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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
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どーも作者です。
新しく作らせてもらいました。
設定だけ作っておいて最初の二話で終わる予定だったこの話がこれだけ続くことになろうとは。
半分くらいは終わっている予定なので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。
話の投下の前に、各人の見た目データと大まかな設定を載せておきます。
この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に設定を順守しているつもりですが、拡大解釈とまだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。
まとめ
ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/
大変お世話になっております。
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以上、第九話でした。
ではではまた。
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saoは肌に合わなくて一話で挫折したのにこれは読めるんだよなぁ…
ふさー!好きだー!乙!
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乙
体術の習得ってやっぱあの修行なのかなって思ってちょっとニヤニヤしちゃったよ
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凄くよかったほのぼのした
ツンのSSSが可哀想
ジョルジュの外見が完全にウホッな外見なんだろうな
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面白かった。乙
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残念フェイスwwww........(;A;)
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乙!今回もいい話だなー面白かった。
設定もフサの加入話も楽しみにしてたから嬉しいわ
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ω・)乙。まぁ確かにフサの喋りはちょっとうざ…ゲフンゲフン
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久しぶりに感動で泣いた いやホントにマジ泣きした・・・ってかしてる
ゼッタイ完結させてくれ 乙おつ
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久しぶりに感動で泣いた いやホントにマジ泣きした・・・ってかしてる
ゼッタイ完結させてくれ 乙おつ
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おつ
ミセリとフィレンクト付き合い始めたのか
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この世界行って低層で適当に暮らしたいなあ
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乙
こんなに謙遜しててギルド内バトルじゃ最強なフサが可愛らしく見える
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長編は重いなと思って食わず嫌いしてた、こりゃ面白い!
今はまだクックル編でじーんと来てたところなので、頑張って追いつくよ
SAOとやらにも興味が湧いちゃったな。ラノベだったら読んでみようかな
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攻略組ってどんなやつらなんだ……
ほのぼのパートもいいけど、過酷っぽい最前線が気になるぜ
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攻略組は本編に出てる奴じゃないの?
確かキリトの名前出てたし
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>>61
結局買ってアインクラッド編読み終えちまった。
この作品はこの作品で展開を楽しみにしてる
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これ読んでから原作に入ると作風の違いにビビるだろうな
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クックル細かったのか
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俺はモナーが大男でびっくりしたよ
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だれか集合絵はよ
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どーも作者です。
短編祭りに投下したいなと思いつつ、お菓子といえばふさだよな…と思ったらもうそれしか出てこず。
ということで、閑話の投下いきます。
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第D話 閑話 へきせんはうす
ミ,,゚Д゚彡「できたから!」
バーボンハウス一号店。
珍しく早くに昼の客がいなくなったため、フサギコはかねてからチャレンジしようと思って準備していたお菓子の家の作製に取りかかっていた。
コツコツと作り上げておいたお菓子達。
足りない分の焼き菓子の生地を練って形を作って焼き、チョコレートを固め、クリームをかき回し、作り溜めしておいた飴を総動員して隙間を埋め飾りつけをし、煙突のあるログハウスのような家を作り上げていく。
ミ*,,゚Д゚彡「前にショボンがNPCの店で見てこういうのも作れるのかなって言ってたから。やっとプレゼントできるから」
アインクラッドでは焼く時間や練る時間は短縮できるが、成形は規定の形以外の物を作るのはそれなりに手間がかかる。
お昼過ぎに始めた作業であったが、既に日は傾きかけていた。
そして、やっと納得のいく形が出来たと一息ついたところだった。
屋根の上の飾りに熱中してしまったため、視界の反対側の壁に取り付けていた窓に見立てた飴やチョコレートが取れてしまっていたことに気付いていなかったが、その表情には達成感が浮かんでいる。
初めて作っているため周囲には形が合わなかったビスケットやサイズが合わなかった飴、割ってしまったチョコレートなどが散乱しており、いつも几帳面に料理をするフサギコからは、珍しい光景だった。
本当は家の周りに木々もや柵に井戸なども作りたいのだが、さすがに時間が足りなかった。
最初に家を作る試しも兼ねて作ってみたそれなりに細かく精巧な犬小屋だけがあるのもバランスが変だと思うのだが、今はここで諦めて夕方の準備を始めなければと思っていたところに、店の扉がカタカタと鳴った。
勢いよく開かれる店の扉。
ミ;,,゚Д゚彡「い、いらっしゃいませだから!」
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慌てて片付けようと屋根の部分をタップする。
その衝撃か、壁面に取り付けたチョコレートの扉が取れてしまい、反対側の屋根の飾りもいくつか取れてしまったが、慌てたフサギコは気付かない。
(,,゚Д゚)「ちはっすだゴルァ」
ミ,,゚Д゚彡「なんだギコだから」
(,,゚Д゚)「なんだとはひどいぞゴルァ」
あからさまにほっとした顔をするフサギコを見て、ぶぜんとした顔をするギコ。
しかし笑いながらであったため、フサギコも笑いながら謝罪を言いつつ片づけを始めた。
(,,゚Д゚)「!すごいぞゴルァ!お菓子の家だよな!」
ミ,,゚Д゚彡「まだまだ全然だから」
カウンターの台に置かれていたそれに気付き、素直に驚きつつ近寄り、フサギコの力作をまじまじと見るギコ。
照れくさそうにつぶやいたフサギコもまんざらではなく、頭を掻きながら誇らしげに微笑んでいる。
ミ,,゚Д゚彡「しぃはまだ来てないから」
(,,゚Д゚)「今日はこの後ジョルジュとドクオと夜間演習だから、飯を食いにきた!」
ミ,,゚Д゚彡「分かったから!何が良いか言うと良いから!」
(,,゚Д゚)「今日の定食かお勧めで良いぞゴルァ!フサギコの作る飯はうまいからなんでも大丈夫だ!」
ミ*,,゚Д゚彡「わかったから!あ、ちょっと時間かかるからそこのお菓子、失敗してるのは食べくれていいから!」
(,,゚Д゚)「!良いのか!」
ミ,,゚Д゚彡「倉庫で夜の食材をチェックしてくるから!お客さんが来たら呼んで欲しいから!」
(,,゚Д゚)「食べていいのか…」
慌てて店の奥に消えたフサギコを目の端にとらえながらも、目の前のお菓子に心を奪われるギコ。
(,,゚Д゚)「おやつとして少しもらうとして、このチョコレートとクッキーみたいなやつは今食べよう」
大きなめの建物のそばにあった板チョコを手に取る。
(,,゚Д゚)「本当にすごいぞゴラァ。こんな精巧にお菓子で家を作るなんて」
ビスケットと棒状の飴を手に取る。
(,,゚Д゚)「しかも、こんな小さく」
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ミ,,゚Д゚彡「お店番ありがとうだから!」
10分足らずで戻ってきたフサギコ。
ミ,,゚Д゚彡「遅くなってごめんなさいだから!すぐ作るから!」
(,,゚Д゚)「お菓子美味しかったぞゴルァ!」
ミ,,゚Д゚彡「ありがとうだから!………だから……?」
戻ってきてそのままカウンターで調理を始めようとしたフサギコ。
ギコにお菓子の味をほめられ、笑顔で誇らしげにそちらを見て、異変に気付く。
ミ,,゚Д゚彡「………あれ?」
(,,゚Д゚)「これもこんなに小さいのにすごく精巧ですごいぞゴルァ!」
お菓子で作った家のあった場所にぽつんと佇むお菓子の犬小屋。
ミ,, Д 彡「……………だから…」
(,,゚Д゚)「え?」
ミ,, Д 彡「お菓子の家は…どこ?…だから…」
(,,゚Д゚)「これだろ?」
ミ,, Д 彡「これは、『お菓子の犬小屋』…だから…」
(,,゚Д゚)「……え?」
ミ,, Д 彡「大きいのが、本体だから」
(,,゚Д゚)「え、あ、でも、色々取れてたぞゴルァ」
ミ,, Д 彡「あれが、作ってたやつだから…」
(,,゚Д゚)「ご、ご、……ごめん」
ミ,, Д 彡「お菓子の家だから…」
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(*゚ー゚)「すみません遅くなりました…って……あれ?ギコ君と……フサギコさん……ですよね」
開かれた扉。
入ってきたしぃが異様な雰囲気を感じ、動きを止める。
(;*゚ー゚)「なにか、あったんですか?外の札も準備中になってますし」
ミ#,, Д 彡「準備…中?」
(;,,゚Д゚)「!入るときに裏になんて書いてあるのか気になって…裏返して見て…」
ミ,, Д 彡「しぃちゃん」
(*゚ー゚)「は、はい」
ミ,, Д 彡「いち……いや、二時間、お店を頼むから」
(*゚ー゚)「え、は、はい」
(;,,゚Д゚)「……既視感を感じる」
カウンターを出てきたフサギコがふらふらとギコのそばにより、その手首をつかんだ。
ミ,, Д 彡「ギコ……」
(;,,゚Д゚)「ゴルァ…」
ミ,, Д 彡「連続技の特訓に付き合ってほしいから……」
(;,,゚Д゚)「やっぱりかーーー!!」
引きずられるように外に連れて行かれるギコ。
唖然とその様子を見守るしぃ。
(;*゚ー゚)「なんかよくわからないけど、頑張れギコ君」
その日、40層にあるギルドホームの中庭からはギコの叫び声が1時間ほど聞こえた。
終
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おつおつ!
