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( ^ω^)千年の夢のようです
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9/24(水) 夕方より投下します
よろしくお願いします
前スレ
>( ^ω^)千年の夢のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1401648478/
まとめサイト様(以下敬称略)
>ブンツンドー
http://buntsundo.web.fc2.com/long/sennen_yume/top.html
>グレーゾーン
http://boonzone.web.fc2.com/dream_of_1000_years.htm
作品フィールドマップ(簡易)
http://imefix.info/20140922/321215/rare.jpeg
http://imefix.info/20140922/321216/rare.jpeg
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<ヽ`∀´>つ 「させないニダ」
今度は峨嵋刺同士の衝突。
ポイズンの意図を読み切り、守りに徹する風水師。
(;/;`"ハ´) 「ニダー……」
( Г ∀↑ ) 「……」
"б('A`)「ん〜??」
ポイズンの心は煮え切らない。
ニダーは構えるもののそこから動く気配が無い。
純粋な意味での戦闘を行っていないとはいえ、ポイズンにはそれが納得いかない。
なにをまどろっこしいことをしているのか?
これほどの腕があるならば、果敢に攻めてきても良さそうなものを。
まるで時間稼ぎだ。
-
『アサピーを殺すんだろう?
それは構わん…だが少し待て』
-
('A`)
あぁ…と、
誰にも聴こえない吐息が漏れた。
('A`)「…面白くねぇ」
ポイズンは勘が良い。
だから想像する経過は違えど、予想した結果は同じだろう。
これは自己満足。 理解されない美徳。
そう考えながら、胸元のタバコを取り出そうとして…湖に漬かると消失したいつかの過去の現象を思い出し、吸うのを諦めた。
-
('A`)「おい」
<ヽ`∀´> 「…?」
('A`)「シナーが死ぬのは嫌か?」
<ヽ`∀´> 「嫌ニダ」
答えははっきりしている。
誰しも目の前で親が死ぬことを望みはしない。
('A`)「アサピーが死ぬのは?」
<ヽ`∀´> 「嫌ニダ…けど」
('A`)「この姿じゃ仕方ねえから迷ってる、か?」
<ヽ`∀´> 「…元に戻れるならきっと大丈夫ニダ。
だからそれまでは……」
('A`)「俺が元に戻す方法を知ってるなら?」
Σ <ヽ;`∀´> 「ほ── 本当ニダか?!」
('A`)「さっきみた通り、ダメージを与えることもできるんだから元に戻せたって不思議じゃねえだろ?」
「不死の仕組みがわかってりゃどーってことねえ」と、ポイズンは痰を吐き捨てた。
今このときでなければ、
『掃除するのはウリなのに…』というニダーの声が聴こえなくもない。
-
('A`)「俺が死ぬのは?」
<ヽ`∀´> 「…」
<ヽ`∀´> 「二人にこれ以上危害を加えないなら、ドクも嫌いになれないニダ」
懸命に本音を語る人間は、観察力が落ちる。
真摯であればあるほど。
その時ポイズンの目付きが鋭くなったことを…ニダーは気付かなかった。
<ヽ`∀´> 「ウリがドクを救ったせいで、こんなところに来させてしまったのが気になっていたニダよ…
考えてみれば、君はただ巻き込まれただけニダ」
<ヽ`∀´> 「それに…ドクの眼は。
どこかウリに似ることがあったニダ」
('A`)「…」
お人好しの言葉は止まらない。
<ヽ`∀´> 「そうでなくとも、一度知り合った仲なら良くしたいと思うニダ。
アサピー殿も、御師も、根は悪く ──
-
('A`)「あーそーかい」
耳が腐りそうになり、思わず遮る。
ポイズンからの問いはそれっきり…。
そのまま静かにうつむき、目を閉じたまま動かなくなった。
親子二人はしばらく様子を窺うが、時間がただ流れるだけ。
<ヽ;`∀´> 「……??」
(;/;`"ハ´) 「……。
ニダー、奴にはもう敵意はないようだ」
震えの止まった身体を立たせながら、広間のある一点を目指して足を引きずり歩きだす。
(;/;`"ハ´) 「それよりも、そろそろきつねから荷物が届く。
迎えにいってくれ」
<ヽ`∀´> 「し、しかし…」
(;/;`"ハ´) 「こちらは気にするな。 往け」
そう背中で語るシナーの姿が、なんだか小さく見えた…そんな気がした。
不安げにポイズンを一瞥してから
── 彼は置き物のように動かないが ──
ニダーは広間を後にする。
何度も、何度も…振り向きながら。
-
('A`)
(;/;`"ハ´) 「…」
(↑∀"↑ii) 「…ハア…ハア」
…しばし沈黙が流れる。
ポイズンは目を瞑り、アサピーの視点は先程よりも定まっていない。
やがてシナーは目的地に屈み、その手にかつての友の面影を拾い上げた。
(;/;`"ハ´)つ-@@ 「かけておけ」
(↑∀"↑ii) 「…いらないよ、まだ眼は見えてる」
(;/;`"ハ´)つ-@@ 「これは頼みだ。
どうであれ、来たるべき末路のために」
(↑∀"↑ii)
@@-⊂(↑∀"↑ii)スッ
横たわりながら…アサピーは眼鏡を掛け直す。
するとどういうわけか、その心に平静が訪れた。
(ii@∀"@-) 「…」
(;/;`"ハ´) 「好」
-
シナーは緊張の意図が切れたのか、その場にがっくりと座り込んで話し始めた。
並んで向かうはポイズンの方角ではあるものの、声を掛けるのはあくまで友に向けて…
小弱々しく…静かな…しゃがれた会話。
(;/;`"ハ´) 「お前は本当に、一度たりとも隠居は考えなかったアルか?」
(ii-@"∀@) 「……そりゃあ任せられる者がいるなら任せたいと常に思っていたさ」
(;/;`"ハ´) 「お前の息子にやらせれば良かっただろう。
若い奴には未来がある。
行動力も可能性も、俺達より遥かに ──」
(ii-@"∀@) 「まだまだ経験が浅い…
それに、近年の仕事ぶりではダメだ。
だからこそ村に派遣していたのに…グッ」
(ii-@"∀@) 「ま、だだよ…私がやれる内は ──げほっげほっ!
