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( ω )千年の夢のようです
90
:
◆3sLRFBYImM
:2016/06/07(火) 23:46:44 ID:uoQSJDlE0
このとき…クーは見てしまった。
彼の口許にぬらぬらとまとわりついているものを。
瞳の奥に隠された赤黒い瞳孔を。
まるで生きた血肉を貪り啜って溢れた鮮血を思わせる。
《ぐきゅり》と喉をならすデルタ。
その足元に転がったモノは果たして────
(;"ゞ) 「………ぁアァ、ダメだ、やめぇろお…」
言葉とは裏腹に。
「女みたいだ」と形容した病的な細身が、月を背にして飛び掛かってきた。
──クーの肩を弾く衝撃。
反射的に突き出していた鉄の棒が、クーと、そしてデルタの距離を稼ぐ。
とはいえそれも、デルタの身体を一瞬押し返したに過ぎない。
たいしたダメージを与えることは出来なかった。
ガランゴロンと音をたて、一度きりの護身の役目を果たして落ちる。
"ゝ゚ 「グガアァァア゙ァォオァ!!」
剥き出しの殺意を優先するデルタは止まらなかった。
恐らくは…いや、確信。
クーを食むるため、再び跳びかかる。
川;> -<) 「……っ!!」
網膜へと焼きついた鬼の形相。
クーの知るデルタとは似ても似つかない声。
その身が押し倒されるまでに自覚できたのは、牙を露にする彼の顔から反射的に目をそらした、己の意気地の無さだけ。
間近で放たれる咆哮は威嚇となり、暴力と化して耳をつんざく。
視界が闇に染まってなお浮き彫りになる牙が、思考を切り裂いた。
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