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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです
322
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:20:29 ID:Zhqd36nQ0
いつも二転三転の急展開を用意してるな
支援
323
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:22:25 ID:Ip8umvoQ0
(; ω )「ぐっ……ううっ……」
グラウンドに響き渡る愉悦の笑い声。
ブーンは軋む体に鞭打ち、ゆっくりと立ち直る。
(;'A`)「おい、大丈夫か!?」
ブーンの元にドクオが駆け寄ってくる。
しかしブーンはそれを拒み、鋭い目付きでドクオを一瞥した。
(; ω゚)「ドクオはさっさと邪龍化するんだお!
僕の時間稼ぎを無駄にさせる気かお!?」
(;'A`)「……ッ!」
ドクオはぐっと踏み止まり、フォックスに視線を戻した。
今、ドクオの身体は邪龍化しつつあった。
既に両手足は鈍色の鱗に覆われ、血肉も人間のそれではなくなっている。
あとはとにかく魔力を高めて邪龍化を進行させるだけ。その為の時間稼ぎはブーンがやってくれている。
しかし、完全な邪龍化にはまだ時間が掛かる。
現状40%程度、五分もすれば変身可能な70%には達するが、それまでブーンが無事でいられる訳がない。
(;'A`)「相手は四天王クラスの化物だぞ!? 半端でも二人でやった方が」
(# ^ω^)「僕は生きて帰りたいんだお! ドクオは違うのかお!?」
(;'A`)「だからお前一人じゃ今すぐ死ぬって言ってんだろうが!
邪龍化したところでお前が死んでたら――――」
(# ^ω^)「だから、死なない為に戦ってるんだお!!」
ブーンは叫び、ポケットから無数の錠剤を握りとって自分の口に放り込んだ。
ガリガリと音を立てて噛み砕いていくそれは、激化能力を発動する為の薬。
本来一つも飲めば十分な物を滅茶苦茶に喰って飲み下す。
今この瞬間を生き残る為に、ブーンは己の未来を捨てる気でいた。
副作用など考えない。
今は目の前の敵を、いずれ来る破滅はいずれ考えればいい――――
【interlude:out】
324
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:23:45 ID:Ip8umvoQ0
【interlude:8】
https://www.youtube.com/watch?v=1ErwgLxBNL0
内藤ホライゾンは己の激化能力を発動し、その能力を行使した。
彼の能力は思い描いたものの『復元』だが、しかし今度は単なる『復元』ではない。
グランギニョルの時も実物に迫る性能ではあったが、あれが偽物である事実はどうしても変わらない。
本物が実在するものを復元した所で、それはどう足掻いても本物の劣化品にしかなり得ないのだから。
ならば――と、内藤ホライゾンは考える。
そもそも完成しなかったもの、製作段階で完成を諦められたもの。
想像はしたが実際には作成されなかったもの――この世に無数と存在する、未完の剣。
もし偽物が本物に勝るものを作れるとすれば、その方法は一つ。
未完成のものを自分の手で完成させ、自分の物とする事だけ。
他者に生み出され、しかし完成しなかった剣の『未完成部分』のみを復元能力で補う。
それが内藤ホライゾンがクスリの過剰摂取で獲得した『補完』という能力だった。
ブーンは、ポツンと脳裏に浮かんだ言葉を呟く。
起動の合言葉は、とても静かに告げられた。
リベレイター
(# ω゚)「――――≪原典乖離≫」
.
325
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:24:52 ID:Ip8umvoQ0
瞬間、ブーンは記憶の一部を喪失した。
思い出せない――という事すら自覚できないほど、綺麗サッパリに記憶が消滅する。
しかし、それを燃料にして補完能力が発動――
(# ω゚)「おおおおおおおお!!」
絶叫と共に振り上げた右手に、細長い光が収束した。
その光の正体は、彼の記憶から捏造された未完の剣。
爪'ー`)「……ははあ、なるほど。死ぬ気か。
過剰摂取は命取りだと、その薬を使うなら分かっているだろうに……」
ブーンの鬼気迫る様子を見ながら、なおも余裕を損なわないフォックス。
彼は悠然と剣を構え、ブーンが戦闘準備を終えるのを待つ。
爪'ー`)「……フフ、しかし随分と悠長に戦ってくれるのだなぁ?
まさか、時間を稼いでいるのが君達だけだと思っているのかね?」
(# ω゚)「――ッ」
フォックスの一言に、ブーンの眉がピクンと跳ねる。
爪'ー`)「結界の外に敵が居てもおかしくないと、想像しなかったかな?
我々は常に全力で敵を討伐する。魔王が敵なら尚更だ」
爪'ー`)「ツンも、ロマネスクも、君達も……皆殺しだ」
.
326
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:25:33 ID:Ip8umvoQ0
(# ω゚)「――今すぐ、殺すッッ!!」
急いで殺すならこれじゃ駄目だ、とブーンは記憶を犠牲にして更に能力を行使する。
同時、ブーンの頭上に数十の剣影が具現化し、その切先がフォックスに向けられる。
(# ω )「お、おおお……ッ!!」
記憶の中身を洗いざらい篩に掛け、復元補完できる剣を全て具現化していく。
検索、照合、補完、具現化――記憶の消却。その工程を刹那に縮めて実行。
補完対象は自分が知る物だけに止まらない。
この世界に残された可能性の残滓。ブーンはそれすら掬い取り、己の剣として実体化させた。
(# ω゚)「お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ッッッ!!」
具現化した剣を一つ手に、ブーンは百の剣を従えてフォックスに迫った。
地を蹴った次の瞬間、ブーンはフォックスの眼前で剣を振り下ろしていた。
爪'ー`)「――っと」 スッ
フォックスが防御としてかざした剣と、ブーンが完成させた未完の剣が激突する。
一度巨大な金属音が響いた後、空気が炸裂。二人を中心にして地面が大きく陥没した。
ギリギリと音を立てて拮抗する両者の剣。
その拮抗を壊したのは、空から飛来する無数の剣影達だった。
爪'ー`)「良いものを作る。味方に欲しいくらいだ」
戯言を刻み潰すように、フォックスに百の剣影が降り注ぐ――!
.
327
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:28:12 ID:Ip8umvoQ0
巻き起こる砂煙――その中から先に飛び出してきたのはフォックス。
続いたのは彼を追跡してきた一振りの剣。
遠隔操作の剣がフォックスに斬りかかり、彼の剣と互いの刃を弾き合う。
爪'ー`)「持ち手なしでも、存外しっかりしているッ!」
(# ω゚)ズザザザザザッ!!
フォックスがその剣と打ち合っている隙に、ブーンは彼の背後に一気に滑り込んでいた。
爪'ー`)「む、」
背後のブーンに気を取られた瞬間、遠隔操作の剣がフォックスの剣を空に弾き飛ばす。
記憶を犠牲に作り上げた勝機――それを逃がす訳が無い。
(# ω゚)(補完、具現化……【流麗刀 舞姫】ッ!)
次に作り上げた剣は、かつてツンちゃんがモンハン二次創作を書いていた頃に考えた最強の剣。
これで斬るとリオレウスとかが死ぬ。すごい。
ブーンの補完能力で作れる最強の剣は、とどのつまり『ぼくがかんがえたさいきょうそーど』である。
そしてツンちゃんは上記の剣の他にも沢山の最強ソードを妄想していた。
そして大半が掲示板閉鎖により未完で終わっていた。
結果、ブーンの剣製に限界はない――――!
.
328
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:28:52 ID:Ip8umvoQ0
(# ω゚)(もらったお!)