……私が、やるさ」
(;/;`"ハ´) 「その身体でか?」
(ii-@"∀@) 「そのために君といた」
「俺はいらないんじゃなかったか?」
そう鼻で笑うと、喉の奥から鉄の味がした。
口内からは出さず、それを舌で押し返す。
そもそも何年前から同じことを言っているのかと、少し歳上の風水師は重く息を吐いた。
二人がバルケンを討ったのはアサピーの息子よりも若い年の頃…
サクラのみならず、色とりどりの花々が咲き乱れる季節だったはずだ。
-
(ii-@"∀@) 「だが、何十年も共にいて、どうやら信用しきれなかったんだなあ……」
人は死に近付くにつれ猜疑心が増長する。
鈍くなった脳神経の伝達を補うための防衛本能の一種であるとすれば、やはり死は孤独への一歩を着実に踏み出させるのだろう。
アサピーの場合はここ数年で特にそれが顕著になったものだと、屋形の誰もが感じている。
実の息子ですら彼の傀儡でしかない。
(;/;`"ハ´) 「この期に及んでまだ諦められないのか?」
…にも拘わらず。
それまでの功績と、まったく破綻したわけではない人格などから彼に強く進言できる者はいなかった。
したところで、シナーの言葉にも頭越しに否定的な場面がよくみられたのだから、それも当然と言える。
(ii-@"∀@) 「なら君は…諦めたからニダーを生かしたのか?」
(;/; "ハ ) 「………」
アサピーがシナーを信用しきれなかったのは、こさえた子を悉く死に追いやっていたからに他ならない。
厳しさを履き違えた戦士は加減を知らず、また愛の与えかたもわからないまま子に接していただけ。
それは人としてどこか欠落していたのではないかと、アサピーはシナーを評価していた。
彼もまた、真意を隠す人々と同じだった。
-
これ以上言えば余計に自分が意固地になることが分かって、シナーも口をつぐむ。
もっと早く、お互い提言しておけば良かったのかもしれない。
……もはやその年月は経ち過ぎた。
麒麟も老いれば駄馬に劣るる ──。
自然の摂理に逆らったがために、アサピーも、シナーも、どこかで引き際を誤ってしまった気がしてならない。
時計は朽ちる準備を始めている。
次に取り付けるための新しい時計が、同じように動いてくれる保障はないのだ。
(ii-@"∀@) 「ウォール高原を治める領主が世代交代したのは…いつか君に言ったか?」
こんな風に、アサピーとの会話は常に政り事を軸としていた気がする。
もっと人として、子をもつ親として、彼と語り合えることがあったのではないだろうか。
-
(;/;`"ハ´) 「…数年前、一度顔合わせにきたことがあったな」
(ii-@"∀@) 「そう。
見た目以上に血気盛んな若者だ。
あれ以来、視察の名目で少しずつこちらの領地を削りに来ている」
(ii-@"∀@) 「…息子の役目ではないのだ……矢面に立つのは私でなければならない」
(;/;`"ハ´) 「だからといって、ワカッテマスを利用したつもりだったか?」
対する返事はない…だが、そうなのだろう。
いつからかアサピーの中では手段と目的が刷り変わってしまうほど、欲望を越えた渇望に抗えなくなっていた。
(ii-@"∀@) 「シナー、私は」
(ii-@"∀@) 「…まだ生きたいんだ。 どんな手を使ってもね」
(;/;`"ハ´) 「…」
(ii-@"д@) 「── げほっげほっ」
(;/;`"ハ´) 「…己の身体を労われない奴が言って良いセリフではないな。
……もう、俺も同じだろうが」
('A`) 「あーだめだ待てねえ」
-
シナーとアサピーが意識したとき、
いつしかポイズンは立ち上がっていた。
老いぼれ二人の時世の句…
それを求めたのはシナーであり、アサピーも薄々は気が付いていたのかもしれない。
生きたくとも、生きられない者がいる。
どれだけ求めても手に入らない物が、この世には絶対的に存在することも。
(ii-@"∀@) 「ワカッテマスを引き入れた時点で、お前が此処に来ることも運命として決まっていたのだろうか?」
('A`)「どーだろうなあ〜」
(;/;`"ハ´) 「まったく……最後の最後で余計なことをしたものだ。
アサピー、奴の次はお前アルよ」
彼らも立ち上がり、そして対峙する。
誰一人として思想や目的は一致していない。
だが…生きるために。
('A`)「せいぜい育んだ友情にすがりな」
それでも……生きるために ──
-
なんてな、ふひひ。
-
(推奨BGM:A Return, Indeed... (Vocal Version)
http://www.youtube.com/watch?v=p77DfHa2Ndo&sns=em
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ドタドタと…長い廊下のどこにいても響くほどの足音が3つ、広間へと近付いてくた。
広間を隔てる布の幕が盛大にめくられる。
<ヽ;`∀´> 「御しっ ──
<ヽ;゚∀゚> ──!!」
-
その肩に、めくられた幕の一部がパサリと降りかけられた。
ニダーの身体はそこで一切の活動を停止する。
足も、手も、胸の鼓動も、開いた口も…
視線すら硬直し、その身を伝う涙だけが一筋こぼれ落ちるのを見たものは居ない。
ハハ ロ -ロ)ハ 「ニダーさ…ッ」
ホークアイ破壊と荷物輸送を任された女も息を呑む。
ニダーの後ろから声をかけた彼女の鼻孔をくすぐったのは…腐臭。
それは彼女が生業上で嗅ぎ馴れた血の臭いよりも更によく知る、内臓や消化気管を傷付けた際に発される臭気と同じだった。
⊂ハハ ;ロ -ロ)ハ 「……そこデお待ちクダサイ」
ハローが "背後" に制止の声をかけ、歩を進めた。
努めて冷静に状況を把握しようとするも、その惨劇が覆らないことは明白に過ぎる。
-
<ヽ;∀;> 「……ぁ…ぉ、あ……」
がっくりと膝をつく若人…。
横たわる二体の首なし死体。
ハハ ;ロ -ロ)ハ 「…」
むせ返る血生臭さよりも、その場を支配するニダーの嗚咽だけがハローの頭のなかを延々と巡りめぐった。
一通り死体をまさぐってみたものの、やはりシナーとアサピーの身体的特徴に相違ない。
忍である彼女の今の雇い主はシナーであったため、こうなってしまっては任務終了の旨を報告すべく忍の里まで戻らねばならない。
「きつね、もう入っていいかい?」
広間の前…荷物から声が上がった。
── その声は若き日の
アサピーによく似ている ──
少しだけ悩みながらニダーを見るも、現実に打ちのめされた者から返事を得られないため、ハローは独断で肯定しておいた。
……隠し様など無いのだから、そうするしかなかっただけなのだが。
-
( ・∀・) 「…」
ハハ ロ -ロ)ハ 「モララー様、オ気を確かに」
入室した三人目…ハローが輸送してきた荷物とはアサピーの息子を指した。
彼はもはや肉塊と化した父の姿をただ呆然と眺める。
( ・∀・) 「いや、僕は平気だよ」
シナーの指示通りホークアイの破壊に向かったハロー…それは領地内に張り巡らされたものも含まれていた。
父からは屋形を与えられず、言われた通りに周辺地域の村々を転々とするだけの傀儡。
それがアサピーからの、息子への評価…。
( - ∀ - )
( ・∀・) 「…公務の引き継ぎを行う。
すまないけれど、里に帰る前に一仕事頼まれてくれないかな?」
ハハ ロ -ロ)ハ 「わかりマシタ」
だがそれはホークアイの "誤った映像" により植え付けられた、不当な評価を多分に含めたものだ。
本来、モララーは父に似た才覚をもつことを…アサピーの胸には届くことがないままだった。
<ヽ;∀;> 「うぅぅぅ〜………」
( ・∀・) 「ニダー」
-
少しだけ歳上のモララーの手のひらが、がっしりとした風水師の肩に乗せられる。
( ・∀・) 「これが父と、シナーさんの末路であるならば、まずは甘んじて受け止めよう」
<ヽ;∀;> 「…ぅ……」
( ・∀・) 「これから忙しくなる。
領地内の統括も、ウォール高原の領主との駆け引きも、きっと僕だけじゃ無理だ」
バルケンの背中をみて育ったアサピーは
父のように決してなるまいと誓い、
自らの手を汚してまで名君を目指した。
( ・∀・) 「だから……君の力を貸してくれないか?」
( ・∀・) 「シナーさんが、僕の父に尽力してくれたように」
アサピーの背中をみて育ったモララーは
父のように名君たれと憧れ、
自らの手をこれから汚していくのだろうか。
<ヽ;∀;> 「……」
<ヽう∀;> グイッ
( ・∀・) 「そして、いつか二人でこの仇を討とう。
たとえ父の最後が誉められたものではなかったとしても、僕の誇りは父であり、君の誇りはシナーさんだった」
<ヽう∀´> 「…そう、ニダね」
ハハ ロ -ロ)ハ 「…」
<ヽ゚∀゚> 「ドク……赦さないニダ」
-
----------
── 刻は一週間後。
街道のない路をひたすら歩き続け、
彼はいま高原の丘を登っていく。
('A`)「〜♪」
上機嫌な様子で振り回すその手には、
何重にも巻く布に納められた首が二つ。
('A`)「…ひひ!」
月明かりの下、 ──彼は独り。
('A`)「………」
── 草木茂る丘の上で、独り。
('A`)「… 〜〜♪」
── 鼻唄の音だけが、哀しそうに。
('∀`)「〜♪」
── ポイズンだけが、嬉しそうに笑う。
-
《…寄せては返す波》
('A`)「…〜♪」
《…必ず訪れる朝と夜》
('A`)「……あんだっけか…?」
('A`)「〜…♪」
《…貴方の優しさで
頬がぬくもりに満たされても》
('A`)「…ぷっ」
('A`)「〜〜…〜〜♪」
《…幸せな時の中で震えている》
('A`)「…」
《それでもいつかはきっと… ──》
('A`)「… ──ひひ、」
('∀`)「 ふひ、ひひひひひ…!」
-
「…いつか、なんて
来やしねえよ」
-
-
夜が明けて…。
ウォール高原を治める領主の元には
二つの御首級が届けられた。
差出人は名乗らず、
特に領主への面会も求めなかった。
ただ一言、
『ここに瞳孔の大きな男が来ただろう?』
と質問をして、その姿を消したという。
問われた兵士は述懐する。
守秘義務により回答は差し控えたものの、
その男の眼光の前では
表情まで偽ることは出来なかった、と。
-
かつて山人と呼ばれた男は孤独を探す。
孤独でなければ戦えない男。
誰かを誰を 誰のため誰が 誰に向け
護る、庇う、救う、 赦す、求める?
