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( ^ω^)ひたすら嘘予告をしていくようです
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2235年4月17日は人類にとって一つの転機であった。
――89日間に渡る「一人」対「全人類」の戦争が始まったのである。
恐慌状態に陥った政府の核兵器にすら屈せず、彼女は人類を殺害し血を啜り続けた。
あらゆる手段が講じられ、あらゆる手段が失敗に終わった。
約三か月の間、彼女はたった一人で最悪クラスの災害として、前代未聞の数億人という大規模な犠牲者を出しながら人類の敵の役目を全うした。
そして89日目、人類が最も得意とする戦術に、彼女は敗れた。
それは戦術や技術、ましてや創意工夫等による勝利ではなかった。
――敗北の理由。それはただ血液が足りなくなったのだ。
吸血鬼はその活動に血液を消費する。
具体的には、人類の持つ血液のとある成分を利用して超人的な能力得る。
彼女は莫大な量の血液を摂取し、更に献血センターなどへの強襲で、通常の吸血鬼が得るはずのない量の濃度をため込んでいた。
だがそれでも、彼女の能力はあまりにも強力で、故に血液の消費は莫大であった。
だからこそ人類は徹底的な逃げの戦術を行い、あとは純粋な無人機による飽和戦術で物量戦を挑んで押し切った。
それでも彼女は機械たちと一か月に渡り、不眠不休で戦いを続けた。
エレガントとは言い難い、エレファントな戦術に彼女はついに膝を屈する。
だが、それでも彼女を殺すには足りなかった。
彼女はこの89日間の後も、実に150年近く生存を続けた。それは人類が寛大であったためではない。
仮に研究目的であっても、被害者数億人という歴史上類を見ない連続殺人犯を生かし続けるなど、世論が許してはくれないだろう。
だが、なんということはない、人類はこの最強の生命体を、弱点を持たない吸血鬼を殺す手段を、持ち合わせていなかったのである。
杉浦=ロマネスク 著「現代吸血鬼概論」より抜粋
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