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( ^ω^)はメダロットと共に歩むようです。
1
:
◆ChraqtPSzI
:2014/07/31(木) 00:58:02 ID:rHam9YLQ0
4メインです。
19
:
名も無きAAのようです
:2014/07/31(木) 23:42:42 ID:pjQMtocA0
ブーンは土埃や泥などに服が汚れることに構わず、柱に身体を預けるボロボロのメダロットに近づいた。
( ;゚ω゚) 「大丈夫かお!?しっかりするお!?」
ブーンは人と比べ、幾分小柄なメダロットの両肩を掴み、前後に激しく揺さ振り、怒鳴り散らす。
ダメージなど考えに入れていないため、ガクンガクンとメダロットの頭部が前後に振られる。
そのため、かろうじて繋がっていた胸部の何らかのパーツが、はずみで幾つか脱落してしまった。
それらは、足元で「ガシャン、ガシャン」と耳障りな和音を奏でた。
それを合図としたかのように、事は起こった。
「…るさい。」
( ^ω^) 「……お?」
微かな声が、ブーンの耳に侵入し、目の前の鉄くずに意識があることを認識させた。
ブーンはメダロットの声が発生する元、人間の口に当たる部分であるスピーカーに己の耳を近づける。
\ \
(; メ -) 「…るさいと言っている」
ノイズ混じりの声が、ブーンの耳を確かに捉えた。
20
:
名も無きAAのようです
:2014/07/31(木) 23:43:40 ID:pjQMtocA0
( ;ω;) 「よかったお!気がついたおね!大丈夫かお!?」
ブーンは子供のように、目の前のメダロットの再起動を喜び、声を上げた。
\ \
(; メ -) 「見れ……わか…ろ。」
対し、メダロットは正に苦痛に苛まれているという事を前面に出した、ノイズ混じりの声を発する。
( ^ω^) 「と…とにかくここから出るお!話はそれからだお!」
\ \
(; メ -) 「わ……ほって…け。」
メダロットは拒否の意向をしめすも、今のブーンには届かない。
気付けば、そのメダロットは脇の下を捕まれ、上半身は宙に浮いていた。
21
:
名も無きAAのようです
:2014/07/31(木) 23:44:24 ID:pjQMtocA0
…10分後
結局、ブーンはメダロットを抱き抱え、脱出を試みるも失敗した。
そもそも、メダロットの重量は一人で対処できるほど半端なものではない。密に精巧な機構が搭載されているのだ。
その重量、身の丈1メートル強にして、約60キロ。
ブーンは結局抱きかかえるという行動を捨て、引きずり出すというプランを打ち出した。
( ;゚ω゚) 「うぎぎ……。」
本殿下の暗がりから、奇声を伴い、左足のかかとがにゅっとはい出てくる。
後向きで急に日なたに出たブーンは、西日をまともに受け、反射的に目を細めた。
しかし、抱えているメダロットの惨状を目の当たりにし、目を大きく開かざるを得なくなる。
損傷を拡大させぬように、メダロットをそっと仰向けに寝かせる。そして、先程己が行った乱暴な行為をようやく後悔した。
22
:
名も無きAAのようです
:2014/07/31(木) 23:45:40 ID:pjQMtocA0
正に「目茶苦茶な」という形容詞があてはまる。と、言えよう。
群青色のサイプラシウム合金の装甲は殆どを銃創に覆われ、それが成す中空が幾つも底知れぬ口を開いている。
右肩部は脱落し、ティンペットがむき出し。
顔を構成しているクリアインディゴのバイザーには大きなひびがあり、そこから生じていた2本の角の片方が根本から消失していた。
これ程の損傷を受けながら、未だに起動できる、ということは内側の損傷が外と比べれば軽い、ということであろう。
( ^ω^) 「こいつはひでぇ…ひど過ぎるお。」
通常、メダロットのパーツには「スラフシステム」が内蔵されている。
全てのメダロットの装甲には、ナノマシンが織り込まれて内在している。それは野良メダロットであろうと発動し、1時間程で自動的に修復される。
そのため、多少パーツのダメージが大きくとも、少しずつ回復が進行するはずである。
それは小学生でも知っている常識だ。
だが、救えるとわかっていても、ブーンは絶句を止めない。
――これほど痛め付けられたメダロットは見たことがない。そういった口調だ。
23
:
名も無きAAのようです
:2014/07/31(木) 23:46:24 ID:pjQMtocA0
\ \
(; メ -) 「…っとけ。じき…機能…しす…。」
ノイズ混じりの声が、微かに呻く。
( #^ω^) 「駄目だお!諦めるなお!」
ブーンはメダロットの発言が、自分に諦めを促していると解釈し、面前のメダロットに否定を叫ぶ。
\ \
(; メ -) 「…に、わた………かわる……かいな……なる。」
徐々にノイズの量が増加し、脳内で補完することが困難になっていく。
解釈に困ったブーンは、決断する。
( ^ω^)「とにかく、君が何と言おうと僕は君を助けるお!これから荒巻の爺さんのところに運ぶから、安心してほしいお。」
そう告げると、ブーンは愚図らしき言を吐き続けるメダロットを無視し、その身体を背負う。
しかし、その重量が容易に問題を解決することを阻んだが、無視し、歩み始める。
帰宅部のブーンの身体は悲鳴を上げ始めた。腕が、腰が、背中が、5分もたたずに痛みが支配する。
24
:
名も無きAAのようです
:2014/07/31(木) 23:47:09 ID:pjQMtocA0
( ;゚ω゚) (こ…このメダロットは…きっと今の僕以上の苦しみをうけたんだお。それに比べたら…。)
( ;゚ω゚) 「ぐっ…ぐおおお…。」
\ \
(; メ -) 「……が……。」
ついに、ブーンの背後のメダロットは声を発せなくなる。「ザ」というノイズが、時々スピーカーから漏れるのみとなった。
元来た道を辿り、玉砂利を踏み締め、ブーンは再び神社の鳥居をくぐる。
一歩、また一歩。ただし、その足取りは、危うい。
だが、確実に前へと進む。ただ、自然と回復するであろうとも、メダロットを救うために。
その後姿を、コーマドッグが、不審そうに、心配そうに、見送っていた。
既に、夕日はVIP市街にそびえたつ、摩天楼の陰に隠れ始めていた。
―――馬鹿が。
目の前に、「Flat Battery」と表示され、目の前に唐突に闇が舞い降りた。
※
25
:
名も無きAAのようです
:2014/07/31(木) 23:50:00 ID:pjQMtocA0
2話終了です。
指摘された点通り修正しましたが少し不安です。
26
:
名も無きAAのようです
:2014/08/01(金) 01:10:44 ID:6yoDAsMY0
おお!このあとに期待
支援
27
:
名も無きAAのようです
:2014/08/01(金) 10:10:49 ID:IgWJOdfE0
乙!
