したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。

1 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:13:10 ID:6CCOWjXw0

どーも作者です。

新しく作らせてもらいました。
設定だけ作っておいて最初の二話で終わる予定だったこの話がこれだけ続くことになろうとは。

半分くらいは終わっている予定なので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。


話の投下の前に、各人の見た目データと大まかな設定を載せておきます。


この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に設定を順守しているつもりですが、拡大解釈とまだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。


まとめ

ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/

大変お世話になっております。

.

2 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:15:51 ID:6CCOWjXw0

ソードアート・オンライン≪SAO≫

ナーブギアという機械を使用してデジタルの世界にフルダイブすることにより、全百層からなる浮遊城『アインクラッド』をクリアしていくゲームのタイトル。
2022年11月6日正式稼働。その当日、メイン製作者の手によりプレイヤーはアインクラッドに閉じ込められ、現実の世界に戻ること≪ログアウト≫が出来なくなってしまった。
現実世界に戻るには各層にいるボスモンスターをすべて倒し、百層すべてを攻略するしかない。
現在(2024年2月)半分ほどが攻略されている。
また、アインクラッドで死ぬと現実世界でも死ぬよう、ナーブギアに仕組みがされている。

攻略組
迷宮を攻略し、ボスの部屋を探し、ボスを倒し続けているプレイヤー達を指す。
アインクラッドに囚われたプレイヤーの数パーセントしかいない。
現在は『血盟騎士団』『聖竜連合』の二大ギルドと幾つかの中小ギルド、ソロプレイヤーがそう呼ばれる。

剣技≪ソードスキル≫
魔法のないアインクラッドでは、各武器の種類ごとに設定された剣技を使用して戦闘を行うことが出来る。
発動させた場合各種補正が行われ、通常の攻撃より強力な攻撃を敵に与えることが出来るたり、防御を行うことが出来る。
一度発動すれば意識をしなくても体が動くが、敵に当てるにはタイミング等それなりに修練が必要。
技の終わりには硬直時間が設定され、その瞬間は完全に無防備な状態となるため使用には注意が必要。また、途中でキャンセルした(された)場合にも硬直は発生する。硬直時間は各技ごとに違う。

.

3 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:17:59 ID:6CCOWjXw0

各人データ

2024年2月時点
(年齢は、2022年11月時点の年齢)
名前-身長-体型-年齢-肌色-瞳色-髪色-髪型-備考
肌色は「白-肌-小麦」の順に色黒に。
年齢はちゃんと決めてありますが、あえてぼかしました。
男の体型は全体イメージ。
女性の体型はスリーサイズをそれぞれSMLで表記。
身長を含めた体型・顔の造形は、全員現実世界の容姿と同じです。

.

4 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:19:53 ID:6CCOWjXw0

ギルドVIP
ショボン-172-中肉-十代-白-黒-黒-ショート-ギルドV.I.P.ギルドマスター・料理人「バーボンハウス二号店」マスター
クー-165-LSM-十代-白-黒-黒-ストレートの長い髪-ギルドV.I.P.ギルドサブマスター・薬剤師
ブーン-174-ぽちゃ-十代-肌-黒-黒-短髪-道具屋「道具屋Booon」店長
ツン-159-SSS-十代-白-薄い茶-金-ツインテールの巻き髪-裁縫師
ドクオ-163-ガリ-十代-白-黒-黒-長めショート(前髪は目が隠れるくらいある)-昔片目だけ赤にしたことがある。
ジョルジュ-182-ガッチリ-二十代-小麦-黒-黒-ソフモヒ
兄者-175-中肉-十代-白-黒-黒-長めショート-鍛冶屋(武器)「流石武具店」副店長流石兄弟の兄
弟者-175-中肉-十代-肌-茶-焦げ茶-短めショート-鍛冶屋(防具)「流石武具店」店長流石兄弟の弟
フサギコ-170-細-十代-小麦-黒-茶色-ウルフカット-調理人「バーボンハウス一号店」店長
モナー-188-ガッチリ-二十代-肌-黒-黒-短めショート-育成師「V.I.P.牧場」牧場主
クックル-186-細-二十代-小麦-茶-茶-短めショート-栽培師「V.I.P.農場」農場主
モララー-174-中肉-十代-小麦-黒-焦げ茶-長めショート-細工師・工芸師「モララー細工工房」店長
ギコ-173-中肉-十代-小麦-黒-黒-短めショート
しぃ-155-MSM-十代-肌-茶-茶-ショート-調理人兼裁縫師