またやらかしたかww
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第E話 閑話 ガールズルール 2
(*゚ー゚)「何故私はこんな恰好をしているんだろう」
ギルドVIPホームのツンの部屋では、ギルドの女性三人が集まって会話を楽しんでいた。
(*゚ー゚)「会話を楽しんでいた!?」
川 ゚ -゚)「どうしたいきなり叫んで」
(*゚ー゚)「い、いえ、なんか急に叫びたくなって」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫?ちょっと疲れているんじゃない」
(*゚ー゚)「……疲れているとしたらこの状況にです……」
川 ゚ -゚)「なんか言ったか?」
(*゚ー゚)「いえ、なにもーーーー」
ξ*゚⊿゚)ξ「何かあったらツンお姉ちゃんに話してね」
川*゚ -゚)「ずるいぞツン!クーお姉ちゃんにでもいいんだからな。しぃ。いや、クーお姉ちゃんの方がいいな」
ξ゚⊿゚)ξ「何言ってるのよ。私の方でしょ」
川 ゚ -゚)「やはりサブマスターの私の方が」
ξ゚⊿゚)ξ「直属の裁縫師の師匠である私の方が」
(*゚ー゚)「どちらにも相談しませんから安心してください」
川 ゚ 3゚)「ぶーーーー」
ξ゚ 3゚)ξ「ぶーーーー」
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(*゚ー゚)「もう、変な顔するの止めてください」
思わず笑ってしまったしぃを見て、同じように笑顔を見せるクーとツン。
(*゚ー゚)「にしても、こんなメイド服もあるんですね。この世界には」
ξ゚⊿゚)ξ「結構自由度高いわよ。基本の形はもちろんあるけど、スキルを鍛えれば派生スキルなんかも出てくるし。基本形の色柄はもちろん、アレンジなんかもね」
(*゚ー゚)「そうなんですか。じゃあこのメイド服も」
ξ゚⊿゚)ξ「それは基本の形」
(*゚ー゚)「………」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
(*゚ー゚)「あ、そうなんですか」
川 ゚ -゚)「製作者側にメイド好きがいたんだろうな」
ξ゚⊿゚)ξ「でしょうね」
(*゚ー゚)「なんかあんまり考えたくないです」
ξ゚⊿゚)ξ「下着の形なんかも」
(*゚ー゚)「女性のスタッフもいたはずですしね!」
川 ゚ -゚)「いたとはおもうが、やっぱりこういうのはキモオ」
(*゚ー゚)「考えたくないのでやめてください」
ξ゚⊿゚)ξ「男の下着で褌やTバックもあるわよ」
川 ゚ -゚)「…………」
(*゚ー゚)「…………」
川 ゚ -゚)「……この話はここで終わりだな」
(*゚ー゚)「はい」
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ξ゚⊿゚)ξ「?」
微妙な空気が流れる中、お茶をすするクーとしぃ。
ツンは一人不思議そうな顔をしながら部屋の片づけを続けている。
ξ゚⊿゚)ξ「ギコで想像した?」
(*゚ー゚)「してません!」
ξ゚⊿゚)ξ「なんだつまらない」
(*゚ー゚)「つまらなくないです!」
川 ゚ -゚)「ツンも話を戻すなよ」
(*゚ー゚)「そうですよ!クーさん良いこと言った!」
川*゚ -゚)「お姉ちゃんって呼んでいいんだぞ」
(*゚ー゚)「呼びません」
川 ゚ -゚)「ちっ」
(*゚ー゚)「ところで、この格好したんですから、さっきのを録画した記録結晶、ちゃんと下さいよ」
ξ゚⊿゚)ξ「分かってるわよ。嘘はつきません」
(*゚ー゚)「信用してますけど…。(何かある気がするのよね)」
川 ゚ -゚)「(いくつ録画してあるんだ)」
ξ゚⊿゚)ξ「(四つよ)」
川 ゚ -゚)「(えらい)」
(*゚ー゚)「……なにか隠してません?」
ξ゚⊿゚)ξ「なにも」
(*゚ 3゚)「ぶーーー。絶対何かあると思う」
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川 ゚ -゚)「可愛いかおが台無しだぞ」
(*゚ー゚)「二人のまねでーす」
ξ゚ 3゚)ξ「まだ甘いわね。こうよ」
(*゚ 3゚)「え?こうですか?」
ξ゚ 3゚)ξ「もっとおもいきり!」
(*゚ 3゚)「え?こ、こう?」
ξ゚ 3゚)ξ「そう!そうよ!」
(*゚ 3゚)「わかりました!こうですね!」
川 ゚ -゚)「お前たちバカだろう」
(;*゚ー゚)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫、あなたも仲間だから」
川 ; -;)「いやー!一緒にされたくない!」
ξ゚⊿゚)ξ「ほっほっほ」
川 ;3;)「泣きながらブーー!」
ξ;゚⊿゚)ξ「くっ。腕を上げたわね」
(;*゚ー゚)「その顔、すでに別人ですよ」
ワイワイとはしゃぐ三人。
女三人の夜は、まだまだ始まったばかり。
終
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以上、今日の投下終了です。
次の本編では話が進む?予定です。
ではではまた。
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追加おつおつ!