荒巻出てくんのか
全部じゃないけど直ってるねー
ちなみに怒ってる顔もこっちのがスタンダード
(#^ω^)
28
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:26:22 ID:dY9vMrrM0
明日忙しいので2話投下します。
29
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:27:06 ID:dY9vMrrM0
Chapter3 「アゲンスト・ザ・ルールズ」
30
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:27:54 ID:dY9vMrrM0
メダロット…。
一言で表現するとすれば、「未知と既知の融合」、とでもいえよう。
ニモウサクタメゾウが「六角貨幣石」として、メダロットの脳、「メダル」を発見した。
アキハバラアトムが、筋肉として「NFPD装甲」、骨格として「マッスルケーブル」を発明した。
…死の象徴であるサイプラスを新種の金属の名称に安易に組み込むのも滑稽な話だが…偶然と必然の出会いは、人類に人類の夢をいともたやすく与えてしまった。
今に至っては、車の歴史のように万人が手にすることとなった。
それで……
( ;^ω^) 「ハア、ハア、一人で…ハア、ハア、何を、ハア、ぶつくさいってんだお?」
/ ,' 3 「おお、ブーンか。いやな、メダロットの個人的考察をな、気がついたら…」
( ;^ω^) 「ついにボケたかお?」
31
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:28:38 ID:dY9vMrrM0
ブーンが親しげに話す、黄ばんだ白衣を纏う老人。名を、荒巻と言う。
メダロットの研究を、主に自宅兼研究所で行っている。白髪に不精髭といった人相の彼は、ブーンの所持するマックスネイクの前マスターであり、提供者でもある。
間抜けた口調とは裏腹に、サイプラシウム合金の研究を専門とし、メダロット学会に名を轟かせた経験を持つ。
/ ,' 3 「どうせまたロボトルに負けたからメンテを頼みに来たんじゃろ?まったく…」
老人はやれやれと腰を上げ、ブーンに話かけた。
( ;^ω^) 「半分正解だお。」
ブーンは親指で背後を指した。
/ ,' 3 「ほう?お主にしては頭を使った答えだの」
荒巻はブーンの指が示す物を見、不精髭をさすっていた右手を止めた。
32
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:29:41 ID:dY9vMrrM0
ブーンは先程の事を思い出せる限り話した。
人目のつかないところにメダロットがいたこと。
見捨てられず、助けたこと。
その救いを拒否したこと。
( ^ω^) 「…というわけで、マックスネイクと一緒になんとかしてほしいお。」
/ ,' 3 「簡単に行ってくれるのう、毎度のタダ働きに加えて仕事せいとな?」
( ;^ω^) 「うっ…」
/ ,' 3 「チッ、相変わらずのお人好しだのう。お主の頼みとあれば明日までやっとくわい。」
( ^ω^) 「た、たすかるお。それじゃ、頼んだお…お、おいしそうなお菓子の匂いがするおね」
/;,' 3 「あ、馬鹿!それはワシの楽しみにしていたイチゴまんじゅう!!」
結局、ブーンはその後研究所に上がり込み、出してあった茶菓子を貪り食ったあげく、暇だから帰る。と荒巻に言い放った。
その足取りは、重労働の後にもかかわらず、軽やかなものであった。
荒巻はブーンが路地を左に曲がるまで家の前に立っていたが、それを確認すると、一人、研究所の中へと消えていった。
33
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:31:03 ID:dY9vMrrM0
/ ,' 3 (ふぅ……。)
荒巻が一息つこうと、ガレージのくすんだ窓に目をやると、既に辺りは闇が支配し、星が夜空に煌めいていた。
白衣からオイルに汚れた灰色のツナギに着替えた荒巻は、マックスネイクの修繕―とはいっても弾丸の除去や転送関係のデバッグ程度―を終え、
元は綺麗な群青色であったであろう、大破したメダロットの修理に取り掛かろうとした。
/ ,' 3 (ん?大破だと?どういうことだ……?)
