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86送り妖怪戦闘部隊:2011/06/06(月) 21:00:44 ID:/AfNAO.Q
>>85
「うああ゛っ!!」

灼熱の手に首を掴まれ、ジュゥゥと肉が焼け焦げる音がする。
皮膚が焼け爛れていく痛みに、和戌が悲痛な叫びを上げた。
東雲はその場から弾かれたように起き上がる。

「テメェッ、その手を離しやがれ!」
「来、ちゃ駄目だ犬御!! コイツの思う壺……うあああ゛あ゛……!!」

喉が焼けて、次第に叫び声すら小さる。
ヒュゥヒュゥと息が抜ける音。
力が抜けていく腕。

――目の前で仲間がやられるのに、俺は立ち尽くす事しかできねェのか。
――あの時のように?

東雲の見開いた赤い瞳の奥に、血濡れた光景が映った。

「……させるかァァァ!!!」

怒りに頭を支配された東雲は、考えもなしに波旬に向かい爪を振りかざした。
分かりやすい挙動。考えなしの行動。
だが頭に血が昇った東雲は止まらない。
和戌の制止の声も、まるで聞こえていないように。





「やったか……!?」

霧に合わさって煙が上がり、出口町の姿を確認できなかった。
だが、妖気は消えていない。
感付いた四十萬陀が指示を飛ばす一瞬前に、出口町が和戌がいるはずの場から飛び出した。

(しまっ)
「皆、逃げ――」

だが、遅い。
溢れ返る黒い妖気。逃れることの出来ない強大な力。
無作為に張り巡らされていく残虐殿が、送り妖怪たちに襲い掛かる。

「!!?」

四十萬陀の頭の中に、負傷した仲間たちの痛烈な傷みが反響した。
一、二、三……傷を負うものたちを尻目に、石英は菌糸のように枝を伸ばしていく。
四十萬陀のほんの一寸隣を、石英の枝が通り抜けた。
ぞっ、と背筋が凍る。

残虐殿が完成すると同時に、部屋に張り巡らされていた霧が晴れた。
驚いた四十萬陀が慌てて辺りを見回すと、石英の枝に翼を傷付けられた五月がぐったりとうなだれていた。
遠くから空を切る音がして、双葉が飛んでくる。

「五月!!」
「ごめん双葉……やられちゃったわ」

小さく鳴く声はか細い。
彼女たちの戦闘の要であった霧が晴れ、思考共有も効果がなくなってしまった。
――危機的状況。
他の仲間たちも、すぐに立ち上がる者もいるが決して全員ではない。

「……ちょっとまずいじゃん」

強張った表情で、四十萬陀が呟いた。


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