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( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです
336
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:12:32 ID:HkDO0GkA0
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……」
少年ギコは焦っていた。
親や友達の生存すらわからぬまま、地獄の世界を彷徨い。
亡者から逃げる術を命を賭ける事で学ぶ最中……
会ってはならぬ最大の障害に出会ってしまった事を
( ´∀`)「……ガキが」
ギコは息を潜め、建物の隅に隠れる。
モナーはその目の前を通り過ぎたため、辛うじて難を逃れたが……
( ´∀`)「避難所の連中に私の存在を知られては面倒だな
計画の邪魔になる」
( ´∀`)「始末しなければならない」
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……始末!?」
ギコは口を抑えながら、その一言に激しく動揺する。
ガタンッ
( ´∀`)「!?」
337
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:13:45 ID:HkDO0GkA0
物音が聞こえモナーは瞬時に建物の隅を見るが、そこには誰もいなかった。
……が
立て続けに倒れたゴミ箱。
それに足音。
あからさまにそこにはギコの姿があったのだ。
( ´∀`)「……」
追跡は容易だった。
命がけの鬼ごっこが始まりを告げた。
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……」
計画?
自衛官の服を奪う理由?
ひょっとしてアイツは何か企んでいるのか?
避難所の詳細も聞いていた、何故?
……ひょっとして
338
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:15:42 ID:HkDO0GkA0
……一方
( ゚∀゚)o彡゜「ちっ」
──ジョルジュはぃょぅにバレないよう木の下に身を潜めていた。
血まみれになりながら、一枚の書類を手に取る。
( ゚∀゚)o彡゜「ったくよぉ……
俺があの野郎の弟じゃなかったらってつくづく思うぜ
事実を知らないなら、きっと俺は能天気に避難所に行けたんだ
まったく血筋って奴は罪深い」
頭を抱え、呆れたようにそう告げる。
( ゚∀゚)o彡゜「努力しなきゃならねーんだ
何が楽しくて自分のオアシスを守るために、
あんな狂ったイカレポンチの撃退なんざならねーんだか」
( ゚∀゚)o彡゜「だが……連中には協力してもらおう
これも何かの縁だ、どうせ協力しなけりゃ全員おっ死ぬ」
ジョルジュは建物の中で戦う内藤達の声を聞きながら、朗らかな表情でそう告げる。
その書類にはぃょぅとモナーに関する記述があった。
第9話『ハルマゲドンまで』
To Be Continued……
339
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:31:36 ID:HkDO0GkA0
第8話『醜悪な者たちは誰でも彼をも醜悪な者にしてしまう』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、どうもありがとうございました。
次回は第9話『ハルマゲドンまで』です。
現在進行中の他の作品読ませて頂いていますが
本当に描写が上手い方ばかりで……嫉妬しちゃいます( ><)
いっそ地の分ほとんど無くしてセリフだけにしちゃおうかと思ったり
しかし今更それやっても余計酷くなるだけか
とにかく最後まで頑張っていきたいと思います。
次回は来週以降になります。
340
:
名も無きAAのようです
:2012/08/17(金) 22:14:48 ID:Gh8J7I1Y0
乙
341
:
名も無きAAのようです
:2012/08/17(金) 22:59:03 ID:4AYQq0fE0
おつおつお
━━━━━ウッ......。
342
:
名も無きAAのようです
:2012/08/18(土) 03:49:50 ID:BHr2DhxQ0
いやいやちゃんと書けてると思うぞ
ゾンビ好きにはたまらん
343
:
名も無きAAのようです
:2012/08/18(土) 08:00:59 ID:VWS9/ZVMO
大丈夫。おもしろいぞ
344
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:21:17 ID:0EYVTcQw0
これより第9話『ハルマゲドンまで』を投下します
345
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:22:08 ID:0EYVTcQw0
午後5時14分
「次の方どうぞー!」
「くれぐれも一列に並ぶようお願いします!
順番抜かしは極めて厳禁ですのでご了承ください!」
――避難所の正面入り口。
大声で指示を行う自衛隊員。
その様は、今までの地獄とは別世界のようだった。
まるでコミケにいるかのような気分になる。
「まだかよー?おせーんだよ!それでも公務員かよ」
「早くしろよ!うちの息子が怪我してんだよ!」
ブーイングが響き渡る。
しかし誰も自衛隊員に近寄ったり、手を出したりするような者はいない。
('A`)「あれ……」
ドクオは入り口の真上に指を指した。
その先にあるのは……
『without warning(警告なし)』
346
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:24:12 ID:0EYVTcQw0
黄色い看板にはそう記されていた。
J( 'ー`)し「暴徒や発症者対策ね……
これだけ自衛隊員が見張りをして銃をブラ下げている理由も
当然よ、これは少しでも生存者を増やすための処置だもの」
そしてその下にはお触書が記してあった。
『避難所条例
以下に該当する方は入所を許可しません。
入所後、後日以下の事柄が判明した方も退所して頂きます。
1、発症者及び暴力や迷惑行為を行う者
2、逮捕歴、及び本日の災害に乗じた殺人が判明した者
3、医師の精神鑑定で不合格となった者
また、怪我人の方は病棟にて発症の有無による厳重な審査を行います。』
('A`)「俺達大丈夫かな
こういうの見てたら不安になってくる」
J( 'ー`)し「……大丈夫よ」
母親はギュッとドクオの服を握る。
347
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:26:11 ID:0EYVTcQw0
二人は地道に順番を待っていた。
これも助かるためだった。
中に入れば、少なくともこの国の中では最も安全な場所に住む事ができる。
下手な行動でこのチャンスを逃すわけにはいかない。
何としててでも入らなければならない。
「やだぁ!早く入りたいぃ!」
「言う事聞かない子はしまっちゃおうねぇ」
みんな同じ気持ちだった。
並んでいた連中のほぼ全員がそんな気持ちでいた。
「次の方どうぞー」
そして二人の検査が始まった。
自衛隊員に腕を捕まれ、入ってすぐの検査室へ移動。
ドクオと母親はレントゲンを撮られ、医師によりその場で厳重な検査が行われる。
数分後……
J( 'ー`)し「ど、どうでしょうか?」
348
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:28:34 ID:0EYVTcQw0
母親は息を飲んでそう問いただした。
……数秒後
「二人とも陰性です。おめでとうございます」
医者は笑顔でそう告げた。
「発症者は脊髄部分に、ある特殊な寄生虫が存在するのですが
二人ともそれらしき兆候は見当たりませんでした。よって発症による危険性はなしとみなします
続いて精神鑑定を行いますので、隣の精神科の診察を行います」
('A`)「も、もし発症してたら?」
「はぁ……治療手段がなく極めて危険ですので、その場で射殺ですね」
('A`)「……」
ドクオはしかめっ面になる。
第9話『ハルマゲドンまで』
349
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:30:21 ID:0EYVTcQw0
午後4時29分
( ^ω^)「……」
内藤は目が覚めた。
まるで眠りから覚めたように心地よい気分であり
頭を掻きながら辺りを見回す。
受付前の椅子で眠っていたようだった。
(´・ω・`)「感謝しなよ」
隣の椅子にはショボンの姿があり
彼もまた包帯を巻かれ、治療を受けていたようだった。
( ^ω^)「俺……は?」
(´・ω・`)「心停止だよ
あと数分でテメェはお釈迦になってた
それを彼女が助けやったんだ」
(´・ω・`)「必死だったよ
何度も何度も必死に人工呼吸をして」
内藤は自分の唇に指を当てると湿気を感じた。
そう考えると、何だか頬が火照ってくる。
( ^ω^)「……その子は?」
350
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:31:39 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「教えな、テメェは親父と何の関係を持っていた」
(=゚ω゚)ノ「ハァ……ハァ……」
(=゚ω゚)ノ「!!」
( ゚∀゚)o彡゜「何の関係を持っていたと聞いてるんだ
その技術を手に入れた理由は!?」
( ゚∀゚)o彡゜「答えろ!」
(=゚ω゚)ノ「が……ぐ……」
川 ゚ -゚)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
( ^ω^)「な……」
廊下に向かうと、そこには4人の姿があった。
ツンデレ、素直クール、リーゼントの変な奴
そして両腕両足を切り裂かれダルマとなったぃょぅ。
351
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:33:17 ID:0EYVTcQw0
ξ゚⊿゚)ξ「内藤君!」
ツンデレは嬉しそうに内藤に抱きつく。
ξ゚⊿゚)ξ「良かったぁ!
もう起きないかと思って!」
( ^ω^)「お……その……ありがとうお、感謝してるお
で、アンタは?」
内藤はリーゼントの男、ジュルジュを見てそう問う。
( ゚∀゚)o彡゜「何て事はねぇ、単なる関係者だよ
あまり気にかけんな」
( ^ω^)「いや全然単なるではないお
関係者って……?」
川 ゚ -゚)「モナーの弟だ」
( ^ω^)「……え?」
それを聞いて内藤は体が固まる。
352
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:34:28 ID:0EYVTcQw0
モナー。
――この人生の中で最も凶悪だと感じた殺人鬼。
己の持ちうる技術を全て自己快楽へと使い……
その自己快楽すらも殺人という、最もドス黒い悪人。
その弟?
川 ゚ -゚)「そしてこの医師の名はぃょぅ
我々に襲い掛かった理由は知られたくない情報があるから
……だよな?」
(=゚ω゚)ノ「ぐおっ!」
彼女はぃょぅの胸に蹴りをぶち込む。
(=゚ω゚)ノ「お、俺も現状がどうにか切り開けるとは思っちゃいない
やめろ……話す事は全て話す」
多大なる肉体消耗で疲労したぃょぅは、死にかけの瞳でそう告げる。
(=゚ω゚)ノ「俺はモナーの友人だ
今回の災害に関する事も……ほとんどを聞いた」
353
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:36:26 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「とはいったものの、今回の災害の元を知っているわけじゃない
案外これは人間の仕業によるテロだとか……そういうものじゃないと思う」
(=゚ω゚)ノ「地球とはゴムやトランプリンみたいなものだ
何かを搾取し増大すれば、それだけの代償が我々に返ってくる」
(=゚ω゚)ノ「例えばエイズ。
あれは通説によれば人間が猿と獣姦をした事が始まりだと言われるが
1981年の症例報告後、わずか10年程度で感染者は世界中に100万人にまで広がっていった
たかが猿との獣姦ごときがここまでの大規模な災厄を生み出したのだ
これは増えすぎた人類を淘汰するための一種の運命だったのではないか?と私は思う」
川 ゚ -゚)「随分と関係のない話を始めるものだな」
(=゚ω゚)ノ「関係はあるさ、つまりそういう事
今回の災害は人類自体への業(カルマ)
……誰の仕業でもないのさ」
(=゚ω゚)ノ「よく考えてみろ
発症者は現時点で地球上のあらゆる国で確認されている
例えこれがテロの仕業だったとして……どんな手を使ったとしても
たった一日でこれほど世界を絶望的な状況に変えるのは不可能なのだ」
354
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:37:34 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「つまり我々を疑うなら検討違いって事さ
こんなもの私もモナーも君達も、元より防ぎようなどなかった」
(=゚ω゚)ノ「……だが予知はできた」
( ^ω^)「予知?」
(=゚ω゚)ノ「モナーさ。人間の中でもピカイチに秀でた人間なのだよ
だからこそアイツは私のようなヤカラを見抜く力を持ち
この災害も予め天性的な力で予知していた
ししてカリスマ性を感じた私はアイツに惹かれただけだ」
グッとジョルジュはぃょぅの胸倉を掴む。
( ゚∀゚)o彡゜「……で、惹かれて何をしたと聞いているんだテメェはよぉ!」
(=゚ω゚)ノ「何て事はない
私はモナーに、人間を皆殺しにするなら避難所を破壊するのが最適だよと
そう告げただけさ……そして」
(=゚ω゚)ノ「知能を残して亡者と化す技術……
これも単なる自己研究欲にとりつかれた実験
独自にこの方法を知る事ができたのだ」
355
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:39:17 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「それを平然と実行しちまうのがアイツか」
(=゚ω゚)ノ「悪人は悪人を集める。
悪人同士は合理的にしか協力はしない
この技術は私が独占するために生み出したのだ」
(=゚ω゚)ノ「……貴様等、随分と他人事のような面で人を見ているが
人間は元々『悪』だぞ?」
(=゚ω゚)ノ「『善』である事が、社会では生き抜く作法として認知されてきた
皆は心の奥底に眠っている欲望を押し殺す事で生きてきた」
〝「相手にフェラをさせる時のコツはナイフで脅す事だ
でなけりゃあ食いちぎられてしまうからなぁ」〟
〝<ヽ`∀´>「人間は嘘をつく事ができる生き物だ
時代は変わった」〟
(=゚ω゚)ノ「心の奥底に眠る欲望は『悪』だ
そういう人間がいる事を、貴様等はその目で見てきただろう」
356
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:40:42 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「果たして貴様等の志す善とは何だ?」
(=゚ω゚)ノ「果たしてそれは誰から見ても正しいと断ずる事ができるのか?
果たしてそれが社会を生きる事で得た幻でないと、誰が言い切れる?」
(=゚ω゚)ノ「人を殺す事が何故罪だと言い切れる?
ならば貴様等が殺してきた亡者は……人じゃないのか」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ぃょぅの様を見て、ツンデレは激しく怯える。
そんな彼女を素直クールが優しく抱きかかえる。
(=゚ω゚)ノ「人は無尽蔵ではない食料を搾取し、ゴミを垂れ流す
ただ延々としぶとく生き続け地球を食い潰すだけだ!
化け物まみれならば、せめて地球の資源が奪われる事はないだろう」
(=゚ω゚)ノ「前述の通り、この災害とは業(カルマ)なのさ
人間にとって最も望むべきではない未来を捧げた
これは地球から我々への復讐」
(=゚ω゚)ノ「『悪』であるが故に……」
( ゚∀゚)o彡゜「言いたい事はそれだけか?」
357
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:41:56 ID:0EYVTcQw0
ジョルジュはぃょぅの胸倉を掴み、強引に押し込む。
( ゚∀゚)o彡゜「悪い野郎は死ねばいい
テメェの薄汚ねぇ屁理屈じゃ、俺達のその意思は曲がらねぇ」
鋭い瞳でジョルジュはぃょぅを睨みつける。
(=゚ω゚)ノ「は……はは」
( ^ω^)「……」
このリーゼントの男は怒っていた。
あの男にも似た、強烈な殺気を感じ取る。
川 ゚ -゚)「……あまり口を出す必要はない
四肢をちぎったのも拘束して尋問しているのも、全てはジョルジュの発案だ
君だってアイツが兄貴だったら……きっと同じ真似をしていただろう」
川 ゚ -゚)「大丈夫だ。一応、絶命だけは止める」
358
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:43:21 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「この災害が人類そのものへの業ならよぉ
テメェ自身が犯した業ってのも、あるんじゃねぇのか?」
ジョルジュは階段の方から何かを持ち上げ、ぃょぅに見せる。
(=゚ω゚)ノ「……待て!おい!」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと!あれって!」
ξ゚⊿゚)ξ「患者の……化け物!」
引っ張ってきたのは全身を拘束された、亡者と化した患者だった。
まるで餌を見るかのような視線でぃょぅを睨みつける。
( ゚∀゚)o彡゜「他にいねぇなら、それを与えるのは俺だ」
(=゚ω゚)ノ「ま……待て!はやまるな!
助けてくれ!頼む!」
( ゚∀゚)o彡゜「そう告げた患者の命乞いに
テメェは耳を貸した事があるか?」
359
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:45:10 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「は……はは、なら君は
なら私と同じ真似をする君は」
(=゚ω゚)ノ「私と同類って事じゃないのかい」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュの瞼がピクッピクッと痙攣する。
川 ゚ -゚)「いかん!止めるぞ!」
素直クールが青ざめた表情でそう告げる。
ξ゚⊿゚)ξ「……え?」
リボルバーの銃口がぃょぅに向けられる。
そのジョルジュの様子を見て全員がこう納得する。
こいつ、殺すつもりだ。
360
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:46:47 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「そ、そこまでムキになるのは覚えがあるからだろ!?
モナーの奴が言ってたよ。少し血の気が荒い弟がいるってな
だいたい亡者を利用して拷問を始めるようなガキだぜ」
(=゚ω゚)ノ「やはりモナーと同じ血筋だな」
( ゚∀゚)o彡゜「……黙れ、ゴミ野郎」
ジョルジュはリボルバーの回転式弾倉をグルリと回し、撃鉄を指で引き起こす。
川 ゚ -゚)「ジョルジュ!挑発だ!
少し頭を冷やせ!」
(=゚ω゚)ノ「ぶっ飛ばしていいのかい?
俺はまだ情報を持ってる
間違いなく君たちにとって重要なものだ」
(=゚ω゚)ノ「兄貴(モナー)の現在地」
361
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:48:32 ID:0EYVTcQw0
川 ゚ -゚)「!!」
( ^ω^)「!!」
ξ゚⊿゚)ξ「!!」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
確かにそれは有力な情報だった。
あの殺人鬼、モナーだけは本当に危険人物だ。
川 ゚ -゚)「数時間前に避難所の連中に連絡したが、そういう人物の情報はない
少なくとも避難所は現在安全圏だが……」
( ゚∀゚)o彡゜「延命するための嘘だろ
何で今更そんな話が出てくるんだよ」
(=゚ω゚)ノ「居場所だけじゃない
先ほどまで私はあの男と電話していてね
今後の行動や作戦などはあらかた聞いている」
ぃょぅは体を横に倒し、手持ちの携帯を落とす。
それをジョルジュが拾い開いてみるとロックがかけられており、暗証番号を求められる。
(=゚ω゚)ノ「その携帯には情報がある
連絡の記録も、モナーの電話番号もな」
362
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:50:57 ID:0EYVTcQw0
午後4時39分
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……」
「ショタ……ショタガイル」
「オトコノムスメ!」
ギコは亡者の集まりの中を通り抜け
子供一人が入れる路地裏に潜り込む事で、何とか追手を撒こうとする。
(,,゚Д゚)「うわっ!」
ゴミ箱に衝突し体に生ゴミが付くが、それでも気にせず走り続ける。
一方……
( ´∀`)「……」
――巨漢の追跡者がいた。
「ショタヲオカッ!」
モナーは亡者の顔面を裏拳で破壊し
向こう側から回り込んでギコ猫を追いかける。
363
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:52:14 ID:0EYVTcQw0
(,,゚Д゚)「……」
ギコ猫はモナーの姿がない事に気付く。
回り込んで来るか?
ならば……と思い再び自分の入ってきた方に戻ろうとするが
足に激痛が走った。
(,,゚Д゚)「いっつ!!!」
足に何かが挟まった!!?
ギコ猫は足に激痛を感じ、その場に倒れ込む。
ねずみ取りだった。
あくまで準備が良いというか、本当に天才。
戻る事も前提でモナーは回り込んだのだ。
( ´∀`)「もう動くな!
助からんだろう!?ここまで来たら」
364
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:53:27 ID:0EYVTcQw0
向こう側から人影がこちらに接近してくるのが見える。
まるで死神のようである。
(,,゚Д゚)「はぁ……はぁ……」
僕に何ができる!?
たった今、この状況で
( ´∀`)「……」
モナーがようやく現場に到着し、周囲を見渡すがもぬけの殻になっていた。
逃げたか?……いや
( ´∀`)「まったく」
あからさまだった。
不自然に散乱した生ゴミ。
その横にある、他のゴミ箱とは少し距離が空いているゴミ箱。
365
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:55:15 ID:0EYVTcQw0
当然だった。
ねずみ取りで足を破壊されてるこの状況……
逃げたところで、その距離もたかが知れている。
できる事と言えばせいぜい隠れるくらいの事。
モナーは呆れた様子で拳銃を手に取り、それに向ける。
……が
( ´∀`)「……待てよ、なぜ動かない?
銃口を向けられているのだぞ」
疑心が沸いた。
罠か!?
いや、ひょっとすると銃口を向けられている事自体に気付いていない?
