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みんなで文才晒そうぜ part2
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/01/18(土) 18:14:17 ID:mNOcI4dM
ここはお題に沿った地の文込みのSSを晒すスレッドです
・主に地の文の練習や批評・感想の場として使ってください
・次スレは
>>990
が(規制等の際には有志が)必ず『宣言』して立てる事
・気楽な雑談がしたい方は酒場や休憩所でどうぞ
【注意】台詞形式のSSは受け付けておりません
前スレ
みんなで文才晒そうぜ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1352992635/
お題
>>2
429
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/07(火) 19:15:49 ID:c2Df7tbg
前の文章と繋がるように、ね
430
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/26(水) 10:32:02 ID:Ns7nnJnk
あげ
あと、お題変えよか
下1
431
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/26(水) 12:14:14 ID:IAcnbxd.
金魚
432
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/27(木) 21:46:47 ID:jXlCzFgA
子供の頃に見た金魚は、もう少しキラキラ輝いていたように思えた。
こんなにもよどんだ子供用プールの中で、せわしなく動き回ってたっけ。
一匹一匹がそれぞれ個性を光らせて、いつすくわれるのか……いつ救われるのかと、そんな風に人間達を見ていたような記憶が有るんだけどな。
僕の記憶が曖昧なのか。
「ようあんちゃん、一回二百円だよ」
店のおじさんにそう声を掛けられた。
昔ならどうしていただろうか。
母さんに「一回だけ」と懇願していただろうか。
……何でこんなにも魅力を感じないのだろう。
もしかしたら、よどんでいるのは僕の心なのかな。
このスレは初めて訪れました。
宜しくお願いします。
433
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/28(金) 02:45:14 ID:QX3UT/aU
>>432
なかなかいいと思う
すれてしまった自分への苛立ちが見えるね
このスレだからこそ漢字をひらくこと無く使えばいいんじゃないだろうか
掬われる しかり 淀む しかり
434
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/28(金) 19:55:28 ID:ipJUGJ0w
むしろひらがなだからこそ小学生と現在の対比がわかりやすく見えるのかと思ったけど
435
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/29(土) 11:17:01 ID:pKuRXHJ2
>>432
です
いろいろ助言をくださりありがとうございます。
漢字に関しましては、あまり多いと、固くなってしまうのではと思いました。
心の暗くなった青年の話なのですが、幼少期の回想を挟むとなると、どこか柔らかさを残しておきたかったので。
漢字でも良かったですかね(笑)
「平仮名の方が何かここ落ち着きそう」みたいな軽いノリで書いたので、まさかそこがピックアップされるとは。
436
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/11(金) 19:59:46 ID:esPG1sHo
あげ
お題、書きやすいのでよろ
直下
437
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/11(金) 20:00:21 ID:esPG1sHo
あげてなかった。
お題下
438
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/11(金) 20:19:54 ID:TEeubCZ6
寂寞
439
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/18(金) 22:14:43 ID:o2aHWMoM
書いた方がいいかなぁ。
どうにも思いつかない。
誰かのを読みたいあげ
440
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/12/07(月) 22:39:41 ID:159KsLeg
建物に足を踏み入れると、舞い散る埃が私を出迎えてくれた。淀んだ空気は新たに
侵入する者全てを拒むような、重苦しさと沈黙を長い間保ち続けていることを示していた。
かつて、この建物は街の中心であり多くの人々が新たな出会いを待ち、出迎えるための
場所であった。しかし、次々に立ち並んでいく建物の中に埋もれるが如く、街の中心から
遠ざかっていき、やがて誰からも見向きされなくなったのだ。
私がここを訪れたのは、単なる気紛れと偶然に過ぎなかった。たまたま遠出をして、ぼうっと
周囲を見渡していた時に見掛けた。以前にも訪れたことのある建物を見つけて、思わず足を運んだ。
ただそれだけであった。だが郷愁の念にも近い感情を持って訪れた私を出迎えたのは、この重く
湿った空気だけである。
あれほど賑わっていた場所が閑散としている様子は、誰もいなくなったこの場所同様に、私の心が
寂寞感に侵されるのは無理からぬことだった。
私の足音だけが響く。これ以上ここにいるのは無意味なように思えた。けれど願望に近い想いを
抱いていた。街の中心から遠ざかったとはいえ、まだこの建物は歴史の中に埋もれていない。
まだ現存している。それはまだこの建物が街の中心となることが可能であるということだ。
愚かしい思考であった。人々がこの場所を望んでいれば、そもそもここまで埋もれることは
なかったのだ。結局の所、過去はともかく現在では望まれていない場所であることの証左だ。
それでも私は未来に託す。これから誰かが訪れることを信じて、私が訪れた証を記す。
これからこの建物はどうなるのだろうか。埋もれていくだけなのだろうか。
きっとそれは、次に訪れる者の意思によって決定付けられるだろう。
441
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/12/20(日) 19:46:17 ID:wCI.8kAE
あげ
人いないね、このスレももう
簡単なお題よろしく、直下で
442
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/12/20(日) 23:53:11 ID:ezb59T/Y
「うさぎ」
443
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 22:39:13 ID:qNmTHJjw
あげ
誰か書いてくれんかね
さすがに連続で書き込むのは気が引けるし、他の人の文章を読みたいものだ
他の人が書いた文章の感想や批評をしても構わないんだ
もっと気軽に参加、しよう!
444
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/02(火) 00:54:03 ID:ajqtJTxE
>>440
文章が妙に重苦しくてバタ臭いし、長々書いているわりには結局は「過去の遺物が未来において復活することを望む」
程度のことしか言っていない
すなわち、叙述の見事さもなければ全く思想や哲学もない面白みのない文章
上から目線でスマソ でもこれが正直な感想だわ
445
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/03(水) 22:12:13 ID:VkRoJde2
>>444
まさか感想がくるとはな。構わんというか、真っ当な感想くれるなら嬉しい限りよ
ただ、全体に隠された意図(というほど大げさではないが)に気付いてもらず残念な限りだ
もう少し軽い感じの文章にすれば、読みやすさから気付いてもらえたかもしれんが
意図に気付いていたなら……うん、精進します
446
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/03(水) 22:17:04 ID:VkRoJde2
1つのお題につき、1人しか書いてはならないルールはない
なのでどんどん気軽に投稿してもらいたい
お題は
>>442
です
賑わって、深夜VIPの中心になるといいな
447
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/03(水) 22:50:58 ID:DVoPpn/M
>>445
>>444
だ なるほど「この建物」っていうのはこのスレのことか
うまいこと書くなあ
まあ文章はもうちょっと軽いほうがいいと思う
英語をそのまま和訳したような文章だからくどい
448
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/04(木) 00:55:54 ID:JzE6BIps
>>440
おおー、気付かなかった、そう見ると中々内容がありますね
ss深夜なんだし、もっと夜を描写に入れたらもっと伝わり易いし、もっとそれっぽくなりそうですね
淀んだ空気は〜示していた:は和文英訳でもないし、もう少し自然な日本語にした方が良いのでは?
私がここを訪れたのは〜ただそれだけであった:かなり個人の感覚に依るけども、リズムが微妙かも。『だが〜』に余韻を持たせるのにも、文書全体にある程度緩急を付けるにももう少し短文にして句読点打たない方が良いかも
あれほど〜無理からぬことだった:主述が噛み合ってない、致命的だと思います
文語調なんだから「けれど」を「けれども」にしたほうがベターかな
後半部分、現在から語るならちゃんと現在に文末を揃えましょう、ノリと雰囲気で過去形混ぜちゃダメだと思う
「であった」「である」「であろう」「だ」「だった」「だろう」も統一しましょう
あと「湿った空気」とあるけど、どうして閑散としたスレッドが湿ったという印象になるのか良くわからない。どちらかというと乾いたイメージなんだけど
あと、無生物を主語にするの好きっぽいけど、まずはちゃんとした日本語で練習してからそういう文に移行しましょう!