荒巻はそのメダロットを大まかに観察し、あることに気付いた。
そう、「スラフシステム」が作動していないのである。
メダロットのパーツには装甲にナノマシンが織り込まれて内在しており、1時間程で自動的に修復されることは既に述べた。
多少パーツのダメージが大きくとも、少しずつ回復が進行するはずである。だからこそ荒巻は軽い仕事であろうと踏み、ブーンから引き受けたのだ。
だが、ブーンに運ばれてきたメダロットは、荒巻が初めて目にした時から何ら変わりがない。
/ ,' 3 (少なくとも、ブーンと会話し、茶菓子を食べられ、帰るまで1時間半は経過していた…。)
/ ,' 3 (そして……。)
荒巻は振り返り、背後にあった柱時計に目をやると、丁度短針と長針がカイゼルひげを作った所であった。
/ ,' 3 (今で約4時間…。)
経過時刻を把握すると、修繕を終えたマックスネイクを安置用の大きなカプセルヘ台車に載せ、運んだ。
そしてすぐさま、荒巻は原因を探るべく、ガレージの入口近くに安置している、疑問の対象へとその足を向けた。
老人の目つきから偏屈さが消え、一人の偉大なメダロットの権威の持つ真摯さへと変わっていた。
34
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:32:26 ID:dY9vMrrM0
……約3時間後
\\
( ゚ ゚) 「…すまん。」
修繕を終え、背部にコードやケーブルを幾つも繋がれたそれは、ぼそりと感謝の念を荒巻に伝えた。
内在するバッテリーが空であったため、駆動するには未だ外部の力が必要ではあるが、
今は二足で地に足をつけ、しっかりと直立し、荒巻に対峙している。
/ ,' 3 「何。気にするでない。修理は生き甲斐の一つみたいなものじゃからな。それより、お主はまともな姿を取り戻せてよかったの。」
そう言って荒巻が見つめる先には、先程とは比べ物にならない、勇壮な姿のメダロットがいた。
その姿は、「鋭い」という概念をあたかも具現化させたようであった。
群青を基調としたサイプラシウム装甲は修繕とナノマシンの作用により鮮やかさを取り戻していた。
破損していたバイザーはひび一つ無く、角はもとの鋭い双角に蘇り、バイザーの奥では、紅眼を煌々と輝かせ、生気を漂わせている。
研究所に運ばれた時には無かった、戦闘機を彷彿とさせる翼が幅広の方を上向きにし、
肩部の後ろから少し覗かせており、勿論、脱落した右側は復活している。
そして何よりも特徴的なのは、胸部から生えた、長大な一対の、クワガタのあぎとを模したような直線の突起であった。
/ ,' 3 「そういえば、まだ名を聞いていなかったの。差し支え無ければわしに教えてくれんかの?」
\\
( ゚ ゚) 「KWG-1NF、ルミナススタッグ。」
/ ,' 3 「聞かぬ型式番号じゃの。」
\\
( ゚ ゚) 「………。」
ルミナススタッグは荒巻の問いを意図的に無視している様子だった。
どうやら出自に関してはあまり説明をする気がないらしい。
35
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:33:17 ID:dY9vMrrM0
/ ,' 3 「まぁ、それは置いておいてと…。ところで、お主に説明したいことがあっての。」
その様子を感じ取り、荒巻は急に話題を変えた。
だが、親しげに話をしていた柔和さが、突如消え失せる。
/ ,' 3 「お主のスラフシステムが起動しなかった原因は、ナノマシン・ジャミング・バレットだったようじゃ。」
ナノマシン・ジャミング・バレット
ナノマシンの機能阻害を目的とし、弾丸一発一発に電磁波を放つ機構が搭載された兵器である。
このご時世、メダロットが紛争などに投入することは国際的に禁止されている。
ただし、メダロットに使われている技術に関しての規制は除いて、である。
特に、現在、ナノマシンは戦車や装甲車といった兵器の外面に応用され、実戦に投入されている。
その技術はレジスタンスやゲリラ活動の恰好の道具である。海外でメダロットの研究者が拉致され、無理矢理開発に従事させられるといった事件も頻繁に発生している。
そこで、違法かつ危険なナノマシンの破壊を目的として、メダロット社の監修のもと、ジャミングバレットが開発されたのだ。
勿論これらは兵器であって、メダロットのパーツではないため、搭載を禁止されている。
だが、それはルミナススタッグという存在により、破られたことを証明された。
/ ,' 3 「こいつはおもに中東の紛争とかでよく使われておるの。じゃが、メダロットに対して使用された例はないし、使用も禁止されとる。」
/ ,' 3 「それが何故お主に使われておるのか?仮にこの弾丸を愚鈍な同職者でもぶち当たる疑問じゃな。」
/ ,' 3 「それに、お主の装備、大分カスタマイズされているようだの。個人単位では不可能な範囲じゃが、どうかの?」
36
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:34:26 ID:dY9vMrrM0
重ねられる荒巻の質問は、徐々に不審を帯びていった。
すると、今まで荒巻の話に静かに耳を傾けていたルミナススタッグが、突然両腕を前方に突き出した。
あまりの俊敏な行動に、荒巻は咄嗟に後方に飛びのいてしまった。
ルミナススタッグの双腕から、「ガシャン」という、止め具のような物が外れる鋭い音が響いた。
直後、前腕部のパーツから、巨大な、1対の金色のブレードが瞬時に飛び出す。
中世の大剣、クレイモアを彷彿とさせる両刃のそれの表面には、大きくアルファベットが刻印されている。
「WMR」
その文字を目にした荒巻が、大きく目を見開く。
/ ;' 3 「バカな、世界にケンカを売る気か」
\ \
( ゚ ゚) 「…その反応が当然か。」
ルミナススタッグがぼそりと呟いた。
37
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:34:50 ID:6IpJJFns0
