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( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ 第二部
1
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/01(土) 22:56:59 ID:mD7lT.ng0
今までのまとめはこちら
Boon Roman様
http://boonmtmt.sakura.ne.jp/matome/sakuhin/tender/
第七話からの始まりです。
690
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:27:55 ID:x9X9K47Q0
ノパ⊿゚)「……そんなことが」
ブーンは本当に約束を守っていた。
本当にドクオを見つけ、そのそばにより、戦いを止めてくれた。
その結果、クーは瀕死ながらも生き延びることができた。
ノパ⊿゚)「そうか」
ノハ;⊿;)「姉さん、生きてるんだな」
また警笛の音がする。それだけ危ないということだ。
港に泊まろうとするとき、もっとも注意が必要となるのだろう。
そうでなければ、船はどこかにぶつかって破損し、敢え無く沈没してしまう。
691
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:29:04 ID:x9X9K47Q0
ノハ;⊿;)「今度はあたしも会いたい」
ヒートは海の向こうを見つめた。
水平線の彼方は、冬の灰色の空とが溶け合っている。
その境目がどこにあるのか、見極めるのはとても難しい。
('A`)「……生きていたら」
ドクオはつぶやく。
くぎを刺すつもりだったが、言い切らずに、そこで言葉が終わる。
ノハ;⊿;)「生きるさ。そうに決まってる。そう信じ切ってやる」
('A`)「信じる?」
ノハ;⊿;)「そうだよ。信じてもらえなくなったら、それはきっと死ぬよりつらいんだ」
692
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:29:40 ID:x9X9K47Q0
('A`)「……」
ドクオもまた、海を見た。
絶えない波。音。黒ずんだり白んだりを繰り返す水面。
太古の時代、海から大勢の生き物が生まれ、活動し、仲間を作り、やがて止まって、土と海へと還っていった。
これから先の百年の間に、自分だって必ずいなくなる。
自分という生き物は、水の一滴、土の一塊、そういうもののひとつの変遷に過ぎない。
何度も何度も、同じことが繰り返される。
戦争の無い時代が終わりを迎えつつあることをみなが感じ始めている。
クーは何を想っているだろう。
('A`)「……あ」
そこまで考え至ったとき、ドクオは気づいた。
693
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:30:14 ID:x9X9K47Q0
クーに何かを想っていてほしい。
そのために生きていてほしい。
そしていつか、想っていることをすべて話してほしい。
( A )
クーの血潮は、まだ流れているはずだと信じたい。
彼女が土にも水にもならず、人としてこの世にいてほしい。
諦めたくない。
諦めてたまるか。
694
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:30:48 ID:x9X9K47Q0
( A )「生きていろよ、クー」
( A )「いつか必ず、会いに行くから」
ヒートの視線を感じたが、ドクオは構わなかった。
胸を反らし、息を吸い込み、空を漂う数多のカモメたちめがけて、
( A )「――――ッ」
大声で叫んだ。
ノハ;゚⊿゚)「ドクオ!?」
細身のそのすべてを震わせて、海老のように背を曲げて、ドクオは目を閉じ、叫び続けた。
止めようにも、まるでヒートの方を見てくれない。
695
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:32:00 ID:x9X9K47Q0
街の方にだって聞かれているはずだ。
騒音だとして文句を言われるかもしれない。
そんな無茶を、まさかドクオがするなんて思いもよらなかった。
感情を露わにすることがとても苦手な奴なのに。
(; A )
ノパ⊿゚)「…………」
獣のようだ、とヒートは思った。
獰猛な牙を持つ野生の獣が、荒れた山の岩場に上り、空を見上げて立てる遠吠え。
それが今のドクオの声。
696
