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勇者「お前は王都を汚すゴミだ! 僕が掃除してやる!」
2
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:24:16 ID:8J1cpVwo
店員「ほら! 次の瓶だよ!」
武闘家「おう、どんどん持ってきてくれ!」
兵士「昨日は王都の終わりだとか言ってたくせに」
武闘家「勇者がドラゴンに殺されたとばかり思っていたからな」
グビグビ
武闘家「ップハァ! ドラゴンは倒した!勇者は生きてる!」
武闘家「ついでに姫も助けたとなれば言うこと無し!」
武闘家「ほうら、どうしたお前も飲め!」
兵士「ん、ああ」
3
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:28:16 ID:8J1cpVwo
ゴクゴク
兵士「ふぅ、確かに旨い」
武闘家「なにをそんなにチビチビと。 いい気分の時にぐいっといくもんだ!」
兵士「お前は飲み過ぎなんじゃねえか?」
武闘家「ああ?」
兵士「どうしたんだよ。 そんなに騒ぐタイプでも無かったろ」
武闘家「ああ、これはな……」
武闘家「魔物の発生は人間の悪意が原因だということは知っているな?」
兵士「勇者がそんなことを言ってたな」
武闘家「人狼と戦うときは特にこれを意識する必要がある」
4
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:31:41 ID:8J1cpVwo
兵士「どういう意味だ?」
武闘家「うーむ、詳しく話せば辛気臭くなるからな……」
武闘家「簡単に言うと人が活気付けばそれだけで魔物は生まれにくくなる」
武闘家「だからこうやって飲んで騒げば! 魔物の予防になるわけだ!」
兵士「へぇー、そういうもんか」
兵士「人狼はどう関係があるんだ?」
武闘家「それは……」
武闘家「っと、来たな」
勇者「こんばんは。 やってるね」
5
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:32:15 ID:EmFa0jwk
女勇者のやつか?
期待
6
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:34:34 ID:8J1cpVwo
兵士「勇者!」
勇者「あ、兵士さんもここにいたんだ」
勇者「凱旋中になにかおかしなところはなかった?」
兵士「ああ、パレードは賑やかなだけだったぜ」
武闘家「王都中が活気づいた素晴らしいものだったぞ」
兵士「その後の王宮のパーティどうだったよ! うまいもんたらふく食ったんだろ!」
勇者「たらふくじゃないけど……ご馳走になったよ」
武闘家「よし勇者! とりあえず飲め!」
勇者「ぶ、武闘家さん? 酔ってますね」
武闘家「ハーハッハー!」
「勇者!?」「勇者だって!?」
7
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:37:15 ID:8J1cpVwo
青年「おおすげえ! あんたが噂の勇者様だな!?」
勇者「ええと……勇者でいいよ」
兵士「なんだなんだ? すごい人気だな」
武闘家「当然だろう」
武闘家「王都中が勇者の話題で持ちきりだ」
武闘家「特に男が聞きたいことと言えば……」
青年「あのでかいドラゴンをどうやって倒したんだ!?」
8
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:39:57 ID:8J1cpVwo
勇者「どうやって? 方法ってこと?」
青年「ああ! ぜひ聞かせてくれよ!」
兵士「確かにそうだ」
兵士「人狼騒動ですっかり忘れてたぜ。 一体どうやったんだ?」
武闘家「俺も気にはなっていた」
武闘家「どうやってヤツをその気にさせたんだ?」
勇者「その気?」
武闘家「むっ?」
武闘家「ドラゴンを人間形態にしてから倒したのだろう?」
勇者「人間形態なんてあるんですか?」
武闘家「な、なんだと!?」
9
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:44:28 ID:8J1cpVwo
武闘家「ならどうやって倒した! 言え!」
勇者「それは……」
兵士「オレも聞きてえ!」
青年「おい! 俺が最初に聞いたんだぞ!」
勇者「ちょ、ちょっと! 押さないで!」
店員「やめないかお前たち! 勇者ちゃん困ってるじゃないか!」
勇者「あ、おばちゃん」
店員「おかえり。勇者ちゃん」
10
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:44:37 ID:FAdIpxQw
いつから人間形態と錯覚していた?
