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( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです
237
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 18:55:32 ID:06z1brEQ0
( ^ω^)「?」
ふと、住宅街の中に青色と十字架のオブジェが目立つ教会を発見した。
( ^ω^)「あれは……確か」
直後
奇妙な音が鳴り響いた。
ズチュンッと
静かだが鋭く、何か得体の知れない恐怖を感じるその音は
川 ゚ -゚)「……内藤!」
素直クールはサイドミラーから見える内藤を見て異変に気付く。
( ^ω^)「……え?」
川 ゚ -゚)「頬から血が出ている!」
それを聞いて内藤はそっと自分の頬に手を当てる。
指が真紅に染まる。
238
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 18:56:56 ID:06z1brEQ0
何かで切った?
いや……先ほどの音からするに
( ^ω^)「……狙撃!?」
窓から見える手前のビルの屋上に何やら光り輝くものを、内藤は瞬時に発見した。
(´・ω・`)「狙撃だぁ!?
こんな時にかよ!」
川 ゚ -゚)「よく見抜いたな
伏せろ!」
素直クールは冷や汗をかきながらそう訴える。
車内の4人はそれを聞いて瞬時に身を伏せる。
川 ゚ -゚)「ちょっと借りるぞ」
バックミラーを傾け、巧妙にビルの屋上の様子を確認する。
予想は当たった。
こんな時に命を狙ってくるスナイパーなどいない。
むしろ化け物を狩る側ならいるだろうが
(´・ω・`)「素直クール、そいつは何者だ!」
川 ゚ -゚)「仲間だよ……要するに」
川 ゚ -゚)「トラブッているご様子だな」
239
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 18:58:09 ID:06z1brEQ0
狙撃手の正体とは自衛隊員だった。
なのに同僚である素直クール達を狙うその理由。
単純だった。
「痛い!痛い!……糞!誰かぁああああ!」
「ゴキュッゴキュッ、ヨウジョノパンツオイシイ」
「ルイズ!ルイズ!ウワァアアアアアアア」
化け物に食われていた。
恐らくは避難所の周辺で暴徒や化け物対策に配備された隊員だったのだろう。
だが化け物に襲われる事でパニック状態になり誤射。
堤防側を見張っていたため銃口が装甲車に向けられたのである。
(´・ω・`)「だがよぉ!この車はライフルの弾ごときじゃ落とされやしねぇぜ!」
川 ゚ -゚)「いいや、アンチ・マテリアル・ライフル(対物ライフル)のようだ
こんな付け焼刃のタイヤと装甲じゃ貫かれるよ」
川 ゚ -゚)「飛ばせるだけ飛ばすしかない
神に祈ろう」
素直クールは緊迫した表情でそう告げる。
ボスゥッ
240
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 18:59:05 ID:06z1brEQ0
午後1時47分
('A`)「おっぱいだぁ?」
ドクオは唖然となる。
( ゚∀゚)o彡゜「俺なりに考えたんだぜ?
金や命よりはマシだとおもわねぇか」
二人は天井裏の隅で体を伏せる。
目の前にいたのは、皮ジャンを身に纏ったヤンキーだった。
時代遅れのリーゼント。
本当に現代人なのかと疑いたくなるような格好……
('A`)「しかもおっぱいて……
何者なの?あんた」
( ゚∀゚)o彡゜「潜伏者だが、詳しい素性は言えねぇ
名はジョルジュ長岡……それだけは告げておくぜ
あの神父が教徒を皆殺しにする前からここにいる
避難所へ向かう機会を伺っていた」
男は懐からリボルバー式拳銃を取り出し、回転筒に弾を挿入する。
('A`)「あ?銃?」
( ゚∀゚)o彡゜「兄貴からの貰い物だぜ
言っとくが本物だ」
('A`)「ほ、本当に何者だよあんた」
241
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:00:10 ID:06z1brEQ0
奇妙な男だった。
革ジャンにリーゼント、まるで数十年前のヤンキーのような服装。
だいたい何故こんな場所にいるのか?
( ゚∀゚)o彡゜「俺の主観情報からいやぁテメェの母親のおっぱいはかなり良い
左右対称で隆起の仕方がベストオブベスト
まだ裸体を確認していないが故、乳輪、乳房、乳首の正確な情報はないが
おっぱいはデカければ良いものじゃない
内部は乳腺小葉が程度に分かれていなければ綺麗な乳房にはならねぇ
デブとの違いはその」
不意にドクオが男の胸倉を掴む。
('A`)「おっぱいなんぞ見る暇があるなら居場所教えろ!」
恐ろしい剣幕でそう訴える。
( ゚∀゚)o彡゜「……まぁそう邪険にしなさんな
言っとくがここは安全地帯じゃねぇんだ
そしてあろう事か俺は神父にここにいる事を知られてしまった」
( ゚∀゚)o彡゜「上ってくるさ、必然的にな」
ガタンッ
('A`)「……」
ドクオはその音を聞いて背筋が凍る。
242
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:01:41 ID:06z1brEQ0
先ほどドクオ達が入ってきたフタは閉まったままである。
('A`)「ど、何処から!?」
( ゚∀゚)o彡゜「そりゃあ俺達が逃げられない方法で攻撃してくるだろうよ
何処かに隠れてんじゃないか?
下へ降りる前に決着をつけるつもりで来るだろうからな」
( ゚∀゚)o彡゜「お前の母親は生きているぜ
それだけは保障する、だから今は奴から逃げ切る事だけを考えな」
('A`)「……あんたは正直得体が知れなくて怖いけど
感謝してるよ」
ドクオは汗だくなり、本心を感じさせる表情でそう告げる。
('A`)「……思えば、町が化け物だらけになる事事態がまず不思議だけど
それ以上にこんな屋根裏で身を潜めている事が一番の不思議だよ
母親は何処に?」
( ゚∀゚)o彡゜「礼拝堂だぜ
ここは廊下の真上にあたるが、入り口からは近く
そして礼拝堂が最も遠い」
( ゚∀゚)o彡゜「多少の苦労が……」
ドクオがふと向こうの柱を凝視する。
243
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:02:32 ID:06z1brEQ0
('A`)「……」
そして無言でリーゼントの男の肩を叩き、合図をする。
( ゚∀゚)o彡゜「……」
入り口の方向にある柱の角から、聖剣の先端と思しきものが見えていた。
ドクオはそれに対して銃を撃てというしぐさを行う。
しかしジョルジュは手を横に振る。
何故?とドクオは首を傾げる。
( ゚∀゚)o彡゜「罠だ……やめとけ」
小声でそう告げた。
罠だと?
('A`)「何の保障があんだよ
どう見ても隠れてんじゃねぇか」
( ゚∀゚)o彡゜「黙ってろ
テメェは礼拝堂に行く事だけ考えてな」
('A`)「……」
それを聞いてドクオはカッとなる。
もしこれで本当に隠れていたなら大損だ、罠なら罠でいい。
カッターを手に持ち、後方へとゆっくり歩み寄る。
244
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:03:42 ID:06z1brEQ0
もしこいつが神父なら、背後からブッスリと突き刺してやる。
殺人だがこれは正当防衛だろう。
許せねぇ……俺はこいつを絶対に許せねぇ
こいつだけは!
( ゚∀゚)o彡゜「おい!」
('A`)「……えっ?」
……罠だった。
聖剣はロープでぶら下げられ、わずかに見えるよう計算して仕掛けてあった。
背後からドルルルルゥンッと、何かエンジンをかけるような音が鳴り響く。
ヤバい……ッ
明らかに感じる壮絶な危機感。
首筋からケツまで突っ走る強烈な寒気。
( ゚∀゚)o彡゜「糞!」
ジョルジュは素早くドクオをタックルする。
直後
ギュィイイィィィイインッッとえげつない音が鳴り響く。
柱が真っ二つになり、ジョルジュは肩から血が吹き出す。
('A`)「ひ、……ひぃ!」
245
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:04:52 ID:06z1brEQ0
( ゚∀゚)o彡゜「んの野郎!
走れ!ハムになりたくなかったらな!」
ジョルジュは素早く拳銃を構え、素早く身を屈めて走る。
('A`)「……チェ、チェーンソー?」
ドクオは半ば放心状態で走り始める。
( ゚∀゚)o彡゜「俺が銃を持ってて良かったな!
死んでたぜ?」
('A`)「……ほ、本当にすまなかった
従うよ」
( ゚∀゚)o彡゜「それでいい」
ジョルジュは笑顔でそう告げる。
246
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:06:03 ID:06z1brEQ0
二人は近くの遮蔽物で身を屈む。
向こう側にニダーの姿が見える。
狂気的な姿だった。
チェーンソーを持つ神父。
幾人もの人や化け物を殺したのか、刃先は赤く染まっていた。
<ヽ`∀´>「お前か……お前だったんだな
だから奴が来たのか」
( ゚∀゚)o彡゜「殺人鬼は嫌いだ
だから話すつもりもないね」
<ヽ`∀´>「私はこの土地の所有者だぞ?
無許可で在宅しておきながら……」
( ゚∀゚)o彡゜「人間ぶっ殺して平然としてるような有罪判決野郎に言われたくねぇな」
<ヽ`∀´>「元より今のご時勢に法律など存在するものか」
ニダーもまた遮蔽物に隠れる。
ジョルジュは手持ちの鏡で神父の様子を確認する。
('A`)「し、信じられねぇ!