いままでこんな流れがツンとクーだけであったとおもうと歯止めもかからずどこまでいったんだろうと想像してしまうな
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川 ;3;)
なんだこの顔…、乙ー
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女三人寄ればかわいい
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乙!ギコお前…
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ギコは犠牲になったのだ…
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ギコはほんと可哀想なやつだな(主に頭が)
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期待ッス
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1ヶ月か・・・
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年末だから忙しいんだよ……多分。気長に読み返してみます
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この界隈で一か月なんて余裕で全裸待機し続けれるレベルだろ
あ、そういえばたまに地の文が長くてPCから見にくいときがあるから、
適宜改行してもらえたりするとありがたかったり。
もちろん、>>1の手間になるようだったら今のままでオナシャス
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どうも作者です。
クリスマスネタを書きたいな〜とか本気で思った後に、最初に書いていたことを思い出して驚愕でした。
ってことで、本編がクリスマスイブ、今回がクリスマスの閑話になります。
クリスマス前に投下できて良かった。
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またラブラブなカポーの話が…次回も泣きながら読むから楽しみにしてるよ
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第F話 閑話 こいびとたちのくりすます
2023年12月25日
前日の12月24日夜から朝日が昇るまで出張バーボンハウスを切り盛りしていたギルドVIPの面々は、昼過ぎまで泥のように眠っていた。
12時になる前にショボンからメッセージが入り、身支度を整えてホームのリビングに集まった時には、
テーブルには軽い食事から少し重めのしっかりした料理までが並び、それぞれに好きなものをつまんで
昨日のクエストのことなどで話を咲かせた。
ミ,,゚Д゚彡「ふさも起こしてくれればいいから!」
料理と飲み物のすべてをショボンが準備したため、フサギコが自分のふがいなさを嘆きつつも夕飯は
自分がメインで作るからとショボンに詰め寄っているのをみて、笑うメンバー達。
彼らは皆、緩やかな時の流れを、感じていた。
その後今日は自由行動とすること、夕飯はまたみんなで集まろうと決めてから、とりあえずの解散となった。
解散にはなったが皆なかなか部屋から出て行かず、ショボンの
「はいはい、片づけするから一回出ようねー」
という言葉で自分の部屋に戻る者と片付けを手伝う者にやっと分かれた。
片付けを手伝っていたしぃが部屋を出たのは、3時を既に過ぎていた頃だった。
(,,゚Д゚)「し、しぃ」
(*゚ー゚)「ギコくん」
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自分の部屋に向かうために階段を上っていると、上からギコが声をかける。
(*゚ー゚)「どうしたの?おでかけ?」
(,,゚Д゚)「あ…いや…その…」
(*゚ー゚)「夕飯は8時だって。遅れないようにね」
(,,゚Д゚)「で、でかけないぞゴルァ」
(*゚ー゚)「そうなの?ショボンさんとクーさんならまだリビングにいたけど、他の皆は自室だと思うよ」
(,,゚Д゚)「し、しぃはこの後どうするんだ?」
(*゚ー゚)「私?わたしは……」
どこか気恥ずかしそうに自分に話しかけるギコを訝しげに思いつつ話していたしぃだったが、自分の事を聞かれて少しだけ口ごもる。
左手の薬指にはまっている指輪。
昨日貰ったそれが、ほんの少しだけ重く、熱くなった気がする。
(*゚ー゚)「わたしは…どうしようかな……。ギコ君は、どうするの?」
(,,゚Д゚)「お、おれは特に予定無いぞゴルァ。だ、だから……その……」
(*゚ー゚)「そ、そうなんだ……。私も……特に用事は無いから……」
階段の途中。
二人の距離は段数にして4段。
上から見るギコと下から見上げるしぃ。
明り取りから差し込むその光が、二人をやさしく包んでいる。
(,,゚Д゚)「よ、よければ部屋に行ってもいいかゴルァ」
(*゚ー゚)「……うん。いいよ」
二人の頬が赤く染まって見えたのは、光によるだけのものではないようだった。
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リビングルーム。
しぃを送り出したショボンが最後の片づけをしているのを見ながら、クーがお茶を飲んでいる。
川 ゚ -゚)「よく働くな」
(´・ω・`)「そう思うなら手伝ってくれてもいいんだけどね」
川 ゚ -゚)「それは今度にしておくよ」
(´・ω・`)「まったく」
悪びれずに答えるクーに笑顔を見せつつ、大きく伸びをするショボン。
(´・ω・`)「よし終わり!」
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川 ゚ -゚)「この後はどうするんだ?」
(´・ω・`)「この後?店の方を一回チェックして、夜の部のメニューと食材のチェックかな。
店自体はNPCのスタッフに任せちゃうから、その後は7時くらいまでだらだら過ごすよ。
夕飯はふさが張り切ってくれてたから、それくらいの時間に手伝いに行くくらいで良いだろうし」
川 ゚ -゚)「そうか。じゃあ暇なんだな」
(;´・ω・`)「いやまあうん。暇ってほど暇ではないけど暇と言えば暇なのかな」
川 ゚ -゚)「じゃあちょっと付き合ってくれないか?」
(´・ω・`)「ん?なにに?」
川 ゚ -゚)「買い物だ。32層に行きたい街があるんだが、転移門が無いんだ。32層なら二人で良いだろ?」
(´・ω・`)「そうだね。理想を言えばもう一人くらい先陣を切る面子がいると嬉しいけど、
久しぶりに片手剣の練習もかねて僕がやろうかな」
川 ゚ –゚)「よし、それじゃあ後で。部屋で準備してるから、ショボンの準備が出来たら部屋まで迎えに来てくれ」
(´・ω・`)「わかった」
川 ゚ -゚)「女の子と二人で出かけるんだから、ちゃんとおめかしして来いよ」
(´・ω・`)「え?でも戦闘エリアも」
川 ゚ -゚)「ツンにもらった服があっただろう。あれにしろ。私も服装もあれに合わせるから」
(´・ω・`)「い、いやでも」
川 ゚ -゚)「分かったな」
(´・ω・`)「……はい」
川 ゚ -゚)「では待ってるぞ」
立ち上がり、足早に部屋をでるクー。
その後ろ姿は、どこか楽しそうだった。
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雑貨屋booon倉庫。
棚に並んだ品物を横目で眺めつつ、開いたウインドウで在庫数をチェックしているブーン。
その背後の開いたドアから、金色の巻き毛が見え隠れしている。
( ^ω^)「なんだお?」
声をかけられるかと身構えていたがまったく反応が無く、かといって去る気配もない為ウインドウから目を逸らさずに声をかけたブーン。
しかし反応が無い。
( ^ω^)「なんだお?」
やっぱり反応が無い。
( ^ω^)「?ツン?」
不思議に思ってウインドウを閉じずに、振り返る。
そこには身体を壁に隠して顔だけ覗かしているツンがいた。
ξ゚⊿゚)ξ!
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( ^ω^)「どうしたんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「そ、そっちこそどうしたのよ!」
( ^ω^)「へ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと通りかかったら見えただけなんだからね」
( ^ω^)「通りかかるって…この先行き止まり」
ξ゚⊿゚)ξ「こんなところで何やってるのよ」
( ^ω^)「いや、ここぼくの店の倉庫だから」
ξ゚⊿゚)ξ「へ理屈言わないの!」
( ^ω^)「えーーーーーー」
ξ゚⊿゚)ξ「夕食まで、どうせ暇なんでしょ」
( ^ω^)「いや、結構昨日今日でPOT系とか少なくなってるから仕入れないとだし」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンのくせに暇じゃないって言うの!?」
( ^ω^)「なにその『のびたのくせになまいきだ』的な」
ξ゚⊿゚)ξ「暇よね!」
( ^ω^)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「暇よね!!」
( ^ω^)「……ツン、お願いがあるお」
ξ゚⊿゚)ξ「暇よね!!!」
( ^ω^)「仕入れに行きたいから、付き合ってくれないかお?そっちはすぐ終わるから、
そしたらツンの行きたいところに付き合うお」
ξ゚⊿゚)ξ「わ、私は忙しいんだからね!」