へえ、ずっと疑問に思ってたらnaviで登場した機体だったのか
知らなかったわ
38
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:35:47 ID:dY9vMrrM0
「World Medal robot Research」
名の通り、メダロットの調査を主とする団体だ。
世界と名に掲げているが、未だマイナーな存在であり、世間にその存在を認知されているとは言い難い。
主に、メダロット関連の事件、事故調査の下請けとして現場に赴くことを業務としている。この程度の小団体自体にさして驚きはしないし、荒巻も名を知る程度であった。
だが、荒巻が絶句した理由は、この団体が「メダロットを作った」という行為にある。
「Research」と掲げている団体がメダロットを作る必要性がないのだが、そもそも現在、
メダロットの製造や試作の権限や許可は、日本においては国営の「メダロット社」にしか認可されていない。
だが、荒巻の目の前のメダロット、ルミナススタッグは明らかに試作だ。
荒巻の見る限り、個人での製造が不可能なパーツが組み込まれている。メダロット社製のパーツであれば販売時点でネットワーク転送が出来るように、自社のサーバーに登録されるが、
自作であれば当然それらはメダロッチでの転送にあたりネットワークセキュリティを
幾つかクラックしなければならない手間が生じるため、改造は行うメリットがない。
仮に個人によって改造が施されているとしても、元のメダロットが判別できない。
以上の点を踏まえると、既存のメダロットのどれにも当てはまらない容姿であるならば、試作機という可能性が高くなる。
もし、「認可外の企業や団体がメダロットを試作・生産した」ということが明るみに出れば、
WMRAは世界規模の制裁を受ける事は確かである。
だが、メリットは大きい。
「違法製造」
外国の裏社会などと密貿易でもすれば、特許料を巻き上げるよりも遥かに大きな利益を得られるのは明確である。
そして、WMRは業務内容の関係上、違法を洗練すれば法の抜け道を作る事の出来る立ち位置にある。
だが、それを実行してしまう事は、世界の秩序を覆すことと同義だ。
WMRは、暗黒への第一歩を、ルミナススタッグという「形」で証明したのだ。
39
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:36:46 ID:dY9vMrrM0
/;,' 3 「またとんでもない違反(バカ)を侵す奴らが出て来たの。」
荒巻の声に感嘆と戦慄が入り交じる。
\\
( ゚ ゚) 「詳しくはわからない。覚えていることといえば、窓ガラスを突き破ったことと、森の中を走っていたこと位だ。」
\\
( ゚ ゚) 「だが、推測は出来る。私が逃げて来た場所がWMRの施設で、私を破壊しようとした連中もWMRである…と。」
そう言うと、ルミナススタッグは刃に刻印された文字を忌ま忌ましく見つめた。
/ ,' 3 「…面倒事は御免だぞぃ。わしは平和主義者じゃ。下手に火傷はしたくないわ。」
ルミナスの話を聞き、荒巻は事の重さを瞬時に感じた。
試作品が脱走したのであれば、当然追っ手がある。ルミナスと共にいることは、即ち自らを危険にさらす
というハイリスクを背負う事となる。
荒巻はおそらくルミナスは匿ってほしいという依頼を自らにするであろうと踏んだ。
だが、ルミナスは荒巻の予想に反する言を口にする。
\\
( ゚ ゚) 「心配するな。あんたを巻き込むつもりはない。」
/ ,' 3 「じゃが、どうするつもりじゃ?研究者として、みすみす破壊されるのを黙っては見ておれんわい。」
\\
( ゚ ゚) 「……私に、私に仮のマスターをくれ。直接的な解決にはつながらないが、連中は野良状態を仮定して探索しているはずだ。主がある事がカムフラージュになるだろう。それに仮ならば万が一があっても野良と主張し、関係を抹消できる。」
己の為か、人を考えてか。メダロットの本分としては、非情過ぎる選択であった。
40
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:37:55 ID:dY9vMrrM0
/ ,' 3 「だが、ワシに迷惑はかからんでもそいつに迷惑がかかろう。追っ手はどうするつもりじゃ?」
\\
( ゚ ゚) 「それは心配ない。連中は脱走を計算に入れていなかったらしくGPSを搭載していないようだ。私にインストールされているソフトウェア・リストに表示されない。それに、一般人がまさか手にしているとは考えていないだろう」
ルミナススタッグの言葉をすぐに信じることは荒巻には出来ていなかった。
提案に荒巻はしばし思考する。
そして、結論を出す。
/ ,' 3 「わかった、後程ワシが徹底的に調べさせい。で、マスターの方じゃが、先刻、お主を連れて来たやつがおろう。奴が適当じゃろ。」
\\
( ゚ ゚) 「…あのデブが?」
ルミナススタッグの声に不審が見える。
/ ,' 3 「まあ、確かに頼りはない。だが、メダロットを想う気持ちは人一倍ある。主が安全を確保したくば、言い方は悪いがそれを利用するのが一等じゃろう」
\\
( ゚ ゚) 「………。」
ルミナススタッグは空中を見つめ、何も答えない。
少なからず、眼前の老人のしたたかさを意外に思ったのだろう。
41
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:39:01 ID:dY9vMrrM0
/ ,' 3 「まァ、一考してみることじゃの。他には何かあるかの?」
声の音量を少し上げる。
荒巻の問い掛けにルミナススタッグは、はっ、と意識を取り戻す。
\\
( ゚ ゚) 「私の調査を行うなら、ついでにブレードの刻印を消してくれ。私はもうWMRの管轄ではない。」
老人の顔は青ざめる。
/;,' 3 「ほっほ。老人を殺す気か?プログラムにハックするだけでも気が狂いそうになるぞぃ。しかも既存のプログラム使用しとらんじゃろソレ」
素っ頓狂な声で不満を吐く。
\\
