帥「本当は…お前も分かっているはずだろう??」
大和「やめて…!!!」
元帥「昭和20年の春、お前は沖縄を助けるために出撃したのではない!!お前は体よく捨てられたのだ!!坊ノ沖の冷たい海の底にな!!!」
大和「やめてぇえええええっ!!!!!!」
403
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:14:03 ID:x9ztnKdM
昭和20年3月 呉港 戦艦大和・艦橋
伊藤長官「…以上が、今次作戦の…天一号作戦の概要だ」
森下少将「航空戦力の援護なしで…沖縄方面に片道燃料で殴りこむ…?????」
森下少将「長官…!こんな馬鹿な作戦がありますか!」
伊藤長官「…大本営からはこう言われたよ。『一億特攻のさきがけとなれ』とな」
森下少将「狂ってる…!こんな運任せの行き当たりばったりの、成功可能性が万に一つもないこの大風呂敷を、軍令部が持ち出したんですか!?」」
伊藤長官「狂ってなどおらん。彼らは冷静だよ。冷静にこの大和を処分しようとしているのだ」
森下少将「大和を…処分ですって!?」
伊藤長官「…ここだけの話だ。GF(聯合艦隊司令部)はすでに敗戦を見越しているらしい」
森下少将「…」
※伊藤整一…聯合第二艦隊長官 森下信衛…聯合第二艦隊参謀(大和の前艦長)
404
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:15:36 ID:x9ztnKdM
伊藤長官「早期講和を秘密裏に求めている連中が考えていることは一つ…大日本帝国海軍の象徴・戦艦大和を華々しく沈めることだ」
森下少将「そんな…!!!!」
伊藤長官「…大和が健在なままでは、講和の邪魔になる徹底抗戦派を無駄に勢いづかせるだけだ、というのが彼らの言い分らしい。飛行機は特攻に駆り出されているのに大和が依然健在というのも、幕僚連中にとっては責任問題になりかねん憂鬱な事態なのだろう」
森下少将「…腐ってる!!」
森下少将「長官は…中将閣下はそれでいいんですか!?それだけのためにこの大和を、その乗組員3400人を、いや護衛艦隊も含めれば5000人にもなる兵たちを、こんな馬鹿げた“米軍との共同作戦で”無為に海没させていいんですか!?」
伊藤長官「…もうどうにも避けられん運命だ。聖上は早期講和をお望みである…その陛下のご善意を盾に、この不毛な出撃は決定されてしまった」
伊藤長官「卑怯な連中め…!何が天一号作戦だ!!敵上陸が間近の沖縄を救うとか敵艦隊に一矢報いるとか、そんなことは二の次にしか考えておらん!」ダンッ!
森下少将「…」
伊藤長官「…私の力が及ばず済まなかった。だが…私はこの大和を無為に沈めるつもりはない」
伊藤長官「森下君。君は以前にこの大和の艦長を務め、その類まれな操艦術で大和と乗組員たちを守った実績がある」
伊藤長官「…恐らくこの大和の最期の艦長となるであろう有賀君を、艦隊参謀として支えてやってくれ」
※有賀幸作…大和艦長
405
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:16:31 ID:x9ztnKdM
その夜 大和艦橋
森下少将「…」
森下少将「…なあ、大和よ」
森下少将「…こんなに美しいお前を、俺たちはこの手で沈めなくちゃならなくなった」
大和「…」
森下少将「お前が………もし人間の女だったら、どんなに美しいだろうな…」
森下少将「そして、今回の事でどれだけ腹を立てるだろうな…」
大和「…」
森下少将「…なあ大和。俺はお前を沈めたくない。絶対にそれは嫌だ」
森下少将「…俺はあきらめないぞ。大和、何としても俺たちを沖縄へ連れていってくれ」
森下少将「弾薬もありったけ積ませてやる。燃料だって満タンにしてやる。だから…」
森下少将「俺たちを…沖縄の同胞たちのところへ連れていってくれ…!!!」
大和「…」
406
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:25:00 ID:x9ztnKdM
そして 数時間後 横須賀鎮守府 講堂
ガチャ…
大和「…」
木曾「…」
睦月「…??」
龍驤「あ…!!!!」
矢矧「大和さん…」
武蔵「姉さん!」
大井「木曾!!」
北上「ぶ、無事だったんだね…」
龍田「て、天龍ちゃんは!?」
木曾「…後から憲兵さんと一緒に帰ってくるって。心配すんな」
龍田「………??」
407
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:25:58 ID:x9ztnKdM
吹雪「ぶ、無事に軍令部から帰ってきたんですね…お二人とも…」
大和「みなさん、ここに揃ってますか??」スッ
武蔵「ど、どうしたんだ、姉さん?」