ありゃあ神父じゃねぇ!化け物だ化け物!」
( ゚∀゚)o彡゜「……おいドクオ」
('A`)「?」
( ゚∀゚)o彡゜「俺と野郎は一対一だ
ならばテメェに協力願うしかねぇ
生き残って母親と会いてぇなら多少の冒険は覚悟しやがれよ」
247
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:07:12 ID:06z1brEQ0
( ゚∀゚)o彡゜「奴は銃を持っている
チェンソーを使う事は恐らく個人的趣味
一見俺の方が有利に感じるが、その実は五分五分だ」
( ゚∀゚)o彡゜「奴は一般人たるテメェを蛇足程度にしか思っちゃいないだろう
あの表情に驕りを感じる、実際あんな姿を見たら萎縮しちまうからな
そういう奴には……予想外の行動を行うってのが一番だ」
( ゚∀゚)o彡゜「テメェが殺せ」
('A`)「……俺が?」
ジョルジュは先ほどさり気なく頂戴した聖剣をドクオに手渡す。
ダァンッ
('A`)「!?」
突然ジョルジュがリボルバーを発砲する。
警戒態勢をとったのか、ニダーの姿を一瞬だけ視界に捉える。
( ゚∀゚)o彡゜「俺が拳銃でひたすら威嚇する
そのスキにテメェは忍び寄って斬り殺せ
聖剣で悪人を殺すってんだから大したファンタジー小説だぜこれは」
248
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:08:44 ID:06z1brEQ0
('A`)「……俺が?」
それを聞いてドクオは手汗が出る。
( ゚∀゚)o彡゜「心配すんな、テメェを撃たせはしねぇよ
奴にそんな余裕はあたえねぇ」
ジョルジュは笑顔でそう告げる。
('A`)「……くれぐれも聞くが、本当にあんたは何者なんだ」
( ゚∀゚)o彡゜「助っ人さ」
直後、リボルバーの銃口がニダーへと向けられる。
まるで映画のような熾烈極まる銃撃戦が始まった。
<ヽ`∀´>「ぐ!」
ニダーの頬を銃弾がかすめる。
<ヽ`∀´>「何なんだあいつは……!
何故この国でコルトパイソンなど所持している!」
<ヽ`∀´>「だが……」
彼はしてやったりな表情で、武器をチェーンソーから拳銃に変える。
249
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:09:50 ID:06z1brEQ0
( ゚∀゚)o彡゜「行け!」
ジョルジュがドクオのケツを蹴り、無理やり攻めに行かせる。
( ゚∀゚)o彡゜「ぐっ!」
相手の弾が跳弾し目前の木の柱を抉る。
その破片が目に入り、数秒ほど視界が遮られる。
やべぇ!
涙が溢れ、ぼやけてはいるが景色が少しずつ見えてくる。
……とその時
( ゚∀゚)o彡゜「ん?」
何か小さいものが四つんばいでこちらに接近してくる。
まさか!
( ゚∀゚)o彡゜「赤ちゃんか!?」
「ハーイ」
「チャーン」
それは赤ん坊だった。
紫色に変色し、血の涙を流している赤ん坊が次々に接近する。
250
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:11:03 ID:06z1brEQ0
しかも一匹だけではない。
「ハーイ」「チャーン」「バブー」
4、5匹の不気味な赤ちゃんがハイハイとは思えない速さでこちらに接近してくる。
なかなかに気持ち悪い光景である。
( ゚∀゚)o彡゜「この野郎ぉおお!」
ピンチだった。
神父は柱の影で静かにほくそ笑んでいる。
ジョルジュはとにかく発砲した。
「ブゥビュッッ!」
先頭にいた赤ん坊は脳みそをぶち撒けて即死する。
続いて銃口を二匹目に向ける。
だが
( ゚∀゚)o彡゜「糞!」
リロードが必要だった。
時間稼ぎのために残り3匹をひたすら蹴り飛ばす。
<ヽ`∀´>「フフ……忘れてはいないか?」
( ゚∀゚)o彡゜「……ぐ」
251
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:12:05 ID:06z1brEQ0
<ヽ`∀´>「弱いもんだな、たった一人の人間なんて」
ダァンッ
( ゚∀゚)o彡゜「!!」
ジョルジュは腹部に銃弾を受け、腹を抱えて倒れ込む。
('A`)「……ジョルジュ?」
ニダーの背後まで来ていたドクオがふと足を止める。
撃たれた?
その僅かな動揺が、彼の攻撃の隙を無駄にする。
<ヽ`∀´>「何故君がここにいる?」
ニダーとドクオの目が合う。
<ヽ`∀´>「……」
('A`)「……ぐっ」
252
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:13:09 ID:06z1brEQ0
<ヽ`∀´>「……おい、まさか奇襲するつもりだったのか?
その剣で私を貫くつもりだったのか
聖職者に対して何と無礼な奴なのかね」
('A`)「やかましい!
赤ん坊を化け物にして利用するクズ野郎に言われたくねぇよ!」
<ヽ`∀´>「……策略と言ってくれまえ
君達は他の奴等と違ってしぶといからねぇ
殺すにはこれしかなかったんだ」
ニダーは無表情で銃口をドクオに向ける。
('A`)「……糞ッ」
その場から瞬時に逃げ出そうとするが
たかが人間の引き金を引く行為など、1秒もかかりはしない。
ドクオが殺されるのは目に見えていた。
銃声は鳴り響いた。
……しかし
253
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:15:09 ID:06z1brEQ0
<ヽ`∀´>「……んっぐっふ」
倒れたのはドクオではなくニダーだった。
目を大きく広げ自分の腹を凝視したと否や、聖衣が血で染まる。
そして
ドクオの前方へゆっくりと倒れ込む。
( ゚∀゚)o彡゜「倒れて当たり前だぜ
内臓がグチャグチャに抉れちまってんだからな」
発砲したのはジョルジュだった。
回転式弾倉がグルリと回し、リボルバーから空薬莢を落とす。
('A`)「ジョルジュ……お前!」
ジョルジュは笑顔で腹を見せる。
服の隙間から黒色の防弾チョッキが顔を出していた。
('A`)「死んだふり……してたのか」
( ゚∀゚)o彡゜「割と用心深い奴だったからだ
これ以外に手段がなかった」
ゆっくりと立ち上がり、化け物と化した赤ちゃんの死体を払いのける。
254
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:16:48 ID:06z1brEQ0
<ヽ`∀´>「ハァ……ハァ……アグ」
想像を絶する激痛にもだえ苦しむ。
腹部からは破裂した内臓がビュルリと溢れ出し、血がトプトプと吹き出す。
それでも理性はあった。
ニダーは這いずりながらひたすら逃げようとする。
しかし
<ヽ`∀´>「がぁっ!」
手の甲をジョルジュが踏み、動きを抑える。
( ゚∀゚)o彡゜「殺される側の気持ちがわかるかい?」
悪魔のような表情で見下し、リボルバーの空薬莢をパラパラと落とす。
('A`)「ジョルジュ……」
( ゚∀゚)o彡゜「選択肢を与えてやる
このまま放置されて死ぬか?
テメェが殺した犠牲者共と同じ運命を辿るか?」
ジョルジュはチェーンソーを掴み、エンジンを入れる。
ドルルルルルルッという音と共に刃が尋常ではない速さで回転を始める。
255
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:18:10 ID:06z1brEQ0
('A`)「……」
ドクオは何も言わなかったが、今はこの人物以上にジョルジュが狂気的に感じた。
<ヽ`∀´>「ハァ……ハァ……助けてくれ!」
ニダーはジョルジュにひたすら縋り付く。
<ヽ`∀´>「もうこんな真似はしない!
武器は君達に渡すよ!
拘束してくれたって構わない!」
<ヽ`∀´>「どうか命だけは助けてくれないか!?
頼む!私を避難所に連れて行くだけで」
( ゚∀゚)o彡゜「嫌だね」
ジョルジュは冷酷な表情でそう告げる。
( ゚∀゚)o彡゜「別に恨みなんてねぇが
ここでテメェを助けるのは愚かな行為だ」
<ヽ`∀´>「……た、頼む!」
( ゚∀゚)o彡゜「『もうこんな真似はしない』
人間はどんな事でも関係なく口に出す事ができる生き物だ
言葉に確固たる真実性などありはしない
言っとくがこれはテメェがさっきほざいてた宣言を丸ごと返してるだけだぜ」
('A`)「ジョルジュ……」
256
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:19:12 ID:06z1brEQ0
この男は強く、賢く勇敢だった。
だが……何か無慈悲すぎるものを持っているような気もした。
( ゚∀゚)o彡゜「どの道そんな怪我じゃ何処の避難所もアウトだ
ウィルスとも噂される本件の大災害もある
内臓粉砕した野郎なんざ、化け物生産機の一つにすぎねぇからだ
故に提供する選択肢は二つ
放置か、死か」
<ヽ`∀´>「……ハァ……ハァ」
( ゚∀゚)o彡゜「早く答えな!
ハムで決定……」
('A`)「俺が連れて行く」
ドクオは冷や汗をかきながら、真剣な表情でそう告げる。
( ゚∀゚)o彡゜「……何の冗談だ?」
('A`)「じょ、冗談でも何でもない
本当だ……本当の意見だ」
ドクオは地上へと降り、救急セットを持って来る。
そして簡易ながら止血のために包帯を巻く。
<ヽ`∀´>「……」
処置される最中、ニダーは感傷的な気分になる。
257
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:20:00 ID:06z1brEQ0
('A`)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「そいつは死体集めの性癖を持ったゲロカス野郎だぜ?
便器のタンカスみてぇな殺人鬼をテメェは助けるのかよ
そんな野郎、俺は吐き気がする程大嫌いだが」
('A`)「……」
ドクオは無視して処置を続ける。
( ゚∀゚)o彡゜「……勝手にすりゃあいい」
ジョルジュは呆れたように入り口の方へ歩き始める。
('A`)「何処へ?」
( ゚∀゚)o彡゜「ホスピタルだよ
ヤボ用があるんで、俺はサヨナラさせてもらうぜ」
('A`)「……ジョルジュ」
( ゚∀゚)o彡゜「?」
('A`)「本当にありがとう
無事避難所で会えたら、この件のお詫びがしたい」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュは無表情のまま、前方を向く。
('A`)「あと……もし、でいいんだ
ニヤニヤした猫みたいな口の奴を見つけたら教えてくれ」
258
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:21:06 ID:06z1brEQ0
( ゚∀゚)o彡゜「あ?……猫?」
('A`)「語尾に『お』を付けるちょっと変わった奴なんだが
もし……出会えたらドクオは避難所にいると言ってくれないか?」
('A`)「きっと、俺なんかに比べたら賢くて凄い奴だから
絶対会えると思うんだ!……そのうち」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュは無言で手をおっぱいの形にし、教会を出て行く。
('A`)「……確か、古代中国では星同士を結んだ形を星官と呼び、
主要な星官にもとづいて分けられた星空の区画は星宿と呼び崇高していたらしいんですよね」
<ヽ`∀´>「……」
('A`)「星の知識です。
小学生の時は内藤とずっとあなたの話を聞いてましたから
おかげで僕達は友達の間じゃ博士扱いでした」
ギュッと包帯を締め終わる。
('A`)「殺人性癖以上に、子供が好きだったんでしょ?
