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( ω )千年の夢のようです
120
:
◆3sLRFBYImM
:2016/07/20(水) 19:45:59 ID:RYml97060
刻はまだ未明──。
クマーが深々と頭を下げると同時、寝静まるダットログにも、その大きな音と揺れが轟いた。
「……始まったようですね。 これは地の魔導力…それも、強大な」
(・(エ)・) 「やはり私たちは監視されていたのでしょうか?」
「今となってはどちらでも。 信頼関係など、元より無かったのですから」
(・(エ)・) 「…」
「重要視すべきは現実。
あの男が言った通り、もうすぐ【ロータウン】の……
いいえ、この都全体が戦場になるかもしれないということだけ」
クマーは、頭上からパラパラと降りかかる石灰を肩から払い落とす。
自分自身と……次いで、長年連れ添った性別不明のその者を、優しく包むように。
「気遣いは結構。 私はどのみちここから動くことはないし、誰に見られるわけでもない」
言葉とは裏腹に、その者はクマーの行為を受け止めていた。
拒否どころか名残惜しさすら漂わせて。
(・(エ)・) 「闘技場のモンスターは?」
「不死者から造ったという最後の人形も、あの金髪の青年が倒してくれたことで、残るは失敗作ばかり。
貴方や街の人々が程よく逃げおおせた頃にでも、適当に解き放ちますよ。
一分一秒でも時間を稼ぐことができれば上出来です」
(・(エ)・) 「……果たして、大丈夫でしょうか?」
「たとえ暴走したところで【アッパータウン】ならば衛兵がなんとかするでしょう。 そのための機能もある。
…【ロータウン】の住人こそ、私が守らなければならぬ存在────」
────《ガ ガガガッ》。
会話を遮るほどの、街を揺らす地震の波…。
クーが詠唱した【グランデス】はそれほどに影響力が大きい魔法だった。
地面を抉る衝撃が無遠慮に伝わり、古いビルの天井を再び破損させ、石膏を散らす。
性別不明者の被っていたフードも震動によってめくれ落ちる。
( ノAヽ)「……それともその言葉は、自分自身に向けたもの?」
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