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:32:22 ID:x9X9K47Q0
ノパ⊿゚)
ノハ‐⊿‐)
叫び声が止まった。
ノハ‐⊿‐)「お疲れ」
(; A )ゼエ、ゼエ
言葉を発せないまま、ドクオは頷き、そしてその場に座った。
(; A )「くそ、体力が落ちてやがる」
舌打ちし、立ち上がるが、再び叫びだすことはできなかった。
697
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:33:17 ID:x9X9K47Q0
ノパ⊿゚)「じゃあ、ご飯だ。あの家に戻るぞ」
ヒートは両手でドクオの腕をつかんだ。
(;'A`)「え?」
ノパ⊿゚)「身体を鍛えるのにも、まずは体力だ」
(;'A`)「それはいいが、急になんて」
ノパ⊿゚)「織り込み済みだよ。みんなが待っているんだ。行こう」
ぐいぐいと、ドクオを無理やり引っ張っていく。
獣になろうとする彼を宥めたくて。
すぐそばに自分がいて、仲間がいるってことを教えてあげたくて。
必死に。
☆ ☆ ☆
698
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:34:06 ID:x9X9K47Q0
とある西方の深い森の中。
( ∵) ピョコ
ピョコ ( ∴)
小さなふたつの影が、ひょっこり草むらから出てきた。
( ∵) デタノハ オトガ シタカラー
オトガ シタカラ デテキター ( ∴)
( ∵) ゲンインヲ サガスノハ キニナルカラー
キニナルカラ ゲンインヲ サガスー ( ∴)
699
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:34:47 ID:x9X9K47Q0
ふたつのものはとても小さく、丸く、そして無機質な顔をしていた。
目も口もただの点で、何かを食べることもできない。
草むらから、もうひとつ、今度は2メートルはあるかという巨大な影が現れた。
先に出ていたふたつに向かって、「こら」と呼びかける。
その大きな者は、人の言葉を使いこなしていた。
∩ ∩
( ´∀`)「勝手に出歩いちゃ危ないモナ。
常に危険がそばにいることを意識するモナ」
熊のようなその巨体に、丸い小さな獣耳がついている。
700
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:36:14 ID:x9X9K47Q0
( ∵) イシキー
イシキー ( ∴)
∩ ∩
( ´∀`)「そう、意識モナ」
草木を踏み分け、獣道を抜けていき、開けた空間が見えてきた。
冬で木々が枯れていたからまだ見通しがいい。
落ちてきたものはそこに会った。
金属でできたフォルムに、長い翼。ひしゃげたプロペラ。燃料の鼻をつく匂い。
( ∵) コレハ ナニー
ナニ コレー ( ∴)
∩ ∩
( ´∀`)「おそらく人間の発明品モナ」
男はそういうと、機体に手を触れた。
じんわりと温かさが手のひらに広がった。
701
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:37:08 ID:x9X9K47Q0
∩ ∩
( ´∀`)「仕組みはシンプルモナ。エネルギー効率に難ありモナ」
男は機体を眺め回し、やがて操縦席の傍にたどり着いた。
そこには、人が寝そべっていた。
機体の中にいたものが、落下の衝撃で飛び出してしまったのだろう。
全員意識は失っているが、怪我をしている様子もない。
軽い脳震盪でも起こしているようだ。
( ∵) オチタノ ドウシテー
∩ ∩
( ´∀`)「機械の使い過ぎモナ。プロペラも機体もぼろぼろモナ。そうとう無理をしたモナね」
ツカイスギ ムリ オチタッター ( ∴)
∩ ∩
( ´∀`)「うんうん、そうモナ」
702
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:38:05 ID:x9X9K47Q0
男は落ちている人にまず手を触れた。
小柄で、服の肌蹴た中肉中背のごく普通の少年。
深手を負った長髪の少女。
( ω )......
川 - )......
∩ ∩
( ´∀`)「人間モナ」
( ∵) ニンゲン!
ニンゲン! ( ∴)
∩ ∩
( ´∀`)「こんなところに紛れてくるなんて変わっているモナ。ここは魔人しかいないのに」
モナーはブーンの腰のあたりを両手でつかむと、肩にしょい込んだ。
703
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:38:43 ID:x9X9K47Q0
( ∵) オモクナイ?
