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(  ω )千年の夢のようです

124 ◆3sLRFBYImM:2016/07/20(水) 19:59:00 ID:RYml97060
短く長い月日の経過は、置き去りにされた者たちの縁を易々と引き剥がす。

世の中は常に移ろいゆくものであると、クマーも判っていたつもりだった。
なのに言葉にすればこれほど陳腐で…、
しかし現実に照らし合わせればこれほど無常かつ残酷なことがあろうか。


クマーにとっての故郷は、もはや存在しない。


((エ)  ) 


ノーネのように諦めるべきだったのか?
あの日、ワカッテマスに連れられる際、拒絶するべきだったのか?

……それとも、離縁関係となっていた、かつての家族からそもそも逃げるべきではなかったのか?


いいや恐らくは──そうであって欲しいと、どこかで自分自身が願っているだけもしれない。
なぜならウォール高原の街さえ無くなってしまえば、故郷をなくし、家族をなくした己にも言い訳がたつ。

  拐われたのだから仕方がなかった…。
    自由の身になった頃には間に合わなかった…。
       帰りたくても、帰る家がなかったのだ…と。


((エ)  )


妻と娘はどうなったのだろう。
この肉体となり、【ロータウン】で過ごしていた間、忘れたことはない。


生まれつき身体が弱く、一度体調を崩してしまうと何日も寝込む妻の弱々しい笑顔。
ぞんざいな胎児カプセルに容れられていた我が子も、幼少期に差し掛かると親の真似をしては爪を噛むようなヒョウキン者だった。
妻も笑いながら叱ったものだ…『貴方に似たのかしら?』と。

そんな記憶の光が脳裏を走る。


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