ギルドNS
シャキン-178-中肉-二十代-肌-黒-黒-ショート-ギルドNSギルドマスター
ミルナ-180-ガッチリ-二十代-肌-焦げ茶-黒-短めショート-ギルドNSギルドサブマスター
デミタス-175-中肉-二十代-白-黒-焦げ茶-長めのウエーブ
ハイン-171-SSS-二十代-白-薄い茶-薄い茶-肩までのストレートワンレングスちょっと外はね
エクスト-173-細-十代-肌-黒-茶-ショート
トソン-160-MSS-二十代-肌-黒-黒-肩にかかる黒髪

ギルドANGLER
ロマネスク-174-中肉-三十代-肌-黒-焦げ茶-短めショート-ギルドANGLERギルドマスター
ヒッキー-160-ガリ-十代-白-黒-黒-短めショート

ぃょぅ-168-細-十代-肌-茶色-焦げ茶-長めショート-ソロの何でも屋
ヘリカル-150-SSS-十代-肌-黒-薄い茶-ツインテール-ぃょぅの妹

プギャー-174-中肉-二十代-小麦-黒-黒-ソフモヒ-ソロプレイヤー
シラネーヨ-178-中肉-二十代-肌-茶色-茶色-短髪-ソロプレイヤー
ブーム-169-細-十代-肌-黒-茶色-短めショート-ソロプレイヤー

その他のキャラクターは作成中。
.

5 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:21:32 ID:6CCOWjXw0

番外
アルゴ-原作登場キャラクター。情報屋。金褐色の巻き毛と頬に書いた三本髭のメイクが特徴の小柄な女性。通称≪鼠のアルゴ≫


上記登場人物の中で一番を決めると、

ワイルド系イケメン−ジョルジュ
美形系イケメン−モララー
知的イケメン−デミタス

和風美人−クー
洋風美人−ツン
可愛い系−しぃ
中性美形−ハイン


残念フェイス−言わずと知れた彼


.

6 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:25:59 ID:6CCOWjXw0

年表

2022年
≪11月6日SAO(ソードアートオンライン)サービス開始≫
11月
12月
2023年
01月
02月ジョルジュ「五話 ここでも雨は冷たいから」
03月
04月フサギコ「九話 君への手紙」
05月モナー・ビーグル「三話 それから」
06月クックル「四話 緑の手」
07月
08月
09月
10月
11月
12月ギコ・しぃ「一話 ギルド「V.I.P.」へようこそ」「二話 聖なる夜のキャロル」
2024年
01月「六話・七話 数え歌がきこえる」
02月「八話 それぞれのチカラ」
03月

−−−続く−−−
.

7 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:28:21 ID:6CCOWjXw0



第九話 君への手紙



.

8 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:30:20 ID:6CCOWjXw0

0変わらない日々


2024年3月頭

『バーボンハウス』1号店のドアが開かれると、元気な、けれど優しい声が出迎えてくれる。

ミ,,゚Д゚彡「いらっしゃいませ!」

この店のマスター、ギルド『V.I.P.』の侍、フサギコである。
同じギルドメンバーのしぃやクー、あるいはNPC(ノンプレイヤーキャラクター)に任せて不在となることがたまにあるが、基本的にはいつも彼がカウンターの中にいる。