( ゚ ゚) 「無理は承知だよ。それにアンタ、なんとか装甲の研究で有名なのではないのか?」
それにさらりと言ってのける。が、荒巻は初対面のメダロットに対し、疑問を持つ。
/;,' 3 「…何故ワシを知っておる?」
\\
( ゚ ゚)「wi-fiにパスワードかかってなかったぞ?ちなみに接続の際に偽装はしている」
/;,' 3 「なんと単純な。GPSを積んでいないクセにワイヤレスネットワーク機構を積んどるのか。最近のメダロットは悪知恵をつけるのが早い早い…、すぐに詐欺でも出来そうだの」
\\
( ゚ ゚)「さぎ…?なんだそれは?」
42
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:39:52 ID:dY9vMrrM0
最近のメダロットの中には、ワイヤレス・ネットワークに接続することが出来る機能を持つティンペットがある。
メダルには意思があり、当然知性を持っている。人間よりも知性が発達するスピードはゆるやかではあるが、
固体によっては、養成次第でインターネットの閲覧まで可能となる者も存在する。
時代のニーズに応じた代物であろう。
\\
( ゚ ゚)「更に独自ブラウザだ、アイカメラでスキャンし、ピクセル単位でネット上から似た画像を探せば一瞬だが」
/;,' 3 「あーあ、わかったぞい。これ以上ワシのプライバシーが侵害されるのも勘弁じゃ。さっさと準備するのでの。お主はシャットダウンして待っておれ。」
荒巻はぶつくさと文句を言いつつも、PCに様々な配線をつなぎ始めた。
その様子を視界の隅に捉えながら、廃部に繋がれたケーブルのもとをたどり、指定の位置に立ち止まった。
一瞬、あのデブの顔を思い浮かべ、持つ情報から想像し得る未来を考えようとして、やめた。
そして、「Shutdown?」の表示に対し、間髪入れず「Yes」の選択をした。
※
43
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:41:29 ID:6IpJJFns0
これ再投下だったのか
http://mbb.whocares.jp/mbb/u/017/923/
44
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:44:36 ID:dY9vMrrM0
>>43
この前6年ぶりに見つけました。
今たまたま時間があるので、リメイクして投下しています。
45
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:45:46 ID:dY9vMrrM0
Chapter4「チャンス・エンカウター」
46
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:46:32 ID:dY9vMrrM0
( ^ω^) 「あ゛ー痛ぇお。」
早朝、ちらほらと雀が鳴き出す頃、ブーンは荒巻の研究所前に立っていた。
体中の筋肉の悲鳴に、弱音を吐く。あれほどの重労働の後、一日置けば、帰宅部のブーンの体にダメージが発現するのは自然だ。
ブーンは研究所の玄関のドアノブに手をかた。しかし、回すも、それは侵入を許さない。
( ^ω^) 「もうとっくに起きてるはずだお…。ガレージかお?」
今度はガレージに足を向ける。白く、埃に汚れたシャッターが閉じっぱなしではあるが、どうやら鍵まではかかっていないようだ。
ブーンはシャッターの底辺に手をかけ、勢いよく持ち上げた。
けたたましい音とともに、ガレージ内を朝日が照らし出す。
空気に舞うほこりが光に浮き彫りにされるのを見、ブーンは顔をしかめる。
( ^ω^) 「汚ねぇお…お、じーさん寝てるお。よくこんなとこいて病気にならないお…。」
ガレージには、奥にメダロットを安置するための巨大な灰色のカプセルが三台に、様々な太さのケーブルが繋がれている。
その中央には、デスクトップPCが黒ずんだ机の上に対象的な新しさで配置されている。そこに、荒巻はいた。
キーボードに顔を密着させ、安らかな寝息をたてている。
PCのディスプレイには、「ナノマシン配置編成完了」の文字が点滅していた。
47
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:48:03 ID:dY9vMrrM0
「お前か。」
唐突に、中央のカプセルから声が発せられた。
\\
( ゚ ゚) 「無断で入ってもいいのか?」
声の主はルミナススタッグ。どうやら、自動起動の設定時間に到達したようだ。
その口調は、刺々しい。
( ^ω^) 「お前か、じゃねーお。僕には内藤ホライゾンという名前があるお。」
思わずブーンはルミナススタッグに反論する。
\\
( ゚ ゚) 「あの時お前は名を告げなかった。他に何と呼べばいい?」
しかし、それをあっさり論破。
( ^ω^) 「…それもそうかお。でもとりあえず君の体が治ってよかったお。」
\\
( ゚ ゚) 「まあな。」
( ^ω^) 「じゃあ、君の名前を聞いていいかお?」
\\
( ゚ ゚) 「む、お前…まあいい。私の名前は」
「ルミナススタッグ。」
ルミナススタッグが発声する刹那、老人の声がルミナススタッグの言わんとすることを奪った。
48
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:48:48 ID:dY9vMrrM0
( ^ω^) 「じいさん。起きたかお。」
PCの置かれたデスクに配置された華奢な四つ足の木製椅子から、灰色ツナギの老人が立ち上がる。
/ ,- 3 「ふぅ、お主らが騒がしくての、寝るにも寝ていられんわい。」
荒巻は大あくびを一つかき、その身を大きく伸ばした。
/ ,' 3 「ところで、ルミナススタッグ。昨日言った事、考えてくれたかの?」
唐突に荒巻はルミナススタッグに話し掛ける。
\\
( ゚ ゚)「今の所、それが最善だろう」
/ ,' 3 「ほっほ。上等じゃ。」
ルミナススタッグの答えに荒巻は声を上げ、満足そうに大きな笑みを浮かべた。
