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( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ
1
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 12:08:05 ID:xaL22uFs0
―――― 予告 ――――
.
2
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 12:09:00 ID:xaL22uFs0
( ・∀・)「ブーン?」
もう一度、モララーは呼びかけた。
しかし、ブーンは動かない。
相変わらず、口をぽかんと開けて、目線を前に。
(;・∀・)「おい、おい!」
モララーはブーンの肩をもち、ぶんぶんと揺すった。
ようやくブーンが、まるで今気付いたとでも言うように、
言葉にならない声を発してモララーの方を向いた。
(;^ω^)「ど、どうしましたお!?」
今度はモララーが呆然とする番であった。
(;・∀・)「どうしましたって、お前……話聞いてただろ?」
( ^ω^)「あ、話……」
3
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 12:09:51 ID:xaL22uFs0
( ・∀・)「え?」
(;^ω^)「い、いえ実はその」
ブーンは何事かをもごもごと口にした。
モララーにも聞えないくらい小さな声で。
( ・∀・)「は?」
モララーはいい加減いらだって、つい強めに追求してしまった。
ブーンはますますびくついてしまう。
そしてちらちらと、前の方を見る。
そう、デレ王女の方へ。
(;^ω^)「綺麗だなと」
4
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 12:10:40 ID:xaL22uFs0
―― 第一話 ――
―― 「山での事件と秘密の任務」 ――
今夜10時から投下開始。
5
:
名も無きAAのようです
:2013/08/21(水) 12:11:45 ID:EhTt1OYs0
紳士的支援
6
:
名も無きAAのようです
:2013/08/21(水) 14:57:21 ID:ezcKPhGA0
これは期待
7
:
名も無きAAのようです
:2013/08/21(水) 21:28:54 ID:2s.aj1EQ0
支援
8
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 21:58:35 ID:BuuB5olM0
投下前にあれですが
すごい量の雷が鳴り響いておりますので
途中で投下が途切れたら停電してると思ってください(´;ω;`)
では始めます。
9
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:00:41 ID:BuuB5olM0
この世界には魔人がいて、人間と共存している。
戦争とかそういったものはお互いのために良くないという話し合いがなされたからだ。
そしてこの世に魔人が現れてから三百年、平和な日々が続いていた。
☆ ☆ ☆
10
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:01:32 ID:BuuB5olM0
―― 第一話 山での事件と秘密の任務 ――
.
11
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:02:32 ID:BuuB5olM0
少女は窓枠から外を眺めていた。
目線を下げれば城下町が見える。
あそこでは何千もの人たちが暮らしている。
もちろん少女だってそのくらいは知っていた。
しかし少女は産まれてから今まで、ずっとお城の敷地の中で暮らしてきた。
彼女は外に出ることを許されていなかった。
鳥かごの中の鳥を彼女はよく思い浮かべていた。
自分はとても大切に育てられている。重々理解してはいた。
両親はどうしても自分を危険な目に会わせたくなかったのだ。
だけど両親は、少女がどう思っているかについては考えていなかったようだ。
だから飼っている鳥と同じように、私をずっとこのお城に閉じ込める。
お城に居れば絶対安全、綺麗なまま。
12
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:03:33 ID:BuuB5olM0
少女はそれが大嫌いで、でも何もできなかった。
守りが堅過ぎるからだ。
国王はお城を堅牢なものにすることに執着していた。
数年前に母親が外の悪漢に襲われ、亡くなった。
そしてそのときから、徹底的に危険を排除しようとしていたのである。
そのため、国王は国民の中から有力な男を募ってお城の衛兵を育てていた。
この国でも屈指の実力を誇る兵士たちだ。
お城の防衛だけに利用するというのは実にもったいない。
ここが普通の国ならば、暴動が起きた可能性もある。
人の税金や、労働力を奪って何をやっているのかと。
しかし現実には、国王に刃向えるものなど誰一人としていなかった。
だからいつまでも、不公平な防衛偏重が続いていた。
そのことはますます少女の気持ちを沈ませた。
誰もかなわない国王に、自分がかなうはずないのだから。
13
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:04:31 ID:BuuB5olM0
