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( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです
337
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:13:45 ID:HkDO0GkA0
物音が聞こえモナーは瞬時に建物の隅を見るが、そこには誰もいなかった。
……が
立て続けに倒れたゴミ箱。
それに足音。
あからさまにそこにはギコの姿があったのだ。
( ´∀`)「……」
追跡は容易だった。
命がけの鬼ごっこが始まりを告げた。
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……」
計画?
自衛官の服を奪う理由?
ひょっとしてアイツは何か企んでいるのか?
避難所の詳細も聞いていた、何故?
……ひょっとして
338
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:15:42 ID:HkDO0GkA0
……一方
( ゚∀゚)o彡゜「ちっ」
──ジョルジュはぃょぅにバレないよう木の下に身を潜めていた。
血まみれになりながら、一枚の書類を手に取る。
( ゚∀゚)o彡゜「ったくよぉ……
俺があの野郎の弟じゃなかったらってつくづく思うぜ
事実を知らないなら、きっと俺は能天気に避難所に行けたんだ
まったく血筋って奴は罪深い」
頭を抱え、呆れたようにそう告げる。
( ゚∀゚)o彡゜「努力しなきゃならねーんだ
何が楽しくて自分のオアシスを守るために、
あんな狂ったイカレポンチの撃退なんざならねーんだか」
( ゚∀゚)o彡゜「だが……連中には協力してもらおう
これも何かの縁だ、どうせ協力しなけりゃ全員おっ死ぬ」
ジョルジュは建物の中で戦う内藤達の声を聞きながら、朗らかな表情でそう告げる。
その書類にはぃょぅとモナーに関する記述があった。
第9話『ハルマゲドンまで』
To Be Continued……
339
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/17(金) 21:31:36 ID:HkDO0GkA0
第8話『醜悪な者たちは誰でも彼をも醜悪な者にしてしまう』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、どうもありがとうございました。
次回は第9話『ハルマゲドンまで』です。
現在進行中の他の作品読ませて頂いていますが
本当に描写が上手い方ばかりで……嫉妬しちゃいます( ><)
いっそ地の分ほとんど無くしてセリフだけにしちゃおうかと思ったり
しかし今更それやっても余計酷くなるだけか
とにかく最後まで頑張っていきたいと思います。
次回は来週以降になります。
340
:
名も無きAAのようです
:2012/08/17(金) 22:14:48 ID:Gh8J7I1Y0
乙
341
:
名も無きAAのようです
:2012/08/17(金) 22:59:03 ID:4AYQq0fE0
おつおつお
━━━━━ウッ......。
342
:
名も無きAAのようです
:2012/08/18(土) 03:49:50 ID:BHr2DhxQ0
いやいやちゃんと書けてると思うぞ
ゾンビ好きにはたまらん
343
:
名も無きAAのようです
:2012/08/18(土) 08:00:59 ID:VWS9/ZVMO
大丈夫。おもしろいぞ
344
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:21:17 ID:0EYVTcQw0
これより第9話『ハルマゲドンまで』を投下します
345
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:22:08 ID:0EYVTcQw0
午後5時14分
「次の方どうぞー!」
「くれぐれも一列に並ぶようお願いします!
順番抜かしは極めて厳禁ですのでご了承ください!」
――避難所の正面入り口。
大声で指示を行う自衛隊員。
その様は、今までの地獄とは別世界のようだった。
まるでコミケにいるかのような気分になる。
「まだかよー?おせーんだよ!それでも公務員かよ」
「早くしろよ!うちの息子が怪我してんだよ!」
ブーイングが響き渡る。
しかし誰も自衛隊員に近寄ったり、手を出したりするような者はいない。
('A`)「あれ……」
ドクオは入り口の真上に指を指した。
その先にあるのは……
『without warning(警告なし)』
346
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:24:12 ID:0EYVTcQw0
黄色い看板にはそう記されていた。
J( 'ー`)し「暴徒や発症者対策ね……
これだけ自衛隊員が見張りをして銃をブラ下げている理由も
当然よ、これは少しでも生存者を増やすための処置だもの」
そしてその下にはお触書が記してあった。
『避難所条例
以下に該当する方は入所を許可しません。
入所後、後日以下の事柄が判明した方も退所して頂きます。
1、発症者及び暴力や迷惑行為を行う者
2、逮捕歴、及び本日の災害に乗じた殺人が判明した者
3、医師の精神鑑定で不合格となった者
また、怪我人の方は病棟にて発症の有無による厳重な審査を行います。』
('A`)「俺達大丈夫かな
こういうの見てたら不安になってくる」
J( 'ー`)し「……大丈夫よ」
母親はギュッとドクオの服を握る。
347
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:26:11 ID:0EYVTcQw0
二人は地道に順番を待っていた。
これも助かるためだった。
中に入れば、少なくともこの国の中では最も安全な場所に住む事ができる。
下手な行動でこのチャンスを逃すわけにはいかない。
何としててでも入らなければならない。
「やだぁ!早く入りたいぃ!」
「言う事聞かない子はしまっちゃおうねぇ」
みんな同じ気持ちだった。
並んでいた連中のほぼ全員がそんな気持ちでいた。
「次の方どうぞー」
そして二人の検査が始まった。
自衛隊員に腕を捕まれ、入ってすぐの検査室へ移動。
ドクオと母親はレントゲンを撮られ、医師によりその場で厳重な検査が行われる。
数分後……
J( 'ー`)し「ど、どうでしょうか?」
348
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:28:34 ID:0EYVTcQw0
母親は息を飲んでそう問いただした。
……数秒後
「二人とも陰性です。おめでとうございます」
医者は笑顔でそう告げた。
「発症者は脊髄部分に、ある特殊な寄生虫が存在するのですが
二人ともそれらしき兆候は見当たりませんでした。よって発症による危険性はなしとみなします
続いて精神鑑定を行いますので、隣の精神科の診察を行います」
('A`)「も、もし発症してたら?」
「はぁ……治療手段がなく極めて危険ですので、その場で射殺ですね」
('A`)「……」
ドクオはしかめっ面になる。
第9話『ハルマゲドンまで』
349
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:30:21 ID:0EYVTcQw0
午後4時29分
( ^ω^)「……」
内藤は目が覚めた。
まるで眠りから覚めたように心地よい気分であり
頭を掻きながら辺りを見回す。
受付前の椅子で眠っていたようだった。
(´・ω・`)「感謝しなよ」
隣の椅子にはショボンの姿があり
彼もまた包帯を巻かれ、治療を受けていたようだった。
( ^ω^)「俺……は?」
(´・ω・`)「心停止だよ
あと数分でテメェはお釈迦になってた
それを彼女が助けやったんだ」
(´・ω・`)「必死だったよ
何度も何度も必死に人工呼吸をして」
内藤は自分の唇に指を当てると湿気を感じた。
そう考えると、何だか頬が火照ってくる。
( ^ω^)「……その子は?」
350
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:31:39 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「教えな、テメェは親父と何の関係を持っていた」
(=゚ω゚)ノ「ハァ……ハァ……」
(=゚ω゚)ノ「!!」
( ゚∀゚)o彡゜「何の関係を持っていたと聞いてるんだ
その技術を手に入れた理由は!?」
( ゚∀゚)o彡゜「答えろ!」
(=゚ω゚)ノ「が……ぐ……」
川 ゚ -゚)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
( ^ω^)「な……」
廊下に向かうと、そこには4人の姿があった。
ツンデレ、素直クール、リーゼントの変な奴
そして両腕両足を切り裂かれダルマとなったぃょぅ。
351
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:33:17 ID:0EYVTcQw0
ξ゚⊿゚)ξ「内藤君!」
ツンデレは嬉しそうに内藤に抱きつく。
ξ゚⊿゚)ξ「良かったぁ!
もう起きないかと思って!」
( ^ω^)「お……その……ありがとうお、感謝してるお
で、アンタは?」
内藤はリーゼントの男、ジュルジュを見てそう問う。
( ゚∀゚)o彡゜「何て事はねぇ、単なる関係者だよ
あまり気にかけんな」
( ^ω^)「いや全然単なるではないお
関係者って……?」
川 ゚ -゚)「モナーの弟だ」
( ^ω^)「……え?」
それを聞いて内藤は体が固まる。
352
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:34:28 ID:0EYVTcQw0
モナー。
――この人生の中で最も凶悪だと感じた殺人鬼。
己の持ちうる技術を全て自己快楽へと使い……
その自己快楽すらも殺人という、最もドス黒い悪人。
その弟?