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( ^ω^)「そっか…。ツンと一緒にお買い物行きたかったけど、残念だお」
ξ゚⊿゚)ξ「そこまで言うなら付き合ってあげるわ!しょうがないわね」
( ^ω^)「ありがとうだお」
ξ゚⊿゚)ξ「し、仕方なくだからなんだからね!」
( ^ω^)「嬉しいお」
慌てて壁に顔をひっこめるツン。
そしてすぐに身体ごと開かれたドアの前に現れ、何かをブーンの顔に目掛けて投げつけた。
ξ゚⊿゚)ξ「そ、外は寒いからそれを着ければいいわよ!」
( ^ω^)「お?」
ξ゚⊿゚)ξ「準備が出来たら迎えに来なさいよね!」
ブーンが自分に当たってから下に落ちた何かに視線を奪われた隙に駆け出すツン。
( ^ω^)「わかったお!」
「なるべくはやくしなさいよね!」廊下の先の方から聞こえた声に苦笑するブーン。
床に落ちたそれは、深緑と濃い紅色のマフラーと、同じ深緑色の手袋だった。
( ^ω^)「マフラーと手袋…。マフラー貰うのは二度目だおね。ツン。
こっちの方が出来は良いけど、前に貰った網目ぐしゃぐしゃのほうが、僕は好きだお。
……はやく、またあのマフラーを巻きたいお」
マフラーと手袋を自分の胸に押し当てて呟くブーン。
うつむいたその表情は見えない。
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十数分後外を歩く二人。
二人の首にはお揃いのマフラーが巻かれ、手にはブーンは深緑の、ツンは濃い紅色をした手袋がはめられていた。
「べ、べつに糸が余っただけなんだからね!」
「わかってるお。でもありがとうだお」
「分かればいいのよ…ばか……」
ホームを出て、広場へと向かう二人。
転移門を使って移動したあまり行かない街では、二色の手袋が指と指を絡めるように繋がれていた。
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しぃの部屋。
ベッドや備え付けの机と椅子に変更は無いが、シーツやまくら、隅に置かれた鏡や洋服入れなどが
女性らしさを醸し出し、穏やかな雰囲気を作り出している。
小さなテーブルと丸い椅子が三つほどあるが、ギコは机のそば、ベッドの端に腰掛けている。
(*゚ー゚)「はい、ギコ君」
(,,゚Д゚)「ありがとうだゴルァ」
小さなテーブルの上でカップにお茶を注ぎ、それをギコに手渡すしぃ。
ギコはそれを一口啜り、ニッコリと微笑む。
(,,゚Д゚)「美味しいぞゴルァ」
(*゚ー゚)「良かった」
ギコの横に腰掛けるしぃ。
こぶし二つ分の距離が、二人の今の距離。
(,,゚Д゚)「し、しぃ。その…」
(*゚ー゚)「指輪、ありがとう。本当にうれしいよ」
(,,゚Д゚)「そうか!」
(*゚ー゚)「でもね、結婚はまだ早いと思うの」
(,,゚Д゚)「そうか」
(*゚ー゚)「きっと、ひと月前の私だったらOKしてた。でも……」
自分を見ているギコの視線を感じ、横を向くしぃ。
二人の視線が重なる。
(*゚ー゚)「ギコ君がいなくなった時、本当に怖かった。本当に本当に怖かった」
(,,゚Д゚)「すまなかった…」
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(*゚ー゚)「ホントだよ。もう絶対あんな危ないことしないでよね。……でもねギコ君」
(,,゚Д゚)「なんだ?」
(*゚ー゚)「それ以上に、悔しかったの。ギコ君を助けに行けない自分に。無力な自分に」
(,,゚Д゚)「それは!」
(*゚ー゚)「うん。分かってる。二人で相談したんだもんね。お互いの苦手な分野を補おうって」
(,,゚Д゚)「だから」
(*゚ー゚)「低層階ならそれでも良かった。……ううん。きっと、すごく運が良かったんだと思う。
だから、私たち二人は生きてこられたんだと思う。このままだったら、どこかで二人とも死んでたよ」
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)「でも、生きてる。生きていて、このギルドに入ることもできた。これが、きっと最後の運」
(,,゚Д゚)「しぃ……」
(*゚ー゚)「もう、待ってるだけの自分は嫌なの。一人で立ちたい。そして、みんなの力になりたい。
それでねギコ君。私はギコ君の隣に立ちたい。ギコ君の背中を守りたい」
(,,゚Д゚)「…………」
(*゚ー゚)「ギコ君に追いついて、ギコ君と対等な立場で、一緒に歩きたい。生きていきたい」
(,,゚Д゚)「しぃ」
(*゚ー゚)「そしたら、結婚したいな」
(,,゚Д゚)「……一生結婚できないな」
(*゚ー゚)「え?」
(,,゚Д゚)「おれは、必ずしぃの前に立つぞゴルァ。追いつかれたりなんかしないぞゴラァ」
(*゚―゚)「ギコ君」
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視線を重ねたままにこやかにほほ笑む二人。
(*゚ー゚)「じゃあ勝負だね。ギコ君」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!負けないぞ!」
(*゚ー゚)「私だって!」
握ったこぶしをぶつけ合う二人。
二人で暮らしていた頃も幸せではあったが今感じている充実感は無かった気がして、
心が温かくなるのを感じた。
(*゚ー゚)「あ、でもギコ君、結婚したらストレージが一緒になるとか分かってる?」
(,,゚Д゚)「ストレージが!?」
(*゚ー゚)「あ、やっぱり分かってなかった。だから結婚したら持ち物の隠し事とかできないからね。
エッチな本とか隠せなくなるから気を付けてよ」
(,,゚Д゚)「そ、そんな本持ってないぞゴルァ。」
(ツンから強制的に受け取らされた褌は早めに捨てた方が良いような気がする)
(*゚ー゚)「あー。なんか慌ててない?」
(,,゚Д゚)「そ、そんなことないぞゴルァ」
(*゚ー゚)「怪しいな」
(,,゚Д゚)「怪しくないぞ」
からかうように笑いながらゆっくりとギコの肩に頭を乗せるしぃ。
ギコの身体が一瞬震える。
(*゚ー゚)「ギコ君……」
(,,゚Д゚)「しぃ……」
(*゚ー゚)「大好き……だよ」
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(,,゚Д゚)「おれもだぞ。ゴルァ」
ギコの手がしぃの肩を抱く。
上目づかいにギコの顔を見ようとするしぃ。
二人の視線が重なる。
(*゚ー゚)「……ギコ君」
しぃがギコの名を呼びながらまどろむように目を閉じる。
(,,゚Д゚)「しぃ……」
そしてギコが、自分の名を読んでから閉じられた唇に自分の唇を重ねようと顔を近付けた。
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ドンドンドン!
「「「ぎーこーくん!あーそーぼ!」」」
ドンドンドン!
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触れる寸前に扉が大きく叩かれてギコの名が呼ばれ、思わず慌てて身体を離す二人。
(,,゚Д゚)「え?」
(*゚ー゚)「え?」
ドンドン!
「ひと狩り行こうぜ!」
ドンドン!
「早く行かないと夕飯に遅れるぞ!」
ドンドン!
「とりあえずでてこーい」
アインクラッドの個室は、扉が閉まった状態では外側と完全に断絶される。
一部の例外を除けば、扉を叩いた後の数秒のみ外からの声が聞こえるようになるため、
断続的に扉が叩かれ、よく聞く…というか、先ほどまで話していた者の声が聞こえた。
因みに、扉が閉まっていれば中の声を外から聞くことは普通は出来ない。
普通ならば。
(*゚ー゚)「……はい」
疲れたようにドアを開けるしぃ。
_
( ゚∀゚)「よ!しぃ!」
( ・∀・)「ギコ!行くぞ!準備して来い!」
( ´_ゝ`)「しぃちゃんも一緒に行くか?」
(*゚ー゚)「みなさん…」
(,,゚Д゚)「ゴルァ……」
扉の前にいたのは、思っていたより多かった。
.
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(*゚ー゚)「……ここ私の部屋なんですど、なんでギコ君を呼んでるんですか」
_
(;゚∀゚)「え?」
( ´∀`)「さっきギコの部屋に行ったらいなかったからこっちかと思ったもな」
(*゚ー゚)「へーーーそうなんですかーーー」
(´<_` )「棒読みにもなるよなそりゃ」
(*゚ー゚)「たしかドクオさんは」
('A`)!
(*゚ー゚)「聞き耳スキルを鍛えてあるって聞いた覚えが」
('A`)シ、シラナイナァ
(*゚ー゚)「あのスキルがあると、部屋の中の声を聴けたりするんですよね。確か」
('A`)ナ、ナンノコトカナイッタイ
(*゚ー゚)「まったく……」
呆れたように目の前のメンバーを見回すしぃ。
.
-
_
( ゚∀゚)←少し罪悪感。でもそれほど気にしてはいない。
( ・∀・)←分かってやってて楽しんでる。
( ´_ゝ`)←リア充もげろ
(´<_`;)←わるいな、しぃ。止められなかった。←実際は止めてない。
( ´∀`)←自分は実行犯じゃないので純粋に楽しい
▼・ェ・▼←いっぱい周りにいて楽しくて嬉しくてはしゃいでいる。
('A`)←色々可哀想
(;゚∋゚)←唯一実際に止めた人。
.
-
(*゚ー゚)「はぁ…」
大きく肩で息をするしぃ。
そしておどけた様に笑顔を見せた。
(*゚ー゚)「準備しますから、待っててください。誘ったんですから、ギコ君と私のレベルが上がるまでは
帰らないつもりでお願いしますね」
一斉のブーイングをものともせずに最上級の笑顔を見せるしぃ。
それはブーイングをするメンバー達も同じで、楽しげだった。
そして一人困ったような顔をしていたギコの顔を覗き込むしぃ。
(*゚ー゚)「ギコ君?」
(,,゚Д゚)「!な!なんだゴルァ」
(*゚ー゚)「勝負だからね」
(,,゚Д゚)「!負けないぞゴルァ!」
こぶしを上げたギコを笑顔で見守るメンバー達。
夕飯の時間に彼らが揃ったかどうかは、また別のお話。
.
