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( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです
137
:
名も無きAAのようです
:2012/08/03(金) 02:29:44 ID:cqILONjs0
乙!
こういうアウトブレイク系の話は妄想が膨らんでワクワクする
138
:
名も無きAAのようです
:2012/08/03(金) 02:37:40 ID:GvZkqNUwC
そういえば昔のゾンビ映画で内臓だけになっても活動するタイプがあったな
139
:
名も無きAAのようです
:2012/08/03(金) 10:49:48 ID:YVeDS0KY0
うひひひ楽しませてもらってるでゲスよwww
140
:
名も無きAAのようです
:2012/08/04(土) 00:06:34 ID:vAX6bEhUO
乙乙
生命力はバタリアンで、後はアイ アム ヒーローのゾンビって感じだな
141
:
名も無きAAのようです
:2012/08/04(土) 01:49:27 ID:4nA2iBPA0
乙です
こうゆうゾンビ系好きだわ
142
:
名も無きAAのようです
:2012/08/04(土) 16:55:28 ID:q85OnNZQ0
人が死ぬときの描写が物足りないなぁ
リアルさを感じないというか
143
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:09:47 ID:CztVYnKg0
これより第四話『そして地獄が彼の後をついて来たのだ』を投下します。
今回は本来2話分あった内容を1話に凝縮しているので、かなり長くなるかと
余談ですが、本作はこれ以降対人戦寄りになっていきます。
144
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:10:52 ID:CztVYnKg0
「本当に馬鹿な子だなお前は!
なんで仕事で必要なお土産を勝手食うんだ!?」
「ごめんなさい!
ごめんなさい!」
「本当に屑だなお前は!
何のために生まれてきたんだ!?」
本当に血が繋がってるのか!?」
「ごめんなさい!
ごめんなさい!」
「やめなさいよアナタ……
また教育委員会に口出されるわよ」
「……そうだな
男の子なら友達と喧嘩したと嘘がつけるが、お前は女の子だから痣が多いのは目立つ
ムカついたから顔面に火鉢を付けてやろうと思ったが……それはまずいか」
「おいホライゾン、妹のこの事は学校や友達には言うなよ
この程度の折檻はどの家庭にも当たり前だからな」
「この前もお前友達に言っただろ?
それで学んだよな?辛かったよな?まる一日家から追い出されて」
「くれぐれも言うぞ
絶対にこの事は黙ってろ」
第四話『そして地獄が彼の後をついて来たのだ』
145
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:11:43 ID:CztVYnKg0
(`・ω・´)「作戦はこうだ、単刀直入に言えばタイヤを頂く
駐車場に到着したらまずは私達がその場にいる化け物を発砲する。
その間5秒、殲滅次第ショボンが特型警備車に接近しタイヤを外す作業に入る。
君達はショボンを手伝ってくれると有難い」
(`・ω・´)「心配するな
化け物殺しは私と素直クールの仕事さ
奴らが心臓を貫いて痙攣する時間は約3分
それまでに作業を終わらす責任がある」
若いイケメン自衛隊員シャキンは、笑顔で内藤の肩の手を添えた。
(`・ω・´)「検討を祈る。
無事避難所に到着できたら二人とも牛丼を食わせてやるぞ
俺達の中でも根強い人気を持つ軍用食だ、旨いぞ?」
( ^ω^)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
とても彼らは頼りになる人達だった。
なんだか、先ほどもまで地獄の底にいるかのような気分であったにも関わらず
今はとても暖かい気持ちになれた。
146
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:12:44 ID:CztVYnKg0
午前11:17分
地下駐車場出口前の廊下。
三人の自衛官と二人が扉の前で身を伏せる。
シャキンは銃を構え、狩人のごとき表情で面格子から外を凝視していた。
川 ゚ -゚)「数は?」
(`・ω・´)「……3ですね
いずれも警官、こちらには気づいておりません
ただし一体だけ防弾チョッキを着ている化け物がいます」
川 ゚ -゚)「貴方なら2匹は仕留められる
そいつは私に任せなさい」
(`・ω・´)「了解」
バタンッ
扉が開く音と共にシャキンは素直クールは素早く中へと進入する。
あまりの躊躇のなさに、内藤とツンデレは驚嘆の意思を隠せない。
「……?」
「……ア」
「……」
三体の化け物は二人の存在に気づく。
147
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:13:26 ID:CztVYnKg0
「……」
「……イマキタサンギョウ?」
一体は死肉を貪りながらこちらを見た。
一体はただ呆然に立ち尽くしながらこちらを見た。
一体は笑顔でこちらを見た。
そして三体は一斉に襲い掛かる。
(`・ω・´)「……ぐ」
シャキンは思わずその威圧感に圧され、数秒硬直する。
川 ゚ -゚)「シャキン!」
(`・ω・´)「……すみません」
ふと我に返り、冷静な表情になる。
そして素早く二回引き金を引く。
「グエッ!」
「ギニャッ!」
閃光と共に乾いた銃声が二回鳴り響き、トリガーから空薬莢が飛び出す。
二体の化け物は胸を抑えて倒れ込み、不気味に痙攣し始める。
自衛隊の名に相応しい見事な射撃能力だった。
残るは一体。
「メガミサマキターーー!!」
防弾チョッキの化け物が素直クールに襲いかかる。
148
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:14:08 ID:CztVYnKg0
川 ゚ -゚)「……」
しかし素直クールは銃を手に取らない。
キレの良い動きで、武闘家がごとく真剣な表情で両手を構える。
( ^ω^)「え!?」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと!あの人!」
扉側で身を潜めていた二人がそれを見て唖然となる。
(´・ω・`)「心配すんじゃねぇ、これがあの人の戦い方だ
『合気道』って知ってるよな?」
(´・ω・`)「その達人だ」
直後、化け物は両腕を広げて襲いかかる。
……ところが
素直クールは化け物の手首を掴み、外側に反す。
すると化け物はなされるがままに前に押し出され、ゴロンと倒れ込む。
149
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:14:53 ID:CztVYnKg0
川 ゚ -゚)「……」
わずか1秒にも満たない出来事だった。
素直クールは構えをやめ、普通の姿勢に戻る。
( ^ω^)「え!?……今何が……」
ξ゚⊿゚)ξ「……凄いわね」
(´・ω・`)「俺達の大隊は特別に合気道の訓練を行ってんだ
その中でもあの人だけは群を抜いて強い実力者でね
まぁ……見た通りなんだが、頼りになる隊長だぜ」
(´・ω・`)「まだ完全にションボリしてねぇのはそのためさ」
ショボンはジャッキを手に取り内藤にスパナを、ツンデレにバール三本を渡す。
己の土俵となると本腰が入るのだろうか……
先ほどまでひ弱な印象を受けたその男は、凛とした表情で特型警備車へ向かって走り始める。
その動きに一切の無駄はなく、あまりの速さに二人は置いて行かれそうになる。
(´・ω・`)「足引っ張んじゃねぇ!
3分で終わらすにゃちと早すぎんだからよ!」
( ^ω^)「は、はい!」
「……ギギギ!」
防弾チョッキを着た化け物はゆっくりと立ち上がる。
150
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:15:39 ID:CztVYnKg0
( ^ω^)「……!」
ξ゚⊿゚)ξ「!」
二人は走るのをやめ、その場に留まる。
(´・ω・`)「馬鹿!何してる!」
ξ゚⊿゚)ξ「だ、だって立ち上がったじゃないのよ!」
思えば化け物に合気道が通用するのか!?
二人の脳裏にふと浮かんだのはその疑問だった。
見た通りの結果だった。
化け物は平然と素直クールの前に立ち塞がった。
しかし、素直クールは取り乱す事なく普通に周囲を見渡す。
川 ゚ -゚)「……」
「オ、ナイスデザイン」
化け物はゆっくりと両手を上げ、素直クールをいただこうとするが……
151
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:16:43 ID:CztVYnKg0
「!?」
化け物は異変に気づいた。
噛みつこうとしても噛みつけない。
掴もうとしても掴めない、何故かその上を掴もうとしてる。
何故か頭が上を向き、やがてそのまま逆さの後ろの光景が見える。
「!?……!?……ア?」
理解ができない。
知能など皆無に等しいが故に何も学習できない。
(`・ω・´)「准陸尉……やはり貴女は凄い」
シャキンは冷や汗をかきながらそう呟く。
化け物は首、手首を綺麗にへし折られていた。
川 ゚ -゚)「人間ではないのなら情などかける必要もあるまい」
素直クールは腰を捻り、強烈な回し蹴りを化け物にぶち込む。
その衝撃で後方へ倒れ込むが、脳思考がバグッて化け物は立ち上がれずもがき苦しむ。
「アウッガボッグボッグガァ」
152
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:17:26 ID:CztVYnKg0
ξ゚⊿゚)ξ「……凄い」
何が起きているのかよくわからなかった。
災害のせいで思考が麻痺しているのは事実だろうが、それでも目の前の出来事は理解できなかった。
いつへし折ったのか、ひょっとすると素直クールが先ほど合気道を仕掛けた時に……なのだろうか
ξ゚⊿゚)ξ「キャッ!」
ツンデレは内藤に引っ張られる。
( ^ω^)「見惚れてる場合かお!」
ショボンは素早く、特型警備車の下にジャッキを差し込む。
……そして迅速かつ要領よく回し始める。
内藤もまた手の合図を見て、素早く作業工具箱からスパナを手渡す。
(´・ω・`)「まずはエアを抜いてビードを落とさなきゃならん
この作業を迅速にやらにゃならんが!」
内藤とツンデレは何時何を言われてもいいように身構える。
……1分後、バタンッという音と共に巨大なタイヤが倒れた。
あまりにも重いため、三人で支えながら走っていく。
素直クールとシャキンはひたすら周囲を警戒する。
周りには痙攣する奴二体と、もがき苦しむ奴が一体しかいない事をしっかりと目で確認した……
はずだった。
153
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:18:11 ID:CztVYnKg0
(`・ω・´)「……待て」
先頭を切って歩いていたシャキンがふと、冷静な表情で立ち止まった。
それに合わせて内藤、ツンデレ、ショボンも止まる。
素直クールが眉を潜める。
(`・ω・´)「准陸尉、あれがあなたにも見えますか?」」
川 ゚ -゚)「ああ」
(`・ω・´)「ならば私自身の幻覚症状ではないようだ
ガスや異物のせいではないらしい」
ショボンは気味が悪そうに眉を潜める。
それもそうだった。
化け物はもう一体いた。
それも自分達が入ってきた扉の入り口にだ。
ξ゚⊿゚)ξ「……入ってきたんじゃ」
ツンデレは自分が最後に扉を閉めた事を思いだし、連中に扉を開けるだけの知能がない事を思い出す。
鳥肌が立ち始める。
154
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:19:18 ID:CztVYnKg0
場にいた全員が異質な空気を察し始める。
計算外……どころではない。
化け物の倫理を超越した奇妙な現象!