( ^ω^) 「…話が見えねーお。」
独り取り残されたブーンはぶすりと呟く。
/ ,' 3 「そうじゃった。ブーンは知らなかったの。ブーン。突然じゃが、お主にはこのメダロットのマスターとなってもらう。」
( ;゚ω゚) 「…お?」
事の唐突さに、ブーンは当然面食らう。
まさか、昨日まで関係の無かった野良メダロットのマスターになるとは、露程も思わなかっただろう。
49
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:51:28 ID:dY9vMrrM0
/ ,' 3 「ただ、"仮に"じゃ。役所に問い合わせたらもう破棄処理が済んでいたとかで、面倒なんじゃ。わしが新たに手続きをしとくが、申請が通るまでやたら時間がかかる。という事で面倒をみてほしいんじゃよ」
\\
( ゚ ゚) (…口が回るな。)
( ^ω^) 「で、でも急過ぎるお。」
\\
( ゚ ゚) 「私からも頼む。」
ルミナススタッグが口を挟んだ。
( ^ω^) 「そうだ!荒巻のじぃさんじゃ駄目かお!?」
ブーンは明らかに面倒そうな様子だ。
それもそうだ、野良メダロットは基本的に関わらない事が暗黙のルールとされている。出自がわからないメダロットに手を出した時、実は性質の悪い集団の物であった時の報復が怖い。
実際「野良メダロット詐欺」という言葉が頻出した時期もあった。
\\
( ゚ ゚) 「荒巻は忙しいらしい。意外にも勉強好きで、研修の邪魔だとさ」
( ^ω^) 「う…、で、でも、メダロッチに登録できないとなると君を転送できないお。どうするつもりだお?」
\\
( ゚ ゚) 「それは私がブーンについていくか留守番をすればいいだろう。」
( ^ω^) 「なんで僕の名前を…それはいいとして、僕は学校に行ってるんだお、家でも君のことをどう説明すればいいんだお。
一人の時はどうするんだお??」
\\
( ゚ ゚)「いや、荒巻がそう呼んでいたからな。私の頭パーツの能力は"いんぺい"だ。見えなくなればついて行ってもバレないだろう。
それに野良は聞こえが悪い。元からお前の家に世話になるつもりはない。」
ブーンの必死の抗いに、ルミナススタッグはよどみなく答えていく。
50
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:52:31 ID:dY9vMrrM0
〜5分後
( ;ω;) 「…わかったお。君が生き別れのマスターを探したいということ気持ちはよーく伝わったお」
そこには、号泣するブーンの姿があった。
鼻水も吹かず、ぐずぐずと声を出すのを押し殺すように泣いている。
/;,' 3 (え、何故こやつは泣いておるのかの…)
\\
(; ゚ ゚)(…家なき子から卒業するためにマスターを探しているとか適当に言った。まあ、少々盛り過ぎたが、バカはすぐに忘れる。
それに本当の事を少し混ぜるのは詐欺の常套手段だろう?)
/; ' 3 (う、詐欺という言葉を知らなかったはず。ワシのwi-fiのパスワード解析して調べおったな)
ルミナススタッグは、交渉前に野良メダロットの事情を盾に拒否されるのを想定していた。
そのため、事前に荒巻のワイヤレス・ネットワークに自身を接続し、インターネットから詐欺の手段を閲覧していた。
正しくは学習だが、ブーンを騙すには付け焼刃で十分であった。
( ^ω^) 「わかったお、僕は君のマスターになるお。」
( ^ω^) 「ただ、仮のマスターだおね……。」
\\
( ゚ ゚) 「私の身勝手だ。すまない。」
わざとらしく、しんみりとルミナススタッグは声を出す。
( ^ω^) 「大丈夫だお!じゃあ、よろしくだお。えっと…。」
\\
( ゚ ゚) 「ルミナススタッグ。」
( ^ω^) 「すまんこ。呼びづらいからルミナスでいいかお?」
\\
( ゚ ゚) 「まん…?むう。では、頼むぞ?」
ルミナススタッグは背部のケーブルを外し、ブーンに歩みよる。
( ^ω^) 「わかったお!」
それに呼応し、ブーンはルミナススタッグに歩み寄る。
51
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:54:36 ID:dY9vMrrM0
/ ,' 3 (これで、よかったか…)
老人はその光景を腕を組み、本当の気持ちを隠しつつにこやかな表情で見つめる。
〈 ≡〉 「………。」
そして、忘れられた存在。
ブーンは余韻にひたろうとした、その時。ルミナススタッグの背後の柱時計の針が、視界に入り込んだ。
( ;゚ω゚) 「やっべ!遅刻するお!じいさん、ありがとだお!」
ブーンは慌ててガレージを飛び出そうとする。
/ ,' 3 「パートナーを忘れる馬鹿がいるか!」
荒巻はブーンの背に叫んだ。すると、荒巻の後から緑色の蛇型、ブーンのパートナーであるマックスネイクがはい出てきた。
〈 ≡〉 「マスター、注意散漫傾向にあります。ご注意を」
スピーカーから発せられた声は、心なしか悲しみをはらんでいるかのように沈んでいた。
\\
( - -) (まぁ、あの辺はとんだ愚物だったか…。)
ルミナススタッグはマックスネイクの傍らに立ち、ブーンにあきれつつも、同情した。もしも人であったならば、2つのため息が聞こえるであろう。
( ^ω^) 「おお…。すまんこ。ルミナス、マックスネイク。」
\\
( - -)(まん…、ふむ、なるほど。そういう事か)
そのような心情をくみ取らず、冗談交じりにブーンは謝罪の体をとる。
52
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:55:39 ID:dY9vMrrM0
/ ,' 3 「お主も立場がないのぅ…。」
その不遜とも取れる態度に、荒巻はチクチクと言葉を添えた。
( ^ω^) 「じいさんはうっせーお…。とにかく2人ともすまんお。」
ブーンは2体のメダロットに謝罪しつつ、マックスネイクを自宅へと転送させ、メダロッチにメダルを仕舞った。
/ ,' 3 「ほっほ。それは失礼したの。」