莫迦莫迦しい。 ──五月蝿い。
そんなものは家畜の餌にも成りはしない。
《山人、どこや?》
-
('A`)y-~
「逃がさねえよ……ふっひひ」
A`)y-~
「ワカッテマスの野郎が目をつけるなら、恐らくは」
)σ ⌒ 、 ピンッ
不死者の行く先、争いの跡在りて──
-
《なあ山人》
それでもいつかはきっと
闇に光が生まれ
《うたうとぅてくれ》
悲しみのなかにきっと
微笑みが生まれるはず
《そう、それや》
それでもどこかできっと
闇に心が生まれ
悲しみのなかに必ず
《くすす、下手やなぁ》
本当が生まれるはず
あなたはいつか帰ってくるから…
《山人、たのむ》
あなたはいつか
帰ってくるから…
《山人とまた…遊びたいなあ》
(了)
-
これで今回の投下を終わります
投下中の支援ありがとうございました
(´・ω・`)ω・´): 傷痕留蟲アサウルス >>6
('A`) :東方不死 >>170
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※千年の夢 年表※
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-900年 ***********
→信仰の概念がうまれる
( ∵)は偶像生命体として同時に生誕。
-400年 ***********
→結婚(結魂)制度のはじまり
-350年 ***********
【ふたごじま】→魔導力の蔓延
-312年 ***********
【銷魂流虫アサウルス】→前半
→ "隕鉄" が世界に初めて存在しはじめる
【東方不死】→山人の夢 ☆was added!
→('A`) がアサウルスと相討ち ☆was added!
-220年 ***********
【銷魂流虫アサウルス】→後半
【傷痕留蟲アサウルス】
→騎兵槍と黒い槍が融合
→('A`) がアサウルスから解放 ☆was added!
-210年 ***********
→大陸内戦争勃発。
【帰ってきてね】→前半
-200年 ***********
【帰ってきてね】→後半
【死して屍拾うもの】
→ "赤い森の惨劇"
-195年 ***********
→大陸内戦争終了。
【はじめてのデザート】
-190年 ***********
【その価値を決めるのは貴方】
-180年 ***********
【老女の願い】→復興活動スタート
-
-150年 ***********
【老女の願い】→荒れ地に集落が出来る
→川 ゚ -゚) が二代目( ´∀`)に指輪依頼
-140年 ***********
【老女の願い】→老女は間もなく死亡
→指輪の暴走。 川 ゚ -゚) が湖に封印。
-130年 ***********
【人形達のパレード】
【此処路にある】
→(´・ω・`)( ゚∀゚)川 ゚ -゚) の三人が集結
→二代目( ´∀`)死亡時期
→偽りの湖から( <●><●>)が引き揚げられる ☆was added!
-120年代 ***********
【命の矛盾】
【東方不死】 ☆was added!
-100年代 ***********
【繋がれた自由】
【遺されたもの】
【時の放浪者】
-40年代 ***********
【老女の願い】→集落→町になる
00年代 ***********
【老女の願い】→( ^ω^)が
官僚プギャー、炭鉱夫ギコに再会
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★作中MAP更新
大陸戦争前
http://imefix.info/20141016/91070/rare.jpeg
大陸戦争後
http://imefix.info/20141016/91071/rare.jpeg
※あくまで大陸戦争が大きな区切りであるため、戦前・戦後の名称は便宜上の分け方です
9番のように厳密に言えば一部そぐわないものもあります
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乙
-
相変わらずの濃密な内容乙でした。
-
平日始めにも関わらず読レスありがとうございます
前回のように文字化けがあればご報告ください
以降から特殊コードor代理文字使用にて対処します
-
乙
ワカッテマス許すまじ
そういえばドクオ初登場時も唄歌ってたんだっけか…?
なんかドクオのキャラにどっぷりはまっていく
-
やっと読み終えた。大量投下乙
ワカッテマスは土塊が本物に成り代わったって認識でいいのかな
そういえばドクは最初鼻唄って呼ばれてたし、ずっとそれを歌ってたのか
-
きつねにも2代目がいたけどヒートは生きてるのかな
おつ
-
ありゃごめん
ドクオがアサウルスと相討ちってどこだっけ?
-
多分だが
最初に山人の夢で黒い太陽の大きな虫(アサウルス)と戦って、
>>121でハインが
先に東でアサウルスを処理したけどそのザマって言ってドクが助けられたから、そこが相打ちと解放の時期だと思う
つーか安価探していますげえことに気が付いた
ハインとアサピーが同じ目してる
-
前の話を読み直すとまた新しい発見があったりするからついつい何度も見返しちゃうな
-
>>318
そうですね、湖の【ドレイン】によって赤い森の一族の儀式をここで済ませる→生命の循環によって土塊が土塊でなくなった…
という流れです
あくまで元は本体の右腕から【カース(呪い)】で製造した土塊なので、その魂に和香やジョルジュ(慈夜)のような善い成分はほぼ存在しません
>>319
年齢に換算するとノパ⊿゚) はこの時120歳ほどになります
生死はさておき、ハハ ロ -ロ)ハ には頭領の証(数珠)が渡されていません
>>320
おおむね>>321さんの回答で相違ありません
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120歳のヒート想像してワロタ
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今年中の投下は良くてあと一度できるかどうか、になりそうです
その時にはまたよろしくお願いします
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楽しみに待ってるぜ!
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了解。待ってるぞい。
-
待ってる
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( ^ω^)千年の夢のようです
- 白い壁 黒い隔たり -
(推奨BGM:Ruins of the East)
http://www.youtube.com/watch?v=v9PRpIezoUY&sns=em
-
「さあ、歩きなさい。 罪には罰が与えられるのが決まりだ」
首から頭の先まですっぽりと覆う布兜。
他と異なる特徴的な格好の男が、二回り以上も細い腕を引っ張っていた。
ヽ/ ゚、。 / 「……?」
膝をつき、布兜の男へと懇願する母親を見て、
何が起こっているのか分からないという表情をした子供。
自分の足は動いていないのに景色だけが少しずつ傾いていく、そんなことのほうが興味深いように。
「フィレンクトさん、お願い、やめてください!
その子が居なくなったら私はどうすればいいんですか!」
母親は怒りを露にし、もはや泣き叫ばん勢いで男に掴みかかる。
…だがフィレンクトと呼ばれた布兜の男は動じることなく、母親に捕まれた別の腕を強く振り払って言った。
-
「…両親も、法を守って貴女という一人娘を大切に育てたんじゃあないのか?
それを貴女は、貴女だけの都合で、規則を破り、国を想わず…
あまつさえ己の親をも冒涜するのか?」
── この国は訪れることのない充足感と常に戦っていた。
領地は広く、人口も多い。 …だがいくら作物を植えても豊作の年を迎えた事はない。
土壌や気候に問題があるわけでは無かった。
豊かなその高原地域は、人の過ごしやすい恵まれた大地と呼ぶに、一見して相応しい。
隣接する砂漠とは比べるべくもない。
「こ、子供がお腹にいると知った時、そそ…それを、殺せというの?!」
ただ不思議と…一定量を超える農作物は収穫できない。 不作の時期はあれど、豊作を迎えた史実がこの国には無かった。
他国との物品流通もどういうわけか滞り、資源が国内に溢れることはない。
月日を経て、それに逆らうように人口だけが増え続けた。
人はやがて個々の裕福さを願うようになる。
不足なく家族を養える豊かな生活にしたければ、他の土地へと移住するか、口減らしでもしなければその願いも成立しない。
それなのに──
-
「……子作りをしなければ良かった。
一つの家庭において子は一人のみ。
昔からそう定められているにもかかわらず、産んだのは貴女の責任だ」
「違うわ! 避妊もした!