ξ゚⊿゚)ξ「なんでよ!お……おかしいわ!
ありえな」
ショボンが素早くツンデレの口を塞ぐ。
(`・ω・´)「やめてくれ、音が聞こえない」
川 ゚ -゚)「人間の仕業だな
身構えろよ」
川 ゚ -゚)「化け物よりも怖い奴がいる」
素直クールが珍しく冷や汗をかきながらそう告げる。
扉の横にある面格子が、半分だけ開いている。
頼もしい自衛隊員達がこの時ばかりは緊迫した顔をしていた。
155
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:20:21 ID:CztVYnKg0
それだけではなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「嘘でしょ」
入り口にいた警官に見覚えはあった。
場にいる全ての人間が戦慄を覚えた。
「オレハコノヨセイ……ヤリタカッタコト……ヤル」
それは少し前にトイレに個室に入れられたはずの、あの警官だった。
顔は赤く染まり血管が浮き出ており……もう面影もない。
しかしそれ以上におかしい部分が一つ。
下唇から先の部分がむしりちぎられたかのように歯茎が露出していた。
ξ゚⊿゚)ξ「何でここにいるの!?
ありえない……何で!?」
(`・ω・´)「……」
シャキンは銃を構えながら考える。
自ら逃げ出したか?それで化け物に食い殺されたのか?
否……顔面をあそこまで無残に食い裂かれるのはおかしい
例え武器一つ持っていない状態であろうが、人間は本能的に腕でガードするのが普通
なのに腕は無傷、それどころか化け物がまず食いかかる部分であるはずの肩ですら……
156
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:21:03 ID:CztVYnKg0
川 ゚ -゚)「シャキン!
今は考えている場合ではない!
走れ!私が先頭を切ってドアを開ける!」
(`・ω・´)「……了解!」
シャキン素早く銃口を警官の化け物へと向け、引き金を引く。
「ウゥッ」
轟音が鳴り響く。
化け物は胸元が血で滲み、空ろな表情で倒れ込む。
(`・ω・´)「……行くぞ」
素直クールを先頭に皆が必死に走り始める。
内藤とツンデレとショボンは協力して大きなタイヤを転がしていく。
直後だった。
( ^ω^)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「!」
突然耳をつんざくようなベルの爆音が鳴り響いた。
157
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:21:45 ID:CztVYnKg0
ξ゚⊿゚)ξ「何!?警報!?」
ツンデレは耳を押さえながらそう告げる。
(`・ω・´)「警報機を押したようだな!
やばい!……来るぞ!」
(`・ω・´)「連中は音に最も反応する!」
向こう側の地上へ繋がる坂に、無数の影が見えた。
場にいた全員が迫っている事の焦りを抱き、パニック寸前の状態となる。
(`・ω・´)「殺すつもりか!……あくまで徹底的に!」
ガチャッ
ガチャッ
川 ゚ -゚)「くっ!」
扉を開けようとするが開かない。
(`・ω・´)「内側から鍵を!?
なら俺が銃で破壊します!」
川 ゚ -゚)「いや、これは多分内側から何か大きく重いもので塞いでいる
人間の力では無理だ!」
158
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:22:38 ID:CztVYnKg0
(´・ω・`)「まさか……この後に及んで人間にこんな真似を!」
( ^ω^)「……」
内藤は不意に力を緩め、辛うじて三人で持っていたタイヤが倒れる。
(´・ω・`)「おい!」
ξ゚⊿゚)ξ「何してるのよ!」
( ^ω^)「あ、いや……すまないお」
再びタイヤを持ち直す。
まさか……
内藤は嫌な予感がした。
こういう時ばかりは当たって欲しくはない予感だった。
川 ゚ -゚)「ショボン!頼む!」
(´・ω・`)「おう!」
タイヤを支える役をショボンと素直クールがチェンジ。
彼は工具箱から巨大なボルトカッターを取り出し、面格子の柵を破壊する。
159
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:23:20 ID:CztVYnKg0
その結果、面格子は人一人通れる分の空間ができる。
(`・ω・´)「糞!タイヤは諦めるぞ!
時間が経てば奴らもある程度は減るだろう!
また戻ればいい!」
(´・ω・`)「何の保障があんだよ!?
その時にゃ警察署も化け物だらけになってるかもしんねぇぞ!」
(`・ω・´)「そんな事考えてる場合じゃない!」
無数の足音と共に化け物達は姿を現した。
まっ裸の女、酒屋さん、ヤンキー、会社員。
様々な成り果ての化け物共が徒競走のように全力疾走してくる。
シャキンは精確にそいつらの心臓を的確に狙って撃退するが、いかんせんキリがない。
次々と転がる化け物達……しかし数が多すぎる。
とにかくツンデレ、内藤、素直クール、ショボン、シャキンの順に面格子の潜っていく。
ξ゚⊿゚)ξ「やだ!服やぶれた!」
( ^ω^)「気にするなお!」
160
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:24:01 ID:CztVYnKg0
面格子はかなり高い位置にあり、ツンデレはショボンに肩車をしてもらった。
内藤は必死に登ろうとするが結局無理で素直クールの協力で
そして素直クールとショボンは壁を台にし、猫のように面格子を潜る。
(´・ω・`)「後はテメェだけだ!
早く来い!」
(`・ω・´)「ああ!」
ショボンはショボンは手を差し伸べた。
すぐさまジャンプし、その手と面格子を掴む。
(`・ω・´)「ぐっ!」
間一髪だった。
入ったと同時に、次々と化け物共がイノシシのように壁に衝突する。
(`・ω・´)「ハァ……ハァ……」
ようやく最後のシャキンが向こう側の通路へと到着する。
(´・ω・`)「大丈夫か!?
怪我は!?」
(`・ω・´)「ハァ……ハァ……大丈夫だ、問題ない」
廊下に足をつけたと否や、シャキンは思わず唖然となった。
通路は鉄製の板が斜めに敷かれ、扉が開かないよう仕組まれていた。
( ^ω^)「こ、これじゃあ開くわけがないお」
(`・ω・´)「誰だこんな事、何が目的で……」
161
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:25:09 ID:CztVYnKg0
川 ゚ -゚)「……まぁ、何となく検討はついていたが
思えばこんな真似ができる人間はお前くらいのものだった」
素直クールは冷や汗をかき、通路に板がある方向を見ながらそう告げる。
他の4人もふとその先を見る。
皆、それを見た瞬間に表情が変貌していく。
(´・ω・`)「……この野郎、数ヶ月ぶりのご対面だなぁ」
(`・ω・´)「……誰ですか?」
(´・ω・`)「因縁の腐れ縁やって奴だ
お前が配属した頃にはもう辞めてたよ」
(´・ω・`)「人殺しをやってよぉ」
ξ゚⊿゚)ξ「そんな……まさか追跡されてたっていうの!?」
( ^ω^)「……」
内藤の嫌な予感は見事に的中した。
そしてほぼ全員がその男と顔見知りだった。
( ´∀`)「……」
162
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:26:08 ID:CztVYnKg0
〝( ^ω^)「世の中にはいるんだお。きっと
こういう時……ほとんどの人間がパニックで逃げる事しか頭にない中
そのほんの一握りにそういうヤカラがいるという事
誰でよりも世渡り上手で、自分への利益しか考えず……
殺せる時代が来たと否や、まるで情の一欠けらもなく殺害する事ができる人間」〟
ツンデレはふとその一言を思い出した。
殺人鬼。
人を殺す事に躊躇がない。
合理的で賢く、抜け目のない人間。
川 ゚ -゚)「モナー、貴様に出会えた事を私は喜びととるべきか悲しみととるべきか」
( ´∀`)「……貴様らなど、どうでも良い
それより」
黒服の男、モナーは笑顔でこちらを凝視する。
( ´∀`)「目撃者は全て殺すのが私の趣向だ。
まぁ……一つのこだわりというか」
( ^ω^)「何故……ここに?」
( ´∀`)「駅でも犯罪対策はしてるものだよ
最も、今のご時勢ではその役目も終えてしまったようなものだが」
163
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:27:07 ID:CztVYnKg0
( ^ω^)「……」
犯罪……監視カメラ?