全体として結構上手だと思うから頑張ってください
あ、ど素人なんで、真に受けないでね
449
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/04(木) 22:33:26 ID:mA.rClQw
思いは伝わるけど言われなきゃ分からん
というドドドド素人の感想です
450
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/04(木) 22:43:16 ID:Lz33n1nE
「うさぎ」
「うさぎごっこ!」と、彼女はいった。
うさぎごっこって何?と聞くと、彼女はそれには答えずぴょーんぴょんと歌い出した。うさぎごっこがはじまった。
突拍子がないのはいつものことだ。この前だって道を歩いていたら急に郵便ポストと背比べを始めたくらいだ。
あれは傑作だった。
その時のことをぼんやり思い返している内に、歌にあわせた踊りが始まっていた。
踊りといってもやたらめったらに跳ねるだけで決まった形があるわけじゃない。
両手を耳の横にぴょこりと添えて前後左右に跳ねる、跳ねる。
とても楽しそうだ。いつにもまして常きげん。
なるほど、これがうさぎごっこ。
「ね、ね。いっしょにしよう?」
白い息と一緒にお誘いの言葉をうけるけれど、あいにくそこまで狂ってない。
断る言い訳をさがして視線を彷徨わせると、赤い自動販売機があった。
なにかあたたかいものでもいる? 買ってくるよ。
うん、じゃあニンジン!
ニンジンか、ニンジン。あるかなあ?
一人で跳ねる彼女をうしろに財布の小銭を漁ると、指先に冷たくずっしりした感触があった。ニンジンがあった。
はい、ニンジン、と振り向いて差し出すと白くて長い耳が2つ揺れていた。
どうもその耳は彼女の頭から生えているようで、思わずぎゅっと握ると、彼女はひゅるひゅる縮んで小さくて白いうさぎになった。
耳を持ってぶら下げても大丈夫なのかと心配だったが、うさぎはそんなことおかまいなしにニンジンをもとめていた。
いいからニンジン、ニンジンくれよ。
そう言わんばかりにニンジンを凝視して、鼻をヒクつかせている。
口元にニンジンをはこんでやると小動物らしく一心不乱にかじりはじめた。
ニンジンうまいぜ、ニンジン。
あんまり美味しそうだったので反対側の端をかじると、ニンジンはパチンと弾けて消えてしまった。
後はビックリした顔のうさぎと僕がいるばかり。
451
:
(1/2)
:2016/02/05(金) 00:35:40 ID:zec.FbLA
教室の窓から夕暮れの校庭を見下ろすと、もう人影は少ない。皆長い影をひいて思い思いに動いている。楕円のトラックをなぞる影を見つめるともなく追いかけていると、下校のチャイムが鳴った。結局進まなかった課題をカバンにしまって伸びをする。チャイムを聞いた校庭の人達も部室棟へ引き上げていく。
その中にひとつだけ逆行する影があった。その影は用具入れから校庭の真ん中を横切ってまっすぐに飼育小屋を目指している。気になってよく見ると大きなスコップを抱えていた。
鞄を持ち、コートを羽織る。階段を駆け下りて、スニーカーを履き、いそぎ足で飼育小屋へ向かう。校庭の一番隅にあるそこに行くのは久しぶりのことだった。先ほどの人影はもう見えなかったが、居る場所は分かっていた。
独特の臭いがする飼育小屋の角を曲がると土を掘る音が聞こえた。その音は単調でいっそ機械的なほどに一定のリズムを刻んでいる。もうひとつ角を曲がり、裏へ回ると彼は視線を上げてちょっと目を見開いてからゆっくり挨拶をした。その間も土を掘る手は止まらない。
「また、来たんだね」
「そうみたいね」
「うん」
彼が土を掘っているのを見るのは二回目だった。
一度目は随分動転したものだけれど、今日は不思議と落ち着いていた。彼が前と変わらないせいかもしれない。スコップを刺して、踏んで、起こす。持ち上げるときに骨ばった手指がわずかに白くなるのもまったく同じだった。
「なんていうの?」
「カフェオレ」
「変な名前」
「そうだね」
それから少し会話が止まり、スコップの音だけが響いた。僕はスコップの先や足元やらをあてどなく見て、ただ呆けていた。夕暮れは深まって、空気が夜の冷たさをはらんできた。普段から日の当たらない飼育小屋の裏はますます暗い。
しばらくして沈黙に飽き、次の言葉を探していると、一際大きな音のあとに、音がやんだ。スコップは穴のわきに突き立って、厳然とそびえている。穴は脛が半分うまるほどになって、掘り起こした土はちょっとした盛り上がりをみせていた。
彼は穴から二歩離れ、出来栄えを確かめるように穴を眺めていた。
452
:
(2/2)
:2016/02/05(金) 00:36:35 ID:zec.FbLA
「できた?」
「まだもうちょっと」
「手伝うよ」
「制服、汚れるよ」
「いいよ」
彼がつい先程まで握っていたスコップの柄は驚くほど冷えていた。思わず彼の指先をみると暗がりの中でいっそう白く浮き上がっている。その白さは確かに鉄の冷たさを思わせた。
スコップの先を穴の底に突き刺すと、思ったよりも大きく、歪な音がした。それは彼の音とは根本から違い、この空間にとって明らかな異物だった。ただそれだけで僕は、彼の作っていた精緻な構造物を壊してしまったような気分になってしまった。
恐る恐る彼の様子をみると、しかし、彼はまったく頓着することなくしゃがみこんで、ただ彼の足元だけを愛でている。
僕はすっかりやけになって、何度もスコップの先を穴に叩きつけ、十分にほぐれると力まかせに底の土を放り出す。決まった動きもなく、感情に任せ、猥雑にただスコップを使った。僕はただ穴を掘ることに熱中した。日は沈んだというのに、スコップの先は不思議とよく見え、目一杯身体を動かしているのに、身体は芯まで冷えていく。
いつしか彼は僕の隣に立ってなんども繰り返し同じ言葉を言う。
「深く」
「もっと深くだよ」
穴の底に星が映り、僕達の足元は一層黒々とした暗さで横たわっている。
453
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/21(日) 14:42:49 ID:va1qHbnc
>>450
文章に息継ぎがなくて息苦しい感じ
>>451
重苦しいしよくわからん
454
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/22(火) 23:12:20 ID:CKDxuSL6
上げ
ついでにお題変えよう
頼む
>>455
455
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/22(火) 23:18:14 ID:emWt4f8Y
中華料理
456
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/23(水) 16:30:12 ID:iqh.4PUY