フォックスの背後から高速で斬りかかるブーン。
その手にはツンちゃんが考えた最強ソード、【流麗刀 舞姫】。
太刀の切先が地面を削り、一気にフォックスの背中を斬り上げる。
爪;'ー`)「――やってくれたな、小僧ッ!」 ズオッ!
しかし相手は王座の九人。
背中を斬られてなお、フォックスは振り返ってブーンに反撃を仕掛けた。
武器を用いない近接戦闘。ここまで剣同士だったせいか、感覚が噛み合わない。
(; ゚ω゚)「ッ!?」
フォックスの行動に虚を突かれ、ブーンは彼の拳戟を急所に受けてしまった。
鳩尾――その深部の内臓に、フォックスの拳がメコ、と抉り込まれる。
(; ゚ω゚)「……お゙っ……!」
爪;'ー`)「――ッッッ!!」
フォックスが力強く一歩踏み込む。
瞬間、彼の拳で衝撃が爆発し、ブーンを再びグラウンドの端へとブッ飛ばした。
.
329
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:29:32 ID:Ip8umvoQ0
爪;'ー`)「……あー。ビックリした」
休息も束の間、ブーンを吹き飛ばした方向から数本の剣がフォックスに向かって飛んできた。
遠隔操作はされていないようだが、その威力は想像するまでもなく必殺であった。
爪;'ー`)「ああもうッ」
フォックスは一本目の剣をその場で跳んで回避。
続く二、三本目を徒手で弾き、四本目は肘と膝で挟み取って真っ二つに砕いて見せた。
爪;'ー`)「あーメンドくせっ」
しかし、なおも飛来する剣に痺れを切らしたフォックスは、
四本目を掴み取り、残りの攻撃を全てその剣で打ち払った。
放った剣は全滅。
だが、時間は十分に稼いだ。
.
330
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:30:14 ID:Ip8umvoQ0
(# ω゚)「検索、原典定義、規定、【大長刀・アハト】――『補完』」
(# ω゚)「――『過程再現』――【最大長刀・アハト=アハト】」
ブーンが次に作り上げるは数メートルを超える巨木のような大刀。
最早それは人間が扱う域を超えた規模。
それもツンちゃんが二次創作で考えたモンハンの大剣。
とにかく馬鹿でかい剣。これならアカムも真っ二つだ!という説明文があるような一振りだ。
しかしこの大剣が出てきた物語は未完。故に、最終形態はブーンによって補完される――
爪;'ー`)「……ああ?」
(# ω゚)「――――『最終定義』、【無限大長刀・アハト=インフィニティ】」
瞬間、ブーンの真上に空を突き刺す果てしない刀身がそびえ立った。
月ごと切り裂いて振り下ろされそうな化物染みた大剣を、ブーンはフォックスに向け――
(# ω゚)「死ねおォォォォォォォォ!!」 ズァァァァァッッ!!
――なんの策略もなく、振り下ろした。
爪;'ー`)(避けるとか、じゃない。学校どころか、街ごと潰される――!)
フォックスに到来するのは人を斬るという目的を無視した圧倒的な破壊。
結界内でなければ数万という人間を同時に殺しかねない一刀が、フォックスの視界を暗転させる。
.
331
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:30:54 ID:Ip8umvoQ0
――次の瞬間、地球上に一筋の斬撃が奔り抜けた。
.
332
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:31:34 ID:Ip8umvoQ0
……刀の一振りが引き起こした大地震が、次第に収まっていく。
この攻撃でブーン自身も大きく吹き飛ばされ、学校や町という風景は剥き出しの大地に成り果てていた。
もはや質量の暴力――木端微塵に破壊し尽くされた光景に、文明の跡形は一切ない。
(; ω゚)「……化物はどっちだお」
しかし、ここまでやってなお――
爪;'ー`)「……あーもうしんどい。帰りたい……」
怨敵は健在、肢体にも傷一つなかった。
(; ω )「――ぐッ!」パキッ
途端、ブーンの視界に致命的な亀裂が走った。
それが切欠になったのか、補完復元した剣も光の粒になって一斉に消滅してしまった。
(; ω )(まだ、駄目だお。倒れる訳には……!)
だが、思いとは真逆にブーンの体からはふっと力が抜けていった。
思わず膝が折れ、体がそのまま地面に倒れていく。
(; ω ) ドサッ・・・
.
333
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:32:16 ID:Ip8umvoQ0
爪;'ー`)「……終わった? じゃあもういい?」
ブーンが倒れたのを見るや、彼はすぐさま錠剤を一つ取り出して飲み込んだ。
爪;;;;;;;:)「身代わりやんのも大変じゃんか。ったくよお……」 グチ、ネチョ・・・
フォックス――の形をしていたその顔、その肉体が、グチャグチャと音を立てて変形していく。
その様子を視界の片隅で見ていたブーンは、ここでようやく自分がミスを犯したのだと理解した。
(; ω゚)「お前、誰だお……ッ!?」
川 ゚ 々゚)「――はいっ! つーわけで、くるうちゃんでした!」
川 ゚ 々゚)♭「残念ッ! 本物は、あっち!」
正体を晒した女は空を指して微笑する。
(; ω゚)「……お?」
ぐっと顔を上げると、ひび割れた視界に不自然な黒い点が映った。
黒点は徐々に大きく――いや、ここに向かって落ちて来ている。
(; ω゚)「……ド、クオ……」
能力の対価にならず、おぼろげに残っていた名前を呟く。
今や顔も声も思い出せないが、あの黒点がドクオという名前だった事だけは確信できた。
.
334
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:33:39 ID:Ip8umvoQ0
爪'ー`)「代役ご苦労、こちらも済んだ」 トッ
川 ゚ 々゚)「あ、おかえんなさい」
くるうの傍らに本物のフォックスが先んじて着地する。
彼は刀剣に付着した紫色の血液を振り払うと、剣を収めてブーンを見た。
爪'ー`)「いや、すまないね。
邪龍の方が厄介だと思って、先にやらせてもらったよ」
(; ω゚)
烈風を巻き起こす漆黒の両翼、するりと伸びた尻尾。
そのどちらもが致命傷を受け、原形を留めないまでに破壊されている。
フォックスの剣に鱗ごと斬り裂かれたであろう胴体には、内臓に達するほどの深い斬撃が刻まれていた。
邪龍の巨躯が地に落ち、灰色の世界に横たわる。
ブーンは、その姿を見て阿鼻を零すことしか出来なかった。
(; ω )「お、おお……!!」
腹の中で不快感がのた打ち回る。
名前しか覚えていない筈なのに、あらゆる感情が理性を超えてぐちゃぐちゃに混ざり合う。
混ざり、次々とその色を変えていく感情は次第に純粋な一色に落ち着いていく。
それは色んな絵の具を混ぜて、最後に行き着く色彩と同じ。
.
335
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:34:19 ID:Ip8umvoQ0
(# ゚ω゚)「――――」
殺意を表す無明の黒。
しかし、一瞬真っ黒に染まった感情はすぐさま熱を失った。
内藤ホライゾンが次に対価に差し出した記憶は、今必要な記憶以外の全てだった。
( ω )
目の前の二人を殺す。
彼はその指向性だけを肉体に残し、『内藤ホライゾン』という個性を放棄した。
爪'ー`)「……くるう、次からは即座に止めを刺せ」
川 ゚ 々゚)「あーい」
一度は収めた剣を抜き、ブーンの動きに集中する。
彼はもう一度立ち上がる――フォックスの予感は、間もなく的中した。
.