大和「…聞いて下さい。もうご存知とは思いますが……提督は、敵との内通の嫌疑をかけられ、軍令部に拘束されています」
足柄「そんなの嘘よ!でっちあげだわ!」
大和「もちろんそうです。ですが、提督にかけられた有名無実の嫌疑を晴らす方法が一つだけあります」
大和「私たちが決号作戦を発動し、敵を殲滅させることです」
一同「…!?」ザワッ
大和「提督の薫陶を受けてきた私たちが深海棲艦を壊滅させたとなれば、大本営は提督に対する己の仕打ちが誤りだったと気づくでしょう。そうすれば提督は晴れて私たちのもとに戻って来られるんです」
吹雪「それは確かなんですか?大本営は間違いなくそうしてくれるんですか?」
大和「吹雪ちゃん、貴女は副官殿に対し、提督直々の下命がなければ横須賀は決号に参加しないと言ったそうですね」
大和「何を愚かなことを…」
吹雪「えっ…?」
408
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:26:50 ID:x9ztnKdM
大和「今更なんの命令がいるというのですか?深海棲艦を倒し、平和な海を取り戻すことが私たちの提督の願いであることは、他ならぬ私たちが一番知ってるはずじゃないですか」
大和「誰が深海棲艦の殲滅を下命するとかどうとか、そんなことは問題ではありません」
大和「大事なのは、私たちが私たち自身の意思で、提督のご意思を現実のものにするという決意と行動と結果です」
大和「今更大本営の命令を待つ意味はありません。すべては私たち次第なのです」
大和「そうでなければ、私たちが自ら提督の疑念を晴らすという意味がなくなってしまうじゃありませんか!」
大和「勝ってみせるんです。私たちが愚直に敵と戦ってこれを全滅させれば、提督や私たちにかけられていた内通の疑いは晴れます」
大和「そうすればおのずと提督にかけられた容疑は晴れ、私たちも戦争を勝利に導いた立役者ということで下手には扱われないでしょう…!!」
大淀「待ってください!鎮守府司令官が発動しない限り、決号作戦は開始できないんですよ!?」
大和「ですから、私たちがただの道具でないことを示すためにも、自発的に作戦を発動すべきだと言ってるんです」
大淀「そ、そんなことをしたら、それこそ大本営にどう受け取られるか…」
大和「では貴女はどうしたいんですか?このままなにもせず座っていて、提督の嫌疑が晴れるのを待つだけのつもりですか?」
大和「いずれにしろ現状打破には程遠いですね」
一同「…」シーン
409
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:28:22 ID:x9ztnKdM
大和「誰も動かないつもりですか!?提督と鎮守府の危機を前に、誰も立ち上がらないんですか!?」
大和「…それはとりもなおさず利敵行為でしょう。…むしろその行為こそが敵との内通とすら言えます」
吹雪「…っ!!!!」
霧島「私たちを…深海棲艦との内通者とでも言うつもりですか!?」
大和「戦いに参加することを尻込みする艦は、その疑いが濃厚ではないか…ということです」
武蔵「何だと…!?」
大和「ですからここで皆の力を合わせて証明しましょう!私たちは強いと!そして、その私たちが頂く提督は真の武人だと!」
吹雪「待ってください!」
大和「…何ですか?吹雪ちゃん」
吹雪「私も一体軍令部が何を考えているのか想像もつきません!ですけど…」
吹雪「…艦隊の仲間をそんな風に貶めるようにして、無理に海戦を決行させるのは許せないことだと思います」
大和「…!」
410
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:29:50 ID:x9ztnKdM
大和「吹雪ちゃん!貴女は提督にかけられた嫌疑と汚名を晴らしたいとは思わないの!?」
大和「私たちは提督の艦娘です!貴女も提督の艦娘なら、そう思って然るべきでしょう!?」
吹雪「勝手な事言わないでください!この艦隊は大和さんの艦隊じゃないんですよ!?」
大和「そうよ、この艦隊は提督の艦隊よ!その提督をお助けするためにも私は戦うべきだって言ってるの!」
吹雪「私たちが独断で出撃して決号作戦を成功させたとして、司令官が無事に戻って来られるとは限りません!」
吹雪「むしろ勝手な行動を大本営から咎められ、それこそ謀叛の罪で私たちはおろか司令官の立場までより危うくする可能性が大きいです!」
吹雪「…………………これは私たち艦娘の根幹の何かにかかわる重要事件な気がするんです」
大和「どこが?何が?はっきり言ってください。この件のいったいどこが私たち艦娘の根幹にかかわってると言うの???」
吹雪「そ、それは……」
大和「…」フン
吹雪「で、でも決して、私たちは軽挙妄動すべきではないと思います!」
大和「なら吹雪ちゃんは、私たちは座して提督の不在を耐えるべきだと言うんですか!?」