それでも子供は望んで私の元に産まれてくれたんです!」
フィレンクトはわずかな沈黙の後、言う。
「刑法20番列9記に基づき、ここに罪状を言い渡す」
「フィレンクトさんっ!」
「《罪人は二人目を産んだ時点で一人目の子を事実上破棄したと見なし、国家はそれを回収する。》
《これに従い、回収された子は国の恩情により、破棄まで一週間の猶予が与えられる。
面会は自由。
ただし、回収した子への物品受け渡しについては公務員監視のもと、許可されれば通すことができる。》
……以上」
国は対策として、育てられる子の数に制限を設けた。
…二人以上産めば罰せられる。
それに加え、〈汝の国を愛せ〉と叫ぶパトリオティズム。
その糾合のもと、一度でも居住を構えた人々は国から出ることを禁じられていた。
さもなくば、これも罰せられる。
二度と国に足を運びいれることは必ず、見つかり次第拘束されるだろう。
ウォール高原に領地を構えるのは、そんな国だった。
( ^ω^)「…」
とある安宿場の窓辺。
ブーンは嫌でも見聞きできる広場で繰り広げられるやり取りを、物憂げに眺めているところだ……。
-
----------
ブーンが街にたどり着いたのは昨日のこと。
見渡す限りの草原を有した丘と、街を仕切るようぐるりと囲む白い壁が、もうすぐ終わりを告げる晴れた秋空によく映えた。
壁の背丈はブーンが見上げても首が痛くなる程に高い。
それにひきかえ、まるで猫が入るためとでも揶揄できそうな…
だが単体で見ればそれでも巨大な門扉を正面にして、入国を求める人々が集っていた。
「おやあんたはあの時の…もうオアシスから戻ってきたんですか?」
声がする方にブーンは振り返り──それが自身に向けられたものではないことを知る。
「ええ、売り物が無くなっちまったんでね。
なにせ運べる量はどうしたって限られてるでしょう?
そもそもの供給が足りなきゃ親父の代にあった荷を運ぶ車も、今じゃお役御免です」
「ハハッ違いない! おっとと、すみません」
商人同士の語らい。
ブーンを挟んで行われるも、頭ひとつ飛び抜ける彼の視線に気付いたことで間もなく止んだ。
「では、またあとで」
仲間に別れを告げると、商人はこちらにも愛想を振り撒いた。
咎めるつもりは毛頭無かったが、余計な気を遣わせてしまっただろうか。
ブーンも軽く手を挙げ会釈をしつつ、ゆるく笑おうとして……しかし表情筋がうまく動かなかった。
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銅鑼を鳴らす門番の合図音。
次いで大袈裟にカタカタ音をたて扉がせり上がる。
…しかしまだ誰も動かない。
ブーンが訝しく眉を細めた頃、二度目の合図が鳴った。
ようやく群れをなしていた待ち人達が歩き出す。
規律があったのだろう、ブーンも群れの一粒としてそれに倣った。
( ^ω^)「…おっ」
城壁とも見間違う白い壁の向こう側は、まばらに古家が建ち並んでいただけの荒れ地だった。
土はかたく、草もない。 だから路もない。
群れの大多数はそれに気を留めるでもなく散っていき、背後では門扉の閉まる音がゴリゴリと響いた。
「……前にも増して、がらんどうになったもんだ。
この国もそろそろ……──」
群れからはぐれた老人が隣で呟いた言葉。
ブーンには見えない郷愁の景色が重ね映し出されているのだろうか。
「お前さんは余所者だろう? こんな街に何か用かね」
( ^ω^)「…捜しものに」
「そうかい。 そろそろ陽も暮れる。
ここを左手沿いに歩けば、安くて、そのくせまだ使い込まれてないベッドの旅宿にありつけるよ」
向かい合わせた表情はどこか空虚に、老人はそのままどこかへ行ってしまった。
何を言いたいわけでもなかったらしい。
老人にとって話し掛ける相手は誰でもよく、それでも共有せずにはいられない言葉は淋しさの表れなのかもしれない。
-
それと思わしき宿が見えてくると、歩みが自然と遅くなる。
晴天空に泳ぐ雲が同じスピードで離れていく。
もしかすると夜には一雨来るかもしれない…と、ブーンはどことなく思い、視線を戻した。
なるほどたしかに安い宿だ。
屋根の一部は崩れたまま。
壁を白く染める塗装は剥がれ、灰色を暗く際立たせた。
窓から見える部屋の具合からは客が入っている様子もない。
つい先ほど交わした会話を思い出すに、使い込まれてないベッドとはジョークのつもりだったのか。
…とはいえなんら構うことなく、ブーンは入り口の扉へと近付いた。
-
磨かれ清潔感を保つ両開きの扉には、
来客を告げる役目であろう、素材そのものの古さを塗り潰すかのような黄色のベル。
目を凝らすとどこか規則性のある凸凹のついたドアには、
可愛らしいピンク色のペンキでメッセージが書き込まれていた。
[☆Welcome Back! Dear Brother☆
(おかえりなさい、お兄様)
☆You Are Welcome! My Loving Family☆]
(私の大切な家族ですもの、また来てね)
もう少し顔を上げると目に飛び込む宿看板。
店名は──
( ^ω^)「[pO・Od]……なんて読むんだお?」
暗号か? 発音に困って動きを止めた時、宿の向かいに建つ小さな医院から声がした。
高く小さな声、揺らぐ静かな声、
そして…ハキハキとしつつも、しゃがれ声。
「せんせー! ありがとー!」
「本当にお世話になりました。
他のお医者さんには診てもらうことすらできなかったのに…なんとお礼をいったら良いか」
「いいんです、それが私の仕事なんですから。
お子さんに何かあればいつでも来てください。 夜中でも、朝一番でも」
一組の親子が手を振りながら医院を後にしていた。
微笑ましく見ていると、しばしの間をおいて、白衣の老人がその姿を見送るように顔を出す。
その視線は…横に歩く親子ではなく、正面からブーンを捉え、
「…どうしたんです? 貴方もなにかお困りですか?」
-
ブーンが辺りを見回しても人影は他にない。
先ほど出てきた親子も、別の古家の向こうへと行ってしまった。
( ^ω^)「いや、僕は……」
「患者ではない」 ──そう答えようとして、言葉は紡がなかった。
あれからどれほどの時を過ごしたか。
あれからどれほどの出来事に気を囚われていただろうか。
あの日、確かに彼は言っていた。
ブーンもツンも、そのために時間を共にした。
あの迷い道で。
あの瓦礫にまみれた渇き路で。
『うん! 高原が近いかもしれません!』
息子の面影を彼に重ねた、辛くも心地よき、デザートコースでの記憶。
(,, ><)「いいんですよ。 どんなことでも話くらいなら聞けるんですから。
さあ、どうぞこちらへ」
ブーンの視界のなか…開け放たれた扉を背に、彼は奥へと引っ込んでいく。
しゃりしゃりとスリッパの音が耳に届いた気がした。
誘われたブーンは空を見上げ、そしてその足先を医院へと向ける。
……勘は外れていたのだろうか?
いつの間にか、
雲ひとつない空っぽの晴天。
-
(,, ><)
つ□ 「すみません、お茶を切らしているので白湯ですが」
長居するつもりはないから、と
断りをいれながらも礼を述べ、湯呑みを受け取った。
その際に少しだけ触れた指と指から年月の刻みを感じつつ、記憶の面影を残した老医師を観察する。
(,, ><)「いやあちょうどお昼時ですね。
もうご飯は食べたんですか?」
事務テーブルの上…
老医師は探るように腕を泳がせ、やがて小さな包みを手を取ると膝元に寄せる。
可愛らしい黄色いハンカチ。
結び目をほどくとその中から握り飯がふたつ。
年老いているとはいえ、目の前の医師が食すにしては少なすぎる量だ。
( ^ω^)「…お弁当、可愛らしい包み布は奥さんかご家族の趣味かお?」
(,, ><)「いえいえ! 私は独身です。
家族ももういません。
これは先の患者さんが差し入れてくれたんです」
( ^ω^)「……」
(,, ><)「そうですか、可愛らしいですか…では、お返しする時そう伝えなくては」
-
握り飯を何度か掴み直し、彼は口に運ぶ。
ブーンなら一口で含んでしまいそうなそれを、少しずつ、少しずつ、味わうように噛み締めている。
(,,*><)「うんめー! 胡麻塩が丁寧にまんべんなく効いていて、疲れが吹っ飛びますね」
( ^ω^)「おー、それは良かったですお」
(,, ><)「……あっ、すみません…年甲斐もなく興奮して」
「お金よりもなによりも、気持ちを込めたこういうものが一番嬉しいんです」
と彼は言った。
ブーンは笑みを浮かべて頷いたが、反射行動にすぎない。
-
時間をかけて握り飯を食べ終わると、彼は手のひらとひらを
パンっパンっ
とはたき、白衣に米粒がついていないかを確かめるように手探る。
…膝元にポロポロと散らばる胡麻には気付かない。
( ^ω^)「まだ取れてないお」
(,, ><)「あれっ? そうですか」
ブーンはそれをはたこうと腰をあげかけ──やめた。
目の前の彼は子供でもあるまいに、言葉で伝わるのだから充分だと考え直した。
(,, ;><)「恥ずかしいです、この歳になっても食べ物をこぼしてしまって…」
(,, ><)「察するところ旅の途中ですか?