336
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:35:55 ID:Ip8umvoQ0
( ω )
――立ち上がり、思考を展開する。
相手は二人。通常火力では太刀打ちできない圧倒的な格上達
しかし残された記憶は僅か。それも失う訳にはいかない最後の記憶だ。
記憶を材料にして剣を生み出すこの能力に、使える記憶はもう無い。
ならばリスク無しで使える『復元』の能力を使うしかない。
そして『復元』の対象は自分自身―― 一度は消却した記憶を、復元の能力で再構築する。
当然それは元の記憶に比べれば劣化品になる。
『元々あった記憶』ではなくなり、『後付された他人の記憶』に成り下がってしまう。
だが今は、それこそが必殺の武器を剣製する為の鍵であった。
『補完』の能力は元の情報が曖昧で不安定であればあるほど独自性を付加できる。
元が70%の完成度なら30%のオリジナルを――
元の数字が低いほど、この能力は原典を捻じ曲げて強力な剣を捏造できる。
具現化、記憶の消却、記憶の劣化復元、具現化、記憶の消却、劣化復元――
これを繰り返す度に剣は独自性を増し、ブーンは己の記憶を完全に失っていく。
.
337
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:36:00 ID:Z4H0F3no0
どう見てもFateです本当に
338
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:36:42 ID:Ip8umvoQ0
破滅と引き換えの片道切符――行き着く先は、無限の剣製。
――――今ここに、『原典』は完成した。
.
339
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:37:29 ID:Ip8umvoQ0
灰色の結界世界、一面荒野に変えられた大地。
そこに立つ男達は、戦いの前に言葉を交わす。
( ^ω^)「……もう、何も覚えていないんだ、」
( ^ω^)「自分の名前も、ここに居る理由も。
過程で一度は記憶を取り戻しても、それが自分の記憶だという実感はない、」
爪'ー`)「……ならばどうだろう? 我々の仲間になるというのは」
フォックスは軽く手を差し出し、彼に微笑みかけた。
彼はその手をしばし見つめた後、鼻で笑って問い掛けに答えた。
( ^ω^)「残された記憶は三つだ、。
お前達を殺せ。後ろの邪龍を何としてでも助けろ、剣を作れ」
( ^ω^)「俺はこの記憶を絶対に果たす気でいる。
ならば、お前の仲間になるというのは無理な話だ、」
爪'ー`)「……いや残念。本当に、残念だ……。
その意気で分かる。君は本物の勇者になりえた。実に、惜しい……」
手を下ろし、ポケットから薬のケースを取り出したフォックス。
彼は激化を促す薬を一粒、二粒と飲み下し、ふたたび剣を握りなおした。
爪'ー`)「だが嬉しい事もある。戦いの勝敗はどうであれ、君はここで終わりだ。
その能力、もう二度と使うことはできまい?」
爪'ー`)「勇者軍を壊滅しかねないその力、ここで使い果たして往け」
爪'ー`)「相手は『王座の九人』、フォックスが承った。
存分に、命を削りあうとしよう……」
.
340
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:38:18 ID:Ip8umvoQ0
――そのとき、空から一振りの剣が落ちてきた。
剣は大地に突き刺さり、静寂する。
爪'ー`)「くるう、君は戻ってモララー達の援護だ」
川 ゚ 々゚)「え、いいの? 死ぬよ?」
爪'ー`)「君が居ても同じだよ。それに、これの足止めは私以外には出来ない。
あとの事はモララーが仕切るだろう。問題ないさ」
爪'ー`)「それより、先代勇者の居場所を絶対に突き止めるんだ。
ハインリッヒは上等な素材だったが、魔界を攻め落とすにはまだ足りない」
フォックスは、最後にくるうを一瞥した。
川 ゚ 々゚)「……なんか言い残す?」
爪'ー`)「……新参が気を遣う必要は無い。早く行け」
しばしフォックスの背中を見つめると、やがてくるうは意を決し、結界空間の果てへと駆け出した。
これで邪魔はない。あとは始まりの合図があれば、それで火蓋は落とされる――
.
341
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:38:59 ID:Ip8umvoQ0
落ちてきた剣が、ざく、と大地に突き刺さる。
そして、それはもう止まることをしなかった。
空から降り注ぐ無数の剣影。
彼を取り囲むように飛来するそれらは、その全てが『補完』によって捏造された架空の剣。
未完のオリジナルを勝手に補完し、己の想像力で支配した人智の強欲――その化身。
( ^ω^)「……」
彼は身近にあった剣を掴んで引き抜き、フォックスに切先を向けた。
( ^ω^)「――工程、加速」
爪#'ー`)「――――ッッ!!」 ダッ!
二人の剣士は、同時に大地を蹴った。
【interlude:out】
342
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:40:31 ID:Ip8umvoQ0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
343
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:41:11 ID:Ip8umvoQ0
【epilogue:内藤ホライゾン】
「……復元、補完……」
荒野に一人立つ男。
彼は脳に刻まれた工程をひたすら繰り返し、今この瞬間の命を保っていた。
戦いは終わった。敵は殺した。しかし、その代償は自分自身の全てだった。
.
344
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:41:51 ID:Ip8umvoQ0
肉体を復元し、補完し、今となっては全身どこが本物(オリジナル)なのかも分からない。
記憶すら全て失い、個人としての定義を完全に失った存在。
それが今の彼――内藤ホライゾンと呼ばれていた男の末路だった。
.
345
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:43:20 ID:Ip8umvoQ0
「……復元……ッ」
工程の実行と同時、ぼと、と右腕が崩れ落ちる。
剣ならともかく、肉体は構造が正しくなければ肉塊に過ぎない。
最初こそ元通りに作れていた肉体も、記憶の劣化復元の果てに精密さを失っている。
体を復元しようにも、今の彼は癒着もままならない肉塊を作ることしかできなかった。
生ける屍とはこういう事を言うのだろう、と彼は内心で自嘲する。
.
346
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:44:36 ID:Ip8umvoQ0
「……やめだ、。もう、もたない」
長剣を地面に突き刺し、その傍らにどっと腰を下ろす。
そして脱力感に任せて倒れようとしたその時、彼の背中を硬いなにかが受け止めた。
彼は僅かに振り返って背後を見た。
そこにあったのは黒い壁――邪龍化したまま意識を失ったドクオだった。
「……ああ」
彼が思い出せることは三つしかない。
その内の一つに『何としてもドクオを助ける』という記憶があったなと、彼は想起した。
ドラゴンの生命力は魔界でも随一だ。
内臓まで斬られているだろうに、ドクオはまだしっかりと息をしていた。
幸い、肉体の破損は30%程度に収まっている。
これなら復元の能力で何とかできる――彼はドクオに手をかざし、彼の体に能力を行使した。
それで最後だ。彼は、ドクオという存在を忘れきった。
.
347
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:45:16 ID:Ip8umvoQ0
「……はぁ、終わった、」
思考の展開が、徐々に終わり始める。
速度を失い、工程を放棄する復元・補完の激化能力。
彼の体はそれにつれて壊れていく。
しかし痛みはなく、ただ、役目を終えたという充実感があった。
.
348
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:46:02 ID:Ip8umvoQ0
「――――と、まだ、最後の仕事があった、」
彼はドクオに背を預けたまま、そっと腕を持ち上げ、空中にとある剣を思い浮かべた。
その剣は『妖刀・首断ち』。
これを遺しておかねば、あの子はこの先の戦いで必ず命を落としてしまう。
「……えっと、あの子って誰だったか、……」
「……まあ、思い出せる訳がない、……」
.
