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( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ
838
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:12:00 ID:.nLUMdgE0
「君の性格からして」
魔王がデレに歩み寄る。
その指先が、デレの額に触れた。
恐ろしいほどに冷たい指先。
「誰にも邪魔されない日を選ぶだろうなとは思ったよ。
国王にも、衛兵にも邪魔されず、自分だけで決着をつけに来るって」
「結局君は誰も信じてないんだよ。しいていえばモララーだけを信じていた。
そのモララーを殺されれば、そりゃもう怒って僕を殺しに来るだろうな。
一番お城に隙ができる日を狙ってくるだろう、じゃあ防いでおこうってね」
指が離れる。
魔王はゆっくりと歩みを進めた。
外へ向かって。
デレの視線がそれを追いかけていった。
839
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:13:00 ID:.nLUMdgE0
ζ(゚ー゚*ζ「……こんなことをしたら、もうこのお城にはいられないんじゃありませんか?」
ζ(゚ー゚*ζ「もしここで私に何かしようものなら、お父様が黙ってないですよ。
このお城に残っていた人から疑われます。そうなればあなたもただじゃすまないはず」
「だから、ここはもう魔人や僕らの味方ばっかりなんだって」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、まだ国王は人間です。
ちゃんとした人間の王様で、私のお父様。
第一、国民だって人間の方が多いんですよ? 魔人の王政なんて続くわけが」
「あてはあるよ。ちゃんと上に立てそうな人間はいる。
僕らの考えに協力してくれそうな人が」
魔王の身体が、進む。
840
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 22:13:17 ID:hqYQ83Bw0
しえn
841
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:14:00 ID:.nLUMdgE0
「それに、残念だけど王女様。
もうほとんど僕らの計画は終わりの段階だよ」
「もう君に人質の価値はほとんどない」
入口の前。
月の光が差し込んでいる。
ζ(゚ー゚*;ζ「価値は、ないって……」
「そりゃまあ、生かしてはおくけど」
魔王が指を鳴らした。
その背後に、多数の赤い目が浮かぶ。
魔人が来ている。
いつの間にか、厩舎を取り囲んでいたのだ。
魔王は改めて、デレを見据えた。
842
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:15:28 ID:.nLUMdgE0
「君らの王政は」
その顔がより鮮明になる。
見間違いではないことも、はっきりと思い知らされた。
ミセ*゚ー゚)リ「もう終わり!」
嬌声が響き渡る。
声質が違っていても、すぐにわかる。
あの魔王の声と同じ人が発する声。
843
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:16:28 ID:.nLUMdgE0
赤い目が迫ってくるのが見えた。
いくつもいくつも。
尖った叫び声が聞えてきた。
魔人の叫び声だ。
この厩舎に入ってこようとしている。
デレは歯を噛みしめた。
844
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:17:28 ID:.nLUMdgE0
ミセ*゚ー゚)リ「残念だったね、あと少しだったのに」
すっかり勝ち誇った表情のミセリが、声をかけてきた。
ζ( ー *ζ「……そう」
俯いたまま、彼女は言う。
ほとんど聞き取れないほどの小さな声で。
ζ( ー *ζ「これで勝ったと思うのなら、そう思っておけばいいわ」
髪に隠れたその奥で
デレの瞳は光を失わずに輝いていた。
頭に浮かんでいたのは、部屋に置いてきた日記帳。
魔王は間違っている。そうデレは思った。
彼女にはもう一人、信じている人間がいた。
☆ ☆ ☆
845
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 22:18:07 ID:oUUFHOhs0
うおお…支援
846
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:18:29 ID:.nLUMdgE0
南の山へ赴いた日
あの湖の畔で
彼女はモララーと会話した。
そのときの話題は、いったいどんな人を連れて来たのかということだった。
モララーは信頼できる人を連れてきたと言っていたが、それ以上のことは何も聞かされていなかった。
( ・∀・)「今ちょうど、あの馬のところにいますよね。あっと、振り向かないで。
下手に振り向いたらこっちに来ちゃうかもしれませんし」
そう語る彼の姿は、どこかにやけていた。
( ・∀・)「まずあの大きな鼻を持った細身の男はドクオと言います。
あいつは実はレジスタンスにいて、隙あらばお城に刃向おうとしています。お城にとっては悪者ですね」
ζ(゚ー゚*;ζ「い、いいんですか? そんなこと言っちゃって」
( ・∀・)「あ、捕まえたりしないでくださいよ? まあ、それくらい許してやってください。
あいつもまた魔人のせいで、とても辛い経験をしているのです。
立場こそあれ、だからこそ強い。だから信頼できると私は思っています」
847
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:19:28 ID:.nLUMdgE0
( ・∀・)「で、もう一人の少年。実は衛兵見習いなのですが」
ここで、モララーは口元を抑えて笑った。
ζ(゚ー゚*ζ「どうしたのですか?」