内藤は数秒程でそれを察する。
( ´∀`)「後味が悪くてなぁ
目撃者が私の殺人行為を客観視して逃げ出すというのは」
( ´∀`)「私が仕掛けた罠をゴキブリのように這いつくばって
何故死なない?どうせいつかは化け物になるんだ」
( ´∀`)「まぁ良い……引き続き、狩りを始めるとしよう」
(`・ω・´)「狩られるのはお前だ」
シャキンは冷徹な表情で銃口を向ける。
(`・ω・´)「何処の誰だか知らんがお前は敵だ
害を加える人間は殺す、それだけの事」
そう告げながら冷静に黒服の男の胸元に発砲する。
だが
(`・ω・´)「!」
シャキンの射撃能力は随一である。
新人でありながら極めて才能に溢れた男と言われ
かつての自衛隊の中でも1、2を争う実力の持ち主だった。
そんな奴の撃つ弾が、黒服の男に一発も命中しない。
(`・ω・´)「……く!」
164
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:28:06 ID:CztVYnKg0
化け物は脳思考も単純だから、軌道を読み精確に命中させる事も容易だった。
それもある。
黒服の男はごく普通に体を揺らし、シャキンの発砲する銃を次々と回避する。
( ´∀`)「大事なのは当たらないという意思だ
直撃するのではないかという1ミリの不安が体を不可避な方向へ動かしてしまう」
ξ゚⊿゚)ξ「何こいつ……ッ」
言っている事があまりに異常だった。
そして行っている行動も理解ができない。
(`・ω・´)「黙れ!例え銃口から弾道を読んだとして……
音速の弾を人間が避ける事などできるか!」
シャキンは発砲し素早くリロードしては発砲を繰り返しながら、ゆっくりと黒服の男に接近する。
( ´∀`)「ところで……こうして私がここから逃げない理由がわかるか?」
(`・ω・´)「何がだ!」
( ´∀`)「お前らには発砲以外の反撃手段がない
近づけないんだよ」
黒服の男は笑顔で通路の角を歩いて行く。
直後だった。
川 ゚ -゚)「シャキン!逃げなさい!」
(`・ω・´)「え……?」
グシャッ
165
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:29:05 ID:CztVYnKg0
シャキンがいたのは駐車場へ繋がる扉の少し前。
彼は廊下を塞いでいる鉄の板を遮蔽物として使っていた。
積み重なった化け物達の異常な力は扉へと一点集中。
扉を塞き止めていた鉄製の板は圧迫され少しずつへし折れ
ノブは土石流のごとき強大な力で粉砕され
……やがてその時は来た。
(`・ω・´)「ぐっ!?」
シャキンは突如として強烈な打撃を味わった。
脳しんとうを起こす程の衝撃と共に、壁と扉の両方に叩きつけられる。
……何故か?あまりに突然で彼は現状を理解できない。
黒服の男を撃つ事に夢中で、他に事に目がいかなかったのだ。
川 ゚ -゚)「シャキンッ!!」
(´・ω・`)「こんな……糞ッ!」
化け物共は雪崩れのように廊下を覆いつくし、シャキンが見えなくなる。
166
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:30:05 ID:CztVYnKg0
川 ゚ -゚)「ぐっ……!」
もはやシャキンは化け物にの中に埋もれ、顔すら見えない。
素直クールは襲い来る化け物達を次々に払いのけながら後退していく。
ξ゚⊿゚)ξ「でもシャキンさんが!」
(´・ω・`)「見りゃわかんだろ!
無傷ならアイツだってこの状況を打破できたが……しかし!」
もはやモナーを追う余裕などなかった。
廊下を覆い尽くした化け物達は自分達を見つけ、嬉しそうに走ってくる。
(´・ω・`)「糞ぉおお!」
ショボンは複数の化け物に腕を掴まれ身動きできず、肩に無数の頭が接近する。
……その時だった。
ダァンッ!
ダァンッ!
発砲音が化け物の群れの中から二発鳴り響いた。
( ^ω^)「まさか……」
それを聞いて内藤は冷や汗をかく。
扉をぶち壊して溢れ出した化け物共は音に反応し、ほぼ全てがシャキンに襲い掛かる。
(´・ω・`)「あの野郎……身を犠牲にして」
ショボンは冷や汗をかきながら、そう呟く。
167
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:30:55 ID:CztVYnKg0
( ^ω^)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「何っ!?」
群れの方から黒い何かが飛んでくる。
素直クールに向けて投げられた物であり、彼女は片手でそれをキャッチする。
川 ゚ -゚)「……あいつ」
それはシャキンの銃だった。
内藤達に出会う数時間前、装甲車の中での事だった。
〝(`・ω・´)「これは?」
川 ゚ -゚)「譲るよ。君の方が腕は確かだ
私は素手の方が似合っている」
(`・ω・´)「……悪いですよ
銃なんて警官の死体から奪えばいいものですし」
川 ゚ -゚)「フフ、同じ公務員同士なのに何と失礼な輩だ
軍法会議どころではないぞ、人として終わっている」
168
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:31:47 ID:CztVYnKg0
(`・ω・´)「そ、そんな言い方ないじゃないですか
この件が終わったらその死体にも謝りますよ!
とにかく絶対返します、これも公務員うんぬん以前の問題です」
(`・ω・´)「レディーとの約束を守るのは男として当然ですよ」
川 ゚ -゚)「私を女扱いしてくれるのか
……ならば返してくれるな?約束だぞ」
(`・ω・´)「当たり前です」〟
川 ゚ -゚)「……」
素直ク−ルはそれを思い出し少々俯いて黙り込んだ後
ほんの数秒敬礼をして、非常用階段へ向かって走り始める。
(´・ω・`)「とにかく走れ!」
ショボンが先頭ときって階段を上っていく。
ξ゚⊿゚)ξ「キャア!」
169
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:32:27 ID:CztVYnKg0
ツンデレは焦るあまりに足を滑らし、階段でこけそうになる。
だが
( ^ω^)「大丈夫かお!」
内藤が手を差し伸べ、腕を掴む。
ξ゚⊿゚)ξ「あ、ありが……」
既に内藤は聞いてなかった。
素直クール、ショボンと共に階段を急いで上っていた。
ξ゚⊿゚)ξ「何よ!人がせ、せっかく礼を……」
直後
ダァンッ!
ξ゚⊿゚)ξ「!?」
何故か耳をつんざくような銃声が鳴り響いた。
シャキンの所持していた銃とは音が違う。
ツンデレは冷や汗をかきながら音がした方を向く。
170
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:33:13 ID:CztVYnKg0
ブービートラップという殺人方法を聞いた事がある。
ワイヤーや落とし穴など、言わばそれは罠の事を指すのだが
どうやらツンデレは滑って転んだわけではなかった。
床にはワイヤーが張られており、それに足が引っかかったのだ。
……そして
天井には狩猟銃がぶら下げられていた。
恐らくは内藤の手助けがなければ殺されていたかもしれない。
彼の助けが僅かに間の彼女を横に動かした。
それが奇跡を呼んだのだ。
……顔が青ざめる。
思えば全てはあの黒服の男の罠だった。
自分達は殺されるために動いていた。
階段を上っていたわけではなかった。
むしろ地獄への階段を一歩一歩と降ろされていた。
まるで処刑台に向かっている気分だった。
171
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:34:08 ID:CztVYnKg0
ξ゚⊿゚)ξ「……」
もはやドン引きなんてレベルではない。
計画的で、残酷で、異常極まりない。
コイツは化け物以上に醜い化け物。
ほんの少しまで圧倒的に強く頼りがいのあった、素直クール達自衛隊員が……
今となってはただの翻弄されるだけの赤子のようになってしまっている。
ξ゚⊿゚)ξ「それ以上階段を上らないで!」
川 ゚ -゚)「……?」
(´・ω・`)「……?」
( ^ω^)「……?」
ξ゚⊿゚)ξ「罠よ!上を見て!」
( ^ω^)「……これは」
内藤は冷や汗をかく。
ξ゚⊿゚)ξ「上に上っても、こんな罠が仕掛けられてるのよ!
別の方法で逃げましょう!」
( ^ω^)「……違うツンデレ……そうじゃないお、それはわかってる!」
ξ゚⊿゚)ξ「化け物はすぐにはここまでやって来ないと思うの!
ブービートラップに……!」
( ^ω^)「後ろ!」
172
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:35:20 ID:CztVYnKg0
ξ゚⊿゚)ξ「……ひっ」
ツンデレは背後から強烈な殺気を感じる。
まるで蛇に睨まれた蛙のような気分になり
冷たいガラス片が喉仏に当たり、プールから上がった後のように汗まみれになる。
それは誰か?
髪の毛が全て抜け落ちそうな恐怖。
生きた心地のしない、この歪な感覚。
言わずと知れた事である。
これ程の危険感を感じるのはあの人物しかない。
(´・ω・`)「畜生……テメェはさっき向こう側から逃げただろうがぁ!
何でここにいんだよ!」
川 ゚ -゚)「……そこまで人を殺すのを楽しみたいか」
( ´∀`)「的を射ている」
モナーは予め階段の隅に隠れ、素早くツンデレを人質にとった。
173
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:36:26 ID:CztVYnKg0
ξ゚⊿゚)ξ「何なのよぉ!
同じ人間でしょ!?目的は生き残る事でしょ!?」
ツンデレはボロボロ涙を流しながら、必死にそう訴える。
( ´∀`)「目的?そうだな」
( ´∀`)「君達のような地面に這い蹲る蛆虫共が全滅する事だ
案外ゴミのような奴が一匹しか死なず、私は呆れている
このままでは君達は無事に地上の警察署に出てしまう
ブービートラップも割りと見抜き、結構貴様等は面倒な連中だ」
(´・ω・`)「ゴミはテメェだ!
