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怖い話投稿所

6送り妖怪:2011/12/28(水) 23:31:59 ID:1yDVBNkA



その日の夜も、私たちは三人で昆虫採集に訪れていた。
いつものコースを順調に周っていく。前回仕掛けた罠には思った通りに昆虫が掛かっていて、私たちのはしゃぎ声は静かな林中に響いていた。

楽しい時間はいつも早く過ぎるように、気付けば時刻は二時を回ろうとしていた。
慌てて最後に周る「看板の木」へ急ごうとすると、友人の一人が「今日は収穫が少ないかもしれない」と呟いた。
なぜかと私が尋ねると、どうやら途中で帰っていく人影を見たらしい。
それでも念のため、私たちは「看板の木」を周ることにした。

着いてみると、予想に反して、昆虫は木にたくさん集まっていた。
仕掛けていた罠にも、想像していたよりずっと多くの昆虫が集まっていた。
誰かが先に採っていった様子も見られない。
私たちはひとしきり採集し終えると、人影を見たという友人に、どんな特徴だったのか聞いてみた。

「そういえば、髪が長かった」
「女の人だったんじゃないか? 虫採りに来たわけじゃないのかもしれない」
「でも、なんでこんな時間に……」

ぷつりと、会話が途切れる。
ねっとりとした空気が、薄く汗ばった肌に纏わりつく。

「もう行こう」

不気味な雰囲気から逃げるように、私たちは駆け足で林の出口へと向かった。


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