少女は自分の鬱屈した思いをノートに書き綴っていた。
このノートはきっと誰にも見せられない代物だとつくづく感じていた。
もしも国王にこんなものを見られたら、鳥かごが穴のない鉄の箱になってしまうだろう。
それに普通の人が見てもきっと辛い。
書いている少女だって辛いのだ。
ノートを要約すれば、ただ切に「出たい」としか書かれていないのだから。
今日もまた、机に向かい、羽ペンを用いて書いていく。
何度も何度も同じ内容を、飽きもせずに。
だってそれしか考えていないのだから。
それだけを国王に伝えられれば十分なのに、どうしてできないのか。
理由ははっきりしている。
あの苦しそうな国王の姿をみたら、誰だってそっとしておきたくなる。
でも……
憤りは自己嫌悪となり、少女を苦しめていた。
このままではいずれ私は潰れてしまう。
書いている手を止めて、目を閉じた。
強く、目がつぶれるのではないかと思うほどに。
14
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:05:47 ID:BuuB5olM0
「出たい」
思わず呟いた。
ノートだけではもう限界だった。
目を閉じて、自分の願望を。
15
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:06:32 ID:BuuB5olM0
「出たい?」
聞えないはずの返答。
それは空耳ではなかった。
16
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:07:32 ID:BuuB5olM0
空気に紛れて消える煙のように微かな声。
でも確かに聞えた音。
少女は目を見開いて、弾けるように振り返った。椅子の背凭れが軋む。
少女の部屋には誰もいなかった。
寒気を感じた。
私はいったい何を聞いたというのだ。まさか幽霊とでもいうのか。
それとも幻聴だろうか。
「強い想いが聞えたよ」
先ほどよりもずっと長い文章が聞えた。
どこからでもない。頭に響いているのだと少女はようやく気づいた。
誰なのだ、いったい。
少女は思考を巡らせてその声の主を当てようとした。
たとえ町に降りれなくても、世の中の常識は知っている。
このような怪奇現象が起こる場合、その多くが魔人のせいであるとよく言われている。
17
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:08:32 ID:BuuB5olM0
ζ(゚ー゚*ζ「魔人さん?」
少女は声を出す。とても弱々しい声。
何日も人と話していなかったからこそ出せる声。
返事をする人の姿も見えないが、甲高い笑い声だけが聞えた。
「そう思ってくれて構わないよ。
でも僕を呼んだのは君だよ。僕は君の強い願いをかなえようと思ってきたんだよ」
まるで子どものような無邪気な話し方をする。
少女は不気味さを感じた。
しかしそれ以上に、魔人の声には惹かれるものがあった。
だから、話を続けることにした。
ζ(゚ー゚*ζ「願いをかなえる? ねえ、それってひょっとして」
少女はちらりとノートを見た。
羽ペンからインクが垂れ落ちており、黒い斑点が用紙に広がっている。
また、笑い声がした。
先ほどの声の主が、再び甲高い声を出したのである。
「君の願いをかなえてあげるよ」
18
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:09:32 ID:BuuB5olM0
少女の胸の奥が躍った。
怖さも不気味さもある。でも今は関係ない。
自分を苦しめる一番のものを除外できるなら、そんなものは恐ろしくもなんともない。
少女は目を輝かせた。
ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、それってとてもすばらしい提案だと思うの。
ぜひお願いをかなえてほしいんだけど、何かすることはあるの?」
この場合、きっとただではすまないとわかっていた。
物語の中で願いがかなうときは、大抵何事かの制約がつきものだ。
回数に制限があるかもしれないし、ひょっとしたら命に関わることかもしれない。
知らないうちに契約するのは早計だ。
「もちろん、あるよ。でも大丈夫、絶対に君は傷つかないよ」
それを聞いて、少女は心の奥の蟠りが少しだけ消えた。
でも油断はできない。声に集中し、続く言葉を待った。
声の主はわずかに間をおいてから言った。
「君のお父さんとお話がしたいんだ。
このお城でお仕事ができないか相談したいんだよ」
19
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:10:33 ID:BuuB5olM0
少女は今度こそ胸を撫で下ろした。
自分にとっては何も不都合のない条件だったからだ。
確かに父親、つまりここの国王は魔人に対して懐疑心が強い。
危険を恐れる正確ゆえに、不確かな力を使える魔人をなるべく遠ざけたいのだろう。
だから魔人がお城で働くことにも反対していた。
上手く魔人がお城でお勤めできるかわからない。
でも話し合うことくらいできるだろう。
ζ(゚ー゚*ζ「いいよ」
少女は快諾する。
か細いが、希望の籠った溌剌とした返事だった。
よりいっそう甲高い笑い声が、広い部屋に響く。
「ありがとう、それじゃあ、行ってくるね」
声はそう言った。
見えはしないが、きっと国王の元へ向かったのだろう。
少女は改めて部屋を見回した。
少女には不釣り合いなほどの広い空間、広いカーペット、広いベッド……
