[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
('A`)百物語、のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:13:40 ID:adaBwzoE0
最初に言い出したのは、誰だっただろうか?
――今となっては、もうはっきりと思い出せない。
でも、確かに誰かがそれを言い出して、俺たちはこうして集まっている。
.
2
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:27:16 ID:adaBwzoE0
百物語。
蝋燭を百個用意して灯し、怖い話を一つするごとにその蝋燭を一つずつ消していく。
江戸時代にはもう既にあったとかいう、超定番の怪談スタイル。
――俺たちは、まさに百物語の真っ最中だった。
( )「おっおー、次はダレが話すお?」
( )「僕はパスだからな」
( )「えーと、僕は……もう少し考えてからで」
新月の夜。
ミルナの爺さんの家を借りさせてもらって用意した、三つ続きの和室。
その一番奥の部屋には、百本の蝋燭を並べた馬鹿でっかい火鉢が用意してある。
しかし、俺達のいる手前の部屋。……明かりを落としたここは、同じ部屋にいる相手の顔が見えないほどに暗い。
川 )「じゃあ、私が話でもしようか」
部屋の中に横たわった闇を切り裂くように、凛とした声が響いた。
顔が見えなくても、その声を聞けば誰かすぐわかる。
この声は、クーのものだ。
.
3
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:28:24 ID:adaBwzoE0
……ブーンの野郎。人を呼ぶって言ってあちこちに連絡してたのは知っていたが、まさかクーまで呼んでるとは思わなかった。
年頃の男と女がこんなに暗い一室に一緒って、すげぇ問題があるんじゃないか?
しかも、クーは美人。間違いを起こすなという方が難しいぞ、これ。
(;'A`)「クー、お前。ここは野郎どもの巣窟だぞ」
川 - )「大丈夫だ問題ない。
なぜならば、ここにはツンもいるからな。女は私だけじゃないぞ」
ξ; )ξ「……あたし達、けっこう前からいたつもりなんだけど気づいてなかったの?!」
知らなったというのも癪なので、俺は手近にあった菓子にかじりつく。
暗くてよく見えなかったが、この硬さはきっとせんべいだ。
バリバリとそのまま噛み砕く。暗い中で食う菓子は、その美味さを半減させているような気がした。
( ゚д゚ )「俺は出迎えたから知っているが、これだけ人の出入りが多いと仕方がないな」
('A`)「ブーンのせいだぞ。一体、何人呼んだんだよ」
暗い闇の向こうから、「おー」という声が上がる。
この個性丸出しの声は、ブーンだな。
.
4
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:30:05 ID:adaBwzoE0
( )ノ「お、おー? えっと、覚えてないお!!」
ブーンはいつも通りの、のんびりとした口調で声を上げた。
普段ならば、誰かしらブーンの声に笑いを上げるのだが、さすがに今日はそうというわけにはいかなかった。
(; )「え、嘘。本当にわからないの?」
(; )「おー。だって、たくさん人がいないと、100話なんてムリだと思って」
ξ; )ξ「本当にアンタらしいというか、何と言うか……」
周囲を見回してみるが、暗い部屋の中では誰がいるのかどころか、何人いるのかさえわからない。
点呼でもとればはっきりするだろうが、実行するのは気が引けた。
せっかくの百物語なのだ。わざわざ、水を差す必要はない。
(;'A`)「……」
――嘘、だ。
本当は、そうじゃない。
.
5
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:31:32 ID:adaBwzoE0
もし、この中に得体のしれないナニカが紛れ込んでいたら……と、思うと、怖かったのだ。
百物語で、百の話を終えると、暗闇の中に何か恐ろしいものが現れる。
それは、百物語をしようとする奴なら誰もが知っている、言い伝えだ。
俺はもちろん、そんな言い伝えなんて信じていない。
信じていないのだが、部屋の中に漂う闇と空気は、言い伝えをそのまま信じ込ませてしまうような凄みがある。
( )「まあまあ、別にいいと思うんだからな!」
(; )「でも、人の家を借りてるわけだからマズイと思うよ」
( )「おー…」
今はまだ、蝋燭を立てた火鉢のある部屋から、かすかに明かりが届いている。
その光のお陰で、辛うじて目の前にいるミルナの姿や、人影が見えている。
しかし、その明かりがなくなったら、どうなるのか……。
(;'A`)「……」
背筋を汗が伝っていく。
わけもなく心臓が早く動き出し、口の中が乾く。
指先で近くに置いたペットボトルを探り、口をつける。
……冷やしておいたはずのジュースは生温く、ただ気持ち悪かった。
.
6
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:34:19 ID:adaBwzoE0
川 )「盛り上がっている所悪いが、話を始めてもいいかな?」
――俺の思考を、現実に引き戻したのはクーだった。
彼女の声に、ざわざわと騒いでいたブーンやショボンの言葉が止まる。
それから少し時間が経つ頃には、辺りは完全に静かになった。
痛いくらいの沈黙の中で、クーは再び口を開いた。
川 - )「この場所で話すのにふさわしいかどうかはわからないが、せっかくの機会だ」
そう告げるクーの声には、迷いが感じられた。
俺の知っているクーはいつも、はっきりとした口調で理路整然と話す。
だからだろう、彼女の様子を珍しいと思ってしまった。
川 - )「私にはあれが何だったのか、わかっていない。
単なる偶然だったのか、それとも何かの力が働いたのか……」
でも、自分の中で整理をつけるためにも話させてくれと、クーは告げる。
その言葉に、答えるものは誰もいなかった。
いや、誰も彼女の声を邪魔をしようとしなかった、と言い換えた方がいいか。
.
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板