でなきゃ俺達をあんなに慕ってくれるわけないじゃないですか」
259
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:23:00 ID:06z1brEQ0
<ヽ`∀´>「……」
ニダーは何を考えているのかわからない表情で、天井をただひたすら凝視する。
('A`)「どうであれ……俺は感謝してるんです
そりゃあ、こんな事許される行為じゃありませんが
……というか、こんだけ大怪我してりゃあもう殺戮する余裕もありませんよね」
('A`)「じゃあ、俺が助ける事に問題はないと思います
……初めは怒りで頭がいっぱいだったけど」
('A`)「俺はやっぱりあなたを殺せません」
ドクオは悲しげな表情でそう告げる。
その時
<ヽ`∀´>「……そ……う」
ニダーは老人のように衰弱した声で囁き始める。
('A`)「?」
<ヽ`∀´>「か……じゃあ」
<ヽ`∀´>「死ねよ」
260
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:23:52 ID:06z1brEQ0
ブゥンッ
懐に隠し持っていたナイフをドクオに向かって勢い良く振り上げる。
生々しい音と共に肉片と血が飛び散る。
<ヽ`∀´>「クックックッ……私が更正するとでも思ってんのか!?
これだから殺しはやめられねぇ!
信じてやがんだよ!糞みてぇなスペックの脳みそでよぉお!
人間を疑う事をしらねぇデク人形みてぇな連中がよぉ!」
<ヽ`∀´>「敗因はただ一つ!アイツの弟の存在よぉお!
化け物がとんでもねぇ化け物を生み出しやがって!
テメェだけならこの有様よぉお!クックックッ!」
<ヽ`∀´>「最後に笑うのはこの私だぁぁああああああああああああああッ!!!」
ニダーは血しぶきを全身に浴びながら、盛大に雄たけびする。
261
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:25:24 ID:06z1brEQ0
午後2時6分
(´・ω・`)「畜生……何でこうなっちまうかね」
チカチカと点滅する蛍光灯。
待合用の椅子で塞ぎ込むショボン。
壁を掻き毟る音、地獄の亡者のような無数のうめき声。
正面入り口を塞ぐ机の即席バリケード。
床に放置された輸血パックや注射器。
もう見慣れた肉片や血痕。
放置されたストレッチャー(患者を運搬する器具)。
そこに乗せられた遺体は、心臓にナイフを突き刺され痙攣しており
昼間であるのにも関わらず施設の中は暗く静か……
診療室からは何かが這いずる音が聞こえる。
川 ゚ -゚)「そう落ち込むなショボン
どうであれ私達全員が無事であった事が一番の幸福だ」
素直クールは後ろ髪を纏めポニーテールにする。
そして腰に手を当てて施設内のマップを確認していた。
( ^ω^)「しかし……皮肉なもんだお
あと道路を二つ程越えれば避難所だってのに」
( ^ω^)「まさか病院で立てこもる事になるとは……」
262
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:27:03 ID:06z1brEQ0
ξ゚⊿゚)ξ「……けど、病院なら医療器具があるし場合によっては」
川 ゚ -゚)「駄目だ。恐らく使える物は全て避難所の連中に奪われているだろう
……そして、病院だ
怪我人病人感染者全てがここに集まる」
川 ゚ -゚)「覚悟はできているか?」
四人の乗っていた装甲車は狙撃手の誤射によってタイヤがパンク。
対物ライフルの威力は装甲車の耐久力を大幅に超え、車体はバランスを失い大破。
グラグラと揺れながら近くの建物前で緊急停止。
音を聞きつけた無数の亡者共が我先にと接近。
多勢に多勢に無勢、4人は成す術なしに近くの病院に避難。
正面入り口を封鎖し
現在に至る。
『救急車搬送拒否』
『機能停止、付近の民間人はVIP小学校に避難せよ』
血で染まった手書きの看板。
大急ぎで逃げ出したのであろう、書類が散らばった受付。
そして建物の奥底から鳴り響く亡者のうめき声。
第7話『正しい者たちは誰でも彼をも正しい者にしてしまい』
To Be Continued……
263
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 19:33:00 ID:06z1brEQ0
第6話『不正な者たちは誰でも彼をも不正な者にしてしまい』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、どうもありがとうございました。
次回は第7話『正しい者たちは誰でも彼をも正しい者にしてしまい』です。
次は病院編になります。
舞台故に、何とかグロくて生々しいのを表現していきたいです。
264
:
名も無きAAのようです
:2012/08/13(月) 19:39:09 ID:XfxDo5vM0
うああ!
ニダーの糞野郎ッ!
265
:
名も無きAAのようです
:2012/08/13(月) 22:42:25 ID:Lf.Sb51g0
ジョルジュはいつまで腕振ってるんだろう
266
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:05:21 ID:WdrtJ/xQ0
かなり早いですが、これより第7話『正しい者たちは誰でも彼をも正しい者にしてしまい』を投下します。
これからちょっとだけ忙しくなりますので、投下の頻度は下がるかもしれません。
267
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:06:33 ID:WdrtJ/xQ0
<ヽ`∀´>「……としたかったが
どうだい?ビビッたかね?」
('A`)「……」
血しぶきはドクオの血ではなかった。
「バ……ブババァブゥ」
ふと、ドクオは後ろを向く。
そして息を飲む。
そこにはナイフで心臓を抉られ、痙攣する赤ん坊の化け物がいた。
仕留めていなければ、確実にドクオは噛み付かれていた。
血が顔に降り注ぎ何とも不快な気分になったが……それ以上に
この気持ちは……
('A`)「……神父さん」
<ヽ`∀´>「ハッ……ハハッ
私もわからん」
268
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:10:54 ID:WdrtJ/xQ0
<ヽ`∀´>「気がつけば救っていた
茶目っ気のある演技だろう
……そしてぐっウッ」
ニダーに異変が訪れる。
急にビクッビクッと痙攣したと思いきや、皮膚に色が変色し始める。
<ヽ`∀´>「化け物デ……遊んでイた……罰か……
寄生?感染?……まァ……体の抵抗力が無くなったのガ兆しだな」
('A`)「駄目ですよ!」
ドクオは頬が真っ赤になり、涙がこぼれ始める。
そして訴える。
<ヽ`∀´>「ナンダ……キミは……殺人鬼に……同情カ?
愚かだゾ……ハハ」
('A`)「例え殺人鬼でも!俺は……俺は!
だいたい何故俺のオカンを殺さなかったんですか!?」
('A`)「未練があったんだよ!
じゃなきゃ……俺達なんて!」
269
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:13:09 ID:WdrtJ/xQ0
<ヽ`∀´>「キマグレダ……ア……ウ
ところデ……一つ遺言が……アル
キミが……ミテイタアノ……ビデオ……ヨリマエ」
<ヽ`∀´>「ミテオケ……キミに……とって……重要なモノダ」
<ヽ`∀´>「……アイツト……ソノオトウトニ……気をツケロ……」
そう告げると、そっとニダーは聖剣をドクオに渡す。
これで心臓を貫けと言わんばかりに
('A`)「……駄目ですよ!気をしっかりしてください!」
ニダーは血の涙が溢れ始め
そして皮膚の壊死が凄まじい速さで進行を始める。
しかしそれでも笑顔でこちらを見ていた。
凄まじい苦痛だろう。
自分が変貌するのは恐怖で頭がいっぱいだろう。
それでもニダーは笑顔だった。
自分の胸にコンコンと指を当てた。
270
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:14:27 ID:WdrtJ/xQ0
声は出ていないが口がもぞもぞと動いていた。
さ・せ
口の形は如実に、その二文字をドクオに伝えていた。
('A`)「……」
ドクオは嗚咽を漏らしながら聖剣を振り上げた。
ぶるぶると震わしながら、確実に一瞬で逝けるように……
血で染まった聖衣に涙が伝う。
('A`)「……絶対、戻ってくるから」
<ヽ`∀´>「……」
ニダーは手を微かに振った。
……その後、ドクオは礼拝堂に足を運んだ。
彼女は祭壇に無傷で眠らされていた。
(ドクオが見たベッドの血は、以前そこにいた患者によるもの)
271
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:16:20 ID:WdrtJ/xQ0
そして二人はTVの前へと移動した。
J( 'ー`)し「……本当に不思議な人ね」
母は自分の体を確認するが、何か別に外傷を与えられた様子はない。
('A`)「元より普通じゃない人間の神経なんて、理解できないよ……」
J( 'ー`)し「いったい何を見せるつもりなの?
ひょっとして臓器の摘出映像とか?」
('A`)「……わからない」
確かに今日の日付のDVDは二枚あった。
先ほどドクオが見たのは時間が後の方
そして今度はそれより前の方を入れ、再生を押してみる。
('A`)「……」
〝<ヽ`∀´>「騒がしいな、何の音だ」
まだ事態が起こる前
事務室でコーヒーを飲むニダーの姿が映っていた。
272
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:17:52 ID:WdrtJ/xQ0
「ニダー様!見慣れない教徒の方が!ぐわっ!」
<ヽ`∀´>「どうした!」
ニダーはカメラを持って入り口の方へ走って行く。
するとそこにいたのは
( ´∀`)「弟を探しているんだ」
身長190cm近くの大柄の男がそこにはいた。
その下には無数の教徒の死体が転がっている。
<ヽ`∀´>「な……何だ君は!」
大柄の男はそのガタイではあり得ない程の速さで瞬時に接近する。
( ´∀`)「……仲間か」
男はニダーと目と目を合わせてそう告げる。
<ヽ`∀´>「な、何がだ!