∩ ∩
( ´∀`)「平気モナ」
( ∴) ドウシテ タスケル
∩ ∩
( ´∀`)「それは決まり事モナ」
ブーンを乗せる位置を微調整し、モナーは言った。
∩ ∩
( ´∀`)「人間は僕たちのマスターモナ。だから歓迎するんだモナ。わかったモナか?」
( ∵) ワカッター
ワカッター ( ∴)
ふたりの丸い小人はくるくるとモナーを取り巻いた。
モナーは重症のクーを見て、肩には乗せず、機械の剥がれた装甲から橇を作って台車とした。
多少の揺れは覚悟してもらいたい、とこっそり言う。
704
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:39:33 ID:x9X9K47Q0
∩ ∩
( ´∀`)「さて、と」
男の視線は、別の倒れている人に注がれた。
(〆 ヽ)
从 ヮ 从ト......
ξ ⊿ )ξ......
やはり、眠ってしまっている。
∩ ∩
( ´∀`)「丸っこい耳の子はあの探し人モナ。
早く連れていって安心させてあげるといいモナ」
∩ ∩
( ´∀`)「くるくる髪のこの子はあそこへ運ばなくちゃいけないモナ。
ビコーズ、ゼアフォー。手伝ってくれモナ」
( ∵) ワカッター
ワカッター ( ∴)
小さい彼らは、その風貌に似あわない力強さでツンと女の子を抱え上げた。
705
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:40:08 ID:x9X9K47Q0
∩ ∩
( ´∀`)「日が暮れる前につけばいいモナ」
大きな男の名はモナー。
( ∵) ヒガ クレルト アブナイカラー
アブナイカラ ヒガ クレルマエニー ( ∴)
ふたりの小さい者たちの名は、ビコーズ、そしてゼアフォー。
三人は魔人である。
706
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:40:43 ID:x9X9K47Q0
目指すのは、西方に広がるエウロパの森、魔人の里。
( ω ) ウ......ン...
人間たちのほとんどが忘れ去ってしまった森。
その奥地を目指し、彼らはゆっくりと歩き始めた。
.
707
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:41:32 ID:x9X9K47Q0
.
第十五話 故郷と未踏 終わり
第二部 完
.
708
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:42:16 ID:x9X9K47Q0
.
────────── 予告 ─────────
.
709
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:43:01 ID:x9X9K47Q0
.
生きているということ
いま生きているということ
.
710
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:43:55 ID:x9X9K47Q0
.
ξ;⊿;)ξ「
泣けるということ
ξ^ー^)ξ「……
笑えるということ
(#゚ω゚)「 ! !!
怒れるということ
(*^ω^)「 、 ……
自由ということ
.
711
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:44:44 ID:x9X9K47Q0
.
生きているということ
いま生きているということ
.
712
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:45:23 ID:x9X9K47Q0
.
(;A;)「 っ!
いま遠くで犬が吠えているということ
(´∀` )「 。
いま地球が廻っているということ
川 - )...
「 」( ∵)(∴ )「 」
いまどこかで産声があがるということ
713
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:46:11 ID:x9X9K47Q0
从#゚∀从「 !
d(゚∀゚ )「 、
いまどこかで兵士が傷つくということ
( ゚д゚ )「 ?
ノハ^⊿^)「 」
lw´‐ _‐ノv「………… 」
いまぶらんこが揺れているということ
ミセ*゚ー゚)リ (゚、゚トソン
つ ⊂
.
714
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:46:56 ID:x9X9K47Q0
.
( -∀-)
いまいまが過ぎていくということ
ζ(^ー^*ζ
.
715
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:47:40 ID:x9X9K47Q0
.
生きているということ
いま生きてるということ 。
鳥ははばたくということ .
海はとどろくということ . . ・
かたつむりははうということ 。
. _ ,.... -‐‐
. ,...- ' ゙゙
, '´ヽ ヽ _/
・ / j´ `'ー、_ j
. / /`´ !ノ
/ '!.j
. ,!'
.