その広さこそが彼女に圧迫感を与えていた。
20
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:11:39 ID:BuuB5olM0
ようやくこの部屋を出れる。
少女はそう思い、腹の底から湧いてくる嬉しさに酔いしれた。
もし外に出たら何をしよう、まずは城下町を廻ろう。
それからもっと遠く、城壁の外、南の山でもその手前の草原でもいい、とにかく自然に触れる。
そして人々と会いたい。庶民でも、いや、誰でもいいのだ。
とにかく生きているという実感が欲しい。
それだけが望み。
自分の望みが叶えられればそれでいい。
それで国王が優しくなれば、もっともっと嬉しいけど。
日が暮れて、お城がにわかに騒がしくなった。
少女、つまりはこの国の王女の知らない遠くの部屋で、何事かが起こっていた。
21
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:12:32 ID:BuuB5olM0
そしてその日から、国王は変わった。
☆ ☆ ☆
22
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:13:32 ID:BuuB5olM0
魔人と共存すると決めたとき、人間は発展することをやめた。
わずかながらの科学力を駆使せずとも、
魔人のもつ不思議な力を利用すれば生活を豊かにすることは可能だったからだ。
微かに芽吹いていた革命の息吹も消え、人間の生活は外見上中世に戻っていた。
たとえば見た目には弱々しい石と木でできた簡素な家でも、
不思議な力によって守れば長持ちし、雨も風も火災さえも防ぐことができた。
だから必要以上の発展をする必要がなくなったのである。
それはこの国でも同じだった。
ただ、現在の国王が頑固に魔人を拒んでいた頃は公に不思議な力を得られず、
生活に窮した国民の有志によって科学技術も少しは用いられていた。
とはいえ発展の止まった時代から、ほんの少しだけバージョンアップした程度の弱々しい技術だが。
そんな状況では魔人の力を使いこなす他国から舐められてしまう。
国は現在の国王が治めてすぐに消極的な鎖国となった。
他の国との関わりを薄れさせて細々と生きていたのである。
しかし国王の変化はこの事情を変えてくれた。
不思議な力の恩恵に与ることができたのである。
23
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:14:32 ID:BuuB5olM0
国王はより外交に積極的になった。
いままでの国王からは考えられないほど人と接し、外の世界に触れるようになった。
王女もそれに同伴して世界を回った。
外から見て、その姿はとても輝いて見えた。
彼女自身がその外交を心より楽しんでいるふうであった。
魔人をお城に入れてから3年、国も城下町も活気づいた。
未来は明るい、そんな予感で溢れていた。
だけど、事件が起こった。
南の山で他国の商人の死体が発見されたのである。
死体は衛兵により見つかり、国王や専門家との話し合いの末秘密裏に処理された。
その行いから伺えるように、国王は本当はその死について秘密にしておきたかったのかもしれない。
しかし噂と言うのは一旦火がつけば止まらない。
少しでも商人の死について知った者から、次々と話が広まっていった。
国中の噂となるのはあっという間だった。
24
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:15:32 ID:BuuB5olM0
そして、物語は一人の衛兵を主人公として始まる。
☆ ☆ ☆
25
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:16:32 ID:BuuB5olM0
( ゚ 々゚)「なんだよ、なんか文句あるのかよ」
大柄な少年がぼやいた。歳は15であり、まるっとした体形。
彼はこのお城の衛兵見習いをしていた。
見た目からも口調からも、その粗暴さが伺えた。
( ゚ 々゚)「俺はお前の持っている剣が錆びてたり、曲がっていたりしないか見てやろうってんだ。
善意で点検してやろうって言ってるのに、なんでそんなに嫌がるんだよ。人の善意は受け取るべきだろ」
大柄な少年はしたり顔をして彼を睨みつけていた。
その右手には、見習いが持つにしては一回りも二周りも高級な剣が握られている。
彼に対峙している少年は、その剣の高級さもさることながら、
自分にとっても大切なものであるがゆえに、なんとか抵抗して剣を奪い取ろうとした。
(;^ω^)「やめてくれお、それは先輩から貸してもらっていた大切なものなんだお。
それが無くなったり傷ついたりしたら僕が怒られちゃうお」
ひどく震えた声が、彼の口から出てきた。
自分としてはちゃんとはっきり言ったつもりなのだ。
でも、自分より随分と大きい少年を前にして、気持ちが萎縮してしまっていた。
出てくる声も、まるで人の前に出てきた小動物のように震えきっている。
情けないことこの上ないと自分でも思った。
26
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:17:32 ID:BuuB5olM0
大柄な少年は鼻を「ふん」と鳴らして鋭い目つきで彼を睨み、それから大きく口を開けた。
大きな声がくると彼にもわかったが、避けられなかった。
(#゚ 々゚)「だから! なんで俺がこれを無くしたり傷つけたりするって決めつけているんだよ!