もし寝床がまだなら、隣の宿で部屋を用意させますよ」
( ^ω^)「おっ、貴方の宿でしたかお?
ちょうど行こうと思ってたんだお」
さっきまで身ぶり手振り動かしていたその身を、老医師は一瞬だけこわばらせる。
-
(,, ><)「んー私のというか、妹が作って建てたんです。 若い頃にね。
……10年前の流行り病で亡くなってからは私が経営してますが」
(,, ><)「なにぶん医療と二足のわらじ。
なかなか手入れも行き届かないところはありますが、ベッドだけは毎日綺麗にしてます」
(,, ><)「あたたかく柔らかいベッドは、私達兄妹の幼い頃からの夢だったんです」
医師は気まずそうに…
同時に照れるように頭をかき、言った。
( ^ω^)「……そう、かお」
( ^ω^)「なら宿の部屋をひとつ借りるお。
よろしく頼んでいいかお?」
(,, ><)「もちろんです、改めて自己紹介させてください。
私はビロード…この街で医療行為を行っているしがない鍼師です」
(,, ><)つ‡ 「受付にこれを渡してもらえればいいですよ、部屋の鍵です。
数十分後にはのんびりできるようにしますから」
( ^ω^)つ‡ 「ありがとうだお」
(,, ><)「良い夢を」
----------
-
そして翌日、窓ガラスの向こう側……
広場ではいままさに幼子が布兜の男に手錠を掛けられ、連行されていく。
ブーンにとってなかなか見逃し難い場面に遭遇しているはずだった。
だが──
( ^ω^)「…一週間の猶予」
胸中に制止の声をかける。
ツンがここに居れば、
今にも飛び出していきくのではないか…そんな風に考えつつも、窓に背を向ける。
見知らぬ街で無闇に暴れる訳にはいかなかった。
人々が住む土地には、その住人によって培われたルールが存在する。
個人の倫理的にはどんな悪法であっても、全体を通せば利に適うものもある。
その場に残され咽び泣く母親の腕のなか、
幼子に買い与えたとおぼしき、動物のぬいぐるみが寂しげに抱かれていた。
(▼・ェ・)
-
「…さあ、こっちだ」。
等身の高い場所から発される、警官フィレンクトの低い声。
ヾ/ ゚、。/ 「……ママは?」
警官とは国の公務員。
治安を維持する役目をもつ尖兵。
定められた法を犯す者を見逃さないこと…それが彼の役目だ。
それを示すはずの声色は、しかし、どこか揺らぎを感じさせた。
「いま行くのは…君だけだ」
なにかを噛み締めるようなフィレンクトの返答。
──ウォール高原。
ここでは情よりも、常人と罪人を隔てる法が優先される。
-
公共の場で他者に迷惑をかけた者
…禁固1年。
他者の所有物を盗んだ者
…禁固2年。
他者に危害や暴行を加えた者
…禁固5年。
他者の命を奪った者
…禁固10年。
罪人を庇う者
…禁固15年。
そして多重育児は
…財産刑。
職務を放棄した公務員は
…生命刑。
── どちらも死刑。
-
そう、法は決して民の為のものとは限らない。
法の中身を決めているのは一握りの立場の者であり、それを行使して裁くのも一握りの選ばれし者のみ。
それは機械が支配するプログラムや、はたまた信仰神が定めるルールを神自身が管理することとはまったく異なる性質。
この国では神を気取るその一握りが、元は優劣などない同じ人間を管理しているに過ぎない。
/ ゚、。 / 「…ねえ、どこにいくの?」
「………黙ってついてくるんだ」
フィレンクトが去った後、広場には再び人々の声が色めき始めていた。
中央を横目にして、口々に何かを話しあう人々。
だが、子を連れ去られた母親へと寄り添う素振りは誰一人見られない。
人々の頭に浮かぶ罪状は──罪人を庇う者…禁固15年。
警官の判断一つで、自身が罪に問われることを恐れているのだった。
(^ω^ )「…」
限界を感じたブーンは立ち上がり、宿から抜け出すと広場へ向かった。
「ぅぅ……どうして、だれが……」
そんな声が聴こえてくるから、とてもじっとしていられなかった。
-
母親のすすり泣きが、より鮮明に聴こえた。
ぬいぐるみを抱いたその姿…
ブーンの記憶に一筋の痛みが走る。
『…私、忘れていたのかも。 ⊿ )ξ
人の命は元々、預かりものなんだわ』
無力感に覆われ、誰かにすがりたいという思いが見てとれる母親の背中。
そこに、この国のルールをまだ知らないブーンが寄り添った。
「…ゥっ……あ、すみませ…ん、いま……立ちますから」
( ^ω^)「……」
『怯えないで。 僕は正義の味方だお』
…以前の彼ならばそんな風に答えるだろうか。
しかし今、なにも言葉は出てこない。
-
ひとまず広場から離れ、事の顛末を聞く。
どうやら彼女の知らないところで家庭事情が警官側に漏れていたらしい。
…そして、国法や刑罰のことも知ることができた。
( ^ω^)「……お」
*(‘‘)*「…」ジーッ
(;^ω^)「…??」
咽び泣き続ける母親の家に着くと、
古びた玄関を開けた先の物陰から、小さな顔の女の子がこちらを覗きこみ──いや、睨み付けてくる。
そんな様子に気が付くことなく、玄関口でどさりと、母親は崩れるように腰をおろした。
「………はぁ…」
( ^ω^)「少し落ち着いたかお?」
「…はい、先程は失礼しました」
母親は名をレモナといった。
「あちらの娘はヘリカル。
……さっき警官に連れていかれた、ダイオードの妹なんです」
彼女はたどたどしく、寂しそうに話す。
特に…後半は周囲に気を配るよう声を潜めて。
こちらを信用しているわけでもあるまいが、あの広場で話し掛けたのはブーンただ一人。
ブーンは頷き、彼女の不安を和らげようと聞き手にまわる。
( ^ω^)「この家は他に誰かいないのかお?
