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( ^ω^)ヴィップワースのようです

1名も無きAAのようです:2013/10/20(日) 22:13:35 ID:mGY.ofts0

【 まとめ様 - Boon Romanさん 】
ttp://boonmtmt.sakura.ne.jp/matome/sakuhin/vipwirth.html

前スレ ( ^ω^)ブーン系創作板過去ログ(第9話〜第11話まで)
ttp://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/storage/1339772726.html

前々スレ  ( ^ω^)ブーン系創作板過去ログ(第5話〜第8話後 幕間2話まで)
ttp://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/storage/1326485180.html

前々々スレ ( ^ω^)ブーン系小説板(第0話〜第5話途中まで)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1307375951/

2名も無きAAのようです:2013/10/20(日) 22:23:27 ID:mGY.ofts0

別に見るべき所もないのですが会話パートを投下させて頂きやす。
無駄に長くなりそうだった次話の冒頭に使う予定だった20Kbそこそこなので超短いです

気を抜いたら設定忘れてボロ出まくるので、よく見直してから投下します。
コーシー買ってくるので、日付が変わる前にはまた来ますね。

3名も無きAAのようです:2013/10/20(日) 23:00:28 ID:pb4zlgOoO
ω・)フムフム

4名も無きAAのようです:2013/10/20(日) 23:32:27 ID:oH5/k2yo0
おし待ってる

5名も無きAAのようです:2013/10/20(日) 23:56:39 ID:mGY.ofts0

窓の外、嵐に轟く雷鳴。

部屋の片隅で、私は膝を抱えながら震えていた。
突然の稲光が恐ろしい悪魔の影を照らした気がして、怖くなった私は走りだす。

暗い寝室を抜け出した先、温かい暖炉の前でくつろぐ両親のもとへ駆け寄る。


『……眠れないの?』


そう言って震えるこの身を抱き寄せると、背中を撫でてくれた。
それだけで、心の中に抱いていた不安がすぅ、と消えていく。


『大丈夫』


やがて温もりの中で、安心しきった私の意識はまどろみの中に溶け込む。
私へと向けられた両親の表情を強く思い出そうとした。
霞がかかったように、記憶の中の光景ははっきりと思い浮かべる事はできない。

だけど、そこには何よりも優しい笑顔があったのを覚えている。




6名も無きAAのようです:2013/10/20(日) 23:59:44 ID:mGY.ofts0

ξ゚ー゚)ξ「明けない夜はないのよ」


窓際で雨音に耳を澄ましていた私にそう言った、彼女の言葉。
それが印象深かったのは、どこかあの頃の母の面影を、彼女に重ねていたからか。


川 ゚ -゚)「なかなか、寝付けなくてな」

ξ゚⊿゚)ξ「身体に障るわ」

川 ゚ -゚)「……あぁ」


間断なく降り注ぐ雨音が、激しく屋根を打ち据える。
深く広がる夜の闇は、底が見えない程にも深い。
辛い出来事に荒んだ心の傷を癒やすには、とても長い時間が必要だ。

それでも明日というものは、必ず来る。

7名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:01:13 ID:nHlzWWMo0

だから今は、幼い頃のような恐怖はそこにない。
しばらく見失っていたものだった。

傍らに誰かが居てくれることの、安らぎ。
この景色を一人で見ていたら、きっと堪えきれなかっただろう。

ベッドの上で両膝を突いて祈りを捧げるツンの横顔を、クーは何気なく盗み見た。


ξ-⊿-)ξ「……」


真摯に、ただひたむきに祈る彼女の姿は、やはり堂に入ったものだと感じさせられる。
それが誰に向けられたものかと考えて、はた、とクーはある事を思い出す。


川 ゚ -゚)「――ツン」

8名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:06:31 ID:nHlzWWMo0

それは妖かしの木々から逃れた先の、洞窟での会話だったか。
感情をむき出しにしたクーに対して、彼女が立てた誓いの言葉。
いつでも反故に出来る、嘘偽りを述べても誰しもが気づかないような、口約束。