(´・ω・`)「お疲れ」

ミ,,゚Д゚彡「ショボン!」

そして扉を開けたのは、この店の初代マスターであるショボン。そして彼はフサギコの所属するギルドのギルドマスターでもある。

(´・ω・`)「お昼も過ぎて、落ち着いたみたいだね」

店の中には一組の男女。
奥で楽しそうに会話をしている。

(´・ω・`)「いいお客さんだね。窓際に座っていてくれるから、一見さんが入りやすくなる」

カウンターを出ようとするフサギコを、軽く手をあげて制しながらカウンターに備え付けられた高めの椅子に腰かけるショボン。

ミ,,゚Д゚彡「突然どうしたのだから」

座ると同時に湯気の立ち上るカップを差し出すフサギコ。
ショボンは礼を言いながら一口啜り、にっこり微笑んで不安そうにこちらを見るフサギコに美味しかったことを伝えた後、二つの紙を実体化させた。

(´・ω・`)「はい、これ。ギコと兄者から。そろそろOK出してあげたら?」

ミ,,゚Д゚彡「!」

.

9 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:31:46 ID:6CCOWjXw0

差し出された二組の感想文を受け取るフサギコ。

(´・ω・`)「二人と泣きそうだったよ。というか兄者は泣いてたけど」

ミ,,゚Д゚彡「二人ともしょうがないから」

(´・ω・`)「ま、これくらいで勘弁してあげなよ。他の皆の分があるから、それで十分じゃない?それに、常連さんからも感想貰ってるんでしょ」

ミ,,゚Д゚彡「!!し、しょ、しょぼん、知ってたの……」

(´・ω・`)「うん。だって両方に来てくれているお客さんいるからね。話してたよ。感想文を渡したら、デザートサービスしてくれたって」

ミ;,,゚Д゚彡「ご、ごめんだから!」

(;´・ω・`)「いや、別に謝ることはないよ。こっちの店のやり方はふさに任せているんだし。僕も飲み物のサービスは良くするしね」

ミ,,゚Д゚彡「よかったから…」

慌てふためいたフサギコをみて、慌ててしまうショボン。
しかしショボンの言葉であからさまにほっとした顔をしたフサギコを見て、思わず吹き出してしまう。

ミ,,゚Д゚彡「ど、どうしたから」

(´・ω・`)「いや、そんなに気にしなくていいのにって思ってさ」

ミ,,゚Д゚彡「ショボンから受け継いだ大事な店だから!」

胸を張ってきりっとした顔を見せたフサギコを見て、今度は困ったような笑顔を見せるショボン。

(´・ω・`)「この店作った時に一緒にメニュー決めたりしたんだから、マスターは僕だったけどふさの物でもあったのに」

ミ,,゚Д゚彡「違うから。やっぱりショボンの店だから」

(´・ω・`)「屋台の頃から一緒に店をやってたのに」

ミ,,゚Д゚彡「それとこれとは別の話だから」

.

10 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:33:23 ID:6CCOWjXw0

(´・ω・`)「強情だなあ」

呆れたように、けれど少しだけ笑顔でカップに口をつける。

(´・ω・`)「そういえばさ」

ミ,,゚Д゚彡「ん?なにだから」

(´・ω・`)「感想文は、やっぱりあれが発端?」

ミ,,゚Д゚彡「もちろんだから!」

(´・ω・`)「やっぱりそうなんだ…」

ミ,,゚Д゚彡?

(´・ω・`)「……それ、みんなには言わないでね」

ミ,,゚Д゚彡「え?」

(´・ω・`)「知られたら、また兄者にどんな恨み言を言われるか…」

肩を落とし、深いため息を着いたショボンだった。



.

