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28叡肖『』 古蛸「」 解峯〔〕:2011/05/27(金) 21:37:50 ID:1gBuqmPQ
>>27
「くふぅ、これはいい痛みぞ、おぬし!久々に楽しい相撲になりそうじゃのぉ!」

悪樓に足を一本食いちぎられ、青い血を流しながらも大蛸は楽しげに笑っていた。
真っ赤に輝くその身体にぬらりと青く輝く目は、蜘蛛であったころの名残なのか八つある。
そのうちの三つが毒の銛で光を失った。

「ふふ、毒かの。流石に痛みはするが、この程度の量ではわしをどうこうするにはまだ足らぬわ。
 なにより、かつての主様のものに比べたら、どうという事も無いわい」

冷たい海の軟体動物は毒の回りも遅いようだ。なによりアッコロカムイは巨体なのである。

(…とはいえ、この毒が回る前に事を片付けねばの)

悪樓の上下の顎を、半ばから先を食いちぎられた太い触腕の根元の吸盤が捕らえ、その開閉を封じる。
さらに3本の触腕が悪樓の身体に絡み、厳重に巻き付けて引き寄せようとする。
古蛸の足の中央、その嘴のような尖った刃のある口が、ガチガチと音を立てて悪樓を迎え入れようとした。

『こんなことは予測済みなんだってばよっ!』

主が毒持ちなのは承知していた。
衣蛸は八本の筆に墨を含ませ、蟹達の甲羅に解毒の文字を次々と記す。
衣蛸自身の身体にも、色素胞による同じ文字がうっすらと浮かび上がっていた。

〔主様に剣を渡してはいけない!!止めるのだ!〕

解峯に指揮されて衛士の朱蟹が十数匹、伊吹の後を追って走る。
毒竜と化した主の尾に取り付く蟹の数は、刻一刻と増えてゆく。
その重みを引きずって、伊吹は部屋へと走らねばならない。

『やい海牛!この前てめぇに着せた恩あるだろ、今返しやがれ!!』

にたりと笑った叡肖の筆が、逃げ損ねて転がる太った神格に『菖蒲』と記した。
その妖力を吸って、その背に蓑のように菖蒲が一叢生えた。

『おらてめぇ、さっさと主様に縋りに行きやがれ!』

あろう事か叡肖は、海牛を伊吹の向かう部屋の方へと投げ飛ばしたのだ。
その背に生えた、菖蒲の叢ごと。
情け無い声を上げながら、海流に飲まれてきりきりまいした神格は、ぺしゃりと落ちた。
その毒竜の足元へと。

「孫や、わしの解毒もしてくれんかのぅ」
『無茶言うなって!だれが今の爺ィに近寄るかよ!』

アッコロカムイに踏み潰される気はないのだ。
黒蔵は解峯に任せて、衣蛸は窮奇のほうへと走った。

『この退屈な役所を中々楽しい事にしてくれたよな、そこんとこは感謝するわ』

筆を舐めながら窮奇に向かう衣蛸は、実に楽しげである。
その八本の腕にも、色素胞の『力』の文字がうっすらと浮かび上がっていた。


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