11
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:49:25 ID:8J1cpVwo
勇者「おばちゃん、その……えっと……」
勇者「……」
勇者「僕、やったよ!」
店員「……ああ! あんたはすごい子だよ!」
店員「疲れてるだろう? 今日はもう休みな」
店員「ゴミならあたしが処分しておくからさ」
勇者「ううん、僕がやるよ」
勇者「たまってそうだからね」
店員「そうかい? ならもう店をしめようか」
勇者「あはは、大丈夫だよ。 稼ぎどきじゃないか」
勇者「閉店まで水でも飲んでるよ」
店員「全く、もうちょっとわがまま言ってもいいんだよ」
12
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:54:15 ID:8J1cpVwo
武闘家「水か。 そういえば試したいことがある」
ポタッ…
武闘家「勇者、これを見ろ」
勇者「? 指に水なんかつけてどうしたんですか?」
ポタ……
武闘家「……よし。 次に垂れる水滴を手刀で払ってくれ」
勇者「??」
武闘家「落ちる瞬間を狙ってな」
勇者「はあ……」
勇者「……」
武闘家「……」
勇者(えーと……そろそろ落ちそうかな……)
ピッ
武闘家「!!」
13
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 00:57:10 ID:8J1cpVwo
勇者「こ、これでいいですか?」
武闘家「なるほど。 流石だな」
兵士「なんだ? 今のが何かすごいのか?」
武闘家「ああ」
武闘家「落ちる前から腕を動かしていただろう」
武闘家「水滴の変化からタイミングを予測したのだ」
勇者「えーと……なんとなくでやっただけなので……」
武闘家「数回練習すれば難しいことではない、しかし初見でやってのけるのは……」
兵士「なるほど、運がいいんだな」
武闘家「勘がいいんだ。 馬鹿かお前は」
兵士「なんだと!」
武闘家「何ならお前もやってみるか?」
14
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 01:01:21 ID:8J1cpVwo
スッ…
兵士「……」
兵士「そりゃっ!」
バシッ
武闘家「痛ゥっ!」
兵士「あ、悪い。 指に当たっちまった」
武闘家「貴様ァ! 本物の馬鹿か!」
兵士「あァ!?」
勇者「ま、まあまあ二人共落ち着いて」
15
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 01:05:04 ID:8J1cpVwo
勇者「そうだ、ドラゴンの話をするから……」
兵士「ドラゴン!? そうだった!」
武闘家「俺は本気で怒っていたわけではないがな。 聞かせてもらおう」
勇者「えーっと……あれ? さっきの人は?」
兵士「ん? ああ、あそこでうずくまってるぞ」
武闘家「……」
青年「いててて……」
16
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 01:07:48 ID:8J1cpVwo
勇者「大丈夫?」
青年「あ、ああ。 酔っ払ってるとかじゃないんだ」
青年「どうにも足の裏がチクチクしてな」
勇者「足? 靴に石が入ってるんじゃないの?」
青年「そんなはずは……」
青年「……」
青年「うぷ」
勇者「ちょ、ちょっと! やっぱり酔っ払ってない!?」
青年「ウぅ…………」
勇者「待ってて! すぐに何か……」
武闘家「勇者、下がれ」
17
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 01:11:37 ID:8J1cpVwo
青年「ウゥ……ウ……」
青年「ウゥゥゥウウウウゥゥウウウ……!」
勇者「え――」
青年→半人狼A「ウガァアア!!!」
武闘家「ハイヤッ!」
バシッ!
半人狼A「ガァッ!?」
ゴキン
武闘家「首を折った。 終わりだ」
18
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 01:18:07 ID:8J1cpVwo
勇者「あ……え……?」
兵士「な、なんなんだよ今のは!」
武闘家「場所を変えるぞ」
――
ドサッ
武闘家「こいつはお前たちが次に戦うことになる敵だ」
兵士「死体に……耳と尻尾が生えてやがる」
勇者「こ、この人は一体どうなったんですか!?」
19
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 01:21:35 ID:8J1cpVwo
武闘家「人狼の唾液には強力な菌が含まれている」
武闘家「これが血液に混ざると感染し、悪意により発症する」
武闘家「それがこいつ、半人狼と呼ばれる状態だ」
兵士「菌、感染……?」
武闘家「半人狼は新たな本能で人を襲う」
武闘家「襲われた人間は……また半人狼と化す」
勇者「それじゃあ人狼って……!」
武闘家「ああ、その通りだ」
武闘家「病名ライカン・スローピィ」
武闘家「人狼は伝染する」
20
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 01:26:41 ID:8J1cpVwo
このSSは
悪意が魔物を生む世界で
悪意を消す浄化の力を持った勇者がゴミ掃除をする話です
前スレ
勇者「さて、今日も王都の掃除がんばるか!」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1392648347/
21
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 01:42:31 ID:rp7.SIfA
乙
22
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 02:00:43 ID:3L/hB1Yw
期待
23
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 03:20:23 ID:TCNS5C1U
おお、来てたか。乙乙
24
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/15(日) 11:16:11 ID:Vfi51dK6
新スレだー!
新たな魔物も厄介そうだな
乙ー
25
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 03:57:26 ID:BtfX355U
まだかなー
26
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:10:19 ID:6VndrJLM
兵士「ちょ、ちょっと待てよ!」
兵士「今の王都は悪意が少ないって言ってたじゃねえか!」
武闘家「うむ。 それについてだが……」
武闘家「確かこいつは足に違和感があると言っていたな」
ズッ……
勇者「!! これは……」
武闘家「魔石だ」
武闘家「魔力で悪意を補ったのだろう」
27
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:17:47 ID:6VndrJLM
兵士「この石と悪意がどう関係あるんだよ」
武闘家「魔力とは感情の力だ」
武闘家「そして魔石は感情が蓄積された宝石、当然悪意の代わりとなる」
勇者「……元の人間には戻せなかったんですか」
武闘家「ああ、骨格ごと変化してしまう」
武闘家「こうなっては魔物といっしょだ」
兵士「魔物……」
勇者「……」
勇者「武闘家さん」
勇者「人狼、すぐに見つけましょう」
武闘家「ああ、もちろんだ」
ドゴォオオオオオオンッ!!