貴様警察を呼ぶぞ!」
( ´∀`)「目でわかる、貴様はこちらの手の人間だな?
ならば大目に見て手は出さんでやる
しかし質問には答えてもらうぞ」
男は巨大な腕でニダーの胸倉を掴む。
273
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:19:32 ID:WdrtJ/xQ0
( ´∀`)「ここに弟が入って行くのが見えてな
リーゼント頭の今時珍しい格好の奴だ、知らんか?」
<ヽ`∀´>「し、知らん!帰れ!」
( ´∀`)「……」
男は無言でニダーの目を見る。
( ´∀`)「事実だな、なら良い
……ちなみに警察はもう役に立たんぞ」
( ´∀`)「我々の時代が訪れたのだ
貴様ももう善人なぞ演じなくていいぞ
我々にも本当の意味での生存競争が始まったのだ」
男はそう告げ、教徒の服をひきちぎって教会を出て行く。
ニダーはその姿をじっと見つめていた。
<ヽ`∀´>「……生存競争」〟
ここで映像は終わった。
274
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:21:33 ID:WdrtJ/xQ0
('A`)「……」
確かに奇妙ではあった。
異常なまでの戦闘技術、奇妙な格好。
ジョルジュという男は、あの身長190cmの男の弟なのだろうか
ニダーはこいつらに近づくなと言っていた。
それほどに恐ろしい男なのか……
('A`)「そういや……」
ジョルジュは母親のおっぱいを凝視する。
('A`)「約束の件、どうでも……良かったのかな」
J( 'ー`)し「何?」
('A`)「……いや」
〝( ゚∀゚)o彡゜「テメェの母親のおっぱいを見せな」〟
第7話『正しい者たちは誰でも彼をも正しい者にしてしまい』
275
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:24:11 ID:WdrtJ/xQ0
VIP夜間病院。
この町で最も大きな病院だ。
子供を第一に守るというスローガンで小学校の近所に建てられ
病室の窓からは運動場で元気に走り回る子供達の姿が一望できる。
そしてその病室の数も2、300以上ある。
5階建てであり、常に何十人という看護婦と医者が待機している。
だがそれも先日までの話だ。
今となってはその過半数の職員は化け物に、残りも避難所へ
患者などもっての他だ。
自衛隊員の連中も動けない患者をいちいち移動させる余裕もない。
恐らくは放置されているか、ほとんどが化け物と化しているかだ。
(=゚ω゚)ノ「はい、これで直りましたよー」
医師と思しき外見の男性が、ニンマリと笑顔でそう告げた。
「え?嘘だ、そんな馬鹿な
私は脊髄損傷で二度と立てない体になったんじゃ」
とある病室の一角。
車椅子に座っていた患者が嬉しそうに立ち上がる。
(=゚ω゚)ノ「巷で話題の新技術ですよ
何でも体内に宿った寄生虫が皮膚表面を壊死させる分
身体能力を20代前後まで若返らせるという……」
「はぁ……今の医療技術は凄いですね
ところで、外の景色を見せてくレ……ナいのは何故でスか?」
(=゚ω゚)ノ「君で実験するためさ」
276
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:27:48 ID:WdrtJ/xQ0
午後2時35分
(=゚ω゚)ノ「やはりだ!
凄いな……これは新しい可能性を秘めている!」
若い肥満体質の医者が嬉しそうにガッツポーズしてそう告げた。
その白衣は真紅に染まり、拳にはメスが握られている。
(=゚ω゚)ノ「まったく他の医師の連中はつくづく頭が悪い
自分の命が可愛いからと逃げ出しやがって」
( ゚∀゚)o彡゜「これはこれは、随分とイカれたサイコパスさんのご登場だな」
(=゚ω゚)ノ「!?」
廊下からリーゼントの若者の姿が現れる。
(=゚ω゚)ノ「誰かは知らんがこの私がサイコパス(精神病質)だと!?
私は実験しているのだ!人類の未来のために!」
( ゚∀゚)o彡゜「だからって生きてる患者を利用するのかよ?
しかもこんな時に、医療技術があるなら何故別の事に使わない」
(=゚ω゚)ノ「いいや、実験は必要だね
今対抗策がわかれば、今人類に飛来しているこの災厄への切り札となる!」
( ゚∀゚)o彡゜「今の行為は、どう見ても遊んでいるようにしか見えなかったがな」
277
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:29:08 ID:WdrtJ/xQ0
ジョルジュはキリッとした表情で銃を向ける。
( ゚∀゚)o彡゜「死ねよ、テメェみたいな屑野郎は生きてても死者を増やすだけだ」
それを見て流石に医者も焦りを覚え、腕をブルブルと震わす。
(=゚ω゚)ノ「待て!私はぃょぅ外科医だぞ!こ、こんな真似をしていいのか!」
( ゚∀゚)o彡゜「テメェを殺しても警察はこねぇ」
(=゚ω゚)ノ「待て!やめろ!やめてくれ!
わかった!こんな真似はしない!」
ぃょぅはゆっくりとジョルジュに接近する。
(=゚ω゚)ノ「何故日本でそんな大型のリボルバーを持ってるんだ?
ひょっとしてエアーガンかい?」
( ゚∀゚)o彡゜「試してみるかい?」
(=゚ω゚)ノ「いや、遠慮しとくよ」
そう言って何故かぃょぅは近づいてくる。
理由はただ一つだった。
( ゚∀゚)o彡゜「……見え見えだぜ」
( ゚∀゚)o彡゜「メス」
278
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:30:04 ID:WdrtJ/xQ0
(=゚ω゚)ノ「!」
ぃょぅは懐に隠していたナイフをジョルジュに知られてしまった。
(=゚ω゚)ノ「糞!」
しかし間合いは十分だった。
素早く首を切り裂こうとするが
それより早く重い銃声が鳴り響いた。
一撃だった。
ぃょぅは額からドロドロと脳髄を流し、目が空ろにになって倒れ込む。
( ゚∀゚)o彡゜「……ぐ」
殺人をしてしまった事に多少ながら罪悪感を感じ、返り血を拭う。
( ゚∀゚)o彡゜「くだらねぇ奴を殺しちまった」
ズル……
ジョルジュはリボルバーに弾を込め直し、病室を出て行こうとする。
ズルル……
が
279
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:31:16 ID:WdrtJ/xQ0
( ゚∀゚)o彡゜「……発症!?」
ジョルジュは背後の危機感を察知し、振り向いて銃を構える。
……そこには
(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」
ぃょぅだった。
真っ白な顔で、化け物と同じ面でこちらを凝視していた。
……しかし
( ゚∀゚)o彡゜「……違う」
ジョルジュは冷や汗をかき始める。
(=゚ω゚)ノ「不思議だろう?」
ぃょぅは額から溢れ出る脳みそを押さえながらそう問う。
(=゚ω゚)ノ「君の知っている化け物はこう……醜くて……野獣で
違うだろう?」
( ゚∀゚)o彡゜「うるせぇ!テメェどういう手品だ!」
次の瞬間
280
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:33:10 ID:WdrtJ/xQ0
ぃょぅは人間とは思えない程の素早い速さでジョルジュに接近し、首を掴む。
( ゚∀゚)o彡゜「テメェ……」
力そのものは化け物と同等だった。
そのくせ知能があり、力の使いどころを知っているのでジョルジュはまるで抵抗できない。
ぃょぅの顔は真に化け物だった。
青く染まった顔には赤い血管が血走っている。
やはり表情が違う。
理性等微塵も感じられないはずの化け物が
明らかに、このぃょぅは人間と同じ理性を感じられる。
(=゚ω゚)ノ「許さないよ、君は僕を殺したんだ
ほら、見ろよ!額から脳みそが溢れ出てるじゃないか!」
( ゚∀゚)o彡゜「じゃあとっとと死ねよ!
テメェ……まさか」
ジョルジュは汗だくになってぃょぅを凝視する。
( ゚∀゚)o彡゜「患者で実験する事で何か成果を得たな!?
犠牲の果てに得た、人類にとって未知の技術を!」
281
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:34:17 ID:WdrtJ/xQ0
(=゚ω゚)ノ「技術は独占せねば他の連中に我が物顔で使われる!
これは私の専売特許だ!
故に殺してやる!復讐も兼ねて!」
( ゚∀゚)o彡゜「うるせぇ!マッドサイエンティスト!」
ジョルジュは腹を全身全霊を込めて蹴り飛ばす。
反動でぃょぅは後方に少しだけ傾き、ジョルジュは後ろのガラスに衝突する。
その衝撃で窓は砕け散り、彼は血まみれになって外へと吹き飛ぶ。
(=゚ω゚)ノ「は!自殺か!?
殺す手間が省けて済んだよ!」
ぃょぅは脳髄を額の中に詰め込み、窓から下を覗いてそう告げる。
(=゚ω゚)ノ「はっはっはっはっ!ぐ……ぷぷぷ!」
282
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:36:04 ID:WdrtJ/xQ0
午後2時30分
ξ゚⊿゚)ξ「と、とにかく裏口からでも逃げましょうよ!
避難所はすぐそこなんでしょ?」
川 ゚ -゚)「その通りだが、焦りは禁物だぞ」
素直クールは重苦しい上半身の兵装を脱ぎ、露出度の高いシャツ一枚になる。
そしてベルトを締め直し、拳銃をリロードする。
( ^ω^)「……ぉぅ」
内藤はそれを見て鼻の下を伸ばす。
ツンデレが瞬時に彼を引っぱたく。
( ^ω^)「!?……」
(´・ω・`)「そりゃあ、現時点で最低限の安全が確保されているのだから
無理して逃げ出す必要はねぇよ
裏口だって化け物の巣窟になってるかもしんねぇのに
まず偵察だな」
( ^ω^)「賛同だお、でも何人で?」
川 ゚ -゚)「私一人で十分だ
その間は棟内を散策していいが、深入りはするなよ」
素直クールはそう告げ、裏口へ向かう。
283
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:37:35 ID:WdrtJ/xQ0
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
3人は無言で待合室の椅子に座る。
(´・ω・`)「テメェら喉渇いてねぇか?」
( ^ω^)「……はぁ、少しだけ」
(´・ω・`)「じゃあ来な」
ショボンはスパナを手に取り、自販機に近寄る。
そして
バキッ
と金属をへし折り、強引に自販機をこじ開ける。
しかし巨大なチェーンが付いているので全開する事はできないが
(´・ω・`)「何が欲しい?爽健美茶か?なっちゃんオレンジか?