411
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:30:43 ID:x9ztnKdM
吹雪「他の皆さんだって思うところは大いにあるでしょう。けど今自分たちが何をすべきか、それが決定的に分からないから戸惑い迷ってるんじゃないですか!」
吹雪「そんなところに大和さんが言ったような過激な提案なんかしたら、それこそ収拾がつかなくなるとは思わないんですか?!」
吹雪「…大和さんの発言は旗艦としては軽率過ぎます!」
大和「っ!」
大和「…私たちはもうただの船じゃないのよ。艦娘なのよ!だったら自分たちでできることをするしかないじゃない!」
吹雪「だったら大和さんだけ出撃でもなんでもすればいいじゃないですか!」
吹雪「資源遠征には行けない、燃料弾薬の補給物資は大本営に止められている…」
吹雪「もう満足に出撃もできないような状況になってるんですよ!!」
吹雪「戦いのほとんどを後方で過ごしていた大和さんに何が分かるっていうんですか!」
大和「っ…!!!!」
夕立「ふ、吹雪ちゃん…」
412
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:31:52 ID:x9ztnKdM
大和「…」キッ
大和「陛下の御紋を頂いていない駆逐艦のくせに、偉そうなことを言わないで!」
吹雪「…っ!!」
吹雪「…私は、大和さんの考えには従いません」
吹雪「おそらく、他の駆逐艦たちも同じだと思いますよ」
413
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:32:25 ID:x9ztnKdM
その頃 小笠原近海
ル級『…いよいよ、出撃ですね』
戦姫『…ああ。皆、準備はいいな?』
リ級『…』
戦姫『作戦の概要は打ち合わせ通りだ。攻撃機の運用も…あの通りで良かったな?』
ル級『仕方ありませんよ。だって…私たちは…』
リ級『もう生還なんか望むべくもないんですから』
戦姫『…済まなかったな、みんな』
リ級『…貴女のもとで“また”戦うことができて、光栄でした』ボソッ
戦姫『…ありがとう』
ル級『…行きましょう』
戦姫『ああ。全艦、アンカー上げ!これより日本本土方面へ進攻する。GO AHEAD!!(出撃っ!!)』
414
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:33:45 ID:x9ztnKdM
大和「…もういいです。しょせん貧弱な武装しか持たない駆逐艦なんかを参加させたところで、勝利に貢献しないのは事実です」
一同「!?!?」
雪風「や、大和さん…!?」グスッ
日向「大和!貴女、言っていいことと悪いことが…」
愛宕「そうよ!大和さん、艦隊旗艦のくせに仲間をなんだと思って…」
大和「駆逐艦に毛が生えた程度の巡洋艦風情が、戦艦に意見するんですか?」ギロッ
矢矧「そっ…そんな…!!!!」
加賀「取り消しなさい。貴女の発言は艦娘として許せません」
大和「浮かぶ飛行場でしかない貴女達の、何に期待しろというのですか?」
赤城「!?」
加賀「なっ…!!!!!」
瑞鶴「ほ、…本気で言ってるの、大和さん!?」
翔鶴「酷い…!!」
金剛「あんまりデス。艦隊の皆をそこまで侮辱するデスか」
羽黒「…」シクシク
415
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:35:22 ID:x9ztnKdM
霧島「提督はおっしゃってました。艦種こそ違えど、皆で協力し合ってこそ艦隊は力を発揮すると」
大和「…」
金剛「どうせ大和だって、私たちのことを足の速いだけの老朽戦艦としか思ってないんでショ?」
大和「…そうよ…この艦隊には、役に立たない戦艦が多すぎます」
大和「生まれたときから存在そのものが不具合な、哀れな艦もいれば」
扶桑「っ…!」
山城「そ、そんな…!」
大和「戦艦なのかすら怪しい、出来損ないの艦もいるし」
伊勢「!!」
日向「それは、私たちのことか…!?」ギリッ
霧島「………とうとう本音を出しましたね。貴女は超弩級戦艦なことをかさに、私達を見下していたんですか…!!!」
大和「当然でしょう?だって、提督をお救いすることが出来るのは、提督に愛されたこの大和だけなんですからっ!!!!」
霧島「っ…!」
416
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:36:06 ID:x9ztnKdM
大和「貴女たちに私ほどの火力がありますか!?この私に許された46センチ三連装砲を凌ぐ兵装を、貴女たちは持っているとでも言うんですか!?」
大和「この鋼鉄の鎧が、絶対の注排水システムが、貴女たちに存在するんですか!?」