川 ゚ -゚)「そしてこの医師の名はぃょぅ
我々に襲い掛かった理由は知られたくない情報があるから
……だよな?」
(=゚ω゚)ノ「ぐおっ!」
彼女はぃょぅの胸に蹴りをぶち込む。
(=゚ω゚)ノ「お、俺も現状がどうにか切り開けるとは思っちゃいない
やめろ……話す事は全て話す」
多大なる肉体消耗で疲労したぃょぅは、死にかけの瞳でそう告げる。
(=゚ω゚)ノ「俺はモナーの友人だ
今回の災害に関する事も……ほとんどを聞いた」
353
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:36:26 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「とはいったものの、今回の災害の元を知っているわけじゃない
案外これは人間の仕業によるテロだとか……そういうものじゃないと思う」
(=゚ω゚)ノ「地球とはゴムやトランプリンみたいなものだ
何かを搾取し増大すれば、それだけの代償が我々に返ってくる」
(=゚ω゚)ノ「例えばエイズ。
あれは通説によれば人間が猿と獣姦をした事が始まりだと言われるが
1981年の症例報告後、わずか10年程度で感染者は世界中に100万人にまで広がっていった
たかが猿との獣姦ごときがここまでの大規模な災厄を生み出したのだ
これは増えすぎた人類を淘汰するための一種の運命だったのではないか?と私は思う」
川 ゚ -゚)「随分と関係のない話を始めるものだな」
(=゚ω゚)ノ「関係はあるさ、つまりそういう事
今回の災害は人類自体への業(カルマ)
……誰の仕業でもないのさ」
(=゚ω゚)ノ「よく考えてみろ
発症者は現時点で地球上のあらゆる国で確認されている
例えこれがテロの仕業だったとして……どんな手を使ったとしても
たった一日でこれほど世界を絶望的な状況に変えるのは不可能なのだ」
354
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:37:34 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「つまり我々を疑うなら検討違いって事さ
こんなもの私もモナーも君達も、元より防ぎようなどなかった」
(=゚ω゚)ノ「……だが予知はできた」
( ^ω^)「予知?」
(=゚ω゚)ノ「モナーさ。人間の中でもピカイチに秀でた人間なのだよ
だからこそアイツは私のようなヤカラを見抜く力を持ち
この災害も予め天性的な力で予知していた
ししてカリスマ性を感じた私はアイツに惹かれただけだ」
グッとジョルジュはぃょぅの胸倉を掴む。
( ゚∀゚)o彡゜「……で、惹かれて何をしたと聞いているんだテメェはよぉ!」
(=゚ω゚)ノ「何て事はない
私はモナーに、人間を皆殺しにするなら避難所を破壊するのが最適だよと
そう告げただけさ……そして」
(=゚ω゚)ノ「知能を残して亡者と化す技術……
これも単なる自己研究欲にとりつかれた実験
独自にこの方法を知る事ができたのだ」
355
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:39:17 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「それを平然と実行しちまうのがアイツか」
(=゚ω゚)ノ「悪人は悪人を集める。
悪人同士は合理的にしか協力はしない
この技術は私が独占するために生み出したのだ」
(=゚ω゚)ノ「……貴様等、随分と他人事のような面で人を見ているが
人間は元々『悪』だぞ?」
(=゚ω゚)ノ「『善』である事が、社会では生き抜く作法として認知されてきた
皆は心の奥底に眠っている欲望を押し殺す事で生きてきた」
〝「相手にフェラをさせる時のコツはナイフで脅す事だ
でなけりゃあ食いちぎられてしまうからなぁ」〟
〝<ヽ`∀´>「人間は嘘をつく事ができる生き物だ
時代は変わった」〟
(=゚ω゚)ノ「心の奥底に眠る欲望は『悪』だ
そういう人間がいる事を、貴様等はその目で見てきただろう」
356
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:40:42 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「果たして貴様等の志す善とは何だ?」
(=゚ω゚)ノ「果たしてそれは誰から見ても正しいと断ずる事ができるのか?
果たしてそれが社会を生きる事で得た幻でないと、誰が言い切れる?」
(=゚ω゚)ノ「人を殺す事が何故罪だと言い切れる?
ならば貴様等が殺してきた亡者は……人じゃないのか」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ぃょぅの様を見て、ツンデレは激しく怯える。
そんな彼女を素直クールが優しく抱きかかえる。
(=゚ω゚)ノ「人は無尽蔵ではない食料を搾取し、ゴミを垂れ流す
ただ延々としぶとく生き続け地球を食い潰すだけだ!
化け物まみれならば、せめて地球の資源が奪われる事はないだろう」
(=゚ω゚)ノ「前述の通り、この災害とは業(カルマ)なのさ
人間にとって最も望むべきではない未来を捧げた
これは地球から我々への復讐」
(=゚ω゚)ノ「『悪』であるが故に……」
( ゚∀゚)o彡゜「言いたい事はそれだけか?」
357
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:41:56 ID:0EYVTcQw0
ジョルジュはぃょぅの胸倉を掴み、強引に押し込む。
( ゚∀゚)o彡゜「悪い野郎は死ねばいい
テメェの薄汚ねぇ屁理屈じゃ、俺達のその意思は曲がらねぇ」
鋭い瞳でジョルジュはぃょぅを睨みつける。
(=゚ω゚)ノ「は……はは」
( ^ω^)「……」
このリーゼントの男は怒っていた。
あの男にも似た、強烈な殺気を感じ取る。
川 ゚ -゚)「……あまり口を出す必要はない
四肢をちぎったのも拘束して尋問しているのも、全てはジョルジュの発案だ
君だってアイツが兄貴だったら……きっと同じ真似をしていただろう」
川 ゚ -゚)「大丈夫だ。一応、絶命だけは止める」
358
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:43:21 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「この災害が人類そのものへの業ならよぉ
テメェ自身が犯した業ってのも、あるんじゃねぇのか?」
ジョルジュは階段の方から何かを持ち上げ、ぃょぅに見せる。
(=゚ω゚)ノ「……待て!おい!」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと!あれって!」
ξ゚⊿゚)ξ「患者の……化け物!」
引っ張ってきたのは全身を拘束された、亡者と化した患者だった。
まるで餌を見るかのような視線でぃょぅを睨みつける。
( ゚∀゚)o彡゜「他にいねぇなら、それを与えるのは俺だ」
(=゚ω゚)ノ「ま……待て!はやまるな!
助けてくれ!頼む!」
( ゚∀゚)o彡゜「そう告げた患者の命乞いに
テメェは耳を貸した事があるか?」
359
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:45:10 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「は……はは、なら君は
なら私と同じ真似をする君は」
(=゚ω゚)ノ「私と同類って事じゃないのかい」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュの瞼がピクッピクッと痙攣する。
川 ゚ -゚)「いかん!止めるぞ!」
素直クールが青ざめた表情でそう告げる。
ξ゚⊿゚)ξ「……え?」
リボルバーの銃口がぃょぅに向けられる。
そのジョルジュの様子を見て全員がこう納得する。
こいつ、殺すつもりだ。
360
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:46:47 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「そ、そこまでムキになるのは覚えがあるからだろ!?
モナーの奴が言ってたよ。少し血の気が荒い弟がいるってな
だいたい亡者を利用して拷問を始めるようなガキだぜ」
(=゚ω゚)ノ「やはりモナーと同じ血筋だな」
( ゚∀゚)o彡゜「……黙れ、ゴミ野郎」
ジョルジュはリボルバーの回転式弾倉をグルリと回し、撃鉄を指で引き起こす。
川 ゚ -゚)「ジョルジュ!挑発だ!
少し頭を冷やせ!」
(=゚ω゚)ノ「ぶっ飛ばしていいのかい?