コーラか?ペプシあずき味か?」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、あずき味だけはいいです
あれは信じられない程に不味かった
爽健美茶ください」
( ^ω^)「それじゃ俺はコーラで」
284
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:38:51 ID:WdrtJ/xQ0
(´・ω・`)「つか面倒くせぇ、好きなもん取ってけ」
ショボンは自販機に腕を突っ込んで片っ端から缶ジュースを掻きあさる。
ボトボトと缶ジュースが床に転がっていく。
二人はその中から数本を手に取り、ゴクゴクと飲み始める。
(´・ω・`)「ところでテメェらこの町の学生だよな?
同じ学校か?」
( ^ω^)「はい」
ξ゚⊿゚)ξ「はい」
(´・ω・`)「皮肉なもんだ
駅のホームで災害に遭遇したんだったな
同じ学校に行く者同士だからこそ、今ここで二人でいるわけだ」
(´・ω・`)「親は?
まだ連絡できてねぇか」
ξ゚⊿゚)ξ「いえ……」
ツンデレは暗い表情でそう告げる。
(´・ω・`)「……携帯が使えないってだけでこの有様か
テメェの親が化け物に食い殺されてるかもわからねぇ
もう現時点で、この一生のうちに抱き会える可能性も0かもしれない」
285
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:40:23 ID:WdrtJ/xQ0
(´・ω・`)「……希望のない言い方をして悪かったな
テメェらだけは何としてでも生き残らせるよ
避難所に行けば会えるかもしれねぇ
それに賭けてろ」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
( ^ω^)「……アンタらに会えただけでも幸運だと思うお」
それを聞いてショボンは笑顔になる。
(´・ω・`)「本当にそうだと思うか?
どうであれここに閉じ込められてんだぜ?」
( ^ω^)「アンタらがいなければ……俺達は殺されてたかもしれないお」
場にいた全員の脳裏に、モナーの顔が浮かぶ。
(´・ω・`)「ハハッ……確かにアイツだけは別格だ
ガキなんざに太刀打ちできる相手じゃねぇ
スティーヴン・セガールやコブラやTさんと戦うような愚かな行為だ」
(´・ω・`)「……しかし不安もあってね」
ショボンは額に汗を滲ませ始める。
(´・ω・`)「未来はわからない
……しかし」
286
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:41:55 ID:WdrtJ/xQ0
(´・ω・`)「モナーがこれからやろうとしている行為は解るんだ
考えすぎかもしれない
しかし……アイツはやる
そういう人間だ」
( ^ω^)「……」
内藤は息を飲む。
(´・ω・`)「これから先、恐らくは避けようもない悲運が待ち構えているだろう
アイツを知る者として……やらなければならない事はある
誰のためにだと思う?俺達のためだ」
(´・ω・`)「手っ取り早く、そしてわかりやすく言おう
仮にも俺達は避難所に辿り着けばゴールじゃねぇ
次の仕事が待っている」
(´・ω・`)「モナーから避難所を守る事だ」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「もちろん、それは俺達大人の仕事だ
政治だの金だのうだうだ喋る連中も、本当に戦うべき相手は知っている
しかし連中は合理的にしか物事を喋らない
本当に命を救いたいという意思で動けるのは……俺達しかいない」
287
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:43:12 ID:WdrtJ/xQ0
ショボンはゴツい腕でモナーと握手する。
(´・ω・`)「俺は見たんだ
起死回生のカウンターパンチ
いや、カウンター撲殺と言った方が正しいな
アイツにあんな豆鉄砲をくらわしたのはテメェ以外にはいなかった」
(´・ω・`)「協力してもらうぜ
テメェには才能がある」
( ^ω^)「……いいのかお
俺みたいな奴で」
(´・ω・`)「あたりめぇだ!
お嬢ちゃんは?」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、私はいいです」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……」
場の空気が静まり返る。
(´・ω・`)「そ、そうか」
288
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:44:33 ID:WdrtJ/xQ0
ξ゚⊿゚)ξ「私みたいな頭の悪い子供に……そんな事なら無理ですよ
けど、お茶を汲んだりくらいならできますから」
(´・ω・`)「そ、そりゃあ十分協力のうちに入るさ!
ほら!仲間だ!来い!」
ξ゚⊿゚)ξ「うわっ!」
ショボンは強引に内藤とツンデレと手を繋ぐ。
(´・ω・`)「俺たちは絶対生き延びるぞ!
そんで一緒にビール飲むんだぁああ!」
ξ゚⊿゚)ξ「(……何言ってんのこいつ)」
( ^ω^)「(やっぱりおっさんの発想は理解できないお)」
二人は冷ややかな視線でショボンを睨む。
……一方
川 ゚ -゚)「……何をやってる」
裏口前の裏路地でで化け物の後片付けをしていた素直クールは
病棟から聞こえる妙なその掛け声を聞き、しかめっ面になる。
289
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:45:24 ID:WdrtJ/xQ0
川 ゚ -゚)「さて」
素直クールは裏口のルートを確保し、再びショボン達の元へ戻ろうとする。
しかし
川 ゚ -゚)「?」
扉が開かない。
ノブが完全に回らず、これは明らかに鍵を閉められていた。
誰の仕業だ?
ショボン達か?
いや、彼らがこうする事に意味などない。
直後……
バタンッ
何か大きなものが落下する音が聞こえた。
鈍い音だった、恐らくは人間か何かか
しかも方向は病棟内の中庭?
川 ゚ -゚)「ショボン!内藤!ツンデレ!
逃げろ!!」
290
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:46:32 ID:WdrtJ/xQ0
鍵が閉めてある理由、何かが落下した音。
予測に過ぎないがそれに越した事はない。
恐らくは素直クールを断絶し
何者かがショボン、内藤、ツンデレの3人を襲うのは明白だった。
ξ゚⊿゚)ξ「!?」
( ^ω^)「!?」
裏口から素直クールの声が聞こえた。
更に中庭に人と思しき何かが落下する。
(´・ω・`)「ぐっ……
内藤!ツンデレ!ボケッとするな!」
場の空気が殺伐とし始めた。
ショボンは素早く刃物を手に取る。
ハッと内藤もわれに返り、鉄パイプを手に取る。
( ^ω^)「今のは素直クールの声?……だお!
化け物に襲われているんじゃ……」
291
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:48:18 ID:WdrtJ/xQ0
(´・ω・`)「あの女が化け物ごときに苦戦するか!
モナーか!?……いや、アイツがここに来るとは思えん」
ショボンは周囲を見回しながら現状をひたすら察しようとする。
( ^ω^)「じゃあ……な、何なんだお?」
(´・ω・`)「襲われるのは俺達だ!」
直後
( ^ω^)「ショボンさん」
内藤はショボンの背後にくたばっている医者の死体を見つけた。
銃殺されたのか額に穴が空いてる。
こんな所に死体などあったか?
ふと、その死体の瞳がギョロリとショボンを睨みつける。
( ^ω^)「ショボンさん逃げるお!!!!」
292
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:50:10 ID:WdrtJ/xQ0
(´・ω・`)「ぐ!」
(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」
あろう事か
医者の死体はヌルリと立ち上がり、ショボンの首にメスを近づける。
しかし内藤の警告が幸いした。
ショボンは前方へ素早く身を伏せてローリングする。
それによって後ろ首に切り傷ができるが、かろうじて頚動脈を切り裂かれずに済む。
ξ゚⊿゚)ξ「何……こいつ!?」
そいつが化け物である事に変わりはない。
しかし……メスを使う化け物など初見である。
(=゚ω゚)ノ「糞がぁ!無駄に生き延びよって!」
ぃょぅは瞬時に後方へとメスを振り回すが
それより早く
(=゚ω゚)ノ「!!」
ぃょぅの顔面に容赦なしに鉄パイプがぶち込まれる。
293
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:51:55 ID:WdrtJ/xQ0
(=゚ω゚)ノ「ぐぁああああ!!」
顔を抑えて悶絶するぃょぅ。
(´・ω・`)「さ……流石だ!」
鉄パイプを振り回したのは内藤だった。
三人は瞬時に素直クールの元へ走り始めた。
ξ゚⊿゚)ξ「今のは何!?
他の化け物とはまったく違う!」
(´・ω・`)「今ので殺せたとは思わねぇな
とにかく逃げるぞ!」
( ^ω^)「……これは!」
廊下を走っていくつれ三人は裏口に到着する。
内藤がドアノブを掴むと、カギがかかっている事に気付く。
( ^ω^)「な、何でだお!
だから素直クールは!」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
294
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:53:30 ID:WdrtJ/xQ0
(´・ω・`)「あん?
何見てんだ?」
無言で廊下の向こう側を凝視するツンデレを見て、ショボンはそう問う。
ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、何か飛んできてない?」
彼女は青ざめた表情でそう告げる。
その通りだった。
それは待合室の椅子だった。
(´・ω・`)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「!」
( ^ω^)「!」
信じられない光景だった。
待合室にあった4、5人程座れる長さの椅子が
まるでプロの凄腕投手が放つ豪速球のように、地面と平行にこちらに飛んでくる。
ξ゚⊿゚)ξ「何してんのよ!早く開けなさいって!」
( ^ω^)「駄目だ!開かない!