-
ミ,,゚Д゚彡「……………もう7じ57ふんだから……」
終
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以上、本日の投下を終了します。
本編の投下はもう少しかかりそうです。
>>86 様
そうなんです…仕事が…。
魔法少女の映画を観に行って納得いかなくて続きを書きはじめたりしてないし、
頭脳は大人、身体は子供の映画を観に行って手に汗握ったりしてないし
魔法使いと戦国武将の映画を観に行って、魔法使いはともかく戦国武将の方は無いわ〜って脱力したりしてないし、
特典欲しさにもう一度魔法少女を観に行って、「この終わりはこれはこれでありなのかな…」とか思ったりしてないんです。
ということで、本編投下はもう少しかかりそうです。
いつも感想や励ましありがとうございます。
なかなか本編が進まなくて申し訳ありませんが、お付き合いいただけると嬉しいです。
>>87 様
ご意見ありがとうございます。
閑話は地の文が少なめですが、意識してみました。
これくらいなら見やすいでしょうか。
また気付いた点等ありましたら、よろしくお願いします。
ではではまた。
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乙
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ω・)乙。ギコもげろ
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のんびり待ってるぜ〜
ツンのツンデレの下手っぷりに理解に時間がかかった
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乙 皆が皆可愛いな…
やっぱりクーはショボンのこと好きなんだな
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>>108 ギコしぃを止めてくれなかったら俺発狂してたわ←
本編も全裸待機余裕なんで楽しみに待ってまっせー
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ブーンどうしたんやろ?
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みんな仲良くて楽しそうだなww
乙!
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やっと本編だと思ったのに・・・
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>>108
遅ればせながら乙でした
クリスマスネタでほっこりできました
改行はとても見やすくてありがたかったです。
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ブーンはあれだろ?現実世界でもツンにマフラーもらってたんだよ、そっちが早くつけたいなあってことでしょ
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毎回楽しませていただいております。支援
※擬人化
※元サイズが大きかったのですが小さくして潰れるのも悔しかったので二つサイズを用意しました。
大きい方は重たいので気をつけてください。
(小/185kb)http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1465.jpg
(大/ 1Mb)http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1466.jpg
並び順 ←モナー、モララー、ジョルジュ、フサ、ブーン、ツン、ショボン、ドクオ、クー、兄者、弟者、ギコ、しぃ、クックル→
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あぁ俺キャラ作ったら完全に弟者だわ・・・
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モララー沢山居そう
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>>119 様
うんぁー!!、!
あ、ありがとうござます!
感動です!
全員の集合絵が見られるとは!
(T_T)
設定決めながら文字にするだけでもめんど…ゲホゲホッ
だったのに(T_T)
本当にありがとうございます。
保存しまくりました。
画に負けないように、本編頑張ります!
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バレンタインネタ書くんですか>>1?
楽しみに待っています
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第十話 迷走
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0.依頼(夜)
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「どうですか?情報収集は」
「芳しくないですね」
「……コルも無限ではないんですがね」
「あのクエストをやっていれば、そこまで困窮もしないのでは?」
「それはそうですが、何事も限度があります。それに、情報を漏らさず私達だけで独占するのも限度がありますから」
「何をおっしゃっているのやら。今まで通り、知られたら殺せばいいだけでしょう?」
「そうもいかない相手もいる。特に、うちのギルマスのお気に入りに知られたら、まだ殺せない」
「ああ。なるほど」
「……一人より複数の方が情報も集めやすいと言ったから、OKを出したんですがね」
「ワカってますよ。…だが、まだ使い道はあるので」
「食費ばかりがかかって仕方がない」
「利用できるものは利用するだけです。……必要ではなくなったら、切ります」
「情など持たない様に」
「もちろんです」
「どうだか」
「ふっ。子供には大人のことなど分からないものです」
「大人の方が、いろいろ縛られやすいけどね」
「道理も知らない子供が」
「媚びへつらうしかできない奴は子供以下だと思うけど」
「やめんか」
「…わかった」
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「…そういえば、すこし面白い情報が」
「ん?」
「目当てのモノとは関係ありませんが、どうやら圏内で決闘ではない殺人が起きたとかどうとか」
「ほう」
「ホント?」
「真偽はこれからですが。もし事実であれば、面白くなりますね」
「……それはそうだね」
「それでは、その件に関した情報収集も含めて、もう少し様子を見ましょうか。
それに、こちらでも目当てのモノに関しての情報収集を始めましょう」
「了解。案を練るよ」
「それでは私も引き続き」
「宜しくお願いします」
「…しかし……」
「どうしました?」
「あなたがそんな喋り方をしているのは、やはり違和感がありますね」
「はっはっは。仕方ないですよ。この会話を聞いている者がいないとも限りませんからね。
例えば、あなたのように【聞き耳スキル】のレベルを上げている者が、すぐそばにいないとも限らない」
「ならば、メッセージでやり取りすればよいだけでは?」
「私は目の前にあることしか信用しないのでね。
報告はもちろん、目の前にいるあなたが嘘を言っているか本当を言っているかをその場で知りたいのですよ」
「……なるほど」
「ではまた」
「ええ。また」
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1.依頼(昼)
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西暦2024年4月某日
ギルドVIPホーム。
執務室としている自室の一室で、ショボンは書類整理をしていた。
目の前のソファーにはクーが座っており、こちらも同じように何枚かの書類とにらめっこをしている。
川 ゚ -゚)「ふぅ。毎月の事だが、この作業は苦手だ」
(´・ω・`)「僕も嫌いだけどね。そうも言ってられないから」
机の上から視線を外し、クーを見るショボン。
その顔には銀縁のスクエアタイプの眼鏡がかけられていた。
川 ゚ -゚)「今日のお気に入りはそれか?」
(´・ω・`)「?」
川 ゚ -゚)「眼鏡だよ。一昨日くらいまでは黒縁をかけていただろ」
(´・ω・`)「ああ。うん。モラが良いの作ってくれたから」
川 ゚ -゚)「……懐かしいな。お前は目が悪かったから」
(´・ω・`)「そうだね。初めてこの世界に来たとき眼鏡が無くて遠くまでよく見えることに驚いたよ」
川 ゚ -゚)「なんだそりゃ」
すっかり書類から目を離したクーが呆れたように呟き、ソファーの背凭れに身体を預ける。
(´・ω・`)「いやマジでマジで。
時々はコンタクトもしてたから眼鏡越しじゃない景色も見てたけど、やっぱり違うよ。
ちょっとだけ戻ったら手術受けようかと思ったくらい」
川 ゚ -゚)「…でも、今はかけているんだな」
(´・ω・`)「なんかね。小さいころからかけてたから、もうすでに体の一部だったんだなと。
戦闘用に作ってもらった命中補正のある眼鏡をかけて、思ったんだ。眼鏡をかけていたほうが、
妙に落ち着く感じがするんだよね」
川 ゚ -゚)「フレーズであったな。眼鏡は顔の一部ですとかなんとか」
(´・ω・`)「あったね」
視線を合わせて笑う二人。
(´・ω・`)「懐かしいな」
.
-
川 ゚ -゚)「同じくだ。……しかし、こっちは懐かしくないな。
まさかこっちの世界まで来てこんな金勘定をすることになるとは」
(´・ω・`)「頼りにしてますよ。会計さん」
川 ゚ -゚)「会長のおおせのままに」
再び吹き出す二人。
しばらく笑った後、クーの表情が真顔に戻る。
川 ゚ -゚)「で?結局この金勘定は何に使うんだ?今回はギルドの預金額だけじゃなく、全物件、
全レアアイテムの売却額まで計算するなんて、いつもやってる月締めの勘定とはレベルが違うだろ」
(´・ω・`)「そうだね。クーには話しておこうか。実は、そろそろ拠点を上に移すのも考えようかなと思っているんだよ」
川 ゚ -゚)「うえ?」
(´・ω・`)「うん。50層の主街区、『アルゲート』にね。この前視察に行ったらまだまだ建物残ってたし」
川 ゚ -゚)「……」
(´・ω・`)「あれ?反対?」
表情を曇らせたクーに対して怪訝な顔をするショボン。
川 ゚ -゚)「理由は?」
(´・ω・`)「理由?」
川 ゚ -゚)「まさか、攻略組に…」
(´・ω・`)「ないない。それはない」
川 ゚ -゚)「まあそれはそうだとは思ったが、だとすると何故だ?特にここでも問題ないだろう」
(´・ω・`)「基本的には、上が攻略されていけば『中層』と呼ばれるエリアも上に上がるから、
請け負ってる仕事の関係上、『中層』に拠点があった方が都合がいいでしょ」
川 ゚ -゚)「…それはそうだな」
(´・ω・`)「それに、もしかするとここじゃあ手狭になるかもしれないからね」
川 ゚ -゚)「ふーん……。なるほどな」
.
