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(  ω )千年の夢のようです

80 ◆3sLRFBYImM:2016/06/07(火) 23:35:52 ID:uoQSJDlE0


半年もすると、クーはようやく村人の一員として歓迎されるようになっていた。
その日は笊を抱えた中年女性が嬉しそうに近寄ってきて、二人に向けて収穫物を自慢する。


「おーいクー! 畑で採れたこの苺、良かったら食わないかね」

川 ゚ -゚) 「いいのか? ありがとう」

( "ゞ) 「そんなもん、そこらに生えてるので充分じゃなぃかあよ」


命あるものには必ず得意とする環境があり、発揮する力もバラバラだ。


「はあ? デルタにあげるだなんて言ってないだろうさ!」

川 ゚ -゚) 「…だ、そうだ。 これは私が一人で食べさせてもらおう」

(;"ゞ) 「……つれないねえ」


大陸には季節というものがあり、絶えず気温が変化する。
それは塔全体に施されていた空調によって常に一定温度を保ったグランドスタッフでは、決して感じることの出来ない現象。

野苺は暑さに弱い。 だから自分という種のために、涼しくなってから実を成す。
これは夏が過ぎ…秋に移り変わったことを意味している。


[かがみ]突入用の法衣でもあれば風も凌げたが、アサウルス襲撃の際に失ってしまっている。
この頃はデルタがこしらえてくれた外套を羽織らなければ、肌寒く感じた。


"( ) "ゞ) 「うん、んまぁいなあ」

川 ゚ -゚) 「結局食べるんじゃないか…」

( "ゞ) 「そら収穫時期が来たらぁ一度は食べる。 せっかく出来たのに、無視するのは失礼野暮だよなぁ」


育つ野菜は季節と共に変わり、樹木はエネルギーを細く長く蓄えるべく枯れていく。
点々と、草紅葉は淋しげに、仲間を探すように頭をたれる。

クーの目に映る風景は、再び知らないものに埋め尽くされていた。


( "ゞ) 「生まれついてのサガは変えられないからよお。 美味いもんは美味い」

( "ゞ) 「……でも俺はやっぱりぃ、人の手入れがされてない苺のほうが好きだあ」


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