11 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:36:51 ID:6CCOWjXw0

1変わる毎日



2023年4月

早朝。
最前線フロア、転移門を眺めることのが出来る主街区の公園に、ショボンは屋台を出していた。

この電脳世界『アインクラッド』に閉じ込められて五カ月、ショボン達は自分にできることとやれることを模索し、生きていた。

(´・ω・`)「今日も稼ぐぞ〜」

木で出来た移動式の屋台には『バーボンハウス』と書かれた札が取り付けられ、花壇を背に出店の準備を始める。

目の前には噴水。
その向こう側に転移門が見え、周囲にはベンチもあるため人の流れが期待できる。

(a)「お、今日も来てるね」

(b)「あとで来るからおれのお気に入りを残しておいてくれ!」

【最前線フロアの主街区の転移門そばの公園】に出店を続けるうちに常連もでき、安定した売り上げは確保できるようになっていた。

とは言ってもショボン自身の戦闘スキル上げもあって毎日出店できるわけでもなく、また安定はしているが用意した材料が全てなくなるような売り上げを上げることもなく、その停滞した状況にショボンは打開策を模索している状態だった。

(´・ω・`)「頑張って稼ぐよ!」

(´・ω・`)「バグル肉とカーブ豆のピタサンドだね!了解!気を付けて行ってらっしゃい!」

それでも軽口を叩く常連たちに挨拶をし、そして昨日と変わらない今日を過ごす準備をしていた。

その視界の隅に映る一人の男。
いや、少年だろうか。
ショボンは、そこに違和感を感じた。

.

12 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:38:24 ID:6CCOWjXw0

(´・ω・`)「ん……なんだろう。……あ、そうか」

街から街への移動は、転移門がある街同士ならば、街の名前さえわかれば戦闘エリアを通らずに移動することが出来る。
つまりレベル1であったとしても、攻略最前線の街の名前が分かれば行くことが出来る。

だがそれは本当に「行くことが出来る」だけであり、それ以上でもなければ以下でもない。

例えばレベル1の状態でゲームのスタート地点である≪始まりの街≫からで移動して、色々な街を見ることは出来るが、移動によりコル(アインクラッドでの貨幣は円などではなくコルという。1コルは10円くらいと考えるのが目安であろう)が増えることはないし、移動してもレベル1の強さで高層階の街の外を回るのは自殺行為だ。

つまり、レベルの低い者が上の層にやってきても、街の外を回れるわけではない。
確かに街そのものを楽しむことは出来るが、10層を超えた頃からはレベルの低い者、フィールドで戦闘を行っていない者はほとんどやってこなくなってきていた。

(´・ω・`)「(あの足の防具って多分初期装備だよね)」

ショボンが感じた違和感。
それは視界の隅にいる彼が見るからに低レベルだと思われる姿をしていたことに由来していた。

(´・ω・`)「(よほどレベルが高ければこの層でもあの装備で生き残れるだろうけど、それなら攻略に出てるだろうし、それならあの装備をしている意味がない。別に来ること自体は悪いことじゃないけど、珍しいよね)」

頭の中で考えつつも開店の準備を続けるショボン。

すると客が一人やってきた。

( ・∀・)「もう大丈夫か?」

(´・ω・`)「いらっしゃいませ。バーボンハウスへようこそ」

( ・∀・)「この屋台はサンプルを見てから買えるって聞いたんでけどさ」

(´・ω・`)「今から作りますよ。何か気になるメニューありますか?といっても今日はピタパン3種類に飲み物4種類しかないですけど」

( ・∀・)「全部見てから決める」

(´・ω・`)「かしこまりました。それでは少々お待ちください」

.