おじいちゃんとか、おばあちゃんとか」
-
ブーンはこの時 "夫" という言葉はあえて発しなかった。
居るならばいの一番に頼られるべき存在だが、案の定レモナは荒く首を振る。
…子供を連れ去られたショックが強すぎるのか、動作のひとつひとつがオーバーに見えた。
「……きっと、誰かが密告したんですわ」
──忌々しげに呟くレモナ。
「でもこのあたりの人達は昔からの知り合いばかりで、ましてや怨まれることなんて身に覚えもないし…」
爪を噛みブツブツと塞ぎ混む様子は、ブーンの問い掛けるすきま風を通さない。
子供を多く産んでしまう家庭など──自然の摂理の枠内に過ぎないのだから──そんなものは腐るほどの前例がある。
-
レモナの話によると、ウォール高原では
親は二人目以降を生んだ場合、数年間その存在をひた隠して暮らしたあと、子を家庭から追い出すという。
その日を境に自立を余儀なくした子供達。
群れを作り、小屋を拵え雨露を凌ぎ、物請いで腹を満たす人生が例外なく待っている。
餓死…… 病死…… 事故死……
身体も小さく、まだ生きた経験の薄い子供にとっては甘い話であるはずがない。
「……ダイオードも、もう少しだったのに」
もし生き延びられるならば。
その頃に警官が来ても、もはや誰の子か判らないのだから連行はされない。
未成年法により14才以下の単独生活者は罰せられない。
この時初めて、刑罰は幼子や存在するはずの両親に対して適用外となるのだという。
( ^ω^)「…どうしてそんな法が」
ウォール高原はその豊かな土壌を騙り、望まれる資源の総量が明らかに限られていた。
供給は需要に追い付かず、しかし外の人々はうわべに聞く豊かさを求め、なにも知らないまま入国する。
そうして爆発的に増加する人口は国を圧迫した。
いまや自分の食いぶちを稼ぐにも知恵を絞らなくてはならない。
ここにいる住人は、元は故郷を離れた存在ばかり。
再び国を捨てる行為に呵責し、留まり続ける連鎖……。
国の生存権は、
孤独を生きてやっと得ることが出来るボロボロの片道切符だった。
-
*(‘‘)*「……まま、ねぃちゃんは?」
国は人口を増やしたくない。
…だから抑止力として法をかざす。
親は産まれてくる子を生かしたい。
…だから法をかいくぐる。
「──ウっ」
一度は止まりかけたレモナの嗚咽も、口を開けば反芻される。
「ごめんなさい…………。
もう、あの子は帰ってこないと思うと……。
明日、目が覚めてもっ…この家には自分とヘリカルしか居ない…なんて──ううぅぅっ!」
*(‘‘)*「……かえってこないの? ねぃちゃん」
( ^ω^)「…」
レモナに断りをいれてから、ブーンはヘリカルの方へと向き直った。
ヘリカルの足元には白い用紙が散らばっている。
ぱっと目に映る紙には、遠目ながらも人のようなものがふたつずつ描かれていた。
テーブルの上に置かれるガラスの調味料容れを再利用した鉛筆立てが、たった数本しかない色筆の淋しさを助長する。
*(‘‘)*「そっか」
( ^ω^)「…」
──違う。
ブーンはその瞳に潜む濁りに気が付いた。
ありもしない寂しさは助長されない。
*(‘‘)*「なに? おじちゃん」
──密告者は、この妹だ。
(推奨BGMおわり)
-
----------
ガシャァン……と、硬く冷たい鉄格子のぶつかり合う音が空間に反響する。
「君の住む部屋は今日からここだ。
…母さんが会いに来たらまた呼びに来る」
/ ゚、。 / 「??」
フィレンクトの低い声が、まだ6歳になろうかという程の小さな子供に向けられた。
黒い牢獄で響き廻る鉄の音。
呪詛のように繰り返される硬い錠鍵のそれは、彼女の耳にどう届いたろうかとフィレンクトは気にかかった。
ここに来るまで娘に抵抗されなかったのは、現状を理解していないが故に。
…それもまたこの刑罰の狙いでもある。
大人になれば誰しも捕まりたくない一心から必死で暴れるため、その分また人手を必要とするからだ。
/ ゚、。 / 「いつまで待ってればいいの?」
「……迎えが来るまでだ。 なにか欲しいものはあるかい?」
"会いに来る" のは母親であっても、
"迎えに来る" のは母親ではないが。
/ ゚、。 / 「…あたしのヌイグルミ……」
「…分かった。 持ってくる」
-
そう言うと、フィレンクトは足早にダイオードから目を背ける。
職務とはいえ、知人の子を──
/ ゚、。 / 「フィレンクトさん、私、悪いことしたの?」
「……君は、」
/ ゚、。 / 「ごめんなさい…だから、おうちに帰して」
「、……」
──つい数日前にもレモナの留守中に面倒を見たことがあるこの娘を、こんな場所に連れてきたくはなかった。
「…私にはその権限がない。
寒くなったら、そこにある毛布を使うんだ。
足りなければ追加を持ってくるから」
/ ゚、。 / 「うん」
一週間後には失われる命が、少し微笑んだ。
彼女のなかで、まだフィレンクトは優しいおじさんで居られるらしい。
だから余計にフィレンクトの心を蝕む。
若さゆえに迷う警官は、牢の出入り口に紐で掛けられる書類に作業用チェックの印を付け、
地上への階段を逃げるように駆け登っていった。
-
----------
( ^ω^)「もっと延々散開とした街かと思ったけど…」
中心部に近づくほど整備されていく路面と建物、そして人波。
安宿から見る景色とはだいぶ様変わりしてきた街並みが、ブーンを迎える。
居住区や商業区といった区画はなく、その曖昧な線引きは、ひとつ角を曲がれば姿を見せる。
その光景は ──変わらず白く、しかし薄暗い。
散策の目的は、ダイオードが連れていかれた収容所。
そう呼ばれるからには、もっと大きくて目立つ建物があるものだと想像しながら、ブーンは目を光らせ歩いていた。
だがむしろ、中心部のほうが小さくもよく似る建物ばかりが並び、よそ者のブーンには見分けがつかない。
( ^ω^)「…うーん」
白いキャンパスに鉛筆で外壁の線だけを横に一本ジグザグに描けば、この風景は完成するだろう。
色彩を欠くのは、その土地面積に対する国の資源の少なさを象徴しているのかもしれない。
時間だけが悪戯に過ぎていく。
-
ヒャッハー!支援だぁ!!
-
(;^ω^)「だんだん下り坂ばかりになって……もはや自分がどこにいるかもわからんお」
^ω^ )))「いったん戻って、少しでも高い場所から見下ろしてみるかお」
^)))
(<● ))
(<●><●> ) ))
"( <●><●>) キョロキョロ
ブーンが踵を返したその場所で、入れ違いに現れた呪術師が辺りを窺う。
ワカッテマス──ブーンとの面識はまだない。
だからその一瞬だけでは、互いの存在に気付くこともなかった。
(<●><●> ) 「ふむ…こうして歩いてみるとなかなか広い街です」
( <●><●>) 「そして程よく濁って…」
( <▼><●>) 「…まるで領主の野心と同じ。
どこも同じ、誰も同じ」
-
今から一ヶ月ほど前、この街から南西に位置する隣国公人の屋形に、この呪術師は居た。
アサピーを実験台として、不死者を弄んだ赤い森の怨念…その残り香。
( <▼><▼>) 「…少々時間がかかってしまいましたが」
懐にしまっておいた荷物が嵩張るのだ、とワカッテマスは独りごちる。
加工した "ポイズン" の臓物は、腐らぬよう氷の魔導力で凍らせてある。
覚えたての風水魔法で隔離することも考えてはみたが、その場合は繋ぐ先の空間を用意せねばならない。
人口の多い、かつ隠れる場所のないこの街ではどこに人の目があるかわからなかった。
( <●><●>) 「取りあえずは予定通り。
アサピーの話ではやや強引さの目立つ気質とも言っていましたが、しょせん俗物。
……さて、と」
( <●><●>) 「……そうだ、こうしましょう」
誰にも聴こえない声で呟きながら、ワカッテマスは何処かへとその姿を消した。
その目的──いまだ大陸への復讐を胸に。
-
丘に面した外壁沿いを歩きながら街下を眺めるブーン。
その耳に、もの悲しげな声が届き始めた。
…それは民謡にも聴こえるが、
音程は酷く曖昧で頼りない。
( ^ω^)「おっ?」
歩みを止めず進み続ける。
やがて見えたのは…しゃがみこむ一人の男。
遠巻きにこうして見るだけで、頬も腕も痩せこけていることが明確なフォルム。
据わったその目付きは鋭く、しかし脱力した様子で街を睨み付けていた。
見覚えがある。
ブーンは悠久の生に沈む泡沫の記憶から、その糸を手繰り寄せ、想起する。
('A`)y-~ 「……〜♪」
ツンが己の隣にいた頃…
三日月島でアサウルスを倒した時…
あの不思議な空間で、ハインに頼まれ救った男に相違ない。
('A`)y-~ 「ぁ?」
('A`)y-~ 「なに見てんだ」
-
丘の上を撫でてゆく風が、白い壁を避けて二人の頭上に草花を散らしていく…。
彡
彡
( ^ω^) ('A`)y-~
彡
あの時の二人は言葉を交わすどころか、
まともに目をあわせる余裕すら無かった。
現実空間に戻った時には、もう彼の姿はなかったのだから。
……名も知らぬ、不死の同族。
-
('A`)y-~「…おい、なんか言えよ」
( ^ω^)「ごめんお、なんでもないお。
君はここで何してるんだお?」
('A`)y-~ 「ぁー? お前ここの人間……って感じじゃあねえな。
訊いてどうすんだ、そんなもん」
(;^ω^)「おっ……、僕は捜しものをしていて…
ここから見えないかと思って来たんだお」
('A`)y-~ 「…」
('A`)y-~ 「ふひ、なんだそりゃ」
男はブーンに "ドク" と名乗り、口角をつり上げた。
ブーンも同様に名乗ると一層つり上げ、しかしすぐに表情と視線を戻す。
同じ不死者と知っていてシンパシーを感じたわけではあるまい。
…だが彼を知る者からすれば、ドクは少し上機嫌に見えたかもしれない。
-
('A`)y-~ 「俺も捜しもんさ。
ここから見えるわけじゃあねえけど…まあ待ってんだよ」
ひひひ、とドクは歯の奥から笑いを噛み洩らす。
( ^ω^)「そうなのかお。
もし良かったら、この街の収容所がどこにあるとか…知らないかお?」
('A`)y-~ 「あぁ? それなら」
ドクの指差す先…
街の中心から少し外れた屋根群のなか、ぽっかりと穴が開くように空洞になった箇所があった。
クレーター状の大地に建てられたこの街は道が平行でなく、坂を降るほど裕福で身分の高い者が住んでいる。
罪人からは連想しにくいが、公務員である警官が関わるならばそこではないかという。
ドクは諍いの起きていた余所の領主の首を献上するため、一足先に街の特徴を知っていたに過ぎないのだが。
( ^ω^)「高い建物だとか目立つ場所とばかり思っていたけど…まったく逆なのかお」
ε_ ('A`)y-~ フゥ
( ^ω^)「ありがとうだお、ドクオ」
-
再び街中へと歩くブーンの足取りが、心なし軽くなる。
……百年越しの出逢い。
永遠を生きるブーンにも、同じ境遇の存在がこの世界にいることが嬉しくもあり…悲しかった。
繰り返される出会いと別れは怖くない。
慣れたといえば嘘になる……
だが、必然に駄々をこねるほど幼いつもりはない。
( ^ω^)「……そうだお」
怖いのは──二度と出会えないこと。
ましてやそれが同じ時を過ごす者同士であったなら、必然と切り捨てることが果たしてできるだろうか。
( ^ω^)「まずは一つずつ、出来ることからやっていくんだお」
『初心忘れるべからず! ⊿ )ξ
見失っちゃダメよ、ブーン』
( ^ω^)「……だおね、ツン」
そのためにまずはここへ来た。
大陸中をしらみ潰し、必ずツンを助ける。
その方法を見付けるためなら、どんな苦労も厭わないつもりだ。
ブーンは想い、馳せる。
・・・
僕たちが、これまでと変わらず世界を旅するために。
-
('A`)y-~
ε_ ('A`)y-~ フゥ
ピンッ ('A`)σ ⌒ 、
(A` ) 「……ん…?」
ドクの違和感が、何を捉える。
( 'A`)「──いや、こっちが先か」
そして同時に捜しものを捉えた。
どうするか?