恐らくノブを凄まじい力でひん曲げられているお!」
三人は焦って扉を開こうとするが、まるで開かない。
295
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:54:45 ID:WdrtJ/xQ0
絶望的だった。
身構える余裕すらなかった。
椅子は凄まじい轟音と共に衝突した。
噴水のように血が噴き出す。
あまりの勢いに椅子はバラバラに砕け散る。
( ^ω^)「ハァ……ハァ……」
ξ゚⊿゚)ξ「そんな……」
ξ゚⊿゚)ξ「ショボンさん!」
(´・ω・`)「うぐ……あぁ」
背を向け二人を守ったのはショボンだった。
血まみれの背中を二人に見せて、ゆっくりと倒れ込む。
(=゚ω゚)ノ「私をナメるな患者共!」
廊下の向こうに、紫色の息を吐き出し仁王立ちするぃょぅの姿があった。
296
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:56:54 ID:WdrtJ/xQ0
午後2時37分
( ゚∀゚)o彡゜「ハァ……ハァ……
ナメんじゃねぇぜヤブ医者野郎」
ジョルジュは血まみれになりながら、必死にリボルバーを構えていた。
そして数百メートル先のぃょぅを狙う。
川 ゚ -゚)「やめておけ」
( ゚∀゚)o彡゜「!」
背後から声が聞こえ、ジョルジュはふとその方へ銃を向ける。
そこには乳のデカい20代程の女性自衛官がいた。
( ゚∀゚)o彡゜「んだ……テメェ、兄貴の同僚か?
久しぶりだな」
川 ゚ -゚)「……」
素直クールはリーゼント頭のその男を見て、少し悲しげな表情になる。
川 ゚ -゚)「……話は後だ、その怪我じゃ身体能力も半減している
無理はせずそこで休んでいろ」
( ゚∀゚)o彡゜「……ハッ、相変わらずロボットみてぇに冷静な奴だな」
297
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 14:59:55 ID:WdrtJ/xQ0
( ゚∀゚)o彡゜「ところで乳でけぇなお前
おっぱい見せろよ」
川 ゚ -゚)「……」
素直クールは無表情でジョルジュに対してフィンガーくたばれをする。
そして、拳銃を手に持ちぃょぅの元へ走り始める。
川 ゚ -゚)「自衛隊とはこういう時にこそ命を全力で賭ける仕事だ
そのために存在する機関なのだ」
川 ゚ -゚)「故に察しているぞショボン
貴様は……紛れもない漢である事を私は知っている」
川 ゚ -゚)「頼む……シャキンの二の舞になってくれるな
ここに安否を望む女がいるのだ」
素直クールは歯軋りをしながらそう呟く。
今だ鳴り止む事はない悲鳴、サイレン、青白い空を覆う暗黒の煙の真下で
第8話『醜悪な者たちは誰でも彼をも醜悪な者にしてしまう』
To Be Continued……
298
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/14(火) 15:10:49 ID:WdrtJ/xQ0
第7話『正しい者たちは誰でも彼をも正しい者にしてしまい』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、どうもありがとうございました。
次回は第8話『醜悪な者たちは誰でも彼をも醜悪な者にしてしまう』です。
>>284
の三つ目のモナーのセリフの改行が変な事になっており、申し訳ありません。
だいぶストック分が無くなってきたので、しばらくは製作作業やリアルの事情等でゆっくり投下していきたいと思います。
また各キャラのプロフィール等も書こうかと検討中です。
299
:
名も無きAAのようです
:2012/08/14(火) 15:24:36 ID:c1PBhZw60
ああ、ニダーは犠牲になったか。
300
:
名も無きAAのようです
:2012/08/14(火) 15:32:00 ID:c1PBhZw60
乙でした。
301
:
名も無きAAのようです
:2012/08/14(火) 23:42:00 ID:A13cZNSo0
>>287
ショボンはゴツい腕でモナーと握手する。
>>298
>>284
の三つ目のモナーの
これはそれぞれブーンとショボンのことかな?
302
:
名も無きAAのようです
:2012/08/15(水) 00:35:26 ID:SnRoW08IO
追い付いた!
乙です。
303
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/15(水) 09:34:55 ID:zJv1At3U0
>>301
申し訳ありませんwその通りですwごっちゃになっていました
>>287
は
×ショボンはゴツい腕でモナーと握手する。
○ショボンはゴツい腕で内藤と握手する。
でした。
続いて
>>284
も
×
(´・ω・`)「皮肉なもんだ
駅のホームで災害に遭遇したんだったな
同じ学校に行く者同士だからこそ、今ここで二人でいるわけだ」
○
(´・ω・`)「皮肉なもんだ
駅のホームで災害に遭遇したんだったな
同じ学校に行く者同士だからこそ、今ここで二人でいるわけだ」
でした。
ご指摘ありがとうございます。
誤字脱字、もっと気をつけていきたいと思います。
304
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:27:19 ID:HkDO0GkA0
これより第8話『醜悪な者たちは誰でも彼をも醜悪な者にしてしまう』を投下します。
検討した結果、全13話構成という形になりました。
10話から最終章が始まります。
305
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:28:21 ID:HkDO0GkA0
午後4時29分
J( 'ー`)し「ようやくね
まるで登山で山頂に上りきった気分だわ」
('A`)「……どうかな
まぁ、第一難関はクリアしたって事か」
ドクオは母親を連れてひたすら歩き……
――そしてついに小学校にたどり着いた。
設備は厳重だった。
軍列を組んで並ぶ戦車。
小学校全体が巨大なコンクリート柵で覆われており、まるで要塞だった。
入り口は見た限りでは三つ。
車両収納用に作られた巨大なシャッター。
残る二つは厳重な扉で封鎖された民間人用の入り口。
そこには数百人の民間人が並んでいた。
言わば自分達と同じ境遇の人間。
彼らは自衛隊員に亡者化の危惧も兼ねて警護されており
入り口前に到着したなら、自衛隊及び医師に発症の有無を審査される。
許可が降りれば無事避難する事が許されるが……
306
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:30:09 ID:HkDO0GkA0
J( 'ー`)し「一応聞くわよ
怪我は?化け物に噛まれたりはしてない?」
('A`)「た、多分大丈夫だよ
そんな記憶もないし、痛みもないし……」
ドクオ達は列の一番後ろに並ぶ。
「ねぇ、お父さんはー?」
('A`)「……」
前にいる家族が会話を始める。
それを聞いていて、ドクオは心にグサリと刺さる。
「今はお仕事に言ってるの
遠い国に言ってるからしばらくは帰らないわ」
307
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:31:18 ID:HkDO0GkA0
「そんなの嘘だよー
だってこの町お化けだらけなんだもん
ひょっとしてお父さんもお化けに……」
「やめなさい!」
J( 'ー`)し「……」
('A`)「……」
二人はどうしようもない気分になる。
他人事ではない。
それ以外の言葉が出ない。
308
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:34:02 ID:HkDO0GkA0
午後2時37分
──荒れ果てた病院。
舞い散った砂埃が落ちていく。
見えてきた光景は逆さになった待ち受けの椅子。
(´・ω・`)「んぐぁあああ!!!!」
ショボンは血まみれになりながら、不屈の精神力で立ち上がった。
その目前にいるのは……
(=゚ω゚)ノ「……はぁ
しかしなかなか心地いいぞ」
首をコキコキと鳴らす、額に穴の空いた医者。
人間でない事は間違いないが、あの化け物とも言い難い。
奴らは理性のない野獣だからだ。
ξ゚⊿゚)ξ「何でよ!何でアイツは知能があるの!?」
( ^ω^)「それはわからないお
どうであれ化け物の存在そのもが摩訶不思議なのだから
こんな奴がいても不思議じゃない、それより」
( ^ω^)「どうすれば現状を打破できるか……」
309
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:35:27 ID:HkDO0GkA0
ぃょぅとの間合いは既に数メートルしかなかった。
白衣に身を包んでいるので医者である事は間違いないが……
しかし今は、この人物の素性を考えている場合ではない。
戦うしかないだろう。
何時だってそうしてきた。
いつも、いつも苦痛と悲しみの果てに生存を得てきた。
( ^ω^)「……ツン、行くお」
パチンと、音が鳴った。
そして景色の全てが暗黒に包まれた。
(=゚ω゚)ノ「……何のつもりだ?」
動揺するぃょぅ。
裏口前の廊下は窓もなく、昼間であろうとも消灯すれば真っ暗になる。
暗闇に乗じて逃げ出すつもりか?
310
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:36:59 ID:HkDO0GkA0
──ぃょぅは考察し始める。
内藤達との間合いは10〜20m前後。
例え逃げ出すとして、入れる部屋はたった一つ。
(=゚ω゚)ノ「下らん浅知恵だねぇ……
ここは病院だぞ?私の土俵だ」
ぃょぅはトイレへと歩き始めた。
床に付着した血痕を辿りながら
(=゚ω゚)ノ「……」
彼が内側が鍵を閉め、素直クールを隔絶した理由。
服装や佇まいからその女が熟練の戦闘のプロと判断したからだ。
残るは赤子同然の雑魚であるガキと整備員。
まずはこいつらを手早く片付ける。
そして命をとりに来るであろう素直クールとタイマンし
最後にリーゼント野郎(ジョルジュ)にトドメを刺す。
311
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:40:07 ID:HkDO0GkA0
(´・ω・`)「ハァ……ハァ……馬鹿が……
ここじゃ……逃げ道が」
──女トイレの個室の中。
ツンデレが重症のショボンを看病していた。
誰かが流さずに出て行ったのか、便器の中は汚く臭い。
ξ゚⊿゚)ξ「他に選択肢がなくて……
それに内藤君なら、内藤君なら何とかしてくれる!」
そしてトイレの入り口の前に身を隠す、内藤の姿があった。
( ^ω^)「……」
戦う事は即ち身を守る事。
本当はこんなの、怖くて仕方がない。
( ^ω^)「俺が行かなきゃみんな死ぬお
俺が行かなきゃ……俺が行かなきゃ」
鏡を手に持っていた。
それにはぃょぅの姿が映っており、内藤は息を殺して角に潜む。
もう片方の手にはナイフが握られている。
312
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:41:14 ID:HkDO0GkA0
──内藤は賭けに出ていた。
ぃょぅの外見は亡者そのもの。
恐らくは何らかの方法で、知恵を残す事ができたのだと思われる。
亡者の撃退方法なら知っている。
それは何度もやってきた事だ。
……心臓を破壊する。
それしかない。
ここで内藤が殺されればもう後がないのだ。
そしてたかが学生にできる事もこれが限界。
そんなに頭の回転も速くはない。
賭けるしかないのだ。
心臓を破壊できれば亡者の動きを止められるという……
この一日で得た最初の知識を
313
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:42:23 ID:HkDO0GkA0
( ^ω^)「3……2……1」
内藤はナイフを強く握る。
心臓の鼓動が高鳴り、段々とぃょぅが接近してくる。
……しかし
(=゚ω゚)ノ「甘いな」
( ^ω^)「!!」
腐臭漂う腕が、内藤の腕を素早くわし掴みにする。
(=゚ω゚)ノ「ガキにしてはいい度胸だ!