13 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:40:00 ID:6CCOWjXw0

調理を始めるショボン。
そしてその後やってきた客を捌くことに注意を払い続けるうちに、朝違和感を感じた少年のことを気にする余裕はなくなっていった。



(b)「残しておいてくれてサンキュー!おれ、これ好きなんだよ」

(´・ω・`)「ありがとうございます。ピタパン65コル、クラルルジュース8コル、セット割引で70コルです」

(b)「もうちょっと安くなると最高なんだけどね」

(´・ω・`)「材料が安くなれば値段も落とせるんですけどね。皆さんが頑張っていろいろ開拓してくれれば安くできるようになるかもですよ。はい、ありがとうございます」

ウインドウ経由でコルを受け取り、品物を渡す。
美味しそうに食べながら歩く戦士と、別の物を買った仲間の戦士が羨ましそうにそれを覗き込む。

(c)「売り切れとはな〜」

(b)「これ、あの店の一番人気なんだよ」

(d)「今度は絶対おれも買う!」

(b)「がんばれ」

笑いながら去っていく三人を見つつ、ショボンが目を細めた。

(´・ω・`)「さて、お昼はこれでひと段落かな」

人の波が落ち着いたのを感じ、材料のチェックをしつつ売り上げを確認するショボン。
売れたといっても予想よりも数割程度売れた程度で、ほとんどの材料は無くなったわけではない。
しかし午後もこの調子で売ることが出来れば足らなくなるのは確実なのと、今日一番人気であった『バグル肉』が無くなってしまったので、補充したいところだった。

(´・ω・`)「(まさか売り切れるとは。ドロップしにくいから街の店で買ってるけど、それだとどうしても高くなっちゃうからいつもあんまり売れないのに。良い狩場でも見つかったのかな)」

メッセージを仲間に送るもやはりドロップしておらず、手持ちにはないらしい。
ついでに情報屋に新規狩場の情報があるかどうかのメッセージを入れた。

(´・ω・`)「(買いに行くにしても屋台をこのままにするのはな…。この世界では持ち主以外は手出しできないはずだけど、心情的に嫌なんだよね。かといって誰かに買ってきてもらうのも悪いしな。今日は迷宮潜ってるはずだから、時間もかかるし、こんなことにクリスタル使いたくないし。諦めて、屋台を設置したまま買いに行くか、一回片付けて屋台ごと持っていくか。でも一回さげちゃうとお客の波が変わるからな…。さてどうしよう)」

.

14 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:41:24 ID:6CCOWjXw0

それは、ほんとうにほんの気まぐれだった。
普段のショボンならやらないかもしれない。
本当に、ただの、きまぐれ。
何の意味もなく、ふと視線を右方向に向けた時、街路樹の下、簡単に声が届く場所に座り込んでいた彼と目があっただけ。

ショボンは何故か、話しかけた。

(´・ω・`)「いま、暇?」

ミ,,゚Д゚彡?!

これが、二人の出会いだった。



.

15 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:44:14 ID:6CCOWjXw0

ミ,,゚Д゚彡「あ、あの…」

(´・ω・`)「急にごめんね。実はお願いがあって。暇だったら、ちょっとこの屋台を見ていてくれないかな」

ミ,,゚Д゚彡「あ、いや……」

(´・ω・`)「食材を買い足しに行くちょっとの間で良いから」

ミ,,゚Д゚彡「え、でも、ふさ!…あ、…おれ」

(´・ω・`)「?ごめん、ほんとにちょっとの時間だからさ。二つ右の通りの商店に行くだけだから、すぐ戻るんで」

ミ,,゚Д゚彡「そ、その、」

座り込んでいたフサギコの横に立ち、両手を合わせて拝みながらお願いをしているショボン。
通り過ぎる歩行者がチラチラとみているが、ショボンは全く気にしていない。

(´・ω・`)「バイト代はそんなに出せないけど」

ミ,,゚Д゚彡「そ、そんなのいいから!あ、……いらないです…けど……」

(´・ω・`)「?いや、そうもいかないけど。労働には対価が必要だよ。あ、そうだ」

屋台に駆け戻り、サンプルで作ったピタパンを持ってくる。

(´・ω・`)「これ、『バグル肉とカーブ豆のピタサンド』っていうんだけどさ、良ければ食べてくれないかな」

ミ,,゚Д゚彡「そ、そんな高い物!だめだか…!だめ、です!」

(´・ω・`)「?あ、さっきの値段きこえてた?これ朝作ってサンプルで置いておいた奴だからさ。いつもは自分の昼ご飯にしちゃうけど、よかったらこれをバイト代にしてくれないかな。もうすぐ耐久値も切れるだろうから早めに食べてね。あ、あともし食べられたら屋台の上に乗ってる二つも食べてくれないかな。誰でもとれるように設定しておくから」

慌てるフサギコにむりやりピタパンを渡し、ウインドウを出すショボン。

.

