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(  ω )千年の夢のようです

75 ◆3sLRFBYImM:2016/06/07(火) 23:30:15 ID:uoQSJDlE0
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デルタと過ごし始めて一週間。
他の村人は通りすがるたび、奇異なものをみる目でクーを睨み付ける。
戸惑いを隠せずにいると、そんな時はデルタが前に出て視界を塞いだ。


時間という概念は、ここでは太陽と月の循環に守られている。
グランドスタッフとは違い、デジタル化されたタイムテーブルに朝夜を照らし合わせる習慣がない。

そして──もし出歩くならば明るいうちが適切であることを学ぶ。


(゚- ゚ 川 「…」

( "ゞ) 「物珍しそうになぁにを眺めてる?」

川 ゚ -゚) 「ああ、いや…」


外出時、デルタは必ずクーを連れた。 クー自身もそれを望んだからだ。

獣と出くわす危険もあるが、無為に留守番させれば村人からあらぬ目を向けられる可能性もある。
それならば旅人としてのノウハウを覚えるほうが有意義だろう。


クーが担ぐ薪の擦れる音は不器用で、しかしそれが足を踏み出す単調なリズムの打破に一役買う。
担いでいる量だけを見れば、デルタの半分も無いはずなのに、彼はそれほど大きな音をたてたりはしない。


( "ゞ) 「見てみろぉよ、ここからは木の種類が違うだろ?」


道すがら、デルタは草木の名前を一つずつ語る。
「手に取って、少しでも見聞きするのは楽しいもんだあ」とクーには言うが、むしろ楽しんでいるのはデルタのほうに思えた。


彼に訊けばあらゆる答えが返ってくる。
花の名前も…、山の成り立ちも…、海の広さも。
果てには村で活用される機械類…そのアイテムの利用価値も。


だが、とりわけデルタは自然を愛する。
毎朝通る崖上の三叉路から山を一望するたび、彼は微笑むのだ。

そんな彼を、クーもだんだんと理解し、同調していった。


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