生き残るべき意思を持った仲間を……テメェはよぉ!」
ξ゚⊿゚)ξ「……何でよぉ!何でこんな事に」
川 ゚ -゚)「当たり前だろう?貴様の弟子なのだから」
( ^ω^)「弟子?」
ξ゚⊿゚)ξ「……弟子?」
174
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:37:20 ID:CztVYnKg0
( ´∀`)「弟子……か?そうだったな、忘れていた
言い換えればオリジナリティの欠片もない屑共め
で、用件だが」
非常用階段の蛍光灯は切れかけており、灯りがチカチカと点滅している。
そのためモナー顔は暗転を繰り返し、その度に表情が邪悪なものと化していく。
( ´∀`)「食われろ、化け物に」
……
それを聞いて皆、戦慄を覚えた。
男は異常な宣言の数々を、ごく普通の事を言っているかのように語る。
( ´∀`)「やらなけりゃこの女を殺す
やればどの道お前らは食われる
人が良いだろ?あえて選択肢を与えてやってんだ
それだけでも感謝してほしいものだな」
川 ゚ -゚)「……仮にやったとして、その子は?」
( ´∀`)「殺す」
(´・ω・`)「フザけてんじゃねぇぞこの屑野郎……」
175
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:38:02 ID:CztVYnKg0
( ^ω^)「……」
内藤は己を後悔し、拳を強く握り締めた。
自分のせいだった。
間違いなく奴は自分達を追跡していたのだ。
化け物の死体や足跡等、手がかりは簡単に得られる。
生き抜く事に必死で奴の動向を察せなかった自分が情けなかった。
無理もないと人は言うだろうか
今現時点での情報だけでも、この男(モナー)は元自衛隊員であるらしい
そして自分には計れない能力を持ち合わせている。
仮に追跡に気づいていたとして、内藤に何ができたか
答えは何もできない。
ただの学生に太刀打ちできる相手ではない。
こんな異常な奴に出会った事が、もしかしたら化け物に出会う以上の最大の不幸だったかもしれない。
つまり運が悪かった、それが答えなのかもしれない。
……しかし自分の原因としてこの現状がある事は、紛れもない事実だった。
176
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:38:44 ID:CztVYnKg0
自分が原因でシャキンは死んだ。
自分が原因でツンデレは人質にとられた。
自分が原因で現状が生まれた。
駅で出会ったという事実の自分がいなければ、警察署にいるシャキン達が巻き込まれる事はなかった。
元々化け物を仕留めるだけのポテンシャルを秘めていた彼らは、ごく普通にタイヤを手に入れたかもしれない。
そして装甲車を何事なく修理し、避難所に向かっていたかもしれない。
( ^ω^)「……」
内藤は拳を血が出る程強く握り締め、憤りを感じ始めていた。
川 ゚ -゚)「……?」
先ほど内藤が命を賭して警官からツンデレを守ったわけ
それは彼の過去のトラウマが関与していた。
〝「おいブーン、妹のこの事は学校や友達には言うなよ
この程度の折檻はどの家庭にも当たり前だからな」
「この前もお前友達に言っただろ?
それで学んだよな?辛かったよな?まる一日家から追い出されて」〟
177
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:39:31 ID:CztVYnKg0
内藤は現在、学校から離れた数km離れたアパートで母親妹の三人で暮らしている。
親が離婚したからだった。
原因は虐待にあった。
彼は4人家族の長男に生まれ、その下に妹が一人いた。
父親は成績や人間性から兄と妹を贔屓した。
内藤は生まれつき愛され、それに答えるために努力を続けた。
結果幼い頃から様々な分野で賞をもらい小学中学の中でも彼はエリートであり続けた。
無論大手の私立高校を目指し、日々勤勉に励み親から期待の念を込められた。
一方妹は愛されなかった。
賢くはなく心の病気を携え、異常な行動も多々あった。
始めのうちは軽く叱るだけだった親も段々我慢の限界が訪れ……
次第に父親による暴力が始まった。
最初は小突くだけだったのに対し、段々と殴りや蹴りも増加した。
妹は毎日のように虐げられ続けた。
兄として内藤は我慢できず、母親と相談したが黙認された。
親ですら妹を救いはしなかった。
そして学校や警察等に言おうものなら内藤もまた折檻された。
178
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:40:30 ID:CztVYnKg0
親の力は絶対だった。
黙る事が義務付けられていた。
彼女の悲鳴がどんなに辛くても内藤は黙るしかなかった。
自分があまりに非力だった。
何もできない自分を一番殺したかった。
しかし高校生を迎えた時、転機が訪れた。
仕事先の関係から親が対立し離婚したのだ。
その日から妹の痣が増える事はなかった。
一切の金銭免除はなくアパートで暮らす事になり、アルバイトを課せられたが
内藤は妹の笑顔を見る事ができた。
凄く嬉しかった。
兄としてこれ以上の至福はなかった。
しかしその一方でこれまでの過去を後悔せねばならなかった。
内藤は妹の古傷を見る度にそんな気持ちが沸いた。
罪悪感の心は死ぬまで消える事はないんだろうと、その時悟った。
179
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:41:11 ID:CztVYnKg0
もう何も出来ない自分を経験したくはなかった。
ただ拳を握るだけの自分を見たくはなかった。
( ^ω^)「……」
今内藤の目の前にいるのは、親父に脅された妹だった。
( ^ω^)「素直クールさん、あの黒服の男の腕を撃ってくれお」
川 ゚ -゚)「……?」
( ^ω^)「俺がツンデレを助ける」
その瞬間、内藤が全力で階段をかけ降り始める。
川 ゚ -゚)「や、やめなさい!
奴は……!」
( ´∀`)「その顔、気にくわんな
ニヒルなヒーロー気取りで寄ってくるんじゃない」
モナーは獲物を仕留めるかのような鋭い表情で内藤を見据える。
180
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:41:55 ID:CztVYnKg0
内藤は勇ましい表情で階段を降りて行く。
その表情には力強い覚悟を感じた。
……だが
心もとなくも感じた。
素直クールの予想からするとこうだ。
モナーは瞬時にツンデレの首を切り裂き殺害。
襲い掛かろうとした内藤を赤子の手を捻るように首をへし折り、二人の死体が増える。
それだけはまずい。
一人でも多く人を救わねばならない。
最悪のパターンに向かおうとしてる中で、自分だけでも最善を尽くさねばならない。
( ^ω^)「……と思ってるんじゃないかお?」
川 ゚ -゚)「え?」
内藤は身構えるモナーを無視して更に階段を降り
地下駐車場の階に移動した。
そして鍵を開け、非常扉を開いた。
181
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:43:08 ID:CztVYnKg0
(´・ω・`)「な、何してんだ!」
ξ゚⊿゚)ξ「内藤!」
川 ゚ -゚)「……」
それは化け物の進入を抑えるために封鎖した非常扉だった。
「オッパイッオッパイ!オッパァイッ!」
「オツカレチャンッ!」
化け物が内藤を発見したのか、走る音が無数に聞こえる。
( ´∀`)「……何のつもりだ?」
初めてモナーが冷や汗をかく。
( ^ω^)「これだけは言っておくお」
( ^ω^)「化け物はお前だけの玩具じゃない」
( ´∀`)「……痛ッ!」
直後、モナーは腕に激痛が走った。
182
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:43:51 ID:CztVYnKg0
ほんの一瞬目を離したスキにやられた。
ツンデレはモナーの親指を全力で噛み付いたのだ。
その勢いで思わずガラス片を落としてしまう。
( ´∀`)「このアマッ!!!」
ξ゚⊿゚)ξ「キャアッ!」
しかしは腕はがっしりと掴んでいた。
モナーをツンデレの頭をわし掴みにし、後ろへ叩きつけようとするが
( ´∀`)「!!?」
モナーは奇妙な衝撃が走る。
強烈な脳しんとうが起き、思わずツンデレを離してしまう。
叩きつけられた!?
朦朧とした意識の中で、一瞬だけ鉄パイプを持った内藤の姿が見えた。
( ´∀`)「……ガキがッ!」
( ^ω^)「感情的になると弱いお、お前」
( ´∀`)「……あ?」
モナーは無表情のまま、顔全体に鬼のような筋が出来上がる。
壮絶な奮怒に包まれた危なっかしいオーラが、全身へと広がっていく。
183
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:44:55 ID:CztVYnKg0
(´・ω・`)「逃げるぞ!」
声だけが聞こえる。
わずかながら階段を上っていく素直クール達の姿が見える。
( ´∀`)「ゴキブリの糞にも満たん屑共がァッ!
皆殺しにしてやるぞッ!狩ってやるッッ!
必ずしもその面を醜い化け物にしてやるッ!」
モナーは醜悪な憎悪の念を抱きながら、ひたすらそう訴える。
ある程度回復しふと……前を見ると
目の前には化け物と化したシャキンの姿があった。
(`・ω・´)「ダカラオマエノコウイガユルサレル……トデモ、オモッテイルノカ?」
全身を貪られ、朽ち果てた姿と化したその男は充血した瞳でモナーを凝視していた。
そして他の化け物もモナーにタカり始める。
絶望的だった。
「ワラワスジャネェヨ……」
あの警官も笑顔でモナーを凝視する。
まるで復讐できる事に至福を覚えているかのように……
( ´∀`)「……貴様等
たかが骸の分際で」
(`・ω・´)「カラレルノハ……オマエダ」
184
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:47:10 ID:CztVYnKg0
午前11:36分。
ξ゚⊿゚)ξ「……た、たた助かった」
ようやく職員室へと戻れ、4人は消耗しきった様子でヘタレ込む。
ツンデレは憔悴しきった様子で座り込んだ。
ショボンは地下への扉を施錠し、更には念押しに机で廊下を塞ぐ。
内藤と素直クールは職員室の全体の様子を確認、化け物がいないか確かめる。
( ^ω^)「黒服の男は!?」
(´・ω・`)「あ……あんだけ囲まれてたんだぞ
間違いなく化け物になっちまってんだろ
それよかブービートラップに気をつけろよマジで」
川 ゚ -゚)「大丈夫だ。少なくともこの部屋にはない
ありそうな場所は今全て調査した」
( ^ω^)「……大丈夫かお?」
内藤が心配してツンデレに近寄る。
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫。ただ……ちょっと動悸が酷くて……
ホントに大丈夫、すぐ直ると思うし」
……当然だった。
むしろ現状にいながらよく正気を保っていると思う。
川 ゚ -゚)「精神安定ならホットミルクか緑茶だな
軽い運動も良い、自律神経に働きかけて、興奮、不安、鬱症状を緩和する
ちょっと探してみるか
ショボン手伝いなさい」
(´・ω・`)「あ?」
185
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:47:54 ID:CztVYnKg0
ツンデレはホットミルクを飲まされ、次第に落ち着きを取り戻す。
ξ゚⊿゚)ξ「……ありがとうございます」
川 ゚ -゚)「感謝するべきはここまで生き残った自分の強運だな
噛み付いたのは正解だった」
川 ゚ -゚)「それと内藤、君の行動はあまり評価はできないな
命を捨てるに等しい行為だった
何故あんな真似を?」
( ^ω^)「許せなかったんだお」
内藤は悔しげな表情でそう告げる。
川 ゚ -゚)「……」
( ^ω^)「あいつ……化け物を道具のように使ってた
みんな生きてた人間なのに……
言ってみりゃあ、化け物になりたくないのに化け物された人達なのに……
許せなかったんだお」
( ^ω^)「だから道具としてやり返したかった
化け物にされたみんなに、復讐させたかったお」
川 ゚ -゚)「……ところで、君は何処かであいつに会ったのか?」
186
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:49:04 ID:CztVYnKg0
( ^ω^)「駅で会ったお
まさかここまで追ってくるなんて……夢にも思わなかった
俺も質問だお」
( ^ω^)「あんた達はどういう関係なんだ?
