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イベント優先スレ
90
:
送り妖怪戦闘部隊
:2011/06/06(月) 23:05:17 ID:DDrxEC0A
>>89
――パリィィィン!!
障壁が破れる音と共に、東雲が拳を振り抜いた。
同時に、和戌がどさりと地面に落ちた。
波旬の頬を殴り飛ばした態勢のまま、胸を激しく上下させる。
「はあッ、はあッ」
東雲を中心に巻き起こる妖気の渦が、段々と彼の内へ潜まっていく。
視線の先には、砕けた障壁を纏う腕があった。
破片はしばらくして消滅してしまったが、東雲は脂汗を浮かべながら瞳を閉じ、腕を体に抱いた。
(……悪ィな)
すうっと頭が落ち着いていくのが分かる。
妖気の波長が落ち着いていく。
東雲の力の引き金は、まさしく「怒り」。
彼の中で憎しみや怒りが増徴すればするほど、それを糧に、妖力が跳ね上がるのだ。
ただし、東雲自身にその自覚はないが。
和戌の無事を確認すると、東雲は波旬を見下ろす、
「!!!」
――が、
その瞬間、東雲の体が硬直した。
波旬の顔が、変化している。
肩を過ぎる程に伸びた黒髪。
人形のような白い肌。
黒曜石のような瞳をした、今よりずっと幼い顔。
「七、生」
「――確かに、私にはわからないかもしれないじゃん」
ぽたり、ぽたり。
振り遅された薙刀の切っ先が、四十萬陀の額に血を浮かばせた。
震える刃を目前に、少女は動かなかったのだ。
頬を、赤い血が伝いおちる。
周囲の送り妖怪たちは、固唾を飲んで二人を見ている。
四十萬陀の顔は僅かに恐怖を滲ませてはいたが、真っ直ぐに出口町を見ていた。
「でも、本当に君は一人?」
誰も自分のことを分かってくれる人がいないのなら、なぜ出口町は戦うのか。
――何の為に? 誰の為に?
四十萬陀の黒い瞳に、金色の灯が燈る。
「私の知ってる人が言ってたじゃん」
白い着物をたなびかせ、桜吹雪の舞う木の上で。
提灯を携えた狐がいつかいった言葉。
『不幸も幸福も、望めば手に入るものなのじゃ。
少し手を伸ばせるなら、絶対にその者は幸福になれる』
四十萬陀が、出口町に向かって手を差し出す。
「気味が不幸だって、まともじゃないって、それを決めたのは誰?」
――手を伸ばして、そう伝えるように。
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