( ・∀・)「いえね、あいつは……すごく優しいんです」
ζ(゚ー゚*ζ「優しい、ですか」
奇妙な言葉のように感じた。
そんなものが必要になるものなのかと、訝しんだ。
その気持ちも見透かすように、モララーは笑っていた。
( ・∀・)「何物も憎みきれない。だからこそ、誰にも選べないような選択をしてくれる。
あいつはきっと、魔人と人間のかけ橋になってくれる、そんな気がしてならないんです」
( ・∀・)「それが、ブーンを連れてきた理由なのです。
どうか、この計画が終わったのちは、彼を信じてやってください」
☆ ☆ ☆
848
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:20:27 ID:.nLUMdgE0
託すべきバトンは全て渡した。
モララーの信じたあの少年へ。
あの人の願いに自分の願いを重ねたのだ。
デレはそう思ったから、頬を緩ませていた。
ミセ*゚ー゚)リ「?」
不思議そうな声が聞えてくる。
そうだろうと思い、すぐに表情を切り替える。
胸の内に、思いは潜める。
これまで何度もしてきたことだ。
いつか、この冷たい感情を、
あの優しい衛兵が打ち砕いてくれるそのときまで
待っていようと心に決めた。
それもまた、一つの決意。
849
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:21:28 ID:.nLUMdgE0
こうして、
ラスティア国王女デレは、一旦世界の表舞台から姿を消すこととなった。
.
850
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:22:27 ID:.nLUMdgE0
'´ `ヽ !
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851
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:23:28 ID:.nLUMdgE0
―― 第六話 おわり ――
―― 第七話へつづく ――
.
852
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 22:24:10 ID:4fDvgHLE0
おおー……乙
853
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/09/13(金) 22:24:46 ID:.nLUMdgE0
―― コラム⑥ 小ネタ ――
ミセ*゚ー゚)リ……M=魔王
(゚、゚トソン……S=しもべ
ラスティア城下町編はおしまいです。
次はテーベ国編なのですが、区切りもいいことですし
一旦時間をおいたり別の作品書いたりして頭を冷やしたいと思います。
ゆっくりお待ちください。
それでは。
854
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 22:30:29 ID:hqYQ83Bw0
乙!
そんな所に伏線?があったとは・・・
855
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 22:31:44 ID:Fy0LKOgQO
投下に気づいたら終わってた
今から読む
856
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 22:32:03 ID:.ZFC89Ss0
乙…上手いなぁ
857
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 22:55:22 ID:YSp3Icqc0
おつです!
すっごくドキドキした…!
ゆっくり待つよ!
858
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 23:24:13 ID:Fy0LKOgQO
予想外だったが今になってあれもこれも伏線だったのかと気づかされた
859
:
名も無きAAのようです
:2013/09/13(金) 23:28:32 ID:NXaVFmGwO
ω・)おつ
860
:
名も無きAAのようです
:2013/09/14(土) 00:09:16 ID:SJI1rzyc0
さっぱり気付かなかったわ…
乙
861
:
名も無きAAのようです
:2013/09/14(土) 00:58:27 ID:fFlqprUo0
おつ
伏線やべえ!流石としかいいようがない
読んでてここまでドキドキしたのは久々だ
862
:
名も無きAAのようです
:2013/09/14(土) 04:11:45 ID:Nfa/SWck0
すげー…
863
:
名も無きAAのようです
:2013/09/30(月) 21:03:31 ID:yGuuVFcwO
ξ゚⊿゚)ξ別に待ってなんかいないんだからね
テストのために書きこんだだけよ、勘違いしないでね
864
:
名も無きAAのようです
:2013/10/13(日) 23:09:53 ID:/DR6zPF60
竜騎士になったデレを旗頭に、魔人たちを最も深き迷宮へ押し戻す…
あれ?
入れ替わり物の疑心暗鬼ドキドキ感は異常
865
:
名も無きAAのようです
:2013/12/09(月) 19:20:42 ID:wfZ2VIa.0
落ちついたらこっちも読ませてくれ
楽しみにしてる
866
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/02(日) 00:56:54 ID:QffNqF060
第一話〜第六話までを『第一部 王女と勇者の章』とします。
第七話からの『第二部 戦士と魔女の章』を小説板2にて投下を初めます。
今後もよろしくお願いします。
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/16305/1391263019/l50
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