大和「美しくないものは愛されません。美しくないものは強くありません。強くないものは…愛されるはずがありません」
武蔵「姉さん、いい加減にしろ!!あまりにも見苦し過ぎる!」
大和「…だから?」
武蔵「だ、だからって…」
大和「私と同じ性能を与えられていながら、前世では武装の威力を発揮できず、ましてや短時間のうちに海の藻屑となった貴女に、私の妹を名乗る資格はありません」
武蔵「姉さん!」
大和「貴女は大和型戦艦の恥です。私から離れて下さい」ドン
武蔵「っ…」ヨロ
417
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:37:14 ID:x9ztnKdM
榛名「…せない」
榛名「…許せない」ユラッ…
金剛「…は、榛名??」
榛名「自分だけが強いんですか!?自分だけで華々しく戦えると思ってるんですか!?自分だけが悲劇のヒロインですか!?」
大和「…はぁ??」
榛名「榛名が…過去の“榛名”が、どんな思いで“大和”の最期の出撃を見守っていたかも知らないくせに…」ボソッ
大和「………………………………………………………………………………………五月蠅い。大正生まれのくせに、口だけは達者ね」ギラリ
榛名「このっ…!」ブン
パシーン!!
大和「っ…!」
榛名「そうやって他人を上から見下ろしてっ!!貴女は最初から、私たちのことなんか雑魚の群れぐらいにしか思ってなかったんでしょう!!」
大和「…掴み合いで大和に挑もうとは、良い度胸ですね」ググッ
榛名「くっ…痛っ………!!」
比叡「は、榛名っ!」
418
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:38:25 ID:x9ztnKdM
武蔵「姉さん、やめろっ!!」ガシッ
大和「…離しなさい、武蔵」グググ
武蔵「離してたまるかっ…!」グググ
大和「ちっ…誰もかれもが私の邪魔立てばかり…!!」バッ
武蔵「…」ハァハァ
武蔵「もう…止めてくれ!姉さんは…もう、姉さんじゃなくなってしまってる!!」
大和「私が…私じゃなくなってる…??」
大和「…ふふ。あははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
武蔵「!?」ビクッ
大和「あはは…ねぇ武蔵、一つ教えてあげましょうか」ボソッ
武蔵「な…??」
大和「私たちはねぇ…しょせんはただの兵器だったのよぉ。そう…最初っから…ねっ!!!!…うふふっ…!!!」ボソッ
武蔵「っ!?」ゾクッ
419
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:39:35 ID:x9ztnKdM
大和「うふふふっ!!!あっははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!」
ガチャ バタン
木曾「…ふふふっ」
ガチャ
大井「ま、待ってよ木曾!!貴女まで、どこに…」
木曾「…………」
大井「…木、曾…?」
木曾「…じゃあな」
バタン
420
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:40:22 ID:x9ztnKdM
シーン………
武蔵「姉さん…」
吹雪「武蔵さん…」
加賀「…どうします?大和は決号の自己発動に固執しているみたいですが…」
瑞鶴「…そんなこと、できるわけないじゃない!艦隊旗艦が…あんなんだったら…もう、誰もついていけないわよ!!!」
武蔵「…ああ…その通り………だな……」
421
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/15(月) 23:49:44 ID:x9ztnKdM
今日はここまで おやすみなさい
422
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/01(土) 05:54:34 ID:EEDRpiO6
舞ってる
423
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/14(金) 07:04:18 ID:rCYZPJ2U
保守
424
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/07(土) 01:53:03 ID:HW/7NCQM
保守
425
:
ポテト
:2017/01/08(日) 01:48:12 ID:JtE37YGU
保守
426
:
ポテト
:2017/01/08(日) 01:48:43 ID:JtE37YGU
保守
427
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/09(月) 13:59:34 ID:gfpTBgV.
