したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

イベント優先スレ

88送り妖怪戦闘部隊:2011/06/06(月) 21:59:24 ID:DDrxEC0A
>>87
「くそッ……!!」

鎌鼬を纏った爪が止まる。
しかし東雲は拳を持ち上げると、赤い結界に向かってもう一度振り下ろした。

「黙れッ! 黙れェェ!!」

何度も、何度も。
その度に、硬い音と共に攻撃が弾かれる。
拳が傷つき宙に血雫が飛ぶ。

「俺はテメーみたいな奴が大ッ嫌いだ!」

視界の端に映るのは、息も絶え絶えの和戌の姿。
耳にこびりつく粘っこい笑い声。

「強さってのは他人の大事なモンを簡単に奪う。否定するように壊す!!」

――ドクン。
心臓が大きく鼓動する。
悔しさとは違う、その魂を支配するのは「怒り」や「憎しみ」だった。

――ドクン、ドクン。
一陣の風が東雲の体を取り巻く。
何度も、何度も、拳を振り下ろす度に、
東雲の妖力が溢れだすように増していく。

(だから俺は強くなる。もうこれ以上――)

ドクン!!

「テメェなんかに、何も奪わせねェ!!!」

ゴオォォォッ!!!
巨大な風嵐を纏った拳を、ヒビの入った結界に振り下ろした。




「くぅっ……」

四十萬陀は悔しげに呻きながら、はしゃぐ出口町を睨んだ。
部屋全体に張り巡らされた石英の枝。
地面に臥す傷付いた送り妖怪の数は五匹、そして能力の使えなくなった双葉を加えて一匹。
残りの送り妖怪は、四十萬陀を含めて六匹となった。

(諦める訳にはいかないじゃん。
 だけど、ここからどうやってコイツに――)

そこで、四十萬陀ははっと目を見開いた。
殆ど勝利が確定したはずの出口町が、その瞳から涙を零したことに。

『幸せな奴等や、まともな奴等なんかに』

出口町が、何度も繰り返した言葉。

(この子は……)

真っ黒な瞳を揺らめかせて、四十萬陀は立ち上がった。
その姿を、出口町と同じ少女の姿にして。

「どうして、泣いてるじゃん」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板