そう言って、荒巻はブーンに肩をすぼめてみせた。
( ^ω^) 「じいさん、改めて言うお。ありがとうだお。」
ブーンは馬鹿正直に腰を90度に折り曲げ、再び感謝の念を示した。
/ ,' 3 「おう。いつでも利用せい、生き甲斐をくれるのはお主位だからの。」
( ^ω^)「なんじゃそりゃ、わかったお!」
ブーンは荒巻の言動の意図を理解しそこねたようだ。
それに気付かず、ブーンは元気よくガレージを飛び出す。
両腕を翼のように左右に広げ、鳥が地をスレスレに滑空するかの如く、道を駆けていった。
53
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:56:28 ID:dY9vMrrM0
\\
( ゚ ゚)「荒巻よ。私も世話になった。」
ブーンとある程度距離が空いた後、ルミナスが荒巻に話し掛けた。
/ ,' 3 「…何かあったらわしをたよるのじゃぞ。主が身を隠す理由は結局わからんし、謎も多い。しかし、よかったらそのうち話してくれ」
その言は、重い。
まるで、これから起こるであろうことを予期しているかのように。
\\
( ゚ ゚)「…できれば世話になりたくないものだな。」
そんな荒巻の言に対し、ルミナスは淡白な返答をした。
そして、ふっとその場から「消えた」。頭部パーツ、「オールオーバー」の能力、「いんぺい」の効果である。
それは、完全に姿を消した訳ではなく、その場の色彩に体色を合わせているために起こった現象だ。
一言でいえば光学迷彩であるが、それとの違いは種々のレーダー感知からも逃れる点である。
つまり、見えないステルス機構と言えよう。だが…
/ ,' 3 「いやーそれにしても規格外の性能だのう…。『いんぺい』に光学迷彩はないぞい」
( ; )「実は使った私も驚いている。なぜこのような能力を持たされたのかは私も知らないが…、頭部パーツを使う時は人前を避けた方が良いようだ。」
( )「では、さらばだ」
結果として、人間もメダロットもそう簡単に視認することが出来なくなった。
不可視の鉄塊はブーンに高速で追従するため、荒巻のガレージから飛び出した。
既に、東空高くに位置していた朝日が、異様に眩しかった。
※
54
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 00:58:01 ID:dY9vMrrM0
3・4話終了です。日曜あたりにでも続きを投下します。
55
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 01:28:22 ID:on6IwLA60
乙乙
なんか読みにくいと思ったら文の終わりが
〜る
〜た
〜ない
で連続してるからか
これは是非とも直してほしい
話は面白いから応援してるぞ
56
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 10:13:57 ID:0GGZ7adY0
メダロット好きだから続き楽しみ
乙
57
:
名も無きAAのようです
:2014/08/02(土) 17:35:52 ID:Xos982o20
あ
58
:
名も無きAAのようです
:2014/08/03(日) 20:37:54 ID:8LocSe860
まだかな
59
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:18:29 ID:W6Oj6qJw0
Chapter5「ハービンジャー」
60
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:22:25 ID:W6Oj6qJw0
…放課後、VIP高校内
( -ω-) 「…zzz」
VIP高校。
公立学校としては20年という長くも短くもない歴史を持つ高校。
VIP市に住む少年であれば、自然、進学する高校であり、比較的生徒数も多い。
もちろんブーンとドクオも通う高校だ。
その中の2階、ある1年生教室。
幾つもある黒鉛に汚れた古い机。その一つに顔を押し付け、寝息をたてるデブが一匹。
何者かが、その頭を小突いた。
( ^ω-) 「う…ん……?」
( ;゚ω゚) 「アッーー!もう学校終わりかお!」
目を覚ましたブーンが突然叫んだ。周囲に人影はなく、ごくありふれた白色の壁の教室に光が差し込む。
その光は既に橙色である。
('A`) 「いつまで寝てんだよ」
ドクオが、半ば呆れた声を発した。どうやら、ブーンを起こした張本人のようだ。
日を背に負っているせいか、顔が普段にも増して暗く見える。
61
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:24:44 ID:W6Oj6qJw0
( ^ω^) 「いや、毎日眠くて仕方ないんだお」
('A`) 「こんなクソ暑い時に爆睡できるかよ?逆に関心するわ」
たった一つの言葉であっても、半ばの呆れを完全な呆れへと変えるには十分であったようだ。
('A`) 「まあ、お前の単位は俺には関係ないしな…。ところで、昼に妙なものをグラウンドに見つけてな。お前に見せたかったんだ。」
( ^ω^)「…お?」
('A`)「まあ、ついてこいよ」
ドクオは眠そうなブーンの腕をいきなりつかむと、そのまま強引に引き立たせ、廊下へと引きずり出した。
勢いに任せたせいで、ブーンの荷物は教室に置き去りだ。
残念なことに、寝ぼけ眼のブーンに理性は戻りきっていなかった。
62
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:25:25 ID:W6Oj6qJw0
…VIP高校、グラウンド
ドクオにつれられたブーンは、下駄箱で内ばきから使い古しのエアホースにはきかえ、昇降口からグラウンドに出た。
('A`) 「こっちだ。」
ドクオは、黄土色が支配するだだっ広いグラウンドの、奥地を指差す。
そこには、フェンスで人の侵入を拒ませられた、小さな森があった。
…なぜ、高校の敷地内に森があるか?