俺はまだ情報を持ってる
間違いなく君たちにとって重要なものだ」
(=゚ω゚)ノ「兄貴(モナー)の現在地」
361
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:48:32 ID:0EYVTcQw0
川 ゚ -゚)「!!」
( ^ω^)「!!」
ξ゚⊿゚)ξ「!!」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
確かにそれは有力な情報だった。
あの殺人鬼、モナーだけは本当に危険人物だ。
川 ゚ -゚)「数時間前に避難所の連中に連絡したが、そういう人物の情報はない
少なくとも避難所は現在安全圏だが……」
( ゚∀゚)o彡゜「延命するための嘘だろ
何で今更そんな話が出てくるんだよ」
(=゚ω゚)ノ「居場所だけじゃない
先ほどまで私はあの男と電話していてね
今後の行動や作戦などはあらかた聞いている」
ぃょぅは体を横に倒し、手持ちの携帯を落とす。
それをジョルジュが拾い開いてみるとロックがかけられており、暗証番号を求められる。
(=゚ω゚)ノ「その携帯には情報がある
連絡の記録も、モナーの電話番号もな」
362
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:50:57 ID:0EYVTcQw0
午後4時39分
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……」
「ショタ……ショタガイル」
「オトコノムスメ!」
ギコは亡者の集まりの中を通り抜け
子供一人が入れる路地裏に潜り込む事で、何とか追手を撒こうとする。
(,,゚Д゚)「うわっ!」
ゴミ箱に衝突し体に生ゴミが付くが、それでも気にせず走り続ける。
一方……
( ´∀`)「……」
――巨漢の追跡者がいた。
「ショタヲオカッ!」
モナーは亡者の顔面を裏拳で破壊し
向こう側から回り込んでギコ猫を追いかける。
363
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:52:14 ID:0EYVTcQw0
(,,゚Д゚)「……」
ギコ猫はモナーの姿がない事に気付く。
回り込んで来るか?
ならば……と思い再び自分の入ってきた方に戻ろうとするが
足に激痛が走った。
(,,゚Д゚)「いっつ!!!」
足に何かが挟まった!!?
ギコ猫は足に激痛を感じ、その場に倒れ込む。
ねずみ取りだった。
あくまで準備が良いというか、本当に天才。
戻る事も前提でモナーは回り込んだのだ。
( ´∀`)「もう動くな!
助からんだろう!?ここまで来たら」
364
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:53:27 ID:0EYVTcQw0
向こう側から人影がこちらに接近してくるのが見える。
まるで死神のようである。
(,,゚Д゚)「はぁ……はぁ……」
僕に何ができる!?
たった今、この状況で
( ´∀`)「……」
モナーがようやく現場に到着し、周囲を見渡すがもぬけの殻になっていた。
逃げたか?……いや
( ´∀`)「まったく」
あからさまだった。
不自然に散乱した生ゴミ。
その横にある、他のゴミ箱とは少し距離が空いているゴミ箱。
365
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:55:15 ID:0EYVTcQw0
当然だった。
ねずみ取りで足を破壊されてるこの状況……
逃げたところで、その距離もたかが知れている。
できる事と言えばせいぜい隠れるくらいの事。
モナーは呆れた様子で拳銃を手に取り、それに向ける。
……が
( ´∀`)「……待てよ、なぜ動かない?
銃口を向けられているのだぞ」
疑心が沸いた。
罠か!?
いや、ひょっとすると銃口を向けられている事自体に気付いていない?
所詮はガキだからか……どうであれ結論を決めるに相応しい行為とは
モナーは引き金を引いた。
366
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:56:59 ID:0EYVTcQw0
発砲音が鳴り響いた。
空薬莢が飛び出し、銃口が天を裂く轟音と共に光り輝く。
ゴミ箱の中央には円形の穴が空く。
( ´∀`)「倒れた?」
よく映画で発砲された人間が後方に吹き飛ぶ描写があるが、事実は違う。
人間には体重があり、例え一斉放火されても吹き飛ぶ事はない。
そしてその音の軽さからしても……
( ´∀`)「……」
モナーの瞼がピクッピクッと痙攣する。
( ´∀`)「……ガキの分際でこの俺を?」
ゴミ箱は倒れ、僅かな生ゴミが散乱する。
ダミーだったのだ。
367
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:57:56 ID:0EYVTcQw0
恐らくは生ゴミをあえて取り出し、入ったように見せかけ
その隙に逃げ出した?
( ´∀`)「キンタマに毛も生えてない小僧がこの私を騙しただと!?」
( ´∀`)「調子に乗るな糞ガキッッ!!!!」
ドス黒い唸り声が路地全体に響き渡る。
モナーは激高し危なっかしいオーラを放ちながら拳銃を連射しまくる。
( ´∀`)「隠れているのか!?逃げ出したか!?
いずれにせよその首を必ず捻り潰してやるぞ!!
何処に逃げたぁあああ!!」
数分後、モナーは近くの建物の中を散策し始める。
一方……
(,,゚Д゚)「ハァ……ハァ……」
368
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 01:59:02 ID:pINmDz5k0
モナー、結構雑っぽいんだな。
369
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 01:59:28 ID:0EYVTcQw0
驚くべき事に、ギコが隠れていたのは隣のゴミ箱だった。
最初は普通にゴミ箱に隠れるつもりだったが、このままでは見つかると危惧し
あえてその隣のゴミ箱に隠れたのだ。
それが生死を分けた。
ギコは足をブルブルと震わせながら、バレないようゆっくりと路地を歩き始める。
……モナーも賢いわけではない。
確かに異常だ。
いくら騙されたとはいえ、それを理由にあれほど激怒するのも気味が悪い。
まずその時点で普通ではない感性を持っている。
だが、そのおかげでモナーの位置を把握しやすい。
言わばそれこそが奴の弱点。
ドス黒い精神故に付け入る事ができる隙。
つまりそれ自体が奴の弱点なのだ。
……とギコは思っていた、数秒前まで
370
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:01:36 ID:0EYVTcQw0
(,,゚Д゚)「ひっ……ひっ」
ギコ猫の後頭部に冷たい物が当たる。
( ´∀`)「茶番に見えたか?その通りだよ」
( ´∀`)「あれは茶番だ」
フェイクだった。
あえてブチキレて建物の中へ入ったフリをして
実のところはギコが姿を現すのを待っていたのだ。
( ´∀`)「ケツの穴の小さいガキが、私を出し抜けるとでも思ったか?
不愉快な奴だな君は」
(,,゚Д゚)「た、たたた助けてください!
おおお願いします」
( ´∀`)「嫌だ」
(,,゚Д゚)「……な、なら」
( ´∀`)「何だ?」
(,,゚Д゚)「逝ってよし」
371
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:03:28 ID:0EYVTcQw0
挑発か?負け惜しみ?
……いや、違う。
その瞳には、何か確信に至る強い意志を携えていた。
たかが一匹のガキとは思えない何か
( ´∀`)「……」
マズい。
モナー自身、その感情が確信に至る根拠などない。
だが・・・・・本能的に何か背筋が凍りつく程の『危機』を感じる。
何故?
直後
ギコは懐から何か液体を取り出し、モナーにぶっかける。
( ´∀`)「なっ……」
あまりに突然だった。
ギコは咄嗟に腕を振り上げ、身を守る体勢をとる。
372
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 02:04:18 ID:RZNRdFRYO
支援
モナー、猫ぐらい見のがしてやれよ
373
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:04:35 ID:0EYVTcQw0
鼻を突く程の強烈な匂い。
これは酸!?
〝( ´∀`)「酸で化け物の動きを止めるだと?
相変わらず見当違いな真似をする連中だな」
トラックに積まれた硫酸の容器を見てそう呟く。〟
――あの時、盗み取っていたのか?
( ´∀`)「ぐぁあああああ!」
袖は異臭を発しながら溶解し、液体の一部が顔にかかった。
あまりの激痛に悶え苦しむモナー。
隙を見てネズミのような速さで逃げ出すギコ。
(,,゚Д゚)「!?」
直後、ギコは目撃する。
モナーが暴れまわる事により、所持していたスマホが地面に落下。
374
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:06:28 ID:0EYVTcQw0
計画……避難所……度々聞き続けたその言葉。
何故か少年は、それがとても大切な物だと感じた。
スマホを素早く奪い取り、路地裏を走り抜ける。
(,,゚Д゚)「……ハァ……ハァ……助かった!
僕は助かった!」
九死に一生!
現状に、これ程相応しい言葉はない!
