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89波旬/出口町 入江:2011/06/06(月) 22:22:49 ID:???
>>88

 沸き上っていく妖気、しかし波旬はその力を更に上回っていく。
 まるで虫の行列を応援するかのように、血飛沫を上げて何度も殴りぬく犬御を見定めていた。
 相手が強ければ強いほど好都合、貪欲はやはり残酷に。
 強くなっていく犬御の妖気を倍化させて写し取っていった。

「ほらほら頑張れ頑張れー、どーせ無駄・・・ガァッ!?」

 突然だった。
 現れた腕に波旬は殴り飛ばされ、和戌を手放して地面に叩き伏せられる。

 ガラスの砕けるような音がした。
 波旬を守る赤い結界が、脆くも犬御の拳を貫通したのだ。

 砕けた破片が、どこか面影のあるあの形になり、犬御の振りぬいた腕に纏わり付いた。
 まるで「落ち着け」と言わんばかりに、その手を包みながら消失する・・・。

「う・・・ぐ、チクショウ・・・またッ!!」

 ギリギリと歯軋りする波旬が立ち上がった。

「またこんな要らない物のせいでぇええええええええ!!」

 波旬の貪欲は、犬御の長所を完全に写し取ってしまった。
 またしても・・・波旬を害する長所すら。

(チクショウ・・・どうする!? アレが出てきた時点で・・・この一番強い力は使い物にならない!)

 初めて相手より劣った窮地に、波旬は頭を回す。
 焦りの混じった貪欲の波長が犬御の心の闇に触れたとき、ニタリと閃いた。
 波旬は犬御の心を解析し、もっとも攻撃しにくいという長所を写し取った顔になる。

 それは・・・あの時、大きな犠牲を出した、
 三百年前の傷ついた四十萬陀の姿だった・・・。



「!? な、なによアナタ!!」

 いきなり起き上がり、満身創痍であるはずなのに。
 臆面も無く自分に近づいてくる四十萬陀に驚愕し、石英の薙刀を振りかざす。

「ち、近寄るな!! 今度こそ串刺しにするぞ!!」

 九合目の針山は、僅かに震えていた。

「あなた達なんかに・・・わかるもんか!!」

 なれない口紅の塗られた口が怒声を吐き出し、
 白い串刺す薙刀を大きく振り下ろした!


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