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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです

1名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:03:05 ID:cQB6.m2k0
      ,、,,..._
     ノ ・ ヽ
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   `ー――――― '"

2名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:06:11 ID:cQB6.m2k0


 大小なりに事件はあるが、とにかく世界は平和である。
 知らない所でなにかは起こっているけれど、私の周りはすごく平和。


 私は今日も学校に行く。
 市立VIP高校で、すごく平和な日常を送るために――


.

3名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:07:03 ID:cQB6.m2k0


ξ;゚⊿゚)ξ「ぢごぐぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!」 ダダダダダ!

 しかし見ての通り私は遅刻寸前なのでこんな独白をしている場合ではない。

 私はとにかく走っていた。爆走していた。
 邪魔になるので鞄もろとも教科書の類も家に置いてきた。
 身一つでの決死の走りのおかげもあって、私はなんとか遅刻を免れたのだった。

ξ;゚⊿゚)ξ「セーフ!」ガラガラッ

( ´∀`)「遅刻」

ξ゚⊿゚)ξ「はい」

 先生の言葉の意味は分からなかったが、私は教室に着くなり速やかに着席し、そして挙手した。

ξ゚⊿゚)ξ「先生、教科書忘れました」

( ´∀`)「うん見るからに手ぶらだったもんね。
      ツンさん、遅刻していいから次は教科書持ってこようモナ」

ξ゚⊿゚)ξ「はい先生」

 私は颯爽と着席し、隣の席の生徒に一瞥を送った。

.

4名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:08:10 ID:cQB6.m2k0


(;'A`)「……なんか言えよバカ」

 バカって言う方がバカ理論で言うところのバカである隣席の彼・ドクオ。
 ドクオは机をこちらに寄せて教科書を見せてくれた。
 バカなりに自分の仕事は分かっているようだった。

ξ゚⊿゚)ξ「授業中に喋らないでよ。空気が汚れるじゃない」

(;'A`)「後半ただの悪口じゃねえか。俺の息はクリーンだ」

ξ゚⊿゚)ξ「緑の吐息ってホントに毒性ありそう」

(;'A`)「グリーンブレスじゃねえって……」

ξ゚⊿゚)ξ「あー早く授業終わんないかしら……」

 そう思った矢先、授業終わりのチャイムが鳴り響いた。
 さすがに驚いた私はドクオの方を向いてひっそり問い掛ける。

ξ;゚⊿゚)ξ「終わるの早くない?」

('A`)「お前が入ってきた時点で9割終わってたからなぁ」

( ´∀`)「はい、それじゃあここまでモナ。解散!」

 解散の合図と同時にクラスの雰囲気が軽くなる。
 私は早速席を立った。二時間目にそなえて誰かから教科書を借りてこなければいけないのだ。


ξ゚⊿゚)ξ「ねえドクオ、二時間目って数学?」

('A`)「は? もう昼飯だよ」

ξ゚⊿゚)ξ


 なるほどね、と心で呟いた。

.

5名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:08:51 ID:cQB6.m2k0


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 一旦家に帰った私は自宅で昼食をたいらげてから学校に戻った。
 不服だが教科書も持っていった。
 まったくもって無駄な苦労だったが、世の中とは無駄なものを評価したがる性質なのだ仕方がない。


( ^ω^)

('A`)

 程なくして教室に戻ると、私の席には内藤くんが座っていた。
 べっべつに内藤くんの事なんて好きじゃないんだからねと言いたい所だが実際べつに好意は無い。
 内藤くんと呼んだのもこの独白が初めてである。普段は『お肉』もしくは『ブーン』と呼んでいる。


ξ゚⊿゚)ξ「なに話してんの?」

( ^ω^)「おおっ! いいところに来たお!」

 good placeという意味なら確かに私の席はいいところだ。窓際で寝やすい。

( ^ω^)「ちょっと面白い話を聞いたんだお。ほら、ボクのお爺ちゃんから」

 ブーンの祖父とは私も仲が良い。
 私はちょこっと期待して耳を傾けた。

.

6名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:09:58 ID:cQB6.m2k0



( ^ω^)「正義の味方とか悪者の人って、すごいパワーがあるお?」

('A`)「まあ、色々あるな」

(; ^ω^)「じつはそれ、誰にでもありうる話らしいんだお」

('A`)「……ありうるって、誰でもスーパーパワーに目覚めるってことか?」

 ブーンは私とドクオにだけ、ひそひそと続きを話した。

(; ^ω^)「お爺ちゃんはそれを 『激化』 って言ってたお。
       戦争の時代とかもうみんな激化しまくってたって」

(;'A`)「えぇ……」

 ドクオは顔を引き、そんなの信じらんねぇと言わんばかりにブーンを訝しんだ。

ξ゚⊿゚)ξ「激化ねぇ……まあ、あっても不思議じゃないか」

(;'A`)「確かにそういうパワーについて俺らには情報回ってねえけどさ……」

(; ^ω^)「ていうか見せてもらったんだお!
      お爺ちゃんがすごいパワー使ってるところ! 空気がドン! ってしたんだお!」

(;'A`)「……ネタ切れだからって嘘つくなよ」

(; ^ω^)「ホントだお! 激化の方は分かんないけど、お爺ちゃんがスゴイのは本当だお!」

.