何故ここにいるほぼ全てがあいつを知ってたんだお」
川 ゚ -゚)「……」
素直クールは重い口を開いた。
川 ゚ -゚)「……元カノだ」
( ^ω^)「……え」
ξ゚⊿゚)ξ「……え」
川 ゚ -゚)「……嘘だ」
( ^ω^)「な、なんだお
今はそんな冗談を」
(´・ω・`)「嘘じゃねぇだろ?」
ショボンはホットミルクを飲みながら、眉を潜めてそう問う。
187
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:49:47 ID:CztVYnKg0
(´・ω・`)「予想通りの冷たい反応をされたからって身を引いてんじゃねぇ
こいつらだってもう生死を分かつ仲間だ
半端な嘘を言って納得するような連中でもない」
川 ゚ -゚)「……」
素直クールは動揺し、冷や汗をかき
そして二の腕を掴み壁にもたれかかる。
川 ゚ -゚)「……あんな屑でも、当時は人望豊かな天才肌の男だった
演技に気づけなかった自分が一番腹立たしい
だが……合気道を学ぶ事ができたのは奴のおかげだ」
内藤達を凝視する。
川 ゚ -゚)「あの男の名はモナー
我が部隊の元リーダーたる男だ」
( ^ω^)「って事は……」
川 ゚ -゚)「元自衛隊員だ、
かつては我々と同じ職についていた」
188
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 22:51:20 ID:CztVYnKg0
午後1時37分
J( 'ー`)し「……ん」
母はベッドの上で目が覚めた。
隣には十字架のデザインの時計が置いており、宗教関係と思しきデザインのものが大量に壁に貼り付けてある。
そしてゆっくりと起き上がった。
二段ベットの上の段で横になっていたようだった。
傷口は丁寧に治療され、包帯を巻かれ
誰かに介抱されていたらしい。
<ヽ`∀´>「目が覚めましたか」
下から声が聞こえた。
ふと母が下を見ると……
そこには神父と思しき服装の男性が座っていた。
<ヽ`∀´>「屍共に襲われていたところを私が救済しました
具合はいかがで?
体調の異常を感じましたら何なりとお申し付けを」
J( 'ー`)し「……あ、あなたは?」
<ヽ`∀´>「とある宗教に殉ずる者です」
次回第5話『長々と書き留められた言葉に耳を傾けよ』
To Be Continued……
189
:
名も無きAAのようです
:2012/08/06(月) 22:55:54 ID:VHQLEY9s0
乙
190
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/06(月) 23:08:36 ID:CztVYnKg0
第四話『そして地獄が彼の後をついて来たのだ』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、どうもありがとうございました。
次回はそんなに長くないので、そんなにはかからないと思います。
ちなみに現在最終回を製作中なのですが、10話で収まらないっぽいです。
だいぶ伸びそうな感じですwすみませんw
>>142
ありがとうございます。
一回死んで経験してみるのが一番ですが、そういうわけにもいかないので
とにかく可能な限り努力してみます。
191
:
名も無きAAのようです
:2012/08/06(月) 23:52:25 ID:jGd/J1PoO
今から読む
先に乙乙
伸びるのは大歓迎だぜ
楽しみが増えるってことだから
192
:
名も無きAAのようです
:2012/08/07(火) 02:42:09 ID:/OWFYjA.O
面白いな、昔読んだ作品に作風が……
もしかしたらあの人……?
193
:
名も無きAAのようです
:2012/08/07(火) 21:58:40 ID:2qLc1LrE0
ラストのシャキンにちょっと感動した
乙
194
:
名も無きAAのようです
:2012/08/07(火) 22:56:19 ID:QH1x1ZaM0
乙 非常に面白い
195
:
名も無きAAのようです
:2012/08/08(水) 02:44:50 ID:RkdSCBEk0
面白い
次の投下楽しみにしてる
196
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:27:35 ID:lEiz1IWU0
これより第5話『長々と書き留められた言葉に耳を傾けよ』を投下します。
ちなみに作中のタイトルや英語の歌詞はJohnny Cashの「The Man Comes Around」の歌詞から引用しています。
この映画のOPとしても使われており、終末論をテーマにした歌詞がゾンビものによく合ってます。
http://www.youtube.com/watch?v=vdPWrAMXGGo
宜しければ、一度お聞きになってみてください。
197
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:29:52 ID:lEiz1IWU0
( ´∀`)「ハァ……ハァ……」
モナーは生きていた。
返り血を浴びてはいるが怪我はしていなかった。
そして生首を掴み、宙へと持ち上げていた。
床には心臓を突かれ痙攣する無数の化け物がくたばる。
掴んでいた生首とはシャキンだった。
獅子舞のようにアゴをシャクシャクと動かして抵抗するが、強靭なモナーの腕はビクともしない。
その下にはあの警官の死体が、胴体がパックリと割れて散乱していた。
( ´∀`)「蛆虫程度の知能しかないカスがこの俺に歯向かうな!」
モナーはシャキンを地面に全力で叩きつける。
ゴシャッという強烈な音と共に脳みそが噴出す。
( ´∀`)「……」
そして凄まじく危なっかしい剣幕で階段を上る。
扉のガラスを蹴り割り、手を突っ込んで内側から鍵をあける。
そして廊下を覆った机を登り、それを超えて職員室へと向かう。
( ´∀`)「素直クール!!ガキ!!出て来い!
この程度で私を殺したつもりかぁ!」
第5話『長々と書き留められた言葉に耳を傾けよ』
198
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:31:02 ID:lEiz1IWU0
( ´∀`)「あの新米自衛隊員の生首でも振り回してやろうか!?
最も形もわからん程グチャグチャにしてやったから、顔も識別できんだろうがなぁ!!」
( ´∀`)「……」
職員室はも抜けの殻だった。
( ´∀`)「……くだらん」
モナーはロッカーから服を奪い、警官に模した格好に着替える。
そして裏口から警察署を出て行く。
(´・ω・`)「……何とか出て行ってくれたようだ」
隅に隠れていた4人がゆっくりと顔を出す。
ξ゚⊿゚)ξ「信じられない程タフね……
暴君っていう言葉は、ああいう人の事を言うのかな
仲間だったら凄く頼りになったのに」
川 ゚ -゚)「……話がまだ終わってなかったな」
199
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:32:35 ID:lEiz1IWU0
(´・ω・`)「俺は使えそうな乗り物でも探してみるよ
その気になりゃあ裏路地や下水道からでも行けるしな
とにかくいけそうな方法を探ってみる」
ショボンは頭をボリボリかきながらそう告げ、裏口へ歩き始める。
パシッ
素直クールがショボンに向けて銃を投げる。
川 ゚ -゚)「一人で行動するのは評価しがたいな
行くにせよ武器を持って行ったらどうだ?」
(´・ω・`)「……わりぃな
だが化け物に易々殺されたりしねぇよ」
ショボンは手を振り、警察署を出て行く。
川 ゚ -゚)「モナーは護身術を我々の部隊に築いた、唯一無二の天才だった」
川 ゚ -゚)「奴が本部に足を運び直々に弟子になり、合気道の全てを学んできた。
そして帰ってきたモナーを開祖に我々がそれを学んだ
所詮は私も奴の真似事だったというわけだ」
川 ゚ -゚)「それだけではない。
ブービートラップも他全ての戦術も全て奴が築いたものだ
だから人望があった、我が部隊が飛躍的に成長できたのも奴のおかげだった
かくいう私も当初は何も知らんガキだった
奴には全ての隊員が尊敬の念をあらわにしていた」
200
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:33:52 ID:lEiz1IWU0
( ^ω^)「弟子って言うのは……まさか本当に」
川 ゚ -゚)「ああ、私はあの男から合気道を学んだのだ
言わば奴は師匠だ、仲も良かった
歳も近く……恋仲になった事もあった」
素直クールは少し寂しげな表情になる。
川 ゚ -゚)「殺人事件が起きた
容疑者はモナーだった
被害者は二人の同僚だった」
川 ゚ -゚)「目が破損し、全ての間接が破壊され
臓器も全て潰されていたらしい、無残な殺し方だった
後日……行方不明になったモナーの手がかりを得るために警察が家宅捜索を行った
するとある事実が浮き彫りになった」
川 ゚ -゚)「モナーが殺していたのは二人だけではなかった」
川 ゚ -゚)「公務員の立場を利用してもみ消していた殺人事件は10件以上あった
全ては几帳面に記していた日記から判明した事だ」
201
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:34:53 ID:lEiz1IWU0
川 ゚ -゚)「天才は常人には理解できない性癖や思考回路を持っていると言うが
モナーとはまさしくそういう人間だった」
川 ゚ -゚)「その日記を焼却しなかったのは逃げ切れる自信があったからだろう
奴は何らかの経路でこうなる事を知っていたのかもしれない」
( ^ω^)「……」
内藤は息を飲んで話を聞く。
川 ゚ -゚)「あいつが本当に望んでいたのは地位でも人間関係でも金でもない
単に人を殺す事だ
快楽殺人者のように殺す事事態を楽しむ……とは少し違う
人間の人体構造を知る事でいかに人間を素早く殺せるか
その知識を得て、殺す事で得る優越感を楽しんでいた」
川 ゚ -゚)「警察が日記及び数々の痕跡から判明した情報だ
それ自体が嘘なのかもわからない
賢く合理的な人間で、所詮自分の本性は自分にしかわからない
元より異常者の発想など常人には理解できないよ」
川 ゚ -゚)「とにかく……あいつは誰よりも醜く邪悪な人間だ
関わらない事が我々にとって一番の幸せだな
それ自身は君もわかってはいるだろうが、それ以上に明確な答えもない」
素直クールは向こう側見て、腕を組みながらそう告げる。
202
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:37:05 ID:lEiz1IWU0
( ^ω^)「何故……こうやってあんた達は偶然そいつと出会ってしまったのかお」
川 ゚ -゚)「……偶然ではないのかもしれないな
警察署とは避難所へ向かう中間地点だ
生存者が救出を求めるためにここへ来る事は定石と言える行為だし
あいつはそれを踏まえ、殺人を楽しむために訪れたのかもしれない」
( ^ω^)「じゃあ……あの殺人鬼は……」
それを聞いて内藤は嫌な予感がする。
川 ゚ -゚)「あいつが人を殺すのが目的だとしたら
一人でも多く……人間を大量殺戮するが目的だとしたら
死に際の絶望の表情を見る事が嗜好だとするなら」
川 ゚ -゚)「良い場所があるな」
素直クールは数時間前から机の上に放置されていた、一枚の書類を手に取る。
そこに記されていたのは避難所への細かな地図だった。
( ^ω^)「あの服で偽装して入れば、難なく浸入はできるお
……まさか」
午前11:50分
203
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:38:24 ID:lEiz1IWU0
午後1時37分
気がつけば昼だった。
食欲はわかず、あるのは多大なる絶望感のみ
いつもと同じ青空がどうにも憂鬱だ。
だが……そんな中で確かな生存を踏め閉める自分たちは、幸運な方なんだと感じた。
気がつけば母親は二段ベッドの上で横になっていた。
J( 'ー`)し「牧師様……ですか?」
母は見下ろしながら、下にいる人柄の良さそうな男性にそう問いかける。
漆黒の服飾を身に纏っており、いかにも神父のような外見をしていた。
<ヽ`∀´>「……はい
あなたも避難所に行かれる方で?」
J( 'ー`)し「は、はぁ……『も』って事は他にも救助した経験が?