-
(´・ω・`)「とは言っても、まだ未定だよ。
真ん中の50層が中層エリアから外れることもないだろうから、
ホームの移動は最後になるだろうしね。だから慎重にいきたい。
それに、しぃがいるからバーボンハウスは三号店まで増やせるけど、ブーン以外は今のところから動かないかもだし」
川 ゚ -゚)「モナーとクックルは別として、ふさと兄弟は動かなさそうだな。モララーは…どうだろ」
(´・ω・`)「モララーが移動してくれなかったら、今のブーンの店の分が空いちゃうのがもったいない。
かといって今店持ちじゃないメンバーに接客業をできるスキルはもちろん特性のあるメンバーがね。
あてはあるにはあるけど、だからすぐにどうこうじゃないんだよ。
でも各種の打開策が見つかったときか、必要に迫られたときにすぐ動けるように準備をしておこうかと思って」
川 ゚ -゚)「そうだな。増員という点では彼女達の件もあるし……」
(´・ω・`)「そうそう」
川 ゚ -゚)「彼女たちに何かしらの店を任せることは出来ないか?」
(´・ω・`)「一応話はしてあるよ。レベルを上げておいてもらえたら、それもありだね」
川 ゚ -゚)「…うむ。まあ、とりあえず、今の説明で納得しておいてやろう」
(´・ω・`)「とりあえずもなにも、それ以外何もないんだけど」
川 ゚ -゚)「何か企んでいそうなんだよ、おまえは」
(´・ω・`)ショボーン
川 ゚ -゚)「それが私たちに対してマイナスに働かないのは信じているがな」
(´・ω・`)「……ありがと。……さて、では続きを宜しく」
川 ゚ -゚)「はいはい。だがしかしめんどくさいな。もう一人くらい欲しい。
そろそろモナーにも参加してもらうのが良いと思うがどうだ?」
(´・ω・`)「何度か打診しているんだけど、首を縦に振ってくれないんだよね。
自分には荷が重いとかなんとか言って」
川 ゚ –゚)「絶対めんどくさいだけだな」
(´・ω・`)「あと、牧場の世話があるからって」
川 ゚ -゚)「まったく」
.
-
憮然として腕を組むクー。
その表情を見て垂れた眉をさらに下げるショボン。
(´・ω・`)「折を見て、一度三人で話してみようよ。さて、続き続き」
川 ゚ -゚)「ん……。だがしかしなあショボン」
(´・ω・`)「今度は何」
再び机の上に視線を向けたショボンに対し、テーブルに広がっていた書類を片付けるクー。
川 ゚ -゚)「そろそろ時間だろ」
(´・ω・`)「え?あ……もう約束の時間か。……狙ったでしょ」
川 ゚ -゚)「なんのことかなー。あー細かい数字を見ていたら疲れたよ」
立ち上がり、大きく伸びをするクーを見てから自分の机の上も片付け始めるショボン。
(´・ω・`)「せっかくだから、依頼人に会っていきなよ」
川 ゚ -゚)「めんどくさい」
(´・ω・`)「ギルマスから、サブマスに命令です」
川 ゚ -゚)「はーい」
部屋の片づけが終わった時、来客を告げるチャイムが鳴った。
.
-
(´・ω・`)「初めまして。ギルドVIPでギルマスをやってます。ショボンと言います」
( ФωФ)「初めましてである。吾輩はロマネスク。ギルドANGLERのギルマスである。
ショボン殿のお噂はかねがね聞き及んでいるである」
(´・ω・`)「僕の噂ですか?」
( ФωФ)「ギルド『V.I.P.』のギルマスにしてバーボンハウスの名料理人、
アインクラッド最強最悪の投擲使い、先読みの軍師、銀時雨のショボン、七色の針使い、魔針の射手」
(;´・ω・`)「は、恥ずかしいんでもう止めてください。っていうか、聞いたことないんですけど。
『ぎんしぐれ』とか『七色の針使い』とか、なんですかそれ」
( ФωФ)「吾輩も噂で聞いただけだからよくは知らんが、『料理人』以外の二つ名を言う者は、
恐怖におびえているとか聞いていたのである。だからどのような恐ろしい方かと思いきや、
このような優しげな人と知って安心したである。なあ、ヒッキー」
(-_-)「……う、うん……。会うのがちょっと怖かった……です」
_
( ゚∀゚)「だから言っただろ。ショボンはそんなやつじゃないって。とりあえず見た目は」
ギルドVIPホームの執務室。
先程までクーが書類を広げていたテーブルにはお茶が注がれたカップが四つ並んでいた。
執務机を背に、客を迎える側のソファーにショボンとクーが座り、その向かい側、
ドアを背にギルドANGLERの代表としてやってきたロマネスクとヒッキーが座っていた
。更に近い壁沿いにはジョルジュが立っており、その手にはカップが持たれていた。
(´・ω・`)「『とりあえず見た目』ってのは気になるところだけど、それよりも気になるのが一つ」
_
( ゚∀゚)「ん?」
(´・ω・`)「今の二つ名、普段の君なら大笑いしてるよね。僕の隣に座って腹を抱えているクーみたいに」
川 ; -゚)「ひーひっひっひっひ。な、な、い、ろ、…ぎ、ん、し、ぐ、れ、…、ま、し、ん、の、い、しゅ……」
(´・ω・`)「…なにも泣くまで笑わなくてもいいのに……。まあいいや」
隣で涙を流しつつ静かに笑っているクーを見てからジョルジュに視線を戻すショボン。
(´・ω・`)「普段なら、ジョルジュもこれくらいで笑うでしょ。…なんで笑ってないの」
_
(;゚∀゚)「え、あ、いや、ほら、おれは先にロマネスクのおっさんに聞いてたから」
.
-
( ФωФ)「え?吾輩とそんな話しをしたであるか?ちょっと緊張しているという話はした気がするが、
そのような具体的な呼び名まで言った覚えはないである」
(-_-)「多分してないと思う」
_
(;゚∀゚)「ちょ、ふたりとも話を合わせてくれよ」
(#´・ω・`)「ふーん」
_
(;゚∀゚)「あっ!」
(#´・ω・`)「……まさかと思うけど、ぼくのことをそんな風に広めているのがジョルジュなんてことは」
_
(;゚∀゚)「お、おれじゃない。おれはそんなこと」
(#´・ω・`)「だよね。ネーミングセンスがジョルジュっぽくないから。
でも、だれが言い出したのかは知ってたりして?」
_
(;゚∀゚)「いや、おれは知らないぞ」
(´・ω・`)「ふーん」
_
(;゚∀゚)「な、なんだよ」
(´・ω・`)「……」
_
(;゚∀゚)「……」
(´・ω・`)「まあいいや。その話はまた今度ゆっくりと」
視線を外され、ひとまず安堵の顔を見せるジョルジュ。
しかしすぐに流し目で睨まれ、肩をすくめた。
川 ゚ -;)「あー面白かった」
(´・ω・`)「まだ涙出てるよ」
川 ゚ -゚)「いかんいかん」
慌てて涙を拭くクーを視界の隅に感じながらロマネスクを見るショボン。
(´・ω・`)「失礼しました」
( ФωФ)「大丈夫である」
.
-
(´・ω・`)「それで今回の依頼ですが、『57層北部にある湖までの護衛』ということでよろしいのでしょうか」
( ФωФ)「そうである」
(´・ω・`)「失礼ですが、何故そんなところに」
( ФωФ)「吾輩達のギルド『ANGLER』は攻略やクエストをやるギルドではなく、
釣り好きの集まったギルドである」
(´・ω・`)「ああ…」
( ФωФ)「どこのギルドにも所属しない者の中でよく釣りで出会う者達が集まり、
ギルドを作ったのである。
便宜上吾輩がギルドマスターをしておるが、釣りに関すること以外は全て個人の判断に任せている、
いわばサークルのようなものなのである」
川 ゚ -゚)「それならばギルドにならず、フレンドリストだけでも」
( ФωФ)「釣り場の情報、難易度、釣竿や針、餌、すべての情報を管理してみんなで共有するには」
(´・ω・`)「ギルドの機能があった方が都合が良かったわけですね」
( ФωФ)「そうである、そうである。
それで、今までは下の層の湖や川での釣りを楽しんでいたのであるが、
少しずつ更に高難易度や違う魚を釣りたいと思い始めてきたのである」
(´・ω・`)「それで、57層ですか?皆さんのレベルを知らないので何とも言えませんが、
今の最上層とそれほど離れておりませんし、もし釣りに向かうとしても…」
( ФωФ)「もちろん全員で行くことは考えてないのである。よい釣り場だとしても、
ANGLERに所属している中でもレベルの高い者だけで行くことになると思うのである」
(´・ω・`)「そうですか……」
( ФωФ)「噂によると今までで一番うまい魚を釣ることが出来るそうであるから、
釣り師たちのやる気につながるのではないかと思うのである」
(´・ω・`)「やる気?」
.