7名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:10:38 ID:cQB6.m2k0


ξ゚⊿゚)ξ「見に行っていい?」

( ^ω^)「お? ぜんぜんオッケーだお!」

 唐突に聞いてみると、ブーンは二つ返事で快諾してくれた。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、私いますごい熱があるの。早退するわね」

('A`)「お前今から行く気か? そろそろ教師に文句つけられんじゃね」

( ^ω^)「ツンはバカだから人目なんて気にしないお!
      家の鍵貸してあげるお! お爺ちゃんに会ったら色々話すといいお!」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがと。私の荷物ちゃんと家に届けてよね」

(;'A`)「自分で持ってけよ」

 私は手ぶらで学校を飛び出し、ブーンの家へと走り出した。

.

8名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:11:29 ID:cQB6.m2k0


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 ブーンの家はそこそこ大きい屋敷だ。
 私の家を基準にすると三倍くらいある。
 庭が広い。小さい池もある。かつて池に増えるワカメを入れて怒られた事がある。


 かくして私は鍵を使って裏口から進入し、ブーンの祖父を探し始めた。
 進入の手口が円滑なのは、これが初めてではないからだ。
 小さい頃からこうして忍び込んでは、


从 ゚∀从「おう。来たのかい」

ξ゚⊿゚)ξ

 こうして先に発見され、背後に立たれている。


 ブーンの祖父は異様に若々しく、そしてイケメンだった。
 今でも50人くらいは愛人が居そうな雰囲気がある。

 彼の名前はハインリッヒ=ヴァルケン・シュタイナー。
 ハインリッヒ以降の部分は嘘だがすごく似合う。本当はハインリッヒ高岡という名前だ。
 性別は男。彼にブーンと同じ血が通っていると思うと世界の不条理さを痛感する。

.

9名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:12:41 ID:cQB6.m2k0


 私達は和室に移動した。
 この和室はハインさんの私室でもある部屋で、広い庭が見渡せる。


从 ゚∀从「よっ、こらせ」

 ハインさんは座布団に腰を下ろし、私にお茶を出してくれた。
 私はそれを無視して自前の午後の紅茶を飲み始めた。


从 ゚∀从「で、またブーンの奴にそそのかされたか」

ξ゚⊿゚)ξ「うん。激化がどうこうって話を聞いたの」

从;゚∀从「……秘密だってんのに、そのまま喋りやがったなアイツ……」

ξ゚⊿゚)ξ「空気がドンができるんでしょ? やってくれる?」

从 ゚∀从「やらん。頼み方が気に入らん」

ξ゚⊿゚)ξ「できないじゃなくて?」

从 ゚∀从「そうだ。あんまりやると気付かれるからな」

ξ゚⊿゚)ξ「……何に?」

从 ゚∀从「昔の仲間にだ。まあいい、秘密だけど話してやるよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ゴクリ……」



ξ゚⊿゚)ξ(この家の人、誰も秘密を持てないんだなぁ)

 その後、私は呆気なく一時代の真実を聞いてしまった。
 ハインさんの生い立ちや、色々なアレを大体知ってしまった。
 正直その日の夕方には大体忘れたが、とにかく私はなにかすごいことを聞いてしまったのだ。

 そして私は家に帰った。そして寝た。一日が終わった。

.

10名も無きAAのようです:2015/10/10(土) 05:13:48 ID:cQB6.m2k0


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 ハインさんから聞いた話の九分九厘を忘れた翌日。
 午後二時。昼過ぎまでぐっすり眠った私はカーテンを開け、日光を浴びた。
 遅刻がどうこうの話はこの際省略する。


ξ-⊿-)ξ「……あ……?」

 しかし、やけに暗いと思った。
 カーテンを開けても太陽光の刺激がまったく無い。
 私は渋々目を開け、外の様子を確かめた。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

 次に時計を確かめ、合点する。
 時刻は午前二時だった。そりゃあ暗いに決まっている。

 こんな時間に、すっきり目覚めてしまった。
 私は途方に暮れてベッドに寝転がった。

ξ-⊿-)ξ「……」

 そして寝た、と言いたい所であるが、私は既に寝るという気分ではなくなっていた。


 とても嫌な気分だ。
 この状況は、私の嫌な思い出をそのまま再現している。

 中学生の頃の話になる。
 こんな風にいきなり体内時計が壊れてしまった日の夜。

 私は、『非日常』に出会ってしまったのだ。


.


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