武闘家「!! なんだ!?」
兵士「こ、この音は!」
勇者「うん! すぐに戻ろう!」
28
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:25:31 ID:6VndrJLM
店員「な、なんだいこりゃ!」
スライム「ウゥ……アァ……」
兵士「あ! 酒場の店員が!」
武闘家「あれは……スライムか!?」
勇者「大丈夫! 間に合う!」
ダッ
勇者「聖火の……」シュボッ
29
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:30:07 ID:6VndrJLM
勇者「掌底っ!」バシッ
スライム「ウギャァッ!」
武闘家「!!」
スライム「アァアアア……」
シュウウゥ……
兵士「すげぇ……一撃で……」
勇者「おばちゃん! 大丈夫!?」
店員「あ、ああ……うん」
勇者「よかった……」
30
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:36:43 ID:6VndrJLM
――
「せ、聖火の魔法! 聖火の魔法!」
バシッ バシッ
スライム「コノミセヲ……オウトイチノ……」
「消えて! いなくなって!」
バシバシッ
「早く消えて! 消えてよぉ!」
シュボッ
スライム「グァアアア……」
ボォオオ…
「消えて! きえ……」
「はぁ……はぁ……やった……」
「わたしやったよ……お父さん……」
31
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:43:04 ID:6VndrJLM
店員「あ……」
店員「あんた……」
「あなたは……このお店の……」
店員「こ、こんなところでなにやってるんだい! 逃げないと化け物が……」
「大丈夫です……今倒しました」
店員「えっ……」
店員「それじゃあ……あんたはあの人の息子さんなのかい?」
(息子? そっか……髪を溶かされたから……)
「そ、そうです! わたしは……いや、ぼくは!」
勇者「僕は勇者!」
勇者「これからは僕が! 王都の掃除をしていきます!」
32
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:48:08 ID:6VndrJLM
店員「……」
ギュ…
勇者「わっ。 な、なに……?」
店員「『これからは』ってことは……そういうことなんだろう」
勇者「……うん」
勇者「急に消えるときは……僕の番なんだって教えられたよ」
店員「あんたはまだ子供じゃないか。 なのになんでこんな……」
勇者「それは……僕にしかできないことだから」
勇者「僕がやらなきゃダメなことだから」
勇者「それに……」
勇者「最初の『あんた』は僕のことじゃないよね」
店員「!」
33
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:52:08 ID:6VndrJLM
店員「……そうだよ」
店員「化け物にやられたのは……うちの亭主だ」
勇者「わた……僕が未熟だったから助けられなかった」
勇者「それなのに……自分だけが泣いて甘えるわけにはいかないよ」
ギュウゥ…
勇者「えと……だ、だからもう放して?」
店員「それでも……それでも今は、こうさせておくれ」
勇者「……」
勇者「うん……」
――
店員「また……助けられちゃったね」
勇者「よかった……本当に」
34
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 19:55:48 ID:6VndrJLM
武闘家「見事だ」
勇者「えっ?」
武闘家「掌底を一度見ただけであそこまでうまく使うとは」
勇者「はい、武闘家さんの戦い方はとても勉強になりました」
武闘家「俺も今日はいいものを見た。 スライムとの戦闘経験はないのでな」
兵士「そうなのか?」
武闘家「魔物とは凶暴化した獣……というのが一般的なのだが」
武闘家「王都はどうも違うらしい」
兵士「まあオレもこの間まで、王都に魔物なんざいないと思ってたからなあ」
35
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 20:01:10 ID:6VndrJLM
店員「そ……それはなんだい?」
武闘家「おっと、持ってきてしまったな」
勇者「元人間の死体……聖火で燃やしましょう」
武闘家「待て。 これは王宮へ持って行こう」
兵士「な、なにぃ?」
兵士「酒場と言ってることが違うぞ! 大騒ぎになるじゃねーか!」
武闘家「王都へ侵入されたなら話は別だ、対策を練らねば国ごと人狼化するぞ」
勇者「……分かりました。 お願いします」
武闘家「ああ、お前は今日の魔物を防いでくれ」
36
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 20:06:03 ID:6VndrJLM
ザワザワ…
「さっきの音は何だったんだ?」「うわっ。 ゴミが散らばってやがる」
「あの変な狼は見間違えじゃなかったのか!?」
兵士「お、おい。 人が集まってきたぞ……」
勇者「……うん」
町人A「ゆ、勇者様! これは一体……」
勇者「ええと……」
勇者(この人達は不安なんだ。 おそらくその気持ちがスライムを生んだ)
勇者(だからうまく勇気づけないとまた同じことが起こるかもしれない)
勇者(半人狼も見られてたみたいだ……下手な言い訳はできない)
勇者(それなら!)