もちろん…ドクにとって優先順位など決まりきっている。
準備は整った。
彼は炙り出さねばならない。
そのための準備に時間を費やしたのだから。
逃走劇の主役。
餌を食べ終わるまでその場を動かなかった愚かな野うさぎには罰が下るだろう。
('A`)「ひひっ」
太陽と月が気紛れに揺れる刻となったウォール高原に、二筋の闇が射していく。
-
-
『ねえ、ブーン? ⊿ )ξ
私が──みるとしたら』
-
-
----------
収容所の入り口で、フィレンクトはぼんやりと考えていた。
「……私は、なぜ警官になった?」
国の法が法であるため、地域住人同士の繋がりは弱くない。
従順に従うならば、
生涯一人にしか使うことのない育児用品などに、限られた資源をその都度割り当てることも躊躇われるのが国の実情だ。
育児に限った話ではないが、この国において、人々は使い回せるものならば大切に保管して再利用する習慣がある。
……独裁者の理想通りにいけば、民との意識は一致するはずだった。
だが現実にはそううまくいかない。
-
『……子作りをしなければ良かった。
一つの家庭において子は一人のみ。
国にそう定められているのに、
産んだのは貴女の責任だ』
「……支給されている粗末な避妊具で、それを守りきれるわけがないじゃないか」
あの時のフィレンクトの言葉は、かつて警官学校で習った教科書の一文をそのまま読み上げたもの。
無意識にも、本心ではなかったという彼なりのささやかな反抗ではあるが、一般市民がそれを知ることはない。
伝わらない想いは身勝手な自己犠牲の元、自身を肯定させる。
レモナとダイオードの顔を思い出し、胸が痛む。
そんな彼の頭上に、大きな影が乗っかった。
( ^ω^)「ここが収容所かお? 面会したい人がいるお」
フィレンクトははっとして顔を上げる。
にこやかな青年がそこには居た。
自身と同年代……
しかし、その身に纏う雰囲気は過去に出逢った誰よりも柔らかく、どんな犯罪者よりも威圧感を覚えた。
どれくらい呆けていたのかと反省しつつ、公務員として面会者のための手続きを準備する。
…誰にも悟られてはならない。
国家への反逆心さえ、自身は抱いてはならない。
フィレンクトは揺らぐ心をしまいこみ、職務へと戻る。
-
「では本日の面会対象の名を」
( ^ω^)「ダイオード」
「──、わかりました」
規則にのっとり、面会者の指紋を採取する。
ブーンは特に抵抗なく受け入れたが、国民相手であれば拒否されることも珍しくはない。
犯罪者同士の繋がりを暴くためのシステム…なのに、こんな時までやらなくてはならない。
──バカな、あの娘は犯罪者ではない。
牢に続く第一の扉…チェーンを外し、三本からなる蝶番を順に引いていく。
都度、重たい金属音が壁の向こうで響いているのが平静を装う手から伝わった。
( ^ω^)「ずいぶんと厳重だお」
「法に背くと、大なり小なりの制約がついてしまいます。
この牢には軽犯罪者から重犯罪者までが収容されているので」
──そんな場所にあの娘を放り入れたのか、自分は?
フィレンクトの心に錯綜する、職務への忠誠と秘めた道徳心。
蝶番と共に、彼自身の鍵も弛んでいく。
無表情を装うフィレンクトが顔をあげた。
対するブーンの眼差しは真っ直ぐだ。
その単純な行為が、相手にとって護るべき "心の殻" を無意識にひび割れさせていく。
-
[目は口ほどに物を言う]…ブーンはそれを実現させる。
フィレンクトはブーンから目線を外すことができなくなり、まばたきすら忘れてしまった。
突き詰めれば、これもブーンのもつ【破壊】の魔導力。
良心への信仰と法への忠信に葛藤する若い警官の身に、正しい力が入るはずもない。
「……」
( ^ω^)σ「扉、開かないのかお?」
「………ッ、し、失礼。 少し具合が──」
( ^ω^)「君はきっと真面目な人なんだね」
どこか心を見透かされたことに恥ずかしさを隠しきれず、やっとの思いで顔を背けると、
ブーンの方を見ないようフィレンクトは扉をあけ、駆け足になった。
牢に続く階段を踏み歩く音が落ち着かない。
( ^ω^)「僕も力ずくで何かをするわけじゃないお」
「…」
( ^ω^)「僕の目の前で泣いてる人がいたから、手助けしたいだけなんだお」
「……」
収容所の気温は高く、暑い。
風邪をひいただろうか?
秋を忘れさせるような、なんともいえぬ汗が長袖の下、腕を伝うのはそのせいだと……フィレンクトは言い切れなかった。
-
/ ゚、。 / 「フィレンクトさん」
「面会だ。 君の私物を届けてくれた人がいる」
フィレンクトの言葉に輝いたダイオードの目は、しかしブーンの姿を捉え、戸惑いに変わる。
/ ゚、。 / 「…おじちゃん、だれ?」
( ^ω^)「はじめましてだお。
つ(▼・ェ・) これ、君のだって聞いて
届けに来たんだけど…」
/ *゚、。/ 「あっ! びーぐる!」
「今はまだ上司がいる時間だから、牢の中にまでは渡せないが…
こうして私が見ている範囲でなら触って構わないよ」
隙間越しにぬいぐるみを抱き締めるダイオードを見ても、フィレンクトの表情に変わりはない。
……変わらぬように努めている。
/* ゚、。 / 「ねえ、もうおうちに帰れるの?」
-
( ^ω^)「すぐ帰れるお。
だから良い子でもう少しここで待っててくれって、お母さんから」
本来そんなことは許されない。
フィレンクトの肩がピクリと動く。
国において法は守られるべき秩序であり、警官とはそれを執行する番人の端くれ。
この牢にいる罪人は、いわば国の所有物だ。
『他人の所有物を盗んだ者、禁固2年』
──耳の奥で法が囁く。
/* ゚、。 / 「ほんとー?」
( ^ω^)b「だお。 お母さんを待とうお」
「……」
──その法は、娘を救わないのに?