-
( ФωФ)「…攻略組の方のおかげで50層越えをしたではあるが、
やはり下層でくすぶっている者の中にはこの世界に囚われたことによる悲壮感が漂っているのである。
それはしょうがないことではあるが、悲しいことなのである。
ギルドの中には日々の魚以外の食料を得ることが難しい者も数多くおり、
ギルドとして得たコルを分配することにより何とか人らしい生活を得ている者もおるのである」
(´・ω・`)「…」
川 ゚ -゚)「…」
_
( ゚∀゚)「…」
( ФωФ)「吾輩やここにいるヒッキー。そして何人かはフィールドでモンスターを狩ることによって
レベルを上げてコルを得ているであるが、ほとんどの者は毎日釣りをして、魚を食べて飢えをしのぎ、
時には魚を売ってコルを得て、なんとか暮らしているのが現状なのである」
(-_-)「ぼくだって、ロマネスクさんに会わなかったら…今頃は」
( ФωФ)「今のヒッキーがいるのはヒッキー自身の努力の賜物なのである。
すこし話がそれてしまったであるが、つまり、上の層にある湖に行けばもっと楽しい釣りができる。
美味しい魚が食べられる。高く売ることが出来ると知れば、
生きるやる気や生き続ける気力が生まれるきっかけを作ることが
出来るのではないかと思ったのである。
……浅慮ではあるが、何がきっかけで生まれるかは分からないのである……」
_
( ゚∀゚)「おっさん…」
(´・ω・`)「浅慮だなんて思いませんよ。人の心は不思議です。
何がきっかけになるかなんてわかりませんから。
僕も一人のこのゲームのプレイヤーとして、そしてこの世界に囚われた者の一人として、
それは分かるつもりです。
ですが同じギルマスとして納得しかねる部分もあります。
正直、いままで『戦闘』をしてこなかった者が、今更戦う気になるでしょうか?
また、戦う気になった時に、ギルドとしてサポートが出来るのですか?
失礼を承知で言わせていただきますが、そんなことは自殺行為に思えます」
( ФωФ)「そうなのである。そこが懸念点なのである。しかし、だからこそ、
吾輩は57層に行く必要があると考えるのである。情報を止めることは出来ないのである。
吾輩達が知らないうちに57層の湖の事を知って、
そこ行きたいと考えるメンバーがいないとは限らないのである。
ならば吾輩達がしっかりとした情報を管理し、メンバーに告知したほうが良いのである。
さすればそこに行きたいと考えた時に吾輩達に相談してくれると思うのである。
その時に吾輩たちに何が出来るのかは分からないであるが、
一緒に考えること、悩むことが出来るのである!」
.
-
熱く語るロマネスク。
ショボンの目をじっと見つめて語るその言葉に、ギルドに所属するメンバーを思う気持ちに、嘘は感じられない。
( ФωФ)「ショボン殿は、そうは思われぬか?」
(´・ω・`)「お考えは理解しました。色々な道の中で、それは正しい道の一つだと思います。
ですが、その場合情報屋などを使って情報を収集するのも手だと思いますが」
( ФωФ)「確かにそれも手である。だがそのような情報がいくらで買うことが出来るか…。
先ほどの話からもご理解いただけると思うが、
吾輩達のギルドにはあまりコルを持ってはおらぬのである。それに…」
(´・ω・`)「それに?」
( ФωФ)「これは吾輩の拘りになってしまうのであるが、吾輩は目の前にあるもの、
自分の目で見たものでないと本当に信用できないのである。どんなに信頼できる相手であっても、
聞き伝えではどこか疑ってしまうのである」
先程までの熱い口調とは違って少しだけ照れくさそうに喋るロマネスク。
隣のヒッキーは少し呆れたようにその様子を横目で見ている。
(´・ω・`)「なるほど。ですが…」
_
( ゚∀゚)「おいおい、まだなんかあるのかよ」
川 ゚ -゚)「ジョルジュ、正式にギルドに来た依頼を受ける受けないはショボンに任せる。
これがうちのギルドのルールだ。そのショボンがまだ納得はしていない。それだけのことだ」
_
( ゚∀゚)「それは分かってるけどよ」
川 ゚ -゚)「ならば黙っていろ」
_
( ゚∀゚)「それにしたって」
立ち上がりかけたクーを制するショボンの手。
川 ゚ -゚)「ショボン」
クーに向かって優しく微笑み、そのあとジョルジュを悲しげに見る。
(´・ω・`)「ありがと、クー。ねえジョルジュ。僕はギルマスとしてメンバーの安全をまず一番に考える。
それが分かってもらえないのなら」
_
( ゚∀゚)「悪かった。おまえのそれにおれは…おれ達は何度も救われている。
それは身に染みてわかってる。すまん。続けてくれ」
.
-
(´・ω・`)「分かってもらえて嬉しいよ」
ジョルジュに向かってニッコリと微笑んでから、表情を引き締めてロマネスクを見た。
( ФωФ)「メンバーに信頼されているのであるな」
(´・ω・`)「恐怖政治で統括しているだけですよ」
ニッコリと微笑んだショボンを見て、意味合いは違うが眉間にしわを寄せるクーとジョルジュ。
( ФωФ)「はっはっは。それは良い。吾輩も目指してみるのである」
(;-_-)「やめてよロマ」
( ФωФ)「はっはっは」
おびえたような顔をしたヒッキーの肩を叩きながら豪快に笑うロマネスク。
ショボン達とは違った形で、この二人はこの二人で信頼の絆を結んでいるように見えた。
( ФωФ)「さて、ショボン殿。他に聞きたいことがあるのではないか?」
(´・ω・`)「ええ。聞きたいことというか、確認なのですが、うちのギルドに依頼すると、
多分情報屋に支払う金額よりも高くなるけど大丈夫ですか?」
( ФωФ)「……え?」
(´・ω・`)「57層というにはうちのギルドにとっても簡単な層ではないので、
高レベルプレイヤーで護衛チームを作ります。
その危険手当もそれなりなお値段になりますし、使用したPOT、結晶に関しても実費を請求します。
更に成功報酬もありますし、途中で撤退するにしても着手金は別途かかります。
現在集まっている情報の提示をしていただいて、足りない情報に関してはこちらでも収集しますので、
それにかかった実費もそれなりな額になるでしょう。
ジョルジュの知り合いですから多少は割引しますが、
どう考えても情報屋から買う金額とは比べ物にならないかと…。
もちろん細かい計算をしないとですが、おそらくは桁の違う金額の請求になるかと」
(;ФωФ)「それはその…」
(;-_-)「ジョルジュさん」
_
(;゚∀゚)「ショボン、ちょっと喋っていいか?」
(´・ω・`)「なに?」
_
(;゚∀゚)「分割とか」
.
-
(´・ω・`)「着手金は作戦前に支払。申し訳ないけど緊急を要する依頼というわけじゃないしね。
そして多分それだけで情報屋に支払う金額と同じくらいの金額だよ。実費は作戦完了後に完全支払。
情報屋に支払う金額も出来ればその都度欲しいかな。まぁここら辺は臨機応変に。
成功報酬はまあジョルジュに免じて利子無しの分割でもいいけど、それでも……」
_
(;゚∀゚)「うう…」
( ФωФ)「!魚はどうであるか!?」
(´・ω・`)「魚?」
( ФωФ)「湖にたどり着いたら魚を釣るである!その魚で」
(´・ω・`)「魚……ねぇ……」
_
( ゚∀゚)「そうだな!それが良い!ほらショボン!この前食った魚あっただろ!
俺が初めて釣ってきた!店で出したいって言ってたやつ!
あれがあそこで釣れるんだよ!だから!」
(´・ω・`)「!ああ!あの魚!美味しかったよね。確かに。あれを出せたらお客さんも喜ぶよ」
_
( ゚∀゚)「だよな!」
(´・ω・`)「あの魚って57層で釣れるんだ」
_
( ゚∀゚)「そうそう!その湖で釣れる!