349
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:47:11 ID:Ip8umvoQ0
……最期の力を振り絞り、ジリジリと妖刀を作り上げていく。
彼はこの剣だけは戦いの最中でも復元しなかった。
劣化を最小限に抑えなければ、オリジナルの洗脳に対抗できないかも知れないからだ。
そしてあの子がこの剣を持てば、きっと自分の魔力をコントロールできるようになる。
完成した妖刀が、カランと音を立てて地面に落ちる。
それを見届けた彼は、ようやく胸をなでおろして一息ついた。
.
350
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:48:39 ID:EiR2.jx.0
ブーン……
351
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:48:54 ID:Ip8umvoQ0
「……ああ、そうだ」
最後に空を見上げ、微笑む。
思い描いたのは後ろ姿――金髪を翻す、少女の背中。
「確か、赤いマフラーが似合っていたな、あの子は――――」
【epilogue:end】
352
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:49:07 ID:Zhqd36nQ0
無茶苦茶あついじゃないかこの野郎
353
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:50:43 ID:Ip8umvoQ0
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
,、,,..._
ノ ・ ヽ と思うバターサンドであった また次回
/ ::::: i
/ ::::: ゙、 fateであった 二次創作であった
,i :::::: `ー-、
| :::: i
! :::::.. ノ
`ー――――― '"
354
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 22:09:24 ID:OU1/Ee9A0
紛うことなきfateだった
乙
355
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 22:12:03 ID:YRuf3wrg0
乙
fateわからないです
356
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 22:12:24 ID:otxL.ejQ0
ふぇいと分からないから普通にかっこいいと思いましたまる
357
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 22:35:32 ID:Zhqd36nQ0
fate見てみようと思いましたまる
358
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 23:19:59 ID:KWY6xELs0
MHXでもやってんのかと心配したわ
359
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 23:43:07 ID:41zDWU/M0
乙
fateかな?とおもったらfateだった
サブレかな?とおもったらひよこだった
しかし面白い
360
:
名も無きAAのようです
:2015/12/04(金) 00:57:17 ID:p90Irzew0
フェイトは文学でしたっけはてな
361
:
名も無きAAのようです
:2015/12/04(金) 02:29:11 ID:qUbTkf4U0
>>356
おまおれ
362
:
名も無きAAのようです
:2015/12/04(金) 02:48:16 ID:VKzDDJgoO
ブーンはリタイアか…
乙
363
:
名も無きAAのようです
:2015/12/04(金) 08:25:23 ID:AgiHtwRI0
fate分からんがくっっっそかっけえ
364
:
名も無きAAのようです
:2015/12/04(金) 09:50:26 ID:LMAfkviI0
fateわからない方が楽しめると思う
365
:
名も無きAAのようです
:2015/12/04(金) 19:50:29 ID:cF/cwxvU0
どうみてもfateだがもともとfateがおもろいから関係なし
366
:
名も無きAAのようです
:2015/12/05(土) 12:54:21 ID:X2o5JwaA0
おい作者とりあえず約束の年末だぞ
367
:
名も無きAAのようです
:2015/12/05(土) 15:32:44 ID:dSE5Wsdk0
年始がまだある
落ち着くんだ
368
:
◆9mGdTa8gSo
:2015/12/26(土) 00:29:20 ID:Hzh2RXDs0
【prologue:二週目、冬の夜】
――冷えきった夜を歩く小さな足音。
ξ;゚⊿゚)ξ「あ゙ーさぶ。はよ帰って寝よ……」 テクテクテクテクテクテクテクテクテクテク
赤マフラーを巻いた少女・魔王城ツンは暇に堪えかねて散歩に出掛けていた。
冬の夜中は人気もなく、灯りも街路灯が点々とあるばかりだ。
そんな中を歩いて数分。
コンビニで買った肉まんも食べ終え、ツンは身を震わせながら自宅に帰っていく。
徒歩の擬音がしつこいくらい多いのも全ては冬の寒さが原因だった。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
しかしふと、彼女は足を止めて遠くに目を凝らした。
ζ(゚ー゚*ζ
いくつか先の街路灯の下には返り血を浴びた女性。
そして、彼女の足元には満身創痍の男が一人。
( ・□・)くそお やられるもんか!
その男は、世界観が違った。
.
369
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:30:06 ID:Hzh2RXDs0
ξ゚⊿゚)ξ「……なんだか分かんないけど」
ξ゚⊿゚)ξ「見過ごしてたら魔王の恥よね」
ツンはマフラーを緩め、穏やかな呼吸を繰り返した。
白い吐息が風になびいて夜にとけていく。
そして、彼女の周囲に不自然な風が流れ始めた。
Σζ(゚ー゚;*ζ「――ッ!」ビクッ!!
魔王城ツンの変容に気付いた女は、咄嗟に振り返ってツンを凝視した。
そうして目に映ったのは、魔力が彩る真紅の気配(オーラ)。
ζ(゚ー゚;*ζ「……やらかした」
魔王の血筋にある少女――魔王城ツンの圧倒的な存在感が、一瞬にして女を釘付けにする。
ξ゚⊿゚)ξ「……仕事は分かるわね」
(::::::::::::)「…………無論ダ」
ツンの言葉を受け止めた『それ』は、闇の中から静かに滲み出てきてそう言った。
『それ』は実体を持たず、地面から少し浮いてツンの傍らに佇む。
.
370
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:30:48 ID:Hzh2RXDs0
ζ(゚ー゚;*ζ「まったく、変なのに気を取られたせいでッ……!」
( ・□・)なんだあれ!?わからない!
ξ-⊿-)ξ「今度のはずいぶん目立つ刺客ね。
いよいよ勇者も手駒が尽きてきたかしら」
小さい頃から魔王としての強さを自覚していた彼女は、
自滅しかねない程の膨大な魔力に形を与えて出力する術を身に着けていた。
習得には多大な時間を要したが、今度のツンにはその為の時間が十分にあった。
『一週目から引き継いだ強さ』は、確かに『今のツン』に備わっていた。
ξ゚⊿゚)ξ「さっさと倒して帰るわよ、“ゼノグラシア”」
(::::::::⊿)「……」
光のもとに現れてなお全身を影に覆われた『それ』の名はゼノグラシア。
彼の鋭い一瞥が、闇に光る。
( ・□・)すげー!
.
371
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:31:30 ID:Hzh2RXDs0
こうして――――
前回と今回をつなぐ説明は後の展開に丸投げされ――
ツンちゃん夜を往くは、二週目の世界に突入するのであった――
.
372
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:32:10 ID:Hzh2RXDs0
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
,、,,..._
ノ ・ ヽ と思うサンタクロースであった また来年
/ ::::: i
/ ::::: ゙、 クリスマスのせいで説明をすべて省きましたが、
,i :::::: `ー-、 このスレはラスボスを倒すまで強くてニューゲームを繰り返します
| :::: i 省いた部分はその辺りの説明をしてましたという説明でした
! :::::.. ノ
`ー――――― '"
373
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:33:27 ID:Hzh2RXDs0
☆ステータス更新☆
≪ ξ゚⊿゚)ξ / 能力無し→“ゼノグラシア” ≫
【本体名】 魔王城ツン
【タイプ】 アホ→やる時はやるアホ(アホ)
【基本能力】 ※二週目開始時の能力
[破壊力:A] [スピード:A] [射程距離:B]
[持続力:A] [精密動作性:A] [成長性:A]
【概要】
一週目の最後の戦い(全カット)において魔王の力を解放したツンちゃん。
その強さを引き継いだ結果、彼女はスタンド能力らしきスタンド能力を得た。
戦闘能力は魔王の名に相応しいほど凄い。
“ゼノグラシア”に実体はなく、常に影のようなアレになっている。
ツンちゃんの赤マフラーとオーラでやんわり繋がっている。
ツンちゃんが本気になると実体を得る。その時はツンちゃんっぽい見た目になる。
374
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:34:22 ID:Hzh2RXDs0
☆ボスキャラ一覧☆
≪爪'ー`) / ??? ≫
【本体名】 フォックス
【傾向と対策】
『Aルート・王座の九人編』のラスボス。ブーンが自滅覚悟でようやく互角に戦える相手。
序盤に出てくるため、本気ブーン以外にはまったく対処できない。
今のままだと毎回確実にブーンが死ぬので何とかしよう。ロマネスクをぶつけると死ぬ。
≪??? / ??? ≫
【本体名】 ???