37
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 20:10:34 ID:6VndrJLM
勇者「大丈夫! もう倒しました!」
町人B「ほ、本当ですか?」
グッ
勇者「僕に任せて!」
勇者「一撃だ! 何も心配!いらない!」
ワァアアアアア!!
勇者(とりあえずうまくいった……かな?)
勇者(姫様に教えてもらった方法がまた役に立ったな)
38
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 20:15:06 ID:6VndrJLM
勇者「それじゃおばちゃん、今日のゴミを持って行くね」
店員「……勇者ちゃん」
勇者「?」
店員「いや、なんでもないよ。 無理しないようにね」
勇者「うん!」
パチパチ…
勇者「ふー」
兵士「流石に疲れたな。 毎日こんなことやってんのか」
勇者「2日ぶりだからね、ゴミも溜まってるよ」
勇者「兵士さんがいなかったら朝までかかるところだったよ。ありがとう」
兵士「おう……ん?」
勇者「なにか音がしたね。王都入り口の方かな?」
兵士「オレが見てくる。 お前はもう寝ろ」
勇者「あはは、僕なら全然大丈夫だよ」
39
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 20:22:09 ID:6VndrJLM
――
兵士「ぜぇぜぇ……お前走るの速えよ」
勇者「掃除し終わって身軽だからね」
勇者「それより……あっ」
パカラッ ザザッ
騎馬隊B「おや……お迎えとは」
勇者「あなたは……ええと……」
勇者「最初に塔へ向かった騎馬隊の人!」
騎馬隊B「はぁ……」
勇者「塔から帰ってきたんですね!」
勇者「ということは……」
ザッ
吟遊詩人「只今戻りました」
40
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 20:28:41 ID:6VndrJLM
兵士「吟遊詩人! 本当に生きてたのか!」
吟遊詩人「ええ、なんとかね」
兵士「あんたには助けられっぱなしだな」
吟遊詩人「私の助力など微々たるものですよ」
ザッ
兵士「……勇者?」
勇者「吟遊詩人さん」
勇者「執事さんは一緒じゃないんですか?」
吟遊詩人「……」
吟遊詩人「はい。 途中で別れることになりました」
41
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/29(日) 20:36:31 ID:6VndrJLM
勇者「……無事なんですか?」
吟遊詩人「……」
勇者「答えてください」
吟遊詩人「あの方は……もう息絶えています」
勇者「――!!」
勇者「殺したのか!」
勇者「答えろ! 半魔!」
42
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/30(月) 02:46:34 ID:8rsHK5tU
乙乙
43
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/30(月) 06:26:41 ID:3pbnbaSo
魔物には厳しい勇者さん
乙ー
44
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/03/30(月) 23:57:21 ID:yBzALG8E
オーガ 半魔
45
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/06(月) 08:10:26 ID:bCQq9k4Q
期待
46
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/11(土) 06:53:16 ID:DyH2pGcU
待ってる
47
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 00:25:27 ID:i45/DvOo
兵士「な、何を言ってんだ勇者!」
兵士「こいつがそんなことをするわけ無いだろ! なあ!」
吟遊詩人「……」
吟遊詩人「殺しましたよ」
兵士「!!!」
勇者「!!!」
勇者「な……なんで……どうして……」
吟遊詩人「知っているでしょう」
吟遊詩人「人が人を殺すのに最も共感できる理由です」
48
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 00:29:11 ID:i45/DvOo
勇者「執事さんが故郷の仇だから……憎いから殺したっていうのか!」
吟遊詩人「……」
勇者「それなら僕は! お前を許せない!」
勇者「聖火の魔法!」シュボッ
兵士「お、おい勇者!」
吟遊詩人「浄化の炎……何度見ても美しい」
吟遊詩人「私もこの光のなかで最期を迎えたいものです」
49
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 00:32:29 ID:i45/DvOo
吟遊詩人「しかし、その時は今じゃない」
スッ…
勇者(聖火に自分から手を……!?)
吟遊詩人「その魔法は脅しには向いていませんよ」
吟遊詩人「対抗魔法」
バシュッ…
勇者「!!」
勇者(聖火が消された!?)