一ヶ月も放置されたスレ上げんなよ
荒らしかよ
457
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/23(水) 23:43:35 ID:AkyO7F.E
>>456
このスレはこのぐらいで通常進行よ
半年ROMれ
458
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/24(木) 07:52:39 ID:mC43VlLQ
半年ROMっても100レス行かないんだよなあ…
459
:
(1/2)
:2016/08/22(月) 20:53:02 ID:IbNCNskU
何か月も放置されたスレに初投下です。よろしくお願いします。
「中華料理」
ある昼間、テレビの中で炎が上がる。蒸し器が中華鍋の上で炎上していた。
どうやらシュウマイを作ろうとしていたらしい。中華鍋の中身は水ではなく油のようだが。
「そりゃ燃えるよ」
画面では水をかけて消火しようとしたらしく、大きく火柱が上がった。さすがにスタッフが濡れ布巾で消火にかかる。
当然完成品は表面が黒焦げで中身は半生という代物。友人による味見があったがどうやら味付けの段階で醤油を混ぜすぎたらしく苦さと塩辛さで涙目になっていた。
馬鹿なことをしているなと思う反面、料理をしない人間が作り方の知らない料理を作るとどうなるかと考えるとこうなるのが現実なのだろうと納得もする。
そして自分とて料理が得意とは言えない。作り方の知らない料理など山ほどある。もし自分がこんな場面に挑戦することになったなら、どうなるのだろうか。
過去の自分を、子供のころ母に見栄を張り料理に挑戦した時のことを思い返す。
460
:
(2/2)
:2016/08/22(月) 20:53:34 ID:IbNCNskU
冷蔵庫のキュウリとネギとキャベツ、それに豚バラ肉とニンニク、冷凍庫に眠る切り餅がその時の自分が選んだ食材だった。
余っていた調味料の中から適当に選び豆板醤と醤油を混ぜて味を見た。酢で割って餃子のタレに使うと美味しそうな味になったのを覚えている。
キュウリを適当に乱切りに、ネギを斜め切りに、キャベツをざく切りにする。肉も一口大に切り、ニンニクを微塵切りにした。学校で教わった切り方を試してみたかったから。
母親の動作を思い出しながらフライパンに油を引きニンニクを炒める、肉を炒める、ネギを入れ、キャベツを入れ、キュウリを入れる。先ほど混ぜた豆板醤と醤油を混ぜ、コショウも振りかけ炒め続ける。
適当に火が通ったと思った段階で大皿に盛りつけた。味見もしなかった。切り餅を焼いて、その切り餅も膨らみすぎて金網にへばり付いていた。
「美味しく、ない」
当然見よう見まねとうろ覚えと適当の三拍子で作られ出来上がった炒め物は別に美味しいわけでもなかった。切り餅を焼いている間に少し冷めたことも無関係ではなかったかもしれない。
そして幼い自分には自分で作っておいてこの料理が何に分類されるのかがわからなかった。そして今でもわからない。
あの時の自分とあの番組で失敗していた大学生の違いは何だろう。お題の有無? 知識の有無? 年齢の有無? 料理経験の有無? センスの有無? 観測者の有無?
いつの間にか番組のコーナーは終わっていた。出演者たちがプロの作った美味しそうなシュウマイを食べている。
それを見て思う。きっと、違いなどないのだろう。失敗は失敗だ。その程度が大きく、面白いが故に番組に採用された。
あの時に自分が作った料理は、食べられなくはなかった。子供の微笑ましい失敗ではあったのかもしれない。だが面白くはない。そんな失敗料理。
美味しい料理。今の世の中には溢れすぎているほどだろう。店が乱立し、料理作りを学ぶ機会を人々から奪うほどに。
だが、きっとそれよりも前から世の中には美味しい料理は溢れていたはずだ。いつの時代も母は子の為に美味しい料理を作ってきたのだから。あの時、失敗料理に苦笑いしながらも頭を撫でてくれた母のように。次の日、大好物の餃子を作ってくれた母のように。
電話が鳴る。ディスプレイに表示されていた登録名は――
「もしもし、え? 大丈夫、そろそろ実家が恋しくなってきたとこだったから」
461
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/08/22(月) 23:49:08 ID:D4sJa1dw
蝉の鳴き声、応援席からの応援、様々な音が入り交じり、暑い場内を焦がす。
誰がどう見ても熱く、そして拮抗した試合。お互いに譲れない一進一退の攻防。
場内にいる様々な人の様々な想いを、太陽は容赦なく焼き尽くす。
永遠にも感じられた試合は、些細なミスでダムを壊すかのように決定的なものになってしまった。
僕たちは負けた。大学生活で、これが最後の試合になった。
その日の夜、僕たちは近所の中華料理へと足を運んだ。いつも試合の後は、何故か決まってこのお店に来る。
少し汚いが、活気の溢れる賑やかな店内を見回す。ふとカウンター席の奥に、大きな火柱が見えた。
大きな中華鍋を、片手で軽々と扱う料理人。一瞬の間に熱せられ、油により調理されていく食材達。
その混沌とした食材達は、昼間の僕たちの様だと思った。
「お前なに泣いてんだよ、そんなに腹減ったか?」
ああ、この頬を流れる温もりは涙のものだったのか。
意味も分からない得心をし、視線を厨房に戻すと、もう既に食材達は
「お待たせ致しました!ご注文の品です!」
462
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/14(水) 01:58:53 ID:9GdztmdY
私は昨今のグローバル社会に諸手を挙げて歓迎したい。さらに言えば、井戸端会議ですら世界情勢と野菜の生産地を話題にするこの時代に感謝したい。
新装開店である。
私は古いのれんをわざわざ一度掛け直してから、開店時間に取り外した。常連たちのまばらな拍手が心地良い。
古いのれんは「中華料理屋」。新しいのれんは「台湾料理屋」だ。
ここに至るまで四十年。
先代の親父が日本に来たとき、この国では"日本人の口に合う"中華料理がブームだった。
四川も北京も広東も台北もひとまとめにして「中華」と呼ばれていた。
台湾人の味覚は日本人と似ているから、先代も「中華の和風アレンジ料理」を次々に生み出した。
以来、親子二代に渡り、お客様の求める油ぎった炒飯を作ってきた。
山椒と七味で劇薬のようになった麻婆豆腐をお出ししてきたのだ。
「今日からは、違う!」
台湾は海沿いの国である。料理の目玉と言えば海産物なのだ。
台湾の気候は夏夏夏冬である。辛味で無理やり血行を上げる必要はない。
ああ、さらば乾燥地帯。湿度と台風にまみれる我が祖国の味は、日本人のメジャー・ディナーとして一躍羽ばたくであろう!