そんなものを、きっと馬鹿正直にも守り続けてきたのだろう。
だからこそ―――変わらない彼女に対してこそ、自分は変わらなければならない。

少しだけはにかみながら、クーはツンの瞳をしっかりと見据えて、言った。


川 ゚ -゚)「アンナと、パンゼル」

ξ゚⊿゚)ξ「それ……って」

9名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:07:48 ID:nHlzWWMo0

少しだけ間を置いて気付いたようだ。
目を剥いたツンの瞳の中に、きらきらと光が躍ったような気がした。


「私の、最愛の母と―――父の名だ」


そうだ、変わらなければならない。
そう思う事が出来たのは、彼女と彼らの、変わらない直向さに触れてしまったから。

自分にとって何より尊い二人に、その名も知らぬまま祈り続けてきたツン。
今この瞬間からは、彼女自身の言葉を届けてもらいたい。

本心を示す、他ならぬ信頼を寄せての言葉だった。

10名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:09:03 ID:nHlzWWMo0

    ( ^ω^)ヴィップワースのようです


             第12話

            「臥龍転生」

11名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:11:07 ID:nHlzWWMo0

― リュメ 【烏合の酒徒亭】―


一行がヴィップを発ってからおよそ9日。
ロア村に一泊を滞在した一行は、デルタに無事の帰還を報せてやる事ができた。

そこには、無論クーも一緒に。

聞けば片道で2日の道程であるヴィップとリュメを繋ぐ街道を、デルタは僅か2日半の間に往復したという。
それというのも、クーの捜索に割ける人員がいなかったために火急の助けを求めに走ったのだった。

その彼とは今、錆びれたランプのかすかな灯火の下で、思い思いの時を過ごせていた。


爪'ー`)「最近どうだ、町は」

12名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:12:40 ID:nHlzWWMo0

( "ゞ)「件の騒ぎで随分死んじまってなぁ……どいつも、暗い顔して歩いてますさ」

爪'ー`)「……悪かったな。お前一人に、押し付けちまってよ」

カードに興じる彼らは、一進一退の攻防をその表情に出さぬまま会話を紡ぐ。
長年に渡って培われた、完成された様式美さながらだ。


( ^ω^)「あいてて……まだあいつのパンチ効いてるおね。
       ショボン、ここらへんにアザ残ってないかお?」

カタンの森で妖樹に追い込まれた際、湖の中に放り投げてしまった事から新調した装備も、
今では年季の入った風合いが出る程にあちこちで傷や凹みが見て取れた。

この分では次の依頼を終えた辺りには、また数百spもの出費で大赤字になるな、と、
皮の胸当てに馬油を塗りたくりながら、ブーンは愚痴をこぼす。

13名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:14:18 ID:nHlzWWMo0

(´・ω・`)「大丈夫、随分と男前になってるよ」

魔剣による一連の惨劇に終止符が打たれた後も、拠点を置く盗賊ギルドが先導する形で、
リュメ全体が騒動の終息に向けた各種作業に追われたそうだ。

フォックスの弟分でもあるというデルタとは、酒を酌み交わしながらよく話した。
ヴィップを訪れた時、そこでブーンと意気投合してパーティーを組んだということ。
少し前まで手配犯として扱われていたショボンと、聖ラウンジ司教の娘、ツンがそこに加わった経緯。
そして、紆余曲折あれど、今はクーをパーティーに迎え入れたという事。

白く濁ったデルタの瞳は職業柄の鋭さが見て取れたが、つっけんどんな所のない彼とは
フォックス同様に、驚くほど自然に接する事が出来ていた。


( "ゞ)「へっ、あんな良い女二人も引き連れて、兄貴も役得だな」

爪'ー`)y‐「馬鹿言うなよ……手ぇなんて出してみろ、男としての俺が斬り落とされる」

14名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:15:31 ID:nHlzWWMo0

( "ゞ)「俺としては、気の強ぇ女は嫌いじゃねぇんだがな。
    お前さんはどうなんだ? もしかして、兄貴の知らねぇ所でもう一人と進んでんじゃ……」

(*^ω^)「い、いやいや……ツンとは別にそんな事は全く……」

爪'ー`)y‐「お? 満更でもなさそうだけどよ、二股は良くねぇなぁリーダー。
     お前にはあの吸血姫さんがいるじゃねぇか。
     ツンなんて、あの対極の立場だってのに」

( 从*゚∀从『───惚れた』 )
     ○
     。
(;^ω^)「ちょ、冗談じゃないおっ」

( "ゞ)「聞くからに背徳的な臭いがするねぇ」

(´・ω・`)「……聞くも涙、語るも涙の話さ」

15名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:17:02 ID:nHlzWWMo0

旅の疲労と、道中での戦闘による生傷の数々。
ここリュメに辿り着いた時にはもう、5人ともがぼろぼろな状態だった。

今晩は宿も埋まっていたが、見るに見かねた店主が客室用にと残していた一部屋を貸してくれたのだ。
一日だけ休んだ後、すぐにヴィップへと戻って楽園亭のマスターに無事を報告せねばならない。