【傾向と対策】
未登場。しかしフォックスを無事倒したところで登場はしない。
ツンちゃん達がフォックスを連れて魔界に帰ると 『Bルート・未完の勇者編』 に突入し、このボスが登場する。
その際には素直四天王が輝く。ボス初登場までにブーンを強くしておくと、とてもよい。
≪??? / ??? ≫
【本体名】 ???
【傾向と対策】
未登場その2。『ツンちゃん夜を往く』における最大のラスボスであり、倒すと完結。
『未完の勇者編』の山場でツンちゃんが間違いを犯すと、『Cルート・夜明けの鎮魂歌(レクイエム)編』に突入する。
突入までに王座の九人を一人でも殺しているとバッドエンドが確定する。
375
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:35:30 ID:Hzh2RXDs0
,、,,..._
ノ ・ ヽ おやすみプンプンです
/ ::::: i
/ ::::: ゙、 今後の展開はこういう事になりました
,i :::::: `ー-、 マルチエンディングなので、いつか確実に逃亡します
| :::: i Cルート完結まで書ければ上等ですが、逃亡の際はお知らせします
! :::::.. ノ
`ー――――― '" また次回 おそらく2月になります
376
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:36:18 ID:JlJ7AX9.0
まさかの周回ゲーだった
377
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:36:59 ID:JlJ7AX9.0
乙
378
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 00:39:55 ID:leEVBYhk0
なん・・・だと・・・
379
:
名も無きAAのようです
:2015/12/26(土) 10:43:28 ID:RyTRjhwk0
この設定を年内に畳んで完結させるつもりだったというのか…!
380
:
名も無きAAのようです
:2015/12/27(日) 02:00:15 ID:IEOkrYNM0
ただのコメディと思ってたけど予想以上にすごい展開になってきた
381
:
名も無きAAのようです
:2015/12/28(月) 01:24:14 ID:p6vMnKhY0
難しくなってきたからもうついていけん
382
:
名も無きAAのようです
:2015/12/29(火) 11:36:30 ID:GKyPyh6g0
いや、これは絶対に読み切りたい
頑張ってくださいお願いします
383
:
名も無きAAのようです
:2015/12/29(火) 14:01:19 ID:I/g/lKYE0
これでついていけないってのは流石に……
384
:
名も無きAAのようです
:2016/01/02(土) 08:19:05 ID:JbvaJml60
まさかの展開に期待が膨れ上がってる
逃亡とか悲しくなるだろ…支援支援
385
:
名も無きAAのようです
:2016/01/18(月) 22:50:28 ID:YZ/lsgRM0
熱過ぎるだろ、続きが見たい。
386
:
名も無きAAのようです
:2016/03/01(火) 15:01:17 ID:KhAdyT1E0
,、,,..._
ノ ・ ヽ 信玄餅です
/ ::::: i 2月30日がない事に昨日気付きました
/ ::::: ゙、 週末には投下するNE(^ω^)
387
:
名も無きAAのようです
:2016/03/01(火) 15:09:08 ID:hBjciW3.0
やったぜ
388
:
名も無きAAのようです
:2016/03/01(火) 15:09:40 ID:.GMprELI0
成し遂げたぜ
389
:
◆9mGdTa8gSo
:2016/03/05(土) 07:03:41 ID:/Ny0Anw.0
【interlude:1】
――――血潮は正義の名の下に。
みたいな、そんな感じのカッコイイやつ――――
ξ´⊿`)ξ ングォーー
ああ、なんか、すごいカッコイイ夢を見てる――
なのにめっちゃ眠い――うわすごい眠い――――――
【interlude:out】
390
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:06:42 ID:/Ny0Anw.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
⊂( ^ω^)「ツーーーーーーン!」ダダダダダ!!
三 ( と)
三/ >
( ^ω^)「朝だおーーーー起きてーーーカンカンカン!」
ξ-⊿-)ξ「ぐぅ、ぐぅ……」
( ^ω^)「起きてーーーーーー」
ξ-⊿-)ξ「すや……」
( ^ω^)「起きてってばーーーーーーうわーーーーー」
ξ-⊿-)ξ
ξ#-⊿-)ξ ブチッ
.
391
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:07:31 ID:/Ny0Anw.0
大小なりに事件はあるが、とにかく世界は平和だった。
知らない所でなにかは起こっているけれど、私の周りはすごく平和。
いちおう魔王城家の娘という立場がある以上、少しは慌しいけれど……。
('A`)「うぃーす。朝から元気だな」
(#)^ω^)「おっおっ。今日はほっぺた叩かれたお」
ξ#゚⊿゚)ξ「この起こし方続けるなら、いつか絶対チンコ蹴る」
(^ω^)「わーおうふふ」
私は今日も学校に行く。
市立VIP高校で、すごく平和な日常を送るために――
.
392
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:08:11 ID:/Ny0Anw.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです
王座の九人編
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
393
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:09:39 ID:/Ny0Anw.0
他愛ない会話が大体二十分くらい続くと、私達はVIP高校に到着していた。
部活動やらなんやらがどうこうしているのを横目に、私達はさっさと校舎内に足を踏み入れる。
下駄箱の前で靴を履き替えていると、ドクオが改まって話し始めた。
('A`)「そういやツン、お前また襲撃されたんだってな」
ξ゚⊿゚)ξ「昨日のこと? べつに大丈夫だったわよ」
('A`)「まあそうだろうけどさ、とりあえず貞子さんには見てもらっとけよな。
盗聴器とかはお前じゃ見落とすだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「それも昨日の内にやった。心配しすぎよ」
( ^ω^)「ツンはアホだから仕方ないお!」
('A`)「お前がつえーのは分かるが、油断してたらバッサリやられんだからな……」
ドクオは鬱々とした表情と口振りで、嫌味ったらしく呟く。
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、アンタまだ護衛外されたの気にしてるの?」
( 'A`)「……そんなんじゃねえよ」
私とドクオの出会いは小学生の頃だった。
最初は主人とその護衛という関係だったが、私は成長と共にどんどん強くなってしまい、
中学に入る頃にはドクオは特に必要のない存在になってしまったのだ。
本当ならその時点でドクオはお役御免。
魔界に帰らされる筈だったが、そこは私の発言力でなんとかしている――という話は、彼には秘密だ。
しかし、そのせいでドクオの性格がちょっと暗くなってしまったのは少し罪悪感がある。
ξ゚⊿゚)ξ(まあ元々暗いから、ぜんぜん罪悪感ないけどね!)
( 'A`)「おら、二人ともどうせ宿題やってねえんだろ。
写したいんなら急ごうぜ。時間ねえぞ」
(; ^ω^)「おッ!? 宿題!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「あったの!?」
(;'A`)「そっからかよ……」
.