「台湾料理になると、どうなるんだ」常連が問う。
「日本人好みの味になりますよ」
「じゃあ、今までと変わらないってことか」
その言葉が耳に残る。我々は日本人の舌に合う味を作るために苦心した。
そのために元の料理を根本から変えたこともある。
「もう炒飯、作ってくれないのかい」
私は少し考えてから、答えた。
「炒飯ではなく、台湾炒飯なら」
「なにが違うんだ」
「海老が入ってます」
463
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/14(水) 17:29:32 ID:E/O2.bko
KANSOU貼ります
>>450
ひたすらかわいいぜ…な文章
かわいいぜ…
主観になってる人物の感情が読み取れないので感情移入し辛いところがある
一人称が僕であることすら最後まで読まないと出てこないので余計にそう思ってしまった
>>451
意図する所はいまいち読み取れなかったけど
>「彼がつい先程まで握っていたスコップの柄は〜鉄の冷たさを思わせた。」
この文は質感が表現されててステキ
とりあえず最初の一行からして「人影」、「長い影」、「トラックをなぞる影」と似たような言葉が続いて冗長な印象を感じる
>「一際大きな音のあとに、音がやんだ。」
ここも同じく
464
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/14(水) 17:54:06 ID:E/O2.bko
>>459
文章も展開も丁寧という印象
料理フェイズのテンポがいいね
しかし回想と現在の切り替えがやや弱い気もする
あとは展開の話になるけど、不味そうな調理描写でジッサイマズイというのも文章に起伏がなくなってしまう
当時はそれでもベストを尽くしたのだろうから
美味そうな描写をして、一口食べてみたら泡を吹いた、ぐらいのほうがメリハリがつくかもしれない
>>461
短いけどやりたいことは伝わる、いい文章じゃないかしら
どうしても最後がぶつきりになっているように感じるので
炎天下のグランドと同一視したそれを、食べたのか食べなかったのかオチまでしっかり描写するだけで作品になると思う
465
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/15(木) 00:26:58 ID:iyTe1SSQ
ODAIください↓
466
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/15(木) 00:33:58 ID:QKJCsq.A
>>464
感想ありがとうございます。
次のお題の時はメリハリ意識してパンチのきいた物が書けるよう努力します。
467
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/15(木) 00:37:47 ID:QKJCsq.A
すみませんお題踏みました。
再募集でないなら「浮気」でお願いします。
468
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/15(木) 11:53:14 ID:sqTPwq0A
>>462
店長の意気込みに対して、常連さんの「今までと変わらないってことか」という台詞との食い違いに引っ掛かりを覚えたんだが
最後のオチに「いやそれ殆ど変わらないし」とツッコんでしまって更にモヤっとした
うまい
台湾料理を食べた常連に「あまり変わってないように思えるけど、何が変わったんだい」と言わせるのも微妙な後味の悪さが増してより効果的かもしれない
469
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/26(月) 00:43:57 ID:c/HX7Yog
二人きりの放課後の教室で突然に「好きだよ」なんて言われたら、誰だって最初は戸惑うに違いない。
クラスメイトという繋がり以外で、文芸部の中でも日陰役の私と運動部のエースの彼とに、接点なんてなかった。
「昼休みによく本を読んでるみたいだけどさ、いつも表紙が違うよね。なんだか大きくなってるし」
机を挟んで喋る彼の目が私をまっすぐに見つめてくる。
緊張とか恥ずかしさとか生きていることに対する申し訳なさとかがない交ぜになって、私にできたことは震えた呼吸すらも喉に突っかからせた不器用な相槌くらいだった。
ろくな会話もできなくて、そのうえ顔を俯かせて机の表面のみに視線を向ける。
私の行き来する視線が鉋(かんな)だったら、机なんてぺらぺらに削り取られていただろう。
「俺と付き合ってみないかな」
彼が机に身を乗り出した、衣擦れの音がした。
なにかに驚いて動きを止める猫のように、私の体も瞬間的に強張って縮こまってしまう。
「あ……そ、わ、わたし……す、す……」
頭の中では毛糸でセーターを編むように伝えたい気持ちがまとまっているのに、挙句の果てに口からは出る言葉は裁断機にかけられて、まるでひじきみたいになっていた。
「はい」のたった一言も返せないことが無性に情けなく思えてきて、目の奥からじわりと熱いものが溢れてきた。
彼を遠くから眺めているのを隠したくなくて、学校に持ってくる本をお手軽な文庫本から、ちょっと重いけど顔を隠しやすい単行本に変えることまでした。その単行本を強く抱きしめて、泣くのだけは必死になって我慢する。
彼にこんな醜態を晒し続けるくらいなら、付き合えなくなってもいいからすぐにでもこの場から逃げ出したい。
それでまた彼との間に国境線が敷かれて、いつも通りに、繁栄している隣の国の王子様を覗き見る日々に帰るんだ。
それが私にはお似合いなんだ。
自棄になった自己嫌悪でもっと強く本を抱きしめると、急に本が反発して体から離れようとした。
「本が好きなのは知ってるけどさ。さすがに会話中にも抱きしめられると妬いちゃうよ」
男子の力は想像以上に強くて、いとも簡単に私から引き抜いてしまった。
本を追いかけようとして咄嗟に動かした私の視線は、彼の笑顔と鉢合わせて止まる。
彼が頭の上に本を掲げて言った。
「本が一番でいいからさ、間男のつもりで俺と遊んでみようよ」
なんの悪もない提案に、私は口の中に溜まった唾液を飲み込んでから、頭を弾かれた赤べこみたく小刻みに何度も頷き返した。
470
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/06(木) 01:27:06 ID:nJz7/nJU
>>469
結構好きな雰囲気。ニヤニヤしながら読めた。
ただ接点がないって明言されてるけど男側の惚れた理由が気になる。
あと16行目のは「隠したくなくて」で合ってるのか「隠したくなって」なのか。
471
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/08(土) 21:31:04 ID:vhPeimec
>>469
好き
長編で読みたいね
472
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/09(日) 19:50:14 ID:TzO5eZL6
賑わう必要はない
アイディア枯渇系SS難民のために毎週お題を出せ
473
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/09(日) 20:25:22 ID:EC7W8T2I
お題サイトググるとか
酒場か休憩所で題募集すれば良いんじゃね
474
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/14(金) 08:26:38 ID:Vn/ZsEAE
過疎スレに毎週を求めるのは酷
お題↓
475
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/14(金) 12:46:07 ID:5CPomqRA
食欲の秋って事で、食レポ
476
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/02(水) 01:12:25 ID:BXQii2m6
お題↓
477
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/02(水) 01:52:06 ID:jfpskPVM
1ヶ月で見切り付けるのは早過ぎるだろ
引き続き食レポ
478
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/05(土) 01:43:28 ID:ctosQtfg
秋の終わりの温度を連れて帰ってきた妹はせっせと手をこすり合わせながら、テーブルに置かれたラーメンに目を輝かせた。
「食べたほうが早くあったまるよ」と教えてあげると、光明を得たりと目を見開いて箸立てから自分の箸を取り出した。
「にーちん、なると。なると入れたの珍しい。めんまもある。お店のラーメンみたい。すごいね、にーちん」
即席ラーメンなのにここまで嬉しそうにされると、なんだか騙しているみたいで逆に申し訳なくなる。
料理の腕を自慢するのは嘘くさく、かといって謙遜するのもずるい気がして無難にありがとうと答えておいた。
好き嫌いのない妹は料理を出せばなんでもおいしそうに食べてくれるし、実際に何度もおいしいと言ってくれる。
「そのラーメンの何が美味しい」
いつも通りのやり取りは、毎回決まって何が美味しいかから始まる。
妹はどんぶりから顔を上げると、ぱちぱちと瞬きをしてから箸をおいて目をつむった。
「なんだろうね。でもおいしいの」
問いかけにわざと眉根にしわを作って、難しそうな声を演技する。
「麺はつるつる食べれてぱくぱくで、おいしいの。スープもごくごく飲めておいしいの」
どこでそう覚えたのか、妹にとって腕組みをしながら話すのが一番評論家らしいポーズとのことだった。
「めんまもなるともおいしくて、どうしようもない」
今回は「どうしようもない」ときた。思わず噴き出しそうになるのを抑え込み、僕もそうだねと同意する。
妹の総評は独特で、まるで誘導をかけられているのかのごとく食事のたびに聞いてしまうのだ。
「にーちんが作ってくれる料理ってなんだかいつもどうしようもないの」
いくら楽しそうな笑顔を見せられても、いつもどうしようもないと言われると、さすがに苦笑しかできなかった。
479
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/05(土) 01:50:18 ID:9aZeMTP2
読みやすくて良い文章だな、妹可愛い
メンマとナルトってまた微妙なもんをチョイスしたなとは思ったけど
480
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/05(土) 13:45:44 ID:ChLboO8g
これは可愛い
481
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/09(水) 10:07:11 ID:UPqL.lM2
お題↓
482
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/09(水) 15:29:37 ID:mzUR/icQ
カイロ
483
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/10(木) 02:18:41 ID:.2mWMBL.