そう言えば確か……銃を撃って化け物を誘導したのもあなた?」
<ヽ`∀´>「神に仕える者として、当然の事をしたまでですよ
ここは医療設備を強化した教会堂です
現在は避難所への中間地点として、避難に来る者達を救助しているのです」
204
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:39:08 ID:lEiz1IWU0
<ヽ`∀´>「銃は警察から頂いた者です。
人を守る役目を代弁をしたのですから、盗人とはいえ……
聖職者として相応しい行為だと思っています」
神父は温厚な表情で、棚に置かれた拳銃を凝視する。
J( 'ー`)し「……!」
ふと母親は息子の存在を思い出す。
J( 'ー`)し「そうだ!ドクオを見ませんでしたか!?」
<ヽ`∀´>「ドクオ?……あの若者ですか?
それなら下のベッドで眠っていますが」
J( 'ー`)し「!」
母はすぐさま下を見る。
そこにはすやすやと熟睡するドクオの姿があった。
J( 'ー`)し「……はぁ」
安心し、その場でうつ伏せになる。
205
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:40:19 ID:lEiz1IWU0
J( 'ー`)し「……本当に感謝してます
あなたが助けてくれなければ私達は死んでました」
母親は申し訳なさそうに神父に対してそう告げる。
<ヽ`∀´>「自分の命だけ考えて身をうずくまっている場合ではありませんからね
傷口は深いです、通るなら車など使わず裏路地を……
止めはしませんが、しばらく休憩なさった方が宜しいかと存しますよ」
神父は笑顔でそう告げ、礼拝堂へと歩いて行く。
J( 'ー`)し「……」
本当に幸運だった。
この男に出会わなければ化け物に四肢をもがれて殺されていたかもしれない。
壁には何故か一ピースのみが抜けた、キリストの絵のパズルが貼り付けられており
その下には『殉職者』と記された十字架が無数に飾られていた。
壮絶な過去があったのだろう。
あるいは命を賭してまで私達を助けてくれた理由も、これに関する事で違いはなさそうだ。
シーツには血が付着しており、ここに救助した生存者を寝かせていた事が伺える。
とにかくベッドから降りよう……そう思った時
J( 'ー`)し「痛ッ!」
動こうとした瞬間に激痛が走る。
あばら骨が折れているようだった。
206
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:41:42 ID:lEiz1IWU0
患部を見ると固定帯や湿布等で丁寧に治療されていた。
下を見ると無数の医療器具が散乱しており、数々の人間を介護していると見受けられる。
町内の教会等入った事がないために施設内の構造はわからない。
しかしTVの音以外、完全に無音のため他に生存者がいる気配はないようだった。
皆避難所へ向かったのか、あるいは寝ているだけなのか定かではないが……
J( 'ー`)し「ドクオ……ドクオ!」
('A`)「……あん?」
ドクオは母親の呼び声で目が覚める。
('A`)「あれ?……何処ここ、おかん?
避難所?……あれ?」
J( 'ー`)し「寝ぼけてる場合じゃないでしょ
神父様に助けて頂いたのよ
怪我は?」
('A`)「怪我?別に痛くねぇよ」
J( 'ー`)し「良かった……歩ける?」
('A`)「お、おう」
ドクオはあくびをした後、ゆっくりとベッドから降りた。
('A`)「頭がちょっといてぇが、別に大丈夫かな」
首をコキコキと鳴らしながらそう告げる。
すると
J( 'ー`)し「じゃあおんぶしなさい」
207
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:42:30 ID:lEiz1IWU0
('A`)「あ?
この糞ババァ」
ドクオは額に血管が浮かび、憤怒を抱きながら見上げた。
しかし母親の怪我の程度を見て怒りが冷める。
('A`)「……悪りぃ」
J( 'ー`)し「わかればいいのよ」
母親は笑顔でそう告げる。
('A`)「しかしおんぶっつっても……
……ひょっとしてあの教会堂か!?ここ」
J( 'ー`)し「……知ってるの?」
('A`)「VIP小学校の少し前の教会だろ!?
昔よくここで友達の内藤と遊んでたんだよ!
ニダーって神父さんがスゲェいい人でさ!アメちゃんくれるの!
おかげで金には困らなかったよ!」
ドクオは随分と上機嫌になる。
J( 'ー`)し「……へぇ
そういやアンタいつもアメちゃん持って帰ってきてたね」
208
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:43:29 ID:lEiz1IWU0
('A`)「だが……引きこもりになってからもうここに行った事がなかったな
内藤の奴も、最近電話してねぇし……」
('A`)「会いてぇな……内藤に」
寂しげな表情でそう告げるドクオを見て、母親は笑顔になる。
その目はまだ希望に満ち溢れていたからだ。
J( 'ー`)し「生き延びれたら会えるわよ」
('A`)「そう……かな
とりあえずさ、その神父に顔会わせてくるよ
名前は聞いた?」
J( 'ー`)し「聞いてないわね」
('A`)「うーん……じゃあニダーかどうかわかんねぇな
見た感じ設備は整ってるし、化け物対策はしてそうだな
すぐ出て行く必要はないと思うんだけど」
ドクオはそのまま仮眠室を出て行った。
するとL字型の廊下にたどり着く。
209
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:44:28 ID:lEiz1IWU0
J( 'ー`)し「あの人礼拝堂に入って行ったわよ!」
仮眠室から母親の声が鳴り響く。
窓は全て扉を分解して集めたらしい木の板で頑丈に塞がれていた。
故に廊下は薄暗く、電力節約のため照明は一つしかついていない。
('A`)「すみません!先ほど救助して頂いたドクオと申しますが!
いらっしゃいますか!?」
ひたすら大声で呼びかけるが、返事はない。
('A`)「外出……か?」
……
ふとドクオの目の前に、机やTVが見える居間らしき部屋の入り口が見えた。
もしかしたらいるかもしれないと思い、ゆっくりと中へ入る。
中は随分と狭い部屋だった。
机が一つだけ置いてあり、奥にはTVが一台だけ置いていた。
壁のカレンダーには細々と何やら記しがつけられており
その横には無数のDVDケースが乱立している。
('A`)「……DVD?」
AVか?映画好きなのか?何かの監視ビデオか?
教会なのだからそれに関する信仰ビデオか何かか
……そうではなかった。
210
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:45:39 ID:lEiz1IWU0
よく見るとケースのそれぞれには日付が書いてあった。
今日の日付も2つ程あった。
('A`)「……」
こういう物は勝手に見るべきではないが
ただでさえこういう大災害だというのに、今一体何を記録する必要があるのだろう。
ひょっとすると信仰者と化け物の闘いを記録したりしてるのだろうか
ドクオは興味が沸いた。
そのうちの一枚を手に取り、ビデオデッキに入れて再生を押してみる。
('A`)「……」
それは個人で撮影したビデオのようだった。
隠しカメラか、変な角度で撮影されており、生存者と思われる複数の男女の姿が映る。
〝「ありがとうございます神父様!」
<ヽ`∀´>「一人でも多く人間を救えたのですから、神に背かれる事はありませんでしょう
あなたも避難所に行かれる方ではありませんか?
しばらくはここで休憩なさってください
外は地獄のような有様です」〟
そこに映っていたのは自分と同じ境遇の人だった。
211
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:46:57 ID:lEiz1IWU0
なぜ撮っているのかはよくわからない。
自画自賛か?こんな災害だからこそ記録を残したいとか……そんな気持ちがあるのか
画面の右下には午前8時とある。
ドクオ達が自宅にいたくらいの時間だった。
その時ここで起きた全貌を知れると思うと、どうにも興味が沸いて仕方がなかった。
〝「ニダー様!化け物が2体入ってきました!