394
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:13:34 ID:/Ny0Anw.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今日の分の宿題を書き写し終える頃には、既にホームルームが始まる寸前であった。
( ´∀`)「おはようモナ〜〜〜〜」ガラガラ
ふにゃけた挨拶と同時に教室の扉が開く。
モナー先生は早速教壇に立つと、教室内をぐるっと見回してから言った。
( ´∀`)「欠席ゼロ。いいことだモナ」
( ´∀`)「今日はなんと転校生が来てるモナ! しかも4人!」
( ´∀`)「四人とも、入ってきてほしいモナ!」
ξ*゚⊿゚)ξ「エミリオ・カスティーヨ来るかしら!?」
('A`)「来ないと思う」
( ^ω^)「来ないお」
ξ゚⊿゚)ξ
私は机に突っ伏して寝た。このまま下校まで起きない所存だった。
.
395
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:14:14 ID:/Ny0Anw.0
川 ゚ -゚)「第一刺客ノ高校から来ました。素直クールです」
ノパ⊿゚)「第二刺客ノ高校から来ました。素直ヒートです」
lw´‐ _‐ノv「第三刺客ノ高校から来ました。素直シュールです」
o川*゚ー゚)o「第四刺客ノ高校から来ました。素直キュートです」
( ^ω^)「ドクオ」
('A`)「うーん明らかに刺客だなあ」
( ^ω^)「どうするお」
('A`)「放置で。ミセリさんに言っとけば始末してくれんだろ」
( ^ω^)b 「オッケーだお」
川 ゚ -゚)(ククク……予想通り、あいつらは我々の正体に気付いていない……)
川 ゚ -゚)(まさかこんな堂々と刺客が来る訳がない。その裏を突いたのさ……)
('A`)(さっさとミセリさんにメールしとくか)
川 ゚ -゚)(フハハ、今夜は焼肉だぞ妹達よ)
この作戦が裏どころか表すら突けてないアホ作戦だと彼女達が気付くのは、もう少し後のことだった。
.
396
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:16:16 ID:/Ny0Anw.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
――放課後。
ξ´⊿`)ξ スピーピュルルルピー
('A`)「おいツン、起きろ。おい」
( ^ω^)「カァーッ! これだからドクオは! まったく!
僕に任せるお! ツン起こしはこうやるんだお!」
⊂( ^ω^)「起きてーーーーツーーーーーン!」ダダダダダ!!
三 ( と)
三/ >
( ^ω^)「ツンツツンツーーーーンうわーーーーーー」
( ^ω^)「ツンちゃ♪ ツンちゃ♪ ツンちゃ♪」
( ^ω^)「ねぇ起きてよーーーーーーーー」
( ^ω^)「はやく起きッ」 ゴチュッ
ξ#-⊿-)ξ「……一日に二度もやるな」
( ゚ω゚)
私の拳は、この怒りに導かれてブーンの股間を強打していた。
柔らかい感触が手に触れ、そしてぐにゃあと変形する。
男にはこれが痛い。私は手を引き、大きく背伸びをして見せた。
397
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:17:04 ID:/Ny0Anw.0
ξ´⊿`)ξ「〜〜〜〜っと。あーよく寝た。いま何時?」
('A`)「六時だ。もう帰ろうぜ」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ私、昨日のことでハインさんに呼ばれてるの。
だからブーンの家に寄っていくけど、ドクオも来る?」
( 'A`)「……いや、俺は聞く必要がないしな。遠慮しとく」
ξ゚⊿゚)ξ「別にいいのに。ねえブーン?」
( ^ω^)「金タマめっちゃ痛いNE!」
('A`)「……それじゃあ先に帰るわ。また明日な」
ドクオはさっさと荷物を片付け、私達を置いて教室を出て行ってしまった。
彼はやはり、護衛を外された時から私と距離を置いているような気がする。
必要以上の馴れ合いを拒んでいるような……少なくとも、友人という立場は居心地が悪そうだった。
彼はあくまで護衛という仕事上の付き合いを求めているのだ。
なのにこうして友人らしく振舞っているのは、ドクオの優しさかただの義務感か……。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
( ^ω^)「金タマめっちゃ痛いお!」
ξ゚⊿゚)ξ「ま、私達も行きましょうか」
( ^ω^)「よっしゃ帰るお!」
私達は学校を出て、ブーンの家に向かった。
.
398
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:18:54 ID:/Ny0Anw.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ブーンの家はそこそこ大きい屋敷だ。
私の家を基準にすると三倍くらいある。
庭が広い。小さい池もある。かつて池に乾燥シイタケを入れて怒られた事がある。
( ^ω^)「じっちゃーーん!! ただいまだお!!」
从 ゚∀从「おうおかえり。ツンちゃんも一緒かい」
ξ゚⊿゚)ξ「ウィス。お邪魔します」
ブーンの義理の祖父・ハインさんは異様に若々しく、そしてイケメンだった。
今でも60人くらいは愛人が居そうな雰囲気がある。
彼の名前はハインリッヒ=リヴァイヴネイカー。
ハインリッヒ以降の部分は嘘だがすごく似合う。本当はハインリッヒ高岡という名前である。
性別は男。ブーンとは比べものにならないほど、男らしいフェロモンめいたものが漂っている。
从 ゚∀从「とりあえずあがんな。茶も用意したからよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ウィス」
私達はハインさんの後に続き、彼の私室に移動した。
.
399
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:19:34 ID:/Ny0Anw.0
从 ゚∀从「よっ、こらせっと」
ハインさんは座布団に腰を下ろし、私とブーンにお茶を出してくれた。
私がそれに口をつけようとすると、ハインさんは早速昨日の一件について話し始めた。
从 ゚∀从「始末はつけた。案の定、勇者軍の残党だったぜ。
まだ尋問が終わってねえから別室に居るが、明日には魔界送りだ」
ξ゚⊿゚)ξ「……尋問って、別に聞くことなくない?」
从;゚∀从「いやいや。ツンちゃんよ、あるだろうが」
ξ゚⊿゚)ξ「分かんない」
从;゚∀从「あの女、デレって名前なんだが……。
あいつが狙ってた男。そいつの情報だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……そんなん居たっけ」
从 ゚∀从「助けた相手くらい覚えといてやれ。
しゃーねえ、ちっと呼んで来るから待ってろ」
( ^ω^)「お菓子の追加も頼むお!」サクサクサクサクサクサク
从;゚∀从「おめえは食いすぎだ! お菓子はそれで最後!」
( ^ω^)「市政の圧迫を感じるお」
.
400
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:20:27 ID:/Ny0Anw.0
从 ゚∀从「というわけで連れてきた」
( ・□・)おっす
(; ゚ω゚)「おととととお父さん!?」
( ・□・)久し振りだな 息子よ!
从 ゚∀从「勇者軍に捕まってたが逃げてきたらしい。
やったなブーン。これで隠し事はなくなるぜ」
( ;ω;)「やったおーん! 嬉しいおーん!」
ξ゚⊿゚)ξ「なるほどスピーディな展開ね」
〜〜
('(゚∀゚∩「解説のなおるよだよ!」
('(゚∀゚∩「冒頭でデレちゃんが殺そうとしてたのは実はブーンちゃんのパパだったんだね!」
('(゚∀゚∩「でもツンちゃんが強くなっていたのでブーンパパは生存!
これで一週目にあったようなブーン達の行動はなくなったよ! やったね!」
('(゚∀゚∩「今後も大きな変化があったらちょくちょく解説していくんだよ!」
〜〜
.