勇者(いや……これは……)
吟遊詩人「私は吸血鬼討伐の依頼を受けここへ参りました」
吟遊詩人「受けた仕事を投げ出すわけにはいきません」
吟遊詩人「さあ、そこをどきなさい。 王都へ入らなければ」
50
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 00:41:53 ID:i45/DvOo
勇者「だ、だめだ! 通さない!」
勇者「僕が聞いているのはそんなことじゃない!」
吟遊詩人「……ふむ」
勇者「なんで執事さんを殺したんだ! ちゃんと話してよ!」
吟遊詩人「言葉に凄みがありませんね」
吟遊詩人「ドラゴンへ向かう時の貴方はもっと絵になりましたよ」
ザッ
勇者「あ……」
勇者「ま……待ってよ!」
勇者「信じたのに! だから残したのに!」
吟遊詩人「心の弱さを表に出してはいけません。 それは魔族の力になります」
吟遊詩人「常に冷静でありなさい。 そうすれば貴方は無敵です」
吟遊詩人「また会いましょう、勇者」
51
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 00:53:09 ID:i45/DvOo
勇者「……」
兵士「行っちまったな」
勇者「止められなかった……」
騎馬隊B「勇者様」
兵士「なんだあんた。 まだいたのか」
騎馬隊B「吟遊詩人殿は……憎さで執事様を殺したのではない」
騎馬隊B「……と、私は思います」
52
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:00:37 ID:i45/DvOo
兵士「どういうことだよ」
騎馬隊B「執事様の死体は……綺麗に首を落とされていました」
騎馬隊B「これは憶測ですが」
騎馬隊B「吟遊詩人殿は執事様を介錯したのではないでしょうか」
兵士「ほ、本当かそれは!」
兵士「勇者、なにか気づいたことはないのか?」
勇者「……ありえる話だよ」
53
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:08:38 ID:i45/DvOo
勇者「執事さんは瀕死だった」
勇者「もしかしたら解毒剤があるというのは嘘で……」
勇者「元々塔の下敷きになって死ぬつもりだったのかもしれない」
勇者「それともう一つ。 塔へ向かう時に緑さんが執事さんに目的を聞いていたんだ」
勇者「今思えば吟遊詩人……に関連した話だったんだろう」
勇者「あの時討伐隊は全員死んでいると思っていたから……執事さんは供養をしにいったのかもしれない」
勇者「それなら執事さんは吟遊詩人に強い罪悪感を抱いていたってことになる」
勇者「つまり」
勇者「執事さんは自分から『殺してくれ』と頼んだ」
54
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:15:46 ID:i45/DvOo
勇者「殺すことでしか執事さんを楽にすることができない状況なら」
勇者「吟遊詩人がしたことは悪いことではないと」
勇者「あなたはそう言いたいんですね」
騎馬隊B「……その通りです」
兵士「ちょ、ちょっと待てよ勇者」
兵士「お前はそこまで分かっていて噛み付いたのか?」
勇者「兵士さん」
勇者「全部もしかして。 憶測の話だよ」
55
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:26:46 ID:i45/DvOo
勇者「半魔が人間の敵か味方か、その判断を誤るわけにはいかない」
勇者「今王都には3体の魔族がいるんだ」
勇者「それに半魔が加わったら……手がつけられないよ」
兵士「それはお前がしなきゃいけないことなのか?」
騎馬隊B「そうですよ。 吟遊詩人殿はまだ近くにいるはずです」
騎馬隊B「私が居場所を突き止め、その後監視をつけましょう」
勇者「……それはダメです」
騎馬隊B「何故ですか?」
勇者「今日は真っ直ぐに帰ってください」
勇者「夜一人で出歩くのは危険なんです」
勇者「理由は王宮につけば分かるはずだから」
騎馬隊B「はぁ……分かりました」
56
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:34:55 ID:i45/DvOo
勇者「さてと……」
勇者「じゃあ僕も帰ろうかな」
兵士「待てよ。 話は終わってねえぞ」
兵士「吟遊詩人は他のやつに任せるべき……」
兵士「いや、後回しにするべきだろ」
兵士「あいつは今まで何度も助けてくれたんだ」
兵士「悪いやつだと分かるまで信じてやればいいじゃねえか」
勇者「そうはいかないよ」
兵士「なんでだよ」
勇者「だって……僕のせいだから……」
勇者「僕が執事さんを置いていかなかったら……こんなことにはならなかった」
勇者「だから僕が……なんとかしなくちゃいけないんだ!」
兵士「……」
57
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:38:36 ID:i45/DvOo
兵士「勇者」
兵士「お前がちんたら帰ってきたら人狼の対処がもっと遅れたぞ」
勇者「……武闘家さんが何とかしたさ」
兵士「あの店員を助けたのはお前にしかできなかっただろ」
勇者「それは……」
兵士「なんでも自分のせいにすんなよ」
兵士「人間できることしかできねえんだよ」
勇者「でも……」
兵士「あーもう面倒臭えな!」
勇者「えぇっ?」
58
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:42:27 ID:i45/DvOo
兵士「オレよりずっと強いくせにグチグチ悩みやがって!」
勇者「僕は強くなんかないよ。 魔物との相性がいいだけさ」
勇者「だからドラゴンとの戦いでは……頼らざるを得なくなった」
兵士「それが面倒臭えんだバカ! 終わったことだろ!」
兵士「お前がそうするべきって判断したんだろ! じゃあそれは正解だろ!」
勇者「そ、そんな簡単な話じゃないよ! 取り返しがつかなくなったらどうするのさ!」
兵士「なんどでも取り返してやるんだよ!」
59
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:46:30 ID:i45/DvOo
兵士「勇者! 悩むならオレが頼んでやる!」
兵士「まずはウルフ……いや、今はワーウルフか」
兵士「あいつをぶっ殺すぞ!」
兵士「オレは昨日コケにされたんだ! このままじゃ終われねえ!」
兵士「必ず一杯食わせてやる!」
兵士「でもオレ一人じゃ力不足なんだ! 手を貸してくれ!」
兵士「その時吟遊詩人や首謀者とやらが邪魔してくるなら」
兵士「全部ぶっ飛ばせばいいんだ! そうだろ!」
60
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 01:54:06 ID:i45/DvOo
勇者「全部まとめて相手にするのは難しいよ」
兵士「はあ? まだそんなことを……」
勇者「でも、兵士さんの言うことも一理ある」
勇者「確かに人が多い王都では人狼の能力が一番危険だ」
勇者「最優先で始末しよう!」
兵士「おお! やってやろうぜ!」
勇者(そう……)
勇者(僕にできることは限られている)
勇者(今はとにかく、行動するしかない!)