お前本当に性格が悪いな。もっと人を信頼するってことをしろよ、なあ」
大柄な少年は周りにいた取り巻きたちに同意を求めた。
まってましたと言わんばかりに、取り巻きたちは一斉に首を縦に振る。
気弱な少年は心苦しかった。
性格が悪いなどとマイナスな言葉を掛けられると、どうにも思考が鈍ってしまう。
僕は決してそんなひどい人じゃない、僕はただ自分の主張を……どうかわかって……
残念ながら言葉は出なかった。それこそがまさに彼の性格によるものだった。
でも、どうにかして剣を取り返したい。
震える手をのばす。
大柄な少年は急いで剣を抱きしめ、威嚇する。
そして急に、わざとらしく溜息をついた。
27
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:18:32 ID:BuuB5olM0
(#゚ 々゚)「ああもう、わかった。今晩返すさ! それでいいだろ?
何もこの剣を売っちまおうとかそういうんじゃない。
ちゃんと夜にはお前の部屋に行って返すよ。そうすれば明日から先輩にも顔向けできる。
そうだろ? なんの問題もないじゃないか」
(;^ω^)「本当に、すぐ返すのかお?」
大柄な少年はここぞとばかりに目を輝かせて、大きく身振り手振りを付け加えて肯定を表した。
(*゚ 々゚)「返す返す、ちょっと写真ってのを撮るだけなんだから!
最近魔人の知り合いが力使ってそういうことやってくれててさ、
俺たちもせっかく写真に残せるならかっこつけようって思ったわけよ。
な? これくらいならすぐ返せるだろ」
気弱な少年は、なるほどと納得した。
大柄な少年の言っている主張は正しいと思った。
たとえ途中で事件があったとしても、その魔人とか彼らを責めれば問題は解決する。
自分に悪いことが降りかかる恐れはない。
そうと決まれば争うことも無い。
彼は何よりも争いが嫌いだった。
争いは何も生まない、ただ痛いだけだ。苦しいだけだ。怖いだけだ。
28
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:19:33 ID:BuuB5olM0
(;^ω^)「じゃ、じゃあそれ」
彼が少しだけ話しだした時だった。
(;゚ 々゚)「痛っ!」
大柄な少年の頭部に、気持ちのいい音を立てて棒状のものが降りかかった。
良く見ればそれは、見習いが練習で使う木刀であった。
( ・∀・)「そいつは承諾できないな」
悶絶する大柄な少年をよそに、先程木刀を振りかざした男が言う。
栗色の髪の下で、鷹のように鋭い目線が光る。まっすぐに彼を射止めていた。
( ・∀・)「な、ブーン」
気弱な少年こと、ブーンは名前を呼ばれたことで焦り、目線を反らした。
しかし青年の目線が自分に突き刺さっていることは紛れもない事実であり、もはや逃れられる代物ではなかった。
ブーンはわずかに唇を震わせて、「はい」とだけ答えた。
(;゚ 々゚)「お、おいさっき約束したのとちが、あう」
( ・∀・)「さっきのはまだ返答してないだろ。
さ、早く言ってくれ。俺はブーンに用があるんだ」
29
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:20:32 ID:BuuB5olM0
木刀が再び振りかざされていた。
大柄な少年はそう言われると、舌打ちした。
それでも怒られるのは怖いので、さっさと取り巻きを連れていってしまう。
ブーンと、栗毛の青年だけが道の上に残った。
お城と寄宿舎を結ぶ連絡通路の上である。
「モララー先輩」
ブーンが言ったのは、栗毛の青年の名前である。
( ・∀・)「まったく、いまだにお前はなよなよしちゃって。
寄宿舎にいたころから成長していないのか」
(;^ω^)「面目ないですお」
( ・∀・)「……確かお前と出会ったときもこんなことしていなかったっけ」
(*^ω^)「寄宿舎に来てすぐ、先輩方に絡まれたときですおね。
あのときもモララー先輩が来なかったら大変なことになっていましたお」
(;・∀・)「誇らしげに言うなって」
(*^ω^)「すいませんですお」
30
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/21(水) 22:21:32 ID:BuuB5olM0
モララーが寄宿舎を出て、晴れて衛兵となってから2年。
彼は現在も、期待の新鋭の衛兵として名を馳せていた。
モララーは頭をかいて、ブーンと向かい合った。
( ・∀・)「やれやれ、お前ももう少ししゃんとしてくれたら俺も安心できるんだがな」
ごまかしてはいたものの、その言葉を聞いてさすがにブーンは頬が熱を帯びるのを感じた。
いつだってそうだとブーンは思った。
いつだって自分は、今一歩のところで自分の主張を引っ込めてしまう。
そして最後にはモララーみたいに、もっとはきはきとした人たちに助けられる。
( ^ω^)「でも、だって……」
それでも、ブーンにも言い分はあった。
手を出さない理由。
( ^ω^)「怪我させたらきっと痛いお」
すると、モララーががっくりと肩を落とした。
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