つい数分前までいじっていたのか、ロックは解除されており
モナーが見ていた画像を見る事ができた。
それは『C-4』と記された何かの図だった。
375
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:07:59 ID:0EYVTcQw0
午後4時43分
(=゚ω゚)ノ「……」
ぃょぅは憔悴しきった表情で、地面を見ていた。
川 ゚ -゚)「言っただろう。この男はすでに羽をもがれた鳥だ
下らん浅知恵の一つや二つでうろたえる必要はない」
( ゚∀゚)o彡゜「……ああ、下らない時間をとってしまって悪かった」
ジョルジュは彼をを害虫を見るような視線で見下す。
( ゚∀゚)o彡゜「それとアンタ、借金取りの才能があるな」
川 ゚ -゚)「褒め言葉とは受け取らないぞ」
素直クールの駆け引きによってぃょぅは全ての情報を曝け出した。
生存者達は急ぎ足で荷造りを行い、出発の準備をし始める。
午後8時、避難所はモナーの手によって爆破される。
――決して許されるべき行為ではない。
そして、知ってしまった以上はやらねばならない事がある。
376
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:09:46 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュは貧乏揺すりをしながら内藤を凝視していた。
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
( ^ω^)「何だお!!」
( ゚∀゚)o彡゜「うおっ!」
思わずジョルジュはわっ!と驚く。
( ^ω^)「お前誰だお!」
377
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:10:49 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「そう言うテメェこそ何もんだよ!」
( ^ω^)「俺は内藤だお!学生だお!」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
語尾が『お』?
ジョルジュはかつてドクオから託された頼み事を思い出す。
( ゚∀゚)o彡゜「……」
( ^ω^)「何か言えお!」
( ゚∀゚)o彡゜「……ドクオって知ってるか?」
( ^ω^)「……」
川 ゚ -゚)「……」
その名を聞き、素直クールと内藤がピクッと反応する。
378
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:13:04 ID:0EYVTcQw0
( ^ω^)「ドクオって、あのニートのドクオかお?」
( ゚∀゚)o彡゜「ああ」
( ^ω^)「母親の事をおかんと呼ぶあのドクオかお?」
( ゚∀゚)o彡゜「ああ」
直後、素直クールと内藤が接近してきた。
急に顔を近づけられたので、ジョルジュは困惑する。
( ^ω^)「何処にいるお!」
川 ゚ -゚)「何処にいるんだ!」
( ^ω^)「ええ!?」
川 ゚ -゚)「!?」
内藤と素直クールは互いにリアクションが被り驚く。
困惑するジョルジュ。
( ゚∀゚)o彡゜「コイツはともかく、何でお前まで?」
ジョルジュは眉を潜めながら、素直クールにそう問う。
川 ゚ -゚)「その人物の姉だからだ」
379
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:15:24 ID:0EYVTcQw0
( ^ω^)「あ……姉!?」
何という偶然だろうか
まさか……ある一人の人物の、友達と家族が偶然出会うとは
川 ゚ -゚)「そうだ
遠征でここ数年間顔を出してなかったからな
……正直、もう会うのは無理だと思っていた」
素直クールは後ろを向き、腕を組みながらそう告げた。
( ゚∀゚)o彡゜「テメェ……家族だろ!そりゃいくら何でも」
川 ゚ -゚)「1人の命より100人の命だ」
素直クールは覚悟を決めた表情で、壁の方を向く。
川 ゚ -゚)「最後に出会ったのは?」
( ゚∀゚)o彡゜「教会だ」
( ^ω^)「教会……」
内藤はドクオやニダーとの思い出が浮かぶ。
380
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:16:42 ID:0EYVTcQw0
( ゚∀゚)o彡゜「避難所へ行くと言っていた
だから嫌でも出会っちまうよ」
川 ゚ -゚)「どの道か……」
( ^ω^)「……」
――内藤は己の拳を見つめていた。
そこにはかつて、警察署で握り締めた事によってできた傷があった。
血は止まっているが、未だ痛みが引く事はない。
それ以上に、警察官に殴られた痛みも残っている。
ぃょぅにやられた胸の痣も、歯も数本抜けている。
自分は決して不死身ではない。
……だが、死ぬまでの間の猶予はある。
それまでにするべき事も知っている。
(´・ω・`)「何つっ立ってんだ?行くぞ」
381
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:17:46 ID:0EYVTcQw0
( ^ω^)「……お?」
ショボンが内藤の背中を叩く。
ξ゚⊿゚)ξ「今更傷口が痛くなってきた?
口が開いてるわよ」
川 ゚ -゚)「裏路地を通っていくぞ
もう化け物を気にしている余裕はない」
(´・ω・`)「化け物対策は?」
川 ゚ -゚)「突っ走れ」
ショボンは首を鳴らしながら、呆れたように手をグッドの形にした。
( ゚∀゚)o彡゜「コイツは?」
ジョルジュはぃょぅが持っていたアタッシュケースを手に取る。
382
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:19:02 ID:0EYVTcQw0
川 ゚ -゚)「……その中には、知能を持ったまま化け物になれる薬品が入ってるらしい
腐っても医者としては画期的な発明と言える」
ξ゚⊿゚)ξ「もしかしたらそれで化け物から人間に戻せたり……とか」
川 ゚ -゚)「これは専門家の視線で物を言うべきだが、可能かもしれないな」
ξ゚⊿゚)ξ「やったぁ!これ絶対避難所に持って行こう!
私が……」
( ゚∀゚)o彡゜「いや、俺が持つぜ」
ジョルジュがアタッシュケースを素早く掴む。
( ゚∀゚)o彡゜「重い物を持つのは男の役目だぜ
可愛いお嬢様が持つもんじゃねぇ」
ξ゚⊿゚)ξ「べ、別に嬉しくなんかないんだからね!」
(´・ω・`)「今更ツンデレ面するな!
いいから行くぞ!」
( ^ω^)「……」
一方、内藤は無表情でぃょぅを凝視していた。
383
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:20:17 ID:0EYVTcQw0
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)o彡゜「やめときな、コイツに情をかける必要なんざねぇよ」
( ^ω^)「違うお」
( ゚∀゚)o彡゜「じゃあ何でジロジロ見てんだ?」
( ^ω^)「……何でもないお、哀れだと思って」
( ゚∀゚)o彡゜「……?」
ジョルジュは内藤の普通すぎる発言に対応しきれず、無言になる。
そうこうしているうちに素直クール達は窓から出て裏庭を歩いていた。
川 ゚ -゚)「ショボン」
(´・ω・`)「んだよ」
川 ゚ -゚)「本当に戦うべき相手はいる
確かにソイツがそうである事に変わりはないが……」
川 ゚ -゚)「思えば避難所にいたな
もう一人の『悪』が」
(´・ω・`)「……だがまずはモナーだよ
アイツ以上に危険な奴もいない」
384
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:21:41 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「……」
――暗闇の受付の前の椅子に座り、一人ポッツリと佇むぃょぅ。
何を考えるわけでもない。
ただ、無言で前方を見続ける。
(=゚ω゚)ノ「……?」
気がつけば身の回りは化け物まみれになっていた。
(=゚ω゚)ノ「……ははっはははは」
化け物に全身を貪られるぃょぅ。
しかし痛みは感じない、恐怖も沸かない。
……やがて
腐食と肉体の欠損によって首が取れ、床に落ちる。
385
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:23:11 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「……」
もはや声すら出せない。
それでもぃょぅは死ぬ事なく、無表情で居続ける。
もう死なせてくれ……
ぃょぅがそう思ったその時
(=゚ω゚)ノ「!!!??」
目前に巨大な肥満体質の化け物が立っていた。
排便中に発症したのか、下半身は裸だった。
……まさか
386
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:25:45 ID:0EYVTcQw0
(=゚ω゚)ノ「!!!??」
化け物のケツの穴が段々広がっていく。
暴れるぃょぅ……しかし頭部だけでは移動などできるわけもない。
やめろ!その汚らしい物を出すな!
頼む!やめてくれ!