61
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 10:47:01 ID:wfCaaTjc
兵士が熱いぜ
乙
62
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/18(土) 12:35:26 ID:Ukm/z9XY
乙乙
63
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/05/07(木) 10:26:16 ID:g7g9/Ld2
やっぱ面白いなこれ
続き期待してる
しかし相変わらずタイトルが詐欺なのに詐欺じゃないなこれw
64
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/06/08(月) 17:15:24 ID:O2vb3YOU
まだかな?
65
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/01(水) 11:13:52 ID:rEWiF3xw
ほしゅ
66
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/26(日) 11:12:18 ID:K6nf2avg
わん
67
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/17(月) 18:19:26 ID:WlCAcTAQ
あげ
68
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/25(金) 15:49:44 ID:3WX9Q1oU
まだかのー
69
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/10/08(木) 07:22:55 ID:srQQefl.
ほ
70
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/10/29(木) 17:15:03 ID:Movavl9c
わんわんお
71
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/01(日) 22:46:58 ID:kP2m/4jQ
まだかのー
72
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:18:03 ID:sKQOQL4I
――
城門兵「……」
城門兵「む、お前か」
勇者「夜遅くにすみません」
城門兵「半人狼の件か?」
勇者「はい。 なにか手伝えることがあればと」
城門兵「それはありがたい」
城門兵「しかしこの時間に正門を開けば騒ぎになってしまう」
城門兵「悪いが裏へ回ってくれ」
73
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:21:36 ID:sKQOQL4I
勇者(裏門か……)
勇者(そういえば最初はここからお城に入ったんだっけ)
勇者(今日は新月……あれからまだ半月しか経ってないんだな……)
勇者「あれ……橋がかかってないぞ?」
女魔導師「あっ、やっぱり来た」
勇者「女魔導師さん。 こんばんは」
勇者「よかった、お城に入れなくて困ってたんだ」
74
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:25:23 ID:sKQOQL4I
女魔導師「勇者、なんの用かしら?」
勇者「えっ? 半人狼の死体はここにあるんだよね?」
女魔導師「ええそうよ。 今青様が解剖してるわ」
勇者「それなら対人狼の会議があるんじゃないの?」
女魔導師「そうね。 それで?」
勇者「僕にも参加させてよ! なにか協力できることがあるはず」
女魔導師「……いいわよ。 箒に乗りなさい」
勇者「う、うん。 ありがとう」
75
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:28:21 ID:sKQOQL4I
――
勇者「あの……女魔導師さん?」
女魔導師「なに?」
勇者「ここは……」
女魔導師「あたしの部屋よ。 知ってるでしょ」
勇者「そうじゃなくて……なんで?」
女魔導師「勇者、あなたがドラゴンを倒したのはいつだったの?」
勇者「……? 今日の明け方だよ」
女魔導師「ほらみなさい。 夜明け前から一睡もしてないんじゃない」
女魔導師「今日はもう体を休めたら? 話は明日にしましょう」
76
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:34:18 ID:sKQOQL4I
勇者「ぼ、僕は大丈夫だよ。 今の状況で休んでなんかいられないよ」
女魔導師「……」
女魔導師「わかったわ。あなたがそう言うなら無理強いはしない」
女魔導師「でもそれなら、まずはお説教ね」
勇者「えぇっ?」
女魔導師「答えて。 なんであの武闘家を信じたの?」
勇者「ぶ、武闘家さん? いい人じゃないか」
勇者「そうだ、武闘家さんはまだ城にいるの?」
女魔導師「あいつはね、王宮に半人狼の死体を放りこんだ後」
女魔導師「『これがお前たちの次に戦う敵だ、調べておけ』と言って」
女魔導師「そのまま帰ったのよ? 信じられる?」
77
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:38:10 ID:sKQOQL4I
女魔導師「あいつが魔族と繋がってたらどうするのよ」
勇者「で、でも女魔導師さんが見た人だから魔族ではないよね」
女魔導師「魔族に協力してるかもしれないでしょ」
女魔導師「人を簡単に信用しちゃだめよ」
女魔導師「公爵様の一件をもう忘れたの?」
勇者「……確かに不用心だったかもしれない」
勇者「でも武闘家さんはいい人だよ。 信じられる」
女魔導師「根拠はあるの?」
勇者「一度手を合わせたことがあるんだ。 だから……なんとなく分かるよ」