所詮はガキだからか……どうであれ結論を決めるに相応しい行為とは
モナーは引き金を引いた。
366
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:56:59 ID:0EYVTcQw0
発砲音が鳴り響いた。
空薬莢が飛び出し、銃口が天を裂く轟音と共に光り輝く。
ゴミ箱の中央には円形の穴が空く。
( ´∀`)「倒れた?」
よく映画で発砲された人間が後方に吹き飛ぶ描写があるが、事実は違う。
人間には体重があり、例え一斉放火されても吹き飛ぶ事はない。
そしてその音の軽さからしても……
( ´∀`)「……」
モナーの瞼がピクッピクッと痙攣する。
( ´∀`)「……ガキの分際でこの俺を?」
ゴミ箱は倒れ、僅かな生ゴミが散乱する。
ダミーだったのだ。
367
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:57:56 ID:0EYVTcQw0
恐らくは生ゴミをあえて取り出し、入ったように見せかけ
その隙に逃げ出した?
( ´∀`)「キンタマに毛も生えてない小僧がこの私を騙しただと!?」
( ´∀`)「調子に乗るな糞ガキッッ!!!!」
ドス黒い唸り声が路地全体に響き渡る。
モナーは激高し危なっかしいオーラを放ちながら拳銃を連射しまくる。
( ´∀`)「隠れているのか!?逃げ出したか!?
いずれにせよその首を必ず捻り潰してやるぞ!!
何処に逃げたぁあああ!!」
数分後、モナーは近くの建物の中を散策し始める。
一方……
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……」
368
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 01:59:02 ID:pINmDz5k0
モナー、結構雑っぽいんだな。
369
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:59:28 ID:0EYVTcQw0
驚くべき事に、ギコが隠れていたのは隣のゴミ箱だった。
最初は普通にゴミ箱に隠れるつもりだったが、このままでは見つかると危惧し
あえてその隣のゴミ箱に隠れたのだ。
それが生死を分けた。
ギコは足をブルブルと震わせながら、バレないようゆっくりと路地を歩き始める。
……モナーも賢いわけではない。
確かに異常だ。
いくら騙されたとはいえ、それを理由にあれほど激怒するのも気味が悪い。
まずその時点で普通ではない感性を持っている。
だが、そのおかげでモナーの位置を把握しやすい。
言わばそれこそが奴の弱点。
ドス黒い精神故に付け入る事ができる隙。
つまりそれ自体が奴の弱点なのだ。
……とギコは思っていた、数秒前まで
370
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:01:36 ID:0EYVTcQw0
(,,゚Д゚)「ひっ……ひっ」
ギコ猫の後頭部に冷たい物が当たる。
( ´∀`)「茶番に見えたか?その通りだよ」
( ´∀`)「あれは茶番だ」
フェイクだった。
あえてブチキレて建物の中へ入ったフリをして
実のところはギコが姿を現すのを待っていたのだ。
( ´∀`)「ケツの穴の小さいガキが、私を出し抜けるとでも思ったか?
不愉快な奴だな君は」
(,,゚Д゚)「た、たたた助けてください!
おおお願いします」
( ´∀`)「嫌だ」
(,,゚Д゚)「……な、なら」
( ´∀`)「何だ?」
(,,゚Д゚)「逝ってよし」
371
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:03:28 ID:0EYVTcQw0
挑発か?負け惜しみ?
……いや、違う。
その瞳には、何か確信に至る強い意志を携えていた。
たかが一匹のガキとは思えない何か
( ´∀`)「……」
マズい。
モナー自身、その感情が確信に至る根拠などない。
だが・・・・・本能的に何か背筋が凍りつく程の『危機』を感じる。
何故?
直後
ギコは懐から何か液体を取り出し、モナーにぶっかける。
( ´∀`)「なっ……」
あまりに突然だった。
ギコは咄嗟に腕を振り上げ、身を守る体勢をとる。
372
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 02:04:18 ID:RZNRdFRYO
支援
モナー、猫ぐらい見のがしてやれよ
373
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:04:35 ID:0EYVTcQw0
鼻を突く程の強烈な匂い。
これは酸!?
〝( ´∀`)「酸で化け物の動きを止めるだと?
相変わらず見当違いな真似をする連中だな」
トラックに積まれた硫酸の容器を見てそう呟く。〟
――あの時、盗み取っていたのか?
( ´∀`)「ぐぁあああああ!」
袖は異臭を発しながら溶解し、液体の一部が顔にかかった。
あまりの激痛に悶え苦しむモナー。
隙を見てネズミのような速さで逃げ出すギコ。
(,,゚Д゚)「!?」
直後、ギコは目撃する。
モナーが暴れまわる事により、所持していたスマホが地面に落下。
374
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:06:28 ID:0EYVTcQw0
計画……避難所……度々聞き続けたその言葉。
何故か少年は、それがとても大切な物だと感じた。
スマホを素早く奪い取り、路地裏を走り抜ける。
(,,゚Д゚)「……ハァ……ハァ……助かった!
僕は助かった!」
九死に一生!
現状に、これ程相応しい言葉はない!
つい数分前までいじっていたのか、ロックは解除されており
モナーが見ていた画像を見る事ができた。
それは『C-4』と記された何かの図だった。
375
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:07:59 ID:0EYVTcQw0
午後4時43分
(=゚ω゚)ノ「……」
ぃょぅは憔悴しきった表情で、地面を見ていた。
川 ゚ -゚)「言っただろう。この男はすでに羽をもがれた鳥だ
下らん浅知恵の一つや二つでうろたえる必要はない」
( ゚∀゚)o彡゜「……ああ、下らない時間をとってしまって悪かった」
ジョルジュは彼をを害虫を見るような視線で見下す。
( ゚∀゚)o彡゜「それとアンタ、借金取りの才能があるな」
川 ゚ -゚)「褒め言葉とは受け取らないぞ」
素直クールの駆け引きによってぃょぅは全ての情報を曝け出した。
生存者達は急ぎ足で荷造りを行い、出発の準備をし始める。
午後8時、避難所はモナーの手によって爆破される。
――決して許されるべき行為ではない。
そして、知ってしまった以上はやらねばならない事がある。
376
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:09:46 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュは貧乏揺すりをしながら内藤を凝視していた。
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
( ^ω^)「何だお!!」
( ゚∀゚)o彡゜「うおっ!」
思わずジョルジュはわっ!と驚く。
( ^ω^)「お前誰だお!」
377
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:10:49 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「そう言うテメェこそ何もんだよ!」
( ^ω^)「俺は内藤だお!学生だお!」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
語尾が『お』?
ジョルジュはかつてドクオから託された頼み事を思い出す。
( ゚∀゚)o彡゜「……」
( ^ω^)「何か言えお!」
( ゚∀゚)o彡゜「……ドクオって知ってるか?」
( ^ω^)「……」
川 ゚ -゚)「……」
その名を聞き、素直クールと内藤がピクッと反応する。
378
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:13:04 ID:0EYVTcQw0
( ^ω^)「ドクオって、あのニートのドクオかお?」
( ゚∀゚)o彡゜「ああ」
( ^ω^)「母親の事をおかんと呼ぶあのドクオかお?」
( ゚∀゚)o彡゜「ああ」
直後、素直クールと内藤が接近してきた。
急に顔を近づけられたので、ジョルジュは困惑する。
( ^ω^)「何処にいるお!」
川 ゚ -゚)「何処にいるんだ!」
( ^ω^)「ええ!?」
川 ゚ -゚)「!?」
内藤と素直クールは互いにリアクションが被り驚く。
困惑するジョルジュ。
( ゚∀゚)o彡゜「コイツはともかく、何でお前まで?」
ジョルジュは眉を潜めながら、素直クールにそう問う。
川 ゚ -゚)「その人物の姉だからだ」
379
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:15:24 ID:0EYVTcQw0
( ^ω^)「あ……姉!?」
何という偶然だろうか
まさか……ある一人の人物の、友達と家族が偶然出会うとは
川 ゚ -゚)「そうだ
遠征でここ数年間顔を出してなかったからな
……正直、もう会うのは無理だと思っていた」
素直クールは後ろを向き、腕を組みながらそう告げた。
( ゚∀゚)o彡゜「テメェ……家族だろ!そりゃいくら何でも」
川 ゚ -゚)「1人の命より100人の命だ」
素直クールは覚悟を決めた表情で、壁の方を向く。
川 ゚ -゚)「最後に出会ったのは?」
( ゚∀゚)o彡゜「教会だ」
( ^ω^)「教会……」
内藤はドクオやニダーとの思い出が浮かぶ。
380
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:16:42 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「避難所へ行くと言っていた
だから嫌でも出会っちまうよ」
川 ゚ -゚)「どの道か……」
( ^ω^)「……」
――内藤は己の拳を見つめていた。
そこにはかつて、警察署で握り締めた事によってできた傷があった。
血は止まっているが、未だ痛みが引く事はない。
それ以上に、警察官に殴られた痛みも残っている。
ぃょぅにやられた胸の痣も、歯も数本抜けている。
自分は決して不死身ではない。
……だが、死ぬまでの間の猶予はある。
それまでにするべき事も知っている。
(´・ω・`)「何つっ立ってんだ?行くぞ」
381
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:17:46 ID:0EYVTcQw0
( ^ω^)「……お?」
ショボンが内藤の背中を叩く。
ξ゚⊿゚)ξ「今更傷口が痛くなってきた?
口が開いてるわよ」
川 ゚ -゚)「裏路地を通っていくぞ
もう化け物を気にしている余裕はない」
(´・ω・`)「化け物対策は?」
川 ゚ -゚)「突っ走れ」
ショボンは首を鳴らしながら、呆れたように手をグッドの形にした。
( ゚∀゚)o彡゜「コイツは?」
ジョルジュはぃょぅが持っていたアタッシュケースを手に取る。
382
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:19:02 ID:0EYVTcQw0
川 ゚ -゚)「……その中には、知能を持ったまま化け物になれる薬品が入ってるらしい
腐っても医者としては画期的な発明と言える」
ξ゚⊿゚)ξ「もしかしたらそれで化け物から人間に戻せたり……とか」
川 ゚ -゚)「これは専門家の視線で物を言うべきだが、可能かもしれないな」
ξ゚⊿゚)ξ「やったぁ!これ絶対避難所に持って行こう!
私が……」
( ゚∀゚)o彡゜「いや、俺が持つぜ」
ジョルジュがアタッシュケースを素早く掴む。
( ゚∀゚)o彡゜「重い物を持つのは男の役目だぜ
可愛いお嬢様が持つもんじゃねぇ」
ξ゚⊿゚)ξ「べ、別に嬉しくなんかないんだからね!」
(´・ω・`)「今更ツンデレ面するな!
いいから行くぞ!」
( ^ω^)「……」
一方、内藤は無表情でぃょぅを凝視していた。
383
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:20:17 ID:0EYVTcQw0
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「やめときな、コイツに情をかける必要なんざねぇよ」
( ^ω^)「違うお」
( ゚∀゚)o彡゜「じゃあ何でジロジロ見てんだ?」
( ^ω^)「……何でもないお、哀れだと思って」
( ゚∀゚)o彡゜「……?」
ジョルジュは内藤の普通すぎる発言に対応しきれず、無言になる。
そうこうしているうちに素直クール達は窓から出て裏庭を歩いていた。
川 ゚ -゚)「ショボン」
(´・ω・`)「んだよ」
川 ゚ -゚)「本当に戦うべき相手はいる
確かにソイツがそうである事に変わりはないが……」
川 ゚ -゚)「思えば避難所にいたな
もう一人の『悪』が」
(´・ω・`)「……だがまずはモナーだよ
アイツ以上に危険な奴もいない」
384
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:21:41 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「……」
――暗闇の受付の前の椅子に座り、一人ポッツリと佇むぃょぅ。
何を考えるわけでもない。
ただ、無言で前方を見続ける。
(=゚ω゚)ノ「……?」
気がつけば身の回りは化け物まみれになっていた。
(=゚ω゚)ノ「……ははっはははは」
化け物に全身を貪られるぃょぅ。
しかし痛みは感じない、恐怖も沸かない。
……やがて
腐食と肉体の欠損によって首が取れ、床に落ちる。
385
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:23:11 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「……」
もはや声すら出せない。
それでもぃょぅは死ぬ事なく、無表情で居続ける。
もう死なせてくれ……
ぃょぅがそう思ったその時
(=゚ω゚)ノ「!!!??」
目前に巨大な肥満体質の化け物が立っていた。
排便中に発症したのか、下半身は裸だった。
……まさか
386
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:25:45 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「!!!??」
化け物のケツの穴が段々広がっていく。
暴れるぃょぅ……しかし頭部だけでは移動などできるわけもない。
やめろ!その汚らしい物を出すな!
頼む!やめてくれ!
(=゚ω゚)ノ「!!!??……!!!」
死より恐ろしいものはない。
そう考えていたぃょぅだったが、どうやら間違いだったらしい。
嗅覚と視覚、触覚が残っていた。
だからこそ全てを1秒1秒を濃厚に味わう事ができた。
(=゚ω゚)ノ「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ブリッメチャッブリリリリリリ
ベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャ
己が不死である事を呪った。
永久汚物地獄の始まりである。
387
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:28:01 ID:0EYVTcQw0
午後6時00分
「以上を持ちましてVIP小学校避難所、収容限界人数を超えました
これより市長様より説明会を開始致します」
('A`)「……市長?」
J( 'ー`)し「何で知らないのよ
もう4年もこの町の市長やってる人なのに」
二人はVIP小学校避難所の体育館の中にいた。
館内は老若男女様々な市民がギュウギュウに敷き詰められていた。
数にして1000は超えているだろうか、ガヤガヤと騒ぐ音がうるさい。
そんな中、複数の自衛隊員に守られた一人の男性が姿を現す。
( ゚ー゚)「えー……この度は、人類全土の危機に及ぶ大規模な生物災害が発生し
この壊滅的なダメージを及ぼしている、この悲惨な状況に深く心を痛めています」
それは純白のスーツを身に纏う
オールバックの清楚な外見の男だった。
( ゚ー゚)「しかし、現時点では発症者を留置できるだけの設備もございません
皆様を一人でも多くこの施設に避難させる事が精一杯であるのが現状でございます」
( ゚ー゚)「食糧、飲料水、燃料などの不足により、極めて苦しい避難生活を余儀なくされますが
状況が少しでも好転し、人々の復興への希望につながっていく事を願います」
388
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:30:18 ID:0EYVTcQw0
( ゚ー゚)「私もVIP市の市長エイブラムス岡田として15年もの間、皆様と共に暮らしてきました
土地に生きる方々に対し、感謝の気持ちを忘れた事はありません!」
( ゚ー゚)「この市の長として救助に専念する事を誓います
やがては各地の避難所を軸に少しずつ安全地帯を拡散し
皆様と共にそれぞれの地域の復興の道のりを、歩んでいく所存でございます!」
直後、館内は拍手喝采に包まれた。
('A`)「……」
J( 'ー`)し「どうしたの?うかない顔して」
ドクオは気づいていた。
拍手をする市民はそれぞれが苦難を経験し、顔が汚れ傷を負っているが
市長は新品の綺麗なスーツに身を包み、ワックスをかけたサッパリしたオールバック。
そして、まるで人形のようにに無機質な笑顔であった事を……
次回第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』
To Be Continued……
389
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:36:31 ID:0EYVTcQw0
第9話『ハルマゲドンまで』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、支援をして頂いた方、どうもありがとうございました( ^ω^)
次回は第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』です。
10〜13話は最終章の避難所編となります。
次回の投下は今週の土曜日or来週以降となります。
390
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:45:00 ID:0EYVTcQw0
なお、次回からオリジナルAAが二人登場します。
( ゚ー゚) エイブラムス岡田
避難所を統制する市長です。
2種類の表情を持つキャラであり
( ゚−゚)
( ゚ー゚)
の二つの表情を持っており、素性は後々明らかとなります。
また、もう一人のオリジナルAAは次回にて
391
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 02:47:28 ID:RZNRdFRYO
あと三話か、書き上がってるみたいだし
あとは投下時間の確保だけか、期待して待ってる
392
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 03:24:22 ID:pINmDz5k0
ぃょぅ哀れ…
393
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 07:16:11 ID:l5DYl4yE0
お疲れさま
394
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 23:43:51 ID:2MCoM.3QO
ぃょぅ……
395
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:42:34 ID:C7bQuIEg0
これより第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』を投下します。
恐らく今後は週1〜2のペースになってしまうかもです(;^ω^)
土曜日を予定していたのですが、遅くなってすみません
396
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:44:49 ID:C7bQuIEg0
この世界は心地が良い。
君達とて、私がそういう人物である事は理解しているだろう。
そして君達もまた、己の私欲のために人を蹂躙する事を躊躇わない。
……だからこそ望まない者がいる。
それが大多数である事も世の中の性だ。
命を永らえるため地を這う蛆虫共は互い寄り添い、世界を再建させようとする。
実現するか否かは定かではないとして、連中の頭の中には必ずと言っていい程それが根付いている。
それを利用する者もまたいる。
397
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:46:23 ID:C7bQuIEg0
傷ついた生存者を蛭のように寄生し血を吸い、自分はあたかも英雄であるかのように振舞う。
その内心は傷ついた民をあざ笑い酒の肴にする下衆野郎。
彼は最新兵器を武装した兵士に守られ、誰よりも安全な地位に居続ける。
……しかし、良かれ悪かれソイツがいる事によって世界は再建されていく。
無論今に始まった事ではなく、何時の時代もそのような者はいた。
下らん気休めの幻想など見せず、再建などさせはしない。
蛆虫は蛆虫らしく地を這えばいい。
避難所を破壊すれば再建の夢は途絶える。
下らん歴史を増やさぬために、私は全身全霊を注ぐ。
(,,゚Д゚)「……ヤバい」
それはモナーのスマホのメール履歴にあった、ぃょぅと他数名へ送られた本文だった。
自分に何ができるか?
ギコはそんな葛藤に苦しみながら、街中を走り続ける。
第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』
398
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:48:12 ID:C7bQuIEg0
午後6時10分
起爆まで残り1時間50分
( ゚−゚)「フンッ……屑共が
まるでスラム街はじゃないか
これでは人に品性を求めるなど、絶望的だ」
体育館裏の放送室。
エイブラムス岡田は楽にした様子で座り込んでいた。。
先ほどまで愛想笑いをしていた口元は戻り、無表情となる。
「市長殿、良い演説でありました」
護衛兵が敬礼をする。
( ゚−゚)「あんなものが良い演説だと?
それらしい肩書きを並べただけではないか
馬鹿共には丁度いい目くらましだ」
( ゚−゚)「……ところで、食料の配備はどうなっている?」
「しょ、食料でございますか?
全ての非常食を含めて倉庫一つ分しかございませんが」
399
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:49:43 ID:C7bQuIEg0
( ゚−゚)「あれだけの市民を収容してるんだ
すぐに底が尽きるぞ
国からの援助も期待できん」
「……しかし」
( ゚−゚)「何処から食料を調達するのか?
とでも言いたげな顔だな」
( ゚−゚)「そこらのスーパーから奪い取れ
可能なら業務スーパーの方が良いが……
最悪住宅地に侵入してもかまわん
その際に遭遇した反抗的意思を持つ暴徒は全て射殺しろ」
「畏まりました!……が、もし救助を要請する生存者と遭遇しましたら?」
( ゚−゚)「この避難所は校舎、体育館、全ての収容数が限界に達している
それをわかって言っているんだろうな?」
400
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:51:24 ID:C7bQuIEg0
「……」
護衛兵は苦い表情で敬礼をした。
( ゚−゚)「非感染者も含めて、全て感染者と診断して収容を拒否しろ
今この避難所の周囲にに屯っている生存者も全員な
抵抗する場合は発砲も許可する」
「了解致しました」
護衛兵は怒りを隠せぬ様子で放送室を出て行く。
( ゚−゚)「政治の根本的な柱が崩壊した今や、この世を統治できるは野心のみ
屑共を利用し名誉を得れば……この地位をのし上がる事すらできる」
( ゚ー゚)「……いい時代がやってきたものだな」
市長は頬杖をつき、不敵な笑みを浮かべてそう呟く。
401
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:53:43 ID:C7bQuIEg0
午後6時5分
起爆まで残り1時間55分
「お願いします!収容してください!」
「子供が!子供だけでも!」
(,,゚Д゚)「……」
やっとの思いでギコが到着した時、避難所の周辺は修羅場となっていた。
VIP小学校全体は要塞のように巨大な塀で覆われており
その下にはボロボロの市民が屯っていた。
「立ち退けと言ったはずだ!射殺するぞ!」
見張り塔には自衛隊が立っており、銃を市民に向けている。
「君達は感染者だ!この建物の中に入れるわけにはいかない!」
「嘘です!この子は噛まれてないんですよ!