( ^ω^)「上は……喧嘩になったりしてないかおね」

爪'ー`)y‐「今は疲れてるだろうけどよ、朝方になったらまたおっぱじまってるかもな」


恐らくは複雑なクーの心中をおもんばかるところはあるが、今は新たな仲間を
迎え入れられた喜びの方が大きい事は、ブーン達の表情にも表れていた。

危惧する部分があるとすれば、互いに譲らない性分だという事ぐらいのものか。

16名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:18:04 ID:nHlzWWMo0

( ^ω^)「そういえばショボン、何だお? それ」

(´・ω・`)「……ん〜」


傍らで一冊の書物に目を走らせるショボンは、没頭しているのか返事は返せど、顔も上げようとはしない。

こんな暗さで細かい文字ばかり見ていたら目が悪くなる、とブーンの言葉にも耳を貸さないぐらいだ。
人の会話も話半分に聞き流してしまうほど、彼にとっては大事なものが書かれていると窺える。


( ^ω^)「どれどれ」

(´・ω・`)「……あぁ、これね……」

17名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:19:11 ID:nHlzWWMo0

防具の手入れもそこそこに、彼が熱心に読む書物の内容を覗き見ようと、
ブーンはショボンの傍らに立つと、その頁に視線を落とした。

それはブーンにとっては不可解な文字であり、細かくびっしりと書き込まれる難解なもの。
構わずに頁をめくるショボンは、それを止まる事なく読み進めては、次々頭に入れているようだが。

かすれて判別不可能となってしまった表紙には、ショボンのような畑の者達が好む、魔導書にも似た風格を感じる。


(´・ω・`)「僕にとっては死霊術の入門書、みたいなものかな……」

(;^ω^)「……おっ? お、おぉっ?」

18名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:20:10 ID:nHlzWWMo0

(´・ω・`)「あのね、誤解の無いように言っておくけど―――」

(;^ω^)「ショボン……それは、それだけは間違ってるお!
       卑劣な真似をする奴を捕まえるために、自分もそんな道に身を堕とすなんて!」

(´・ω・`)「いや、だから―――」

(;^ω^)「ブーンはショボンにそんな事までして欲しくはないお……
       それじゃ、あの時のいけすかない死霊術野郎と一緒の―――」


ばたん。


(#`ハ´)「―――お前らッ! うるせぇアルぞッ!」

その時勢い良くドアを開けたのは店主のシナーだった。

19名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:21:12 ID:nHlzWWMo0

爪;'ー`)(やっべ)

(;"ゞ)(お前ら、隠せ隠せ!)


卓上に置かれていた酒瓶を、慌ててシナーの目から遠ざけようとするのには理由がある。

店じまいの後、寝室へと下がっていった店主の背中を見送った後、盗賊二人が周囲の制止をよそに
気配を殺してカウンターの中へ接近を試みると、棚にある酒を2〜3本拝借してきた事から、
こうしてささやかな酒宴が行われる運びになったのだ。


(´・ω・`)(おっと)

(;^ω^)「……おっ」

(#`ハ´)「………」

爪;'ー`)(あちゃ〜)

20名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:22:49 ID:nHlzWWMo0

こういう場面に手慣れたフォックス達は、すぐにただ酒の酒瓶を椅子の下へと隠せていた。
だが、目配せの合図に反応の遅れてしまったショボンが座する卓上には、栓を空けたばかりの”緋桜”。
片時、シナーの視線は確実にそれへと注がれていた。


(#`ハ´)「……せめて、静かに飲みやがれアル」

(;^ω^)「おっ……」


だがシナーは、まるで気付かなかったかのように振り返ると、小声でそう言いながら寝室のドアをぱたりと閉めた。
ドアの向こうの気配がまた遠ざかった頃合いを見計らって、デルタが小声で囁く。


( "ゞ)「……ありゃバレバレだったな」

21名も無きAAのようです:2013/10/21(月) 00:23:57 ID:nHlzWWMo0

爪'ー`)y‐「ま、その辺は盗賊ギルドの顔でよ、後からフォロー頼むわ兄弟」

( "ゞ)「しゃあねぇ」

(;^ω^)「はぁ……勝手に酒飲んでるのによく怒らなかったおねぇ。
       楽園亭だったら、はげちゃびんのマスターにぶっ飛ばされてるところだお」

爪'ー`)y‐「そりゃあそうよ。なんたって俺らは正義の盗賊。
     得てきた信頼ってもんがあんだよ」

( ^ω^)「確かに、盗賊が大手を振って歩いてる町なんてのも珍しいかも知れないお」


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