401
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:21:09 ID:/Ny0Anw.0
( ;ω;)「おおおお〜〜ん!」
( ・□・)おお息子よ、大きくなって 下ネタじゃないけど
ξ゚⊿゚)ξ「……で、このアホっぽい人は何なの?」
从 ゚∀从「先代勇者だ。ブーンの親父さんでもある」
ξ;゚⊿゚)ξ「……勇者? いや、でも勇者は……」
この世界でかつて起きた正義と悪の大戦争(
>>13-14
)――その一時代前。
本物の勇者と、最後の魔王が命をかけて戦った最終決戦。
その戦いで魔王に致命傷を負わせ、あまつさえ魔王に「真の勇者」とまで言わしめた男。
( ・□・)
それがこの男、らしい。
既に死んだものとされていたが、どっこい目の前で生きている。
ξ;゚⊿゚)ξ「どどどどーいうこっちゃ!?」
从 ゚∀从「……ま、事情ありだ。ブーン、たっぷり甘えとけよ」
.
402
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:22:01 ID:/Ny0Anw.0
( ;ω;)「おぉ〜ん! 会いたかったお〜」ギュウウ
( ・□・)パパもだよ でもごめんな もう時間切れみたいだ
自分に抱きつくブーンを優しくなだめるブーンパパ。
だがそれも束の間、ブーンパパの体は徐々に透け始めていった。
从 ゚∀从「……本人は未だ敵の本陣。その体は複製されたものだそうだ。
内藤さんが首尾良く脱出させたはいいが、それも限界……」
( ;ω;)「おっおっ……嫌だお〜……」
( ・□・)ブーン、学校は楽しいかい
( ;ω;)「楽しいお……今日は金玉殴られたお……」
( ・□・)金玉はともかく、それはよかった 友達を大事にするんだぞ
( ・□・)ハインリッヒに聞いたぞ 随分無茶をしているようだが、それも止めなさい
( ・□・)勇者軍、そしてその後ろに控える組織は手強い
信じられる仲間と一緒でなければ、お前は確実に人として壊れてしまう
( ;ω;)「おーん……おーん……」
父親の胸ですすり泣くブーン。泣きながらも、父の言葉の一つ一つに深く頷く。
人として壊れる・・・ブーンの戦いは、それすら覚悟したものだったのだろう。
ξ;゚⊿゚)ξ
私もさすがに沈黙し、彼らのやり取りをじっと見つめていた。
するとふと、ブーンパパの目が私の方を向いた。
.
403
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:22:41 ID:/Ny0Anw.0
( ・□・)そうか、君が魔王スカルチノフの孫娘か
ξ゚⊿゚)ξ「……」
( ・□・)・・・まだまだ伸び白があるようだ 頑張るんだよ
( ・□・)ブーンの事もよろしく頼む
意地っ張りで無茶をする子だから、君が止めてやってくれ
( ・□・)
( ・□・)ところで二人はもうセック
そこでブーンパパは完全に消え去ってしまった。
ありがとうブーンパパ・・・さようなら・・・
( ;ω;)「ぐす……また今度だお、お父さん……」
从 ゚∀从「……内藤さんから敵の事情は聞いておいた。
それとデレから聞き出した分も合わせて色々話がある。
ブーン、ツンちゃん。しばらく忙しくなるぜ」
ξ゚⊿゚)ξ「……なにか分かったの?」
ハインさんは思わせぶりな言葉の後、表情を改め、はっきりと言い放った。
从 ゚∀从「勇者軍のアジトが分かった。
そう遠くない内に、こっちから攻め込む事になるだろうな」
.
404
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:23:45 ID:/Ny0Anw.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
九つの席が用意された円卓。
そこに集まったのは七人。空席は二つ。
暗闇の中、唯一照らされたその場所で、『王座の九人』は沈黙を保っていた。
( ・∀・)「モルモットが逃げ出したそうだな、アサピー」
円卓に肘を突き、さも不機嫌そうな顔で沈黙を破った男。
モララーはその一言を、研究開発局の局長・アサピーに向けていた。
(;-@∀@)「ぐぬ、ぐぬぬぬ……」
( ・∀・)「抹殺に差し向けた部下も失った。優秀な人材だったのにな、あー残念だ」
(;-@∀@)「う、うるせー! ここの誰かが行ってりゃ問題無かったんだよ!
なのにお前ら俺からの連絡無視しやがって!」
(;-@∀@)「お前らそんなに俺がキライか!?」
( ・∀・)「嫌いだ」
(,,゚Д゚)「大嫌い」
J( 'ー`)し「死んでちょうだい」
( ´_ゝ`)「ドロースタンまで」
(´<_` )「通します」
(-@∀@)「グゲゲーーーーー(血反吐を吐いて死亡)」
.
405
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:24:25 ID:/Ny0Anw.0
爪'ー`)「ふふ、仲睦まじくてなによりだ」
王座の九人筆頭――フォックスは、円卓を一望して微笑む。
( ・∀・)「そう言っている場合か?
敵にハインリッヒが居るならこちらの情報は全部抜き取られるぞ」
(;-@∀@)「お、おれは悪くねえからな!!」
爪'ー`)「心配するな。なにも問題ない。
ここがバレたなら、それなりの対応をするまでさ」
フォックスは膝で手を組み、その余裕ぶりを過剰に演出して見せた。
爪'ー`)「魔神ロマネスク、その娘・魔王城ツン。
ひいては魔界を統べる数万の魔王軍軍勢……」
爪'ー`)「……その全てをこちらから出向いて倒すのは、正直しんどい。
故に、今回のことは都合が良いとさえ言えるよ」
爪'ー`)「もし向こうから攻めて来たなら、その時はこちらの陣地での戦闘。
用意周到に彼らを出迎える事ができる」
爪'ー`)「それに元より敗残兵の負け戦、いまさら不利が増えたところで他愛ないさ……」
.
406
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:27:28 ID:/Ny0Anw.0
(,,゚Д゚)「……ま、大将様に言われたんじゃ焦ってもしゃあねえ」
(,,゚Д゚)「それにもう次の手は打ってあんだよな?
一手ずつ、確実に詰めていこうぜ」
( ・∀・)「次の手? ……聞いてないぞ、アサピー」
(;-@∀@)「んだよォ! いちいちお前に報告する義務なんかねーよバーカ!!」
爪'ー`)「さっき魔王城ツンのもとに歯車王を向かわせたそうだ。
なんでも今度のバージョンは自信作らしくてな、期待しようじゃないか」
(; ・∀・)「いや……。どう考えても無理だと思うが」
モララーからの冷ややかな反論。
しかしそれを見越していたのか、アサピーがマッドサイエンティストっぽい笑い声を張り上げた。
(#-@∀@)「オブボフヘアアア!?(笑い声) ブァァァカめ!」
(#-@∀@)「ぅ我が勇者軍の科学力は常に! あ、常にィ〜〜〜??
この時代の最先端をォ、バッサリ切り開いていくものであァァアアァァッる!!」
(,,゚Д゚)「うっせ」
J( 'ー`)し「殺していいかしらぁ」
.
407
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:28:16 ID:/Ny0Anw.0
(#-@∀@)「せいぜいそこでふんぞり返っていろモララー!