感染してるわけないじゃないですか!
……だったらせめてもう一度診断を!」
「黙れ!我が子を案じるなら他へ行け!
とにかく無理だ!立ち去れ!」
直後、一人の男性がロープで塀を登り始める。
402
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:55:21 ID:C7bQuIEg0
「やめろ!撃つぞ!」
(,,゚Д゚)「ちょっ!」
直後、発砲音が鳴り響いた。
男性は落下し、呻き声をあげながら苦しむ。
その様を見て怯える市民達。
(,,゚Д゚)「……」
駄目だった。
様子を見た限りでは避難所の収容は限界。
これでは事を伝える以前に、建物の中に入る事すらできない。
「イソゲー!」」
「マツリダ!マツリダ!」
「ヒサビサニウデガナルゼ!」
音を駆けつけて大量に沸いてくる化け物達。
市民はやむ終えなく、一目散に逃げていく。
403
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:58:04 ID:C7bQuIEg0
焦るギコ。
やはり自分も逃げるしかないか?
そう思った時……
塀の下に小さな通り道があった。
誰かがコッソリ掘ったのか?
幸い自衛隊員は化け物に夢中で、ギコはそこを潜り抜ける。
しかし、その姿を双眼鏡で確認する者はいた。
川 ゚ -゚)「……子供?」
404
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:00:12 ID:C7bQuIEg0
――避難所の隣の建物には内藤達の姿があった。
元々塾として機能していたのか、複数の机が乱立しており
正面にはホワイトボードが立ててありそこにショボンが立っていた。
(´・ω・`)「どうした?」
川 ゚ -゚)「……いや、子供が避難所に侵入していた
なかなか着眼点の鋭い子だな、塀の下を潜って」
素直クールは見張りの自衛隊員に悟られぬよう、窓から身を伏せる。
(´・ω・`)「その避難所も数時間後には爆破される
辛い話だが、俺達がどうにかしなければソイツも犠牲者のうちだな」
川 ゚ -゚)「だからこそ、私達はそれを防がなければならない
ジョルジュだったか?そうやってヘソを曲げていても疲れるだけだぞ」
( ゚∀゚)o彡゜「うるせぇな」
ジョルジュは足を組み、机に足を乗せて不良のように座っていた。
( ゚∀゚)o彡゜「俺はあの糞野郎を殺したいだけなんだよ
下らん茶番に付き合うつもりはねぇ」
405
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:01:44 ID:C7bQuIEg0
ξ゚⊿゚)ξ「そのわりには座ってるね」
( ゚∀゚)o彡゜「べ、別にそんなつもりじゃねぇよ!
俺は休憩としてここにだな」
ξ゚⊿゚)ξ「(……ツンデレだなぁ)」
川 ゚ -゚)「まぁいい、どの道時間もないし好きにしてくれ
ショボン解説を頼む」
(´・ω・`)「まず爆弾の設置数について説明するが……
種類はC-4、アメリカ軍を始め世界的に使用されている軍用のプラスチック爆薬の一種だ
コイツが校舎に3箇所、体育館に3箇所仕掛けてある
いずれも屋上や地下の柱に仕掛けており、意識をしなければ早々見つかるような場所じゃない」
(´・ω・`)「すると……選択肢は『逃がす』か『解除する』かの二択しかないだろうな」
(´・ω・`)「『逃がす』という選択肢は、一見最適のように感じるが駄目だな
説得するまでに時間がかかんだろうし、どの道避難所は破壊される
柵が崩壊する事によって、なおかつその音によって化け物が押し寄せ
恐らくはグランドに避難したであろう生存者達は逃げ場を失い殺される」
406
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:03:21 ID:C7bQuIEg0
(´・ω・`)「次に『解除する』という選択肢
一見無謀だろと思うだろうが、決して不可能でもねぇ
爆弾は液体窒素によって凍結させれば機能停止にはできる」
( ゚∀゚)o彡゜「爆弾よっては対冷却システムが付いている装置もあるぜ」
(´・ω・`)「まぁな……最近の起爆装置はそれがよく採用されてるが
それで俺達も懸念して『逃がす』事を優先していたが」
ショボンは懐から何やら器具を取り出す。
(´・ω・`)「ぃょぅから起爆装置の余りを奪った、サンプルだよ」
それはよく映画で見るような、配線に覆われた爆弾だった。
(´・ω・`)「このタイプは機械式のタイマーで、液体窒素をかけると内部のオイルが凍る
その結果……カウントダウンが停止し一時的な解除が可能となる」
(´・ω・`)「凍結するだけだが、十分な時間が得られる
そこからのの解体作業は俺と素直クールがやる」
407
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:05:08 ID:C7bQuIEg0
ξ゚⊿゚)ξ「液体窒素は何処にあるの?」
(´・ω・`)「病院で治療用の液体窒素を頂戴したよ」
そう告げ、ショボンは巨大な容器を取り出す。
(´・ω・`)「−196℃の液体だから管理は非常に大変だぜ
僅かなら肌にかかると体温で蒸発するが、流石に量が多いと凍傷になる
あと、布に染み込むと固まってもっと酷い凍傷になるので布手袋を控える事
別の容器に移し替えたりもするなよ。温度で容器が割れてしまう」
彼はそう告げ、皆に皮手袋と専用の容器を配布する。
(´・ω・`)「床に落とす等でこぼしてしまったらその時点でアウトだからな
地面の温度で蒸発して消滅するから、またこの容器から汲まないと駄目だ」
本来ならば学生に使わすべきはないシロモノだが、これも緊急時だからの事」
ξ゚⊿゚)ξ「避難所の人々に協力してもらうのは?
中には医者みたいな管理に長けた人もいるだろうし……」
川 ゚ -゚)「その生存者の大半は嘘の噂を流され、現状も理解できないパニック状態でいる
我々の話を信用させるのは容易くはない
そんな時間も今は惜しい」
408
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:06:45 ID:C7bQuIEg0
(´・ω・`)「まぁな
しかしそれは赤の他人だったら、という話だ
……内藤」
シャキンは真剣な表情で内藤を凝視する。
(´・ω・`)「ドクオとか言う奴、使えるか?」
( ^ω^)「……」
川 ゚ -゚)「……」
考え込む内藤を素直クールが凝視する。
( ^ω^)「馬鹿だお、使えないお」
(´・ω・`)「!!」
川 ゚ -゚)「!!」
ξ゚⊿゚)ξ「!!」
( ゚∀゚)o彡゜「……!!」
(´・ω・`)「そ、そうか」
409
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:08:45 ID:C7bQuIEg0
( ^ω^)「でも悪い奴じゃないお
俺が言った事もすぐ信じると思う」
(´・ω・`)「悪い奴じゃねぇなら無問題(モーマンタイ)だな
足を引っ張らせない程度に使ってやれ
……次に配分だが」
ショボンは内藤、ツンデレに無線を渡す。
(´・ω・`)「ここのスイッチを押せば送信に切り替わる。
何かあったら俺達に連絡しろ
最悪『避難』の先導を行うから、可能な限り早くな」
ξ゚⊿゚)ξ「……わかりました」
(´・ω・`)「これは地図だ。設置されてある全ての爆弾が記されている
万が一……見つからなかったり、あるいは」
ショボンは二人に爆弾サンプルの写真を渡す。
(´・ω・`)「ほんの僅かでもこれと形状が違っていたら教えろ
まずはないと思うが、温度センサーで起爆するタイプなら」
(´・ω・`)「ドカンだ」
410
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:10:46 ID:C7bQuIEg0
それを聞き、二人は青ざめた。
(´・ω・`)「……それも念のためだよ
ぃょぅは経費と時間の問題から、簡素な爆弾しか作れなかったと聞く
一応、校舎は俺一人、体育館は素直クールと内藤とツンデレで頑張ってもらいたい」
( ^ω^)「だ、大丈夫なのかお」
(´・ω・`)「心配いらねぇよ、実践経験はある」
(´・ω・`)「ちなみに素直クールはあくまでお前達のアシストだ
全ての爆弾を見て『解除可能』か否かを診断するだけ
彼女には別の仕事があるからな」
(´・ω・`)「恐らく避難所の中にはモナーの協力者がいるようだ
邪魔されるとも限らない、それを見つけるのが素直クールの役目」
(´・ω・`)「……以上かな
とにかく時間がない、すぐに液体窒素をくばろう」
411
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 04:11:29 ID:MvMhW1aQO
なんという時間に!
まあ、待ってはいたんだが
それにしてもなんという正直者だ、( ^ω^)さん
412
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:12:12 ID:C7bQuIEg0
ショボンは液体窒素のボトルの蓋を開けた。
中からはモワモワと蒸気が溢れ出ている。
(´・ω・`)「流石にこれを運ぶのは無理だからな
避難所内の砂場にでも隠しておこう
見張りが何人かいるだろうが、そこは機転を利かしてな」
ξ゚⊿゚)ξ「私達にできるかな……こんな事」
( ^ω^)「やるしかないんだお
俺達がやらなけりゃ、犠牲者は増えるだけだから」
内藤は勇ましい表情で皮手袋を手に付けた。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンデレはそんな様を見て、ちょっと頬が赤くなる。
( ゚∀゚)o彡゜「モナーはどうする?」
413
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:14:40 ID:C7bQuIEg0
ξ゚⊿゚)ξ「……?」
( ^ω^)「……?」
( ゚∀゚)o彡゜「アイツは来るぜ
今回の避難所爆破に関してはかなりの執着がある」
川 ゚ -゚)「……わかっている」
( ゚∀゚)o彡゜「なら何故対策をしねぇんだ
ボケちまったのか?あ?」
(´・ω・`)「相手をするだけ無駄だ
強いて言うなら、正面入り口を完全封鎖するくらいだろう」
( ゚∀゚)o彡゜「それじゃあ駄目だな
アイツなら自衛隊員の生首でも使って侵入してくる」
(´・ω・`)「じゃあどうするつもりだ?
そんな言い合いをしている時間が惜しいが」
( ゚∀゚)o彡゜「俺が殺る」
414
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:16:16 ID:C7bQuIEg0
午後6時12分
起爆まで残り1時間48分
(,,゚Д゚)「……ハァ……ハァ」
ギコは藪から帽に裏庭を走っていた。
何処へ行けばいいのかわからない。
VIP小学校はまるで要塞のように変貌しており、人一人歩いてはいない。
ギコは緊急用に設置された見張り塔に注意しつつも慎重に進んでいた。
(,,゚Д゚)「……と、とにかく!」
少年は校舎の中へと入ろうとした。
……直後
「動くな!」
(,,゚Д゚)「!!!」
向かいの角を曲がった瞬間、ギコは護衛兵に銃口を向けられた。
415
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:17:44 ID:C7bQuIEg0
「ここで何をしている!」
(,,゚Д゚)「えっと……あの……トイレを」
本物のアサルトライフルの銃口がギコに向けられる。
「……コイツ」
入所を許可された避難民には医師公認の非感染者バッチが付けられる。
〝( ゚−゚)「無許可で侵入した者、外を放浪する者、バッチを付けない者は射殺しろ
僅かな規律の乱れが避難所の崩壊を招く」〟
――かつて護衛兵はエイブラムスにそう言われていた。
コイツは侵入者。
一目見ただけでわかる。
妙に砂が付いた胸元で……
恐らくは塀の下を潜ってきたのだろう。
416
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:19:36 ID:C7bQuIEg0
「トイレだと!避難所の中にあるだろう!
何故バッチを外している!」
(,,゚Д゚)「バッチ!?」
ギコはそんな物知る良しもない。
頭の中がヤバいの一言でいっぱいになる。
(,,゚Д゚)「……え、ああ」
「答えろ!何故だ!」
(,,゚Д゚)「……」
下手な嘘は自分を苦しめるだけ
幼いギコでもそれくらいの事は理解できた。
(,,゚Д゚)「大変なんです……」
「……?」
ギコは突然護衛兵に泣きついた。
(,,゚Д゚)「大変なんです!
爆弾が!……この避難所に!」
417
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:21:15 ID:C7bQuIEg0
「……え?」
護衛兵は唖然となる。
(,,゚Д゚)「モナーっていうとんでもなく悪い奴が!
この避難所の人達を……皆殺しにするつもりなんです」
「……モナー?」
護衛兵はその男の名を知っていた。
現在、町内の自衛隊員のほぼ全てが市長エイブラムスの指揮で動いている。
その中の数人の兵士が市長の護衛としての任務を行っていた。
※素直クール達もその一隊だが、彼らは指示を無視して独断で行動。
「……」
この護衛兵もまた、モナーを知る自衛隊員の一人だった。
故に……
何故知っているのか
418
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:23:40 ID:C7bQuIEg0
モナーという人物の名は彼らの間ではタブー視されており
災厄を招く人物の象徴として知られていた。
(,,゚Д゚)「何ならこれ見てください!」
ギコは汗だくになりながら、護衛兵にスマホを渡す。
個人プロフィールはデタラメが多いが……
(モナーは指名手配されていたため、偽の個人情報でスマホを入手)
メールの内容を読んでみると爆弾の名前や設計図や設置など
それは明らかに小学生が嘘を演じれるレベルを超えていた。
「う、奪ったのか?」
(,,゚Д゚)「そうです!早く!早く解除しないと」
「……」
護衛兵は考え込む。
419
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:25:29 ID:C7bQuIEg0
彼は兵士としての己の存在意義に、疑問を感じていた。
自衛隊員とは国を守るための最終機関。
我々がすべき事は無傷の市長のお守りではない。
あの男の、命の尊厳を遵守しない指令で動く事が役目ではない。
「……」
それに比べれば、この少年の行動はどれだけ勇敢だろうか
あくまで事実と仮定するならば、誰よりもこの国を守ろうとしている。
(,,゚Д゚)「本当なんだよ!信じてよ!頼むよ!」
「……いいだろう」
護衛兵は真剣な表情でそう告げた。
420
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:28:18 ID:C7bQuIEg0
「そのスマホを貸してくれ
上層部にこれを伝え、君の意思を受け継ぎ検討してみよう」
(,,゚Д゚)「あ、ありがとうございます!」
護衛兵はスマホを手に持ち、エイブラムスの元へ向かい始める。
( ゚−゚)「君も地に堕ちたものだな
爆弾だと?フザけるのも大概にしろ」
校舎の職員室にはエイブラムスの姿があった。
「ですが!一度検証をしてみるだけでも!」
護衛兵は足を揃えキリッとした姿勢でそう告げた。
( ゚−゚)「言ったはずだろう、災害は人の心に不安を及ぼす
だからこそ根も歯もない噂が湧き出るのものだ
いちいち相手にしていてはキリがない
その労力があるなら食料と医療器具を調達しにいけ」
421
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:30:00 ID:C7bQuIEg0
「……言葉だけの木偶の坊が」
( ゚−゚)「何か言ったか?」
「いえ、失礼致します」
兵士はそう告げ、職員室を出て行く。
( ゚−゚)「……フンッ」
エイブラムスは考える。
その話が事実か否かとしても、自分自身が不利になる事はない。
公の事実などいくらでも覆す方法はある。
逆に……これを利用する事もできるだろう。
私はただ悲劇の主人公を演じていればいい。
正直な話、数千人もの重荷を背負うのはハイリスクでもある。
422
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:31:56 ID:C7bQuIEg0
皆殺し、というのも悪くはあるまい
( ゚−゚)「問題は……だな」
エイブラムスは、机に置いてある蛆の沸く腐ったリンゴを見つけ
それを片手で掴みゴミ箱に放り込む。
( ゚−゚)「……二人のユダか」
リンゴはグシャリと潰れた。
無数の蛆虫が溢れ出し腐食した果汁に執着し
ひたすら食い荒らし続ける。
そこからはみ出た二つの種。
蛆虫は囲んでそれを貪ろうとしていた。
423
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:33:10 ID:C7bQuIEg0
午後6時20分
起爆まで残り1時間40分
――どいつもこいつも生意気な屑ばかり
邪魔をするな!雑魚がイキがるな!
私程優れた者はいない!
(#‰∀`)「ハァ……ハァ……」
顔を抑えながら路上を歩く一人の巨漢の男性。
地面の死体に沸く蛆虫を、プチュプチュと音をたてて潰していく。
その姿にかつての威厳はなかった。
硫酸をかけられた事により顔の半分は爛れ、醜い姿と化していた。
「おい!もうすぐ避難所だ!」
424
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:34:26 ID:C7bQuIEg0
「心配いらねぇっの!俺達ぁ無傷なんだぜ?」
「……おい」
目の前を通り過ぎる若者達が、モナーの存在に気づいた。
「何だあれ?化け物じゃないよな」
引きずり過ぎてボロボロとなったアタッシュケース。
それを大事そうに持ち、顔を抱えて歩く姿は極めて異端だった。
「おお、火傷してんのかな……あの顔は」
「気持ち悪りぃ何だコイツ、顔が水ぶくれになってんじゃん」
「あれじゃあもう終わりじゃね?」
若者の一人がモナーの目前に接近した。
「何してんだよ!化け物が来ちまうぞ!」
「……まぁ待ちなって」
425
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:36:58 ID:C7bQuIEg0
「何してんのアンタ?」
一人の若者が、腰に手を当ててそう問う。
(#‰∀`)「ハァ……ハァ……」
「答えてよ、どうしたのその顔?」
モナーは無視して通り過ぎようとするが、若者は彼を足を思い切り踏んだ。
「そのアタッシュケースさぁ、札束や金品がはみ出てんだよね
こんな時に普通お金なんてそんなに持つ余裕ないよね」
(#‰∀`)「ハァ……ハァ……」
モナーは苦しそうな顔で若者を凝視する。
直後
若者はモナーを蹴り飛ばした。
「どう考えても火事場泥棒じゃんてめぇ!
何!?どうせその火傷も欲に負けちまったからだろ!
薄汚ねぇ面汚しが!ぶっ殺してやる!」
426
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:38:12 ID:C7bQuIEg0
(#‰∀`)「ぐっ!」
「金より今は自分の命だろ!
アンタ馬鹿じゃねぇの!?」
「おい!」
「ははは、制裁タイム!けどよぉ化け物来たら俺達逃げるからな!」
「はぁ!?ちょっとくらい待てっての
俺はコイツに正義の鉄拳をだな」
(#‰∀`)「……」
状況が状況故、治安は必然的に悪化する。
抑止されてきた暴力衝動は開放され、必然的にこのような事態を招く。
『正義』という大儀名分があればなおさらの事
かの邪悪の象徴であるモナーでさえ、その力は……
維持され続ける。
「……え?」
蹴りをぶち込んだ若者は、何故か足を降ろした瞬間に倒れ込む。
427
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:40:07 ID:C7bQuIEg0
「折れてる!折れてるって!」
「180度ひん曲がってる!ありえねぇ!」
(#‰∀`)「何なんだ貴様等は……愚図風情が
何故弱いくせに邪魔立てばかり」
モナーは決して堪えている様子はなく、当たり前のように立ち上がった。
「嘘だろ……」
半ばパニック状態になる中……
若者の中には洞察力に優れた者もいた。
――彼は気づいてた。
蹴飛ばされた瞬間、瞬時に若者の足をへし折った事
そして、自分達が間違いなく殺される事を
428
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:42:09 ID:C7bQuIEg0
(#‰∀`)「……」
……数分後
疵面(スカーフェイス)モナーは無表情で路上に立っていた。
周囲には目玉を抜かれた若者の死体があり
そのどれもの関節が不自然な方向にひん曲がっていた。
(#‰∀`)「……痛みが引かん
不愉快だ、不愉快すぎる、不愉快極まりない」
(#‰∀`)「そしてまた不愉快な奴」
「ビコーズ!デミタス!ミッドガルド!セントジョーンズ!」
警察官、主婦、オタク等……
2、3匹の化け物がモナーを察知し、襲い掛かってくる。
429
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:43:57 ID:C7bQuIEg0
しかし彼は何故か反撃体勢をとらない。
……何故なら
光が放たれた。
無数の裂けた顔面、歪なデスマスクが舞い散り
モナーはそれを軽々と避けた。
化け物達は顔を失い、血を噴出しながら次々と倒れていく
まるで魔法のような光景。
そんな中、モナーはその正体を悟る。
(#‰∀`)「……ピアノ線に刃物を通し、足が触れたと同時に落下
しかし夕方なだけに、光の反射で見えてしまうのが減点だな
罪人と言えばギロチンという発想も極めて安易
40点というところかな」
(#‰∀`)「ジョルジュ」
430
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 04:44:48 ID:MvMhW1aQO
支援
モナー、手傷負ってるのに強いな
431
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:46:01 ID:C7bQuIEg0
モナーは顔を抑えながら、一歩一歩踏め締めていく。
その前方の建物の角に潜む男が一人……
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュ長岡だった。
彼はプールから上がった後のように汗だくであり
親指の爪を噛みながら酷く動揺した様子でしゃがみ込んでいた。
(#‰∀`)「どうしたんだい?何故逃げたんだい?