(=゚ω゚)ノ「!!!??……!!!」
死より恐ろしいものはない。
そう考えていたぃょぅだったが、どうやら間違いだったらしい。
嗅覚と視覚、触覚が残っていた。
だからこそ全てを1秒1秒を濃厚に味わう事ができた。
(=゚ω゚)ノ「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ブリッメチャッブリリリリリリ
ベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャ
己が不死である事を呪った。
永久汚物地獄の始まりである。
387
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:28:01 ID:0EYVTcQw0
午後6時00分
「以上を持ちましてVIP小学校避難所、収容限界人数を超えました
これより市長様より説明会を開始致します」
('A`)「……市長?」
J( 'ー`)し「何で知らないのよ
もう4年もこの町の市長やってる人なのに」
二人はVIP小学校避難所の体育館の中にいた。
館内は老若男女様々な市民がギュウギュウに敷き詰められていた。
数にして1000は超えているだろうか、ガヤガヤと騒ぐ音がうるさい。
そんな中、複数の自衛隊員に守られた一人の男性が姿を現す。
( ゚ー゚)「えー……この度は、人類全土の危機に及ぶ大規模な生物災害が発生し
この壊滅的なダメージを及ぼしている、この悲惨な状況に深く心を痛めています」
それは純白のスーツを身に纏う
オールバックの清楚な外見の男だった。
( ゚ー゚)「しかし、現時点では発症者を留置できるだけの設備もございません
皆様を一人でも多くこの施設に避難させる事が精一杯であるのが現状でございます」
( ゚ー゚)「食糧、飲料水、燃料などの不足により、極めて苦しい避難生活を余儀なくされますが
状況が少しでも好転し、人々の復興への希望につながっていく事を願います」
388
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:30:18 ID:0EYVTcQw0
( ゚ー゚)「私もVIP市の市長エイブラムス岡田として15年もの間、皆様と共に暮らしてきました
土地に生きる方々に対し、感謝の気持ちを忘れた事はありません!」
( ゚ー゚)「この市の長として救助に専念する事を誓います
やがては各地の避難所を軸に少しずつ安全地帯を拡散し
皆様と共にそれぞれの地域の復興の道のりを、歩んでいく所存でございます!」
直後、館内は拍手喝采に包まれた。
('A`)「……」
J( 'ー`)し「どうしたの?うかない顔して」
ドクオは気づいていた。
拍手をする市民はそれぞれが苦難を経験し、顔が汚れ傷を負っているが
市長は新品の綺麗なスーツに身を包み、ワックスをかけたサッパリしたオールバック。
そして、まるで人形のようにに無機質な笑顔であった事を……
次回第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』
To Be Continued……
389
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:36:31 ID:0EYVTcQw0
第9話『ハルマゲドンまで』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、支援をして頂いた方、どうもありがとうございました( ^ω^)
次回は第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』です。
10〜13話は最終章の避難所編となります。
次回の投下は今週の土曜日or来週以降となります。
390
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/22(水) 02:45:00 ID:0EYVTcQw0
なお、次回からオリジナルAAが二人登場します。
( ゚ー゚) エイブラムス岡田
避難所を統制する市長です。
2種類の表情を持つキャラであり
( ゚−゚)
( ゚ー゚)
の二つの表情を持っており、素性は後々明らかとなります。
また、もう一人のオリジナルAAは次回にて
391
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 02:47:28 ID:RZNRdFRYO
あと三話か、書き上がってるみたいだし
あとは投下時間の確保だけか、期待して待ってる
392
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 03:24:22 ID:pINmDz5k0
ぃょぅ哀れ…
393
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 07:16:11 ID:l5DYl4yE0
お疲れさま
394
:
名も無きAAのようです
:2012/08/22(水) 23:43:51 ID:2MCoM.3QO
ぃょぅ……
395
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:42:34 ID:C7bQuIEg0
これより第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』を投下します。
恐らく今後は週1〜2のペースになってしまうかもです(;^ω^)
土曜日を予定していたのですが、遅くなってすみません
396
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:44:49 ID:C7bQuIEg0
この世界は心地が良い。
君達とて、私がそういう人物である事は理解しているだろう。
そして君達もまた、己の私欲のために人を蹂躙する事を躊躇わない。
……だからこそ望まない者がいる。
それが大多数である事も世の中の性だ。
命を永らえるため地を這う蛆虫共は互い寄り添い、世界を再建させようとする。
実現するか否かは定かではないとして、連中の頭の中には必ずと言っていい程それが根付いている。
それを利用する者もまたいる。
397
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:46:23 ID:C7bQuIEg0
傷ついた生存者を蛭のように寄生し血を吸い、自分はあたかも英雄であるかのように振舞う。
その内心は傷ついた民をあざ笑い酒の肴にする下衆野郎。
彼は最新兵器を武装した兵士に守られ、誰よりも安全な地位に居続ける。
……しかし、良かれ悪かれソイツがいる事によって世界は再建されていく。
無論今に始まった事ではなく、何時の時代もそのような者はいた。
下らん気休めの幻想など見せず、再建などさせはしない。
蛆虫は蛆虫らしく地を這えばいい。
避難所を破壊すれば再建の夢は途絶える。
下らん歴史を増やさぬために、私は全身全霊を注ぐ。
(,,゚Д゚)「……ヤバい」
それはモナーのスマホのメール履歴にあった、ぃょぅと他数名へ送られた本文だった。
自分に何ができるか?
ギコはそんな葛藤に苦しみながら、街中を走り続ける。
第10話『賢者たちは神の御座の前でお辞儀をして』
398
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:48:12 ID:C7bQuIEg0
午後6時10分
起爆まで残り1時間50分
( ゚−゚)「フンッ……屑共が
まるでスラム街はじゃないか
これでは人に品性を求めるなど、絶望的だ」
体育館裏の放送室。
エイブラムス岡田は楽にした様子で座り込んでいた。。
先ほどまで愛想笑いをしていた口元は戻り、無表情となる。
「市長殿、良い演説でありました」
護衛兵が敬礼をする。
( ゚−゚)「あんなものが良い演説だと?
それらしい肩書きを並べただけではないか
馬鹿共には丁度いい目くらましだ」
( ゚−゚)「……ところで、食料の配備はどうなっている?」
「しょ、食料でございますか?
全ての非常食を含めて倉庫一つ分しかございませんが」
399
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:49:43 ID:C7bQuIEg0
( ゚−゚)「あれだけの市民を収容してるんだ
すぐに底が尽きるぞ
国からの援助も期待できん」
「……しかし」
( ゚−゚)「何処から食料を調達するのか?
とでも言いたげな顔だな」
( ゚−゚)「そこらのスーパーから奪い取れ
可能なら業務スーパーの方が良いが……
最悪住宅地に侵入してもかまわん
その際に遭遇した反抗的意思を持つ暴徒は全て射殺しろ」
「畏まりました!……が、もし救助を要請する生存者と遭遇しましたら?」
( ゚−゚)「この避難所は校舎、体育館、全ての収容数が限界に達している
それをわかって言っているんだろうな?」
400
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:51:24 ID:C7bQuIEg0
「……」
護衛兵は苦い表情で敬礼をした。
( ゚−゚)「非感染者も含めて、全て感染者と診断して収容を拒否しろ
今この避難所の周囲にに屯っている生存者も全員な
抵抗する場合は発砲も許可する」
「了解致しました」
護衛兵は怒りを隠せぬ様子で放送室を出て行く。
( ゚−゚)「政治の根本的な柱が崩壊した今や、この世を統治できるは野心のみ
屑共を利用し名誉を得れば……この地位をのし上がる事すらできる」
( ゚ー゚)「……いい時代がやってきたものだな」
市長は頬杖をつき、不敵な笑みを浮かべてそう呟く。
401
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:53:43 ID:C7bQuIEg0
午後6時5分
起爆まで残り1時間55分
「お願いします!収容してください!」
「子供が!子供だけでも!」
(,,゚Д゚)「……」
やっとの思いでギコが到着した時、避難所の周辺は修羅場となっていた。
VIP小学校全体は要塞のように巨大な塀で覆われており
その下にはボロボロの市民が屯っていた。
「立ち退けと言ったはずだ!射殺するぞ!」
見張り塔には自衛隊が立っており、銃を市民に向けている。
「君達は感染者だ!この建物の中に入れるわけにはいかない!」
「嘘です!この子は噛まれてないんですよ!
感染してるわけないじゃないですか!
……だったらせめてもう一度診断を!」
「黙れ!我が子を案じるなら他へ行け!