16 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:45:57 ID:6CCOWjXw0

(´・ω・`)「…フサギコさん…でいいのかな。もし変なやつがやってきても、メールくれるだけで良いからさ。これに返信してくれるかな。すぐ戻るから大丈夫だと思うけど、じゃ、よろしくね」

目の前にいるプレイヤーにメッセージを出し、そのまま路地に走っていくショボン。
あっけにとられてピタパンを両手で持ったまま立ち尽くすフサギコだったが、意を決したように屋台に近付く。

そして両手に持たされたピタパンを見つめる。

ミ,,゚Д゚彡「……すごくおいしそうだから」

そして、一分ほどじっと見つめた後に勢いよく噛り付いた。



時間にして10分とちょっとだろうか。
食材を購入後戻る道すがらに情報屋から返答が来たため、更に返答していたら思っていたよりも時間がかかってしまい、ショボンは慌てて屋台を設置した場所に戻ってきた。

(´・ω・`)「ごめん!ちょっと遅くなっ……た…?」

ミ,,゚Д゚彡「あ!戻ってきたか…戻ってきました」

そこには変わらず屋台があり、こちらを見て安堵の表情を見せるフサギコがいた。
それは予想の範囲だったが、何故か屋台の前には十数人のプレイヤーが並んでいた。

(´・ω・`)「え?なにこれ」

ミ,,゚Д゚彡「お客さんだか…です!はやく作ってあげてだか…ください!」

(e)「待ってたよ!」

(f)「その兄ちゃんがすごくうまそうに食べてたんだよ!」

(g)「早く作ってくれよ!」

( ´∀`)「モナも食べたいもな!」

▼・ェ・▼「きゃん!」

(´・ω・`)「え、あ、は、はい」

まったく状況が分からないまでも慌てて屋台に立ち、とりあえずサンプルを作るショボン。

.

17 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:47:17 ID:6CCOWjXw0

三種のピタパンが屋台にならぶと並んでいた人たちから歓声が上がり、それが聞こえた周囲の人たちも寄ってきて、更に列が長くなる。

(´・ω・`)「あ、はい、『バグル肉とカーブ豆』を二つと、『トルメトの実とカープ豆』を一つですね。ありがとうございます。あ、はいトルメトの方はラル菜を抜きですか。じゃあカープ豆を多めにしておきますね」

注文を一人で捌いていくショボン。
いつしかフサギコは列整備を始めていた。

ミ,,゚Д゚彡「仲間同士は一緒に注文だから!二列で並ぶと良いから!最後尾はここだから!横入りはダメだから!」

(´・ω・`)「はい、『トルメトの実とラル菜』を一つと、『バグル肉とカープ豆』を一つ、バグル肉の方はカープ豆少なめですね。ラル菜の方を多くしておきますね」

ミ,,゚Д゚彡「列は落ち着いてきたから…きました」

(´・ω・`)「あ、フサギコさん。ごめん、お使い頼んでいいかな?」

調理をしつつウインドウを出し、メッセージを打つ。

(´・ω・`)「ここにいって書いたものを買ってきてほしいんだ。おかねはこれで」

ミ,,゚Д゚彡「わかったから!」

(´・ω・`)「ごめん、急ぎでね」

ミ,,゚Д゚彡「すぐ買ってくるから!」

メッセージを確認し、添付された地図マーカーを頼りに走り出すフサギコ。

(´・ω・`)「はい!ありがとうございます!」

こころなしか、列がさらに延びた。



ミ;,,゚Д゚彡「お、お疲れさまだから…」

(;´・ω・`)「お疲れ様でした」

.