お兄さんは悲しいな」
( ゚∀゚)o彡゜「……うるせぇ殺人鬼」
〝「やはりお前は我々と同じ血筋だよ
欲に駆られやがては共食いを始める」
「心配するな、私は誰にも狩られない」
「世界を……ナメるなよモナー
奴らは時として……何よりも邪悪な決断を下す」〟
432
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:47:46 ID:C7bQuIEg0
〝「何で親父を殺した!」
「あんな屑に情を抱くのか?」
「黙れ!お前なんか兄さんじゃない!
悪魔だ!殺人鬼だ!」
「……心配するなジョルジュ
ヨハネの黙示録によれば、最後の審判の日はそう遠くはないらしい
いずれ力のみがこの世を支配する時代が来る
もはや人を殺す事が罪深く、愚かである事もなくなるだろう」
「兄さん……俺はアンタを殺すよ
肉親だからこそわかる!アンタは生きてはいけない人間だ!」
「楽しみにしているよ」〟
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュは怖くて仕方なかった。
今すぐここから逃げ出したかった。
手の震えが止まらない、吐き気も、背筋の震えも……
433
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:49:25 ID:C7bQuIEg0
〝「武器をあげよう。技術も教えてあげよう
お前は私の弟だ、よく育ちよく強くなる」
「私を殺しにきなさい。闇討ちでもいい、暗殺でもいい
毒殺でも乗り物や爆弾を使ってもいい
いい兄貴だろう?お前が一人前になるためなら何だってやるさ」〟
( ゚∀゚)o彡゜「……にげねぇよ」
ジョルジュは苦い表情でリボルバーを構えた。
( ゚∀゚)o彡゜「俺個人の意思なら怖いさ……だが
俺にゃあダチがいる!約束事がある!
守りたい人達がいる!」
(#‰∀`)「負け試合と知っていてか?
お兄さん、お前を馬鹿に育てた覚えはないが」
( ゚∀゚)o彡゜「だがよぉ……俺が手を引けば、避難所の人々はどうなる!」
(#‰∀`)「殺すよ、どうせ爆弾を邪魔する連中も山ほどいるだろうからなぁ」
434
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:52:05 ID:C7bQuIEg0
( ゚∀゚)o彡゜「それが駄目なんだよぉおお!
だから……テメェの命を貰い受けるしかねぇんだぁ!」
ジョルジュを意を決し、顔を出して拳銃を強く握った。
( ゚∀゚)o彡゜「ぶっ殺す!」
(#‰∀`)「……」
その時、モナーはジョルジュから覇気を感じとった。
その確固たる瞳は何処か……あの時とギコと同じ感覚がした。
〝( ゚−゚)「君はあのモナーと同じ血筋らしいな
ならば私が導いてやろう」〟
435
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:54:36 ID:C7bQuIEg0
午後6時20分
起爆まで残り1時間40分
〝(´・ω・`)「お前に自衛隊の服を与える
まずドクオを探しても良い、その格好ならバッチの枷は外れる」
(´・ω・`)「怪しまれる事に関して心配はするな
どの道避難所は生存者でごった返してる
……ただし、最大10分
これ以上かかるようなら冷却に専念しろ」〟
避難所の体育館。
そこには自衛隊員の格好をした内藤が入り口におり、足を止めていた。
何故なら……
(,,゚Д゚)「皆さん逃げてください!
この避難所には爆弾が仕掛けられています!」
( ^ω^)「……どういう事だお」
予想だにしない事態。
ステージにはギコの姿があり、マイクでハッキリとそう訴えていた。
同じく、動揺する内藤の数十メートル先の距離に……
('A`)「何だあれ」
J( 'ー`)し「変わった子ね」
次回第11話『彼の足元に彼らはかぶっていた金の王冠を置くだろう』
To Be Continued……
436
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 05:13:09 ID:MvMhW1aQO
あと二話で終わりか、どんな結末か気になる
投下乙かれでした
437
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 05:13:31 ID:C7bQuIEg0
第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、支援して頂いた方、どうもありがとうございました。
次回は第11話『彼の足元に彼らはかぶっていた金の王冠を置くだろう』です。
仕事の都合上、投下はほぼ深夜〜朝となります。
次の投下は週末or来週を予定しております。
モナーは本作の中で最も人間離れした人物です。
不死身かつ最強ですので、どうやって倒すかが本題になってきます。
今後とも読んで頂けると幸いです。
438
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 10:27:55 ID:rYqLf2zkO
はじめて題がマッチしてるとおもた。あなたが書き慣れたときが楽しみだ
439
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 11:21:35 ID:VnEedetMO
来てたのか
乙乙
もうすぐ終わりなのは寂しいこったな
440
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 11:23:42 ID:dddFbzFE0
ブーンが俺っていうのはやっぱ違和感あるなぁ
441
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 11:24:53 ID:.XlyCKtI0
乙
442
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 19:23:01 ID:zS/q6MCs0
乙乙
443
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 19:51:24 ID:G33hFqv20
乙乙乙
444
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 23:50:21 ID:RJqRcCrYO
>>398
ω・`)シロッコだ
445
:
名も無きAAのようです
:2012/09/04(火) 21:23:46 ID:292ajpgk0
wktk
446
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 17:54:20 ID:R4WW0coc0
これより第11話『彼の足元に彼らはかぶっていた金の王冠を置くだろう』を投下します。
だいぶ時間ができ始めたので、投下の頻度を増加していこうと思います
レスのお返事は投下後に(;^ω^)
447
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 17:56:09 ID:R4WW0coc0
( ゚∀゚)o彡゜「兄貴、呪われた血筋ってのは救えねぇな」
容赦なく発砲を続けるジョルジュ。
モナーは素早く遮蔽物に隠れた。
( ゚∀゚)o彡゜「元々俺達ァ悪の血族だったらしいぜ
戦時中は銃を裏家業で生産してた悪徳業者だったようでな」
( ゚∀゚)o彡゜「……結果、膨大な資産を手に入れ貴族となり
優れた血筋を持つ天才として、一流の教育を受け続けた
しかし……そんな親が嫌いだったアンタは」
銃弾でモナーの頭上のガラスを割る。
(#‰∀`)「ぐっ」
舞い散るガラス片から身を守るが
( ゚∀゚)o彡゜「殺した」
448
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 17:58:58 ID:R4WW0coc0
ジョルジュは素早く接近し、鉄拳をぶち込んだ。
両手でそれを受け止めるモナー
手首を捻り、合気道により地面に叩きつけようとするが
もう片方の拳が彼に襲いかかる。
(#‰∀`)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「ぐっ!」
地面に倒れ込むジョルジュ。
頬にパンチを受けたモナー。
(#‰∀`)「それがどうした!
愚図を殺して何が悪い!」
( ゚∀゚)o彡゜「テメェがどう思おうが知らねぇ!
だが、アンタが殺したのは俺の父だった!」
二人は体勢を立て直し、再び拳を握った。
( ゚∀゚)o彡゜「確かに親父は愚図だったよ!
俺達を金の道具としか見ていなかった
そして母親の顔すら見た事がねぇ!」
( ゚∀゚)o彡゜「だが、それでも世界でたった一人の家族だった!
それを己のエゴで殺したテメェは絶対許さねぇ!」
449
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:00:56 ID:R4WW0coc0
( ゚∀゚)o彡゜「悪の血は悪の血で断つ!」
(#‰∀`)「フン……そうだ!
貴様を育ててきたのは私だよ
復讐をさせるために強くした!」
(#‰∀`)「貴様は井の中の蛙だジョルジュッ!!
俺の元で散れ!」
( ゚∀゚)o彡゜「散るのはテメェだ糞野郎ォッ!」
拳と拳が衝突し、火花が散った。
戦いは更にヒートアップした。
無数の攻防は化け物すらも寄せ付けない。
第11話『彼の足元に彼らはかぶっていた金の王冠を置くだろう』
450
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:03:27 ID:R4WW0coc0
午後6時26分
起爆まで残り1時間34分
(´・ω・`)「ハァ…ハァ……」
「ショボン!生きていたのか!」
「どうしたんだ!その怪我は!?」
──避難所、校舎の廊下をひたすらショボンは歩いていた。
避難所を護衛している同僚に幾度も呼び止められるが、ひたすら無視する。
時間がない。
頭はもうそれしかない。
ぃょぅにやられた怪我が体に響く。
……しかし爆弾の知識に最も長けているのは自分
避難所を救えるキーパーソンとなるのは、己しかいない。
(´・ω・`)「ウボォーホッ」
ショボンは血を吐きながらも、必死に歩き続ける。
「ショボンさん!」
451
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:04:47 ID:R4WW0coc0
(´・ω・`)「あ?」
無線から内藤の声が鳴り響く。
「問題が発生したお!
体育館に変な奴がいるお!」
(´・ω・`)「……変な奴?」
「子供で、どうやら爆弾の事を知ってるみたいで
堂々と放送してたお」
(´・ω・`)「ほっとけ!
どうせ誰も信じねぇよ!」
「わかったお、解体作業を始める」
内藤が最後にそう告げ、無線が切れる。
見上げると……
( ゚−゚)「やぁショボン整備兵
命令無視で突然離脱したと思ったら……
顔が青白いぞ、どうかしたのかね?」
452
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:06:20 ID:R4WW0coc0
(´・ω・`)「……あ?」
ショボンは腹を抱えながら前方を見た。
スーツを着た清楚な外見の男がそこにいた。
(´・ω・`)「……出たな、笑顔の下手糞な屑」
( ゚ー゚)「それは心外だね
宜しければ色々と教えて欲しいものだ」
(´・ω・`)「……テメェか」
ショボンは焦りの色を隠せなかった。
VIP市の市区町村長、エイブラムス岡田。
453
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:08:21 ID:R4WW0coc0
──野心に踊らされた傀儡(でく)。
自衛隊故に付き合いは長い。
かつて、数多もの政治家が煮え湯を飲まされてきた。
表立った事件は数多い。
そして黒い噂も絶えない。
にも関わらず、安定して手に入れた地位は不自然。
自分達が本隊と離脱したのはコイツのせいとも言える。
あの時……我々の部隊のみが別に行動するよう指示されていた。
そうなれば逸れるのは必然だった。
思えば無線が急に繋がらなくなったのも、何処かおかしい。
454
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:09:52 ID:R4WW0coc0
( ゚−゚)「どうしたのかね?
何も答えないようだが、私は市長だぞ」
(´・ω・`)「……」
もはや地位など関係はない。
コイツを一人殺したところで、罪に問われる事もないだろう。
言い訳はどうにでもなる。
……しかし
エイブラムスの背後には数人の護衛兵がいた。
いくら化け物には勝てても銃には勝てない。
素直クールがいるならともかく、たった一人では……
(´・ω・`)「命令無視だと?
こっち無線は繋がらなくなったんだ
避難所に向かうだけでも茨の道だった」
( ゚−゚)「当然だ
あえて君達を孤立させるためにな」
(´・ω・`)「……」
ショボンは額に血管が浮き出る。
455
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:12:21 ID:R4WW0coc0
(´・ω・`)「ナメ腐りやがって畜生!」
「口を慎め!」
「市長殿の前だぞ!」
ショボンに殺意の銃口が向けられた。
(´・ω・`)「……ぐっ」
彼は否応なしに両手を上げる。
( ゚−゚)「君達は他の兵士と違って頭が良い
物事の本質を見抜いている
……そこに関しては敬意を評しているよ」
( ゚−゚)「ただし、それは確かに真実だが客観的なもの
私にとっての本質とは主観的なものでまた違う
利害の一致しない意図を持つなら、衝突も必然的だ」
(´・ω・`)「屁理屈並べてねぇでハッキリ言えよ
お前らは都合悪いんで殺したいって」
銃声が鳴り響いた。
(´・ω・`)「……!!」
自分の腹を見るショボン。
作業着には穴が空いていた。
456
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:15:55 ID:R4WW0coc0
( ゚ー゚)「私の予測としてはこうだ
君達はモナーを殺したい
そのモナーは私が嫌いだ、避難所ごと爆破したい」
( ゚ー゚)「だから君達は避難所の起爆を止めたい
民間人を守りたい
モナーはそれを知っている
だからここへ向かっている」
(´・ω・`)「……コイツ、そこまで」
( ゚ー゚)「当たり前だ、私は市長だぞ?」
市長は腰に手を当てながらそう告げた。
( ゚ー゚)「だが……爆弾については知らなくてね
少し前に『裏切り者』と出会い、仲良くなったよ」
457
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:18:29 ID:R4WW0coc0
(´・ω・`)「会った……だと!?始末しろよ!
知ってるなら解除しに行けよ!
市長だろ?この市を守る長なんだろ?」
(´・ω・`)「何で俺達の邪魔をする!!!
ここを失う事はテメェにとっても!!!」
( ゚ー゚)「それもアリかなと思って」
エイブラムスはそう告げ、廊下を歩き始めた。
( ゚ー゚)「心配するなよ
私がモナーに対して何も策を立てていないと思うか?」
( ゚ー゚)「ユダ(裏切り者)は二人
我々の側にもいる」
458
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:20:24 ID:R4WW0coc0
(´・ω・`)「……何だと」
それを聞き、ショボンは動揺し始める。
( ゚−゚)「ああそう言えばさ……護衛兵の皆さん
私は口をすっぱくして、いつも言ってるはずだぞ?」
( ゚−゚)「相手(人間)を撃つ時は頭を狙えってね」
(´・ω・`)「……!」
ショボンの服にできた穴の中から、僅かに防弾チョッキが見えていた。
「了解」
「了解」
459
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:22:06 ID:R4WW0coc0
午後6時27分
起爆まで残り1時間33分
('A`)「……」
J( 'ー`)し「……」
──暇だった。
体育館の中で自分達が与えられた私生活スペースは、およそ3畳分。
狭い、臭い、暑い。
その三つがイライラを激しく募らせる。
J( 'ー`)し「お茶もらってこよっか?」
('A`)「いらない」
数秒程沈黙が訪れた、その時だった。
( ^ω^)「ドクオさんいらっしゃいますかー!?」
('A`)「……!?」
ドクオはハッとなって立ち上がる。
460
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:24:33 ID:R4WW0coc0
J( 'ー`)し「どうしたの?」
('A`)「今……内藤の声が!」
ドクオは血相を変えて、声がした方を追いかける。
('A`)「内藤!」
人混みを駆け抜け、胸をワクワクさせてつっ走る。
──言いたい事は山ほどあった。
今回の災害の事、今まで何をしていたのかを
ニダーさんと出会った事
家族の安否、これからする事……
アイツならいる!
アイツは自分なんかより全然賢い!
だから……内藤なら!
461
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:27:13 ID:R4WW0coc0
……しかし
体育の端に到着するが、内藤の姿は見当たらない。
('A`)「……」
聞き違いか?
ドクオはそう思い戻ろうとするが
「馬鹿かお前は!この中に共犯者がいたらどうする!」
(,,゚Д゚)「そんな事気にしてる時間帯なんかないよ!
馬鹿なのはオッサンの方だ!」
「かと言ってだな……証拠がなければ信じるわけもないだろう!」
(,,゚Д゚)「でもさ!もう時間がないんだよ!」
入り口には子供と護衛兵が口論をする姿があった。
……さっきは完全にイタズラだと思っていたが
462
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:29:29 ID:R4WW0coc0
('A`)「……アンタ達」
ドクオは不意に話しかける。
(,,゚Д゚)「?」
「?」
('A`)「それ、マジで言ってんのか?」
(,,゚Д゚)「マジだよ!」
「マジだ!」
('A`)「……はぁ?」
──爆弾?
(,,゚Д゚)「モナーだよ!黒服のデカい奴!
ソイツが避難所を破壊しようとしてるんだ!」
('A`)「デカい奴?」
〝<ヽ`∀´>「……アイツト……ソノオトウトニ……気をツケロ……」〟
463
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:31:41 ID:R4WW0coc0
午後6時54分
起爆まで残り1時間6分
ξ゚⊿゚)ξ「暑い……」
( ^ω^)「液体窒素ならあるお」
ξ゚⊿゚)ξ「蒸気が結構涼しいわね」
体育館の屋根裏。
内藤の手には、僅かだけ残った液体窒素があった。
ξ゚⊿゚)ξ「これ……大丈夫なの?」
( ^ω^)「一応カウントは止まってるみたいだお」
二人の目前には起爆装置があった。
白く染まりカウントは停止しているようだった。
( ^ω^)「これで一応全部だお
あとショボンに任されば……」
('A`)「……内藤」
( ^ω^)「……?」
振り向いた時、そこにはドクオの姿があった。
後ろにはあの少年や護衛兵の姿もあった。
464
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:33:39 ID:R4WW0coc0
午後7時09分
起爆まで残り51分
──避難所より数m前の路地。
そこは血の海となっていた。
不自然に切り取られた化け物の肉片。
無数のピアノ線。
破壊された刃物の破片。
……その奥には
( ゚∀゚)「……」
片腕と両足を切断され、瀕死状態のジョルジュがいた。
(#‰∀`)「一撃で仕留めてやる
これ以上苦しまないようにな」
465
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:36:14 ID:R4WW0coc0
(#‰∀`)「手を振るの止めれば、やはり血が繋がっているのはよくわかる
目以外はそっくりだな
……整形しているとはいえ、面影がある」
モナーは腰に手を当て、悪魔のような表情で彼を見ていた。
(#‰∀`)「美味しいディナーだったよ
可愛い弟よ、あまり自分を悔いるな
お前は強く……たくましい人間だった」
( ゚∀゚)「……悔いてなんかいねぇよ」
ジョルジュはゆっくりと手の平を見せる。
(#‰∀`)「何のつもりだ?」
466
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:39:02 ID:R4WW0coc0
( ゚∀゚)「アンタは化け物か?亡者か?
……面は亡者だがな」
手に平に乗っていたのは、小さな弾丸のようなものだった。
( ゚∀゚)「強い邪気がテメェの人格を作った
持て余した才能で得たものは絶対的な生存力
唯一無二にして……確かに無敵だよ」
( ゚∀゚)「だが、この世に『不死身』なんて存在しねぇ」
(#‰∀`)「……!?」
( ゚∀゚)「おっぱい、一度でいいから揉みたかったな」
ジョルジュがハッタリをかます人間でない事を知っていた。
だからこそ、底知れぬ悪寒を感じていた。
直後、青い閃光が辺り一帯を包んだ。
467
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:41:23 ID:R4WW0coc0
〝( ゚−゚)「ジョルジュ君、政府は予め今回の予測をしていたらしい
人類の過半数が死滅する事も予測の範疇だったと聞く」
( ゚−゚)「すると世界が化け物まみれとなるわけだ
彼らを掃討しなければ再建は不可能に近い」
( ゚−゚)「……そこで、極秘裏に各国が協力して開発した兵器が存在する」
( ゚−゚)「臨界事故というのをご存知かな?」
( ゚−゚)「濃縮ウランやプルトニウムのような核分裂性物質の内部で
核分裂連鎖反応が不始末の状況下で偶発的に起こった事象を指す
その際、放出される中性子線は人に極めて致命的なダメージを与える」
( ゚−゚)「不死にも近い化け物を殺害する方法は、細胞そのものを破壊するのが有効らしい
細胞を破壊された生物は確実な死に直面する事となる」
( ゚−゚)「その兵器は核よりも恐ろしい
人間(化け物)を合理的に破壊する事に特化している」
( ゚−゚)「宜しければ是非、使ってみてはいかがかな?