操舵室の扉が勢いよく開くと寒さに身を震わせた大男が駆け込んできた。
「ういー、寒い寒い。こんな時期に五分も甲板に出てたら死んじまうわ」
これまでも再三の注意を受けてもなお、大男は音を立てて愛船の扉を乱暴に閉めてくれた。
ただでさえ気が立っている中での無神経な行動に、考えるよりも先に舌打ちが鳴る。
「いくら聞かせても治らないなら、次は海に蹴落としてやるからな」
「怖い声だすなよ。買ったばかりの船なんだろ。ちょっと強く閉めたくらいじゃ壊れねえって」
なだめるつもりではなく、この大男は本気でそう思っているから質が悪い。
新品だからこそ丁寧に扱うというごくごく当たり前の感覚なんて、体に張りつく雪の一片ほども備わっていないらしい。
いくら会社の都合上とは言え、雪が吹き荒ぶ極寒の航路。
本人への説明はおろか事前通達もなしに決定事項として振り分けるとは、つくづく頭のイカレタ上司だと思う。
しかもその上司は別の船に乗って南国の穏やかな海を、しかも緩やかな期日でバカンス気分も半分に
仕事をしていると思うと、殺意なんていくらでも湧いて出てくるものだった。
「こちとらプライベート用の船として買ってんだぞ。手当は納得いく分が出んだろうな、ああ?」
「俺だって書類上は昨日から有給取ってんだよ。我慢が必要な世界と承知の上で入ったんだろ」
三日かけて積もり積もった苛立ちを大男にぶつけると、いかにも迷惑そうに手を振って答える。
憧れていた仕事だなんて他言したことはなかったけれど、しっかりと見抜かれているだけに反論はできなかった。
「そうだけどよ」と小声でぼやいて煙草に火をつける。情けないことしてんなと自虐的に思う。
煙を肺にたっぷりため込んでから吐き出すと、頭に上っていた血がゆっくりと全身に流れていくのを感じた。
「運び屋の真似がしたくて入ったわけじゃねえんだよ」
「それもお互い様だ。よく分からん機械の部品を運びたくて船乗りになったわけじゃない」
大男は持ち込んだ荷物の中から使い捨てのホッカイロを取り出すと、袋の端を握って豪快に振る。
所詮は使われる側ってのは振り回されるだけか、と考えていると、それも見透かしたように大男は鼻で笑った。
484
:
長くなってすみません
:2016/11/10(木) 16:22:17 ID:HXCQAHsk
「こちらからくじを一枚引いていただけますかー」
言われるがままに、黄色い箱の黒い亀裂に右腕を突っ込む。中でピンと立っている一枚にぶつかったので、それを引き抜く。見ると、なんか赤い。
「お、あたりですね〜。今すぐお持ちしましょうか?」
「あはい」
内容も知らずに条件反射で答えてしまう。
もちろん、ニコニコ顔の青年店員は頼まれたとおりにレジから出て景品を棚から探しにいくが、その間に自分の後ろには3人のパーティメンバーが連なる。まあ、面持ちは芳しくない。
2分くらい探してようやく見つけた店員からは「お待たせしてすみません」との一言をもらうが、肝心の賞が「ほかほカイロ2枚セット」という微妙なもので、数人待たせて探してもらった手前受け取らない訳にもいかずに
「こちらこそすみません」
と呟いてしまい、ニコニコの頭上に「?」のランプが灯った。そそくさとコンビニを出る。
立冬済みの夕空。寒くない訳ではないが、カイロを使うほどの移動距離ではない。とは思うもののレジ袋から一枚を破り出す。結局下駄箱の奥にでも置いて使用期限を過ぎるのがこういうものの末路なら、いろいろと合算すれば使った方が無駄にはならない。
そして結局、ほのぬくい程度の発熱量で家に着く。知ってた、と思いながら住み慣れた306号室へ階段を上ると、2階から3階にかけての踊り場で背後から「こんにちは」との挨拶。
見やると、202号室の夫婦の娘さんが居て、冷たいコンクリにへたれこんで寒そうにしていた。軽く話を聞くと、今日は両親が出かけることを忘れて家の鍵を置きっぱなしで学校に行ってしまったらしい。いつもはこんなに喋ったりしないのにと思っただが、見れば手元のスマホの画面が真っ暗だった。余程暇だったんだろうか。
二言三言の会話だったが、娘さんは俺が家に帰ろうとしていたのを思い出したのか、
「あ、寒いですよねごめんなさいどうぞおかえりくださいませ」
と震えた早口で違和感のある敬語を言われるものだから、思わず残りのカイロを出して「これ使って、じゃあ」とたかたか306号室へ上がった。ご近所さんからできる親切のベストアンサーだと、玄関前でガッツポーズするも。
「あれあったかくなるの遅いんだった」
熱々のカイロがダウンジャケットの右ポケットで無駄になっていた。踵を返し、もう一度下へ。あーかっこわるい。
485
:
長くなってすみません
:2016/11/10(木) 16:22:53 ID:HXCQAHsk
その後も何度か家と踊り場を往復し、冷え切った細い手にはやけどするくらいのカイロとココアを与え、彼女に暇だからと望まれたのでいくつか話をした。家にあげてくれないかとも言われたが、一人暮らしの男子大学生としての世間体を説くときゃははと笑われた。
バイトの時間が迫っていたので、家にあった適当なマンガを三冊持ち出して「つまんなかったら家のポストに突っ込んどいて」と言って階段を下りる。
後頭部あたりを目掛けて、声が飛んできた。
「ありがとねー。バイトがんばってね、カイロのお兄さーん」
だらしない顔してるのはなんとか自覚できたので、後ろ向きに手を振った。
二か月後、生活のルーティーンが揃わなかったか、彼女と再び会うこともなく202号室は空室になった。大家さんによれば、一軒家に引っ越したのだとか。
ふと彼女に貸した漫画を手に取ると、ちょうど中間のページに平たくなったカイロが挟まっていた。未使用の方か、と懐かしくなり、じろじろと眺めて裏っ返す。
マンガ 面白かったです
嫌じゃなければ続き 私の家のポストに入れてください
小さい字で、そう書いてあった。「うっわやっちゃった」、と呟いた。思わず深いため息が出た。なんならちょっと涙ぐんだ。気持ち悪、俺。
気落ちしているとインターホンが鳴る。半端な時間だからきっと勧誘系だとたかを括って「もしもし」とぶっきらぼうに答える。
「あ、え、いや、その……カイロの、お兄さん?」
思わず深いため息が出た。なんなら、ちょっと。
486
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/11(金) 00:02:48 ID:dXed6X5I
>>484-485
電車の中でチラ見。家に帰ってからもチラ見。
読み返せばいくらでも修正箇所が出てくるからそれだけでもったいない。
所々で1文の長さにこだわっているのか無駄に引き延ばしているような印象が……。
単語ひとつにまとめられるものはコンパクトに縮めてほしいな。
短くなった分を本来必要な状況描写で稼げるようになったら読みやすくなるんでね?
娘さんが可愛いし、メッセージに気付いてもらえなかったのが本当の本当にかわいそう。
最後に会えてよかったね、カイロの兄さん、娘さんに感謝だね、娘さんかわいい。
優しい緩い雰囲気が好きでした。
直せる部分が多いと思うから、だからこそ次のお題も楽しみよ。
487
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/11(金) 04:09:45 ID:wSYDnZAo
いつかここで投下してみたいんだが、
文才のある文が具体的にどういう文なのかすら分からない
488
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/11(金) 06:34:08 ID:kMqU5puA
文才があるかどうかじゃなくて今現在の文才を晒そうぜな場所だし
文才ゼロでも気にせず絶賛オールカモン
489
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/11(金) 14:31:28 ID:axnU0TMs
>>486
ありがとうございました いろいろすみません
今読み返すだけでもコンビニの下りが無駄すぎて恥ずかしくなります
ほんとすみません がんばります
490
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/13(日) 22:39:58 ID:p6burNx.