その一席ィ……いずれ誕生する歯車王二号機の為に温めておくんだなぁぁぁ〜〜ッ!?」
( ´_ゝ`)「これ終わったらカラオケ行く?」
(´<_` )「いいな。美川憲一の採点やろうぜ」
爪'ー`)「やはりカラオケか……私も同行しよう」
( ・∀・)「帰って寝るか〜〜〜〜」
(#-@∀@)「フフフハ、ハーーッハッハッハ! ワハハハーーーー!!」
――各々、テンションの差が酷い王座の九人だった。
408
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:29:47 ID:/Ny0Anw.0
【interlude:2】
「……それが、魔王の孫娘か」
その言葉と共に扉が開き、白い鎧の女が教室に入ってきた。
女は黒い長髪をひるがえし、堂々と教壇に立って瞑目する。
川 - )「――素直四天王が筆頭、素直クール。
魔王城ツン。すまないが、お前にはここで死んでもらう」
女、素直クールは腰の鞘から剣を引き抜き、それを空中で一振りした。
戦闘シーンを全カットされ、次回開始時には負けているとも知らずに――
川 ゚ -゚)「……」
川;゚ -゚)「って、ちょっ、あれ? 誰も居なッ……」
放課後の教室、いざ襲撃だ!と意気込んで教室に入ってきた素直クール。
ところが教室内はもぬけの殻。夕日が差し込む、物悲しい風景があるだけだった。
川;゚ -゚)「……フッ。わ、私の実力を知って逃げ出したか」
川;゚ -゚)「魔王城ツン。その命、今週いっぱい預けておくぞ……!」
クールは誰も居ない、誰も居ない、本当に一人ぼっちの教室で照れ隠しを呟いた。
.
409
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:31:30 ID:/Ny0Anw.0
照れ隠しも言い終わって、あーもう帰ろうと剣をおさめる素直クール。
そうしているとふと教室の扉が開いて、見知った顔がひょっこり中を覗いてきた。
o川;゚ー゚)o「……あー。やっぱり」
川;゚ -゚)「む、キュート」
素直四天王・素直キュートは、参ったなこりゃという困り顔で教室に入ってきた。
o川;゚ー゚)o「……お姉ちゃん、ここ来る前に下駄箱見た?
魔王城の靴、なかったよ?」
川;゚ -゚)「いや、その……これは予行演習というかな、気合有り余ってというやつでな……」
o川*゚ー゚)o「……はいはい、分かったから。ありがとお姉ちゃん。
とりあえず今日はもう帰ろう? 特売終わっちゃうよ」
Σ川;゚ -゚)「特売ッ!? こうしてはおられんッ!」
キュートの一言に発破を掛けられた素直クールはすぐさま武装を解除し、
然るべき女子高生の格好に戻って一目散に駆け出した。
o川*゚ー゚)o「いけいけお姉ちゃん! よっ! 四天王最速ッ!」
三┏川;゚ -゚)┛「キュートも急いで帰ってくるんだぞ! 今日は焼肉だからな!」ダッ!
.
410
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:32:10 ID:/Ny0Anw.0
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411
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:34:43 ID:/Ny0Anw.0
o川*゚ー゚)o「……さて」
と、一人残されて一息ついた素直キュート。
o川*゚ー゚)o「そこのロボット、もう出てきていいよ」
彼女は教室の隅に目を向け、得意気に腰に手を当てて言った。
しかし彼女が見つめる先には誰も居ない。
窓があり、風になびくカーテンがあり、机椅子がある程度。
それでもなお、彼女は誰も居ない空間に向かって言葉を投げかける。
o川*゚ー゚)o「……なんだっけ、光学迷彩?
凄いね。人間じゃないから本当に気配が無い。
違和感そのものに気付かなかったら、多分魔王城でも分からないよ」
くすり、と素直キュートが微笑む。
その直後、不気味な重低音が教室内に響き始めた。
それは敵の光学迷彩が解除されていく音――徐々に姿を見せていくそれを、素直キュートはじっと見つめる。
.
412
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:35:26 ID:/Ny0Anw.0
β ←ここからミサイルが出る
┌─┴┐
∪ |::━◎┥∪ ウィーン ガッシャン
V| |V
|:日 日:| ウィーン ガガガガ
└┬┬┘
亠亠
o川;゚ー゚)o「……思ったより、見た目はレトロだね」
|::━◎┥「――目標、確認デキズ。目撃者、一名」
|::━◎┥「機密保持ノ為、殺害ヲ実行シマス」
|::━◎┥「教室内ニ結界ヲ展開。逃走ハ、不可能――」
地の文にすると数行必要なことを一言で済ませてくれた歯車王。
彼はそれだけを宣告し、その姿を再び光学迷彩の中に消していく。
.
413
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:36:33 ID:/Ny0Anw.0
o川*゚-゚)o「……なにそれ、めんどくさ」
o川*゚-゚)o「運悪くブッキングしただけじゃん。
狙いは魔王城なんでしょ? 別に殺すとかよくない?」
「武装展開、完了――」
無機質な音声と、銃火器の起動音が四方八方から素直キュートを捕捉する。
最大火力による絨毯爆撃はもう間もなく――だが、彼女は顔色を変えない。
o川*゚-゚)o「……チッ」
唾棄するような舌打ちが一つ。
歯車王の攻撃が始まったのは、まさにその直後だった。
414
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 07:38:06 ID:/Ny0Anw.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
――結界が解けると、戦闘の形跡は綺麗サッパリなくなっていた。
外はすっかり夜に沈んでいた。夕飯時なのか、どこかから良い匂いが漂ってくる。
o川*゚-゚)o「……」
静まり返った戦場を惜しむように、彼女はしばし、その場に佇む。
だがそこに達成感も満足感もありはしない。この戦いで彼女が得たものは、耐え難い空腹感だけだった。
もちろん単純にお腹も空いているが、彼女にはそれだけではない“飢え”があった。
そして、その“飢え”が満たされた事は、これまで一度として無かった。
o川*゚-゚)o「……つまんない」
素直キュートは、足元の鉄屑をコツンと蹴り飛ばした。
切り刻まれ、叩き潰された歯車王の残骸は、もうその一片しかこの世に残っていない。
o川*゚-゚)o「つまんない、つまんない、つまんな〜〜〜い……」
リズミカルに、同じ言葉を繰り返す。
彼女は最後に溜め息をつくと、鞄を持って教室を出て行った。
何事もなかったかのように振る舞い、いつもの面倒臭がりな自分に戻る。
o川*゚ー゚)o(……そういや焼肉だっけ、急ごっと♪)
姉同様、戦闘シーンを全カットされたとも知らず――
【interlude:out】
.
415
:
◆gFPbblEHlQ
:2016/03/05(土) 07:41:52 ID:/Ny0Anw.0
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
,、,,..._
ノ ・ ヽ と思うやわもちきなこであった
/ ::::: i
/ ::::: ゙、 ブン動会に出るので次回遅れるのであった
,i :::::: `ー-、
| :::: i あとトリップもこっちに統一するのであった
! :::::.. ノ
`ー――――― '" また次回
416
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 08:26:23 ID:T8osC5VE0
相変わらずバッサリ切るなぁ
乙
417
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 08:29:54 ID:kfijDeJg0
乙なのであった
前出てきた時はそこまで強そうじゃなかったけどそんなことないのか素直シスターズ
418
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 08:49:05 ID:SKj37rc.0
おつおつー!
今回のルート、ドクオが不安要素だなぁ……
ブン動会応援してる
419
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 09:12:25 ID:H3q5Qwlg0
乙乙
このざっくり感が癖になる
420
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 10:19:13 ID:Ab3kDPCI0
乙!
前のルートであれだけ過酷だったブーンが幸せそうで良かった
421
:
名も無きAAのようです
:2016/03/05(土) 10:24:31 ID:e4hg474g0
>>417
モナーの首を落とすシーンのクーもシューも強そうだっただろ!!
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