だが裏を返せばそれは愚かだよ!」
( ^ω^)「ぐっ!うっ!」
異常なまでの怪力だった。
内藤の腕は凄まじい力で圧迫される。
314
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:44:05 ID:HkDO0GkA0
皮膚と皮膚が触れ合う事で実感が沸いた。
明らかに無機質で冷たすぎる手。
死んでいるのだ。
死んでいる肉体が、何かの力で強引に動かされているのだ。
( ^ω^)「腐った死体なんぞ殺されてたまるかお!!」
このまま腕を潰されるわけにはいかない。
懇親の力を込めて、全力でぃょぅを蹴飛ばす。
(=゚ω゚)ノ「!」
ぃょぅは重心を保てなくなり倒れこむ。
( ^ω^)「うぉおおおおおおお!!!」
315
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:45:13 ID:HkDO0GkA0
雄たけびが廊下全体に響き渡った。
ナイフがぃょぅの心臓へ向けて振り降ろされる。
内藤は汗だくになりながら、決意を込めた表情でぃょぅを凝視する。
(=゚ω゚)ノ「これが……ケツの青いガキの表情か?」
成長。
ぃょぅは驚嘆の意思を隠せなかった。
様々な連中と出会い、この絶望的な状況に置かれる中で
内藤は苦難に対抗する力が身に尽き初めていた。
ある種の才能だった。
そんな姿に、ただでさえ絶望的な力を誇るぃょぅが精神的に恐怖を覚えた。
しかし……
( ^ω^)「!!」
内藤は血の交じった反吐をぶち撒ける。
316
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:46:25 ID:HkDO0GkA0
内藤は心臓に強烈な衝撃が走る。
ぃょぅの強烈なパンチが心臓に直撃したのだ。
( ^ω^)「な……」
内藤は意識が霞み始める。
──やがて、心臓が停止した感覚がハッキリとわかる。
( ^ω^)「……」
たった一発のパンチで心臓を止める程の破壊力。
なおかつ不死身とも相応しい耐久力。
単にパワーにおいてなら、モナーより凶悪な存在。
……これなら
317
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:47:39 ID:HkDO0GkA0
ナイフがぃょぅの足元に突き刺さった。
(=゚ω゚)ノ「心臓が弱点?それは人間も同じだがね」
力尽きた内藤を蹴飛ばし、ぃょぅはゆっくりと立ち上がる。
(=゚ω゚)ノ「CPA(心肺停止)なら人間は数分もあれば死に至る。
どうであれもう障害にはならん
今は……連中を殺す事だ」
ぃょぅは首を鳴らしながらトイレの中へと入る。
幸いにもそれは男子トイレだった
女子トイレにいたツンデレ達は、多少なりにも時間を稼げる。
318
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:48:56 ID:HkDO0GkA0
ξ゚⊿゚)ξ「……」
──女子トイレの個室の中。
ツンデレは耳を澄まし、ぃょぅが男子トイレに入った事を確認する。
ξ゚⊿゚)ξ「行きましょう、今しかない」
ショボンの応急処置が完了していた。
ツンは彼を連れて個室を出ようとするが……
(´・ω・`)「待てお嬢ちゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
(´・ω・`)「女か男か
入る場所を間違えれば、それを乗じて俺達が逃げ出す事は当たり前
馬鹿でもわかる事と思うが?」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ……!」
(´・ω・`)「恐らく……入るように見せかけて俺達を待っている」
319
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:50:25 ID:HkDO0GkA0
ξ゚⊿゚)ξ「けど、それじゃあ私たちはどう逃げろって
窓も私だけしか……」
その時だった。
ξ゚⊿゚)ξ「!」
突然ショボンが鉄パイプの尖った先端をツンの首に近づける。
ξ゚⊿゚)ξ「何で……」
(´・ω・`)「お前だけでも逃げろ、逃げなけりゃ俺が殺す」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
彼の突然の奇行に、ツンデレは怖気づき黙り込む。
(´・ω・`)「お前のようなお人よしはこうでもしなきゃ逃げねぇ
早く逃げろ」
320
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:51:26 ID:HkDO0GkA0
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンデレはショボンの真意を理解した。
そして、そっと首を横に振った。
(´・ω・`)「冗談で言ってると思ってんのか?
どの道、俺は足手まといなんだからよぉ」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
それでもツンデレは首を横に振る。
(´・ω・`)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
(´・ω・`)「そうなると思った」
ショボンは壁の方を向きながらそう告げた。
ξ゚⊿゚)ξ「だって……恩人を見殺しになんて」
(´・ω・`)「わかってるよ、だからもうそれは諦めた」
(´・ω・`)「別の作戦でいく」
321
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:52:19 ID:HkDO0GkA0
(=゚ω゚)ノ「……」
──ぃょぅは男子トイレの入り口付近で身を潜めていた。
負傷者と女。
できる事と言えば隠れるか、逃げ出すか。
もし男子トイレにいるのなら可能なのは隠れるだけ
女子トイレにいるならスキを乗じて逃げ出すのが無難。
しかし音沙汰なし。
ここの個室に隠れているのか
はたまた、ガキだけでも窓から逃げ出したか
……いや、それでも音は聞こえるか
ぃょぅは困っていた。
どうであれ負傷した奴は確実に殺せるのが事実。
問題はガキ。
下手な行動をするわけにはいかない。
ならば現状は様子見か?
……すると
ξ゚⊿゚)ξ「嫌よ!私は逃げるの!」
322
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:53:25 ID:HkDO0GkA0
(=゚ω゚)ノ「……?」
向こうの女子トイレから声が聞こえる。
(´・ω・`)「この薄情者が!
怪我人ほっといてトンズラするつもりかよ!」
(=゚ω゚)ノ「……仲間割れか
屑共のやりそうな事だな」
ぃょぅはニヤリとする。
すぐに女子トイレへ向かい、静かに扉を開ける。
これで居場所がわかった。
実に馬鹿な連中。
いや、ついつい熱くなってしまうと平常を失ってしまうのが人間。
ξ゚⊿゚)ξ「嫌よ!私は逃げるの!」
個室からツンデレの声が聞こえる。
ぃょぅはその音から、冷静にその個室を把握する。
(=゚ω゚)ノ「刃物は使わんよ!
ここが貴様等の棺だ!」
ぃょぅはそう言って扉を開けようとするが、疑問が沸く。
323
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:54:28 ID:HkDO0GkA0
ξ゚⊿゚)ξ「嫌よ!私は逃げるの!」
(´・ω・`)「この薄情者が!
怪我人ほっといてトンズラするつもりかよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「嫌よ!私は逃げるの!」
(´・ω・`)「この薄情者が!
怪我人ほっといてトンズラするつもりかよ!」
同じセリフの繰り返し?
違う。
どうやら平常心を失ってしまっていたのはぃょぅの方だった。
その鍵の閉まった扉を強引に開けると……
(=゚ω゚)ノ「……携帯?」
便器の真上に携帯が置いてあった。
恐らくは録音してループ再生していたのだろう。
肉声と電子による音声の違いはすぐに気付けたはずだったが……
あまりに予想外だったために気付かなかったのだ。
固定観念。
それがぃょぅに災いした。
324
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:55:41 ID:HkDO0GkA0
(=゚ω゚)ノ「!」
入り口の方から引きずる音が聞こえた。
……振り向くと
ξ゚⊿゚)ξ「……」
そこには扉を閉めようとするツンデレの姿があった。
してやられた?こんなガキに?
(=゚ω゚)ノ「なめやがって!」
ぃょぅは激昂し全速力でつっ走る。
しかしツンデレは素早く扉を閉めてしまう。
(=゚ω゚)ノ「……貴様!」
ツンデレとショボンは台車や机をなどを運び、女子トイレを徹底して封鎖する。
325
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:56:47 ID:HkDO0GkA0
(=゚ω゚)ノ「出せ!出せ貴様!」
ξ゚⊿゚)ξ「嫌よ、何されるかわからないし」
(=゚ω゚)ノ「女性専用車両だけじゃ満足できんのかぁああ!!
このビッチ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「別にあの車両はあってもなくてもいいんだけど
女の子にビッチなんて言わないで
そこだけは私も許さない」
(´・ω・`)「さぁ逃げるぞ!」
(=゚ω゚)ノ「馬鹿共がぁ!図に乗るな!図に乗るなバカチンがぁあ!」
ぃょぅは激しく暴れ、扉のガラスを叩き割る。
二人は内藤を引っ張って待合室へと向かう。
326
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:57:50 ID:HkDO0GkA0
(´・ω・`)「……内藤は?」
──辛うじて二人は僅かな安息を手に入れた。
ショボンは待合室の椅子で横になる。
一方ツンデレは……
ξ゚⊿゚)ξ「駄目、脈がない!
心臓も動いてない!」
ツンデレは涙目になってひたすら内藤の心臓を圧迫する。
内藤は冷たくなっていた。
心臓を直に攻撃されたのか、胸には大きな痣があった。
(´・ω・`)「アバラは折れてねぇようだが……
かなりヤバいな」
ξ゚⊿゚)ξ「ど、どうすれば?」
(´・ω・`)「学校で習ってねぇのか?