「はい、お手」
俺が靴を履き替え終わるのを見計らい、彼女が手を差し出した。
大好物の飴をせがむ孫娘のような愛おしい笑顔を見せながら……こいつ、今なんて言った。
掌を上に向けてこちらに伸びる手は、指をきれいに揃えていて行儀が正しい。
聞き間違いである可能性も無きにしもあらずと思い、彼女の顔に視線を移すと、
そちらもまた唇を尖らせて不思議そうに首を傾けた。
そんな顔をしたいのは、とてもとても俺の方なわけだけども。
「この手は何だ」
「お手」
なるほど。聞き間違いではない。スムーズな返答をありがとう。
理想的な意思疎通が行われていたとしても、これは決して会話ではない。
最近見たテレビでジャーナリストが『中国語は最も効率のいい言語だ』と
言っていたのを思い出したが、つまりはこういう会話術のことだろうか。
などと思考を巡らせた後、とりあえず俺は何も見聞きしていないことにして学校を出た。
無垢なくせして一人前に恥ずかしがり屋なところを本人が自覚するのはいつの日か。
クラスの女子から可愛い妹扱いされていると不機嫌に頬を膨らませるが、まあ妥当だろう。
「まだ鞄の中にホッカイロ残ってるだろ。それでも使ってろ」
「え、あ……ホッカイロは、友達に、あげて……」
言葉に詰まったときは嘘。隠し事にまったく向かない性格は、不本意だが愛らしい。
「お手」
「……いじわる」
悔しそうに唇を噛む彼女。この性格同士だから居心地がいいのかもしれないと思った。
491
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/16(水) 02:04:26 ID:7qbdZp3A
次いこか
解釈自由な下記やすいやつ
お題↓
492
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/16(水) 08:45:52 ID:Msxvk0hA
ウォーズマン
493
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/16(水) 17:10:08 ID:Hflw04lc
もう(キン肉マンしか)ないじゃん
494
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/16(水) 22:06:11 ID:i81SRcOE
版権ネタはさすがにな
書ける人が多数ってわけでもないだろし変えていいでしょ
お題↓
495
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/16(水) 22:16:07 ID:DhbGlPjs
月見
496
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/19(土) 22:40:12 ID:AU2pOmyU
sage
497
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/24(木) 00:56:46 ID:jnLSAqqc
今夜は月が一番明るく輝くらしい。ついでに大きく見えるとかなんとか。
そんなことを登校前にたまたま見ていたニュースで言っていたと教えても、
部長はまったく興味を示さず、ただキャンバスに鉛筆で線を描くだけだった。
巷の話題にはまったくと言っていいほどに疎く、自分のしたいことだけをする。
三年生たちが抜けても部員の新規獲得に乗り出さなかったのは、
若さが跳梁跋扈する騒々しい限りの学校の隅っこで居場所を作りたいが為だろう。
こんな不愛想を越えた無機質人間だから、当然、正式な部員は先輩一人だけ。
学校全体が黄色い声に包まれる四月の部活動見学会でさえ新入生たちが
唯一寄り付かなかったのだから、特有の陰気臭さはお墨付きと言えた。
美術部は外観からして暗い雰囲気を取り繕う気をまったく感じさせない。
だからとそれを開き直ったように逆手に取ることもしていない。
部室の入り口に『死語厳禁』の注意書きを張り付けている奇怪な行動は、
まるで新月でもないのに積極的に雲を纏いたがる捻くれた性格の月のようである。
不人気の改善よりも人払いに労力を惜しまない姿勢にはきっともぐらも目を見開く。
明りが夕日頼りとなる時間帯の部室は茜色で薄暗い。
蛍光灯を点けてはいけないなんて決まり事なんてないのに、
部長は何を考えてか頑なに人工的な光を疎むのだった。
まあ、部活動に取り組んでいるのは部長だけで、こっちはもっぱら部活動の見学のみ。
部長がいらないと言うのであれば、それに逆らう権利なんてこちらにはない。
それに部活動見学なんて口実で、部長を眺めることさえできれば他はどうでもよかった。
ちらりと時計を見る。もうすぐ日の入りの時間が来る。冬に入ってからの昼の短さは嫌でも実感する。
日暮れがやってくると部長は黙って立ち上がり、空から茜色が引くように帰り支度を始めた。
瞬く星がよく見える田んぼ道。月の光の誘いだけでは足元がおぼつかない。
振られる覚悟で部長の手を握って引くと、意外なことに抵抗はなく、月は長い髪にさっと顔を隠してしまった。
498
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/25(金) 19:30:58 ID:wk5Jg2wM
↓次題
499
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/25(金) 23:55:58 ID:49zESuoo
きつね
500
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/28(月) 08:36:57 ID:/qk9Y.oY
スレが立ってから3年目に入る勢いだな(勢いがあるとは言っていない)
501
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/28(月) 14:21:34 ID:tGx7ke6g
>>490
ラノベみたいな文体。意識して書いてるなら良いけど、そうじゃない場合は多少改めた方が良い。文章が安っぽくなるから
>>497
こちらは逆に小難し過ぎかな。多分、主人公は高校生ぐらいだろうから、それに見あった語句を使った方が良いね
502
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/29(火) 00:29:54 ID:/7TRxqmU
扉の前に誰かが立った気配がして目が覚めた。
昼寝の邪魔をされるのは心穏やかではないが、ないがしろにできる相手
ではないので、億劫に思いながらも出迎えるために体を起こした。
頭に残るもやっとした眠気にあくびが出る。
口から眠気が出ていき、感覚が戻ってくると、たんぽぽの
綿毛をまとめたような柔らかい雰囲気を扉越しに感じた。
「こんこん、起きてるかな」
扉が三度叩かれてからゆっくりと開く。
廊下から顔を覗かせたのは予想通りに、お世話になっている一家の長女だった。
家庭内にすっかり普及した『こんこん』なる呼び名の生み親もこの長女である。
「起きててお腹空いたでしょ。ご飯、持ってきたよ」
目の前までやってきた長女はそう言ってしゃがむと、
好物で山盛りにされた器をすぐそばに置いた。
差し出されたごちそうの量に唾を飲む。
どんなに健康な状態でお腹を空かしていたとしても、捌ける量には限度がある。
普段は欲深い私の本能と理性でさえ、これはさすがに無理だと警鐘を鳴らした。
長女を見上げて小さく鳴く。長女は嬉しそうに目を細めて私の頭を撫でた。
「我慢しなくていいんだよ。たあんとお食べ。まだあるからね」
まだあってもまだいらない。その気持ちを伝えたくて媚びるようにこん、と鳴く。
すると長女はまたもや嬉しそうに、私を真似て甘えるようにこん、と鳴いた。
寝起きで胃袋が重たくともせっかくの長女からの好意は邪険にできず、
結局、こん負けした私が折れてゆっくりとごちそうに口を付けたのだった。
503
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/29(火) 00:37:58 ID:/7TRxqmU
>>501
ありがとね
>>409
は読みやすさとはなんやねんと考えながら書いた習作っぽいやつ
安っぽさが出ちゃったのは予想外だからべつの手法考えるわ
>>410
は変人×変人を表すにはどう描くのがいいかなと模索した末路
年齢相応の表現って難しいやっちゃな
504
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/29(火) 00:39:01 ID:/7TRxqmU