18 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:48:47 ID:6CCOWjXw0

それから二時間近く混雑したのち、やっと列が無くなった。

(;´・ω・`)「ごめんね…結局三回も買い物頼んじゃって。しかもバグル肉が店から無くなったから違う街まで行ってもらっちゃったし」

ミ,,゚Д゚彡「別に良いから!なんか楽しかったから!」

(´・ω・`)「そう?なら良かった」

顔を見合わせて、笑う二人。

ショボンが売り物の飲み物を二つ作り、フサギコを近くのベンチに誘う。

(´・ω・`)「ちょっと休憩しようか」

当たり前のように促されてベンチに座るフサギコ。
途端に楽しそうにしていた表情が一変して緊張した面持ちになった。
それは差し出されたストローの付いたカップを受け取っても同じだった。

ミ,,゚Д゚彡「あ、ありがとうだ…ございます」

(´・ω・`)「こちらこそ、本当にありがとう。最初のお客さんもフサギコさんのおかげだったみたいだし、その後は列の整理とか買い出しとか頼んじゃって。でも、何があったのか教えてもらえるかな?」

ミ,,゚Д゚彡「…ショボンさんが買い物に出た後、屋台のそばに行って、貰ったパンを食べたら、……すごく、すごくおいしくて、……おもわず、…残りの二つも食べてたら、いつの間にか人がいて、『そんなにおいしいの?』ってきかれたから、…おいしかった話をしていたらいつの間にかいっぱいいたか……いました」

(´・ω・`)「…それだけ?」

ミ,,゚Д゚彡「それだけだか…です」

(´・ω・`)「よっぽど美味しそうに食べてくれたのかな」

ミ,,゚Д゚彡「ものすごくおいしかったから!あんなに美味しいの、ここに来て初めてだから!あ!…です」

(*´・ω・`)「そんなに褒めてもらえると嬉しいな」

本気で嬉しがっているショボンを見てフサギコもテンションが上がったのか、矢継ぎ早にどれだけおいしかったのかを話しはじめた。

.

19名も無きAAのようです:2013/10/28(月) 22:50:14 ID:6CCOWjXw0

それぞれの素材のすばらしさ、ピタパンに差し込まれたグザイのバランスの良さ、それぞれの味をまとめる調味料の良さ、それを包み込んで調和を保ちつつも歯ごたえとボリュームをあたえるピタパンの良さを、一つ一つを熱く、細かく、情感豊かに熱弁する。

(*´・ω・`)

自分の作った物の事なのに、その熱の入った語り口調は思わずよだれが出てしまいそうになるショボン。

(*´・ω・`)「(ああ…これを聞かされたらならぶよ。内容も表現豊かでおいしそうだけど、何より熱意が違う)」

ミ*,,゚Д゚彡ノノ

嬉しそうなショボンの表情を見て更にフサギコの語りには熱がこもり、時には身振り手振りを加えながら話す。

(*´・ω・`)「ありがとう、ものすごくうれしいよ」

ひとしきり話した後、高揚した顔のまま貰ったジュースに口をつけたフサギコ。
その隙に心からのお礼を言うショボン。

ミ,,゚Д゚彡「お礼を言いたいのはこっちだから!…!で、です」

(´・ω・`)「…?…。でも、今日の予定は大丈夫だった?狩りとか。…そういえば、あそこで何してたの?」

ミ,,゚Д゚彡!

(´・ω・`)「あ、ごめん。ちょっと気になっただけだから、言わなくても」

ミ,,゚Д゚彡「……あれが落ちるのを、待ってたから」

(´・ω・`)「あれ?」

ミ,,゚Д゚彡「…」

黙って自分の座っていた場所に視線を向けるフサギコ。
そこには細い街路樹があり、赤い果実が生っている。

(´・ω・`)「え…もしかして…」

果実とフサギコの顔を交互に見るショボン。
フサギコが黙って頷く。

.




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板