憎い奴がいるのだろう?」〟
468
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:43:09 ID:R4WW0coc0
青い閃光。
まるで魔法でも見ているような光景だった。
モナーは熱波が全身を通り過ぎるのを感じた。
数秒後
「イタイ……」
「イタイ…イタイイタイタイ!」
周囲にいた化け物達が苦痛を上げ始める。
皮膚が膨張し、全身の穴という穴から血を噴き出し倒れこむ。
(#‰∀`)「……これは!?」
周囲……どころではない。
まるで連鎖反応だった。
周りから、次々に化け物の断末魔が聞こえてくる。
469
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 18:46:12 ID:R4WW0coc0
〝( ゚−゚)「ノスフェラトゥ
ルーマニア語で吸血鬼を意味するその兵器は
名の通り化け物共の血を無慈悲に奪っていく」〟
(#‰∀`)「……貴様!」
モナーは血の涙を流していた。
そして顔に限らず、全身の皮膚が爛れ始める。
(#‰∀`)「人間を……人間を蹂躙できるのは人間しかいない!
結局貴様等はそういう選択しかできない
だから不愉快なのだ!」
(#‰∀`)「だが……殺せると思うなよ
私がここに存在する限り、悪意はバラ撒ける!」
(#‰∀`)「皆殺しにしてやる!!
どいつもこいつもなぁあああああああ!!」
次回第12話『主が光臨される時には』
To Be Continued……
470
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/05(水) 19:03:34 ID:R4WW0coc0
第11話『彼の足元に彼らはかぶっていた金の王冠を置くだろう』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、支援して頂いた方、どうもありがとうございました。
次回は第12話『主が光臨される時には』です。
最終回に向けて加速していきます。
可能ならば今週中の投下を目指します。
>>436
十三話で完結なので、今回含めるとあと三話です
>>444
市長はムスカ+シロッコのイメージで考えたキャラです。
「馬鹿共には丁度いい目くらましだ」がムスカでございます。
471
:
名も無きAAのようです
:2012/09/05(水) 19:09:03 ID:ZhoY4376O
たまたま見に来てみりゃ、今まさに投下直後かwww
乙乙
472
:
名も無きAAのようです
:2012/09/05(水) 19:20:05 ID:MkD00XEo0
乙
473
:
名も無きAAのようです
:2012/09/05(水) 19:54:54 ID:cTqP.MnA0
小型の中性子爆弾みたいなものなのか?
そんなもの爆発させたら避難所の人は無事なのか?
474
:
名も無きAAのようです
:2012/09/05(水) 20:28:04 ID:cOEMSZJY0
細胞レベルで殺すわけか
怪力光線かなんかだな
大日本帝国陸軍的に考えて
475
:
名も無きAAのようです
:2012/09/05(水) 20:46:17 ID:gdLjcBQkO
予想外な時間の投下だった
モナー強すぎ、本当に不死身なのかも?
476
:
名も無きAAのようです
:2012/09/05(水) 22:50:15 ID:/buYr/yc0
モナー怖ぇよ。
477
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 22:51:22 ID:KwVrHcVk0
第12話『主が光臨される時には』を投下します。
次回で最終話です。
詰め込めるだけ詰め込んだので、頑張っていきます。
478
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 22:52:37 ID:KwVrHcVk0
(//‰ ゚)「まず……何処からお話すればよろしいでしょうか
そうですね、まずは感染者について」
(//‰ ゚)「それはずばり、寄生体です」
(//‰ ゚)「サイズにして5〜6mm
コイツが体内に侵入するとミクロ単位にまで分解
血管を通して全身に行き渡り、各々の細胞に寄生します
その結果……生物史上稀に見ない脅威的な活性化を起こす事となります」
(//‰ ゚)「腕力は生前の頃より20倍近く
異常な新陳代謝により、不死にも近い生命力を獲得します
重要な臓器を失っても最低1時間以上は絶命しません
一部の実験結果では生首の状態でも生存できた……と言われる程です」
(//‰ ゚)「水とたんぱく質を摂取するだけで1週間以上の生存が可能となります
感染者は、その両方を持つ人間を捕食しようと動きます
それを指令しているのが『本体』です」
(//‰ ゚)「『本体』は全身をコントロールするための重要な存在
1mm程度の寄生体であり、心臓の内部に巣を作っています
何故ならここが人間の体の中で最も守られている部分だからです」
479
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 22:59:00 ID:AIf2ry1g0
(//‰ ゚)「ここを失ってしまうと感染者の脳思考は更に低下し
痙攣した後にただ暴れまわるだけの暴君と化します
……と言っても、人間を襲う知能すらもなくなり
危険性は限りなく低下しますが」
(//‰ ゚)「また、感染者が発するうわ言
これは生前強く印象に残っていた記憶が影響されるようです
例えば『ルイズ!ルイズ!ウワァアアアアアアア!』と言っていた場合
その人物は生前、ルイズがとても好きだったのでしょう
私はロリコンでないのでわかりませんが」
(//‰ ゚)「……さて、本題に入りましょう
やがて彼らは共食いを始めるでしょう
しかし、不死身に近い肉体ですから死ぬ事もない
下手をすれば何百年も生き続ける事となる」
(//‰ ゚)「我々はそんな事を望んではいない
民間人も、政府も、科学者もその気持ちだけは同じだ」
(//‰ ゚)「感染者もとい化け物を根絶やしにする方法
違法には違法を……その終着点を見出すためには
やはり禁じ手を使わざるおえませんでした」
(//‰ ゚)「悪魔の兵器、『ノスフェラトゥ(吸血鬼)』」
480
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:01:21 ID:AIf2ry1g0
(//‰ ゚)「一発の弾丸に見えますが、中には濃縮ウランが混入されており……
スイッチを押すと臨界状態と呼ばれる原子核分裂の連鎖反応が発生します」
(//‰ ゚)「半径5m以内の人間と感染者は推定40シーベルト以上の高線量被曝を受け
染色体を完全に破壊され、皮膚及び臓器が崩れ落ちるように破壊されます
感染者は新陳代謝が早いため、1分以内に確実に行動不能に陥り絶命するでしょう
人間であっても30分もあれば行動不可能となります」
(//‰ ゚)「また、放出した中性子線は感染者を経由してより拡散するため
一週間程で一つの町の感染者を掃討する事ができます」
(//‰ ゚)「ただし……その町にいる人間にも影響を及ぼします
時間が経てば経つ程、危険性が大きくなっていきます」
(//‰ ゚)「本当ならこんな悪魔の兵器を使いたくはありませんでしたが
……人が生み出した業(カルマ)を止められるのは、同じく業なのです」
(//‰ ゚)「避難所の全ての生存者がシェルターへの避難が完了したなら
各国全ての首脳がこの兵器を投下すると宣言しています」
(//‰ ゚)「願わくばかつての日々に戻れる事を……」
第12話『主が光臨される時には』
481
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:03:54 ID:AIf2ry1g0
午後6時56分
起爆まで残り1時間4分
(´・ω・`)「ハァ……ハァ……」
「ショボンを探せ!まだ近くにいるはずだ!」
「奴は怪我をしている!」
ぎりぎりだった。
──射殺される寸前
ショボンはスモーク手榴弾を使った。
彼は四つんばいで校長室に侵入し、机の下に潜伏。
辛うじてエイブラムスの魔の手から逃げる事ができた。
(´・ω・`)「……糞がぁ、こんな時に」
かつてぃょぅにやられた怪我が今になって響き
彼は全身に鈍い痛みを感じていた。
それでも働かねばならない。
だが、下手に動けば連中に遭遇してしまう。
482
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:05:15 ID:AIf2ry1g0
冷凍された起爆装置は、完全に解除されたわけではない。
最も爆弾に関して知識を持っているのは自分。
しかし、射殺されれば元も子ない。
時間も段々と巻いてきている。
あまり様子を見ている暇もない、どうすれば……
その時、廊下から鈍い音が鳴り響いた。
(´・ω・`)「……救世主だなぁアンタは
やっぱり惚れたくなる」
川 ゚ -゚)「君を失うわけにはいかないからな」
素直クールだった。
彼女は気絶した自衛隊員を引きずり、ロッカーの中に入れる。
483
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:06:45 ID:AIf2ry1g0
川 ゚ -゚)「体育館の爆弾は全て冷却したらしい
本当にできるよ、あの子達は」
(´・ω・`)「ハッ洒落にもなんねぇや、肝心の俺が」
川 ゚ -゚)「その通りだぞショボン
私達がこんな様では……」
川 ゚ -゚)「……」
彼女は顔色が変わった。
ショボンが座っている床。
そこにはかなり大きな血だまりができていた。
(´・ω・`)「無理もないって面だな?
だが……助けてもらった以上は頑張らねぇと」
腹を抱えて立ち上がる。
484
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:08:01 ID:AIf2ry1g0
(´・ω・`)「すまねぇな、まだ校舎の爆弾は解除できてねぇんだ」
川 ゚ -゚)「ショボン」
(´・ω・`)「何だよ」
素直クールは、そっとショボンに口づけをした。
川 ゚ -゚)「本当はずっとここで隠れていて欲しい
……だが、無理だろうな」
(´・ω・`)「ハハ、何の景気づけなんだよ」
川 ゚ -゚)「今のは約束の……だ
生きていてくれ、たった一人でも」
川 ゚ -゚)「頼む」
485
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:09:54 ID:AIf2ry1g0
(´・ω・`)「……」
〝(`・ω・´)「レディーとの約束を守るのは男として当然ですよ」〟
二人の脳裏にシャキンの姿が思い浮かぶ。
(´・ω・`)「努力するぜ
ただし、それは職務を全うしてからだ」
川 ゚ -゚)「……」
素直クールは笑顔になった。
そして腕を捲くる。
川 ゚ -゚)「市長とユダ(裏切り者)については任せろ
君の邪魔はさせない」
486
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:11:24 ID:AIf2ry1g0
午後7時10分
起爆まで残り50分
( ゚−゚)「本当に貴様等は無能だな!
何故負傷者一人見つけられんのだ!」
職員室には足を組んで座る市長の姿があった。
「申し訳ございません!もう一度探して参ります!」
敬礼し職員室を出て行く護衛兵。
……直後だった。
( ゚−゚)「!!」
エイブラムスは頭に衝撃が走った。
強烈な嘔吐感と共に、腕を背中に回される。
川 ゚ -゚)「やぁ市長
ご無沙汰だな」
( ゚−゚)「……素直クール准陸尉か
市長に対して何という無礼かね」
487
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:12:43 ID:AIf2ry1g0
川 ゚ -゚)「果たして市長と名乗るだけの威厳が貴方にあるかな?
人を搾取の対象としか思っていない貴方に」
エイブラムスの喉仏に鋭利な刃物が突き付けられる。
( ゚−゚)「何時の時代も人は家畜だよ
そうやって一部の独人が世を動かしてきたのだ」
川 ゚ -゚)「モナーも貴様も、どっちもまた別の意味で『悪』だな
お前を殺したところで、誰も悲しみはしない
殺させてもらう」
( ゚−゚)「……フンッ」
市長は汗だくになりながらも、笑みを浮かべた。
( ゚ー゚)「ジョルジュがモナーと対決しているそうだな?」
( ゚ー゚)「ユダ(裏切り者)は見つかったかね?
それは果たして1人だけかな?」
川 ゚ -゚)「……!」
素直クールは正面のガラスに人影を目撃する。
488
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:14:11 ID:AIf2ry1g0
直後、銃声が鳴り響いた。
予兆を察知し、辛うじて身を伏せる彼女。
( ゚ー゚)「おっと」
市長は素直クールから瞬時にナイフを奪った。
川 ゚ -゚)「……糞」
彼女は渋々両手を上げ、振り向く。
そこにいたのは……
J( 'ー`)し「運が良かったですね」
川 ゚ -゚)「……母さん?」
素直クールは大きく目を見広げた。
( ゚ー゚)「ドッペルゲンガーというものをご存知かな?」
489
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:15:53 ID:AIf2ry1g0
午後7時11分
起爆まで残り49分
( ^ω^)「凄い度胸だお」
(,,゚Д゚)「僕も生き延びる事に必死だったんで……」
体育館裏に内藤達の姿があった。
同じ意思を持った者故に、打ち解けるのも早かった。
「ショボン整備兵は今何処に?」
護衛兵がそう問いかける。
( ^ω^)「それがわからないんだお
無線で連絡してもまったく反応がないし」
「とにかく我々だけでも校舎に向かおう」
( ^ω^)「……そう言えば
何でアンタはそんなに信用してるんだお?」
「……元よりこの世界が信用に値するものではないんだ
特にあの市長の手駒である事にも疑問があった」
「アイツは自分の事しか考えていない
支配者としてあるまじき事だが……」
490
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:17:20 ID:AIf2ry1g0
事情を理解した全員は、急いで校舎へと向かい始めた。
('A`)「内藤、やっぱお前強くなったな」
( ^ω^)「……?」
('A`)「表情でわかるよ
いろんな事があったって」
( ^ω^)「ドクオだって」
('A`)「俺もあったさ
そういやさ、ニダーさん出会ったよ」
('A`)「詳しい事は言えないけど……
最後はやっぱり昔が楽しかったと言ってくれたよ」
( ^ω^)「……」
('A`)「今回の災害で人がどう変わったって
過去の思い出はずっと残ってる」
491
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:19:03 ID:AIf2ry1g0
('A`)「だから、今後どうなったって俺はお前についてくよ
友達だもん」
( ^ω^)「それがどうかしたのかお」
('A`)「……いや」
場の空気が凍りついた。
ドクオは少し落ち込んだ様子で俯く。
……その時
裏口に数十台の大型バスが停車してあるのを見つけた。
('A`)「あれは?」
「非常時の脱出用バスだよ
最も……定員90名だから、全ての生存者を逃がす事はできないが」
('A`)「……」
バスには何故かエンジンのカギが刺さっていた。
まるで、すぐにでも発車できるようにと
492
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:20:37 ID:AIf2ry1g0
午後7時15分
起爆まで残り45分
ドッペルゲンガー。
それは『生きている人間の霊的な生き写し』を意味する言葉。
川 ゚ -゚)「……」
素直クールは言葉を失った。
どの状況でも、必ず冷静沈着だった彼女がである。
( ゚ー゚)「人の脳から得る映像が、常に正しいとは限らない
ある状態では幻覚や錯覚を起こす事がある」
( ゚ー゚)「君にとっての愛する人とは誰だ?」
( ゚ー゚)「何億もいた世界の人口の中で
その中には、ほんの僅かに類似する人物がいると言われている」
( ゚ー゚)「それこそがドッペルゲンガー
……しかし、事実は少し違う」
( ゚ー゚)「『彼』によれば、人間の顔には限られた配列が存在するらしい」
493
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:22:03 ID:AIf2ry1g0
('A`)「……」
( ^ω^)「……」
(`・ω・´)「……」
目の前いた人物はドクオ、内藤となり、そしてシャキンとなった。
( ゚ー゚)「『彼』は君の脳内のデータから顔を抽出する
過去の出会った人物の、決まった配列のパターンをだ」
(`^'Aω)「ソレガワタシダ」
(川・ω´)「ワタシハジツザイスル
シカシ……キミノノウナイデハ、コウミエル」
川 ゚ -゚)「コウイウコトモ、デキル」
川 ゚ -゚)「……ふざけるな」
素直クールが二人いた。
494
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:23:22 ID:AIf2ry1g0
( ゚ー゚)「先人から得た、非科学的な力だという
私もつい最近お友達になったんだ」
( )「ボクハ、シチョウト、オトモダチ」
( ゚ー゚)「モナーに協力して爆弾を設置したのは彼らしい
利害が一致してね」
得体の知れない何かが、素直クールに拳銃を向ける。
そしてエイブラムスは歩いて行く。
川 ゚ -゚)「……何のマジックは知らんが」
川 ゚ -゚)「生きては帰さんぞエイブラムス
貴様だけ……ここから逃がすなんて真似は!」
( ゚ー゚)「目標を達成できない発言はしない方がいいな」
その時だった。
市長が教室を出ようとした瞬間
495
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:24:35 ID:AIf2ry1g0
( ゚ー゚)「!!!!」
エイブラムスは頭部に強烈な衝撃を感じた。
悶絶し、視界が遮られる。
( ^ω^)「素直クールを放せ!」
川 ゚ -゚)「……内藤」
廊下で奇襲を伺っていたのだろう。
鉄パイプを振り下ろした内藤。
銃口を市長に向ける護衛兵。
増援が来ないか見張るドクオとギコ。
( ゚ー゚)「何だッ……貴様等、それに」
「己の正義に従ったまでであります」
護衛兵は軽蔑の視線でそう告げる。
496
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:26:04 ID:AIf2ry1g0
( )「……シチョウ、コロサレル」
動揺する『何か』。
( ^ω^)「今すぐ素直クールを開放しろお!
でないとこの男を射殺する!」
( ゚ー゚)「ぐっ」
──市長は察する。
歳は若いが、かなりの歴戦を潜った瞳。
殺らなければ人質にはならない。
ここで素直クールを開放しなければ
間違いなく自分は殺される。
( ゚ー゚)「『何か』!素直クールを放せ!」
( )「リョウカイ」
497
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:27:29 ID:AIf2ry1g0
川 ゚ -゚)「……ぐっ」
銃口が彼女から逸れる。
( ^ω^)「……」
無論、内藤はエイブラムスを解放する気はない。
( ^ω^)「素直クール、ショボンは今何処だお?」
川 ゚ -゚)「今は校舎の爆弾を解除しに向かっている
……命懸けでな」
( ゚ー゚)「フン、それが徒労なのだ」
( ゚ー゚)「例えプロだとしても、応急に爆弾を解除できる処置は限られている
悪いが、私は早急にここから出たいのだよ」
( )「モナーニイワレタ、ネンニハネンヲッテ」
498
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:28:57 ID:AIf2ry1g0
(´・ω・`)「……罠かよ」
──校舎の屋上。
奥の柱の裏にショボンの姿はあった。
そこに仕掛けられていた爆弾は違っていた。
特殊な計器やセンサー。
そして、そこに表示されていたタイムリミットは
13:11
(´・ω・`)「あと13分……」
全身から不愉快な汗が溢れ出た。
恐らくはこの建物の全てが……
午後7時20分
起爆まで残り10分
499
:
名も無きAAのようです
:2012/09/09(日) 23:29:34 ID:F.1Gn40YO
最終回キター!今から読む
500
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:30:13 ID:AIf2ry1g0
川 ゚ -゚)「あと13分……だと
馬鹿な!」
( )「ホントウ」
( ゚ー゚)「だから徒労だというのだ
感知センサーを設置しており、液体窒素でカウントを止める事はできない!」
('A`)「……」
(,,゚Д゚)「……」
「……」
場にいた全員が唖然となる。
その時だった。
「……?」
( )「コロス」
護衛兵は目前に、自分の妻を目撃する。
501
:
名も無きAAのようです
:2012/09/09(日) 23:33:04 ID:ZozVP/YQO
きたーっ
502
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:33:07 ID:AIf2ry1g0
>>499
最終回は次回になりますw
>>498
すみませんミスです
起爆まで残り10分ではなく、起爆まで残り13分
503
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:34:00 ID:AIf2ry1g0
川 ゚ -゚)「逃げろ!それは幻覚だ!」
ξ゚⊿゚)ξ「!!?」
ツンデレの顔に血が付着した。
護衛兵は首にナイフを突き刺される。
「ア……グッ」
結果、引き金から指が外れ
開放された市長はその隙を突いて走って逃げ出す。
( ^ω^)「待てお!」
( ゚ー゚)「貴様等は下敷きになれ!
私は生き延びる!それが政治家の役目さ!」
川 ゚ -゚)「もういい内藤!
屑など放っておけ!」
504
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:35:32 ID:AIf2ry1g0
鬼気迫る状況だった。
ツンデレはギコと共に、出血する護衛兵の容態を確認
内藤と素直クールは今後について話し合い
ドクオは何もせず棒立ちになる。
( ^ω^)「爆弾をどうにかするんだお!
でないと、どの道この避難所が!」
川 ゚ -゚)「方法などない!
いくらショボンとはいえ、あと13分では……」
川 ゚ -゚)「とにかく逃げるんだ!
この校舎にいては、私達までもが」
( ^ω^)「校舎が爆破されれば避難所全体のダメージになる!
ここが化け物で溢れかえると言ったのはアンタだお!」
505
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:37:05 ID:AIf2ry1g0
川 ゚ -゚)「そんな事を言ってる場合か!」
素直クールはそう告げ、廊下を走ろうとするが
( ^ω^)「この人を放置するつもりかお!」
内藤が指をさした。
それは瀕死状態の護衛兵。
「ハァ……ハァ……」
首にタオルを巻かれているが出血が酷く
もう命が長くない事を伺わせる。
ξ゚⊿゚)ξ「かなりマズい状況だよ!