突然の
>>410
>>410
じゃなくて
>>497
ね
505
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/29(火) 07:01:03 ID:xo9cMLfc
散々やね
>>490
と
>>497
506
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/02(金) 05:02:22 ID:e.RGnkSA
土日目前にお題age
↓次題
507
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/02(金) 11:54:17 ID:CQmY3Gn6
ご当地ヒーロー
版権にはならないと思うが際どいなら安価下
508
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/02(金) 22:08:54 ID:rKjC0qBQ
「なんでウチの市のご当地ヒーローって、あんなにイケてないんだろうね」
たまたまTVで流れた地産地消を奨励するローカルCM、そこに登場した地元のヒーローキャラクターを指して妻が言った。
確かにそのデザインは古臭く、レトロ感を狙ったにしても成功しているとは言い難い。
「今のはデフォルメされたイラストだからまだマシ。このあいだ駅前で着ぐるみバージョン見たけど、百倍ヒドかったよ」
「なんだかヒーローにもゆるキャラにも、なりきれてないのよねぇ」
娘も妻の意見に賛同し、そして二人は揃って市の職員である私の方を向いた。
「あなた、なんとか意見できないの? あれじゃPR効果も何も無いわよ」
「そうだよ、お父さん課長なんでしょ? 部署が違うの?」
「駅前で着ぐるみに入ってたの、儂だよ」
「お茶淹れますねー」
「私、お風呂行ってくる」
次に娘を見かけたら、私は着ぐるみのまま声を掛けようと心に決めた。
509
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/07(水) 21:32:34 ID:MMyJR7zs
世界のいろんなところで争いがあったとしても、空が青いうちはなんてことはない。
いざこざが過ぎて鞘に収まり切らな問題だって、いつかは必ず丸く落ち着く。
だから、困ったときは闇雲に頑張ろうとするんじゃなくて、まずは空の色を見るんだよ。
祖母は生前、それを俺によく言い聞かせていた。
口調は穏やかでのんびりとした性格。
茄子を育てるのが趣味で、収穫期にはいつも背負い籠を紫色で
満たして「作りすぎてね」なんて言い訳しながら近所に配り歩く。
祖父が先に逝った翌年から、茄子の出来が悪いねえとこぼすようになったが、
優しい祖母が作る茄子はたいがい色艶がよくて、一般人に違いは判らなかった。
「どうやって茄子作ってたんだよ」
若い体力を持っていても鍬一本で畑を耕すのは骨が折れる重労働だった。
汗と土埃で汚れた顔を手ぬぐいで拭くと、あっという間に茶色に汚れた。
顔を上げて畑を見渡す。時間と体力をかけて拵えた畝は、想像以上に立派に伸びていた。
疲れていた顔が思わず緩む。祖母が毎年畑に夢中になる気持ちを知った気がした。
「若えもんや。こっちで飯食わんか」
声に振り向くと、三倍も歳が離れた近所の農夫が手を振っていた。
農夫は祖父との好みで、その孫である俺にも親身になって接してくれるいい人だった。
声をあげる元気を惜しんで手をあげて返事をした。
鍬を置いて畑を出ると、農夫は大きなおにぎりとよく冷えたお茶で出迎えてくれた。
「たまんねえだろ、畑仕事は」
農夫はおにぎりを頬張りながら遠くを見つめる。
「たまんないですね、色々と」と言うと、年齢を感じさせる含み笑いが返ってきた。
三年後、都市化の流れで畑を買い上げられてマンションが建つ予定らしい。
たったの三年。そうと知っていればもっと早くに祖母から継いでいただろう。
「ここにビルがおっ立てば都会と変わらんな」と農夫が言った。
本当にそうだと思う。あの空が追いかけてくると思うと、蒼色が滲んで見えた。
510
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/07(水) 21:41:28 ID:MMyJR7zs
お題では浮かばんくてフリースタイル
許せよ
>>508
読みやすくて好きよ
日常感があふれてて明るい
おとんがんがれ
511
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/08(木) 01:34:53 ID:PAxo4fkI
>>508
素人が地域活性化のために何とか予算捻り出して頑張ってるとこもあるんだよな
お父さんも間違いなくヒーローだよ…
>>509
ええやん
土のにおいがする
512
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/08(木) 22:38:55 ID:nsxXo7BQ
>>509
いいな 実にいい
513
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/11(日) 20:45:45 ID:tbUeI/Ss
お題をね
そろそろね
↓
514
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/11(日) 21:27:10 ID:nYRokxcA
寒いから『寒さ』
515
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/11(日) 21:33:58 ID:nYRokxcA
>>508
文才晒すってより、ちょっとした小咄かな。面白かったけど。すっきりしてるのも文才の一つ
>>509
読みやすかったし、構成も良かった。文章にも内容にも味があるね。お見事
516
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/15(木) 04:41:30 ID:OYS2vv/A
「C組のあの子、彼氏とね、もうシたんだって」
「え、ウソっ。いつ、いつ?」
「はやーい。いいなあ」
私の苦手な会話が始まった。他人のプライバシーを晒しだしてまったく何が楽しいのやら。
煙草の煙を吹くように、吸い込んだ息を上に吐いた。
「私も早くシたいって言ってるのに彼氏がビビりで」
「わかるわかる。ウチもそう。……まあ、あんたはまだよねえ?」
会話の流れに従って、見下した流し目が私を向く。
よくご存じでという言葉を飲み込んで、受けのいい笑顔を作る。
「やめてよー。私、そうゆうお話はダメなんだってー」
恥ずかし気に耳を塞ぐポーズも付け加えると、机を囲む思春期乙女たちは
お互いの顔を見合わせて、やっぱりこの子はそうよね、と安心した顔になった。
私が経験したらいったい何がどうなるのか。まるで氾濫危険水位みたいな扱いだ。
「あ、そうだ。私、彼と帰る約束忘れてた。ごめんね」
そう言って席を立つと、思春期乙女たちは勝ち誇ったような笑みで手を振ってくれた。
校門で待つ彼を見つけて背中を弱くつつく。似合わないキャラだなと自分で思う。
未だ付き合っている感覚に慣れていないのか、固そうな声音で行こっかと言った。
「あのね。C組みの子……もう、シたんだって……」
彼の歩みが止まる。私が振り向くと、彼は赤くなった顔を横に向けた。
「もうちょっと俺たちが大人になってから」なんて言葉は、十二月にぴったりの寒さだった。
517
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/18(日) 22:29:08 ID:7PQAk1yU
クリスマス前ラストか……
お題↓
518
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/19(月) 08:46:29 ID:9AGXNaLw
クリスマスツリー
519
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/21(水) 19:33:29 ID:u677st4c
毎日、体験してるはずだ。
毎日、毎日、毎日、飽きることもせず、
繰り返し、僕らは目を覚ましてる。
眠ったら目覚める。昔、ママに買ってもらった車のおもちゃが
後ろに引っ張ったら、前に走り出すみたいに、
僕らは当たり前に、目を覚ましてる。
当たり前なのにおぼてない。いつもの朝がなにから始まるか。
枕の柔らかさだった気もするし、朝日の鋭さ立ったかもしれない。