とにかく無理だ!立ち去れ!」
直後、一人の男性がロープで塀を登り始める。
402
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:55:21 ID:C7bQuIEg0
「やめろ!撃つぞ!」
(,,゚Д゚)「ちょっ!」
直後、発砲音が鳴り響いた。
男性は落下し、呻き声をあげながら苦しむ。
その様を見て怯える市民達。
(,,゚Д゚)「……」
駄目だった。
様子を見た限りでは避難所の収容は限界。
これでは事を伝える以前に、建物の中に入る事すらできない。
「イソゲー!」」
「マツリダ!マツリダ!」
「ヒサビサニウデガナルゼ!」
音を駆けつけて大量に沸いてくる化け物達。
市民はやむ終えなく、一目散に逃げていく。
403
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 03:58:04 ID:C7bQuIEg0
焦るギコ。
やはり自分も逃げるしかないか?
そう思った時……
塀の下に小さな通り道があった。
誰かがコッソリ掘ったのか?
幸い自衛隊員は化け物に夢中で、ギコはそこを潜り抜ける。
しかし、その姿を双眼鏡で確認する者はいた。
川 ゚ -゚)「……子供?」
404
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:00:12 ID:C7bQuIEg0
――避難所の隣の建物には内藤達の姿があった。
元々塾として機能していたのか、複数の机が乱立しており
正面にはホワイトボードが立ててありそこにショボンが立っていた。
(´・ω・`)「どうした?」
川 ゚ -゚)「……いや、子供が避難所に侵入していた
なかなか着眼点の鋭い子だな、塀の下を潜って」
素直クールは見張りの自衛隊員に悟られぬよう、窓から身を伏せる。
(´・ω・`)「その避難所も数時間後には爆破される
辛い話だが、俺達がどうにかしなければソイツも犠牲者のうちだな」
川 ゚ -゚)「だからこそ、私達はそれを防がなければならない
ジョルジュだったか?そうやってヘソを曲げていても疲れるだけだぞ」
( ゚∀゚)o彡゜「うるせぇな」
ジョルジュは足を組み、机に足を乗せて不良のように座っていた。
( ゚∀゚)o彡゜「俺はあの糞野郎を殺したいだけなんだよ
下らん茶番に付き合うつもりはねぇ」
405
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:01:44 ID:C7bQuIEg0
ξ゚⊿゚)ξ「そのわりには座ってるね」
( ゚∀゚)o彡゜「べ、別にそんなつもりじゃねぇよ!
俺は休憩としてここにだな」
ξ゚⊿゚)ξ「(……ツンデレだなぁ)」
川 ゚ -゚)「まぁいい、どの道時間もないし好きにしてくれ
ショボン解説を頼む」
(´・ω・`)「まず爆弾の設置数について説明するが……
種類はC-4、アメリカ軍を始め世界的に使用されている軍用のプラスチック爆薬の一種だ
コイツが校舎に3箇所、体育館に3箇所仕掛けてある
いずれも屋上や地下の柱に仕掛けており、意識をしなければ早々見つかるような場所じゃない」
(´・ω・`)「すると……選択肢は『逃がす』か『解除する』かの二択しかないだろうな」
(´・ω・`)「『逃がす』という選択肢は、一見最適のように感じるが駄目だな
説得するまでに時間がかかんだろうし、どの道避難所は破壊される
柵が崩壊する事によって、なおかつその音によって化け物が押し寄せ
恐らくはグランドに避難したであろう生存者達は逃げ場を失い殺される」
406
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:03:21 ID:C7bQuIEg0
(´・ω・`)「次に『解除する』という選択肢
一見無謀だろと思うだろうが、決して不可能でもねぇ
爆弾は液体窒素によって凍結させれば機能停止にはできる」
( ゚∀゚)o彡゜「爆弾よっては対冷却システムが付いている装置もあるぜ」
(´・ω・`)「まぁな……最近の起爆装置はそれがよく採用されてるが
それで俺達も懸念して『逃がす』事を優先していたが」
ショボンは懐から何やら器具を取り出す。
(´・ω・`)「ぃょぅから起爆装置の余りを奪った、サンプルだよ」
それはよく映画で見るような、配線に覆われた爆弾だった。
(´・ω・`)「このタイプは機械式のタイマーで、液体窒素をかけると内部のオイルが凍る
その結果……カウントダウンが停止し一時的な解除が可能となる」
(´・ω・`)「凍結するだけだが、十分な時間が得られる
そこからのの解体作業は俺と素直クールがやる」
407
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:05:08 ID:C7bQuIEg0
ξ゚⊿゚)ξ「液体窒素は何処にあるの?」
(´・ω・`)「病院で治療用の液体窒素を頂戴したよ」
そう告げ、ショボンは巨大な容器を取り出す。
(´・ω・`)「−196℃の液体だから管理は非常に大変だぜ
僅かなら肌にかかると体温で蒸発するが、流石に量が多いと凍傷になる
あと、布に染み込むと固まってもっと酷い凍傷になるので布手袋を控える事
別の容器に移し替えたりもするなよ。温度で容器が割れてしまう」
彼はそう告げ、皆に皮手袋と専用の容器を配布する。
(´・ω・`)「床に落とす等でこぼしてしまったらその時点でアウトだからな
地面の温度で蒸発して消滅するから、またこの容器から汲まないと駄目だ」
本来ならば学生に使わすべきはないシロモノだが、これも緊急時だからの事」
ξ゚⊿゚)ξ「避難所の人々に協力してもらうのは?
中には医者みたいな管理に長けた人もいるだろうし……」
川 ゚ -゚)「その生存者の大半は嘘の噂を流され、現状も理解できないパニック状態でいる
我々の話を信用させるのは容易くはない
そんな時間も今は惜しい」
408
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:06:45 ID:C7bQuIEg0
(´・ω・`)「まぁな
しかしそれは赤の他人だったら、という話だ
……内藤」
シャキンは真剣な表情で内藤を凝視する。
(´・ω・`)「ドクオとか言う奴、使えるか?」
( ^ω^)「……」
川 ゚ -゚)「……」
考え込む内藤を素直クールが凝視する。
( ^ω^)「馬鹿だお、使えないお」
(´・ω・`)「!!」
川 ゚ -゚)「!!」
ξ゚⊿゚)ξ「!!」
( ゚∀゚)o彡゜「……!!」
(´・ω・`)「そ、そうか」
409
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:08:45 ID:C7bQuIEg0
( ^ω^)「でも悪い奴じゃないお
俺が言った事もすぐ信じると思う」
(´・ω・`)「悪い奴じゃねぇなら無問題(モーマンタイ)だな
足を引っ張らせない程度に使ってやれ
……次に配分だが」
ショボンは内藤、ツンデレに無線を渡す。
(´・ω・`)「ここのスイッチを押せば送信に切り替わる。
何かあったら俺達に連絡しろ
最悪『避難』の先導を行うから、可能な限り早くな」
ξ゚⊿゚)ξ「……わかりました」
(´・ω・`)「これは地図だ。設置されてある全ての爆弾が記されている
万が一……見つからなかったり、あるいは」
ショボンは二人に爆弾サンプルの写真を渡す。
(´・ω・`)「ほんの僅かでもこれと形状が違っていたら教えろ
まずはないと思うが、温度センサーで起爆するタイプなら」
(´・ω・`)「ドカンだ」
410
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:10:46 ID:C7bQuIEg0
それを聞き、二人は青ざめた。
(´・ω・`)「……それも念のためだよ
ぃょぅは経費と時間の問題から、簡素な爆弾しか作れなかったと聞く
一応、校舎は俺一人、体育館は素直クールと内藤とツンデレで頑張ってもらいたい」
( ^ω^)「だ、大丈夫なのかお」
(´・ω・`)「心配いらねぇよ、実践経験はある」
(´・ω・`)「ちなみに素直クールはあくまでお前達のアシストだ
全ての爆弾を見て『解除可能』か否かを診断するだけ
彼女には別の仕事があるからな」
(´・ω・`)「恐らく避難所の中にはモナーの協力者がいるようだ
邪魔されるとも限らない、それを見つけるのが素直クールの役目」
(´・ω・`)「……以上かな
とにかく時間がない、すぐに液体窒素をくばろう」
411
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 04:11:29 ID:MvMhW1aQO
なんという時間に!