うわぁあ!」
<ヽ`∀´>「心臓を棒で突け!」〟
やはり危機迫る迫真の防衛線が映っていた。
神父と教徒達は化け物を押し倒して正面の入り口を封鎖する。
……そして、その神父の面構えにドクオは見覚えがあった。
('A`)「やっぱニダーさんか。
……じゃあ、やはりこの人が」
( ゚∀゚)o彡゜「それ以上は見るのは薦めねぇぜ
自分の保身を願うなら、知っちゃなんねぇ事実だ」
('A`)「……」
冷や汗がブワッと滲みでる。
ふと声が聞こえたため、ドクオはふと後ろを向く。
しかし誰もいなかった。
212
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:47:45 ID:lEiz1IWU0
('A`)「げ、幻聴か?……気味悪いな」
ドクオは再びTVの方を見た。
するとだった。
ドクオは大きく眼を見開いた。
〝「ニダー様?」
近づくニダーに対して、教徒が緊迫した表情でそう告げる。
<ヽ`∀´>「おっほん……今から言う事は信じられないかもしれない
現実味に欠けるかもしれないが、事実である事は保障する
辛い現実だが、真っ向から受けてとめてほしい」
<ヽ`∀´>「私はパズルを組み立てるのが好きだ
それは君達もご存知である事だが、必ず完成させる時に一ピースだけ外すのは知っているね?」
<ヽ`∀´>「一部分だけ残して完成させる事が好きだからだ
ある程度まで組み立てて、それを最後で無碍にさせる事がどうにもたまらなくてね」
<ヽ`∀´>「もう聖職者を演じる必要もないわけだ」
「ちょ……神父様!」〟
そこからの映像は狂気の沙汰だった。
213
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:48:39 ID:lEiz1IWU0
完全に信頼しきった教徒を次々と殺害し続けた。
死体を化け物にやられたと演じ見せ、死体の一部分のみを頂き
それを冷蔵庫に保存した。
わざわざ几帳面にその一つ一つにナンバーと名前をつけ
今度は生存者にも手を出し、次々と限りなく残虐な方法で殺害した。
('A`)「……は?」
やばかった。
表情がだんだん青ざめていく。
人間は化け物以上に怖い存在。
それが今ハッキリとわかった。
ドクオは吐き気を催す程の危機を感じ、口を抑えながらTVを消す。
一刻も早く!
早く母親の元へ行かなければ!
('A`)「……」
TVを消した時
ドクオの後ろにニダーの姿がハッキリと映っていた。
214
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:49:46 ID:lEiz1IWU0
グッ!
('A`)「!!」
直後、ドクオは首に意識が失いそうになる程の圧迫感を感じる。
('A`)「あああ……ぐっ」
首を凄まじい力で絞められている!
やばい!
頭の中でその一言だけが浮かぶ。
顔が真っ青になり、恐怖で頭がいっぱいになる。
殺される!
<ヽ`∀´>「!」
ドクオはやみくもにTVを蹴り倒す。
その反動で後方に飛び上がり、ニダーは後方に倒れた。
衝撃で首を絞めていたロープが緩まり、ドクオはそれを握り取る。
そして咳をしながらニダーを凝視する。
('A`)「ケホッケホッ……何っ……!何で……だよ!
何でこんな真似をした!」
('A`)「何でなんだよぉおおおおおおおおおおお!」
215
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:50:27 ID:lEiz1IWU0
<ヽ`∀´>「……」
その表情に暖かさなどなかった。
殺人鬼に相応しい冷淡な瞳でこちらを見ていた。
('A`)「覚えてるか!?
俺はあそこの小学校に通ってた引きこもりさ!
覚えてるよな?
あんたは内藤と俺に優しくしてくれた!
毎日毎日アホみたいな面で来る俺達を父親のようにあしらってくれた!」
<ヽ`∀´>「……」
('A`)「忘れるわけがねぇ!
お菓子もくれて!かくれんぼに付き合ってくれて!
カブト虫を捕まえれる山だって教えてくれた!」
('A`)「答えろよ!
何でこんな非行に走った!」
<ヽ`∀´>「……」
ニダーは無表情でドクオに近寄る。
そして
拳が顔面を容赦なく殴打した。
216
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:51:16 ID:lEiz1IWU0
幾度もドクオの顔面を殴り始めた。
まるで機械のように、魂の感じられない動きで
('A`)「……ぐ!」
ドクオは腕で身を守りながらも思い出した。
多重人格者
一つの体に複数の人格を持つ人間。
この男の動きはまさにそれだった。
('A`)「おえ!」
みぞおちに拳がブチ込まれ、悶絶する。
その隙に
ニダーのもう片方の拳が顔面へと襲い掛かる。
……だが
<ヽ`∀´>「!」
「エーデルワーイス、エーデルワーイス」
217
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:52:18 ID:lEiz1IWU0
パンツから性器がはみ出した、化け物化した教徒がニダーに襲い掛かった。
<ヽ`∀´>「く!」
苦戦しているうちにドクオは走り、その場から逃げ出す。
('A`)「おかん!逃げるぞ!
あいつ殺人鬼だよ!善人のふりして俺達を殺す気でいたんだ!」
('A`)「おかん!」
ドクオは仮眠室を訪れるが、返事がない。
まさか・・・と思い見上げると
血の跡
二段ベッドの上の段は血の跡がついていた。
<ヽ`∀´>「……まったく、化け物は力が強い
大の男の私でさえ苦戦する有様だ」
撲殺音と共に後ろから声が聞こえた。
('A`)「……ニダー!」
218
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:54:00 ID:lEiz1IWU0
今日からそれが始まった。
全てがおかしい。
父親が化け物になって、母親と乗った車が交通事故に会い。
世界が化け物だらけになり……そして
目の前には殺人鬼と化した神父の姿があった。
<ヽ`∀´>「今日から全てが変わったと思うか?
私は違うと思う」
<ヽ`∀´>「目の前にいる友達が自分を信頼していると断言しても
果たしてそいつは本当に心の底から君を信頼していると思うか?
腹が減ればおいしい物が食べれ、毎日毎日好きなように生きていける世界が本当に真実だと思うか?」
<ヽ`∀´>「事実、私は人肉を集める事が性癖の一つだった」
<ヽ`∀´>「君が知るわけがない
言えば批難され、異常者と扱われ地位を失う
社会的に抹殺されかねないそんな行動を軽率にするわけがない
世の中の巧妙に仕組まれた枷で私は私欲を封印してきたに過ぎないのだ」
ニダーは血まみれのナタを掴み、ドクオを凝視する。
219
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:56:08 ID:lEiz1IWU0
<ヽ`∀´>「人間は嘘をつく事ができる生き物だ
時代は変わった」
室内のTVはニュースを延々と流すだけで、番組を始める気配は一切ない。
報道も災害に関する内容ばかり……
<ヽ`∀´>「ある意味褒めるべき事態かもしれない
これまで真実を隠してきた人物の本音を見れる
礼儀や人間関係人間性職業等を理由に偽ってきた奴らが、真実を語ってくれる」
('A`)「……」
最初は母親の件で怒りを見せていたドクオだったが、次第に怯え始める。
異常……それ以外の言葉がない。
<ヽ`∀´>「生き残った警察も自衛隊も化け物に夢中で手がつかない
誰も助けてはくれない
過半数の人類が化け物となった今、復興など不可能
弱い力が強い力に屈服を強いられる時代は訪れたのだ」
<ヽ`∀´>「助かりたければ自分が死に物狂いで戦う事だ
負ければ死ぬだけ、元より地球の生物はそんな生態系を築いてきたのだから
我々人類だけが贔屓されているわけではない」
<ヽ`∀´>「神に仕える者としての最後の助言だ」
220
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:57:11 ID:lEiz1IWU0
('A`)「ハァ……ハァ……」
ドクオはニダーの宣言の数々がよく理解できた。
気付けば戦う覚悟が生まれつつあった。
臨時用に家から持ってきたカッターを手に取る。
( ゚∀゚)o彡゜「いっちゃなんねぇ、それは奴の罠だ」
<ヽ`∀´>「殺しに来い、言わばこれは決闘だ。
親の敵をとりたいだろ?」
('A`)「てめぇええええええ!!!」
( ゚∀゚)o彡゜「だからやめろって!」
('A`)「……え?」
それは上から聞こえた。
ふと見上げると……
そこには革ジャンを身にまとったヤンキーの姿があった。
( ゚∀゚)o彡゜「二段ベットを伝って上れ!
ほら!早く!」
221
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:57:58 ID:lEiz1IWU0
なんだこいつは……?
思えばこの声はさっきも聞き覚えがあった。
ブゥンッ
ニダーは全力でナタを振り回すが、辛うじてドクオはそれを回避する。
ヤンキーは彼の腕を掴み、急いで天井裏へと入っていく。
('A`)「あ、あんたは!?」
天井裏で四つんばいになりながらそう問う。
( ゚∀゚)o彡゜「話は後だ」
男は瞬時に天井裏のフタを閉める。
直後いろんな場所からナタが突き破って飛び出るが、何とかそれを回避する。
( ゚∀゚)o彡゜「俺は自衛隊でもなけりゃあレスキュー隊でもねぇ
だが商売だ、慈善事業ではなくてな
報酬をよこしゃあ助けてやる」
('A`)「ほ、報酬?」
( ゚∀゚)o彡゜「テメェの母親のおっぱいを見せな」
222
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 16:59:32 ID:lEiz1IWU0
午後1時38分
(´・ω・`)「よーし」
ショボンは装甲車に乗り、エンジンを入れる。
タイヤは時間を置いて再度地下に向かい調達、そしてしっかりと取り付けた。
( ^ω^)「ガソリンは大丈夫なのかお?」
川 ゚ -゚)「ガソリン満タンで出発し、2km程のこの地点で停車したからな
確実に避難所までは行ける」
ξ゚⊿゚)ξ「避難所へ向かうの?