保守
428
:
保守
:2017/01/14(土) 15:19:11 ID:AHX9ILsY
保守
429
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/21(土) 11:13:43 ID:5X3cS1N6
保守
430
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/21(土) 11:14:51 ID:5X3cS1N6
保守
431
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/21(土) 18:21:51 ID:vx84x3wQ
保守
432
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/23(月) 22:10:16 ID:rA2kTv4g
保守
433
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/23(月) 22:10:48 ID:rA2kTv4g
保守です
434
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/27(金) 00:39:39 ID:WRytHEtk
保守
435
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/28(土) 10:19:58 ID:V4Qwq1No
保守
436
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/30(月) 04:02:38 ID:7gPiTA0A
保守
437
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/30(月) 21:00:03 ID:7gPiTA0A
保守
438
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/31(火) 18:10:19 ID:w0KU/bEc
保守
439
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/01(水) 16:09:47 ID:XBmcOqtM
保守
440
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/02(木) 19:51:23 ID:yWjzJ3iY
保守
441
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/03(金) 07:35:35 ID:eO8z6EFk
保守
442
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/04(土) 21:23:37 ID:JrSGWbf.
保守
443
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/05(日) 13:12:03 ID:YQq1yfQU
保守
444
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/05(日) 19:14:39 ID:YQq1yfQU
保守
445
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/05(日) 19:16:30 ID:YQq1yfQU
保守
446
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/05(日) 19:20:02 ID:YQq1yfQU
保守
447
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/07(火) 23:45:22 ID:yD1L4d.2
保守
448
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/08(水) 08:22:48 ID:Cjex0PmE
保守
449
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/10(金) 06:32:43 ID:i.y714QI
保守
450
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/10(金) 20:47:54 ID:i.y714QI
保守
451
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 22:15:54 ID:YBo93DmI
保守
452
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/14(火) 20:51:44 ID:MIBwbIRQ
保守
453
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/17(金) 23:58:08 ID:7rhwj0Os
保守
454
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/19(日) 08:45:45 ID:xSywmUeM
保守
455
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/21(火) 05:45:57 ID:yDV9bFLo
保守
456
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/23(木) 23:17:25 ID:4rhYZFmE
保守
457
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/25(土) 08:26:04 ID:LhCCfPAk
保守
458
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/26(日) 21:39:33 ID:xcOhe5yw
保守
459
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/03/04(土) 08:43:58 ID:sFErWqic
保守
460
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/03/05(日) 08:43:39 ID:W4sbKsLw
保守
461
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/03/12(日) 13:22:51 ID:SpXt6/fU
保守
462
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/05/20(土) 10:40:52 ID:lc8ZSsaM
保守
463
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/08/29(火) 07:05:01 ID:qbvvcrgU
エタったか・・・まあなんとなくそんな気はしてた。
乙
464
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/11/25(土) 21:08:31 ID:7uAIiwN6
保守
465
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/12/17(日) 18:53:21 ID:Vhhl7tsk
保守
466
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/03/11(日) 23:07:05 ID:s9uA0GaI
保守
467
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/09/22(土) 14:25:35 ID:CYJm7PqQ
保守
468
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/10/23(火) 13:57:52 ID:tkEffru2
保守
469
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/27(水) 03:14:35 ID:pqqsLXyU
保守
470
:
ジャン調査官
:2019/11/28(木) 17:56:59 ID:sIpsvJQk
元帥お前に天皇陛下からの射殺許可が出たぞお前を射殺する
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