まあ、待ってはいたんだが
それにしてもなんという正直者だ、( ^ω^)さん
412
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:12:12 ID:C7bQuIEg0
ショボンは液体窒素のボトルの蓋を開けた。
中からはモワモワと蒸気が溢れ出ている。
(´・ω・`)「流石にこれを運ぶのは無理だからな
避難所内の砂場にでも隠しておこう
見張りが何人かいるだろうが、そこは機転を利かしてな」
ξ゚⊿゚)ξ「私達にできるかな……こんな事」
( ^ω^)「やるしかないんだお
俺達がやらなけりゃ、犠牲者は増えるだけだから」
内藤は勇ましい表情で皮手袋を手に付けた。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンデレはそんな様を見て、ちょっと頬が赤くなる。
( ゚∀゚)o彡゜「モナーはどうする?」
413
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:14:40 ID:C7bQuIEg0
ξ゚⊿゚)ξ「……?」
( ^ω^)「……?」
( ゚∀゚)o彡゜「アイツは来るぜ
今回の避難所爆破に関してはかなりの執着がある」
川 ゚ -゚)「……わかっている」
( ゚∀゚)o彡゜「なら何故対策をしねぇんだ
ボケちまったのか?あ?」
(´・ω・`)「相手をするだけ無駄だ
強いて言うなら、正面入り口を完全封鎖するくらいだろう」
( ゚∀゚)o彡゜「それじゃあ駄目だな
アイツなら自衛隊員の生首でも使って侵入してくる」
(´・ω・`)「じゃあどうするつもりだ?
そんな言い合いをしている時間が惜しいが」
( ゚∀゚)o彡゜「俺が殺る」
414
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:16:16 ID:C7bQuIEg0
午後6時12分
起爆まで残り1時間48分
(,,゚Д゚)「……ハァ……ハァ」
ギコは藪から帽に裏庭を走っていた。
何処へ行けばいいのかわからない。
VIP小学校はまるで要塞のように変貌しており、人一人歩いてはいない。
ギコは緊急用に設置された見張り塔に注意しつつも慎重に進んでいた。
(,,゚Д゚)「……と、とにかく!」
少年は校舎の中へと入ろうとした。
……直後
「動くな!」
(,,゚Д゚)「!!!」
向かいの角を曲がった瞬間、ギコは護衛兵に銃口を向けられた。
415
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:17:44 ID:C7bQuIEg0
「ここで何をしている!」
(,,゚Д゚)「えっと……あの……トイレを」
本物のアサルトライフルの銃口がギコに向けられる。
「……コイツ」
入所を許可された避難民には医師公認の非感染者バッチが付けられる。
〝( ゚−゚)「無許可で侵入した者、外を放浪する者、バッチを付けない者は射殺しろ
僅かな規律の乱れが避難所の崩壊を招く」〟
――かつて護衛兵はエイブラムスにそう言われていた。
コイツは侵入者。
一目見ただけでわかる。
妙に砂が付いた胸元で……
恐らくは塀の下を潜ってきたのだろう。
416
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:19:36 ID:C7bQuIEg0
「トイレだと!避難所の中にあるだろう!
何故バッチを外している!」
(,,゚Д゚)「バッチ!?」
ギコはそんな物知る良しもない。
頭の中がヤバいの一言でいっぱいになる。
(,,゚Д゚)「……え、ああ」
「答えろ!何故だ!」
(,,゚Д゚)「……」
下手な嘘は自分を苦しめるだけ
幼いギコでもそれくらいの事は理解できた。
(,,゚Д゚)「大変なんです……」
「……?」
ギコは突然護衛兵に泣きついた。
(,,゚Д゚)「大変なんです!
爆弾が!……この避難所に!」
417
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:21:15 ID:C7bQuIEg0
「……え?」
護衛兵は唖然となる。
(,,゚Д゚)「モナーっていうとんでもなく悪い奴が!
この避難所の人達を……皆殺しにするつもりなんです」
「……モナー?」
護衛兵はその男の名を知っていた。
現在、町内の自衛隊員のほぼ全てが市長エイブラムスの指揮で動いている。
その中の数人の兵士が市長の護衛としての任務を行っていた。
※素直クール達もその一隊だが、彼らは指示を無視して独断で行動。
「……」
この護衛兵もまた、モナーを知る自衛隊員の一人だった。
故に……
何故知っているのか
418
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:23:40 ID:C7bQuIEg0
モナーという人物の名は彼らの間ではタブー視されており
災厄を招く人物の象徴として知られていた。
(,,゚Д゚)「何ならこれ見てください!」
ギコは汗だくになりながら、護衛兵にスマホを渡す。
個人プロフィールはデタラメが多いが……
(モナーは指名手配されていたため、偽の個人情報でスマホを入手)
メールの内容を読んでみると爆弾の名前や設計図や設置など
それは明らかに小学生が嘘を演じれるレベルを超えていた。
「う、奪ったのか?」
(,,゚Д゚)「そうです!早く!早く解除しないと」
「……」
護衛兵は考え込む。
419
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:25:29 ID:C7bQuIEg0
彼は兵士としての己の存在意義に、疑問を感じていた。
自衛隊員とは国を守るための最終機関。
我々がすべき事は無傷の市長のお守りではない。
あの男の、命の尊厳を遵守しない指令で動く事が役目ではない。
「……」
それに比べれば、この少年の行動はどれだけ勇敢だろうか
あくまで事実と仮定するならば、誰よりもこの国を守ろうとしている。
(,,゚Д゚)「本当なんだよ!信じてよ!頼むよ!」
「……いいだろう」
護衛兵は真剣な表情でそう告げた。
420
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:28:18 ID:C7bQuIEg0
「そのスマホを貸してくれ
上層部にこれを伝え、君の意思を受け継ぎ検討してみよう」
(,,゚Д゚)「あ、ありがとうございます!」
護衛兵はスマホを手に持ち、エイブラムスの元へ向かい始める。
( ゚−゚)「君も地に堕ちたものだな
爆弾だと?フザけるのも大概にしろ」
校舎の職員室にはエイブラムスの姿があった。
「ですが!一度検証をしてみるだけでも!」
護衛兵は足を揃えキリッとした姿勢でそう告げた。
( ゚−゚)「言ったはずだろう、災害は人の心に不安を及ぼす
だからこそ根も歯もない噂が湧き出るのものだ
いちいち相手にしていてはキリがない
その労力があるなら食料と医療器具を調達しにいけ」
421
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:30:00 ID:C7bQuIEg0
「……言葉だけの木偶の坊が」
( ゚−゚)「何か言ったか?」
「いえ、失礼致します」
兵士はそう告げ、職員室を出て行く。
( ゚−゚)「……フンッ」
エイブラムスは考える。
その話が事実か否かとしても、自分自身が不利になる事はない。
公の事実などいくらでも覆す方法はある。
逆に……これを利用する事もできるだろう。
私はただ悲劇の主人公を演じていればいい。
正直な話、数千人もの重荷を背負うのはハイリスクでもある。
422
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:31:56 ID:C7bQuIEg0
皆殺し、というのも悪くはあるまい
( ゚−゚)「問題は……だな」
エイブラムスは、机に置いてある蛆の沸く腐ったリンゴを見つけ
それを片手で掴みゴミ箱に放り込む。
( ゚−゚)「……二人のユダか」
リンゴはグシャリと潰れた。
無数の蛆虫が溢れ出し腐食した果汁に執着し
ひたすら食い荒らし続ける。
そこからはみ出た二つの種。
蛆虫は囲んでそれを貪ろうとしていた。
423
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:33:10 ID:C7bQuIEg0
午後6時20分
起爆まで残り1時間40分
――どいつもこいつも生意気な屑ばかり
邪魔をするな!雑魚がイキがるな!
私程優れた者はいない!
