したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

(  ω )千年の夢のようです

127 ◆3sLRFBYImM:2016/07/20(水) 20:02:19 ID:RYml97060

自分の娘を助けるために、他人の子供を殺す作業。
自分の娘を助けたいがために、知人を殺す日常。


それでも彼は耐え続けた。
罪人と呼ばれる人々の命と共に、殺し続けた自分の心を奮い起たせて、近くて遠い離ればなれの家族のためだけに、国の罪人を裁き続けた。

拳を返り血に濡らしても、瞳を涙に濡らしても。
     来る日も、来る日も、来る日も殺し続けた。
              それなのに、それなのに。


『……ごめんなさい』


ついに宣告された二年が経過し、娘の命は峠を越える。
医師からも労いの手紙をもらった。 その矢先だった。


…職務を終え、精神を摩耗しきって帰宅したクマーを待っていたのは、心変わりした妻の謝罪。
身体の弱かった妻を支える者の存在は、クマー不在によりもたらされた紛う事なき現実の影。

設けた話し合いの場で泣きすする妻の顔が、まるで別人に見えた。


『やつれていく彼女を放っておくことができませんでした…』

『レモナのこと、貴方には本当に感謝してるわ。
だから彼を責めないで。 悪いのは私、一方的に裏切ってしまったのは私なの』


人生に、正解など無い。
クマーには妻を責めることが出来なかった。
最も身近で娘に寄り添ったのは間違いなく彼女であり、その彼女を支えたのは、やはり目の前の間男なのだ。


『貴方になら、僕は殺されても仕方ないと思います。 だから…彼女のことは怨まないであげてください』


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板