早く医師の元へ連れて行かないと!」
川 ゚ -゚)「優先順位を考えろ!
私達まで巻き添えになってどうする!」
506
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:38:51 ID:AIf2ry1g0
( ^ω^)「この人だけじゃないお!
上の階には避難民いる!」
川 ゚ -゚)「……」
( ^ω^)「見殺しにするつもりかお!
それでも自衛隊員かお!」
川 ゚ -゚)「絵空事もいい加減にしろ内藤!
ならばどうするつもりだ!」
( ^ω^)「ショボンを信じろお!」
川 ゚ -゚)「……」
素直クールの額から汗が滲み出た。
──アイツは悲観的だが、早々に物事を諦める奴ではない。
507
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:39:52 ID:AIf2ry1g0
その時だった。
各々の無線から声が鳴り響いた。
ショボンの声だった。
「ガガッ……みんな、悪いニュースがある
非常に悪いニュースだ」
「どうやらこれが最後の連絡になりそうでね」
「すまねぇな素直ク−ル
本当は生きてこの避難所で暮らしたかったが、もう無理らしい
多少の覚悟はしていた」
──避難所の検問
そこには一台のジープが止まっていた。
「ショボンさん、生きてらしたんですね」
(´・ω・`)「まぁな」
508
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:41:23 ID:AIf2ry1g0
「何処に向かわれるんでしょうか?」
検問の兵士が敬礼しながらそう問う。
(´・ω・`)「遠いとこだ
悪いがもう戻ってこないかもしれん」
「……はぁ」
ショボンは笑顔で手を振りジープを発進させた。
化け物が溢れかえる大通りを、凄まじい速さで走って行く。
〝(´・ω・`)「努力するぜ
ただし、それは職務を全うしてからだ」〟
(´・ω・`)「あばよ」
数分後、遠くで大規模な爆発音が鳴り響いた。
509
:
名も無きAAのようです
:2012/09/09(日) 23:41:47 ID:F.1Gn40YO
最終回は次回だった、テヘッ、ペロッ
支援
510
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:42:52 ID:AIf2ry1g0
ξ゚⊿゚)ξ「!!」
(,,゚Д゚)「!!」
('A`)「!!」
窓が激しく光輝いた。
同時に激しい地鳴りが校舎内を襲う。
ξ゚⊿゚)ξ「ショボンさん……」
ツンデレは顔を両手で覆い、泣き崩れる。
自爆。
もはやこれ以外の選択肢などなかった。
温度センサーによって、停止自体が完全な不可能にある状態。
己の技術によってできる最大限の良法は外す……それのみ
511
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:45:12 ID:AIf2ry1g0
( ^ω^)「……」
歯を強く食いしばり、涙を耐えていた。
爆弾解体の基礎的な処理方法。
それは安全な場所に移し、そこで起爆させる事である。
ショボンは己の仕事に忠義を尽くした。
内藤が彼を初めて見た印象は卑屈な巨漢だった。
〝(´・ω・`)「……畜生、これからどうすりゃいいんだ……
もう駄目だ……本隊から逸れちまった……」〟
初印象だけで人を決めつけてはいけない。
この人を見れば、それがよくわかる。
〝(´・ω・`)「俺は見たんだ
起死回生のカウンターパンチ
いや、カウンター撲殺と言った方が正しいな
アイツにあんな豆鉄砲をくらわしたのはテメェ以外にはいなかった」〟
512
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:47:29 ID:AIf2ry1g0
思えば誰よりも人情身に溢れた人物だった。
ムードメーカーとも言える。
ネガティブでありながら、己の責任というものを忘れる事がない。
そんなショボンの背中に内藤は尊敬の念を抱いていた。
僅かな平和が避難所に訪れた。
一人の犠牲によって
川 ゚ -゚)「今するべきは冷却した爆弾の解体だ」
涙など流してる場合ではない」
素直クールは無表情で歩いて行く。
……しかし
( ^ω^)「素直クール、ナイフを忘れてるお」
彼女の背中は震えていた。
川 ゚ -゚)「ここを守るぞ、絶対に」
513
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:49:02 ID:AIf2ry1g0
午後7時35分
( ゚−゚)「……ハァ……ハァ」
エイブラムスはバスで避難所を脱出していた。
しかし爆発を目撃した事で気づく。
( ゚−゚)「ショボンの奴、自爆したのか」
事実、13分以上経つのに校舎は破壊されてはいなかった。
市長は汗だくなりハンドルに肘を乗せる。
( ゚−゚)「余計な事を……糞ッ!」
ひとまずハンドルを切り、避難所へ引き返そうとするが
( ゚−゚)「……?」
遠くに一台の大型トラックが見えた。
514
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:50:11 ID:AIf2ry1g0
──暴走車?
明らかにこちらへ向かってきた。
時速100km以上……
周囲の障害物を蹴散らし、こちらへ猛突進してくる。
( ゚−゚)「何だ!?……糞」
それだけではない。
大型トラックの全体には、夥しい量の化け物が付着していた。
エイブラムスはバスを乗り捨て逃げ出そうとするが
「クズハシネッ!」
「クズハシネッ!」
車の周囲には無数の化け物がたむろしていた。
( ゚−゚)「どけっ!敗北者共!」
515
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:51:49 ID:AIf2ry1g0
市長は扉を蹴飛ばし、強引に化け物共を吹き飛ばした。
そして全速力で裏口へ走って逃げるが……
( ゚−゚)「うぉおおおおおお!」
……刹那
エイブラムスはそのドライバーを目撃した。
(#‰∀`)「……」
( ゚−゚)「モナー……」
奴は『また会ったな』とでも言いたげな表情で
死神のごとく邪気を込めた笑顔で市長を凝視していた。
大型トラックがエイブラムス岡田に衝突した。
516
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:53:28 ID:AIf2ry1g0
午後7時49分
「ハァ……ハァ……」
護衛兵は絶命寸前の状態だった。
ツンデレとギコが必死に看病をする。
「……私はもういい
それより、先導者のいないこの避難所が問題だ」
(,,゚Д゚)「そんなの駄目ですよ!
貴方がいなけりゃ僕は……!」
「素直クール」
川 ゚ -゚)「何だ」
「君がこの避難所の指揮をとってくれ
キャリア、判断力……共に最も向いている」
護衛兵は無線で避難所内の全ての兵士に連絡する。
「市長、エイブラムス岡田は単身で逃げ出した
……奴は何よりもドス黒い悪だった」
517
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:58:00 ID:AIf2ry1g0
「校舎には爆弾が仕掛けられていた
全てがあのモナーの仕業だ
現在は勇士達の甲斐あって全ての爆弾が無効化されているが」
「我々は威信を賭けてこの避難所を守らねばならない」
「我々が本当に守るべきものとは民の命だ
権力にとり憑かれた木偶の守衛なんかじゃない」
「これより先導者は素直クールとなる
現在校舎におり、今後の指示は彼女から聞け」
「……以上、私の最後の連絡だ」
護衛兵は青ざめた表情で無線を切る。
518
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/09(日) 23:59:25 ID:AIf2ry1g0
川 ゚ -゚)「名は?」
「私か?」
川 ゚ -゚)「やはり護衛兵では呼びづらくてな
名を聞いておきたかった」
「……遅い質問だな」
護衛兵は笑顔で素直クールは凝視した。
「ひろゆきだ」
519
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:01:12 ID:li5etmPQ0
ξ゚⊿゚)ξ「ひろゆき……?」
ひろゆきは笑顔のまま、冷たくなった。
ツンデレはそっと目を閉じさせる。
「逃げ出したのか?……やはりアイツ」
「モナー!?」
( ^ω^)「……?」
ξ゚⊿゚)ξ「……?」
その後、一分も経たないうちに兵士達が集まってきた。
市長という先導者を失った今、彼らはもう敵ではなかった。
川 ゚ -゚)「体育館にまだ爆弾が残っている!
液体窒素で冷却しているが、解体しなければ危険だ!」
「了解!」
「すぐに確認してきます!」
520
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:03:13 ID:li5etmPQ0
全員が避難所を守るという意思の元動き出すが、そんな中……
('A`)「……」
ドクオはこの場にいる『一番の危険人物』を凝視していた。
('A`)「何者だ?アンタ」
( )「ワタシ?」
('A`)「攻撃してこないのか?
モナーの仲間なんだろ?」
( )「ワタシハ、ウンメイノタチアイニン」
( )「テキデモミカタデモナイ
オモシロイカライル、ソレダケ」
('A`)「じゃあこれからどうするつもりなんだ?」
( )「ミル」
521
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:05:00 ID:li5etmPQ0
('A`)「見る?」
( )「コレカラ、モットオモシロイコト、オキル」
『何か』は笑顔でそう告げた。
それ聞いてドクオは悪寒を覚える。
('A`)「ど、どういう事だよ!」
( )「サイコウニ、オモシロイコト」
('A`)「おい!」
『何か』は瞬時にその場から消滅する。
数秒後、避難所に凄まじい衝突音が鳴り響いた。
522
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:06:52 ID:li5etmPQ0
There's a man goin' 'round takin' names,
(ブラックリストを作るためにあちこち歩き回っている男がいる)
「何だこれは!」
「大型トラックだ!
シャッターをぶち壊して突入してきやがった!」
「ヤバい!化け物が侵入してくるぞ!」
And he decides who to free and who to blame.
(そして彼は誰を救い誰に罪を負わせるのか決めている)
「バリケードを作るぞ!急げ!」
「痛い!いたたたたたた!ァッアッアアアア」
「化け物が一匹侵入した!
急げ!捕らえろ!」
Everybody won't be treated all the same,
(全ての人間を同等には扱えない)
523
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:08:05 ID:li5etmPQ0
「キャア!」
「何だぁ!」
「化け物だぁ!」
There'll be a golden ladder reachin' down.
(黄金のハシゴが天から地上へ)
「体育館の避難民の皆様!
どうか落ち着いてください!
パニックを起こす事で犠牲者が増大します!」
('A`)「おかん!逃げて!」
J( 'ー`)し「何処行ってたの!」
('A`)「後で言うよ!とにかくここは危険だ!」
524
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:09:41 ID:li5etmPQ0
(,,゚Д゚)「何!?何が起きてるの!?」
川 ゚ -゚)「ジョルジュはどうした?
……それに、その面は?」
(#‰∀`)「答える義務はない」
燃え上がる大型トラックの上に、その男は乗っていた。
様変わりしていた。
全身ボロボロの皮膚、焼け爛れた顔。
まるで不死の化け物だった。
ξ゚⊿゚)ξ「……来たわね」
(#‰∀`)「爆弾の一つや二つを防いで、平安を得たつもりか?」
525
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:11:12 ID:li5etmPQ0
(#‰∀`)「地獄の果てまで貴様等を追い詰めてやる
……初めからそのつもりだった」
ξ゚⊿゚)ξ「誰でよりも世渡り上手で、自分への利益しか考えず……
殺せる時代が来たと否や、まるで情の一欠けらもなく殺害する事ができる人間」
(,,゚Д゚)「……僕を殺そうとした黒服の追跡者」
川 ゚ -゚)「元自衛官、武術の開祖」
( ^ω^)「モナー……」
内藤は拳を握り締め、彼を凝視した。
When the man comes around.
(主が光臨される時には)
526
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:12:46 ID:li5etmPQ0
( ゚−゚)「何故……動ける」
市長は木の板を杖にして歩いていた。
片足はグシャグシャにへし折れ
辛うじて裏路地に身を隠す事で身を凌いでいた。
( ゚−゚)「『ノスフェラトゥ』は細胞を完全に破壊する
人ならば内臓は30分もしないうちに異常を起こし
表皮は尋常ならざる早さで壊死を起こす
動く事など……ましてや車の運転などできるはずがない!」
( ゚−゚)「不死身の化け物め……!!
貴様は人間ではない!」
避難所は地獄の炎に包まれていた。
健やかさも平和もない。
阿鼻叫喚がここまで響いてくる。
まるで……死神に見入られようだった。
最終話『The Man Comes Around』
To Be Continued……
527
:
名も無きAAのようです
:2012/09/10(月) 00:15:30 ID:KP1krI8QO
すげぇ
明らかに最初より成長しとる
528
:
名も無きAAのようです
:2012/09/10(月) 00:17:32 ID:or5v/4O20
乙
529
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/10(月) 00:21:53 ID:li5etmPQ0
第12話『主が光臨される時には』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、支援して頂いた方、本当にありがとうございます。
次回は最終話『The Man Comes Around』です。
最後なので物語をじっくり練り直していこうと思っております。
次回の投下予定日は来週の金曜、または再来週です。
530
:
名も無きAAのようです
:2012/09/10(月) 00:26:09 ID:p9IOm/cAO
最終回楽しみ
それにしても(`・ω・´)、(´・ω・`)の最後壮絶だな
作者はサディストか女王様にちがいない
531
:
名も無きAAのようです
:2012/09/10(月) 01:51:05 ID:t4hZxg6c0
ひろゆきワロタwww
532
:
名も無きAAのようです
:2012/09/10(月) 08:00:44 ID:uz4w1CKk0
うわああああああああ
ショボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
533
:
名も無きAAのようです
:2012/09/10(月) 08:03:21 ID:uEk.iQoc0
乙
534
:
名も無きAAのようです
:2012/09/10(月) 18:19:48 ID:z.ebpx5wO
ツンは噛んだと思ってよろしいか
535
:
名も無きAAのようです
:2012/09/16(日) 00:07:38 ID:pOxwu2mwO
金曜日まで待機
536
:
名も無きAAのようです
:2012/09/18(火) 21:18:33 ID:T6MVDNUs0
今週金曜位か?
537
:
名も無きAAのようです
:2012/09/18(火) 21:45:20 ID:bjcr1NDIO
>>536
来週の可能性もある
538
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 18:00:03 ID:9jJsxldgO
金曜日になった、今日かな来週かな?
539
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:10:18 ID:NYM2qCNY0
大変お待たせしました。
これより最終話『The Man Comes Around』を投下します。
540
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:11:03 ID:NYM2qCNY0
午後8時00分
「こちらVIP市上空からの中継です!
ご覧頂いているのは火の海と化したVIP小学校避難所です!」
「真に地獄絵図です!
どうやら一台の大型トラックが衝突した模様です!
更に多数の感染者が中へと侵入しております!」
「意図的なものでしょうか!?それとも事故でしょうか!?
ただ今数十分前に半径1km付近で大爆発が発生しましたが、関与性は不明です!
いずれにせよ避難所内では相当のパニックが予想されます!」
「総指揮である市長エイブラムス岡田の消息は不明です!
政府による救助措置の発表は未だありません!」
「たった今、一つの安息の灯火が消えようとしています!
VIP小学校避難所へ移動中の生存者は他の避難所へ向かってください!」
最終話『The Man Comes Around』
541
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:12:07 ID:NYM2qCNY0
「体育館の避難民の皆様!
どうか落ち着いてください!
パニックを起こす事で犠牲者が増大します!」
どよめく体育館。
自衛隊員はひたすらマイクでそう訴えていた。
从 ゚∀从「ハァ?フザけんなっての
お前等の責任じゃねぇのかよ」
そんな中、一人のギャルがタバコに火をつけながらそう呟く。
从 ゚∀从「コンビニから1カートン盗んで正解だったぜ
おかげでしばらくは……」
吸った途端、彼女は強烈な腐臭を感じた。
从 ゚∀从「んだこれ!中に生肉でも……」
从 ゚∀从「あ?」
それはタバコではなく、人の指だった。
542
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:13:20 ID:NYM2qCNY0
「ソレボクノ……」
从 ゚∀从「ギャアアアアアアアア!」
目の前にいたのは化け物と化したオッサン。
ギャルは死を覚悟したが
从 ゚∀从「!」
('A`)「ボーッとすんな!」
ドクオがナイフで化け物の心臓を突き刺していた。
从 ゚∀从「んだよ!か、感謝なんかしてねぇからな!」
体育館の中には既に数体の化け物が紛れ込んでいた。
人の数が多いがために、何処に潜んでいるのかわからない。
そしてその数がねずみ算に増えていく事も明確だった。
543
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:14:53 ID:NYM2qCNY0
「慌ててはいけません!
とにかく一度グランドに避難してください!」
各所から聞こえてくる悲鳴。
それが現状の危機を悟らせる。
しかし……
それでも皆は冷静に動いていた。
一人一人順番に出る事が一番効率的だからである。
そうすれば倒れた人を無闇に踏み殺しはしない。
人は学ぶ生き物。
未曾有の大災害を目前にして得た学習。
……かつての惨事を繰り返したくはない。
そんな気持ちが皆にはあった。
('A`)「人は成長する……か」
かつての平和ボケした民間人ならば
この時点でかなりのパニック状態に至っても不自然ではなかった。
544
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:16:05 ID:NYM2qCNY0
だからこそ、動かねばならない。
ニートのドクオでさえ感じる義務感。
('A`)「オカン!とにかく逃げて!
俺は……」
何故かドクオは逆の方向へ進んで行く。
J( 'ー`)し「何してるの!」
('A`)「アイツらを手伝いに行く」
J( 'ー`)し「アイツらって!?」
('A`)「姉貴だよ!」
ドクオはそう告げ、母親の視界から姿を消した。
J( 'ー`)し「……生きていたの?」
545
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:17:46 ID:NYM2qCNY0
ドクオは早々に大型トラックの衝突した検問に到着した。
場には内藤達がおり、彼らが見ていたものとは
(#‰∀`)「……」
化け物のような形相の巨漢。
ソイツは無数の銃口を向けられつつも、悠然とした態度で前を見ていた。
('A`)「……!」
ドクオは教会でこの人物の映像を見た事があった。
容子と周りの反応から察するに
コイツは明らかに敵側の人間。
546
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:18:51 ID:NYM2qCNY0
川 ゚ -゚)「躊躇するな!撃て!」
直後、空に響き渡る程の銃声が鳴り響いた。
川 ゚ -゚)「1秒でもアイツを生かすな!
それが私達への害となる!」
モナーの背後の壁……そして
ただでさえグシャグシャな大型トラックは蜂の巣と化した。
漏れたガソリンに引火し、検問は火で覆われる。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
あまりの眩しさにツンデレは目を覆う。
数分後
「いない?」
自衛隊員の一人がそう呟いた。
目の前にあるのは火に包まれた大型トラックのみ
547
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:20:04 ID:NYM2qCNY0
死体がない?
目の前の光景に目を疑った。
形も残らず粉砕されたとしても、血は残る。
……それすらもない。
('A`)「お、落ちたのか?」
ドクオが内藤にそう問いただすが
('A`)「……?」
ξ゚⊿゚)ξ「……?」
素直クールと内藤の姿はなかった。
そして、大型トラックの側の地面には黒い布切れが落ちていた。
548
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:21:06 ID:NYM2qCNY0
(#‰∀`)「ハァ……ハァ……」
モナーは裏庭を走っていた。
上半身はビリビリに裂けているが、銃弾による傷はない。
手には設置したのと同じ爆弾が握られていた。
(#‰∀`)「……」
不意に立ち止まる。
……目の前には
( ^ω^)「……」
(#‰∀`)「……何故邪魔をする
いちいち気に触る奴だな貴様は」
モナーは歯軋りをし、まぶたをピクピクと痙攣させる。
549
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:22:16 ID:NYM2qCNY0
(#‰∀`)「ガキ風情が……
大人しく化け物に食い殺されば良いものの
いちいち!こうまで俺に楯突きよって!」
( ^ω^)「そういうわけにはいかないお」
( ^ω^)「やりたい事はだいたいわかる」
内藤は背後に指を指した。
( ^ω^)「あれを起爆させるつもりかお?」
そこにあったのは兵器庫だった。
(#‰∀`)「……!」
避難所の完全な爆破は失敗した。
……しかし、そもそもこの建物は脆く儚い。
550
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:23:21 ID:NYM2qCNY0
兵器庫は防火対策をしているが、十分な爆薬となる。
モナーが手に持つこの爆弾が起爆すれば装甲は耐えられない。
中にはC-4爆弾にも勝る数々の重火器が存在しており、爆発すれば
隣接している校舎は倒壊を免れず、それだけでも死者が確実に増大する。
(#‰∀`)「……」
内藤はそれを何としてでも防ぐつもりだった。
……だが、どうやって防ぐ?