っていうか、今のところあそこでしか釣れないからあの湖に行くしかないんだ!」
(´・ω・`)「へーーーー。その湖でしか」
_
( ゚∀゚)「そうそう!……あ…」
良い案が出たと嬉しそうだったジョルジュの顔が曇り、額に冷や汗が浮かぶ。
その様を厳しい目でショボンが見つめ、クーが呆れた様子で冷ややかに見つめる。
その状況をよくわからずに観察するロマネスクとヒッキー。
(´・ω・`)「57層、行ったんだ。釣りをしたんだ。ふーーーーーーん」
_
(;゚∀゚)「え、あ、そ、その……」
(´・ω・`)「僕、許可した覚えないけどな。クー、聞いてる?」
_
(;゚∀゚)「!クー!」
.
-
すがる様な表情で両手を合わせてクーを見るジョルジュ。」
川 ゚ -゚)「いや、ない」
_
(;゚∀゚)「クーーーーー」
(´・ω・`)「うちのギルド、基本的にソロ戦闘は禁止ってことはいくらなんでももう覚えてるよね。
ジョルとドクオには戦闘職としてレベル上げや狩りに関してはいくつか特権は認めてるけど、
それでもレベルに対して高層フロアの場合は僕かクーの許可を取る決まりも。
それを破って、しかも57層……。あれからまだ1年も経って無いっていうのにまたやったんだ……。
そっか……。……ねえ、ジョルジュ」
_
(;゚∀゚)「は、はい」
(´・ω・`)「そんなに死にたいの?」
普段の、それこそ先ほど二つ名に関して見せたような怒りとは違う、
怒りと悲しみの混じったような心の底からの怒気をショボンから感じ、何も言えなくなるジョルジュ。
_
(;゚∀゚)「い、いや、その、、、」
じっとジョルジュを見るショボンの瞳は何の感情もないようで、その表情と合わせても何の感情も汲み取ることは出来ない。
けれど発せられる空気は身をすくませるようだった
(´・ω・`)「そんなに死にたいのなら、もうこのギ」
川 ゚ -゚)「ショボン!」
張り詰めた空気を裂くクーの声。
普段からは騒動できない大きく鋭い声によって、全員が動きを止めた。
川 ゚ -゚)「人前だ、落ち着け」
ゆっくりと隣に座るクーの顔を見るショボン。
そして氷が解けるような速度で、そこに表情が戻った。
(´・ω・`)「……ありがとう、クー」
川 ゚ -゚)「ジョルジュ」
_
(;゚∀゚)「あ、はい」
.
-
川 ゚ -゚)「すぐに部屋に戻れ。そしてこちらから指示があるまで自室待機」
_
(;゚∀゚)「え、あ、で、でも」
川 ゚ -゚)「でももくそもない。これは命令だ。ギルマスより先にサブマスである私が、まずは待機を命ずる。
この命令は、お前が破るか私が解かない限りはギルマスでも何もできない。
解ったな?分かったならすぐに実行しろ」
_
(;゚∀゚)「!……わ、わかった」
慌てて部屋を出ようとするジョルジュ。
しかし扉を開けたところで立ち止まり、肩ごしにちらっと中を見る。
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( ∀)「……ごめん、ショボン。ありがとう、クー」
部屋を出るジョルジュ。
部屋には静けさだけが残り、居心地の悪さを四者が四様に覚える。
川 ゚ -゚)「お見苦しいところをお見せした」
それを破ったのはクーだった。
普段の落ち着いた口調に戻り、その口元には微笑すら浮かべている。
( ФωФ)「あ、いや、大丈夫である」
(;-_-)「う、うん……」
(´・ω・`)「すみませんでした」
立ち上がり、深々とお辞儀をするショボン。
慌ててロマネスクとヒッキーも立ち上がってショボンに座るよう促したが、
ショボンは黙って頭を下げており、二人を困惑させる。
川 ゚ –゚)「お茶が冷めてしまいまったな。ショボン、新しいのを淹れてくれないか」
(´・ω・`)「え?あ、うん」
一人落ち着いてテーブルの上のカップに口を運んだクーが声をかけ、殻になったカップをショボンに突き出す。
ショボンがそれを受け取り、新しいカップを四人分とティーポットをストレージから取り出しながら座った。
川 ゚ -゚)「お二人もどうぞ座ってください」
.
-
( ФωФ)「わ、わかったのである」
(;-_-)「…」
クーに促されて座ると、新しいカップが目の前に置かれた。
川 ゚ -゚)「さて話を戻しますが、実際のところ57層の魚がそれほど美味しい魚だとしても、
一回の釣りで釣った量で報酬に足りるとは思えません。そうだろ?ショボン」
(´・ω・`)「うん。そうだね。今店から仕入れている魚の中で一番高い魚より高く買ったとしても、とてもじゃないけど…」
(;ФωФ)「そうであるか」
(;-_-)「…」
川 ゚ –゚)「ですが、それで諦められますか?」
(;ФωФ)「…」
(;-_-)「…」
(;ФωФ)「釣り好きな人間は、気持ちが昂ると多少の危険を気にせず向かってしまう可能性が高いと思うのである。
出来れば、……いや、吾輩は皆のためにも、諦めたくないである」
(-_-)「ロマ…」
(*ФωФ)「それに何より、吾輩が釣りたいのである」
(;-_-)「…ロマ」
(´・ω・`)「…そうは言われましても……」
川 ゚ -゚)「ショボン、57層だけでなく、今店で使っている魚、高いのも安いのもすべて、
それを供給してもらえるとしたら、どれくらいで足りそうだ?」
(´・ω・`)「!」
川 ゚ -゚)「それ以外の魚や海産物もな。もちろん手間賃くらいはプラスして。
あと、その湖に向かう道すがらで集めることの出来る鉱物や植物。
それに周辺でチャレンジできるお使いか調査・採取クエストを確認してみてくれ」
.
-
(´・ω・`)「分かった。クーは」
川 ゚ -゚)「私は費用の概算を出す。まずはそれで計算してみよう」
( ФωФ)「あ、ルートと周辺のエリア地図と現在分かっている限りの敵出現マップは手に入れてあるのである」
(´・ω・`)「そうですか!ではまずはそれと僕の持つ情報を照らし重ね合わせて調整してみましょう」
ウインドウを出す三人。
( ФωФ)「ヒッキーは、レベルの高い何人かに同行するかどうかと、最近の釣果の確認をしてもらえるであるか」
(-_-)「うん。わかった」
ヒッキーもウインドウを出し、それぞれに作業を始めた。
ギルド『ANGLER』からの依頼を正式に受諾するのは、この二時間後だった。
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2.会議(私)
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-
自室にて鬱々としていたジョルジュの耳にノックの音が届いたのは、部屋に戻ってから三時間後だった。
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( ゚∀゚)「はい!」
ベッドに腰掛けて首を垂れていたジョルジュが顔を上げる。
川 ゚ -゚)「私だ」
_
( ゚∀゚)「開いてる!」
その声に反応するかのようにドアが開き、クーが中に入ってくる。
その表情から心底自分を軽蔑しているのがよく分かり、心が痛くなるジョルジュ。
ξ゚⊿゚)ξ「私もいるわよ」
('A`)「おれもー」
そのクーの後ろから普段通りのツンとドクオが顔を出し、ジョルジュは少しほっとした。
ξ゚⊿゚)ξ「ほんとにバカよね」
('A`)「まったくだ」
ジョルジュの部屋は装飾がほとんどされていなく、すべての部屋の基本形であるベッドと
作り付けの机とセットの椅子が一つあるくらいだった。
ξ゚⊿゚)ξ「相変わらず何もない部屋よね」
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( ゚∀゚)「……この部屋にいるのは寝ているときぐらいで、戦闘しているか釣りしている時以外は誰かの所にいるから」
ジョルジュと人ひとり分くらい離れてベッドに腰掛けるドクオ。
クーは当たり前のように備え付けの椅子に座っている。
ξ゚⊿゚)ξ「少しは人が来た時のことも考えなさいよ」
ウインドウを出し、自分のストレージ画面を数回タップするツン。
すると部屋の中央に低めの丸いテーブルが現れ、その周りに座り心地のよさそうな一人掛けの
ソファーが三つ現れた。
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