(#‰∀`)「ハァ……ハァ……」
顔を抑えながら路上を歩く一人の巨漢の男性。
地面の死体に沸く蛆虫を、プチュプチュと音をたてて潰していく。
その姿にかつての威厳はなかった。
硫酸をかけられた事により顔の半分は爛れ、醜い姿と化していた。
「おい!もうすぐ避難所だ!」
424
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:34:26 ID:C7bQuIEg0
「心配いらねぇっの!俺達ぁ無傷なんだぜ?」
「……おい」
目の前を通り過ぎる若者達が、モナーの存在に気づいた。
「何だあれ?化け物じゃないよな」
引きずり過ぎてボロボロとなったアタッシュケース。
それを大事そうに持ち、顔を抱えて歩く姿は極めて異端だった。
「おお、火傷してんのかな……あの顔は」
「気持ち悪りぃ何だコイツ、顔が水ぶくれになってんじゃん」
「あれじゃあもう終わりじゃね?」
若者の一人がモナーの目前に接近した。
「何してんだよ!化け物が来ちまうぞ!」
「……まぁ待ちなって」
425
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:36:58 ID:C7bQuIEg0
「何してんのアンタ?」
一人の若者が、腰に手を当ててそう問う。
(#‰∀`)「ハァ……ハァ……」
「答えてよ、どうしたのその顔?」
モナーは無視して通り過ぎようとするが、若者は彼を足を思い切り踏んだ。
「そのアタッシュケースさぁ、札束や金品がはみ出てんだよね
こんな時に普通お金なんてそんなに持つ余裕ないよね」
(#‰∀`)「ハァ……ハァ……」
モナーは苦しそうな顔で若者を凝視する。
直後
若者はモナーを蹴り飛ばした。
「どう考えても火事場泥棒じゃんてめぇ!
何!?どうせその火傷も欲に負けちまったからだろ!
薄汚ねぇ面汚しが!ぶっ殺してやる!」
426
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:38:12 ID:C7bQuIEg0
(#‰∀`)「ぐっ!」
「金より今は自分の命だろ!
アンタ馬鹿じゃねぇの!?」
「おい!」
「ははは、制裁タイム!けどよぉ化け物来たら俺達逃げるからな!」
「はぁ!?ちょっとくらい待てっての
俺はコイツに正義の鉄拳をだな」
(#‰∀`)「……」
状況が状況故、治安は必然的に悪化する。
抑止されてきた暴力衝動は開放され、必然的にこのような事態を招く。
『正義』という大儀名分があればなおさらの事
かの邪悪の象徴であるモナーでさえ、その力は……
維持され続ける。
「……え?」
蹴りをぶち込んだ若者は、何故か足を降ろした瞬間に倒れ込む。
427
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:40:07 ID:C7bQuIEg0
「折れてる!折れてるって!」
「180度ひん曲がってる!ありえねぇ!」
(#‰∀`)「何なんだ貴様等は……愚図風情が
何故弱いくせに邪魔立てばかり」
モナーは決して堪えている様子はなく、当たり前のように立ち上がった。
「嘘だろ……」
半ばパニック状態になる中……
若者の中には洞察力に優れた者もいた。
――彼は気づいてた。
蹴飛ばされた瞬間、瞬時に若者の足をへし折った事
そして、自分達が間違いなく殺される事を
428
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:42:09 ID:C7bQuIEg0
(#‰∀`)「……」
……数分後
疵面(スカーフェイス)モナーは無表情で路上に立っていた。
周囲には目玉を抜かれた若者の死体があり
そのどれもの関節が不自然な方向にひん曲がっていた。
(#‰∀`)「……痛みが引かん
不愉快だ、不愉快すぎる、不愉快極まりない」
(#‰∀`)「そしてまた不愉快な奴」
「ビコーズ!デミタス!ミッドガルド!セントジョーンズ!」
警察官、主婦、オタク等……
2、3匹の化け物がモナーを察知し、襲い掛かってくる。
429
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:43:57 ID:C7bQuIEg0
しかし彼は何故か反撃体勢をとらない。
……何故なら
光が放たれた。
無数の裂けた顔面、歪なデスマスクが舞い散り
モナーはそれを軽々と避けた。
化け物達は顔を失い、血を噴出しながら次々と倒れていく
まるで魔法のような光景。
そんな中、モナーはその正体を悟る。
(#‰∀`)「……ピアノ線に刃物を通し、足が触れたと同時に落下
しかし夕方なだけに、光の反射で見えてしまうのが減点だな
罪人と言えばギロチンという発想も極めて安易
40点というところかな」
(#‰∀`)「ジョルジュ」
430
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 04:44:48 ID:MvMhW1aQO
支援
モナー、手傷負ってるのに強いな
431
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:46:01 ID:C7bQuIEg0
モナーは顔を抑えながら、一歩一歩踏め締めていく。
その前方の建物の角に潜む男が一人……
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュ長岡だった。
彼はプールから上がった後のように汗だくであり
親指の爪を噛みながら酷く動揺した様子でしゃがみ込んでいた。
(#‰∀`)「どうしたんだい?何故逃げたんだい?
お兄さんは悲しいな」
( ゚∀゚)o彡゜「……うるせぇ殺人鬼」
〝「やはりお前は我々と同じ血筋だよ
欲に駆られやがては共食いを始める」
「心配するな、私は誰にも狩られない」
「世界を……ナメるなよモナー
奴らは時として……何よりも邪悪な決断を下す」〟
432
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:47:46 ID:C7bQuIEg0
〝「何で親父を殺した!」
「あんな屑に情を抱くのか?」
「黙れ!お前なんか兄さんじゃない!
悪魔だ!殺人鬼だ!」
「……心配するなジョルジュ
ヨハネの黙示録によれば、最後の審判の日はそう遠くはないらしい
いずれ力のみがこの世を支配する時代が来る
もはや人を殺す事が罪深く、愚かである事もなくなるだろう」
「兄さん……俺はアンタを殺すよ
肉親だからこそわかる!アンタは生きてはいけない人間だ!」
「楽しみにしているよ」〟
( ゚∀゚)o彡゜「……」
ジョルジュは怖くて仕方なかった。
今すぐここから逃げ出したかった。
手の震えが止まらない、吐き気も、背筋の震えも……
433
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:49:25 ID:C7bQuIEg0
〝「武器をあげよう。技術も教えてあげよう
お前は私の弟だ、よく育ちよく強くなる」
「私を殺しにきなさい。闇討ちでもいい、暗殺でもいい
毒殺でも乗り物や爆弾を使ってもいい
いい兄貴だろう?お前が一人前になるためなら何だってやるさ」〟
( ゚∀゚)o彡゜「……にげねぇよ」
ジョルジュは苦い表情でリボルバーを構えた。
( ゚∀゚)o彡゜「俺個人の意思なら怖いさ……だが
俺にゃあダチがいる!約束事がある!
守りたい人達がいる!」
(#‰∀`)「負け試合と知っていてか?
お兄さん、お前を馬鹿に育てた覚えはないが」
( ゚∀゚)o彡゜「だがよぉ……俺が手を引けば、避難所の人々はどうなる!」
(#‰∀`)「殺すよ、どうせ爆弾を邪魔する連中も山ほどいるだろうからなぁ」
434
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:52:05 ID:C7bQuIEg0
( ゚∀゚)o彡゜「それが駄目なんだよぉおお!
だから……テメェの命を貰い受けるしかねぇんだぁ!」
ジョルジュを意を決し、顔を出して拳銃を強く握った。
( ゚∀゚)o彡゜「ぶっ殺す!」
(#‰∀`)「……」
その時、モナーはジョルジュから覇気を感じとった。
その確固たる瞳は何処か……あの時とギコと同じ感覚がした。
〝( ゚−゚)「君はあのモナーと同じ血筋らしいな
ならば私が導いてやろう」〟
435
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/29(水) 04:54:36 ID:C7bQuIEg0
午後6時20分
起爆まで残り1時間40分
〝(´・ω・`)「お前に自衛隊の服を与える
まずドクオを探しても良い、その格好ならバッチの枷は外れる」
(´・ω・`)「怪しまれる事に関して心配はするな
どの道避難所は生存者でごった返してる
……ただし、最大10分
これ以上かかるようなら冷却に専念しろ」〟
避難所の体育館。
そこには自衛隊員の格好をした内藤が入り口におり、足を止めていた。
何故なら……
(,,゚Д゚)「皆さん逃げてください!
この避難所には爆弾が仕掛けられています!」
( ^ω^)「……どういう事だお」
予想だにしない事態。
ステージにはギコの姿があり、マイクでハッキリとそう訴えていた。
同じく、動揺する内藤の数十メートル先の距離に……
('A`)「何だあれ」
J( 'ー`)し「変わった子ね」
次回第11話『彼の足元に彼らはかぶっていた金の王冠を置くだろう』
To Be Continued……
436
:
名も無きAAのようです
:2012/08/29(水) 05:13:09 ID:MvMhW1aQO
あと二話で終わりか、どんな結末か気になる
投下乙かれでした
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