-
子供をあやしつける方便にダイオードは気付くはずもなく、無邪気な笑顔を振り撒いていた。
そう、国内の人間ならば…
この大柄で笑みを絶やさない男が言ったのでなければ、フィレンクトは何の心配もしなかったろう。
ブーンを前にして、その純たる想いと、どこか底知れない旺然さに不安を覚える。
( *^ω^) / *゚、。 /
彼は旅人である。
どんな罪を犯そうとも、
こちらが捕まえる前に国を抜け出してしまえば……
警官としての虫の知らせだった。
体内に篭る細胞が、外部からの異分子に反応するように。
ブーンが法を犯す確証などあるはずもなく、ブーンという個人の人格を疑うことともまた別次元の話。
それでももし──
「それは君たちが決めることではない」
牢内が静まり返る。
…相対、奥にはまだいくつもの牢が並び、そちらからクックッと笑い声や呻き声が耳に届くようになった。
こんな場所で、ダイオードを一人にさせているのは誰なのか。
法か?
「…そろそろ面会時間は終わりとする」
いや、他ならぬフィレンクト自身だ。
ダイオードがここにいるという現実が…
ダイオードをここに連れたという事実が……
一度揺らいだ彼の心を、更に崩壊させていった。
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------------
〜now roading〜
( ^ω^)
HP / A
strength / B
vitality / A
agility / A
MP / H
magic power / E
magic speed / C
magic registence / F
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様々な感情が行き交う、人の命は約100年……
東方では更に永く生きる人もいた。
楽しいことばかりとはいえないが、その触れ合いに寄り添うことは
ブーンのような不死者が生を実感できるチャンスともいえる。
それはもちろん、人から承けるのみに留まらない。
年月が経ち、姿を変える土地からは、また新しい発見をすることもあった。
ガヤ… ガヤ
( ^ω^)「…ツンなら、これからどうするお?」
ガヤ
ブーンがこのウォール高原に来るのは何百年振りだろうか?
隣り合う砂漠が、まだ砂漠になる前だったのは間違いない。
大地は目まぐるしく模様を変える万華鏡…
いくら時を経ても同じ絵柄が映し出されることはない。
だから旅をしていて飽くことも決してなかった。
……今までは。
ザワ
( ^ω^)「ダイオードを助けることは、レモナさんを罪人にしてしまうお…でも」
…ザワ
どこか灰色の世界。
思い出すのはヘリカルの瞳。
ダイオードに比べてあまりに貪欲に映ったあの眼差しは、しばらく忘れられそうにない。
ザワザワ
-
ガヤガヤ
周囲の音がよく聴こえるようになった。
思いにふけた意識を視界に戻すと、
街人らの頭が右往左往に流れていく夕暮れ時の景色に改めて気が付く。
それはただただ流れるのではなく……時にぶつかり、規則性からほど遠い無規律な雑流。
「逃げろっ!! 化け物が──」
「うわあぁあ!」
あがる悲鳴。
瞬時に切り替わるブーンの脳内スイッチ。
しばらく眠っていた細胞が目まぐるしく、弛んでいた身体の芯を引き締める。
「家の中じゃあ潰される…! 離れろ、離れろぉ」
「…向こうかお」
三( ^ω^)
呟きを置き去りにブーンは駆け出していた。
腰に下げた数本の剣が、がちゃがちゃりと静かに音をたてる。
視線の先、白い建物群の頭からは鈍色ひかる鉄の翼が生えていた。
-
( ^ω^)「これは…」
境界線は無い、いつの間に足を踏み入れていたのか。
飛び交う瓦礫、人の身体。
血で血を洗うには些かその量が多すぎる。
弧を描くよう放られ、その場にタイミングよく現れたブーンの腕へ "がくん" と収まったのは肉のカタマリ。
仰向けに垂れる身体の中心には紅い背骨。
成人男性の死体。
( ^ω^)「……」
勢いよく飛んできてもその衝撃に身をよじることなく、ブーンは巨木のようにまっすぐ立ち、死体を見下ろす。
腕に伝わる死の感触……
首の肉も崩れ、千切れそうな舌がだらしなく口許から零れているのを直視してしまう。
たち込めるは新鮮な血の匂い。
死体はフィレンクトと同じ布兜…警官の格好をしていた。
ブーンの周辺にはいまもなお、宙に警官隊が浮かび、そしてぼとぼとと降り注ぎ続ける光景が止まない。
今この場を支配しているのは、聴く者を慄かせる破砕音と、雷を思わせる唸り声──
-
《グ ゴ ォ ア ア ア ァ ア!!》
('∀`)「ひひっ、ひひひ!!」
(;^ω^)「ドク?!」
ひときわ巨大な鳥が大地を暗く染める。
広げる翼が、空の蒼さをその体躯以上に隠している。
その背中で笑うのは──不死者ドク。
-
('A`)「おい、そこでいいのか?」
('∀`)「まーそのまま死ぬのもいいぜぇ?
ひひっ! 羨まーし〜ぃい♪」
誰に話し掛けているのか、グリガンの生み出す風に乗せられたドクの声が届く。
それを聴き取れたのは、辺り一面に動くものが無くなったからだ。
/::; <●>) …ゴトリ
──たった一つ、死体の山から立ち上がった呪術師を除いて。
大きな瞳孔、闇を模倣するフード。
その衣の奥から【カース】と囁く声がした。
ブーンがそれを捉えたと同時、黒い炎が柱となってワカッテマスを囲む。
「……気色悪いもん造りやがって」('A`)
('A`)
('A`) ( <●><●>) ('A`)
('A`)
(;^ω^)「──どうなってんだお」
-
ワカッテマスはいち早く領主に取り入り、土塊を製造していた。
元となっているのはボイズンの臓物。
そのすべての土塊の手に、長身の銃が握られている。
( <●><●>) 「…すり潰してみなさい。
貴方自身の内臓で良ければ
A`) ザザッ
( <▲><●('A`) ──ね」
ワカッテマスを護るよう身構える二体。
他の一体はドクに向けて走りだし、残る一体はワカッテマスの背後で…
('A`)「……」
('/ :
:/A`) ズ リ
ュ ッ
──身体ごと裂かれ、崩れる。
(<●><●>; ) 「?!」
( ^ω^)
?詡囈鼹鼹鼹?,
 ̄ ̄ ̄
土塊の身体から、温もりなき重い剣が姿を見せていた。
滴るものは何もない。
"隕鉄" とも異なる両刃剣は、土塊の肉と骨と血を切断面から【破壊】し尽くしたブーンの得物。
-
>>379を修正して再投下します↓
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ワカッテマスはいち早く領主に取り入り、土塊を製造していた。
元となっているのはボイズンの臓物。
そのすべての土塊の手に、長身の銃が握られている。
( <●><●>) 「…すり潰してみなさい。
貴方自身の内臓で良ければ
A`) ザザッ
( <▲><●('A`) ──ね」
ワカッテマスを護るよう身構える二体。
他の一体はドクに向けて走りだし、残る一体はワカッテマスの背後で…
('A`)「……」
('/ :
:/A`) ズ リ
ュ ッ
──身体ごと裂かれ、崩れる。
(<●><●>; ) 「?!」
( ^ω^)
つΓーーーー,
 ̄ ̄ ̄
土塊の身体から、温もりなき重い剣が姿を見せていた。
滴るものは何もない。
"隕鉄" とも異なる両刃剣は、土塊の肉と骨と血を切断面から【破壊】し尽くしたブーンの得物。
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( <●><●>) 「…何者です? いえ、答えずとも良いのですが」
だが、すぐ真後ろで起きたそんな迅速劇にもワカッテマスは動じていない。
頭から割れ伏した土塊から粉が舞い、光る粒子となって人形は消えていく。
呪術師の瞳…こちらの観察に努めているのだろうとブーンは感じ取った。
相手に恐怖という感情は恐らくない。
足元に残った砂を無造作に蹴飛ばしながらブーンは続ける。
( ^ω^)「見つけたお。
君だおね? ツンにあの呪いをかけたのは」
『黒い……瞳孔の大きな… ? )ξ
あれは赤い森の────』
( <●><●>) 「さあ? 存じません。
"この私ではない" と思いますが」
( ^ω^)「【カース】…ツンはその魔法を受けてから、ああなってしまったお」
( <●><●>) 「……………ほう?」
「興味がありますね……
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