女魔導師「はぁー…………分かった」
女魔導師「そこまで言うのなら武闘家の話はそれでいいわ」
勇者「ごめんね、ありがとう」
78
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:42:50 ID:sKQOQL4I
勇者「それで女魔導師さん、伝えておかないといけないことがあるんだ」
女魔導師「……吟遊詩人のことね。 騎馬隊から情報はきてるわよ」
勇者「本当? 無事でよかった」
女魔導師「王都に入った吟遊詩人は見つけたの?」
勇者「いや……ダメだったよ」
女魔導師「そう……とにかく一度話をする必要がありそうね」
勇者「……」
勇者「女魔導師さんだったらあの時どうしたかな?」
女魔導師「あら? あなたがそんなことを聞くなんてね」
79
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:47:50 ID:sKQOQL4I
女魔導師「話が本当なら吟遊詩人の態度は問題ありね」
女魔導師「拘束した後、判断を仰ぐんじゃないかしら」
勇者「そっか……」
女魔導師「正直あなたの対応はどうかと思うわよ」
女魔導師「聖火で脅したりして……怒り狂ったらどうするの」
勇者「それで暴れるぐらいなら倒すしかない……よ」
女魔導師「……」
トンッ
勇者「えっ?」
勇者「っとっと……」フラフラ
トテン
80
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:51:31 ID:sKQOQL4I
勇者「お、女魔導師さん?」
女魔導師「言っとくけど魔法じゃないわよ。 眉間を指で押しただけ」
女魔導師「そのまま横になりなさい」
勇者「でも……」
女魔導師「大臣の時みたいに倒れたらどうするの」
女魔導師「あなたの力は必要よ。 だからこそ、いつでも使えるようにしておいて」
勇者「う……うん。 分かったよ」
勇者「女魔導師さんがそこまで言うのなら……休ませてもらうね」
女魔導師「そう……ありがとう」ホッ
81
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:54:39 ID:sKQOQL4I
翌日
勇者「んぅ……朝か。 熟睡してしまったな」
勇者(女魔導師さんは……いない?)
勇者「いったいどこに……」
姫「おはよう御座います、勇者様」
勇者「ひ、姫様!?」
82
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:56:16 ID:sKQOQL4I
勇者「どうしてここに……」
姫「勇者様がこちらにいらしていると聞いて」
姫「約束の場所までご一緒しようと思いましたの」
勇者(約束……国王様との話し合いか)
勇者(どうしよう……結局褒美なんて考えてないぞ)
姫「勇者様?」
勇者「ええと、姫様。 約束の正午まではまだ時間がありますよね?」
勇者「それまでに今の状態を知りたいのですが……」
姫「今の状態……?」
姫「勇者様も人狼狩りに参加されるのですか?」
勇者「もちろんです。 見過ごせません」
姫「まぁ……! 流石ですわ」
83
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 00:58:39 ID:sKQOQL4I
スタスタ
姫「城内の兵士なら知っている者がいるはずです」
勇者「すみません、姫様に案内させてしまって……」
姫「気になさらないでください。 私がそうしたいだけですわ」
姫「あ……まずはあの兵に声をかけましょう」
精鋭兵「姫様? あまり城内を出歩かれては……」
姫「大丈夫、今の王都で一番安全な場所はここですから」
勇者「……」
精鋭兵「なるほど。 貴方の隣なら安心だ」
勇者「そんな、買いかぶりすぎですよ」
84
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:05:52 ID:sKQOQL4I
勇者「精鋭兵さん、それで人狼の件ですが……」
精鋭兵「ええ。 大変なことになりましたね」
精鋭兵「人を伝染していく魔族……王都にとって最も危険な敵です」
精鋭兵「それが今もここ潜伏しているとは……」
勇者「……」
85
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:06:26 ID:sKQOQL4I
精鋭兵「対策ですが、やはり潜んでいる人狼を探しだすしかないでしょう」
精鋭兵「現在魔眼持ちの方々が王都中で捜索しています」
精鋭兵「魔族を見かけた場合、直ちに戻って報告するそうですので……」
精鋭兵「貴方は王宮で待機しているのがよろしいかと」
勇者(捜索と戦闘部隊が別なのか……)
勇者(確かに大人数だと感づかれるし、不意打ちでも一対一で戦うのは危険過ぎる……)
姫「王宮魔導師達の連絡待ちですか……勇者様、それでよろしいですか?」
勇者(女魔導師さんも捜索しているはず……手伝ってあげたいけど)
勇者「はい。 みんなの邪魔はしたくありません」
勇者(今の僕は目立ちすぎるな)
姫「でしたらついてきて欲しい場所があるのですが……」
86
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:09:01 ID:sKQOQL4I
勇者「ここは……大臣が軟禁されている部屋ですね」
姫「はい。 午前の内に問い詰めておきたくて」
勇者「……そうですね。 人狼にもなにか関係してるかもしれません」
勇者(……? おかしいな、この前は見張りがついていたのに……)
姫「ありがとうございます。 それでは入りましょう」
勇者「待って。 僕が開けますよ」
ガチャ
大臣「うぅ……あぁ……」
魔導師・緑「あ、姫様ぁ。 おはようございます」
87
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:11:42 ID:sKQOQL4I
大臣「あぁ……ひめさ……」
勇者(だ、大臣……!?)