VIP市は、意外にも森林の豊かな中規模の都市である。
メダロット等の最新技術を取り入れた行政の傍ら、環境への配慮の一環として森林の保護を行っているからだ。
VIP高校も例外ではない。数年前からグラウンドに隣接している森の保存や、植樹による拡大を行っている。
ブーンとドクオは、そんな行政の思惑で残されている森に侵入すべく、かつては緑色であったろう、赤茶に錆びたフェンスをよじ登り始めた。ガサガサと鬱蒼とした薮をかきわけ、少し進むと、突然ドクオが立ち止まった。
('A`) 「あれ」
ドクオはその細長い人差し指で、目的を指した。
それは、一本の杉が倒れている。という光景だった。…ただし、周囲の木々は未だたくましく天を目指している
倒れた木は、なんと、根本から1.3メートルほどで袈裟、もしくは逆袈裟に切断されたような斜めの切り口を持ってた。
( ^ω^) 「竹槍みたいだお」
('A`) 「竹?杉だろ。昼休みにサッカーしてたら偶然蹴りこんじまって。で、ここで探してたらいきなりこれ倒れてきたんだ」
( ^ω^)「よく考えれば杉ヤリか……やりすぎ!!だっておwww」
('A`) 「あ?話を聞けコラ」
唐突なブーンの言葉遊びにドクオは腹を立てた。
63
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:26:25 ID:W6Oj6qJw0
しかし、そんな様子もお構いなしに、ブーンは自分のペースを崩さない。
今度は口を閉じて考え事を始めた。
( ^ω^) (にしても…なんだおこれ?メダロットが切ったのかお?でも、この木の直径は3メートルはあるお)
可能性を考えているうちに、遠くのしげみがガサガサと音を立てているのが聞こえる。
その時点で、ブーンは「多分風が揺らしている。」と思い込んでいた。
(*^ω^) (多分間伐じゃないかお…ドクオにモノを教えるチャンスだお)
ブーンは何故か知っている「間伐」というキーワードを結論に位置づけ、嬉々とした。
普段ドクオに指摘されることの多いブーンは、ここぞというチャンスだと考えていた。
(*^ω^) 「ドクオ!わかっ―――」
導き出した結論を自慢しようと、切断された杉から目をはずし、背後にいるはずの友に話しかけた。
が、しようとして、やめた。そこに友はいないことを知ったからだ。
そしてその友をすぐに見つけた。既に、グラウンドを脱兎の如く駆けていた。
( ^ω^) 「この野郎…」
代わりに、口から這い出してきたのは友に対するあまりの忌ま忌ましさ故の悪態だった。
64
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:27:20 ID:W6Oj6qJw0
振り返れば、友の代わりに紫の装甲に犬を模した頭部−−否、頭両腕。
3つ首の地獄の番犬をモチーフとしたメダロット、「ヘロケロベロス」がそこにいた。
∧ ∧
く +ω+) 「ナンダキサマ?」
唸りを上げていたヘロケロベロスの、リーダーらしき頭部パーツが唐突にブーンに問答を始めた。
( ^ω^) 「えっと…その…。」
先ほどのイライラは瞬時に消える。ぽっかりと空いた空間に、代わりに恐怖が充填された。
ただならぬ空気を垂れ流すヘロケロベロスに圧倒され、ブーンはしどろもどろになる。
そのことが、ヘロケロベロスの不信を増幅させる。
∧ ∧
く *W*)「ゼッテーアヤシイ。」
∧ ∧
く tшt) 「ドウカンダ。」
両腕が口々に叫びだす。
ヘロケロベロスの行う腹話術じみたこの行為は、不気味という言葉につきる。
ブーンを、精神的にジワジワと追い詰めていく。
( ^ω^) 「いや、た、ただ遊びに−−−」
∧ ∧
く +ω+) 「ソンナハズネェダロ。モリヲアラシニキタニチガイネェ。コウナッタラ、ロボトルデキュウヲスエテヤル」
∧ ∧
く *W*) 「スエテヤル」
∧ ∧
く tшt) 「スエテヤル」
ブーンのはっきりしない態度に業を煮やしたヘロケロベロスが、強行手段へと打って出た。
どうも、このヘロケロベロスは野良メダロットではあるが、この森を管理しているメダロットのようだ。
だが、その管理に従順であるが故に、「森にいる=侵入者=敵」という、とんでもないステレオタイプが使命を乗っ取ってしまったと推測される。
だが、残念な事に侵入者であることに変わりはない。処罰対象に含まれてしまう。
森の狂犬が、今にも牙をむかんとしていた。
65
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:28:12 ID:W6Oj6qJw0
( ^ω^) (灸をすえるとかまたふるくっせー言葉を…。やべ。やるしかねぇのかお…。)
ブーンは、ヘロケロベロスの成す意味不明の展開に戸惑う。 知らず知らずのうちに、ロボトルをするはめとされてしまっていた。
ヘロケロベロスはなおもブーンにロボトルを強要しようとする。
∧ ∧
く +ω+) 「サッサトテンソぶべら!?」
だが、ヘロケロベロスはブーンに制裁を加えることは叶わなかった。
突如、その頭部を地へと勢いよく打ち付けた。一見すると横に唐突に倒れ込んだように見えるが、どうも自分の意思で行ったように見えない。
不可視の力が側頭部に加えられたのだろうか、クレーターの如く地面に陥没している。
それきり、ぴくりとも動かなくなった。
( ^ω^) 「…なんなんだお、ギャグかお」
事が、二転、三転。
ブーンは口を開くが、呆然を上手く言葉で表現すうことができない。
( ) 「こういうことだ」
独り言であったはずの言に、何者かが答えた。
ヘロケロベロスの後方1メートル。
何もないはずの空間が、陽炎が揺らめくように、歪み始めた。
数秒の後、事の真相が姿を現す。
66
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:29:10 ID:W6Oj6qJw0
\\
( ゚ ゚) 「ぎゃぐ…?それよりもこんな所で何をしている、ブーン?」
ルミナスが「いんぺい」を解除し、表れた。
( ;^ω^)「ええ…お前こそ何やってるんだお…つーか『いんぺい』ってそういうのだったかお?」
ブーンはルミナスへの不信感を隠ぺいしきれていない。
\\
( ゚ ゚)「最新パーツだからな(大嘘) あと、ネコが爪を木で研ぐだろう。それと同じだ。何が悪い?」
その直後、大木倒れ、それにより生じた轟音が森に響き渡った。
それに驚いてか、ばさばさと鳥が慌てて飛び立つ音が数瞬遅れて聞こえた。
( ;-ω-)「はあ…」
幾分豪快がすぎる行為の全容を知り、溜息を一つブーンはついたが、ルミナスに届くことはなかった。
※
67
:
名も無きAAのようです
:2014/08/04(月) 21:30:15 ID:W6Oj6qJw0
5話終了です。
昨日はうっかり寝ました。
68
:
名も無きAAのようです
:2014/08/05(火) 13:25:57 ID:.AK8R3VI0
おつ
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