パパの野太くて優しい声だったかもしれないし、
ママの作る朝ご飯のにおいかも。
ただ、今日だけは忘れない。
脂肪と髪の毛、それにむき出しになった血液を焦がす臭い
「よく眠れたかね」
神経質そうな兵隊さんは、そう声をかけ、わたしの隣に、
その大きな体を縮こませるようにして座った。
ボロボロにころされた街と対称的について、
昨日も当たり前の昨日だったように太陽は出てきて
わたしの吐く息を白く塗った。
お尻に付いた小石とか、砂を払おうと腰を浮かせると、兵隊さんは
「敵さんはすごいね、人殺しに自分の神様まで使うなんてさ」
目の前で焼ける、山積みになったパパやママを見ながら
ぼうっと言った。
わたしは何も、答えなかった。
ただ、ただ、山積みのパパやママはクリスマスツリーみたいだなって思った。
520
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/21(水) 22:22:06 ID:TphRbRdI
>>519
表現したい事は分かるけど、描写が全部雑です。
一人称が途中で変わったのは、視点が変わったからだろうけど、こういう短い文章でやるのは、わかり辛くなるだけだからやめた方がいいでしょう。
最後のクリスマスツリーの取って付けた感がかなり気になりました。
でも、雰囲気と前後半の対比はよかったし、
文章のテンポもすごいよかったです。
もっと、小説を読んで勉強してほしいです。
521
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/22(木) 11:39:56 ID:5ZGXf4qo
>もっと、小説を読んで勉強してほしいです。
意識高い系()がそうやって突っぱねるから過疎ってたんだろうな
もっと、スレを読んで勉強してほしいです。
522
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/22(木) 11:58:17 ID:nRt2OZtc
つスレタイ
523
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/23(金) 07:03:48 ID:9cu0lHsQ
「欲しがり屋さんは卒業しましたので」
アクリルケースに行儀よく収まったクリスマスツリーを見ながら彼女が言った。
暖色の間接照明のみで薄暗い寝室に置かれた、彼女が見とれているミニチュアの
ツリーは、飾れた赤と金のクーゲルを遠慮がちに輝かせていた。
「そのツリー、気に入ってくれるのは嬉しいけどさ。去年の思い出だよ」
ベッドで横になっている彼女のすぐ後ろの縁に腰を下ろす。
自分好みに伸ばされた長い黒髪を掬うと、防衛本能が働いたのか僅かに身を縮めた。
悪いことなんてまったくするつもりないんだけどな、と思いながら髪の毛を弄ぶ。
心なしか、いつにも増して黒髪の手触りが良いように感じた。
「私ってみんなが思っている以上に欲張りみたいで。だから、いい子じゃないんだ」
欲張りと聞いて思い出したのは、彼女と出会った去年のクリスマスイブだった。
三年間も付き合っていたかつての恋人を浮気相手に取られ、公園のベンチで
雪をかぶりながら缶チューハイを呷っていると、声をかけてきたのが彼女だった。
私も隣いいですか、と聞いてくると返事を待たずしてベンチに腰掛けてきた。
そして俺と似たように上を向いて、叫びたい感情と一緒に缶チューハイを一息で飲み干した。
誰も信用したくない、けれども誰かが隣に居て欲しい。
そんな都合のいい寂しさを彼女も抱えていたように見えた。
「もう去年との俺たちじゃないんだし。新しいのが欲しいでしょ」
ベッドに倒れて背中側から腕をまわすと、彼女は振り向いて「大きいのは欲張りだから」と答えた。
「いらない」と言われなかったことにひとまず安堵して、ベッドの下に隠していた鞄を取り出した。
彼女を起こして正面に座らせて、赤地に白い星が散った包装をされた箱を手渡す。
緊張気味に受け取って固まる彼女に「開けてみて」と促すと、小さく頷いて包装を剥がした。
彼女が既に持っている物と全く同じ型のツリーは、クーゲルの輝きに混じって自慢げに白い指輪を下げていた。
524
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/23(金) 07:08:27 ID:9cu0lHsQ
>>519
前半部分がいじりがいありそうね
もっと表現のしようがありそうでもったいないなあって思いました
全体的な内容は好きよ
だから読んでて惜しいなあって
525
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/23(金) 14:29:44 ID:EGnQJXr.
我が家にはクリマスツリーがある。
俺が幼稚園の頃に親父が買ってきたやつだ。当時の俺にはそのツリーは東京タワーぐらいにデカく思えたもんなんだが、今見ると別にたいした大きさじゃない。小市民という言葉がこれほど似合うツリーはないんじゃないかってぐらいの、『そこそこ』の大きさの平々凡々としたツリーだ。
ただ、このツリーには少し変わった思い出がある。
それを見て、無邪気にはしゃいでいた俺を横に、親父は真面目な表情でこんな風に言ったんだ。
「これはな、目印なんだ。柱の傷と一緒だ」
「はしらのキズ?」
「そうだ。父さんが子供の頃は一年ごとに背の高さにそって柱に傷をつけたもんさ。成長の記録ってやつだ」
ここは借家だから、柱に傷を残す事は出来ないからな。そう言った後で親父は不意に真剣な表情に変わり、
「このツリーより背が高くなったら、お前に我が家の大事な秘密を伝えようと思ってる」
今、俺はとうにそのツリーの高さを越えているんだが、親父はその事をすっかり忘れてしまったのか、未だに我が家の大事な秘密は謎のままだ。
526
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/25(日) 00:42:35 ID:5ZQItgR2
>>525
わざとか分かりませんが、文章が悪い意味でバカっぽいです。
例えが吐き気をもよおす程下手とか、『』の無駄遣いや、真面目な表情から真剣な表情っの違いがわかるって凄い表情に敏感な幼子だなあ、とかありますが、特に目についたのが下の一文です。
我が家にはクリスマスツリーがある
とありますが、この書き方だと「常にか?我が家のどこにだ?」
と思ってしまいます。
短い文章でも5w1hを忘れないでください。
またツリーの出てくる時期と一緒に、飾り付けがどうとか、臭いがどうとか書いてあげれば、文章が記号的ではなくなり、厚みがでます。
ストーリーもありがちというか、陳腐でこの文章の中に褒めれる所は見つかりませんでしたが、文章を書ききったというのは素晴らしいです。
昔使った国語の教科書のような、読みやすいものから読んでいくといいかもしれません。
527
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/26(月) 01:55:35 ID:LixYi5U2
お題:白
528
:
(1/2)
:2016/12/29(木) 18:37:57 ID:W4OOGiVI
「白」
冬休み、少し早めに行った高校の卒業旅行。その日東京に行くまで私はホワイトクリスマスという言葉を知らなかった。冬なんて雪が降るのは当たり前、積もらないほうが珍しい。そんな風に思っていた。雪かきの手伝いが面倒だから嫌だとすら思っていた。雪をありがたがる気持ちなんてわからなかった。
「ホワイトクリスマスだね」
そう呟かれて隣を見る。空を見上げるその男の目は今まで私を映していた。でも今は雪の降る空を見ている。
別にこの男が好きだなんて思ってはいなかった。ただ一人でいるよりはマシかなとデートに一回付き合うだけのつもりだった。それでも私は隣にいた。今も隣にいる。なのに、この男は私にではなく雪に目を奪われた。
別に私だけを見てほしいだなんて重いことを言うつもりはない。だけど雪なんかに負けるのは我慢がならなかった。雪なんて、毎年のように人を殺しているような物なんかには。
「私、雪嫌いなんだ」
少し早歩きで距離をとって振り返る。男は困惑の表情を浮かべている。そんなに私は今冷たい目をしているのだろうか。
「今日はもう解散ということでよろしく」
有無を言わさず分かれる。これならデートを断ったほうがまだ誰も傷つかなかったかもしれない。
だけど、雪はどうしても好きになれない。
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