勇者(口が半開きで目が虚ろ……)
勇者(死んでいるわけじゃなさそうだけど……これは……)
魔導師・緑「姫様の言いつけ通り、話しやすい状態にしておきましたよぉ」
姫「私は薬を用意しろとしか言っていませんが」
魔導師・緑「そうですかぁ? まあ同じことですよぉ」
勇者「薬……?」
魔導師・緑「あ、勇者さんもいたんですねぇ」
88
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:14:08 ID:sKQOQL4I
魔導師・緑「この度はドラゴン退治、お疲れ様でしたぁ」
魔導師・緑「塔から落ちるのが見えたので、てっきり死んだのかと思いましたよぉ」
勇者「……そうですね。 いつ死んでしまってもおかしくない戦いでした」
勇者(この知らせを女魔導師さんが聞いたからあんなに心配されたのかな)
魔導師・緑「生きてて良かったですねぇ〜」
勇者「それで緑さん。 薬というのは」
魔導師・緑「とても強い薬ですぅ。 ほぼ毒と言ってしまって問題ないほど……」
勇者「!!」
魔導師・緑「思考力を極端に弱くするものですねぇ」
89
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:16:16 ID:sKQOQL4I
魔導師・緑「こういう薬を使って情報収集するのがわたしの役目なんですよぉ〜」
姫「……緑、もう下がりなさい」
魔導師・緑「はぁ〜い」
魔導師・緑「……姫様」
姫「なんですか」
魔導師・緑「ふふっ、頑張ってくださいねぇ〜」
勇者「姫様、本当にこのまま……」
姫「はい。 この状態の大臣を問い詰めます」
姫「いいですね?」
大臣「あぁ……分かりました……姫様がそうおっしゃるなら……」
90
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:17:24 ID:sKQOQL4I
姫「では勇者様、昨日の続きをしてくださいますか?」
勇者「……」
姫「勇者様」
姫「この状態の大臣を放置すれば責任を問われるのは緑です」
勇者「……大丈夫です」
勇者「僕もここで問い詰めることには賛成ですよ」
勇者「少し驚いただけです。 すみません」
91
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:18:41 ID:sKQOQL4I
大臣「うぅ……」
勇者(ゾンビみたいな声……これは偶然かな)
勇者「大臣、僕が分かるか」
大臣「あぁ……分かるぞ……うぅ……」
勇者「あの夜、地下の死体だらけの部屋で何があったのか思い出したか?」
大臣「あぁ……?」
大臣「けん……研究所……お前は関係ないだろう……」
勇者「……」
勇者「あそこはいったい何なんだ? なにをしていた」
大臣「研究だ……呪文の……」
姫「!」ピク
92
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:24:05 ID:sKQOQL4I
勇者(呪文……意識を与えて物を操る魔法だと青さんが言っていたな……)
勇者(それで死体を操る術を研究していたのか……?)
勇者「大臣、研究していた呪文とはなんだ」
大臣「人体を……蘇生する呪文……」
勇者「蘇生……? 一体誰を……」
大臣「妃様だ……」
姫「なっ……嘘です!」
姫「お母様の亡骸は火葬されたはず……!」
大臣「すり……すり替えました……」
大臣「王宮魔導師に……偽物を用意させて……」
姫「大臣!」ガタッ
93
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:27:03 ID:sKQOQL4I
勇者「ひ、姫様!?」
姫「お前はそのようなことをして……私やお父様が喜ぶとでも思ったのですか!」
大臣「姫様……申し訳……申し訳ございません……」
姫「恥を知りなさい!」
姫「お母様の亡骸を穢したお前は!私とお父様を!王都の人間全てを侮辱したのです!」
姫「大臣! お前は王都を汚すゴミに他なりません!」
94
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 01:55:04 ID:elWOWuuw
おつ?
95
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 02:13:53 ID:8UeOsbkQ
乙乙
96
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 06:12:24 ID:Ol6A43xI
更新きた!!
またハードやなあ……乙
97
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/15(日) 08:30:39 ID:bkcrUMx6
乙
98
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/15(月) 12:49:00 ID:4a34ihJc
ほ
99
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/29(月) 23:40:48 ID:0ak9Hr4E
前スレから一気に見たけど面白すぎ
100
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/04(水) 00:22:03 ID:hXCleu9g
勇者「お、落ち着いてください!」
姫「勇者様! 背の大剣で大臣を斬ってくださいまし!」
バタンッ
精鋭兵「姫様! 何事ですか!」
姫「この痴れ者の首をはねなさい! 今すぐに!」
精鋭兵「な……!?」
勇者「一旦部屋の外に出ましょう!」
101
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/04(水) 00:24:06 ID:hXCleu9g
――
姫「はぁ……はぁ……」
勇者「姫様、大丈夫ですか?」
姫「……はい…………」
姫「大変見苦しいところを……申し訳ございません」
勇者「いえ、気にしないでください」
勇者「……」
勇者「姫様、そろそろ時間なので僕は……」
姫「時間……正午ですね」
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