──モナーは考察する。
何故一人で立ち向かう。
551
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:24:44 ID:NYM2qCNY0
たかが学生に太刀打ちできない相手というのは承知の上のはず
……ならば
(#‰∀`)「……」
川 ゚ -゚)「ご名答」
校舎の3階の窓。
そこから狙撃銃を向ける素直クールの姿があった。
川 ゚ -゚)「ここから一歩たりとも動かすつもりはない
その時点で撃つ!」
(#‰∀`)「……まだ理解できんのか?
というより、これ以上の対策は不可能だな」
(#‰∀`)「一応、褒めてやろうか
この糞のカスにも劣る避難所を守り抜く
そのために命を投げ捨てる覚悟を背負っているという事を」
552
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:25:55 ID:NYM2qCNY0
モナーはゆっくりと素直クールを凝視した。
(#‰∀`)「だがそれは言い換えれば無謀だ
無謀に命を賭すという行為は賢くない」
(#‰∀`)「警察署や駅で垣間見た
貴様等は賢い部類の人間だ
あえてそうする事に疑問を持て
……つまり」
川 ゚ -゚)「……」
( ^ω^)「……」
二人の額には汗が滲む。
(#‰∀`)「ジョルジュでさえ敵わなかった俺を
貴様等ごときが殺せるとでも思うか?」
553
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:27:16 ID:NYM2qCNY0
『刹那』という言葉がある。
仏教の時間の概念の1つであり、時の最小単位を表す。
僅か1/75秒。
その言葉が今ほど相応しいと思える瞬間などない。
内藤は己が何をされたのかわからないまま、攻撃を受けた。
( ^ω^)「おっ!」
受身も予測も回避も余裕がない。
気づけば口の中が鉄の味になっていた。
狙撃の銃弾はモナーに掠りすらせず地面を貫いた。
川 ゚ -゚)「内藤!!」
今度は素直クール。
モナーは拳銃を構え、彼女へと向けた。
川 ゚ -゚)「リボルバー?」
それはジョルジュのものだった。
554
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:28:34 ID:NYM2qCNY0
何故?奪い取ったのか?
数々の疑問が沸くが、今はそれどころではない。
ひとまず素直クールは身を伏せる。
……しかし
チュンッ
川 ゚ -゚)「ぐっ!!」
背中に強烈な痛みが襲った。
川 ゚ -゚)「跳弾か……!」
発射された弾丸は天井をはじき、巧妙に計算されて彼女に直撃。
第2撃を危惧し、素早く身を潜めようとするが
(#‰∀`)「確かに貴様は優れているよ」
モナーは素早く校舎の壁を登り、窓を乗り越えた。
555
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:29:40 ID:NYM2qCNY0
川 ゚ -゚)「……」
僅か1m。
それが素直クールとモナーの間との距離だった。
(#‰∀`)「同胞の中では最も体術の覚えが早かった
俺に対しては一種の」
彼女は素早くナイフを手に取り、刺し殺そうとするが
彼は片手でそれを受け止める。
(#‰∀`)「尊敬の念すら抱いていたな?
貴様は礼儀を忘れない、律儀な女だった
……だが」
川 ゚ -゚)「……ぐぐ!」
モナーは片手で、圧倒的な力で彼女を押し込む。
(#‰∀`)「所詮は秀才の域だ、尚且つ非力な女性の腕力」
かつてジョルジュが所持していたであろう巨大なリボルバー
冷たい銃口が素直クールの額に向けられる。
556
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:30:57 ID:NYM2qCNY0
(,,゚Д゚)「あ、あの二人は走って行ったよ」
('A`)「どっちへ!?」
ギコは裏庭に向けて指を指した。
ξ゚⊿゚)ξ「逃げたのを察知したのね
何で裏庭に」
「裏庭には武器庫がある!
恐らく起爆させるつもりだ!」
「行くぞ!君達は先にグランドへ避難しなさい!」
自衛隊員達は急いで裏庭に向かい始めた。
('A`)「……避難するか?」
ξ゚⊿゚)ξ「絶対嫌、私達も行く」
557
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:32:30 ID:NYM2qCNY0
ξ゚⊿゚)ξ「きっと……アイツが相手じゃ苦戦してる!
ほん少しでも加勢できるなら!」
ドクオとツンデレも裏庭へ向かい始める。
(,,゚Д゚)「あの……僕は?」
('A`)「できるなら自衛隊員と一緒に避難の協力してやってくれ!
多分最終的にはバスで逃がすんだと思う
っていうかそれ以外に手段がないし」
ξ゚⊿゚)ξ「体育館の放送聴いたわよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう
純粋にみんなを守りたいって気持ちを感じた
心の優しい子だというのも」
ツンデレは笑顔でそう告げた。
558
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:34:07 ID:NYM2qCNY0
ξ゚⊿゚)ξ「また会いましょう
絶対に……生きた形で」
(,,゚Д゚)「……うん!」
──何なんだろうこの人達は
こんな絶望的な状況なのに……強い精神力を感じる。
つくづく怖い体験をしたからこそわかる。
あんな強大な敵を相手に、何故勇ましく戦えるんだろう。
まるで臆する様子がない。
きっと心の中は、恐怖で一杯のはずなのに
「君、ボサッとするな!グランドへ行け!」
ギコは背中を叩かれ、自衛隊員と共に走って行く。
559
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 23:34:47 ID:oPQMxoKI0
ドキドキするねぇ
560
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:35:18 ID:NYM2qCNY0
ξ゚⊿゚)ξ「内藤の友達?」
('A`)「おう、小学校の時な
そういうアンタは?」
ξ゚⊿゚)ξ「同期の学生だよ
なんか駅で出会った時からずっと一緒で……」
ξ゚⊿゚)ξ「内藤君って強い人だね
私なんて何度も助けられちゃって」
('A`)「おう、届かないくらいにな
今じゃ自衛隊員と一緒に戦っちまってるし」
ξ゚⊿゚)ξ「……私達とは比べられない才能を持ってるんだと思う
きっと、モナーだって内藤なら」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンデレは裏庭に到着すると、ふと立ち止まった。
('A`)「……どうした?」
そこには朽ち果てた内藤の姿があった。
561
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:36:48 ID:NYM2qCNY0
〝ジョルジュは全てを知るわけではない
本当の自分達の存在意義〟
〝「君達のコードネームは004
君達は選ばれた存在だ、生まれるべくして生まれた己の幸運を祝え」
「見たまえ!この劣悪な失敗作を!」
「腕の欠損した失敗作!目玉が1つしかない失敗作!
完璧な能力というハードルの元、完璧な姿で生まれたのが君だ!」
「君達はこの世の王となれる才能がある!
持て余した才能で弱者を蹂躙し世界を我が物としろ!」〟
〝もし全ての生き物に魂があるのなら
その失敗作達にも魂はあるのか?何故俺のこの魂が選ばれた
命とはそれ程軽はずみに扱われるべき存在なのか?
ならば俺とソイツらは何が違う?〟
〝「それは『力』だよモナー」〟
562
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:38:38 ID:NYM2qCNY0
〝殺して当然の親
しかし、その意思だけは継いでやると誓った〟
(#‰∀`)「人間の性格は幼少期の環境が起因となるらしいな
社会はオーソドックスな価値観を用いた模範を築いてはいるが」
(#‰∀`)「その内心全ての共有など金輪際できるはずもない
人を殺す事を無慈悲としか思えない貴様等では、俺の目的など理解できん」
川 ゚ -゚)「誰が理解するなんて言った
お前の奥底に眠るほの暗い闇など……」
(#‰∀`)「もはやここで死ぬ貴様には知る必要もない」
モナーはゆっくりと引き金を引き始めた。
リボルバー式拳銃のスピードローダーがゆっくりと回転する。
……しかし
川 ゚ -゚)「私は友に誓ったんだ
例え命を代えても避難民を救うと」
563
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:39:47 ID:NYM2qCNY0
彼女は胸元の服をはだけ、内部を見せた。
そこにあったのは無数の手榴弾。
(#‰∀`)「……罠だと」
川 ゚ -゚)「あの世で会おう」
素直クールは全てを悟りきった笑顔で
モナーの動きを止めるために腕を抑え込んだ。
(#‰∀`)「邪魔だぁ!どけぇ!」
彼女は一瞬だけ、何故か地上で倒れている内藤の方角を見た。
川 ゚ -゚)「……後は任せたぞ」
564
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:41:08 ID:NYM2qCNY0
立て続けに発生する爆発。
崩壊の一歩を辿る避難所。
やがて化け物で満たされる地獄の地へと変貌を遂げていた。
段階にして現せば末期。
生存者達はバスに乗り、次々と発進していく。
決死に化け物を駆逐する自衛隊員。
……そんな中
ξ゚⊿゚)ξ「……内藤?」
彼女の頬は涙で満たされていた。
目の前にあったのは、首を貫かれ死亡した内藤。
たかが一人の学生など、アイツにとってみれば無力。
こうなる事は目に見えていた。
565
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:42:46 ID:NYM2qCNY0
('A`)「……」
──ドクオは背後を見た。
そこには2、3体の亡者の姿があった。
獲物を探している。
恐らく目が合った瞬間に襲われるだろう。
しかし、そんな言葉を口に出す事はできなかった。
どう気にかければ良いかわからなかった。
というより、自分自身が半ば放心状態だった。
ξ゚⊿゚)ξ「……こんなの酷いよ
何でよ!私なんかと違って
アナタは強い人間じゃなかったの?」
ξ゚⊿゚)ξ「こんなに簡単に死なないでよ!
ねぇ!……守ってみせてよ!
私が妹と重なって見えるんでしょ!?
ねぇ!」
566
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 23:43:00 ID:9jJsxldgO
今気づいた、今日はなしだと思ってたよ
今から読む、支援
567
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:44:20 ID:NYM2qCNY0
二人の心情は同じだった。
絶望と悲しみ。
……しかし、それでも理性は存在する。
動かねばならない。
('A`)「……ツンデレ」
ξ゚⊿゚)ξ「嫌!」
彼女はずっとうつむいていた。
ξ゚⊿゚)ξ「自分だけ……助かろうなんて気持ちはない
内藤君の望む事がアイツの死なら、私は」
ツンデレはゆっくりと自衛用のナイフを手に持った。
……だが
内藤の手がそれを優しく掴む。
568
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:46:10 ID:NYM2qCNY0
ξ゚⊿゚)ξ「!?」
その手はとても冷たかった。
生きてはいない事を悟らせた。
ならば亡者と化したのか?
……違う
ツンデレはその真実を悟った。
( ^ω^)「そんな事を俺が望むかお?
それなら……生きていて欲しい」
ゆっくりと彼は起き上がった。
ξ゚⊿゚)ξ「……使ったの?あの力を」
〝(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」〟
半死人。
569
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:47:45 ID:NYM2qCNY0
('A`)「……な!」
信じがたい光景だった。
内藤の全身は目を覆いたくなる程、肉体の壊死を起こしていた。
明らかに生存できるレベルを超えていた。
('A`)「化け物……なのか?
いや、それにしては何故喋れるんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
内藤の手には注射器があった。
それはかつてぃょぅが開発した悪魔の薬品。
知能を残したまま、亡者となる薬。
570
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:50:06 ID:NYM2qCNY0
壊死し黒く染まった皮膚。
顕著に浮き出る赤い血管。
全てが亡者と化した人間と同じ症状。
それはもはや、内藤ではなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「……駄目だよ」
ツンデレはシワクチャな顔でそう告げた。
ξ゚⊿゚)ξ「絶対駄目だよ!そんなの!
もう人間には戻れない!貴方は亡者に……!」
( ^ω^)「ツンデレ、ドクオ、ごめんお」
(#‰∀`)「うぉおおおおおおおおおおおお!」
571
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:51:50 ID:NYM2qCNY0
雄たけびが避難所一帯に鳴り響いた。
そこには上半身裸で血まみれのモナーの姿があった。
火で覆われ荒れ果てた大地。
ガラス片、粉砕された建物。
(#‰∀`)「俺は死なん!
爆発だろうが銃だろうが被爆だろうが
俺を死には至らせん!」
(#‰∀`)「その程度で殺せるかぁああああああ!」
片腕が欠損、全身に大火傷。
モナーはもはや死ぬ間際の状態だった。
威厳なき帝王の虚勢。
572
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:53:03 ID:NYM2qCNY0
残るはゴミカスにも劣るプライド。
それでも咆哮できるのは強者としての名残か
(#‰∀`)「これで運命の下に平伏す塵共は死に絶えた!」
(#‰∀`)「ゆくゆくはこの避難所の全てを灰と化してやる!
悪意をばら撒く!
それこそが私の生きる意味!
悪の家系から生まれた血の!意思を達する事が……」
その時、モナーはガラス片に自分の姿が見えた。
……背後には
(#‰∀`)「内藤ッ……」
モナーは顔面をわし掴みにされ、壁に叩きつけられた。
(#‰∀`)「ぐっがっお」
明らかに人間の力ではなかった。
必死に外そうとするが、ビクともしない。
573
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 23:53:13 ID:1BwD5qbkO
支援
574
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:56:10 ID:NYM2qCNY0
モナーの視線の先にいた者。
……それは
( ^ω^)「お前のせいで幾多もの犠牲があったお
失って良いはずのない命があったお」
(#‰∀`)「待てェ!貴様!な、何故生きている!」
( ^ω^)「知る必要などないお
今この場で死ぬのは当然でありながら
情をかけられるだけの価値もない」
頭蓋骨にヒビが入り始めた。
モナーは目玉が飛び出し、吐血を始めた。
(#‰∀`)「わん、腕力が通用……しなッ
この力……ま、まるで」
モナーの目前にいたのは、一体の亡者だった。
575
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 23:56:50 ID:9jJsxldgO
( ^ω^)こいつもやられたのか、主人公補正はなかったか
576
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:57:56 ID:NYM2qCNY0
彼にとっての人生最大の恐怖とは、真に今だった。
──いつもそうだった。
コイツは学生とは思えない程の度胸があった。
その内心に深く眠る力は己以上の化け物。
いつも搾取する側のはずだったモナーが、今は酷く怯えていた。
(#‰∀`)「避難民を守るためなら命をも犠牲にし、自ら亡者と化す!
その執着心は驚嘆の意思を隠せん……だがな!」
(#‰∀`)「俺一人を殺したところッで……
世界はもはや奈落の底だ!
野心や悪が世界を淘汰する時代となる!」
脳みそが溢れ、頭蓋骨が醜く歪んだ。
(#‰∀`)「生き延びた避難所の生存者は何処へ行き着く!?
何処も増えすぎた人類を収容するので精一杯だ!
路頭に迷い続ける事で得るものは、僅かに生き長らえる不安と絶望!
やがて誰かが思うかもしれない!」
(#‰∀`)「あの時死んでいれば良かったと!」
577
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:59:51 ID:NYM2qCNY0
(#‰∀`)「政府は我々の命等考えちゃいない!
この体を見ろ!奴らは化け物を駆逐するためなら中性子線すら使う!
これ以上の醜悪が何処にある!」
(#‰∀`)「これこそが人類だ!
これが愚かな生き物として生まれた業(カルマ)だ!
互いに互いを共食いし、やがては滅ぶ!」
(#‰∀`)「浅はかな正義感で全てを救えた気になるな!
もはや生きる事は絶望をただ先延ばしにするだけだ!
それでも貴様は!!」
(#‰∀`)「……馬鹿な」
死を迎える間際
己の周囲には幾人もの『いるはずのない人物』が見えた。
(`・ω・´)「……」
(´・ω・`)「……」
<ヽ`∀´>「……」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
578
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:02:24 ID:C.EUxjpA0
(#‰∀`)「こんな事が……こんな事など!」
幻覚だろうか……
連中は獲物を見るゾンビのように、モナーを囲っていた。
その前方に立つのは内藤ホライゾン、ただ一人。
( ^ω^)「悪人に限ってそういう事を言うお
許されるべきはない悪行を正当化し、話題を逸らそうとする」
( ^ω^)「俺がお前を殺すのは悪い事をするから
今はそれだけでいい、それこそが今の役目」
(#‰∀`)「俺は選ばれた人間だぞ!たかが
たかが一本!たかが一本の腕で俺を殺ッ……
殺せッるかががが」
(´・ω・`)「アサマシイナ」
<ヽ`∀´>「モウムダダヨ」
( ゚∀゚)o彡゜「シネ」
やがて、血しぶきと脳みそが飛び散った。
579
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:04:21 ID:C.EUxjpA0
午後8時41分
( ゚−゚)「……これが業(カルマ)か」
エイブラムスは足を引きずりながら、避難所の裏口を見ていた。
そこからは次々と大型バスが発進していくのが見える。
もはや市長としての肩書きは失っていた。
戻ったところで、見えているのは豚箱行きの自分。
片足を失うという多大なるリスク。
「シチョウ……タスケテ」
「シチョウ……ボスケテ」
そして背後に集まる無数の亡者達。
無理ゲーという言葉が、今程相応しいと感じた瞬間はない。
( ゚−゚)「避難所の夜明けと共に……私は」
その後……
一人の人間が散々遊ばれバラバラにされた挙句、無残に貪られた。
580
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:06:45 ID:C.EUxjpA0
同時時刻。
「早く乗れ!」
ギコは自衛隊員達に半ば強引に乗せられた。
最後の大型バスが発進をしようとする。
倒壊した校舎の下には焼死体の山が見えた。
モナーがもたらした避難所の影響は甚大で
化け物対策のため徹底された設備は全て瓦礫と化し
火の海の内部では微かに蠢く化け物の影が見えていた。
これがたった一人の人間が及ぼした災厄。
そのために最後の希望であるバスが走り出す。
581
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:08:04 ID:C.EUxjpA0
(,,゚Д゚)「!!」
ギコはふと思い出し、運転手の方へ走り始めた。
「コラ!運転中に立つな!」
その運転手を警護していた自衛隊員が、少年を抑える。
(,,゚Д゚)「ニートとツンデレを知らないですか!」
「は?」
(,,゚Д゚)「えっと……ドクオとツンデレっていう人達です!」
582
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:09:46 ID:C.EUxjpA0
「……」
自衛隊員は無線で連絡をしながら、名簿表を見ながら確認を始める。
「ツンデレという人物はいない……
しかしドクオという人物は収容されていたようだ」
彼は無表情で少年を見つめていた。
「彼はバスに乗っていない」
(,,゚Д゚)「……」
「これが最後のバスだからな
乗員にも限度があるから、どの道乗せる事はできない
恐らくは今……避難所の何処かにいるんだろう
生死についてもわからない」
(,,゚Д゚)「そうですか」
「降りるか?」
自衛隊員は無表情でそう問いただした。
583
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:11:21 ID:C.EUxjpA0
「このバスに今、終着点など存在しない
ただ……今を生き延びる事しか考えてはいない」
「車内が安全なんて発言は極めて無責任だ
もしかすると、避難所の地下で身を潜んでいた方が安全なのかもしれない
もしかすると、そのドクオという人物も地下で身を潜めているのかもしれない
自分が正しい思った道に突き進むべきだ」
「もう一度問いかけよう
降りるか?」
(,,゚Д゚)「……」
〝ξ゚⊿゚)ξ「また会いましょう
絶対に……生きた形で」〟
生きる事だった
何時だって、本当に望むべく未来というのは……
……そのために
(,,゚Д゚)「いいです」
584
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:12:58 ID:C.EUxjpA0
ギコは俯きながら、椅子に座った。
从 ゚∀从「んだガキ?随分暗い表情だな」
从 ゚∀从「……泣いてんのか?」
〝「ギコ、正直な人間でいる事はとても辛い事だよ
でもね……そんな人でいるのはとても偉い事だと私は思う」
「嘘をつく人にとっては馬鹿に見えるだろう
正直に言おうと思っても言えない時もある
だからこそ、正直でいる人間は誇らしい」
「意味はまだわからないだろうけど……君にとって
それはとても大切な武器になるだろう」〟
バスは軍列を組んで走行していた。
闇夜に輝く月は、行き場の見えない彼らを優しく照らしていた。
……しかしその一方で
('A`)「……もう無理だ。脱出できない」
585
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:14:56 ID:C.EUxjpA0
「チュウニビョウオツ」
「ムネアツ……ムネアツ……」
「プフフフ……ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒーヒーッヒッヒ」
「ウィンウィンウィン ウィンウィン フフフ ウィンウィンウィン」
「……ギギギ!」
「エーデルワーイス、エーデルワーイス」
「ルイズ!ルイズ!ウワァアアアアアアア」
「ソトノケシキヲミセテクレ・・・・・・ナイノハナゼデスカ?」
「マツリダ!マツリダ!」
「イタイ……」
「クズハシネッ!」
「オレモマゼテー」
ドクオは壁の隙間から外の景色を見た。
化け物以外には何も見えない。
呻き声がそこら中から鳴り響く。
扉がガタンッ!ガタンッ!と激しく揺れる。
('A`)「内藤の容態は?」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
586
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:16:38 ID:C.EUxjpA0
ツンデレの膝の上に乗せられていたのは内藤だった。
( ^ω^)「何でだお……
俺は生きてくれと願ったのに……何で」
ξ゚⊿゚)ξ「好きだから
他に理由なんてないよ」
彼女は笑顔でそう告げた。
「カーゴメカーゴメ、カーゴノナーカノトーリーハ」
3人は避難所内の小さな食料倉庫の中にいた。
彼らは無数の化け物に囲まれていた。
「イーツイーツデヤール」
587
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:18:06 ID:C.EUxjpA0
暗い
寒い
五月蝿い
怖い
辛い
それだけが皆の感情を支配していた。
ただの倉庫、地下なんて存在しない。
上に上ったところで他へ伝う手段もない。
連絡手段もない。
恐らくは……ここへ来る者など
あるのは僅かな食料
そして
('A`)「……日記?」
日記とペン。
まだこの避難所が学校として機能していた頃
学生がコッソリ隠していた物だろうか
588
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:19:40 ID:C.EUxjpA0
('A`)「……諦めたくないか?」
ξ゚⊿゚)ξ「諦めるしかない
現実が見えない程馬鹿でもないよ」
('A`)「だよな
じゃあ他にできる事って何だと思う?」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
ドクオは笑顔で日記を手渡した。
('A`)「事実を伝えるんだ」
('A`)「経験した事、好きな人、嫌いな人
それを伝える事は……自分達が生きていたという証になる」
('A`)「だいたい、その日記は恋を綴るために用意されたもんだぜ?