心臓マッサージに人工呼吸だよ!
ひたすらやれ!少なくとも素直クールが来るまではな!」
ξ゚⊿゚)ξ「……わかりました」
通常人口呼吸は布を経由してやるものである。
しかし、近くにそんなものはない。
327
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 20:58:51 ID:HkDO0GkA0
ξ゚⊿゚)ξ「……」
心肺停止は、心臓と呼吸が止まった状態。
CPA(cardio pulmonary arrestの略)とも言う。
心臓の動きが先に止まる場合と、肺の動き(呼吸)が先に止まる場合とがある。
いずれの場合でも放置しておけば必ず両者は合併し「心肺停止状態」となる。
しかし蘇生の可能性が残されているため、死亡状態ではない。
脳に血が行かなくなるため、手遅れになるとたとえ命は助かっても脳死状態になる危険がある。
この状態に陥った患者に対しては、人工呼吸や心臓マッサージなど迅速な救命措置が必要である。
なお、心肺蘇生法はCPRと呼ぶ。
※wikiより
不思議と抵抗はなかった。
ツンデレは内藤に顔を近づけ、そして口を互いに合わせる。
吐息を感じられずその冷たさに動揺するが、それでもひたすら息を吹き込む。
〝ξ゚⊿゚)ξ「!」
驚いて思わず破片を落とす。
( ^ω^)「何かトイレの方から聞こえたと思ったら……君は」
ξ゚⊿゚)ξ「……グスッ」
( ^ω^)「どうしたお?」
ツンデレは顔をしわくちゃにしてボロ泣きし始める。
ξ゚⊿゚)ξ「内藤君……内藤君!」〟
──そう古くない過去の記憶が蘇る。
328
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:00:07 ID:HkDO0GkA0
絶望の世界の中で、この学生がいたからこそ身を捨てずに済んだ。
本当に救われた。
未来なんてないかもしれない。
親も死んでいるかもしれない。
例え無事生き延びて避難所に着けたとしても、安息はないかもしれない。
もうコンビニに飯を買う事も不可能かもしれない。
明日の飯さえ得る事が困難な時代が訪れたのかもしれない。
そんな中で希望をくれたのは内藤だった。
それがどんな理由でもいい。
何時だって自分を守るために戦ってくれた事
まるで親のように優しさで満ち溢れていた事
彼のおかげで今だけは、本当に希望に満ち溢れていた。
今度は私が助ける番だ。
(´・ω・`)「お嬢ちゃん諦めるな!
そいつはタフだ!絶対に死んだりしねぇ!」
(´・ω・`)「好きな男なら救い返せよコラァ!!!」
329
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:01:41 ID:HkDO0GkA0
──内藤は夢を見ていた。
( ^ω^)「……」
小学校の教室。
内藤は無表情で教卓の前に立っていた。
('A`)「よぉ内藤!
どうしたんだ?随分暗い顔してるな!」
( ^ω^)「……いや、別に」
('A`)「あの子の事だろ?
諦めろよ、スペックが高すぎたんだ」
ドクオが指を指す。
そこにはイケメンと戯れる女の子の姿があった。
( ^ω^)「……力の差かお」
幼い頃から内藤はわかっていた。
絶対的な力には敵わない事。
330
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:02:55 ID:HkDO0GkA0
妹を虐待する親。
好きな子を奪っていくイケメン。
平均的な顔つき、平均的な人間の内藤には限界があった。
何か長けた才能もなく、話術もなく、力もない。
それなりの友達と戯れ
<ヽ`∀´>「やぁ内藤君、今日も星見ていくかい?」
冴えない人間関係。
僅かな楽しみを糧に今を生きる自分。
これが一般人なんだろう。
地球上のほとんどの人間がこんなもんなんだろう
それでも嬉しい事もある。
辛い事もある。
……いや、思えば今は辛い事だらけだ。
( ^ω^)「これは夢かお……」
内藤は夢の中で初めて夢だと気付く。
教室の中で架空のドクオを無視しながら、デジャヴを感じる。
331
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:04:05 ID:HkDO0GkA0
〝夢か…?
夢であるなら、これが夢であると思いたい。
だが今まで見てきた夢の中で、自分が自覚している夢を見た事はなかった。
そして音も、匂いも、温度も、夢ではない現実感があった。 〟
( ^ω^)「ここは現実じゃない?」
内藤は窓から外の景色を見た。
運動場を見ると、子供が楽しそうに走り回っていた。
〝建物に衝突した、指示器が光ったままのパトカー。
サイレンの音、決して止む事はない悲鳴。
空には無数の自衛隊のヘリコプター。
逃げ惑う人々、それを追いかけるナニカ。〟
( ^ω^)「……俺は」
突然、皮靴の歩く音が聞こえ始める。
……振り向くと
( ´∀`)「……」
夢の中でもそいつは現れた。
そうだった。
凡人だが、今の内藤には使命があった。
辛い世界、逆境の中で戦わなければならない相手。
内藤は夢の中でもそれを意識し、運命を感じなければならなかった。
332
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:05:44 ID:HkDO0GkA0
(=゚ω゚)ノ「ぐぅ!がぁ!糞!!」
鈍い音が鳴り響いていた。
ぃょぅは頭を抑えながら、幾度も幾度も個室の扉を殴っていた。
扉は削岩機で粉砕したように穴が空き、床に破片が飛び散る。
そしてその有り余る力に己の腕はバキバキにへし折れる。
苛立ちから発生したものだった。
理性のあった瞳が白濁の染まる。
肌の色は紫色に染まり始め、額には血管が浮き出る。
(=゚ω゚)ノ「おのれぇえ!糞ッ!あのリーゼント野郎さえいなければ!糞がッ!」
川 ゚ -゚)「秘密を握られているのだろう?」
(=゚ω゚)ノ「……そうだ、あの野郎……どうやらそれが目的だったらしい!
黒服のキチガイ野郎に対抗す……」
(=゚ω゚)ノ「え?」
ぃょぅは己の景色が180度回転し、背後を見ていた。
首が動かせない。
体は前方を向いていた。
川 ゚ -゚)「面倒な体になったものだな
別に再生するわけじゃない……亡者と同じ」
333
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:07:41 ID:HkDO0GkA0
(=゚ω゚)ノ「テメェ!何時の間に!」
ぃょぅは意識を残したままゆっくりと倒れた。
それによって素直クールの場所を知る事ができた。
彼女は排気口からブラ下がり、天井からぃょぅに襲い掛かったのだ。
そしてぃょぅは首を180度ひん曲げられた。
川 ゚ -゚)「所詮はお前なぞただの亡者だという事だな
しかし彼女らも成長したものだ
事態が悪化したなら私が手助けをするつもりだったが」
素直クールは忍者のように降り、亡者と化した医者を睨みつける。
ぃょぅはゴキッゴキッと強引にひん曲げられた首を戻す。
(=゚ω゚)ノ「潜んでいたのか?ずっと!?」
川 ゚ -゚)「ああ」
分厚い靴底でぃょぅの腕を踏み潰す。
(=゚ω゚)ノ「!!」
川 ゚ -゚)「亡者だから痛くはないだろう?
言っておくが、ここから出れるなんて思わない方がいい」
素直クールは返り血を顔に浴び、悪魔のような表情でぃょぅを見下す。
334
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:09:51 ID:HkDO0GkA0
午後4時29分
──内藤達のいる病院より数km離れたコンビニ。
そこに数台の軍用トラックの姿があった。
全てがエンジンがかかったまま放置。
そして店内からは、耳を塞ぎたくなるような断末魔が鳴り響いていた。
( ´∀`)「避難所の自衛官の人数は?」
「に、ににに二十八名であります!
市長と他一部の政治家著名人も避難しております!」
刃物でぶった切られたであろう、自衛隊員と思しき死体。
内臓を毟られ地獄の底にいるかのような絶望の表情を浮かべたその数々。
血で染まったレジ、その奥にいるのは……
巨大なマチェットを手に持った警官の容姿の巨漢、モナー。
「うぎぃ!」
巨漢は自衛官をいたぶっていた。
指を、まるでソーセージを切るように一本ずつ丁寧に
「た、たたた頼む!助け……助け」
自衛官は半ば発狂し、涙を流しながら助けを求める。
335
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◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:11:13 ID:HkDO0GkA0
巨漢は切る度に表情を眉一つ変えない。
まるでそうする事が日常的とも言わんばりに……
( ´∀`)「正面入り口の数は?」
「ぜ、ぜぜ全部で三つだ!車両収納用に作られたシャッター!
あと二つは厳重な扉で封鎖された民間人用の入り口!」
( ´∀`)「……」
「だから頼むよぉ!助けてデヴッ」
赤子を捻るような感覚で、慣れた動きで自衛官の首をへし折る。
そして服を奪い、隊員に成り済ますためにそれに着替える。
( ´∀`)「酸で化け物の動きを止めるだと?
相変わらず見当違いな真似をする連中だな」
トラックに積まれた硫酸の容器を見てそう呟く。
……その時だった。
( ´∀`)「?」
ふと割れたガラスに目が入った。
そこには一人の少年の姿が映っていた。
( ´∀`)「!?」
酷く怯えているようだった。
恐らくはモナーが殺す瞬間を見てしまったのだろう。
336
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◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:12:32 ID:HkDO0GkA0
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……」
少年ギコは焦っていた。
親や友達の生存すらわからぬまま、地獄の世界を彷徨い。
亡者から逃げる術を命を賭ける事で学ぶ最中……
会ってはならぬ最大の障害に出会ってしまった事を
( ´∀`)「……ガキが」
ギコは息を潜め、建物の隅に隠れる。
モナーはその目の前を通り過ぎたため、辛うじて難を逃れたが……
( ´∀`)「避難所の連中に私の存在を知られては面倒だな
計画の邪魔になる」
( ´∀`)「始末しなければならない」
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……始末!?」
ギコは口を抑えながら、その一言に激しく動揺する。
ガタンッ
( ´∀`)「!?」
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