アイツ……は?」
川 ゚ -゚)「向かいながら考えればいい
どの道備え無くして勝てる相手じゃない」
駐車場で会話する三人の周りで、一台の車がグルグルと回る。
装甲車はエンジン音と共にジャリジャリと音をたて、内藤達の前に停車する。
(´・ω・`)「問題なしだ!お前ら乗れ!」
装甲車が三人の前でピッタリと停止し、ショボンが顔を出してそう告げる。
素直クールが助手席に乗る……そして
ξ゚⊿゚)ξ「……」
( ^ω^)「……」
今更になって気まずさが増大する。
互いが互いを譲ろうとし、数秒無言が訪れる。
(´・ω・`)「いいから乗れ愚か者!」
223
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 17:00:31 ID:lEiz1IWU0
ξ゚⊿゚)ξ「ちょ……じ、じゃあ私が乗るわよ!」
ツンデレは顔が真っ赤になって後部座席へ入る。
内藤はその様を見て笑顔になり、その後に入る。
(´・ω・`)「行くぞ!
無論避難所に直行だからな!」
ショボンはアクセルを全開して装甲車をかっ飛ばす。
(´・ω・`)「お前らも手伝え!
この車両なら化け物もたかが一、二匹なら平気だが
トラブルはできる限り減らしたい!360度見張ってろ!
可能な限り避ける!」
装甲車はそのまま全速力で大通りを走り抜ける。
( ^ω^)「うお!」
ξ゚⊿゚)ξ「キャア!」
道が荒れているため車体は激しくグラつき、二人は激しく揺れる。
しかしショボンと素直クールは微動だにしない。
( ^ω^)「右の角から化け物が迫ってます!」
(´・ω・`)「任せろ!」
224
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 17:02:52 ID:lEiz1IWU0
右側から一匹の八百屋の格好をした化け物がこちらに走ってくる。
しかし
(´・ω・`)「整備員の間じゃ一際有名な安全円滑ショボンのあだ名をナメんじゃねぇぞコラァアア!!」
ショボンはハンドルを素早く回し、車は化け物だけを綺麗に避ける。
そして助手席で素直クールは冷静に地図を見る。
川 ゚ -゚)「……む、そこの自然公園を経由した方が早いな」
(´・ω・`)「了解!」
柵をぶち壊しながら時速100kmで自然公園に突入する。
ξ゚⊿゚)ξ「あ!ぁわわわわ!わっわっわっ!」
( ^ω^)「おっおっおっ」
中は更に道が荒れているので、装甲車は激しく揺れまくる。
( ^ω^)「トラブルは避けたいんじゃなかったのかお!」
(´・ω・`)「そんなん言ったっけか!」
そのまま木々をなぎ倒しながら、装甲車は暴走列車のように走り続ける。
……やがて普通の道路に到着した。
川 ゚ -゚)「……あと15分だな
君達、もう身構える必要はないよ
後は人気の少ない普通の道路だ」
素直クールは笑顔でそう告げる。
窓から景色を眺めると、綺麗な川の景色が広がっていた。
225
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 17:04:19 ID:lEiz1IWU0
ξ゚⊿゚)ξ「……」
思わずそれを見入ってしまう。
何故なら汚らしい血肉や死体などまるでない、昨日までの景色だったからだ。
最も綺麗なのはそこだけで、先に見える町並みは地獄であったが
川 ゚ -゚)「安全で気も紛れる、いい所だろう?
今の町の景色は可愛い女の子が見るもんじゃない」
素直クールは本を読みながらそう告げる。
( ^ω^)「……」
二人は無言で景色を眺める。
ξ゚⊿゚)ξ「……あの、今更だけど」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう」
ツンデレは目を合わせずにそう告げる。
前の席の二人がニヤリとしているのがバックミラーから見える。
( ^ω^)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「だってあんたがいなきゃここまで来れなかったもの
自……いや、警官に襲われた時も内藤がいたからこそ……だった
あの時は身を削ってまで助けてくれたし……でも」
226
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 17:05:05 ID:lEiz1IWU0
ξ゚⊿゚)ξ「なんでそこまで私を助けてくれるの?」
( ^ω^)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「何で?
まるで家族のように身を案じてくれる
やろうと思えば私を見捨てて無事に助かる方法もあった」
( ^ω^)「……その通りだお」
不意に内藤が口を開く。
( ^ω^)「理由は自分でもわかる。
俺には妹がいて、昔その子が虐待にあっていて」
( ^ω^)「兄として助けたくて、でも……親の圧力にねじ伏せられて
学校の先生に伝える勇気もなかった
あの時の親は絶対的な存在だったから……黙認するしかなかったお」
川 ゚ -゚)「……」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「それが凄く悔しかった
だから君と妹のイメージが重なって……それで助けたんだお」
227
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 17:06:09 ID:lEiz1IWU0
( ^ω^)「つまりその通りなんだお
君の発言は的を射ていたんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「……それが理由?」
( ^ω^)「ああ、それだけの事だお
変にお節介をかけてすまなかった
守られるのが嫌なら守らないお」
内藤は素っ気なくそう告げ、そっぽを向く。
ξ゚⊿゚)ξ「嫌じゃないよ!」
ツンデレは少々涙目になってそう訴える。
( ^ω^)「?」
ξ゚⊿゚)ξ「嫌じゃないよ……けど……その」
( ^ω^)「その?」
228
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 17:08:24 ID:lEiz1IWU0
ξ゚⊿゚)ξ「その……」
ツンデレは頬が紅潮し涙目になり、歯を食いしばり何も喋れなくなる。
( ^ω^)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
そこからの空気は酷く殺伐としていた。
ツンデレと内藤は一切目を合わせず、外の景色ばかりを見ている。
(´・ω・`)「あちゃ〜……俺はメビウスの輪キューピットショボンと呼ばれた男なんだが
略してメビキュー」
川 ゚ -゚)「やめろ、聞こえる」
装甲車はガタガタと揺れながら堤防沿いを走り続ける。
空はまだ青白く染まっている。
たった一日で凄まじい変化を遂げた絶望は、まだ5時間程しか過ぎてはいない。
第6話『不正な者たちは誰でも彼をも不正な者にしてしまい』
229
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 17:12:20 ID:lEiz1IWU0
第5話『長々と書き留められた言葉に耳を傾けよ』
以上で終了です。
読んで頂いた皆様、どうもありがとうございました。
To Be Continued……忘れてましたwすみませんw
次は第6話『不正な者たちは誰でも彼をも不正な者にしてしまい』です。
230
:
名も無きAAのようです
:2012/08/10(金) 17:14:05 ID:7Gm3gt7s0
乙!!
231
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 17:26:43 ID:lEiz1IWU0
次回もドクオ編と内藤編を交互に続けていく予定です( ^ω^)
>>192
実は何年か前に、こんな作品をVIPに投稿しています。
http://logsoku.com/thread/ex15.2ch.net/news4vip/1150619206/
232
:
名も無きAAのようです
:2012/08/10(金) 19:20:02 ID:WYiX1yUcO
>>231
殺人鬼は微笑むようですの人かな?と思ってたんだ
バイオハザード、タイトルは見たことあった読んでみる
233
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/10(金) 19:30:26 ID:RDIQwe9c0
>>232
何せ6年前の作品ですので、本作よりは断然酷い出来だと思われますw
ですので期待はしない方がいいかとw
文はかなり少ないので、ひょっとすると読み易い可能性もあるかな……
殺人鬼は微笑むようです読んで参考にしてみます
234
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 18:51:44 ID:06z1brEQ0
これより第6話『不正な者たちは誰でも彼をも不正な者にしてしまい』を投下します。
235
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 18:53:02 ID:06z1brEQ0
「いいかいあれはこと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル
最近は天候もいいからこんな大都会でも星座が見れるんだ」
「あれがどう見たら白鳥に見えるんだお?
昔の人想像力ありすぎだお!」
「それしかやる事なかったんじゃねぇの
だってゲーム機もねぇんだぜ、絶対この時代に生まれたくなかったし」
「昔の人にとって空とは未知数で偉大なものだったからね
古代中国では星同士を結んだ形を星官と呼び、
主要な星官にもとづいて分けられた星空の区画は星宿と呼び崇高していたらしいよ
最も今の時代は星の配置を覚える名称の一つに過ぎないけど」
「神父さん凄くもの知りだお
何でそんなに詳しいの?」
「……私は元々大学で星座の勉強をいていてね
実家が神父の家系だから継いだんだ
君達も未来がある、好きな事をもっと一生懸命していい仕事に就きなさい
私みたいになっちゃいけないよ」
「はーい」
「はーい」
「おっと……もう8時か
車で家まで送ろう、親御さん方も帰宅してる頃だろう」
第6話『不正な者たちは誰でも彼をも不正な者にしてしまい』
236
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/08/13(月) 18:54:03 ID:06z1brEQ0
午後1時47分
一台の装甲車が堤防沿いを走行する。
( ^ω^)「……」
相変わらず気まずい空気が続く中
内藤は無言で窓から、道路側の外の景色を眺めていた。
いくつかの建物では煙がもくもくと焚き
今だ止む事はない地獄の底のような阿鼻叫喚が耳に痛い程響く。
走っている民間人もたまに見るが、いちいち相手をしていては避難所に到達などまるでできそうにない。
ビルの屋上も化け物が犇いていた。
復興など不可能だろう。
その最重要たる町民がこれほど絶望的状況に置かれているのだ。
人口など既に半分以上が化け物と化している。
避難所に行けば最低限の安全が保障される。
……しかし、それからどんな生活を送る事になるのか
食料はどうやって調達すれば良いのか
恐らく避難所はすし詰めになっている。
世界規模であろうこの大災害の中、他所からの物資も期待はできない。
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