716
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:48:24 ID:x9X9K47Q0
.
|:::: |
|:::: |
|:::: |
, , l::::: l
γヽ ゝ \ /:::: l
.... ヽ:::::\ \::::/:::: '
,{:::::\\:::::\/:::: ',
::::\:::::.\\/:::: ,
人は愛するということ
|:::: / /
Y:::: / /
}:::::::: / ./
ゝ,/:::: ノ /
ゝ、/ / /
/:::: / /
ゝ,;;;ノ j
ヽ:::: /
/:::: /
/:::: /
/:::: /
/:::: /
.
717
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:49:23 ID:x9X9K47Q0
.
「ツン、僕だって知りたいんだお」
「この世界の広さを」
「だから」
「うん」
「わかってるよ」
「いこっか、ブーン」
.
718
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:50:14 ID:x9X9K47Q0
.
あなたの手のぬくみ
いのちということ
――――谷川俊太郎 「生きる」
.
719
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:51:06 ID:x9X9K47Q0
.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆
第三部
旅人と衛兵の章
☆
.
720
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:52:09 ID:x9X9K47Q0
.
────────── 続く ─────────
.
721
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/04/08(水) 22:52:41 ID:x9X9K47Q0
今回はここまで。
それでは。
722
:
同志名無しさん
:2015/04/08(水) 22:54:17 ID:iW2iehPA0
初めてリアルで見た。乙
次回も楽しみ
723
:
同志名無しさん
:2015/04/08(水) 23:35:57 ID:HCBMzo2A0
乙乙
724
:
同志名無しさん
:2015/04/09(木) 04:12:43 ID:aGpfEr/kO
乙
725
:
同志名無しさん
:2015/04/11(土) 00:52:33 ID:/Y1zN9lw0
乙
726
:
同志名無しさん
:2015/04/12(日) 09:04:15 ID:6MjGuMkg0
乙です
やっぱり言葉選びなのかな、視覚的にも綺麗だー
次も楽しみ
727
:
同志名無しさん
:2015/04/12(日) 12:13:33 ID:wO8uCTI60
おつ
728
:
同志名無しさん
:2015/04/19(日) 23:36:55 ID:YcoC/U760
追いついた!やっぱ面白いなー!
三大楽しみ作品だわ
729
:
同志名無しさん
:2015/04/21(火) 17:55:42 ID:UIQUlXWY0
ワクワク
730
:
同志名無しさん
:2015/04/26(日) 18:24:15 ID:DBViRpT60
乙ぅ
731
:
同志名無しさん
:2015/06/05(金) 01:35:50 ID:S7RU/2m20
板2で唯一の名作かつ生き残りだと思ってる!
つまり続き楽しみにしてます!
732
:
◆MgfCBKfMmo
:2015/07/20(月) 15:28:49 ID:EczTYDn.0
お久しぶりです。レスポンスどうもありがとうございます。
創作板にて番外編を投下しました。
優しい衛兵と冷たい王女のようです 番外編 『暁の綾蝶』
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1437365178/
それでは。
733
:
同志名無しさん
:2015/07/20(月) 16:53:30 ID:B8F7pzpY0
三部は創作板?小説板?
どっちにしろすっごい待ってるから!!!
734
:
同志名無しさん
:2015/09/17(木) 17:46:46 ID:r24RYa460
乙
三部期待
735
:
同志名無しさん
:2015/11/22(日) 02:57:56 ID:H.2NqNRU0
三部まだかなー!楽しみにしてるよ!
736
:
同志名無しさん
:2016/02/27(土) 14:36:38 ID:VcVyIZC60
1年近く経つのか…楽しみにしてるよー
737
:
同志名無しさん
:2016/05/04(水) 17:11:45 ID:rhJ/8TkU0
もう一年か…まだかな、楽しみにしてるよ!
738
:
同志名無しさん
:2016/06/02(木) 01:18:48 ID:hYk7q0jo0
定期巡回!
739
:
◆MgfCBKfMmo
:2016/06/10(金) 21:10:25 ID:sufKPwQg0
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/16305/1465560104/
第三部への誘導です。よろしくお願いします。
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