アンタらにこれほど相応しいものがあるかよ」
( ^ω^)「……は、はは」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
589
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:21:53 ID:C.EUxjpA0
I hurt myself today, to see if I still feel.
(まだ痛みを感じながら、今日自分を傷つける)
『8月1日』
思えば人生で最も長い一日だった。
全てが変わってしまい、始めは死にたいと思っても
内藤に出会えた事で頑張ろうって気持ちになれた
自分達を助けてくれた自衛隊員達も全員死んじゃった。
今は化け物共に囲まれている。
逃げたいけど逃げられない。
とても辛い
I focus on the pain, the only thing that's real.
(見てみると、これは紛れもなく現実のようだ)
『8月2日』
この倉庫はどうやら食料保存庫だったみたいで
最低限生き抜くだけの物資はあるみたい。
幸い雨が振って、火は全て消えた。
一応空に向かって手を振ったりしてるけど成果はなし
入り口は完全に封鎖してるので、一応今は問題ない
もしかするとバスで脱出した生存者達より安全な選択肢だったかも
今は3人共気が合ってて仲が良い
凄く不安だけど、今はそれを考えたくない
590
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:23:05 ID:C.EUxjpA0
The needle tears a hole, the old familiar sting.
(親しき連中に針のような悲しみが刺さるだろう)
『8月3日』
節約していけば、食料は一週間以上保つ。
あとは必死に空へ向かってSOSをすれば良い。
不思議な事が一つある。
周りにいた化け物が段々と倒れていく。
寿命?餓死?
よく考えると当然な事なんだけど
それにしては今更?と思うような気もする
Try to kill it all away, but I remember everything.
(それをすべて消してしまいたい。だが、私はすべて忘れられない)
『8月4日』
ドクオがお腹が痛いと訴え始めた。
化け物が減り外出可能になってからの事
また、肌が黒く染まってきてる
何だか言いようもない不安に駆られ、外出を控える事にした。
591
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:25:04 ID:C.EUxjpA0
What have I become?
(私は何になれたのだろう?)
『8月5日』
鼻血.茶色い痰,下痢.指先に出来た小さな赤いホクロ。
ドクオの症状は明らかに風邪の類ではなかった。
そしてネットや授業等で聞いた事があった。
被爆。
思えばモナーのあの姿を見れば必然的だった。
彼は何かをされたのだ。
内藤もそれに近い事を言っていた。
My sweetest friend everyone I know,
(親愛なる友よ、私の知るものたち)
『8月6日』
考えていくにつれ、ある真実に辿りつつあった。
モナーが避難所に来なければ避難民達は被爆し壊滅していた。
4日の時点でこれだけの症状が出るという事は
体育館や校舎にいた殆どの生存者を死に至らしめられた、という事になる。
モナーは何を目的にして避難所を攻撃したんだろう
今となっては知るよしもないけど
『8月7日』
ドクオが死亡した。
592
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:27:08 ID:C.EUxjpA0
goes away in the end.
(みんな最後にはどこかに行ってしまう)
悲しかった。
言葉も出なくなるくらい私と内藤は悲しんだ。
そして脳裏に一つの言葉が沸いていた。
何故私達は無事なんだろう。
内藤は半亡者の存在だから別なのかもしれない
なら、何故私は生きているんだろう
意思のみで願いが適う事はない。
もし願った事でそれが適ったとするなら、それは幸運だったというまでだ。
今日まで生き延びる事ができたのは幸運だ。
それはいくつもの偶然が積み重なる事で生まれる。
たまたま自分の都合のいい方へ転んだだけだ。
593
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:29:09 ID:C.EUxjpA0
私と内藤はずっと話をし続けていた。
それだけが唯一の幸福だと感じたからだ。
やがて議論は結論へと至った。
思えば駅で彼と出会い、今日だけを過ごしてきた今
どれだけのの人々が亡くなっただろう
ほんの少し運命が違えば、無残な死を遂げていた。
もはや努力が下積みだとか……そんな夢のある事じゃない。
別にこのような世界にならなくとも、それはきっと関係のない事だった
類稀なる強運と選ばれた質の人間だけが成功する
私達は選ばれただけ
神様の気まぐれで、たまたま生存に至っただけ
だからこそ、それに見合う努力をしようと思った。
If I could start again
(もし、もう一度私にチャンスがあったなら)
594
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:31:31 ID:C.EUxjpA0
喉が張り裂けるくらい必死に空へ叫んだ。
被爆が怖いので、可能な限り移動を避けた。
食料も可能の限り節約。
化け物なんかに食われるわけにはいかない。
私達は生きる
生きる、絶対に生きる
シャキンもショボンも素直クールもドクオもジョルジュも同じ事を言うだろう
ここまで来たんだから、私達は
『8月7日』
『8月8日』
『8月9日』
『8月10日』
『8月11日』
内藤と一緒なら、何時までも
ξ゚ー゚)ξ「……」
内藤はツンデレに膝枕をしてもらい、眠りについていた、
それを彼女は聖母のような表情で見つめていた。
595
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:33:38 ID:C.EUxjpA0
If I could start again
(もし、もう一度私にチャンスがあったなら)
A million miles away,
(遥か遠くへ行き)
I would keep myself,
(たった独りで生きていく)
I would find a way
(そんな道を見つけ出すだろう…)
( ゚Д゚)「……以上の内容が、VIP小学校避難所に残された日記です」
エピローグ『Hurt』
596
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:35:21 ID:C.EUxjpA0
( ゚Д゚)「西暦2012年、人類は未曾有の大災害に阻まれました
それによる犠牲者は地球人の人口を約半数近くも減らしたと言われます
残された生存者はシェルターの中へと避難」
( ゚Д゚)「各国は『ノスフェラトゥ』を投下
世界を我が物顔で徘徊していた亡者達を殲滅」
( ゚Д゚)「そして西暦2034年の今日
政府から正式に外出の許可が降りました
私達は22年の時を経て、ようやく地上に顔を出す事ができます」
かつての避難所より倍以上もある大きさのホール。
会場ぎっしりに詰め込まれた観客達。
そのステージに立っていたのは、スーツを着た清楚な外見の男性だった。
( ゚Д゚)「私は寄生体『NEET』専門研究家
ギコと申します。ご存知であるとは思われますが」
( ゚Д゚)「……私もこの大災害の被害者でございます
8歳の頃、地獄の一部始終を経験しました」
( ゚Д゚)「その修羅場の中、二人の学生を垣間見たのです
避難所にいた時の話でした」
597
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:37:55 ID:C.EUxjpA0
( ゚Д゚)「前述の日記はその二人が記したものです
近日捜索隊が亡者の遺体回収作業時に発見しました」
( ゚Д゚)「壮絶な内容です
亡者に追われ、被爆の恐怖の味わいながらも
二人は懸命に生き抜こうと努力してしました
……その時、私は逃げる事しかできなかった」
( ゚Д゚)「敵は亡者だけはなく
避難所を破壊しようと目論む邪悪な者さえいました
彼らは懸命に戦い、命の灯火を死守してました」
( ゚Д゚)「亡くなった者達も少なくはなかった
そうして得る事できた命があったために、今の私は生きています」
( ゚Д゚)「彼らに対する感謝の気持ちが途絶えた日など、一度としてありません
正直に生きろと言った父親の言葉も忘れた事などありません
その信条を忘れず努力してきたからこそ、教授としての私がいます」
598
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:39:51 ID:C.EUxjpA0
( ゚Д゚)「命を賭して戦った者達を称え
再び地上への一歩を踏みしめましょう!」
拍手喝采に包まれた。
スーツに身を包んだギコは一礼し、ステージを出て行く。
「教授!何処へ行かれるのですか!」
マネージャーと思しき女性がそう訴える。
「この後は別の会場で寄生体『NEET』の説明会が」
( ゚Д゚)「すまないね
ちょっと野暮用があるんだ」
「野暮用?」
( ゚Д゚)「つい最近発覚した事なんだ
先ほどのステージでも話していただろう?
日記を書いた二人の生存者
ツンデレと、内藤ホライゾン」
( ゚Д゚)「彼らは公式生存者名簿の中では死亡という扱いになっていた
事実……あの状況下で生きる事は不可能にも近い」
( ゚Д゚)「……だが、信じられない事だが
それは間違いだった!」
599
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:41:47 ID:C.EUxjpA0
「……?」
唖然となるマネージャー
ギコは上機嫌で歩いて行く。
( ゚Д゚)「生存者名簿表の中に『エレドナット』という名の人物がいたが、既に死亡者扱いとなっていた
死者の間柄や家系等は身内が申請をしなければ不明のまま
その人物は22年間の間、ずっと謎の遺体であり続けた」
( ゚Д゚)「これだけの大災害……全ての身柄を正確に判別する事など不可能だった
そういった謎の死亡者は山ほど存在し、再建に手一杯な政府も半ば放置状態」
( ゚Д゚)「……そして私宛にタレこみが入ったんだ
シェルター奥深くの小屋にその名簿の家があると」
( ゚Д゚)「『エレドナット』のスペルは『EREDNUT』
……逆さにすると」
「ツンデレ?」
マネージャーはそれに気づき、目を大きく見広げた。
600
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:43:35 ID:C.EUxjpA0
( ゚Д゚)「彼らは偽名を使う事で政府からの抑圧を回避した
恐らくは国家機密に値する程の何かを所持していたのでしょう」
〝ξ゚⊿゚)ξ「……駄目だよ」
ツンデレはシワクチャな顔でそう告げた。
ξ゚⊿゚)ξ「絶対駄目だよ!そんなの!
もう人間には戻れない!貴方は亡者に……!」〟
( ゚Д゚)「地上に足を踏み入れる事が許された今宵!
何かが起きるでしょう!」
( ゚Д゚)「この22年間の間に積み重ねられた偉大なる何かが!
私はあの目撃者として……」
川 ゚ -゚)「一人でよくそこまで辿り着いたものだ
本当にいい演説だったよギコ」
601
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:45:06 ID:C.EUxjpA0
「!?」
向かい側から姿を現した中年女性に、マネージャーは唖然となる。
川 ゚ -゚)「すまなかったな
もっと早いうちに姿を見せたかったが
彼女の強い意志を見ていると、余計な事はできなかった」
( ゚Д゚)「いいんです
また出会えた事が、一番の幸福ですから
こうして歴史の偉業に立ち会える事も……」
川 ゚ -゚)「二人を助けたのは私だ
8月11日、増援を引き連れて」
( ゚Д゚)「その結果得た物を今日、垣間見る事ができます」
「え?え?」
混乱するマネージャーをよそに、二人は歩いて行く。
( ゚Д゚)「化け物から人間へと戻す方法
それを今日……人類は獲得する!」
602
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:47:16 ID:C.EUxjpA0
古臭い小屋。
約50km近くもある超巨大シェルターの内部。
その中で最も北端に位置する建物。
本来は地上の監視用の建物だった。
にも関わらず、小屋の中には最低限の食料があり
奥に進めば実験に使いそうな無数の器具が存在していた。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
錆付いた椅子に座る一人の女性。
彼女は笑顔でカプセルを見ていた。
中に入っていたのは冷凍保存された内藤。
手に握られていたのは青色の液体が入った試験管。
彼女はカプセルの管にそれを挿入した。
蒸気が溢れ出した。
中の温度が常温へと変化し、フタが開く。
603
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:47:16 ID:Fxd9HDfsO
がんばれ!
604
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:48:00 ID:l2ONHMkAO
川 ゚ -゚)、生きてたんだ!!
605
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:48:47 ID:C.EUxjpA0
ξ゚⊿゚)ξ「長い道のりだった……あれから22年
まるで昨日の事みたい」
ξ゚⊿゚)ξ「久しぶりね
内藤ホライゾン」
( ^ω^)「……お?」
涙目でツンデレは彼を見つめた。
そこには駅の中で出会った姿のままの内藤がいた。
同時にシェルターの天井が開かれた。
現在時刻、午前8時35分。
晴天の朝。
606
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:49:56 ID:C.EUxjpA0
数十匹の小鳥が地上へと放たれ、空へと消えて行った。
( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです
完
607
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:52:57 ID:C.EUxjpA0
今回で『( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです』は完結です。
読んで頂いた皆様、支援して頂いた皆様、今まで本当にありがとうございました。
途中誤字脱字や更新が遅くなったりと、申し訳ございません。
やりたい事は全部ブチ込めました。
ひとまず便所を我慢してたので、その後あとがきを投稿します。
608
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:53:13 ID:Fxd9HDfsO
乙!!!
609
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:53:51 ID:yoajx192O
乙!面白かった!
610
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:55:18 ID:rm/ZaAXc0
終始一貫して面白かった
超絶アルティメットスーパーメガすげぇ乙
611
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 01:06:47 ID:hZE5fwiE0
乙!!
612
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 01:08:07 ID:l2ONHMkAO
( ^ω^)が復活してよかった
これは間接的にイヨゥのお手柄かな
613
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 01:11:55 ID:Bmf7F1mMO
乙!!
ドクオ…
614
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 01:17:52 ID:i7Bol2HQ0
めっちゃ乙
ゾンビ系好きだから凄い楽しく読ませてもらった!
おもしろかったよー!
615
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 01:33:32 ID:C.EUxjpA0
あとがきです。
作中後半に登場する歌詞は『Johnny Cash』の『Hurt』という曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=SmVAWKfJ4Go
日記の部分から先はこの曲をイメージしながら製作しました。
読みながら聴いて頂けると幸いです。
対人戦寄りとなったのが気がかりでしょうか
モナーを異常なまでに強く設定しすぎて、ゾンビの印象が薄くなってしまった事や
モールや、もっとチェーンソーなんかも活躍させるべきだったと思います
最後のゾンビに囲まれるシーンは初めから考えており
想像通りの終わり方ができて、満足しております。
思ったより反響が良く(当初は1レスがたまに来るくらいを想像してた)
非常に嬉しくなり創作意欲が爆発して完成まで至りました。
次回作もちょっとずつですが製作中です。
約1ヶ月半もの間、楽しみにして読んで頂いた皆様ありがとうござました。
616
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 01:41:05 ID:C.EUxjpA0
>>613
ドクオは殺そうかどうか迷った挙句、殺しました。
可哀想ですが
なお、最後のツンデレが内藤を膝枕するシーンは
かの有名なテンプレのブログのイラスト
ttp://blog-imgs-38-origin.fc2.com/g/y/o/gyokutonoyume/0.jpg
を見て発案してたりします。
617
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 02:32:59 ID:k0kUD3SMO
ω・∩ハッピーエンドでよかった乙。ドクオwwwww
618
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 03:42:11 ID:Ta8RiCwwO
乙
あのドッペルゲンガーみたいな『何か』がその後どうなったのか気になるところだな
619
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 09:43:10 ID:.Nq6gnws0
ブログにまとめたいのですが、
よろしいでしょうか?
無理ならいいです。
620
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 10:39:17 ID:H7y.CdsE0
乙
面白かった
ツンはなんで生き残れたんだろう
621
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 13:14:46 ID:Xg8qLGlI0
おもしろかったぞ
おつ
622
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 13:42:23 ID:C.EUxjpA0
>>619
大丈夫です
やっていただけるのでしたら、むしろ非常に嬉しいですw
623
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 16:35:58 ID:jCJa9SYI0
完結作品に惜しみない称賛を込めて、乙!!
624
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 18:04:01 ID:cenYczP.0
>>622
ありがとうございます!
625
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 18:42:59 ID:cXD2u4Oc0
乙
626
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 19:19:52 ID:D0oXv0HE0
乙!
627
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 19:23:12 ID:E1Y8lqH20
あらためて乙
まとめは後日。
628
:
名も無きAAのようです
:2012/09/23(日) 09:50:32 ID:rtBU9iOIO
来てたのか
面白かったよ、完結乙乙
でもナニカとツンの生存理由を知りたいー(チラッ
629
:
619
:2012/09/28(金) 17:53:47 ID:PNvn3I1M0
http://blogs.yahoo.co.jp/sabubaggu/folder/514364.html
5000文字制限がきびしかったので、1話目から五分割になってしまいましたww
サーセンww
630
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/29(土) 16:31:15 ID:owaBHobM0
>>629
ありがとうございます
やたらと文字多い小説ですみませんw
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3466945.zip.html
一応元のテキストです。
こっちの方がまとめやすいかも
631
:
名も無きAAのようです
:2012/09/29(土) 17:39:42 ID:MzFHtATs0
>>630
いえいえw
Yahoo!ブログ使ってる僕がおかしいんですw
もとの文章ありがとうございます!
632
:
重荷
:2012/09/29(土) 21:29:12 ID:I5Hwrm260
取りあえず、現在色々とあって更新ははかどりませんが、頑張ってみます。
633
:
名も無きAAのようです
:2013/04/29(月) 11:31:01 ID:Z/zMILbs0
おれもきたいする
634
:
名も無きAAのようです
:2013/04/29(月) 13:38:13 ID:Z/zMILbs0
おもしろかった
636
:
名も無きAAのようです
:2013/10/05(土) 01:27:29 ID:p4lDbit.O
>>231
今更ながら過去作読んだ、ジョルジュのやつは打ちきりみたいだね
本作は内容はちょっと違うけどジョルジュのやつの完結編の位置づけなのかな
(まあこんなこと書いても目に触れる可能性は限りなく低いだろうけど)
638
:
名も無きAAのようです
:2014/05/20(火) 23:33:06 ID:JxIdRDBg0
ほ
640
:
名も無きAAのようです
:2014/05/22(木) 00:38:09 ID:TZd8zRcw0
?
644
:
名も無きAAのようです
:2014/08/20(水) 03:11:12 ID:7WbgaBuA0
今読み終わった
実に良い作品だった
646
:
名も無きAAのようです
:2014/09/02(火) 16:47:41 ID:ED4OZAoY0
乙
今数時間かけて読み終わった
ほぼ不死身なゾンビも恐ろしいが、チートなモナーが一番怖いな
最初から最後まで楽しませていただきました
647
:
名も無きAAのようです
:2014/09/02(火) 20:47:54 ID:3oK.9FQsC
最近この作品読んでる人がいてかつ好印象なのは(´・ω・`)僕としても嬉しいことだね
648
:
名も無きAAのようです
:2014/09/10(水) 10:55:13 ID:z9bQdXeA0
一気読みした
面白かったです。乙でした
次回作に期待
650
:
名も無きAAのようです
:2014/09/27(土) 08:17:22 ID:0F8ssJ860
650ゲット
651
:
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:2014/10/06(月) 13:08:12 ID:jWGmlOGc0
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